(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164653
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20231102BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20231102BHJP
H01F 27/26 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F27/24 Q
H01F27/26 130W
H01F27/24 E
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152303
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2020161361の分割
【原出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100188802
【弁理士】
【氏名又は名称】澤内 千絵
(72)【発明者】
【氏名】中島 治樹
(72)【発明者】
【氏名】植松 龍太
(72)【発明者】
【氏名】神戸 勇貴
(57)【要約】
【課題】品質を確保できるコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品は、巻芯部と該巻芯部の両端に設けられた一対の鍔部とを有するコアと、一対の鍔部のそれぞれに設けられた電極部と、巻芯部に巻回され、両端が電極部に電気的に接続されたワイヤと、一対の鍔部に対して跨るように固定された磁性体板とを備え、
磁性体板は、環状の第1平面部と、第1平面部に直交する方向からみて第1平面部の内周よりも内側に位置し、第1平面部と段差を有する位置にある第2平面部と、第1平面部の内周と第2平面部の外周とを接続する接続面部と
を備え、
接続面部は、第1平面部に直交する方向に対して傾斜する少なくとも3つの傾斜面を環状に配置して構成され、接続面部は、隣り合う傾斜面の間に面取り部を有する。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯部と該巻芯部の両端に設けられた一対の鍔部とを有するコアと、
前記一対の鍔部のそれぞれに設けられた電極部と、
前記巻芯部に巻回され、両端が前記電極部に電気的に接続されたワイヤと、
前記一対の鍔部に対して跨るように固定された磁性体板と
を備え、
前記磁性体板は、
環状の第1平面部と、
前記第1平面部に直交する方向からみて前記第1平面部の内周よりも内側に位置し、前記第1平面部と段差を有する位置にある第2平面部と、
前記第1平面部の内周と前記第2平面部の外周とを接続する接続面部と
を備え、
前記接続面部は、前記第1平面部に直交する方向に対して傾斜する少なくとも3つの傾斜面を環状に配置して構成され、前記接続面部は、隣り合う前記傾斜面の間に面取り部を有する、コイル部品。
【請求項2】
前記磁性体板は、
前記コアに向かい合う第1主面と、
前記第1主面と反対側の第2主面と
を備え、
前記第1平面部、前記第2平面部および前記接続面部は、前記第1主面および前記第2主面の両方に設けられている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記磁性体板は、
前記コアに向かい合う第1主面と、
前記第1主面と反対側の第2主面と
を備え、
前記第1平面部、前記第2平面部および前記接続面部は、前記第1主面および前記第2主面のうちの一方の前記第1主面に設けられている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第2平面部は、前記第1平面部よりも高い位置に存在する、請求項1から3の何れか一つに記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第2平面部は、前記第1平面部よりも低い位置に存在する、請求項1から3の何れか一つに記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1平面部の外周は、四角形である、請求項1から5の何れか一つに記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1平面部の外周の角は、R形状である、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第2平面部の外周は、四角形である、請求項1から7の何れか一つに記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第2平面部の外周の角は、R形状である、請求項8に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第2平面部の形状は、凸形状を含む、請求項1から9の何れか一つに記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第2平面部の形状は、平坦形状である、請求項1から9の何れか一つに記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第2平面部の形状は、凹形状を含む、請求項1から9の何れか一つに記載のコイル部品。
【請求項13】
前記第1平面部に直交する方向に対する前記傾斜面の傾斜角度は、20°以上である、請求項1から12の何れか一つに記載のコイル部品。
【請求項14】
前記傾斜角度は、50°以上である、請求項13に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記磁性体板の前記第2平面部の一部は、前記磁性体板の前記第1平面部に直交する方向からみて、前記鍔部の一部に重なり、
前記第2平面部の一部は、前記鍔部の一部に接触している、請求項1から14の何れか一つに記載のコイル部品。
【請求項16】
前記巻芯部は、前記第1平面部に直交する方向からみて、前記第2平面部の外周に囲まれている、請求項15に記載のコイル部品。
【請求項17】
前記第1平面部と、前記接続面部と、前記鍔部における前記第1平面部および前記接続面部に対向する対向面とから区画される凹溝を有し、
前記磁性体板と前記コアを接着する接着剤の少なくとも一部は、前記凹溝に存在する、請求項15または16に記載のコイル部品。
【請求項18】
前記鍔部における前記第2平面部に接触する部分の形状は、前記第2平面部に向かって突出する凸形状である、請求項15から17の何れか一つに記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイル部品としては、特開2019-135759号公報(特許文献1)に記載されたものがある。このコイル部品は、巻芯部と該巻芯部の両端に設けられた一対の鍔部を有するコアと、一対の鍔部のそれぞれに設けられた電極部と、巻芯部に巻回され電極部に電気的に接続されたワイヤと、一対の鍔部に対して跨るように固定された磁性体板とを有する。
【0003】
磁性体板は、コアの鍔部に対向する第1主面を有する。第1主面の外周には、周方向に沿って窪んだ形状を有する貯留部が設けられている。貯留部には、磁性体板と鍔部を接着する接着剤が貯留される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来のようなコイル部品を実際に製造し使用しようとすると、コイル部品の品質が低下するおそれがあることが分かった。具体的に述べると、凹形状の貯留部を有する磁性体板を製造しまた使用するとき、磁性体板の貯留部において割れや欠けが発生し易い。このように、磁性体板の不良が発生し易く、コイル部品の品質が低下する。
【0006】
そこで、本開示は、品質を確保できるコイル部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本開示の一態様であるコイル部品は、
巻芯部と該巻芯部の両端に設けられた一対の鍔部とを有するコアと、
前記一対の鍔部のそれぞれに設けられた電極部と、
前記巻芯部に巻回され、両端が前記電極部に電気的に接続されたワイヤと、
前記一対の鍔部に対して跨るように固定された磁性体板と
を備え、
前記磁性体板は、
環状の第1平面部と、
前記第1平面部に直交する方向からみて前記第1平面部の内周よりも内側に位置し、前記第1平面部と段差を有する位置にある第2平面部と、
前記第1平面部の内周と前記第2平面部の外周とを接続する接続面部と
を備え、
前記接続面部は、前記第1平面部に直交する方向に対して傾斜する少なくとも3つの傾斜面を環状に配置して構成され、前記接続面部は、隣り合う前記傾斜面の間に面取り部を有する。
【0008】
ここで、面取り部とは、例えば、凸曲面、凹曲面、C面をいう。言い換えると、面取り部は、稜線を有しないか、または、複数の稜線を有し、面取り部は、1つの稜線から構成されない、つまり、面取り部は、辺ではない。
【0009】
前記態様によれば、接続面部は、隣り合う傾斜面の間に面取り部を有するので、接続面部の割れや欠けを低減できる。また、接続面部は、第1平面部に直交する方向に対して傾斜する少なくとも3つの傾斜面を環状に配置して構成されるので、接続面部は、第1平面部の直交方向に対して傾斜する。このため、磁性体板を金型で成型する際、磁性体板の材料を金型に充填しやすくなり、また、磁性体板を金型から抜きやすくなり、この結果、磁性体板の不良発生を低減できる。したがって、コイル部品の品質を確保できる。
【0010】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記磁性体板は、
前記コアに向かい合う第1主面と、
前記第1主面と反対側の第2主面と
を備え、
前記第1平面部、前記第2平面部および前記接続面部は、前記第1主面および前記第2主面の両方に設けられている。
【0011】
前記実施形態によれば、磁性体板の第1主面および第2主面を区別する必要がなく、磁性体板をコアの鍔部に容易に取り付けることができる。
【0012】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記磁性体板は、
前記コアに向かい合う第1主面と、
前記第1主面と反対側の第2主面と
を備え、
前記第1平面部、前記第2平面部および前記接続面部は、前記第1主面および前記第2主面のうちの一方の前記第1主面に設けられている。
【0013】
前記実施形態によれば、磁性体板を少ない加工で製造することができる。
【0014】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記第2平面部は、前記第1平面部よりも高い位置に存在する。
【0015】
ここで、第1平面部よりも高い位置にあるとは、第1平面部に直交する方向において第1平面部よりも磁性体板の中心から離れている位置にあることをいう。
【0016】
前記実施形態によれば、磁性体板の第2平面部をコアの鍔部に接触させて、磁性体板をコアに取り付ける際、磁性体板のコアへの密着性を制御して、磁気効率を制御できる。また、第2平面部と接続面部によって第1平面部に対して凸となる凸部が形成されるので、磁性体板の厚みを厚くでき、磁性体板の強度を向上できる。
【0017】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記第2平面部は、前記第1平面部よりも低い位置に存在する。
【0018】
ここで、第1平面部よりも低い位置にあるとは、第1平面部に直交する方向において第1平面部よりも磁性体板の中心に近い位置にあることをいう。
【0019】
前記実施形態によれば、磁性体板の第2平面部をコアの鍔部に接触させて、磁性体板をコアに取り付ける際、磁性体板のコアへの密着性を制御して、磁気効率を制御できる。また、第2平面部と接続面部によって第1平面部に対して凹となる凹部が形成されるので、コアを磁性体板の凹部に挿入でき、コイル部品の高さを低減できる。
【0020】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記第1平面部の外周は、四角形である。
【0021】
ここで、四角形とは、鋭角な角を有する四角形のみならず、R形状の角を有する実質的な四角形を含む。
【0022】
前記実施形態によれば、磁性体板をコアの形状に対応させることができて、磁気効率を向上できる。
【0023】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記第1平面部の外周の角は、R形状である。
【0024】
前記実施形態によれば、第1平面部の外周の角の割れや欠けを低減できる。
【0025】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記第2平面部の外周は、四角形である。
【0026】
前記実施形態によれば、磁性体板をコアの形状に対応させることができて、磁気効率を向上できる。
【0027】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記第2平面部の外周の角は、R形状である。
【0028】
前記実施形態によれば、第2平面部の外周の角の割れや欠けを低減できる。
【0029】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記第2平面部の形状は、凸形状を含む。
【0030】
ここで、凸形状とは、第1平面部に直交する方向において磁性体板の中心から離れる方向へ突出する形状をいう。
【0031】
前記実施形態によれば、磁性体板の第2平面部をコアの鍔部に接触させて、磁性体板をコアに取り付ける際、磁性体板のコアへの密着性を制御して、磁気効率を制御できる。また、磁性体板の厚みを厚くでき、磁性体板の強度を向上できる。
【0032】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記第2平面部の形状は、平坦形状である。
【0033】
前記実施形態によれば、磁性体板の第2平面部をコアの鍔部に接触させて、磁性体板をコアに取り付ける際、磁性体板のコアへの密着性を制御して、磁気効率を制御できる。
【0034】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記第2平面部の形状は、凹形状を含む。
【0035】
ここで、凹形状とは、第1平面部に直交する方向において磁性体板の中心に近づく方向へ窪んでいる形状をいう。
【0036】
前記実施形態によれば、磁性体板の第2平面部をコアの鍔部に接触させて、磁性体板をコアに取り付ける際、磁性体板のコアへの密着性を制御して、磁気効率を制御できる。また、コアを磁性体板の第2平面部の凹部に挿入でき、コイル部品の高さを低減できる。
【0037】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記第1平面部に直交する方向に対する前記傾斜面の傾斜角度は、20°以上である。
【0038】
前記実施形態によれば、接続面部の割れや欠けをより低減でき、磁性体板の不良発生をより低減できる。
【0039】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記傾斜角度は、50°以上である。
【0040】
前記実施形態によれば、接続面部の割れや欠けをさらに低減でき、磁性体板の不良発生をさらに低減できる。
【0041】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記磁性体板の前記第2平面部の一部は、前記磁性体板の前記第1平面部に直交する方向からみて、前記鍔部の一部に重なり、
前記第2平面部の一部は、前記鍔部の一部に接触している。
【0042】
前記実施形態によれば、磁性体板の第2平面部をコアの鍔部に接触させて、磁性体板をコアに取り付けることができる。
【0043】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記巻芯部は、前記第1平面部に直交する方向からみて、前記第2平面部の外周に囲まれている。
【0044】
前記実施形態によれば、鍔部と第2平面部との接触面積を大きくできるので、磁性体板のコアへの固定強度を向上でき、また、磁気効率を向上できる。また、巻芯部は、第2平面部の外周よりも内側に位置するので、巻芯部から磁性体板への磁路長を短くでき、磁気効率を向上できる。
【0045】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記第1平面部と、前記接続面部と、前記鍔部における前記第1平面部および前記接続面部に対向する対向面とから区画される凹溝を有し、
前記磁性体板と前記コアを接着する接着剤の少なくとも一部は、前記凹溝に存在する。
【0046】
前記実施形態によれば、凹溝を接着剤溜めとして用いることができ、接着剤のはみ出しによるコイル部品の外形の増大を低減できる。
【0047】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、前記鍔部における前記第2平面部に接触する部分の形状は、前記第2平面部に向かって突出する凸形状である。
【0048】
前記実施形態によれば、磁性体板のコアへの密着性を制御して、磁気効率を制御できる。
【発明の効果】
【0049】
本開示の一態様であるコイル部品によれば、磁性体板の不良発生を低減して、コイル部品の品質を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】コイル部品の第1実施形態を示す上方からみた斜視図である。
【
図2】コイル部品の第1実施形態を示す下方からみた斜視図である。
【
図5】コイル部品をTL面で切断した断面図である。
【
図6】コイル部品をTW面で切断した断面図である。
【
図8】コイル部品の磁性体板の第2実施形態を示すTW面で切断した断面図である。
【
図9】コイル部品の磁性体板の第3実施形態を示すTW面で切断した断面図である。
【
図10】コイル部品の磁性体板の第4実施形態を示すTW面で切断した断面図である。
【
図11】コイル部品の第5実施形態を示すTW面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本開示の一態様であるコイル部品を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0052】
(第1実施形態)
図1は、コイル部品の第1実施形態を示す上方からみた斜視図である。
図2は、コイル部品の第1実施形態を示す下方からみた斜視図である。
図1と
図2に示すように、コイル部品1は、コア10と、コア10に巻回された第1ワイヤ21および第2ワイヤ22と、コア10に設けられ第1ワイヤ21および第2ワイヤ22が電気的に接続された第1電極部31、第2電極部32、第3電極部33および第4電極部34と、コア10に取り付けられた磁性体板15とを備える。
【0053】
コア10は、一定方向に延びる形状であってコイル20が巻回された巻芯部13と、巻芯部13の延びる方向の第1端に設けられ、当該方向と直交する方向に張り出す第1鍔部11と、巻芯部13の延びる方向の第2端に設けられ、当該方向と直交する方向に張り出す第2鍔部12とを有する。巻芯部13の延びる方向は、巻芯部13の軸方向ともいう。コア10の材料としては、例えば、フェライトの焼結体や、磁性粉含有樹脂の成型体などの磁性体が好ましく、アルミナや、樹脂などの非磁性体であってもよい。
【0054】
なお、以下では、コア10の底面を実装基板に実装される面とし、コア10の底面と反対側の面をコア10の天面とする。巻芯部13の軸方向をL方向とし、コア10の底面においてL方向と直交する方向をW方向とし、コア10の底面と天面の対向方向をT方向とする。T方向は、L方向およびW方向に直交する。T方向の正方向を上方とし、T方向の負方向を下方とする。つまり、コア10の底面は、鉛直方向下方に対応し、コア10の天面は、鉛直方向上方に対応する。
【0055】
第1鍔部11は、巻芯部13側を向く内端面111と、内端面111と反対側を向く外端面112と、内端面111と外端面112を連結しかつ実装時において実装基板側に向けられる底面113と、底面113と反対側を向く天面114と、内端面111と外端面112を連結しかつ底面113と天面114を連結する2つの側面115とを有する。同様に、第2鍔部12は、巻芯部13側を向く内端面121と、内端面121と反対側を向く外端面122と、実装時において実装基板側に向けられる底面123と、底面123と反対側を向く天面124と、内端面121と外端面122を連結しかつ底面123と天面124を連結する2つの側面125とを有する。
【0056】
磁性体板15は、一対の第1鍔部11および第2鍔部12に対して跨るように固定されている。磁性体板15は、第1鍔部11の天面114と第2鍔部12の天面124とに接着剤により取り付けられる。磁性体板15の材料は、例えば、コア10と同じである。コア10と磁性体板15は、ともに磁性体であるので、閉磁路を構成し、インダクタンス値の取得効率が向上する。
【0057】
第1鍔部11は、底面113側に、2つの足部を有し、一方の足部に、第1電極部31が設けられ、他方の足部に、第2電極部32が設けられている。第2鍔部12は、底面123側に、2つの足部を有し、第1電極部31が設けられた足部と同じ側にある一方の足部に、第3電極部33が設けられ、第2電極部32が設けられた足部と同じ側にある他方の足部に、第4電極部34が設けられている。
図1と
図2に示すように、底面113および底面123は、それぞれ足部の底面部分から足部間の股部の側面部分を通って股部の底面部分を含む部分を指す。
【0058】
第1ワイヤ21および第2ワイヤ22は、例えば銅などの金属からなる導線がポリウレタンやポリアミドイミドなどの樹脂からなる被膜で覆われた絶縁被膜付導線である。第1ワイヤ21は、一端が第1電極部31と、他端が第3電極部33と電気的に接続されている。第2ワイヤ22は、一端が第2電極部32と、他端が第4電極部34と電気的に接続されている。第1ワイヤ21および第2ワイヤ22と、第1電極部31~第4電極部34とは、例えば熱圧着、ろう付け、溶接などによって接続される。
【0059】
第1ワイヤ21および第2ワイヤ22は、巻芯部13に対して、同じ方向に巻回されている。これにより、コイル部品1では、差動信号など第1ワイヤ21と第2ワイヤ22とに逆相の信号が入力されれば、第1ワイヤ21および第2ワイヤ22により発生する磁束が打ち消し合い、インダクタとしての働きが弱まり、当該信号を通過させる。一方、外来ノイズなど第1ワイヤ21と第2ワイヤ22とに同相の信号が入力されれば、第1ワイヤ21および第2ワイヤ22により発生する磁束が強め合い、インダクタとしての働きが強まり、当該ノイズの通過を遮断する。したがって、コイル部品1は、差動信号などのディファレンシャルモードの信号の通過損失を低下しつつ、外来ノイズなどのコモンモードの信号を減衰させるコモンモードチョークコイルとして機能する。
【0060】
コイル部品1は、実装基板に実装される際、第1鍔部11の底面113および第2鍔部12の底面123が実装基板に対向する。このとき、巻芯部13の軸方向と、実装基板の主面は平行となる。すなわち、コイル部品1は、第1ワイヤ21および第2ワイヤ22の巻回軸が実装基板と平行となる横巻型である。
【0061】
【0062】
図3Aと
図3Bと
図4に示すように、磁性体板15は、コア10に向かい合う第1主面15aと、第1主面15aと反対側の第2主面15bとを有する。第1主面15aおよび第2主面15bは、磁性体板15の外面のうちの最も広い面である。
【0063】
磁性体板15の第2主面15bにおいて、磁性体板15は、外周151aおよび内周151bを含む環状の第1平面部151と、第1平面部151に直交する方向からみて第1平面部151の内周151bよりも内側に位置し、第1平面部151と段差を有する位置にある第2平面部152と、第1平面部151の内周151bと第2平面部152の外周152aとを接続する接続面部153とを有する。磁性体板15の第1主面15aにおいても同様に、磁性体板15は、第1平面部151と第2平面部152と接続面部153とを有する。第1主面15aに設けられた第1平面部151、第2平面部152および接続面部153と、第2主面15bに設けられた第1平面部151、第2平面部152および接続面部153とは、T方向からみて重なり一致する。
【0064】
接続面部153は、第1平面部151に直交する方向に対して傾斜する4つの傾斜面1531を環状に配置して構成される。傾斜面1531は、第1平面部151から第2平面部152に近づくほど磁性体板15の中心側に倒れるように傾斜する。
【0065】
接続面部153は、隣り合う傾斜面1531の間に面取り部1532を有する。面取り部1532は、この実施形態では、凸曲面である。なお、面取り部1532は、例えば、凹曲面やC面であってもよい。言い換えると、面取り部1532は、稜線を有しないか、または、複数の稜線を有し、面取り部1532は、1つの稜線から構成されない、つまり、面取り部1532は、辺ではない。
【0066】
具体的に述べると、第1平面部151の内周151bおよび第2平面部152の外周152aは、多角形である。第1平面部151の内周151bの各角部と、第2平面部152の外周152aの各角部とは、向かい合うように対応して配置される。接続面部153の面取り部1532は、第1平面部151の内周151bの角部と第2平面部152の外周152aの角部との間に位置する。
【0067】
これによれば、接続面部153は、隣り合う傾斜面1531の間に面取り部1532を有するので、接続面部153の割れや欠けを低減できる。また、接続面部153は、第1平面部151に直交する方向に対して傾斜する4つの傾斜面1531を環状に配置して構成されるので、接続面部153は、第1平面部151の直交方向に対して傾斜している。このため、磁性体板15を金型で成型する際、磁性体板15の材料を金型に充填しやすくなり、また、磁性体板15を金型から抜きやすくなり、この結果、磁性体板15の不良発生を低減できる。したがって、コイル部品1の品質を確保できる。
【0068】
これに対して、従来のようなコイル部品では、接続面部は、隣り合う傾斜面の間に面取り部を有さない。つまり、隣り合う傾斜面の間には、1つの稜線(辺)が設けられている。このため、他の部材が接続面部の稜線に引っ掛かり、接続面部の稜線に割れや欠けが発生し易くなる。また、接続面部の傾斜面は、第1平面部の直交方向に対して平行となる。このため、磁性体板を金型で成型する際、磁性体板の材料を金型に充填し難く、また、磁性体板を金型から抜き難くなり、この結果、磁性体板の不良が発生し易くなる。したがって、コイル部品の品質が低下する。
【0069】
第1実施形態では、第1平面部151、第2平面部152および接続面部153は、第1主面15aおよび第2主面15bの両方に設けられている。これによれば、磁性体板15の第1主面15aおよび第2主面15bを区別する必要がなく、磁性体板15をコア10の鍔部11,12に容易に取り付けることができる。
【0070】
なお、第1平面部151、第2平面部152および接続面部153は、第1主面15aおよび第2主面15bのうちの一方の第1主面15aに設けられていてもよい。これによれば、磁性体板15を少ない加工で製造することができる。
【0071】
第1実施形態では、第2平面部152は、第1平面部151よりも高い位置に存在する。第1平面部151よりも高い位置にあるとは、第1平面部151に直交する方向において第1平面部151よりも磁性体板15の中心から離れている位置にあることをいう。具体的に述べると、第1主面15aにおいて、第2平面部152は、第1平面部151よりも下方向に位置している。第2主面15bにおいて、第2平面部152は、第1平面部151よりも上方向に位置している。
【0072】
これによれば、磁性体板15の第2平面部152をコア10の鍔部11,12に接触させて、磁性体板15をコア10に取り付ける際、磁性体板15のコア10への密着性を制御して、磁気効率を制御できる。また、第2平面部152と接続面部153によって第1平面部151に対して凸となる凸部が形成されるので、磁性体板15の厚みを厚くでき、磁性体板15の強度を向上できる。
【0073】
第1実施形態では、第1平面部151の外周151aは、四角形である。四角形とは、鋭角な角を有する四角形のみならず、R形状の角を有する実質的な四角形を含む。これによれば、磁性体板15をコア10の鍔部11,12の形状に対応させることができて、磁気効率を向上できる。好ましくは、第1平面部151の外周151aの角は、R形状である。これによれば、第1平面部151の外周151aの角の割れや欠けを低減できる。
【0074】
同様に、第2平面部152の外周152aは、四角形である。これによれば、磁性体板15をコア10の鍔部11,12の形状に対応させることができて、磁気効率を向上できる。好ましくは、第2平面部152の外周152aの角は、R形状である。これによれば、第2平面部152の外周152aの角の割れや欠けを低減できる。
【0075】
第1実施形態では、第1平面部151の形状および第2平面部152の形状は、それぞれ、平坦形状である。好ましくは、第1平面部151は、LW面に平行であり、第2平面部152は、第1平面部151に平行である。つまり、第1平面部151に直交する方向は、T方向に一致する。これによれば、第2平面部152の形状は、平坦形状であるので、磁性体板15の第2平面部152をコア10の鍔部11,12に接触させて、磁性体板15をコア10に取り付ける際、磁性体板15のコア10への密着性を制御して、磁気効率を制御できる。第1鍔部11の天面114の形状および第2鍔部12の天面124の形状が、それぞれ、平坦形状であるとき、磁性体板15とコア10との接触面積が大きくなる。
【0076】
第1実施形態では、第1平面部151に直交する方向に対する傾斜面1531の傾斜角度θ(
図3B参照)は、20°以上である。これによれば、接続面部153の割れや欠けをより低減でき、磁性体板15の不良発生をより低減できる。好ましくは、傾斜角度θは、50°以上であり、より好ましくは、75°である。したがって、接続面部153の割れや欠けをさらに低減でき、磁性体板15の不良発生をさらに低減できる。
【0077】
図5は、コイル部品1をTL面で切断した断面図である。
図6は、コイル部品1をTW面で切断した断面図である。
図7は、コイル部品1をT方向からみた平面図である。
図5と
図6と
図7では、便宜上、ワイヤ21,22および電極部31~34を省略して描いている。
【0078】
図5と
図6と
図7に示すように、磁性体板15の第2平面部152の一部は、磁性体板15の第1平面部151に直交する方向(T方向)からみて、鍔部11,12の一部に重なる。第2平面部152の一部は、鍔部11,12の一部に接触している。具体的に述べると、第1主面15aにおける第1平面部152の一部は、第1鍔部11の天面114に接触し、また、第2鍔部12の天面124に接触している。これによれば、磁性体板15の第2平面部152をコア10の鍔部11,12に接触させて、磁性体板15をコア10に取り付けることができる。
【0079】
第1実施形態では、巻芯部13は、第1平面部151に直交する方向(T方向)からみて、第1主面15aにおける第2平面部152の外周152aに囲まれている。つまり、巻芯部13は、第1平面部151に直交する方向からみて、第2平面部152の外周152aよりも内側に位置する。これによれば、鍔部11,12と第2平面部152との接触面積を大きくできるので、磁性体板15のコア10への固定強度を向上でき、また、磁気効率を向上できる。また、巻芯部13は、第2平面部152の外周152aに囲まれているので、巻芯部13から磁性体板15への磁路長を短くでき、磁気効率を向上できる。
【0080】
仮に、T方向からみて巻芯部13が第2平面部152の外周152aよりも外側にはみ出ると、鍔部11,12と第2平面部152との接触面積が小さくなり、かつ、巻芯部13から磁性体板15への磁路長が長くなり、磁気効率が低下する。
【0081】
第1実施形態では、第1平面部151と、接続面部153と、鍔部11,12における第1平面部151および接続面部153に対向する対向面とから区画される凹溝Gを有する。具体的に述べると、第1鍔部11側の凹溝Gは、第1主面15aの第1平面部151と、第1主面15aの接続面部153と、第1鍔部11の天面114とによって区画され、第2鍔部12側の凹溝Gは、第1主面15aの第1平面部151と、第1主面15aの接続面部153と、第2鍔部12の天面124とによって区画される。つまり、凹溝Gは、コイル部品1の外部空間を含まない閉空間である。
【0082】
そして、磁性体板15とコア10を接着する接着剤100の少なくとも一部は、凹溝Gに存在する。好ましくは、接着剤100の全ては、凹溝Gに存在し、接着剤100は、コイル部品1の外部空間に、はみ出さない。これによれば、凹溝Gを接着剤溜めとして用いることができ、接着剤100のはみ出しによるコイル部品1の外形の増大を低減できる。
【0083】
(第2実施形態)
図8は、コイル部品の磁性体板の第2実施形態を示すTW面で切断した断面図である。第2実施形態は、第1実施形態とは、磁性体板の第2平面部の位置が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0084】
図8に示すように、第2実施形態のコイル部品の磁性体板15Aでは、第2平面部152は、第1平面部151よりも低い位置に存在する。第1平面部151よりも低い位置にあるとは、第1平面部151に直交する方向において第1平面部151よりも磁性体板15Aの中心に近い位置にあることをいう。具体的に述べると、第1主面15aにおいて、第2平面部152は、第1平面部151よりも上方向に位置している。第2主面15bにおいて、第2平面部152は、第1平面部151よりも下方向に位置している。
【0085】
これによれば、磁性体板15Aの第2平面部152をコア10の鍔部11,12に接触させて、磁性体板15Aをコア10に取り付ける際、磁性体板15Aのコア10への密着性を制御して、磁気効率を制御できる。また、第2平面部152と接続面部153によって第1平面部151に対して凹となる凹部が形成されるので、コア10を磁性体板15Aの凹部に挿入でき、コイル部品の高さを低減できる。
【0086】
(第3実施形態)
図9は、コイル部品の磁性体板の第3実施形態を示すTW面で切断した断面図である。第3実施形態は、第1実施形態とは、磁性体板の第2平面部の形状が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0087】
図9に示すように、第3実施形態のコイル部品の磁性体板15Bでは、第2平面部152の形状は、凸形状を含む。凸形状とは、第1平面部151に直交する方向において磁性体板15Bの中心から離れる方向へ突出する形状をいう。具体的に述べると、第1主面15aにおいて、第2平面部152は、第1平面部151に対して下方向に突出している。第2主面15bにおいて、第2平面部152は、第1平面部151に対して上方向に突出している。第2平面部152の形状は、凸曲面を含み、TW断面において円弧を形成する。なお、第2平面部152の形状は、全体が凸形状であってもよく、また、一部に平坦形状を含んでいてもよい。
【0088】
これによれば、磁性体板15Bの第2平面部152をコア10の鍔部11,12に接触させて、磁性体板15Bをコア10に取り付ける際、磁性体板15Bのコア10への密着性を制御して、磁気効率を制御できる。また、磁性体板15Bの厚みを厚くでき、磁性体板15Bの強度を向上できる。
【0089】
(第4実施形態)
図10は、コイル部品の磁性体板の第4実施形態を示すTW面で切断した断面図である。第4実施形態は、第1実施形態とは、磁性体板の第2平面部の形状が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0090】
図10に示すように、第4実施形態のコイル部品の磁性体板15Cでは、第2平面部152の形状は、凹形状を含む。凹形状とは、第1平面部151に直交する方向において磁性体板15Cの中心に近づく方向へ窪んでいる形状をいう。具体的に述べると、第1主面15aにおいて、第2平面部152は、第1平面部151に対して上方向に窪んでいる。第2主面15Cにおいて、第2平面部152は、第1平面部151に対して下方向に窪んでいる。第2平面部152の形状は、凹曲面であり、TW断面において円弧を形成する。なお、第2平面部152の形状は、全体が凹形状であってもよく、また、一部に平坦形状を含んでいてもよい。
【0091】
これによれば、磁性体板15Cの第2平面部152をコア10の鍔部11,12に接触させて、磁性体板15Cをコア10に取り付ける際、磁性体板15Cのコア10への密着性を制御して、磁気効率を制御できる。また、コア10を磁性体板15Cの凹部に挿入でき、コイル部品の高さを低減できる。
【0092】
(第5実施形態)
図11は、コイル部品の第5実施形態を示すTW面で切断した断面図である。第5実施形態は、第1実施形態とは、コアの形状が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0093】
図11に示すように、第5実施形態のコイル部品1Aのコア10Aでは、鍔部11,12における第2平面部152に接触する部分の形状は、第2平面部152に向かって突出する凸形状である。具体的に述べると、第1鍔部11の天面114および第2鍔部12の天面124は、それぞれ、磁性体板15の第1主面15aの第2平面部152に接触する。天面114,124の形状は、凸曲面を含み、TW断面において円弧を形成する。なお、天面114,124の形状は、全体が凸形状であってもよく、また、一部に平坦形状を含んでいてもよい。
【0094】
これによれば、磁性体板15のコア10Aへの密着性を制御して、磁気効率を制御できる。
【0095】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第5実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。
【0096】
前記実施形態では、接続面部は、4つの傾斜面を環状に配置して構成されているが、少なくとも3つの傾斜面を環状に配置して構成されていてもよい。
【0097】
前記実施形態では、第1平面部の外周および第2平面部の外周は、四角形であるが、四角形以外の多角形であってもよい。
【0098】
前記実施形態では、コイル部品は、2本のワイヤを有しているが、1本または3本以上のワイヤを有していてもよい。また、前記実施形態では、コイル部品を、コモンモードチョークコイルとして用いているが、例えば、トランス、結合インダクタなどのワイヤが巻芯部に巻回される巻線型コイルとして用いてもよい。
【0099】
前記実施形態において、コアの鍔部の天面の形状は、凸形状、平坦形状または凹形状の何れであってもよく、また、このコアと組み合わされる磁性体板として、磁性体板の第2平面部の形状は、凸形状、平坦形状または凹形状の何れであってもよい。
【0100】
(実施例)
本開示のコイル部品における実施例として、磁性体板の第1主面の第2平面部の形状とコイル部品のインダクタンス値との関係を説明する。
【0101】
第1の実施例として、磁性体板の第1主面の第2平面部の形状を
図3Bに示すような平坦形状とし、第2の実施例として、磁性体板の第1主面の第2平面部の形状を
図9に示すような凸形状とし、第3の実施例として、磁性体板の第1主面の第2平面部の形状を
図10に示すような凹形状とした。第1から第3の実施例の何れにおいても、コアの鍔部の天面の形状を
図6に示すような平坦形状とした。
【0102】
そして、第2の実施例における第2平面部の凸形状の突出量を様々に変化させ、また、第3の実施例における第2平面部の凹形状の窪み量を様々に変化させた。このときの、第1から第3の実施例におけるインダクタンス値をシミュレーションによって求めた。表1は上記シミュレーション結果を示すものである。
【0103】
【0104】
表1では、横軸に第2平面部の凹凸量(μm)を示し、縦軸にコイル部品のインダクタンス値(μH)を示す。凹凸量を具体的に説明すると、第2平面部の形状が平坦形状であるときを0μmとし(表1の菱形印)、第2平面部の凸形状の突出量が大きくなるほど正方向の値が大きくなり(表1の丸印)、第2平面部の凹形状の窪み量が大きくなるほど負方向の値が大きくなる(表1の四角印)。
【0105】
表1から分かるように、第2平面部の凹凸量を制御することにより、コイル部品のインダクタンス値を変化させることができる。
【符号の説明】
【0106】
1,1A コイル部品
10,10A コア
11 第1鍔部
12 第2鍔部
13 巻芯部
15,15A,15B,15C 磁性体板
15a 第1主面
15b 第2主面
151 第1平面部
151a 外周
151b 内周
152 第2平面部
152a 外周
153 接続面部
1531 傾斜面
1532 面取り部
21 第1ワイヤ
22 第2ワイヤ
31 第1電極部
32 第2電極部
33 第3電極部
34 第4電極部
100 接着剤
G 凹溝
θ 傾斜角度