(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164551
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス材料およびその素子
(51)【国際特許分類】
C07F 15/00 20060101AFI20231102BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20231102BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20231102BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20231102BHJP
H10K 85/30 20230101ALI20231102BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231102BHJP
H10K 101/10 20230101ALN20231102BHJP
H10K 101/40 20230101ALN20231102BHJP
【FI】
C07F15/00 E CSP
C09K11/06 660
C09K11/06 690
H10K50/12
H10K85/60
H10K85/30
H10K59/10
H10K101:10
H10K101:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146920
(22)【出願日】2023-09-11
(62)【分割の表示】P 2021187548の分割
【原出願日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】202011291606.7
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111011390.9
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519333413
【氏名又は名称】北京夏禾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】桑 明
(72)【発明者】
【氏名】王 珍
(72)【発明者】
【氏名】李 宏博
(72)【発明者】
【氏名】蔡 維
(72)【発明者】
【氏名】劉 艶華
(72)【発明者】
【氏名】湯 斌
(72)【発明者】
【氏名】張 玄
(72)【発明者】
【氏名】▲クアン▼ 志遠
(72)【発明者】
【氏名】夏 伝軍
(57)【要約】
【課題】本発明は、有機エレクトロルミネッセンス材料およびその素子を開示する。
【解決手段】該有機エレクトロルミネッセンス材料は、式1Aで表される構造のL
a配位子および式1Bで表される構造のL
b配位子を有する金属錯体である。これらの金属錯体は、昇華時に、より高い昇華収率を得ることができるとともに、より低い蒸着温度を有する。本発明は、エレクトロルミネッセンス素子に用いられることにより、たとえば、素子の耐用年数の向上、より狭い半値全幅などのより良い素子の性能を提供することができる。本発明は、該金属錯体を含むエレクトロルミネッセンス素子、および該金属錯体を含む化合物の組成物をさらに開示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
M(L
a)
m(L
b)
n(L
c)
qの一般式を有する金属錯体。
(L
a、L
bおよびL
cは、それぞれ金属Mと配位する第1、第2および第3配位子であり、L
cは、前記L
aまたはL
bと同一または異なり、L
a、L
bおよびL
cは、結合して多座配位子を形成していてもよく、
金属Mは、相対原子質量が40超の金属から選ばれ、好ましくは、金属Mは、出現毎に同一または異なってCu、Ag、Au、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtからなる群から選ばれ、より好ましくは、Mは、出現毎に同一または異なってPtまたはIrから選ばれ、
mは、1または2であり、nは、1または2であり、qは、0または1であり、m+n+qは、Mの酸化状態に等しく、mが2である場合、2つのL
aは、同一または異なり、nが2である場合、2つのL
bは、同一または異なり、
L
aは、出現毎に同一または異なって式1Aで表される構造を有し、L
bは、出現毎に同一または異なって式1Bで表される構造を有し、
【化1】
Zは、O、S、Se、NR、CRRおよびSiRRからなる群から選ばれ、2つのRが同時に存在する場合、2つのRは、同一または異なり、
X
1~X
8は、出現毎に同一または異なってCまたはCR
xから選ばれ、
Y
1~Y
4は、出現毎に同一または異なってCR
yまたはNから選ばれ、
U
1~U
4は、出現毎に同一または異なってCR
uまたはNから選ばれ、
W
1~W
4は、出現毎に同一または異なってCR
wまたはNから選ばれ、
R、R
x、R
y、R
u、R
wは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
U
1~U
4のうちの少なくとも1つまたは複数は、CR
uから選ばれ、且つ前記R
uは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せであり、且つすべての前記R
uの炭素原子数の和が少なくとも4であり、
R
xのうちの少なくとも1つは、シアノ基であり、
隣り合う置換基R、R
x、R
y、R
u、R
wは、結合して環を形成していてもよく、
L
cは、出現毎に同一または異なって
【化2】
からなる群のうちのいずれか1種で表される構造から選ばれ、
R
a、R
bおよびR
cは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
X
bは、出現毎に同一または異なってO、S、Se、NR
N1、CR
C1R
C2からなる群から選ばれ、
R
a、R
b、R
c、R
N1、R
C1およびR
C2は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
a、R
b、R
c、R
N1、R
C1およびR
C2は、結合して環を形成していてもよい。)
【請求項2】
L
bは、式1Ba~1Bdで表される構造を有する、請求項1に記載の金属錯体。
【化3】
(Zは、O、S、Se、NR、CRRおよびSiRRからなる群から選ばれ、2つのRが同時に存在する場合、2つのRは、同一または異なり、
X
1~X
8は、出現毎に同一または異なってCR
xから選ばれ、
Y
1~Y
4は、出現毎に同一または異なってCR
yまたはNから選ばれ、
R、R
x、R
yは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R、R
x、R
yは、結合して環を形成していてもよい。)
【請求項3】
金属錯体は、式2で表される構造を有する、請求項1に記載の金属錯体。
【化4】
(mは1または2から選ばれ、m=1の場合、2つのL
bは、同一または異なり、m=2の場合、2つのL
aは、同一または異なり、
Zは、O、S、Se、NR、CRRおよびSiRRからなる群から選ばれ、2つのRが同時に存在する場合、2つのRは、同一または異なり、
X
3~X
8は、出現毎に同一または異なってCR
xから選ばれ、
Y
1~Y
4は、出現毎に同一または異なってCR
yまたはNから選ばれ、
U
1~U
4は、出現毎に同一または異なってCR
uまたはNから選ばれ、
W
1~W
4は、出現毎に同一または異なってCR
wまたはNから選ばれ、
R、R
x、R
y、R
u、R
wは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
U
1~U
4のうちの少なくとも1つまたは複数は、CR
uから選ばれ、且つ前記R
uは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せであり、且つすべての前記R
uの炭素原子数の和が少なくとも4であり、
R
xのうちの少なくとも1つは、シアノ基であり、
隣り合う置換基R、R
x、R
y、R
uは、結合して環を形成していてもよい。)
【請求項4】
Zは、OおよびSから選ばれ、
好ましくは、Zは、Oである、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項5】
前記Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
より好ましくは、Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項6】
Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、置換または非置換の炭素原子数6~15のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~15のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項7】
Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、フッ素、重水素、メチル基、重水素化メチル基、重水素化イソプロピル基、シクロヘキシル基、重水素化シクロヘキシル基、フェニル基、重水素化フェニル基、メチルフェニル基、重水素化メチルフェニル基からなる群から選ばれる、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項8】
X5~X8のCRxのうち、少なくとも1つのRxは、シアノ基であり、
好ましくは、X7は、CRxであり、且つ前記Rxは、シアノ基であり、或いはX8は、CRxであり、且つ前記Rxは、シアノ基である、請求項1~7のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項9】
U1~U4は、出現毎に同一または異なってCRuであり、Ruのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれ、且つすべての前記Ruの炭素原子数の和が少なくとも4である、請求項1~8のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項10】
U1~U4は、出現毎に同一または異なってNまたはCRuから選ばれ、且つ少なくとも1つは、CRuであり、且つRuは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれ、且つすべての前記Ruの炭素原子数の和が少なくとも4である、請求項1~8のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項11】
R
uのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれ、
好ましくは、R
uのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の
【化5】
およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、好ましくは、上記基における水素が一部または全部重水素化され、
「*」は、前記置換基と炭素との結合箇所を表す、請求項1~10のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項12】
U2またはU3は、CRuであり、且つ前記Ruは、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれ、
好ましくは、Ruは、置換または非置換の炭素原子数4~6のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~6のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれる、請求項1~11のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項13】
U2およびU3は、CRuであり、且つ前記Ruは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれ、且つそのうちの少なくとも1つのRu置換基の炭素原子数が4以上である、請求項1~11のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項14】
U1およびU4は、CRuであり、Ruは、水素、重水素、メチル基および重水素化メチル基から選ばれる、請求項13に記載の金属錯体。
【請求項15】
W1~W4は、出現毎に同一または異なってCRwであり、Y1~Y4は、出現毎に同一または異なってCRyであり、RwおよびRyは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、RwおよびRyは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~10のアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
より好ましくは、RwおよびRyは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項1~14のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項16】
W1~W4は、出現毎に同一または異なってCRwであり、少なくとも1つのRwは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、および/またはY1~Y4は、出現毎に同一または異なってCRyであり、少なくとも1つのRyは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項1~14のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項17】
L
aは、出現毎に同一または異なって
【化6】
からなる群から選ばれる、請求項1に記載の金属錯体。
【請求項18】
L
bは、出現毎に同一または異なって
【化7】
からなる群から選ばれる、請求項1に記載の金属錯体。
【請求項19】
金属錯体は、Ir(L
a)
2L
bの構造を有し、2つのL
aは、同一であり、L
aは、L
a1~L
a206からなる群から選ばれ、L
bは、L
b1~L
b972からなる群から選ばれ、
好ましくは、金属錯体は、金属錯体1~金属錯体448からなる群から選ばれ、金属錯体1~金属錯体448は、Ir(L
a)
2L
bの構造を有し、2つのL
aは、同一であり、L
aおよびL
bは、それぞれ以下の表に示す構造に対応する、請求項1または3に記載の金属錯体。
【請求項20】
陽極と、
陰極と、
陽極と陰極との間に設けられた有機層と、を含むエレクトロルミネッセンス素子であって、
前記有機層のうちの少なくとも1層には、請求項1~19のいずれか一項に記載の金属錯体が含まれるエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項21】
前記金属錯体を含む前記有機層は、発光層である、請求項20に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項22】
発光層は、緑色光を放射する、請求項21に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項23】
発光層は、少なくとも1種の第1ホスト化合物をさらに含み、
好ましくは、発光層は、少なくとも2種のホスト化合物をさらに含み、
より好ましくは、少なくとも1種の前記ホスト化合物は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、アザカルバゾール、インドロカルバゾリル、ジベンゾチオフェン、アザジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アザジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、フルオレニル、シリコンフルオレン、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナントレン、アザフェナントレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の化学基を含む、請求項21に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項24】
第1ホスト化合物は、式3で表される構造を有し、
【化8】
L
xは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Vは、出現毎に同一または異なってC、CR
vまたはNから選ばれ、且つVのうちの少なくとも1つはCであり、L
xに結合され、
Tは、出現毎に同一または異なってC、CR
tまたはNから選ばれ、且つTのうちの少なくとも1つはCであり、L
xに結合され、
R
vおよびR
tは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Ar
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R
vおよびR
tは、結合して環を形成していてもよく、
好ましくは、前記第1ホスト化合物は、式3-a~式3-jのうちの1つで表される構造を有する、請求項23に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【化9】
【請求項25】
金属錯体が前記第1ホスト化合物および第2ホスト化合物にドーピングされた場合、発光層の総重量に対する金属錯体の重量が1%~30%であり、
好ましくは、発光層の総重量に対する金属錯体の重量が3%~13%である、請求項23に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項26】
請求項1~19のいずれか一項に記載の金属錯体を含む、化合物の組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子などの有機電子素子に用いられる化合物に関する。より特に、式1Aで表される構造のLa配位子および式1Bで表される構造のLb配位子を含む金属錯体、該金属錯体を含む有機エレクトロルミネッセンス素子および化合物の組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子素子は、有機発光ダイオード(OLEDs)、有機電界効果トランジスタ(O-FETs)、有機発光トランジスタ(OLETs)、有機起電セル(OPVs)、色素-増感太陽電池(DSSCs)、有機光検出器、有機感光装置、有機電界効果素子(OFQDs)、発光電気化学セル(LECs)、有機レーザダイオードおよび有機プラズマ発光素子を含むが、それに限定されない。
【0003】
1987年、イーストマンコダック(Eastman Kodak)のTangおよびVan Slykeにより、電子輸送層および発光層として、アリールアミン正孔輸送層とトリス-8-ヒドロキシキノリン-アルミニウム層とを含む二層有機エレクトロルミネセント素子が報道されている(Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915)。素子に対してバイアスが一旦印加されると、緑色光が素子から発射される。この発明は、現代の有機発光ダイオード(OLEDs)の発展に対する基礎を築き上げている。最も先進的なOLEDsは、電荷注入・輸送層、電荷・励起子ブロッキング層、および陰極と陽極との間の1つまたは複数の発光層などの複数の層を含んでもよい。OLEDsは、自発光性ソリッドステート素子であるので、表示および照明の適用に対して極めて大きな潜在力を提供している。また、有機材料の固有な特性、例えばそれらの可撓性は、可撓性基板で行った製造などの特殊な適用に非常に適合するようになっている。
【0004】
OLEDは、その発光メカニズムに応じて、3種の異なるタイプに分けられている。Tangおよびvan Slykeにより発明されたOLEDは、蛍光OLEDであり、一重項発光のみを使用する。素子において生成した三重項が非輻射減衰通路により浪費され、蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)が25%に過ぎないため、この制限はOLEDの商業化を妨害している。1997年、ForrestおよびThompsonにより、錯体含有重金属からの三重項発光を発光体として用いるりん光OLEDが報道されている。そのため、一重項および三重項を収穫し、100%のIQEを実現することができる。その効率が高いため、りん光OLEDの発見および発展は、直接的にアクティブマトリクスOLED(AMOLED)の商業化に貢献する。最近、Adachiは、有機化合物の熱活性化遅延蛍光(TADF)によって高効率を実現している。これらの発光体は、小さい一重項-三重項ギャップを有するため、励起子が三重項から一重項に戻るトランジションが可能となる。TADF素子において、三重項励起子がリバースシステム間で貫通すること(逆項間交差)によって一重項励起子を生成することに起因してIQEが高くなっている。
【0005】
OLEDsは、さらに、所用材料の形態に応じて、小分子とポリマーOLEDに分けられてもよい。小分子とは、ポリマーではない、有機または有機金属のいずれかの材料を指し、精確な構造を有すれば、小分子の分子量が大きくてもよい。明確な構造を有するデンドリマーは、小分子と認められている。ポリマーOLEDは、共役ポリマーと、側鎖の発光基を有する非共役ポリマーとを含む。製造過程において後重合を発生すると、小分子OLEDがポリマーOLEDになり得る。
【0006】
様々なOLEDの製造方法が公知されている。小分子OLEDは、一般的に、真空熱蒸発により製造されるものである。ポリマーOLEDは、例えばスピンコート、インクジェット印刷およびノズル印刷などの溶液法により製造されるものである。材料が溶剤に溶解または分散することが可能であれば、小分子OLEDも溶液法により製造されることができる。
【0007】
OLEDの発光色は、発光材料の構造設計により実現することができる。OLEDは、所望のスペクトルを実現するように、1つまたは複数の発光層を含んでもよい。緑色、黄色、赤色OLEDにおいて、りん光材料は、既に商業化の実現に成功したが、青色のりん光素子には、依然として、青色が飽和せず、耐用年数が短く、作業電圧が高いなどの問題が存在する。市販のフルカラーOLEDディスプレイは、一般的に混合策略を用い、青色の蛍光、および黄色、赤色または緑色のりん光を用いる。現在、りん光OLEDの効率が高輝度の場合に急速に低下するという問題が存在する。また、より飽和した発光スペクトル、より高い効率、およびより長いデバイス耐用年数を有することが望まれている。
【0008】
シアノ基置換は、常にりん光金属錯体、たとえばイリジウム錯体に導入されない。US20140252333A1では、シアノ基-フェニル基で置換された一連のイリジウム錯体が開示されており、その結果は、シアノ基による効果を明確に示していない。また、たとえば、US20040121184A1では、シアノ基は、電子を非常に求引することが可能となる置換基であるので、ブルーシフトりん光金属錯体の放射スペクトルとして用いられている。本願の出願人の基礎出願US20200251666A1では、シアノ基置換配位子を有する金属錯体が開示されており、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられることにより、素子の性能および顔色飽和度を向上させることができ、業界内の高いレベルに達したけれども、依然として向上する余地がある。
【0009】
赤色光を放射するために、アルキル基置換は、常にりん光金属錯体、たとえばイリジウム錯体に導入されている。US20140231755A1では、2-フェニルピリジンの5-位にメチル基を重水素化することにより、素子の耐用年数を向上させることができることが発見されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第20140252333A1号
【特許文献2】米国特許出願公開第20040121184A1号
【特許文献3】米国特許出願公開第20200251666A1号
【特許文献4】米国特許出願公開第20140231755A1号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915
【発明の概要】
【0012】
本発明は、上述した問題の少なくとも一部を解決するために、式1Aで表される構造のLa配位子および式1Bで表される構造のLb配位子を含む一連の金属錯体を提供することを目的とする。前記金属錯体は、エレクトロルミネッセンス素子における発光材料として用いられることができる。それらの新規な化合物は、昇華時に、より高い昇華収率を得ることができるとともに、より低い蒸着温度を有する。本発明は、エレクトロルミネッセンス素子に用いられることにより、たとえば素子の耐用年数の向上、より狭い半値全幅などのより良い素子の性能を提供することができる。
【0013】
本発明の一実施例によれば、M(L
a)
m(L
b)
n(L
c)
qの一般式を有する金属錯体が開示される。
(L
a、L
bおよびL
cは、それぞれ金属Mと配位する第1、第2および第3配位子であり、L
cは、前記L
aまたはL
bと同一または異なり、L
a、L
bおよびL
cは、結合して多座配位子を形成していてもよく、
金属Mは、相対原子質量が40超の金属から選ばれ、好ましくは、金属Mは、出現毎に同一または異なってCu、Ag、Au、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtからなる群から選ばれ、より好ましくは、Mは、出現毎に同一または異なってPtまたはIrから選ばれ、
mは、1または2であり、nは、1または2であり、qは、0または1であり、m+n+qは、Mの酸化状態に等しく、mが2である場合、2つのL
aは、同一または異なり、nが2である場合、2つのL
bは、同一または異なり、
L
aは、出現毎に同一または異なって式1Aで表される構造を有し、L
bは、出現毎に同一または異なって式1Bで表される構造を有し、
【化1】
Zは、O、S、Se、NR、CRRおよびSiRRからなる群から選ばれ、2つのRが同時に存在する場合、2つのRは、同一または異なり、
X
1~X
8は、出現毎に同一または異なってCまたはCR
xから選ばれ、
Y
1~Y
4は、出現毎に同一または異なってCR
yまたはNから選ばれ、
U
1~U
4は、出現毎に同一または異なってCR
uまたはNから選ばれ、
W
1~W
4は、出現毎に同一または異なってCR
wまたはNから選ばれ、
R、R
x、R
y、R
u、R
wは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
U
1~U
4のうちの少なくとも1つまたは複数は、CR
uから選ばれ、前記R
uは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せであり、且つすべての前記R
uの炭素原子数の和が少なくとも4であり、
R
xのうちの少なくとも1つは、シアノ基であり、
隣り合う置換基R、R
x、R
y、R
u、R
wは、結合して環を形成していてもよく、
L
cは、出現毎に同一または異なって
【化2】
からなる群のうちのいずれか1種で表される構造から選ばれ、
R
a、R
bおよびR
cは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
X
bは、出現毎に同一または異なってO、S、Se、NR
N1、CR
C1R
C2からなる群から選ばれ、
R
a、R
b、R
c、R
N1、R
C1およびR
C2は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
a、R
b、R
c、R
N1、R
C1およびR
C2は、結合して環を形成していてもよい。)
【0014】
本発明の他の実施例によれば、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられた有機層と、を含むエレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層の少なくとも1層には、上述した実施例に記載される金属錯体が含まれるエレクトロルミネッセンス素子がさらに開示される。
【0015】
本発明の他の実施例によれば、上述した実施例に記載される金属錯体を含む化合物の組合せがさらに開示される。
【0016】
本発明に係る式1Aで表される構造のLa配位子および式1Bで表される構造のLb配位子を含む一連の金属錯体は、La配位子に特定の置換基を導入し、Lb配位子にシアノ基を導入することにより、それらの新規な化合物が昇華時に、より高い昇華収率を得ることができるとともに、より低い蒸着温度を有する。それらの金属錯体は、エレクトロルミネッセンス素子における発光材料として用いられることができる。本発明は、エレクトロルミネッセンス素子に用いられることにより、たとえば、素子の耐用年数の向上、より狭い半値全幅などのより良い素子の性能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る金属錯体および化合物の組合せを含んでもよい有機発光装置の模式図である。
【
図2】本発明に係る金属錯体および化合物の組合せを含んでもよい他の有機発光装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
OLEDは、ガラス、プラスチック、および金属などの様々な基板で製造することができる。
図1は、有機発光装置100を例示的に制限せずに示している。図面に対して、必ずしも縮尺どおりに製作するわけではなく、図において、必要に応じて一部の層構造を省略してもよい。装置100には、基板101、陽極110、正孔注入層120、正孔輸送層130、電子ブロッキング層140、発光層150、正孔ブロッキング層160、電子輸送層170、電子注入層180および陰極190が含まれてもよい。装置100は、記載される層を順に堆積することにより製造されてもよい。各層の性質、機能および例示的な材料については、米国特許US7279704B2の第6~10欄においてより詳細に記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0019】
これらの層のそれぞれには、より多くの実例がある。例示的には、全文を援用するように組み込まれた米国特許第5844363号において、可撓性で透明な基板-陽極の組合せが開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、p型ドープの正孔輸送層の実例は50:1のモル比でF4-TCNQがドーピングされたm-MTDATAであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた、トンプソン(Thompson)らによる米国特許第6303238号において、ホスト材料の実例が開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、n型ドープの電子輸送層の実例は1:1のモル比でLiがドーピングされたBPhenであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第5703436号および第5707745号において、例えばMg:Agなどの金属薄層と、その上に被覆された、スパッタ堆積された透明な導電ITO層とを有する複合陰極を含む陰極の実例が開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第6097147号および米国特許出願公開第2003/0230980号において、より詳細に、ブロッキング層の原理と使用が記載されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において注入層の実例が提供されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において、保護層が記載されている。
【0020】
非限定的な実施例により上述した分層構造が提供される。上述した各種の層を組み合わせることによってOLEDの機能が実現することができ、或いは、一部の層を完全に省略することができる。それは、明確に記載されていない他の層を含んでもよい。それぞれの層内に、最適な性能を実現するように、単一の材料または多種の材料の混合物を使用することができる。機能層はいずれも、複数なサブ層を含んでもよく、例えば、発光層は、所望の発光スペクトルを実現するように、2層の異なる発光材料を有してもよい。
【0021】
一実施例において、OLEDは、陰極と陽極との間に設けられた「有機層」を有すると記載されてもよい。該有機層は、1つまたは複数の層を含んでもよい。
【0022】
OLEDにもカプセル化層が必要であり、
図2に示すように、有機発光装置200が例示的に制限せずに示されている。
図1との相違点は、水分および酸素などの外界からの有害物質を防止するように、陰極190上にカプセル化層102を含んでもよい。ガラス、または有機-無機混合層などのカプセル化機能を提供可能ないかなる材料も、カプセル化層として用いられてもよい。カプセル化層は、OLED素子の外部に、直接または間接的に配置されるべきである。多層薄膜カプセル化については、米国特許US7968146B2において記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0023】
本発明の実施例により製造される素子は、該素子の1つまたは複数の電子部材モジュール(或いは、ユニット)を有する各種の消費製品に組み込まれてもよい。これらの消費製品は、例えば、フラットパネルディスプレイ、モニタ、医療用モニタ、テレビ、ビルボード、室内または室外用照明ランプおよび/または信号ランプ、ヘッドアップディスプレイ、全部または一部透明のディスプレイ、可撓性ディスプレイ、スマートフォン、フラットパネルコンピューター、フラットパネル携帯電話、ウェアラブル素子、スマートウォッチ、ラップトップコンピューター、デジタルカメラ、携帯型ビデオカメラ、ファインダー、マイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、車載ディスプレイおよびテールライトを含む。
【0024】
本明細書に記載される材料および構造は、上述にて列挙されている他の有機電子素子にも用いられてもよい。
【0025】
「頂部」とは、基板から最も遠く、「底部」とは、基板から最も近いことを意味する。第1層が第2層「上」に設けられていると記載されている場合、第1層が基板から相対的に遠いように設けられている。第1層が第2層「と」「接触する」ことを規定していない限り、第1層と第2層との間に他の層が存在してもよい。例示的には、陰極と陽極との間に各種の有機層が存在しても、依然として、陰極が陽極「上」に設けられていると記載されることができる。
【0026】
「溶液が処理可能である」とは、溶液または懸濁液の形態で液体媒体に溶解、分散または輸送可能であり、および/または液体媒体から堆積可能であることを意味する。
【0027】
配位子は、直接的に発射材料の感光性質を促成すると、「感光性」と呼ばれてもよいことが信じられている。配位子は、発射材料の感光性質を促成しないと、「補助性」と呼ばれてもよい。しかし、補助性の配位子は、感光性配位子の性質を変更することができることが信じられている。
【0028】
蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)は、遅延蛍光の存在によって25%のスピン統計による制限を超えてもよいことが信じられている。遅延蛍光は、一般的に2つのタイプ、すなわちP型遅延蛍光およびE型遅延蛍光に分けられてもよい。P型遅延蛍光は、三重項-三重項消滅(TTA)により生成される。
【0029】
一方、E型遅延蛍光は、2つの三重項の衝突ではなく、三重項と一重項との励起状態の変換に依存する。E型遅延蛍光を生成可能な化合物は、エネルギー状態の変換を行うように、極めて小さい一重項-三重項ギャップを有することが必要である。熱エネルギーは、三重項から一重項までの遷移を活性化することができる。このようなタイプの遅延蛍光は、熱活性化遅延蛍光(TADF)とも呼ばれる。TADFの顕著な特徴は、遅延成分が温度の上昇と伴って向上することにある。リバースシステム(RISC)間の貫通(逆項間交差)の速度が十分に速いと、三重項からの非輻射減衰を最小化させ、バックフィルした一重項の励起状態の割合は75%に達することができる。一重項の合計割合は100%であってもよく、エレクトロによる励起子のスピン統計の25%をはるかに超えている。
【0030】
E型遅延蛍光の特徴は、励起複合物系または単一の化合物から見える。理論に限定されず、E型遅延蛍光は、発光材料が小さい一重項-三重項エネルギーギャップ(ΔES-T)を有する必要がある。有機非金属含有の供与体・受容体発光材料は、この点を実現する可能性がある。これらの材料の発射は、通常、供与体・受容体電荷遷移(CT)型発射であると特徴付けられる。これらの供与体・受容体型化合物において、HOMOとLUMOとの空間分離は、一般的に小さいΔES-Tを生成することになる。これらの状態は、CT状態を含んでもよい。通常、供与体・受容体発光材料は、電子供与体部分(例えば、アミン基またはカルバゾール誘導体)と電子受容体部分(例えば、N含有の六員芳香族環)を結合することにより構築される。
【0031】
置換基の専門用語の定義について
【0032】
ハロゲンまたはハロゲン化物とは、本明細書に用いられるように、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0033】
アルキル基とは、本明細書に用いられるように直鎖および分岐鎖のアルキル基を含む。アルキル基は、炭素原子数1~20のアルキル基であってもよく、炭素原子数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基の実例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、ネオペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-ペンチルヘキシル、1-ブチルペンチル、1-ヘプチルオクチル、および3-メチルペンチルを含む。そのうち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチルおよびn-ヘキサンであることが好ましい。また、アルキル基は、置換されていてもよい。
【0034】
シクロアルキル基とは、本明細書に用いられるように環状のアルキル基を含む。シクロアルキル基は、環炭素原子数3~20のシクロアルキル基であってもよく、炭素原子数4~10のシクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の実例は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ノルボルニル基、2-ノルボルニル基などを含む。そのうち、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシルであることが好ましい。また、シクロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0035】
ヘテロアルキル基とは、本明細書に用いられるように、アルキル鎖のうちの1つまたは複数の炭素が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、リン原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれるヘテロ原子で置換されてなる。ヘテロアルキル基は、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基であってもよく、炭素原子数1~10のヘテロアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~6のヘテロアルキル基であることがより好ましい。ヘテロアルキル基の実例は、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、エチルチオエチル基、メトキシメトキシメチル基、エトキシメトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、ジメチルアミノメチル基、トリメチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリコン基、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリメチルシリルイソプロピル基を含む。また、ヘテロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0036】
アルケニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖、分岐鎖および環状オレフィン基を含む。鎖状のアルケニル基は、炭素原子数2~20のアルケニル基であってもよく、炭素原子数2~10のアルケニル基であることが好ましい。アルケニル基の例は、ビニル基、プロピレン基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、1-メチルビニル基、スチリル基、2,2-ジフェニルビニル基、1,2-ジフェニルビニル基、1-メチルアリル基、1,1-ジメチルアリル基、2-メチルアリル基、1-フェニルアリル基、2-フェニルアリル基、3-フェニルアリル基、3,3-ジフェニルアリル基、1,2-ジメチルアリル基、1-フェニル-1-ブテニル基、3-フェニル-1-ブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクテニル基、シクロオクタテトラエニル基およびノルボルニルアルケニル基を含む。また、アルケニル基は、置換されていてもよい。
【0037】
アルキニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖のアルキニル基を含む。アルキニル基は、炭素原子数2~20のアルキニル基であってもよく、炭素原子数2~10のアルキニル基であることが好ましい。アルキニル基の実例は、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3,3-ジメチル-1-ブチニル基、3-エチル-3-メチル-1-ペンチニル基、3,3-ジイソプロピル1-ペンチニル基、フェニルエチニル基、フェニルプロピニル基などを含む。そのうち、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、フェニルエチニル基であることが好ましい。また、アルキニル基は、置換されていてもよい。
【0038】
アリール基または芳香族基とは、本明細書に用いられるように、非縮合および縮合系を考慮する。アリール基は、炭素原子数6~30のアリール基であってもよく、炭素原子数6~20のアリール基であることが好ましく、炭素原子数6~12のアリール基であることがより好ましい。アリール基の例は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、およびアズレンを含み、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、フルオレンおよびナフタレンであることが好ましい。非縮合アリール基の例は、フェニル、ビフェニル-2-イル、ビフェニル-3-イル、ビフェニル-4-イル、p-ターフェニル-4-イル、p-ターフェニル-3-イル、p-トリビフェニル-2-イル、m-ターフェニル-4-イル、m-ターフェニル-3-イル、m-ターフェニル-2-イル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4’’-tert-ブチル-p-ターフェニル-4-イル、o-クミル、m-クミル、p-クミル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-ジメチルフェニル、メシチレンおよびm-テトラフェニルを含む。また、アリール基は、置換されていてもよい。
【0039】
複素環基または複素環とは、本明細書に用いられるように、非芳香族の環状基を考慮する。非芳香族複素環基は、環原子数3~20の飽和複素環基および環原子数3~20の不飽和非芳香族複素環基を含み、そのうちの少なくとも1つの環原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれ、非芳香族複素環基は、環原子数3~7のものであることが好ましく、窒素、酸素、ケイ素または硫黄などの少なくとも1つのヘテロ原子を含む。非芳香族複素環基の実例は、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソペンチル、ジオキサニル、アジリジニル、ジヒドロピロール、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、オキサシクロヘプタトリエニル、チアシクロヘプタトリエニル、アザシクロヘプタトリエニルおよびテトラヒドロシロールを含む。また、複素環基は、置換されていてもよい。
【0040】
ヘテロアリール基とは、本明細書に用いられるように、ヘテロ原子数1~5の非縮合および縮合ヘテロ芳香族基を含んでもよく、そのうちの少なくとも1つのヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれる。イソアリール基とは、ヘテロアリール基も指す。ヘテロアリール基は、炭素原子数3~30のヘテロアリール基であってもよく、炭素原子数3~20のヘテロアリール基であることが好ましく、炭素原子数3~12のヘテロアリール基であることがより好ましい。好適なヘテロアリール基は、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリドインドール、ピロロピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インデノアジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、ベンゾフランピリジン、フランジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノビピリジン、ベンゾセレノピリジン、およびセレンベンゾピリジンを含み、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボラン、1,3-アザボラン、1,4-アザボラン、ボラゾールおよびそのアザ類似物を含むことが好ましい。また、ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。
【0041】
アルコキシ基とは、本明細書に用いられるように、-O-アルキル基、-O-シクロアルキル基、-O-ヘテロアルキル基または-O-複素環基で表される。アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基および複素環基の例および好ましい例は、上記例と同様である。アルコキシ基は、炭素原子数1~20のアルコキシ基であってもよく、炭素原子数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、メトキシプロピルオキシ、エトキシエチルオキシ、メトキシメチルオキシおよびエトキシメチルオキシを含む。また、アルコキシ基は、置換されていてもよい。
【0042】
アリールオキシ基とは、本明細書に用いられるように、-O-アリール基または-O-ヘテロアリール基で表される。アリール基およびヘテロアリール基の例および好ましい例は、上記例と同様である。アリールオキシ基は、炭素原子数6~30のアリールオキシ基であってもよく、炭素原子数6~20のアリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例は、フェノキシおよびビフェノキシを含む。また、アリールオキシ基は、置換されていてもよい。
【0043】
アラルキル基とは、本明細書に用いられるように、アリール基で置換されたアルキル基を含む。アラルキル基は、炭素原子数7~30のアラルキル基であってもよく、炭素原子数7~20のアラルキル基であることが好ましく、炭素原子数7~13のアラルキル基であることがより好ましい。アラルキル基の例は、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピル、2-フェニルイソプロピル、フェニル-tert-ブチル、α-ナフチルメチル、1-α-ナフチルエチル、2-α-ナフチルエチル、1-α-ナフチルイソプロピル、2-α-ナフチルイソプロピル、β-ナフチルメチル、1-β-ナフチル-エチル、2-β-ナフチル-エチル、1-β-ナフチルイソプロピル、2-β-ナフチルイソプロピル、p-メチルベンジル、m-メチルベンジル、o-メチルベンジル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、o-クロロベンジル、p-ブロモベンジル、m-ブロモベンジル、o-ブロモベンジル、p-ヨードベンジル、m-ヨードベンジル、o-ヨードベンジル、p-ヒドロキシベンジル、m-ヒドロキシベンジル、o-ヒドロキシベンジル、p-アミノベンジル、m-アミノベンジル、o-アミノベンジル、p-ニトロベンジル、m-ニトロベンジル、o-ニトロベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-ヒドロキシ-2-フェニルイソプロピルおよび1-クロロ-2-フェニルイソプロピルを含む。そのうち、ベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピルおよび2-フェニルイソプロピルであることが好ましい。また、アラルキル基は、置換されていてもよい。
【0044】
アルキルシリル基とは、本明細書に用いられるように、アルキル基で置換されたシリル基を含む。アルキルシリル基は、炭素原子数3~20のアルキルシリル基であってもよく、炭素原子数3~10のアルキルシリル基であることが好ましい。アルキルシリル基の例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メチルジエチルシリル、エチルジメチルシリル、トリプロピルシリル、トリブチルシリル、トリイソプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、トリ-tert-ブチルシリコン、トリイソブチルシリル、ジメチル-tert-ブチルシリル、およびメチルジ-tert-ブチルシリルを含む。また、アルキルシリル基は、置換されていてもよい。
【0045】
アリールシリル基とは、本明細書に用いられるように、少なくとも1つのアリール基で置換されたシリル基を含む。アリールシリル基は、炭素原子数6~30のアリールシリル基であってもよく、炭素原子数8~20のアリールシリル基であることが好ましい。アリールシリル基の例は、トリフェニルシリル、フェニルジビフェニルシリル、ジフェニルビフェニルシリル、フェニルジエチルシリル、ジフェニルエチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジイソプロピルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフェニルイソブチルシリル、ジフェニル-tert-ブチルシリルを含む。また、アリールシリル基は、置換されていてもよい。
【0046】
アザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェンなどにおける「アザ」とは、対応する芳香族フラグメントにおける1つまたは複数のC-H基が窒素原子に置換されることを指す。例えば、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリン、ジベンゾ[f,h]キノリン、および環系において2つ以上の窒素を有する他の類似物を含む。当業者であれば、上述したアザ誘導体の他の窒素類似物を容易に想到することができ、且つこれらの類似物は、すべて本明細書に記載される専門用語に含まれるものとして確定される。
【0047】
本発明において、特に断りのない限り、置換のアルキル基、置換のシクロアルキル基、置換のヘテロアルキル基、置換の複素環基、置換のアラルキル基、置換のアルコキシ基、置換のアリールオキシ基、置換のアルケニル基、置換のアルキニル基、置換のアリール基、置換のヘテロアリール基、置換のアルキルシリル基、置換のアリールシリル基、置換のアミノ基、置換のアシル基、置換のカルボニル基、置換のカルボキシル基、置換のエステル基、置換のスルフィニル基、置換のスルホニル基、置換のホスフィノ基からなる群のうちのいずれかの用語を使用すると、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロシクリル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アルキニル、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、スルフィニル基、スルホニル基、およびホスフィノ基のうちのいずれか1つの基が、重水素、ハロゲン、非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、非置換の環原子数3~20の複素環基、非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、非置換の炭素原子数6~30のアリール基、非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基およびこれらの組合せから選ばれる1つまたは複数により置換され得ることを意味する。
【0048】
分子フラグメントについて、置換基または他の形態で他の部分に結合させると記載する場合、フラグメント(例えば、フェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ジベンゾフラニル基)であるか否か、或いは、分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるか否かにより、その名称を確定することができることを理解すべきである。本明細書に用いられるように、置換基の指定、或いはフラグメントの結合の異なる形態は、均等であると認められている。
【0049】
本明細書で言及される化合物において、水素原子が重水素で一部または全部置換されてもよい。他の原子、例えば炭素および窒素も、それらの他の安定した同位体で置換されてもよい。素子の効率および安定性を向上させるために、化合物において他の安定した同位体の置換が好ましい可能性がある。
【0050】
本明細書で言及される化合物において、複数置換とは、二重置換を含む、最も多くの使用可能な置換に達するまでの範囲を指す。本明細書で言及される化合物中のある置換基は、複数置換(二重置換、三重置換、四重置換などを含む)を意味すると、その置換基はその結合構造上の複数の利用可能な置換位置に存在してもよいことを意味し、複数の利用可能な置換位置にいずれも存在する該置換基は、同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
【0051】
本明細書で言及される化合物において、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいように特に限定されない限り、前記化合物における隣り合う置換基は結合して環を形成することができない。本明細書で言及される化合物において、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいことは、隣り合う置換基が結合して環を形成してもよい情況を含むだけでなく、隣り合う置換基が結合して環を形成しない情況を含む。隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよい場合、形成される環は、単環または多環、および脂環、ヘテロ脂環、アリール環、またはヘテロアリール環であってもよい。このような記述において、隣り合う置換基は、同一の原子に結合された置換基、互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基、または更に離れた炭素原子に結合された置換基を指してもよい。好ましくは、隣り合う置換基は、同一の炭素原子に結合された置換基および互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基を指す。
【0052】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、同一の炭素原子に結合された2つの置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【0053】
【0054】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【0055】
【0056】
また、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基の一方が水素を表す場合に、第2置換基は水素原子が結合された位置に結合されて環を形成することを意味すると認められている。下記式で例示する。
【0057】
【0058】
本発明の一実施例によれば、M(L
a)
m(L
b)
n(L
c)
qの一般式を有する金属錯体が開示される。
(L
a、L
bおよびL
cは、それぞれ金属Mと配位する第1、第2および第3配位子であり、L
cは、前記L
aまたはL
bと同一または異なり、L
a、L
bおよびL
cは、結合して多座配位子を形成していてもよく、たとえば、L
a、L
bおよびL
cのうちのいずれか2つは、結合して4座配位子を形成していてもよく、また、たとえば、L
a、L
bおよびL
cは互いに結合して6座配位子を形成していてもよく、また、たとえば、L
a、L
b、L
cは、いずれも結合して多座配位子を形成しなくてもよく、
金属Mは、相対原子質量が40超の金属から選ばれ、好ましくは、金属Mは、出現毎に同一または異なってCu、Ag、Au、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtからなる群から選ばれ、より好ましくは、Mは、出現毎に同一または異なってPtまたはIrから選ばれ、
mは、1または2であり、nは、1または2であり、qは、0または1であり、m+n+qは、Mの酸化状態に等しく、mが2である場合、2つのL
aは、同一または異なり、nが2である場合、2つのL
bは、同一または異なり、
L
aは、出現毎に同一または異なって式1Aで表される構造を有し、L
bは、出現毎に同一または異なって式1Bで表される構造を有し、
【化6】
Zは、O、S、Se、NR、CRRおよびSiRRからなる群から選ばれ、2つのRが同時に存在する場合、2つのRは、同一または異なり、
X
1~X
8は、出現毎に同一または異なってCまたはCR
xから選ばれ、
Y
1~Y
4は、出現毎に同一または異なってCR
yまたはNから選ばれ、
U
1~U
4は、出現毎に同一または異なってCR
uまたはNから選ばれ、
W
1~W
4は、出現毎に同一または異なってCR
wまたはNから選ばれ、
R、R
x、R
y、R
u、R
wは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
U
1~U
4のうちの少なくとも1つまたは複数は、CR
uから選ばれ、前記R
uは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せであり、且つすべての前記R
uの炭素原子数の和が少なくとも4であり、
R
xのうちの少なくとも1つは、シアノ基であり、
隣り合う置換基R、R
x、R
y、R
u、R
wは、結合して環を形成していてもよく、
L
cは、出現毎に同一または異なって
【化7】
からなる群のうちのいずれか1種で表される構造から選ばれ、
R
a、R
bおよびR
cは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
X
bは、出現毎に同一または異なってO、S、Se、NR
N1、CR
C1R
C2からなる群から選ばれ、
R
a、R
b、R
c、R
N1、R
C1およびR
C2は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
a、R
b、R
c、R
N1、R
C1およびR
C2は、結合して環を形成していてもよい。)
【0059】
本明細書において、「すべての前記Ruの炭素原子数の和が少なくとも4である」とは、「U1~U4のうちの少なくとも1つまたは複数がCRuから選ばれ、且つ前記Ruが置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せである」という条件を満たしたすべてのRuの炭素原子数の和が4以上であることを意味する。U1~U4のうちの1つが上記条件を満たした場合、該置換基の炭素原子数が4以上である。U1~U4のうちの2つが上記条件を満たした場合、この2つの置換基の炭素原子数の和が4以上である。U1~U4のうちの3つが上記条件を満たした場合、この3つの置換基の炭素原子数の和が4以上である。U1~U4のうちの4つが上記条件を満たした場合、この4つの置換基の炭素原子数の和が4以上である。たとえば、U2がCRuから選ばれ、上記条件を満たした場合、U2の置換基Ruの炭素原子数の和が4以上である。U3がCRuから選ばれ、上記条件を満たした場合、U3の置換基Ruの炭素原子数の和が4以上である。他の場合には、このように類推する。
【0060】
該実施例において、「隣り合う置換基R、Rx、Ry、Ru、Rwが結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基グループ、たとえば、2つの置換基R同士、2つの置換基Rx同士、2つの置換基Ry同士、2つの置換基Ru同士、2つの置換基Rw同士、2つの置換基RwおよびRu同士、2つの置換基RyおよびRx同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0061】
本明細書において、「隣り合う置換基Ra、Rb、Rc、RN1、RC1およびRC2が結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基グループ、たとえば、2つの置換基Ra同士、2つの置換基Rb同士、2つの置換基Rc同士、置換基RaおよびRb同士、置換基RaおよびRc同士、置換基RbおよびRc同士、置換基RaおよびRN1同士、置換基RbおよびRN1同士、置換基RaおよびRC1同士、置換基RaおよびRC2同士、置換基RbおよびRC1同士、置換基RbおよびRC2同士、およびRC1およびRC2同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0062】
本発明の一実施例によれば、Lbは、式1Ba~1Bdで表される構造を有する。
【0063】
【化8】
(Zは、O、S、Se、NR、CRRおよびSiRRからなる群から選ばれ、2つのRが同時に存在する場合、2つのRは、同一または異なり、
式1Ba中、X
3~X
8は、出現毎に同一または異なってCR
xから選ばれ、
式1Bb中、X
1およびX
4~X
8は、出現毎に同一または異なってCR
xから選ばれ、
式1Bcおよび式1Bd中、X
1~X
2およびX
5~X
8は、出現毎に同一または異なってCR
xから選ばれ、
Y
1~Y
4は、出現毎に同一または異なってCR
yまたはNから選ばれ、
R、R
x、R
y、は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R、R
x、R
yは、結合して環を形成していてもよい。)
【0064】
該実施例において、「隣り合う置換基R、Rx、Ryが結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基グループ、たとえば、2つの置換基R同士、2つの置換基Rx同士、2つの置換基Ry同士、2つの置換基RyおよびRx同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0065】
本発明の一実施例によれば、前記金属錯体は、式2で表される構造を有する。
【0066】
【化9】
(mは1または2から選ばれ、m=1の場合、2つのL
bは、同一または異なり、m=2の場合、2つのL
aは、同一または異なり、
Zは、O、S、Se、NR、CRRおよびSiRRからなる群から選ばれ、2つのRが同時に存在する場合、2つのRは、同一または異なり、
X
3~X
8は、出現毎に同一または異なってCR
xから選ばれ、
Y
1~Y
4は、出現毎に同一または異なってCR
yまたはNから選ばれ、
U
1~U
4は、出現毎に同一または異なってCR
uまたはNから選ばれ、
W
1~W
4は、出現毎に同一または異なってCR
wまたはNから選ばれ、
R、R
x、R
y、R
u、R
wは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
U
1~U
4のうちの少なくとも1つまたは複数は、CR
uから選ばれ、且つ前記R
uは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せであり、且つすべての前記R
uの炭素原子数の和が少なくとも4であり、
R
xのうちの少なくとも1つは、シアノ基であり、
隣り合う置換基R、R
x、R
y、R
uは、結合して環を形成していてもよい。)
【0067】
該実施例において、「隣り合う置換基R、Rx、Ry、Ruが結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基グループ、たとえば、2つの置換基R同士、2つの置換基Rx同士、2つの置換基Ry同士、2つの置換基Ru同士、2つの置換基RyおよびRx同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0068】
本発明の一実施例によれば、Zは、OおよびSから選ばれる。
【0069】
本発明の一実施例によれば、Zは、Oである。
【0070】
本発明の一実施例によれば、前記Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0071】
本発明の一実施例によれば、前記Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0072】
本発明の一実施例によれば、前記Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0073】
本発明の一実施例によれば、前記Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、置換または非置換の炭素原子数6~15のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~15のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0074】
本発明の一実施例によれば、前記Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、置換または非置換の炭素原子数6~12のアリール基からなる群から選ばれる。
【0075】
本発明の一実施例によれば、前記Rxのうちの1つは、シアノ基であり、他の少なくとも1つのRxは、フッ素、重水素、メチル基、重水素化メチル基、重水素化イソプロピル基、シクロヘキシル基、重水素化シクロヘキシル基、フェニル基、重水素化フェニル基、メチルフェニル基、重水素化メチルフェニル基からなる群から選ばれる。
【0076】
本発明の一実施例によれば、X5~X8のCRxのうち、少なくとも1つは、CRxであり、且つ前記Rxは、シアノ基である。
【0077】
本発明の一実施例によれば、X7~X8のCRxのうちの少なくとも1つは、CRxであり、且つ前記Rxは、シアノ基である。
【0078】
本発明の一実施例によれば、X7は、CRxであり、且つ前記Rxは、シアノ基である。
【0079】
本発明の一実施例によれば、X8は、CRxであり、且つ前記Rxは、シアノ基である。
【0080】
本発明の一実施例によれば、U1~U4は、出現毎に同一または異なってCRuであり、Ruのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれ、且つすべての前記Ruの炭素原子数の和が少なくとも4である。
【0081】
本発明の一実施例によれば、U1~U4は、出現毎に同一または異なってNまたはCRuから選ばれ、且つ少なくとも1つは、CRuであり、Ruは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せであり、且つ前記Ruの炭素原子数の和が少なくとも4である。
【0082】
本発明の一実施例によれば、Ruのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0083】
本発明の一実施例によれば、R
uのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の
【化10】
およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、好ましくは、上記基における水素が一部または全部重水素化され、
「*」は、前記置換基と炭素との結合箇所を表す。
【0084】
本発明の一実施例によれば、Ruのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素原子数4~6のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~6のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0085】
本発明の一実施例によれば、U2またはU3は、CRuであり、且つ前記Ruは、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0086】
本発明の一実施例によれば、U2またはU3は、CRuであり、Ruは、出現毎に同一または異なってもよく、前記Ruは、置換または非置換の炭素原子数4~6のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~6のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0087】
本発明の一実施例によれば、U2およびU3は、CRuであり、且つ前記Ruは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、またはこれらの組合せから選ばれ、且つそのうちの少なくとも1つのRu置換基の炭素原子数が4以上である。
【0088】
本発明の一実施例によれば、U1およびU4は、CRuであり、Ruは、水素、重水素、メチル基および重水素化メチル基から選ばれる。
【0089】
本発明の一実施例によれば、W1~W4は、出現毎に同一または異なってCRwであり、Y1~Y4は、出現毎に同一または異なってCRyであり、RwおよびRyは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0090】
本発明の一実施例によれば、RwおよびRyは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~10のアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0091】
本発明の一実施例によれば、RwおよびRyは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0092】
本発明の一実施例によれば、W1~W4は、出現毎に同一または異なってCRwであり、少なくとも1つのRwは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、および/またはY1~Y4は、出現毎に同一または異なってCRyであり、少なくとも1つのRyは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0093】
本発明の一実施例によれば、Rは、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基である。
【0094】
本発明の一実施例によれば、Rは、メチル基または重水素化メチル基から選ばれる。
【0095】
本発明の一実施例によれば、Laは、出現毎に同一または異なってLa1~La206からなる群から選ばれる。La1~La206の具体的な構造は、請求項17に示される。
【0096】
本発明の一実施例によれば、Lbは、出現毎に同一または異なってLb1~Lb972からなる群から選ばれる。Lb1~Lb972の具体的な構造は、請求項18に示される。
【0097】
本発明の一実施例によれば、金属錯体は、Ir(La)2Lbの構造を有し、2つのLaは、同一であり、Laは、La1~La206からなる群から選ばれる。La1~La206の具体的な構造は、請求項17に示される。Lbは、Lb1~Lb972からなる群から選ばれる。Lb1~Lb972の具体的な構造は、請求項18に示される。
【0098】
本発明の一実施例によれば、金属錯体は、金属錯体1~金属錯体448からなる群から選ばれる。金属錯体1~金属錯体448の具体的な構造は、請求項19に示される。
【0099】
本発明の一実施例によれば、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられた有機層とを含むエレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層の少なくとも1層には、上述したいずれか1つの実施例に記載される金属錯体が含まれるエレクトロルミネッセンス素子がさらに開示される。
【0100】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子における前記金属錯体を含む前記有機層は、発光層である。
【0101】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子における発光層は、緑色光を放射する。
【0102】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子における発光層は、少なくとも1種の第1ホスト化合物をさらに含む。
【0103】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子における発光層は、少なくとも1種の第1ホスト化合物および少なくとも1種の第2ホスト化合物をさらに含む。
【0104】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子における少なくとも1種のホスト化合物は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、アザカルバゾール、インドロカルバゾリル、ジベンゾチオフェン、アザジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アザジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、フルオレニル、シリコンフルオレン、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナントレン、アザフェナントレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の化学基を含む。
【0105】
本発明の一実施例によれば、第1ホスト化合物は、式3で表される構造を有する。
【0106】
【化11】
(L
xは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Vは、出現毎に同一または異なってC、CR
vまたはNから選ばれ、且つVのうちの少なくとも1つは、Cであり、L
xに結合され、
Tは、出現毎に同一または異なってC、CR
tまたはNから選ばれ、且つTのうちの少なくとも1つは、Cであり、L
xに結合され、
R
vおよびR
tは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Ar
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R
vおよびR
tは、結合して環を形成していてもよい。)
【0107】
該実施例において、「隣り合う置換基RvおよびRtが結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基グループ、たとえば、2つの置換基Rv同士、2つの置換基Rt同士、2つの置換基RvおよびRt同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0108】
本発明の一実施例によれば、第1ホスト化合物は、式3-a~式3-jのうちの1つで表される構造を有する。
【0109】
【化12】
(L
xは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Vは、出現毎に同一または異なってCR
vまたはNから選ばれ、
Tは、出現毎に同一または異なってCR
tまたはNから選ばれ、
R
vおよびR
tは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Ar
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R
vおよびR
tは、結合して環を形成していてもよい。)
【0110】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子において、金属錯体が前記第1ホスト化合物および第2ホスト化合物にドーピングされた場合、発光層の総重量に対する金属錯体の重量が1%~30%である。
【0111】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子において、金属錯体が前記第1ホスト化合物および第2ホスト化合物にドーピングされた場合、発光層の総重量に対する金属錯体の重量が3%~13%である。
【0112】
本発明の他の実施例によれば、金属錯体を含む化合物の組合せがさらに開示される。前記金属錯体の具体的な構造は、上述したいずれか1つの実施例に示される。
【0113】
他の材料との組合せ
【0114】
本発明に記載される有機発光素子に用いられる特定層の材料は、素子に存在する各種の他の材料と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せについて、米国特許出願US2016/0359122A1の第0132~0161段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0115】
本明細書において、有機発光素子に用いられる具体的な層の材料は、前記素子に存在する多種の他の材料と組み合わせて使用することができると記載されている。例示的には、本明細書において開示される発光ドーパントは、多種のホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極および他の存在可能な層と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せは、特許出願US2015/0349273A1の第0080~0101段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0116】
材料合成の実施例において、説明しない限り、すべての反応が窒素の保護で行われる。すべての反応溶剤は、無水であり、且つ市販品由来のまま使用される。合成される生成物に対して、本分野通常の1種または多種の機器(Bruker製の核磁気共鳴装置、Shimadzu製の液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/質量分析計、気体クロマトグラフィー/質量分析計、示差熱走査熱量装置、上海▲リョウ▼光技術製の蛍光分光光度計、武漢科思特製の電気化学作業ステーション、安徽貝意克製の昇華装置などを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法で構造確認と特性テストを行った。素子の実施例において、素子の特性に対しても、本分野通常の機器(Angstrom Engineering製の蒸着機、蘇州弗士達製の光学テストシステム、耐用年数テストシステム、北京量拓製のエリプソメーターなどを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法でテストを行った。当業者は上述した機器の使用、テスト方法などの関連内容を知っているので、サンプルの固有データを確実に、影響を受けずに取得することができるため、上記関連内容を本明細書において繰り返し説明はしない。
【実施例0117】
材料合成の実施例:
【0118】
本発明に係る化合物の調製方法は限定されない。典型的であるが非限定的に以下の化合物を例として、その合成経路および調製方法は、以下のとおりである。
【0119】
【0120】
250mLの乾燥した丸底フラスコに、順に中間体1(1.6g、4.6mmol)、イリジウム錯体1(3.18g、3.8mmol)、2-エトキシエタノール(30mL)およびDMF(30mL)を添加した。N2の保護下で、90℃で144h加熱反応させた。反応が冷却した後、珪藻土で濾過した。メタノール、n-ヘキサンで2回洗浄した。珪藻土の上の黄色固体をジクロロメタンで溶解させ、有機相を収集し、減圧し、濃縮させた。カラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である金属錯体13(0.82g、22.3%収率)を得た。該生成物は、分子量が958.3の目標生成物として確認された。
【0121】
【0122】
250mLの乾燥した丸底フラスコに、順に中間体2(1.0g、2.9mmol)、イリジウム錯体1(2.2g、2.6mmol)、2-エトキシエタノール(40mL)およびDMF(40mL)を添加した。N2の保護下で、100℃で120h加熱反応させた。反応が冷却した後、珪藻土で濾過した。メタノール、n-ヘキサンで2回洗浄した。珪藻土の上の黄色固体をジクロロメタンで溶解させ、有機相を収集し、減圧し、濃縮させた。カラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である金属錯体7(0.45g、18.1%収率)を得た。該生成物は、分子量が958.3の目標生成物として確認された。
【0123】
【0124】
250mLの乾燥した丸底フラスコに、順に中間体3(1.2g、4.5mmol)、イリジウム錯体1(2.5g、3.0mmol)、2-エトキシエタノール(30mL)およびDMF(30mL)を添加した。N2の保護下で、90℃で144h反応させた。反応が冷却した後、珪藻土で濾過した。メタノール、n-ヘキサンで2回洗浄した。珪藻土の上の黄色固体をジクロロメタンで溶解させ、有機相を収集し、減圧し、濃縮させた。カラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である金属錯体17(0.73g、25.3%収率)を得た。該生成物は、分子量が963.3の目標生成物として確認された。
【0125】
【0126】
250mLの乾燥した丸底フラスコに、順に中間体1(1.3g、3.7mmol)、イリジウム錯体2(2.2g、2.6mmol)、2-エトキシエタノール(30mL)およびDMF(30mL)を添加した。N2の保護下で、90℃144h加熱反応させた。反応が冷却した後、珪藻土で濾過した。メタノール、n-ヘキサンで2回洗浄した。珪藻土の上の黄色固体をジクロロメタンで溶解させ、有機相を収集し、減圧し、濃縮させた。カラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である金属錯体163(0.78g、30.4%収率)を得た。該生成物は、分子量が986.3の目標生成物として確認された。
【0127】
【0128】
250mLの乾燥した丸底フラスコに、順に中間体1(1.5g、4.9mmol)、イリジウム錯体3(3.0g、3.6mmol)、2-エトキシエタノール(30mL)およびDMF(30mL)を添加した。N2の保護下で、95℃144h加熱反応させた。反応が冷却した後、珪藻土で濾過した。メタノール、n-ヘキサンで2回洗浄した。珪藻土の上の黄色固体をジクロロメタンで溶解させ、有機相を収集し、減圧し、濃縮させた。カラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である金属錯体43(1.23g、35.4%収率)を得た。該生成物の構造は、分子量が964.4の目標生成物として確認された。
【0129】
当業者であれば、上記調製方法は、例示的なものに過ぎず、それを改良することによって本発明の他の化合物の構造を取得することができることを知るべきである。
【0130】
素子の実施例1
【0131】
まず、厚みが80nmのインジウムスズ酸化物(ITO)陽極を有するガラス基板を洗浄した後、酸素プラズマおよびUVオゾンで処理した。処理した後、基板をグローブボックスで乾燥させて水を除去した。その後、基板を基板ホルダ上に取り付けて真空室に置いた。以下、指定された有機層に対して、真空度が約10-8トルの場合、0.2~2オングストローム/秒の速度でホット真空蒸着によって順にITO陽極上に蒸着を行った。化合物HIを正孔注入層(HIL)として用いた。化合物HTを正孔輸送層(HTL)として用いる。化合物H1を電子ブロッキング層(EBL)として用いた。その後、本発明における金属錯体13を化合物H1および化合物H2にドーピングして発光層(EML)として用いた。EML上において、化合物H2を正孔ブロッキング層(HBL)として用いた。HBL上において、化合物ETおよび8-ヒドロキシキノリン-リチウム(Liq)を電子輸送層(ETL)として共蒸着した。最後に、厚み1nmの8-ヒドロキシキノリン-リチウム(Liq)を電子注入層として蒸着するとともに、120nmのアルミニウムを陰極として蒸着した。そして、該素子をグローブボックスに遷移させ、ガラスカバーと吸湿剤を用いてカプセル化して該素子を完成させた。
【0132】
素子の実施例3
【0133】
素子の実施例3の実施形態は、発光層(EML)において化合物金属錯体17で本発明に係る金属錯体13を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0134】
素子の比較例1
【0135】
素子の比較例1の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD1で本発明に係る金属錯体13を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0136】
素子の比較例2
【0137】
素子の比較例2の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD2で本発明に係る金属錯体13を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0138】
詳細な素子の層構造および厚みを、下記表に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0139】
【0140】
素子に用いられる材料の構造は、以下のように表される。
【0141】
【0142】
素子のIVL特性を測定した。1000cd/m2で、素子のCIEデータ、最大放射波長λmax、半値全幅(FWHM)を測定した。材料の蒸着温度(Sub T)は、真空度が約10-8トルの場合、0.2オングストローム/秒の速度で金属錯体をホット真空蒸着した際に測定した温度である。耐用年数(LT97)のデータは、80mA/cm2の定電流で測定された。これらのデータは、表2に記録および展示される。
【0143】
【0144】
表2のデータから分かるように、実施例1の半値全幅は、素子の比較例1に対して3.3nm狭く、比較例2に対して3.0nm狭い。それと同時に、素子の実施例1の蒸着温度は、比較例1に対して約33℃低く、比較例2に対して約29℃低い。より低い蒸着温度は、本発明に係る錯体の蒸着過程における安定を維持することに寄与しながら、材料の産業化適用に寄与し、エネルギー消費を低下させることができる。また、実施例1の耐用年数は、比較例1に対して増幅が51.5%に達し、比較例2に対して、素子の実施例1の耐用年数も15.4%向上した。同様に、実施例3では、金属錯体17が素子に用いられることにより、実施例3は、比較例1および比較例2に対して、半値全幅がそれぞれ4.6nmおよび4.3nm狭く、蒸着温度がそれぞれ約40℃および37℃低下しながら、素子の耐用年数がそれぞれ88.5%および43.6%向上した。即ち、より狭い半値全幅、より低い蒸着温度、および大幅に向上した優れた素子の耐用年数を有するため、素子の綜合的な性能が大幅に向上された。
【0145】
実施例1で用いられた金属錯体13と、比較例1および比較例2で用いられた金属錯体GD1および金属錯体GD2とは、同様な配位子Lbを有し、ただLa配位子における置換基に相違があるだけであった。実施例では、特定の置換があるLa配位子が用いられ、置換がないかまたはメチル基置換だけがある比較例に対して、より狭い半値全幅、より低い蒸着温度、及びより優れた素子の耐用年数を有した。実施例3で用いられた金属錯体17は、さらにLb配位子に重水素置換があるため、素子の各性能をさらに向上させ、最終に素子の綜合的な性能の向上を実現することができる。
【0146】
素子の実施例2
【0147】
素子の実施例2の実施形態は、発光層(EML)において金属錯体7で本発明に係る金属錯体13を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0148】
素子の比較例3
【0149】
素子の比較例3の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD3で本発明に係る金属錯体13を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0150】
詳細な素子の層構造および厚みを、下記表に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0151】
【0152】
素子に新たに用いられる材料の構造は、以下のように表される。
【0153】
【0154】
素子のIVL特性を測定した。1000cd/m2で、素子のCIEデータ、最大放射波長λmax、半値全幅(FWHM)を測定した。材料の蒸着温度(Sub T)は、真空度が約10-8トルの場合、0.2オングストローム/秒の速度で金属錯体をホット真空蒸着した際に測定した温度である。耐用年数(LT97)のデータは、80mA/cm2の定電流で測定された。これらのデータは、表4に記録および展示される。
【0155】
【0156】
表4のデータから分かるように、素子の実施例2の半値全幅は、素子の比較例3に対して2.3nm狭く、蒸着温度は、比較例3に対して約26℃低い。また、実施例2の耐用年数は、比較例3に対して16.4%向上した。実施例2で用いられた金属錯体7と、比較例3で用いられた金属錯体GD3とは、同様な配位子Lbを有し、ただLa配位子における置換基に相違があるだけであった。実施例2は、比較例3に対して、より狭い半値全幅、より低い蒸着温度、及びより優れた素子の耐用年数を有するため、再度と本発明の優れた効果を証明した。
【0157】
昇華のデータ
【0158】
安徽貝意克機器有限公司製の型番BOF-A1-3-60の昇華装置を用いて本発明に係る金属錯体および比較化合物を昇華させた。本発明に係る金属錯体13、金属錯体17、金属錯体7、比較錯体GD1、GD2およびGD3を、それぞれ昇華装置の昇華管に投入し、分子ポンプを用いて昇華管における真空度を9.9×10-4pa以下に低下させ、300℃~370℃までに加熱し、安定して昇華することにより金属錯体を得た。これらの材料の昇華収率のデータを表5に記録および展示される。そのうち、昇華収率は、昇華後の質量と昇華前の質量との比である。
【0159】
【0160】
表5のデータから分かるように、本発明に係るLa配位子に特定の置換基を有する金属錯体13および金属錯体17は、良好な昇華性能を示し、その昇華収率がそれぞれ85.3%および88.8%に達し、比較化合物GD1の昇華収率(32.8%)に対して、それぞれ約1.6および1.7倍向上した。同様に、比較化合物GD2の昇華収率(58.9%)に対して、それぞれ44.8%および50.7%向上した。また、金属錯体7の昇華収率が71.1%に達し、比較化合物GD3の昇華収率(48.8%)に対して45.6%向上した。その結果、本発明に係るLa配位子構造に特定の(シクロ)アルキル基置換が導入された金属錯体は、該特定の置換がない金属錯体に対して、高い昇華収率を有し、昇華収率の大幅な向上が予想できないものであり、昇華収率の向上が金属錯体の産業化量産の実現に対して重要な意義を有する。
【0161】
素子の実施例4
【0162】
素子の実施例4の実施形態は、発光層(EML)において化合物H3で化合物H2を代替し、発光層において割合が化合物H1:化合物H3:金属錯体13=63:31:6である以外、素子の実施例1と同様である。
【0163】
素子の比較例4
【0164】
素子の比較例4の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD2で本発明に係る金属錯体13を代替する以外、素子の実施例4と同様である。
【0165】
素子の比較例5
【0166】
素子の比較例5の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD4で本発明に係る金属錯体13を代替する以外、素子の実施例4と同様である。
【0167】
素子の比較例6
【0168】
素子の比較例6の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD5で本発明に係る金属錯体13を代替する以外、素子の実施例4と同様である。
【0169】
素子の比較例7
【0170】
素子の比較例7の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD6で本発明に係る金属錯体13を代替する以外、素子の実施例4と同様である。
【0171】
詳細な素子の層構造および厚みを、下記表6に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0172】
【0173】
素子に新たに用いられる材料の構造は、以下のように表される。
【0174】
【0175】
素子のIVL特性を測定した。1000cd/m2で、素子のCIEデータ、最大放射波長λmax、半値全幅(FWHM)を測定した。耐用年数(LT95)は、初期発光輝度が10000cd/m2から初期の95%までに減衰するのに必要な時間である。これらのデータは、表7に記録および展示される。
【0176】
【0177】
表7のデータから分かるように、10000cd/m2で、実施例4の耐用年数が1159hに達し、比較例4~7に対して、それぞれ大幅に向上し、La配位子に特定の置換がない比較例4に対して39.8%向上し、Lb配位子にシアノ基置換がない比較例5および比較例7に対して、それぞれ約15.8%および23.3%向上し、LaおよびLbにいずれも特定の置換がない比較例6に対して27.4%向上した。また、実施例4の半値全幅は、37.5nmだけであり、比較例5および比較例7の約59nmよりも遥かに低い。これは、緑色りん光素子の中に非常にありがたいである。
【0178】
Lb配位子にシアノ基置換がない場合、La配位子に特定の置換がある比較例5は、La配位子に特定の置換がない比較例6に対して、素子の耐用年数が10%だけ向上した。Lb配位子にシアノ基置換がある場合、La配位子に特定の置換がある実施例4は、La配位子に特定の置換がない比較例4に対して、素子の耐用年数が39.8%向上した。同様に、同様なLaがある場合、Lb配位子にシアノ基置換がある実施例4は、Lb配位子にシアノ基置換がない比較例5に対して、素子の耐用年数が15.8%向上し、Lb配位子にフッ素置換がある比較例7は、比較例5に対して、素子の耐用年数がかえって低下した。以上の結果は、本発明に係る特定の置換があるLa配位子およびシアノ基置換があるLb配位子を含む金属錯体が優れた素子の性能、特に、大幅に向上した素子の耐用年数を取得することができることを示す。
【0179】
要するに、本発明に係る特定の置換があるLaおよびLb配位子を含む金属錯体は、エレクトロルミネッセンス素子の発光層における発光材料として用いられることができ、異なる構造のホスト材料と組み合わせて用いられる場合、いずれも優れた素子の性能を取得することができる。本発明に係る特定の置換があるLaおよびLb配位子を含む金属錯体は、関連する素子の半値全幅が業界内で高いレベルにあることを維持しながら、素子の耐用年数を大幅に向上させることができる。また、本発明に係る金属錯体は、昇華収率および蒸着温度の面でも大幅に改善され、産業化適用において巨大な優勢および広い見込みを有する。
【0180】
ここで記載される各種の実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではないことを理解すべきである。そのため、当業者にとって、保護しようとする本発明は、本明細書に記載される具体的な実施例および好ましい実施例の変形を含むことが自明である。本発明の構想を逸脱しない前提で、本明細書に記載される材料および構造の多くは、他の材料および構造で代替することができる。本発明がなぜ機能するかについての様々な理論は、限定的ではないことを理解すべきである。