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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164679
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20231102BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
F25D29/00 Z
F25D23/00 301R
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023154044
(22)【出願日】2023-09-21
(62)【分割の表示】P 2019158455の分割
【原出願日】2019-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】青山 遥
(72)【発明者】
【氏名】浅田 尚志
(57)【要約】
【課題】スピーカを備えている冷蔵庫においてスピーカの耐久性を向上させる。
【解決手段】冷蔵庫1は、断熱箱体(冷蔵庫本体部)10と、断熱箱体10の上面に配置されているスピーカ70とを備えている。この冷蔵庫1では、スピーカ70が側方に向けて音を発するように構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体部と、
前記冷蔵庫本体部の上面に配置され、前方に向けて音を発するスピーカと、
前記スピーカよりも前方で、かつ前記スピーカと対向する部分に配置され、前方に向かうにつれて上方に傾斜する傾斜部と、を備える、冷蔵庫。
【請求項2】
前記スピーカの上方を覆うとともに、前記スピーカと前記傾斜部との間に垂直壁が設けられたカバー部を備え、
前記垂直壁は、前記スピーカから発せられた音が通過するスピーカ穴が形成される、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記カバー部の内部において、前記スピーカと前記スピーカ穴が形成された前記垂直壁との間には、下方に向かう段差部が設けられる、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記スピーカ穴が形成された前記垂直壁と前記傾斜部との間に溝部を有する、請求項2または請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記傾斜部の左右方向における幅は、前記スピーカ穴の左右方向における幅よりも大きい、請求項2から請求項4の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記スピーカの発音部を間に挟んだ両側に位置し、前記発音部よりも前方に突出するガイド部を有する、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記冷蔵庫本体部の貯蔵室を閉じる扉を備え、
前記スピーカは、前記扉の左右方向における中央部に位置する、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカを備えている冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には、警告音や音声などを発生させることのできるスピーカを備えているものがある。例えば、特許文献1には、冷蔵庫上部前面のヒンジカバー35内の凹部ケース40に設けた基板上に警告音を発するスピーカ42が配置された冷蔵庫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-85071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、冷蔵庫の上面に配置されたスピーカ42から上方に向けて警告音を発生させる。しかし、スピーカの発音部が上方に向いていると、上方から冷蔵庫の上面に水などがかけられた場合にスピーカが故障しやすくなる。
【0005】
そこで、本発明では、スピーカの耐久性を向上させることのできる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫は、冷蔵庫本体部と、前記冷蔵庫本体部の上面に配置され、前方に向けて音を発するスピーカと、前記スピーカよりも前方で、かつ前記スピーカと対向する部分に配置され、前方に向かうにつれて上方に傾斜する傾斜部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一局面によれば、スピーカを備えている冷蔵庫において、明瞭な音声を冷蔵庫の前方に指向させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる冷蔵庫の外観を示す正面図である。
図2図1に示す冷蔵庫に備えられた上部取付部材の構成を示す斜視図である。
図3図1に示す冷蔵庫に備えられた上部取付部材の構成を示す上面図である。
図4図2に示す上部取付部材の内部構成を示す斜視図である。
図5図2に示す上部取付部材の内部構成を示す断面斜視図である。図3のB-B線に相当する部分の断面構成を示す図である。
図6図3に示す上部取付部材のA-A線部分の内部構成を示す断面図である。
図7図3に示す上部取付部材のB-B線部分の内部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
〔第1の実施形態〕
本実施形態では、本発明の一態様にかかる冷蔵庫として、冷蔵庫本体部の上面にスピーカおよび人検知センサを備えている冷蔵庫を例に挙げて説明する。
【0011】
<冷蔵庫の全体構成>
図1には、本実施形態にかかる冷蔵庫1の正面側の構成を示す。冷蔵庫1の本体部の外形は、主として、断熱箱体(冷蔵庫本体部)10で形成されている。冷蔵庫1は、上段に第1の冷蔵室、中段に第2の冷蔵室(野菜室)、および下段に第1の冷凍室を備えている。また、冷蔵庫1の中段には、製氷室および第2の冷凍室も備えられている。
【0012】
なお、冷蔵庫1における各貯蔵室の構成や配置は、上記のものに限定はされない。各貯蔵室の構成および配置は、冷蔵庫の容量、用途などに応じて適宜変更することができる。
【0013】
また、上段の第1の冷蔵室には、冷蔵室扉11が設けられている。冷蔵室扉11は、左右何れの端部からも開閉することのできる両開き式の扉である。そのため、冷蔵室扉11の左右両側の端部には、冷蔵室扉11を開閉する際の取っ手として機能する把持部82がそれぞれ設けられている。具体的には、左側の把持部82aは、冷蔵室扉11の左側端部に設けられている。また、右側の把持部82bは、冷蔵室扉11の右側端部に設けられている。
【0014】
中段の第2の冷蔵室(野菜室)には、引き出し式の冷蔵室扉13が設けられている。下段の第1の冷凍室には、引き出し式の冷凍室扉14が設けられている。また、中段の製氷室および第2の冷凍室には、引き出し式の製氷室扉15または冷凍室扉16がそれぞれ設けられている。
【0015】
なお、冷蔵庫1における各扉の構成は、上記のものに限定はされない。各貯蔵室の扉は、各貯蔵室の構造、用途、位置などに応じて、例えば、左右両側から開閉可能な方式、観音開き方式、左右の何れかの端部から開閉する方式、引き出し方式などを適宜採用することができる。
【0016】
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面(正面)とする。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1および断熱箱体10の各面を、上面、側面、後面(背面)、及び底面とする。また、冷蔵庫1(あるいは、断熱箱体10、上部取付部材12など)を正面側から見た状態で、左に位置する側を冷蔵庫1などの左側と呼び、右に位置する側を冷蔵庫1などの右側と呼ぶ。
【0017】
断熱箱体10の上面には、上部取付部材12が配置されている。上部取付部材12内には、人検知センサ51、スピーカ70、およびヒンジ補強部81(81aおよび81b)などが設けられている(図4参照)。
【0018】
人検知センサ51は、冷蔵庫1の正面に人がいるか否かを検知する。人検知センサ51が検知した人の存在の有無に関する情報は、冷蔵庫1内の制御部(図示せず)に送信される。人検知センサ51は、例えば、測距センサ、赤外線センサなどで構成される。
【0019】
スピーカ70は、各種の報知音または音声メッセージなどの音をユーザに対して発することができる。本実施形態では、スピーカ70は、水平方向、すなわち側方(具体的には、前方)に向けて音を発するように構成されている。
【0020】
ヒンジ補強部81は、冷蔵庫1の左側のヒンジ部を構成する左側のヒンジ補強部81aと、冷蔵庫1の右側のヒンジ部を構成する右側のヒンジ補強部81bとで構成されている。各ヒンジ補強部81aおよび81bには、ヒンジピンなどが取り付けられてヒンジ部を構成するとともに、金属の板状部材を含み、ヒンジ部の強度を向上させる。
【0021】
<上部取付部材の構成>
続いて、上部取付部材12の構成について説明する。図2には、上部取付部材12の外観を示す。図3には、上部取付部材12の上面の構成を示す。図4には、上部取付部材12の内部の構成を示す。図4は、上部取付部材12からカバー部材22を取り外した状態の図である。図5は、上部取付部材12に設けられた排水機構60周辺の構成を示す斜視断面図である。
【0022】
上部取付部材12の外形は、主として、ベース部材21と、カバー部材22とで構成されている。ベース部材21およびカバー部材22は、例えば、樹脂材料を所定の形状に加工することによって形成される。ベース部材21は、主に、上部取付部材12の下面(底面)を構成する。カバー部材22は、主に、上部取付部材12の上面を構成する。カバー部材22は、ベース部材21の上方部分を覆うように配置されている。
【0023】
ベース部材21とカバー部材22とで外形が形成された上部取付部材12の内部には、人検知センサ51、スピーカ70、およびヒンジ補強部81(81aおよび81b)などが配置されている(図4参照)。
【0024】
なお、別の実施態様では、ベース部材21が設けられておらず、断熱箱体10の上面上に直接、人検知センサ51、スピーカ70などが設置され、これらを覆うようにカバー部材22が設けられている構成も可能である。
【0025】
人検知センサ51は、上部取付部材12の前面側に配置されている。図1に示すように、人検知センサ51は、左右方向の略中央部に配置されている。図4に示すように、人検知センサ51は、ベース部材21の底面上に、ベース部材21の前面壁21aに沿うように取り付けられている。
【0026】
冷蔵庫1に人検知センサ51が備えられていることで、冷蔵庫1の前面側の所定範囲内(人検知センサ51の検知範囲内)に人がいるか否かを検知することができる。人検知センサ51が冷蔵庫1の周囲において人の存在を検知すると、冷蔵庫1内の制御部は、この情報に基づいて、スピーカ70が音声メッセージなどを発するように制御することができる。
【0027】
スピーカ70は、上部取付部材12の後方側(後面側)に配置されている。具体的には、スピーカ70は、ベース部材21の後方側の左右方向の略中央部に配置されている。冷蔵庫1を正面側から見たときに、スピーカ70は、人検知センサ51の後方側に位置し、正面視で人検知センサ51と重なるように配置されている。スピーカ70がベース部材21の後方側の左右方向の略中央部に配置されていることで、冷蔵庫1の正面の中央位置に立った人に向けて、スピーカ70(具体的には、スピーカ穴31)から音声を出力させることができる。
【0028】
左側のヒンジ補強部81aは、上部取付部材12の前面側の左側端部に配置されている。具体的には、左側のヒンジ補強部81aは、ベース部材21の底面の前方左側の角部分に配置されている。
【0029】
右側のヒンジ補強部81bは、上部取付部材12の前面側の右側端部に配置されている。具体的には、右側のヒンジ補強部81bは、ベース部材21の底面の前方右側の角部分に配置されている。
【0030】
<スピーカおよび排水機構の構成>
続いて、スピーカ70およびその周辺のより詳しい構成について説明する。図6には、上部取付部材12内部のスピーカ70周辺の構造を示す。図6は、図3に示す上部取付部材12のA-A線部分の断面構成を示す図である。図7には、排水機構60を構成する凹部32周辺の構造を示す。図7は、図3に示す上部取付部材12のB-B線部分の断面構成を示す図である。
【0031】
スピーカ70は、発音部72を有している。発音部72は、スピーカ70の本体部の一側面に配置されている。本実施形態では、発音部72は、冷蔵庫1および上部取付部材12の正面と同じ側に位置するスピーカ70の本体部の側面に設けられている。
【0032】
発音部72がスピーカ70の本体部の一側面に配置されていることで、発音部72は、側方に向けて音を発することができる。ここで、側方とは、冷蔵庫1を水平面に配置した状態における水平方向のことを意味する。また、ここで、側方とは、前方向、後方向、右方向、左方向、およびこれら方向の間の斜め方向の少なくとも一方向を含む意味で用いられる。
【0033】
本実施形態のように、発音部72がスピーカ70の本体部の正面側の側面に設けられていることで、図6において矢印Aで示すように、スピーカ70は、冷蔵庫1の正面から前方へ向けて音声を発することができる。
【0034】
図6に示すように、スピーカ70の上方は、カバー部材22で覆われている。また、発音部72の前方側には、カバー部材22の一部である垂直壁31aが設けられている。この垂直壁31aには、発音部72と対応する位置(正面視で発音部72と重なる領域)にスピーカ穴31が形成されている。スピーカ穴31は、複数の小さな穴で構成されている。
【0035】
スピーカ70の前方側(すなわち、スピーカ70に対してスピーカ穴31が位置する側)には、排水機構60が設けられている。排水機構60は、例えば、冷蔵庫1の上方から水などの液体がかかった場合などに、スピーカ70に液体が到達するのを回避させるための機構である。
【0036】
排水機構60は、傾斜部73、ガイド部74aおよび74b、段差部75、並びに凹部32などで構成される。排水機構60は、スピーカ穴31が形成されている垂直壁31aを間に挟んで、その前後方向の領域に形成されている。
【0037】
傾斜部73は、スピーカ70とスピーカ穴31との間に設けられている。傾斜部73は、スピーカ70の発音部72側からスピーカ穴31側へ向かって延びている。傾斜部73は、発音部72側からスピーカ穴31側へ向かって下方に傾斜する勾配を有している(図6参照)。
【0038】
ガイド部74aおよび74bは、傾斜部73を間に挟んで対向する位置に配置されている。ガイド部74aおよび74bは、傾斜部73の傾斜面よりも高く形成されている。図4に示すように、傾斜部73の左右両側にガイド部74aおよび74bによる側壁が形成される。このような構成により、スピーカ70の発音部72から発せられた音声が左右両側に拡散することを抑制することができる。したがって、発音部72から発せられた音声を、効率的にスピーカ穴31へ導くことができる。
【0039】
段差部75は、傾斜部73の前方側に設けられている。段差部75は、傾斜部73の最下面からさらに下方へ向かう段差を有している。本実施形態では、傾斜部73、ガイド部74aおよび74b、並びに段差部75は、ベース部材21と一体的に形成されている。
【0040】
このように、排水機構60には、スピーカ70の前方側において、発音部72よりも下方に位置する傾斜部73および段差部75を有している。これにより、冷蔵庫1の上方から水などがかかった場合に、スピーカ穴31からカバー部材22の内部に入り込んだ水を、スピーカ70よりも下方に位置する傾斜部73および段差部75の方へ排出させることができる。段差部75には貫通穴が形成されており、段差部75へと排出された水などの液体は貫通穴からカバー部材22の外部に排出される(図6の矢印B参照)。なお、本実施形態では、貫通孔にはベース部材21に設けられた係合爪が挿入されており、カバー部材22をベース部材21に係止する機能も有している。
【0041】
凹部32は、スピーカ穴31の前方に位置している(図2参照)。凹部32には、その底部に、ベース部材21を貫通する排水口35を構成する開口部32aが形成されている。この開口部は、ベース部材21に形成された開口部32bと連通している。このように、カバー部材22の凹部32の底部に形成された開口部32aと、ベース部材21に形成された開口部32bとで、排水口35が形成される(図7参照)。排水口35は、凹部32へ浸入した水などの液体を上部取付部材12の外部へ排出させる。
【0042】
以上のように、排水機構60の一部は、スピーカ70の発音部72と、スピーカ穴31との間に設けられている。これにより、万一、スピーカ穴31からスピーカ70が配置されている空間内に水などの液体が浸入した場合に、浸入した液体が発音部72に到達する前に、排水機構60からスピーカ70の配置空間の外へ液体を排出させることができる。
【0043】
<カバー部材の構成>
続いて、カバー部材22のより詳細な構成について説明する。ここでは特に、カバー部材22の上面に形成されている排水溝23およびその周辺の構造について説明する。
【0044】
図2および図3に示すように、カバー部材22の上面は、主として、前方部22a、後方部22b、および溝部22cで形成されている。
【0045】
前方部22aは、上部取付部材12の前方側を構成している。前方部22aの下方には、左右両端部にヒンジ補強部81aおよび81bが配置されており、中央部に人検知センサ51が配置されている。
【0046】
後方部22bは、上部取付部材12の後方側を構成している。後方部22bの下方には、スピーカ70が配置されている。
【0047】
溝部22cは、前方部22aと後方部22bとの間に位置している。前方部22aと後方部22bとは、面一に形成されており、溝部22cは、前方部22aおよび後方部22bから一段下方に凹んだ位置に形成されている。前方部22aと溝部22cとの境界には、傾斜部22dが形成されている。また、後方部22bと溝部22cとの境界には垂直壁31aが形成されている。溝部22c、傾斜部22d、および垂直壁31aによって排水溝23が形成されている。
【0048】
排水溝23は、その中央部分が左右方向に延びているとともに、その左右両端の部分が斜め後方側へ延びている。左右方向に延びる排水溝23の略中央には、凹部32が形成されている。
【0049】
凹部32の周囲には、第1傾斜面33、第2傾斜面34a、および第3傾斜面34bが形成されている。第1傾斜面33は、スピーカ穴31の真正面に位置しており、前方へ向かって下方に傾斜している(図2および図6など参照)。第2傾斜面34aは、正面から見て第1傾斜面33の左側に位置しており、左側へ向かって下方に傾斜している(図2および図6など参照)。第3傾斜面34bは、正面から見て第1傾斜面33の右側に位置しており、右側へ向かって下方に傾斜している(図2および図6など参照)。
【0050】
このように、第1傾斜面33、第2傾斜面34a、および第3傾斜面34bは、スピーカ穴31から外側へ向かって下方に傾斜する勾配を有している。これにより、スピーカ穴31の近傍に水などがかかった場合に、スピーカ穴31から遠ざかる方向へ水を排出することができる。第1傾斜面33などの勾配に沿って溝部22cへ流れ落ちた水は、溝部22cの形状に沿って外方向へ流れ、最終的にカバー部材22の左右何れかの端部から外部へ排出される。
【0051】
なお、第1傾斜面33の略中央位置には、排水口35を有する凹部32が形成されている(図3参照)。そのため、スピーカ穴31により近い位置に浸入した水については、凹部32に入り込み、底部の排水口35から外部へ排出される。
【0052】
スピーカ穴31は、排水溝23を形成している垂直壁31aに形成されている。すなわち、スピーカ穴31は、排水溝23を形成している後方側の壁に形成されている。これにより、スピーカ穴31の上方から水などがかかった場合であっても、スピーカ穴31の内部(すなわち、スピーカ70が配置されている空間)に水が浸入しにくい構成とすることができる。
【0053】
一方、排水溝23の前方側の壁は、傾斜部22dとなっている。これにより、カバー部材22の前方部22aに水がかかった場合に、傾斜部22dの勾配に沿って溝部22c側へ水を誘導することができる。また、図6に示すようにスピーカ穴31の前方に傾斜部22dが位置するため、スピーカ70の発音部72から発せられた音声が傾斜部22dによって前方上方に曲がるように指向する。このため、カバー部材22に音声がぶつかって後方に反射したり、カバー部材22が共振して振動音を発したりすることなどを防止でき、スピーカ70をカバー部材22よりも上方に突出させなくとも、明瞭な音声を冷蔵庫1の前方に指向させることができる。
【0054】
(まとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1の断熱箱体10には、その上面に上部取付部材12が配置されている。上部取付部材12の内部には、スピーカ70、人検知センサ51などが配置されている。
【0055】
スピーカ70は、側方に向けて音を発するように構成されている。すなわち、スピーカ70の発音部72が、スピーカ70の本体部の側方側に配置されている。スピーカ70を備えている冷蔵庫1において、スピーカ70が側方に向けて音を発することで、冷蔵室扉11側に位置するユーザがスピーカ70の音声をより聞こえやすくすることができる。また、スピーカ70の発音部72が側方側に配置されていることで、発音部が上方を向いている場合と比較して、冷蔵庫の上方から水などがかかった場合に、発音部72に水がかかりにくくなる。したがって、スピーカ70の耐久性を向上させることができる。
【0056】
本実施形態では、スピーカ70の発音部72は、冷蔵庫1および上部取付部材12の正面と同じ側に位置するスピーカ70の本体部の側面に設けられている。この構成によれば、冷蔵庫1の正面に向けて音を発することができる。
【0057】
さらに、本実施形態では、人検知センサ51とスピーカ70とが、正面視で重なる位置に配置されている。これにより、人検知センサ51の真正面にユーザが立ったときのセンサ感度を最も高くし、かつ、そのときにスピーカ70からの音が真正面から聞こえるようにすることができる。
【0058】
また、本実施形態にかかる冷蔵庫1には、スピーカ70に水などの液体が浸入するのを回避させるための機構として、排水機構60が設けられている。排水機構60の一部(例えば、傾斜部73など)は、スピーカ穴31の近傍(具体的には、発音部72よりもスピーカ穴31に近い位置)に配置されている。また、排水機構60の一部(例えば、段差部75など)は、スピーカ穴31の下方に位置している。排水機構60が設けられていることで、スピーカ70に水などの液体が浸入するのが抑制され、スピーカ70の耐久性を向上させることができる。
【0059】
さらに、本実施形態では、カバー部材22の上面にかかった水などの液体を排出するための構成として、排水溝23が設けられている。この構成により、スピーカ穴31の近傍に水などがかかった場合に、スピーカ穴31から遠ざかる方向へ水を排出することができる。
【0060】
〔第2の実施形態〕
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態では、凹部32の底部に開口部32aが形成されており、排水口35を形成している。しかし、本発明の一実施態様では、凹部32に開口部32aが形成されていなくてもよい。また、開口部32aに上部取付部材12やカバー部材22を取り付けるためのネジを挿入する等をして、開口部32aの排水を制限する構成としてもよい。
【0061】
すなわち、第2の実施形態にかかる冷蔵庫1の上面に配置されている上部取付部材12には、スピーカ穴31の正面に設けられている凹部32に開口部32aが形成されていない、もしくは開口部32aからの排水能力が制限される。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0062】
上記の構成によれば、冷蔵庫1の上方から水などの液体がかけられた際に、凹部32内に液体の一部を貯めることができる。これにより、スピーカ穴31の正面が平坦な水平面となっている構成と比較して、上方から降りかかる液体が跳ね返りにくい構成とすることができる。
【0063】
〔第3の実施形態〕
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。本発明の一実施態様では、上部取付部材12にスピーカ70のみが備えられており、人検知センサ51が備えられていない構成も可能である。そこで、第3の実施形態では、人検知センサ51が備えられていない冷蔵庫について説明する。
【0064】
第3の実施形態にかかる冷蔵庫1は、人検知センサ51が設けられていない点のみが第1の実施形態の冷蔵庫1とは異なっている。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同様の構成を適用することができる。
【0065】
なお、人検知センサ51が設けられていない構成の場合、上部取付部材12内の前方側の略中央位置(すなわち、第1の実施形態において人検知センサ51が配置されている場所)にスピーカ70を配置してもよい。この場合、スピーカ70の発音部72からは前方へ向けて音声が発せられる。
【0066】
また、別の例では、排水溝23の前方側にスピーカ70を配置し、排水溝23の前面側の壁部にスピーカ穴31を配置してもよい。このような構成では、スピーカ70の発音部72からは後方へ向けて音声が発せられる。
【0067】
〔まとめ〕
本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、冷蔵庫本体部(例えば、断熱箱体10)と、前記冷蔵庫本体部の上面に配置されているスピーカ(例えば、スピーカ70)とを備えている。前記スピーカは、側方に向けて音を発するように構成されている。ここで側方とは、上下方向ではなく水平方向のことをいう。また、側方とは、前後左右は問わず、水平方向のあらゆる向きを含む意味で用いられる。
【0068】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、前記スピーカ(例えば、スピーカ70)を覆うカバー部材(例えば、カバー部材22)を備えていてもよい。そして、前記カバー部材には、前記スピーカから発せられた音が通過するスピーカ穴(例えば、スピーカ穴31)が設けられており、前記スピーカに対して前記スピーカ穴側には、排水機構(例えば、排水機構60)が設けられていてもよい。
【0069】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記排水機構(例えば、排水機構60)には、前記スピーカ側から下方に傾斜する傾斜部(例えば、傾斜部73)が設けられていてもよい。
【0070】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記傾斜部(例えば、傾斜部73)の両側の側部には、前記傾斜部よりも高いガイド部(例えば、ガイド部74aおよび74b)が設けられていてもよい。
【0071】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記カバー部材(例えば、カバー部材22)の上面には、排水溝(例えば、排水溝23)が形成されていてもよい。
【0072】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記カバー部材(例えば、カバー部材22)には、前記スピーカ穴(例えば、スピーカ穴31)から外側へ向けて水を排出する勾配(例えば、第1傾斜面33、第2傾斜面34a、第3傾斜面34b)が設けられていてもよい。
【0073】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記カバー部材(例えば、カバー部材22)には、前記スピーカ穴(例えば、スピーカ穴31)の正面に凹部(例えば、凹部32)が形成されていてもよい。
【0074】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記凹部(例えば、凹部32)には、底部に開口部(例えば、開口部32a)が形成されていてもよい。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 :冷蔵庫
10 :断熱箱体(冷蔵庫本体部)
11 :冷蔵室扉
12 :上部取付部材
21 :ベース部材
22 :カバー部材
23 :排水溝
31 :スピーカ穴
32 :凹部
32a :開口部
33 :第1傾斜面(勾配)
34a :第2傾斜面(勾配)
34b :第3傾斜面(勾配)
35 :排水口
60 :排水機構
70 :スピーカ
72 :(スピーカの)発音部
73 :(排水機構の)傾斜部
74a :(排水機構の)ガイド部
74b :(排水機構の)ガイド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7