IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカの特許一覧

特開2023-164509情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図6
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図7
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図8
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図9
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図10
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図11
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図12
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図13
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図14
  • 特開-情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164509
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20231102BHJP
   G08G 1/137 20060101ALI20231102BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20231102BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20231102BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20231102BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/137
G16Y40/60
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143808
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2022581189の分割
【原出願日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2021021901
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】浜田 伸一郎
(57)【要約】
【課題】人間の嗜好性を反映しつつ、道路連結性が捉えられた移動経路を生成する。
【解決手段】サーバ(1)は、起点と、終点と、起点及び終点間の過去の移動経路である実績経路とが関連付けられた実績経路情報を実績データベース(131)から取得し、起点及び終点を含むクエリを取得し、実績データ群に記録された1以上の実績経路を連結することにより、起点及び終点がクエリの起点及び終点と一致する1以上の推薦経路を生成し、1以上の推薦経路を出力する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、経路を生成する情報処理方法であって、
起点と、終点と、前記起点及び前記終点間の過去の移動経路である実績経路とが関連付けられた実績経路情報を記録する実績データ群を取得し、
起点及び終点を含むクエリを取得し、
前記実績データ群に記録された1以上の実績経路を連結することにより、起点及び終点が前記クエリの起点及び終点と一致する1以上の推薦経路を生成し、
前記1以上の推薦経路を出力し、
前記1以上の推薦経路の出力では、同一の前記実績経路が多いものを前記推薦経路として出力する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記実績経路情報は、さらに、走行状況が関連付けられており、
前記推薦経路の出力では、各推薦経路を構成する前記1以上の実績経路に前記走行状況を関連付けて表示する表示画面の表示データを出力する、
請求項1記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記走行状況は、各推薦経路を構成する前記1以上の実績経路を使用した使用人物及び前記使用人物の使用日時の少なくとも1つを含む、
請求項2記載の情報処理方法。
【請求項4】
さらに、前記実績データ群に基づいて、各推薦経路を構成する前記1以上の実績経路について使用頻度が上位n(nは1以上の整数)名の使用人物と、各使用人物の使用日時とを決定し、
前記表示画面は、決定された前記上位n名の使用人物と、各使用人物の使用日時とを各推薦経路を構成する前記1以上の実績経路と関連付けて表示する、
請求項3記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記表示画面は、各推薦経路を構成する1以上の実績経路が区別可能に地図に重畳表示される地図画面を含む、
請求項2~4のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記表示画面は、各推薦経路を構成する1以上の実績経路が区別可能にリスト表示されるリスト画面を含む、
請求項2~4のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記1以上の推薦経路の出力では、前記1以上の推薦経路が複数の推薦経路を含む場合、各推薦経路の内容が一致するものを複数のグループに分類し、各グループを構成する推薦経路の件数を決定し、前記件数が上位m(mは1以上の整数)番までのグループの推薦経路を出力する、
請求項1~6のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項8】
さらに、前記1以上の推薦経路の中から利用者により選択された1の推薦経路を示す選択情報を取得し、
前記実績データ群の取得では、前記1の推薦経路を構成する実績経路を前記実績データ群に記録する、
請求項1~7のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記実績経路は複数の道路で構成されている、
請求項1~8のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記1以上の推薦経路の生成では、連結数を1つずつ増加させながら、前記1以上の推薦経路の生成を試み、前記1以上の推薦経路を生成した時点で処理を終了する、
請求項1~9のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項11】
経路を生成する情報処理装置であって、
起点と、終点と、前記起点及び前記終点間の移動経路である実績経路とが関連付けられた実績経路情報を記録する実績データ群を取得する実績取得部と、
起点及び終点を含むクエリを取得するクエリ取得部と、
前記実績データ群に記録された1以上の実績経路を連結することにより、起点及び終点が前記クエリの起点及び終点と一致する1以上の推薦経路を生成する生成部と、
前記1以上の推薦経路を出力する出力部とを備え、
前記出力部は、同一の前記実績経路が多いものを前記推薦経路として出力する、
情報処理装置。
【請求項12】
経路を生成する情報処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
起点と、終点と、前記起点及び前記終点間の移動経路である実績経路とが関連付けられた実績経路情報を記録する実績データ群を取得する実績取得部と、
起点及び終点を含むクエリを取得するクエリ取得部と、
前記実績データ群に記録された1以上の実績経路を連結することにより、起点及び終点が前記クエリの起点及び終点と一致する1以上の推薦経路を生成する生成部と、
前記1以上の推薦経路を出力する出力部として機能させ、
前記出力部は、同一の前記実績経路が多いものを前記推薦経路として出力する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経路を生成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タクシー及び個人車両向けのカーナビゲーション装置、歩行者の道案内アプリケーション、及び輸配送業務における配送計画生成アプリケーション等の研究開発が進められている。これらの技術においては、2地点間の最適な移動経路を決定する機能が含まれている。2地点間の最適な移動経路を決定する技術として、非特許文献1と特許文献1とが知られている。
【0003】
非特許文献1では、地図のトポロジーデータに基づいて、時間又は距離が最短となる移動経路を2地点間の最適な移動経路として決定するダイクストラ法に関する技術が開示されている。
【0004】
特許文献1では、熟練ドライバーが良く走る道路の道路コストが下がるように、熟練ドライバーが実際に走行した道路の走行履歴を学習する道路学習モデルを生成し、生成した道路学習モデルを用いて2地点間の最適な移動経路を決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-82755号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】E.W.Dijkstra、「A Note on Two Problems in Connexion with Graphs」、Numerische Mathematik、第1巻、1959年、p.269-271
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術では、スコアの付いた局所的な道路を組み合わせることによって移動経路が生成されているため、人間の嗜好性が反映されておらず、また、道路連結性も悪い移動経路が算出される可能性がある。
【0008】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、人間の嗜好性を反映しつつ、道路連結性が捉えられた移動経路を生成することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様における情報処理方法は、コンピュータが、経路を生成する情報処理方法であって、起点と、終点と、前記起点及び前記終点間の過去の移動経路である実績経路とが関連付けられた実績経路情報を記録する実績データ群を取得し、起点及び終点を含むクエリを取得し、前記実績データ群に記録された1以上の実績経路を連結することにより、起点及び終点が前記クエリの起点及び終点と一致する1以上の推薦経路を生成し、前記1以上の推薦経路を出力する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、人間の嗜好性を反映しつつ、道路連結性が捉えられた移動経路を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態1における情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本開示の実施の形態1におけるサーバの構成の一例を示すブロック図である。
図3】本開示の実施の形態1における管理者端末の構成の一例を示すブロック図である。
図4】本開示の実施の形態1におけるドライバー端末の構成の一例を示すブロック図である。
図5】本開示の実施の形態1における実績データベースのデータ構成の一例を示す図である。
図6】本開示の実施の形態1におけるサーバの処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本開示の実施の形態2におけるサーバの構成の一例を示すブロック図である。
図8】本開示の実施の形態2におけるサーバの処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本開示の実施の形態2における実績データベースのデータ構成の一例を示す図である。
図10】本開示の実施の形態2における第1例の表示画面を示す図である。
図11】本開示の実施の形態2における第2例の表示画面を示す図である。
図12】本開示の実施の形態3におけるサーバの構成の一例を示すブロック図である。
図13】本開示の実施の形態3におけるサーバの処理の一例を示すフローチャートである。
図14】本開示の実施の形態3における第1例の表示画面を示す図である。
図15】本開示の実施の形態3における第2例の表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示に至る経緯)
2地点間の最適な移動経路を生成するにあたり、2地点間の時間又は距離が最短となる移動経路を決定するアプローチが広く採用されている(例えば、非特許文献1)。ここでは、このアプローチを数理最適化型ソルバと呼ぶ。
【0013】
しかしながら、数理最適化型ソルバによって生成される移動経路は、しばしばアプリケーションの利用者に違和感を与えることがある。これは、人間は何らかの理由で最短ではない経路を好ましいと感じることがあるからである。例えば、人間は必ずしも合理的な判断をするとは限らない。また、人間は走行しやすさ、安全性、覚えやすさ、及び交差点での曲がりやすさといった時間及び距離以外の観点で移動経路を決定することがある。そのため、数理最適化型ソルバによって生成される移動経路は人間に違和感を与えてしまうと考えられる。このように移動経路の選択に関する人間の嗜好性が反映されていないことが、数理最適化型ソルバの欠点である。
【0014】
数理最適化型ソルバの欠点を克服する方法として、上述の特許文献1に示す方法が開示されている。以下、特許文献1に示す方法を経路模倣型ソルバと呼ぶ。経路模倣型ソルバでは、各道路に対する特徴量(道路の距離情報、道路の左折情報、道路の幅情報等)が入力され、各道路に対する道路コストを出力する道路学習モデルが用いられている。ここで、道路コストは、走行履歴に基づいて学習されたものであり、熟練ドライバーが良く走る道路ほど低い値を有している。そして、経路模倣型ソルバでは、道路コストが最小となる道路を組み合わせることで2地点間の移動経路が算出されている。
【0015】
このように、経路模倣型ソルバでは、スコアの付いた局所的な道路を組み合わせることによって2地点間の移動経路が算出されているに過ぎず、道路と道路との接続関係、道路を組み合わせた結果としての移動経路の好ましさが考慮されていない。したがって、経路模倣型ソルバでは、人間の嗜好性が反映されておらず、また、道路連結性も悪い移動経路が算出される可能性がある。
【0016】
例えば、人間は、細かく右左折した移動経路が最短であっても、なるべく右左折せず直線的な経路を好む傾向にあることが知られているが、経路模倣型ソルバは、このような傾向を捉えることができない。
【0017】
本開示は上記の課題を解決するためになされたものであり、人間の嗜好性を反映しつつ、道路連結性が捉えられた移動経路を生成することが可能な技術を提供することを目的とする。
【0018】
本開示の一態様における情報処理方法は、コンピュータが、経路を生成する情報処理方法であって、起点と、終点と、前記起点及び前記終点間の過去の移動経路である実績経路とが関連付けられた実績経路情報を記録する実績データ群を取得し、起点及び終点を含むクエリを取得し、前記実績データ群に記録された1以上の実績経路を連結することにより、起点及び終点が前記クエリの起点及び終点と一致する1以上の推薦経路を生成し、前記1以上の推薦経路を出力する。
【0019】
本構成によれば、スコアの付いた局所的な道路を組み合わせるのではなく、実際に人物が選択した実績経路を組み合わせることにより推薦経路が生成される。これにより、人間の嗜好性を反映しつつ、道路連結性が捉えられた移動経路を生成することができる。
【0020】
上記情報処理方法において、前記実績経路情報は、さらに、走行状況が関連付けられており、前記推薦経路の出力では、各推薦経路を構成する前記1以上の実績経路に前記走行状況を関連付けて表示する表示画面の表示データを出力してもよい。
【0021】
本構成によれば、各推薦経路を構成する各実績経路に対して走行状況が関連付けて表示されるため、推薦経路を選択する際の判断材料を利用者に提供することができる。
【0022】
上記情報処理方法において、前記走行状況は、各推薦経路を構成する前記1以上の実績経路を使用した使用人物及び前記使用人物の使用日時の少なくとも1つを含んでもよい。
【0023】
本構成によれば、各推薦経路を構成する各実績経路を実際に使用した使用人物及び使用人物の走行日時の少なくとも一方が表示されるため、推薦経路に対する納得感を利用者に与えることができる。例えば、表示される人物の中に信頼のおける人物が含まれていれば、その人物が関連付けられた実績経路は道路連結性が捉えられた移動経路であるはずだといった納得感を利用者に与えることができる。また、例えば、表示される使用日時に近い時間帯は交通渋滞が起こっておらず、交通状況が良好であるはずだといった納得感を利用者に与えることができる。
【0024】
上記情報処理方法において、さらに、前記実績データ群に基づいて、各推薦経路を構成する前記1以上の実績経路について使用頻度が上位n(nは1以上の整数)名の使用人物と、各使用人物の使用日時とを決定し、前記表示画面は、決定された前記上位n名の使用人物と、各使用人物の使用日時とを各推薦経路を構成する前記1以上の実績経路と関連付けて表示してもよい。
【0025】
本構成によれば、各推薦経路を構成する各実績経路について使用頻度が上位n名の使用人物が表示される。そのため、例えば表示される人物の中に信頼のおける人物がより多く含まれていれば、これらの人物が関連付けられた実績経路は道路連結性が捉えられた移動経路であるはずだといった納得感を利用者に与えることができる。また、各使用人物の使用日時も表示されるため、その使用日時に近い時刻は交通状況が良好であるはずだといった納得感を利用者に与えることができる。
【0026】
上記情報処理方法において、前記表示画面は、各推薦経路を構成する1以上の実績経路が区別可能に地図に重畳表示される地図画面を含んでもよい。
【0027】
本構成によれば、各実績経路が区別可能に地図に重畳表示されるため、利用者は各実績経路が地図のどの区間に該当するかを容易に把握することができる。
【0028】
上記情報処理方法において、前記表示画面は、各推薦経路を構成する1以上の実績経路が区別可能にリスト表示されるリスト画面を含んでもよい。
【0029】
本構成によれば、各実績経路が区別可能にリスト表示されるため、利用者は各実績経路を容易に把握することができる。
【0030】
上記情報処理方法において、前記1以上の推薦経路の出力では、前記1以上の推薦経路が複数の推薦経路を含む場合、各推薦経路の内容が一致するものを複数のグループに分類し、各グループを構成する推薦経路の件数を決定し、前記件数が上位m(mは1以上の整数)番までのグループの推薦経路を出力してもよい。
【0031】
本構成によれば、1以上の推薦経路が複数の推薦経路を含む場合、各推薦経路が内容に応じて複数のグループに分類され、各グループを構成する推薦経路の件数が上位m番までのグループの推薦経路が出力されるため、利用者に対して多様な推薦経路を提示することができる。
【0032】
上記情報処理方法において、さらに、前記1以上の推薦経路の中から利用者により選択された1の推薦経路を示す選択情報を取得し、前記実績データ群の取得では、前記1の推薦経路を構成する実績経路を前記実績データ群に記録してもよい。
【0033】
本構成によれば、推薦経路に対する利用者の選択結果を実績データ群に反映させることができる。そのため、利用者が選択した推薦経路を実績経路として新たな推薦経路の生成に利用することができる。
【0034】
上記情報処理方法において、前記実績経路は複数の道路で構成されていてもよい。
【0035】
本構成によれば、実績経路は複数の道路で構成されているため、実績経路を局所的な道路ではなく大局的な道路群で構成することができる。
【0036】
上記情報処理方法において、前記1以上の推薦経路の生成では、連結数を1つずつ増加させながら、前記1以上の推薦経路の生成を試み、前記1以上の推薦経路を生成した時点で処理を終了してもよい。
【0037】
本構成によれば、連結数の少ない推薦経路が優先的に生成されるため、処理時間の短縮且つ処理負荷の軽減を図ることができる。
【0038】
本開示の別の一態様における情報処理装置は、経路を生成する情報処理装置であって、起点と、終点と、前記起点及び前記終点間の移動経路である実績経路とが関連付けられた実績経路情報を記録する実績データ群を取得する実績取得部と、起点及び終点を含むクエリを取得するクエリ取得部と、前記実績データ群に記録された1以上の実績経路を連結することにより、起点及び終点が前記クエリの起点及び終点と一致する1以上の推薦経路を生成する生成部と、前記1以上の推薦経路を出力する出力部とを備える。
【0039】
本構成によれば、上述の情報処理方法と同じ作用効果が得られる情報処理装置を提供できる。
【0040】
本開示のさらに別の一態様におけるプログラムは、経路を生成する情報処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、起点と、終点と、前記起点及び前記終点間の移動経路である実績経路とが関連付けられた実績経路情報を記録する実績データ群を取得する実績取得部と、起点及び終点を含むクエリを取得するクエリ取得部と、前記実績データ群に記録された1以上の実績経路を連結することにより、起点及び終点が前記クエリの起点及び終点と一致する1以上の推薦経路を生成する生成部と、前記1以上の推薦経路を出力する出力部として機能させる。
【0041】
本構成によれば、上述の情報処理方法と同じ作用効果が得られるプログラムを提供できる。
【0042】
本開示は、このようなプログラムによって動作する情報処理システムとして実現することもできる。また、このようなコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【0043】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0044】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における情報処理システム100の全体構成の一例を示す図である。情報処理システム100は、例えば、輸送会社において荷物の配送車の移動経路を生成するシステムである。但し、これは一例であり、情報処理システム100は、バス又はタクシー等の運輸会社において車両の移動経路を生成するシステムであってもよいし、一般の利用者の要求に応じて車両の移動経路を生成するシステムであってもよい。また、情報処理システム100が生成する移動経路は車両の移動経路のみならず利用者の移動経路であってもよい。車両は、自動車のみならず自転車が含まれてもよい。
【0045】
情報処理システム100は、サーバ1(情報処理装置の一例)、管理者端末2、及びドライバー端末3を含む。サーバ1、管理者端末2、及びドライバー端末3は、ネットワークNTを介して相互に通信可能に接続されている。ネットワークNTは、例えば、インターネット通信網及び携帯電話通信網を含む広域通信網で構成されている。
【0046】
サーバ1は、1以上のコンピュータを含むクラウドサーバで構成されている。サーバ1は、管理者端末2からクエリを受信する。クエリは、起点から終点までの移動経路の探索要求である。サーバ1は、クエリに対応する移動経路である推薦経路を生成し、その推薦経路を表示する表示画面の表示データを管理者端末2に送信する。なお、サーバ1は、ドライバー端末3からクエリを受信し、そのクエリに対応する推薦経路を生成してもよい。以下の説明では、クエリは管理者端末2から送信されるものとする。
【0047】
管理者端末2は、例えば輸送会社の集配所で配車を管理する管理者によって使用される端末である。管理者端末2は、例えば据え置き型のコンピュータで構成されていてもよいし、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ等の携帯端末で構成されていてもよい。
【0048】
ドライバー端末3は、車両に搭載される車載端末で構成されてもよいし、車両のドライバーが所持する携帯端末で構成されていてもよい。携帯端末は、スマートフォン又はタブレット型コンピュータである。
【0049】
図2は、本開示の実施の形態1におけるサーバ1の構成の一例を示すブロック図である。サーバ1は、通信回路11、プロセッサ12、及びメモリ13を含む。通信回路11は、サーバ1をネットワークNTに接続する通信回路である。通信回路11は、管理者端末2から送信されるクエリを受信する。通信回路11は、クエリに対応する推薦経路を表示する表示画面の表示データを管理者端末2に送信する。なお、通信回路11は、表示データをドライバー端末3に送信してもよい。さらに、通信回路11は、管理者自らが作成した移動経路を受信する。さらに、通信回路11は、ドライバーの走行履歴を受信する。
【0050】
プロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の電気回路で構成されている。プロセッサ12は、実績取得部121、クエリ取得部122、生成部123、及び出力部124を含む。
【0051】
実績取得部121は、実績データベース131から実績経路情報を取得する。取得される実績経路情報は、実績データ群の一例に相当する。図5は、本開示の実施の形態1における実績データベース131のデータ構成の一例を示す図である。実績データベース131は、1以上の実績経路情報1310を記録する。実績経路情報1310は、始点と、終点と、始点及び終点間の過去の移動経路である実績経路とが関連付けられた情報である。
【0052】
実績経路は、管理者又はドライバーが、与えられた配送計画から、自らの経験と知恵とを使って試行錯誤により作成又は走行した移動経路である。管理者は、例えば配送先と、配送先に配送する荷物とが関連付けられた配送計画に基づいて、各配送車が複数の配送先を通って効率よく荷物を配送することが可能な配送ルートを作成する。ドライバーも同様にして効率よく荷物を配送することが可能な配送ルートを起案して、この配送ルートに沿って配送車を走行させる。この配送ルートを構成する集配所から配送先までの1つの移動経路、又は配送先間の1つの移動経路が1つの実績経路となる。実績経路の始点は、集配所又は配送先が該当し、実績経路の終点は、配送先又は集配所が該当する。
【0053】
このように、実績経路情報1310は、管理者又はドライバーが、経験と知恵とを使って作成した移動経路を含むため、実績データベース131は、管理者又はドライバーのノウハウが詰まった実績データ群を構成する。したがって、サーバ1は、実績データベース131において所定件数以上の実績経路情報1310が蓄積された後、以下に示す推薦経路を生成する処理を実行する。
【0054】
図5の例では、1行目の実績経路情報1310が示す実績経路R1は、起点「A」と終点「B」とを道路「c」、道路「d」、道路「e」で繋ぐ道路群により構成されている。「c」、「d」等の記号は道路を一意に特定する道路ID(識別子)である。2行目の実績経路情報1310が示す実績経路R2は、は1行目の実績経路R1と内容が同じである。このように、実績データベース131は、管理者による作成実績及びドライバーの走行実績ごとに実績経路情報1310を格納する。
【0055】
図5の例では、起点「A」、終点「B」を繋ぐ実績経路として、実績経路R1、R2、R3がある。このうち、実績経路R1、R2が示すc-d-eの実績経路は2件記録されているが、実績経路R3が示すf-gの実績経路は1件しか記録されていない。そのため、c-d-eの実績経路の方が、f-gで構成される実績経路よりも多く使用されており、人間の嗜好性に適した実績経路である可能性が高い。
【0056】
クエリ取得部122は、起点及び終点を含むクエリを取得する。起点は利用者が探索を要求する移動経路の起点であり、終点は利用者が探索を要求する移動経路の終点である。ここで、クエリの起点及び終点としては、例えば予め定められた地点が採用できる。予め定められた地点としては、例えば実績データベース131に記録された起点及び終点、すなわち、集配所又は配送先が採用される。
【0057】
クエリの始点及び終点の入力態様としては、例えば、管理者端末2において一覧表示される予め定められた複数の地点の中からクエリの始点及び終点を管理者に選択させる態様が採用されてもよい。或いは、クエリの始点及び終点の入力態様としては、管理者端末2に表示された地図画面から利用者に任意の位置を指定させ、指定された位置に基づいてクエリの始点及び終点を決定する態様が採用されてもよい。この場合、クエリ取得部122は、指定された位置と予め定められた各地点とのユークリッド距離を算出し、算出したユークリッド距離が閾値以下且つ最小の地点をクエリの起点又は終点として決定すればよい。
【0058】
生成部123は、実績データベース131に記録された1以上の実績経路を連結することにより、起点及び終点がクエリの起点及び終点と一致する1以上の推薦経路を生成する。ここで、生成部123は、連結数を1つずつ増加させながら、1以上の推薦経路の生成を試み、1以上の推薦経路を生成した時点で処理を終了する。
【0059】
出力部124は、生成部123により生成された1以上の推薦経路を表示する表示画面の表示データを通信回路11を用いて管理者端末2及びドライバー端末3に送信することにより、1以上の推薦経路を出力する。ここで、出力部124は、生成部123により生成された1以上の推薦経路が複数の推薦経路を含む場合、各推薦経路の内容が一致するものを複数のグループに分類し、各グループを構成する推薦経路の件数を決定し、件数が最大のグループの推薦経路を出力すればよい。
【0060】
メモリ13は、HDD(ハードディスクドライブ)及びSDD(ソリッドステートドライブ)等の不揮発性の書き換え可能な記憶装置で構成されている。メモリ13は、実績データベース131を格納する。
【0061】
図3は、本開示の実施の形態1における管理者端末2の構成の一例を示すブロック図である。管理者端末2は、通信回路21、プロセッサ22、ディスプレイ23、及び操作部24を含む。通信回路21は、管理者端末2をネットワークNTに接続する電気回路である。通信回路21は、クエリをサーバ1に送信する。通信回路21は、サーバ1から送信された推薦経路を表示する表示画面の表示データを受信する。
【0062】
プロセッサ22は、CPU等の電気回路で構成され、管理者端末2の全体制御を司る。例えば、プロセッサ22は、通信回路21が受信した表示データに基づいて表示画面を生成し、表示画面をディスプレイ23に表示させる。プロセッサ22は、操作部24が利用者からクエリを入力する操作を受け付けた場合、クエリを通信回路21を用いてサーバ1に送信させる。
【0063】
ディスプレイ23は、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等の表示装置で構成される。操作部24は、キーボード及びマウスを含む操作装置で構成される。操作部24は、クエリを入力する利用者からの操作を受け付ける。なお、管理者端末2が携帯端末で構成される場合、操作部24は、タッチパネルで構成されてもよい。
【0064】
図4は、本開示の実施の形態1におけるドライバー端末3の構成の一例を示すブロック図である。ドライバー端末3は、通信回路31、プロセッサ32、ディスプレイ33、及び操作部34を含む。
【0065】
通信回路31は、ドライバー端末3をネットワークNTに接続する電気回路である。通信回路31は、サーバ1から送信された推薦経路を表示する表示画面の表示データを受信する。プロセッサ32は、例えばCPU等の電気回路で構成され、ドライバー端末3の全体制御を司る。例えば、プロセッサ32は、通信回路31が受信した表示データに基づいて表示画面を生成し、表示画面をディスプレイ33に表示させる。
【0066】
ディスプレイ33は、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等の表示装置で構成される。操作部24は、操作ボタン及びタッチパネルを含む操作装置で構成される。
【0067】
図6は、本開示の実施の形態1におけるサーバ1の処理の一例を示すフローチャートである。なお、本フローチャートの実行に先立って実績データベース131には所定件数以上の実績経路情報1310が蓄積されているものとする。
【0068】
ステップS1において、クエリ取得部122は、管理者端末2から送信されるクエリを取得する。
【0069】
ステップS2において、生成部123は、実績経路の連結数を示す変数Kを初期値である1に設定する。
【0070】
ステップS3において、生成部123は、起点及び終点がステップS1で取得されたクエリの始点及び終点と一致するように、実績データベース131から結合可能なK個の実績経路を探索し、探索結果に基づいて1以上の推薦経路を生成する。これにより、生成部123は、K個の実績経路から構成される1以上の推薦経路を生成する。
【0071】
K=2において、クエリの始点が「A」、終点が「C」の場合、図5の例では、以下の3個の推薦経路が実績データベース131から探索される。
【0072】
実績経路R1+実績経路R4「A-c-d-e-B-h-C」
実績経路R2+実績経路R4「A-c-d-e-B-h-C」
実績経路R3+実績経路R4「A-f-g-B-h-C」
【0073】
「+」は実績経路の結合を示す。「A-c-d-e-B-h-C」は始点「A」から道路「c」、道路「d」、道路「e」、地点「B」、道路「h」を経て、終点「C」に至る移動経路を示す。このようにして得られる移動経路が推薦経路である。実績経路R1と実績経路R2とは内容が同じであるが、それぞれ独立して結合されている。これは、最終的に出力する推薦経路を決定する際に用いられる件数をカウントするためである。
【0074】
ステップS4において、生成部123は、ステップS3で生成した推薦経路の件数が0件であるか否か、すなわち、ステップS3で推薦経路が生成できなかったか否かを判定する。例えば、K=1の場合、図5の例では、起点「A」と終点「C」とを直接繋ぐ実績経路がないため、推薦経路の件数は0件となる。推薦経路が0件でない場合(ステップS4でNO)、処理はステップS5に進む。
【0075】
ステップS5において、出力部124は、ステップS4で生成された推薦経路が複数であるか否かを判定する。推薦経路が1件の場合(ステップS5でNO)、出力部124は、1件の推薦経路を出力する(ステップS9)。
【0076】
推薦経路が複数の場合(ステップS5でYES)、出力部124は、複数の推薦経路を実績経路を同じとする推薦経路でグループ化する(ステップS6)。
【0077】
ステップS7において、出力部124は、各グループを構成する推薦経路の件数をカウントする。例えば、上述の例では、「A-c-d-e-B-h-C」のグループは推薦経路が2件、「A-f-g-B-h-C」のグループは推薦経路が1件とカウントされる。
【0078】
ステップS8において、出力部124は、各グループのうち推薦経路の件数が最大のグループの推薦経路を出力する。上述の例では、推薦経路「A-c-d-e-B-h-C」が出力される。この場合、例えば、管理者端末2には、クエリに対応する推薦経路が「A-c-d-e-B-h-C」であることを示す表示画面が表示される。なお、件数が最大の推薦経路が複数存在する場合、出力部124は、これら複数の推薦経路を出力すればよい。
【0079】
ステップS4において、推薦経路が0件の場合(ステップS4でYES)、生成部123は、変数Kを1増加させる(ステップS10)。
【0080】
ステップS11において、生成部123は、変数Kが規定値以上であるか否かを判定する。変数Kが規定値以上の場合(ステップS11でYES)、生成部123は、失敗フラグを出力する(ステップS12)。この場合、例えば管理者端末2にクエリに対応する推薦経路の探索に失敗した旨のエラーメッセージが表示される。
【0081】
ステップS11において、変数Kが規定値未満の場合(ステップS11でNO)、処理はステップS3に戻る。規定値は、例えばステップS3における処理の破綻を防止するために予め定められた値が採用される。このように、図6のフローチャートは、変数Kが1つずつ増加されていき、推薦経路が生成された時点で処理を終了させるアルゴリズムが採用されている。これにより、連結数の少ない推薦経路が優先的に探索され、処理時間の短縮且つ処理負荷の軽減が図られている。
【0082】
このように、実施の形態1によれば、スコアの付いた局所的な道路を組み合わせるのではなく、実際に人物が選択した実績経路を組み合わせることにより推薦経路が生成される。これにより、人間の嗜好性を反映しつつ、道路連結性が捉えられた移動経路を生成することができる。
【0083】
(実施の形態2)
実施の形態2は、推薦経路を出力するに際して実績経路に走行状況を関連付けるものである。図7は、本開示の実施の形態2におけるサーバ1Aの構成の一例を示すブロック図である。なお、実施の形態2において実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0084】
サーバ1Aのプロセッサ12Aは、実績取得部121、クエリ取得部122、生成部123、及び出力部124Aを含む。
【0085】
出力部124Aは、生成部123が生成した各推薦経路を構成する各実績経路に走行状況を関連付けて表示する表示画面の表示データを出力する。走行状況は、各推薦経路を構成する各実績経路を使用した使用人物及び使用人物の使用日時の少なくとも1つを含む。ここでは、走行状況には使用人物と使用日時とが含まれるものとして説明する。
【0086】
メモリ13Aは、実績データベース131Aを含む。図9は、本開示の実施の形態2における実績データベース131Aのデータ構成の一例を示す図である。実績経路情報1310Aは、起点、終点、実績経路に加えてさらに使用人物、及び使用日時が関連付けられている。
【0087】
例えば、実績経路R1は、使用人物として「浜田」が記録され、使用日時として「2020年10月4日8時0分2秒」が記録されているため、ドライバーである浜田さんが2020年10月4日8時0分2秒に使用した実績経路である。実績経路R2は、構成する道路群は実績経路R1と同じであるが、使用人物が田中さんであり、使用日時が2019年1月4日9時33分21秒である。
【0088】
表示画面は、各推薦経路を構成する各実績経路が区別可能に地図に重畳表示される地図画面を含むものであってもよいし、各推薦経路を構成する各実績経路が区別可能にリスト表示されるリスト画面を含むものであってもよい。
【0089】
図10は、本開示の実施の形態2における第1例の表示画面G1を示す図である。表示画面G1は、実績経路1010と実績経路1020とから構成される推薦経路を地図に重畳表示する。また、表示画面G1は、実績経路1010及び実績経路1020をそれぞれ異なる色で表示する。これにより、利用者は推薦経路を構成する実績経路の区間を容易に把握することができる。
【0090】
実績経路1010には走行状況表示枠1011が関連付けて表示されている。実績経路1020には、走行状況表示枠1021が関連付けて表示されている。
【0091】
走行状況表示枠1011及び走行状況表示枠1021は、それぞれ、実績データベース131Aに記録された使用人物と使用日時とを表示する。走行状況表示枠1011は、吉田さんが2019年7月4日の12時33分12秒に実績経路1010を使用したことを示す。走行状況表示枠1021は、浜田さんが2020年10月4日8時0分2秒に実績経路1020を使用したことを示す。
【0092】
このように、実績経路について使用人物を関連付けて表示することで、例えば、その使用人物が信頼のおける人物であれば、実績経路は道路連結性が捉えられた移動経路であるはずだといった納得感を利用者に与えることができる。また、実績経路について、使用日時を表示することで、その使用日時に近い時刻は交通状況が良好であるはずだといった納得感を利用者に与えることができる。
【0093】
例えば、実績データベース131Aにおいて、実績経路1010の使用人物として複数の使用人物が記録されている場合、出力部124Aは、使用回数が最上位の使用人物を走行状況表示枠1011に表示すればよい。また、出力部124Aは、最上位の使用人物について、実績経路1010について複数の使用日時が実績データベース131Aに記録されている場合、これら複数の使用日時を代表する使用日時を走行状況表示枠1011に表示すればよい。
【0094】
走行状況表示枠1021には「他1件」と表示されている。これは、実績経路1020の他に、実績経路1020と起点及び終点が同じとする他の実績経路が存在していたからである。これは一例であり、「他1件」に代えて「他1名」と表示されていてもよい。「他1名」は、実績経路1020について浜田さんの他に使用人物が1名いたことを示すものである。これにより、実績経路1020についての人気の度合いを使用者に把握させることができる。
【0095】
代表する使用日時は、例えば最新の使用日時であってもよいし、複数の使用日時を平均した使用日時であってもよい。また、代表する使用日時は、使用される頻度の高い時間帯であってもよい。
【0096】
図11は、本開示の実施の形態2における第2例の表示画面G2を示す図である。表示画面G2は、実績経路1110と、実績経路1120とをリスト表示するリスト画面を含む。
【0097】
実績経路1110は、地点「A」から、道路「c」、道路「d」、道路「e」を経て地点「B」に至る移動経路である。実績経路1120は、地点「B」から、道路「h」を経て地点「C」に至る移動経路である。地点「A」は推薦経路の起点であり、地点「C」は推薦経路の終点である。
【0098】
実績経路1110には、走行状況表示枠1111が関連付けて表示されている。実績経路1120には、走行状況表示枠1121が関連付けて表示されている。
【0099】
走行状況表示枠1111及び走行状況表示枠1121の内容はそれぞれ走行状況表示枠1021及び走行状況表示枠1011と同じである。
【0100】
図8は、本開示の実施の形態2におけるサーバ1Aの処理の一例を示すフローチャートである。図8において、図6と同じ処理については同じ符号を付し、説明を省略する。なお、図8では、図6に示すステップS8、S9の処理が省かれている。また、ステップS5でNOの場合、処理はステップS21に進められる。
【0101】
ステップS7に続くステップS20において、出力部124Aは、各グループのうち推薦経路の件数が最大のグループの推薦経路を決定する。
【0102】
ステップS21において、出力部124Aは、実績データベース131Aを参照し、出力対象の1件の推薦経路を構成する各実績経路の最上位の使用人物を決定する。
【0103】
ステップS22において、出力部124Aは、各実績経路の最上位の使用人物について使用日時を決定する。最上位の使用人物について該当する実績経路に対して複数の使用日時が実績データベース131Aに記録されている場合、出力部124Aは、これら複数の使用日時から代表する使用日時を決定すればよい。
【0104】
ステップS23において、出力部124Aは、出力対象の1件の推薦経路と、当該推薦経路を構成する各実績経路の使用人物及び使用日時とを表示する表示画面の表示データを出力する。ここでは、表示データは、管理者端末2及びドライバー端末3に送信される。管理者端末2及びドライバー端末3は、受信した表示データに基づいて表示画面を表示する。これにより、管理者端末2及びドライバー端末3には表示画面G1又は表示画面G2が表示される。
【0105】
このように、実施の形態2によれば、実績経路に対して走行状況が関連付けて表示されるため、推薦経路を選択する際の判断材料を利用者に提供することができる。
【0106】
(実施の形態3)
実施の形態3は、複数の推薦経路が生成された場合、上位m番の推薦経路を出力するものである。図12は、本開示の実施の形態3におけるサーバ1Bの構成の一例を示すブロック図である。なお、実施の形態3において実施の形態1、2と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0107】
サーバ1Bのプロセッサ12Bは、実績取得部121B、クエリ取得部122、生成部123、及び出力部124Bを含む。実績取得部121Bは、出力された複数の推薦経路の中から利用者により選択された1の推薦経路を示す選択情報を取得する。選択情報は、管理者端末2又はドライバー端末3から送信され、通信回路11により受信される。実績取得部121Bは、選択情報が示す1の推薦経路を構成する実績経路を実績データベース131Aに記録する。
【0108】
出力部124Bは、生成部123が生成した推薦経路が複数の推薦経路を含む場合、各推薦経路の内容が一致するものを複数のグループに分類し、各グループを構成する推薦経路の件数を決定し、件数が上位m(mは2以上の整数)番までのグループの推薦経路を出力する。
【0109】
図14は、本開示の実施の形態3における第1例の表示画面G3を示す図である。表示画面G3は、実績経路1410と実績経路1450とから構成される第1推薦経路と、実績経路1430と、実績経路1450とから構成される第2推薦経路との2つの推薦経路を地図に重畳表示する。また、表示画面G3は、実績経路1410、実績経路1430、及び実績経路1450をそれぞれ異なる色で表示する。
【0110】
実績経路1410には、第1表示枠1420が関連付けて表示されている。実績経路1430には、第2表示枠1440が関連付けて表示されている。第1表示枠1420は第1推薦経路に対する走行状況を示す。第2表示枠1440は第2推薦経路に対する走行状況を示す。
【0111】
第1表示枠1420は、走行状況表示枠1421と走行状況表示枠1422と選択ボタン1423とを含む。走行状況表示枠1421は、実績経路1410の使用人物及びその使用人物の使用日時を表示する。走行状況表示枠1422は、実績経路1450の使用人物及びその使用人物の使用日時を表示する。
【0112】
実績経路1410は、崎山さんが2019年8月4日の10時33分11秒に使用しため、走行状況表示枠1421は、これらの内容を表示する。走行状況表示枠1421が使用人物として崎山さんを表示するのは、実績データベース131Aに記録された実績経路1450について、崎山さんの件数が最大であったからである。また、走行状況表示枠1421に表示される使用日時は、実施の形態2と同様、件数が最大の使用者の使用日時のうち代表する使用日時である。これらのことは、他の走行状況表示枠1422、走行状況表示枠1441、及び走行状況表示枠1442についても同じである。
【0113】
実績経路1450は、吉田さんが2019年7月4日12時33分12秒に使用したため、走行状況表示枠1422はこれらの内容を表示する。
【0114】
選択ボタン1423は、第1推薦経路を選択する使用者による操作を受け付けるボタンである。選択ボタン1423が選択されると、第1推薦経路が選択されたことを示す選択情報が管理者端末2又はドライバー端末3からサーバ1に送信される。また、選択ボタン1423が選択されると、ドライバー端末3は第1推薦経路のナビゲーションを開始してもよい。
【0115】
第2表示枠1440は、走行状況表示枠1441と走行状況表示枠1442と選択ボタン1443とを含む。走行状況表示枠1441は、実績経路1430の使用人物及びその使用人物の使用日時を表示する。実績経路1430は、浜田さんが2020年10月4日8時0分2秒に使用したため、走行状況表示枠1441は、これらの内容を表示する。
【0116】
走行状況表示枠1442は、実績経路1450の使用人物及びその使用人物の使用日時を表示する。ここでは、走行状況表示枠1442は、走行状況表示枠1422と同様、実績経路1450の走行状況を表示するものであるため、走行状況表示枠1422と内容が同一である。
【0117】
選択ボタン1443は、第2推薦経路を選択する使用者による操作を受け付けるボタンである。選択ボタン1443が選択されると、第2推薦経路が選択されたことを示す選択情報が管理者端末2又はドライバー端末3からサーバ1に送信される。また、選択ボタン1443が選択されると、ドライバー端末3は第2推薦経路のナビゲーションを開始してもよい。
【0118】
図14において、2つの推薦経路が表示されているのは、出力部124Bが複数の推薦経路のうち、上位2番までの推薦経路を出力しているからである。上位m番までの推薦経路が出力される場合、表示画面G3はm個の推薦経路を表示する。
【0119】
図15は、本開示の実施の形態3における第2例の表示画面G4を示す図である。表示画面G4は、第1リスト画面1510と、第2リスト画面1520とを含む。第1リスト画面1510は、第1推薦経路を構成する実績経路をリスト表示する。第2リスト画面1520は、第2推薦経路を構成する実績経路をリスト表示する。
【0120】
第1リスト画面1510は、実績経路1511、実績経路1512、走行状況表示枠1513、走行状況表示枠1514、及び選択ボタン1515を含む。
【0121】
実績経路1511は、地点「A」から、道路「f」、道路「g」を経て地点「B」に至る移動経路である。実績経路1512は、地点「B」から、道路「h」を経て地点「C」に至る経路である。走行状況表示枠1513、1514の内容はそれぞれ図14に示す走行状況表示枠1421、1422と同じである。
【0122】
選択ボタン1515は、図14に示す選択ボタン1423と同じである。
【0123】
第2リスト画面1520は、実績経路1521、実績経路1522、走行状況表示枠1523、走行状況表示枠1524、及び選択ボタン1525を含む。実績経路1521及び実績経路1522は、それぞれ、図11に示す実績経路1110及び実績経路1120と同じである。走行状況表示枠1523及び走行状況表示枠1524は、それぞれ、図14に示す走行状況表示枠1441及び走行状況表示枠1442と同じである。選択ボタン1525は、図14に示す選択ボタン1443と同じである。
【0124】
図13は、本開示の実施の形態3におけるサーバ1Bの処理の一例を示すフローチャートである。図13のフローチャートにおいて、図8と同じ処理には同じ符号を付し、説明を省略する。なお、図13において、ステップS5でNOの場合、処理はステップS32に進められる。
【0125】
ステップS7に続くステップS31において、出力部124Bは、各グループを構成する推薦経路の件数が上位m番までのグループの推薦経路を出力対象として決定する。例えば、ステップS7の処理結果により、「A-c-d-e-B-h-C」のグループの推薦経路が2件、「A-f-g-B-h-C」のグループの推薦経路が1件という処理結果が得られたとする。また、m=2であるとする。この場合、上位2番までのグループの推薦経路「A-c-d-e-B-h-C」及び推薦経路「A-f-g-B-h-C」が出力対象として決定される。
【0126】
ステップS32において、出力部124Bは、ステップS31で決定された上位m番までの推薦経路のそれぞれを構成する各実績経路の最上位の使用人物を決定する。
【0127】
ステップS33において、出力部124Bは、各実績経路の最上位の使用人物について、使用日時を決定する。
【0128】
ステップS34において、出力部124Bは、出力対象の上位m番までの推薦経路と、上位m番までの推薦経路のそれぞれを構成する各実績経路の使用人物及び使用日時とを表示する表示画面の表示データを出力する。これにより、管理者端末2及びドライバー端末3には表示画面G3又は表示画面G4が表示される。
【0129】
ステップS35において、実績取得部121Bは、上位m番の推薦経路のうち、使用者により選択された1の推薦経路を示す選択情報を取得する。この選択は、表示画面G3に示す選択ボタン1423若しくは選択ボタン1443、又は表示画面G4に示す選択ボタン1515若しくは選択ボタン1525を選択する操作によって行われる。
【0130】
ステップS36において、実績取得部121Bは、選択情報が示す1の推薦経路を実績データベース131Aに記録する。例えば、1の推薦経路が図5に示す実績経路R1と実績経路R4とで構成されていたとすると、実績取得部121Bは、1の推薦経路を実績経路R1と実績経路R4とに分解し、分解した実績経路R1と実績経路R4とを実績データベース131Aに記録すればよい。この場合、実績取得部121Bは、実績データベース131Aにおいて、選択した利用者を使用人物として記録すると共に、選択された日時を使用日時として記録すればよい。さらに、この場合、管理者端末2又はドライバー端末3は、選択した利用者の名前と、選択した日時とを選択情報に含ませて、サーバ1に送信すればよい。
【0131】
このように、実施の形態3によれば、上位m番までのグループの推薦経路が出力されるため、利用者に対して多様な推薦経路を提示することができる。さらに、推薦経路に対する利用者の選択結果が実績データベース131Aに反映されるため、利用者が選択した推薦経路を実績経路として新たな推薦経路の生成に利用することができる。
【0132】
なお、本開示は以下の変形例が採用できる。
【0133】
(変形例1)
図6のステップS11でYESと判定された場合、失敗フラグを出力する処理(ステップS12)に代えて、生成部123は、数理計画型ソルバ又は経路模倣型ソルバをはじめとする従来の経路探索ソルバを用いてクエリに対応する推薦経路を探索してもよい。
【0134】
(変形例2)
出力対象となる推薦経路を構成する各実績経路において起点及び終点を同じとする他の実績経路が実績データベース131、131Aに記録されている場合、出力部124は、他の実績経路の中からいずれかの実績経路を選択し、選択した実績経路を出力してもよい。例えば、出力部124は、他の実績経路のうち件数が上位r(rは1以上の整数)番までの実績経路を出力すればよい。この場合、出力部124は、選択した実績経路について走行状況を関連付けて表示しもよい。
【0135】
(変形例3)
図8のステップS21において、出力部124Aは、各実績経路の最上位の使用人物を決定しているが、各実績経路において上位n(nは2以上の整数)名の使用人物を表示する使用人物として決定してもよい。さらに、この場合、ステップS22において、上位n名の使用人物それぞれの使用日時を表示する使用日時として決定してもよい。これらのことは図13のフローチャートにも適用可能である。
【0136】
(変形例4)
プロセッサ12が有する各ブロックはサーバ1が備えているが、本開示はこれに限定されず、管理者端末2及びドライバー端末3が備えていてもよい。また、プロセッサ12が有する各ブロックの一部をサーバ1が備え、残りのブロックを管理者端末2及びドライバー端末3が備えていてもよい。これらの態様において、実績データベース131は、サーバ1が備えていてもよいし、管理者端末及びドライバー端末3が備えていてもよいし、サーバ1とは別のサーバが備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本開示は、人間の嗜好性を反映しつつ、道路連結性が捉えられた移動経路を生成することができるため、経路探索アプリケーションにおいて有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15