(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164698
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】校正ユニット、及び校正方法
(51)【国際特許分類】
G01B 5/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
G01B5/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023156211
(22)【出願日】2023-09-21
(62)【分割の表示】P 2022133156の分割
【原出願日】2018-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】山内 康弘
(57)【要約】
【課題】高精度の校正を行うことを可能とする校正ユニットを提供する。
【解決手段】校正ユニットは、互いに平行な二面(30A、32A)の段差が既知の段差ゲージ(22)、半径が既知のボールゲージ(26)、X軸方向、及びZ軸方向と直交するY軸方向に沿うエッジ(48)を頂辺とする三角柱形状を有し、エッジを挟む第一傾斜面(44)、及び第二傾斜面(46)を含むエッジ部(40)を備え、エッジがボールゲージの半径未満の先端半径(R)を有するエッジゲージ(26)を備え、X軸方向には、段差ゲージ、エッジゲージ、及びボールゲージの順に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向について移動自在に支持され、XZ平面について回転支点を用いて回転可能に支持されたアームの先端部に具備される触針を用いて、被測定物の形状を測定する形状測定機を校正する校正ユニットであって、
互いに平行な二面を有し、前記二面の段差が既知の段差ゲージと、
半径が既知のボールゲージと、
前記X軸方向、及びZ軸方向と直交するY軸方向に沿うエッジを頂辺とする三角柱形状を有し、前記エッジを挟む第一傾斜面、及び第二傾斜面を含むエッジ部を備え、前記エッジが前記ボールゲージの半径未満の先端半径を有するエッジゲージと、
を備え、
前記X軸方向には、前記段差ゲージ、前記エッジゲージ、及び前記ボールゲージの順に配置されている、校正ユニット。
【請求項2】
前記第一傾斜面と前記第二傾斜面とは、80度以下の角度を有する請求項1に記載の校正ユニット。
【請求項3】
前記エッジの先端半径は、0.1マイクロメートル以下である請求項1又は2に記載の校正ユニット。
【請求項4】
前記Y軸方向における前記エッジの長さは、前記ボールゲージの半径未満である請求項1から3のいずれか一項に記載の校正ユニット。
【請求項5】
前記エッジ部の材料はダイヤモンドが用いられる請求項1から4のいずれか一項に記載の校正ユニット。
【請求項6】
X軸方向について移動自在に支持され、XZ平面について回転支点を用いて回転可能に支持されたアームの先端部に具備される触針を用いて、被測定物の形状を測定する形状測定機を校正する校正ユニットに適用される校正方法であって、
前記校正ユニットは、
互いに平行な二面を有し、前記二面の段差が既知の段差ゲージと、
半径が既知のボールゲージと、
前記X軸方向、及びZ軸方向と直交するY軸方向に沿うエッジを頂辺とする三角柱形状を有し、前記エッジを挟む第一傾斜面、及び第二傾斜面を含むエッジ部を備え、前記エッジが前記ボールゲージの半径未満の先端半径を有するエッジゲージと、
を備え、前記X軸方向には、前記段差ゲージ、前記エッジゲージ、及び前記ボールゲージの順に配置され、
前記形状測定機をする際に、
前記ボールゲージの測定データを取得し、
前記段差ゲージの測定データを取得し、
前記エッジゲージの測データを取得する、校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の形状を測定する形状測定機の校正に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、触針を用いて基準ゲージをトレースし、得られた測定データを基準ゲージのマスター形状部の既知形状寸法値と比較し、演算して、アームの長さ、触針高さ、及び触針の先端半径の校正を行う測定機の校正方法が記載されている。同文献に記載の校正方法では、平面に球を固着した基準ゲージ、平面に大小二つの球を固着した基準ゲージ、及び平面に円柱を固着した基準ゲージが用いられる。
【0003】
特許文献2は、段差ゲージ、及びボールゲージを用いて、アームの長さ、触針高さ、及び触針の先端半径の校正を行う測定機の校正方法が記載されている。同文献に記載の校正方法は、ボールゲージの測定結果を用いて、アーム長さ、及び触針高さの仮校正を行い、その後、段差ゲージの測定結果を用いて、アーム長さ、触針高さ、及び触針の先端半径の校正を行う。
【0004】
一方、同文献に記載の校正方法のように、ボールゲージ、及び段差ゲージを適用した校正では、触針の円弧運動の誤差が測定結果に重畳されるという課題が存在していた。
【0005】
特許文献3は、段差ゲージ、第一ボールゲージ、及び第二ボールゲージを用いて、アームの長さ、触針高さ、及び触針の先端半径の校正を行う測定機の校正方法が記載されている。同文献に記載の校正方法は、触針の円弧運動に起因する誤差を小さくするために、第一ボールゲージに比べて半径が小さい第二ボールゲージを用いて、触針の先端半径を校正している。
【0006】
特許文献4は、触針の先端の加工精度を測定する際の治具が記載されている。同文献に記載の治具は、刃先の角度が30度以下の剃刀刃を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09-329402号公報
【特許文献2】特開平10-332304号公報
【特許文献3】特開2015-175704号公報
【特許文献4】実開平05-059208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
校正方法、及び校正精度は日々進歩している。それに伴い、形状測定機に求められる測定精度も高くなってきている。また、測定対象のワークも小型化が進んでおり、僅かな測定誤差が測定結果に影響を及ぼしてしまう。
【0009】
特許文献1から特許文献3に記載の発明では、小型化された被測定物を測定する場合に、測定精度が足りなくなることが懸念される。特許文献4に記載の治具は、触針の先端の加工精度の測定に使用されるものであって、触針の先端半径の校正に使用されるものではない。仮に、触針の先端半径の校正に使用した場合、剛性の不足、及び耐久性の不足等が懸念される。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高精度の校正を行うことを可能とする校正ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、次の発明態様を提供する。
【0012】
第1態様に係る校正ユニットは、X軸方向について移動自在に支持され、XZ平面について回転支点を用いて回転可能に支持されたアームの先端部に具備される触針を用いて、被測定物の形状を測定する形状測定機を校正する形状測定機校正装置であって、互いに平行な二面を有し、二面の段差が既知の段差ゲージと、半径が既知のボールゲージと、X軸方向、及びZ軸方向と直交するY軸方向に沿うエッジを頂辺とるす三角柱形状を有し、エッジを挟む第一傾斜面、及び第二傾斜面を含むエッジ部を備え、エッジがボールゲージの半径未満の先端半径を有するエッジゲージと、備えた校正ユニットである。
【0013】
第1態様によれば、エッジゲージを測定して得られたエッジ測定データ、及びエッジの設計値を用いて触針の先端半径が校正される。これにより、ボールゲージを用いて触針の先端半径を校正する際に問題となるボールゲージの真球度の影響を受けることがなく、触針の先端半径を高精度に校正し得る。
【0014】
エッジは、Y軸方向に規定の長さを有しいてもよい。規定の長さは、エッジゲージの製造条件、及びエッジゲージの使用条件から規定してもよい。
【0015】
Y軸方向について、段差ゲージ、エッジゲージ、及びボールゲージの位置を移動させる移動機構を備えてもよい。Y軸方向について段差ゲージ、及びエッジゲージを一括して移動させる移動機構を備えてもよい。
【0016】
第2態様は、第1態様の校正ユニットにおいて、第一傾斜面と第二傾斜面とは、80度以下の角度を有する構成としてもよい。
【0017】
第2態様によれば、溝形状の接触角を測定する際に、触針の先端半径の校正誤差の重畳に起因する接触角の測定誤差を抑制し得る。
【0018】
第3態様は、第1態様又は第2態様の校正ユニットにおいて、エッジの先端半径は、0.1マイクロメートル以下である構成としてもよい。
【0019】
第3態様によれば、触針の先端半径に重畳されるエッジの形状に起因する校正誤差を抑制し得る。
【0020】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか一態様の校正ユニットにおいて、Y軸方向におけるエッジの長さは、ボールゲージの半径未満である請求項1から3のいずれか一項に記載の形状測定機校正装置。
【0021】
第4態様によれば、高精度にエッジゲージを製作し得る。
【0022】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか一態様の校正ユニットにおいて、エッジ部の材料はダイヤモンドが用いられる構成としてもよい。
【0023】
第5態様によれば、エッジ部を製作する際に高精度の微細加工が可能である。また、エッジ部は一定の剛性が得られる。
【0024】
第6態様に係る校正ユニットは、X軸方向について移動自在に支持され、XZ平面について回転支点を用いて回転可能に支持されたアームの先端部に具備される触針を用いて、被測定物の形状を測定する形状測定機を校正し、校正ユニット、及び信号処理部を備えた形状測定機校正装置であって、校正ユニットは、互いに平行な二面を有し、二面の段差が既知の段差ゲージと、半径が既知のボールゲージと、X軸方向、及びZ軸方向と直交するY軸方向に沿うエッジを頂辺とるす三角柱形状を有し、エッジを挟む第一傾斜面、及び第二傾斜面を含むエッジ部を備え、エッジがボールゲージの半径未満の先端半径を有するエッジゲージと、を備え、信号処理部は、段差ゲージの設計値、ボールゲージの設計値、及びエッジゲージの設計値を取得する設計値取得部と、触針を用いて段差ゲージを測定した段差測定データを取得する段差測定データ取得部と、触針を用いてボールゲージを測定したボール測定データを取得するボール測定データ取得部と、触針を用いてエッジゲージを測定したエッジ測定データを取得するエッジ測定データ取得部と、段差測定データ、ボール測定データ、段差ゲージの設計値、及びボールゲージの設計値を用いて、アームがX軸方向と平行となる水平状態における回転支点から触針の先端までのZ軸方向における距離である触針高さ、及び回転支点から触針までのX軸方向における距離であるアーム長さを校正し、エッジ測定データ、及びエッジゲージの設計値を用いて、触針の先端半径を校正する校正部と、を備えた形状測定機校正装置である。
【0025】
第6態様によれば、第1態様と同様の効果を得ることができる。
【0026】
第6態様において、第2態様から第5態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、校正ユニットにおいて特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担う形状測定機校正装置の構成要素として把握することができる。
【0027】
第7態様は、第6態様の形状測定機校正装置において、校正部は、エッジ測定データ、及びエッジゲージの設計値を用いて、触針の先端半径を仮校正し、仮校正された触針の先端半径を用いてアーム長さ、及び触針高さを校正する構成としてもよい。
【0028】
第7態様によれば、エッジゲージを測定して得られたエッジ測定データ、及びエッジの設計値を用いて触針の先端半径が仮校正される。仮校正された触針の先端半径を用いてアーム長さ、及び触針高さが校正される。これにより、アーム長さ、及び触針高さを高精度に校正し得る。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、エッジゲージを測定して得られたエッジ測定データ、及びエッジの設計値を用いて触針の先端半径が校正される。これにより、ボールゲージを用いて触針の先端半径を校正する際に問題となるボールゲージの真球度の影響を受けることがなく、触針の先端半径を高精度に校正し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は校正ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7はエッジゲージの測定結果を表す模式図である。
【
図9】
図9はアーム長さ、触針高さの説明図である。
【
図10】
図10は校正方法の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は形状測定装置の一例を示す輪郭形状測定機の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について説明する。本明細書では、先に説明した構成と同一の構成には同一の符号を付し、説明を適宜省略することとする。
【0032】
[課題の説明]
まず、本実施形態に示す形状測定機校正装置が解決しようとする課題について詳細に説明する。なお、本実施形態では、形状測定機校正装置を、単に校正装置と記載することがある。
【0033】
直動ガイド、及びボールネジ等、輪郭形状測定機の測定対象の小型化が進んでいる。これは、低コスト化の要請、並びに低消費電力化、及び低燃費化等の環境への配慮の要請に応えるものである。ボールネジ等の低消費電力化、及び低燃費化のため、モータ等の動力側も小型化される。
【0034】
ボールネジ等が小型化された場合、軌道面の粗さ、及び軌道面の形状の測定精度が重要となる。軌道面の粗さ、及び軌道面の形状の測定精度が一定の基準を満たさない場合、負荷変動の原因となり、動力側を小型化することが困難となる。また、異音の発生など性能への影響、及びボールの磨耗等の耐久性への影響が懸念される。
【0035】
更に、直動ガイドは、高剛性化、及び高精度化を目的として、単位長さあたりの転動溝を増やした製品、及び転動ボールを小さくした製品等が実用化されている。
【0036】
ボールネジにおける溝の接触角の評価等の測定精度に関して、被測定物の小型化に伴い、測定精度が足りなくなってきている。なお、接触角とは、軌道面とボールとの接触点と軌道面の中心とを通る直線と、軌道面の中心から鉛直方向に下ろした垂線とのなす角度を表す。接触点は符号5、符号6、符号7、及び符号8を用いて
図12に図示する。接触角は符号α、及び符号βを用いて
図12に図示する。
【0037】
測定精度が足りなくなる理由として、被測定物の小型化に起因して測定点数が減少し、解析誤差が大きくなっていることが考えられる。また、接触角の評価では、測定子の校正における触針の先端半径の算出精度が影響していることが考えられる。
【0038】
図12から
図14を用いて、接触角の評価において測定精度が足りなくなる原因について説明する。以下に、特許文献1から3に記載の発明と同様のボールゲージを適用して先端半径が校正された触針を用いて、ボールネジの溝の接触角を導出する例を示す。
【0039】
図12から
図14は課題の説明図である。
図12にはボールネジの溝の断面を示す。
図12では、軌道面が小さい場合と軌道面が大きい場合とを、軌道面の中心Oを一致させて図示した。
【0040】
符号1は軌道面が小さい場合の軌道面を表す。符号2は軌道面が大きい場合の軌道面を表す。符号3は軌道面1のサンプル円を示す。符号4は軌道面2のサンプル円を示す。サンプル円3は、軌道面1の全ての測定点における測定値に最小二乗法を適用して算出された円である。サンプル円4も同様である。例えば、サンプル円3の半径を2.0マイクロメートルとする。サンプル円4の半径を10.0マイクロメートルとする。
【0041】
符号5、及び符号6は、解析結果として導出された軌道面1の接触点を示す。符号7、及び符号8は、解析結果として導出された軌道面2の接触点を示す。符号α、及び符号βは接触点から導出された接触角を表す。
【0042】
符号9は触針を表す。符号10、符号11、及び符号12は、それぞれ、サンプル円3、及びサンプル円4において、中心Oから下ろした垂線13からの角度が44度、45度、及び46度の場合の、中心Oと円弧とを結ぶ線分である。
【0043】
図13は
図12に示した軌道面1における接触点5の付近の拡大図である。符号1Aは、触針9の仮の先端半径が適用された軌道面1の測定結果を表す。
図14は
図12に示した軌道面2における接触点7の付近の拡大図である。符号2Aは、触針9の仮の先端半径が適用された軌道面2の測定結果を表す。
【0044】
図13、及び
図14に示した符号14は、触針9の先端半径の校正誤差に起因する測定結果のゆらぎを表す。このように、測定結果には、触針9の先端半径の校正誤差が重畳され得る。ここで、
図13に図示した符号5Aは、本来、接触点として特定されるべき点を示す。符号5は実際に特定された接触点を表す。
【0045】
図13に示す例では、軌道面1の測定結果に触針9の先端半径の誤差が重畳された結果、本来、接触点5Aが導出されるべきはずが、1度程度の誤差を生じた接触点5が導出されてしまう。
【0046】
一方、
図14に示す例では、
図13に示す例と同様に、触針9の先端半径の誤差に起因する測定結果のゆらぎが生じ、軌道面2の測定結果に触針9の先端半径の誤差が重畳されているものの、本来、導出されるべき接触点7が導出されている。仮に、測定結果と設計値データとを照合した偏差が0.1マイクロメートルであったとしても、接触角にすると1度程度の誤差となってしまう。
【0047】
従来技術に係る校正方法は、
図14に示した例のような測定であれば問題とならないものの、
図13に示した例のように、小型化されたボールネジの溝等を測定する場合に問題となり得る。
【0048】
特許文献1から3に記載の発明は、ボールゲージが真球であることを前提としているが、発明者らは、完全な真球を製作することが現実に困難であることに着目し、現実のボールゲージにおける真球からのずれが、触針9先端半径の校正誤差になり得ると考えた。そして、
図13に示したように、小型化されたワークの形状測定では、触針9の先端半径の校正誤差の影響が顕在化し得ることを見出した。
【0049】
以下に説明する校正装置、及び校正方法は、従来技術に係る校正では顕在化していない新たな技術課題に発明者らが着目し、かかる技術課題を解決するものである。
【0050】
[校正ユニットの構成例]
図1は校正ユニットの全体構成を示す斜視図である。本実施形態に係る校正装置は、
図1に示した校正ユニット20を備える。校正ユニット20は、段差ゲージ22、エッジゲージ24、及びボールゲージ26を備える。校正ユニット20は、段差ゲージ22、エッジゲージ24、及びボールゲージ26が第一方向に沿って配置される。
【0051】
段差ゲージ22は、基準ベース30の上にブロックゲージ32が取り付けられた構造を有する。ブロックゲージ32の厚さは既知であり、基準ベース30の上面30Aとブロックゲージ32の上面32Aとの距離である段差寸法H0が既知となっている。なお、基準ベース30の上面30Aとブロックゲージ32の上面32Aとは、互いに平行な二面の一例に相当する。
【0052】
エッジゲージ24は、図示しないホルダを用いて支持される。エッジゲージ24は、校正ユニット20の上面20Aからエッジ部40が露出する構造を有している。段差ゲージ22、及びエッジゲージ24は、第一移動機構28を用いて第二方向について移動可能に支持される。
【0053】
ボールゲージ26は、支柱50の上端に支持される。ボールゲージ26の真球度、及び半径は予め正確に導出されている。ボールゲージ26は、第二移動機構29を用いて第二方向について移動可能に支持される。
【0054】
ここで、第一方向は、校正ユニット20が形状測定機に配置された場合のX軸方向に相当する。第二方向は、校正ユニット20が形状測定機に配置された場合のY軸方向に相当する。
【0055】
[エッジゲージの構造例]
図2はエッジゲージの正面図である。
図3はエッジゲージの側面図である。
図2、及び
図3に示すようにエッジゲージ24は、エッジ部40、エッジ支持部41、及び固定部42を備える。
【0056】
エッジ部40は、固定部42の先端に配置される。エッジ支持部41は、エッジ部40の下部を支持する。固定部42は、エッジ支持部41に支持されたエッジ部40を支持し、図示しないホルダを用いて、
図1に示した校正ユニット20に支持される。
【0057】
図4は
図2に示したエッジ部の拡大図である。
図4ではエッジ48を更に拡大して図示する。エッジ部40は、第一傾斜面44、第二傾斜面46、及びエッジ48を備える。エッジ部40は、エッジ48を頂辺とする三角柱形状を有する。
【0058】
エッジ部40は、エッジ48が延在する第一方向と直交する第二方向について、エッジ48を挟んで、エッジ48の一方の側に第一傾斜面44を備え、エッジ48の他方の側に第二傾斜面46を備える。
【0059】
第一傾斜面44と第二傾斜面46とは規定の角度をなす。
図4の紙面に平行な正面断面におけるエッジ部40の断面形状は三角形である。エッジ部40の正面断面の断面形状は二等辺三角形、又は正三角形が好ましい。
【0060】
第一傾斜面44と第二傾斜面46との規定の角度θは80度以下である。触針の先端半径の校正の観点から、角度θは小さければ小さいほどよい。エッジゲージ24の製造条件、及び使用条件に基づいて、角度θの下限値を規定してもよい。
【0061】
エッジ48の先端半径Rはボールゲージ26の半径未満とし得る。エッジ48の先端半径Rが小さければ小さいほど、触針の先端半径の校正誤差を小さくすることが可能である。エッジ48の先端半径Rは0.1マイクロメートル以下が好ましい。なお、触針は
図6に符号49を付して図示する。
【0062】
図5は
図3に示したエッジ部の拡大図である。
図5は、
図4に示した第一傾斜面44の側からエッジ部40を見た図である。
図5に示すように、エッジ48は、第二方向について規定の長さを有する。第二方向におけるエッジ48の長さは、エッジ部40の製造上の制約、及び耐久性上の制約等を考慮して規定される。
【0063】
第二方向におけるエッジ48の長さを長くすると、高精度にエッジ部40を製作することが困難である。例えば、第二方向におけるエッジ48の長さがボールゲージ26の半径未満であれば、エッジ部40を高精度に製作し得る。
【0064】
図5に示すように、第一方向について見たエッジ部40の平面形状は台形である。なお、第一方向について見たエッジ部40の平面形状は長方形等の台形以外の四角形とし得る。
【0065】
エッジ部40の材料の例としてダイヤモンドが挙げられる。エッジ部40にダイヤモンドを使用することで、エッジ48の先端半径Rを0.05マイクロメートル以下とすることが可能である。
【0066】
小型のワークを測定する触針の先端は球ではなく、先端半径が小さい円錐形状となる。なお、ここでいう小型のワークは、転動ボールの直径が1.0ミリメートル程度の直動ガイド、及びボールネジ等を想定している。なお、ワークは被測定物の一例に相当する。
【0067】
測定の際にワークと触針の先端との接触位置は連続的に変化する。先端の直径が0.5ミリメートルから1.0ミリメートル程度の触針を用いて小型のワークを測定した場合、測定位置が連続的に変化せず、接触点のばらつき、及び複数の接触点が検出される等が発生し得る。
【0068】
そこで、小型のワークを測定する触針の先端半径は、2.0マイクロメートル、及び5.0マイクロメートル等とされる。先端半径が2.0マイクロメートル等の場合、触針の先端の材料はダイヤモンドが適用される。
【0069】
触針の先端がダイヤモンドの場合、触針の先端を測定するエッジゲージ24は、触針の先端と同等以上の硬度が必要となるので、
図2に等に示したエッジゲージ24のエッジ部40の材料はダイヤモンドが適用される。
【0070】
なお、上記した小型のワークは例示であり、測定の際に、1.0ミリメートル程度の溝形状、及び穴形等、先端半径が2.0マイクロメートル等の触針が適用されるワークは、ここでいう小型ワークの概念に含まれ得る。
【0071】
[エッジゲージを用いて触針の先端半径を校正する利点]
図6はエッジゲージの測定の模式図である。
図6は、触針49を用いたエッジゲージ24の測定が模式的に図示されている。
図6に示すように、触針49をX軸方向に移動させ、触針49の先端49Aを、第一傾斜面44、エッジ48、及び第二傾斜面46の順に接触させて、エッジゲージ24を測定する。
【0072】
図7はエッジゲージの測定結果を表す模式図である。
図7に示す結果波形60は、第一傾斜面44の測定結果である第一波形要素62、エッジ48の測定結果である第二波形要素64、及び第二傾斜面46の測定結果である第3波形要素66が含まれる。
【0073】
図7に示した結果波形60には、エッジ48を測定した触針49の先端49Aの半径が現れるが、測定対象がエッジ48のため、エッジ48の先端半径Rの影響をほぼ受けない。
【0074】
[機能ブロック図]
図8は校正装置の機能ブロック図である。本実施形態に係る校正装置は、信号処理部70を備える。信号処理部70は、測定値取得部71、及び設計値取得部72を備える。測定値取得部71は、形状測定機の検出部から出力される段差ゲージ22、エッジゲージ24、及びボールゲージ26の測定データを取得する。ここでいうデータとは、1つ以上の測定値が含まれる。
【0075】
測定値取得部71は、段差ゲージ22の測定データを取得する段差測定データ取得部、エッジゲージ24の測定データを取得するエッジ測定データ取得部、及びボールゲージ26の測定データを取得するボール測定データ取得部を備えてもよい。取得した測定データは、図示しない測定データ記憶部を用いて記憶される。
【0076】
設計値取得部72は、段差ゲージ22、エッジゲージ24、及びボールゲージ26の設計値を取得する。測定値取得部71と同様に、設計値取得部72は段差ゲージ22、エッジゲージ24、及びボールゲージ26のそれぞれの設計値を個別に取得してもよい。取得した設計値は、図示しない設計値記憶部を用いて記憶される。設計値取得部72は、予め記憶されている各設計値を読み出すことで、設計値を取得してもよい。
【0077】
信号処理部70は、処理部74、データ記憶部76、校正部78、校正データ記憶部80、及び校正データ出力部82を備える。処理部74は、設計値、及び測定値を用いて、演算等の信号処理を実行する。処理部74を用いた信号処理の結果は、データ記憶部76に記憶される。
【0078】
校正部78は、処理部74を用いた信号処理の結果を用いて、アーム長さの校正データ、触針高さの校正データ、及び触針先端半径の校正データを生成する。校正部78は、段差測定データ、ボール測定データ、段差設計値、及びボール設計値を用いて、アーム長さの校正データ、及び触針高さの校正データを生成し得る。
【0079】
アーム長さの校正データ、及び触針高さの校正データを生成する際に、校正部78は、エッジ測定データ、及びエッジ設計値を用いて触針先端半径の仮の校正データを生成してもよい。
【0080】
また、校正部78は、エッジ測定データ、及びエッジ設計値を用いて触針先端半径の校正データを生成し得る。校正部78を用いて生成された各種の校正データは校正データ記憶部80へ記憶される。
【0081】
校正部78は、校正データ出力部82を介して、形状測定装置の制御部へ、アーム長さの校正データ、触針高さの校正データ、及び触針先端半径の校正データを送信する。形状測定装置は、校正装置の信号処理部70から送信された各種校正データを用いて、ワークの測定を実施し得る。
【0082】
図8に示した校正装置の信号処理部70の機能は、ハードウェアを用いてプログラムを実行することで実現し得る。ハードウェアは、プロセッサ、メモリ、記憶装置、及び通信インターフェイスを用いて構成し得る。プロセッサの例として、CPU(Central Processing Unit)が挙げられる。
【0083】
メモリの例として、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)が挙げられる。記憶装置の例として、ハードディスク装置、及びストレージ装置が挙げられる。
【0084】
[校正方法の説明]
〔校正方法に適用されるパラメータ〕
図9は校正方法に適用されるパラメータの説明図である。
図9には形状測定機に具備される検出器100の概略構成を模式的に図示する。符号102は触針を示す。符号102Aは触針102の先端を示す。なお、
図9に示した触針102は、
図6に示した触針49に相当する。
【0085】
符号104はアームを示す。符号104Aはアーム104の先端を表す。符号106は回転支点を表す。符号108はセンサを表す。
図9に二点鎖線を用いて図示したアーム104は、X軸方向と平行にアーム104が支持された、アーム104の水平状態を表す。
【0086】
触針102は、アーム104の先端部に固定される。アーム104は、XZ平面について、回転支点106を用いて回転可能に支持される。アーム104の先端部は、アーム104の先端104Aを含み、アーム104の先端104Aから一定の長さを有する領域を表す。
【0087】
LH1はアーム長さである。アーム長さLH1は、回転支点106からアーム104の先端104Aまでの距離である。LV1は触針高さである。触針高さLV1は触針102の全長である。触針高さLV1は、アーム104の水平状態における、回転支点106から触針102の先端102AまでのZ軸方向の距離である。
【0088】
LH2は、アーム104の水平状態における、回転支点106からセンサ108までのX軸方向の距離である。LV2は、回転支点からセンサ108までのZ軸方向における距離である。θは、アーム104の水平状態を基準とする、アーム104の傾き角度を表す。
【0089】
x0iは、図示しないスケールの検出信号のi番目のサンプル点を表す。z0iは、センサ108の検出信号のi番目のサンプル点を表す。(x1i,z1i)は、i番目のサンプ点に対応する触針102の先端102Aの位置の座標を表す。
【0090】
θは下記の式1を用いて表される。x1iは下記の式2を用いて表される。z1iは下記の式3を用いて表される。
【0091】
【0092】
また、
図9に示したL1は、下記の式4を用いて表される。L2は、下記の式5を用いて表される。θ1は、下記の式6を用いて表される。θ2は、下記の式7を用いて表される。
【0093】
【0094】
〔校正方法の手順〕
図10は校正方法の手順を示すフローチャートである。測定値取得工程S10では、
図8に示した設計値取得部72は、段差ゲージ22の設計値、エッジゲージ24の設計値、及びボールゲージ26の設計値を取得する。取得した各設計値を記憶する設計値記憶工程を実行してもよい。測定値取得工程S10の後に、ボールゲージ測定工程S12へ進む。
【0095】
ボールゲージ測定工程S12では、測定値取得部71は、ボールゲージ26の測定データを取得する。取得した測定データを記憶する記憶工程を実行してもよい。ボールゲージ測定工程S12の後に、段差ゲージ測定工程S14へ進む。
【0096】
段差ゲージ測定工程S14では、測定値取得部71は、段差ゲージ22の測定データを取得する。取得した測定データを記憶する記憶工程を実行してもよい。段差ゲージ測定工程S14の後に、エッジゲージ測定工程S16へ進む。
【0097】
エッジゲージ測定工程S16では、測定値取得部71は、エッジゲージ24の測定データを取得する。取得した測定データを記憶する記憶工程を実行してもよい。エッジゲージ測定工程S16の後に、触針先端半径仮校正工程S18へ進む。
【0098】
触針先端半径仮校正工程S18では、校正部78は、エッジ測定データを用いて、触針先端半径の仮の校正データを導出する。触針先端半径仮校正工程S18の後に、評価関数値算出工程S20へ進む。
【0099】
評価関数値算出工程S20では、処理部74は、段差測定データ、及びボール測定データを用いて、規定の評価関数値を計算する。以下の項目の総和を評価関数として定義し得る。
【0100】
〈1〉
段差測定データから算出される段差と既知の段差寸法H0との差の二乗
〈2〉
ボール測定データの真円度の二乗
真円度は、最小二乗円からの偏差の最大値とする。
【0101】
〈3〉
ボール測定データの対称性
ボール測定データの対称性は、極座標データ(A,R)において、Aを90度プラスマイナスγとした場合の、左右のR値の差の二乗を適用する。極座標は、最小二乗円の中心を原点とする。
【0102】
なお、ボール測定データとして、Z軸方向における測定範囲を変えた複数のボール測定データを適用してもよい。複数のボール測定データが得られた場合、評価関数は、ボール測定データ間の形状誤差を、上記した評価関数の項目としてもよい。
【0103】
評価関数値算出工程S20の後に、収束判定工程S22へ進む。収束判定工程S22では、校正部78は、評価関数値算出工程S20において算出された評価関数値が収束するか否かを判定する。評価関数値算出工程S20において算出された評価関数値が収束しない場合は、No判定となる。No判定の場合は、最適化計算工程S24へ進む。
【0104】
最適化計算工程S24では、校正部78は、評価関数値算出工程S20において算出された評価関数値が収束するまで、最適化計算が実行される。すなわち、収束判定工程S22においてYes判定となるまで、触針先端半径仮校正工程S18から収束判定工程S22までの各工程が繰り返し実行される。
【0105】
すなわち、校正部78は、評価関数値算出工程S20において算出された評価関数値が収束するまで最適化計算を行い、アーム長さLH1の最適な校正データ、及び触針高さLV1の最適な校正データを算出する。
【0106】
一方、収束判定工程S22において、評価関数値が収束したと判定された場合はYes判定となる。Yes判定の場合は、触針先端校正工程S26へ進む。Yes判定の場合は、各校正データを記憶する記憶工程を実行してもよい。
【0107】
触針先端校正工程S26では、校正部78は、エッジ測定データを用いて、触針先端半径仮校正工程S18において仮校正された触針先端半径の最適な校正データを算出する。触針先端校正工程S26の後に、触針先端半径の校正データを記憶する記憶工程を実行してもよい。
【0108】
以上説明した校正方法を用いて、
図9に示したLH2、及びLV2の校正データを導出し得る。なお、ここで説明した校正方法は一例であり、段差測定データ、ボール測定データを用いて、アーム長さLH1の校正、及び触針高さの校正が実施され、かつ、エッジ測定データを用いて触針先端半径の校正が実施される他の校正方法を適用してもよい。
【0109】
[作用効果]
上記の如く構成された校正装置、及び校正方法によれば、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0110】
〔1〕
エッジゲージを用いて触針先端半径が校正される。エッジゲージのエッジの先端は半径が0.1マイクロメートル以下とされる。これにより、ボールゲージを用いて触針先端半径を校正した場合における、ボールゲージの真円度に起因する校正誤差が抑制される。
【0111】
〔2〕
エッジゲージの角度が80度以下とされる。これにより、小型ボールネジの溝における接触角測定に好適である。
【0112】
〔3〕
エッジゲージのエッジ部の材料は、ダイヤモンドが適用される。これにより、高精度の加工が施されたエッジ部の製作が可能である。また、エッジ部の一定の耐久性を確保し得る。更に、ダイヤモンドが適用された触針先端の校正が可能である。
【0113】
[装置適用例]
上記した校正装置、及び校正方法を適用し得る形状測定装置について説明する。
図11は形状測定装置の一例を示す輪郭形状測定機の全体構成図である。
図11では、
図9に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0114】
図11に示した輪郭形状測定機120は、測定部122、データ処理部124を備える。測定部122は、送り装置130を備える。送り装置130は、ベース132に立設されたコラム134を用いて、Z軸方向に移動自在に支持される。送り装置130はX軸方向の変位を検出するスケール136が内蔵される。
【0115】
測定部122は、検出器100を備える。検出器100は、送り装置130を用いて、X軸方向に移動自在に支持される。検出器100は、触針102、アーム104、及びセンサ108を備える。検出器100の構造は
図9を用いて説明したとおりである。ここでは検出器100の説明は省略する。
【0116】
輪郭形状測定機120は、図示しない制御装置を備える。制御装置は、測定プログラムを実行して、ワークWの輪郭形状の自動測定を実施する。制御装置は、規定の測定手順に基づいて、X軸方向移動機構、及びZ軸方向移動機構の動作を制御し得る。制御部は、データ処理部124とハードウェアを共通化してもよい。
【0117】
データ処理部124は、コンピュータ140を備える。コンピュータ140は、キーボード142、及びマウス144を備える。コンピュータ140は、モニタ装置146と接続される。
【0118】
コンピュータ140は、図示しない測定データ入力部を備える。測定データ入力部は、スケール136の検出信号を出力するスケール検出信号を出力するスケール検出信号、及びセンサ108の検出信号を出力するセンサ検出信号検出部と通信可能に接続される。
【0119】
コンピュータ140は、図示しない設計値取得部を備える。設計値取得部は、ワークWの設計値を取得する。コンピュータ140は、図示しない校正データ取得部、及び校正データ記憶部を備える。校正データ取得部は校正装置を用いて導出された各種校正データを取得する。校正データ記憶部は、取得した各種校正データを記憶する。各種校正データは、上記したアーム長さLH1の校正データ、触針高さLV1の校正データ、及び触針半径の校正データが含まれる。
【0120】
すなわち、コンピュータ140は、ワークWの輪郭形状測定において、各測定点における測定データを取得する。コンピュータ140は、取得した測定データに基づいて、ワークWの輪郭形状を計算する。コンピュータ140は、モニタ装置146を用いて、ワークWの測定データ、及びワークWの輪郭形状を表示し得る。
【0121】
輪郭形状測定機120は、
図8に示した信号処理部を備えてもよい。例えば、
図11に示したコンピュータ140は、校正装置の信号処理部70の機能を実現するハードウェア、及びソフトウェアを備えてもよい。
【0122】
図11に示した輪郭形状測定機120においてアーム長さLH1、触針高さLV1、及び触針先端半径を校正する際は、
図1に示した校正ユニット20をベース132の上面に載置する。その際に、エッジゲージ24のエッジ48をY軸方向と一致させる。ここでいう一致は、許容範囲の誤差が含まれてもよい。
【0123】
本例では、輪郭形状測定機を例示したが、上記した校正装置は粗さ測定機、及び粗さ測定機と輪郭形状測定機との複合機にも適用可能である。
【0124】
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0125】
20…校正ユニット、22…段差ゲージ、24…エッジゲージ、26…ボールゲージ、40…エッジ部、44…第一傾斜面、46…第二傾斜面、48…エッジ、70…信号処理部、71…測定値取得部、72…設計値取得部、74…処理部、78…校正部、82…校正データ出力部