(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164649
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ジャケット式構造物およびその構築方法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/06 20060101AFI20231102BHJP
E02B 17/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
E02B3/06
E02B17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152214
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2020027303の分割
【原出願日】2020-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(72)【発明者】
【氏名】米島 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】内田 賢一
(57)【要約】
【課題】ジャケットを支持する鋼管杭の方向によらず、構築方法の自由度の高いジャケット式構造物、および該ジャケット式構造物に適した構築方法を提供する。
【解決手段】地盤100に固定された複数の鋼管杭12と、複数の鋼管杭12に支持されたジャケット14と、を備えるジャケット式構造物であって、ジャケット14は、本体部16と、本体部16から下方に突出して設けられていて、複数の鋼管杭12それぞれと直線状にそれぞれが連結する複数の突出連結部18と、を有し、鋼管杭12とそれに連結される突出連結部18との組のうち、少なくとも一組の鋼管杭12と突出連結部18は、鋼管杭12の上端面と突出連結部18の下端面との間を架け渡す架渡鋼材20を用いて連結されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に固定された複数の鋼管杭と、
前記複数の鋼管杭に支持されたジャケットと、
を備えるジャケット式構造物であって、
前記ジャケットは、
本体部と、
前記本体部から下方に突出して設けられていて、前記複数の鋼管杭それぞれと直線状にそれぞれが連結する複数の突出連結部と、
を有し、
前記鋼管杭とそれに連結される前記突出連結部との組のうち、少なくとも一組の前記鋼管杭と前記突出連結部は、該鋼管杭の上端面と該突出連結部の下端面との間を架け渡す架渡鋼材を用いて連結されていることを特徴とするジャケット式構造物。
【請求項2】
前記複数の突出連結部は、前記本体部から第1の下方向に突出する第1突出連結部と、前記本体部から前記第1の下方向とは異なる第2の下方向に突出する第2突出連結部とを含み、前記架渡鋼材を用いた連結は、前記第1突出連結部又は前記第2突出連結部のいずれかで行われることを特徴とする請求項1に記載のジャケット式構造物。
【請求項3】
前記第1突出連結部は、前記本体部から鉛直下方に突出し、前記第2突出連結部は、前記本体部から斜め下方に突出したものであり、前記架渡鋼材を用いた連結は、前記第2突出連結部で行われることを特徴とする請求項2に記載のジャケット構造物。
【請求項4】
前記第1突出連結部はレグであり、前記鋼管杭が前記レグ内に挿入されて連結されていることを特徴とする請求項3に記載のジャケット構造物。
【請求項5】
前記架渡鋼材を用いた連結がされる前記突出連結部の下端部に、該突出連結部の下端面より更に下方に突出して設けられた案内部材を備え、該案内部材は、前記突出連結部の下端面と、該突出連結部と連結する前記鋼管杭の上端面とが対向するように案内することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【請求項6】
前記架渡鋼材を用いた連結がされる前記突出連結部はレグであり、前記架渡鋼材は、前記レグ及び該レグに連結される前記鋼管杭の各内周面に沿って挿入されていて、前記レグの下端面と前記鋼管杭の上端面との間を架け渡すように配置されており、さらに、前記架渡鋼材は、前記レグの内周面および前記鋼管杭の内周面と連結していることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【請求項7】
前記架渡鋼材は、円筒状の鋼管の少なくとも一部を構成要素として含む継手鋼管であることを特徴とする請求項6に記載のジャケット式構造物。
【請求項8】
前記継手鋼管の外周面と前記レグ及び前記鋼管杭の各内周面との間にはグラウトが充填されていることを特徴とする請求項7に記載のジャケット式構造物。
【請求項9】
前記継手鋼管の外周面には突起が設けられており、また、前記継手鋼管が挿入される鋼管杭の内周面および前記レグの内周面のうち前記グラウトが充填される領域には突起が設けられていることを特徴とする請求項8に記載のジャケット式構造物。
【請求項10】
前記継手鋼管には、前記鋼管杭側の端部の外周面に、半径方向に突出した第1スペーサが周方向に所定間隔で複数設けられていると共に、前記レグ側の端部の外周面に、半径方向に突出した第2スペーサが周方向に所定間隔で複数設けられていることを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【請求項11】
前記継手鋼管には、外周面に、前記継手鋼管の軸方向に沿って半径方向に所定高さで突出したスペーサが周方向に間隔を隔てて複数設けられており、前記複数のスペーサにより前記継手鋼管の外周面が前記レグの内周面及び前記鋼管杭の内周面から所定距離を保って配置されていることを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【請求項12】
前記複数の第1スペーサの少なくとも一つと前記複数の第2スペーサの少なくとも一つは、前記継手鋼管の外周面に、該継手鋼管の軸方向に一体に形成されていることを特徴とする請求項10に記載のジャケット式構造物。
【請求項13】
前記鋼管杭の内空部において、該内空部に配置される前記継手鋼管の下端部より下方の位置に蓋部材が設けられていることを特徴とする請求項7~12のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【請求項14】
前記継手鋼管を用いた連結がされる前記レグの内周面には第1の連結鋼材が溶接されており、該継手鋼管の該レグ側の端部の内周面には第2の連結鋼材が溶接されており、前記第1の連結鋼材と前記第2の連結鋼材とは連結されていて、該継手鋼管は、前記第1の連結鋼材および前記第2の連結鋼材を介して前記レグの内周面に位置決めされていることを特徴とする請求項7~13のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【請求項15】
前記第1の連結鋼材と前記第2の連結鋼材とは現場溶接で連結されていることを特徴とする請求項14に記載のジャケット式構造物。
【請求項16】
前記継手鋼管を介して前記鋼管杭に連結される前記レグの上端部には、蓋部材が取り付けられていることを特徴とする請求項7~15のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【請求項17】
前記架渡鋼材は、該架渡鋼材を用いて連結される前記突出連結部及び前記鋼管杭の各外周面の一部を包囲し、該突出連結部の下端面と該鋼管杭の上端面との間を架け渡すように配置される継手鋼管であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【請求項18】
前記架渡鋼材は、連結する前記突出連結部の外周面の形状および連結する前記鋼管杭の外周面の形状に適合する形状の内周面を有する鋼材であることを特徴とする請求項17に記載のジャケット式構造物。
【請求項19】
前記継手鋼管の内周面と前記突出連結部及び前記鋼管杭の各外周面との間にはグラウトが充填されていることを特徴とする請求項17又は18に記載のジャケット式構造物。
【請求項20】
前記鋼管杭のうち少なくとも1本の鋼管杭は、既設の鋼管杭であることを特徴とする請求項1~19のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジャケット式構造物およびその構築方法に関する。
【0002】
本願において「ジャケット」とは、鋼製部材を主体とした骨組構造の総称であり、「ジャケット式構造物」とは、ジャケットを用いた構造物のことである。
【背景技術】
【0003】
ジャケット式構造物を構築する標準的な構築方法としては、例えば非特許文献1に記載されているように、ジャケット先行法と杭先行法があり、特許文献1には、ジャケット先行法を用いた実施形態と、杭先行法を用いた実施形態とが記載されている。
【0004】
ジャケット先行法は、ジャケットを本設の位置に配置する前に、本設の鋼管杭(以下、本杭と記すことがある。)の一部のみ及び/又は仮設の鋼管杭(以下、仮杭と記すことがある。)を先行して打設して、先行打設した本杭及び/又は仮杭にジャケットを支持させ、その状態で残りの本設の鋼管杭を打設して、ジャケット式構造物を構築する方法である。本杭を先行打設せず、先行打設した仮杭のみにジャケットを支持させる場合には、仮杭にジャケットを支持させてジャケットを所定位置に配置した後に、全ての本杭を打設することになる。
【0005】
一方、杭先行法は、全ての本杭を先行打設した後に、ジャケットを本設の位置に配置して、先行打設した本杭に固定し、ジャケット式構造物を構築する方法である。
【0006】
ジャケットを支持する全ての鋼管杭の長手方向が平行に揃っている場合には、ジャケット先行法および杭先行法のどちらも採用することができる。
【0007】
しかしながら、例えばジャケットを支持する複数の鋼管杭の長手方向が全ては平行に揃っていない場合、前記複数の鋼管杭を全て先行打設しても、先行打設した前記複数の鋼管杭それぞれにジャケットのレグをそれぞれ被せて設置することは困難である。このため、現状においては、杭先行法ではなくジャケット先行法を採用せざるを得ず、ジャケットを支持する複数の鋼管杭を全ては先行打設することはできず、現場の状況によっては、仮杭を打設することが必要になることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】沿岸開発技術ライブラリー No.7、「ジャケット工法技術マニュアル」、財団法人 沿岸開発技術研究センター、平成12年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ジャケットを支持する鋼管杭の方向によらず、構築方法の自由度の高いジャケット式構造物、および該ジャケット式構造物に適した構築方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下のジャケット式構造物およびその構築方法により、前記課題を解決したものである。
【0012】
即ち、本発明に係るジャケット式構造物は、地盤に固定された複数の鋼管杭と、前記複数の鋼管杭に支持されたジャケットと、を備えるジャケット式構造物であって、前記ジャケットは、本体部と、前記本体部から下方に突出して設けられていて、前記複数の鋼管杭それぞれと直線状にそれぞれが連結する複数の突出連結部と、を有し、前記鋼管杭とそれに連結される前記突出連結部との組のうち、少なくとも一組の前記鋼管杭と前記突出連結部は、該鋼管杭の上端面と該突出連結部の下端面との間を架け渡す架渡鋼材を用いて連結されていることを特徴とするジャケット式構造物である。
【0013】
ここで、本願において、「下方」とは、鉛直方向に下向きの方向だけでなく、鉛直方向に対して斜め下向きの方向も含む。
【0014】
また、前記鋼管杭と前記突出連結部とが「直線状に連結する」とは、連結されている状態の全体の外観が概ね直線状になることを意味し、また、「連結」とは、他の部材や素材を介さずに直接的に連結する場合だけでなく、他の部材や素材を介して連結する場合も含む。本願の他の箇所の記載においても同様である。
【0015】
前記複数の突出連結部は、前記本体部から第1の下方向に突出する第1突出連結部と、前記本体部から前記第1の下方向とは異なる第2の下方向に突出する第2突出連結部とを含み、前記架渡鋼材を用いた連結は、前記第1突出連結部又は前記第2突出連結部のいずれかで行われる、ように構成してもよい。
【0016】
ここで、本願において、「下方向」とは、鉛直方向に下向きの方向だけでなく、鉛直方向に対して斜め下向きの方向も含む。
【0017】
前記第1突出連結部は、前記本体部から鉛直下方に突出し、前記第2突出連結部は、前記本体部から斜め下方に突出したものであり、前記架渡鋼材を用いた連結は、前記第2突出連結部で行われる、ように構成してもよい。
【0018】
前記第1突出連結部はレグであり、前記鋼管杭が前記レグ内に挿入されて連結されている、ように構成してもよい。
【0019】
本願において、ジャケットのレグとは、当該ジャケットの本体部から下方または斜め下方に突出して延びる鋼管部材のことであり、鋼管杭と連結する部位である。
【0020】
前記架渡鋼材を用いた連結がされる前記突出連結部の下端部に、該突出連結部の下端面より更に下方に突出して設けられた案内部材を備え、該案内部材は、前記突出連結部の下端面と、該突出連結部と連結する前記鋼管杭の上端面とが対向するように案内する、ように構成してもよい。
【0021】
前記架渡鋼材を用いた連結がされる前記突出連結部はレグであり、前記架渡鋼材は、前記レグ及び該レグに連結される前記鋼管杭の各内周面に沿って挿入されていて、前記レグの下端面と前記鋼管杭の上端面との間を架け渡すように配置されており、さらに、前記架渡鋼材は、前記レグの内周面および前記鋼管杭の内周面と連結している、ように構成してもよい。
【0022】
ここで、「内周面に沿って挿入」とは、内周面と隙間なく挿入する場合だけでなく、所定の隙間をもって挿入する場合も含む。
【0023】
前記架渡鋼材は、円筒状の鋼管の少なくとも一部を構成要素として含む継手鋼管であってもよい。
【0024】
このような継手鋼管としては、一体的に形成された円筒状の鋼管を挙げることができるが、それ以外にも具体的には例えば、円周方向に分割(例えば2分割や4分割)された鋼管の部位を溶接や機械的な接合等で連結して、円筒状に形成したものであってもよい。また、補強や連結のために、外周面よりも外側に突出するようにフランジ等を設けたものであってもよい。
【0025】
前記継手鋼管の外周面と前記レグ及び前記鋼管杭の各内周面との間にはグラウトが充填されている、ように構成してもよい。
【0026】
前記継手鋼管の外周面には突起が設けられており、また、前記継手鋼管が挿入される鋼管杭の内周面および前記レグの内周面のうち前記グラウトが充填される領域には突起が設けられている、ように構成してもよい。
【0027】
前記継手鋼管には、前記鋼管杭側の端部の外周面に、半径方向に突出した第1スペーサが周方向に所定間隔で複数設けられていると共に、前記レグ側の端部の外周面に、半径方向に突出した第2スペーサが周方向に所定間隔で複数設けられている、ように構成してもよい。
【0028】
前記継手鋼管には、外周面に、前記継手鋼管の軸方向に沿って半径方向に所定高さで突出したスペーサが周方向に間隔を隔てて複数設けられており、前記複数のスペーサにより前記継手鋼管の外周面が前記レグの内周面及び前記鋼管杭の内周面から所定距離を保って配置されている、ように構成してもよい。
【0029】
前記複数の第1スペーサの少なくとも一つと前記複数の第2スペーサの少なくとも一つは、前記継手鋼管の外周面に、該継手鋼管の軸方向に一体に形成されている、ように構成してもよい。
【0030】
前記鋼管杭の内空部において、該内空部に配置される前記継手鋼管の下端部より下方の位置に蓋部材が設けられていてもよい。
【0031】
前記継手鋼管を用いた連結がされる前記レグの内周面には第1の連結鋼材が溶接されており、該継手鋼管の該レグ側の端部の内周面には第2の連結鋼材が溶接されており、前記第1の連結鋼材と前記第2の連結鋼材とは連結されていて、該継手鋼管は、前記第1の連結鋼材および前記第2の連結鋼材を介して前記レグの内周面に位置決めされている、ように構成してもよい。
【0032】
前記第1の連結鋼材と前記第2の連結鋼材とは現場溶接で連結されているように構成してもよい。
【0033】
前記継手鋼管を介して前記鋼管杭に連結される前記レグの上端部には、蓋部材が取り付けられている、ように構成してもよい。
【0034】
前記架渡鋼材は、該架渡鋼材を用いて連結される前記突出連結部及び前記鋼管杭の各外周面の一部を包囲し、該突出連結部の下端面と該鋼管杭の上端面との間を架け渡すように配置される継手鋼管である、ように構成してもよい。
【0035】
前記架渡鋼材は、連結する前記突出連結部の外周面の形状および連結する前記鋼管杭の外周面の形状に適合する形状の内周面を有する鋼材であってもよい。
【0036】
前記継手鋼管の内周面と前記突出連結部及び前記鋼管杭の各外周面との間にはグラウトが充填されている、ように構成してもよい。
【0037】
前記鋼管杭のうち少なくとも1本の鋼管杭は、既設の鋼管杭であってもよい。
【0038】
本願において、既設の鋼管杭とは、本発明に係るジャケット式構造物を構築する前に存在していた別の構造物に用いられていた鋼管杭のことである。
【0039】
本発明に係るジャケット式構造物の構築方法の第1の態様は、地盤に固定された複数の鋼管杭と、前記複数の鋼管杭に支持されたジャケットと、を備え、前記ジャケットは、本体部と、前記本体部から下方に突出して設けられていて、前記複数の鋼管杭それぞれと直線状に連結する複数の突出連結部と、を有し、前記鋼管杭とそれに連結される前記突出連結部との組のうち、少なくとも一組の前記鋼管杭と前記突出連結部は、該鋼管杭の上端面と該突出連結部の下端面との間を架け渡す架渡鋼材を用いて連結されているジャケット式構造物の構築方法であって、前記複数の鋼管杭の下端部を地盤に固定する固定工程と、前記固定工程で地盤に固定された前記複数の鋼管杭の上端部近傍に、対応する前記突出連結部の下端部がそれぞれ位置するように、前記ジャケットを所定位置に配置するジャケット配置工程と、前記ジャケット配置工程で前記所定位置に配置された前記ジャケットに設けられた前記複数の突出連結部のうち、少なくとも一つの突出連結部の下端部の外周面と前記鋼管杭の上端部の外周面とを取り囲むように前記架渡鋼材を取り付けて、該突出連結部と該鋼管杭とを連結する連結工程と、前記連結工程で連結された前記突出連結部の下端部の外周面及び前記鋼管杭の上端部の外周面と、それら外周面を取り囲む前記架渡鋼材との間にグラウトを充填するグラウト充填工程と、を有することを特徴とするジャケット式構造物の構築方法である。
【0040】
本発明に係るジャケット式構造物の構築方法の第2の態様は、地盤に固定された複数の鋼管杭と、前記複数の鋼管杭に支持されたジャケットと、を備え、前記ジャケットは、本体部と、前記本体部から下方に突出して設けられていて、前記複数の鋼管杭それぞれと直線状に連結する複数のレグと、を有し、前記鋼管杭とそれに連結される前記レグとの組のうち、少なくとも一組の前記鋼管杭と前記レグは、該鋼管杭の上端面と該レグの下端面との間を架け渡して連結するように該鋼管杭及び該レグの内部に挿入されている継手鋼管を用いて連結されているジャケット式構造物を構築する構築方法であって、前記複数の鋼管杭の下端部を地盤に固定する固定工程と、前記固定工程で地盤に固定された前記複数の鋼管杭の上端部近傍に、対応する前記レグの下端部がそれぞれ位置するように、前記ジャケットを所定位置に配置するジャケット配置工程と、前記ジャケット配置工程で前記所定位置に配置された前記ジャケットに設けられた前記複数のレグのうち、少なくとも一つのレグの上方から前記継手鋼管を該レグの内部に挿入し、対応する前記鋼管杭の上端面と該レグの下端面との間を架け渡す位置に位置決めする位置決め工程と、前記位置決め工程で位置決めされた前記継手鋼管の外周面と前記鋼管杭及び前記レグの各内周面との間にグラウトを充填するグラウト充填工程と、を有することを特徴とするジャケット式構造物の構築方法である。
【0041】
本発明に係るジャケット式構造物の構築方法の第1の態様において、前記ジャケット配置工程では、前記突出連結部の下端部に、該突出連結部の下端面より更に下方に突出して設けられていて、対応する前記鋼管杭の上端部の内周面に当接して案内する案内部材を用いて、前記突出連結部と前記鋼管杭とが直線状になるように前記ジャケットを配置する、ようにしてもよい。
【0042】
本発明に係るジャケット式構造物の構築方法の第2の態様において、前記ジャケット配置工程では、前記レグの下端部の内周面に、該レグの下端面より更に下方に突出して設けられていて、対応する前記鋼管杭の上端部の内周面に当接して案内する案内部材を用いて、前記レグと前記鋼管杭とが直線状になるように前記ジャケットを配置する、ようにしてもよい。
【0043】
本発明に係るジャケット式構造物の構築方法の第1の態様において、前記ジャケットに設けられる複数の突出連結部には、鉛直下方に突出する鉛直突出連結部と、斜め下方に突出する斜め突出連結部とを含み、前記ジャケット配置工程では、前記鉛直突出連結部内に、前記固定工程で固定した鋼管杭の上端部を挿入する、ようにしてもよい。
【0044】
本発明に係るジャケット式構造物の構築方法の第2の態様において、前記ジャケットに設けられる複数のレグには、鉛直下方に突出する鉛直レグと、斜め下方に突出する傾斜レグとを含み、前記ジャケット配置工程では、前記鉛直レグ内に、前記固定工程で固定した鋼管杭の上端部を挿入する、ようにしてもよい。
【0045】
本発明に係るジャケット式構造物の構築方法の第2の態様において、前記継手鋼管を、前記鋼管杭の内空部および前記レグの内空部における所定の位置に配置した後、第1の連結鋼材を、前記継手鋼管の前記レグ側の端面に当接させるように、前記レグの内周面に溶接で取り付け、第2の連結鋼材を、前記継手鋼管の内周面に溶接で取り付けるとともに、前記第1の連結鋼材に溶接で取り付けて、前記継手鋼管を、前記第1の連結鋼材および前記第2の連結鋼材を介して前記レグの内周面に固定する工程を更に含む、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、ジャケットを支持する鋼管杭の方向によらず、構築方法の自由度の高いジャケット式構造物、および該ジャケット式構造物に適した構築方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るジャケット式構造物10を示す斜視図
【
図2】本発明の第1実施形態に係るジャケット式構造物10を示す側面図(
図1のII方向矢視図)
【
図5】傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面とを当接させる際の傾斜レグ18Bの鉛直方向下向きの動きを模式的に示す鉛直断面図
【
図8】第1実施形態に係るジャケット式構造物10を構築する際の代表的な工程を模式的に示す鉛直断面図
【
図9】第1実施形態に係るジャケット式構造物10を構築する際の代表的な工程を模式的に示す斜視図
【
図10】第1実施形態に係るジャケット式構造物10を構築する際の代表的な工程を模式的に示す鉛直断面図
【
図11】第1実施形態に係るジャケット式構造物10を構築する際の代表的な工程を模式的に示す斜視図
【
図12】第1実施形態に係るジャケット式構造物10を構築する際の代表的な工程を模式的に示す側面図
【
図13】第1実施形態に係るジャケット式構造物10を構築する際の代表的な工程を模式的に示す斜視図
【
図14】本発明の第2実施形態に係るジャケット式構造物30の部位のうち、継手鋼管32が設けられた部位を拡大して示す鉛直断面図
【
図17】本発明の第3実施形態に係るジャケット式構造物40の部位のうち、継手鋼管42が設けられた部位を拡大して示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0049】
(1)第1実施形態
(1-1)第1実施形態の構成および作用効果
図1は、本発明の第1実施形態に係るジャケット式構造物10を示す斜視図であり、
図2は、本発明の第1実施形態に係るジャケット式構造物10を示す側面図(
図1のII方向矢視図)であり、
図3は、
図2のIII部を拡大して示す鉛直断面図である。
図1では地盤100の記載は省略している。
【0050】
ジャケット式構造物10は、複数の鋼管杭12と、ジャケット14と、継手鋼管20と、を備え、複数の鋼管杭12によって地盤100に固定されている構造物であり、具体的には例えば、桟橋や桟橋式の岸壁に好適に適用可能である。以下の説明では、ジャケット式構造物10が桟橋や桟橋式の岸壁に適用される場合を想定して説明するが、本発明に係るジャケット式構造物の適用対象が桟橋や桟橋式の岸壁に限定されるわけではなく、防波堤、橋梁の下部構造、沖がかり施設(ドルフィン等)、洋上風力発電設備の着床式基礎、海底油田・海底ガス田開発用の海上プラットフォームの下部構造物等にも適用可能であり、また、陸上に構築される構造物にも適用可能である。
【0051】
鋼管杭12は、鉛直方向または鉛直方向に対して傾けて地盤100(
図2参照)に打ち込まれていて、その先端が岩盤などの十分な支持力のある支持層に達している支持杭であり、ジャケット式構造物10の全体の位置を保持する役割を有する。構築するジャケット式構造物10の重量等の条件に応じて安全性が確認できた場合は、鋼管杭12を、先端が岩盤などの十分な支持力のある支持層に達していない摩擦杭としてもよい。また、鋼管杭12は、新設の鋼管杭であってもよく、また、既設の鋼管杭であってもよい。また、鋼管杭12は、直接地盤に打ち込まれる構成だけに限定されず、例えば岩盤に固定された鋼管部を有する固定部材の該鋼管部内に挿入されて岩盤に対して固定される構成のものであってもよい。
【0052】
鋼管杭12のうち、鉛直鋼管杭12Aは鉛直方向に地盤100に打ち込まれている鋼管杭であり、傾斜鋼管杭12Bは鉛直方向に対して傾けて地盤100に打ち込まれている鋼管杭である。
【0053】
ジャケット14は、鋼材を組み立てて構成された鋼製構造物であり、上部部位である上部鋼桁部16と、下部部位であるレグ18と、を有して構成されている。
【0054】
上部鋼桁部16は、ジャケット14の上部部位(本願では、「本体部」と称することがある。)であり、鋼桁16Aが縦横に配置されて組み立てられており、格子状に構成されており、その上に床版(図示せず)が配置される。配置可能な床版は特には限定されないが、具体的には例えば、コンクリート系床版(プレキャスト床版、現場打ちコンクリート床版等)を用いてもよく、鋼床版を用いてもよい。
【0055】
レグ18は、ジャケット14の本体部である上部鋼桁部16から下方または斜め下方に突出して延びる鋼管部材であり、鋼管杭12と連結する部位である。したがって、レグ18は突出連結部と言うこともできる。鋼管杭12とレグ18とは、直線状に連結しており、連結されている状態の全体の外観が概ね直線状になっている。したがって、レグ18のうち、鉛直鋼管杭12Aと連結している鉛直レグ18Aは軸方向が鉛直方向になっており、また、傾斜鋼管杭12Bと連結している傾斜レグ18Bは軸方向が傾斜鋼管杭12Bの長手方向と同方向になっており、鉛直方向に対して傾いている。
【0056】
直線状に連結している鋼管杭12とレグ18の組のうち、鉛直方向に連結している鉛直鋼管杭12Aと鉛直レグ18Aの組においては、鉛直レグ18Aの内径が鉛直鋼管杭12Aの外径よりも大きくなっており、鉛直鋼管杭12Aの上端部に鉛直レグ18Aが被さる配置状態になっている。そして、鉛直レグ18Aが鉛直鋼管杭12Aに被さっている領域においては、鉛直レグ18Aの内周面と鉛直鋼管杭12Aの外周面との間に、グラウト22が充填されていて、鉛直レグ18Aと鉛直鋼管杭12Aとは一体化されている。
【0057】
また、直線状に連結している鋼管杭12とレグ18の組のうち、鉛直方向に対して傾いた状態で連結している傾斜鋼管杭12Bと傾斜レグ18Bの組においては、傾斜鋼管杭12Bの内外径と傾斜レグ18Bの内外径とは略同一になっており、それぞれの軸方向を揃えて配置して端面同士を当接させる配置状態にしている。なお、軸方向を揃えて配置したとき、傾斜鋼管杭12Bの端面と傾斜レグ18Bの端面とを当接させて、軸方向に力を十分に伝達させることができるのであれば、傾斜鋼管杭12Bの管厚と傾斜レグ18Bの管厚とを必ずしも同一に揃えなくてもよく、傾斜鋼管杭12Bの内径と傾斜レグ18Bの内径とを必ずしも同一に揃えなくてもよく、傾斜鋼管杭12Bの外径と傾斜レグ18Bの外径とを必ずしも同一に揃えなくてもよい。
【0058】
直線状に連結している傾斜鋼管杭12Bと傾斜レグ18Bの組においては、それぞれの軸方向を揃えて配置することで端面同士が当接するようになっており、一方が他方に入り込む部位はない。このため、上方からジャケット14を鉛直方向に下降させていって、ジャケット14の全ての鉛直レグ18Aを対応する鉛直鋼管杭12Aにそれぞれ被せるとともに、ジャケット14の全ての傾斜レグ18Bの下端面が、対応する傾斜鋼管杭12Bのそれぞれの上端面に当接するように、ジャケット14を配置させることが可能になっている。
【0059】
直線状に連結している傾斜鋼管杭12Bと傾斜レグ18Bの組においては、前述したように、一方が他方に入り込む部位がないので、本願においては、傾斜鋼管杭12Bを非挿入鋼管杭12Bと記すことがあり、傾斜レグ18Bを非挿入レグ18Bと記すことがある。
【0060】
直線状に連結している非挿入鋼管杭12Bと非挿入レグ18Bの内空部には、継手鋼管20が、非挿入鋼管杭12Bの上端面と非挿入レグ18Bの下端面との間を架け渡すように配置されており、継手鋼管20は架渡鋼材と言うこともできる。
【0061】
継手鋼管20は、非挿入鋼管杭12Bの内周面および非挿入レグ18Bの内周面に外周面が沿って配置されている円筒状の鋼管であり、下端側の端部は蓋20Xで塞がれている。蓋20Xは鋼板であり、溶接で継手鋼管20の下端部に取り付けられている。継手鋼管20の外径は、非挿入鋼管杭12Bの内径および非挿入レグ18Bの内径よりも200~300mm程度小さくなっており、継手鋼管20の外周面と非挿入鋼管杭12Bの内周面との間の距離、および継手鋼管20の外周面と非挿入レグ18Bの内周面との間の距離は、標準的には100~150mm程度である。
【0062】
また、継手鋼管20として用いることができる円筒状の鋼管としては、前述したように円筒状の鋼管の少なくとも一部を構成要素として含むものであってもよい。
【0063】
継手鋼管20の外周面と非挿入鋼管杭12Bの内周面との間、および継手鋼管20の外周面と非挿入レグ18Bの内周面との間には、グラウト22が充填されていて、一体化している。グラウト22の種類は特には限定されず、例えば無収縮モルタル等のセメント系グラウト等を用いることができる。グラウト22を充填する際には、
図3に示すように、当接した非挿入鋼管杭12Bの上端面および非挿入レグ18Bの下端面を外側から覆うようにシール材24を配置して、その上端部および下端部をスチールバンド24Aで固定する。シール材24の材質は特には限定されず、例えばゴム製のシール材を用いることができ、また、固定手段もスチールバンド24Aに限定されず、他の固定手段を適宜に採用してもよい。シール材24およびスチールバンド24Aはグラウト22の硬化後に撤去してもよい。
【0064】
継手鋼管20の外周面にはシアキーとして機能する突起を設けてもよく、また、非挿入鋼管杭12Bの内周面および非挿入レグ18Bの内周面のうち、グラウト22が充填される領域の非挿入鋼管杭12Bの内周面および非挿入レグ18Bの内周面には、シアキーとして機能する突起を設けてもよい。シアキーとして機能する突起を設けることにより、グラウト22を充填する領域の長さを短くすることができ、用いる継手鋼管20の長さを短くすることができる。
【0065】
前記の突起は、圧延によって設けられた突起でもよく、溶接によって設けられた突起でもよい。溶接による突起は、具体的には例えば、溶融凝固した溶接金属で形成された溶接ビードからなる突起や、断面形状が角形の鋼材や丸型の鋼材をすみ肉溶接によって取り付けてなる突起等である。
【0066】
また、継手鋼管20の内空部にはコンクリートを充填してもよい。継手鋼管20の内空部にコンクリートを充填することにより、非挿入鋼管杭12Bと非挿入レグ18Bとの連結部を補強することができる。
【0067】
図3に示すように、非挿入レグ18Bの下端部の内周面にはガイドピース18B1、18B2が、非挿入レグ18Bの下端部から下方に突出するように取り付けられている。ガイドピース18B1、18B2は、非挿入鋼管杭12Bの上端面に、非挿入レグ18Bの下端面が当接するように、非挿入レグ18Bの位置を案内するガイド部材である。
【0068】
図4は
図3のIV-IV線断面図であり、当該断面のうち、高さが低い位置が下方になるように描いている。
図4に示すように、
図3のIV-IV線断面では、ガイドピース18B1の高さとガイドピース18B2の高さは略同一である。なお、
図4ではシール材24およびスチールバンド24Aの記載は省略している。
【0069】
図4に示すように、非挿入レグ18Bの下端部に設けたガイドピース18B1、18B2は、非挿入レグ18Bを周方向に8等分するような位置に設けられている。ガイドピース18B1は、非挿入レグ18Bの中心軸よりも下方の高さ位置に設けられた3つのガイド部材であり、ガイドピース18B2は、継手鋼管20の中心軸よりも上方の高さ位置および継手鋼管20の中心軸と同等の高さ位置に設けられた5つのガイド部材である。
【0070】
ガイドピース18B2は、
図3に示すように、下端部に切り欠き面18B2aが設けられた細長い板状の部材であり、切り欠き面18B2aは鉛直方向と平行な面になっている。傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面とを当接させる場合であっても、通常の場合、ジャケット14は鉛直方向下向きに移動させるため、
図5(傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面とを当接させる際の傾斜レグ18Bの鉛直方向下向きの動きを模式的に示す鉛直断面図)に示すように、傾斜レグ18Bも鉛直方向下向きに移動させることになるが、このような下向きの移動でもガイドピース18B2の下端部が傾斜鋼管杭12Bの内空部にスムーズに入り込むようにするため、切り欠き面18B2aは鉛直方向と平行な面になっている。
【0071】
一方、ガイドピース18B1は、
図3に示すように、切り欠き面のない細長い板状の部材であり、
図4に示すように、幅方向が高さ方向となるように非挿入レグ18Bの下端部内周面に溶接で取り付けられている。ガイドピース18B1は、非挿入レグ18Bの中心軸よりも下方に設けられた3つのガイド部材であり、傾斜レグ18Bが、当接した傾斜鋼管杭12Bの上端面からずれ落ちるのを防ぐ役割を有しており、ガイドピース18B1の面(当該面の一部が非挿入レグ18Bの下端部内周面に溶接で取り付けられている)が傾斜鋼管杭12Bの内周面に沿うようにするために、ガイドピース18B1には、ガイドピース18B2のような切り欠き面18B2aは設けられていない。但し、ガイドピース18B1をガイドピース18B2と同様な形状にしてもよい。
【0072】
また、
図3に示すように、継手鋼管20の前端部の外面には前端スペーサ20A、20Bが設けられており、継手鋼管20の後端部の外面には後端スペーサ20C、20Dが設けられている。ここで、継手鋼管20を非挿入鋼管杭12Bおよび非挿入レグ18Bに挿入する際の進行方向(非挿入鋼管杭12Bへ向かう方向)側を「前」とし、進行方向と反対方向側を「後」としている。継手鋼管20ならびに前端スペーサ20A、20Bおよび後端スペーサ20C、20Dに関し、以下同様とする。
【0073】
継手鋼管20の前端部の外面に設けた前端スペーサ20A、20Bおよび継手鋼管20の後端部の外面に設けた後端スペーサ20C、20Dは、
図3に示すように、前端に行くほど高さが低くなっており、非挿入鋼管杭12Bおよび非挿入レグ18Bへの継手鋼管20の挿入をスムーズに行えるようになっている。
【0074】
また、継手鋼管20の前端部の外面に設けた前端スペーサ20A、20Bの前端面は、継手鋼管20の長手方向と直交する平面になっており、非挿入鋼管杭12Bの杭内蓋12B1に当接するようになっている。杭内蓋12B1は、非挿入鋼管杭12Bの内周面に、非挿入鋼管杭12Bの長手方向と直交するように溶接で取り付けられている。杭内蓋12B1の取り付け位置によって、継手鋼管20の非挿入鋼管杭12Bへの挿入深さが決定される。
【0075】
図6は
図3のVI-VI線断面図であり、当該断面のうち、高さが低い位置が下方になるように描いている。
図7は
図3のVII-VII線断面図であり、当該断面のうち、高さが低い位置が下方になるように描いている。
【0076】
図6に示すように、継手鋼管20の前端部の外面に設けた前端スペーサ20A、20Bは、継手鋼管20を周方向に8等分するような位置に設けられている。前端スペーサ20Aは、継手鋼管20の中心軸よりも下方の高さ位置に設けられた3つのスペーサであり、前端スペーサ20Bは、継手鋼管20の中心軸よりも上方の高さ位置および継手鋼管20の中心軸と同等の高さ位置に設けられた5つのスペーサである。
【0077】
また、
図6に示すように、前端スペーサ20Aは前端スペーサ20Bよりも高さが高く、非挿入鋼管杭12Bの内周面に接するようになっている。一方、前端スペーサ20Bは前端スペーサ20Aよりも高さが低く、非挿入鋼管杭12Bの内周面に接していない。
【0078】
図7に示すように、継手鋼管20の後端部の外面に設けた後端スペーサ20C、20Dは、継手鋼管20を周方向に8等分するような位置に設けられている。後端スペーサ20Cは、継手鋼管20の中心軸よりも下方の高さ位置に設けられた3つのスペーサであり、後端スペーサ20Dは、継手鋼管20の中心軸よりも上方の高さ位置および継手鋼管20の中心軸と同等の高さ位置に設けられた5つのスペーサである。
【0079】
また、
図7に示すように、後端スペーサ20Cは後端スペーサ20Dよりも高さが高く、非挿入レグ18Bの内周面に接するようになっている。一方、後端スペーサ20Dは後端スペーサ20Cよりも高さが低く、非挿入レグ18Bの内周面に接していない。
【0080】
前端スペーサ20A、20Bおよび後端スペーサ20C、20Dを設けることにより、非挿入鋼管杭12Bの内周面と継手鋼管20の外周面との間の距離を所定の距離に保持することができ、また、非挿入レグ18Bの内周面と継手鋼管20の外周面との間の距離を所定の距離に保持することができる。このため、非挿入鋼管杭12Bの内周面と継手鋼管20の外周面とが直接接しないようにすることができ、また、非挿入レグ18Bの内周面と継手鋼管20の外周面とが直接接しないようにすることができるので、非挿入鋼管杭12Bおよび非挿入レグ18Bへの継手鋼管20の挿入をスムーズに行うことができる。また、継手鋼管20の外周面ならびに非挿入鋼管杭12Bの内周面および非挿入レグ18Bの内周面にシアキーとして機能する突起が設けられていても、前端スペーサ20A、20Bおよび後端スペーサ20C、20Dを設けることにより、非挿入鋼管杭12Bおよび非挿入レグ18Bへの継手鋼管20の挿入をスムーズに行うことができる。また、非挿入鋼管杭12Bが打設から長期間経っている既設の鋼管杭で、断面が真円からずれている場合であっても、非挿入鋼管杭12Bおよび非挿入レグ18Bへの継手鋼管20の挿入をスムーズに行いやすくなる。
【0081】
なお、前端スペーサ20Aおよび後端スペーサ20Cを、継手鋼管20の長手方向に長く(継手鋼管20の上端部から下端部まで)一体に形成されたスペーサで置き替えてもよく、また、前端スペーサ20Bおよび後端スペーサ20Dを、継手鋼管20の長手方向に長く(継手鋼管20の上端部から下端部まで)一体に形成されたスペーサで置き替えてもよい。
【0082】
(1-2)第1実施形態に係るジャケット式構造物10を構築する施工手順
本発明の第1実施形態に係るジャケット式構造物10を構築する施工手順を、図面を参照しつつ、ステップに分けて説明する。
【0083】
図8~
図13は、第1実施形態に係るジャケット式構造物10を構築する際の代表的な工程を模式的に示す図である。
【0084】
<ステップS1>
図8に示すように、油圧ハンマー102で全ての鋼管杭12(鉛直鋼管杭12Aおよび傾斜鋼管杭12B)を地盤100に打設する。そして、打設完了後に、傾斜鋼管杭12Bの内周面の所定の位置に杭内蓋12B1を溶接で取り付ける。杭内蓋12B1の溶接による取り付けでは、全周溶接または4か所以上の箇所での溶接を行う。また、ステップS5でのグラウト22の充填に備えて、必要に応じて、傾斜鋼管杭12Bの内周面と杭内蓋12B1との間の隙間をシール材(図示せず)で塞いでおく。
【0085】
<ステップS2>
ステップS1で打設した鋼管杭12にジャケット14を取り付けるために、
図9に示すように、クレーン104でジャケット14を吊り上げる。ジャケット14のレグ18の下端部には、所定の位置に、工場溶接で予めガイドピース18B1、18B2(
図3、4参照)を取り付けておく。
【0086】
<ステップS3>
鉛直鋼管杭12Aの上端部に鉛直レグ18Aが被さるように、かつ、傾斜鋼管杭(非挿入鋼管杭)12Bの上端面に傾斜レグ(非挿入レグ)18Bの下端面が当接するように、クレーン104で吊り上げたジャケット14を鉛直方向に下降させて、
図10に示すようにジャケット14を配置する。この際、傾斜レグ18Bの所定の位置に予め取り付けたガイドピース18B1、18B2が、傾斜鋼管杭(非挿入鋼管杭)12Bの上端面に傾斜レグ(非挿入レグ)18Bの下端面が当接するように案内する。
【0087】
また、鉛直レグ18Aの内周面の所定の位置には予め仮受けブラケット18A1を溶接で取り付けておき、鉛直鋼管杭12Aの上端部に鉛直レグ18Aが適切な長さだけ被さるようにしておく。
【0088】
<ステップS4>
ステップS3で
図10に示すような配置状態にジャケット14を配置した後、
図11に示すように、継手鋼管20をクレーン104で吊り上げ、傾斜鋼管杭12Bおよび傾斜レグ18Bの内空部の所定位置に継手鋼管20を配置して、傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面との間を架け渡すように配置する。傾斜鋼管杭12Bおよび傾斜レグ18Bの内空部に継手鋼管20を配置する際には、
図3に示すように、継手鋼管20の前端部の外面に設けた前端スペーサ20A、20Bの前端面が、非挿入鋼管杭12Bの杭内蓋12B1に当接するようにする。したがって、杭内蓋12B1の取り付け位置によって、継手鋼管20の非挿入鋼管杭12Bへの挿入深さが決定される。
【0089】
<ステップS5>
ステップS4で継手鋼管20を配置した後、
図12に示すように、当接した傾斜鋼管杭12Bの上端面および傾斜レグ18Bの下端面を外側から覆うようにシール材24を設ける。そして、継手鋼管20の外周面と傾斜鋼管杭12Bの内周面との間、および継手鋼管20の外周面と傾斜レグ18Bの内周面との間に、グラウト22を充填して、一体化する。
【0090】
また、鉛直レグ18Aの下端部と鉛直鋼管杭12Aの外周面との間にはシール材(図示せず)を設け、鉛直レグ18Aが鉛直鋼管杭12Aに被さっている領域において、鉛直レグ18Aの内周面と鉛直鋼管杭12Aの外周面との間に、グラウト22を充填して、鉛直レグ18Aと鉛直鋼管杭12Aとを一体化する。
【0091】
本ステップS5で充填したグラウト22が硬化して鋼管杭12とジャケット14との一体化が完了すれば、本第1実施形態に係るジャケット式構造物10は完成する。
【0092】
<ステップS6>
ステップS5で本第1実施形態に係るジャケット式構造物10は完成するが、実際に供用する際には、通常、ジャケット14の本体部である上部鋼桁部16の上方に床版部を設けるため、
図13に示すように、ジャケット14のレグ18の天端開口部には天端蓋18Cを設けて、レグ18の天端開口部を塞ぐ。通常の場合、天端蓋18Cは鋼板であり、天端蓋18Cの上面がレグ18の上端面と揃うように、溶接でレグ18に取り付ける。また、ジャケット式構造物10の供用態様が、上部鋼桁部16の上方に床版部を設けない供用態様であっても、レグ18の内空部に水分や腐食性物質が入り込まないようにするために、レグ18の天端開口部には天端蓋18Cを設けて、レグ18の天端開口部を塞ぐことが好ましい。
【0093】
(2)第2実施形態
図14は、本発明の第2実施形態に係るジャケット式構造物30の部位のうち、継手鋼管32が設けられた部位を拡大して示す鉛直断面図であり、
図15は
図14のXV-XV線断面図であり、
図16は
図14のXVI-XVI線断面図である。
【0094】
第1実施形態に係るジャケット式構造物10においては、傾斜レグ18Bと継手鋼管20との連結はグラウト22のみを介しての連結であったが、本第2実施形態に係るジャケット式構造物30においては、継手鋼管32の後端部が、第1の連結鋼材34および第2の連結鋼材36を介して、溶接によって傾斜レグ18Bの内周面と連結しており、傾斜レグ18Bと継手鋼管32との連結は、グラウト22を介しての連結に加えて、第1の連結鋼材34および第2の連結鋼材36を介しての溶接による連結も寄与している。
【0095】
このため、第2実施形態に係るジャケット式構造物30における継手鋼管32の長さは、第1実施形態に係るジャケット式構造物10における継手鋼管20の長さと比べて短くなっている。
【0096】
これらの点以外は、第2実施形態に係るジャケット式構造物30は、第1実施形態に係るジャケット式構造物10と同様であるので、対応する部材および部位には原則として同一の符号を付し、説明は原則として省略する。
【0097】
第1の連結鋼材34は、
図14および
図15に示すように、3つのブラケット鋼板34Aと、1つの接続鋼板34Bと、を有してなり、第1の連結鋼材34は、傾斜レグ18Bを円周方向に4等分するような位置にそれぞれ設けられており、1つの傾斜レグ18Bごとに4つ設けられている。
図14に示すように、ブラケット鋼板34Aは5角形の鋼板であるが、その最大長さの辺が傾斜レグ18Bの軸方向と平行な方向となるように傾斜レグ18Bの内周面にそれぞれ溶接(通常は現場溶接)されており、ブラケット鋼板34Aの下端側の1辺はそれぞれ接続鋼板34Bの面に当接して溶接(通常は現場搬入前に工場等で溶接)されている。また、第1の連結鋼材34のブラケット鋼板34Aを傾斜レグ18Bの内周面に溶接する際には、第1の連結鋼材34の接続鋼板34Bの下面が、継手鋼管32の上端面と当接するように、第1の連結鋼材34を配置するのがよい。
【0098】
第2の連結鋼材36は、
図14および
図16に示すように、長方形状の鋼板であり、長辺が継手鋼管32の軸方向となるように継手鋼管32の内周面にそれぞれ溶接(通常は現場溶接)されており、短辺は接続鋼板34Bの面に当接してそれぞれ溶接(通常は現場溶接)されている。第2の連結鋼材36は、第1の連結鋼材34の下方に設けられており、1つの第1の連結鋼材34に対して、3つの第2の連結鋼材36が設けられている。
【0099】
以上のように、第2実施形態に係るジャケット式構造物30においては、傾斜レグ18Bと継手鋼管32との連結は、グラウト22を介しての連結に加えて、第1の連結鋼材34および第2の連結鋼材36を介しての溶接による連結も寄与しており、その結果、継手鋼管32の長さを、第1実施形態に係るジャケット式構造物10の継手鋼管20の長さよりも短くできるので、ジャケット14の上部鋼桁部16の下端から水面までの距離が短い場合であっても、第1実施形態に係るジャケット式構造物10よりも、傾斜レグ18Bの下端が水面に達しないようにしやすく、水中作業を少なくしやすい。
【0100】
なお、第1の連結鋼材34および第2の連結鋼材36を介して、継手鋼管32の後端部は傾斜レグ18Bの内周面に連結されるので、第1の連結鋼材34および第2の連結鋼材36は、傾斜レグ18B内における継手鋼管32の配置位置を決める機能も有する。
【0101】
(3)第3実施形態
図17は、本発明の第3実施形態に係るジャケット式構造物40の部位のうち、継手鋼管42が設けられた部位を拡大して示す側面図であり、
図18は、取り付け前の継手鋼管42を示す斜視図である。
【0102】
第1実施形態に係るジャケット式構造物10においては、傾斜鋼管杭(非挿入鋼管杭)12Bと傾斜レグ(非挿入レグ)18Bとの連結は、傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面との間を架け渡すように、傾斜鋼管杭12Bの内空部および傾斜レグ18Bの内空部に配置された継手鋼管20を介してなされ、第2実施形態に係るジャケット式構造物30においては、傾斜鋼管杭12Bと傾斜レグ18Bとの連結は、傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面との間を架け渡すように、傾斜鋼管杭12Bの内空部および傾斜レグ18Bの内空部に配置された継手鋼管32を介してなされていたが、本発明の第3実施形態に係るジャケット式構造物40においては、傾斜鋼管杭12Bと傾斜レグ18Bとの連結は、傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面との間を架け渡すように、傾斜鋼管杭12Bの外周面および傾斜レグ18Bの外周面に沿って配置された継手鋼管42を介してなされている。この点およびこの点に付随した構成以外は、第3実施形態に係るジャケット式構造物40は、第1実施形態に係るジャケット式構造物10および第2実施形態に係るジャケット式構造物30と同様である。したがって、第3実施形態に係るジャケット式構造物40の説明においては、原則として、継手鋼管42および継手鋼管42に付随した構成のみについて説明し、継手鋼管42および継手鋼管42に付随した構成以外の説明は、第1実施形態に係るジャケット式構造物10の対応する構成の説明で替えることとする。
【0103】
図17および
図18に示すように、継手鋼管42は、2つの半円状継手鋼管44を有してなり、半円状継手鋼管44は、半円状鋼管44Aと、軸方向端部フランジ44Bと、円周方向端部フランジ44Cと、補強リブ44Dと、を有してなる。
【0104】
半円状鋼管44Aは、傾斜鋼管杭12Bの外径および傾斜レグ18Bの外径よりも100~300mm程度大きい内径を有する鋼管を、軸方向に2つに切り分けた鋼管であり、断面が半円形の鋼管であり、半円状鋼管44Aの内周面は、傾斜鋼管杭12Bの外周面の形状および傾斜レグ18Bの外周面の形状に適合する形状である。また、
図17に示すように、傾斜鋼管杭12Bの外周面および傾斜レグ18Bの外周面に沿って配置された半円状継手鋼管44の軸方向端部フランジ44Bが水平となるように、半円状鋼管44Aの軸方向両端部は、軸方向と直交するように切断されておらず、傾斜して切断されている。
【0105】
軸方向端部フランジ44Bは、半円状鋼管44Aの軸方向両端部にそれぞれ設けられたフランジであり、半円状鋼管44Aの外周面よりも外側に突出するように設けられており、半円状鋼管44Aの軸方向両端部を補強する役割を有する。
【0106】
円周方向端部フランジ44Cは、半円状鋼管44Aの円周方向両端部に設けられたフランジであり、半円状鋼管44Aの外周面よりも外側に突出するように設けられている。傾斜鋼管杭(非挿入鋼管杭)12Bの外周面および傾斜レグ(非挿入レグ)18Bの外周面に沿って継手鋼管42を配置する際には、2つの半円状継手鋼管44の円周方向端部フランジ44Cのフランジ面同士を当接させるように配置し、当接させた2つの円周方向端部フランジ44Cを挿通するようにボルト44C1を配置して締め付けて連結する。
【0107】
補強リブ44Dは、半円状鋼管44Aの外周面と円周方向端部フランジ44Cとの間に配置されている補強鋼板であり、半円状鋼管44Aと円周方向端部フランジ44Cとに溶接で連結された補強鋼板である。
【0108】
また、
図17に示すように、傾斜鋼管杭12Bの外周面には、継手鋼管42の配置時に、継手鋼管42を下方から支持する架台46が、溶接で取り付けられている。架台46の下面と傾斜鋼管杭12Bの外周面との間には、架台46を下方から支持するブラケット46Aが設けられており、ブラケット46Aは、架台46の下面と傾斜鋼管杭12Bの外周面に溶接で取り付けられている。架台46の取り付け位置によって、継手鋼管42の下端位置が決定される。
【0109】
架台46の上面に2つの半円状継手鋼管44を配置して、円周方向端部フランジ44C同士を当接させ、当接させた円周方向端部フランジ44C同士を挿通するようにボルト44C1を配置して締め付けて連結し、継手鋼管42を組み立てた後、傾斜鋼管杭12Bの外周面と継手鋼管42の内周面との間、および傾斜レグ18Bの外周面と継手鋼管42の内周面との間に、グラウト22を充填して、一体化する。
【0110】
継手鋼管42は、傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面との間を架け渡すように配置されていて、傾斜鋼管杭12Bと傾斜レグ18Bとを連結しており、継手鋼管42は架渡鋼材と言うこともできる。
【0111】
本第3実施形態においては、傾斜鋼管杭(非挿入鋼管杭)12Bの上端面に傾斜レグ(非挿入レグ)18Bの下端面を当接させた後、傾斜鋼管杭12Bおよび傾斜レグ18Bへの継手鋼管42の取り付け作業は、傾斜鋼管杭12Bおよび傾斜レグ18Bの外側からの作業のみであるので、施工が容易である。ただし、傾斜鋼管杭12Bおよび傾斜レグ18Bの外側から継手鋼管42を取り付けるため、第3実施形態に係るジャケット式構造物40の適用が好適な現場条件は、ジャケット14の上部鋼桁部16の下端から水面までの距離が比較的長い場合である。
【0112】
(4)補足
以上説明した第1~第3実施形態に係るジャケット式構造物10、30、40においては、傾斜鋼管杭(非挿入鋼管杭)12Bの上端面と傾斜レグ(非挿入レグ)18Bの下端面とを直接的に当接させる配置状態を前提に説明したが、傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面とを直接的に当接させることは必須ではなく、傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面と間に両者を連結させるための当接部材を取り付けて、当接部材を介して、傾斜鋼管杭12Bの上端面と傾斜レグ18Bの下端面とを間接的に当接させるようにしてもよい。
【0113】
また、以上説明した第1~第3実施形態に係るジャケット式構造物10、30、40においては、傾斜鋼管杭12Bと傾斜レグ18Bとを連結する連結部材として、継手鋼管20、32、42を用いたが、本発明に適用可能な連結部材は形状が管状のものに限定されるわけではなく、例えば、断面がH形の鋼材を連結部材として用いることも可能である。
【0114】
また、以上説明した第1~第3実施形態に係るジャケット式構造物10、30、40においては、ガイドピース18B1、18B2は、傾斜レグ18Bの下端部の内周面に取り付けるようにしたが、傾斜レグ18Bの下端部の外周面に取り付けるようにしてもよい。ただし、その場合には、取り付け位置を傾斜レグ18Bの下端部の外周面に変更したことに合わせて、ガイドピース18B1、18B2の形状を適宜に変更する。
【符号の説明】
【0115】
10、30、40…ジャケット式構造物
12…鋼管杭
12A…鉛直鋼管杭
12B…傾斜鋼管杭(非挿入鋼管杭)
12B1…杭内蓋
14…ジャケット
16…上部鋼桁部
16A…鋼桁
18…レグ
18A…鉛直レグ
18A1…仮受けブラケット
18B…傾斜レグ(非挿入レグ)
18B1、18B2…ガイドピース
18B2a…切り欠き面
18C…天端蓋
20、32、42…継手鋼管
20A、20B…前端スペーサ
20C、20D…後端スペーサ
20X…蓋
22…グラウト
24…シール材
24A…スチールバンド
34…第1の連結鋼材
34A…ブラケット鋼板
34B…接続鋼板
36…第2の連結鋼材
44…半円状継手鋼管
44A…半円状鋼管
44B…軸方向端部フランジ
44C…円周方向端部フランジ
44C1…ボルト
44D…補強リブ
46…架台
46A…ブラケット
100…地盤
102…油圧ハンマー
104…クレーン
【手続補正書】
【提出日】2023-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に固定された複数の鋼管杭と、
前記複数の鋼管杭に支持されたジャケットと、
前記鋼管杭と前記ジャケットとの間を架け渡す複数の架け渡し部材と、
を備えるジャケット式構造物であって、
前記ジャケットは、
本体部と、
前記本体部から下方に突出して設けられていて、前記複数の鋼管杭それぞれと連結するようにそれぞれ設けられた複数のレグと、
を有し、
前記複数の架け渡し部材のそれぞれは前記複数のレグの各々と対応する前記複数の鋼管杭の各々との間を架け渡す部材であって、前記複数の架け渡し部材のそれぞれは、前記複数の鋼管杭それぞれの内周面および該複数の鋼管杭の各々に対応する前記複数のレグそれぞれの内周面に沿って、前記複数の鋼管杭それぞれの上端面と前記複数のレグそれぞれの下端面との間を架け渡すように挿入されるとともに、
前記複数の架け渡し部材それぞれの、前記レグ側の端面と前記鋼管杭側の端面のうち、前記レグ側の端面は、当該架け渡し部材が挿入される前記レグの内周面の所定位置に内側に突出して設けられた部材に当接し、前記鋼管杭側の端面は、当該架け渡し部材が挿入される前記鋼管杭の内周面の所定位置に内側に設けられた部材に当接しており、
前記レグ及び前記鋼管杭の各内周面と、挿入された前記架け渡し部材の外周面との間にはグラウトが充填されていることを特徴とするジャケット式構造物。
【請求項2】
前記架け渡し部材が挿入される前記レグの下端部に、該レグの下端面より更に下方に突出して設けられた案内部材を備え、該案内部材は、前記レグの下端面と、該レグと連結する前記鋼管杭の上端面とが対向するように案内することを特徴とする請求項1に記載のジャケット式構造物。
【請求項3】
前記架け渡し部材の外周面には突起が設けられており、また、前記架け渡し部材が挿入される鋼管杭の内周面および前記レグの内周面のうち前記グラウトが充填される領域には突起が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のジャケット式構造物。
【請求項4】
前記架け渡し部材の前記鋼管杭側の端部の外周面に、半径方向に突出した第1スペーサが周方向に所定間隔で複数設けられていると共に、前記レグ側の端部の外周面に、半径方向に突出した第2スペーサが周方向に所定間隔で複数設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【請求項5】
前記架け渡し部材には、外周面に、前記架け渡し部材の軸方向に沿って半径方向に所定高さで突出したスペーサが周方向に間隔を隔てて複数設けられており、前記複数のスペーサにより前記架け渡し部材の外周面が前記レグの内周面及び前記鋼管杭の内周面から所定距離を保って配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のジャケット式構造物。
【請求項6】
前記架け渡し部材が挿入される前記レグの内周面の所定位置に内側に突出して設けられた前記部材として第1の連結鋼材が前記レグの内周面に溶接されており、該架け渡し部材の前記レグ側の端面として前記架け渡し部材の内周面に第2の連結鋼材が溶接されており、前記第1の連結鋼材と前記第2の連結鋼材とが当接することで前記架け渡し部材の前記レグ内での位置決めがされていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のジャケット式構造物。