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  • 特開-経口組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164630
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/16 20060101AFI20231102BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20231102BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231102BHJP
   A61K 31/702 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61K31/16
A61P25/20
A61P43/00 121
A61K31/702
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151843
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2022026919の分割
【原出願日】2016-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2016135210
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載開始日:平成28年3月7日 掲載アドレス: http://www.caa.go.jp/foods/docs/ichiran.xls https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/pdf/A244-ippan.pdf https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/pdf/A244-kihon.pdf https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/pdf/A244-kinou.pdf https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/pdf/A244-anzen.pdf
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】中島 千絵
(72)【発明者】
【氏名】北村 整一
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(57)【要約】
【課題】 安眠効果の高い経口組成物を提供すること。
【解決手段】 テアニンと、プーアル及びジャスミンより選ばれる少なくとも1種の他成分とを含有することを特徴とする経口組成物である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テアニンと、フラクトオリゴ糖とを含有することを特徴とする経口組成物(ただし、液体乳製品、並びに、ガンマアミノ酪酸、タウリン、5-ヒドロキシトリプトファン、ミネラル物質及びビタミンを含有する食品を除く)。
【請求項2】
錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、又は液状であることを特徴とする請求項1記載の経口組成物。
【請求項3】
安眠のために用いられる安眠用組成物であることを特徴とする請求項1又は2記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安眠に用いられる組成物に係り、詳しくは、テアニン及び特定の他の成分を含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会においては、生活スタイルの変化やストレスの増大等の様々な要因から、自律神経が乱れ、不眠に悩まされることが多い。不眠は、集中力や作業効率の低下、疲れやだるさといった疲労感、体の不調、うつ病等の様々な影響を及ぼすため、社会生活上、健康上の観点から、質の良い安らかな眠りが求められている。
【0003】
このような安眠のための組成物として、例えば、ラベンダーの水蒸気蒸留水(特許文献1参照)や、ハスタトサイドを含む組成物(特許文献2参照)や、バーベナリンを含む組成物(特許文献3参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-104073号公報
【特許文献2】特開2005-154311号公報
【特許文献3】特開2005-154310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、高い安眠効果を有する組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、安眠効果のあるテアニンのさらなる機能向上について鋭意調査・研究した結果、テアニンと特定の成分とを組み合わせることにより、より高い安眠効果が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、テアニンと、下記(a)~(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の他成分とを含有することを特徴とする経口組成物に関する。
(a)大麦、甘藷、オート麦、稲、ルイボス、プーアル、ジャスミン、及びターミナリアから選ばれる少なくとも1種の植物素材
(b)乳酸菌及びフラクトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種の機能性素材
【0008】
また、本発明は、テアニンを有効成分として含有することを特徴とする上記(a)~(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の他成分を配合した安眠用機能性食品組成物に関する。
【0009】
本発明は、テアニンを有効成分として含有することを特徴とする上記(a)~(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の他成分を配合した安眠促進用機能性食品組成物に関する。
【0010】
本発明は、テアニンと、上記(a)~(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の他成分とを含有することを特徴とする神経細胞内へのCaイオンの流入を抑制する安眠用機能性食品組成物に関する。
【0011】
本発明は、テアニンの神経細胞内へのCaイオンの流入抑制を促進する上記(a)~(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の他成分を配合した安眠用機能性食品組成物に関する。
【0012】
本発明は、テアニンと、上記(a)~(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の他成分とを含有することを特徴とする神経細胞のグルタミン酸受容体に結合する安眠用機能性食品組成物に関する。
【0013】
さらに、本発明は、テアニンの神経細胞のグルタミン酸受容体への結合を促進する上記(a)~(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の他成分を配合した安眠用機能性食品組成物に関する。
【0014】
本発明は、テアニンを配合した経口組成物において、上記(a)~(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の他成分を配合することを特徴とする安眠用機能性食品組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の経口組成物は、神経の興奮を抑制することで、高い安眠効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の経口組成物(テアニン+他成分)を初代ラット大脳皮質由来神経細胞に適用した場合の細胞内Ca蛍光強度変化比の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の組成物は、テアニンと、下記(a)~(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分(以下、他成分ということがある)とを含有することを特徴とする。テアニンと共に用いられる(a)~(b)の成分は、1種単独(例えば(a)成分のみ)で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。他成分を2種以上組み合せて用いる場合、テアニンと相乗効果の高い他成分同士を組み合わせることが好ましい。
【0018】
本発明の経口組成物は、テアニン及び他成分の組合せにより、抑制性神経伝達物質を増加させると共に興奮性神経伝達物質の作用を抑制し、神経の興奮を有効に抑制して、過度の興奮を抑え、安眠効果やリラックス効果を得ることができる。
【0019】
[テアニン]
本発明の経口組成物におけるテアニンとしては、L-テアニンが好ましく、植物からの抽出により得られたもの、化学合成により得られたもの、発酵により得られたもの等、その製造方法は問わない。テアニンは、試薬、食品添加物等として市販されており、市販品を用いることができる。
【0020】
[他成分]
(a)植物素材
本発明の経口組成物においては、テアニンと共に、大麦、甘藷、オート麦、稲、ルイボス、プーアル、ジャスミン、及びターミナリアから選ばれる少なくとも1種の植物素材を用いることが好ましい。
【0021】
これらの植物素材は、葉、茎、根、花、実、幹、枝等、植物のいずれの部位であってもよく、植物そのものの他、その乾燥物、粉砕物、搾汁、抽出物等の植物処理物を用いることができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。絞汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水(温水、熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。植物素材は、市販されているものを使用してもよい。
【0022】
(大麦)
大麦は、中央アジアが原産のイネ科オオムギ属の植物であり、二条大麦、六条大麦等を用いることができる。本発明の植物素材として用いる部位としては、茎、葉が好ましく、若葉がより好ましい。若葉を乾燥、微粉砕加工した若葉末や、若葉からの抽出物が特に好ましい。
【0023】
(甘藷)
甘藷は、ヒルガオ科に属する植物をいい、一般にサツマイモと呼ばれる。甘藷の品種は、特に限定されるものではなく、例えば、すいおう、ジョイホワイト、コガネセンガン、シロユタカ、サツマスターチ、アヤムラサキ等を挙げることができる。本発明の植物素材として用いる部位としては、茎、葉が好ましく、若葉がより好ましい。若葉を乾燥、微粉砕加工した若葉末や、若葉からの抽出物が特に好ましい。
【0024】
(オート麦)
オート麦は、チリのパタゴニアを原産地とするイネ科カラスムギ属の植物であり、学術名は、Avena sativa である。本発明の植物素材として用いる部位としては、穂、茎、葉が好ましく、穂、茎葉を乾燥、微粉砕加工した乾燥粉末や、穂、茎葉からの抽出物がより好ましい。
【0025】
(稲)
稲は、イネ科イネ属の植物である。本発明の植物素材としては、米(玄米)が好ましく、米から製造されたライスミルクが特に好ましい。稲の種類としては、特に制限はなく、ジャポニカ種、インディカ種等を挙げることができる。
【0026】
(ターミナリア)
ターミナリアとしては、例えば、Terminalia bellirica(belerica)、Terminalia catappa、Terminalia tomentosa、Terminalia citrina、Terminalia phellocarpa、Terminalia copelandii、Terminalia brassi、Terminalia ivorensis、Terminalia superba、Terminalia arjuna、Terminalia chebula等を挙げることができ、これらの中でも、Terminalia bellirica(belerica)が好ましい。本発明の植物素材として用いる部位としては、果実が好ましい。果実を乾燥、微粉砕加工した乾燥粉末や、果実からの抽出物が特に好ましい。
【0027】
(ルイボス)
ルイボスは、マメ科アスパラトゥス属に属する植物であって、本発明における植物素材としては、通常、茶として用いられる葉、枝が好ましい。葉、枝を乾燥、微粉砕加工した乾燥粉末や、葉、枝からの抽出物が特に好ましい。
【0028】
(プーアル)
プーアルは、中華人民共和国雲南省を原産地とする中国茶(黒茶)の一種であって、生茶と熟茶があり、本発明における植物素材としては、通常、茶として用いられる葉が好ましい。葉を乾燥、微粉砕加工した乾燥粉末や、葉からの抽出物が特に好ましい。
【0029】
(ジャスミン)
ジャスミンは、モクセイ科に属する植物であって、本発明における植物素材としては、通常、茶として用いられる花が好ましい。花を乾燥、微粉砕加工した乾燥粉末や、花からの抽出物が特に好ましい。
(b)機能性素材
本発明の経口組成物においては、テアニンと共に、乳酸菌、及びフラクトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種の機能性素材を用いることが好ましい。
【0030】
(乳酸菌)
乳酸菌としては、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium mongoliense、Lactbacillus brevis、Lactbacillus gasseri、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus buchneri、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus delburvecki、Lactobacillus casei、Lactobacillus crispatus、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus halivaticus、Lactobacillus pentosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacilus paracasei、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus sporogenes、Lactobacillus sakei、Lactobacillus fructivorans、Lactobacillus hilgardii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus fermentum、Enterococcus faecalis ( Streptococcus faecalis と称されることもある)、Enterococcus faesium(Streptococcus faesiumと称されることもある)、Streptococcus thermophilus、Lactococcus lactis(Streptococcus lactisと称されることもある)、Leuconostoc mesenteroides、Leuconostoc oenos、Pediococcus acidilactici、Pediococcus pentosaceus、Staphylococcus carnosus、Staphylococcus xylosus、Tetragenococcus halophilus、Bacillus coagulans、Bacillus mesentericus等が挙げられ、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium longum、Lactbacillus gasseri、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantarum、Lactobacilus paracasei、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus fermentum、Lactobacilus paracasei、Enterococcus faecalis (Streptococcus faecalis)、Enterococcus faesium(Streptococcus faesium)、Streptococcus thermophilus、Lactococcus lactis(Streptococcus lactis)、Bacillus coagulans、Bacillus mesentericusが好ましい。これらの乳酸菌は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の組成物の剤形や品質に応じて、例えば、耐熱性、耐酸性、耐糖性、耐塩性、有胞子性などの性質を有するものを適宜選択することができる。乳酸菌の入手方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、ヨーグルトや野菜等の食品から単離された乳酸菌や市販品を用いることができる。
【0031】
これら他成分は、テアニンの安眠効果の促進剤として機能する。
【0032】
本発明の経口組成物としては、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、一般的な食品、食品添加剤、飼料等を挙げることができる。本発明の経口組成物は、上記の効果が気になる人であれば性別や年齢に関係なく摂取することができる。また、就寝の30分~2時間前に摂取することが望ましい。
【0033】
本発明の経口組成物は、安眠に用いる安眠用組成物として用いることができ、かかる安眠用組成物は、テアニン及び所定の他成分を含有し、安眠に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではない。例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに安眠能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の安眠用組成物は、製品の包装等に、本発明における組合せの成分(テアニン及び所定の他成分)が安眠の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、テアニン及び所定の他成分を有効成分として表示したものであってもよく、テアニンのみを有効成分として表示したものであってもよい。
【0034】
具体的に本発明の安眠用組成物としては、医薬品(医薬部外品を含む)やいわゆる健康食品が挙げられ、いわゆる健康食品においては、「睡眠の質を高める」、「起床時の疲労感や眠気を軽減する」、「翌朝起床時の疲労感(疲れやだるさの感覚)を軽減する」、「健やかな眠りをもたらす」、「すっきりとした目覚め」、「起床時の眠気の軽減・疲労感の回復に役立つ」、「夜間の良質な睡眠をサポートする」、「健やかな眠りをサポートする」、「夜間の健やかな眠りをサポートする」等を表示したものを例示することができる。
【0035】
本発明の経口組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル状、スティック状等を挙げることができる。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状の形態が特に好ましい。具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント飲料や、食品添加剤を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0036】
本発明の経口組成物におけるテアニン及び他成分(本発明の成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0037】
一般的には、本発明の経口組成物が医薬品やサプリメントの場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で全体の0.1~100質量%含まれていることが好ましく、1~85質量%含まれていることがより好ましく、5~70質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0038】
本発明の経口組成物が容器詰飲料である場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で全体の0.0001~30質量%含まれていることが好ましく、0.001~25質量%含まれていることがより好ましく、0.01~20質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0039】
また、本発明の経口組成物がインスタント飲料である場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で全体の0.001~80質量%含まれていることが好ましく、0.005~70質量%含まれていることがより好ましく、0.1~60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0040】
本発明の効果をより有効に発揮させるためには、本発明の成分が乾燥質量換算で本発明の経口組成物全体の80%以上含まれていることが好ましく、90%以上含まれていることがより好ましく、95%以上含まれていることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0041】
本発明の経口組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、成人の1日当たりの本発明の成分の摂取量が、50mg/日以上となるように摂取することが好ましく、100mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、150mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は特に制限されないが、例えば、10000mg/日であり、好ましくは5000mg/日である。
【0042】
本発明の経口組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0043】
テアニン及び他成分の配合質量比としては、乾燥質量換算で、1:0.001~1:50の範囲であることが好ましく、1:0.01~1:40の範囲であることがより好ましく、1:0.1~1:30の範囲であることがさらに好ましく、1:1~1:20の範囲であることが特に好ましい。テアニン及び他成分の配合比が、上記範囲であることにより、本発明の効果をより有効に発揮することができる。
【0044】
本発明の経口組成物は、必要に応じて、経口用として許容される本発明の成分以外の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。
【0045】
本発明の経口組成物を水に溶解した場合のpHは、特に限定されないが、pH2.0~7.0の範囲が好ましく、pH3.0~6.5がより好ましく、pH4.5~6.5であることが最も好ましい。
【実施例0046】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
[実施例1]
1.細胞培養
(1)初代ラット大脳皮質由来神経細胞(Thermo製)を2μg/cmの密度でPoly-L-Lysineをコートした96well black plateの各wellに、1.0×10cells/wellの細胞密度で播種した。
(2)37℃、COインキュベーター内で一週間前培養した。培地交換は、1~2日おきに行った。
(3)各wellより培地を除去後、通常培地にて所定濃度に調製した被験物質含有培地を100μLずつ添加し、COインキュベーター内で24時間培養した。
なお、通常培地には、Neurobasal medium(Thermo製)48.875mlに200mMGlutamaxTM(Thermo製)125μl及びB27Serum Free Suplement(50×)(Thermo製)1mlを加えたものを使用した。
【0047】
テアニンについては、市販のL-テアニンを用いた。L-テアニンと共に用いる他成分としては、表1に示す物質を用いた。
【0048】
2.細胞内Caの評価
【0049】
一般に、神経細胞の表面にあるNMDA受容体(興奮性アミノ酸であるグルタミン酸受容体)が、興奮性アミノ酸(グルタミン酸)により活性化されると、大量のCaイオンが神経細胞内に流入し、続いて種々のCaイオン依存性酵素が活性化して神経の過興奮が起こるといわれている。本試験においては、被験物質による、神経細胞内へのCaイオンの流入抑制効果について調査した。
【0050】
具体的には、以下の試験を行った。
細胞内Caを、Calcium-Kit Fura2(同仁化学研究所製)を用いて測定した。
(1)上記24時間の培養後、各wellより培地を除去し、PBS(-)で一回洗浄し、Loading Bufferを100μL添加し、1時間培養した。
(2)Loading Bufferを除去し、PBS(-)で一回洗浄し、Recording Bufferを90μL添加し、インキュベーター内で10分間順化した。
【0051】
(3)終濃度25μMとなるように、250μM Glutamateを10μL添加し、添加1分後の(2)サンプルの蛍光強度Ftest(340)(励起波長340nm、蛍光波長510nm)、Ftest(380)(励起波長380nm、蛍光波長510nm)を測定した。また、Glutamate添加直前の蛍光強度Fpre(340)、Fpre(380)も同様に測定した。さらに、試験終了後に、終濃度0.33MとなるようにMnClを添加し、蛍光強度Fblank(340)、Fblank(380)も同様に測定し、自家蛍光を算出した。
(4)測定した値をもとに、下記式より蛍光強度比の変化値を算出した。
【0052】
Δ蛍光強度比の変化値=Rtest-Rpre
・Rtest = (Ftest(340) - Fblank(340)) / (Ftest(380) - Fblank(380))
・Rpre = (Fpre(340) - Fblank(340)) / (Fpre(380) - Fblank(380))
【0053】
その結果を表1及び図1に示す。図1中、成分名の後に記載の数値は、他成分の終濃度(μg/mL)を示す。例えば、図1の「大麦_200」は、200(μg/mL)を示す。縦軸は「細胞内Ca蛍光強度変化比」を示す。
【0054】
【表1】
【0055】
大麦については、若葉の乾燥粉砕末を用いた。
甘藷については、若葉の乾燥粉砕末を用いた。
オート麦については、穂及び茎葉を含む地上部全草からの抽出物である株式会社東洋新薬製オーツグリンを用いた。
稲(ライスミルク)については、市販のライスミルクを用いた。
ルイボスについては、市販のルイボス茶の粉砕末を用いた。
プーアルについては、市販のプーアル茶の粉砕末を用いた。
ジャスミンについては、市販のジャスミン茶の粉砕末を用いた。
ターミナリアについては、ターミナリアベリリカ果実の熱水抽出物(乾燥粉末)を用いた。
乳酸菌については、Bacillus coagulansを用いた。
フラクトオリゴ糖については、市販のフラクトオリゴ糖を用いた。
ヨモギについては、葉の乾燥粉砕末を用いた。
ラベンダーについては、市販のラベンダー茶の粉砕末を用いた。
【0056】
表1及び図1に示すように、L-テアニンと、特定の他成分との組合せにより、細胞内Ca蛍光強度比の減少が確認された。すなわち、本発明の組合せ成分が、NMDA受容体へのグルタミン酸の刺激に拮抗し、神経細胞内へのCaイオンの流入を抑制したと考えられる。したがって、本発明の組成物は、神経の過興奮を抑えることができ、高い安眠効果を得ることができる。
【0057】
[実施例2](錠剤の製造)
下記成分からなるタブレット5錠を製造した。
【0058】
オート麦乾燥エキス末 400mg
フラクトオリゴ糖 250mg
L-テアニン 200mg
ヒドロキシプロピルセルロース 350mg
ステアリン酸カルシウム 250mg
二酸化ケイ素 50mg
【0059】
上記錠剤は一日に1回又は2、3回に分けて水と共に服用する。
【0060】
[実施例3](カプセル剤の製造)
下記混合物をソフトカプセルに封入し、カプセル剤を製造した。
【0061】
L-テアニン 200mg
ターミナリアベリリカ末 100mg
乳酸菌 400mg
麦芽糖 50mg
二酸化ケイ素 10mg
【0062】
上記カプセル剤は4錠を一日に1回又は2~4回に分けて水と共に服用する。
【0063】
[実施例4](顆粒剤の製造)
下記成分を混合して常法により顆粒剤(3000mg)を製造した。
【0064】
大麦若葉乾燥エキス末 1200mg
テアニン 200mg
スクラロース 150mg
チアミン塩酸塩 10mg
リボフラビン 10mg
ビタミンB6 5mg
シアノコバラミン6 5mg
香料 5mg
還元パラチノース 200mg
ステアリン酸カルシウム 100mg
ヒロドキシプロピルセルロース 残部
【0065】
[実施例5](インスタント粉末剤の製造)
下記成分を混合して常法によりインスタント粉末(2g)を製造した。
【0066】
ルイボス茶加工食品 800mg
テアニン 200mg
アスパルテーム 150mg
スクラロース 50mg
リンゴ酸 10mg
色素製剤 10mg
香料 5mg
ポリデキストロース 残部
【0067】
[実施例6](液剤の製造)
下記成分からなる液剤(200mL)を製造した。
【0068】
テアニン 200mg
プーアル茶加工食品 250mg
ジャスミン茶加工食品 300mg
フラクトオリゴ糖 150mg
ビタミンC 500mg
水 残量
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の組成物は、高い安眠効果を有し、経口剤として用いることができることから、本発明の産業上の有用性は高い。
図1