(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164697
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】水洗式便器
(51)【国際特許分類】
A47K 13/26 20060101AFI20231102BHJP
E03D 11/13 20060101ALI20231102BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A47K13/26
E03D11/13
E03D9/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023156016
(22)【出願日】2023-09-21
(62)【分割の表示】P 2022171249の分割
【原出願日】2016-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】中村 さおり
(72)【発明者】
【氏名】平澤 勇人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 康宏
(72)【発明者】
【氏名】一柳 岳也
(57)【要約】
【課題】製品の組み立て性が良く高さを低く抑えてコンパクトに形成できる。
【解決手段】前部に形成された便鉢8、後部上面の周縁部に設けられた周壁部9a、および周壁部の内側に形成され周壁部に対して下方に向けて凹んだ凹部9、を有する便器本体2と、凹部に配置可能な機能部を備えたベース部13と、を備え、便器本体とベース部とは受け部15,16を介して支持され、受け部は、周壁部よりも内側かつ周壁部の上面より下方で前記便器本体に配置されていることを特徴とする水洗式便器。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に形成された便鉢、後部上面の周縁部に設けられた周壁部、および該周壁部の内側に形成され前記周壁部に対して下方に向けて凹んだ凹部、を有する便器本体と、
前記凹部に配置可能な機能部を備えたベース部と、を備え、
前記便器本体と前記ベース部とは受け部を介して支持され、
前記受け部は、前記周壁部よりも内側かつ前記周壁部の上面より下方で前記便器本体に配置されていることを特徴とする水洗式便器。
【請求項2】
前記凹部が、前記便鉢の上面よりも低い領域に形成されており、
前記受け部が、前記凹部内で前記便器本体に支持されている請求項1に記載の水洗式便器。
【請求項3】
前記ベース部は、前記機能部を設置可能に構成され、かつ、前記受け部に連結する被受け部を備えている請求項1または請求項2に記載の水洗式便器。
【請求項4】
前記便器本体に前記ベース部を支持固定した状態において、
前記ベース部の縁部の少なくとも一部が前記周壁部に沿って配置されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水洗式便器。
【請求項5】
前記凹部に、下方に向けて穴部または溝部が形成され、
前記機能部が収納された前記ベース部の少なくとも一部が、前記穴部または溝部に嵌合可能に構成されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水洗式便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器本体の後側上面に機能部を装着したベース部を固定した水洗式便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水洗式便器として、例えば特許文献1に記載のように便鉢を設けた便器本体の後側上面に固定プレートをボルトとナットで固定したものが知られている。固定プレートを便器本体に固定する際、便器本体の上面から固定プレートの孔部と便器本体のネジ穴にボルトを貫通して便器本体の下面に突出させてナットで締め付け固定していた。
【0003】
そして、固定プレート上で便器本体の前方から機能部や便座を含む便座ボックスを後方にスライドさせて、便座ボックスの下面に形成した凹所を固定プレートに嵌合させ、凹所の両側部の係合凹部を固定プレートの両側部に設けた凸条と係合させて固定している。便座ボックスは便器本体の平坦な上面に固定した固定プレート上に設置されている。便座ボックスは陶器製の便器本体の凹凸や傾きの影響を受け易いため固定プレートと機能部の凹所の間にクリヤランスを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機能部を内蔵した便座ボックスは平坦な便器本体と固定プレートの上部に設置するため便座ボックスの高さが大きくなり、使用者に圧迫感を与えるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、高さを低く抑えてコンパクトに形成できる水洗式便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による水洗式便器は、前部に形成された便鉢、後部上面の周縁部に設けられた周壁部、および該周壁部の内側に形成され前記周壁部に対して下方に向けて凹んだ凹部、を有する便器本体と、前記凹部に配置可能な機能部を備えたベース部と、を備え、前記便器本体と前記ベース部とは受け部を介して支持され、前記受け部は、前記周壁部よりも内側かつ前記周壁部の上面より下方で前記便器本体に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、機能部を備えたベース部の支持点を低い位置に設定することができ、結果として、水洗式便器の高さを低く抑えてコンパクトに構成することができる。
【0008】
また、前記凹部が、前記便鉢の上面よりも低い領域に形成されており、前記受け部が、前記凹部内で前記便器本体に支持されていてもよい。
本発明によれば、凹部内で受け部を便器本体に支持することにより、ベース部の支持点をさらに低い位置に設定することができる。
【0009】
また、前記ベース部は、前記機能部を設置可能に構成され、かつ、前記受け部に連結する被受け部を備えていてもよい。
本発明によれば、受け部を介してベース部を便器本体に取り付けるだけで機能部も設置されるため、施工が容易になる。
【0010】
さらに、前記便器本体に前記ベース部を支持固定した状態において、前記ベース部の縁部の少なくとも一部が前記周壁部に沿って配置されていてもよい。
本発明によれば、施工が容易になる。
【0011】
そして、前記凹部に、下方に向けて穴部または溝部が形成され、前記機能部が収納された前記ベース部の少なくとも一部が、前記穴部または溝部に嵌合可能に構成されていてもよい。
本発明によれば、便器本体の穴部または溝部に嵌合するベース部の内部に機能部の一部または全部が収納されているため、ベース部の上面に設置される機能部等の高さを低く設定できて圧迫感がなくコンパクトに形成できる。
また、従来は固定プレートを便器本体の上面にボルトとナットで固定する場合、便器を設置するトイレ空間が狭いと便器を下から覗き込むような姿勢で便器本体の上面に挿通したボルトにナットを締め込むため、組み付けの施工性が悪かった。しかしながら、本発明では、ベース部を穴部または溝部に嵌合可能に構成したことにより、組み付けを容易にし、施工性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による水洗式便器によれば、便器本体の後部に設置する製品の高さを低くすることができてコンパクトに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による水洗式便器の要部斜視図である。
【
図2】
図1に示す便器本体と便座ユニットの分解斜視図である。
【
図4】便器本体の上面後部を示す部分拡大斜視図である。
【
図5】ベースプレートを含む便座ユニットを下方から見た斜視図である。
【
図6】ベースプレートに設けた前側爪部と凹部に設けた前側受け部の係合状態を示す要部縦断面図である。
【
図7】後側受け部の爪受け部と後側スライド爪部の係合状態を示す斜視図である。
【
図8】後側受け部の爪受け部と後側スライド爪部の係合状態を示すもので、(a)は正面図、(b)は下方から見た斜視図である。
【
図9】便器本体の後側受け部とその下方の通水部を示す要部縦断面図である。
【
図10】便座本体の上面に設置した便座とベースプレートとカバーの配置を示す要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による水洗式便器を添付図面によって説明する。
図1乃至
図10は本発明の実施形態による水洗式便器1を示すものである。本明細書において、水洗式便器1を取り付けるトイレ空間の壁面側または背面側を後部、後方といい、これと反対側(人が小便をする際に立つ方)を前部、前方という。
図1及び
図2に示す実施形態による水洗式便器1は、陶器製の便器本体2の上面後部に機能部3とベースプレート13を収納したカバー4が設置され、カバー4の前方側に便座5と便蓋カバー6が設置されている。機能部3を設置したベースプレート13とカバー4と便座5と便蓋カバー6を便座ユニット7という。
図2及び
図3において、便器本体2の前方側には便鉢8が設置され、その後方上面に略半円状の凹部9が形成され、その周縁部に凹部9を仕切る略円弧状の突堤部(周壁部)9aが突出して形成されている。便器本体2の突堤部9aの後方は壁面等に固定する平坦な背面とされている。便鉢8と後述の第一穴部11、第二穴部12の間の凹部9は便鉢8の上面より低い領域に形成されている。
【0015】
図3及び
図4において、便器本体2の凹部9内には下方に開口する例えば2つの穴部が第一穴部11、第二穴部12として並列に形成されている。第一穴11は略3辺の稜線11a、11b、11cによって仕切られた略1/4円弧状の穴部である。第二穴12も略3辺の稜線12a、12b、12cによって仕切られた略1/4円弧状の穴部である。
凹部9において、第一穴部11,第二穴部12の前方にはベース部としてのベースプレート13を固定するための前側受け部(受け部)15、16が離間して設置されている。ベースプレート13は凹部9内に納まるように形成されていることが好ましい。
前側受け部15、16は例えば略四角筒の有底筒状に形成され、前側に係止開口15a、16aがそれぞれ形成されている。
図3に示す例では、前側受け部15と前側受け部16の位置が前後方向に少しずれている。
【0016】
各前側受け部15,16の底部には反転ナット17がねじ込まれて、凹部9にそれぞれ固定されている。即ち、反転ナット17は前側受け部15,16の底部と便器本体2の貫通孔を挿通し、ビスを反転ナット本体に差し込むことでナットが便器本体2の裏面に突出してビスとの間で挟み込んでねじ固定できる。
凹部9の後方側で第一穴部11,第二穴部12の間には後側受け部(受け部)18が形成されている。後側受け部18は断面略L字状に形成され、その平坦部18aが反転ナット17で前側受け部15,16と同様に便器本体2の裏面との間で固定されている。後側受け部18の起立部18bには後部方向に向けて爪受け部19が突出して形成されている。爪受け部19の上面にはテーパ部19aが形成されている。
【0017】
次に
図5は便座5と便蓋カバー6とベースプレート13とカバー4を備えた便座ユニット7を示す斜視図である。ベースプレート13上には図示しない洗浄ノズルやヒータや電装部品等の機能部3が設置されており、便鉢8に臨む面にシャッタ21が取り付けられている。ベースプレート13の下面には第一穴部11に嵌合可能な第一突出部22と第二穴部12に嵌合可能な第二突出部23がそれぞれ下方に突出して形成されている。第一突出部22と第二突出部23は略有底筒状に形成されており、その内部には機能部3の一部をなす適宜の電装部品等が収納されている。
そのため、凹部9内にベースプレート13を嵌合させて設置し、第一突出部22と第二突出部23を凹部9の第一穴部11と第二穴部12内に嵌合した状態で、残りの機能部品はベースプレート13の上面に設置されるが、その高さは従来の機能部よりも低く設置できる。
【0018】
また、便座ユニット7において、ベースプレート13の下面で第一突出部22と第二突出部23の前方には前側爪部(被受け部)24、25が形成されている。前側爪部24、25は、
図6に示すように、弾性変形可能な断面略L字状で便器本体2の前側受け部15,16の係止開口15a、16aにそれぞれ係合可能である。
図7及び
図8において、凹部9の後方の突堤部9a近傍に設けた後側受け部18にはベースプレート13に設けた後側スライド爪部27がスライド可能に設置されている。後側スライド爪部27は突堤部9aに沿って略円弧状に延びる爪部本体27aの中間部に爪受け部19に係合可能な爪部27bが略直角に突出して形成されている。爪部本体27aの一方の端部には例えば階段状の操作部27cが形成され、他方の端部には弾性部材として例えばコイルばね28が圧縮状態で他端の当接面29との間に保持されている。また、爪部本体27aの下面には後側スライド爪部27のスライド移動を規制するための係止片27dが形成されている。
【0019】
そのため、ベースプレート13を下方に押し下げて後側スライド爪部27の爪部27bを後側受け部18の爪受け部19のテーパ部19aに沿って右方にスライドさせ、コイルばね28を圧縮させて後側スライド爪部27を右方に移動させて上方から下方に乗り越える。すると、コイルばね28の付勢力で後側スライド爪部27が左方に移動して爪部27bが爪受け部19の下側で係合し、係止片27dは凹部9の係止部30に当接して係止する。
また、後側スライド爪部27を外すには、ベースプレート13を持ち上げながら指で操作部27cを右方にスライドさせて爪部27bが爪受け部19を乗り越えることで係止を解除できる。
【0020】
図9において、便器本体2は凹部9における後側受け部18の下方に便鉢8内を洗浄するための水をリムに供給する通水部33が設置され、管路34を通して洗浄水が便鉢8内に流入するようになっている。
図10は便器本体2の上面前方に設置した便座5とその後方に設置したカバー4とを示すものである。凹部9の上部に設置された機能部3を有するベースプレート13は前方側に延びる両側の前側先端部13aが凹部9の突堤部9aの前側に位置している。その上部に設置されるカバー4には便座5の回転軸部36が左右に突出して形成され、回転軸部36を中心に便座5が上下方向に回動可能とされている。
カバー4の後端側の側面4aは略円筒状に形成されており、凹部9の略円弧状の突堤部9aに沿って突堤部9aを囲うように配設されて、側面4aで突堤部9aを覆っている。カバー4を突堤部9aに対して若干持ち上げると隙間が形成され、この隙間を通して指を挿入して後側スライド爪部27の操作部27cをスライド操作することで、爪受け部19と後側スライド爪部27を離脱できる。
【0021】
便座5は側面視で回転軸部36から便鉢8の上面8aに向けて下方に傾斜する傾斜部5aとその前方に形成されていて便鉢8の上面8aに沿って略円弧状に形成された着座部5bとを有している。
従来のカバー4はベースプレート13の前側先端部13aまでしか延びておらず、ベースプレート13の前側先端部13aがカバー4の前端位置に設けられていた。そのため、便座5の傾斜部5aと便鉢8の上面8aとの間にはベースプレート13を覆うカバー4の側部先端との間に小さな隙間kが形成され、この隙間kを通して便鉢8の内部を目視可能であった。
これに対し、本実施形態による水洗式便器1では、カバー4の前方側の両側部先端4bがこの隙間kを埋めるようにベースプレート13の前側先端部13aより前方に延びて薄いテーパ状に形成されている。そのため、隙間kから便鉢8の内部が外部から目視されることを防止できる。
【0022】
本実施形態による水洗式便器1は上述した構成を備えており、次に便器本体2に対するベースプレート13とカバー4と便座5を備えた便座ユニット7の着脱方法について説明する。
図2、
図3及び
図5に示すように、便器本体2に機能部3を備えたベースプレート13を設置する場合、ベースプレート13の下面に設けた第一突出部22と第二突出部23を便器本体2の凹部9に形成した第一穴部11と第二穴部12に位置合わせして途中まで挿入する。なお、
図2及び
図5では便座ユニット7が示されているが、ベースプレート13だけを取り付けるものとする。
【0023】
そして、ベースプレート13を前方に傾けて、下面に設けた前側爪部24、25を前側受け部15,16内を通して係止開口15a、16aにそれぞれ係合させた後に、ベースプレート13の後部を下方に回動させる。すると、凹部9の後端側に設けた後側受け部18の爪受け部19のテーパ部19aに後側スライド爪部27の爪部27bが当接する。
更にベースプレート13の後部を降下させると爪受け部19のテーパ部19aにガイドされて後側スライド爪部27が
図7で右方向にスライドしてコイルばね28を圧縮し、爪部27bが爪受け部19を乗り越えてその下面側に至るとコイルばね28の付勢力で爪部27bが爪受け部19の下面に移動して係合状態になる。
【0024】
これによって、ベースプレート13の下面に設けた第一突出部22と第二突出部23が凹部9の第一穴部11と第二穴部12内に嵌合する。また、ベースプレート13の前側爪部24,25と後側スライド爪部27は凹部9の前側受け部15,16の係止開口15a、16a、爪受け部19の3カ所で堅固に係合される。しかも、凹部9の前側受け部15,16及び爪受け部19と前側爪部24,25及び後側スライド爪部27の各3点は略半円状の突堤部9a近傍に位置する略三角形の各頂点に位置するため、ベースプレート13を堅固に固定する。
そして、その上にカバー4と便座5を設置し、便座5上に便蓋カバー6を設置することができる。なお、ベースプレート13を便器本体2の凹部9から取り外す場合には上述の手順と逆の手順で取り外し操作をすればよい。或いは便座ユニット7をまとめて取り外すことができる。
【0025】
上述のように本実施形態による水洗式便器1によれば、便器本体2の凹部9に形成した第一及び第二穴部11,12にベースプレート13の下面に設けていて機能部3を収納した第一及び第二突出部22,23を嵌合したため、水洗式便器1の高さを低くできて圧迫感がなくコンパクトに形成できる。
しかも、ベースプレート13は便器本体2の後部上面に形成した凹部9内に設置したため、この点でも水洗式便器1の高さを低くできる。また、後側受け部18の下方に便鉢8内の洗浄用の水を供給する通水部33を設けたため、この点でも便器本体2の高さを抑えてコンパクトにできる。
【0026】
また、凹部9に対するベースプレート13の固定に際し、ベースプレート13を下方に押し下げて、平面視で略三角形の頂点位置に設置した前側受け部15,16と後側受け部18に前側爪部24,25と後側スライド爪部27を固定できるため、組み立てが容易で固定状態での前後左右のガタツキを防止できる。
しかも、凹部9に対するベースプレート13の装着に際しては、前側受け部15,16に前側爪部24,25を係止させて後部を押し下げることで後側受け部18の爪受け部19に後側スライド爪部27を固定でき、離脱させるにはカバー4の後方の側面4aを持ち上げて後側スライド爪部27の操作部27cをスライドすることで取り外し可能であるため、上下方向の着脱操作が容易である。
更に前側受け部15,16と後側受け部18をベースプレート13を介して陶器製の便器本体2の底面に固定するために反転ナット17を用いたため、上面側からボルト操作するだけで固定することができる。そのため、狭いトイレ空間での修理や交換作業等に際し、反転ナット17の着脱操作が容易である。
【0027】
本実施形態の水洗式便器1において、ベースプレート13に第一及び第二突出部22,23を設けたため便座ユニット7のスライド移動による着脱はできないが、凹部9の略円弧状の突堤部9aに合致してこれを囲うように機能部3を覆う円筒状の側面4aを有するカバー4を設置したため、意匠性が向上する。
更に、ベースプレート13の前側先端部13aと便座5の傾斜部5aとの隙間kを埋めるようにベースプレート13を覆うカバー4の側部先端4bを傾斜部5aの下面に沿ってテーパ状に延ばしたため、隙間kを封止して外側から便鉢8内を目視できないのでこの点でも外観の見栄えが良く意匠性が向上する。
【0028】
なお、本発明による水洗式便器1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。以下に、本発明の変形例等について説明するが、上述した実施形態で説明した部品や部材等と同一または同様なものについては同一の符号を用いて説明を省略する。
【0029】
例えば、上述した実施形態では便器本体2の後部上面に下方に開口する第一及び第二穴部11、12を形成したが、穴部の下端に底部を有する溝部を形成してもよい。また、便器本体2とベースプレート13に設けた第一及び第二穴部11、12と第一及び第二突出部22,23を2つ設けたが、穴部とこれに嵌合する突出部は2つに限定されるものではなく、1つでもよく、或いは3つ以上でもよい。
また、第一及び第二突出部22,23に収納する機能部3はその一部部品に限定されることなく全部を収納してもよい。この場合には便座5の背面側のカバー4の高さは一層低くなり意匠性と見栄えを向上できる。
また、ベースプレート13は便器本体2の後部上面に形成した凹部9内に設置するものとしたが、必ずしも凹部9を設置することなく従来技術のように便器本体2の後部上面を平坦面に形成してもよい。
【0030】
また、上述した実施形態では凹部9に受け部として前側受け部15,16、後側受け部18及び爪受け部19を設け、ベースプレート13の下面に係合部として前側爪部24,25、後側スライド爪部27を設けたが、これとは逆に凹部9に前側爪部24,25、後側スライド爪部27を設け、ベースプレート13に前側受け部15,16、後側受け部18及び爪受け部19を設けてもよい。また、凹部9の前側に前側受け部15を1つ設け、後側に他の前側受け部16と後側受け部18を設けてもよい。
なお、本実施形態において、前側受け部15,16は第一の受け部であり、後側受け部18及び爪受け部19が第二の受け部であり、前側爪部24,25は第一の係合部、後側スライド爪部27が第二の係合部である。
また、これら受け部と係合部は平面視で略三角形の各頂点にそれぞれ3点設けたが、これに代えて2点、または略四角形の各頂点に4点またはそれ以上設けて構成してもよく、この場合にはベースプレート13の保持強度を一層高くできる。
【符号の説明】
【0031】
1 水洗式便器
2 便器本体
4 カバー
4b 側部先端
5 便座
5a 傾斜部
9 凹部
9a 突堤部(周壁部)
11 第一穴部
12 第二穴部
13 ベースプレート(ベース部)
15、16 前側受け部(受け部)
17 反転ナット
18 後側受け部(受け部)
19 爪受け部
22 第一突出部
23 第二突出部
24、25 前側爪部(被受け部)
27 後側スライド爪部
27b 爪部
28 コイルばね
33 通水部