(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164659
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20231102BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0968 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152486
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2022509290の分割
【原出願日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2020057708
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】福井 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】和泉 将太
(72)【発明者】
【氏名】大沼 洋平
(57)【要約】
【課題】運転の状況に応じて運転者の要求する情報を提示する。
【解決手段】情報処理装置は、移動体の移動に関する情報を提供する。受付部は、情報要求を受け付ける。負荷判定部は、移動体の運転に関する運転者の負荷を判定する。音声出力部は、情報要求に対して、負荷が大きい場合に基本情報を出力し、負荷が小さい場合に基本情報に加えて付加情報を音声出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置であって、
情報要求を受け付ける受付部と、
前記移動体の運転に関する運転者の負荷を判定する負荷判定部と、
前記情報要求に対して、前記負荷が大きい場合に基本情報を出力し、前記負荷が小さい場合に前記基本情報に加えて付加情報を音声出力する音声出力部と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声による経路案内に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、音声による目的地への経路案内を行うナビゲーション装置が知られている。例えば、特許文献1には、現在地から目的地までの距離が小さいほど、音場の広がりを大きくし、かつ、スピーカから出力される音が使用者の頭部に対して目的地の方向から音が聞こえるように定位させることで、現在地から目的地までのおおよその距離や方位を通知する音声ナビゲーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音声により経路案内を行う音声ナビゲーション装置では、基本的に案内経路が表示されていないため、運転者は案内経路に従って正しく走行できているか不安になり、案内経路に関する質問などを行うことが想定される。この場合、音声ナビゲーション装置には、運転の状況に応じて運転者の要求する情報を提示することが求められる。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、運転の状況に応じて運転者の要求する情報を提示することが可能な情報処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置であって、情報要求を受け付ける受付部と、前記移動体の運転に関する運転者の負荷を判定する負荷判定部と、前記情報要求に対して、前記負荷が大きい場合に基本情報を出力し、前記負荷が小さい場合に前記基本情報に加えて付加情報を音声出力する音声出力部と、を備える。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置により実行される情報出力方法であって、情報要求を受け付ける受付工程と、前記移動体の運転に関する運転者の負荷を判定する負荷判定工程と、前記情報要求に対して、前記負荷が大きい場合に基本情報を出力し、前記負荷が小さい場合に前記基本情報に加えて付加情報を音声出力する音声出力工程と、を備える。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置により実行され、移動体の移動に関する情報を提供するプログラムであって、情報要求を受け付ける受付部、前記移動体の運転に関する運転者の負荷を判定する負荷判定部、前記情報要求に対して、前記負荷が大きい場合に基本情報を出力し、前記負荷が小さい場合に前記基本情報に加えて付加情報を音声出力する音声出力部、として前記コンピュータを機能させる。
【0009】
また、請求項に記載の発明は、移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置であって、情報要求を受け付ける受付部と、前記情報要求に対して、前記移動体の走行中、及び、前記移動体が交差点内に位置する場合には次の案内地点の情報を出力し、前記移動体が交差点外で止まっている場合には次の案内地点及び2つ目の案内地点の情報を出力する音声出力部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施例に係る音声案内システムの構成例を示す。
【
図5】第2実施例に係る音声案内システムの構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1つの好適な実施形態では、移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置は、情報要求を受け付ける受付部と、前記移動体の運転に関する運転者の負荷を判定する負荷判定部と、前記情報要求に対して、前記負荷が大きい場合に基本情報を出力し、前記負荷が小さい場合に前記基本情報に加えて付加情報を音声出力する音声出力部と、を備える。
【0012】
上記の情報処理装置は、移動体の移動に関する情報を提供する。受付部は、情報要求を受け付ける。負荷判定部は、移動体の運転に関する運転者の負荷を判定する。音声出力部は、情報要求に対して、負荷が大きい場合に基本情報を出力し、負荷が小さい場合に基本情報に加えて付加情報を音声出力する。これにより、情報要求に対して、運転者の負荷に応じた適切な情報出力が可能となる。
【0013】
上記の情報処理装置の一態様では、前記負荷判定部は、前記移動体の走行中、及び、前記移動体が交差点内に位置するときに前記負荷が大きいと判定し、前記移動体が交差点外で止まっているときに前記負荷が小さいと判定する。
【0014】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記情報要求は、前記移動体の走行に関して次に行うべき行動に関するものであり、前記音声出力部は、前記移動体の走行中には、前記基本情報として次の案内地点の情報を出力し、前記移動体が交差点外で止まっているときには、前記基本情報として次の案内地点を出力し、前記付加情報として2つ目の案内地点の情報を出力する。
【0015】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記情報要求は、前記移動体の走行に関して次に行うべき行動に関するものであり、前記音声出力部は、前記移動体が交差点内に位置するときには、前記基本情報として当該交差点の次の案内地点の情報を出力する。
【0016】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記情報要求は、前記移動体の目的地への到着予定に関するものであり、前記音声出力部は、前記移動体の走行中には、前記基本情報として前記目的地までの残距離及び到着予定時刻の少なくとも一方を出力し、前記移動体が交差点外で止まっているときには、前記基本情報として前記目的地までの残距離及び到着予定時刻の少なくとも一方に加えて、前記付加情報として有料道路の利用に関する情報を出力する。
【0017】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記負荷判定部は、前記移動体が走行する道路の形状、前記移動体の車線変更の要否、前記移動体周辺の交通状況、及び、前記運転者の生体情報の少なくとも一つに基づいて、前記負荷を判定する。
【0018】
本発明の他の実施形態では、移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置により実行される情報出力方法は、情報要求を受け付ける受付工程と、前記移動体の運転に関する運転者の負荷を判定する負荷判定工程と、前記情報要求に対して、前記負荷が大きい場合に基本情報を出力し、前記負荷が小さい場合に前記基本情報に加えて付加情報を音声出力する音声出力工程と、を備える。これにより、情報要求に対して、運転者の負荷に応じた適切な情報出力が可能となる。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態では、コンピュータを備える情報処理装置により実行され、移動体の移動に関する情報を提供するプログラムは、情報要求を受け付ける受付部、前記移動体の運転に関する運転者の負荷を判定する負荷判定部、前記情報要求に対して、前記負荷が大きい場合に基本情報を出力し、前記負荷が小さい場合に前記基本情報に加えて付加情報を音声出力する音声出力部、として前記コンピュータを機能させる。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の情報処理装置を実現することができる。このプログラムは記憶媒体に記憶して使用することができる。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態では、移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置は、情報要求を受け付ける受付部と、前記情報要求に対して、前記移動体の走行中、及び、前記移動体が交差点内に位置する場合には次の案内地点の情報を出力し、前記移動体が交差点外で止まっている場合には次の案内地点及び2つ目の案内地点の情報を出力する音声出力部と、を備える。
【0021】
上記の情報処理装置は、移動体の移動に関する情報を提供する。受付部は情報要求を受け付ける。音声出力部は、情報要求に対して、移動体の走行中、及び、移動体が交差点内に位置する場合には次の案内地点の情報を出力し、移動体が交差点外で止まっている場合には次の案内地点及び2つ目の案内地点の情報を出力する。
【実施例0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な各実施例について説明する。
<第1実施例>
[システム構成]
図1は、本発明の情報処理装置の第1実施例に係る音声案内システムの構成例を示す。音声案内システムは、車両Veと、音声案内装置1とを有する。
【0023】
音声案内装置1は、車両Veと共に移動し、案内対象となる経路(「案内経路」とも呼ぶ。)に沿って車両Veが走行するように、音声を主とした経路案内を行う。なお、「音声を主とした経路案内」は、案内経路に沿って車両Veを運転するために必要な情報をユーザが少なくとも音声のみから把握可能な経路案内を指し、音声案内装置1が現在位置周辺の地図などを補助的に表示することを除外するものではない。本実施例では、音声案内装置1は、少なくとも、案内が必要な経路上の地点(「案内地点」とも呼ぶ。)に関する情報を音声により出力する。ここで、案内地点は、例えば車両Veの右左折を伴う交差点、その他、案内経路に沿って車両Veが走行するために重要な通過地点が該当する。音声案内装置1は、例えば、車両Veから次の案内地点までの距離、当該案内地点での進行方向などの案内地点に関する音声案内を行う。以後では、案内経路に対する案内に関する音声を「経路音声案内」とも呼ぶ。
【0024】
なお、音声案内装置1は、車両Veに備え付けられた又は取り付けられた車載機であってもよく、スマートフォンなどの車内に持ち込まれて利用される携帯端末であってもよい。さらに別の例では、音声案内装置1は、車両Veに組み込まれてもよい。音声案内装置1は、「情報処理装置」の一例である。また、車両Veは、「移動体」の一例である。
【0025】
[装置構成]
図2は、音声案内装置1の概略構成の一例を示す。音声案内装置1は、主に、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、制御部14と、センサ群15と、表示部16と、音声出力部17と、を有する。音声案内装置1内の各要素は、バスライン10を介して相互に接続されている。
【0026】
通信部11は、制御部14の制御に基づき、他の端末とのデータ通信を行う。通信部11は、例えば、後述する地
図DB(DataBase)4を更新するための地図データを図示しない地図管理サーバから受信してもよい。
【0027】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部12には、音声案内装置1が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。上述のプログラムは、経路案内を音声により行うためのアプリケーションプログラム、音楽を再生するためのアプリケーションプログラム、音楽以外のコンテンツ(テレビ等)を出力するためのアプリケーションプログラムなどを含んでもよい。また、記憶部12は、制御部14の作業メモリとして使用される。なお、音声案内装置1が実行するプログラムは、記憶部12以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0028】
また、記憶部12は、地
図DB(DataBase)4を記憶する。地
図DB4には、経路案内に必要な種々のデータが記録されている。地
図DB4は、例えば、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ、及び、目的地、立寄地、又はランドマークの候補となる施設を示す施設データなどを含むデータベースである。地
図DB4は、制御部14の制御に基づき、通信部11が地図管理サーバから受信する地図情報に基づき更新されてもよい。
【0029】
入力部13は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等である。表示部16は、制御部14の制御に基づき表示を行うディスプレイ等である。音声出力部17は、制御部14の制御に基づき音を出力するスピーカ等である。
【0030】
センサ群15は、外界センサ18と、内界センサ19とを含む。外界センサ18は、例えば、カメラ、ライダ、レーダ、超音波センサ、赤外線センサ、ソナーなどの車両Veの周辺環境を認識するための1又は複数のセンサである。内界センサ19は、車両Veの測位を行うセンサであり、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、ジャイロセンサ、IMU(Inertial Measurement Unit)、車速センサ、又はこれらの組合せである。なお、センサ群15は、制御部14がセンサ群15の出力から車両Veの位置を直接的に又は間接的に(即ち推定処理を行うことによって)導出可能なセンサを有していればよい。
【0031】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などを含み、音声案内装置1の全体を制御する。例えば、制御部14は、センサ群15の1又は複数のセンサの出力に基づき、車両Veの位置(進行方向の向きも含む)を推定する。また、制御部14は、入力部13により目的地が指定された場合に、当該目的地までの経路である案内経路を示す経路情報を生成し、当該経路情報と推定した車両Veの位置情報と地
図DB4とに基づき、経路案内を行う。この場合、制御部14は、音声出力部17を制御することで、経路音声案内を音声出力部17に出力させる。また、制御部14は、表示部16を制御することで、再生中の音楽の情報、映像コンテンツ、又は現在位置周辺の地図などの表示を行う。
【0032】
上記の構成において、入力部13は受付部の一例であり、制御部14は負荷判定部の一例である。
【0033】
なお、制御部14が実行する処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、制御部14が実行する処理は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、制御部14が本実施例において実行するプログラムを実現してもよい。このように、制御部14は、プロセッサ以外のハードウェアにより実現されてもよい。
【0034】
図2に示す音声案内装置1の構成は一例であり、
図2に示す構成に対して種々の変更がなされてもよい。例えば、地
図DB4を記憶部12が記憶する代わりに、制御部14が通信部11を介して経路案内に必要な情報を、図示しない地図管理サーバから受信してもよい。他の例では、音声案内装置1は、音声出力部17を備える代わりに、音声案内装置1とは別体に構成された音声出力部17と電気的に、または公知の通信手段によって接続することで、当該音声出力部17に音声の出力を実行させてもよい。この場合、音声出力部17は、車両Veに備えられたスピーカであってもよい。さらに別の例では、音声案内装置1は、表示部16を備えなくともよい。この場合、音声案内装置1は、表示に関する制御を全く行わなくともよく、有線又は無線により、車両Ve等に備えられた表示部と電気的に接続することで、当該表示部に所定の表示を実行させてもよい。同様に、音声案内装置1は、センサ群15を備える代わりに、車両Veに備え付けられたセンサが出力する情報を、車両VeからCAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに基づき取得してもよい。
【0035】
[情報要求]
本実施例では、ユーザは入力部13を操作して、案内経路に関する情報要求を行う。例えば、ユーザは、入力部13を構成するボタンを押したあと、音声入力により情報要求を行う。なお、ここでの「ユーザ」は、車両Veの運転者でもよく、同乗者でもよい。情報要求は、案内経路に関する情報を要求するものであり、具体的には、「次に行うべき行動」、「目的地への到着予定」及び「目的地の場所」に関するものを含む。なお、これら以外の情報要求が行われてもよい。
【0036】
音声案内装置1は、上記のような情報要求に対して、音声出力部17から案内情報を音声出力することにより応答する。ここで、本実施例では、音声案内装置1は、情報要求がなされた時点における運転者の運転負荷に応じて、出力する案内情報の情報量を変更する。具体的には、音声案内装置1は、運転者の運転負荷が大きいときには基本的な情報(以下、「基本情報」と呼ぶ。)のみを出力し、運転者の運転負荷が小さいときには、基本情報に加えて付加情報を出力する。これは、運転負荷が大きいときは運転者の注意力を損なわないように情報量を最小とする一方、運転負荷が小さいときは運転者に余裕があるので、付加的な情報を提供するためである。なお、基本情報及び付加情報の内容は、ユーザによる情報要求の内容に依存する。
【0037】
図4は、ユーザの情報要求に対する案内情報の例を示す。図示のように、案内情報は、情報要求の種類毎に、かつ、車両の走行状態に応じて用意される。以下、情報要求の種類毎に説明する。
【0038】
(1)次に行うべき行動
次に行うべき行動に関するユーザの情報要求は、例えば「次どこを曲がるの?」などである。車両の走行中など、運転負荷が大きい場合、音声案内装置1は、基本情報として次の案内地点の情報のみを出力し、付加情報を出力しない。一方、交差点外での車両の駐車中、停車中など、運転負荷が小さい場合、音声案内装置1は、基本情報として次の案内地点の情報を出力し、さらに付加情報としてその先(2つ目)の案内地点の情報を出力する。なお、運転負荷が大きい場合のうち、車両が案内地点の交差点に進入しているときには、音声案内装置1は、基本情報としてその先(2つ目)の案内地点の情報を出力する。即ち、車両が既に案内地点の交差点に進入済みの場合は、その案内地点の情報を出力しても意味がないので、音声案内装置1は、その次の案内地点の情報を基本情報として出力する。
【0039】
(2)目的地への到着予定
目的地への到着予定に関するユーザの情報要求は、例えば「あとどれぐらいで到着?」などである。車両の走行中など、運転負荷が大きい場合、音声案内装置1は、基本情報として目的地までの残距離及び到着時刻の少なくとも一方のみを出力し、付加情報を出力しない。一方、交差点外での車両の駐車中、停車中など、運転負荷が小さい場合、音声案内装置1は、基本情報として目的地までの残距離及び到着時刻の少なくとも一方を出力し、さらに付加情報として有料道路利用の有無や、次に使うインターチェンジ(IC)の情報を出力する。
【0040】
(3)目的地の場所
目的地の場所に関するユーザの情報要求は、例えば「目的地はどっち方向?」などである。この場合、ユーザから要求された情報について特に付加情報が必要ではないので、音声案内装置1は、運転負荷に拘わらず、基本情報として目的地の方向を出力する。
【0041】
以上のように、本実施例では、ユーザの情報要求に対して、運転者の運転負荷に応じて出力する情報量を変化させる。これにより、運転の状態に応じて、要求された情報を提供することが可能となる。
【0042】
[情報出力処理]
図4は、第1実施例に係る情報出力処理のフローチャートである。音声案内装置1は、入力部13を通じてユーザの情報要求を取得すると(ステップS11)、その情報要求が目的地の場所に関するものであるか否かを判定する(ステップS12)。情報要求が目的地の場所に関するものである場合(ステップS12:Yes)、音声案内装置1は、目的地の方向を示す基本情報を出力し(ステップS17)、処理を終了する。
【0043】
一方、情報要求が目的地の場所に関するものでない場合(ステップS12:No)、音声案内装置1は、情報要求が次に行うべき行動又は目的地への到着予定に関するものであるか否かを判定する(ステップS13)。情報要求が次に行うべき行動又は目的地への到着予定に関するものでない場合(ステップS13:No)、音声案内装置1は処理を終了する。
【0044】
一方、情報要求が次に行うべき行動又は目的地への到着予定に関するものである場合(ステップS13:Yes)、音声案内装置1は、車両Veの走行状態に基づき、運転負荷を判定する(ステップS14)。具体的には、音声案内装置1は、
図4に示す例に従い、走行状態に応じて運転負荷を判定する。そして、音声案内装置1は、運転負荷が大きいか否かを判定する(ステップS15)。運転負荷が大きい場合(ステップS15:Yes)、音声案内装置1は、基本情報のみを出力する(ステップS17)。即ち、情報要求が次に行うべき行動に関するものであった場合、音声案内装置1は、次の案内地点のみを出力する。但し、車両が案内対象交差点に進入している場合には、音声案内装置1は、その先(2つ目)の案内地点のみを出力する。また、情報要求が目的地への到着予定に関するものであった場合、音声案内装置1は、目的地までの残距離及び到着時刻のみを出力する。
【0045】
一方、運転負荷が小さい場合(ステップS15:No)、音声案内装置1は、基本情報に加えて付加情報を出力する(ステップS16)。即ち、情報要求が次に行うべき行動に関するものであった場合、音声案内装置1は、次の案内地点に加えて、その先(2つ目)の案内地点を出力する。また、情報要求が目的地への到着予定に関するものであった場合、音声案内装置1は、目的地までの残距離及び到着時刻に加えて、有料道路利用の有無及び次に使うICを出力する。そして、処理は終了する。
【0046】
<第2実施例>
図5は、第2実施例に係る音声案内システムの構成例である。第2実施例に係る音声案内システムは、主に、車両Veと、音声案内装置1Aと、サーバ装置2とを有する。なお、第1実施例と同様の構成要素については、第1実施例の構成要素と適宜同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
音声案内装置1Aは、上述の第1実施例において説明した音声案内装置1と同様の構成(
図2参照)を有する。なお、第2実施例では、地
図DB4に基づく経路探索処理及び経路案内処理をサーバ装置2が行うため、音声案内装置1Aは、地
図DB4を有しなくともよい。そして、音声案内装置1Aは、ユーザにより目的地等を指定する入力を入力部13により検知した場合に、センサ群15が出力する車両Veの位置情報、及び、指定された目的地に関する情報などを含むアップロード信号「S1」をサーバ装置2に送信する。また、音声案内装置1Aは、ユーザが情報要求を行うと、その情報要求の内容又は種類を示す情報、及び、車両Veの走行状態に関する情報を含むアップロード信号S1をサーバ装置2に供給する。また、音声案内装置1Aは、車両Veの走行時において、サーバ装置2から音声出力に関する制御信号「S2」を受信した場合、制御信号S2に基づき、音声出力部17により音声出力を行う。この場合、音声案内装置1Aは、制御信号S2に基づき、ユーザの情報要求に対する情報出力を行う。
【0048】
サーバ装置2は、音声案内装置1Aから受信する目的地等を含むアップロード信号S1に基づき、車両Veが走行すべき案内経路を示す経路情報を生成する。そして、サーバ装置2は、その後に音声案内装置1Aが送信するアップロード信号S1が示すユーザの情報要求及び車両Veの走行状態に基づき、ユーザの情報要求に対する情報出力に関する制御信号S2を生成する。そして、サーバ装置2は、生成した制御信号S2を、音声案内装置1Aに送信する。
【0049】
図6は、サーバ装置2の概略構成の一例を示す。サーバ装置2は、主に、通信部21と、記憶部22と、制御部24とを有する。サーバ装置2内の各要素は、バスライン20を介して相互に接続されている。
【0050】
通信部21は、制御部24の制御に基づき、音声案内装置1Aなどの外部装置とのデータ通信を行う。記憶部22は、RAM、ROM、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部22は、サーバ装置2が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部22は、地
図DB4を含んでいる。制御部24は、CPU、GPUなどを含み、サーバ装置2の全体を制御する。また、制御部24は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することで、上述の実施例において説明した音声案内装置1の処理の少なくとも一部を実行する。例えば、制御部24は、音声案内装置1Aから通信部21を介して受信するアップロード信号S1に基づき、案内経路を示す経路情報の生成、及び、ユーザの情報要求に対する情報出力に関する制御信号S2の生成を行う。そして、制御部24は、生成した制御信号S2を、通信部21により音声案内装置1Aに送信する。
【0051】
ここで、サーバ装置2は、アップロード信号S1及び地
図DB4に基づき、
図4に示すフローチャートの処理を実行する。この場合、サーバ装置2は、ユーザの情報要求及び車両の走行状態に関する情報を含むアップロード信号S1に基づき、ステップS12~S17の処理を行い、ユーザの情報要求に対する情報出力に関する制御信号S2を生成して音声案内装置1Aへ送信する。
【0052】
このように、サーバ装置2が経路案内に関する音声案内装置1Aの制御を実質的に行う場合であっても、音声案内システムは、第1実施例と同様に、ユーザの情報要求に対して、運転負荷に応じた適切な情報量の情報出力を行うことができる。第2実施例において、サーバ装置2は、「情報処理装置」の一例である。
【0053】
<変形例>
以下、上記の実施例に対する変形例を説明する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実施することができる。
(変形例1)
上記の実施例では、音声案内装置1又は1Aは、
図3に示すように、ユーザの情報要求に対して、運転負荷に応じて基本情報のみ、又は、基本情報と付加情報を出力している。このように出力すべき情報を基本情報と付加情報に分割して用意する代わりに、情報量の小さい情報と大きい情報を用意しておき、運転負荷に応じてその一方を選択して出力してもよい。具体的には、
図3に示す基本情報のみの内容を含む情報を情報量の小さい情報として用意し、
図3に示す基本情報と付加情報の内容を含む情報を情報量の大きい情報として用意する。そして、音声案内装置1又は1Aは、運転負荷が大きいときは情報量の小さい情報を出力し、運転負荷が小さいときには情報量の大きい情報を出力すればよい。
【0054】
(変形例2)
上記の実施例では、音声案内装置1は、主として車両Veが走行中であるか、駐停車中であるかに基づいて運転負荷を判定している。その代わりに、音声案内装置1は、車両Veが走行する道路の形状に基づいて運転負荷を判定してもよい。この場合、音声案内装置1は、走行する道路形状が複雑であれば運転負荷が大きいと判定し、道路形状が単純であれば運転負荷が小さいと判定すればよい。また、音声案内装置1は、車両Veの車線変更の要否に基づいて運転負荷を判定してもよい。この場合、音声案内装置1は、車線変更が必要な場合に運転負荷が大きいと判定し、車線変更が不要な場合に運転負荷が小さいと判定すればよい。また、音声案内装置1は、車両Veの周辺の交通状況に基づいて運転負荷を判定してもよい。この場合、音声案内装置1は、車両Veの周辺が混雑していれば運転負荷が大きいと判定し、周辺がすいていれば運転負荷が小さいと判定すればよい。さらに、音声案内装置1は、運転者の生体情報に基づいて、運転負荷を判定してもよい。この場合、音声案内装置1は、運転者の心拍数や発汗状態などをステアリングなどから検出し、運転者が興奮状態にある場合には運転負荷が大きいと判定し、運転者が落ち着いている場合には運転負荷が小さいと判定すればよい。
【0055】
(変形例3)
上記の実施例では、情報要求は音声入力によってなされたが、例えばあらかじめ設定されたハードウェアまたはソフトウェアの情報要求ボタンによって行われてもよい。
【0056】
なお、上述した各実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータである制御部等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0057】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。