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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164563
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20231102BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231102BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20231102BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231102BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20231102BHJP
   H10B 41/70 20230101ALI20231102BHJP
【FI】
H01L29/78 616T
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H01L29/78 613Z
H01L29/78 618B
H01L29/78 618C
H01L29/78 617S
H01L29/78 371
H10B12/00 801
H10B41/70
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149022
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2022124059の分割
【原出願日】2018-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2017047420
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017072177
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】竹内 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】山出 直人
(72)【発明者】
【氏名】藤木 寛士
(72)【発明者】
【氏名】森若 智昭
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊介
(57)【要約】
【課題】微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】第1の導電体と、第1の導電体上の第2の導電体と、第2の導電体を覆う第
1の絶縁体と、第1の絶縁体上の第1の酸化物と、第1の酸化物上の第2の酸化物と、を
有し、第1の酸化物および第1の絶縁体には、少なくとも第1の導電体の一部と重なる開
口が設けられ、第2の酸化物は、開口を介して第1の導電体と電気的に接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電体と、
前記第1の導電体上の第2の導電体と、
前記第2の導電体を覆う第1の絶縁体と、
前記第1の絶縁体上の第1の酸化物と、
前記第1の酸化物上の第2の酸化物と、を有し、
前記第1の酸化物および前記第1の絶縁体には、少なくとも前記第1の導電体の一部と重なる開口が設けられ、
前記第2の酸化物は、前記開口を介して前記第1の導電体と電気的に接続する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、ならびに半導体装置の作製方法に関する。または、本
発明の一態様は、半導体ウエハ、モジュールおよび電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶装
置は、半導体装置の一態様である。表示装置(液晶表示装置、発光表示装置など)、投影
装置、照明装置、電気光学装置、蓄電装置、記憶装置、半導体回路、撮像装置および電子
機器などは、半導体装置を有すると言える場合がある。
【0003】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明
の一態様は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様
は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マ
ター)に関するものである。
【背景技術】
【0004】
半導体素子を用いた集積回路(Integrated Circuit:IC)の開発が
すすめられている。CPUやメモリの開発および製造には、より高い集積度のICからな
るLSIや超LSIの技術が用いられている。このようなICは、回路基板、例えばプリ
ント配線板に実装され、コンピュータ、情報端末、表示装置、自動車などを構成する、様
々な電子機器の部品の一つとして用いられる。また、これらを人工知能(Artific
ial Intelligence:AI)システムに用いる研究も進められている。
【0005】
コンピュータや情報端末として、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュ
ータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、携帯電話などが知られている。
【0006】
半導体素子に用いられる半導体材料としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、
その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0007】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が
小さいことが知られている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が
低いという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(特許文献1参照。
)。
【0008】
また、近年では電子機器の小型化、軽量化に伴い、集積回路のさらなる高密度化への要
求が高まっている。また、集積回路を含む半導体装置の生産性の向上が求められている。
【0009】
ここで、酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛などの一元系金属の
酸化物のみでなく、多元系金属の酸化物も知られている。多元系金属の酸化物の中でも、
特に、In-Ga-Zn酸化物(以下、IGZOとも呼ぶ。)に関する研究が盛んに行わ
れている。
【0010】
IGZOに関する研究により、酸化物半導体において、単結晶でも非晶質でもない、CA
AC(c-axis aligned crystalline)構造およびnc(na
nocrystalline)構造が見出された(非特許文献1乃至非特許文献3参照。
)。非特許文献1および非特許文献2では、CAAC構造を有する酸化物半導体を用いて
トランジスタを作製する技術も開示されている。さらに、CAAC構造およびnc構造よ
りも結晶性の低い酸化物半導体でさえも、微小な結晶を有することが、非特許文献4およ
び非特許文献5に示されている。
【0011】
さらに、IGZOを活性層として用いたトランジスタは極めて低いオフ電流を持ち(非特
許文献6参照。)、その特性を利用したLSIおよびディスプレイが報告されている(非
特許文献7および非特許文献8参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2012-257187号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】S. Yamazaki et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2012, volume 43, issue 1, p.183-186
【非特許文献2】S. Yamazaki et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2014, volume 53, Number 4S, p.04ED18-1-04ED18-10
【非特許文献3】S. Ito et al., “The Proceedings of AM-FPD’13 Digest of Technical Papers”, 2013, p.151-154
【非特許文献4】S. Yamazaki et al., “ECS Journal of Solid State Science and Technology”, 2014, volume 3, issue 9, p.Q3012-Q3022
【非特許文献5】S. Yamazaki, “ECS Transactions”,2014, volume 64, issue 10, p.155-164
【非特許文献6】K. Kato et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2012, volume 51, p.021201-1-021201-7
【非特許文献7】S. Matsuda et al., “2015 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers”, 2015, p.T216-T217
【非特許文献8】S. Amano et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2010, volume 41, issue 1, p.626-629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の一態様は、良好な電気特性を有する半導体装置およびその作製方法を提供する
ことを課題の一つとする。本発明の一態様は、信頼性の高い半導体装置およびその作製方
法を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は、微細化または高集積化が可能
な半導体装置およびその作製方法を提供することを課題の一つとする。本発明の一態様は
、生産性の高い半導体装置およびその作製方法を提供することを課題の一つとする。
【0015】
本発明の一態様は、電気特性の変動を抑制し、安定した電気特性を有すると共に、信頼
性を向上させた半導体装置を提供することを課題の一つとする。また、本発明の一態様は
、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することを課題の一つとする。
また、本発明の一態様は、データの書き込み速度が速い半導体装置を提供することを課題
の一つとする。また、本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供することを課題の一つ
とする。
【0016】
本発明の一態様は、設計自由度が高い半導体装置を提供することを課題の一つとする。
また、本発明の一態様は、消費電力を抑えることができる半導体装置を提供することを課
題の一つとする。
【0017】
本発明の一態様は、作製工程が簡略化された半導体装置およびその作製方法を提供するこ
とを課題の一つとする。また、本発明の一態様は、面積が縮小された半導体装置およびそ
の作製方法を提供することを課題の一つとする。
【0018】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課
題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、
図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様は、第1の導電体と、第1の導電体上の第2の導電体と、第2の導電体を
覆う第1の絶縁体と、第1の絶縁体上の第1の酸化物と、第1の酸化物上の第2の酸化物
と、を有し、第1の酸化物および第1の絶縁体には、少なくとも第1の導電体の一部と重
なる開口が設けられ、第2の酸化物は、開口を介して第1の導電体と電気的に接続する半
導体装置である。
【0020】
上記において、第2の酸化物の端部は、第1の酸化物の端部と概略一致することが好まし
い。
【0021】
上記において、半導体装置は、さらに、第3の導電体と、第3の導電体上の第4の導電体
と、第2の酸化物上の第3の酸化物と、第3の酸化物上の第2の絶縁体と、第2の絶縁体
上の第5の導電体を有していてもよく、第4の導電体は、第1の絶縁体に覆われ、第5の
導電体は、第1の絶縁体、第1の酸化物、第2の酸化物、第3の酸化物、および第2の絶
縁体を間に挟み、第3の導電体および第4の導電体と重なることが好ましい。
【0022】
上記において、第1の導電体と、第3の導電体は、同じ材料からなることが好ましく、第
2の導電体と、第4の導電体は、同じ材料からなることが好ましい。
【0023】
上記において、第2の導電体は、金属窒化物を含むことが好ましい。
【0024】
上記において、金属窒化物は、窒化チタンまたは窒化タンタルであることが好ましい。
【0025】
本発明の一態様は、絶縁表面上に第1の導電膜を形成し、第1の導電膜上に第2の導電膜
を形成し、第2の導電膜および第1の導電膜をパターニングして、第1の導電体および第
1の導電体上の第2の導電体を形成し、第1の導電体および第2の導電体を覆うように第
1の絶縁膜を形成し、第1の絶縁膜を、第2の導電体が露出するように加工して、第1の
絶縁体を形成し、第1の絶縁体および第2の導電体上に第2の絶縁体を形成し、第2の絶
縁体上に第1の酸化膜を形成し、第1の酸化膜および第2の絶縁体に、少なくとも第1の
導電体の一部と重なる開口を形成し、第1の酸化膜上に第2の酸化膜を形成し、第2の酸
化膜および第1の酸化膜をパターニングして、第1の酸化物、および第1の酸化物上の第
2の酸化物を形成し、第2の酸化物は、開口を介して、第1の導電体と電気的に接続する
半導体装置の作製方法である。
【0026】
上記において、第2の導電膜および第1の導電膜のパターニングにより、さらに、第3の
導電体および第3の導電体上の第4の導電体を形成し、第2の酸化物上に第3の酸化膜を
形成し、第3の酸化膜上に第2の絶縁膜を形成し、第2の絶縁膜上に第3の導電膜を形成
し、第3の導電膜をパターニングして第5の導電体を形成し、第2の絶縁膜をパターニン
グして第3の絶縁体を形成し、第3の酸化膜をパターニングして第3の酸化物を形成して
もよく、第5の導電体は、第2の絶縁体、第1の酸化物、第2の酸化物、第3の酸化物、
および第3の絶縁体を間に挟み、第3の導電体および第4の導電体と重なることが好まし
い。
【0027】
上記において、第2の導電膜は、金属窒化物を含むことが好ましい。
【0028】
上記において、金属窒化物は、窒化チタンまたは窒化タンタルであることが好ましい。
【0029】
本発明の一態様は、第1の導電体と、第1の導電体上の第1の絶縁体と、第1の絶縁体上
の第1の酸化物と、第1の酸化物上の第2の酸化物と、第2の酸化物上の第3の酸化物と
、第3の酸化物上の第2の絶縁体と、第2の絶縁体上の第2の導電体と、第2の絶縁体の
側面と、第2の導電体の側面に設けられた第3の絶縁体と、第3の絶縁体の側面に設けら
れた第4の絶縁体を有し、第1の酸化物および第1の絶縁体には、第1の導電体の一部と
重なる開口が設けられ、第2の酸化物は、開口を介して第1の導電体と電気的に接続する
半導体装置である。
【0030】
上記において、第2の酸化物の側面、および第3の酸化物の側面は、第1の酸化物の側面
と同一平面を有することが好ましい。
【0031】
上記において、第2の酸化物の端部、および第3の酸化物の端部は、第1の酸化物の端部
と概略一致することが好ましい。
【0032】
上記において、当該半導体装置は、さらに、第3の導電体と、第4の酸化物を有していて
もよく、第4の酸化物は、第3の酸化物と第2の絶縁体の間に設けられ、第3の導電体は
、第1の絶縁体、第1の酸化物、第2の酸化物、第3の酸化物、第4の酸化物、および第
2の絶縁体を間に挟み、第2の導電体と重なることが好ましい。
【0033】
上記において、第1の導電体と、第3の導電体は、同じ材料を有することが好ましい。
【0034】
本発明の一態様は、第1の導電体および第2の導電体上に第1の絶縁膜を形成し、第1の
絶縁膜上に第1の酸化膜を形成し、第1の酸化膜および第1の絶縁膜に、少なくとも第1
の導電体の一部と重なる開口を形成し、第1の酸化膜および第1の導電体上に第2の酸化
膜を形成し、第2の酸化膜上に第3の酸化膜を形成し、第3の酸化膜、第2の酸化膜およ
び第1の酸化膜をパターニングして、第1の酸化物、第1の酸化物上の第2の酸化物、お
よび第2の酸化物上の第3の酸化物を形成し、第1の酸化物、第2の酸化物、および第3
の酸化物を覆うように第2の絶縁膜を形成し、第2の絶縁膜上に第1の導電膜を形成し、
第1の導電膜、および第2の絶縁膜をパターニングして、第3の導電体、および第1の絶
縁体を形成し、第3の導電体、および第1の絶縁体を覆うように第3の絶縁膜を形成し、
第3の絶縁膜上に第4の絶縁膜を形成し、第4の絶縁膜および第3の絶縁膜をエッチング
により加工して、第3の導電体の側面、および第1の絶縁体の側面に第2の絶縁体、およ
び第2の絶縁体の側面に第3の絶縁体を形成する半導体装置の作製方法である。
【0035】
上記において、第3の導電体は、第1の絶縁膜、第1の酸化物、第2の酸化物、第3の酸
化物、および第1の絶縁体を間に挟み、第2の導電体と重なることが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置およびその作製方法を提供す
ることができる。本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置およびその作製方法を
提供することができる。本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装
置およびその作製方法を提供することができる。本発明の一態様により、生産性の高い半
導体装置およびその作製方法を提供することができる。
【0037】
本発明の一態様により、電気特性の変動を抑制し、安定した電気特性を有すると共に、信
頼性を向上させた半導体装置を提供することができる。または、長期間においてデータの
保持が可能な半導体装置を提供することができる。または、データの書き込み速度が速い
半導体装置を提供することができる。または、新規な半導体装置を提供することができる
【0038】
本発明の一態様により、設計自由度が高い半導体装置を提供することができる。または、
消費電力を抑えることができる半導体装置を提供することができる。
【0039】
本発明の一態様により、作製工程が簡略化された半導体装置およびその作製方法を提供す
ることができる。また、本発明の一態様により、面積が縮小された半導体装置およびその
作製方法を提供することができる。
【0040】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項
などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一態様に係る半導体装置を示す上面図および断面図。
図2】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図3】本発明の一態様に係る半導体装置を示す上面図および断面図。
図4】本発明の一態様に係る半導体装置を示す上面図および断面図。
図5】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図6】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図7】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図8】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図9】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図10】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図11】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図12】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図13】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図14】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図15】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図16】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図17】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図18】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図19】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図20】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図21】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図22】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図23】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
図24】本発明の一態様に係る半導体装置の断面図。
図25】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
図26】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
図27】本発明の一態様に係る半導体装置の回路図。
図28】本発明の一態様に係る半導体装置の回路図、および断面図。
図29】本発明の一態様に係る半導体装置の断面図。
図30】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図31】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図32】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図33】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図34】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図35】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図36】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図37】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図38】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図39】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図40】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図41】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図42】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図43】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図44】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図45】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図46】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図47】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図48】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図49】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図50】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
図51】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図52】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図53】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図54】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図55】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図56】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す回路図。
図57】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図。
図58】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す回路図。
図59】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す回路図。
図60】本発明の一態様に係る記憶装置の構成を示す断面図。
図61】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図。
図62】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図、および回路図。
図63】本発明の一態様に係る半導体装置の構成例を示すブロック図。
図64】本発明の一態様に係る半導体装置の構成例を示すブロック図、回路図、および半導体装置の動作例を示すタイミングチャート。
図65】本発明の一態様に係る半導体装置の構成例を示すブロック図。
図66】本発明の一態様に係る半導体装置の構成例を示す回路図、および半導体装置の動作例を示すタイミングチャート。
図67】本発明の一態様に係るAIシステムの構成例を示すブロック図。
図68】本発明の一態様に係るAIシステムの応用例を説明するブロック図。
図69】本発明の一態様に係るAIシステムを組み込んだICの構成例を示す斜視模式図。
図70】本発明の一態様に係る電子機器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異
なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形
態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発
明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0043】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている
場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を
模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、実際の
製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目
減りすることがあるが、理解を容易とするために省略して示すことがある。また、図面に
おいて、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して
用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合には、ハ
ッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0044】
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易
とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記
載を省略する場合がある。
【0045】
また、本明細書などにおいて、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるもの
であり、工程順又は積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2
の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記
載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない
場合がある。
【0046】
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位
置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関
係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明し
た語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0047】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている
場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている
場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとす
る。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定され
ず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているもの
とする。
【0048】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、
層、など)であるとする。
【0049】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可
能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダ
イオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合で
あり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容
量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さず
に、XとYとが、接続されている場合である。
【0050】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可
能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダ
イオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されること
が可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、ス
イッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流す
か流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択
して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、X
とYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0051】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可
能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号
変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(
電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など
)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来
る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生
成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能で
ある。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信
号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、Xと
Yとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、Xと
Yとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0052】
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含
む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイ
ン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間
にチャネル形成領域を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間
に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域と
は、電流が主として流れる領域をいう。
【0053】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路
動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明
細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合があ
る。
【0054】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラ
ンジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重
なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース
電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つ
のトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、
一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明
細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値
、最小値または平均値とする。
【0055】
チャネル幅とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジス
タがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領
域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている
部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同
じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まら
ない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域に
おける、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0056】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャ
ネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において
示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合が
ある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上
のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細
かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャ
ネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも
、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0057】
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある
。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知とい
う仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的な
チャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0058】
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:S
urrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細
書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャ
ネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、
実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネ
ル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析する
ことなどによって、値を決定することができる。
【0059】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃
度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、
半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、結晶性が低
下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を
変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族
元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、
水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物
半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例え
ば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである
場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素
、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
【0060】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸
素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下
、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素
が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シ
リコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。例えば、好
ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シ
リコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度
範囲で含まれるものをいう。
【0061】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ
替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変
更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」
という用語に変更することが可能な場合がある。
【0062】
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換え
ることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えること
ができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることが
できる。
【0063】
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、電界効果トラン
ジスタとする。また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、n
チャネル型のトランジスタとする。よって、そのしきい値電圧(「Vth」ともいう。)
は、明示されている場合を除き、0Vよりも大きいものとする。
【0064】
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角
度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。ま
た、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態
をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されて
いる状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直
」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0065】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系に含まれ
るものとする。
【0066】
なお、本明細書において、バリア膜とは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制す
る機能を有する膜のことであり、該バリア膜に導電性を有する場合は、導電性バリア膜と
呼ぶことがある。
【0067】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属
の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む
)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)
などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属
酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETと記載する場合にお
いては、酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0068】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成例1>
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について
説明する。
【0069】
なお、本実施の形態では、トランジスタ200と同じ層に容量素子100を設ける例を示
す。また、容量素子100は、トランジスタ200を構成する構造の一部を、容量素子1
00を構成する構造の一部として用いる例を示す。
【0070】
この場合、トランジスタ200に、容量素子100の一部、または全体を重畳させること
ができ、トランジスタ200の投影面積、および容量素子100の投影面積の合計した面
積を小さくすることができるため、好ましい。
【0071】
しかしながら、本実施の形態は、これに限らない。容量素子100は、トランジスタ20
0と異なる層に設けてもよく、例えば、トランジスタ200を覆うように設けられた絶縁
体(層間膜)上に容量素子100を設けてもよい。また、半導体装置が動作するうえで、
あるいは回路構成上、容量素子が不要な場合、容量素子100は設けなくてもよい。
【0072】
図1(A)、図1(B)、図1(C)、および図1(D)は、本発明の一態様に係るトラ
ンジスタ200、容量素子100、およびトランジスタ200周辺の上面図、および断面
図である。なお、本明細書では、1つの容量素子、および少なくとも1つのトランジスタ
を有する半導体装置をセルと称する。
【0073】
図1(A)は、トランジスタ200、および容量素子100を有するセル600の上面図
である。また、図1(B)、図1(C)、および図1(D)はセル600の断面図である
。ここで、図1(B)は、図1(A)にA-Bの一点鎖線で示す部位の断面図であり、ト
ランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図1(C)は、図1(A)
にC-Dの一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の
断面図でもある。また、図1(D)は、図1(A)にE-Fの一点鎖線で示す部位の断面
図であり、酸化物230と導電体203との接続部や、容量素子100などの断面図でも
ある。図1(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0074】
[セル600]
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200と、容量素子100、層間膜として
機能する絶縁体280を有する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、プラグと
して機能する導電体252(導電体252a、導電体252b、導電体252c、および
導電体252d)とを有する。
【0075】
なお、導電体252は、絶縁体280の開口の内壁に接して形成されている。ここで、導
電体252の上面の高さと、絶縁体280の上面の高さは同程度にできる。なお、トラン
ジスタ200では、導電体252が2層である構成について示しているが、本発明はこれ
に限られるものではない。例えば、導電体252は、単層、または3層以上の積層構造で
もよい。
【0076】
[トランジスタ200]
図1に示すように、トランジスタ200は、基板(図示せず)の上に配置された絶縁体2
08、絶縁体210、絶縁体210上に配置された導電体203(導電体203a、導電
体203b)および導電体205(導電体205a、導電体205b)と、導電体203
および導電体205の間およびこれら導電体の周辺に設けられた絶縁体216と、絶縁体
216、導電体203、導電体205の上に配置された絶縁体220と、絶縁体220の
上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体224と、絶縁体
224の上に配置された酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物
230c)と、酸化物230の上に配置された絶縁体250と、絶縁体250の上に配置
された導電体260(導電体260a、および導電体260b)と、導電体260の上に
配置された絶縁体270、および絶縁体271と、少なくとも絶縁体250、および導電
体260の側面に接して配置された絶縁体272と、酸化物230、および絶縁体272
と接して配置された絶縁体274と、を有する。
【0077】
なお、絶縁体216は、導電体203および導電体205を覆うように配置した絶縁膜を
、CMP法などを用いて導電体203および導電体205が露出するまで研磨することで
形成することができる。そのため、絶縁体216、導電体203、および導電体205は
、表面の平坦性に優れる。
【0078】
また、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化物230aは、開口を有
している。また、酸化物230bは、上記開口を介して導電体203と電気的に接続して
いる。酸化物230bと、導電体203とが、酸化物230aを介さずに接続する構成と
することで、直列抵抗及び接触抵抗を低減することが可能となる。このような構成により
、電気特性の良好な半導体装置が得られる。より具体的には、オン電流の向上したトラン
ジスタ、および当該トランジスタを用いた半導体装置が得られる。
【0079】
また、導電体203および導電体205は積層構造を有しているのが好ましい。さらに、
導電体203bおよび導電体205bは、導電体203aおよび導電体205aよりも酸
化しにくい、すなわち耐酸化性に優れた材料を用いることが好ましい。導電体203bお
よび導電体205bに酸化しにくい材料を用いることで、絶縁体216となる絶縁膜の形
成時、絶縁体216の形成時、絶縁体220の形成時、絶縁体220、絶縁体222、絶
縁体224、および酸化物230aに設けられる開口の形成時、および酸化物230bと
なる酸化物の形成時に、導電体203および導電体205の酸化を抑制することができる
。これにより、導電体203および導電体205の酸化による電気抵抗の増加を抑制する
ことができる。特に導電体203上面の酸化が抑制されることで、導電体203と酸化物
230bのコンタクトは良好なものになる。
【0080】
導電体203aおよび導電体205aは、導電体203bおよび導電体205bより低抵
抗な材料を用いることが好ましい。導電体203aおよび導電体205a上には、それぞ
れ耐酸化性に優れた材料からなる導電体203bおよび導電体205bが設けられている
。そのため、トランジスタ200等の作製工程において、導電体203aおよび導電体2
05aの酸化などによる電気抵抗の増加を抑制することができる。
【0081】
なお、トランジスタ200では、図1に示すように、酸化物230a、酸化物230b、
および酸化物230cを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるも
のではない。例えば、酸化物230a、酸化物230bの2層構造、または4層以上の積
層構造としてもよい。また、酸化物230bのみの単層、または酸化物230bと酸化物
230cのみを設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ200では、導電体260
a、および導電体260bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られ
るものではない。例えば、単層、または3層以上の積層構造としてもよい。
【0082】
ここで、図1(B)における一点鎖線で囲む、チャネル近傍の領域239の拡大図を図2
に示す。
【0083】
図1(B)および図2に示すように、酸化物230は、トランジスタ200のチャネル形
成領域として機能する領域234と、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域
231(領域231a、および領域231b)との間に、領域232(領域232a、お
よび領域232b)を有する。ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231
は、キャリア密度が高い、低抵抗化した領域である。また、チャネル形成領域として機能
する領域234は、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231よりも、キ
ャリア密度が低い領域である。また、領域232は、ソース領域またはドレイン領域とし
て機能する領域231よりもキャリア密度が低く、チャネル形成領域として機能する領域
234よりもキャリア密度が高い領域である。すなわち領域232は、チャネル形成領域
と、ソース領域またはドレイン領域との間の接合領域(junction region
)としての機能を有する。
【0084】
接合領域を設けることで、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231と、
チャネル形成領域として機能する領域234との間に高抵抗領域が形成されず、トランジ
スタのオン電流を大きくすることができる。
【0085】
また、領域232は、ゲート電極として機能する導電体260と重なる領域を有する。特
に、領域232においてゲート電極として機能する導電体260と重なる領域は、いわゆ
るオーバーラップ領域(Lov領域ともいう)として機能する場合がある。
【0086】
領域231は、絶縁体274と接することが好ましい。また、領域231は、インジウム
などの金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領
域232、および領域234よりも大きいことが好ましい。
【0087】
領域232は、絶縁体272と重畳する領域を有する。領域232は、インジウムなどの
金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域23
4よりも大きいことが好ましい。一方、インジウムなどの金属元素、並びに水素、および
窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域231よりも、小さいことが好まし
い。
【0088】
領域234は、導電体260と重畳する。領域234は、領域232a、および領域23
2bとの間に配置しており、インジウムなどの金属元素、並びに水素、および窒素などの
不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域231、および領域232より、小さいことが
好ましい。
【0089】
また、酸化物230において、領域231、領域232、および領域234の境界は明確
に検出できない場合がある。各領域内で検出されるインジウムなどの金属元素、並びに水
素、および窒素などの不純物元素の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内
でも連続的に変化(グラデーションともいう)していてもよい。つまり、領域231から
領域232へ、領域234に近い領域であるほど、インジウムなどの金属元素、並びに水
素、および窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
【0090】
また、図1(B)および図2では、領域234、領域231、および領域232が、酸化
物230bに形成されているが、これに限られることなく、例えばこれらの領域は酸化物
230a、または酸化物230cにも形成されていてもよい。また、図では、各領域の境
界を、酸化物230の上面に対して略垂直に表示しているが、本実施の形態はこれに限ら
れるものではない。例えば、領域232が酸化物230bの表面近傍では導電体260側
に張り出し、酸化物230bの下面近傍では、導電体252a側または導電体252b側
に後退する形状になる場合がある。
【0091】
なお、トランジスタ200において、酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属
酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。酸化物半導体を用いた
トランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流(オフ電流)が小さいため、低消
費電力の半導体装置が提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用い
て成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる
【0092】
一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中の不純物及び酸素欠損に
よって、その電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、酸化物半導
体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成
する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合
がある。従って、チャネル形成領域に酸素欠損が含まれている酸化物半導体を用いたトラ
ンジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、チャネル形成領域中の酸素欠損
はできる限り低減されていることが好ましい。
【0093】
特に、酸化物230におけるチャネルが形成される領域234と、ゲート絶縁膜として機
能する絶縁体250との界面に、酸素欠損が存在すると、電気特性の変動が生じやすく、
また信頼性が悪くなる場合がある。
【0094】
そこで、酸化物230の領域234と重畳する絶縁体250が化学量論的組成を満たす酸
素よりも多くの酸素(過剰酸素ともいう)を含むことが好ましい。つまり、絶縁体250
が有する過剰酸素が、領域234へと拡散することで、領域234中の酸素欠損を低減す
ることができる。
【0095】
また、絶縁体250と接して、絶縁体272を設けることが好ましい。例えば、絶縁体2
72は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の少なくとも一の拡散を抑制する機能
を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。絶縁体272が、酸素の拡散を抑
制する機能を有することで、過剰酸素領域の酸素は絶縁体274側へ拡散することなく、
効率よく領域234へ供給される。従って、酸化物230と、絶縁体250との界面にお
ける酸素欠損の形成が抑制され、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる
【0096】
さらに、トランジスタ200は、水または水素などの不純物の混入を防ぐバリア性を有す
る絶縁体で覆われていることが好ましい。バリア性を有する絶縁体とは、水素原子、水素
分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原
子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料
を用いた絶縁体である。また、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の少なくとも一
の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好
ましい。
【0097】
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の詳細な構成に
ついて説明する。
【0098】
トランジスタ200において、導電体260は、第1のゲート電極として機能する場合が
ある。また、導電体205は、第2のゲート電極として機能する場合がある。その場合、
導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して
変化させることで、トランジスタ200のしきい値電圧を制御することができる。特に、
導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200のしきい値電圧を0
Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。従って、導電体260に印加す
る電圧が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0099】
第2のゲート電極として機能する導電体205は、酸化物230および導電体260と重
なるように配置する。
【0100】
ここで、導電体205は、酸化物230における領域234よりも、チャネル幅方向の長
さが大きくなるように大きく設けるとよい。特に、導電体205は、酸化物230の領域
234がチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸していることが
好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面において、導電体205
と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。
【0101】
導電体203は導電体205と同じ工程で形成することができる。導電体203は、酸化
物230の領域231に電気的に接続する電極や配線としての機能を有する。
【0102】
絶縁体216は、導電体203および導電体205の間、およびこれら導電体の周辺に形
成されている。ここで、導電体203、および導電体205の上面の高さと、絶縁体21
6の上面の高さは同程度にできる。
【0103】
ここで、導電体203b、および導電体205bは、導電体203a、および導電体20
5aに比べ、酸化しにくい、すなわち耐酸化性に優れた導電性材料を用いることが好まし
い。このような導電性材料として、窒化タンタルや窒化チタンなどの金属窒化物を用いる
ことができる。
【0104】
導電体203b、および導電体205bとして、耐酸化性に優れた材料を用いることによ
り、導電体203、および導電体205が酸化して導電率が低下することを防ぐことがで
きる。また、導電体203の上面の酸化が抑制されることで、酸化物230bと導電体2
03とのコンタクトは良好なものになる。
【0105】
また、導電体203a、および導電体205aは、タングステン、銅、またはアルミニウ
ムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。本実施の形態では、導電体203
a、および導電体205aとして、タングステンを用いた。
【0106】
また、図3に示すように、導電体205と電気的に接続する導電体209を設けてもよい
。導電体209は、絶縁体210の上にさらに絶縁体212を設け、絶縁体212に設け
られた開口に埋め込むように形成することができる。この場合、導電体209は、絶縁体
212に設けられた開口の側面および底面に接するように設けられる第1の導電体と、第
1の導電体上に設けられる第2の導電体からなる積層構造としてもよい。この場合、第1
の導電体は、導電性バリアとすることが好ましい。また、導電体209は単層構造、ある
いは3層以上の積層構造としてもよい。導電体209を3層以上の積層構造とする場合、
導電性バリアを2層以上設ける構成としてもよい。導電性バリアとしては、水素、水、窒
素などの不純物の透過を抑制するバリア膜、酸素の透過を抑制するバリア膜、あるいは金
属成分の透過を抑制するバリア膜から一または複数を選んで設けることができる。
【0107】
または、導電体209は、絶縁体210上に、単層または2層以上からなる導電膜を設け
た後、リソグラフィー法やエッチング法を用いて形成してもよい。さらに、絶縁体210
上に、導電体209を覆うように絶縁膜を形成してもよく、当該絶縁膜をCMP法やエッ
チング法により加工し、絶縁体212を形成する。
【0108】
導電体209は、電極や配線として機能することができる。導電体205を、トランジス
タ200の第2のゲート電極として用いる場合、導電体209の一部は、ゲート配線とし
て機能することができる。このとき、導電体207aおよび、導電体207a上に設けら
れた導電体207bからなる導電体207、および導電体209を介して、導電体205
と導電体252dを電気的に接続してもよい。導電体207は、導電体203および導電
体205と同じ工程で作製することができる。
【0109】
また、導電体209は、導電体203を介して酸化物230bと電気的に接続しており、
トランジスタ200のソース配線またはドレイン配線として機能することができる。また
、導電体209は、絶縁体210より下層に位置する素子や配線と電気的に接続するため
の電極として用いてもよい。
【0110】
絶縁体210は、水または水素などの不純物が、基板側からトランジスタに混入するのを
防ぐ絶縁性バリア膜として機能することが好ましい。従って、絶縁体210は、水素原子
、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)
、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁
性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の少
なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用い
ることが好ましい。
【0111】
例えば、絶縁体210として、酸化アルミニウムや窒化シリコンなどを用いることが好ま
しい。これにより、水素、水などの不純物が絶縁体210よりトランジスタ側に拡散する
のを抑制することができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体210
より基板側に、拡散するのを抑制することができる。
【0112】
また、層間膜として機能する絶縁体208、絶縁体216、および絶縁体280は、絶縁
体210よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、
配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0113】
例えば、層間膜として機能する絶縁体208、絶縁体216、および絶縁体280として
、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニ
ウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ス
トロンチウム(SrTiO)または(Ba,Sr)TiO(BST)などの絶縁体を
単層または積層で用いることができる。またはこれらの絶縁体に例えば酸化アルミニウム
、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タン
グステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁
体を窒化処理しても良い。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シ
リコンを積層して用いてもよい。
【0114】
絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有す
る。
【0115】
ここで、酸化物230と接する絶縁体224は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多く
の酸素を含む酸化物絶縁体を用いることが好ましい。つまり、絶縁体224には、過剰酸
素領域が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物23
0に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、信頼性を向上させる
ことができる。
【0116】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化
物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素が脱離する酸化物とは、TDS(The
rmal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換
算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは3.0×
1020atoms/cm以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時におけ
る膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の
範囲が好ましい。
【0117】
また、絶縁体224が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体222は、酸素(例えば、酸
素原子、酸素分子など)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過
しにくい)ことが好ましい。
【0118】
絶縁体222が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、過剰酸素領域の酸素は、絶
縁体220側へ拡散することなく、効率よく酸化物230へ供給することができる。また
、導電体205が、絶縁体224が有する過剰酸素領域の酸素と反応することを抑制する
ことができる。
【0119】
絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、ハフニウムアルミネート
、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロ
ンチウム(SrTiO)または(Ba,Sr)TiO(BST)などのいわゆるhi
gh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。ゲート絶縁体とし
て機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで、トランジスタの微細化、および
高集積化が可能となる。特に、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、およびハフニウムア
ルミネート、などの、不純物、および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素
が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。このような材料を用いて形成した
場合、酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部からの水素等の不
純物の混入を防ぐ層として機能する。
【0120】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウ
ム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸
化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理しても良い。上記の
絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0121】
また、絶縁体220は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよ
び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、high-k材料の絶縁体と組み合わせ
ることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0122】
なお、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有し
ていてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる
積層構造でもよい。また、トランジスタ200で絶縁体220、絶縁体222、および絶
縁体224がゲート絶縁体として機能する構成を示したが、本実施の形態はこれに限られ
るものではない。例えば、ゲート絶縁体として、絶縁体220、絶縁体222、および絶
縁体224のいずれか2層または1層を設ける構成にしてもよい。
【0123】
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物23
0b上の酸化物230cと、を有する。また、酸化物230は、領域231、領域232
、および領域234を有する。なお、領域231の少なくとも一部は、絶縁体274と接
することが好ましい。また、領域231の少なくとも一部は、インジウムなどの金属元素
、水素、および窒素の少なくとも一の濃度が領域234よりも大きいことが好ましい。
【0124】
トランジスタ200をオンさせると、領域231a、または領域231bは、ソース領域
、またはドレイン領域として機能する。一方、領域234の少なくとも一部は、チャネル
が形成される領域として機能する。
【0125】
絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化物230aは、開口を有してお
り、酸化物230bの領域231は、導電体203と電気的に接続している。すなわち、
トランジスタ200のソースおよびドレインの一方は、絶縁体220、絶縁体222、絶
縁体224、および酸化物230aに設けられた開口を介して、導電体203と電気的に
接続しており、導電体203はソース電極およびドレイン電極の一方、あるいはソース配
線とドレイン配線の一方として機能することができる。
【0126】
図1(A)および図1(D)に示すように、酸化物230aおよび酸化物230bは、絶
縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化物230aに形成された開口を包
含するように、当該開口と重なる領域における、E-F方向の幅を、当該開口の幅より広
く形成することが好ましい。よって、当該領域における、酸化物230aおよび酸化物2
30bのE-F方向の幅は、チャネルが形成される領域や、A側の領域における、酸化物
230aおよび酸化物230bのC-D方向の幅よりも広くなる場合がある。このような
構造にすることで、酸化物230bと導電体203のコンタクトを確実に行うことができ
る。また、容量素子100の面積を大きくすることができ、容量素子100の大容量化が
期待できる。
【0127】
ここで、図2に示すように、酸化物230は、領域232を有することが好ましい。当該
構成とすることで、トランジスタ200において、オン電流を大きくし、かつ、非導通時
のリーク電流(オフ電流)を小さくすることができる。
【0128】
また、酸化物230a上に、酸化物230bを有することで、酸化物230aよりも下方
に形成された構造物から、酸化物230bに対する不純物の拡散を抑制することができる
。また、酸化物230c下に、酸化物230bを有することで、酸化物230cよりも上
方に形成された構造物から、酸化物230bに対する不純物の拡散を抑制することができ
る。
【0129】
また、酸化物230は、その側面と、上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端
部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面
は、例えば、酸化物230bの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好
ましくは、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。
【0130】
酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう
)を用いることが好ましい。例えば、領域234となる金属酸化物としては、エネルギー
ギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。この
ように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流
を低減することができる。
【0131】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxi
de)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(met
al oxynitride)と呼称してもよい。
【0132】
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さいた
め、低消費電力の半導体装置が提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法な
どを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いること
ができる。
【0133】
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウ
ム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッ
ケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフ
ニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複
数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230として、In-Ga酸化物、
In-Zn酸化物を用いてもよい。
【0134】
ここで、酸化物230の領域234について説明する。
【0135】
領域234は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有することが好
ましい。具体的には、酸化物230a、および酸化物230bの積層構造を有する場合、
酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物
230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいこと
が好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの
原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数
比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素
Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対
するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230cは、酸化物230
aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
【0136】
酸化物230aには、例えばIn:Ga:Zn=1:3:4、In:Ga:Zn=1:3
:2、またはIn:Ga:Zn=1:1:1の組成を有する金属酸化物を用いることがで
きる。また、酸化物230bには、例えばIn:Ga:Zn=4:2:3、In:Ga:
Zn=1:1:1、またはIn:Ga:Zn=5:1:6の組成を有する金属酸化物を用
いることができる。酸化物230cには、例えばIn:Ga:Zn=1:3:4、In:
Ga:Zn=1:3:2、In:Ga:Zn=4:2:3、またはIn:Ga:Zn=1
:1:1の組成を有する金属酸化物を用いることができる。なお、上記組成は、基板上に
形成された酸化物中の原子数比、またはスパッタターゲットにおける原子数比を示す。
【0137】
特に、酸化物230aとしてIn:Ga:Zn=1:3:4、酸化物230bとしてIn
:Ga:Zn=4:2:3、酸化物230cとしてIn:Ga:Zn=1:3:4の組成
を有する金属酸化物の組み合わせ、または酸化物230aとしてIn:Ga:Zn=1:
3:4、酸化物230bとしてIn:Ga:Zn=4:2:3、酸化物230cとしてI
n:Ga:Zn=1:1:1の組成を有する金属酸化物の組み合わせは、酸化物230b
を、よりエネルギーギャップの広い酸化物230aと酸化物230cで挟むことができ、
好ましい。この時、エネルギーギャップの広い酸化物230aと酸化物230cをワイド
ギャップ、相対的にエネルギーギャップが狭い酸化物230bをナローギャップと呼ぶこ
とがある。ワイドギャップ、およびナローギャップについては、[金属酸化物の構成]に
て説明する。
【0138】
続いて、酸化物230の領域231、および領域232について説明する。
【0139】
領域231、および領域232は、酸化物230として設けられた金属酸化物に、インジ
ウムなどの金属原子、または不純物を添加し、低抵抗化した領域である。なお、各領域は
、少なくとも、領域234における酸化物230bよりも、導電性が高い。なお、領域2
31、および領域232に、不純物を添加するために、例えば、プラズマ処理、イオン化
された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分
離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーショ
ン法などを用いて、インジウムなどの金属元素、および不純物の少なくとも一であるドー
パントを添加すればよい。
【0140】
つまり、領域231、および領域232において、酸化物230のインジウムなどの金属
原子の含有率を高くすることで、電子移動度を高くし、低抵抗化を図ることができる。
【0141】
または、酸化物230に接して、不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜することで
、領域231、および領域232に、不純物を添加することができる。
【0142】
つまり、領域231、および領域232は、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に
捕獲される元素が添加されることで低抵抗化される。このような元素としては、代表的に
は水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられ
る。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及
びキセノン等がある。よって、領域231、および領域232は、上記元素の一つまたは
複数を含む構成にすればよい。
【0143】
または、絶縁体274として、領域231、および領域232に含まれる酸素を引き抜き
、吸収する膜を用いてもよい。酸素が引き抜かれると、領域231、および領域232に
は酸素欠損が生じる。酸素欠損に水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素
、チタン、希ガス等が捕獲されることにより、領域231、および領域232は低抵抗化
する。
【0144】
絶縁体274は、単層で形成してもよいし、2層以上の積層構造としてもよい。絶縁体2
74は、CVD法、ALD法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。A
LD法は、優れた段差被覆性、優れた厚さの均一性、および優れた膜厚の制御性を有する
ため、酸化物230や、導電体260により形成された段差部の成膜には好適である。A
LD法を用いて、0.5nm以上5.0nm以下の膜厚を有する絶縁体を形成後、プラズ
マCVD法を用いて、1.0nm以上10.0nm以下の絶縁体を積層して絶縁体274
を形成してもよい。例えば、ALD法を用いて形成した酸化アルミニウム、酸化ハフニウ
ム、またはアルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)上に
、プラズマCVD法を用いて形成した窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコ
ン、または酸化シリコンを積層して絶縁体274としてもよい。または、プラズマCVD
法を用いて、1.0nm以上10.0nm以下の絶縁体を形成して、単層の絶縁体274
としてもよい。例えば、プラズマCVD法を用いて形成した窒化シリコン、窒化酸化シリ
コン、酸化窒化シリコン、または酸化シリコンを絶縁体274としてもよい。
【0145】
また、トランジスタ200において、領域232を設けることで、ソース領域およびドレ
イン領域として機能する領域231と、チャネルが形成される領域234との間に高抵抗
領域が形成されないため、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることがで
きる。また、領域232を有することで、チャネル長方向において、ソース領域およびド
レイン領域と、ゲートとが重ならないため、不要な容量が形成されるのを抑制することが
できる。また、領域232を有することで、非導通時のリーク電流を小さくすることがで
きる。
【0146】
従って、領域232の範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合
う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。
【0147】
絶縁体250は、ゲート絶縁膜として機能する。絶縁体250は、酸化物230cの上面
に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、加熱により酸素が放出される絶縁体
を用いて形成することが好ましい。例えば、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて
、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ま
しくは3.0×1020atoms/cm以上である酸化物膜である。なお、上記TD
S分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上
500℃以下の範囲が好ましい。
【0148】
加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250として、酸化物230cの上面に接
して設けることにより、酸化物230bの領域234に効果的に酸素を供給することがで
きる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水または水素などの不純物濃度が
低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とする
のが好ましい。
【0149】
第1のゲート電極として機能する導電体260は、導電体260a、および導電体260
a上の導電体260bを有する。
【0150】
導電体260aは、窒化チタンなどを用いることが好ましい。また、導電体260bとし
て、例えばタングステンなどの、導電性が高い金属を用いることができる。
【0151】
また、絶縁体250と導電体260aの間に、導電性酸化物からなる導電体を設けてもよ
い。例えば、酸化物230aまたは酸化物230bとして用いることができる金属酸化物
を用いることができる。特に、In-Ga-Zn系酸化物のうち、導電性が高い、金属の
原子数比が[In]:[Ga]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値の
ものを用いることが好ましい。このような導電体を絶縁体250上に設けることで、導電
体260aへの酸素の透過を抑制し、酸化によって導電体260aの電気抵抗値が増加す
ることを防ぐことができる。
【0152】
また、上記導電性酸化物を、スパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体250に
酸素を添加し、酸化物230bに酸素を供給することが可能となる。これにより、酸化物
230の領域234の酸素欠損を低減することができる。
【0153】
また、導電体260cの上に、バリア膜として機能する絶縁体270を配置してもよい。
絶縁体270は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する
絶縁性材料を用いるとよい。例えば、アルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸
化物を含む絶縁体を用いることができる。アルミニウム及びハフニウムの一方または双方
の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよび
ハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。これ
により、導電体260の酸化を防ぐことができる。また、導電体260および絶縁体25
0を介して、水または水素などの不純物が酸化物230に混入することを防ぐことができ
る。
【0154】
また、絶縁体270上に、ハードマスクとして機能する絶縁体271を配置することが好
ましい。絶縁体270を設けることで、導電体260の加工の際、導電体260の側面が
概略垂直、具体的には、導電体260の側面と基板表面のなす角を、75度以上100度
以下、好ましくは80度以上95度以下とすることができる。導電体をこのような形状に
加工することで、次に形成する絶縁体272を所望の形状に形成することができる。
【0155】
また、バリア膜として機能する絶縁体272を、絶縁体250、導電体260、および絶
縁体270の側面に接して設ける。
【0156】
ここで、絶縁体272は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能
を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、アルミニウム及びハフニウムの一方または
双方の酸化物を含む絶縁体を用いることができる。アルミニウム及びハフニウムの一方ま
たは双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウ
ムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好まし
い。これにより、絶縁体250中の酸素が外部に拡散することを防ぐことができる。また
、絶縁体250の端部などから酸化物230に水素、水などの不純物が混入するのを抑制
することができる。
【0157】
絶縁体272を設けることで、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する
機能を有する絶縁体で導電体260の上面と側面および絶縁体250の側面を覆うことが
できる。これにより、導電体260および絶縁体250を介して、水または水素などの不
純物が酸化物230に混入することを防ぐことができる。従って、絶縁体272は、ゲー
ト電極およびゲート絶縁膜の側面を保護するサイドバリアとしての機能を有する。
【0158】
また、トランジスタが微細化され、チャネル長が10nm以上30nm以下程度に形成さ
れている場合、トランジスタ200の周辺に設けられる構造体に含まれる不純物元素が拡
散し、領域231aと領域231b、あるいは、領域232aと領域232bと、が電気
的に導通する恐れがある。
【0159】
そこで、本実施の形態に示すように、絶縁体272を形成することにより、絶縁体250
および導電体260に水素、水などの不純物が混入するのを抑制し、かつ、絶縁体250
中の酸素が外部に拡散することを防ぐことができる。従って、第1のゲート電圧が0Vの
ときに、ソース領域とドレイン領域が直接、あるいは領域232などを介して電気的に導
通することを防ぐことができる。
【0160】
絶縁体274は、絶縁体271、絶縁体272、酸化物230および絶縁体224などを
覆って設ける。
【0161】
また、絶縁体274は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を
有する絶縁性材料を用いることが好ましい。例えば、絶縁体274として、窒化シリコン
、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなど
を用いることが好ましい。また、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、またはアルミニウ
ムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)上に前記絶縁性材料を積層
して設けることで絶縁体274としてもよい。このような絶縁体274を形成することで
、絶縁体274を透過して酸素が混入し、領域231aおよび領域231bの酸素欠損に
酸素を供給して、キャリア密度が低下するのを防ぐことができる。また、絶縁体274を
透過して水または水素などの不純物が混入し、領域231aおよび領域231bが過剰に
領域234側に拡張するのを防ぐことができる。
【0162】
なお、絶縁体274を成膜することにより、領域231、および領域232を設ける場合
、絶縁体274は、酸化物230内に酸素欠損を形成する元素、または酸化物230中の
酸素欠損に捕獲される元素を有することが好ましい。このような元素としては、代表的に
は水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられ
る。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及
びキセノン等がある。このような元素を有する絶縁体を絶縁体274に用いることで、当
該元素を酸化物230に添加して、酸化物230において、領域231、および領域23
2を形成することができる。
【0163】
または、絶縁体274として、領域231、および領域232に含まれる酸素を引き抜き
、吸収する膜を用いてもよい。酸素が引き抜かれると、領域231、および領域232に
は酸素欠損が生じる。酸素欠損に水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素
、チタン、希ガス等が捕獲されることにより、領域231、および領域232は低抵抗化
する。
【0164】
トランジスタ200と同じ層に容量素子100を設ける場合、絶縁体274を間に挟み、
容量素子の一方の電極として機能する酸化物230の領域231と重なるように導電体1
30を設ける。
【0165】
絶縁体274の上に、また、絶縁体274上に導電体130を設ける場合は、絶縁体27
4および導電体130の上に、層間膜として機能する絶縁体280を設けることが好まし
い。絶縁体280は、絶縁体224などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度
が低減されていることが好ましい。なお、絶縁体280は、同様の絶縁体からなる積層構
造としてもよい。
【0166】
次に、トランジスタ200と電気的に接続する導電体252(導電体252a、導電体2
52b、導電体252c、および導電体252d)を設ける。絶縁体280および絶縁体
274に形成された開口に、酸化物230と電気的に接続する導電体252aを配置し、
絶縁体280に形成された開口に、導電体130と電気的に接続する導電体252bを配
置し、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体271、および絶縁体270に形成された開
口に、第1のゲートとして機能する導電体260と電気的に接続する導電体252cを配
置し、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体224、絶縁体222、および絶縁体220
に形成された開口に、第2のゲートとして機能する導電体205と電気的に接続する導電
体252dを配置する。なお、導電体130を設けない場合は、導電体252bは、絶縁
体280および絶縁体274に形成された開口を介して、酸化物230と電気的に接続す
ることができる。なお、導電体252a、導電体252b、導電体252c、および導電
体252dの上面は、絶縁体280の上面と、同一平面上としてもよい。
【0167】
また、導電体252bが設けられる開口は、導電体203の少なくとも一部、または絶縁
体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化物230aに設けられた開口の少な
くとも一部と重なるように設けることで、半導体装置の微細化や高集積化が実現できるた
め好ましい。
【0168】
なお、導電体252は、ダマシン法を用いて形成することができる。
【0169】
また、導電体252aは、トランジスタ200のソース領域およびドレイン領域の一方と
して機能する領域231aと接している。また、導電体203はトランジスタ200のソ
ース領域およびドレイン領域の他方として機能する領域231bと接している。領域23
1aおよび領域231bは低抵抗化されているので、導電体252aと領域231aの接
触抵抗、および導電体203と領域231bの接触抵抗を低減し、トランジスタ200の
オン電流を大きくすることができる。
【0170】
ここで、導電体252aは、少なくとも酸化物230の上面と接し、さらに酸化物230
の側面と接することが好ましい。特に、導電体252aは、酸化物230のチャネル幅方
向と交わる側面において、C側の側面、およびD側の側面の双方または一方と接すること
が好ましい。また、導電体252aが、酸化物230のチャネル長方向と交わる側面にお
いて、A側の側面と接する構成にしてもよい。このように、導電体252aが酸化物23
0の上面に加えて、酸化物230の側面と接する構成にすることにより、導電体252a
と酸化物230のコンタクト部の上面積を増やすことなく、コンタクト部の接触面積を増
加させ、導電体252aと酸化物230の接触抵抗を低減することができる。これにより
、トランジスタのソース電極およびドレイン電極の微細化を図りつつ、オン電流を大きく
することができる。
【0171】
図1(D)は、導電体203と酸化物230の接続部、および容量素子100の断面を示
している。導電体130は、酸化物230よりE-F方向に広いことが好ましい。これに
より、酸化物230の上面と導電体130だけでなく、酸化物230の側面と導電体13
0でも容量を形成することができ、容量を増加することができる。
【0172】
導電体252は、それぞれの開口の内壁に接する第1の導電体と、さらに内側に設けられ
た第2の導電体により形成することができる。ここで、第1の導電体、および第2の導電
体の上面の高さと、絶縁体280の上面の高さは同程度にできる。なお、本実施の形態で
は、導電体252として、2層からなる導電体を用いる例を示したが、これに限らない。
単層、または3層以上の積層膜により、導電体252を形成してもよい。
【0173】
ここで、導電体252に用いられる第1の導電体は、水素原子、水素分子、水分子、窒素
原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡
散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ま
しい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の少なくとも一の拡散を抑制す
る機能を有する(上記酸素が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ましい。なお、
本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または
上記酸素のいずれか一または、すべての拡散を抑制する機能とする。本明細書中、このよ
うな機能を有する導電体を、導電性バリア膜と呼ぶことがある。
【0174】
導電体252に用いられる第1の導電体が酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、
導電体252に用いられる第2の導電体が絶縁体280中の酸素を吸収することや、酸化
による導電率の低下を防ぐことができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料
としては、例えば、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸
化ルテニウムなどを用いることが好ましい。従って、導電体252に用いられる第1の導
電体としては、上記導電性材料を単層または積層とすればよい。また、導電体252に用
いられる第1の導電体が水素、水、窒素などの不純物の拡散を抑制する機能を持つことに
より、絶縁体280より上方から、水素、水などの不純物が、導電体252を通じて、ト
ランジスタ200へ混入するのを抑制することができる。本実施の形態では、導電体25
2に用いられる第1の導電体として、窒化チタンを用いた。
【0175】
また、導電体252に用いられる第2の導電体は、タングステン、銅、またはアルミニウ
ムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。本実施の形態では、導電体252
に用いられる第2の導電体として、タングステンを用いた。
【0176】
また、導電体252が埋め込まれた絶縁体274および絶縁体280の開口の内壁に接し
て、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する絶縁体が設けられる構成に
してもよい。このような絶縁体としては、絶縁体270や絶縁体272に用いることがで
きる絶縁体、例えば、酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。これにより、絶縁
体280などから水素、水などの不純物が、導電体252を通じて酸化物230に混入す
るのを抑制することができる。また、当該絶縁体は、例えばALD法またはCVD法など
を用いて成膜することで被覆性良く成膜することができる。
【0177】
また、導電体252の上面に接して配線として機能する導電体256を配置してもよい。
配線として機能する導電体256は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分と
する導電性材料を用いることが好ましい。
【0178】
[容量素子100]
図1に示すように、容量素子100は、トランジスタ200と共通の構造を有する構成で
ある。本実施の形態では、トランジスタ200の酸化物230に設けられた領域231b
の少なくとも一部が、容量素子100の電極の一方として機能する容量素子100の例に
ついて示す。
【0179】
容量素子100は、酸化物230の領域231bの少なくとも一部、領域231上の絶縁
体274、絶縁体274上の導電体130を有する。導電体130の少なくとも一部は、
絶縁体274の上に、領域231bと重なるように配置されることが好ましい。
【0180】
酸化物230の領域231bの少なくとも一部は、容量素子100の電極の一方として機
能し、導電体130は容量素子100の電極の他方として機能する。すなわち、領域23
1bは、トランジスタ200のソースおよびドレインの一方として機能し、且つ容量素子
100の電極の一方として機能する。絶縁体274は容量素子100の誘電体として機能
する。
【0181】
絶縁体280は、絶縁体274および導電体130を覆うように設けることが好ましい。
【0182】
導電体130は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用
いることが好ましい。また、図示しないが、導電体130は積層構造としても良く、例え
ば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0183】
また、導電体252bは、容量素子100の電極の一方である導電体130と接している
。導電体252bは、導電体252a、導電体252c、および導電体252dと同時に
形成することができるため、工程短縮が可能である。
【0184】
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
【0185】
<<基板>>
トランジスタ200を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導
電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファ
イア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板な
どがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体基
板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸
化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基
板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Ins
ulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、
導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する
基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体
基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けら
れた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基
板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子
などがある。
【0186】
また、基板として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタ
を設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタ
を剥離し、可とう性基板である基板に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基
板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。また、基板が伸縮性を有してもよい。
また、基板は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。
または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板は、例えば、5μm以上700μ
m以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300
μm以下の厚さとなる領域を有する。基板を薄くすると、トランジスタを有する半導体装
置を軽量化することができる。また、基板を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合に
も伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有す
る場合がある。そのため、落下などによって基板上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和
することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
【0187】
可とう性基板である基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそ
れらの繊維などを用いることができる。また、基板として、繊維を編みこんだシート、フ
ィルムまたは箔などを用いてもよい。可とう性基板である基板は、線膨張率が低いほど環
境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板としては、例えば、線膨張
率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×10-5/K以下である
材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミ
ド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。
特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板として好適である。
【0188】
<<絶縁体>>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物
、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
【0189】
ここで、ゲート絶縁体として機能する絶縁体には、ゲート絶縁体として機能する絶縁体に
、比誘電率の高いhigh-k材料を用いることで、トランジスタの微細化、および高集
積化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を層間
膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。従って、絶縁体の機
能に応じて、材料を選択するとよい。
【0190】
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ハフニウ
ム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムお
よびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコ
ンおよびハフニウムを有する酸化窒化物またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物
などがある。
【0191】
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリ
コン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭
素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などがある
【0192】
また、特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定である。そのため、例
えば、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることが
できる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン
、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。また、例
えば、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせる
ことで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0193】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制
する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすること
ができる。
【0194】
水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホ
ウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素
、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジ
ム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具
体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸
化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタ
ルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0195】
例えば、絶縁体222、および絶縁体210として、水素などの不純物および酸素の透過
を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。なお、絶縁体222、および絶縁体21
0は、アルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いること
ができる。アルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、
酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフ
ニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0196】
絶縁体220、絶縁体224、絶縁体250、および絶縁体271、としては、例えば、
ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩
素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオ
ジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
具体的には、酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは、窒化シリコンを有することが好ま
しい。
【0197】
例えば、ゲート絶縁体として機能する絶縁体224および絶縁体250において、酸化ア
ルミニウム、酸化ガリウム、ハフニウムアルミネート、または酸化ハフニウムを酸化物2
30と接する構造とすることで、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンに含まれるシリコ
ンが、酸化物230に混入することを抑制することができる。一方、絶縁体224および
絶縁体250において、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構
造とすることで、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、ハフニウムアルミネート、または酸
化ハフニウムと、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンと、の界面にトラップセンターが
形成される場合がある。該トラップセンターは、電子を捕獲することでトランジスタのし
きい値電圧をプラス方向に変動させることができる場合がある。
【0198】
例えば、誘電体として機能する絶縁体274は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化
酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アル
ミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウ
ム、窒化ハフニウム、ハフニウムアルミネートなどを用いればよく、積層または単層で設
ける。例えば、酸化アルミニウムなどのhigh-k材料と、酸化窒化シリコンなどの絶
縁耐力が大きい材料の積層構造とすることが好ましい。当該構成により、容量素子100
は、high-k材料により十分な容量を確保でき、絶縁耐力が大きい材料により絶縁耐
力が向上するため、容量素子100の静電破壊を抑制し、容量素子100の信頼性を向上
させることができる。
【0199】
絶縁体208、絶縁体212、絶縁体216、および絶縁体280は、比誘電率の低い絶
縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁体208、絶縁体212、絶縁体216、お
よび絶縁体280は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコ
ン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添
加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい
。または、絶縁体208、絶縁体212、絶縁体216、および絶縁体280は、酸化シ
リコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シ
リコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコンまたは空
孔を有する酸化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコン
および酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に
安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエス
テル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカー
ボネートまたはアクリルなどがある。
【0200】
絶縁体270、および絶縁体272としては、水素などの不純物および酸素の透過を抑制
する機能を有する絶縁体を用いればよい。絶縁体270および絶縁体272としては、例
えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、ハフニウムアルミネート、酸化マグネシウム
、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタ
ン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シ
リコンなどを用いればよい。
【0201】
<<導電体>>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタ
ン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシ
ウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を
1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶
シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイド
を用いてもよい。
【0202】
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金
属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構
造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素
を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0203】
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極とし
て機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組
み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャ
ネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるこ
とで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0204】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含ま
れる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属
元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルな
どの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステ
ンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタン
を含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物
、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウム
ガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成さ
れる金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁
体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0205】
導電体260、導電体205、導電体203、導電体207、導電体209、導電体13
0、導電体252、および導電体256としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、
白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウ
ム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニ
ウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等
の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッ
ケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0206】
<<金属酸化物>>
酸化物230として、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体とも
いう)を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金属
酸化物について説明する。
【0207】
酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウ
ムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、
イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、
チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム
、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれ
た一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0208】
ここでは、酸化物半導体が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化
物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたは
スズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタ
ン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネ
オジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素
Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0209】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxi
de)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(met
al oxynitride)と呼称してもよい。
【0210】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単
結晶酸化物半導体としては、例えば、多結晶酸化物半導体、および非晶質酸化物半導体な
どが知られている。
【0211】
トランジスタの半導体に用いる酸化物半導体として、結晶性の高い薄膜を用いることが好
ましい。該薄膜を用いることで、トランジスタの安定性または信頼性を向上させることが
できる。該薄膜として、例えば、単結晶酸化物半導体の薄膜または多結晶酸化物半導体の
薄膜が挙げられる。しかしながら、単結晶酸化物半導体の薄膜または多結晶酸化物半導体
の薄膜を基板上に形成するには、高温またはレーザー加熱の工程が必要とされる。よって
、製造工程のコストが増加し、さらに、スループットも低下してしまう。
【0212】
2009年に、CAAC構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(CAAC-IGZOと呼
ぶ。)が発見されたことが、非特許文献1および非特許文献2で報告されている。ここで
は、CAAC-IGZOは、c軸配向性を有する、結晶粒界が明確に確認されない、低温
で基板上に形成可能である、ことが報告されている。さらに、CAAC-IGZOを用い
たトランジスタは、優れた電気特性および信頼性を有することが報告されている。
【0213】
また、2013年には、nc構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(nc-IGZOと呼
ぶ。)が発見された(非特許文献3参照。)。ここでは、nc-IGZOは、微小な領域
(例えば、1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有し、異なる該領
域間で結晶方位に規則性が見られないことが報告されている。
【0214】
非特許文献4および非特許文献5では、上記のCAAC-IGZO、nc-IGZO、お
よび結晶性の低いIGZOのそれぞれの薄膜に対する電子線の照射による平均結晶サイズ
の推移が示されている。結晶性の低いIGZOの薄膜において、電子線が照射される前で
さえ、1nm程度の結晶性IGZOが観察されている。よって、ここでは、IGZOにお
いて、完全な非晶質構造(completely amorphous structu
re)の存在を確認できなかった、と報告されている。さらに、結晶性の低いIGZOの
薄膜と比べて、CAAC-IGZOの薄膜およびnc-IGZOの薄膜は電子線照射に対
する安定性が高いことが示されている。よって、トランジスタの半導体として、CAAC
-IGZOの薄膜またはnc-IGZOの薄膜を用いることが好ましい。
【0215】
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さい、
具体的には、トランジスタのチャネル幅1μmあたりのオフ電流がyA/μm(10-2
A/μm)オーダである、ことが非特許文献6に示されている。例えば、酸化物半導体
を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用した低消費電力のCPUなど
が開示されている(非特許文献7参照。)。
【0216】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を利用した、該
トランジスタの表示装置への応用が報告されている(非特許文献8参照。)。表示装置で
は、表示される画像が1秒間に数十回切り換っている。1秒間あたりの画像の切り換え回
数はリフレッシュレートと呼ばれている。また、リフレッシュレートを駆動周波数と呼ぶ
こともある。このような人の目で知覚が困難である高速の画面の切り換えが、目の疲労の
原因として考えられている。そこで、表示装置のリフレッシュレートを低下させて、画像
の書き換え回数を減らすことが提案されている。また、リフレッシュレートを低下させた
駆動により、表示装置の消費電力を低減することが可能である。このような駆動方法を、
アイドリング・ストップ(IDS)駆動と呼ぶ。
【0217】
CAAC構造およびnc構造の発見は、CAAC構造またはnc構造を有する酸化物半導
体を用いたトランジスタの電気特性および信頼性の向上、ならびに、製造工程のコスト低
下およびスループットの向上に貢献している。また、該トランジスタのリーク電流が低い
という特性を利用した、該トランジスタの表示装置およびLSIへの応用研究が進められ
ている。
【0218】
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cl
oud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0219】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal
)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合が
ある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例
を表す。
【0220】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能
と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する
。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの活性層
に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり
、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性
の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Of
fさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することが
できる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能
を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0221】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性
領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性
の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベ
ルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に
偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察され
る場合がある。
【0222】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶
縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm
以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0223】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを
有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxi
deは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナ
ローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に
、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップ
を有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有す
る成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記C
AC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に
用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、
及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0224】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材
(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal
matrix composite)と呼称することもできる。
【0225】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けら
れる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis ali
gned crystalline oxide semiconductor)、多結
晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semi
conductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorpho
us-like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体
などがある。
【0226】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結
し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領
域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の
向きが変化している箇所を指す。
【0227】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が
ある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。
なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウン
ダリーともいう)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界
の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向におい
て酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変
化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0228】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素
M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構
造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換
可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)
層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M
)層と表すこともできる。
【0229】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC-OSは、明確な結
晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりに
くいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低
下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物
半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定
する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。
【0230】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3
nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ
結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。した
がって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体
と区別が付かない場合がある。
【0231】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半
導体である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。即ち、a-like
OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0232】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の
酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc
-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0233】
[酸化物半導体を有するトランジスタ]
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0234】
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジ
スタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる
【0235】
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。酸
化物半導体膜のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度
を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠
陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。例えば、酸化物半
導体は、キャリア密度が8×1011/cm未満、好ましくは1×1011/cm
満、さらに好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10-9/cm以上とす
ればよい。
【0236】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低
いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0237】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長
く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い
酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合があ
る。
【0238】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を
低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近
接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アル
カリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0239】
[不純物]
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0240】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物
半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素
の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(
SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により
得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017at
oms/cm以下とする。
【0241】
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形
成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が
含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。こ
のため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが
好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×10
atoms/cm以下にする。
【0242】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア
密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に
用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体におい
て、窒素はできる限り低減されていることが好ましい。例えば、酸化物半導体中の窒素濃
度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×10
atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さら
に好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。
【0243】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため
、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子
が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャ
リアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用い
たトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素は
できる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIM
Sにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1
19atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満、
さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とする。
【0244】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いること
で、安定した電気特性を付与することができる。
【0245】
<半導体装置の構成例2>
以下では、図4を用いて、本発明の一態様に係る半導体装置の一例について説明する。
【0246】
図4(A)は、トランジスタ201の上面図である。また、図4(B)、図4(C)、お
よび図4(D)はトランジスタ201の断面図である。ここで、図4(B)は、図4(A
)にA-Bの一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向
の断面図でもある。また、図4(C)は、図4(A)にC-Dの一点鎖線で示す部位の断
面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。また、図4(D)
は、図4(A)にE-Fの一点鎖線で示す部位の断面図であり、酸化物230と、導電体
203との接続部、および導電体252bと、酸化物230との接続部を示す断面図でも
ある。図4(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0247】
なお、図4に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例1>に示した半導体装置を
構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
【0248】
以下、トランジスタ201の構成についてそれぞれ図4を用いて説明する。なお、本項目
においても、トランジスタ201の構成材料については<半導体装置の構成例1>で詳細
に説明した材料を用いることができる。
【0249】
トランジスタ201において、酸化物230b上には、ソース電極またはドレイン電極と
して機能する導電体285が設けられている。また、導電体285の上には絶縁体286
が設けられている。導電体285は、導電体203、および導電体205、あるいは導電
体260と同様の材料を用いることができる。特に、導電体285として、窒化タンタル
やタングステンを用いることが好ましい。また、絶縁体286は、絶縁体270や絶縁体
272と同様の材料を用いることができる。絶縁体286を設けることで、導電体285
の酸化を抑制し、導電体285の電気抵抗の増加を抑制することができる。特に、絶縁体
286として、酸化アルミニウムを用いることが好ましい。また、トランジスタ201の
チャネル長は導電体285間の長さに依存して決まるが、向かい合う導電体285の端部
が酸化することで、トランジスタ201のチャネル長は意図せずに長くなるという不具合
が生じる恐れがある。このような不具合を軽減するためにも、絶縁体286を設けること
は好ましい。
【0250】
図4(B)に示すように、酸化物230bにおいて点線で示す、導電体285と接する領
域はn型化し、低抵抗領域となる。これは、導電体285が酸化物230bの酸素を引き
抜き、酸化物230bに酸素欠損を生じさせていることに起因していると考えられる。酸
化物230b中の酸素欠損に、酸化物230b内部あるいは外部に存在する不純物が捕獲
され、当該領域は低抵抗化する。
【0251】
酸化物230bの低抵抗領域は、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸
化物230aに設けられた開口を介して、導電体203と電気的に接続する。
【0252】
酸化物230b、導電体285、および絶縁体286の一部を覆うように、酸化物230
c、酸化物230d、絶縁体250、導電体260、および絶縁体270が設けられる。
なお、導電体260は、図4(A)、図4(B)、および図4(C)に示すようにA-B
方向における幅、およびC-D方向における長さが酸化物230c、酸化物230d、絶
縁体250、および絶縁体270に比べて小さい。よって、絶縁体270は絶縁体250
の上面および側面を覆い、導電体260の外側で絶縁体250と接する構造となる。絶縁
体270には酸素の透過を抑制する材料を用いていることから、このように設けられた絶
縁体270により、導電体260の酸化は抑制され、電気抵抗の増加を抑制することがで
きる。
【0253】
酸化物230cには、酸化物230bと同様の材料を用いることができる。また、酸化物
230dには、酸化物230cと同様の材料を用いることができる。なお、酸化物230
cは形成しなくてもよい。
【0254】
トランジスタ201では、チャネルは、酸化物230bおよび酸化物230c内において
一対の導電体285、または一対の低抵抗領域に挟まれた領域に形成される。
【0255】
絶縁体280上には、絶縁体287および絶縁体288が形成される。絶縁体287は、
スパッタリング法を用いて成膜された酸化物絶縁体を用いることが好ましく、例えば酸化
アルミニウム、酸化ハフニウム、またはハフニウムアルミネートを用いることが好ましい
。このような絶縁体287を用いることにより、絶縁体280の絶縁体287と接する面
を介して絶縁体280に酸素を添加して、絶縁体280を酸素過剰な状態にできる。絶縁
体280に供給された酸素は、酸化物230に供給される。
【0256】
さらに、絶縁体287として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、またはハフニウムア
ルミネートなどの酸素が透過しにくい絶縁性材料を用いることにより、絶縁体224及び
絶縁体280に添加した酸素が、成膜中に上方拡散するのを抑制することができる。これ
により、さらに効率よく絶縁体280に酸素を添加することができる。
【0257】
絶縁体288は、絶縁体208、絶縁体216、および絶縁体280と同様の材料を用い
ることができる。
【0258】
図4(B)、図4(C)、および図4(D)に示すように、絶縁体280、絶縁体287
、および絶縁体288などの絶縁体には開口が設けられ、開口内部には、導電体252(
導電体252a、導電体252b、導電体252c、および導電体252d)が設けられ
る。絶縁体280、絶縁体287、および絶縁体288などの絶縁体と、導電体252の
間には、絶縁体289が設けられる。絶縁体289は、絶縁体270と同様の材料を用い
ることができ、絶縁体280および上方の絶縁体や導電体から酸化物230への不純物の
混入を抑制する。
【0259】
ここで、導電体252aは酸化物230上の導電体285と接するだけでなく、酸化物2
30の側面とも接することで、酸化物230と電気的に接続することが好ましい。特に、
導電体252aは、酸化物230のチャネル幅方向と交わる側面において、C側の側面、
およびD側の側面の双方または一方と接することが好ましい。また、導電体252aが、
酸化物230のチャネル長方向と交わる側面において、A側の側面と接する構成にしても
よい。このように、導電体252aが導電体285に加えて、酸化物230の側面と接す
る構成にすることにより、導電体252aと酸化物230のコンタクト部の上面積を増や
すことなく、コンタクト部の接触面積を増加させ、導電体252aと酸化物230の接触
抵抗を低減することができる。これにより、トランジスタのソース電極およびドレイン電
極の微細化を図りつつ、オン電流を大きくすることができる。
【0260】
図4(D)は、酸化物230と、導電体203との接続部、および導電体252bと、酸
化物230との接続部、の断面を示している。酸化物230bは、絶縁体220、絶縁体
222、絶縁体224、および酸化物230aに設けられた開口を介して、導電体203
と電気的に接続している。なお、導電体252bにおいても、上述した導電体252aと
同様に、導電体285の上面だけでなく、酸化物230の側面に接する構造としてもよい
【0261】
図4(A)および図4(D)に示すように、酸化物230aおよび酸化物230bは、絶
縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化物230aに形成された開口を包
含するように、当該開口と重なる領域における、E-F方向の幅を、当該開口の幅より広
く形成することが好ましい。よって、当該領域における、酸化物230aおよび酸化物2
30bのE-F方向の幅は、チャネルが形成される領域や、A側の領域における、酸化物
230aおよび酸化物230bのC-D方向の幅よりも広くなる場合がある。このような
構造にすることで、酸化物230bと導電体203のコンタクトを確実に行うことができ
る。
【0262】
<トランジスタの作製方法>
次に、本発明に係るトランジスタ200を有する半導体装置について、作製方法を図5
図22を用いて説明する。また、図5乃至図22において、各図の(A)は上面図を示
す。また、各図の(B)は(A)に示すA-Bの一点鎖線で示す部位に対応する断面図で
ある。また、各図の(C)は、(A)にC-Dの一点鎖線で示す部位に対応する断面図で
ある。また、各図の(D)は、(A)にE-Fの一点鎖線で示す部位に対応する断面図で
ある。
【0263】
まず、基板(図示しない)を準備し、当該基板上に絶縁体208を成膜する。絶縁体20
8の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor
Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Be
am Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser D
eposition)法またはALD(Atomic Layer Depositio
n)法などを用いて行うことができる。
【0264】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma E
nhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CV
D)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用い
る原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(
MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0265】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズ
マを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法で
ある。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)
などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、
蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合が
ある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じ
ないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜
中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0266】
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法で
ある。また、ALD法も、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が
得られる。
【0267】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは
異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって
、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に
、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の
高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速
度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが
好ましい場合もある。
【0268】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御するこ
とができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の
組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜し
ながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜す
ることができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用い
て成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くす
ることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0269】
本実施の形態では、絶縁体208として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
【0270】
次に、絶縁体208上に絶縁体210を形成する。本実施の形態では、絶縁体210とし
て、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する。また、絶縁体210は、多
層構造としてもよい。例えばスパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜し、該酸
化アルミニウム上にALD法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。ま
たは、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜し、該酸化アルミニウム上に、スパッタ
リング法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。
【0271】
次に、絶縁体210上に導電膜203Aおよび導電膜203Bを順に成膜する。導電膜2
03Aおよび導電膜203Bの形成は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD
法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、導電膜203Aと
して、スパッタリング法によってタングステンを成膜し、導電膜203Bとして、スパッ
タリング法によって窒化チタンを成膜する。なお、導電膜203Aとして、タングステン
の他に、アルミニウムや銅などの導電体を用いることができる。また、導電膜203Bは
、導電膜203Aよりも耐酸化性を有する(酸化しにくい)材料を用いるのが好ましく、
例えば金属窒化物を用いることができる。金属窒化物としては、窒化チタンの他に、窒化
タンタルなどを用いることができる。
【0272】
次に、導電膜203B上にリソグラフィー法を用いてマスク262を形成する(図5参照
。)。
【0273】
なお、リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光さ
れた領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当
該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを
所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマ
レーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジス
トを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に
液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代
えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用
いる場合には、マスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去には、アッシングなど
のドライエッチング処理を行う、ウェットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理
後にウェットエッチング処理を行う、またはウェットエッチング処理後にドライエッチン
グ処理を行うことができる。
【0274】
また、レジストマスクの代わりに絶縁体や導電体からなるハードマスクを用いてもよい。
ハードマスクを用いる場合、導電膜203B上にハードマスク材料となる絶縁膜や導電膜
を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチングすることで
所望の形状のハードマスクを形成することができる。
【0275】
次に、マスク262を用いて、導電膜203Aおよび導電膜203Bを加工し、導電体2
03aと、導電体203a上の導電体203bからなる導電体203と、導電体205a
と、導電体205a上の導電体205bからなる導電体205を形成する(図6参照。)
【0276】
該加工はドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッ
チング法による加工は微細加工に適している。
【0277】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:
Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いるこ
とができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型
電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の
電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞ
れに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに
周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するド
ライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング
装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Couple
d Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
【0278】
導電膜203A、および導電膜203Bのエッチングにハードマスクを用いる場合、当該
エッチング処理は、ハードマスクの形成に用いたレジストマスクを除去してから行っても
良いし、レジストマスクを残したまま行っても良い。後者の場合、エッチング中にレジス
トマスクが消失することがある。上記導電膜のエッチング後にハードマスクをエッチング
により除去しても良い。一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工
程で利用できる場合、必ずしもハードマスクを除去する必要は無い。
【0279】
次に絶縁体210、導電体203、および導電体205上に絶縁膜216Aを形成する(
図7参照)。絶縁膜216Aの形成は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD
法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁膜216Aと
して、CVD法によって酸化シリコンを形成する。
【0280】
次に、CMP処理を行うことで絶縁膜216Aの一部を除去し、導電体203および導電
体205を露出する。その結果、導電体203および導電体205の間、およびこれら導
電体の周囲に絶縁体216が残存する。これにより、上面が平坦な、絶縁体216、導電
体203、および導電体205を形成することができる(図8参照。)。なお、当該CM
P処理により、導電体203b、および導電体205bの一部が除去される場合がある。
【0281】
次に、絶縁体216、導電体203、および導電体205上に絶縁体220を成膜する。
絶縁体220の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD
法などを用いて行うことができる。
【0282】
次に、絶縁体220上に絶縁体222を成膜する。絶縁体222の成膜は、スパッタリン
グ法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0283】
特に、絶縁体222として、アルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含
む絶縁体を用いることが好ましい。アルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化
物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニ
ウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。絶縁体22
2は、ALD法により形成されることが好ましい。ALD法により成膜された絶縁体22
2は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体222が、水素および水
に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含ま
れる水素、および水は、トランジスタ200の内側へ拡散することなく、酸化物230中
の酸素欠損の生成を抑制することができる。
【0284】
次に、絶縁体222上に絶縁体224を成膜する。絶縁体224の成膜は、スパッタリン
グ法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる(図
9参照。)。
【0285】
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましく
は300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい
。第1の加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上
、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。第1の加熱処理は減圧状態で行っても
よい。または、第1の加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱
離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰
囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0286】
上記加熱処理によって、絶縁体224に含まれる水素や水などの不純物を除去することな
どができる。
【0287】
または、加熱処理として、減圧状態で酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。酸素を含
むプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する
装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF(Radio Frequency
)を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより高密度の酸素ラジカ
ルを生成することができ、基板側にRFを印加することで高密度プラズマによって生成さ
れた酸素ラジカルを効率よく絶縁体224内に導くことができる。または、この装置を用
いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った後に脱離した酸素を補うために酸素を含むプ
ラズマ処理を行ってもよい。尚、第1の加熱処理は行わなくても良い場合がある。
【0288】
また、加熱処理は、絶縁体220成膜後、および絶縁体222の成膜後のそれぞれに行う
こともできる。該加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができるが、絶縁体2
20成膜後の加熱処理は、窒素を含む雰囲気中で行うことが好ましい。
【0289】
本実施の形態では、加熱処理として、絶縁体224成膜後に窒素雰囲気にて400℃の温
度で1時間の処理を行なう。
【0290】
次に、絶縁体224上に、酸化物230aとなる酸化膜230Aを形成する。
【0291】
酸化膜230Aの形成はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD
法などを用いて行うことができる。
【0292】
例えば、酸化膜230Aをスパッタリング法によって形成する場合は、スパッタリングガ
スとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれ
る酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。ま
た、上記の酸化膜をスパッタリング法によって形成する場合は、上記のIn-M-Zn酸
化物ターゲットを用いることができる。
【0293】
特に、酸化膜230Aの形成時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体2
24に供給される場合がある。なお、酸化膜230Aのスパッタリングガスに含まれる酸
素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
【0294】
本実施の形態では、酸化膜230Aとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Z
n=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて形成する。なお、酸化膜は、成膜条件
、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わせて形成する
とよい。
【0295】
次に、リソグラフィー法を用いて、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および
酸化膜230Aに、導電体203へ到達する開口を形成する。まず、酸化膜230A上に
マスク263を形成する(図9参照。)。開口の形成に用いるマスク263は、レジスト
マスクでもよいし、ハードマスクでもよい。
【0296】
次に、マスク263を用いて、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化
膜230Aを加工し、導電体203の表面を露出することで、開口が形成される(図10
参照。)。該加工は、ドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる
。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。なお、絶縁体220、絶縁体
222、及び絶縁体224は、酸化膜230Aを介して加工される。詳述すると、導電体
203の表面の一部を露出させる際に、酸化膜230A上にレジストマスクやハードマス
クなどからなるマスクを形成し、その後、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、
および酸化膜230Aを加工する。すなわち、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体(絶縁
体220、絶縁体222、および絶縁体224)の表面にマスクが形成されない。したが
って、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体の表面に、マスクが付着しないため、レジスト
マスク等に含まれる不純物、ハードマスクに含まれる成分、およびマスク除去に用いる薬
液やプラズマに含まれる成分によるゲート絶縁膜の汚染やダメージを抑制できる。このよ
うなプロセスにより、信頼性の高い半導体装置の作製方法を提供できる。
【0297】
次に、酸化膜230A上に酸化膜230Bを形成する(図11参照。)。このとき、酸化
膜230Bは上記開口内部にも形成され、当該開口を介して導電体203と電気的に接続
する。酸化物230bと、導電体203とが、酸化物230aを介さずに接続する構成と
することで、直列抵抗及び接触抵抗を低減することが可能となる。このような構成により
、電気特性の良好な半導体装置が得られる。より具体的には、オン電流の向上したトラン
ジスタ、および当該トランジスタを用いた半導体装置が得られる。
【0298】
酸化膜230Bの形成はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD
法などを用いて行うことができる。
【0299】
例えば、酸化膜230Bをスパッタリング法によって形成する場合は、スパッタリングガ
スとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれ
る酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。ま
た、上記の酸化膜をスパッタリング法によって形成する場合は、上記のIn-M-Zn酸
化物ターゲットを用いることができる。
【0300】
酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素
の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠
乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体を用いたトランジスタは、
比較的高い電界効果移動度が得られる。
【0301】
本実施の形態では、酸化膜230Bとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Z
n=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。なお、酸化膜は、成膜
条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わせて形成
するとよい。
【0302】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができ
る。加熱処理によって、酸化膜230A、および酸化膜230B中の水素や水などの不純
物を除去することなどができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1
時間の処理を行なった後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行
う。
【0303】
次に、酸化膜230A、および酸化膜230Bを島状に加工して、酸化物230a、およ
び酸化物230bを形成する(図12参照。)。
【0304】
図12(A)および図12(D)に示すように酸化物230aおよび酸化物230bの絶
縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化物230aに形成された開口と重
なる領域における、E-F方向の幅を、当該開口の幅より広く形成することが好ましい。
よって、当該領域における、酸化物230aおよび酸化物230bのE-F方向の幅は、
チャネルが形成される領域や、A側の領域における、酸化物230aおよび酸化物230
bのC-D方向の幅よりも広くなる場合がある。このような構造にすることで、酸化物2
30bと導電体203のコンタクトを確実に行うことができる。また、容量素子100の
面積を大きくすることができ、容量素子100の大容量化が期待できる。
【0305】
なお、上記工程において、絶縁体224を島状に加工してもよい。また、絶縁体224に
対しては、ハーフエッチングを行ってもよい。絶縁体224に対してハーフエッチングを
行うことで、後の工程で形成する酸化物230cの下にも絶縁体224が残った状態で形
成される。なお、絶縁体224は、後の工程である絶縁膜272Aを加工する際に、島状
に加工することができる。その場合、絶縁体222をエッチングストッパ膜として用いて
もよい。
【0306】
ここで、酸化物230a、および酸化物230bは、少なくとも一部が導電体205と重
なるように形成する。また、酸化物230a、および酸化物230bの側面は、絶縁体2
22に対し、概略垂直であることが好ましい。酸化物230a、および酸化物230bの
側面が、絶縁体222に対し、概略垂直であることで、複数のトランジスタ200を設け
る際に、小面積化、高密度化が可能となる。なお、酸化物230a、および酸化物230
bの側面と絶縁体222の上面のなす角が鋭角になる構成にしてもよい。その場合、酸化
物230a、および酸化物230bの側面と絶縁体222の上面のなす角は大きいほど好
ましい。
【0307】
また、酸化物230a、および酸化物230bの側面と、酸化物230bの上面との間に
、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(
以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物230a、および酸化物230
bの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6n
m以下とすることが好ましい。
【0308】
なお、端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
【0309】
なお、当該酸化膜の加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、該加工はドライ
エッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による
加工は微細加工に適している。
【0310】
なお、リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光さ
れた領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当
該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを
所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマ
レーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジス
トを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に
液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代
えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用
いる場合には、マスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去には、アッシングなど
のドライエッチング処理を行う、ウェットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理
後にウェットエッチング処理を行う、またはウェットエッチング処理後にドライエッチン
グ処理を行うことができる。
【0311】
また、レジストマスクの代わりに絶縁体や導電体からなるハードマスクを用いてもよい。
ハードマスクを用いる場合、酸化膜230B上にハードマスク材料となる絶縁膜や導電膜
を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチングすることで
所望の形状のハードマスクを形成することができる。酸化膜230A、および酸化膜23
0Bのエッチングは、レジストマスクを除去してから行っても良いし、レジストマスクを
残したまま行っても良い。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失することが
ある。上記酸化膜のエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去しても良い。一
方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用できる場合、必ず
しもハードマスクを除去する必要は無い。
【0312】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:
Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いるこ
とができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型
電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の
電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞ
れに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに
周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するド
ライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング
装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Couple
d Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
【0313】
また、上記ドライエッチングなどの処理を行うことによって、エッチングガスなどに起因
した不純物が酸化物230a、および酸化物230bなどの表面または内部に付着または
拡散することがある。不純物としては、例えば、フッ素または塩素などがある。
【0314】
上記の不純物などを除去するために、洗浄を行う。洗浄方法としては、洗浄液など用いた
ウェット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理または、熱処理による洗浄などがあり、上
記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
【0315】
ウェット洗浄としては、シュウ酸、リン酸またはフッ化水素酸などを炭酸水または純水で
希釈した水溶液を用いて洗浄処理を行ってもよい。または、純水または炭酸水を用いた超
音波洗浄を行ってもよい。本実施の形態では、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行
う。
【0316】
続いて、加熱処理を行っても良い。加熱処理の条件は、前述の加熱処理の条件を用いるこ
とができる。
【0317】
次に、絶縁体224、酸化物230a、および酸化物230bの上に、酸化膜230C、
絶縁膜250A、導電膜260A、導電膜260B、絶縁膜270A、および絶縁膜27
1Aを順に成膜する(図13参照。)。
【0318】
酸化膜230Cの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD
法などを用いて行うことができる。酸化物230cに求める特性に合わせて、酸化膜23
0A、または酸化膜230Bと同様の成膜方法を用いて、酸化膜230Cを成膜すればよ
い。本実施の形態では、酸化膜230Cとして、スパッタリング法によって、In:Ga
:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。
【0319】
絶縁膜250Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法な
どを用いて成膜することができる。
【0320】
なお、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸素プラズマを発生させ、該酸素プラズマに
絶縁膜250Aを曝すことで、絶縁膜250A、酸化物230a、酸化物230b、およ
び酸化膜230Cへ酸素を導入することができる。
【0321】
また、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる
。該加熱処理によって、絶縁膜250Aの水分濃度および水素濃度を低減させることがで
きる。
【0322】
導電膜260Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法な
どを用いて成膜することができる。本実施の形態では、導電膜260Aとしてスパッタリ
ング法を用いて窒化チタンを形成した。
【0323】
また、導電膜260Bは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはAL
D法などを用いて成膜することができる。導電膜260Bとして、低抵抗の金属膜を積層
することで、駆動電圧が小さなトランジスタを提供することができる。本実施の形態では
、導電膜260Bとしてスパッタリング法を用いてタングステンを形成した。
【0324】
また、絶縁膜250Aと導電膜260Aの間にさらに導電体を設けてもよい。当該導電体
は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜
することができる。ここで、例えば、酸化物230として用いることができる酸化物半導
体は、低抵抗化処理を施すことで、導電性酸化物となる。そこで、酸化物230として用
いることができる酸化物を成膜し、後の工程で該酸化物を低抵抗化してもよい。なお、絶
縁膜250A上に、酸化物230として用いることができる酸化物を、酸素を含む雰囲気
において、スパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁膜250Aに酸素を添加する
ことができる。絶縁膜250Aに酸素を添加することで、添加された酸素は、絶縁膜25
0Aを介して、酸化物230に酸素を供給することが可能となる。
【0325】
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることが
できる。なお、加熱処理は行わなくてもよい場合がある。本実施の形態では、窒素雰囲気
にて400℃の温度で1時間の処理を行う。
【0326】
絶縁膜270Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法な
どを用いて成膜することができる。絶縁膜270Aは、バリア膜として機能するため、水
または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いる
。例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、またはハフニウムアルミネートなどを用
いることが好ましい。これにより、導電体260の酸化を防ぐことができる。また、導電
体260および絶縁体250を介して、水または水素などの不純物が酸化物230に混入
することを防ぐことができる。
【0327】
絶縁膜271Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法な
どを用いて成膜することができる。ここで、絶縁膜271Aの膜厚は、後の工程で成膜す
る絶縁膜272Aの膜厚より厚くすることが好ましい。これにより、後の工程で絶縁体2
72を形成する際、導電体260の上に絶縁体271を、容易に残存させることができる
【0328】
また、絶縁体271は、ハードマスクとして機能する。絶縁体271を設けることで、絶
縁体250の側面、導電体260aの側面、導電体260bの側面、導電体260cの側
面、および絶縁体270の側面を、基板に対し、概略垂直に形成することができる。
【0329】
次に、絶縁膜271Aを、エッチングし、絶縁体271を形成する。続いて、絶縁体27
1をマスクとして、絶縁膜250A、導電膜260A、導電膜260B、および絶縁膜2
70Aを、エッチングし、絶縁体250、導電体260(導電体260a、導電体260
b)、および絶縁体270を形成する(図14参照。)。なお、当該加工後も、当該ハー
ドマスクは除去せずに後工程を進めてもよい。当該ハードマスクは、後工程で実施される
ドーパントの添加においてもハードマスクとして機能することができる。
【0330】
また、絶縁体250の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面は、同一面
内であることが好ましい。また、絶縁体250の側面、導電体260の側面、および絶縁
体270の側面が共有する同一面は、基板に対し、概略垂直であることが好ましい。つま
り、断面形状において、絶縁体250、導電体260、および絶縁体270は、酸化物2
30の上面に対する角度が、鋭角、かつ大きいほど好ましい。なお、断面形状において、
絶縁体250、導電体260、および絶縁体270の側面と、絶縁体250と接する酸化
物230の上面のなす角が鋭角になる構成にしてもよい。その場合、絶縁体250、導電
体260、および絶縁体270の側面と、絶縁体250と接する酸化物230の上面のな
す角は大きいほど好ましい。
【0331】
また、絶縁体250、導電体260、および絶縁体270は、少なくとも一部が、導電体
205および酸化物230と重なるように形成する。
【0332】
また、上記エッチングにより、酸化膜230Cの絶縁体250と重ならない領域の上部が
エッチングされる場合がある。この場合、酸化膜230Cの絶縁体250と重なる領域の
膜厚が、絶縁体250と重ならない領域の膜厚より厚くなる場合がある。
【0333】
次に、酸化膜230C、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体27
1を覆って、絶縁膜272Aを成膜する(図15参照。)。絶縁膜272Aとして、被覆
性に優れたALD法により成膜することが好ましい。ALD法を用いることで、導電体2
60などにより形成された段差部においても、絶縁体250、導電体260、および絶縁
体270の側面に対して、均一な厚さを有する絶縁膜272Aを形成することができる。
【0334】
次に、絶縁膜272Aに異方性のエッチング処理を行い、絶縁体250、導電体260、
および絶縁体270の側面に接して、絶縁体272を形成する(図16参照。)。異方性
のエッチング処理としては、ドライエッチング処理を行うことが好ましい。これにより、
基板面に略平行な面に成膜された該絶縁膜を除去して、絶縁体272を自己整合的に形成
することができる。
【0335】
ここで、絶縁体270上に絶縁体271を形成しておくことで、絶縁体270上部の絶縁
膜272Aが除去されても、絶縁体270を残存させることができる。また、絶縁体25
0、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271からなる構造体の高さを、酸化物
230a、酸化物230b、および酸化膜230Cの高さよりも、高くすることで、酸化
膜230Cを介した酸化物230a、酸化物230bの側面の絶縁膜272Aを、除去す
ることができる。さらに、酸化物230a、酸化物230bの端部をラウンド形状にして
おくと、酸化物230a、酸化物230bの側面に、酸化膜230Cを介して成膜された
絶縁膜272Aを除去するための時間が短縮され、より容易に絶縁体272を形成するこ
とができる。
【0336】
次に、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、絶縁体271、および絶縁体272
をマスクとして、酸化膜230Cをエッチングし、酸化膜230Cの一部を除去し、酸化
物230cを形成する(図17参照。)。なお、本工程により、酸化物230bの上面お
よび側面と、酸化物230aの側面の一部が除去される場合がある。
【0337】
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cにおいて、領域231
、領域232、および領域234を形成してもよい。領域231、および領域232は、
酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cとして設けられた金属酸化物に
、インジウムなどの金属原子、または不純物を添加し、低抵抗化した領域である。なお、
各領域は、少なくとも、領域234における酸化物230bよりも、導電性が高い。
【0338】
領域231および領域232を低抵抗化するために、例えば、インジウムなどの金属元素
、および不純物の少なくとも一であるドーパントを添加すればよい。
【0339】
なお、ドーパントの添加方法としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加する
イオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、
プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。質量分
離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御することができる。一方、
質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加することができる。また、原子
または分子のクラスターを生成してイオン化するイオンドーピング法を用いてもよい。な
お、ドーパントを、イオン、ドナー、アクセプター、不純物または元素などと言い換えて
もよい。
【0340】
また、ドーパントは、プラズマ処理にて添加されてもよい。この場合、プラズマCVD装
置、ドライエッチング装置、アッシング装置を用いてプラズマ処理を行い、酸化物230
a、酸化物230b、および酸化物230cにドーパントを添加することができる。
【0341】
また、不純物をドーパントとして添加する場合、領域231に接するようにドーパントを
含む膜を成膜してもよい。例えば、ドーパントとして水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素
、またはリンなどを含む絶縁体274を酸化物230の領域231に接するように成膜す
る(図18参照。)。絶縁体274の成膜や成膜後の熱処理により、領域231は低抵抗
化し、領域232が形成される。絶縁体274に含まれるドーパントが領域231および
領域232へ拡散し、当該領域は低抵抗化すると考えられる。
【0342】
酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cは、インジウムの含有率を高く
することで、キャリア密度を高くし、低抵抗化を図ることができる。よって、ドーパント
として酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cのキャリア密度を向上さ
せるインジウムなどの金属元素を用いることができる。
【0343】
つまり、領域231、および領域232において、酸化物230a、酸化物230b、お
よび酸化物230cのインジウムなどの金属原子の含有率を高くすることで、電子移動度
を高くし、低抵抗化を図ることができる。
【0344】
従って、少なくとも領域231における元素Mに対するインジウムの原子数比が、領域2
34の元素Mに対するインジウムの原子数比よりも大きくなる。
【0345】
また、ドーパントとしては、上述の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲され
る元素などを用いればよい。このような元素としては、代表的には水素、ホウ素、炭素、
窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の
代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノン等がある。
【0346】
また、トランジスタ200において、領域232を設けることで、ソース領域およびドレ
イン領域として機能する領域231と、チャネルが形成される領域234との間に高抵抗
領域が形成されないため、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることがで
きる。また、領域232を有することで、チャネル長方向において、ソース領域およびド
レイン領域と、ゲートとが重ならないため、不要な容量が形成されるのを抑制することが
できる。また、領域232を有することで、非導通時のリーク電流を小さくすることがで
きる。
【0347】
従って、領域231a、および領域231bの範囲を適宜選択することにより、回路設計
に合わせて、要求に見合う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる
【0348】
本実施の形態では、絶縁体224、酸化物230、絶縁体271、および絶縁体272を
覆って、絶縁体274を成膜する(図18参照。)。
【0349】
絶縁体274として、例えばCVD法を用いて成膜した、窒化シリコン、窒化酸化シリコ
ン、酸化窒化シリコンを用いることができる。本実施の形態では、絶縁体274として、
窒化酸化シリコンを用いる。また、絶縁体274を容量素子100の誘電体として用いる
場合、その膜厚を1nm以上20nm以下、好ましくは、3nm以上10nm以下とする
【0350】
酸化物230に接して、窒素などの不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜すること
で、領域231a、および領域231bには、絶縁体274の成膜雰囲気に含まれる、水
素または窒素などの不純物元素が添加される。酸化物230の絶縁体274と接する領域
を中心に、添加された不純物元素により酸素欠損が形成され、さらに当該不純物元素が酸
素欠損に入り込むことで、キャリア密度が高くなり、低抵抗化される。その際、絶縁体2
74と接しない領域232にも不純物が拡散することで、低抵抗化される。
【0351】
よって、領域231a、および領域231bは、領域234より、水素および窒素の少な
くとも一方の濃度が大きくなることが好ましい。水素または窒素の濃度は、二次イオン質
量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometr
y)などを用いて測定すればよい。ここで、領域234の水素または窒素の濃度としては
、酸化物230bの絶縁体250と重なる領域の中央近傍(例えば、酸化物230bの絶
縁体250のチャネル長方向の両側面からの距離が概略等しい部分)の水素または窒素の
濃度を測定すればよい。
【0352】
なお、領域231、および領域232は、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕
獲される元素が添加されることで低抵抗化される。このような元素としては、代表的には
水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる
。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及び
キセノン等がある。よって、領域231、および領域232は、上記元素の一つまたは複
数を含む構成にすればよい。
【0353】
または、絶縁体274として、領域231、および領域232に含まれる酸素を引き抜き
、吸収する膜を用いてもよい。酸素が引き抜かれると、領域231、および領域232に
は酸素欠損が生じる。酸素欠損に水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素
、チタン、希ガス等が捕獲されることにより、領域231、および領域232は低抵抗化
する。
【0354】
不純物となる元素を含む絶縁体、あるいは酸化物230から酸素を引き抜く絶縁体として
絶縁体274を成膜する場合、絶縁体274の成膜は、スパッタリング法、CVD法、M
BE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0355】
不純物となる元素を含む絶縁体274の成膜は、窒素または水素の少なくとも一方を含む
雰囲気で行うことが好ましい。このような雰囲気で成膜を行うことで、酸化物230bお
よび酸化物230cの絶縁体250と重ならない領域を中心に、酸素欠損を形成し、当該
酸素欠損と窒素または水素などの不純物元素を結合させて、キャリア密度を高くすること
ができる。このようにして、低抵抗化された、領域231aおよび領域231bを形成す
ることができる。絶縁体274として、例えばCVD法を用いて形成した、窒化シリコン
、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンを用いることができる。本実施の形態では、絶縁
体274として、窒化酸化シリコンを用いる。
【0356】
また、絶縁体274を2層以上の絶縁体からなる積層構造としてもよい。絶縁体274は
、CVD法、ALD法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。ALD法
は、優れた段差被覆性、優れた厚さの均一性、および優れた膜厚の制御性を有するため、
酸化物230や、導電体260により形成された段差部の成膜には好適である。ALD法
を用いて、0.5nm以上5.0nm以下の膜厚を有する絶縁体を形成後、プラズマCV
D法を用いて、1nm以上20nm以下、好ましくは、3nm以上10nm以下の絶縁体
を積層して絶縁体274を形成してもよい。例えば、ALD法を用いて形成した酸化アル
ミニウム、酸化ハフニウム、またはアルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニ
ウムアルミネート)上に、プラズマCVD法を用いて形成した窒化シリコン、窒化酸化シ
リコン、酸化窒化シリコン、または酸化シリコンを積層して絶縁体274としてもよい。
または、プラズマCVD法を用いて、1nm以上20nm以下、好ましくは、3nm以上
10nm以下の絶縁体を形成して、単層の絶縁体274としてもよい。例えば、プラズマ
CVD法を用いて形成した窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、または
酸化シリコンを絶縁体274としてもよい。
【0357】
従って、絶縁体274の成膜により、ソース領域およびドレイン領域を自己整合的に形成
することができる。よって、微細化または高集積化された半導体装置も、歩留まり良く製
造することができる。
【0358】
ここで、導電体260および絶縁体250の上面および側面を、絶縁体270および絶縁
体272で覆っておくことで、窒素または水素などの不純物元素が、導電体260および
絶縁体250に混入することを防ぐことができる。これにより、窒素または水素などの不
純物元素が、導電体260および絶縁体250を通って、トランジスタ200のチャネル
形成領域として機能する領域234に混入することを防ぐことができる。従って、良好な
電気特性を有するトランジスタ200を提供することができる。
【0359】
なお、上記において、絶縁体274の成膜による酸化物230の低抵抗化、を用いて、領
域231、領域232、および領域234を形成したが、本実施の形態はこれに限られる
ものではない。例えば、ドーパントの添加処理、またはプラズマ処理を用いてもよいし、
これらを複数組み合わせて、各領域などを形成してもよい。
【0360】
例えば、絶縁体250、導電体260、絶縁体272、絶縁体270、および絶縁体27
1をマスクとして、酸化物230にプラズマ処理を行ってもよい。プラズマ処理は、上述
の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素を含む雰囲気などで行えば
よい。例えば、アルゴンガスと窒素ガスを用いてプラズマ処理を行えばよい。
【0361】
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることが
できる。加熱処理を行うことで、添加されたドーパントが、酸化物230の領域232へ
と拡散し、オン電流を大きくすることができる。
【0362】
次に、絶縁体274を覆って導電膜130Aを形成する(図19参照。)。導電膜130
Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成
膜することができる。
【0363】
次に、導電膜130Aをリソグラフィー法を用いて加工し、導電体130を形成する(図
20参照。)。導電膜130Aの加工には、ドライエッチング法、ウェットエッチング法
、あるいはこれらを組み合わせて用いることができる。ドライエッチング法では、異方性
エッチングが実現できることから、微細加工に優れているため好ましい。一方、等方性エ
ッチングが可能なウェットエッチングを用いることで、酸化物230の側面、絶縁体25
0の側面、および絶縁体272の側面の導電膜130Aの除去が容易となる。よって、ド
ライエッチング法とウェットエッチング法を組み合わせた加工は、良好な形状の導電体1
30を形成することができ好ましい。
【0364】
本実施の形態では、図20(B)および図20(D)に示すように、酸化物230の上方
に設けられる導電体130の一部が、酸化物230の外側まで広がるように設けられてい
る。具体的には、図20(B)において、導電体130は、酸化物230よりB側にはみ
出るように設けられており、図20(D)において、導電体130は、酸化物230より
E側、およびF側にはみ出るように設けられている。
【0365】
このような形状とすることで、容量素子100は、酸化物230の上面と導電体130の
間だけでなく、酸化物230の側面と導電体130の間でも容量を形成することができ、
好ましい。一方、セル600が占める面積に制限がある場合、導電体130が酸化物23
0からなるべくはみ出さないように形成することで、セル600の微細化が可能となり、
半導体装置の高集積化が実現できる。
【0366】
次に、絶縁体274および導電体130の上に、絶縁体280を成膜する(図21参照。
)。絶縁体280の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはA
LD法などを用いて行うことができる。または、スピンコート法、ディップ法、液滴吐出
法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)、ドクタ
ーナイフ法、ロールコーター法またはカーテンコーター法などを用いて行うことができる
。本実施の形態では、該絶縁膜として、酸化窒化シリコンを用いる。
【0367】
なお、絶縁体280は、上面が平坦性を有するように形成することが好ましい。例えば、
絶縁体280は、絶縁体280となる絶縁膜として成膜した直後に上面が平坦性を有して
いてもよい。または、例えば、絶縁体280は、成膜後に基板裏面などの基準面と平行に
なるよう絶縁体などを上面から除去していくことで平坦性を有してもよい。このような処
理を、平坦化処理と呼ぶ。平坦化処理としては、CMP処理、ドライエッチング処理など
がある。本実施の形態では、平坦化処理として、CMP処理を用いる。ただし、絶縁体2
80の上面は必ずしも平坦性を有さなくてもよい。
【0368】
次に、絶縁体280、および絶縁体274に酸化物230の領域231に達する開口、絶
縁体280に導電体130に達する開口、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体271、
および絶縁体270に導電体260に達する開口、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体
224、絶縁体222、および絶縁体220に導電体205に達する開口を形成する。当
該開口の形成は、リソグラフィー法を用いて行えばよい。
【0369】
なお、導電体252aが酸化物230の側面に接して設けられるように、酸化物230に
達する開口において、酸化物230の側面が露出するように、当該開口を形成する。
【0370】
次に、導電体252(導電体252a、導電体252b、導電体252c、導電体252
d)を形成する(図22参照。)。また、必要に応じて導電体252と電気的に接続する
導電体256を形成してもよい(図22参照。)。
【0371】
以上により、トランジスタ200および容量素子100を有する半導体装置を作製するこ
とができる。図5乃至図22に示すように、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を
用いることで、トランジスタ200および容量素子100を作製することができる。
【0372】
本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができ
る。または、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供すること
ができる。または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装置を提供すること
ができる。または、本発明の一態様により、オン電流の大きいトランジスタを提供するこ
とができる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することが
できる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された半導体装置を提供するこ
とができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することが
できる。
【0373】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0374】
(実施の形態2)
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ202を有する半導体装置の一例について
説明する。
【0375】
また、本実施の形態の半導体装置において、実施の形態1に示した半導体装置と同じ符号
を記した構成要素には、実施の形態1と同様な材料を用いることができる。また、特段記
載のない限り、本実施の形態で作製された構成要素は、実施の形態1に示した構成要素と
同様な構造上の特徴や、効果が得られるものとし、その説明は省略する。
【0376】
<半導体装置の構成例3>
図23(A)、図23(B)、図23(C)、および図23(D)は、本発明の一態様に
係るトランジスタ202の上面図、および断面図である。
【0377】
図23(A)は、トランジスタ202の上面図である。また、図23(B)、図23(C
)、および図23(D)はトランジスタ202の断面図である。ここで、図23(B)は
図23(A)にA-Bの一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ202のチ
ャネル長方向の断面図でもある。また、図23(C)は、図23(A)にC-Dの一点鎖
線で示す部位の断面図であり、トランジスタ202のチャネル幅方向の断面図でもある。
また、図23(D)は、図23(A)にE-Fの一点鎖線で示す部位の断面図である。図
23(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0378】
[トランジスタ202]
図23に示すように、トランジスタ202は、基板(図示せず)の上に配置された絶縁体
208、および絶縁体208上に配置された絶縁体210の上に、導電体209と、導電
体209の間を埋め込むように配置された絶縁体212と、導電体209および絶縁体2
12の上に配置された絶縁体216と、絶縁体216に埋め込まれるように配置された導
電体203および導電体205と、絶縁体216、導電体203および導電体205の上
に配置された絶縁体220と、絶縁体220の上に配置された絶縁体222と、絶縁体2
22の上に配置された絶縁体224と、絶縁体224の上に配置された酸化物230(酸
化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230d)と、酸化物2
30の上に配置された絶縁体250(絶縁体250a、および絶縁体250b)と、絶縁
体250の上に配置された導電体260(導電体260a、および導電体260b)と、
導電体260上に配置された絶縁体270と、絶縁体270上に配置された絶縁体271
と、少なくとも絶縁体250の側面、および導電体260の側面に接するように配置され
た絶縁体272と、絶縁体272の上面の一部および側面の一部に接するように配置され
た絶縁体273と、少なくとも酸化物230、絶縁体271、絶縁体272、および絶縁
体273を覆うように配置された絶縁体274と、を有する。
【0379】
また、トランジスタ202を覆うように絶縁体280が配置される。
【0380】
なお、絶縁体212は、導電体209を覆うように配置した絶縁膜を、CMP法などを用
いて導電体209が露出するまで研磨することで形成することができる。そのため、絶縁
体212、および導電体209は、表面の平坦性に優れる。
【0381】
また、導電体203、および導電体205は、絶縁体216に設けられた開口部に導電体
を埋め込むように形成する。絶縁体216および開口部を覆うように配置した導電膜を、
CMP法等を用いて絶縁体216が露出するまで研磨することで形成することができる。
そのため、絶縁体216、導電体203および導電体205は、表面の平坦性に優れる。
【0382】
また、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化物230aは、開口を有
している。また、酸化物230b、および酸化物230cは、上記開口を介して導電体2
03と電気的に接続している。酸化物230b、および酸化物230cと、導電体203
とが、酸化物230aを介さずに接続する構成とすることで、直列抵抗及び接触抵抗を低
減することが可能となる。このような構成により、電気特性の良好な半導体装置が得られ
る。より具体的には、オン電流の向上したトランジスタ、および当該トランジスタを用い
た半導体装置が得られる。
【0383】
また、導電体209は積層構造を有していてもよい。この場合、上層の導電体と比較して
、導電性に優れた導電体上に、下層の導電体と比較して、耐酸化性に優れた導電体を配置
する構成が好ましい。導電体209の上層に酸化しにくい材料を用いることで、絶縁体2
16の形成時、絶縁体216に設けられる開口部の形成時、および導電体205の形成時
に、導電体209の酸化を抑制することができる。これにより、導電体209の酸化によ
る電気抵抗の増加を抑制することができる。すなわち、導電体209と導電体205のコ
ンタクトは良好なものになる。
【0384】
なお、トランジスタ202では、図23に示すように、酸化物230a、酸化物230b
、および酸化物230c、および酸化物230dを積層する構成について示しているが、
本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230a、酸化物230cの2層
構造、酸化物230b、酸化物230cの2層構造、酸化物230a、酸化物230c、
および酸化物230dの3層構造、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物23
0dの3層構造、としてもよい。すなわち、酸化物230aおよび酸化物230bの一方
を設けなくてもよい。また、酸化物230dを設けなくてもよい。または5層以上の積層
構造としてもよい。また、酸化物230cのみの単層、または酸化物230cと酸化物2
30dのみを設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ202では、導電体260a
、および導電体260bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られる
ものではない。例えば、単層、または3層以上の積層構造としてもよい。
【0385】
ここで、図23(B)における破線で囲む、チャネル近傍の領域239の拡大図を図24
に示す。
【0386】
図23(B)および図24に示すように、酸化物230は、トランジスタ202のチャネ
ル形成領域として機能する領域234と、ソース領域またはドレイン領域として機能する
領域231(領域231a、および領域231b)との間に、領域232(領域232a
、および領域232b)を有する。ソース領域またはドレイン領域として機能する領域2
31は、キャリア密度が高い、低抵抗化した領域である。また、チャネル形成領域として
機能する領域234は、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231よりも
、キャリア密度が低い領域である。また、領域232は、ソース領域またはドレイン領域
として機能する領域231よりも、キャリア密度が低く、チャネル形成領域として機能す
る領域234よりも、キャリア密度が高い領域である。
【0387】
領域231において、導電体252aと接続する領域233は、領域231よりもキャリ
ア密度が高く、低抵抗化されていることが好ましい。領域231に領域233を設けるこ
とで、酸化物230と導電体252aのコンタクト抵抗を低減することができ、トランジ
スタ202は良好な電気特性を有することができる。領域233は、コンタクト領域と呼
ぶことができる。
【0388】
領域231、領域232、および領域233は、酸化物230に、ヘリウムやアルゴンに
代表される希ガスを添加することで設けることができる。希ガスの添加には、例えば、イ
オン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを
質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテ
ーション法、プラズマ処理などを用いることができる。
【0389】
酸化物230に希ガスが添加されると、酸化物230中の金属元素と酸素原子の結合が切
れ、酸化物230中に酸素欠損が生じると考えられる。酸素欠損が水素などの不純物を捕
獲することで、キャリアが生じ、酸化物230、すなわち領域231、領域232、およ
び領域233は低抵抗化する。水素などの不純物は、酸化物230中に存在している場合
がある。このとき、当該不純物は、金属元素や酸素原子とは未結合の状態で存在していて
もよい。また、酸化物230に接して設けられる絶縁体、例えば、絶縁体274から供給
することができる。
【0390】
領域234は、酸素欠損や、水素などの不純物が極力低減された、高純度化された領域で
ある。高純度化された酸化物は実質真性領域となり、領域234はチャネル形成領域とし
て機能することができる。
【0391】
また、図23および図24において、領域232は、ゲート電極として機能する導電体2
60と重なる様子を示しているが、本実施の形態はこれに限らない。領域231、および
領域232の形成方法によっては、領域232はゲート電極として機能する導電体260
と重ならない場合がある。
【0392】
領域232は、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231よりもキャリア
密度が低く、チャネル形成領域として機能する領域234よりもキャリア密度が高い領域
とすることができる。この場合、領域232は、チャネル形成領域と、ソース領域または
ドレイン領域との間の接合領域(junction region)として機能する。
【0393】
接合領域を設けることで、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231と、
チャネル形成領域として機能する領域234との間に高抵抗領域が形成されず、トランジ
スタのオン電流を大きくすることができるため、好ましい。
【0394】
領域234は、導電体260と重畳する。領域234は、領域232a、および領域23
2bとの間に配置しており、インジウムなどの金属元素、並びに水素、および窒素などの
不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域231、および領域232より、小さいことが
好ましい。
【0395】
また、酸化物230において、領域231、領域232、領域233、および領域234
の境界は明確に検出できない場合がある。各領域内で検出されるインジウムなどの金属元
素、並びに水素、および窒素などの不純物元素の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限ら
ず、各領域内でも連続的に変化(グラデーションともいう)していてもよい。つまり、領
域231から領域232へ、領域234に近い領域であるほど、インジウムなどの金属元
素、並びに水素、および窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
【0396】
また、図23(B)および図24では、領域234、領域231、領域232、および領
域233が、酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230d
に形成されているが、これに限られることなく、少なくとも酸化物230cに形成されて
いればよい。また、例えばこれらの領域は酸化物230c、および酸化物230dのみに
形成されていてもよい。また、図では、各領域の境界を、絶縁体224と酸化物230の
界面に対して略垂直に表示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例
えば、領域232が酸化物230cの表面近傍では領域234側に張り出し、酸化物23
0cの下面近傍では、領域231側に後退する形状になる場合がある。
【0397】
例えば、絶縁体250を絶縁体250a、および絶縁体250bを有する積層構造とし、
絶縁体250aの上に、酸素を含む雰囲気で絶縁体250bを形成することで、250a
により多くの酸素、すなわち過剰酸素を含ませることができる。
【0398】
また、絶縁体250の側面と接して、絶縁体272を設けることが好ましい。
【0399】
さらに、トランジスタ202は、水または水素などの不純物の混入を防ぐバリア性を有す
る絶縁体で囲まれていることが好ましい。
【0400】
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ202を有する半導体装置の詳細な構成に
ついて説明する。
【0401】
トランジスタ202において、導電体260は、第1のゲート電極として機能する場合が
ある。また、導電体205は、第2のゲート電極として機能する場合がある。その場合、
導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して
変化させることで、トランジスタ202のしきい値電圧を制御することができる。特に、
導電体205に負の電位を印加することにより、実質的にトランジスタ202のしきい値
電圧をプラス側にシフトすることができる。また、トランジスタ202のしきい値を0V
より大きくすることで、オフ電流を低減することが可能となる。従って、導電体260に
印加する電圧が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0402】
第2のゲート電極として機能する導電体205は、酸化物230および導電体260と重
なるように配置する。
【0403】
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電
極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域を
電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート電極、および第2のゲ
ート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、
surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0404】
導電体205は、絶縁体214および絶縁体216の開口の内壁に接して導電体205a
が形成され、さらに内側に導電体205bが形成されている。ここで、導電体205aお
よび導電体205bの上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。なお
、トランジスタ202では、導電体205aおよび導電体205bを積層する構成につい
て示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体205bのみを
設ける構成にしてもよい。
【0405】
ここで、導電体205aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒
素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有す
る(上記不純物が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例
えば、酸素原子、酸素分子など)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸
素が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純
物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一ま
たは、すべての拡散を抑制する機能とする。
【0406】
導電体205aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体205bが酸化し
て導電率が低下することを防ぐことができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性
材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなど
を用いることが好ましい。従って、導電体205aとしては、上記導電性材料を単層また
は積層とすればよい。これにより、絶縁体214より基板側から、水素、水などの不純物
が、導電体205を通じて、トランジスタ202側に拡散するのを抑制することができる
【0407】
また、導電体205bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性
材料を用いることが好ましい。なお、導電体205bを単層で図示したが、積層構造とし
ても良く、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0408】
導電体209は、電極や配線として機能することができる。導電体205を、トランジス
タ202の第2のゲート電極として用いる場合、導電体209の一部は、ゲート配線とし
て機能することができる。このとき、導電体207aおよび、導電体207a上に設けら
れた導電体207bからなる導電体207、および導電体209を介して、導電体205
と導電体252dを電気的に接続してもよい。導電体207は、導電体203および導電
体205と同じ工程で作製することができる。
【0409】
また、導電体209は、導電体203を介して酸化物230と電気的に接続しており、ト
ランジスタ202のソース配線またはドレイン配線として機能することができる。また、
導電体209は、絶縁体210より下層に位置する素子や配線と電気的に接続するための
電極として用いてもよい。
【0410】
酸化物230の下に、重なるように導電体203および導電体209を設けることで、ト
ランジスタ202と、絶縁体210より下層に位置する素子や配線と接続するためのプラ
グや電極をトランジスタ202に重ねて設けることができる。よって、セルサイズを縮小
できるため、好ましい。
【0411】
絶縁体210は、実施の形態1に示す絶縁体210と同様の材料を用いることができる。
【0412】
また、層間膜として機能する絶縁体212、および絶縁体216は、絶縁体210よりも
誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる
寄生容量を低減することができる。層間膜として機能する絶縁体212、および絶縁体2
16は、実施の形態1に示す絶縁体208、絶縁体216、および絶縁体280と同様の
材料を用いることができる。
【0413】
絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有す
る。絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224は、実施の形態1に示す絶縁体2
20、絶縁体222、および絶縁体224と同様の材料を用いることができる。
【0414】
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物23
0b上の酸化物230cと、酸化物230c上の酸化物230dと、を有する。また、酸
化物230は、領域231、領域232、領域233、および領域234を有する。なお
、領域231の少なくとも一部は、絶縁体274と接することが好ましい。また、領域2
31の少なくとも一部は、インジウムなどの金属元素、水素、および窒素の少なくとも一
の濃度が領域234よりも大きいことが好ましい。
【0415】
トランジスタ202をオンさせると、領域231a、または領域231bは、ソース領域
、またはドレイン領域として機能する。一方、領域234の少なくとも一部は、チャネル
が形成される領域として機能する。
【0416】
ここで、図24に示すように、酸化物230は、領域232を有することが好ましい。領
域232を接合領域とすることで、オン電流を大きくし、かつ、非導通時のリーク電流(
オフ電流)を小さくすることができる。
【0417】
また、酸化物230a、および酸化物230b上に、酸化物230cを有することで、酸
化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑
制することができる。また、酸化物230d下に、酸化物230cを有することで、酸化
物230dよりも上方に形成された構造物から、酸化物230cへの不純物の拡散を抑制
することができる。
【0418】
すなわち、酸化物230cに設けられた領域234は、酸化物230a、酸化物230b
、および酸化物230dに囲われ、当該領域の水素や窒素などの不純物濃度を低く維持す
ることができ、酸素濃度を高く維持することができる。このような構造を有する酸化物2
30を用いた半導体装置は、良好な電気特性を有し、高い信頼性を有する。
【0419】
また、酸化物230は、側面と上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上
面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例
えば、酸化物230cの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましく
は、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。
【0420】
酸化物230は、実施の形態1に示す酸化物230と同様の材料を用いることができる。
【0421】
ここで、酸化物230の領域234にについて説明する。
【0422】
領域234は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有することが好
ましい。具体的には、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの積層構
造を有する場合、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原
子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比
より、大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、構成
元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230cに用いる金属酸化物における、構成元素中
の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸
化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物に
おける、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230
bに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230cに用
いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。ま
た、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸
化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいこ
とが好ましい。また、酸化物230cに用いる金属酸化物において、元素Mに対するIn
の原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子
数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230dは、酸化物230a、酸化物23
0b、または酸化物230cに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
【0423】
酸化物230a、および酸化物230bには、例えばIn:Ga:Zn=1:3:4、I
n:Ga:Zn=1:3:2、またはIn:Ga:Zn=1:1:1の組成を有する金属
酸化物を用いることができる。また、酸化物230cには、例えばIn:Ga:Zn=4
:2:3、In:Ga:Zn=1:1:1、またはIn:Ga:Zn=5:1:6の組成
を有する金属酸化物を用いることができる。酸化物230dには、例えばIn:Ga:Z
n=1:3:4、In:Ga:Zn=1:3:2、In:Ga:Zn=4:2:3、また
はIn:Ga:Zn=1:1:1の組成を有する金属酸化物を用いることができる。なお
、上記組成は、基板上に形成された酸化物中の原子数比、またはスパッタターゲットにお
ける原子数比を示す。
【0424】
特に、酸化物230aとしてIn:Ga:Zn=1:3:4、酸化物230bとしてIn
:Ga:Zn=1:1:1、酸化物230cとしてIn:Ga:Zn=4:2:3、酸化
物230dとしてIn:Ga:Zn=1:1:1の組成を有する金属酸化物の組み合わせ
は、酸化物230cを、よりエネルギーギャップの広い酸化物230a、酸化物230b
と酸化物230dで挟むことができ、好ましい。このとき、エネルギーギャップの広い酸
化物230a、酸化物230b、および酸化物230dをワイドギャップ、相対的にエネ
ルギーギャップが狭い酸化物230cをナローギャップと呼ぶことがある。
【0425】
続いて、酸化物230の領域231について説明する。
【0426】
領域231は、酸化物230として設けられた金属酸化物に、インジウムなどの金属原子
、ヘリウムやアルゴンなどの希ガス、または水素や窒素などの不純物を添加し、低抵抗し
た領域である。なお、各領域は、少なくとも、領域234における酸化物230cよりも
、導電性が高い。なお、領域231に、金属原子、希ガス、または不純物を添加するため
に、例えば、プラズマ処理、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入
法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイ
マージョンイオンインプランテーション法、プラズマ処理などを用いて、金属元素、希ガ
ス、および不純物の少なくとも一であるドーパントを添加すればよい。
【0427】
つまり、領域231において、酸化物230のインジウムなどの金属原子の含有率を高く
することで、電子移動度を高くし、低抵抗化を図ることができる。
【0428】
または、酸化物230に接して、不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜することで
、領域231に、不純物を添加することができる。
【0429】
つまり、領域231は、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素が添
加されることで低抵抗化される。このような元素としては、代表的には水素、ホウ素、炭
素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元
素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノン等がある
。よって、領域231は、上記元素の一つまたは複数を含む構成にすればよい。
【0430】
または、絶縁体274として、領域231に含まれる酸素を引き抜き、吸収する膜を用い
てもよい。酸素が引き抜かれると、領域231には酸素欠損が生じる。酸素欠損に水素、
ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が捕獲されることに
より、領域231は低抵抗化する。
【0431】
領域232のチャネル長方向の幅は、絶縁体272および絶縁体273の幅により制御す
ることができる。
【0432】
従って、領域232の範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合
う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。
【0433】
絶縁体250は、ゲート絶縁膜として機能する。絶縁体250は、酸化物230dの上面
に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、加熱により酸素が放出される絶縁体
を用いて形成することが好ましい。例えば、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて
、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ま
しくは3.0×1020atoms/cm以上である酸化物膜である。なお、上記TD
S分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上
500℃以下の範囲が好ましい。
【0434】
例えば、絶縁体250を絶縁体250a、および絶縁体250bを有する積層構造として
もよい。加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250aとして、酸化物230d
の上面に接して設けることにより、酸化物230cの領域234に効果的に酸素を供給す
ることができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250a中の水または水素などの
不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250aの膜厚は、1nm以上20
nm以下、好ましくは5nm以上10nmとする。
【0435】
絶縁体250bは、形成時、あるいは形成後に、絶縁体250aに酸素を供給できる絶縁
体であることが好ましい。このような絶縁体は、酸素を含む雰囲気で、あるいは酸素を含
むターゲットを用いて形成することができる。例えば、スパッタリング法を用いて、酸素
を含む雰囲気中で、酸化アルミニウムを形成する。絶縁体250bの膜厚は、1nm以上
20nm以下、好ましくは5nm以上10nmとする。
【0436】
絶縁体250aの上に絶縁体250bを設けることで、絶縁体250aに、より多くの酸
素、すなわち過剰酸素を含ませることができる。
【0437】
第1のゲート電極として機能する導電体260は、導電体260a、および導電体260
a上の導電体260bを有する。導電体260aは、窒化チタンなどを用いることが好ま
しい。また、導電体260bとして、例えばタングステンなどの、導電性が高い金属を用
いることができる。
【0438】
導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、導電体260から生じる電界
と、導電体205から生じる電界により、酸化物230に形成されるチャネル形成領域を
覆うことができる。
【0439】
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電
極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域を
電気的に取り囲むことができる。
【0440】
また、バリア膜として機能する絶縁体272を、絶縁体250の側面、および導電体26
0の側面に接するように設ける。また、バリア膜として機能する絶縁体270を導電体2
60の上部に設ける。
【0441】
ここで、絶縁体270、および絶縁体272は、それぞれ実施の形態1に示す絶縁体27
0、および絶縁体272と同様の材料を用いることができる。
【0442】
また、トランジスタが微細化され、チャネル長が10nm以上30nm以下程度に形成さ
れている場合、トランジスタ202の周辺に設けられる構造体に含まれる不純物元素が拡
散し、領域231aと領域231b、あるいは、領域232aと領域232bと、が電気
的に導通する恐れがある。
【0443】
そこで、本実施の形態に示すように、絶縁体272および絶縁体273を形成することに
より、絶縁体250および導電体260に水素、水などの不純物が混入するのを抑制し、
かつ、絶縁体250中の酸素が外部に拡散することを防ぐことができる。従って、第1の
ゲート電圧が0Vのときに、ソース領域とドレイン領域が直接、あるいは領域232など
を介して電気的に導通することを防ぐことができる。
【0444】
絶縁体273は、絶縁体272よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を
層間膜とすることで、後述する導電体130と導電体260間に生じる寄生容量を低減す
ることができる。絶縁体273は、絶縁体212、および絶縁体216と同様の材料を用
いることができる。
【0445】
絶縁体274は、少なくとも酸化物230、絶縁体271、絶縁体272、および絶縁体
273を覆うように設ける。
【0446】
また、絶縁体274は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を
有する絶縁性材料を用いることが好ましい。例えば、絶縁体274として、窒化シリコン
、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなど
を用いることが好ましい。このような絶縁体274を形成することで、絶縁体274を透
過して酸素が混入し、領域231aおよび領域231bの酸素欠損に酸素を供給して、キ
ャリア密度が低下するのを防ぐことができる。また、絶縁体274を透過して水または水
素などの不純物が混入し、領域234に拡散するのを抑制することができる。
【0447】
なお、絶縁体274を成膜することにより、領域231を設ける場合、絶縁体274は、
水素および窒素の少なくとも一方を有することが好ましい。水素、または窒素などの不純
物を有する絶縁体を絶縁体274に用いることで、水素または窒素などの不純物を酸化物
230に添加して、酸化物230において、領域231を低抵抗化することができる。
【0448】
絶縁体274の上に、層間膜として機能する絶縁体280を設けることが好ましい。絶縁
体280は、絶縁体224などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度が低減さ
れていることが好ましい。なお、絶縁体280は、同様の絶縁体からなる積層構造として
もよい。
【0449】
[容量素子101]
図23に示すように、容量素子101は、トランジスタ202と共通の構造を有する構成
である。本実施の形態では、トランジスタ202の酸化物230に設けられた領域231
bの一部が、容量素子101の電極の一方として機能する容量素子101の例について示
す。
【0450】
容量素子101は、酸化物230の領域231bの一部、絶縁体274、絶縁体274上
の導電体130(導電体130a、導電体130b)を有する。さらに、導電体130の
少なくとも一部が領域231bの一部と重なるように配置されることが好ましい。
【0451】
酸化物230の領域231bの一部は、容量素子101の電極の一方として機能し、導電
体130は容量素子101の電極の他方として機能する。すなわち、領域231bは、ト
ランジスタ202のソースまたはドレインの一方としての機能と、容量素子101の電極
の一方としての機能を兼ねている。絶縁体274の一部は、容量素子101の誘電体とし
て機能する。
【0452】
ここで、トランジスタ202の第1のゲート電極として機能する導電体260の側面には
、絶縁体272、および絶縁体273が設けられている。導電体260と導電体130の
間に絶縁体272、および絶縁体273が設けられることで、導電体260と導電体13
0の間の寄生容量を低減することができる。
【0453】
導電体130は、導電体130a、および導電体130a上に配置された導電体130b
を含む積層構造であることが好ましい。例えば、導電体130aは、チタン、窒化チタン
、タンタル、または窒化タンタルを主成分とする導電性材料を用いることが好ましく、導
電体130bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用
いることが好ましい。導電体130は、単層構造としてもよいし、3層以上の積層構造と
してもよい。
【0454】
[セル601]
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ202と、容量素子101、層間膜として
機能する絶縁体280を有する。また、トランジスタ202および容量素子101と電気
的に接続し、プラグとして機能する導電体252(導電体252a、導電体252b、導
電体252c、および導電体252d)とを有する。
【0455】
容量素子101の電極として機能する導電体130と電気的に接続するプラグとして、導
電体252bを設けてもよい。導電体130は、複数のセル601が有する容量素子10
1の電極を共有することができる。このため、必ずしも各セル601に導電体252bを
設ける必要はなく、複数のセルに対して、当該セルの数より少ないプラグを設けてもよい
。例えば、セル601が、行列、またはマトリクス状に配置されたセルアレイにおいて、
各行に一つのプラグ、または各列に一つのプラグを設けてもよい。
【0456】
なお、導電体252は、絶縁体280の開口の内壁に接して形成されている。ここで、導
電体252の上面の高さと、絶縁体280の上面の高さは同程度にできる。なお、図23
では、導電体252が2層である構成について示しているが、本発明はこれに限られるも
のではない。例えば、導電体252は、単層、または3層以上の積層構造でもよい。
【0457】
絶縁体280は、絶縁体274および導電体130を覆うように設けることが好ましい。
絶縁体280は、絶縁体224などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度が低
減されていることが好ましい。なお、絶縁体280は、同様の絶縁体からなる積層構造と
してもよい。
【0458】
絶縁体280は、絶縁体210よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を
層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0459】
例えば、層間膜として機能する絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、
窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウ
ム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または
(Ba,Sr)TiO3(BST)などの絶縁体を単層または積層で用いることができる
。またはこれらの絶縁体に例えば酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、
酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジ
ルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理しても良い。上記の絶縁
体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0460】
また、絶縁体280などに形成された開口に、導電体252a、導電体252b、導電体
252c、および導電体252dを配置する。なお、導電体252a、導電体252b、
導電体252c、および導電体252dの上面は、絶縁体280の上面と、概略同じ高さ
としてもよい。
【0461】
導電体252aは、絶縁体280、および絶縁体274に形成された開口を介して、トラ
ンジスタ202のソース領域およびドレイン領域の一方として機能する領域233と接し
ている。領域233は低抵抗化されているので、導電体252aと領域233の接触抵抗
を低減することができる。また、導電体252bは、絶縁体280に形成された開口を介
して、容量素子101の電極の一方である導電体130と接している。また、導電体25
2cは、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体271、および絶縁体270に形成された
開口を介して、トランジスタ202の第1のゲート電極として機能する導電体260と接
している。また、導電体252dは、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体222、およ
び絶縁体220に形成された開口を介して、導電体207と接し、導電体209を介して
、トランジスタ202の第2のゲート電極として機能する導電体205と電気的に接続し
ている。
【0462】
ここで、導電体252aは、少なくとも酸化物230の上面と接し、さらに酸化物230
の側面と接することが好ましい。特に、導電体252aは、酸化物230のチャネル幅方
向と交わる側面において、C側の側面、およびD側の側面の双方または一方と接すること
が好ましい。また、導電体252aが、酸化物230のチャネル長方向と交わる側面にお
いて、A側の側面と接する構成にしてもよい。このように、導電体252aが酸化物23
0の上面に加えて、酸化物230の側面と接する構成にすることにより、導電体252a
と酸化物230のコンタクト部の上面積を増やすことなく、コンタクト部の接触面積を増
加させ、導電体252aと酸化物230の接触抵抗を低減することができる。これにより
、トランジスタのソース電極およびドレイン電極の微細化を図りつつ、オン電流を大きく
することができる。
【0463】
導電体252は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用
いることが好ましい。また、導電体252は積層構造としても良く、例えば、チタン、窒
化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0464】
導電体252を積層構造とする場合、絶縁体274、および絶縁体280と接する導電体
には、導電体205aなどと同様に、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を
有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、
窒化チタン、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水ま
たは水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用
いてもよい。該導電性材料を用いることで、絶縁体280より上層から水素、水などの不
純物が、導電体252を通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
【0465】
また、導電体252が埋め込まれた絶縁体274および絶縁体280の開口の内壁に接し
て、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する絶縁体が設けられる構成に
してもよい。このような絶縁体としては、絶縁体210に用いることができる絶縁体、例
えば、酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。これにより、絶縁体280などか
ら水素、水などの不純物が、導電体252を通じて酸化物230に混入するのを抑制する
ことができる。また、当該絶縁体は、例えばALD法またはCVD法などを用いて成膜す
ることで被覆性良く成膜することができる。
【0466】
また、図示しないが、導電体252の上面に接して配線として機能する導電体を配置して
もよい。配線として機能する導電体は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分
とする導電性材料を用いることが好ましい。
【0467】
<半導体装置の構成例4>
図25(A)、図25(B)、図25(C)、および図25(D)は、本発明の一態様に
係るトランジスタ204、容量素子102、およびトランジスタ204周辺の上面図、お
よび断面図である。なお、本明細書では、1つの容量素子、および少なくとも1つのトラ
ンジスタを有する半導体装置をセルと称する。
【0468】
図25に示すセル602は、トランジスタ204と容量素子102を有しており、先に説
明したトランジスタ202と比較して、導電体203、および導電体205の構造が異な
る。また、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271の形状が異
なる。
【0469】
導電体203、および導電体205は、導電体209および絶縁体212の上に設けられ
ている。導電体203、および導電体205は、導電体209と同様の材料を用いて、同
様の方法で作製することができる。一方、導電体203、および導電体205の加工の際
、導電体209の形状不良を引き起こす恐れがある場合は、導電体203、および導電体
205は、導電体209と異なる材料を用いることが好ましい。また、絶縁体216は、
絶縁体212と同様の材料を用いて、同様の方法で作製することができる。
【0470】
絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271は、その側面が傾斜し
ている。少なくとも、絶縁体250、および導電体260の側面に絶縁体272および絶
縁体273を形成する上で、絶縁体250、および導電体260の側面は、基板表面また
は絶縁体220や絶縁体222の表面に対して垂直であることが好ましい。一方、絶縁体
272および絶縁体273となる絶縁膜を形成する上では、絶縁体250、および導電体
260の側面は、傾斜を有していることで被覆性が向上し好ましい。絶縁体250、およ
び導電体260の側面の角度は、プロセス上の作りやすさも考慮して適宜調整することが
できる。
【0471】
図25に示すセル602においては、トランジスタ202と比較して、導電体203、お
よび導電体205の構造、および絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶
縁体271の形状が異なる例を示したが、導電体203、および導電体205の構造、お
よび絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271の形状の一方のみ
をトランジスタ202と異ならせる構成としてもよい。
【0472】
<半導体装置の構成例5>
図26(A)、図26(B)、図26(C)、および図26(D)は、本発明の一態様に
係るトランジスタ206、容量素子103、およびトランジスタ206周辺の上面図、お
よび断面図である。なお、本明細書では、1つの容量素子、および少なくとも1つのトラ
ンジスタを有する半導体装置をセルと称する。
【0473】
図26に示すセル603は、トランジスタ206と容量素子103を有しており、先に説
明したトランジスタ202と、領域231、および領域233上に酸化物230dがエッ
チングされず、残存している点で、異なる。
【0474】
この場合、酸化物230cの端部が酸化物230dに覆われ、酸化物230への不純物の
混入や、酸化物230からの酸素の放出などを抑制することができ、好ましい。
【0475】
また、導電体203、および導電体205を、図25に示した構造としてもよい。また、
絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271を、図25に示した形
状としてもよい。
【0476】
<セルアレイの構造>
ここで、本実施の形態のセルアレイの一例を、図27および図28に示す。例えば、図2
3に示すトランジスタ202、および容量素子101を有するセル601、およびセル6
01と電気的に接続するトランジスタ300を、行列、またはマトリクス状に配置するこ
とで、セルアレイを構成することができる。
【0477】
図27は、図23に示すセル601、およびセル601と電気的に接続するトランジスタ
300を、マトリクス状に配置したセルアレイの一形態を示す回路図である。また、図2
8(A)は、当該セルアレイの一部の回路620を抜き出した回路図であり、図28(B
)は、当該セルアレイに相当するセル601およびトランジスタ300の断面模式図であ
る。
【0478】
トランジスタ300は、半導体基板に設けられたトランジスタを用いることができる。当
該半導体基板は、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコン
を含むことが好ましい。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウ
ム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有
する半導体基板を用いてもよい。この場合、トランジスタ300は、pチャネル型、ある
いはnチャネル型のいずれでもよい。また、トランジスタ300として、トランジスタ2
02と同様に、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることもできる。
【0479】
図27においては、行方向に隣り合うセル601が有するトランジスタ202のソースお
よびドレインの一方が共通の配線(S01、S02、S03)と電気的に接続する。また
、当該配線は、列方向に配置されたセルが有するトランジスタ202のソースおよびドレ
インの一方とも電気的に接続する。一方、行方向に隣り合うセル601が有するトランジ
スタ202の第1のゲートは、異なる配線WL(WL01乃至WL06)と電気的に接続
する。また、各セル601が有するトランジスタ202の第2ゲートは、トランジスタ4
00と電気的に接続してもよい。トランジスタ400を介してトランジスタ202の第2
ゲートに印加される電位により、トランジスタのしきい値を制御することができる。
【0480】
また、セル601が有する容量素子101の第1の電極は、トランジスタ202のソース
およびドレインの他方、およびトランジスタ300のゲートと電気的に接続する。この時
、容量素子101の第1の電極は、トランジスタ202を構成する構造の一部からなる場
合がある。また、セル601が有する容量素子101の第2の電極は、配線PLと電気的
に接続する。容量素子101の第2の電極と電気的に接続する配線PLは、各セル601
で異なる電位を有していてもよいし、共通の電位を有していてもよい。例えば、配線PL
は、列毎に共通の電位を有していても良いし、行毎に共通の電位を有していてもよい。
【0481】
トランジスタ300のソースおよびドレインの一方は、配線SL(SL01乃至SL06
)と電気的に接続し、トランジスタ300のソースおよびドレインの他方は、配線BL(
BL01乃至BL06)と電気的に接続する。
【0482】
図28(B)に示すように、セル601aは、トランジスタ202aおよび容量素子10
1aを有し、トランジスタ300aのゲートと電気的に接続している。セル601bは、
トランジスタ202bおよび容量素子101bを有し、トランジスタ300bのゲートと
電気的に接続している。
【0483】
トランジスタ202aのソースおよびドレインの一方と、トランジスタ202bのソース
およびドレインの一方は、いずれもS02と電気的に接続している。
【0484】
トランジスタ202のソースおよびドレインの一方が、トランジスタ300のゲートおよ
び容量素子101aの第1の電極と電気的に接続することで、トランジスタ300のゲー
トに所望の電位を印加し、保持することができる。また、チャネル形成領域に酸化物半導
体を用いるトランジスタ202は、非導通状態におけるリーク電流が極めて小さい。よっ
て、トランジスタ300のゲート電極に印加された電位を長時間維持することができる。
【0485】
このようなセルアレイは、記憶装置や、演算回路として用いることができる。
【0486】
[トランジスタ400]
図29は、トランジスタ400の一態様を示す断面模式図である。トランジスタ400は
、トランジスタ202と異なる構造を有していてもよい。
【0487】
トランジスタ400は、トランジスタ202と共通の材料を用いて作製されるのが好まし
い。
【0488】
導電体409は、導電体209と同様の材料を用い、同じ工程で形成することができる。
導電体403および導電体405は、導電体203および導電体205と同様の材料を用
い、同じ工程で形成することができる。導電体405は、トランジスタ400の第2のゲ
ート電極として機能することができる。
【0489】
酸化物430a、酸化物430b、酸化物430c、および酸化物430dは、それぞれ
酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230dと同様の材料
を用い、同じ工程で形成することができる。トランジスタ400において、酸化物430
dの一部は、チャネル形成領域として機能し、酸化物430a、酸化物430b、酸化物
430c、および酸化物430dは、酸化物230と同様に低抵抗領域を有し、ソース領
域またはドレイン領域として機能する。また、酸化物430a、酸化物430b、および
酸化物430cには、より低抵抗なコンタクト領域が設けられていることが好ましい。
【0490】
絶縁体450a、および絶縁体450bは、それぞれ絶縁体250a、および絶縁体25
0bと同様の材料を用い、同じ工程で形成することができ、絶縁体450a、および絶縁
体450bを有する絶縁体450は、ゲート絶縁膜として機能することができる。導電体
460a、および導電体460bは、それぞれ導電体260a、および導電体260bと
同様の材料を用い、同じ工程で形成することができ、導電体460a、および導電体46
0bを有する導電体460は、第1のゲート電極として機能することができる。
【0491】
絶縁体470は、絶縁体270と同様の材料を用い、同じ工程で形成することができる。
絶縁体471は、絶縁体271と同様の材料を用い、同じ工程で形成することができる。
絶縁体472は、絶縁体272と同様の材料を用い、同じ工程で形成することができる。
絶縁体473は、絶縁体273と同様の材料を用い、同じ工程で形成することができる。
【0492】
絶縁体280および絶縁体274には開口部が設けられ、酸化物430に接続する導電体
452aおよび導電体452bが配置される。
【0493】
トランジスタ400において、ソース領域およびドレイン領域の一方は、酸化物430a
、絶縁体224、絶縁体222、および絶縁体220に設けられた開口を介して、導電体
403と電気的に接続する。また、導電体403は、導電体409を介して、第2のゲー
ト電極として機能する導電体405と電気的に接続する。また、当該ソース領域およびド
レイン領域の一方は、導電体452bを介して第2のゲート電極として機能する導電体4
60と電気的に接続する。すなわち、トランジスタ400は、ソース領域およびドレイン
領域の一方、第1のゲート電極、および第2のゲート電極が電気的に接続することで、ダ
イオード接続を構成している。
【0494】
ダイオード接続したトランジスタ400のソースおよびドレインの一方は、導電体409
および導電体209などを介して、トランジスタ202の第2のゲート電極と電気的に接
続する。これにより、トランジスタ202の第2のゲート電極の電位は、トランジスタ4
00により制御することができる。また、トランジスタ400は、酸化物430dにチャ
ネル形成領域が設けられているため、非導通状態におけるリーク電流は極めて小さい。よ
って、例えばトランジスタ202の第2のゲート電極に負電位を印加する場合、トランジ
スタ400に電源の供給を行わなくても、トランジスタ202の第2のゲート電極の電位
を長時間維持することができる。
【0495】
トランジスタ400は、各セル601に設ける必要はなく、複数のセルに対して、当該セ
ルの数より少ないトランジスタ400を設けてもよい。例えば、セル601が、行列、ま
たはマトリクス状に配置されたセルアレイにおいて、セルアレイに一つのトランジスタ4
00、各行に一つのトランジスタ400、または各列に一つのトランジスタ400を設け
てもよい。
【0496】
<半導体装置の作製方法>
次に、本発明に係るトランジスタ202を有する半導体装置について、作製方法を図30
乃至図50を用いて説明する。また、図30乃至図50において、各図の(A)は上面図
を示す。また、各図の(B)は(A)に示すA-Bの一点鎖線で示す部位に対応する断面
図である。また、各図の(C)は、(A)にC-Dの一点鎖線で示す部位に対応する断面
図である。また、各図の(D)は、(A)にE-Fの一点鎖線で示す部位に対応する断面
図である。
【0497】
また、本実施の形態の半導体装置の作製方法において、実施の形態1に示した半導体装置
の作製方法と同じ符号を記した構成要素には、実施の形態1と同様な材料、作製方法、お
よび作製装置を用いることができる。また、特段記載のない限り、本実施の形態で作製さ
れた構成要素は、実施の形態1に示した構成要素と同様な構造上の特徴や、効果が得られ
るものとし、その説明は省略する。
【0498】
まず、基板(図示しない)を準備し、当該基板上に絶縁体208を成膜する。絶縁体20
8の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用
いて行うことができる。
【0499】
本実施の形態では、絶縁体208として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
【0500】
次に、絶縁体208上に絶縁体210を形成する。本実施の形態では、絶縁体210とし
て、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する。また、絶縁体210は、多
層構造としてもよい。例えばスパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜し、該酸
化アルミニウム上にALD法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。ま
たは、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜し、該酸化アルミニウム上に、スパッタ
リング法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。
【0501】
次に、絶縁体210上に導電膜209Aを形成する。導電膜209Aの形成は、スパッタ
リング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる
。本実施の形態では、導電膜209Aとして、スパッタリング法によってタングステンを
成膜した。なお、導電膜209Aとして、タングステンの他に、アルミニウムや銅などの
導電体を用いることができる。また、導電膜209Aを積層構造としてもよく、上記導電
体上にチタンやタンタルを含む導電体を積層して設けてもよい。例えば、上記導電体上に
窒化チタン、または窒化タンタルなどの金属窒化物を用いることができる。
【0502】
次に、導電膜209A上にリソグラフィー法を用いてマスク262を形成する(図30
照。)。
【0503】
次に、マスク262を用いて、導電膜209Aを加工し、導電体209を形成する(図3
1参照。)。
【0504】
該加工はドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッ
チング法による加工は微細加工に適している。
【0505】
ドライエッチング装置としては、ドライエッチング装置を用いることができ、CCPエッ
チング装置や、ICPエッチング装置などを用いることができる。
【0506】
導電膜209Aのエッチングにハードマスクを用いる場合、当該エッチング処理は、ハー
ドマスクの形成に用いたレジストマスクを除去してから行っても良いし、レジストマスク
を残したまま行っても良い。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失すること
がある。上記導電膜のエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去しても良い。
一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用できる場合、必
ずしもハードマスクを除去する必要は無い。
【0507】
次に絶縁体210、導電体209上に絶縁膜212Aを形成する(図32参照)。絶縁膜
212Aの形成は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法な
どを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁膜212Aとして、CVD法によ
って酸化シリコンを形成する。
【0508】
次に、CMP処理を行うことで絶縁膜212Aの一部を除去し、導電体209を露出する
。その結果、導電体209の間、およびこれら導電体の周囲に絶縁体212が残存する。
これにより、上面が平坦な、絶縁体212、および導電体209を形成することができる
図33参照。)。なお、当該CMP処理により、導電体209の一部が除去される場合
がある。
【0509】
次に絶縁体212、および導電体209上に絶縁体216を成膜する。絶縁体216の成
膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行
うことができる。本実施の形態では、絶縁体216として、CVD法によって酸化シリコ
ンを成膜する。
【0510】
次に、絶縁体216に開口を形成する。開口とは、例えば、溝やスリットなども含まれる
。また、開口が形成された領域を指して開口部とする場合がある。開口の形成はウェット
エッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。
また、絶縁体216に開口を形成する場合、導電体209は、絶縁体216をエッチング
して溝を形成する際のエッチングストッパ膜として用いてもよい。
【0511】
開口の形成後に、導電体203a、および導電体205aとなる導電膜を成膜する。該導
電膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体を含むことが望ましい。たとえば、窒
化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル
、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金
との積層膜とすることができる。導電体203a、および導電体205aとなる導電体の
成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて
行うことができる。
【0512】
本実施の形態では、導電体203a、および導電体205aとなる導電膜として、スパッ
タリング法によって窒化タンタルまたは、窒化タンタルの上に窒化チタンを積層した膜を
成膜する。導電体203a、および導電体205aとしてこのような金属窒化物を用いる
ことにより、後述する導電体203b、および導電体205bで銅など拡散しやすい金属
を用いても、当該金属が導電体203a、および導電体205aから外に拡散するのを防
ぐことができる。
【0513】
次に、導電体203a、および導電体205aとなる導電膜上に、導電体203b、およ
び導電体205bとなる導電膜を成膜する。該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CV
D法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態
では、導電体203b、および導電体205bとなる導電膜として、タングステンや、銅
などの低抵抗導電性材料を成膜する。
【0514】
次に、CMP処理を行うことで、導電体203a、および導電体205aとなる導電膜、
ならびに導電体203b、および導電体205bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体2
16を露出する。その結果、開口部のみに、導電体203a、および導電体205aとな
る導電膜、ならびに導電体203b、および導電体205bとなる導電膜が残存する。こ
れにより、上面が平坦な、導電体203aおよび導電体203bを含む導電体203、お
よび導電体205aおよび導電体205bを含む導電体205を形成することができる(
図34参照。)。なお、当該CMP処理により、絶縁体216の一部が除去される場合が
ある。
【0515】
次に、絶縁体216、導電体203、および導電体205上に絶縁体220、絶縁体22
2、および絶縁体224を成膜する。絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224
は、実施の形態1と同様の方法により、同様の材料を用いて形成することができる(図3
4参照。)。
【0516】
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、実施の形態1に示す方法を用いること
ができる。上記加熱処理によって、絶縁体224に含まれる水素や水などの不純物を除去
することなどができる。尚、第1の加熱処理は行わなくても良い場合がある。
【0517】
また、加熱処理は、絶縁体220成膜後、および絶縁体222の成膜後のそれぞれに行う
こともできる。該加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができるが、絶縁体2
20成膜後の加熱処理は、窒素を含む雰囲気中で行うことが好ましい。
【0518】
本実施の形態では、加熱処理として、絶縁体224成膜後に窒素雰囲気にて400℃の温
度で1時間の処理を行なう。
【0519】
次に、絶縁体224上に、酸化物230aとなる酸化膜230Aを形成する。
【0520】
酸化膜230Aは、実施の形態1と同様の方法により、同様の材料を用いて形成すること
ができる。
【0521】
次に、リソグラフィー法を用いて、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および
酸化膜230Aに、導電体203へ到達する開口を形成する。まず、酸化膜230A上に
マスク263を形成する(図34参照。)。開口の形成に用いるマスク263は、レジス
トマスクでもよいし、ハードマスクでもよい。
【0522】
次に、マスク263を用いて、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化
膜230Aを加工し、導電体203の表面を露出することで、開口が形成される(図35
参照。)。該加工は、ドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる
。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。なお、絶縁体220、絶縁体
222、及び絶縁体224は、酸化膜230Aを介して加工される。詳述すると、導電体
203の表面の一部を露出させる際に、酸化膜230A上にレジストマスクやハードマス
クなどからなるマスクを形成し、その後、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、
および酸化膜230Aを加工する。すなわち、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体(絶縁
体220、絶縁体222、および絶縁体224)の表面にマスクが形成されない。したが
って、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体の表面に、マスクが付着しないため、レジスト
マスク等に含まれる不純物、ハードマスクに含まれる成分、およびマスク除去に用いる薬
液やプラズマに含まれる成分によるゲート絶縁膜の汚染やダメージを抑制できる。このよ
うなプロセスにより、信頼性の高い半導体装置の作製方法を提供できる。
【0523】
次に、酸化膜230A上に酸化膜230B、および酸化膜230Cを形成する(図36
照。)。このとき、酸化膜230B、および酸化膜230Cは上記開口内部にも形成され
、当該開口を介して導電体203と電気的に接続する。酸化物230b、および酸化物2
30cと、導電体203とが、酸化物230aを介さずに接続する構成とすることで、直
列抵抗及び接触抵抗を低減することが可能となる。このような構成により、電気特性の良
好な半導体装置が得られる。より具体的には、オン電流の向上したトランジスタ、および
当該トランジスタを用いた半導体装置が得られる。
【0524】
酸化膜230B、および酸化膜230Cの形成はスパッタリング法、CVD法、MBE法
、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0525】
酸化膜230Bの形成後、酸化膜230Cの形成は、大気雰囲気に曝すことなく、連続で
行われることが好ましい。酸化膜230Bの形成、および酸化膜230Cの形成は、マル
チチャンバ式の成膜装置を用いることで、酸化膜230Bの表面を大気雰囲気に曝すこと
なく、酸化膜230B上に酸化膜230Cを形成することができる。酸化膜230Bの形
成、および酸化膜230Cの形成を連続で行うことにより、酸化膜230B、および酸化
膜230Cの界面の汚染を防ぐことができ、これら酸化膜を用いた半導体装置は、良好な
特性および高い信頼性を有することができる。
【0526】
例えば、酸化膜230B、および酸化膜230Cをスパッタリング法によって形成する場
合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパ
ッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を
増やすことができる。また、上記の酸化膜をスパッタリング法によって形成する場合は、
上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットを用いることができる。
【0527】
酸化膜230B、および酸化膜230Cをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリ
ングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下と
して成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体を
用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。
【0528】
本実施の形態では、酸化膜230Bとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Z
n=1:1:1[原子数比]のターゲットを用いて成膜し、酸化膜230Cとして、スパ
ッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを
用いて成膜する。また、酸化膜230B、および酸化膜230Cの形成は、マルチチャン
バ式のスパッタリング装置を用い、大気雰囲気に曝すことなく連続で行う。なお、酸化膜
は、成膜条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わ
せて形成するとよい。
【0529】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができ
る。加熱処理によって、酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230C中の水
素や水などの不純物を除去することなどができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて4
00℃の温度で1時間の処理を行なった後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で
1時間の処理を行う。
【0530】
次に、酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230Cを島状に加工して、酸化
物230a、酸化物230b、および酸化物230cを形成する(図37参照。)。
【0531】
図37(A)および図37(D)に示すように酸化物230a、酸化物230b、および
酸化物230cの絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化物230aに
形成された開口と重なる領域における、E-F方向の幅を、当該開口の幅より広く形成す
ることが好ましい。よって、当該領域における、酸化物230a、酸化物230b、およ
び酸化物230cのE-F方向の幅は、チャネルが形成される領域や、A側の領域におけ
る、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cのC-D方向の幅よりも広
くなる場合がある。このような構造にすることで、酸化物230b、および酸化物230
cと導電体203のコンタクトを確実に行うことができる。また、容量素子101の面積
を大きくすることができ、容量素子101の大容量化が期待できる。
【0532】
なお、上記工程において、絶縁体224を島状に加工してもよい。また、絶縁体224に
対しては、ハーフエッチングを行ってもよい。絶縁体224に対してハーフエッチングを
行うことで、後の工程で形成する酸化物230dの下にも絶縁体224が残った状態で形
成される。なお、絶縁体224は、後の工程である導電膜260Aおよび導電膜260B
、または絶縁膜272Aを加工する際に、島状に加工することができる。その場合、絶縁
体222をエッチングストッパ膜として用いてもよい。
【0533】
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cは、少なくとも一部が
導電体205と重なるように形成する。また、酸化物230bの側面、および酸化物23
0cの側面は、酸化物230aの側面と同一平面を有していることが好ましい。また、酸
化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの側面は、絶縁体222に対し、
概略垂直であることが好ましい。このとき、酸化物230bの端部、および酸化物230
cの端部は、酸化物230aの端部と概略一致する。酸化物230a、酸化物230b、
および酸化物230cの側面が、絶縁体222に対し、概略垂直であることで、複数のト
ランジスタ202を設ける際に、小面積化、高密度化が可能となる。なお、酸化物230
a、酸化物230b、および酸化物230cの側面と絶縁体222の上面のなす角が鋭角
になる構成にしてもよい。その場合、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物2
30cの側面と絶縁体222の上面のなす角は大きいほど好ましい。
【0534】
また、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの側面と、酸化物230
cの上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲している
ことが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物230a、酸
化物230b、および酸化物230cの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm
以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。
【0535】
なお、端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
【0536】
なお、当該酸化膜の加工、および加工時に付着した不純物除去のための洗浄は、実施の形
態1に示す方法にて行うことができる。
【0537】
続いて、加熱処理を行っても良い。加熱処理の条件は、前述の加熱処理の条件を用いるこ
とができる。
【0538】
次に、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの上に、
酸化物230dとなる酸化膜230Dを成膜する(図38参照。)。
【0539】
酸化膜230Dの形成は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはAL
D法などを用いて行うことができる。酸化物230dに求める特性に合わせて、酸化膜2
30A、酸化膜230B、または酸化膜230Cと同様の成膜方法を用いて、酸化膜23
0Dを成膜すればよい。本実施の形態では、酸化膜230Dとして、スパッタリング法に
よって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。
【0540】
酸化膜230Dは、図39に示すように、島状に加工してもよい。絶縁体250、および
導電体260形成前に、酸化膜230Dを加工することで、後工程で形成される絶縁体2
50、および導電体260の下側に位置する酸化膜230Dの一部を除去することができ
る。これにより、隣り合うセル601の酸化膜230Dが分離され、セル601間の酸化
膜230Dを介したリークを防ぐことができ、好ましい。
【0541】
酸化膜230Dの加工は、ドライエッチングやウェットエッチングを用いることができる
。酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230Cの加工に用いた方法を用いて
もよい。
【0542】
次に、絶縁体224、酸化膜230Dの上に、絶縁膜250A、絶縁膜250B、導電膜
260A、導電膜260B、絶縁膜270A、および絶縁膜271Aを順に形成する(図
40参照。)。
【0543】
絶縁膜250A、および絶縁膜250Bは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、P
LD法またはALD法などを用いて成膜することができる。
【0544】
本実施の形態では、絶縁膜250Aとして、CVD法を用いて酸化窒化シリコンを形成し
、絶縁膜250Bとして、スパッタリング法を用いて、酸化アルミニウムを形成する。絶
縁膜250Aの膜厚は、1nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上10nmとする
。また、絶縁膜250Bの膜厚は、1nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上10
nmとする。絶縁膜250Bを、酸素を含む雰囲気中でスパッタリング法を用いて形成す
ることで、絶縁膜250Aに、より多くの酸素、すなわち過剰酸素を含ませることができ
るため好ましい。
【0545】
また、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる
。該加熱処理によって、絶縁膜250A、および絶縁膜250Bの水分濃度および水素濃
度を低減させることができる。
【0546】
導電膜260Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法な
どを用いて成膜することができる。本実施の形態では、導電膜260Aとしてスパッタリ
ング法を用いて窒化チタンを形成した。
【0547】
また、導電膜260Bは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはAL
D法などを用いて成膜することができる。導電膜260Bとして、低抵抗の金属膜を積層
することで、駆動電圧が小さなトランジスタを提供することができる。本実施の形態では
、導電膜260Bとしてスパッタリング法を用いてタングステンを形成した。
【0548】
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることが
できる。なお、加熱処理は行わなくてもよい場合がある。本実施の形態では、窒素雰囲気
にて400℃の温度で1時間の処理を行う。
【0549】
絶縁膜270A、および絶縁膜271Aは、実施の形態1と同様の方法により、同様の材
料を用いて形成することができる。
【0550】
また、絶縁体271は、ハードマスクとして機能する。絶縁体271を設けることで、絶
縁体250aの側面、絶縁体250bの側面、導電体260aの側面、導電体260bの
側面、および絶縁体270の側面を、基板に対し、概略垂直に形成することができる。
【0551】
次に、絶縁膜271Aを、エッチングし、絶縁体271を形成する。続いて、絶縁体27
1をマスクとして、絶縁膜250A、絶縁膜250B、導電膜260A、導電膜260B
、および絶縁膜270Aを、エッチングし、絶縁体250(絶縁体250a、絶縁体25
0b)、導電体260(導電体260a、導電体260b)、および絶縁体270を形成
する(図41参照。)。なお、当該加工後も、当該ハードマスクは除去せずに後工程を進
めてもよい。当該ハードマスクは、後工程で実施されるドーパントの添加においてもハー
ドマスクとして機能することができる。
【0552】
また、上記エッチングにより、酸化膜230Dの絶縁体250と重ならない領域の上部が
エッチングされる場合がある。この場合、酸化膜230Dの絶縁体250と重なる領域の
膜厚が、絶縁体250と重ならない領域の膜厚より厚くなる場合がある。
【0553】
また、上記エッチングにより、絶縁体224の酸化膜230Dと重ならない領域がエッチ
ングされる場合がある。この場合、酸化膜230Dおよび導電体260と重ならない領域
において、絶縁体222が露出する。
【0554】
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることが
できる。なお、加熱処理は行わなくてもよい場合がある。本実施の形態では、窒素雰囲気
にて400℃の温度で1時間の処理を行う。
【0555】
次に、酸化膜230D、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体27
1を覆って、絶縁膜272Aを成膜する(図42参照。)。
【0556】
次に、絶縁膜272Aで覆われた、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および
絶縁体271をマスクに用いて、酸化物230に希ガスを添加する。希ガスの添加には、
例えば、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された
原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンイ
ンプランテーション法、プラズマ処理などを用いることができる。希ガスを添加すること
で、酸化物230には、領域234と領域232が設けられる(図42参照。)。
【0557】
次に、絶縁膜272Aを覆って、絶縁膜273Aを成膜する(図43参照。)。絶縁膜2
73Aには、誘電率が低い材料を用いることが好ましく、絶縁体212、および絶縁体2
16と同様の材料を用いることができる。
【0558】
次に、絶縁膜273A、および絶縁膜272Aに異方性のエッチング処理を行い、絶縁体
250、導電体260、および絶縁体270の側面に接して、バリアとして機能する絶縁
体272、およびサイドウォールとして機能する絶縁体273を形成する(図44参照。
)。異方性のエッチング処理としては、ドライエッチング処理を行うことが好ましい。こ
れにより、絶縁体272、および絶縁体273を自己整合的に形成することができる。
【0559】
ここで、絶縁体270上に絶縁体271を形成しておくことで、絶縁体270上部の絶縁
膜273A、および絶縁膜272Aが除去されても、絶縁体270を残存させることがで
きる。また、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271からなる
構造体の高さを、酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化膜23
0Dの高さよりも、高くすることで、酸化膜230Dを介して成膜された酸化物230a
、酸化物230b、酸化物230cの側面の絶縁膜273A、および絶縁膜272Aを、
除去することができる。さらに、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230
cの端部をラウンド形状にしておくと、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物
230cの側面に、酸化膜230Dを介して成膜された絶縁膜273A、および絶縁膜2
72Aを除去するための時間が短縮され、より容易に絶縁体272、および絶縁体273
を形成することができる。
【0560】
次に、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、絶縁体271、絶縁体272、およ
び絶縁体273をマスクとして、酸化膜230Dをエッチングし、酸化膜230Dの一部
を除去し、酸化物230dを形成する(図45参照。)。なお、本工程により、酸化物2
30cの上面および側面と、酸化物230a、および酸化物230bの側面の一部が除去
される場合がある。
【0561】
ここで、酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230dにお
いて、領域231を形成してもよい。領域231は、酸化物230a、酸化物230b、
酸化物230c、および酸化物230dとして設けられた金属酸化物に、インジウムなど
の金属原子、または不純物を添加し、低抵抗化した領域である。なお、各領域は、少なく
とも、領域234における酸化物230bよりも、導電性が高い。
【0562】
領域231および領域232を低抵抗化するために、例えば、インジウムなどの金属原子
、ヘリウムやアルゴンなどの希ガス、または水素や窒素などの不純物の少なくとも一であ
るドーパントを添加すればよい。
【0563】
なお、ドーパントの添加には、実施の形態1と同様のドーパント、および添加方法を用い
ることができる。
【0564】
また、ドーパントは、プラズマ処理にて添加されてもよい。この場合、プラズマCVD装
置、ドライエッチング装置、アッシング装置を用いてプラズマ処理を行い、酸化物230
a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230dにドーパントを添加するこ
とができる。
【0565】
また、不純物をドーパントとして添加する場合、酸化物230に接するようにドーパント
を含む膜を形成してもよい。例えば、ドーパントとして水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ
素、またはリンなどを含む絶縁体274を、酸化物230d、絶縁体272、および絶縁
体273の外側に位置する酸化物230に接するように成膜し、領域231を形成する(
図46参照。)。絶縁体274の成膜や成膜後の熱処理により、領域231は低抵抗化す
る。絶縁体274に含まれるドーパントが領域231へ拡散し、当該領域は低抵抗化する
と考えられる。また、絶縁体274に含まれるドーパントが領域232にも拡散し、領域
232は、先の希ガスの添加により低下した抵抗値よりも、さらに低抵抗化する場合があ
る。
【0566】
酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物230dは、インジウ
ムの含有率を高くすることで、キャリア密度を高くし、低抵抗化を図ることができる。よ
って、ドーパントとして酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化
物230dのキャリア密度を向上させるインジウムなどの金属元素を用いることができる
【0567】
つまり、領域231、および領域232において、酸化物230a、酸化物230b、酸
化物230c、および酸化物230dのインジウムなどの金属原子の含有率を高くするこ
とで、電子移動度を高くし、低抵抗化を図ることができる。
【0568】
その場合、少なくとも領域231における元素Mに対するインジウムの原子数比が、領域
234の元素Mに対するインジウムの原子数比よりも大きくなる。
【0569】
また、トランジスタ202において、領域232を設けることで、ソース領域およびドレ
イン領域として機能する領域231と、チャネルが形成される領域234との間に高抵抗
領域が形成されないため、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることがで
きる。また、領域232を有することで、チャネル長方向において、ソース領域およびド
レイン領域と、ゲートとが重ならないため、不要な容量が形成されるのを抑制することが
できる。また、領域232を有することで、非導通時のリーク電流を小さくすることがで
きる。
【0570】
従って、領域231a、および領域231bの範囲を適宜選択することにより、回路設計
に合わせて、要求に見合う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる
【0571】
本実施の形態では、絶縁体224、酸化物230、絶縁体271、絶縁体272、および
絶縁体273を覆って、絶縁体274を成膜する(図46参照。)。
【0572】
絶縁体274は、実施の形態1と同様の方法により、同様の材料を用いて形成することが
できる。これにより、酸化物230cおよび酸化物230dの絶縁体250と重ならない
領域を中心に、酸素欠損を形成し、当該酸素欠損と窒素または水素などの不純物元素を結
合させて、キャリア密度を高くすることができる。このようにして、低抵抗化された、領
域231aおよび領域231bを形成することができる。
【0573】
また、実施の形態1に示すように、絶縁体274は、単層構造でもよいし、2層以上の絶
縁体からなる積層構造としてもよい。
【0574】
従って、絶縁体274の成膜により、ソース領域およびドレイン領域を自己整合的に形成
することができる。よって、微細化または高集積化された半導体装置も、歩留まり良く製
造することができる。
【0575】
ここで、導電体260および絶縁体250の上面および側面を、絶縁体270および絶縁
体272で覆っておくことで、窒素または水素などの不純物元素が、導電体260および
絶縁体250に混入することを防ぐことができる。これにより、窒素または水素などの不
純物元素が、導電体260および絶縁体250を通って、トランジスタ202のチャネル
形成領域として機能する領域234に混入することを防ぐことができる。従って、良好な
電気特性を有するトランジスタ202を提供することができる。
【0576】
なお、上記において、絶縁体274の成膜による酸化物230の低抵抗化、を用いて、領
域231を形成したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、ドーパン
トの添加処理、またはプラズマ処理を用いてもよいし、これらを複数組み合わせて、各領
域などを形成してもよい。
【0577】
例えば、絶縁体250、導電体260、絶縁体272、絶縁体273、絶縁体270、お
よび絶縁体271をマスクとして、酸化物230にプラズマ処理を行ってもよい。プラズ
マ処理は、上述の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素を含む雰囲
気などで行えばよい。例えば、アルゴンガスと窒素ガスを用いてプラズマ処理を行えばよ
い。
【0578】
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることが
できる。加熱処理を行うことで、添加されたドーパントが、酸化物230の領域231へ
と拡散し、オン電流を大きくすることができる。また、この加熱処理により、添加された
ドーパントが、領域232へと拡散する場合がある。
【0579】
次に、絶縁体274を覆って導電膜130A、および導電膜130Bを形成する(図46
参照。)。導電膜130A、および導電膜130Bは、スパッタリング法、CVD法、M
BE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。本実施の形態では
、導電膜130Aとして、スパッタリング法を用いて窒化チタンを形成し、導電膜130
Bとして、スパッタリング法を用いてタングステンを形成する。
【0580】
次に、導電膜130A、および導電膜130Bをリソグラフィー法を用いて加工し、導電
体130(導電体130a、導電体130b)を形成する(図47参照。)。導電膜13
0A、および導電膜130Bの加工は、実施の形態1に示す導電膜130Aの加工と同様
の方法を用いることができる。
【0581】
本実施の形態では、図47(B)および図47(D)に示すように、酸化物230の上方
に設けられる導電体130の一部が、酸化物230の外側まで広がるように設けられてい
る。具体的には、図47(D)において、導電体130は、酸化物230よりE側、およ
びF側にはみ出るように設けられている。
【0582】
このような形状とすることで、容量素子101は、酸化物230の上面と導電体130の
間だけでなく、酸化物230の側面と導電体130の間でも容量を形成することができ、
好ましい。よって、図47(B)において、導電体130が、酸化物230よりB側には
み出るように設けてもよい。一方、セル601が占める面積に制限がある場合、導電体1
30が酸化物230からなるべくはみ出さないように形成することで、セル601の微細
化が可能となり、半導体装置の高集積化が実現できる。
【0583】
導電体130は、隣り合うセル601の導電体130と繋がるように形成してもよい。
【0584】
次に、絶縁体274および導電体130の上に、絶縁体280を成膜する(図48参照。
)。絶縁体280は、実施の形態1と同様の方法により、同様の材料を用いて形成するこ
とができる。
【0585】
次に、絶縁体280、および絶縁体274に酸化物230の領域231に達する開口、絶
縁体280に導電体130に達する開口、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体271、
および絶縁体270に導電体260に達する開口、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体
222、および絶縁体220に導電体205に達する開口、を形成する。当該開口の形成
は、リソグラフィー法を用いて行えばよい。
【0586】
なお、導電体252aが酸化物230の側面に接して設けられるように、酸化物230に
達する開口において、酸化物230の側面が露出するように、当該開口を形成する。
【0587】
次に、上記開口により露出した酸化物230に希ガスを添加する。希ガスの添加には、上
記と同様に例えば、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオ
ン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョ
ンイオンインプランテーション法、プラズマ処理などを用いることができる。希ガスを添
加することで、酸化物230の領域231には、領域233が設けられる(図49参照。
)。
【0588】
次に、導電体252(導電体252a、導電体252b、導電体252c、導電体252
d)を形成する(図50参照。)。また、必要に応じて導電体252と電気的に接続する
導電体を形成してもよい。
【0589】
以上により、トランジスタ202および容量素子101を有する半導体装置を作製するこ
とができる。図30乃至図50に示すように、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法
を用いることで、トランジスタ202および容量素子101を作製することができる。
【0590】
本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができ
る。または、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供すること
ができる。または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装置を提供すること
ができる。または、本発明の一態様により、オン電流の大きいトランジスタを提供するこ
とができる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することが
できる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された半導体装置を提供するこ
とができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することが
できる。
【0591】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0592】
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図51、および図52を用いて説明する。
【0593】
[記憶装置1]
図51に示す記憶装置は、トランジスタ200、容量素子100、およびトランジスタ3
00と、を有している。
【0594】
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジ
スタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いるこ
とにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作
を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の消
費電力を十分に低減することができる。
【0595】
図51に示す記憶装置において、配線3001はトランジスタ300のソースと電気的に
接続され、配線3002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。ま
た、配線3003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方と電気的に接続さ
れ、配線3004はトランジスタ200の第1のゲートと電気的に接続され、配線300
6はトランジスタ200の第2のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジス
タ200のソースおよびドレインの他方は、容量素子100の電極の一方として機能し、
絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、および酸化物230aに形成された開口を
介して、トランジスタ300のゲートと電気的に接続されている。配線3005は容量素
子100の電極の他方と電気的に接続されている。
【0596】
図51に示す記憶装置は、トランジスタ300のゲートの電位が保持可能という特性を有
することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
【0597】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トラ
ンジスタ200が導通状態となる電位にして、トランジスタ200を導通状態とする。こ
れにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ300のゲート、および容量素子
100の電極の一方と電気的に接続するノードSNに与えられる。即ち、トランジスタ3
00のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位
レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。)のどちらか
が与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ200が
非導通状態となる電位にして、トランジスタ200を非導通状態とすることにより、ノー
ドSNに電荷が保持される(保持)。
【0598】
トランジスタ200のオフ電流が小さい場合、ノードSNの電荷は長期間にわたって保持
される。
【0599】
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与
えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、第2の配線
3002は、ノードSNに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ
300をnチャネル型とすると、トランジスタ300のゲートにHighレベル電荷が与
えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ300のゲート
にLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Lより低く
なるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ300を「導通状
態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがって、第5
の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることにより、ノー
ドSNに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードSNにHig
hレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(>Vth_
)となれば、トランジスタ300は「導通状態」となる。一方、ノードSNにLowレ
ベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(<Vth_L
となっても、トランジスタ300は「非導通状態」のままである。このため、第2の配線
3002の電位を判別することで、ノードSNに保持されている情報を読み出すことがで
きる。
【0600】
<記憶装置1の構造>
本発明の一態様の記憶装置は、図51に示すようにトランジスタ300、トランジスタ2
00、容量素子100を有する。トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設け
られ、容量素子100はトランジスタ200と同じ層に設けられている。
【0601】
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板3
11の一部からなる半導体領域313、およびソース領域またはドレイン領域として機能
する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
【0602】
トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0603】
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、またはド
レイン領域となる低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bなどにおいて、シリコ
ン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。
または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウ
ムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよ
い。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを
用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジス
タ300をHEMT(High Electron Mobility Transis
tor)としてもよい。
【0604】
低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導
体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp型
の導電性を付与する元素を含む。
【0605】
絶縁体315は、トランジスタ300のゲート絶縁膜として機能する。
【0606】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元
素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料
、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
【0607】
なお、導電体の材料により、仕事関数を定めることで、しきい値電圧を調整することがで
きる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好まし
い。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムな
どの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱
性の点で好ましい。
【0608】
なお、図51に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成
や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0609】
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁
体326が順に積層して設けられている。
【0610】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸化
シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸
化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0611】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を平
坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平
坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されて
いてもよい。
【0612】
また、絶縁体324には、基板311、またはトランジスタ300などから、トランジス
タ200が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用
いることが好ましい。
【0613】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコ
ンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体
素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、ト
ランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いるこ
とが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とす
る。
【0614】
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することがで
きる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、50℃から500
℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して
、10×1015atoms/cm以下、好ましくは5×1015atoms/cm
以下であればよい。
【0615】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁
体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体3
26の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下が
より好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減
することができる。
【0616】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子1
00、またはトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、および導電体330
等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配線
としての機能を有する。また、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の
構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、
配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配
線として機能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0617】
各プラグ、および配線(導電体328、および導電体330等)の材料としては、金属材
料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または
積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなど
の高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、
アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料
を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0618】
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図51におい
て、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。ま
た、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されてい
る。導電体356は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体356は、
導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0619】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する
絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する
導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有す
る開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トラ
ンジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トラン
ジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0620】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いる
とよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線として
の導電性を保持したまま、トランジスタ300からの水素の拡散を抑制することができる
。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を
有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
【0621】
絶縁体354、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、図51におい
て、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364が順に積層して設けられている。ま
た、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364には、導電体366が形成されてい
る。導電体366は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体366は、
導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0622】
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する
絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する
導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有す
る開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トラ
ンジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トラン
ジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0623】
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、図51におい
て、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374が順に積層して設けられている。ま
た、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374には、導電体376が形成されてい
る。導電体376は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体376は、
導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0624】
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する
絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する
導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有す
る開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トラ
ンジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トラン
ジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0625】
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、図51におい
て、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384が順に積層して設けられている。ま
た、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384には、導電体386が形成されてい
る。導電体386は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体386は、
導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0626】
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する
絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する
導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有す
る開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トラ
ンジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トラン
ジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0627】
絶縁体384、および導電体386上には絶縁体210が設けられている。絶縁体210
は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0628】
絶縁体210上に、導電体203、導電体205、および絶縁体216が設けられる。
【0629】
絶縁体210には、例えば、基板311、またはトランジスタ300を設ける領域などか
ら、トランジスタ200を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有
する膜を用いることが好ましい。従って、絶縁体324と同様の材料を用いることができ
る。
【0630】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用い
ることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、
水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、トランジス
タ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ま
しい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0631】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体210には、酸化アルミ
ニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0632】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素
、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸
化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの
不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ20
0を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ
200に対する保護膜として用いることに適している。
【0633】
絶縁体210の上方には、トランジスタ200および容量素子100が設けられている。
なお、トランジスタ200および容量素子100の構造は、先の実施の形態で説明したト
ランジスタ200および容量素子100を用いればよい。また、図51に示すトランジス
タ200は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトラ
ンジスタを用いればよい。
【0634】
図52は、トランジスタ200の上方に容量素子100を設けた例である。容量素子10
0の電極の一方には、トランジスタ200のソースおよびドレインの他方と電気的に接続
する導電体256を用いる。導電体256は、トランジスタ300のゲートと電気的に接
続する。導電体256上には、容量素子100の誘電体として機能する絶縁体120が設
けられる。また、絶縁体120を間に挟んで、導電体256と重なるように導電体131
が設けられる。導電体131は容量素子100の電極の他方として機能し、配線3005
と電気的に接続する。
【0635】
絶縁体120は、導電体256の側面を覆うように設けてもよい。また、導電体131は
、絶縁体120を介して導電体256の側面に設けられてもよい。このような構成にする
ことで、導電体256の上面とそれと向かい合う導電体131だけでなく、導電体256
の側面とそれと向かい合う導電体131で容量素子100を構成することができ、容量素
子100の上面面積を増やすことなく容量値を増加させることができ、好ましい。
【0636】
以上が構成例についての説明である。本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトラ
ンジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上
させることができる。または、オン電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを提
供することができる。または、オフ電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを提
供することができる。または、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる
【0637】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0638】
(実施の形態4)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図53乃至図56を用いて説明する。
【0639】
また、本実施の形態の半導体装置において、実施の形態1乃至実施の形態3に示した半導
体装置と同じ符号を記した構成要素には、実施の形態1乃至実施の形態3と同様な材料を
用いることができる。また、特段記載のない限り、本実施の形態で作製された構成要素は
、実施の形態1乃至実施の形態3に示した構成要素と同様な構造上の特徴や、効果が得ら
れるものとし、その説明は省略する。
【0640】
[記憶装置2]
図53(A)および図54に示す記憶装置は、実施の形態2に示すトランジスタ202、
および容量素子101と、トランジスタ300と、を有している。
【0641】
<記憶装置2の構造>
図53(A)に示す記憶装置は、トランジスタ300と、トランジスタ300上の、導電
体356が設けられた絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354と、絶縁体35
4、および導電体356上の絶縁体210と、絶縁体210上のトランジスタ202、お
よび容量素子101を有している。
【0642】
図54に示す記憶装置は、トランジスタ300と、トランジスタ300上の、導電体35
6が設けられた絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354と、導電体366が設
けられた絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364と、導電体376が設けられ
た絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374と、導電体386が設けられた絶縁
体380、絶縁体382、および絶縁体384と、絶縁体384、および導電体386上
の絶縁体210と、絶縁体210上のトランジスタ202、および容量素子101を有し
ている。
【0643】
また、図53(A)および図54に示すトランジスタ202と、容量素子101とは、共
通する構造を有しているため、投影面積が小さく、微細化および高集積化が可能である。
【0644】
図53(A)および図54に示す記憶装置における、情報の書き込み、保持、および読み
出しについては、実施の形態3に示す方法と同様に行えばよく、その説明は省略する。
【0645】
なお、図53(A)および図54に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限
定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0646】
ここで、図53(A)および図54において、W1-W2で示すトランジスタ300のW
幅方向の断面図を、図53(B)に示す。図53(B)に示すように、トランジスタ30
0はチャネルが形成される半導体領域313(基板311の一部)が凸形状を有する。ま
た、半導体領域313の側面および上面を、絶縁体315を介して、導電体316が覆う
ように設けられている。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。
このようなトランジスタ300は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トラ
ンジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして
機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を
形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよ
い。
【0647】
また、絶縁体324には、基板311、またはトランジスタ300などから、トランジス
タ202が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用
いることが好ましい。
【0648】
絶縁体354、および導電体356の上方には絶縁体210、絶縁体212、および絶縁
体216が、順に積層して設けられている。絶縁体210、絶縁体212、および絶縁体
216のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0649】
絶縁体210、絶縁体212、および絶縁体216には、例えば、基板311、またはト
ランジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ202を設ける領域に、水素や不
純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。従って、絶縁体3
24と同様の材料を用いることができる。
【0650】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体210、絶縁体212、
および絶縁体216には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属
酸化物を用いることが好ましい。
【0651】
また、例えば、絶縁体212、および絶縁体216には、比較的誘電率が低い材料を層間
膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体21
2、および絶縁体216として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いること
ができる。
【0652】
また、絶縁体210、絶縁体212、および絶縁体216には、導電体209、導電体2
03、および導電体205など、トランジスタ202を構成する導電体が埋め込まれてい
る。なお、導電体203、および導電体209は、トランジスタ202、およびトランジ
スタ300を電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体209
、導電体203、および導電体205は、導電体328、および導電体330と同様の材
料を用いて設けることができる。
【0653】
特に、絶縁体210、および絶縁体212と接する領域の導電体209は、酸素、水素、
および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トラ
ンジスタ300とトランジスタ202とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有
する層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ202への水素
の拡散を抑制することができる。
【0654】
絶縁体212の上方には、トランジスタ202および容量素子101が設けられている。
なお、トランジスタ202および容量素子101の構造は、先の実施の形態で説明したト
ランジスタ202および容量素子101を用いればよい。また、図53(A)に示すトラ
ンジスタ202および容量素子101は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や
駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0655】
ここで、図54では、トランジスタ300のゲートと、トランジスタ202のソースおよ
びドレインの他方は、導電体356、導電体366、導電体376、および導電体386
の4つの導電体を介して電気的に接続される例を示したが、本実施の形態はこれに限定さ
れない。トランジスタ300のゲートと、トランジスタ202のソースおよびドレインの
他方の間に設けられる導電体は、導電体356のみでも良いし、2つ、3つ、または5以
上設けてもよい。または、トランジスタ300のゲートと電気的に接続する導電体330
と、トランジスタ202のソースおよびドレインの他方と電気的に接続する導電体209
を直接接続してもよい。
【0656】
以上が構成例についての説明である。本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトラ
ンジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上
させることができる。または、オン電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを提
供することができる。または、オフ電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを提
供することができる。または、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる
【0657】
<記憶装置2の変形例>
また、本実施の形態の変形例の一例を、図55、および図56に示す。
【0658】
図55に示す記憶装置をメモリセルとして、集積することで、メモリセルアレイを構成す
ることができる。例えば、図56に示す回路図において、メモリセルがマトリクス状とな
るように、複数の記憶装置を設けるとよい。図55は、図53に示す記憶装置において、
トランジスタ202を集積した場合におけるメモリセルアレイの断面図の一例である。
【0659】
図55、および図56は、トランジスタ300a、トランジスタ202a、および容量素
子101aを有する記憶装置と、トランジスタ300b、トランジスタ202b、および
容量素子101bを有する記憶装置と、配線SL、配線RBL(RBL01およびRBL
02)、配線WBL(WBL01およびWBL02)、配線WWL、配線RWLと、を有
するメモリセルアレイである。
【0660】
例えば、図55に示すように、トランジスタ202aと、トランジスタ202bを重畳し
て設けることができる。また、トランジスタ300a、およびトランジスタ300bにお
いて、配線SLを共通して設けることができる。例えば、トランジスタ300a、および
トランジスタ300bにおいて、配線SLとして、低抵抗領域314aを共通に設けるこ
とで、配線やプラグの形成が不要となり、工程の短縮が可能となる。また、当該構成によ
り、半導体装置の小面積化、高集積化、微細化が可能となる。
【0661】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0662】
(実施の形態5)
本実施の形態では、図57乃至図60を用いて、本発明の一態様に係る、酸化物を半導体
に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ。)、および容量素子が適用され
ている記憶装置の一例として、NOSRAMについて説明する。NOSRAM(登録商標
)とは「Nonvolatile Oxide Semiconductor RAM」
の略称であり、ゲインセル型(2T型、3T型)のメモリセルを有するRAMを指す。な
お、以下において、NOSRAMのようにOSトランジスタを用いたメモリ装置を、OS
メモリと呼ぶ場合がある。
【0663】
NOSRAMでは、メモリセルにOSトランジスタが用いられるメモリ装置(以下、「O
Sメモリ」と呼ぶ。)が適用されている。OSメモリは、少なくとも容量素子と、容量素
子の充放電を制御するOSトランジスタを有するメモリである。OSトランジスタが極小
オフ電流のトランジスタであるので、OSメモリは優れた保持特性をもち、不揮発性メモ
リとして機能させることができる。
【0664】
<<NOSRAM>>
図57にNOSRAMの構成例を示す。図57に示すNOSRAM1600は、メモリセ
ルアレイ1610、コントローラ1640、行ドライバ1650、列ドライバ1660、
出力ドライバ1670を有する。なお、NOSRAM1600は、1のメモリセルで多値
データを記憶する多値NOSRAMである。
【0665】
メモリセルアレイ1610は複数のメモリセル1611、複数のワード線WWL、RWL
、ビット線BL、ソース線SLを有する。ワード線WWLは書き込みワード線であり、ワ
ード線RWLは読み出しワード線である。NOSRAM1600では、1のメモリセル1
611で3ビット(8値)のデータを記憶する。
【0666】
コントローラ1640は、NOSRAM1600全体を統括的に制御し、データWDA[
31:0]の書き込み、データRDA[31:0]の読み出しを行う。コントローラ16
40は、外部からのコマンド信号(例えば、チップイネーブル信号、書き込みイネーブル
信号など)を処理して、行ドライバ1650、列ドライバ1660および出力ドライバ1
670の制御信号を生成する。
【0667】
行ドライバ1650は、アクセスする行を選択する機能を有する。行ドライバ1650は
、行デコーダ1651、およびワード線ドライバ1652を有する。
【0668】
列ドライバ1660は、ソース線SLおよびビット線BLを駆動する。列ドライバ166
0は、列デコーダ1661、書き込みドライバ1662、DAC(デジタル-アナログ変
換回路)1663を有する。
【0669】
DAC1663は3ビットのデジタルデータをアナログ電圧に変換する。DAC1663
は32ビットのデータWDA[31:0]を3ビットごとに、アナログ電圧に変換する。
【0670】
書き込みドライバ1662は、ソース線SLをプリチャージする機能、ソース線SLを電
気的に浮遊状態にする機能、ソース線SLを選択する機能、選択されたソース線SLにD
AC1663で生成した書き込み電圧を入力する機能、ビット線BLをプリチャージする
機能、ビット線BLを電気的に浮遊状態にする機能等を有する。
【0671】
出力ドライバ1670は、セレクタ1671、ADC(アナログ-デジタル変換回路)1
672、出力バッファ1673を有する。セレクタ1671は、アクセスするソース線S
Lを選択し、選択されたソース線SLの電圧をADC1672に送信する。ADC167
2は、アナログ電圧を3ビットのデジタルデータに変換する機能を持つ。ソース線SLの
電圧はADC1672において、3ビットのデータに変換され、出力バッファ1673は
ADC1672から出力されるデータを保持する。
【0672】
なお、本実施の形態に示す、行ドライバ1650、列ドライバ1660、および出力ドラ
イバ1670の構成は、上記に限定されるものではない。メモリセルアレイ1610の構
成または駆動方法などに応じて、これらのドライバおよび当該ドライバに接続される配線
の配置を変更してもよいし、これらのドライバおよび当該ドライバに接続される配線の有
する機能を変更または追加してもよい。例えば、上記のソース線SLが有する機能の一部
を、ビット線BLに有せしめる構成にしてもよい。
【0673】
なお、上記においては、各メモリセル1611に保持させる情報量を3ビットとしたが
、本実施の形態に示す記憶装置の構成はこれに限られない。各メモリセル1611に保持
させる情報量を2ビット以下にしてもよいし、4ビット以上にしてもよい。例えば、各メ
モリセル1611に保持させる情報量を1ビットにする場合、DAC1663およびAD
C1672を設けない構成にしてもよい。
【0674】
<メモリセル>
図58(A)はメモリセル1611の構成例を示す回路図である。メモリセル1611は
2T型のゲインセルであり、メモリセル1611はワード線WWL、RWL、ビット線B
L、ソース線SL、配線BGLに電気的に接続されている。メモリセル1611は、ノー
ドSN、OSトランジスタMO61、トランジスタMP61、容量素子C61を有する。
OSトランジスタMO61は書き込みトランジスタである。トランジスタMP61は読み
出しトランジスタであり、例えばpチャネル型Siトランジスタで構成される。容量素子
C61はノードSNの電圧を保持するための保持容量である。ノードSNはデータの保持
ノードであり、ここではトランジスタMP61のゲートに相当する。
【0675】
メモリセル1611の書き込みトランジスタがOSトランジスタMO61で構成されてい
るため、NOSRAM1600は長時間データを保持することが可能である。
【0676】
図58(A)の例では、ビット線は、書き込みと読み出しで共通のビット線であるが、図
58(B)に示すように、書き込みビット線として機能する、ビット線WBLと、読み出
しビット線として機能する、ビット線RBLとを設けてもよい。
【0677】
図58(C)-図58(E)にメモリセルの他の構成例を示す。図58(C)-図58
E)には、書き込み用のビット線WBLと読み出し用のビット線RBLを設けた例を示し
ているが、図58(A)のように書き込みと読み出しで共有されるビット線を設けてもよ
い。
【0678】
図58(C)に示すメモリセル1612は、メモリセル1611の変形例であり、読み出
しトランジスタをnチャネル型トランジスタ(MN61)に変更したものである。トラン
ジスタMN61はOSトランジスタであってもよいし、Siトランジスタであってもよい
【0679】
メモリセル1611、1612において、OSトランジスタMO61はバックゲートの無
いOSトランジスタであってもよい。
【0680】
図58(D)に示すメモリセル1613は、3T型ゲインセルであり、ワード線WWL、
RWL、ビット線WBL、RBL、ソース線SL、配線BGL、PCLに電気的に接続さ
れている。メモリセル1613は、ノードSN、OSトランジスタMO62、トランジス
タMP62、トランジスタMP63、容量素子C62を有する。OSトランジスタMO6
2は書き込みトランジスタである。トランジスタMP62は読み出しトランジスタであり
、トランジスタMP63は選択トランジスタである。
【0681】
図58(E)に示すメモリセル1614は、メモリセル1613の変形例であり、読み出
しトランジスタおよび選択トランジスタをnチャネル型トランジスタ(MN62、MN6
3)に変更したものである。トランジスタMN62、MN63はOSトランジスタであっ
てもよいし、Siトランジスタであってもよい。
【0682】
メモリセル1611乃至メモリセル1614に設けられるOSトランジスタは、バックゲ
ートの無いトランジスタでもよいし、バックゲートが有るトランジスタであってもよい。
【0683】
上記においては、メモリセル1611などが並列に接続された、いわゆるNOR型の記憶
装置について説明したが、本実施の形態に示す記憶装置はこれに限られるものではない。
例えば、以下に示すようなメモリセル1615が直列に接続された、いわゆるNAND型
の記憶装置にしてもよい。
【0684】
図59はNAND型のメモリセルアレイ1610の構成例を示す回路図である。図59
示すメモリセルアレイ1610は、ソース線SL、ビット線RBL、ビット線WBL、ワ
ード線WWL、ワード線RWL、配線BGL、およびメモリセル1615を有する。メモ
リセル1615は、ノードSN、OSトランジスタMO63、トランジスタMN64、容
量素子C63を有する。ここで、トランジスタMN64は、例えばnチャネル型Siトラ
ンジスタで構成される。これに限られず、トランジスタMN64は、pチャネル型Siト
ランジスタ、であってもよいし、OSトランジスタであってもよい。
【0685】
以下では、図59に示すメモリセル1615aおよびメモリセル1615bを例として説
明する。ここで、メモリセル1615aまたはメモリセル1615bのいずれかに接続す
る配線、または回路素子の符号については、aまたはbの符号を付して表す。
【0686】
メモリセル1615aにおいて、トランジスタMN64aのゲートと、トランジスタM
O63aのソースおよびドレインの一方と、容量素子C63aの電極の一方とは、電気的
に接続されている。また、ビット線WBLとトランジスタMO63aのソースおよびドレ
インの他方とは、電気的に接続されている。また、ワード線WWLaと、トランジスタM
O63aのゲートとは、電気的に接続されている。また、配線BGLaと、トランジスタ
MO63aのバックゲートとは、電気的に接続されている。そして、ワード線RWLaと
、容量素子C63aの電極の他方は電気的に接続されている。
【0687】
メモリセル1615bは、ビット線WBLとのコンタクト部を対称の軸として、メモリ
セル1615aと対称的に設けることができる。よって、メモリセル1615bに含まれ
る回路素子も、上記メモリセル1615aと同じように配線と接続される。
【0688】
さらに、メモリセル1615aが有するトランジスタMN64aのソースは、メモリセ
ル1615bのトランジスタMN64bのドレインと電気的に接続される。メモリセル1
615aが有するトランジスタMN64aのドレインは、ビット線RBLと電気的に接続
される。メモリセル1615bが有するトランジスタMN64bのソースは、複数のメモ
リセル1615が有するトランジスタMN64を介してソース線SLと電気的に接続され
る。このように、NAND型のメモリセルアレイ1610では、ビット線RBLとソース
線SLの間に、複数のトランジスタMN64が直列に接続される。
【0689】
ここで、図60に、メモリセル1615aおよびメモリセル1615bに対応する断面図
を示す。メモリセル1615aおよびメモリセル1615bは、図29に示す記憶装置と
同様の構造を有する。すなわち、容量素子C63aおよび容量素子C63bは容量素子1
00と同様の構造を有し、OSトランジスタMO63aおよびOSトランジスタMO63
bはトランジスタ200と同様の構造を有し、トランジスタMN64aおよびトランジス
タMN64bはトランジスタ300と同様の構造を有する。なお、図60に示す構成で、
図29に示す構成と同じ符号が付されたものは、その記載を参酌することができる。
【0690】
メモリセル1615aにおいて、導電体130bは伸長して設けられてワード線RWLa
として機能し、導電体260は伸長して設けられてワード線WWLaとして機能し、導電
体205の下面に接する導電体209は伸長して設けられて配線BGLaとして機能する
。メモリセル1615bでも同様に、ワード線RWLb、ワード線WWLb、および配線
BGLbが設けられる。
【0691】
図60に示す低抵抗領域314bは、トランジスタMN64aのソース、およびトランジ
スタMN64bのドレインとして機能する。また、トランジスタMN64aのドレインと
して機能する低抵抗領域314aは、導電体328および導電体330を介してビット線
RBLと電気的に接続される。また、トランジスタMN64bのソースは、複数のメモリ
セル1615が有するトランジスタMN64、導電体328、および導電体330を介し
てソース線SLと電気的に接続される。
【0692】
また、導電体256は伸長して設けられてビット線WBLとして機能する。ここで、導電
体252aはワード線WBLのコンタクト部として機能し、トランジスタMO63aとト
ランジスタMO63bで共通して用いられる。このように、メモリセル1615aとメモ
リセル1615bで、ビット線WBLのコンタクト部を共有することにより、ビット線W
BLのコンタクト部の数を削減し、メモリセル1615の上面視における占有面積を低減
することができる。これにより、本実施の形態に係る記憶装置をさらに高集積化させるこ
とができ、単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
【0693】
図59に示すメモリセルアレイ1610を有する記憶装置では、同じワード線WWL(
またはワード線RWL)に接続された複数のメモリセル(以下、メモリセル列と呼ぶ。)
ごとに、書き込み動作および読み出し動作を行う。例えば、書き込み動作は次のように行
うことができる。書き込みを行うメモリセル列に接続されたワード線WWLにトランジス
タMO63がオン状態となる電位を与え、書き込みを行うメモリセル列のトランジスタM
O63をオン状態にする。これにより、指定したメモリセル列のトランジスタMN64の
ゲートおよび容量素子C63の電極の一方にビット線WBLの電位が与えられ、該ゲート
に所定の電荷が与えられる。このようにして、指定したメモリセル列のメモリセル161
5にデータを書き込むことができる。
【0694】
また、例えば、読み出し動作は次のように行うことができる。まず、読み出しを行うメ
モリセル列に接続されていないワード線RWLに、トランジスタMN64のゲートに与え
られた電荷によらず、トランジスタMN64がオン状態となるような電位を与え、読み出
しを行うメモリセル列以外のトランジスタMN64をオン状態とする。それから、読み出
しを行うメモリセル列に接続されたワード線RWLに、トランジスタMN64のゲートが
有する電荷によって、トランジスタMN64のオン状態またはオフ状態が選択されるよう
な電位(読み出し電位)を与える。そして、ソース線SLに定電位を与え、ビット線RB
Lに接続されている読み出し回路を動作状態とする。ここで、ソース線SL-ビット線R
BL間の複数のトランジスタMN64は、読み出しを行うメモリセル列を除いてオン状態
となっているため、ソース線SL-ビット線RBL間のコンダクタンスは、読み出しを行
うメモリセル列のトランジスタMN64の状態(オン状態またはオフ状態)によって決定
される。読み出しを行うメモリセル列のトランジスタMN64のゲートが有する電荷によ
って、トランジスタのコンダクタンスは異なるから、それに応じて、ビット線RBLの電
位は異なる値をとることになる。ビット線RBLの電位を読み出し回路によって読み出す
ことで、指定したメモリセル列のメモリセル1615から情報を読み出すことができる。
【0695】
容量素子C61、容量素子C62、または容量素子C63の充放電によってデータを書き
換えるため、NOSRAM1600は原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エ
ネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、長時間データを保持
することが可能であるので、リフレッシュ頻度を低減できる。
【0696】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1611、1612、1613、1614
、1615に用いる場合、OSトランジスタMO61、MO62、MO63としてトラン
ジスタ200を用い、容量素子C61、C62、C63として容量素子100を用い、ト
ランジスタMP61、MP62、MP63、MN61、MN62、MN63、MN64と
してトランジスタ300を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一
組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る記
憶装置をさらに高集積化させることができる。よって、本実施の形態に係る記憶装置の単
位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
【0697】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0698】
(実施の形態6)
本実施の形態では、図61および図62を用いて、本発明の一態様に係る、OSトランジ
スタ、および容量素子が適用されている記憶装置の一例として、DOSRAMについて説
明する。DOSRAM(登録商標)とは、「Dynamic Oxide Semico
nductor RAM」の略称であり、1T(トランジスタ)1C(容量)型のメモリ
セルを有するRAMを指す。DOSRAMも、NOSRAMと同様に、OSメモリが適用
されている。
【0699】
<<DOSRAM1400>>
図61にDOSRAMの構成例を示す。図61に示すように、DOSRAM1400は、
コントローラ1405、行回路1410、列回路1415、メモリセルおよびセンスアン
プアレイ1420(以下、「MC-SAアレイ1420」と呼ぶ。)を有する。
【0700】
行回路1410はデコーダ1411、ワード線ドライバ回路1412、列セレクタ141
3、センスアンプドライバ回路1414を有する。列回路1415はグローバルセンスア
ンプアレイ1416、入出力回路1417を有する。グローバルセンスアンプアレイ14
16は複数のグローバルセンスアンプ1447を有する。MC-SAアレイ1420はメ
モリセルアレイ1422、センスアンプアレイ1423、グローバルビット線GBLL、
GBLRを有する。
【0701】
(MC-SAアレイ1420)
MC-SAアレイ1420は、メモリセルアレイ1422をセンスアンプアレイ1423
上に積層した積層構造をもつ。グローバルビット線GBLL、GBLRはメモリセルアレ
イ1422上に積層されている。DOSRAM1400では、ビット線の構造に、ローカ
ルビット線とグローバルビット線とで階層化された階層ビット線構造が採用されている。
【0702】
メモリセルアレイ1422は、N個(Nは2以上の整数)のローカルメモリセルアレイ1
425<0>-1425<N-1>を有する。図62(A)にローカルメモリセルアレイ
1425の構成例を示す。ローカルメモリセルアレイ1425は、複数のメモリセル14
45、複数のワード線WL、複数のビット線BLL、BLRを有する。図62(A)の例
では、ローカルメモリセルアレイ1425の構造はオープンビット線型であるが、フォー
ルデッドビット線型であってもよい。
【0703】
図62(B)にメモリセル1445の回路構成例を示す。メモリセル1445はトランジ
スタMW1、容量素子CS1、端子B1、B2を有する。トランジスタMW1は容量素子
CS1の充放電を制御する機能をもつ。トランジスタMW1のゲートはワード線WLに電
気的に接続され、第1端子はビット線(BLL、またはBLR)に電気的に接続され、第
2端子は容量素子CS1の第1端子に電気的に接続されている。容量素子CS1の第2端
子は端子B2に電気的に接続されている。端子B2には、定電圧(例えば、低電源電圧)
が入力される。
【0704】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1445に用いる場合、トランジスタMW
1としてトランジスタ200を用い、容量素子CS1として容量素子100を用いること
ができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの上面視における占有面積を
低減することができるので、本実施の形態に係る記憶装置を高集積化させることができる
。よって、本実施の形態に係る記憶装置の単位面積当たりの記憶容量を増加させることが
できる。
【0705】
トランジスタMW1はバックゲートを備えており、バックゲートは端子B1に電気的に接
続されている。そのため、端子B1の電圧によって、トランジスタMW1の閾値電圧を変
更することができる。例えば、端子B1の電圧は固定電圧(例えば、負の定電圧)であっ
てもよいし、DOSRAM1400の動作に応じて、端子B1の電圧を変化させてもよい
【0706】
トランジスタMW1のバックゲートをトランジスタMW1のゲート、第1の端子、または
第2の端子に電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタMW1にバックゲートを
設けなくてもよい。
【0707】
センスアンプアレイ1423は、N個のローカルセンスアンプアレイ1426<0>-1
426<N-1>を有する。ローカルセンスアンプアレイ1426は、1のスイッチアレ
イ1444、複数のセンスアンプ1446を有する。センスアンプ1446には、ビット
線対が電気的に接続されている。センスアンプ1446は、ビット線対をプリチャージす
る機能、ビット線対の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。スイ
ッチアレイ1444は、ビット線対を選択し、選択したビット線対とグローバルビット線
対との間を導通状態にする機能を有する。
【0708】
ここで、ビット線対とは、センスアンプによって、同時に比較される2本のビット線のこ
とをいう。グローバルビット線対とは、グローバルセンスアンプによって、同時に比較さ
れる2本のグローバルビット線のことをいう。ビット線対を一対のビット線と呼ぶことが
でき、グローバルビット線対を一対のグローバルビット線と呼ぶことができる。ここでは
、ビット線BLLとビット線BLRが1組のビット線対を成す。グローバルビット線GB
LLとグローバルビット線GBLRとが1組のグローバルビット線対をなす。以下、ビッ
ト線対(BLL,BLR)、グローバルビット線対(GBLL,GBLR)とも表す。
【0709】
(コントローラ1405)
コントローラ1405は、DOSRAM1400の動作全般を制御する機能を有する。コ
ントローラ1405は、外部からの入力されるコマンド信号を論理演算して、動作モード
を決定する機能、決定した動作モードが実行されるように、行回路1410、列回路14
15の制御信号を生成する機能、外部から入力されるアドレス信号を保持する機能、内部
アドレス信号を生成する機能を有する。
【0710】
(行回路1410)
行回路1410は、MC-SAアレイ1420を駆動する機能を有する。デコーダ141
1はアドレス信号をデコードする機能を有する。ワード線ドライバ回路1412は、アク
セス対象行のワード線WLを選択する選択信号を生成する。
【0711】
列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414はセンスアンプアレイ1423
を駆動するための回路である。列セレクタ1413は、アクセス対象列のビット線を選択
するための選択信号を生成する機能をもつ。列セレクタ1413の選択信号によって、各
ローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444が制御される。センスア
ンプドライバ回路1414の制御信号によって、複数のローカルセンスアンプアレイ14
26は独立して駆動される。
【0712】
(列回路1415)
列回路1415は、データ信号WDA[31:0]の入力を制御する機能、データ信号R
DA[31:0]の出力を制御する機能を有する。データ信号WDA[31:0]は書き
込みデータ信号であり、データ信号RDA[31:0]は読み出しデータ信号である。
【0713】
グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)に電気
的に接続されている。グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBL
L,GBLR)間の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。グロー
バルビット線対(GBLL,GBLR)へのデータの書き込み、および読み出しは、入出
力回路1417によって行われる。
【0714】
DOSRAM1400の書き込み動作の概要を説明する。入出力回路1417によって、
データがグローバルビット線対に書き込まれる。グローバルビット線対のデータは、グロ
ーバルセンスアンプアレイ1416によって保持される。アドレス信号が指定するローカ
ルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444によって、グローバルビット線
対のデータが、対象列のビット線対に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ142
6は、書き込まれたデータを増幅し、保持する。指定されたローカルメモリセルアレイ1
425において、行回路1410によって、対象行のワード線WLが選択され、選択行の
メモリセル1445にローカルセンスアンプアレイ1426の保持データが書き込まれる
【0715】
DOSRAM1400の読み出し動作の概要を説明する。アドレス信号によって、ローカ
ルメモリセルアレイ1425の1行が指定される。指定されたローカルメモリセルアレイ
1425において、対象行のワード線WLが選択状態となり、メモリセル1445のデー
タがビット線に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426によって、各列のビ
ット線対の電圧差がデータとして検出され、かつ保持される。スイッチアレイ1444に
よって、ローカルセンスアンプアレイ1426の保持データの内、アドレス信号が指定す
る列のデータが、グローバルビット線対に書き込まれる。グローバルセンスアンプアレイ
1416は、グローバルビット線対のデータを検出し、保持する。グローバルセンスアン
プアレイ1416の保持データは入出力回路1417に出力される。以上で、読み出し動
作が完了する。
【0716】
容量素子CS1の充放電によってデータを書き換えるため、DOSRAM1400には原
理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび読
み出しが可能である。また、メモリセル1445の回路構成が単純であるため、大容量化
が容易である。
【0717】
トランジスタMW1はOSトランジスタである。OSトランジスタはオフ電流が極めて小
さいため、容量素子CS1から電荷がリークすることを抑えることができる。したがって
、DOSRAM1400の保持時間はDRAMに比べて非常に長い。したがってリフレッ
シュの頻度を低減できるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。よって、D
OSRAM1400は大容量のデータを高頻度で書き換えるメモリ装置、例えば、画像処
理に利用されるフレームメモリに好適である。
【0718】
MC-SAアレイ1420が積層構造であることよって、ローカルセンスアンプアレイ1
426の長さと同程度の長さにビット線を短くすることができる。ビット線を短くするこ
とで、ビット線容量が小さくなり、メモリセル1445の保持容量を低減することができ
る。また、ローカルセンスアンプアレイ1426にスイッチアレイ1444を設けること
で、長いビット線の本数を減らすことができる。以上の理由から、DOSRAM1400
のアクセス時に駆動する負荷が低減され、消費電力を低減することができる。
【0719】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0720】
(実施の形態7)
本実施の形態では、図63から図66を用いて、本発明の一態様に係る、OSトランジス
タ、および容量素子が適用されている半導体装置の一例として、FPGA(フィールドプ
ログラマブルゲートアレイ)について説明する。本実施の形態のFPGAは、コンフィギ
ュレーションメモリ、およびレジスタにOSメモリが適用されている。ここでは、このよ
うなFPGAを「OS-FPGA」と呼ぶ。
【0721】
<<OS-FPGA>>
図63(A)にOS-FPGAの構成例を示す。図63(A)に示すOS-FPGA31
10は、マルチコンテキスト構造によるコンテキスト切り替えとPLE毎の細粒度パワー
ゲーティングを実行するNOFF(ノーマリオフ)コンピューティングが可能である。O
S-FPGA3110は、コントローラ(Controller)3111、ワードドラ
イバ(Word driver)3112、データドライバ(Data driver)
3113、プログラマブルエリア(Programmable area)3115を有
する。
【0722】
プログラマブルエリア3115は、2個の入出力ブロック(IOB)3117、コア(C
ore)3119を有する。IOB3117は複数のプログラマブル入出力回路を有する
。コア3119は、複数のロジックアレイブロック(LAB)3120、複数のスイッチ
アレイブロック(SAB)3130を有する。LAB3120は複数のPLE3121を
有する。図63(B)には、LAB3120を5個のPLE3121で構成する例を示す
図63(C)に示すようにSAB3130はアレイ状に配列された複数のスイッチブロ
ック(SB)3131を有する。LAB3120は自身の入力端子と、SAB3130を
介して4(上下左右)方向のLAB3120に接続される。
【0723】
図64(A)乃至図64(C)を参照して、SB3131について説明する。図64(A
)に示すSB3131には、data、datab、信号context[1:0]、w
ord[1:0]が入力される。data、databはコンフィギュレーションデータ
であり、dataとdatabは論理が相補的な関係にある。OS-FPGA3110の
コンテキスト数は2であり、信号context[1:0]はコンテキスト選択信号であ
る。信号word[1:0]はワード線選択信号であり、信号word[1:0]が入力
される配線がそれぞれワード線である。
【0724】
SB3131は、PRS(プログラマブルルーティングスイッチ)3133[0]、31
33[1]を有する。PRS3133[0]、3133[1]は、相補データを格納でき
るコンフィギュレーションメモリ(CM)を有する。なお、PRS3133[0]とPR
S3133[1]とを区別しない場合、PRS3133と呼ぶ。他の要素についても同様
である。
【0725】
図64(B)にPRS3133[0]の回路構成例を示す。PRS3133[0]とPR
S3133[1]とは同じ回路構成を有する。PRS3133[0]とPRS3133[
1]とは入力されるコンテキスト選択信号、ワード線選択信号が異なる。信号conte
xt[0]、word[0]はPRS3133[0]に入力され、信号context[
1]、word[1]はPRS3133[1]に入力される。例えば、SB3131にお
いて、信号context[0]が“H”になることで、PRS3133[0]がアクテ
ィブになる。
【0726】
PRS3133[0]は、CM3135、SiトランジスタM31を有する。Siトラン
ジスタM31は、CM3135により制御されるパストランジスタである。CM3135
は、メモリ回路3137、3137Bを有する。メモリ回路3137、3137Bは同じ
回路構成である。メモリ回路3137は、容量素子C31、OSトランジスタMO31、
MO32を有する。メモリ回路3137Bは、容量素子CB31、OSトランジスタMO
B31、MOB32を有する。
【0727】
上記実施の形態に示す半導体装置をSAB3130に用いる場合、OSトランジスタMO
31、MOB31としてトランジスタ200を用い、容量素子C31、CB31として容
量素子100を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの
上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る半導体装置を
高集積化させることができる。
【0728】
OSトランジスタMO31、MO32、MOB31、MOB32はバックゲートを有し、
これらバックゲートはそれぞれ固定電圧を供給する電源線に電気的に接続されている。
【0729】
SiトランジスタM31のゲートがノードN31であり、OSトランジスタMO32のゲ
ートがノードN32であり、OSトランジスタMOB32のゲートがノードNB32であ
る。ノードN32、NB32はCM3135の電荷保持ノードである。OSトランジスタ
MO32はノードN31と信号context[0]用の信号線との間の導通状態を制御
する。OSトランジスタMOB32はノードN31と低電位電源線VSSとの間の導通状
態を制御する。
【0730】
メモリ回路3137、3137Bが保持するデータの論理は相補的な関係にある。したが
って、OSトランジスタMO32またはMOB32の何れか一方が導通する。
【0731】
図64(C)を参照して、PRS3133[0]の動作例を説明する。PRS3133[
0]にコンフィギュレーションデータが既に書き込まれており、PRS3133[0]の
ノードN32は“H”であり、ノードNB32は“L”である。
【0732】
信号context[0]が“L”である間はPRS3133[0]は非アクティブであ
る。この期間に、PRS3133[0]の入力端子(input)が“H”に遷移しても
、SiトランジスタM31のゲートは“L”が維持され、PRS3133[0]の出力端
子(output)も“L”が維持される。
【0733】
信号context[0]が“H”である間はPRS3133[0]はアクティブである
。信号context[0]が“H”に遷移すると、CM3135が記憶するコンフィギ
ュレーションデータによって、SiトランジスタM31のゲートは“H”に遷移する。
【0734】
PRS3133[0]がアクティブである期間に、入力端子が“H”に遷移すると、メモ
リ回路3137のOSトランジスタMO32がソースフォロアであるために、ブースティ
ング(boosting)によってSiトランジスタM31のゲート電圧は上昇する。そ
の結果、メモリ回路3137のOSトランジスタMO32は駆動能力を失い、Siトラン
ジスタM31のゲートは浮遊状態となる。
【0735】
マルチコンテキスト機能を備えるPRS3133において、CM3135はマルチプレク
サの機能を併せ持つ。
【0736】
図65にPLE3121の構成例を示す。PLE3121はLUT(ルックアップテーブ
ル)ブロック(LUT block)3123、レジスタブロック3124、セレクタ3
125、CM3126を有する。LUTブロック3123は、入力inA-inDに従っ
てデータを選択し、出力する構成である。セレクタ3125は、CM3126が格納する
コンフィギュレーションデータに従って、LUTブロック3123の出力またはレジスタ
ブロック3124の出力を選択する。
【0737】
PLE3121は、パワースイッチ3127を介して電圧VDD用の電源線に電気的に接
続されている。パワースイッチ3127のオンオフは、CM3128が格納するコンフィ
ギュレーションデータによって設定される。各PLE3121にパワースイッチ3127
を設けることで、細粒度パワーゲーティングが可能である。細粒度パワーゲーティング機
能により、コンテキストの切り替え後に使用されないPLE3121をパワーゲーティン
グすることができるので、待機電力を効果的に低減できる。
【0738】
NOFFコンピューティングを実現するため、レジスタブロック3124は、不揮発性レ
ジスタで構成される。PLE3121内の不揮発性レジスタはOSメモリを備えるフリッ
プフロップ(以下[OS-FF]と呼ぶ)である。
【0739】
レジスタブロック3124は、OS-FF3140[1]、3140[2]を有する。信
号user_res、load、storeがOS-FF3140[1]、3140[2
]に入力される。クロック信号CLK1はOS-FF3140[1]に入力され、クロッ
ク信号CLK2はOS-FF3140[2]に入力される。図66(A)にOS-FF3
140の構成例を示す。
【0740】
OS-FF3140は、FF3141、シャドウレジスタ3142を有する。FF314
1は、ノードCK、R、D、Q、QBを有する。ノードCKにはクロック信号が入力され
る。ノードRには信号user_resが入力される。信号user_resはリセット
信号である。ノードDはデータ入力ノードであり、ノードQはデータ出力ノードである。
ノードQとノードQBとは論理が相補関係にある。
【0741】
シャドウレジスタ3142は、FF3141のバックアップ回路として機能する。シャド
ウレジスタ3142は、信号storeに従いノードQ、QBのデータをそれぞれバック
アップし、また、信号loadに従い、バックアップしたデータをノードQ、QBに書き
戻す。
【0742】
シャドウレジスタ3142は、インバータ回路3188、3189、SiトランジスタM
37、MB37、メモリ回路3143、3143Bを有する。メモリ回路3143、31
43Bは、PRS3133のメモリ回路3137と同じ回路構成である。メモリ回路31
43は容量素子C36、OSトランジスタMO35、MO36を有する。メモリ回路31
43Bは容量素子CB36、OSトランジスタMOB35、OSトランジスタMOB36
を有する。ノードN36、NB36はOSトランジスタMO36、OSトランジスタMO
B36のゲートであり、それぞれ電荷保持ノードである。ノードN37、NB37は、S
iトランジスタM37、MB37のゲートである。
【0743】
上記実施の形態に示す半導体装置をLAB3120に用いる場合、OSトランジスタMO
35、MOB35としてトランジスタ200を用い、容量素子C36、CB36として容
量素子100を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組当たりの
上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る半導体装置を
高集積化させることができる。
【0744】
OSトランジスタMO35、MO36、MOB35、MOB36はバックゲートを有し、
これらバックゲートはそれぞれ固定電圧を供給する電源線に電気的に接続されている。
【0745】
図66(B)を参照して、OS-FF3140の動作方法例を説明する。
【0746】
(バックアップ(Backup))
“H”の信号storeがOS-FF3140に入力されると、シャドウレジスタ314
2はFF3141のデータをバックアップする。ノードN36は、ノードQのデータが書
き込まれることで、“L”となり、ノードNB36は、ノードQBのデータが書き込まれ
ることで、“H”となる。しかる後、パワーゲーティングが実行され、パワースイッチ3
127をオフにする。FF3141のノードQ、QBのデータは消失するが、電源オフで
あっても、シャドウレジスタ3142はバックアップしたデータを保持する。
【0747】
(リカバリ(Recovery))
パワースイッチ3127をオンにし、PLE3121に電源を供給する。しかる後、“H
”の信号loadがOS-FF3140に入力されると、シャドウレジスタ3142はバ
ックアップしているデータをFF3141に書き戻す。ノードN36は“L”であるので
、ノードN37は“L”が維持され、ノードNB36は“H”であるので、ノードNB3
7は“H”となる。よって、ノードQは“H”になり、ノードQBは“L”になる。つま
り、OS-FF3140はバックアップ動作時の状態に復帰する。
【0748】
細粒度パワーゲーティングと、OS-FF3140のバックアップ/リカバリ動作とを組
み合わせることで、OS-FPGA3110の消費電力を効果的に低減できる。
【0749】
メモリ回路において発生しうるエラーとして放射線の入射によるソフトエラーが挙げられ
る。ソフトエラーは、メモリやパッケージを構成する材料などから放出されるα線や、宇
宙から大気に入射した一次宇宙線が大気中に存在する原子の原子核と核反応を起こすこと
により発生する二次宇宙線中性子などがトランジスタに照射され、電子正孔対が生成され
ることにより、メモリに保持されたデータが反転するなどの誤作動が生じる現象である。
OSトランジスタを用いたOSメモリはソフトエラー耐性が高い。そのため、OSメモリ
を搭載することで、信頼性の高いOS-FPGA3110を提供することができる。
【0750】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0751】
(実施の形態8)
本実施の形態では、図67を用いて、上記実施の形態に示す半導体装置を適用した、AI
システムについて説明を行う。
【0752】
図67はAIシステム4041の構成例を示すブロック図である。AIシステム4041
は、演算部4010と、制御部4020と、入出力部4030を有する。
【0753】
演算部4010は、アナログ演算回路4011と、DOSRAM4012と、NOSRA
M4013と、FPGA4014と、を有する。DOSRAM4012、NOSRAM4
013、およびFPGA4014として、上記実施の形態に示す、DOSRAM1400
、NOSRAM1600、およびOS-FPGA3110を用いることができる。
【0754】
制御部4020は、CPU(Central Processing Unit)402
1と、GPU(Graphics Processing Unit)4022と、PL
L(Phase Locked Loop)4023と、SRAM(Static Ra
ndom Access Memory)4024と、PROM(Programmab
le Read Only Memory)4025と、メモリコントローラ4026と
、電源回路4027と、PMU(Power Management Unit)402
8と、を有する。
【0755】
入出力部4030は、外部記憶制御回路4031と、音声コーデック4032と、映像コ
ーデック4033と、汎用入出力モジュール4034と、通信モジュール4035と、を
有する。
【0756】
演算部4010は、ニューラルネットワークによる学習または推論を実行することができ
る。
【0757】
アナログ演算回路4011はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、D/A(デジタル
/アナログ)変換回路、および積和演算回路を有する。
【0758】
アナログ演算回路4011はOSトランジスタを用いて形成することが好ましい。OSト
ランジスタを用いたアナログ演算回路4011は、アナログメモリを有し、学習または推
論に必要な積和演算を、低消費電力で実行することが可能になる。
【0759】
DOSRAM4012は、OSトランジスタを用いて形成されたDRAMであり、DOS
RAM4012は、CPU4021から送られてくるデジタルデータを一時的に格納する
メモリである。DOSRAM4012は、OSトランジスタを含むメモリセルと、Siト
ランジスタを含む読み出し回路部を有する。上記メモリセルと読み出し回路部は、積層さ
れた異なる層に設けることができるため、DOSRAM4012は、全体の回路面積を小
さくすることができる。
【0760】
ニューラルネットワークを用いた計算は、入力データが1000を超えることがある。上
記入力データをSRAMに格納する場合、SRAMは回路面積に制限があり、記憶容量が
小さいため、上記入力データを小分けにして格納せざるを得ない。DOSRAM4012
は、限られた回路面積でも、メモリセルを高集積に配置することが可能であり、SRAM
に比べて記憶容量が大きい。そのため、DOSRAM4012は、上記入力データを効率
よく格納することができる。
【0761】
NOSRAM4013はOSトランジスタを用いた不揮発性メモリである。NOSRAM
4013は、フラッシュメモリや、ReRAM(Resistive Random A
ccess Memory)、MRAM(Magnetoresistive Rand
om Access Memory)などの他の不揮発性メモリと比べて、データを書き
込む際の消費電力が小さい。また、フラッシュメモリやReRAMのように、データを書
き込む際に素子が劣化することもなく、データの書き込み可能回数に制限が無い。
【0762】
また、NOSRAM4013は、1ビットの2値データの他に、2ビット以上の多値デー
タを記憶することができる。NOSRAM4013は多値データを記憶することで、1ビ
ット当たりのメモリセル面積を小さくすることができる。
【0763】
また、NOSRAM4013は、デジタルデータの他にアナログデータを記憶することが
できる。そのため、アナログ演算回路4011は、NOSRAM4013をアナログメモ
リとして用いることもできる。NOSRAM4013は、アナログデータのまま記憶する
ことができるため、D/A変換回路やA/D変換回路が不要である。そのため、NOSR
AM4013は周辺回路の面積を小さくすることができる。なお、本明細書においてアナ
ログデータとは、3ビット(8値)以上分解能を有するデータのことを指す。上述した多
値データがアナログデータに含まれる場合もある。
【0764】
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータやパラメータは、一旦、NOSRAM
4013に格納することができる。上記データやパラメータは、CPU4021を介して
、AIシステム4041の外部に設けられたメモリに格納してもよいが、内部に設けられ
たNOSRAM4013の方が、より高速且つ低消費電力に上記データやパラメータを格
納することができる。また、NOSRAM4013は、DOSRAM4012よりもビッ
ト線を長くすることができるので、記憶容量を大きくすることができる。
【0765】
FPGA4014は、OSトランジスタを用いたFPGAである。AIシステム4041
は、FPGA4014を用いることによって、ハードウェアで後述する、ディープニュー
ラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニュ
ーラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層
信念ネットワーク(DBN)などの、ニューラルネットワークの接続を構成することがで
きる。上記のニューラルネットワークの接続をハードウェアで構成することで、より高速
に実行することができる。
【0766】
FPGA4014はOSトランジスタを有するFPGAである。OS-FPGAは、SR
AMで構成されるFPGAよりもメモリの面積を小さくすることができる。そのため、コ
ンテキスト切り替え機能を追加しても面積増加が少ない。また、OS-FPGAはブース
ティングによりデータやパラメータを高速に伝えることができる。
【0767】
AIシステム4041は、アナログ演算回路4011、DOSRAM4012、NOSR
AM4013、およびFPGA4014を1つのダイ(チップ)の上に設けることができ
る。そのため、AIシステム4041は、高速且つ低消費電力に、ニューラルネットワー
クの計算を実行することができる。また、アナログ演算回路4011、DOSRAM40
12、NOSRAM4013、およびFPGA4014は、同じ製造プロセスで作製する
ことができる。そのため、AIシステム4041は、低コストで作製することができる。
【0768】
なお、演算部4010は、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPG
A4014を、全て有する必要はない。AIシステム4041が解決したい課題に応じて
、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014の一または複
数を、選択して設ければよい。
【0769】
AIシステム4041は、解決したい課題に応じて、ディープニューラルネットワーク(
DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク
(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(
DBN)などの手法を実行することができる。PROM4025は、これらの手法の少な
くとも1つを実行するためのプログラムを保存することができる。また、当該プログラム
の一部または全てを、NOSRAM4013に保存してもよい。
【0770】
ライブラリとして存在する既存のプログラムは、GPUの処理を前提としているものが多
い。そのため、AIシステム4041はGPU4022を有することが好ましい。AIシ
ステム4041は、学習と推論で用いられる積和演算のうち、律速となる積和演算を演算
部4010で実行し、それ以外の積和演算をGPU4022で実行することができる。そ
うすることで、学習と推論を高速に実行することができる。
【0771】
電源回路4027は、論理回路用の低電源電位を生成するだけではなく、アナログ演算の
ための電位生成も行う。電源回路4027はOSメモリを用いてもよい。電源回路402
7は、基準電位をOSメモリに保存することで、消費電力を下げることができる。
【0772】
PMU4028は、AIシステム4041の電力供給を一時的にオフにする機能を有する
【0773】
CPU4021およびGPU4022は、レジスタとしてOSメモリを有することが好ま
しい。CPU4021およびGPU4022はOSメモリを有することで、電力供給がオ
フになっても、OSメモリ中にデータ(論理値)を保持し続けることができる。その結果
、AIシステム4041は、電力を節約することができる。
【0774】
PLL4023は、クロックを生成する機能を有する。AIシステム4041は、PLL
4023が生成したクロックを基準に動作を行う。PLL4023はOSメモリを有する
ことが好ましい。PLL4023はOSメモリを有することで、クロックの発振周期を制
御するアナログ電位を保持することができる。
【0775】
AIシステム4041は、DRAMなどの外部メモリにデータを保存してもよい。そのた
め、AIシステム4041は、外部のDRAMとのインターフェースとして機能するメモ
リコントローラ4026を有することが好ましい。また、メモリコントローラ4026は
、CPU4021またはGPU4022の近くに配置することが好ましい。そうすること
で、データのやり取りを高速に行うことができる。
【0776】
制御部4020に示す回路の一部または全ては、演算部4010と同じダイの上に形成す
ることができる。そうすることで、AIシステム4041は、高速且つ低消費電力に、ニ
ューラルネットワークの計算を実行することができる。
【0777】
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータは外部記憶装置(HDD(Hard
Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)など)に保存
される場合が多い。そのため、AIシステム4041は、外部記憶装置とのインターフェ
ースとして機能する外部記憶制御回路4031を有することが好ましい。
【0778】
ニューラルネットワークを用いた学習と推論は、音声や映像を扱うことが多いので、AI
システム4041は音声コーデック4032および映像コーデック4033を有する。音
声コーデック4032は、音声データのエンコード(符号化)およびデコード(復号)を
行い、映像コーデック4033は、映像データのエンコードおよびデコードを行う。
【0779】
AIシステム4041は、外部センサから得られたデータを用いて学習または推論を行う
ことができる。そのため、AIシステム4041は汎用入出力モジュール4034を有す
る。汎用入出力モジュール4034は、例えば、USB(Universal Seri
al Bus)やI2C(Inter-Integrated Circuit)などを
含む。
【0780】
AIシステム4041は、インターネットを経由して得られたデータを用いて学習または
推論を行うことができる。そのため、AIシステム4041は、通信モジュール4035
を有することが好ましい。
【0781】
アナログ演算回路4011は、多値のフラッシュメモリをアナログメモリとして用いても
よい。しかし、フラッシュメモリは書き換え可能回数に制限がある。また、多値のフラッ
シュメモリは、エンベディッドで形成する(演算回路とメモリを同じダイの上に形成する
)ことが非常に難しい。
【0782】
また、アナログ演算回路4011は、ReRAMをアナログメモリとして用いてもよい。
しかし、ReRAMは書き換え可能回数に制限があり、記憶精度の点でも問題がある。さ
らに、2端子でなる素子であるため、データの書き込みと読み出しを分ける回路設計が複
雑になる。
【0783】
また、アナログ演算回路4011は、MRAMをアナログメモリとして用いてもよい。し
かし、MRAMは抵抗変化率が低く、記憶精度の点で問題がある。
【0784】
以上を鑑み、アナログ演算回路4011は、OSメモリをアナログメモリとして用いるこ
とが好ましい。
【0785】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0786】
(実施の形態9)
<AIシステムの応用例>
本実施の形態では、上記実施の形態に示すAIシステムの応用例について図68を用いて
説明を行う。
【0787】
図68(A)は、図67で説明したAIシステム4041を並列に配置し、バス線を介し
てシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシステム4041Aである。
【0788】
図68(A)に図示するAIシステム4041Aは、複数のAIシステム4041_1乃
至AIシステム4041_n(nは自然数)を有する。AIシステム4041_1乃至A
Iシステム4041_nは、バス線4098を介して互いに接続されている。
【0789】
また図68(B)は、図67で説明したAIシステム4041を図68(A)と同様に並
列に配置し、ネットワークを介してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシス
テム4041Bである。
【0790】
図68(B)に図示するAIシステム4041Bは、複数のAIシステム4041_1乃
至AIシステム4041_nを有する。AIシステム4041_1乃至AIシステム40
41_nは、ネットワーク4099を介して互いに接続されている。
【0791】
ネットワーク4099は、AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nのそ
れぞれに通信モジュールを設け、無線または有線による通信を行う構成とすればよい。通
信モジュールは、アンテナを介して通信を行うことができる。例えばWorld Wid
e Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネット
、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Ar
ea Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN
(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Are
a Network)、GAN(Global Area Network)等のコンピ
ュータネットワークに各電子装置を接続させ、通信を行うことができる。無線通信を行う
場合、通信プロトコル又は通信技術として、LTE(Long Term Evolut
ion)、GSM(Global System for Mobile Commun
ication:登録商標)、EDGE(Enhanced Data Rates f
or GSM Evolution)、CDMA2000(Code Division
Multiple Access 2000)、W-CDMA(登録商標)などの通信
規格、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee
(登録商標)等のIEEEにより通信規格化された仕様を用いることができる。
【0792】
図68(A)、(B)の構成とすることで、外部のセンサ等で得られたアナログ信号を別
々のAIシステムで処理することができる。例えば、生体情報のように、脳波、脈拍、血
圧、体温等といった情報を脳波センサ、脈波センサ、血圧センサ、温度センサといった各
種センサで取得し、別々のAIシステムでアナログ信号を処理することができる。別々の
AIシステムのそれぞれで信号の処理、または学習を行うことで一つのAIシステムあた
りの情報処理量を少なくできる。そのため、より少ない演算量で信号の処理、または学習
を行うことができる。その結果、認識精度を高めることができる。それぞれのAIシステ
ムで得られた情報から、複雑に変化する生体情報の変化を瞬時に統合的に把握することが
できるといったことが期待できる。
【0793】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0794】
(実施の形態10)
本実施の形態は、上記実施の形態に示すAIシステムが組み込まれたICの一例を示す。
【0795】
上記実施の形態に示すAIシステムは、CPU等のSiトランジスタでなるデジタル処理
回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-FPGAおよびDOSRA
M、NOSRAM等のOSメモリを、1のダイに集積することができる。
【0796】
図69に、AIシステムを組み込んだICの一例を示す。図69に示すAIシステムIC
7000は、リード7001及び回路部7003を有する。AIシステムIC7000は
、例えばプリント基板7002に実装される。このようなICチップが複数組み合わされ
て、それぞれがプリント基板7002上で電気的に接続されることで電子部品が実装され
た基板(実装基板7004)が完成する。回路部7003には、上記実施の形態で示した
各種の回路が1のダイに設けられている。回路部7003は積層構造をもち、Siトラン
ジスタ層7031、配線層7032、OSトランジスタ層7033に大別される。OSト
ランジスタ層7033をSiトランジスタ層7031に積層して設けることができるため
、AIシステムIC7000の小型化が容易である。
【0797】
図69では、AIシステムIC7000のパッケージにQFP(Quad Flat P
ackage)を適用しているが、パッケージの態様はこれに限定されない。
【0798】
CPU等のデジタル処理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-F
PGAおよびDOSRAM、NOSRAM等のOSメモリは、全て、Siトランジスタ層
7031、配線層7032およびOSトランジスタ層7033に形成することができる。
すなわち、上記AIシステムを構成する素子は、同一の製造プロセスで形成することが可
能である。そのため、本実施の形態に示すICは、構成する素子が増えても製造プロセス
を増やす必要がなく、上記AIシステムを低コストで組み込むことができる。
【0799】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0800】
(実施の形態11)
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。図70に、
本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
【0801】
図70(A)に、モニタ830を示す。モニタ830は、表示部831、筐体832、
スピーカ833等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操
作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
またモニタ830は、リモコン操作機834により、操作することができる。
【0802】
またモニタ830は、放送電波を受信して、テレビジョン装置として機能することがで
きる。
【0803】
モニタ830が受信できる放送電波としては、地上波、または衛星から送信される電波
などが挙げられる。また放送電波として、アナログ放送、デジタル放送などがあり、また
映像及び音声、または音声のみの放送などがある。例えばUHF帯(300MHz以上3
GHz以下)またはVHF帯(30MHz以上300MHz以下)のうちの特定の周波数
帯域で送信される放送電波を受信することができる。また例えば、複数の周波数帯域で受
信した複数のデータを用いることで、転送レートを高くすることができ、より多くの情報
を得ることができる。これによりフルハイビジョンを超える解像度を有する映像を、表示
部831に表示させることができる。例えば、4K-2K、8K-4K、16K-8K、
またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
【0804】
また、インターネットやLAN(Local Area Network)、Wi-F
i(登録商標)などのコンピュータネットワークを介したデータ伝送技術により送信され
た放送のデータを用いて、表示部831に表示する画像を生成する構成としてもよい。こ
のとき、モニタ830にチューナを有さなくてもよい。
【0805】
また、モニタ830は、コンピュータと接続し、コンピュータ用モニタとして用いること
ができる。また、コンピュータと接続したモニタ830は、複数の人が同時に閲覧可能と
なり、会議システムに用いることができる。また、ネットワークを介したコンピュータの
情報の表示や、モニタ830自体のネットワークへの接続により、モニタ830をテレビ
会議システムに用いることができる。
【0806】
また、モニタ830はデジタルサイネージとして用いることもできる。
【0807】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を表示部の駆動回路や、画像処理部に用いることが
できる。本発明の一態様の半導体装置を表示部の駆動回路や、画像処理部に用いることで
、高速な動作や信号処理を低消費電力にて実現できる。
【0808】
また、本発明の一態様の半導体装置を用いたAIシステムをモニタ830の画像処理部に
用いることで、ノイズ除去処理、階調変換処理、色調補正処理、輝度補正処理などの画像
処理を行うことができる。また、解像度のアップコンバートに伴う画素間補間処理や、フ
レーム周波数のアップコンバートに伴うフレーム間補間処理などを実行することができる
。また、階調変換処理は、画像の階調数を変換するだけでなく、階調数を大きくする場合
の階調値の補間を行うことができる。また、ダイナミックレンジを広げる、ハイダイナミ
ックレンジ(HDR)処理も、階調変換処理に含まれる。
【0809】
図70(B)に示すビデオカメラ2940は、筐体2941、筐体2942、表示部29
43、操作スイッチ2944、レンズ2945、および接続部2946等を有する。操作
スイッチ2944およびレンズ2945は筐体2941に設けられており、表示部294
3は筐体2942に設けられている。また、ビデオカメラ2940は、筐体2941の内
側にアンテナ、バッテリなどを備える。そして、筐体2941と筐体2942は、接続部
2946により接続されており、筐体2941と筐体2942の間の角度は、接続部29
46により変えることが可能な構造となっている。筐体2941に対する筐体2942の
角度によって、表示部2943に表示される画像の向きの変更や、画像の表示/非表示の
切り換えを行うことができる。
【0810】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を表示部の駆動回路や、画像処理部に用いることが
できる。本発明の一態様の半導体装置を表示部の駆動回路や、画像処理部に用いることで
、高速な動作や信号処理を低消費電力にて実現できる。
【0811】
また、本発明の一態様の半導体装置を用いたAIシステムをビデオカメラ2940の画像
処理部に用いることで、ビデオカメラ2940周囲の環境に応じた撮影が実現できる。具
体的には、周囲の明るさに応じて最適な露出で撮影を行うことができる。また、逆光にお
ける撮影や屋内と屋外など、明るさの異なる状況を同時に撮影する場合では、ハイダイナ
ミックレンジ(HDR)撮影を行うことができる。
【0812】
また、AIシステムは、撮影者の癖を学習し、撮影のアシストを行うことができる。具体
的には、撮影者の手振れの癖を学習し、撮影中の手振れを補正することで、撮影した画像
には手振れによる画像の乱れが極力含まれないようにすることができる。また、撮影中に
ズーム機能を用いる際には、被写体が常に画像の中心で撮影されるようにレンズの向きな
どを制御することができる。
【0813】
図70(C)に示す情報端末2910は、筐体2911、表示部2912、マイク291
7、スピーカ部2914、カメラ2913、外部接続部2916、および操作スイッチ2
915等を有する。表示部2912には、可撓性基板が用いられた表示パネルおよびタッ
チスクリーンを備える。また、情報端末2910は、筐体2911の内側にアンテナ、バ
ッテリなどを備える。情報端末2910は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレ
ット型情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末等として用いるこ
とができる。
【0814】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、上述した情報端末2910の
制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。
【0815】
また、本発明の一態様の半導体装置を用いたAIシステムを情報端末2910の画像処理
部に用いることで、ノイズ除去処理、階調変換処理、色調補正処理、輝度補正処理などの
画像処理を行うことができる。また、解像度のアップコンバートに伴う画素間補間処理や
、フレーム周波数のアップコンバートに伴うフレーム間補間処理などを実行することがで
きる。また、階調変換処理は、画像の階調数を変換するだけでなく、階調数を大きくする
場合の階調値の補間を行うことができる。また、ダイナミックレンジを広げる、ハイダイ
ナミックレンジ(HDR)処理も、階調変換処理に含まれる。
【0816】
また、AIシステムは、ユーザーの癖を学習し、情報端末2910の操作のアシストを行
うことができる。AIシステムを搭載した情報端末2910は、ユーザーの指の動きや、
目線などからタッチ入力を予測することができる。
【0817】
図70(D)に示すラップトップ型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921、
表示部2922、キーボード2923、およびポインティングデバイス2924等を有す
る。また、ラップトップ型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921の内側にア
ンテナ、バッテリなどを備える。
【0818】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、ラップトップ型パーソナルコ
ンピュータ2920の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。
【0819】
また、本発明の一態様の半導体装置を用いたAIシステムをラップトップ型パーソナルコ
ンピュータ2920の画像処理部に用いることで、ノイズ除去処理、階調変換処理、色調
補正処理、輝度補正処理などの画像処理を行うことができる。また、解像度のアップコン
バートに伴う画素間補間処理や、フレーム周波数のアップコンバートに伴うフレーム間補
間処理などを実行することができる。また、階調変換処理は、画像の階調数を変換するだ
けでなく、階調数を大きくする場合の階調値の補間を行うことができる。また、ダイナミ
ックレンジを広げる、ハイダイナミックレンジ(HDR)処理も、階調変換処理に含まれ
る。
【0820】
また、AIシステムは、ユーザーの癖を学習し、ラップトップ型パーソナルコンピュータ
2920の操作のアシストを行うことができる。AIシステムを搭載したラップトップ型
パーソナルコンピュータ2920は、ユーザーの指の動きや、目線などから表示部292
2へのタッチ入力を予測することができる。また、テキストの入力においては、過去のテ
キスト入力情報や、前後のテキストや写真などの図から入力予測を行い、変換のアシスト
を行う。これにより、入力ミスや変換ミスを極力低減することができる。
【0821】
図70(E)は、自動車の一例を示す外観図、図70(F)は、ナビゲーション装置86
0を示している。自動車2980は、車体2981、車輪2982、ダッシュボード29
83、およびライト2984等を有する。また、自動車2980は、アンテナ、バッテリ
などを備える。ナビゲーション装置860は、表示部861、操作ボタン862、及び外
部入力端子863を具備する。自動車2980とナビゲーション装置860は、それぞれ
独立していても良いが、ナビゲーション装置860が自動車2980に組み込まれ、連動
して機能する構成とするのが好ましい。
【0822】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、自動車2980やナビゲーシ
ョン装置860の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。また
、本発明の一態様の半導体装置を用いたAIシステムを自動車2980の制御装置などに
用いることで、AIシステムは、ドライバーの運転技術や癖を学習し、安全運転のアシス
トや、ガソリンやバッテリなどの燃料を効率的に利用する運転のアシストを行うことがで
きる。安全運転のアシストとしては、ドライバーの運転技術や癖を学習するだけでなく、
自動車2980の速度や移動方法といった自動車の挙動、ナビゲーション装置860に保
存された道路情報などを複合的に学習し、走行中のレーンから外れることの防止や、他の
自動車、歩行者、構造体などとの衝突回避が実現できる。具体的には、進行方向に急カー
ブが存在する場合、ナビゲーション装置860はその道路情報を自動車2980に送信し
、自動車2980の速度の制御や、ハンドル操作のアシストを行うことができる。
【0823】
本実施の形態は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施す
ることが可能である。
【符号の説明】
【0824】
100 容量素子、130 導電体、200 トランジスタ、203 導電体、
203a 導電体、203b 導電体、205 導電体、205a 導電体、2
05b 導電体、208 絶縁体、210 絶縁体、216 絶縁体、220
絶縁体、222 絶縁体、224 絶縁体、230 酸化物、230a 酸化
物、230b 酸化物、230c 酸化物、231 領域、231a 領域、2
31b 領域、232 領域、232a 領域、232b 領域、234 領
域、239 領域、250 絶縁体、250a 絶縁体、252 導電体、25
2a 導電体、252b 導電体、252c 導電体、252d 導電体、25
6 導電体、260 導電体、260a 導電体、260b 導電体、270
絶縁体、271 絶縁体、272 絶縁体、274 絶縁体、280 絶縁体
、600 セル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
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図63
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図65
図66
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図68
図69
図70