(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164658
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】送信方法、送信装置及び通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/16 20090101AFI20231102BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20231102BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231102BHJP
【FI】
H04W28/16
H04W16/28
H04W84/12
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152382
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2021176191の分割
【原出願日】2016-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2015125574
(32)【優先日】2015-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 豊
(72)【発明者】
【氏名】木村 知弘
(72)【発明者】
【氏名】大内 幹博
(57)【要約】
【課題】ミリ波の周波数帯域を用いて、無線により送信を行うAP(Access Point)を提供する
【解決手段】複数のAPのうちの一台のマスタAPであるAP4420-1において、AP4420-1の指示部4402は、通信相手であるAPとの間の通信品質を取得する。取得した通信品質が閾値未満となった場合に、前記複数の送信装置自身を含む複数のAPに協調動作をさせてデータを送信させる。取得した通信品質が閾値以上となった場合に、自身を含む複数のAPに協調動作を停止させる。
【選択図】
図45
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信機を制御する制御装置が実施する方法であって、
前記複数の送信機から同一のデータを送信する際に各送信機が実施する位相変更処理において、前記複数の送信機のそれぞれが用いる位相変更パターンを示す制御情報を生成し、
前記制御情報を前記複数の送信機に対して送信する、
方法。
【請求項2】
複数の送信機を制御する制御装置であって、回路と送信部とを備え、前記回路は、
前記複数の送信機から同一のデータを送信する際に各送信機が実施する位相変更処理において、前記複数の送信機のそれぞれが用いる位相変更パターンを示す制御情報を生成し、
前記送信部を介して、前記複数の送信機に対して前記制御情報を送信する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線により通信を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線による通信においては、様々な周波数帯域が用いられる。
無線LANでは、例えば、IEEE802.11gによると、2.4~2.5GHz帯の周波数帯域が用いられ、最大伝送速度は、54Mbpsである。また、携帯電話では、LTEにより、例えば、2GHz帯の周波数帯域が用いられ、最大伝送速度は、112.5Mbpsである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-258736号公報
【特許文献2】特表2010-535450号公報
【特許文献3】特表2014-534678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに大容量の伝送を実現するため、6GHz以上の周波数、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いた無線通信の導入が要望されている。
上記の要望に応えるため、本発明は、例えば、ミリ波の周波数帯域を用いて、無線により送信を行う複数の送信装置において用いられる送信方法、送信装置及び通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様は、例えば、ミリ波の周波数帯域を用いて、受信装置に対して、無線により送信を行う複数の送信装置において用いられる送信方法であって、前記受信装置との間の通信品質を取得し、取得した通信品質が閾値未満となった場合に、前記複数の送信装置に協調動作をさせてデータを送信させ、取得した通信品質が閾値以上となった場合に、前記協調動作を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この態様によると、複数の送信装置において、ミリ波の周波数帯域を用いて、無線により送信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1としての無線通信システム100の構成を示すブロック図である。
【
図4】4つすべてのAP121、AP122、AP123及びAP124をマルチキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。
【
図5】AP121及びAP122をマルチキャスト用に設定し、AP123及びAP124をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。この場合、AP123及びAP124において、同一のデータが送信される。
【
図6】AP121及びAP122をマルチキャスト用に設定し、AP123及びAP124をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。この場合、AP123及びAP124において、異なるデータが送信される。
【
図7】AP121及びAP122をマルチキャスト用に設定し、AP123及びAP124をユニキャスト用に設定して受信する場合において、受信されるデータの例を示す。AP123及びAP124において、同一のデータが受信される。
【
図8】AP121及びAP122をマルチキャスト用に設定し、AP123及びAP124をユニキャスト用に設定して受信する場合において、受信されるデータの例を示す。この場合、AP123及びAP124において、異なるデータが受信される。
【
図9】(A)QPSK変調における信号を構成する同相成分Iと直交成分QのIQ平面におけるマッピング方法の一例を示す。(B)位相変更後のマッピング方法の例を示す。
【
図10】位相変更部1002による位相変更を示す。
【
図11】無線通信システム100の親局110、AP121、AP122、AP123及びAP124におけるパケットの送信の動作を示すシーケンス図(その1)である。
図12へ続く。
【
図12】無線通信システム100の親局110、AP121、AP122、AP123及びAP124におけるパケットの送信の動作を示すシーケンス図(その2)である。
【
図13】無線通信システム100の親局110、AP121、AP122、AP123及びAP124におけるパケットの受信の動作を示すシーケンス図である。
【
図14】変形例(1)としての無線通信システム1400の構成を示すブロック図である。
【
図15】変形例(2)としての無線通信システム1500における親局1598、AP1599-1、AP1599-2、AP1599-3及びAP1599-4の構成を示すブロック図である。
【
図16】変形例(3)としての無線通信システム1600における親局1698、AP1699-1、AP1699-2、AP1699-3及びAP1699-4の構成を示すブロック図である。
【
図17】無線通信システム100において、親局110が新たにAPを支配下とする場合の動作を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態2としての無線通信システム1800の構成を示すブロック図である。
【
図19】マスタAPであるAP1820-1の構成を示すブロック図である。
【
図20】マスタAPでないAP2000の構成を示すブロック図である。
【
図21】すべてのAP1820-1、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4をマルチキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。
【
図22】AP1820-1及びAP1820-2をマルチキャスト用に設定し、AP1820-3及びAP1820-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。この場合、AP1820-3及びAP1820-4において、同一のデータが送信される。
【
図23】AP1820-1及びAP1820-2をマルチキャスト用に設定し、AP1820-3及びAP1820-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。この場合、AP1820-3及びAP1820-4において、異なるデータが送信される。
【
図24】無線通信システム1800において、マスタAPであるAP1820-1が新たにAPを支配下とする場合の動作を示すフローチャートである。
【
図25】実施の形態3としての無線通信システム2500の構成を示すブロック図である。
【
図26】AP2520の構成を示すブロック図である。
【
図27】親局2510の構成を示すブロック図である。
【
図28】すべてのAP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4をマルチキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。
【
図29】すべてのAP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4をマルチキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの別の例を示す。
【
図30】AP2520-1及びAP2520-2をマルチキャスト用に設定し、AP2520-3及びAP2520-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。この場合、AP2520-3及びAP2520-4において、同じデータが送信される。
【
図31】AP2520-1及びAP2520-2をマルチキャスト用に設定し、AP2520-3及びAP2520-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの別の例を示す。この場合、AP2520-3及びAP2520-4において、同じデータが送信される。
【
図32】AP2520-1及びAP2520-2をマルチキャスト用に設定し、AP2520-3及びAP2520-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。この場合、AP2520-3及びAP2520-4において、異なるデータが送信される。
【
図33】AP2520-1及びAP2520-2をマルチキャスト用に設定し、AP2520-3及びAP2520-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの別の例を示す。この場合、AP2520-3及びAP2520-4において、異なるデータが送信される。
【
図34】実施の形態4としての無線通信システム3400の構成を示すブロック図である。
【
図35】マスタAPであるAP3420-1の構成を示すブロック図である。
【
図36】マスタAPでないAP3600の構成を示すブロック図である。
【
図37】親局3410の構成を示すブロック図である。
【
図38】すべてのAP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4をマルチキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。
【
図39】すべてのAP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4をマルチキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの別の例を示す。
【
図40】AP3420-1及びAP3420-2をマルチキャスト用に設定し、AP3420-3及びAP3420-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。この場合、AP3420-3及びAP3420-4において、同じデータが送信される。
【
図41】AP3420-1及びAP3420-2をマルチキャスト用に設定し、AP3420-3及びAP3420-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの別の例を示す。この場合、AP3420-3及びAP3420-4において、同じデータが送信される。
【
図42】AP3420-1及びAP3420-2をマルチキャスト用に設定し、AP3420-3及びAP3420-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。この場合、AP3420-3及びAP3420-4において、異なるデータが送信される。
【
図43】AP3420-1及びAP3420-2をマルチキャスト用に設定し、AP3420-3及びAP3420-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの別の例を示す。この場合、AP3420-3及びAP3420-4において、異なるデータが送信される。
【
図44】実施の形態5としての無線通信システム4400の構成を示すブロック図である。
【
図45】マスタAPであるAP4420-1の構成を示すブロック図である。
【
図46】マスタでないAP4600の構成を示すブロック図である。
【
図47】晴天時に、すべてのAP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。
【
図48】降雨時に、すべてのAP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4をユニキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例を示す。
【
図49】マスタAPであるAP4420-1の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.本発明の基礎となった知見
例えば、Gbpsというような単位で大容量伝送を実現する方法として、ミリ波を例とする周波数帯を用いた無線通信方式を導入する方法がある。ミリ波の周波数帯の電波は、直進性が強く、減衰が早いという特性を有する。このため、電波の届くセル範囲を広くすることが難しいという課題がある。
【0009】
本発明の発明者は、ミリ波の周波数帯の電波を用いた広いセル範囲を持つ無線通信システムを実現することが難しいと考えている。そこで、本発明の発明者は、上記の課題を解決し、ミリ波の周波数帯の電波を用いた無線通信を実現できる新しい伝送方式を提案する。
また、本発明の発明者は、ミリ波の周波数帯の電波を用いて、マルチキャスト、又は、ユニキャストの通信を実現したいという要望もあると考えている。特に、マルチキャストにおいて、多くの端末を収容するための方式を考える必要がある。さらに、マルチキャストを実現しているときに、ユニキャストも同時に実現したいという要望があると考えている。
【0010】
なお、ネットワーク内で、単一のアドレスを指定して特定の相手にデータを送信することをユニキャストと呼ぶ。また、複数の相手を指定してデータを送信することをマルチキャストと呼ぶ。
2.実施の形態1
本発明に係る一つの実施の形態としての無線通信システム100について説明する。
【0011】
2.1 無線通信システム100
無線通信システム100は、
図1に示すように、親局110、AP(Access Point)121、AP122、AP123、AP124、及び、端末131、端末132、・・・、端末138から構成されている。
親局110は、直接、又は、通信回線を介して間接的に、通信装置(図示していない)と接続されている。ここで、通信装置は、一例として、データを放送するデータを放送する放送装置、データを送信する配信システムやサーバーなどである。通信装置は、制御信号及びデータを送信する。制御信号は、ユニキャスト送信方法に関する設定又はマルチキャスト送信方法に関する設定、及び、位相変更の方法の設定を含む(この点については、後で説明する)。さらに、通信装置は、複数の通信装置から構成されているとしてもよい。この場合、第1の通信装置は、制御信号を送信し、第2の通信装置は、データを送信してもよい。親局110は、AP121、AP122、AP123及びAP124と、例えば、有線により接続されている。(無線で接続してもよい。)
親局110は、通信装置からの制御信号及びデータを受信する。親局110は、AP121、AP122、AP123及びAP124に対して、それぞれ、制御信号及びデータを送信する。AP121、AP122、AP123及びAP124は、親局110から得たデータを無線により送信する。
【0012】
端末131、端末132、・・・、端末138は、それぞれ、6GHz以上、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域、一例として、60GHzの周波数帯域を用いる無線通信機能を備える携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)である。
端末131は、例えば、端末131がAP121に近接する位置に存在する場合、AP121から無線によりデータを受信する。端末132、端末133、・・・、端末138も、それぞれ、端末131と同様に、近接するAPから無線によりデータを受信する。
【0013】
また、端末131は、データを無線により送信する。端末131がAP121に近接する位置に存在する場合、AP121は、端末131からデータを無線により受信する。AP121は、受信したデータを親局110に対して送信する。
端末132、端末133、・・・、端末138も、端末131と同様に、データを無線により送信する。各端末に近接する位置に存在するAPは、当該端末からデータを無線により受信する。当該APは、端末から受信したデータを親局110に対して送信する。
【0014】
親局110は、各端末から、各APを介して、データを受信する。親局110は、受信したデータを通信装置に対して出力する。
2.2 AP120
AP121、AP122、AP123及びAP124は、例えば、同一の構成(同一の機能)を有している。ここでは、AP121、AP122、AP123及びAP124を代表して、AP120として、説明する。
【0015】
AP120は、
図2に示すように、符号化器202、インターリーバ204、マッピング部206、位相変更部208、無線部210、アンテナ212、アンテナ215及び受信装置217から構成されている。
AP120は、親局110から制御信号214を受け取る。制御信号214は、ユニキャスト送信方法に関する設定又はマルチキャスト送信方法に関する設定、及び、位相変更の方法の設定を含む。
【0016】
AP120は、親局110から受け取った制御信号214に基づいて、ユニキャスト送信方法に関する設定を行う。また、AP120は、制御信号214に基づいて、位相変更の方法の設定を行う。なお、マルチキャスト送信と設定された場合に、他のAPと同一の周波数(周波数帯)を使用するように、設定される。
AP120は、ユニキャスト送信と設定した場合、受信装置217を動作させる。また、AP120は、マルチキャスト送信と設定した場合、受信装置217の動作を停止させてもよい。
【0017】
AP120は、ユニキャスト送信の場合とマルチキャスト送信の場合とで、同一のチャネル(または、同一の周波数(周波数帯))を使用して、無線による送受信を行う。ここで、AP120は、一つの無線キャリアをいくつかのタイムスロットに分割し、各タイムスロットを通信のチャネルとして使用してもよい。また、AP120は、60GHzの周波数帯域において、複数の異なる周波数を用い、それぞれの周波数を通信のチャネルとして使用してもよい。
【0018】
(1)符号化器202
符号化器202は、親局110からデータ201を受け取る。また、符号化器202は、AP120が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、符号化方式の指定、誤り訂正方式の指定、符号化率、ブロック長等の情報を含む。符号化器202は、制御信号213により指定された方式を用いて、データ201に対して、例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号等の誤り訂正符号化を行う。符号化器202は、符号化後のデータ203を出力する。
【0019】
(2)インターリーバ204
インターリーバ204は、符号化器202から、符号化後のデータ203を受け取る。また、インターリーバ204は、AP120が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、インタリーブの方法の指定を含む。インターリーバ204は、符号化後のデータ203に対して、制御信号213により指定されるインタリーブの方法により、インタリーブ、つまり、順番の並び替えを行う。インターリーバ204は、インタリーブ後のデータ205を出力する。
【0020】
(3)マッピング部206
マッピング部206は、インターリーバ204から、インタリーブ後のデータ205を受け取る。また、マッピング部206は、AP120が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、変調方式の指定を含む。マッピング部206は、制御信号213に含まれる変調方式の指定に従って、インタリーブ後のデータ205に対して、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、変調後の信号207を生成する(変調方式は、これらに限ったものではない。)。マッピング部206は、変調後の信号207を出力する。
【0021】
なお、マッピング部206は、位相変更の処理を含むマッピングを行ってもよい。
(4)位相変更部208
位相変更部208は、マッピング部206から変調後の信号207を受け取る。また、位相変更部208は、制御信号214を受け取る。制御信号214は、位相変更の方法の設定を含む。位相変更部208は、制御信号214に含まれる位相変更の方法の設定に従って、変調後の信号207に対して、位相変更を施し、位相変更後の信号209を生成する。位相変更部208は、位相変更後の信号209を出力する。
【0022】
(5)無線部210及びアンテナ212
無線部210は、位相変更部208から、位相変更後の信号209を受け取る。また、無線部210は、AP120が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、周波数変換、増幅等の指定を含む。無線部210は、位相変更後の信号209に対して、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号211を生成する。無線部210は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、生成した送信信号211をアンテナ212に対して出力する。
【0023】
アンテナ212は、送信信号211を電波として出力する。
(6)アンテナ215及び受信装置217
アンテナ215は、各端末により電波として出力された信号216を受信する。
受信装置217は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、アンテナ215から信号216を受け取り、増幅、周波数変換等の処理を施し、データ218を生成する。受信装置217は、データ218を親局110に対して出力する。
【0024】
なお、アンテナ212とアンテナ215とは、同一体であってもよい。便宜上、別々の表記をしている。
2.3 親局110
親局110は、
図3に示すように、送信データ振り分け部302、受信データ振り分け部305及び指示部308から構成されている。
【0025】
(1)指示部308
指示部308は、通信装置、並びに、AP121、AP122、AP123及びAP124に接続されている。
指示部308は、例えば、通信装置から制御信号を受け取る。制御信号は、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、位相変更の方法の設定を含む。通信装置は、一例として、PC(Personal Computer)(または、コンピュータなど)を含み、PCの利用者が制御信号をPCにより入力する。
【0026】
また、制御信号は、AP毎に個別に設定されるとしてもよいし、すべてのAPについて、同一の制御信号が設定されるとしてもよい。
すべてのAPに対して、マルチキャスト送信と設定をしてもよいし、すべてのAPに対して、ユニキャスト送信と設定をしてもよい。一部のAPについて、マルチキャスト送信と設定をし、他のAPについて、ユニキャスト送信と設定をしてもよい。このように、APについて、マルチキャスト送信に関する設定とユニキャストに関する設定が混在してもよい。
【0027】
マルチキャストに設定された複数のAPについては、位相変更前の変調信号は、同一の信号となる。言い換えると、同一のデータが送信される。
そして、各APに対して、位相変更の方法を指示する。
ユニキャストに設定された複数のAPについては、位相変更前の変調信号は、同一の信号であってもよいし、異なる信号であってもよい。言い換えると、同一のデータが送信される場合もあるし、異なるデータが送信される場合もある。
【0028】
指示部308は、受け取った制御信号を、送信データ振り分け部302、受信データ振り分け部305、並びに、AP121、AP122、AP123及びAP124に対して、出力する。
(2)送信データ振り分け部302
送信データ振り分け部302は、通信装置、指示部308、並びに、AP121、AP122、AP123及びAP124に接続されている。
【0029】
送信データ振り分け部302は、指示部308から制御信号を受け取る。送信データ振り分け部302は、受け取った制御信号をAP121、AP122、AP123及びAP124に対して出力する。
また、送信データ振り分け部302は、通信装置からデータを受け取る。送信データ振り分け部302は、受け取ったデータをAP121向け、AP122向け、AP123向け及びAP124向けに振り分ける。送信データ振り分け部302は、振り分けたデータを、それぞれ、AP121、AP122、AP123及びAP124に対して出力する。
【0030】
(3)受信データ振り分け部305
受信データ振り分け部305は、通信装置、指示部308、並びに、AP121、AP122、AP123及びAP124に接続されている。
また、受信データ振り分け部305は、AP121、AP122、AP123及びAP124から、それぞれ、データを受信する。受信データ振り分け部305は、受信したデータを通信装置に対して出力する。
【0031】
2.4 送受信されるデータの例
親局110、AP121、AP122、AP123及びAP124により、送受信されるデータの例について、以下に説明する。
(1)すべてのAPをマルチキャスト用の送信に設定し、データを送信する場合
すべてのAP121、AP122、AP123及びAP124をマルチキャスト用の送信に設定し、データを送信する場合において、送信されるデータの例について、
図4を用いて説明する。
【0032】
送信データ振り分け部302は、
図4に示すように、パケット401、402、403、404、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット401、402、403、404、・・・は、すべて、マルチキャスト用のパケットである。パケット401、402、403、404、・・・は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。
すべてのAPがマルチキャスト用に設定されている場合、送信データ振り分け部302は、パケット401を受信すると、AP121、AP122、AP123及びAP124に対して、同一のパケット401を出力する。AP121、AP122、AP123及びAP124は、それぞれ、パケット406、411、416及び421を無線により出力する。ここで、パケット406、411、416及び421は、同一のパケット401に基づいて生成され、対応している。
【0033】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット402を受信すると、AP121、AP122、AP123及びAP124に対して、同一のパケット402を出力する。AP121、AP122、AP123及びAP124は、それぞれ、パケット407、412、417及び422を無線により、マルチキャストで出力する。ここで、パケット407、412、417及び422は、同一のパケット402に基づいて生成され、対応している。
【0034】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット403を受信すると、AP121、AP122、AP123及びAP124に対して、同一のパケット403を出力する。AP121、AP122、AP123及びAP124は、それぞれ、パケット408、413、418及び423を無線により、マルチキャストで出力する。ここで、パケット408、413、418及び423は、同一のパケット403に基づいて生成され、対応している。
【0035】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット404を受信すると、AP121、AP122、AP123及びAP124に対して、同一のパケット404を出力する。AP121、AP122、AP123及びAP124は、それぞれ、パケット409、414、419及び424を無線により、マルチキャストで出力する。ここで、パケット409、414、419及び424は、同一のパケット404に基づいて生成され、対応している。
【0036】
このとき、AP121、AP122、AP123及びAP124は、それぞれ、変調信号に対し、位相変更を行うことになることが特徴的な点となる。(ただし、AP121、AP122、AP123、P124のいずれかが、位相変更を行わないとしてもよい。)
(なお、位相変更の方法については、後で詳しく説明する。)
このようにすることで、マルチキャストの変調信号が届くセル範囲を広くすることができるとともに、位相変更を行うことで、変調信号の干渉により、受信が困難となる点の存在を少なくすることができるという利点を得ることができる。
【0037】
(2)2個のAPをマルチキャスト用の送信と設定して、データを送信する場合
2個のAP121及びAP122をマルチキャスト用のデータ送信のAPと設定し、他の2個のAP123及びAP124をユニキャスト用のデータ送信のAPと設定し、データを送信する場合において、送信されるデータの例について、
図5を用いて説明する。この場合、AP121及びAP122において、同一のデータが送信されるとする(位相変更前のマッピング後の変調信号が同一である)。また、AP123及びAP124において、同一のデータが送信されるとする(位相変更前のマッピング後の変調信号が同一である)。
【0038】
送信データ振り分け部302は、
図5に示すように、パケット501、502、503、504、505、506、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット501、503、504及び506、・・・は、マルチキャスト用のパケットである。また、パケット502及び505は、ユニキャスト用のパケットである。
ここで、パケット501、503、504及び506は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。また、パケット502及び505は、ユニキャスト用の一つのデータから生成される。
【0039】
送信データ振り分け部302は、パケット501を受信すると、AP121及びAP122に対して、同一のパケット501を出力する。AP121及びAP122は、それぞれ、パケット511及び521を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。ここで、パケット511、521は、同一のパケット501に基づいて生成され、対応している。
【0040】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット502を受信すると、AP123及びAP124に対して、同一のパケット502を出力する。AP123及びAP124は、それぞれ、パケット531及び541を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。ここで、パケット531及び541は、同一のパケット502に基づいて生成され、対応している。
【0041】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット503を受信すると、AP121及びAP122に対して、同一のパケット503を出力する。AP121及びAP122は、それぞれ、パケット512及び522を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。ここで、パケット512及び513は、同一のパケット503に基づいて生成され、対応している。
【0042】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット504を受信すると、AP121及びAP122に対して、同一のパケット504を出力する。AP121及びAP122は、それぞれ、パケット513及び523を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。ここで、パケット513及び523は、同一のパケット504に基づいて生成され、対応している。
【0043】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット505を受信すると、AP123及びAP124に対して、同一のパケット505を出力する。AP123及びAP124は、それぞれ、パケット532及び542を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。ここで、パケット532及び542は、同一のパケット505に基づいて生成され、対応している。
【0044】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット506を受信すると、AP121及びAP122に対して、同一のパケット506を出力する。AP121及びAP122は、それぞれ、パケット514及び524を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。ここで、パケット514及び524は、同一のパケット506に基づいて生成され、対応している。
【0045】
上記において、ユニキャスト送信により変調信号を送信する場合、AP123及びAP124において送信されるパケットは、同一のデータに基づくとしている。このとき、AP123及びAP124において、伝送パラメータは、同一である。AP123及びAP124は、異なる位相変更を行うとしてもよい。(ただし、AP123、AP124のいずれかが、位相変更を行わないとしてもよい。)
このようにすることで、ユニキャストの変調信号が届くセル範囲を広くすることができるとともに、位相変更を行うことで、変調信号の干渉により、受信が困難となる点の存在を少なくすることができるという利点を得ることができる。
AP121、AP122は、それぞれ、変調信号に対し、位相変更を行うことになることが特徴的な点となる。(ただし、AP121、AP122のいずれかが、位相変更を行わないとしてもよい。)
(なお、位相変更の方法については、後で詳しく説明する。)
このようにすることで、マルチキャストの変調信号が届くセル範囲を広くすることができるとともに、位相変更を行うことで、変調信号の干渉により、受信が困難となる点の存在を少なくすることができるという利点を得ることができる。
【0046】
(3)2個のAPをマルチキャスト送信用に設定して、データ送信する場合
2個のAP121及びAP122をマルチキャスト送信用に設定しデータを送信し、他の2個のAP123及びAP124をユニキャスト送信用に設定しデータを送信する場合において、送信されるデータの例について、
図6を用いて説明する。
図6の場合、
図5と異なり、AP123及びAP124において、異なるデータが送信されるとする。
【0047】
送信データ振り分け部302は、
図6に示すように、パケット601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット601、603、604及び606は、マルチキャスト用のパケットである。また、パケット602、607及び609は、AP123により送信されるユニキャスト用のパケットである。パケット605、608及び610は、AP124により送信されるユニキャスト用のパケットである。
【0048】
ここで、パケット601、603、604及び606は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。また、パケット602、607及び609は、ユニキャスト用の一つのデータから生成される。また、パケット605、608及び610は、ユニキャスト用の別のデータから生成される。
送信データ振り分け部302は、パケット601を受信すると、AP121及びAP122に対して、同一のパケット601を出力する。AP121及びAP122は、それぞれ、パケット621及び625を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。ここで、パケット621及び625は、同一のパケット601に基づいて生成され、対応している。
【0049】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット602を受信すると、AP123に対して、パケット602を出力する。AP123は、パケット631を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。
次に、送信データ振り分け部302は、パケット603を受信すると、AP121及びAP122に対して、同一のパケット603を出力する。AP121及びAP122は、それぞれ、パケット622及び626を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。ここで、パケット622及び626は、同一のパケット603に基づいて生成され、対応している。
【0050】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット604を受信すると、AP121及びAP122に対して、同一のパケット604を出力する。AP121及びAP122は、それぞれ、パケット623及び627を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。ここで、パケット623及び627は、同一のパケット604に基づいて生成され、対応している。
同一である。
【0051】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット605を受信すると、AP124に対して、パケット605を出力する。AP124は、パケット641を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。
次に、送信データ振り分け部302は、パケット606を受信すると、AP121及びAP122に対して、同一のパケット606を出力する。AP121及びAP122は、それぞれ、パケット624及び628を無線により、マルチキャストで出力する。ここで、パケット624及び628は、同一のパケット606に基づいて生成され、対応している。
【0052】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット607を受信すると、AP123に対して、パケット607を出力する。AP123は、パケット632を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。
次に、送信データ振り分け部302は、パケット608を受信すると、AP124に対して、パケット608を出力する。AP124は、パケット642を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。
【0053】
次に、送信データ振り分け部302は、パケット609を受信すると、AP123に対して、パケット609を出力する。AP123は、パケット633を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。
次に、送信データ振り分け部302は、パケット610を受信すると、AP124に対して、パケット610を出力する。AP124は、パケット643を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。
【0054】
AP121、AP122は、それぞれ、変調信号に対し、位相変更を行うことになることが特徴的な点となる。(ただし、AP121、AP122のいずれかが、位相変更を行わないとしてもよい。)
(なお、位相変更の方法については、後で詳しく説明する。)
このようにすることで、マルチキャストの変調信号が届くセル範囲を広くすることができるとともに、位相変更を行うことで、変調信号の干渉により、受信が困難となる点の存在を少なくすることができるという利点を得ることができる。
【0055】
また、AP123、AP124では、ユニキャスト通信を行うことができるという柔軟なシステムとなっている。
例えば、
図4の送信状態、
図5の送信状態、
図6の送信状態に、時間に応じて切り替える(例えば、端末の存在状況によって切り替える)とすることで、柔軟なシステムを実現することができるという利点がある。
【0056】
(4)2個のAPをマルチキャスト送信用に設定して、データを受信する場合
2個のAP121及びAP122をマルチキャスト送信用に設定し、他の2個のAP123及びAP124をユニキャスト送信用に設定し、データ受信する場合において、受信されるデータの例について、
図7を用いて説明する。この場合、AP121及びAP122において、データは、(マルチキャスト送信用のAPのため)受信されない。また、AP123及びAP124において、同一のデータを含む信号が受信されるとする。
【0057】
AP123の受信装置217は、パケット711、712、713、・・・を、この順序で受信して得られるものとする。また、AP124の受信装置217は、パケット721、722、723、・・・をこの順序で受信して得られるものとする。なお、AP123の受信装置217により受信するパケット712及びパケット713の間において、一つのパケットが得られなかったものとする。また、AP124の受信装置217により受信するパケット721及びパケット722の間において、一つのパケットが得られなかったものとする。
【0058】
AP123の受信装置217がパケット711を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット701を受信する。パケット711とパケット702とは、対応している。
次に、AP124の受信装置217がパケット721を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット702を受信する。パケット721とパケット702とは、対応している。
【0059】
次に、AP123の受信装置217がパケット712を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット703を受信する。パケット712とパケット703とは、対応している。
次に、AP124の受信装置217がパケット722を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット704を受信する。パケット722とパケット704とは、対応している。
【0060】
次に、AP123の受信装置217がパケット713を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット705を受信する。パケット713とパケット705とは、対応している。
次に、AP124の受信装置217がパケット723を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット706を受信する。パケット723とパケット706とは、対応している。
【0061】
なお、AP123とAP124は、例えば、最大比合成を行い、その後、復調・復号を行い、パケットを得てもよい。
(5)2個のAPをマルチキャスト送信用に設定して、データを受信する場合
2個のAP121及びAP122をマルチキャスト送信用に設定し、他の2個のAP123及びAP124をユニキャスト送信用に設定し、データを受信する場合において、受信されるデータの例について、
図8を用いて説明する。この場合、AP121及びAP122において、データは、受信されない。また、AP123及びAP124において、異なるデータが受信されるものとする。
【0062】
AP123の受信装置217は、パケット811、812、813、814、・・・を、この順序でユニキャストにより受信する。また、AP124の受信装置217は、パケット816、817、818、819、・・・をこの順序でユニキャストとして受信する。
ここで、パケット811、812、813、814、・・・は、一つのユニキャスト用のデータから生成される。また、パケット816、817、818、819、・・・は、別のユニキャスト用のデータから生成される。
【0063】
AP123の受信装置217がパケット811を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット801を受信する。パケット811とパケット801とは、対応している。
AP124の受信装置217がパケット816を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット802を受信する。パケット816とパケット802とは、対応している。
【0064】
AP123の受信装置217がパケット812を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット803を受信する。パケット812とパケット803とは、対応している。
AP123の受信装置217がパケット813を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット804を受信する。パケット813とパケット804とは、対応している。
【0065】
AP124の受信装置217がパケット817を受信すると、受信データ振り分け部305は、パケット805を受信する。パケット817とパケット805とは、対応している。
2.5 マッピング方法と位相変更
図9(A)に、QPSK変調における信号を構成する同相成分Iと直交成分QのIQ平面におけるマッピング方法の一例を示す。
【0066】
例えば、
図9(A)に示すように、入力データが「00」の場合、マッピング部206は、ベースバンド信号の同相成分I=r、ベースバンド信号の直交成分Q=rを出力する。同様に、入力データが「01」の場合、マッピング部206は、ベースバンド信号の同相成分I=―r、ベースバンド信号の直交成分Q=rを出力する。入力データが「10」の場合、マッピング部206は、ベースバンド信号の同相成分I=r、ベースバンド信号の直交成分Q=―rを出力する。同様に、入力データが「11」の場合、マッピング部206は、ベースバンド信号の同相成分I=―r、ベースバンド信号の直交成分Q=―rを出力する。このように、
図9(A)に示す信号点901、902、903及び904が得られる。
【0067】
また、位相変更後のマッピング方法の例を
図9(B)に示す。
図9(A)における信号点901、902、903及び904を、原点を中心にθ(u)だけ回転させることにより(uはシンボル番号)、
図9(B)における信号点911、912、913及び914を得ることができる。なお、位相変更値は、シンボル番号uの関数のため、θ(u)とあらわす。
【0068】
2.6 位相変更部
無線通信システム100のAP120は、
図2に示す位相変更部208に代えて、
図10に示す位相変更部1002を備えるとしてもよい。
位相変更部1002は、変調後のベースバンド信号s(t)(1001)を受け取る。
位相変更部1002は、
z(t)=y(t)×s(t) (tは、時刻)
を算出する。
【0069】
位相変更部1002は、位相変更後の信号z(t)(1005)を出力する。
ここで、y(t)を次のようにしてもよい。
【0070】
【数1】
なお、位相変更部1002は、z(t)に代えて、
z(f)=y(f)×s(f) (fは、周波数)
を算出してもよい。
【0071】
この場合、位相変更部1002は、位相変更後の信号z(f)を出力する。
また、無線通信システム100は、複数個の位相変更のパターンを保持しているとしてもよい。各APに一つの位相変更のパターンが割り当てられる。
例えば、無線通信システム100は、周期N1、周期N2、周期N3、周期N4の4個の位相変更のパターンを保持している。周期N1の位相変更のパターン(位相変更値をy1(i)とあらわすものとする。なお、y1(i)はシンボル番号iの関数とする。)を、AP121に割り当てる。周期N2の位相変更のパターン(位相変更値をy2(i)とあらわすものとする。なお、y2(i)はシンボル番号iの関数とする。)を、AP122に割り当てる。周期N3の位相変更のパターン(位相変更値をy3(i)とあらわすものとする。なお、y3(i)はシンボル番号iの関数とする。)を、AP123に割り当てる。周期N4の位相変更のパターン(位相変更値をy4(i)とあらわすものとする。なお、y4(i)はシンボル番号iの関数とする。)を、AP124に割り当てる。
【0072】
AP121の位相変更部1002は、以下により、位相変更後の信号z(i)を算出する。
z(i)=y1(k) × s(i)
ここで、k=i mod N1とし、N1は、2以上の整数である。また、iは、例えば、0以上の整数である。i mod N1は、iをN1で割ったときの余りをあらわす。(mod:modulo)
AP122の位相変更部1002は、以下により、位相変更後の信号z(i)を算出する。
【0073】
z(i)=y2(k) × s(i)
ここで、k=i mod N2とし、N2は、2以上の整数である。また、iは、例えば、0以上の整数である。i mod N2は、iをN2で割ったときの余りをあらわす。(mod:modulo)
AP123の位相変更部1002は、以下により、位相変更後の信号z(i)を算出する。
【0074】
z(i)=y3(k) × s(i)
ここで、k=i mod N3とし、N3は、2以上の整数である。また、iは、例えば、0以上の整数である。i mod N3は、iをN3で割ったときの余りをあらわす。(mod:modulo)
AP124の位相変更部1002は、以下により、位相変更後の信号z(i)を算出する。
【0075】
z(i)=y4(k) × s(i)
ここで、k=i mod N4とし、N4は、2以上の整数である。また、iは、例えば、0以上の整数である。i mod N4は、iをN4で割ったときの余りをあらわす。(mod:modulo)
なお、位相変更のパターンは、可能な限り異なる方がよい。第1のAPと第2のAPとが近接している場合には、第1のAPに割り当てられる位相変更のパターンと、第2のAPに割り当てられる位相変更のパターンとは、異なるほうがよいこともある。
【0076】
第1のAPに割り当てられる位相変更のパターンと、第2のAPに割り当てられる位相変更のパターンとは、同一であることもありうる。
また、AP121、AP122、AP123、AP124のいずれかが、位相変更を行わないとしてもよい。
2.7 無線通信システム100における動作
ここでは、無線通信システム100における動作について説明する。
【0077】
(1)パケットの送信の動作
無線通信システム100の親局110、AP121、AP122、AP123及びAP124におけるパケットの送信の動作について、
図11~
図12に示すシーケンス図を用いて、説明する。
通信装置は、パケットを生成し(ステップS1101)、生成したパケットを親局110に対して送信する(ステップS1102)。通信装置は、ステップS1101に戻って、パケットの生成及びパケットの送信を繰り返す。
【0078】
送信データ振り分け部302は、通信装置からパケットを受信する(ステップS1102)。受信したパケットがマルチキャスト用かユニキャスト用かを判断する(ステップS1103)。ユニキャスト用である場合(ステップS1103で「ユニキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、ステップS1216へ制御を移す。
マルチキャスト用である場合(ステップS1103で「マルチキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、AP121がマルチキャスト用に設定されているか否かを判断する(ステップS1104)。AP121がマルチキャスト用に設定されている場合(ステップS1104で「マルチキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、受信したパケットをAP121に対して出力する(ステップS1105)。AP121は、パケットを受け取る(ステップS1105)。AP121は、符号化、インタリーブ、マッピング、位相変更等の処理を行う(ステップS1106)。次に、AP121は、無線により信号を出力する(ステップS1107)。
【0079】
AP121がマルチキャスト用に設定されていない場合(ステップS1104で「No」)、送信データ振り分け部302は、AP122がマルチキャスト用に設定されているか否かを判断する(ステップS1108)。AP122がマルチキャスト用に設定されている場合(ステップS1108で「マルチキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、受信したパケットをAP122に対して出力する(ステップS1109)。AP122は、パケットを受け取る(ステップS1109)。AP122は、符号化、インタリーブ、マッピング、位相変更等の処理を行う(ステップS1110)。次に、AP122は、無線により信号を出力する(ステップS1111)。
【0080】
AP122がマルチキャスト用に設定されていない場合(ステップS1108で「No」)、送信データ振り分け部302は、AP123がマルチキャスト用に設定されているか否かを判断する(ステップS1112)。AP123がマルチキャスト用に設定されている場合(ステップS1112で「マルチキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、受信したパケットをAP123に対して出力する(ステップS1113)。AP123は、パケットを受け取る(ステップS1113)。AP123は、符号化、インタリーブ、マッピング、位相変更等の処理を行い、無線により信号を出力する。
【0081】
AP123がマルチキャスト用に設定されていない場合(ステップS1112で「No」)、送信データ振り分け部302は、AP124がマルチキャスト用に設定されているか否かを判断する(ステップS1114)。AP124がマルチキャスト用に設定されている場合(ステップS1114で「マルチキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、受信したパケットをAP124に対して出力する(ステップS1115)。AP124は、パケットを受け取る(ステップS1115)。AP124は、符号化、インタリーブ、マッピング、位相変更等の処理を行い、無線により信号を出力する。
【0082】
AP124がマルチキャスト用に設定されていない場合(ステップS1114で「No」)、送信データ振り分け部302は、制御をステップS1102へ戻す。
受け取ったパケットがユニキャスト用である場合(ステップS1103で「ユニキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、AP121がユニキャスト用に設定されているか否かを判断する(ステップS1216)。AP121がユニキャスト用に設定されている場合(ステップS1216で「ユニキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、受信したパケットをAP121に対して出力する(ステップS1217)。AP121は、パケットを受け取る(ステップS1217)。AP121は、符号化、インタリーブ、マッピング、位相変更等の処理を行う(ステップS1218)。次に、AP121は、無線により信号を出力する(ステップS1219)。
【0083】
AP121がユニキャスト用に設定されていない場合(ステップS1216で「No」)、送信データ振り分け部302は、AP122がユニキャスト用に設定されているか否かを判断する(ステップS1220)。AP122がユニキャスト用に設定されている場合(ステップS1220で「ユニキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、受信したパケットをAP122に対して出力する(ステップS1221)。AP122は、パケットを受け取る(ステップS1221)。AP122は、符号化、インタリーブ、マッピング、位相変更等の処理を行う(ステップS1222)。次に、AP122は、無線により信号を出力する(ステップS1223)。
【0084】
AP122がユニキャスト用に設定されていない場合(ステップS1220で「No」)、送信データ振り分け部302は、AP123がユニキャスト用に設定されているか否かを判断する(ステップS1224)。AP123がユニキャスト用に設定されている場合(ステップS1224で「ユニキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、受信したパケットをAP123に対して出力する(ステップS1225)。AP123は、パケットを受け取る(ステップS1225)。AP123は、符号化、インタリーブ、マッピング、位相変更等の処理を行い、無線により信号を出力する。
【0085】
AP123がユニキャスト用に設定されていない場合(ステップS1224で「No」)、送信データ振り分け部302は、AP124がユニキャスト用に設定されているか否かを判断する(ステップS1226)。AP124がユニキャスト用に設定されている場合(ステップS1226で「ユニキャスト用」)、送信データ振り分け部302は、受信したパケットをAP124に対して出力する(ステップS1227)。AP124は、パケットを受け取る(ステップS1227)。AP124は、符号化、インタリーブ、マッピング、位相変更等の処理を行い、無線により信号を出力する。
【0086】
AP124がユニキャスト用に設定されていない場合(ステップS1226で「No」)、送信データ振り分け部302は、制御をステップS1102に戻す。
(2)パケットの受信の動作
無線通信システム100の親局110、AP121、AP122、AP123及びAP124におけるパケットの受信の動作について、
図13に示すシーケンス図を用いて、説明する。
【0087】
AP121の受信装置217は、無線により信号を受信する(ステップS1351)。次に、受信装置217は、パケットを親局110に対して出力する(ステップS1352)。受信装置217は、ステップS1351に制御を戻して(ステップS1353)、無線の受信とパケットの出力とを繰り返す。
受信データ振り分け部305は、AP121の受信装置217からパケットを受信する(ステップS1352)。受信データ振り分け部305は、通信装置に対して、受信したパケットを出力する(ステップS1354)。
【0088】
AP122の受信装置217は、無線により信号を受信する(ステップS1356)。次に、受信装置217は、パケットを親局110に対して出力する(ステップS1357)。受信装置217は、ステップS1356に制御を戻して(ステップS1358)、無線の受信とパケットの出力とを繰り返す。
受信データ振り分け部305は、AP122の受信装置217からパケットを受信する(ステップS1357)。受信データ振り分け部305は、通信装置に対して、受信したパケットを出力する(ステップS1359)。
【0089】
AP123の受信装置217は、無線により信号を受信する(ステップS1361)。次に、受信装置217は、パケットを親局110に対して出力する(ステップS1362)。受信装置217は、ステップS1361に制御を戻して(ステップS1363)、無線の受信とパケットの出力とを繰り返す。
受信データ振り分け部305は、AP123の受信装置217からパケットを受信する(ステップS1362)。受信データ振り分け部305は、通信装置に対して、受信したパケットを出力する(ステップS1364)。
【0090】
AP124の受信装置217は、無線により信号を受信する(ステップS1366)。次に、受信装置217は、パケットを親局110に対して出力する(ステップS1367)。受信装置217は、ステップS1366に制御を戻して(ステップS1368)、無線の受信とパケットの出力とを繰り返す。
受信データ振り分け部305は、AP124の受信装置217からパケットを受信する(ステップS1367)。受信データ振り分け部305は、通信装置に対して、受信したパケットを出力する(ステップS1369)。
【0091】
2.8 変形例(1)
無線通信システム100の変形例としての無線通信システム1400について説明する。
無線通信システム100においては、親局110は、それぞれ、AP121、AP122、AP123及びAP124と有線により接続されている(無線であってもよい)。言い換えると、親局110と、AP121、AP122、AP123及びAP124とは、有線(または、無線)によりパラレル(並列)に接続されている。しかし、この形態には、限定されない。
【0092】
無線通信システム1400は、無線通信システム100と類似する構成を有している。ここでは、無線通信システム100との相違点を中心に説明する。
無線通信システム1400は、
図14に示すように、親局1410、AP1421、AP1422、AP1423、AP1424、及び、端末1431、端末1432、・・・、端末1438から構成されている。
【0093】
無線通信システム1400においては、親局1410は、有線(または、無線)によりAP1421に接続されている。AP1421は、有線(または、無線)によりAP1422に接続され、AP1422は、有線(または、無線)によりAP1423に接続され、AP1423は、有線(または、無線)によりAP1424に接続されている。言い換えると、親局1410と、AP1421、AP1422、AP1423及びAP1424とは、有線(または、無線)によりシリアル(直列)に接続されている。
【0094】
(親局1410から端末への方向のパケットの送信)
親局1410は、AP1421に対して、AP1421向けのパケット、AP1422向けのパケット、AP1423向けのパケット及びAP1424向けのパケットを送信する。
AP1421は、親局1410から、AP1421向けのパケット、AP1422向けのパケット、AP1423向けのパケット及びAP1424向けのパケットを受信する。
【0095】
AP1421向けのパケットを受信すると、AP1421は、当該パケットに符号化等の処理を施して無線により出力する。
AP1421は、AP1422向けのパケット、AP1423向けのパケット及びAP1424向けのパケットを得ると、AP1422向けのパケット、AP1423向けのパケット及びAP1424向けのパケットをAP1422に対して送信する。
【0096】
AP1422は、AP1421から、AP1422向けのパケット、AP1423向けのパケット及びAP1424向けのパケットを受信する。
AP1422向けのパケットを受信すると、AP1422は、当該パケットに符号化等の処理を施して無線により出力する。
AP1422は、AP1423向けのパケット及びAP1424向けのパケットを得ると、受信したAP1423向けのパケット及びAP1424向けのパケットをAP1423に対して送信する。
【0097】
AP1423は、AP1422から、AP1423向けのパケット及びAP1424向けのパケットを受信する。
AP1423向けのパケットを受信すると、AP1423は、当該パケットに符号化等の処理を施して無線により出力する。
AP1423は、AP1424向けのパケットを得ると、受信したAP1424向けのパケットをAP1423に対して送信する。
【0098】
AP1424は、AP1423から、AP1424向けのパケットを受信する。
AP1424向けのパケットを受信すると、AP1424は、当該パケットに符号化等の処理を施して無線により出力する。
(端末から親局1410への方向のパケットの送信)
端末1431、端末1432、・・・、端末1438は、無線により、パケットを送信する。
【0099】
AP1424は、いずれかの端末が送信したパケットを受信する。パケットを受信すると、AP1424は、受信したパケットをAP1423に対して送信する。
AP1423は、いずれかの端末が送信したパケットを受信する。また、AP1423は、AP1424からパケット(AP1424が端末から無線により受信したパケット)を受信する。端末からのパケット及びAP1424からのパケットを受信すると、AP1423は、端末からのパケット及びAP1424からのパケットをAP1422に対して送信する。
【0100】
AP1422は、いずれかの端末が送信したパケットを受信する。また、AP1422は、AP1423からパケット(AP1424が端末から無線により受信したパケット及びAP1423が端末から無線により受信したパケット)を受信する。端末からのパケット及びAP1423からのパケットを受信すると、AP1423は、端末からのパケット及びAP1423からのパケットをAP1421に対して送信する。
【0101】
AP1421は、いずれかの端末が送信したパケットを受信する。また、AP1421は、AP1422からパケット(AP1424が端末から無線により受信したパケット、AP1423が端末から無線により受信したパケット及びAP1422が端末から無線により受信したパケット)を受信する。端末からのパケット及びAP1422からのパケットを受信すると、AP1421は、端末からのパケット及びAP1422からのパケットを親局1410に対して送信する。
【0102】
2.9 変形例(2)
無線通信システム100の変形例としての無線通信システム1500について説明する。
無線通信システム1500は、無線通信システム100と類似した構成を有する。無線通信システム1500は、
図15に示すように、無線通信システム100の親局110、AP121、AP122、AP123及びAP124に代えて、親局1598、AP1599-1、AP1599-2、AP1599-3及びAP1599-4を有する。以下において、無線通信システム100との相違点を中心に説明する。
【0103】
親局1598、AP1599-1、AP1599-2、AP1599-3及びAP1599-4は、それぞれ、無線通信システム100の親局110、AP121、AP122、AP123及びAP124に相当する。
親局1598は、指示部1504、送信データ振り分け部1502、AP#1用送信信号処理部1507-1、AP#2用送信信号処理部1507-2、AP#3用送信信号処理部1507-3、AP#4用送信信号処理部1507-4及び図示していない受信データ振り分け部305から構成される。
【0104】
また、AP1599-1は、AP#1送信処理部1509-1及びアンテナ1511-1を備える。AP1599-2は、AP#2送信処理部1509-2及びアンテナ1511-2を備える。AP1599-3は、AP#3送信処理部1509-3及びアンテナ1511-3を備える。AP1599-4は、AP#4送信処理部1509-4及びアンテナ1511-4を備える。
【0105】
AP1599-1、AP1599-2、AP1599-3及びAP1599-4は、それぞれ、少なくとも、誤り訂正符号化、インタリーブ、マッピング及び位相変更の処理を行わない。
AP#1用送信信号処理部1507-1、AP#2用送信信号処理部1507-2、AP#3用送信信号処理部1507-3、AP#4用送信信号処理部1507-4が、それぞれ、AP1599-1、AP1599-2、AP1599-3及びAP1599-4のため、誤り訂正符号化、インタリーブ、マッピング及び位相変更の処理を行う。
【0106】
特に、AP#1用送信信号処理部1507-1、AP#2用送信信号処理部1507-2、AP#3用送信信号処理部1507-3、AP#4用送信信号処理部1507-4が、それぞれ、位相変更の処理を行うことが特徴である。
AP#1送信処理部1509-1、AP#2送信処理部1509-2、AP#3送信処理部1509-3及びAP#4送信処理部1509-4は、それぞれ、周波数変換、電力増幅などの処理を行う。
【0107】
また、指示部1504による処理内容及び送信データ振り分け部1502による処理内容は、それぞれ、無線通信システム100の指示部308による処理内容及び送信データ振り分け部302による処理内容と同様である。
なお、送信データ振り分け部1502による処理の例は、
図4~
図6において説明した通りである。
【0108】
2.10 変形例(3)
無線通信システム100の変形例としての無線通信システム1600について説明する。
無線通信システム1600は、無線通信システム100と類似した構成を有する。無線通信システム1600は、
図16に示すように、無線通信システム100の親局110、AP121、AP122、AP123及びAP124に代えて、親局1698、AP1699-1、AP1699-2、AP1699-3及びAP1699-4を有する。以下において、無線通信システム100との相違点を中心に説明する。
【0109】
無線通信システム100との主要な相違点は、受信処理(復調、復号)の機能を、親局1698と、AP1699-1、AP1699-2、AP1699-3及びAP1699-467とで分担していることである。
親局1698、AP1699-1、AP1699-2、AP1699-3及びAP1699-4は、それぞれ、無線通信システム100の親局110、AP121、AP122、AP123及びAP124に相当する。
【0110】
親局1698は、指示部1610、受信データ振り分け部1607、AP#1用受信信号処理部1605-1、AP#2用受信信号処理部1605-2、AP#3用受信信号処理部1605-3、AP#4用受信信号処理部1605-4及び図示していない送信データ振り分け部302から構成される。
また、AP1699-1は、AP#1受信処理部1603-1及びアンテナ1601-1を備える。AP1699-2は、AP#2受信処理部1603-2及びアンテナ1601-2を備える。AP1699-3は、AP#3受信処理部1603-3及びアンテナ1601-3を備える。AP1699-4は、AP#4受信処理部1603-4及びアンテナ1601-4を備える。
【0111】
AP#1受信処理部1603-1、AP#2受信処理部1603-2、AP#3受信処理部1603-3及びAP#4受信処理部1603-4は、それぞれ、周波数変換などの処理を行う。
また、指示部1610による処理内容及び受信データ振り分け部1607による処理内容は、それぞれ、無線通信システム100の指示部308による処理内容及び受信データ振り分け部305による処理内容と同様である。
【0112】
なお、受信データ振り分け部1607による処理の例は、
図7及び
図8において説明した通りである。
1.11 親局がAPを支配下とする場合の動作
無線通信システム100において、親局110が新たにAPを支配下とする場合の動作について、
図17に示すフローチャートを用いて説明する。
【0113】
ここでは、4台のAP121、AP122、AP123及びAP124が親局110の支配下にあるものとし、その後、新たなAPを追加する場合を想定する。この時点において、4台のAP121、AP122、AP123及びAP124に対して、位相変更パターン(及びID)は、すでに設定済みであるとする。
新たに親局110の支配下に入ろうとするAPは、親局110に対して、その支配下に入りたいという要望を通知する。親局110は、新たなAPは、要望を受け取る(ステップS1701)。
【0114】
親局110は、新たなAPを支配下とするか否かを判断する(ステップS1702)。新たなAPを支配下とすると判断する場合(ステップS1702で「Yes」)、親局110は、新たなAPにIDを付与する。このとき、IDと位相変更パターンとは、関連付けされている。新たなAPは、付与されたIDから、位相変更パターンを設定する(ステップS1703)。これにより、新たにAPを支配下とする場合の動作を終了する。
【0115】
新たなAPを支配下としないと判断する場合(ステップS1702で「No」)、親局110は、新たなAPに対して、支配下としないことを通知する(ステップS1704)。これにより、新たにAPを支配下とする場合の動作を終了する。
なお、ステップS1703において、次のようにしてもよい。
親局110は、新たなAPが設定する位相変更パターンを示す情報を、新たなAPに送信する。新たなAPは、位相変更パターンを示す情報を受信し、受信した位相変更パターンを示す情報に基づいて、当該APにおける位相変更パターンを設定する。このとき、親局110は、新たなAPに対して、IDを付与してもよいし、IDを付与しなくてもよい。ここで、IDを付与しておくと、親局110が、新たに支配下に入ったAPに対して、ユニキャスト用のAP又はマルチキャスト用のAPの指定をする場合、「ID及びユニキャスト用又はマルチキャスト用」という情報を当該APに送信することにより、簡単にそのAPに対して、ID及びユニキャスト用又はマルチキャスト用の指定を行うことができるという利点がある。
【0116】
上記においては、4台のAP121、AP122、AP123及びAP124が親局110の支配下にあるものとし、その後、新たなAPを追加する場合について、説明した。しかし、このような場合には、限定されない。
初期状態において、親局110の支配下にあるAPが存在しないとしてもよい。この場合に、上記に説明したように、APを1台ずつ、親局110の支配下に入れるとしてもよい。
【0117】
なお、上記のステップS1702における判断において、支配下とするAPの台数の制限により、親局110は、新たなAPを支配下とするか否かを判断してもよい。親局110は、支配下とするAPの台数の最大値を記憶している。新たに支配下に入る1台のAPからの要望があるとき、現在、支配下となっているAPの台数に「1」を加算し、得られた値と最大値とを比較する。得られた値が最大値を超えない場合、又は、最大値に等しい場合、支配下に入ることを許可する。得られた値が最大値を超える場合、支配下に入ることを許可しない。
【0118】
なお、上記のステップS1702における判断において、新たなAPの存在する位置と、位相変更パターンとに応じて、親局110は、新たなAPを支配下とするか否かを判断してもよい。
このとき、例えば、新たなAPの存在する位置と、既に、支配下となっているAPの位置とが、離れているとき、親局110は、新たなAPが支配下となることを許可する。
【0119】
また、例えば、新たなAPの存在する位置と、既に、支配下となっているAPの位置とが近いとき、新たなAPに対して、割り当てるべき位相変更パターンがあれば、親局110は、新たなAPが支配下となることを許可する。
また、例えば、新たなAPの存在する位置と、既に、支配下となっているAPの位置とが近いとき、新たなAPに対して、割り当てるべき位相変更パターンがなければ、親局110は、新たなAPが支配下に入ることを許可しない。
【0120】
2.11 まとめ
本態様によると、Gbpsの大容量の伝送が実現できる。また、マルチキャストを実現する場合に、収容する端末数を増やすことができる。さらに、マルチキャストと同時にユニキャストの通信を実現することができ、システムに柔軟性を持たせることができる。
3.実施の形態2
本発明に係る別の実施の形態2としての無線通信システム1800について説明する。
【0121】
3.1 無線通信システム1800
無線通信システム1800は、
図18に示すように、親局1810、AP1820-1、AP1820-2、AP1820-3、AP1820-4、及び、端末1830-1、端末1830-2、・・・、端末1830-8から構成されている。
親局1810は、直接、又は、通信回線を介して間接的に、通信装置(図示していない)と接続されている。ここで、通信装置は、一例として、データを放送する放送装置、データを送信する配信システムやサーバーなどである。通信装置は、制御信号及びデータを送信する。制御信号は、ユニキャストの送信に関する設定又はマルチキャストの送信に関する設定、及び、位相変更の方法の設定を含む。さらに、通信装置は、複数の通信装置から構成されているとしてもよい。この場合、第1の通信装置は、制御信号を送信し、第2の通信装置は、データを送信してもよい。親局1810は、AP1820-1、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4と有線(または、無線)により接続されている。さらに、AP1820-1は、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4と有線(または、無線)により接続されている。
【0122】
親局1810は、通信装置から制御信号及びデータを受信する。親局1810は、AP1820-1に対して、制御信号を送信する。また、親局1810は、AP1820-1、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4に対して、それぞれ、データを送信する。また、AP1820-1、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4は、親局1810から得たデータを無線により送信する。
【0123】
端末1830-1、端末1830-2、・・・、端末1830-8は、それぞれ、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域、一例として、60GHzの周波数帯域を用いる無線通信機能を備える携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)である。端末1830-1は、例えば、端末1830-1がAP1820-1に近接する位置に存在する場合、AP1820-1から無線によりデータを受信する。端末1830-2、・・・、端末1830-8も、それぞれ、端末1830-1と同様に、近接するAPから無線によりデータを受信する。
【0124】
また、端末1830-1は、データを無線により送信する。端末1830-1がAP1820-1に近接する位置に存在する場合、AP1820-1は、端末1830-1からデータを無線により受信する。AP1820-1は、受信したデータを親局1810に対して送信する。
端末1830-2、端末1830-3、・・・、端末1830-8も、端末1830-1と同様に、データを無線により送信する。各端末に近接する位置に存在するAPは、当該端末からデータを無線により受信する。当該APは、端末から受信したデータを親局1810に対して送信する。
【0125】
親局1810は、各端末が送信したデータを、APを介して得る。親局1810は、受信したデータを通信装置に対して出力する。
親局1810からAP1820-1に対して送信される制御信号は、各APにおけるユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、各APにおける位相変更の方法の設定を含む。親局1810は、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4に対して、ユニキャスト送信に関する設定及びマルチキャスト送信に関する設定を行わない。また、親局1810は、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4に対して、各APにおける位相変更の方法の設定を行わない。
【0126】
AP1820-1は、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4に対して、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定を行う。また、AP1820-1は、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4に対して、位相変更の方法の設定を行う。
AP1820-1をマスタAPと呼ぶ。また、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4をマスタでないAPと呼ぶ。
【0127】
3.2 マスタAPとしてのAP1820-1
マスタAPであるAP1820-1は、
図19に示すように、符号化器202、インターリーバ204、マッピング部206、位相変更部208、無線部210、アンテナ212、アンテナ215、受信装置217及び指示部1902から構成されている。
AP1820-1は、親局1810から制御信号1901を受け取る。制御信号1901は、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、位相変更の方法の設定を含む。
【0128】
AP1820-1は、親局1810から受け取った制御信号1901に基づいて、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定を行う。また、AP1820-1は、制御信号1901に基づいて、位相変更の方法の設定を行う。なお、マルチキャスト送信に関する設定がされた場合に、他のAPと同一の周波数(周波数帯)を使用するように、設定される。
【0129】
AP1820-1は、ユニキャスト送信に関する設定を行う場合、受信装置217を動作させる。また、AP1820-1は、マルチキャスト送信に関する設定を行う場合、受信装置217の動作を停止させてもよい。
AP1820-1は、ユニキャストの場合とマルチキャストの場合とで、同一のチャネルを使用して、無線による送受信を行う。ここで、AP1820-1は、一つの無線キャリアをいくつかのタイムスロットに分割し、各タイムスロットを通信のチャネルとして使用してもよい。また、AP1820-1は、60GHzの周波数帯域において、複数の異なる周波数を用い、それぞれの周波数を通信のチャネルとして使用してもよい。
【0130】
(1)符号化器202
符号化器202は、親局1810からデータ201を受け取る。また、符号化器202は、AP1820-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、符号化方式の指定、誤り訂正方式の指定、符号化率、ブロック長等の情報を含む。符号化器202は、制御信号213により指定された方式を用いて、データ201に対して、例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号等の誤り訂正符号化を行う。符号化器202は、符号化後のデータ203を出力する。
【0131】
(2)インターリーバ204
インターリーバ204は、符号化器202から、符号化後のデータ203を受け取る。また、インターリーバ204は、AP1820-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、インタリーブの方法の指定を含む。インターリーバ204は、符号化後のデータ203に対して、制御信号213により指定されるインタリーブの方法により、インタリーブ、つまり、順番の並び替えを行う。インターリーバ204は、インタリーブ後のデータ205を出力する。
【0132】
(3)マッピング部206
マッピング部206は、インターリーバ204から、インタリーブ後のデータ205を受け取る。また、マッピング部206は、AP1820-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、変調方式の指定を含む。マッピング部206は、制御信号213に含まれる変調方式の指定に従って、インタリーブ後のデータ205に対して、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、変調後の信号207を生成する。マッピング部206は、変調後の信号207を出力する。なお、変調方式は、他の変調方式であってもよい。
【0133】
なお、マッピング部206は、位相変更の処理を含むマッピングを行ってもよい。
(4)位相変更部208
位相変更部208は、マッピング部206から変調後の信号207を受け取る。また、位相変更部208は、制御信号1903_0を受け取る。制御信号1903_0は、位相変更の方法の設定を含む。位相変更部208は、制御信号1903_0に含まれる位相変更の方法の設定に従って、変調後の信号207に対して、位相変更を施し、位相変更後の信号209を生成する。位相変更部208は、位相変更後の信号209を出力する。
【0134】
(5)無線部210及びアンテナ212
無線部210は、位相変更部208から、位相変更後の信号209を受け取る。また、無線部210は、AP1820-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、周波数変換、増幅等の指定を含む。無線部210は、位相変更後の信号209に対して、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号211を生成する。無線部210は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、生成した送信信号211をアンテナ212に対して出力する。
【0135】
アンテナ212は、送信信号211を電波として出力する。
(6)アンテナ215及び受信装置217
アンテナ215は、各端末により電波として出力された信号216を受信する。
受信装置217は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、アンテナ215から信号216を受け取り、増幅、周波数変換等の処理を施し、データ218を生成する。受信装置217は、データ218を親局1810に対して出力する。
【0136】
なお、アンテナ212とアンテナ215とは、同一体であってもよい。便宜上、別々の表記をしている。
(7)指示部1902
指示部1902は、親局1810に接続されている。
指示部1902は、親局1810から制御信号1901を受け取る。制御信号1901は、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、位相変更の方法の設定を含む。
【0137】
また、制御信号1901により、AP毎に個別に設定してもよいし、また、同一制御信号1901により、すべてのAPに対して、設定を行ってもよい。
指示部1902は、AP1820-1を含むすべてのAPに対して、制御信号1903_0、制御信号1903_1、・・・、制御信号1903_Nにより、マルチキャスト送信に関する設定、又は、ユニキャスト送信に関する設定を行う。
【0138】
ここで、指示部1902は、すべてのAPに対して、マルチキャスト送信に関する設定をしてもよいし、すべてのAPに対して、ユニキャスト送信に関する設定を行ってもよい。一部のAPについて、マルチキャスト送信に関する設定をし、他のAPについて、ユニキャスト送信に関する設定を行ってもよい。
マルチキャスト送信に関する設定が行われた複数のAPについては、位相変更前の変調信号は、同一の信号となる。言い換えると、同一のデータが送信される。
【0139】
また、指示部1902は、制御信号1903_1、・・・、制御信号1903_Nにより、各APに対して、位相変更の方法の指示を行う。
ユニキャスト送信に関する設定が行われた複数のAPについては、位相変更前の変調信号は、同一の信号であってもよいし、異なる信号であってもよい。言い換えると、同一のデータが送信される場合もあるし、異なるデータが送信される場合もある。
【0140】
このように、指示部1902は、受け取った制御信号1901から、各AP向けの制御信号1903_0、制御信号1903_1、・・・、制御信号1903_Nを生成する。各制御信号は、マルチキャスト送信に関する設定又はユニキャスト送信に関する設定及び位相変更の方法の設定を含む。指示部1902は、制御信号1903_0、制御信号1903_1、・・・、制御信号1903_Nを、自身、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4に対して、出力する。
【0141】
指示部1902は、AP1820-1に対して、ユニキャスト送信を指定した場合、受信装置217を動作させる。また、指示部1902は、AP1820-1に対して、マルチキャスト送信を指定した場合、受信装置217の動作を停止させてもよい。
3.3 マスタでないAP2000
AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4は、マスタでないAPである。ここでは、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4を代表して、AP2000として説明する。
【0142】
マスタでないAP2000は、
図20に示すように、符号化器202、インターリーバ204、マッピング部206、位相変更部208、無線部210、アンテナ212、アンテナ215及び受信装置217から構成されている。
AP2000は、マスタAPであるAP1820-1から、制御信号2001_0を受け取る。制御信号2001_0は、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、位相変更の方法の設定を含む。また、AP2000は、マスタAPであるAP1820-1から、データ2002を受け取る。また、AP2000は、AP連携を行う場合、マスタでない他のAPから、データ2003を受け取る場合がある。また、AP2000は、ユニキャスト送信として単独で動作する場合、親局1810から、データ201を受け取る場合がある。
【0143】
AP2000は、制御信号2001_0に基づいて、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定を行う。また、AP2000は、制御信号2001_0に基づいて、位相変更の方法の設定を行う。なお、マルチキャスト送信に設定された場合、他のAPと同一の周波数(周波数帯)を使用するように、設定される。
AP2000は、ユニキャスト送信に設定した場合、受信装置217を動作させる。また、AP2000は、マルチキャスト送信に設定をした場合、受信装置217の動作を停止させてもよい。
【0144】
AP2000は、ユニキャスト送信の場合とマルチキャスト送信の場合とで、同一のチャネル(または、同一の周波数)を使用して、無線による送受信を行う。ここで、AP2000は、一つの無線キャリアをいくつかのタイムスロットに分割し、各タイムスロットを通信のチャネルとして使用してもよい。また、AP2000は、60GHzの周波数帯域において、複数の異なる周波数を用い、それぞれの周波数を通信のチャネルとして使用してもよい。
【0145】
(1)符号化器202
符号化器202は、データ2002、データ2003、又は、データ201を受け取る。また、符号化器202は、AP2000が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、符号化方式の指定、誤り訂正方式の指定、符号化率、ブロック長等の情報を含む。符号化器202は、制御信号213により指定された方式を用いて、データ2002、データ2003、又は、データ201に対して、例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号等の誤り訂正符号化を行う。符号化器202は、符号化後のデータ203を出力する。
【0146】
(2)インターリーバ204
インターリーバ204は、符号化器202から、符号化後のデータ203を受け取る。また、インターリーバ204は、AP2000が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、インタリーブの方法の指定を含む。インターリーバ204は、符号化後のデータ203に対して、制御信号213により指定されるインタリーブの方法により、インタリーブ、つまり、順番の並び替えを行う。インターリーバ204は、インタリーブ後のデータ205を出力する。
【0147】
(3)マッピング部206
マッピング部206は、インターリーバ204から、インタリーブ後のデータ205を受け取る。また、マッピング部206は、AP2000が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、変調方式の指定を含む。マッピング部206は、制御信号213に含まれる変調方式の指定に従って、インタリーブ後のデータ205に対して、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、変調後の信号207を生成する。マッピング部206は、変調後の信号207を出力する。なお、変調方式は、他の変調方式であってもよい。
【0148】
なお、マッピング部206は、位相変更の処理を含むマッピングを行ってもよい。
(4)位相変更部208
位相変更部208は、マッピング部206から変調後の信号207を受け取る。また、位相変更部208は、制御信号2001_0を受け取る。制御信号2001_0は、位相変更の方法の設定を含む。位相変更部208は、制御信号2001_0に含まれる位相変更の方法の設定に従って、変調後の信号207に対して、位相変更を施し、位相変更後の信号209を生成する。位相変更部208は、位相変更後の信号209を出力する。
【0149】
(5)無線部210及びアンテナ212
無線部210は、位相変更部208から、位相変更後の信号209を受け取る。また、無線部210は、AP2000が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、周波数変換、増幅等の指定を含む。無線部210は、位相変更後のデータ209に対して、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信データ211を生成する。無線部210は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、生成した送信信号211をアンテナ212に対して出力する。
【0150】
アンテナ212は、送信信号211を電波として出力する。
(6)アンテナ215及び受信装置217
アンテナ215は、各端末により電波として出力された信号216を受信する。
受信装置217は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、アンテナ215からデータ216を受け取り、増幅、周波数変換等の処理を施し、データ218を生成する。受信装置217は、データ218を親局1810に対して出力する。
【0151】
なお、アンテナ212とアンテナ215とは、同一体であってもよい。便宜上、別々の表記をしている。
3.4 送信されるデータの例
親局1810、AP1820-1、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4により、送信されるデータの例について、以下に説明する。
【0152】
(1)すべてのAPをマルチキャスト用に設定して送信する場合
すべてのAP1820-1、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4をマルチキャスト用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例について、
図21を用いて説明する。
親局1810は、
図21に示すように、パケット2101、2102、2103、2104、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット2101、2102、2103、2104、・・・は、すべて、マルチキャスト用のパケットである。また、パケット2101、2102、2103、2104、・・・は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。親局1810は、AP1820-1に対して、パケット2101、2102、2103、2104、・・・をこの順序で送信する。
【0153】
AP1820-1は、パケット2101、2102、2103、2104、・・・をこの順序で受信する。次に、AP1820-1は、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4に対して、パケット2101、2102、2103、2104、・・・をこの順序で送信する。
AP1820-1は、パケット2101、2102、2103、2104、・・・をこの順序で受信する。AP1820-1は、パケット2101、2102、2103、2104、・・・をこの順序で受信すると、パケット2106、2107、2108、2109、・・・をこの順序で、マルチキャスト送信として、無線により出力する。ここで、パケット2101、2102、2103、2104、・・・は、それぞれ、パケット2106、2107、2108、2109と対応している。
【0154】
AP1820-2は、パケット2101、2102、2103、2104、・・・をこの順序で受信すると、パケット2111、2112、2113、2114、・・・をこの順序で、マルチキャスト送信として、無線により出力する。ここで、パケット2101、2102、2103、2104、・・・は、それぞれ、パケット2111、2112、2113、2114と対応している。
【0155】
AP1820-3は、パケット2101、2102、2103、2104、・・・をこの順序で受信すると、パケット2116、2117、2118、2119、・・・をこの順序で、マルチキャスト送信として、無線により出力する。ここで、パケット2101、2102、2103、2104、・・・は、それぞれ、パケット2116、2117、2118、2119と対応している。
【0156】
AP1820-4は、パケット2101、2102、2103、2104、・・・をこの順序で受信すると、パケット2121、2122、2123、2124、・・・をこの順序で、マルチキャスト送信として、無線により出力する。ここで、パケット2101、2102、2103、2104、・・・は、それぞれ、パケット2121、2122、2123、2124と対応している。
【0157】
このとき、AP1820-1、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4は、それぞれ、変調信号に対し、位相変更を行うことになることが特徴的な点となる。(ただし、AP1820-1、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4のいずれかが、位相変更を行わないとしてもよい。)
このようにすることで、マルチキャストの変調信号が届くセル範囲を広くすることができるとともに、位相変更を行うことで、変調信号の干渉により、受信が困難となる点の存在を少なくすることができるという利点を得ることができる。
【0158】
(2)2個のAPをマルチキャスト用に設定して送信する場合
2個のAP1820-1及びAP1820-2をマルチキャスト送信用に設定しデータを送信し、他の2個のAP1820-3及びAP1820-4をユニキャスト用に設定しデータを送信する場合において、送信されるデータの例について、
図22を用いて説明する。この場合、AP1820-1及びAP1820-2において、同一のデータが送信されるとする(位相変更前のマッピング後の変調信号が同一である)。また、AP1820-3及びAP1820-4において、同一のデータが送信されるとする(位相変更前のマッピング後の変調信号が同一である)。
【0159】
親局1810は、
図22に示すように、パケット2201、2202、2203、2204、2205、2206、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット2201、2203、2204及び2206は、マルチキャスト用のパケットである。また、パケット2202及び2205は、ユニキャスト用のパケットである。また、パケット2201、2203、2204及び2206は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。また、パケット2202及び2205は、ユニキャスト用の一つのデータから生成される。
【0160】
親局1810は、パケット2201、2202、2203、2204、2205、2206、・・・をこの順序で受信すると、パケット2201、2202、2203、2204、2205、2206、・・・をAP1820-1に対してこの順序で送信する。
AP1820-1は、パケット2201、2202、2203、2204、2205、2206、・・・を受信すると、マルチキャストのパケット2201、2203、2204、2206、・・・を、自身の符号化器202に対して出力し、マルチキャストのパケット2201、2203、2204、2206、・・・をAP1820-2に対して送信する。AP1820-1は、ユニキャストのパケット2202、2205、・・・を、AP1820-3及びAP1820-4に対して送信する。
【0161】
AP1820-1は、パケット2201、2203、2204及び2206を受信すると、パケット2211、2212、2213及び2214を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。ここで、パケット2201、2203、2204及び2206は、それぞれ、パケット2211、2212、2213及び2214に対応している。
AP1820-2は、パケット2201、2203、2204及び2206を受信すると、パケット2221、2222、2223及び2224を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。ここで、パケット2201、2203、2204及び2206は、それぞれ、パケット2221、2222、2223及び2224に対応している。
【0162】
AP1820-3は、パケット2202及び2205を受信すると、パケット2231及び2232を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。ここで、パケット2202及び2205は、それぞれ、パケット2231及び2232に対応している。
AP1820-4は、パケット2202及び2205を受信すると、パケット2241及び2242を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。ここで、パケット2202及び2205は、それぞれ、パケット2241及び2242に対応している。
【0163】
上記において、ユニキャスト送信により変調信号を送信する場合、AP1820-3は、及びAP1820-4において送信されるパケットは、同一のデータに基づくとしている。このとき、AP1820-3及びAP1820-4において、伝送パラメータは、同一である。AP1820-3及びAP1820-4は、異なる位相変更を行うとしてもよい。(ただし、AP1820-3及びAP1820-4のいずれかが、位相変更を行わないとしてもよい。)
このようにすることで、ユニキャストの変調信号が届くセル範囲を広くすることができるとともに、位相変更を行うことで、変調信号の干渉により、受信が困難となる点の存在を少なくすることができるという利点を得ることができる。
AP1820-1、AP1820-2は、それぞれ、変調信号に対し、位相変更を行うことになることが特徴的な点となる。(ただし、AP1820-1、AP1820-2のいずれかが、位相変更を行わないとしてもよい。)
(なお、位相変更の方法については、後で詳しく説明する。)
このようにすることで、マルチキャストの変調信号が届くセル範囲を広くすることができるとともに、位相変更を行うことで、変調信号の干渉により、受信が困難となる点の存在を少なくすることができるという利点を得ることができる。
【0164】
(3)2個のAPをマルチキャスト用に設定して送信する場合
2個のAP1820-1及びAP1820-2をマルチキャスト送信用に設定しデータを送信し、他の2個のAP1820-3及びAP1820-4をユニキャスト送信用に設定しデータを送信する場合において、送信されるデータの例について、
図23を用いて説明する。
図23の場合、AP1820-3及びAP1820-4において、異なるデータが送信されるとする。
【0165】
親局1810は、
図23に示すように、パケット2301、2302、2303、2304、2305、2306、2307、2308、2309、2310、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット2301、2303、2304及び2306は、マルチキャスト用のパケットである。また、パケット2302、2307及び2309は、AP1820-3により送信されるユニキャスト用のパケットである。パケット2305、2308及び2310は、AP1820-4により送信されるユニキャスト用のパケットである。
【0166】
ここで、パケット2301、2303、2304及び2306は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。また、パケット2302、2307及び2309は、ユニキャスト用の一つのデータから生成される。また、パケット2305、2308及び2310は、ユニキャスト用の別のデータから生成される。
親局1810は、パケット2301、2302、2303、2304、2305、2306、2307、2308、2309、2310、・・・をこの順序で受信すると、マルチキャスト用のパケット2301、2303、2304及び2306を、AP1820-1及びAP1820-2に対して送信する。
【0167】
AP1820-1は、パケット2301、2303、2304及び2306を受信すると、パケット2321、2322、2323及び2324を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。パケット2301、2303、2304及び2306は、それぞれ、パケット2321、2322、2323及び2324に対応している。
AP1820-2は、パケット2301、2303、2304及び2306を受信すると、パケット2325、2326、2327及び2328を無線により、マルチキャスト送信として、出力する。パケット2301、2303、2304及び2306は、それぞれ、パケット2325、2326、2327及び2328に対応している。
【0168】
親局1810は、パケット2301、2302、2303、2304、2305、2306、2307、2308、2309、2310、・・・をこの順序で受信すると、ユニキャスト用のパケット2302、2307、2329を、AP1820-3に対して送信する。
AP1820-3は、パケット2302、2307、2329を受信すると、パケット2331、2332、2333を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。パケット2302、2307、2329は、それぞれ、パケット2331、2332、2333に対応している。
【0169】
親局1810は、パケット2301、2302、2303、2304、2305、2306、2307、2308、2309、2310、・・・をこの順序で受信すると、1810は、ユニキャスト用のパケット2305、2308、2310を、AP1820-4に対して送信する。
AP1820-4は、パケット2305、2308、2310を受信すると、パケット2341、2342、2343を無線により、ユニキャスト送信として、出力する。パケット2305、2308、2310は、それぞれ、パケット2341、2342、2343に対応している。
【0170】
AP1820-1、AP1820-2は、それぞれ、変調信号に対し、位相変更を行うことになることが特徴的な点となる。(ただし、AP1820-1、AP1820-2のいずれかが、位相変更を行わないとしてもよい。)
このようにすることで、マルチキャストの変調信号が届くセル範囲を広くすることができるとともに、位相変更を行うことで、変調信号の干渉により、受信が困難となる点の存在を少なくすることができるという利点を得ることができる。
【0171】
また、AP1820-3、AP1820-4では、ユニキャスト通信を行うことができるという柔軟なシステムとなっている。
例えば、
図21の送信状態、
図22の送信状態、
図23の送信状態に、時間に応じて切り替える(例えば、端末の存在状況によって切り替える)とすることで、柔軟なシステムを実現することができるという利点がある。
【0172】
3.5 マスタAPがAPを新たに支配下とする場合の動作
無線通信システム1800において、マスタAPであるAP1820-1が新たにAPを支配下とする場合の動作について、
図24に示すフローチャートを用いて説明する。
ここでは、3台のAP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4がマスタAPであるAP1820-1の支配下にあるものとし、その後、新たなAPを追加する場合を想定する。この時点において、4台のAP1820-1、AP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4に対して、位相変更パターン(及び(APとしての)ID(identification))は、すでに設定済みであるとする。
【0173】
新たにAP1820-1の支配下に入ろうとするAPは、AP1820-1に対して、その支配下に入りたいという要望を通知する。AP1820-1は、新たなAPは、要望を受け取る(ステップS2401)。
AP1820-1は、新たなAPを支配下とするか否かを判断する(ステップS2402)。新たなAPを支配下とすると判断する場合(ステップS2402で「Yes」)、AP1820-1は、新たなAPにIDを付与する。このとき、IDと位相変更パターンとは、関連付けされている。新たなAPは、付与されたIDから、位相変更パターンを設定する(ステップS2403)。これにより、新たにAPを支配下とする場合の動作を終了する。
【0174】
新たなAPを支配下としないと判断する場合(ステップS2402で「No」)、AP1820-1は、新たなAPに対して、支配下としないことを通知する(ステップS2404)。これにより、新たにAPを支配下とする場合の動作を終了する。
なお、ステップS2403において、次のようにしてもよい。
マスタAPであるAP1820-1は、新たなAPが設定する位相変更パターンを示す情報を、新たなAPに送信する。新たなAPは、位相変更パターンを示す情報を受信し、受信した位相変更パターンを示す情報に基づいて、当該APにおける位相変更パターンを設定する。このとき、マスタAPであるAP1820-1は、新たなAPに対して、IDを付与してもよいし、IDを付与しなくてもよい。ここで、IDを付与しておくと、マスタAPであるAP1820-1が、新たに支配下に入ったAPに対して、ユニキャスト送信用のAP又はマルチキャスト送信用のAPの指定をする場合、「ID及びユニキャスト用又はマルチキャスト用」という情報を当該APに送信することにより、簡単にそのAPに対して、ID及びユニキャスト送信用又はマルチキャスト送信用の指定を行うことができるという利点がある。
【0175】
上記においては、3台のAP1820-2、AP1820-3及びAP1820-4がマスタAPであるAP1820-1の支配下にあるものとし、その後、新たなAPを追加する場合について、説明した。しかし、このような場合には、限定されない。
初期状態において、マスタAPであるAP1820-1の支配下にあるAPが存在しないとしてもよい。この場合に、上記に説明したように、APを1台ずつ、マスタAPであるAP1820-1の支配下に入れるとしてもよい。
【0176】
なお、上記のステップS2402における判断において、支配下とするAPの台数の制限により、マスタAPであるAP1820-1は、新たなAPを支配下とするか否かを判断してもよい。AP1820-1は、支配下とするAPの台数の最大値を記憶している。新たに支配下に入る1台のAPからの要望があるとき、現在、支配下となっているAPの台数に「1」を加算し、得られた値と最大値とを比較する。得られた値が最大値を超えない場合、又は、最大値に等しい場合、支配下に入ることを許可する。得られた値が最大値を超える場合、支配下に入ることを許可しない。
【0177】
なお、上記のステップS2402における判断において、新たなAPの存在する位置と、位相変更パターンとに応じて、AP1820-1は、新たなAPを支配下とするか否かを判断してもよい。
このとき、例えば、新たなAPの存在する位置と、既に、自身及び支配下となっているAPの位置とが、離れているとき、AP1820-1は、新たなAPが支配下となることを許可する。
【0178】
また、例えば、新たなAPの存在する位置と、既に、自身又は支配下となっているAPの位置とが近いとき、新たなAPに対して、割り当てるべき位相変更パターンがあれば、AP1820-1は、新たなAPが支配下となることを許可する。
また、例えば、新たなAPの存在する位置と、既に、自身又は支配下となっているAPの位置とが近いとき、新たなAPに対して、割り当てるべき位相変更パターンがなければ、AP1820-1は、新たなAPが支配下に入ることを許可しない。
【0179】
3.6 まとめ
本態様によると、Gbpsの大容量の伝送が実現できる。また、マルチキャストを実現する場合に、収容する端末数を増やすことができる。さらに、マルチキャストと同時にユニキャストの通信を実現することができ、システムに柔軟性を持たせることができる。
4.実施の形態3
本発明に係る別の実施の形態3としての無線通信システム2500について説明する。
【0180】
4.1 無線通信システム2500
無線通信システム2500は、
図25に示すように、親局2510、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3、AP2520-4、及び、端末2530-1、端末2530-2、・・・、端末2530-8から構成されている。
親局2510は、直接、又は、通信回線を介して間接的に、通信装置(図示していない)と接続されている。ここで、通信装置は、データを放送する放送装置、データを送信する配信システムやサーバーなどである。通信装置は、制御信号及びデータを送信する。制御信号は、ユニキャスト送信方法に関する設定又はマルチキャスト送信方法に関する設定、及び、重み付けの方法の設定を含む。さらに、通信装置は、複数の通信装置から構成されているとしてもよい。この場合、第1の通信装置は、制御信号を送信し、第2の通信装置は、データを送信してもよい。また、親局2510は、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4と(無線で接続してもよい。)有線により接続されている。(無線で接続してもよい。)
親局2510は、通信装置からの制御信号及びデータを受信する。親局2510は、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4に対して、それぞれ、制御信号及びデータを送信する。AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4は、親局2510から得たデータを無線により送信する。
【0181】
端末2530-1、端末2530-2、・・・、端末2530-8は、それぞれ、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域、一例として、60GHzの周波数帯域を用いる無線通信機能を備える携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)である。
端末2530-1は、例えば、端末2530-1がAP2520-1に近接する位置に存在する場合、AP2520-1から無線によりデータを受信する。端末2530-2、・・・、端末2530-8も、それぞれ、端末2530-1と同様に、近接するAPから無線によりデータを受信する。
【0182】
また、端末2530-1は、データを無線により送信する。端末2530-1がAP2520-1に近接する位置に存在する場合、AP2520-1は、端末2530-1からデータを無線により受信する。AP2520-1は、受信したデータを親局2510に対して送信する。
端末2530-2、端末2530-3、・・・、端末2530-8も、端末2530-1と同様に、データを無線により送信する。各端末に近接する位置に存在するAPは、当該端末からデータを無線により受信する。当該APは、端末から受信したデータを親局2510に対して送信する。
【0183】
親局2510は、各端末から、各APを介して、データを受信する。親局2510は、受信したデータを通信装置に対して出力する。
親局2510からAP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4に対して送信される制御信号は、各APにおけるユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、各APにおける重み付けの方法の設定を含む。
【0184】
4.2 AP2520
AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4は、例えば、同一の構成(同一の機能)を有している。ここでは、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4を代表して、AP2520として、説明する。
【0185】
AP2520は、
図26に示すように、符号化器202、インターリーバ204、マッピング部206、重み付け部2601、無線部210、アンテナ212、アンテナ215及び受信装置217から構成されている。
AP2520は、親局2510から制御信号214を受け取る。制御信号214は、ユニキャスト送信方法に関する設定又はマルチキャスト送信方法に関する設定、及び、重み付けの方法の設定を含む。
【0186】
AP2520は、親局2510から受け取った制御信号214に基づいて、ユニキャスト送信方法に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定を行う。また、AP2520は、制御信号214に基づいて、重み付けの方法の設定を行う。なお、マルチキャスト送信と設定された場合に、他のAPと同一の周波数(周波数帯)を使用するように、設定される。
【0187】
AP2520は、ユニキャスト送信と設定した場合、受信装置217を動作させる。また、AP2520は、マルチキャスト送信と設定した場合、受信装置217の動作を停止させてもよい。
AP2520は、ユニキャスト送信の場合とマルチキャスト送信の場合とで、同一のチャネル(または、同一の周波数(周波数帯))を使用して、無線による送受信を行う。ここで、AP2520は、一つの無線キャリアをいくつかのタイムスロットに分割し、各タイムスロットを通信のチャネルとして使用してもよい。また、AP2520は、60GHzの周波数帯域において、複数の異なる周波数を用い、それぞれの周波数を通信のチャネルとして使用してもよい。
【0188】
(1)符号化器202
符号化器202は、親局2510からデータ201を受け取る。また、符号化器202は、AP2520が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、符号化方式の指定、誤り訂正方式の指定、符号化率、ブロック長等の情報を含む。符号化器202は、制御信号213により指定された方式を用いて、データ201に対して、例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号等の誤り訂正符号化を行う。符号化器202は、符号化後のデータ203を出力する。
【0189】
(2)インターリーバ204
インターリーバ204は、符号化器202から、符号化後のデータ203を受け取る。また、インターリーバ204は、AP2520が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、インタリーブの方法の指定を含む。インターリーバ204は、符号化後のデータ203に対して、制御信号213により指定されるインタリーブの方法により、インタリーブ、つまり、順番の並び替えを行う。インターリーバ204は、インタリーブ後のデータ205を出力する。
【0190】
(3)マッピング部206
マッピング部206は、インターリーバ204から、インタリーブ後のデータ205を受け取る。また、マッピング部206は、AP2520が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、変調方式の指定を含む。マッピング部206は、制御信号213に含まれる変調方式の指定に従って、インタリーブ後のデータ205に対して、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、変調後の信号207を生成する。マッピング部206は、変調後の信号207を出力する。なお、変調方式として、他の変調方式を適用してもよい。
【0191】
なお、マッピング部206は、重み付けの処理を含むマッピングを行ってもよい。
(4)重み付け部2601
重み付け部2601は、マッピング部206から、変調後の信号207を受け取る。また、重み付け部2601は、制御信号214を受け取る。制御信号214は、重み付けの方法の設定を含む。重み付け部2601は、制御信号214に含まれる重み付けの方法の設定に従って、変調後の信号207に対して、重み付けを施し、重み付け後の信号2602を生成する。重み付け部2601は、重み付け後の信号2602を出力する。
【0192】
(5)無線部210及びアンテナ212
無線部210は、重み付け部2601から、重み付け後のデータ2602を受け取る。また、無線部210は、AP2520が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、周波数変換、増幅等の指定を含む。無線部210は、重み付け後の信号2602に対して、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号211を生成する。無線部210は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、生成した送信信号211をアンテナ212に対して出力する。
【0193】
アンテナ212は、送信信号211を電波として出力する。
(6)アンテナ215及び受信装置217
アンテナ215は、各端末により電波として出力された信号216を受信する。
受信装置217は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、アンテナ215から信号216を受け取り、増幅、周波数変換等の処理を施し、データ218を生成する。受信装置217は、データ218を親局2510に対して出力する。
【0194】
なお、アンテナ212とアンテナ215とは、同一体であってもよい。便宜上、別々の表記をしている。
4.3 親局2510
親局2510は、
図27に示すように、送信データ振り分け部302、受信データ振り分け部305及び指示部308から構成されている。
【0195】
(1)指示部308
指示部308は、通信装置、並びに、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4に接続されている。
指示部308は、制御信号307を受け取る。制御信号307は、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、重み付けの方法の設定を含む。通信装置は、一例として、PCを含み、PCの利用者が制御信号をPCにより入力する。
【0196】
また、制御信号307は、AP毎に個別に設定されるとしてもよいし、すべてのAPについて、同一の制御信号307が設定されるとしてもよい。
すべてのAPに対して、マルチキャスト送信と設定をしてもよいし、すべてのAPに対して、ユニキャスト送信と設定をしてもよい。一部のAPについて、マルチキャスト送信と設定をし、他のAPについて、ユニキャスト送信と設定をしてもよい。このように、APについて、マルチキャスト送信に関する設定とユニキャストに関する設定が混在してもよい。
【0197】
マルチキャストに設定された複数のAPについては、重み付け前の変調信号は、同一の信号となる。言い換えると、同一のデータが送信される。
また、指示部308は、各APに対して、重み付けの方法を指示する。
ユニキャストに設定された複数のAPについては、重み付け前の変調信号は、同一の信号であってもよいし、異なる信号であってもよい。言い換えると、同一のデータが送信される場合もあるし、異なるデータが送信される場合もある。
【0198】
指示部308は、受け取った制御信号307を、送信データ振り分け部302、受信データ振り分け部305、並びに、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4に対して、出力する。
(2)送信データ振り分け部302
送信データ振り分け部302は、通信装置、指示部308、並びに、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4に接続されている。
【0199】
送信データ振り分け部302は、指示部308から制御信号310を受け取る。送信データ振り分け部302は、受け取った制御信号310をAP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4に対して出力する。
また、送信データ振り分け部302は、通信装置からデータ301を受け取る。送信データ振り分け部302は、受け取ったデータをAP2520-1向け、AP2520-2向け、AP2520-3向け及びAP2520-4向けに振り分ける。送信データ振り分け部302は、振り分けたデータを、それぞれ、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4に対して出力する。
【0200】
(3)受信データ振り分け部305
受信データ振り分け部305は、通信装置、指示部308、並びに、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4に接続されている。
また、受信データ振り分け部305は、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4から、それぞれ、データ304-1、304-2、304-3及び304-4を受信する。受信データ振り分け部305は、受信したデータ304-1、304-2、304-3及び304-4を通信装置に対して出力する。
【0201】
4.4 送信されるデータの例
親局2510、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4により、送信されるデータの例について、以下に説明する。
(1)すべてのAPをマルチキャスト用の送信に設定し、データを送信する場合
すべてのAP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4をマルチキャスト用の送信に設定し、データを送信する場合において、送信されるデータの例について、
図28及び
図29を用いて説明する。
【0202】
送信データ振り分け部302は、
図28に示すように、パケット2811、2812、2813、2814、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット2811、2812、2813、2814、・・・は、すべて、マルチキャスト用のパケットである。また、パケット2811、2812、2813、2814、・・・は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。
【0203】
送信データ振り分け部302は、パケット2811、2812、2813、2814、・・・をこの順序で、それぞれ、AP2520-1、AP2520-2、AP2520-3及びAP2520-4に対して出力する。
(a)各APの処理1
図25、
図28に示すように、AP2520-1では、ウェイトとして、A1(0)、A1(1)、A1(2)、A1(3)、・・・を用意しておく。同様に、AP2520-2では、ウェイトとして、A2(0)、A2(1)、A2(2)、A2(3)、・・・を用意しておき、AP2520-3では、ウェイトとして、A3(0)、A3(1)、A3(2)、A3(3)、・・・を用意しておき、AP2520-4では、ウェイトとして、A4(0)、A4(1)、A4(2)、A4(3)、・・・を用意しておく。
【0204】
(b)各APの処理2
次に、各APの処理について、
図29を用いて説明する。
(AP2520-1の処理)
AP2520-1のマッピング部206は、
図29に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数(実数でもよい)2911「c(0)」、2912「c(1)」、2913「c(2)」、2914「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット2811に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット2812に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット2813に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット2814に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0205】
マッピング後のベースバンド信号複素数2911「c(0)」を生成すると、AP2520-1の重み付け部2601は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(0)×A1(0)(2931)、
c(0)×A1(1)(2932)、
c(0)×A1(2)(2933)、及び、
c(0)×A1(3)(2934)を算出する。
【0206】
AP2520-1は、c(0)×A1(0)(2931)、c(0)×A1(1)(2932)、c(0)×A1(2)(2933)、及び、c(0)×A1(3)(2934)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数2912「c(1)」を生成すると、AP2520-1の重み付け部2601は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(1)×A1(0)(2935)、
c(1)×A1(1)(2936)、
c(1)×A1(2)(2937)、及び、
c(1)×A1(3)(2938)を算出する。
【0207】
AP2520-1は、c(1)×A1(0)(2935)、c(1)×A1(1)(2936)、c(1)×A1(2)(2937)、及び、c(1)×A1(3)(2938)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数2913「c(2)」、2914「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP2520-1は、上記と同様に動作する。
【0208】
(AP2520-2の処理)
AP2520-2のマッピング部206は、
図29に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数2911「c(0)」、2912「c(1)」、2913「c(2)」、2914「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット2811に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット2812に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット2813に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット2814に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0209】
マッピング後のベースバンド信号複素数2911「c(0)」を生成すると、AP2520-2の重み付け部2601は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(0)×A2(0)(2941)、
c(0)×A2(1)(2942)、
c(0)×A2(2)(2943)、及び、
c(0)×A2(3)(2944)を算出する。
【0210】
AP2520-2は、c(0)×A2(0)(2941)、c(0)×A2(1)(2942)、c(0)×A2(2)(2943)、及び、c(0)×A2(3)(2944)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数2912「c(1)」を生成すると、AP2520-2の重み付け部2601は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(1)×A2(0)(2945)、
c(1)×A2(1)(2946)、
c(1)×A2(2)(2947)、及び、
c(1)×A2(3)(2948)を算出する。
【0211】
AP2520-2は、c(1)×A2(0)(2945)、c(1)×A2(1)(2946)、c(1)×A2(2)(2947)、及び、c(1)×A2(3)(2948)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数2913「c(2)」、2914「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP2520-2は、上記と同様に動作する。
【0212】
(AP2520-3及びAP2520-4の処理)
AP2520-3及びAP2520-4も、上記と同様に動作する。
なお、AP2520-3の重み付け部2601は、複素数A3(0)、複素数A3(1)、複素数A3(2)及び複素数A3(3)を用いて、重み付けを行う。
また、AP2520-4の重み付け部2601は、複素数A4(0)、複素数A4(1)、複素数A4(2)及び複素数A4(3)を用いて、重み付けを行う。
以上のように、各パケットは、異なる重み付けを行い、複数回送信するという特徴を持つことになるとともに、複数のAPから、各パケットは、複数回送信するという特徴も併せ持つ。
【0213】
複数のAPを用いて送信することにより、セルエリアを広くすることができるという効果を持つとともに、各パケットを異なる重み付けで、複数回送信することで、異なる指向性で、複数回パケットが送信されることになるので、セルエリア内で、より均一な受信品質を保つことが可能であるという効果をもつことになる。
重み付けの係数A1(i)、A2(i)、A3(i)、A4(i)については、例えば、以下のような性質をもつことが考えられる。
・パケットAの変調信号をN回(Nは2以上の整数)送信するとする。このとき、第u回目のパケットAの変調信号を送信するのに使用する重み付け係数をA1(u)。第v回目のパケットAの変調信号を送信するのに使用する重み付け係数をA1(v)とする。なお、u,vは1以上N以下の整数とし、u≠vが成立するものとする。このとき、u,vは1以上N以下の整数とし、u≠vとし、これを満たす、すべてのu、すべてのvにおいて、A1(u)≠A1(v)が成立する。
・同様に、パケットAの変調信号をN回(Nは2以上の整数)送信するとする。このとき、第u回目のパケットAの変調信号を送信するのに使用する重み付け係数をAk(u)。第v回目のパケットAの変調信号を送信するのに使用する重み付け係数をAk(v)とする。なお、u,vは1以上N以下の整数とし、u≠vが成立するものとする。このとき、u,vは1以上N以下の整数とし、u≠vとし、これを満たす、すべてのu、すべてのvにおいて、Ak(u)≠Ak(v)が成立する。(kは1以上の整数とする。)
・また、重み付け係数Ak(i)が周期をもってもよい。周期をM(Mは2以上の整数)とすると、以下が成立する。
【0214】
Ak(i)=Ak(i mod M)
i mod M は、iをMで割ったときの余りとする。
(2)AP2520-1及びAP2520-2をマルチキャスト用の送信に設定し、AP2520-3及びAP2520-4をユニキャスト用の送信に設定し、データを送信する場合
AP2520-1及びAP2520-2をマルチキャスト用の送信に設定し、AP2520-3及びAP2520-4をユニキャスト用の送信に設定し、データを送信する場合において、送信されるデータの例について、
図30及び
図31を用いて説明する。この場合、AP2520-1及びAP2520-2において、同一のデータが送信されるとする(位相変更前のマッピング後の変調信号が同一である)。また、AP2520-3及びAP2520-4において、同一のデータが送信されるとする(マッピング後の変調信号が同一である)。
【0215】
送信データ振り分け部302は、
図30に示すように、パケット3011、3012、3013、3014、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット3011、3013、3014、3016、・・・は、マルチキャスト用のパケットである。パケット3011、3013、3014、3016、・・・は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。また、パケット3012、3015、・・・は、ユニキャスト用のパケットである。パケット3012、3015、・・・は、ユニキャスト用の一つのデータから生成される。
【0216】
送信データ振り分け部302は、マルチキャスト用のパケット3011、3013、3014、3016、・・・をこの順序で、それぞれ、AP2520-1及びAP2520-2に対して出力する。また、送信データ振り分け部302は、ユニキャスト用のパケット3012、3015、・・・をこの順序で、それぞれ、AP2520-3及びAP2520-4に対して出力する。
【0217】
(a)各APの処理1
図25、
図30に示すように、AP2520-1では、ウェイトとして、A1(0)、A1(1)、A1(2)、A1(3)、・・・を用意しておく。同様に、AP2520-2では、ウェイトとして、A2(0)、A2(1)、A2(2)、A2(3)、・・・を用意しておく。
【0218】
(b)各APの処理2
次に、各APの処理の別の例について、
図31を用いて説明する。
(AP2520-1の処理)
AP2520-1のマッピング部206は、
図31に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数3111「c(0)」、3112「c(1)」、3113「c(2)」、3114「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット3011に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット3013に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット3014に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット3016に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0219】
マッピング後のベースバンド信号複素数3111「c(0)」を生成すると、AP2520-1の重み付け部2601は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(0)×A1(0)(3131)、
c(0)×A1(1)(3132)、
c(0)×A1(2)(3133)、及び、
c(0)×A1(3)(3134)を算出する。
【0220】
AP2520-1は、c(0)×A1(0)(3131)、c(0)×A1(1)(3132)、c(0)×A1(2)(3133)、及び、c(0)×A1(3)(3134)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3112「c(1)」を生成すると、AP2520-1の重み付け部2601は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(1)×A1(0)(3135)、
c(1)×A1(1)(3136)、
c(1)×A1(2)(3137)、及び、
c(1)×A1(3)(3138)を算出する。
【0221】
AP2520-1は、c(1)×A1(0)(3135)、c(1)×A1(1)(3136)、c(1)×A1(2)(3137)、及び、c(1)×A1(3)(3138)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3113「c(2)」、3114「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP2520-1は、上記と同様に動作する。
【0222】
(AP2520-2の処理)
AP2520-2のマッピング部206は、
図31に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数3111「c(0)」、3112「c(1)」、3113「c(2)」、3114「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット3011に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット3013に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット3014に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット3016に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0223】
マッピング後のベースバンド信号複素数3111「c(0)」を生成すると、AP2520-2の重み付け部2601は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(0)×A2(0)(3141)、
c(0)×A2(1)(3142)、
c(0)×A2(2)(3143)、及び、
c(0)×A2(3)(3144)を算出する。
【0224】
AP2520-2は、c(0)×A2(0)(3141)、c(0)×A2(1)(3142)、c(0)×A2(2)(3143)、及び、c(0)×A2(3)(3144)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3112「c(1)」を生成すると、AP2520-2の重み付け部2601は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(1)×A2(0)(3145)、
c(1)×A2(1)(3146)、
c(1)×A2(2)(3147)、及び、
c(1)×A2(3)(3148)を算出する。
【0225】
AP2520-2は、c(1)×A2(0)(3145)、c(1)×A2(1)(3146)、c(1)×A2(2)(3147)、及び、c(1)×A2(3)(3148)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3113「c(2)」、3114「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP2520-2は、上記と同様に動作する。
【0226】
(AP2520-3の処理)
AP2520-3のマッピング部206は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」、「d(1)」、「d(2)」、・・・を生成するものとする。
なお、d(0)は、パケット3051に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、d(1)は、パケット3052に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、d(2)は、パケット3053に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0227】
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」を生成すると、
図31に示すように、AP2520-3は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」(3151)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(1)」を生成すると、
図31に示すように、AP2520-3は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(1)」(3152)を無線により出力する。
【0228】
以下、同様に、AP2520-3は、
図31に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(2)」、「d(3)」、「d(4)」、・・・、「d(7)」、・・・を生成し、生成した「d(2)」、「d(3)」、「d(4)」、・・・、「d(7)」、・・・を無線により出力する。
(AP2520-4の処理)
AP2520-4のマッピング部206は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」、「d(1)」、「d(2)」、・・・を生成するものとする。
なお、d(0)は、パケット3061に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、d(1)は、パケット3062に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、d(2)は、パケット3063に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0229】
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」を生成すると、
図31に示すように、AP2520-4は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」(3161)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(1)」を生成すると、
図31に示すように、AP2520-4は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(1)」(3162)を無線により出力する。
【0230】
以下、同様に、AP2520-4は、
図31に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(2)」、「d(3)」、「d(4)」、・・・、「d(7)」、・・・を生成し、生成した「d(2)」、「d(3)」、「d(4)」、・・・、「d(7)」、・・・を無線により出力する。
以上のように、マルチキャスト用の各パケットは、異なる重み付けを行い、複数回送信するという特徴を持つことになるとともに、複数のAPから、マルチキャスト用の各パケットは、複数回送信するという特徴も併せ持つ。
【0231】
複数のAPを用いて送信することにより、セルエリアを広くすることができるという効果を持つとともに、マルチキャスト用の各パケットを異なる重み付けで、複数回送信することで、異なる指向性で、複数回パケットが送信されることになるので、セルエリア内で、より均一な受信品質を保つことが可能であるという効果をもつことになる。
また、AP2520-3、AP2520-4では、時間や周波数に対し、位相変更を行ったり、重み付けを変化させたりしてもよい。
これにより、ユニキャスト用のパケットの受信品質が向上するという効果を得ることができる。
【0232】
(3)AP2520-1及びAP2520-2をマルチキャスト用に設定し、AP2520-3及びAP2520-4をユニキャスト用に設定して送信する場合
AP2520-1及びAP2520-2をマルチキャスト送信用に設定し、AP2520-3及びAP2520-4をユニキャスト送信用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例について、
図32及び
図33を用いて説明する。この場合、AP2520-3及びAP2520-4において、異なるデータが送信される。
【0233】
送信データ振り分け部302は、
図32に示すように、パケット3211、3212、3213、3214、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット3211、3213、3214、3216、・・・は、マルチキャスト用のパケットである。パケット3211、3213、3214、3216、・・・は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。また、パケット3212、・・・は、第1のユニキャスト用のパケットである。パケット3212、・・・は、ユニキャスト用の第1のデータから生成される。また、パケット3215、・・・は、第2のユニキャスト用のパケットである。パケット3215、・・・は、ユニキャスト用の第2のデータから生成される。
【0234】
送信データ振り分け部302は、マルチキャスト用のパケット3211、3213、3214、3216、・・・をこの順序で、それぞれ、AP2520-1及びAP2520-2に対して出力する。また、送信データ振り分け部302は、ユニキャスト用のパケット3212、・・・をこの順序で、AP2520-3に対して出力する。また、送信データ振り分け部302は、ユニキャスト用のパケット3215、・・・をこの順序で、AP2520-4に対して出力する。
【0235】
(a)各APの処理1
図25、
図32に示すように、AP2520-1では、ウェイトとして、A1(0)、A1(1)、A1(2)、A1(3)、・・・を用意しておく。同様に、AP2520-2では、ウェイトとして、A2(0)、A2(1)、A2(2)、A2(3)、・・・を用意しておく。
【0236】
(b)各APの処理2
次に、各APの処理の別の例について、
図33を用いて説明する。
(AP2520-1の処理)
AP2520-1のマッピング部206は、
図33に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数3311「c(0)」、3312「c(1)」、3313「c(2)」、3314「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット3211に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット3213に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット3214に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット3216に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0237】
マッピング後のベースバンド信号複素数3311「c(0)」を生成すると、AP2520-1の重み付け部2601は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(0)×A1(0)(3331)、
c(0)×A1(1)(3332)、
c(0)×A1(2)(3333)、及び、
c(0)×A1(3)(3334)を算出する。
【0238】
AP2520-1は、c(0)×A1(0)(3331)、c(0)×A1(1)(3332)、c(0)×A1(2)(3333)、及び、c(0)×A1(3)(3334)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3312「c(1)」を生成すると、AP2520-1の重み付け部2601は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(1)×A1(0)(3335)、
c(1)×A1(1)(3336)、
c(1)×A1(2)(3337)、及び、
c(1)×A1(3)(3338)を算出する。
【0239】
AP2520-1は、c(1)×A1(0)(3335)、c(1)×A1(1)(3336)、c(1)×A1(2)(3337)、及び、c(1)×A1(3)(3338)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3313「c(2)」、3314「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP2520-1は、上記と同様に動作する。
【0240】
(AP2520-2の処理)
AP2520-2のマッピング部206は、
図33に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数3311「c(0)」、3312「c(1)」、3313「c(2)」、3314「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット3211に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット3213に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット3214に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット3216に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0241】
マッピング後のベースバンド信号複素数3311「c(0)」を生成すると、AP2520-2の重み付け部2601は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(0)×A2(0)(3341)、
c(0)×A2(1)(3342)、
c(0)×A2(2)(3343)、及び、
c(0)×A2(3)(3344)を算出する。
【0242】
AP2520-2は、c(0)×A2(0)(3341)、c(0)×A2(1)(3342)、c(0)×A2(2)(3343)、及び、c(0)×A2(3)(3344)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3312「c(1)」を生成すると、AP2520-2の重み付け部2601は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(1)×A2(0)(3345)、
c(1)×A2(1)(3346)、
c(1)×A2(2)(3347)、及び、
c(1)×A2(3)(3348)を算出する。
【0243】
AP2520-2は、c(1)×A2(0)(3345)、c(1)×A2(1)(3346)、c(1)×A2(2)(3347)、及び、c(1)×A2(3)(3348)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3313「c(2)」、3314「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP2520-2は、上記と同様に動作する。
【0244】
(AP2520-3の処理)
AP2520-3のマッピング部206は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」、「d(1)」、「d(2)」、・・・を生成するものとする。
なお、d(0)は、パケット3251に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、d(1)は、パケット3252に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、d(2)は、パケット3253に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0245】
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」を生成すると、
図33に示すように、AP2520-3は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」(3351)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(1)」を生成すると、
図33に示すように、AP2520-3は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(1)」(3352)を無線により出力する。
【0246】
以下、同様に、AP2520-3は、
図33に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(2)」、「d(3)」、「d(4)」、・・・、「d(7)」、・・・を生成し、生成した「d(2)」、「d(3)」、「d(4)」、・・・、「d(7)」、・・・を無線により出力する。
(AP2520-4の処理)
AP2520-4のマッピング部206は、マッピング後のベースバンド信号複素数「e(0)」、「e(1)」、「e(2)」、・・・を生成するものとする。
なお、e(0)は、パケット3261に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、e(1)は、パケット3262に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、e(2)は、パケット3263に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0247】
マッピング後のベースバンド信号複素数「e(0)」を生成すると、
図33に示すように、AP2520-4は、マッピング後のベースバンド信号複素数「e(0)」(3361)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数「e(1)」を生成すると、
図33に示すように、AP2520-4は、マッピング後のベースバンド信号複素数「e(1)」(3362)を無線により出力する。
【0248】
以下、同様に、AP2520-4は、
図33に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数「e(2)」、「e(3)」、「e(4)」、・・・、「e(7)」、・・・を生成し、生成した「e(2)」、「e(3)」、「e(4)」、・・・、「e(7)」、・・・を無線により出力する。
以上のように、マルチキャスト用の各パケットは、異なる重み付けを行い、複数回送信するという特徴を持つことになるとともに、複数のAPから、マルチキャスト用の各パケットは、複数回送信するという特徴も併せ持つ。
【0249】
複数のAPを用いて送信することにより、セルエリアを広くすることができるという効果を持つとともに、マルチキャスト用の各パケットを異なる重み付けで、複数回送信することで、異なる指向性で、複数回パケットが送信されることになるので、セルエリア内で、より均一な受信品質を保つことが可能であるという効果をもつことになる。
また、AP2520-3、AP2520-4では、ユニキャストのパケットを伝送するという柔軟性をもつことになる。
例えば、
図28の送信状態、
図30の送信状態、
図32の送信状態に、時間に応じて切り替える(例えば、端末の存在状況によって切り替える)とすることで、柔軟なシステムを実現することができるという利点もある。
4.5 まとめ
本態様によると、Gbpsの大容量の伝送が実現できる。また、マルチキャストを実現する場合に、収容する端末数を増やすことができる。さらに、マルチキャストと同時にユニキャストの通信を実現することができ、システムに柔軟性を持たせることができる。
【0250】
5.実施の形態4
本発明に係る別の実施の形態4としての無線通信システム3400について説明する。
5.1 無線通信システム3400
無線通信システム3400は、
図34に示すように、親局3410、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3、AP3420-4、及び、端末3430-1、端末3430-2、・・・、端末3430-8から構成されている。
【0251】
親局3410は、直接、又は、通信回線を介して間接的に、通信装置(図示していない)と接続されている。ここで、通信装置は、一例として、データを放送する放送装置、データを送信する配信システムやサーバーなどである。通信装置は、制御信号及びデータを送信する。制御信号は、ユニキャスト送信方法に関する設定又はマルチキャスト送信方法に関する設定、及び、重み付けの方法の設定を含む。さらに、通信装置は、複数の通信装置から構成されているとしてもよい。この場合、第1の通信装置は、制御信号を送信し、第2の通信装置は、データを送信してもよい。親局3410は、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4と有線により接続されている(無線で接続してもよい。)。さらに、AP3420-1は、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4と有線により接続されている(無線で接続してもよい。)。
【0252】
親局3410は、通信装置からの制御信号及びデータを受信する。親局3410は、AP3420-1に対して、制御信号を送信する。また、親局3410は、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に対して、それぞれ、データを送信する。また、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4は、親局3410から受信したデータを無線により送信する。
【0253】
端末3430-1、端末3430-2、・・・、端末3430-8は、それぞれ、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域、一例として、60GHzの周波数帯域を用いる無線通信機能を備える携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)である。端末3430-1は、例えば、端末3430-1がAP3420-1に近接する位置に存在する場合、AP3420-1から無線によりデータを受信する。端末3430-2、・・・、端末3430-8も、それぞれ、端末3430-1と同様に、近接するAPから無線によりデータを受信する。
【0254】
また、端末3430-1は、データを無線により送信する。端末3430-1がAP3420-1に近接する位置に存在する場合、AP3420-1は、端末3430-1からデータを無線により受信する。AP3420-1は、受信したデータを親局3410に対して送信する。
端末3430-2、端末3430-3、・・・、端末3430-8も、端末3430-1と同様に、データを無線により送信する。各端末に近接する位置に存在するAPは、当該端末からデータを無線により受信する。当該APは、端末から受信したデータを親局3410に対して送信する。
【0255】
親局3410は、各端末から、各APを介して、データを受信する。親局3410は、受信したデータを通信装置に対して出力する。
親局3410からAP3420-1に対して送信される制御信号は、各APにおけるユニキャストの設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、各APにおける重み付けの方法の設定を含む。親局3410は、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に対して、ユニキャスト送信に関する設定及びマルチキャスト送信に関する設定を行わない。また、親局3410は、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に対して、各APにおける重み付けの方法の設定を行わない。
【0256】
AP3420-1は、AP3420-2、AP3420-2及びAP3420-3に対して、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定を行う。また、AP3420-1は、AP3420-2、AP3420-2及びAP3420-3に対して、重み付けの方法の設定を行う。
AP3420-1をマスタAPと呼ぶ。また、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4をマスタでないAPと呼ぶ。
【0257】
5.2 マスタAPとしてのAP3420-1
マスタAPであるAP3420-1は、
図35に示すように、符号化器202、インターリーバ204、マッピング部206、重み付け部3511、無線部210、アンテナ212、アンテナ215、受信装置217及び指示部3502から構成されている。
AP3420-1は、親局3410から制御信号3501を受け取る。制御信号3501は、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、重み付けの方法の設定を含む。
【0258】
AP3420-1は、親局3410から受け取った制御信号3501に基づいて、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定を行う。また、AP3420-1は、制御信号3501に基づいて、重み付けの方法の設定を行う。なお、マルチキャスト送信の設定がされた場合に、他のAPと同一の周波数(周波数帯)を使用するように、設定される。
【0259】
AP3420-1は、ユニキャスト送信の設定を行う場合、受信装置217を動作させる。また、AP3420-1は、マルチキャスト送信の設定を行う場合、受信装置217の動作を停止させてもよい。
AP3420-1は、ユニキャスト送信の場合とマルチキャスト送信の場合とで、同一のチャネルを使用して、無線による送受信を行う。ここで、AP3420-1は、一つの無線キャリアをいくつかのタイムスロットに分割し、各タイムスロットを通信のチャネルとして使用してもよい。また、AP3420-1は、60GHzの周波数帯域において、複数の異なる周波数を用い、それぞれの周波数を通信のチャネルとして使用してもよい。
【0260】
(1)符号化器202
符号化器202は、親局3410からデータ201を受け取る。また、符号化器202は、AP3420-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、符号化方式の指定、誤り訂正方式の指定、符号化率、ブロック長等の情報を含む。符号化器202は、制御信号213により指定された方式を用いて、データ201に対して、例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号等の誤り訂正符号化を行う。符号化器202は、符号化後のデータ203を出力する。
【0261】
(2)インターリーバ204
インターリーバ204は、符号化器202から、符号化後のデータ203を受け取る。また、インターリーバ204は、AP3420-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、インタリーブの方法の指定を含む。インターリーバ204は、符号化後のデータ203に対して、制御信号213により指定されるインタリーブの方法により、インタリーブ、つまり、順番の並び替えを行う。インターリーバ204は、インタリーブ後のデータ205を出力する。
【0262】
(3)マッピング部206
マッピング部206は、インターリーバ204から、インタリーブ後のデータ205を受け取る。また、マッピング部206は、AP3420-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、変調方式の指定を含む。マッピング部206は、制御信号213に含まれる変調方式の指定に従って、インタリーブ後のデータ205に対して、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、変調後の信号207を生成する。マッピング部206は、変調後の信号207を出力する。なお、変調方式は、他の変調方式であってもよい。
【0263】
なお、マッピング部206は、重み付けの処理を含むマッピングを行ってもよい。
(4)重み付け部3511
重み付け部3511は、マッピング部206から、変調後の信号207を受け取る。また、重み付け部3511は、制御信号3503_0を受け取る。制御信号3503_0は、重み付けの方法の設定を含む。重み付け部3511は、制御信号3503_0に含まれる重み付けの方法の設定に従って、変調後の信号207に対して、重み付けを施し、重み付け後の信号3512を生成する。重み付け部3511は、重み付け後の信号3512を出力する。
【0264】
(5)無線部210及びアンテナ212
無線部210は、重み付け部3511から、重み付け後の信号3512を受け取る。また、無線部210は、AP3420-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、周波数変換、増幅等の指定を含む。無線部210は、重み付け後の信号3512に対して、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号211を生成する。無線部210は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、生成した送信信号211をアンテナ212に対して出力する。
【0265】
アンテナ212は、送信信号211を電波として出力する。
(6)アンテナ215及び受信装置217
アンテナ215は、各端末により電波として出力された信号216を受信する。
受信装置217は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、アンテナ215から信号216を受け取り、増幅、周波数変換等の処理を施し、データ218を生成する。受信装置217は、データ218を親局3410に対して出力する。
【0266】
なお、アンテナ212とアンテナ215とは、同一体であってもよい。便宜上、別々の表記をしている。
(7)指示部3502
指示部3502は、親局3410に接続されている。
指示部3502は、親局3410から制御信号3501を受け取る。制御信号3501は、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、重み付けの方法の設定を含む。
【0267】
また、制御信号3501は、AP毎に個別に設定されるとしてもよいし、すべてのAPについて、同一の制御信号3501が設定されるとしてもよい。
指示部3502は、AP3420-1を含むすべてのAPに対して、制御信号3503_0、制御信号3503_1、・・・、制御信号3503_Nにより、マルチキャストの設定、又は、ユニキャストの設定をする。
【0268】
ここで、指示部3502は、すべてのAPに対して、マルチキャスト送信と設定をしてもよいし、すべてのAPに対して、ユニキャスト送信と設定をしてもよい。一部のAPについて、マルチキャスト送信と設定をし、他のAPについて、ユニキャスト送信と設定をしてもよい。このように、APについて、マルチキャスト送信と設定とユニキャスト送信と設定が混在してもよい。
【0269】
マルチキャストに設定された複数のAPについては、重み付け前の変調信号は、同一の信号となる。言い換えると、同一のデータが送信される。
また、指示部3502は、制御信号3503_0、制御信号3503_1、・・・、制御信号3503_Nにより、各APに対して、重み付けの方法を指示する。
ユニキャスト送信に設定された複数のAPについては、重み付け前の変調信号は、同一の信号であってもよいし、異なる信号であってもよい。言い換えると、同一のデータが送信される場合もあるし、異なるデータが送信される場合もある。
【0270】
このように、指示部3502は、受け取った制御信号3501から、各AP向けの制御信号3503_0、制御信号3503_1、・・・、制御信号3503_Nを生成する。各制御信号は、マルチキャスト送信に関する設定又はユニキャスト送信に関する設定及び重み付けの方法の設定を含む。指示部3502は、制御信号3503_0、制御信号3503_1、・・・、制御信号3503_Nを、自身、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に対して、出力する。
【0271】
指示部3502は、AP3420-1に対して、ユニキャスト送信を指定した場合、受信装置217を動作させる。また、指示部3502は、AP3420-1に対して、マルチキャスト送信を指定した場合、受信装置217の動作を停止させてもよい。
5.3 マスタでないAP3600
AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4は、マスタでないAPである。ここでは、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4を代表して、AP3600として説明する。
【0272】
マスタでないAP3600は、
図36に示すように、符号化器202、インターリーバ204、マッピング部206、重み付け部3611、無線部210、アンテナ212、アンテナ215及び受信装置217から構成されている。
AP3600は、マスタであるAP3420-1から制御信号3601_0を受け取る。制御信号3601_0は、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、重み付けの方法の設定を含む。また、AP3600は、マスタであるAP3420-1から、データ3602を受け取る。また、AP3600は、AP連携を行う場合、マスタでない他のAPから、データ3603を受け取る場合がある。また、AP3600は、ユニキャスト送信により単独で動作する場合、親局3410から、データ201を受け取る場合がある。
【0273】
AP3600は、制御信号3601_0に基づいて、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定を行う。また、AP3600は、制御信号3601_0に基づいて、重み付けの方法の設定を行う。なお、マルチキャスト送信と設定がされた場合に、他のAPと同一の周波数(周波数帯)を使用するように、設定される。
AP3600は、ユニキャスト送信と設定を行う場合、受信装置217を動作させる。また、AP3600は、マルチキャスト送信と設定を行う場合、受信装置217の動作を停止させてもよい。
【0274】
AP3600は、ユニキャスト送信の場合とマルチキャスト送信の場合とで、同一のチャネル(または、同一の周波数(周波数帯))を使用して、無線による送受信を行う。ここで、AP3600は、一つの無線キャリアをいくつかのタイムスロットに分割し、各タイムスロットを通信のチャネルとして使用してもよい。また、AP3600は、60GHzの周波数帯域において、複数の異なる周波数を用い、それぞれの周波数を通信のチャネルとして使用してもよい。
【0275】
(1)符号化器202
符号化器202は、データ3602、データ3603、又は、データ201を受け取る。また、符号化器202は、AP3600が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、符号化方式の指定、誤り訂正方式の指定、符号化率、ブロック長等の情報を含む。符号化器202は、制御信号213により指定された方式を用いて、データ3602、データ3603、又は、データ201に対して、例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号等の誤り訂正符号化を行う。符号化器202は、符号化後のデータ203を出力する。
【0276】
(2)インターリーバ204
インターリーバ204は、符号化器202から、符号化後のデータ203を受け取る。また、インターリーバ204は、AP3600が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、インタリーブの方法の指定を含む。インターリーバ204は、符号化後のデータ203に対して、制御信号213により指定されるインタリーブの方法により、インタリーブ、つまり、順番の並び替えを行う。インターリーバ204は、インタリーブ後のデータ205を出力する。
【0277】
(3)マッピング部206
マッピング部206は、インターリーバ204から、インタリーブ後のデータ205を受け取る。また、マッピング部206は、AP3600が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、変調方式の指定を含む。マッピング部206は、制御信号213に含まれる変調方式の指定に従って、インタリーブ後のデータ205に対して、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、変調後の信号207を生成する。マッピング部206は、変調後の信号207を出力する。なお、変調方式として、他の変調方式を適用してもよい。
【0278】
なお、マッピング部206は、重み付けの処理を含むマッピングを行ってもよい。
(4)重み付け部3611
重み付け部3611は、マッピング部206から、変調後の信号207を受け取る。また、重み付け部3611は、制御信号3601_0を受け取る。制御信号3601_0は、重み付けの方法の設定を含む。重み付け部3611は、制御信号3601_0に含まれる重み付けの方法の設定に従って、変調後の信号207に対して、重み付けを施し、重み付け後の信号3612を生成する。重み付け部3611は、重み付け後の信号3612を出力する。
【0279】
(5)無線部210及びアンテナ212
無線部210は、重み付け部3611から、重み付け後の信号3612を受け取る。また、無線部210は、AP3600が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、周波数変換、増幅等の指定を含む。無線部210は、重み付け後の信号3612に対して、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号211を生成する。無線部210は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、生成した送信信号211をアンテナ212に対して出力する。
【0280】
アンテナ212は、送信信号211を電波として出力する。
(6)アンテナ215及び受信装置217
アンテナ215は、各端末により電波として出力された信号216を受信する。
受信装置217は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、アンテナ215から信号216を受け取り、増幅、周波数変換等の処理を施し、データ218を生成する。受信装置217は、データ218を親局3410に対して出力する。
【0281】
なお、アンテナ212とアンテナ215とは、同一体であってもよい。便宜上、別々の表記をしている。
5.4 親局3410
親局3410は、
図37に示すように、送信データ振り分け部302、受信データ振り分け部305及び指示部308から構成されている。
【0282】
(1)指示部308
指示部308は、通信装置、並びに、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に接続されている。
指示部308は、制御信号307を受け取る。制御信号307は、ユニキャスト送信に関する設定又はマルチキャスト送信に関する設定、及び、重み付けの方法の設定を含む。通信装置は、一例として、PCを含み、PCの利用者が制御信号をPCにより入力する。
【0283】
また、制御信号307は、AP毎に個別に設定されるとしてもよいし、すべてのAPについて、同一の制御信号307が設定されるとしてもよい。
すべてのAPに対して、マルチキャスト送信と設定をしてもよいし、すべてのAPに対して、ユニキャスト送信と設定をしてもよい。一部のAPについて、マルチキャスト送信と設定をし、他のAPについて、ユニキャスト送信と設定をしてもよい。このように、APについて、マルチキャスト送信に関する設定とユニキャストに関する設定が混在してもよい。
【0284】
マルチキャストに設定された複数のAPについては、重み付け前の変調信号は、同一の信号となる。言い換えると、同一のデータが送信される。
また、各APに対して、重み付けの方法を指示する。
ユニキャストに設定された複数のAPについては、重み付け前の変調信号は、同一の信号であってもよいし、異なる信号であってもよい。言い換えると、同一のデータが送信される場合もあるし、異なるデータが送信される場合もある。
【0285】
指示部308は、受け取った制御信号を、送信データ振り分け部302、受信データ振り分け部305、並びに、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に対して、出力する。
(2)送信データ振り分け部302
送信データ振り分け部302は、通信装置、指示部308、並びに、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に接続されている。
【0286】
送信データ振り分け部302は、指示部308から制御信号を受け取る。送信データ振り分け部302は、受け取った制御信号をAP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に対して出力する。
また、送信データ振り分け部302は、通信装置からデータを受け取る。送信データ振り分け部302は、受け取ったデータをAP3420-1向け、AP3420-2向け、AP3420-3向け及びAP3420-4向けに振り分ける。送信データ振り分け部302は、振り分けたデータを、それぞれ、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に対して出力する。
【0287】
(3)受信データ振り分け部305
受信データ振り分け部305は、通信装置、指示部308、並びに、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に接続されている。
また、受信データ振り分け部305は、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4から、それぞれ、データを受信する。受信データ振り分け部305は、受信したデータを通信装置に対して出力する。
【0288】
5.5 送信されるデータの例
親局3410、AP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4により、送信されるデータの例について、以下に説明する。
(1)すべてのAPをマルチキャスト用の送信に設定し、データを送信する場合
すべてのAP3420-1、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4をマルチキャスト用の送信に設定し、データを送信する場合において、送信されるデータの例について、
図38及び
図39を用いて説明する。
【0289】
親局3410は、
図38に示すように、パケット3811、3812、3813、3814、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット3811、3812、3813、3814、・・・は、すべて、マルチキャスト用のパケットである。また、パケット3811、3812、3813、3814、・・・は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。親局3410は、AP3420-1に対して、パケット3811、3812、3813、3814、・・・をこの順序で送信する。
【0290】
AP3420-1は、パケット3811、3812、3813、3814、・・・をこの順序で受信する。次に、AP3420-1は、AP3420-2、AP3420-3及びAP3420-4に対して、パケット3811、3812、3813、3814、・・・をこの順序で送信する。
(a)各APの処理1
図34、
図38に示すように、AP3420-1では、ウェイトとして、A1(0)、A1(1)、A1(2)、A1(3)、・・・を用意しておく。同様に、AP3420-2では、ウェイトとして、A2(0)、A2(1)、A2(2)、A2(3)、・・・を用意しておき、AP3420-3では、ウェイトとして、A3(0)、A3(1)、A3(2)、A3(3)、・・・を用意しておき、AP3420-4では、ウェイトとして、A4(0)、A4(1)、A4(2)、A4(3)、・・・を用意しておく。
【0291】
(b)各APの処理2
次に、各APの処理の別の例について、
図39を用いて説明する。
(AP3420-1の処理)
AP3420-1のマッピング部206は、
図39に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数3911「c(0)」、3912「c(1)」、3913「c(2)」、3914「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット3811に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット3812に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット3813に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット3814に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0292】
マッピング後のベースバンド信号複素数3911「c(0)」を生成すると、AP3420-1の重み付け部3511は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(0)×A1(0)(3931)、
c(0)×A1(1)(3932)、
c(0)×A1(2)(3933)、及び、
c(0)×A1(3)(3934)を算出する。
【0293】
AP3420-1は、c(0)×A1(0)(3931)、c(0)×A1(1)(3932)、c(0)×A1(2)(3933)、及び、c(0)×A1(3)(3934)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3912「c(1)」を生成すると、AP3420-1の重み付け部3511は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(1)×A1(0)(3935)、
c(1)×A1(1)(3936)、
c(1)×A1(2)(3937)、及び、
c(1)×A1(3)(3938)を算出する。
【0294】
AP3420-1は、c(1)×A1(0)(3935)、c(1)×A1(1)(3936)、c(1)×A1(2)(3937)、及び、c(1)×A1(3)(3938)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3913「c(2)」、3914「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP3420-1は、上記と同様に動作する。
【0295】
(AP3420-2の処理)
AP3420-2のマッピング部206は、
図39に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数3911「c(0)」、3912「c(1)」、3913「c(2)」、3914「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット3811に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット3812に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット3813に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット3814に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0296】
マッピング後のベースバンド信号複素数3911「c(0)」を生成すると、AP3420-2の重み付け部3611は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(0)×A2(0)(3941)、
c(0)×A2(1)(3942)、
c(0)×A2(2)(3943)、及び、
c(0)×A2(3)(3944)を算出する。
【0297】
AP3420-2は、c(0)×A2(0)(3941)、c(0)×A2(1)(3942)、c(0)×A2(2)(3943)、及び、c(0)×A2(3)(3944)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3912「c(1)」を生成すると、AP3420-2の重み付け部3611は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(1)×A2(0)(3945)、
c(1)×A2(1)(3946)、
c(1)×A2(2)(3947)、及び、
c(1)×A2(3)(3948)を算出する。
【0298】
AP3420-2は、c(1)×A2(0)(3945)、c(1)×A2(1)(3946)、c(1)×A2(2)(3947)、及び、c(1)×A2(3)(3948)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数3913「c(2)」、3914「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP3420-2は、上記と同様に動作する。
【0299】
(AP3420-3及びAP3420-4の処理)
AP3420-3及びAP3420-4も、上記と同様に動作する。
なお、AP3420-3の重み付け部2601は、複素数A3(0)、複素数A3(1)、複素数A3(2)及び複素数A3(3)を用いて、重み付けを行う。
また、AP3420-4の重み付け部2601は、複素数A4(0)、複素数A4(1)、複素数A4(2)及び複素数A4(3)を用いて、重み付けを行う。
【0300】
以上のように、各パケットは、異なる重み付けを行い、複数回送信するという特徴を持つことになるとともに、複数のAPから、各パケットは、複数回送信するという特徴も併せ持つ。
複数のAPを用いて送信することにより、セルエリアを広くすることができるという効果を持つとともに、各パケットを異なる重み付けで、複数回送信することで、異なる指向性で、複数回パケットが送信されることになるので、セルエリア内で、より均一な受信品質を保つことが可能であるという効果をもつことになる。
【0301】
重み付けの係数A1(i)、A2(i)、A3(i)、A4(i)については、例えば、以下のような性質をもつことが考えられる。
・パケットAの変調信号をN回(Nは2以上の整数)送信するとする。このとき、第u回目のパケットAの変調信号を送信するのに使用する重み付け係数をA1(u)。第v回目のパケットAの変調信号を送信するのに使用する重み付け係数をA1(v)とする。なお、u,vは1以上N以下の整数とし、u≠vが成立するものとする。このとき、u,vは1以上N以下の整数とし、u≠vとし、これを満たす、すべてのu、すべてのvにおいて、A1(u)≠A1(v)が成立する。
・同様に、パケットAの変調信号をN回(Nは2以上の整数)送信するとする。このとき、第u回目のパケットAの変調信号を送信するのに使用する重み付け係数をAk(u)。第v回目のパケットAの変調信号を送信するのに使用する重み付け係数をAk(v)とする。なお、u,vは1以上N以下の整数とし、u≠vが成立するものとする。このとき、u,vは1以上N以下の整数とし、u≠vとし、これを満たす、すべてのu、すべてのvにおいて、Ak(u)≠Ak(v)が成立する。(kは1以上の整数とする。)
・また、重み付け係数Ak(i)が周期をもってもよい。周期をM(Mは2以上の整数)とすると、以下が成立する。
【0302】
Ak(i)=Ak(i mod M)
i mod M は、iをMで割ったときの余りとする。
(2)AP3420-1及びAP3420-2をマルチキャスト用の送信に設定し、AP3420-3及びAP3420-4をユニキャスト用の送信に設定し、データを送信する場合
AP3420-1及びAP3420-2をマルチキャスト用の送信に設定し、AP3420-3及びAP3420-4をユニキャスト用の送信に設定して、データを送信する場合において、送信されるデータの例について、
図40及び
図41を用いて説明する。この場合、AP3420-3及びAP3420-4において、同じデータが送信される。(マッピング後の変調信号が同一である)。
【0303】
親局3410は、
図40に示すように、パケット4011、4012、4013、4014、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット4011、4013、4014、4016、・・・は、マルチキャスト用のパケットである。パケット4011、4013、4014、4016、・・・は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。また、パケット4012、4015、・・・は、ユニキャスト用のパケットである。パケット4012、4015、・・・は、ユニキャスト用の一つのデータから生成される。
【0304】
親局3410は、マルチキャスト用のパケット4011、4013、4014、4016、・・・をこの順序で、AP3420-1に対して出力する。また、親局3410は、ユニキャスト用のパケット4012、4015、・・・をこの順序で、それぞれ、AP3420-3及びAP3420-4に対して出力する。
AP3420-1は、マルチキャスト用のパケット4011、4013、4014、4016、・・・をこの順序で受信する。AP3420-1は、AP3420-2に対して、マルチキャスト用のパケット4011、4013、4014、4016、・・・をこの順序で送信する。
【0305】
(a)各APの処理1
図34、
図40に示すように、AP3420-1では、ウェイトとして、A1(0)、A1(1)、A1(2)、A1(3)、・・・を用意しておく。同様に、AP3420-2では、ウェイトとして、A2(0)、A2(1)、A2(2)、A2(3)、・・・を用意しておく。
【0306】
(b)各APの処理2
次に、各APの処理の別の例について、
図41を用いて説明する。
(AP3420-1の処理)
AP3420-1のマッピング部206は、
図41に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数4111「c(0)」、4112「c(1)」、4113「c(2)」、4114「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット4011に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット4013に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット4014に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット4016に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0307】
マッピング後のベースバンド信号複素数4111「c(0)」を生成すると、AP3420-1の重み付け部3511は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(0)×A1(0)(4131)、
c(0)×A1(1)(4132)、
c(0)×A1(2)(4133)、及び、
c(0)×A1(3)(4134)を算出する。
【0308】
AP3420-1は、c(0)×A1(0)(4131)、c(0)×A1(1)(4132)、c(0)×A1(2)(4133)、及び、c(0)×A1(3)(4134)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数4112「c(1)」を生成すると、AP3420-1の重み付け部3511は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(1)×A1(0)(4135)、
c(1)×A1(1)(4136)、
c(1)×A1(2)(4137)、及び、
c(1)×A1(3)(4138)を算出する。
【0309】
AP3420-1は、c(1)×A1(0)(4135)、c(1)×A1(1)(4136)、c(1)×A1(2)(4137)、及び、c(1)×A1(3)(4138)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数4113「c(2)」、4114「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP3420-1は、上記と同様に動作する。
【0310】
(AP3420-2の処理)
AP3420-2のマッピング部206は、
図41に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数4111「c(0)」、4112「c(1)」、4113「c(2)」、4114「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット4011に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット4013に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット4014に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット4016に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0311】
マッピング後のベースバンド信号複素数4111「c(0)」を生成すると、AP3420-2の重み付け部3611は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(0)×A2(0)(4141)、
c(0)×A2(1)(4142)、
c(0)×A2(2)(4143)、及び、
c(0)×A2(3)(4144)を算出する。
【0312】
AP3420-2は、c(0)×A2(0)(4141)、c(0)×A2(1)(4142)、c(0)×A2(2)(4143)、及び、c(0)×A2(3)(4144)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数4112「c(1)」を生成すると、AP3420-2の重み付け部3611は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(1)×A2(0)(4145)、
c(1)×A2(1)(4146)、
c(1)×A2(2)(4147)、及び、
c(1)×A2(3)(4148)を算出する。
【0313】
AP3420-2は、c(1)×A2(0)(4145)、c(1)×A2(1)(4146)、c(1)×A2(2)(4147)、及び、c(1)×A2(3)(4148)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数4113「c(2)」、4114「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP3420-2は、上記と同様に動作する。
【0314】
(AP3420-3の処理)
AP3420-3のマッピング部206は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」、「d(1)」、「d(2)」、「d(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、d(0)は、パケット4051に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、d(1)は、パケット4052に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、d(2)は、パケット4053に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0315】
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」を生成すると、AP3420-3は、生成したd(0)(4151)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(1)」を生成すると、AP3420-3は、生成したd(1)(4152)を無線により出力する。
以下、同様に、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(2)」、「d(3)」、・・・を生成すると、AP3420-3は、生成した「d(2)」、「d(3)」、・・・を無線により出力する。
【0316】
(AP3420-4の処理)
AP3420-4のマッピング部206は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」、「d(1)」、「d(2)」、「d(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、d(0)は、パケット4061に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、d(1)は、パケット4062に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、d(2)は、パケット4063に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0317】
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」を生成すると、AP3420-4は、生成したd(0)(4161)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(1)」を生成すると、AP3420-4は、生成したd(1)(4162)を無線により出力する。
以下、同様に、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(2)」、「d(3)」、・・・を生成すると、AP3420-4は、生成した「d(2)」、「d(3)」、・・・を無線により出力する。
【0318】
以上のように、マルチキャスト用の各パケットは、異なる重み付けを行い、複数回送信するという特徴を持つことになるとともに、複数のAPから、マルチキャスト用の各パケットは、複数回送信するという特徴も併せ持つ。
複数のAPを用いて送信することにより、セルエリアを広くすることができるという効果を持つとともに、マルチキャスト用の各パケットを異なる重み付けで、複数回送信することで、異なる指向性で、複数回パケットが送信されることになるので、セルエリア内で、より均一な受信品質を保つことが可能であるという効果をもつことになる。
【0319】
また、AP2520-3、AP2520-4では、時間や周波数に対し、位相変更を行ったり、重み付けを変化させたりしてもよい。
これにより、ユニキャスト用のパケットの受信品質が向上するという効果を得ることができる。
(3)AP3420-1及びAP3420-2をマルチキャスト送信用に設定し、AP3420-3及びAP3420-4をユニキャスト送信用に設定して送信する場合
AP3420-1及びAP3420-2をマルチキャスト送信用に設定し、AP3420-3及びAP3420-4をユニキャスト送信用に設定して送信する場合において、送信されるデータの例について、
図42及び
図43を用いて説明する。この場合、AP3420-3及びAP3420-4において、異なるデータが送信される。
【0320】
親局3410は、
図42に示すように、パケット4211、4212、4213、4214、4215、4216、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット4211、4213、4214、4216、・・・は、マルチキャスト用のパケットである。パケット4211、4213、4214、4216、・・・は、マルチキャスト用の一つのデータから生成される。また、パケット4212、・・・は、第1のユニキャスト用のパケットである。パケット4212、・・・は、ユニキャスト用の第1のデータから生成される。また、パケット4215、・・・は、第2のユニキャスト用のパケットである。パケット4215、・・・は、ユニキャスト用の第2のデータから生成される。
【0321】
親局3410は、マルチキャスト用のパケット4211、4213、4214、4216、・・・をこの順序で、AP3420-1に対して出力する。また、親局3410は、ユニキャスト用のパケット4212、・・・をこの順序で、AP3420-3に対して出力する。さらに、親局3410は、ユニキャスト用のパケット4215、・・・をこの順序で、AP3420-4に対して出力する。
【0322】
AP3420-1は、マルチキャスト用のパケット4211、4213、4214、4216、・・・をこの順序で受信する。次に、AP3420-1は、AP3420-2に対して、マルチキャスト用のパケット4211、4213、4214、4216、・・・をこの順序で送信する。
(a)各APの処理1
図34、
図42に示すように、AP3420-1では、ウェイトとして、A1(0)、A1(1)、A1(2)、A1(3)、・・・を用意しておく。同様に、AP3420-2では、ウェイトとして、A2(0)、A2(1)、A2(2)、A2(3)、・・・を用意しておく。
【0323】
(b)各APの処理2
次に、各APの処理の別の例について、
図43を用いて説明する。
(AP3420-1の処理)
AP3420-1のマッピング部206は、
図43に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数4311「c(0)」、4312「c(1)」、4313「c(2)」、4314「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット4211に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット4213に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット4214に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット4216に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0324】
マッピング後のベースバンド信号複素数4311「c(0)」を生成すると、AP3420-1の重み付け部3511は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(0)×A1(0)(4331)、
c(0)×A1(1)(4332)、
c(0)×A1(2)(4333)、及び、
c(0)×A1(3)(4334)を算出する。
【0325】
AP3420-1は、c(0)×A1(0)(4331)、c(0)×A1(1)(4332)、c(0)×A1(2)(4333)、及び、c(0)×A1(3)(4334)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数4312「c(1)」を生成すると、AP3420-1の重み付け部3511は、複素数A1(0)、複素数A1(1)、複素数A1(2)及び複素数A1(3)を用いて、
c(1)×A1(0)(4335)、
c(1)×A1(1)(4336)、
c(1)×A1(2)(4337)、及び、
c(1)×A1(3)(4338)を算出する。
【0326】
AP3420-1は、c(1)×A1(0)(4335)、c(1)×A1(1)(4336)、c(1)×A1(2)(4337)、及び、c(1)×A1(3)(4338)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数4313「c(2)」、4314「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP3420-1は、上記と同様に動作する。
【0327】
(AP3420-2の処理)
AP3420-2のマッピング部206は、
図43に示すように、マッピング後のベースバンド信号複素数4311「c(0)」、4312「c(1)」、4313「c(2)」、4314「c(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、c(0)は、パケット4211に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、c(1)は、パケット4213に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(2)は、パケット4214に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、c(3)は、パケット4216に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0328】
マッピング後のベースバンド信号複素数4311「c(0)」を生成すると、AP3420-2の重み付け部3611は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(0)×A2(0)(4341)、
c(0)×A2(1)(4342)、
c(0)×A2(2)(4343)、及び、
c(0)×A2(3)(4344)を算出する。
【0329】
AP3420-2は、c(0)×A2(0)(4341)、c(0)×A2(1)(4342)、c(0)×A2(2)(4343)、及び、c(0)×A2(3)(4344)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数4312「c(1)」を生成すると、AP3420-2の重み付け部3611は、複素数A2(0)、複素数A2(1)、複素数A2(2)及び複素数A2(3)を用いて、
c(1)×A2(0)(4345)、
c(1)×A2(1)(4346)、
c(1)×A2(2)(4347)、及び、
c(1)×A2(3)(4348)を算出する。
【0330】
AP3420-2は、c(1)×A2(0)(4345)、c(1)×A2(1)(4346)、c(1)×A2(2)(4347)、及び、c(1)×A2(3)(4348)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数4313「c(2)」、4314「c(3)」、・・・を生成した場合にも、AP3420-2は、上記と同様に動作する。
【0331】
(AP3420-3の処理)
AP3420-3のマッピング部206は、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」、「d(1)」、「d(2)」、「d(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、d(0)は、パケット4251に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、d(1)は、パケット4252に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、d(2)は、パケット4253に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0332】
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(0)」を生成すると、AP3420-3は、生成したd(0)(4351)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数「d(1)」を生成すると、AP3420-3は、生成したd(1)(4352)を無線により出力する。
以下、同様に、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(2)」、「d(3)」、・・・を生成すると、AP3420-3は、生成した「d(2)」、「d(3)」、・・・を無線により出力する。
【0333】
(AP3420-4の処理)
AP3420-4のマッピング部206は、マッピング後のベースバンド信号複素数「e(0)」、「e(1)」、「e(2)」、「e(3)」、・・・を生成するものとする。
なお、e(0)は、パケット4261に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとする。そして、e(1)は、パケット4262に関連するマッピング後のベースバンド信号であるものとし、e(2)は、パケット4263に関連するマッピング後のベースバンド信号であるもの、・・・、とする。
【0334】
マッピング後のベースバンド信号複素数「e(0)」を生成すると、AP3420-4は、生成したe(0)(4361)を無線により出力する。
マッピング後のベースバンド信号複素数「e(1)」を生成すると、AP3420-4は、生成したe(1)(4362)を無線により出力する。
以下、同様に、マッピング後のベースバンド信号複素数「d(2)」、「d(3)」、・・・を生成すると、AP3420-3は、生成した「d(2)」、「d(3)」、・・・を無線により出力する。
以上のように、マルチキャスト用の各パケットは、異なる重み付けを行い、複数回送信するという特徴を持つことになるとともに、複数のAPから、マルチキャスト用の各パケットは、複数回送信するという特徴も併せ持つ。
【0335】
複数のAPを用いて送信することにより、セルエリアを広くすることができるという効果を持つとともに、マルチキャスト用の各パケットを異なる重み付けで、複数回送信することで、異なる指向性で、複数回パケットが送信されることになるので、セルエリア内で、より均一な受信品質を保つことが可能であるという効果をもつことになる。
また、AP3420-3、AP3420-4では、ユニキャストのパケットを伝送するという柔軟性をもつことになる。
例えば、
図38の送信状態、
図40の送信状態、
図42の送信状態に、時間に応じて切り替える(例えば、端末の存在状況によって切り替える)とすることで、柔軟なシステムを実現することができるという利点もある。
5.6 まとめ
本態様によると、Gbpsの大容量の伝送が実現できる。また、マルチキャストを実現する場合に、収容する端末数を増やすことができる。さらに、マルチキャストと同時にユニキャストの通信を実現することができ、システムに柔軟性を持たせることができる。
【0336】
6.実施の形態5
本発明に係る別の実施の形態5としての無線通信システム4400について説明する。
6.1 無線通信システム4400
無線通信システム4400は、
図44に示すように、親局4410-1、AP4420-1、AP4420-2、AP4420-3、AP4420-4、親局4410-2、AP4420-11、AP4420-12、AP4420-13及びAP4420-14から構成されている。
【0337】
AP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4は、例えば、ビル4451の屋上に設置され、親局4410-1は、例えば、ビル4451の内部に設置されている。また、AP4420-11、AP4420-12、AP4420-13及びAP4420-14は、例えば、ビル4452の屋上に設置され、親局4410-2は、例えば、ビル4452の内部に設置されている。なお、設置の方法は、これに限ったものではない。
【0338】
AP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4と、AP4420-11、AP4420-12、AP4420-13及びAP4420-14との間には、他の建物等の障害物は、存在しない場合を一つのユースケースとする。(ただし、このようなユースケースに限ったものではない。)
無線通信システム4400においては、ビル4451とビル4452の間において、AP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4と、AP4420-11、AP4420-12、AP4420-13及びAP4420-14とにより、無線通信を行う。
【0339】
親局4410-1は、直接、又は、通信回線を介して間接的に、APが送信するデータを保持している通信装置(図示していない)(通信装置A)と接続されている。ここで、通信装置Aは、一例として、携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータである。また、通信装置Aは、一例として、データを放送する放送装置、データを送信する配信システムやサーバーなどであるとしてもよい。ここで、通信装置Aは、親局やAPを制御するための制御信号及び「APが送信するためのデータ」を送信する。制御信号は、ユニキャストの設定を含んでいてもよい。さらに、通信装置Aは、複数の通信装置から構成されているとしてもよい。この場合、第1の通信装置は、制御信号を送信し、第2の通信装置は、データを送信してもよい。また、通信装置Aは、ビル4451の内部において、使用されているとしてもよい。なお、通信装置Aは、ビル4451及びビル4452の外部において、使用されているとしてもよい。親局4410-1は、AP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4と有線(または、無線)により接続されており、通信装置Aから得たデータをAP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4は送信する。
【0340】
制御信号は、各APがユニキャストの送信を行う際の設定パラメータ、及び、各APが位相変更を行う場合の位相変更の方法のパラメータの情報を含む。
AP4420-1をマスタAPと呼ぶ。また、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4をマスタでないAPと呼ぶ。
親局4410-2は、直接、又は、通信回線を介して間接的に、別の通信装置(通信装置B)と接続されている。ここで、通信装置Bは、一例として、携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなども考えられるが、上述と同様にビルなどの建物や、屋外に設置されている通信装置なども考えられる。通信装置Bは、ビル4452の内部において、使用されていることもあるが、通信装置Bは、ビル4451及びビル4452の外部において、使用されているとしてもよい。また、親局4410-2は、AP4420-11、AP4420-12、AP4420-13及びAP4420-14と有線(または、無線)により接続されており、通信装置Bから得たデータをAP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4は送信する。
【0341】
AP4420-11もマスタAPである。また、AP4420-12、AP4420-13及びAP4420-14は、マスタでないAPである。
6.2 マスタAPとしてのAP4420-1
マスタAPであるAP4420-1は、
図45に示すように、符号化器202、インターリーバ204、マッピング部206、位相変更部208、無線部210、アンテナ212、アンテナ215、受信装置217及び指示部4402から構成されている。
【0342】
なお、AP4420-11もマスタAPであるので、AP4420-11は、マスタAPとしてのAP4420-1と同一の構成を有する。
AP4420-1は、親局4410-1から制御信号4401を受け取る。制御信号4401は、各APがユニキャストでの送信を行うかの設定、及び、位相変更を行う際の位相変更のパラメータの設定を含む。
【0343】
AP4420-1は、親局4410-1から受け取った制御信号4401に基づいて、ユニキャストの送信に関する設定を行う。また、AP4420-1は、制御信号4401に基づいて、位相変更の方法のパラメータの設定を行う。
AP4420-1は、ユニキャストの送信を行う場合、受信装置217を動作させる。
(1)符号化器202
符号化器202は、親局4410-1からデータ201を受け取る。また、符号化器202は、AP4420-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、符号化方式の指定、誤り訂正方式の指定、符号化率、ブロック長等の情報を含む。符号化器202は、制御信号213により指定された方式を用いて、データ201に対して、例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号等の誤り訂正符号化を行う。符号化器202は、符号化後のデータ203を出力する。
【0344】
(2)インターリーバ204
インターリーバ204は、符号化器202から、符号化後のデータ203を受け取る。また、インターリーバ204は、AP4420-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、インタリーブの方法の指定を含む。インターリーバ204は、符号化後のデータ203に対して、制御信号213により指定されるインタリーブの方法により、インタリーブ、つまり、順番の並び替えを行う。インターリーバ204は、インタリーブ後のデータ205を出力する。
【0345】
(3)マッピング部206
マッピング部206は、インターリーバ204から、インタリーブ後のデータ205を受け取る。また、マッピング部206は、AP4420-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、変調方式の指定を含む。マッピング部206は、制御信号213に含まれる変調方式の指定に従って、インタリーブ後のデータ205に対して、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、変調後の信号207を生成する。マッピング部206は、変調後の信号207を出力する。なお、変調方式として、他の変調方式を適用してもよい。
【0346】
なお、マッピング部206は、位相変更の処理を含むマッピングを行ってもよい。
(4)位相変更部208
位相変更部208は、マッピング部206から変調後の信号207を受け取る。また、位相変更部208は、制御信号4403_0を受け取る。制御信号4403_0は、位相変更の方法の設定を含む。位相変更部208は、制御信号4403_0に含まれる位相変更の方法の設定に従って、変調後の信号207に対して、位相変更を施し、位相変更後の信号209を生成する。位相変更部208は、位相変更後の信号209を出力する。
【0347】
(5)無線部210及びアンテナ212
無線部210は、位相変更部208から、位相変更後の信号209を受け取る。また、無線部210は、AP4420-1が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、周波数変換、増幅等の指定を含む。無線部210は、位相変更後の信号209に対して、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号211を生成する。無線部210は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、生成した送信信号211をアンテナ212に対して出力する。
【0348】
アンテナ212は、送信信号211を電波として出力する。
(6)アンテナ215及び受信装置217
アンテナ215は、各端末により電波として出力された信号216を受信する。
受信装置217は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、60GHzの周波数帯域を用いて、アンテナ215から信号216を受け取り、増幅、周波数変換等の処理を施し、データ218を生成する。受信装置217は、データ218を親局4410-1に対して出力する。
【0349】
なお、アンテナ212とアンテナ215とは、同一体であってもよい。便宜上、別々の表記をしている。
(7)指示部4402
指示部4402は、親局4410-1に接続されている。
指示部4402は、親局4410-1から制御信号4401を受け取る。制御信号4401は、ユニキャストに関する設定、及び、位相変更の方法の設定情報を含む。
【0350】
指示部4402は、AP4420-1を含むすべてのAPに対して、制御信号4401に基づいて、ユニキャスト送信に関する設定情報を与える。
また、指示部4402は、各APに対して、位相変更の方法に関して指示を行う。
指示部4402は、受け取った制御信号4401から、各AP向けの制御信号4403_0、制御信号4403_1、・・・、制御信号4403_Nを生成する。各制御信号は、ユニキャスト送信に関する情報及び位相変更に関する情報を含むものとする。指示部4402は、制御信号4403_0、制御信号4403_1、・・・、制御信号4403_Nを、自身、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4に対して、出力する。
【0351】
指示部4402は、AP4420-1に対して、ユニキャスト送信を行うとした場合、受信装置217を動作させる。
6.3 マスタでないAP4600
AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4は、マスタでないAPである。また、AP4420-12、AP4420-13及びAP4420-14も、マスタでないAPである。
【0352】
以降では、AP4420-2、AP4420-3、AP4420-4の動作について説明する。その際、AP4420-2、AP4420-3、AP4420-4を代表して、AP4600として説明する。
マスタでないAP4600は、
図46に示すように、符号化器202、インターリーバ204、マッピング部206、位相変更部208、無線部210、アンテナ212、アンテナ215及び受信装置217から構成されている。
【0353】
AP4600は、マスタAPであるAP4420-1から、制御信号4601_0を受け取る。制御信号4601_0は、ユニキャスト送信に関する情報及び位相変更に関する情報を含むものとする。また、AP4600は、マスタAPであるAP4420-1から、データ4602(AP連携を行わない)を受け取る。また、AP4600は、AP連携を行う場合、他のAPから、データ4603を受け取る場合がある。また、AP4600は、親局4410-1から、データ201を受け取る場合があり、他のAPのために、このデータをわたす場合もある。
【0354】
AP4600は、制御信号4601_0に基づいて、ユニキャスト送信に関する設定を行う。また、AP4600は、制御信号4601_0に基づいて、位相変更の方法の設定を行う。
AP4600は、ユニキャストの設定を行う場合、受信装置217を動作させる。
(1)符号化器202
符号化器202は、親局4410-1からデータ4602、4603又は201を受け取る。また、符号化器202は、AP4600が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、符号化方式の指定、誤り訂正方式の指定、符号化率、ブロック長等の情報を含む。符号化器202は、制御信号213により指定された方式を用いて、データ4602、4603又は201に対して、例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号等の誤り訂正符号化を行う。符号化器202は、符号化後のデータ203を出力する。
【0355】
(2)インターリーバ204
インターリーバ204は、符号化器202から、符号化後のデータ203を受け取る。また、インターリーバ204は、AP4600が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、インタリーブの方法の指定を含む。インターリーバ204は、符号化後のデータ203に対して、制御信号213により指定されるインタリーブの方法により、インタリーブ、つまり、順番の並び替えを行う。インターリーバ204は、インタリーブ後のデータ205を出力する。
【0356】
(3)マッピング部206
マッピング部206は、インターリーバ204から、インタリーブ後のデータ205を受け取る。また、マッピング部206は、AP4600が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、変調方式の指定を含む。マッピング部206は、制御信号213に含まれる変調方式の指定に従って、インタリーブ後のデータ205に対して、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、変調後の信号207を生成する。マッピング部206は、変調後の信号207を出力する。なお、変調方式として、他の変調方式を適用してもよい。
【0357】
なお、マッピング部206は、位相変更の処理を含むマッピングを行ってもよい。
(4)位相変更部208
位相変更部208は、マッピング部206から変調後の信号207を受け取る。また、位相変更部208は、制御信号4601_0を受け取る。制御信号4601_0は、位相変更の方法の設定を含む。位相変更部208は、制御信号4601_0に含まれる位相変更の方法の設定に従って、変調後の信号207に対して、位相変更を施し、位相変更後の信号209を生成する。位相変更部208は、位相変更後の信号209を出力する。
【0358】
(5)無線部210及びアンテナ212
無線部210は、位相変更部208から、位相変更後の信号209を受け取る。また、無線部210は、AP4600が備えるコントローラから制御信号213を受け取る。制御信号213は、周波数変換、増幅等の指定を含む。無線部210は、位相変更後の信号209に対して、周波数変換、増幅等の処理を施し、送信信号211を生成する。無線部210は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、生成した送信信号211をアンテナ212に対して出力する。
【0359】
アンテナ212は、送信信号211を電波として出力する。
(6)アンテナ215及び受信装置217
アンテナ215は、各端末により電波として出力された信号216を受信する。
受信装置217は、6GHz以上の、例えば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域を用いて、一例として、60GHzの周波数帯域を用いて、アンテナ215から信号216を受け取り、増幅、周波数変換等の処理を施し、データ218を生成する。受信装置217は、データ218を親局4410-1又は親局4410-2に対して出力する。
【0360】
なお、アンテナ212とアンテナ215とは、同一体であってもよい。便宜上、別々の表記をしている。
6.4 送信されるデータの例
親局4410-1、AP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4により、送信されるデータの例について、以下に説明する。
【0361】
ここでは、すべてのAPをユニキャスト用に設定して送信すると想定する。
(1)晴天であるとき
すべてのAP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4をユニキャスト用に設定して送信する場合、晴天であるとき、送信されるデータの例について、
図47を用いて説明する。
【0362】
(送信側)
親局4410-1は、
図47に示すように、パケット4701、4702、4703、・・・、4706、・・・(通信装置からのパケット)をこの順序で受信する。ここで、パケット4701、4702、4703、・・・、4706、・・・は、すべて、ユニキャスト用のパケットである。また、パケット4701、4705、・・・は、ユニキャスト用の第1のデータから生成され、パケット4702、4706、・・・は、ユニキャスト用の第2のデータから生成される。パケット4703、・・・は、ユニキャスト用の第3のデータから生成され、パケット4704、・・・は、ユニキャスト用の第4のデータから生成される。
【0363】
親局4410-1は、AP4420-1に対して、パケット4701、4702、4703、・・・、4706、・・・をこの順序で送信する。AP4420-1は、パケット4701、4702、4703、・・・、4706、・・・をこの順序で受信する。
AP4420-1は、ユニキャスト用の第1のデータから生成されたパケット4701、4705、・・・をこの順序で、自身により、処理する。また、AP4420-1は、AP4420-2に対して、ユニキャスト用の第2のデータから生成されたパケット4702、4706、・・・をこの順序で送信する。また、AP4420-1は、AP4420-3に対して、ユニキャスト用の第3のデータから生成されたパケット4703、・・・をこの順序で送信する。また、AP4420-1は、AP4420-4に対して、ユニキャスト用の第4のデータから生成されたパケット4704、・・・をこの順序で送信する。
【0364】
AP4420-1は、自身向けのパケット4701、4705、・・・をこの順序で受信する。パケット4701、4705、・・・をこの順序で受信すると、AP4420-1は、パケット4711、4712、4713、4714、・・・をこの順序で、ユニキャストで無線により出力する。ここで、パケット4701、4705、・・・は、それぞれ、パケット4711、4712、4713、4714に対応している。
【0365】
パケット4702、4706、・・・をこの順序で受信すると、AP4420-2は、パケット4721、4722、4723、4724、・・・をこの順序で、ユニキャストで無線により出力する。ここで、パケット4702、4706、・・・は、それぞれ、パケット4721、4722、4723、4724に対応している。
パケット4703、・・・をこの順序で受信すると、AP4420-3は、パケット4731、4732、4733、4734、・・・をこの順序で、ユニキャストで無線により出力する。ここで、パケット4703、・・・は、それぞれ、パケット4731、4732、4733、4734に対応している。
【0366】
パケット4704、・・・をこの順序で受信すると、AP4420-4は、パケット4741、4742、4743、4744、・・・をこの順序で、ユニキャストで無線により出力する。ここで、パケット4704、・・・は、それぞれ、パケット4741、4742、4743、4744に対応している。
(受信側)
例えば、
図44のAP4420-1、4420-2、4420-3、4420-4、4420-11、4420-12、4420-13、4420-14は、例えば、ビームフォーミングなどを行い、指向性の強いアンテナを具備しているものとする。この場合、AP4420-1とAP4420-11が通信を行い、AP4420-2とAP4420-12が通信を行い、AP4420-3とAP4420-13が通信を行い、AP4420-4とAP4420-14が通信を行うものとする。
【0367】
このとき、AP4420-11の受信装置217は、AP4420-1が送信したパケットを受信することになり、AP4420-12の受信装置217は、AP4420-2が送信したパケットを受信することになり、AP4420-13の受信装置217は、AP4420-3が送信したパケットを受信することになり、AP4420-14の受信装置217は、AP4420-4が送信したパケットを受信することになる。
【0368】
4420-11、4420-12、4420-13、4420-14が、AP4420-1が送信した変調信号とAP4420-2が送信した変調信号とAP4420-3が送信した変調信号とAP4420-4が送信した変調信号を同時に受信する場合、4420-11が受信した受信信号と4420-12が受信した受信信号と4420-13が受信した受信信号と4420-14が受信した受信信号に対し、分離処理を行い、それぞれのパケットを分離し、各パケットを得ることになる。
別の例として、親局4410-1が、パケットU1-#X(X=1、2、3、・・・)のみを得ている場合も考えられる。このとき、例えば、AP4420-1が、パケットU1-#Xを送信し、他のAPは動作を停止しているという場合が考えられる。このようにすることで、動作するAPの数を減らしているため、システムにおける消費電力を低減することができるという効果を得ることができる。そして、降雨のときは、
図48のような送信を行うことになるとする(
図48の動作については、後で詳しく説明する。)。この場合の利点について説明する。
【0369】
特に、ミリ波帯の周波数を用いて変調信号を送信した場合、降雨による信号(電波)の大幅な減衰が発生する。この減衰が発生した中で、通信相手の受信電界強度の低下を維持するためには、通信装置が高い平均送信電力で、変調信号を送信する必要がある。しかし、各通信機器が送信することができる平均送信電力には規制値が存在することが多く、降雨減衰の影響を軽減できるレベルの平均送信電力まで、送信電力をあげて、通信装置が、変調信号を送信することができるとは限らない。
【0370】
このような課題に対して、
図48で示したように、複数の通信機器で、同一のデータを含む変調信号を送信することで、通信相手は、高い受信電界強度を得ることができるとともに、各通信装置では、送信することができる平均送信電力には規制値を順守することができるという効果を得ることができる。
また、前述のように、晴天時は、「AP4420-1が、パケットU1-#Xを送信し、他のAPは動作を停止している」というように動作をさせることで、晴天時は、システムにおける消費電力を低減することができるという効果を得ることもできる。
【0371】
したがって、晴天時と降雨時で、親局・APの動作が異なるようにすることで、通信品質の確保、消費電力の制御を適宜、柔軟に変更することができるという利点のあるシステムを構築することが可能である。
(2)降雨のとき
すべてのAP4420-1、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4をユニキャスト用に設定して送信する場合、降雨のとき、送信されるデータの例について、
図48を用いて説明する。
【0372】
(送信側)
親局4410-1は、
図48に示すように、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で受信する。ここで、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・は、すべて、ユニキャスト用のパケットである。また、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・は、ユニキャスト用の一つのデータから生成される。
【0373】
親局4410-1は、AP4420-1に対して、それぞれ、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で送信する。
AP4420-1は、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で受信し、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で処理する。また、AP4420-1は、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4に対して、それぞれ、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で送信する。
【0374】
AP4420-1は、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で受信する。パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で受信すると、AP4420-1は、パケット4811、4812、4813、4814、・・・をこの順序で、ユニキャストで無線により出力する。ここで、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・は、それぞれ、パケット4811、4812、4813、4814に対応している。
【0375】
AP4420-2は、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で受信する。パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で受信すると、AP4420-2は、マスタAPであるAP4420-1の制御により、パケット4821、4822、4823、4824、・・・をこの順序で、ユニキャストで無線により出力する。ここで、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・は、それぞれ、パケット4821、4822、4823、4824に対応している。
【0376】
AP4420-3は、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で受信する。パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で受信すると、AP4420-3は、マスタAPであるAP4420-1の制御により、パケット4831、4832、4833、4834、・・・をこの順序で、ユニキャストで無線により出力する。ここで、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・は、それぞれ、パケット4831、4832、4833、4834に対応している。
【0377】
AP4420-4は、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で受信する。パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・をこの順序で受信すると、AP4420-4は、マスタAPであるAP4420-1の制御により、パケット4841、4842、4843、4844、・・・をこの順序で、ユニキャストで無線により出力する。ここで、パケット4801、4802、4803、・・・、4806、・・・は、それぞれ、パケット4841、4842、4843、4844に対応している。
【0378】
このときの特徴としては、他の実施の形態で説明したように、AP4420-1、AP4420-2、AP4420-3、AP4420-4は、同一時刻に同一のパケットを送信している。(同一時刻のマッピング後の変調信号は同一である。)したがって、AP4420-1では位相変更を施すことになり、AP4420-2でも位相変更を施すことになり、AP4420-3でも位相変更を施すことになり、AP4420-4でも位相変更を施すことになる(ただし、AP4420-1、AP4420-2、AP4420-3、AP4420-4のいずれかのAPが位相変更を施さないとしてもよい)。
なお、
図48では、一例として、4つAPが存在し、4つAPが、パケットU1-#X(X=1、2、3、・・・)を送信する例を説明したがこれに限ったものではなく、例えば、N個(Nは2以上の整数)のAPが存在し、M個(MはN以下の整数であり、かつ、Mは2以上の整数である)のAPが、パケットU1-#X(X=1、2、3、・・・)を送信するとしてもよい。
以上から、以下のような構成を考えることができる。
【0379】
N個(Nは2以上の整数)のAPが存在する。
そして、晴天時(降雨による電波の減衰が小さいとき。(雨は降っているが、電波の減衰が小さいときは、「晴天時」として扱う。))、L個(Lは1以上の整数、かつ、N-1以下の整数)のAPがパケットU1-#X(X=1、2、3、・・・)を送信する。
そして、降雨時(降雨による電波の減衰が大きいとき。)M個(MはN以下の整数であり、かつ、Mは2以上の整数であり、かつ、MはLより大きい整数)のAPが、パケットU1-#X(X=1、2、3、・・・)を送信するとしてもよい。
【0380】
このように送信することで、前にも述べたように、降雨時の伝搬の減衰による、通信相手の受信品質の低下を抑制することができ、これにより、通信品質の確保、消費電力の制御を適宜、柔軟に変更することができるという利点のあるシステムを構築することが可能である。なお、晴天時、パケットU1-#Xを送信していないAPが他のパケットを送信してもよく(他のパケットを送信しなくてもよい)、同様に、降雨時にパケットU1-#Xを送信していないAPが他のパケットを送信してもよい(他のパケットを送信しなくてもよい)。
【0381】
本発明は、ミリ波の周波数帯域を用いて、受信装置に対して、無線により送信を行うN台の送信装置と、前記受信装置とから構成される通信システムであるとしてもよい。ここで、前記N台の送信装置のうちの一台の送信装置は、送信手段と、受信手段と、前記受信装置との間の通信品質を取得し、取得した通信品質が閾値以上の場合に、前記N台の送信装置のうち、自身を含み、Nより小さいL台の前記送信装置にデータを送信させ、取得した通信品質が閾値未満となった場合に、前記N台の送信装置のうち、自身を含み、Nより小さくLより大きいM台の前記送信装置に協調動作をさせてデータを送信させ、取得した通信品質が閾値以上となった場合に、前記協調動作を停止させる制御手段とを備えるとしてもよい。
(受信側)
AP4420-11の受信装置217は、パケット4811に対応する変調信号、パケット4821に対応する変調信号、パケット4831に対応する変調信号及びパケット4841に対応する変調信号を同時に受信する。次に、AP4420-11の受信装置217は、パケット4812に対応する変調信号、パケット4822に対応する変調信号、パケット4832に対応する変調信号及びパケット4842に対応する変調信号を同時に受信する。次に、AP4420-11の受信装置217は、パケット4813に対応する変調信号、パケット4823に対応する変調信号、パケット4833に対応する変調信号及びパケット4843に対応する変調信号を同時に受信する。次に、AP4420-11の受信装置217は、パケット4814に対応する変調信号、パケット4824に対応する変調信号、パケット4834に対応する変調信号及びパケット4844に対応する変調信号を同時に受信する。以下、同様である。
【0382】
したがって、合成された受信信号を復調・復号することで、パケット4801、4802、4803、4804、4805、・・・を得ることができる。
6.5 マスタAPであるAP4420-1の動作
マスタAPであるAP4420-1の動作について、
図49に示すフローチャートを用いて説明する。
【0383】
マスタAPであるAP4420-1の指示部4402は、通信相手であるAP4420-11との間の通信品質を取得する(ステップS4901)。次に、指示部4402は、取得した通信品質が閾値以上か否かを判断する(ステップS4902)。
取得した通信品質が閾値未満となった場合に(ステップS4902で「閾値未満」)、指示部4402は、例えば、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4に対して、協調動作をさせて、同一のデータを送信させる(ステップS4903)。次に、ステップS4901に戻って処理を繰り返す。
【0384】
取得した通信品質が閾値以上となった場合に(ステップS4902で「閾値以上」)、指示部4402は、例えば、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4に対して、協調動作を停止させる(同一データの送信を停止する。)(ステップS4904)。指示部4402は、例えば、AP4420-2、AP4420-3及びAP4420-4に対して、独立した動作を再開させる。独立した動作は、協調動作を開始する前の動作である(ステップS4905)。次に、ステップS4901に戻って処理を繰り返す。
【0385】
6.6 各APによるトレーニング信号の送信
AP4420-1は、晴天時、及び、降雨時の両方の場合において、それぞれ、例えば、トレーニング信号を送信する。そして、通信相手がトレーニング信号を受信し、その受信結果をAP4420-1に送信する。AP4420-1は、その受信結果を得ることで、受信側のAPとの間の通信品質を取得する。AP4420-1は、取得した通信品質を用いて、上述した協調動作をするか、協調動作を停止するかの判断を行う。そして、AP4420-1は、AP4420-2、4420-3、4420-4に対し、「協調動作をするか、協調動作を停止するか」の結果を送信する。(このとき、AP4420-1は、親局を経由し、「協調動作をするか、協調動作を停止するか」の結果を送信してもよいし、直接、「協調動作をするか、協調動作を停止するか」の結果をAP4420-2、4420-3、4420-4に対し、送信してもよい。)また、AP4420-1は、「協調動作を行う」と判断した場合、使用する位相変更値の方法、変調方式、符号化方法に関する情報をAP4420-2、4420-3、4420-4に送信する。(このとき、AP4420-1は、親局を経由して、使用する位相変更値の方法、変調方式、符号化方法に関する情報をAP4420-2、4420-3、4420-4に送信してもよい。)
なお、本実施の形態の場合、「マルチキャスト」と設定するモードが存在しなくてもよい。(例えば、ビル(建物)の設置されている通信装置とビル(建物)に設置されて率通信装置に対して、本実施の形態を適用した場合、マルチキャストを行う必要がないケースもありうる。)
なお、上述の説明で、マスタAPとマスタでないAPにより、協調動作する場合を例に説明したが、他の実施の形態でも説明したように、
図1や
図25などで示したように、マスタAPの機能の一部を親局がもつ場合の協調動作により、
図47のようなフレーム構成と
図48のようなフレーム構成を、晴天時と降雨時に切り替えるとしても、上述と同様に実施することは可能である。また、晴天時と降雨時に協調動作を切り替える送信システムの構成は、これらに限ったものではなく、このとき、上述で説明したような「晴天時と降雨時に協調動作を切り替える」機能自身が重要となる。
【0386】
6.4 まとめ
本態様によると、Gbpsの大容量の伝送が実現できる。また、降雨の場合であっても、無線による通信を確保することができる。さらに、降雨から晴天に戻った場合に、マスタAPは、協調動作を停止する。このため、晴天時に協調動作を行うことによる無駄な電力の消費を防ぐことができる。
【0387】
なお、上記の実施の形態においては、4台のAPが協調動作を行うとしている。しかし、これには、限定されない。2台以上のAPが協調動作を行うとしてもよい。
≪補足≫
当然であるが、本明細書において説明した実施の形態、その他の内容を複数組み合わせて、実施してもよい。
【0388】
また、各実施の形態、その他の内容については、あくまでも例であり、例えば、「変調方式、誤り(消失)訂正符号化方式(使用する誤り訂正符号、符号長、符号化率等)、制御情報など」を例示していても、別の「変調方式、誤り(消失)訂正符号化方式(使用する誤り訂正符号、符号長、符号化率等)、制御情報など」を適用した場合でも同様の構成で実施することが可能である。
【0389】
変調方式については、本明細書で記載している変調方式以外の変調方式を使用しても、本明細書において説明した実施の形態、その他の内容を実施することが可能である。例えば、APSK(Amplitude Phase Shift Keying)(例えば、16APSK, 64APSK, 128APSK, 256APSK, 1024APSK, 4096APSKなど)、PAM(Pulse Amplitude Modulation)(例えば、4PAM, 8PAM, 16PAM, 64PAM, 128PAM, 256PAM, 1024PAM, 4096PAMなど)、PSK(Phase Shift Keying)(例えば、BPSK, QPSK, 8PSK, 16PSK, 64PSK, 128PSK, 256PSK, 1024PSK, 4096PSKなど)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)(例えば、4QAM, 8QAM, 16QAM, 64QAM, 128QAM, 256QAM, 1024QAM, 4096QAMなど)などを適用してもよいし、各変調方式において、均一マッピング、非均一マッピングとしてもよい。
【0390】
また、無線通信方式における伝送方法としては、送信装置が一つのアンテナ、受信装置が一つ以上のアンテナで信号を受信する伝送方法(SISO(Single-Input Single-Output)伝送方法、SIMO(SIngle-Input Multiple-Output)伝送方法)であってもよいし、また、送信装置が複数ストリームを送信し、受信装置が1つ以上のアンテナで変調信号を受信する方式(MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送方式、MISO(Multiple-Input Single-Output)伝送方式)を用いてもよい。また、時空間(space-time)ブロック符号、時空間(space-time)トレリス符号を用いてもよい(このとき、OFDMなどのマルチキャリア方式を用いているとき、シンボルを時間軸方向に並べてもよいし、周波数軸方向に並べてもよいし、周波数―時間軸方向に並べてもよい。)。
【0391】
また、本明細書で「複素数」と記載している場合、「複素数で定義している」ということになり、虚数成分がゼロとなり、実数となる場合もある。
本発明は上記の実施の形態で説明した内容に限定されず、本発明の目的とそれに関連又は付随する目的を達成するためのいかなる形態においても実施可能であり、例えば、以下であってもよい。
【0392】
(1)本開示の一つの局面によると、APは、同じデータを伝送する複数のパケットに、それぞれ異なる重み付けを行い、送信する。また、複数のAPが、同じデータを伝送する複数のパケットに、それぞれ異なる重み付けを行い、送信する。この構成により、同じデータを伝送する複数のパケットがそれぞれ異なる指向性で送信されることになるので、セルエリア内でより均一な受信品質を保つことが可能となる。
【0393】
ここで、同じデータを伝送する複数のパケットは連続して送信されていなくてもよい。また、複数のアンテナは、複数のAPではなく1台のAPにより備えられていてもよい。このようにした場合であっても、上記と同じ効果を奏することは明らかである。
(2)上記の各実施の形態で説明した通信局側の通信装置の動作の手順をプログラムに記載し、当該プログラムを予めROM(Read Only Memory)に格納しておき、CPU(Central Processing Unit)がROMに記憶された当該プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。また、通信局側の通信装置の動作の手順を記載したプログラムをコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納し、記憶媒体に格納されたプログラムをコンピュータのRAM(Random Access Memory)に記憶して、コンピュータのCPUがRAMに記憶された当該プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0394】
(3)上記の各実施の形態などの各構成は、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、各実施の形態の全ての構成または一部の構成を含むように1チップ化されてもよい。
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0395】
また、集積回路化の手法はLSIに限られるものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
さらに、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適応等が可能性としてあり得る。
【0396】
本明細書において、送信装置を具備しているのは、例えば、放送局、基地局、アクセスポイント、端末、携帯電話(mobile phone)等の通信・放送機器であることが考えられ、このとき、受信装置を具備しているのは、テレビ、ラジオ、端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話、アクセスポイント、基地局等の通信機器であることが考えられる。また、本発明における送信装置、受信装置は、通信機能を有している機器であって、その機器が、テレビ、ラジオ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のアプリケーションを実行するための装置に何らかのインターフェースを解して接続できるような形態であることも考えられる。
【0397】
また、本実施の形態では、データシンボル以外のシンボル、例えば、パイロットシンボル(プリアンブル、ユニークワード、ポストアンブル、リファレンスシンボル等)、制御情報用のシンボルなどが、フレームにどのように配置されていてもよい。そして、ここでは、パイロットシンボル、制御情報用のシンボルと名付けているが、どのような名付け方を行ってもよく、機能自身が重要となっている。
【0398】
パイロットシンボルは、例えば、送受信機において、PSK変調を用いて変調した既知のシンボル(または、受信機が同期をとることによって、受信機は、送信機が送信したシンボルを知ることができてもよい。)であればよく、受信機は、このシンボルを用いて、周波数同期、時間同期、(各変調信号の)チャネル推定(CSI(Channel State Information)の推定)、信号の検出等を行うことになる。
【0399】
また、制御情報用のシンボルは、(アプリケーション等の)データ以外の通信を実現するための、通信相手に伝送する必要がある情報(例えば、通信に用いている変調方式・誤り(消失)訂正符号化方式・誤り(消失)訂正符号化方式の符号化率、上位レイヤーでの設定情報等)を伝送するためのシンボルである。
送信装置 受信装置に対し、送信方法(MIMO、SISO、時空間ブロック符号、インタリーブ方式)、変調方式、誤り訂正符号化方式、パケットレベルの誤り(消失)訂正方式を通知する必要があるが、実施の形態によってはこの点についての記載を省略している。なお、送信装置が送信するフレームに、これらの情報を伝送するシンボルが存在することになり、受信装置はこれを得ることで、動作を変更することになる。
なお、本発明は各実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、各実施の形態では、通信装置として行う場合について説明しているが、これに限られるものではなく、この通信方法をソフトウェアとして行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0400】
本発明の送信方法は、複数の送信装置において、ミリ波の周波数帯域を用いて、無線により送信を行うことができ、無線により通信を行う技術として有用である。
【符号の説明】
【0401】
110 親局
121~124 AP
131~138 端末
202 符号化器
204 インターリーバ
206 マッピング部
208 位相変更部
210 無線部
212 アンテナ
215 アンテナ
217 受信装置
302 送信データ振り分け部
305 受信データ振り分け部
308 指示部
100、1400、1500、1600 無線通信システム
1800、2500、3400、4400 無線通信システム