(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164712
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/533 20210101AFI20231102BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20231102BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20231102BHJP
H01M 50/567 20210101ALI20231102BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20231102BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20231102BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20231102BHJP
H01M 50/342 20210101ALN20231102BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/15
H01M50/176
H01M50/567
H01M50/566
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/342 101
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023156472
(22)【出願日】2023-09-21
(62)【分割の表示】P 2022025214の分割
【原出願日】2018-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2017011355
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
(72)【発明者】
【氏名】山田 博之
(57)【要約】
【課題】電流遮断機構の作動圧がより安定した信頼性の高い二次電池を提供する。
【解決手段】封口板2の電池内面側には第1絶縁部材10を介して、電極体側に導電部材開口部61fを有する導電部材61が配置されている。正極端子7の挿入部7bが、導電部材61の第3端子挿入孔61cに挿入され導電部材61に接続されている。導電部材61は、第1絶縁部材10に対向する部分に第1絶縁部材10に向かって突出する押圧突起61eを有する。挿入部7bの電極体側の端部が導電部材61にカシメ固定され、封口板2の厚さ方向に対して垂直な面方向において、第1絶縁部材10に設けられた第1溝部10xは、挿入部7bのかしめられた部分の外周縁より挿入部7bの外側に配置された。第2溝部10yは、第1絶縁部材10において第一溝部10xの他方の面に設けられ、第1溝部10xと第2溝部10yは端子挿入孔からの距離が互いに異なる。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板及び負極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記封口板の前記電極体側に第1絶縁部材を介して配置された導電部材と、
前記正極板又は前記負極板と、前記導電部材とを電気的に接続する集電部材と、
前記集電部材及び前記導電部材を介して、前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された端子を備え、
前記端子は、前記封口板に設けられた端子取り付け孔、前記第1絶縁部材に設けられた端子挿入孔、及び前記導電部材に設けられた端子挿入孔に挿入されると共に、前記導電部材に接続され、
前記導電部材及び前記封口板の少なくとも一方は、前記第1絶縁部材と対向する部分に、前記第1絶縁部材に向かって突出する押圧突起を有し、
前記第1絶縁部材は、前記封口板と前記導電部材の間に配置される部分であって、前記押圧突起で押圧された部分よりも前記第1絶縁部材に設けられた端子挿入孔から離れた置に、第1溝部を有し、前記端子の電極体側の端部が前記導電部材にカシメ固定され、前記封口板の厚さ方向に対して垂直な面方向において、前記第1溝部は、前記端子のかしめられた部分の外周縁より前記端子の外側に配置され、
前記第1絶縁部材は、前記封口板と前記導電部材の間に配置される部分であって、前記押圧突起で押圧された部分よりも前記第1絶縁部材に設けられた端子挿入孔から離れた位置に第2溝部を有し、
前記第1溝部は、前記第1絶縁部材において、前記封口板及び前記導電部材の内の一方と対向する面に設けられ、
前記第2溝部は、前記第1絶縁部材において、前記封口板及び前記導電部材の内の他方と対向する面に設けられ、
前記第1溝部と前記第2溝部は前記端子挿入孔からの距離が互いに異なる、
二次電池。
【請求項2】
前記端子が前記導電部材に溶接接続された、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記第2溝部は、前記第1溝部よりも前記第1絶縁部材に設けられた端子挿入孔から離れた位置に設けられた請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記第1絶縁部材を平面視したとき、前記第1溝部の一部と前記第2溝部の一部が重なるように前記第1溝部及び前記第2溝部が形成された請求項1~3のいずれかに記載の二次電池。
【請求項5】
前記導電部材に、前記押圧突起が設けられた、請求項1~4のいずれかに記載の二次電池。
【請求項6】
前記導電部材は、前記封口板に対向するように配置される導電部材ベース部と、前記導電部材ベース部から前記電極体に向かって延びる管状部を有し、前記導電部材ベース部に前記押圧突起が設けられた、請求項5に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)等の駆動用電源に
おいて、アルカリ二次電池や非水電解質二次電池等の二次電池が使用されている。
【0003】
これらの角形二次電池では、開口を有する有底筒状の角形外装体と、その開口を封口す
る封口板により電池ケースが構成される。電池ケース内には、正極板、負極板及びセパレ
ータからなる電極体が電解液と共に収容される。封口板には正極端子及び負極端子が取り
付けられる。正極端子は正極集電体を介して正極板に電気的に接続され、負極端子は負極
集電体を介して負極板に電気的に接続される。
【0004】
過充電等により電池ケース内の圧力が所定値以上となった時に作動し、電極体と端子の
間の導電経路を切断し電流を遮断する電流遮断機構を備えた角形二次電池が提案されてい
る(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二次電池に電流遮断機構を設けることにより過充電等に対して信頼性の高い二次電池と
なる。しかしながら、より信頼性の高い二次電池の開発が求められる。
【0007】
本発明は、電流遮断機構の作動圧がより安定した信頼性の高い二次電池を提供すること
を主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様態の二次電池は、正極板及び負極板を含む電極体と、開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、前記開口を封口する封口板と、前記封口板の前記電極体側に第1絶縁部材を介して配置された導電部材と、前記正極板又は前記負極板と、前記導電部材とを電気的に接続する集電部材と、前記集電部材及び前記導電部材を介して、前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された端子を備え、前記端子は、前記封口板に設けられた端子取り付け孔、前記第1絶縁部材に設けられた端子挿入孔、及び前記導電部材に設けられた端子挿入孔に挿入されると共に、前記導電部材に接続され、前記導電部材及び前記封口板の少なくとも一方は、前記第1絶縁部材と対向する部分に、前記第1絶縁部材に向かって突出する押圧突起を有し、前記第1絶縁部材は、前記封口板と前記導電部材の間に配置される部分であって、前記押圧突起で押圧された部分よりも前記第1絶縁部材に設けられた端子挿入孔から離れた位置に、第1溝部を有し、前記端子の電極体側の端部が前記導電部材にカシメ固定され、前記封口板の厚さ方向に対して垂直な面方向において、前記第1溝部は、前記端子のかしめられた部分の外周縁より前記端子の外側に配置され、前記第1絶縁部材は、前記封口板と前記導電部材の間に配置される部分であって、前記押圧突起で押圧された部分よりも前記第1絶縁部材に設けられた端子挿入孔から離れた位置に第2溝部を有し、前記第1溝部は、前記第1絶縁部材において、前記封口板及び前記導電部材の内の一方と対向する面に設けられ、前記第2溝部は、前記第1絶縁部材において、前記封口板及び前記導電部材の内の他方と対向する面に設けられ、前記第1溝部と前記第2溝部は前記端子挿入孔からの距離が互いに異なる。
【0009】
本発明の一様態の二次電池においては、導電部材及び封口板の少なくとも一方において第1絶縁部材に対向する位置に押圧突起が形成されているため、導電部材と封口板の間に配置された第1絶縁部材が押圧突起により、より強く押圧され、ガスが移動することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、信頼性の高い二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1におけるII-II線に沿った断面図である。
【
図6】正極端子、外部側絶縁部材、封口板、第1絶縁部材及び導電部材の斜視図である。
【
図7】各部品を取り付けた後の封口板の下面図である。
【
図8】
図8Aは
図7のVIIIA-VIIIA線に沿った断面図であり、
図8Bは
図7のVIIIB-VIIIB線に沿った断面図であり、
図8Cは
図7のVIIIC-VIIIC線に沿った断面図である。
【
図10】
図10Aは組み付け前の第1正極集電体と第2絶縁部材の斜視図であり、
図10Bは組み付け後の第1正極集電体と第2絶縁部材の斜視図であり、
図10Cは固定後の第1正極集電体と第2絶縁部材の斜視図である。
【
図11】
図8Aにおける変形板と第1正極集電体の接続部近傍の拡大図である。
【
図12】各部品を取り付けた封口板の斜視図である。
【
図13】負極端子近傍の封口板の長手方向に沿った断面図である。
【
図14】集電部材へのタブの取付け方法を示す図である。
【
図16】
図16Aはカバー部を第1絶縁部材及び第2絶縁部材に取り付ける前の図であり、
図16Bはカバー部を第1絶縁部材及び第2絶縁部材に取り付けた後の図である。
【
図17】
図17Aは、カバー部を取り付けた後の正極端子近傍の封口板の長手方向に沿った断面図であり、
図17Bはカバー部と第1絶縁部材の接続部近傍の封口板の短手方向に沿った断面図である。
【
図18】
図8Aにおける正極端子と導電部材の接続部近傍の拡大図である。
【
図19】
図19Aは変形例に係る二次電池のカバー部を第1絶縁部材及び第2絶縁部材に取り付ける前の図であり、
図19Bは変形例に係る二次電池のカバー部を第1絶縁部材及び第2絶縁部材に取り付けた後の図である。
【
図20】変形例に係る二次電池の電流遮断機構近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係るに二次電池としての角形二次電池20の構成を以下に説明する。なお、
本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0013】
図1は角形二次電池20の斜視図である。
図2は
図1のII-II線に沿った断面図で
ある。
図1及び
図2に示すように角形二次電池20は、開口を有する有底角筒状の角形外
装体1と、角形外装体1の開口を封口する封口板2からなる電池ケース100を備える。
角形外装体1及び封口板2は、それぞれ金属製であることが好ましく、例えば、アルミニ
ウム又はアルミニウム合金製とすることが好ましい。角形外装体1内には、正極板と負極
板がセパレータを介して積層された積層型の電極体3が電解液と共に収容されている。電
極体3と角形外装体1の間には樹脂製の絶縁シート14が配置されている。
【0014】
電極体3の封口板2側の端部には、正極タブ40及び負極タブ50が設けられている。
正極タブ40は第2正極集電体6b及び第1正極集電体6aを介して正極端子7に電気的
に接続されている。負極タブ50は第2負極集電体8b及び第1負極集電体8aを介して
負極端子9に電気的に接続されている。ここで、第1正極集電体6a及び第2正極集電体
6bが、正極集電部材6を構成している。また、第1負極集電体8a及び第2負極集電体
8bが、負極集電部材8を構成している。なお、正極集電部材6を一つの部品とすること
もできる。また、負極集電部材8を一つの部品とすることもできる。
【0015】
正極端子7は、樹脂製の外部側絶縁部材11を介して封口板2に固定されている。負極
端子9は、樹脂製の外部側絶縁部材13を介して封口板2に固定されている。正極端子7
は金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることがより
好ましい。負極端子9は金属製であることが好ましく、銅又は銅合金製であることがより
好ましい。
【0016】
正極板と正極端子7の間の導電経路には、電池ケース100内の圧力が所定値以上とな
った際に作動し、正極板と正極端子7の間の導電経路を遮断する電流遮断機構60が設け
られることが好ましい。なお、負極板と負極端子9の間の導電経路に電流遮断機構を設け
てもよい。
【0017】
封口板2には電池ケース100内の圧力が所定値以上となった際に破断し、電池ケース
100内のガスを電池ケース100外に排出するガス排出弁17が設けられている。なお
、ガス排出弁17の作動圧は、電流遮断機構60の作動圧よりも大きい値に設定する。
【0018】
封口板2には電解液注液孔15が設けられている。電解液注液孔15から電池ケース1
00内に電解液を注液した後、電解液注液孔15は封止栓16により封止される。封止栓
16としてはブラインドリベットを用いることが好ましい。
【0019】
次に角形二次電池20の製造方法及び各構成の詳細を説明する。
【0020】
[正極板の作製]
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着剤としてのポ
リフッ化ビニリデン(PVdF)、導電剤としての炭素材料、及び分散媒としてのN-メ
チル-2-ピロリドン(NMP)を含む正極スラリーを作製する。この正極スラリーを、
正極芯体としての厚さ15μmの矩形状のアルミニウム箔の両面に塗布する。そして、こ
れを乾燥させることにより、正極スラリー中のNMPを取り除き、正極芯体上に正極活物
質合剤層を形成する。その後、正極活物質合剤層を所定厚みになるように圧縮処理を行う
。このようにして得られた正極板を所定の形状に切断する。
【0021】
図3は、上述の方法で作製した正極板4の平面図である。
図3に示すように、正極板4
は、矩形状の正極芯体4aの両面に正極活物質合剤層4bが形成された本体部を有する。
本体部の端辺から正極芯体4aが突出しており、この突出した正極芯体4aが正極タブ4
0を構成する。なお、正極タブ40は、
図3に示すように正極芯体4aの一部であっても
良いし、他の部材を正極芯体4aに接続し、正極タブ40としてもよい。また、正極タブ
40において正極活物質合剤層4bと隣接する部分には、正極活物質合剤層4bの電気抵
抗よりも大きな電気抵抗を有する正極保護層4dが設けられることが好ましい。
【0022】
[負極板の作製]
負極活物質としての黒鉛、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤
としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び水を含む負極スラリーを作製する
。この負極スラリーを、負極芯体としての厚さ8μmの矩形状の銅箔の両面に塗布する。
そして、これを乾燥させることにより、負極スラリー中の水を取り除き、負芯体上に負極
活物質合剤層を形成する。その後、負極活物質合剤層を所定厚みになるように圧縮処理を
行う。このようにして得られた負極板を所定の形状に切断する。
【0023】
図4は、上述の方法で作製した負極板5の平面図である。
図4に示すように、負極板5
は、矩形状の負極芯体5aの両面に負極活物質合剤層5bが形成された本体部を有する。
本体部の端辺から負極芯体5aが突出しており、この突出した負極芯体5aが負極タブ5
0を構成する。なお、負極タブ50は、
図4に示すように負極芯体5aの一部であっても
良いし、他の部材を負極芯体5aに接続し、負極タブ50としてもよい。
【0024】
[電極体要素の作製]
50枚の正極板4及び51枚の負極板5を上述の方法で作製し、これらをポリオレフィ
ン製の方形状のセパレータを介して積層し積層型の電極体要素(3a、3b)を作製する
。
図5に示すように、積層型の電極体要素(3a、3b)は、一方の端部において、各正
極板4の正極タブ40が積層され、各負極板5の負極タブ50が積層されるように作製さ
れる。電極体要素(3a、3b)の両外面にはセパレータが配置され、テープ等により各
極板及びセパレータが積層された状態に固定することができる。あるいは、セパレータに
接着層を設け、セパレータと正極板4、セパレータと負極板5がそれぞれ接着されるよう
にしてもよい。
【0025】
なお、セパレータの平面視の大きさは負極板5と同じ、あるいは負極板5よりも大きく
することが好ましい。2枚のセパレータの間に正極板4を配置し、セパレータの周縁を熱
溶着した状態とした後、正極板4と負極板5を積層してもよい。なお、電極体要素(3a
、3b)を作製するに当たり、長尺状のセパレータを用い、長尺状のセパレータを九十九
折状にしながら正極板4及び負極板5を積層することもできる。また、長尺状のセパレー
タを用い、長尺状のセパレータを巻回しながら正極板4及び負極板5を積層することもできる。
【0026】
[封口板への各部品取り付け(正極側)]
図2、
図6~
図8を用いて、封口板2への正極端子7及び第1正極集電体6a等の取り
付け方法、及び正極端子7の近傍の構成について説明する。
図6は、組立て前の正極端子
7、外部側絶縁部材11、封口板2、第1絶縁部材10、導電部材61の斜視図である。
図7は、各部品が取り付けられた後の封口板2の電池内面側を示す図である。なお、
図7
においては、正極タブ40及び負極タブ50は図示していない。
図8Aは、
図7における
VIIIA-VIIIA線に沿った正極端子7近傍の断面図である。
図8Bは、
図7にお
けるVIIIB-VIIIB線に沿った正極端子7近傍の断面図である。
図8Cは、
図7
におけるVIIIC-VIIIC線に沿った正極端子7近傍の断面図である。
【0027】
封口板2において、正極端子取り付け孔2aの近傍の電池外面側に外部側絶縁部材11
を配置し、正極端子取り付け孔2aの近傍の電池内面側に第1絶縁部材10及び導電部材
61を配置する。次に、正極端子7において鍔部7aの一方側に設けられた挿入部7bを
、外部側絶縁部材11の第1端子挿入孔11a、封口板2の正極端子取り付け孔2a、第
1絶縁部材10の第2端子挿入孔10d及び導電部材61の第3端子挿入孔61cのそれ
ぞれに挿入する。そして、挿入部7bの先端を導電部材61上にカシメる。これにより、
正極端子7、外部側絶縁部材11、封口板2、第1絶縁部材10及び導電部材61が固定
される。なお、正極端子7の挿入部7bがカシメられることにより、挿入部7bの先端側
に、導電部材61の第3端子挿入孔61cの内径よりも大きな外径を有する拡径部が形成
される。正極端子7の挿入部7bにおいてカシメられた部分と導電部材61はレーザ溶接
等により溶接されることが好ましい。また、第1絶縁部材10及び外部側絶縁部材11は
それぞれ樹脂製であることが好ましい。
【0028】
なお、
図6及び
図8に示すように、第1絶縁部材10は、封口板2と対向するように配
置される第1絶縁部材本体部10aを有する。第1絶縁部材本体部10aの封口板2の長
手方向における両端部には、一対の第1側壁10bが設けられている。第1絶縁部材本体
部10aの封口板2の短手方向における両端部には、一対の第2側壁10cが設けられて
いる。第1絶縁部材本体部10aには、第2端子挿入孔10dが設けられている。第2側
壁10cの外面側には、第1接続部10eが設けられている。第1接続部10eは、封口
板2の長手方向において、第2側壁10cの中央部に設けられることが好ましい。また、
第2側壁10cの外面側には、第2接続部10fが設けられている。第2接続部10fは
、封口板2の長手方向において、第2側壁10cの端部に設けられることが好ましい。第
1絶縁部材本体部10aの封口板2側の面には第1溝部10xが設けられ、第1絶縁部材
本体部10aの導電部材61側の面には、第2溝部10yが設けられている。第2溝部1
0yは、第1溝部10xよりも外周側に位置する。第1絶縁部材本体部10aの封口板2
側の面には、4隅に凹部10gが設けられている。
【0029】
図6及び
図8に示すように、導電部材61は、第1絶縁部材本体部10aと対向するよ
うに配置される導電部材ベース部61aと、導電部材ベース部61aの縁部から電極体3
に向かって延びる管状部61bを有する。なお、管状部61bの封口板2に平行な断面形
状は、円形であってもよいし角形であってもよい。管状部61bの電極体3側の端部には
、フランジ部61dが設けられている。管状部61bの電極体3側の端部には導電部材開
口部61fが設けられている。導電部材ベース部61aの第1絶縁部材10と対向する面
には押圧突起61eが設けられている。押圧突起61eは第1絶縁部材10を、封口板2
側に押圧している。なお、押圧突起61eは、第3端子挿入孔61cの縁部、あるいはそ
の近傍に形成されることが好ましい。
【0030】
次に、変形板62を、導電部材61の導電部材開口部61fを塞ぐように配置し、変形板62の周縁を導電部材61にレーザ溶接等により溶接する。これにより、導電部材61
の導電部材開口部61fが変形板62により密閉される。なお、導電部材61及び変形板
62はそれぞれ金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金である
ことがより好ましい。
【0031】
図9は変形板62の斜視図である。なお、
図9において上方が電極体3側であり、下方
が封口板2側である。
図9に示すように、変形板62の中央部には、電極体3側に突出す
る段付き突起62aが設けられている。この段付き突起62aは、第1突出部62a1と
、第1突出部62a1よりも外径が小さく第1突出部62a1から電極体3側に突出する
第2突出部62a2を含む。変形板62は外周縁に、電極体3側に突出する環状リブ62
bを有する。変形板62の電極体3側の面には、環状の環状薄肉部62cが設けられてい
る。なお、変形板62は、導電部材61の導電部材開口部61fを封止できる形状であれ
ばよい。
【0032】
次に、
図10を用いて、第2絶縁部材63と第1正極集電体6aの固定方法を説明する
。なお、
図10において、角形二次電池20において電極体3側に配置される面が上方に
位置し、封口板2側に配置される面が下方に位置している。
【0033】
図10Aに示すように、第1正極集電体6aは、接続用孔6cを有する。この接続用孔
6cの縁部が変形板62に溶接接続される。第1正極集電体6aにおいて、接続用孔6c
の周囲には、4つの固定用孔6dが設けられている。なお、固定用孔6dは一つであって
も良いが、好ましくは2つ以上設けられていることが好ましい。第1正極集電体6aにお
いて、接続用孔6cの周囲には、ずれ防止用孔6eが設けられている。ずれ防止用孔6e
は一つでも良いが、少なくとも2つ設けられることが好ましい。ずれ防止用孔6eは、固
定用孔6dと固定用孔6dの間に配置されることが好ましい。また、固定用孔6dは、小
径部6d1と、小径部6d1よりも内径の大きい大径部6d2を有することが好ましい。
大径部6d2は小径部6d1よりも電極体3側に配置されることが好ましい。
【0034】
図8及び
図10Aに示すように、第2絶縁部材63は、変形板62と対向するように配
置される絶縁部材第1領域63xと、封口板2と対向するように配置される絶縁部材第2
領域63yと、絶縁部材第1領域63xと絶縁部材第2領域63yを繋ぐ絶縁部材第3領
域63zを有する。絶縁部材第1領域63xの中央には絶縁部材第1開口63aが設けら
れている。絶縁部材第1領域63xにおいて、封口板2の長手方向における端部には第3
壁部63bが設けられている。第3壁部63bには、第3接続部63dが設けられている
。また、絶縁部材第1領域63xにおいて、封口板2の短手方向における両端部には第4
壁部63cが設けられている。第4壁部63cには、第4接続部63eが設けられている
。また、絶縁部材第1領域63xにおいて電極体3側の面には、4つの固定用突起63f
が設けられている。また、2つのずれ防止用突起63gが設けられている。絶縁部材第1
領域63xにおける封口板2側の面には、4つの爪部63hが設けられている。絶縁部材
第2領域63yは、絶縁部材第1領域63xよりも封口板2に近い位置に配置されている
。絶縁部材第2領域63yにおいて、封口板2に設けられた電解液注液孔15と対向する
位置には絶縁部材第2開口63iが設けられている。絶縁部材第2開口63iの縁部には
電極体3側に向かって延びる絶縁部材環状リブ63kが設けられている。
【0035】
図10Bに示すように、第2絶縁部材63の固定用突起63fが第1正極集電体6aの
固定用孔6d内に配置され、第2絶縁部材63のずれ防止用突起63gが第1正極集電体
6aのずれ防止用孔6e内に配置されるように、第2絶縁部材63上に第1正極集電体6
aを配置する。そして、第2絶縁部材63の固定用突起63fの先端部を熱カシメ等する
ことにより変形させる。これにより、
図8C及び
図10Cに示すように、第2絶縁部材6
3の固定用突起63fの先端部に拡径部63f1が形成され、第2絶縁部材63と第1正極集電体6aが固定される。
【0036】
なお、
図8Cに示すように、第2絶縁部材63の固定用突起63fの先端部に形成され
る拡径部63f1が、固定用孔6dの大径部6d2内に配置されることが好ましい。
【0037】
第2絶縁部材63のずれ防止用突起63gは、固定用突起63fのように熱カシメされ
ない。
【0038】
なお、固定用突起63fの外径は、ずれ防止用突起63gの外径よりも大きいことが好
ましい。また、第1正極集電体6aの固定用孔6dの小径部6d1の内径は、第1正極集
電体6aのずれ防止用孔6eの内径よりも大きいことが好ましい。
【0039】
次に、
図8A~
図8Cに示すように、第1正極集電体6aが固定された第2絶縁部材6
3を、第1絶縁部材10と導電部材61に接続する。
【0040】
図8Bに示すように、第2絶縁部材63の第4接続部63eが第1絶縁部材10の第1
接続部10eに接続される。また、
図8Cに示すように、第2絶縁部材63の爪部63h
が、導電部材61のフランジ部61dに接続される。これにより、第2絶縁部材63は、
第1絶縁部材10及び導電部材61のそれぞれに接続される。なお、第2絶縁部材63は
、必ずしも第1絶縁部材10及び導電部材61の両方に接続される必要がない。但し、第
2絶縁部材63は、第1絶縁部材10及び導電部材61の少なくとも一方に接続されるこ
とが好ましい。これにより、角形二次電池20に強い衝撃や振動が加わった場合でも、第
1正極集電体6aの脆弱部に負荷が加わることを抑制できる。よって、第1正極集電体6
aの脆弱部の損傷や破損を抑制できる。
【0041】
変形板62は、第1正極集電体6aと溶接接続される。
図11は、
図8Aにおける変形
板62と第1正極集電体6aの接続部近傍の拡大図である。
図11に示すように、変形板
62の第2突出部62a2が、第1正極集電体6aの接続用孔6c内に配置される。そし
て、変形板62の第2突出部62a2と第1正極集電体6aの接続用孔6cの縁部がレー
ザ溶接等により溶接接続される。なお、変形板62と第1正極集電体6aの接続部は、第
2絶縁部材63の絶縁部材第1開口63aと対応する位置に形成される。
【0042】
なお、第1正極集電体6aにおいて、接続用孔6cの周囲には、薄肉部6fが設けられ
ている。薄肉部6fには、接続用孔6cを囲むように環状のノッチ6gが設けられている
。接続用孔6cの縁部には、環状の接続リブ6hが形成されている。この接続リブ6hが
変形板62と溶接接続される。なお、第1正極集電体6aと変形板62は、接続用孔6c
の全周において環状に溶接接続されていてもよいし、環状ではなく一部溶接されていない
部分があってもよい。また、第1正極集電体6aと変形板62が、接続用孔6cの縁部に
おいて、離間した複数個所で溶接されていてもよい。
【0043】
ここで、電流遮断機構60の作動について説明する。電池ケース100内の圧力が上昇
することにより、変形板62の中央部が封口板2側に移動するように変形する。そして、
電池ケース100内の圧力が所定値以上となったとき、変形板62の変形に伴い、第1正
極集電体6aの薄肉部6fに設けられたノッチ6gが破断する。これにより、正極板4か
ら正極端子7への導電経路が切断される。このように、電流遮断機構60は、第1正極集
電体6a、変形板62及び導電部材61を含む。角形二次電池20が過充電状態となり電
池ケース100内の圧力が上昇したとき、電流遮断機構60が作動し、正極板4から正極
端子7への導電経路が切断されることにより、更なる過充電の進行が防止される。なお、
電流遮断機構60が作動する作動圧は適宜決定できる。
【0044】
変形板62と第1正極集電体6aの溶接接続を行う前に、正極端子7に形成された端子
貫通孔7cを通じて導電部材61の内部側にガスを送り込むことにより、導電部材61と
変形板62に溶接部のリーク検査を行える。端子貫通孔7cは、端子封止部材7xにより
封止される。なあ、端子封止部材7xは、金属部材7yとゴム部材7zからなることが好
ましい。
【0045】
図12は、第1絶縁部材10、導電部材61、変形板62、第2絶縁部材63及び第1
正極集電体6aが取り付けられた封口板2の斜視図である。
図12に示すように、第2絶
縁部材63において封口板2の長手方向の端部に第3接続部63dが設けられている。第
1絶縁部材10において封口板2の短手方向の両端には第2接続部10fが設けられてい
る。
【0046】
[封口板への各部品取り付け(負極側)]
図2及び
図13を用いて、封口板2への負極端子9及び第1負極集電体8aの取り付け
方法を説明する。封口板2に設けられた負極端子取り付け孔2bの近傍の電池外面側に外
部側絶縁部材13を配置し、負極端子取り付け孔2bの近傍の電池内面側に内部側絶縁部
材12及び第1負極集電体8aを配置する。次に、負極端子9を、外部側絶縁部材13の
貫通孔、封口板2の負極端子取り付け孔2b、内部側絶縁部材12の貫通孔及び第1負極
集電体8aの貫通孔のそれぞれに挿入する。そして、負極端子9の先端を第1負極集電体
8a上にカシメる。これにより、外部側絶縁部材13、封口板2、内部側絶縁部材12及
び第1負極集電体8aが固定される。なお、負極端子9においてカシメられた部分と第1
負極集電体8aはレーザ溶接等により溶接接続されることが好ましい。また、内部側絶縁
部材12及び外部側絶縁部材13はそれぞれ樹脂製であることが好ましい。
【0047】
[集電体とタブの接続]
図14は、第2正極集電体6bへの正極タブ40の接続方法、第2負極集電体8bへの
負極タブ50の接続方法を示す図である。上述の方法で2つの電極体要素を作製し、それ
ぞれ第1の電極体要素3a、第2の電極体要素3bとする。なお、第1の電極体要素3a
と第2の電極体要素3bは全く同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
ここで、第1の電極体要素3aの複数枚の正極タブ40が第1正極タブ群40aを構成す
る。第1の電極体要素3aの複数枚の負極タブ50が第1負極タブ群50aを構成する。
第2の電極体要素3bの複数枚の正極タブ40が第2正極タブ群40bを構成する。第2
の電極体要素3bの複数枚の負極タブ50が第2負極タブ群50bを構成する。
【0048】
第1の電極体要素3aと第2の電極体要素3bの間に、第2正極集電体6bと第2負極
集電体8bを配置する。そして、第1の電極体要素3aから突出する積層された複数枚の
正極タブ40からなる第1正極タブ群40aを第2正極集電体6b上に配置し、第1の電
極体要素3aから突出する積層された複数枚の負極タブ50からなる第1負極タブ群50
aを第2負極集電体8b上に配置する。また、第2の電極体要素3bから突出する積層さ
れた複数枚の正極タブ40からなる第2正極タブ群40bを第2正極集電体6b上に配置
し、第2の電極体要素3bから突出する積層された複数枚の負極タブ50からなる第2負
極タブ群50bを第2負極集電体8b上に配置する。第1正極タブ群40a及び第2正極
タブ群40bはそれぞれ第2正極集電体6bに溶接接続され溶接接続部90が形成される
。第1負極タブ群50a及び第2負極タブ群50bはそれぞれ第2負極集電体8bに溶接
接続され溶接接続部90が形成される。溶接接続は、次のように行うことができる。
【0049】
上下から溶接治具により積層されたタブ(第1正極タブ群40a、第2正極タブ群40b、第1負極タブ群50a、第2負極タブ群50b)と集電体(第2正極集電体6b、第2負極集電体8b)を挟み込み、溶接を行う。ここで溶接方法は、超音波溶接、あるいは抵抗溶接が好ましい。なお、一対の溶接治具は、抵抗溶接の場合は一対の抵抗溶接用電極であり、超音波溶接の場合はホーン及びアンビルである。なお、タブ(第1正極タブ群40a、第2正極タブ群40b、第1負極タブ群50a、第2負極タブ群50b)と集電体(第2正極集電体6b、第2負極集電体8b)の接続は、レーザ溶接で接続することもできる。
【0050】
図14に示すように、第2正極集電体6bは、集電体第1領域6b1と集電体第2領域
6b2を有する。集電体第1領域6b1には正極タブ40が接続される。集電体第1領域
6b1には集電体第2開口6zが設けられている。集電体第1領域6b1と集電体第2領
域6b2は、集電体第3領域6b3により繋がれている。第2正極集電体6bを第1正極
集電体6aに接続した後、集電体第2開口6zは封口板2に設けられた電解液注液孔15
と対応する位置に配置される。集電体第2領域6b2には、集電体第1開口6yが設けら
れている。そして、集電体第1開口6yの周囲には、集電体第1凹部6mが設けられてい
る。また、封口板2の短手方向において、集電体第1開口6yの両側にはターゲット孔6
kが設けられている。
【0051】
図14に示すように、第2負極集電体8bは、集電体第1領域8b1と集電体第2領域
8b2を有する。集電体第1領域8b1には負極タブ50が接続される。集電体第2領域
8b2には、集電体第1開口8yが設けられている。そして、集電体第1開口8yの周囲
には、集電体第1凹部8fが設けられている。また、封口板2の短手方向において、集電
体第1開口8yの両側にはターゲット孔8eが設けられている。
【0052】
[第1正極集電体と第2正極集電体の接続]
図2、
図7、
図8等に示すように、第1正極集電体6aの集電体突起6xが、第2正極
集電体6bの集電体第1開口6y内に位置するようにして、第2正極集電体6bを第2絶
縁部材63上に配置する。そして、第1正極集電体6aの集電体突起6xと第2正極集電
体6bの集電体第1開口6yの縁部をレーザ等のエネルギー線の照射により溶接する。こ
れにより、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bが接続される。なお、集電体第1凹
部6mにおいて、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bが溶接接続されていることが
好ましい。
【0053】
図2及び
図8に示すように、封口板2に対して垂直な方向において、封口板2と集電体
第1領域6b1の距離は、封口板2と集電体第2領域6b2の距離よりも小さい。このよ
うな構成であると、集電部が占めるスペースをより小さくでき、より体積エネルギー密度
の高い角形二次電池となる。
【0054】
第1正極集電体6aと第2正極集電体6bをレーザ等のエネルギー線の照射により溶接
する際、ターゲット孔6kを画像補正用のターゲットとすることが好ましい。
【0055】
図8Aに示すように、第1正極集電体6aの第2絶縁部材63と対向する面であって、
集電体突起6xの裏側には集電体第2凹部6wが形成されている。これにより、第1正極
集電体6aと第2正極集電体6bの間により大きな溶接接続部を形成し易くなるため好ま
しい。また、集電体第2凹部6wが形成されていることにより、第1正極集電体6aと第
2正極集電体6bを溶接接続する際に、溶接時の熱により第2絶縁部材63が損傷するこ
とを防止できる。
【0056】
[第1負極集電体と第2負極集電体の接続]
図13に示すように、第2負極集電体8bは、集電体第1領域8b1と集電体第2領域
8b2を有する。集電体第1領域8b1には負極タブ50が接続される。集電体第2領域
8b2には、集電体第1開口8yが設けられている。集電体第1領域8b1と集電体第2
領域8b2は、集電体第3領域8b3により繋がれている。
【0057】
図13に示すように、第1負極集電体8aの集電体突起8xが、第2負極集電体8bの
集電体第1開口8y内に位置するようにして、第2負極集電体8bを内部側絶縁部材12
上に配置する。そして、第1負極集電体8aの集電体突起8xと第2負極集電体8bの集
電体第1開口8yの縁部をレーザ等のエネルギー線の照射により溶接する。これにより、
第1負極集電体8aと第2負極集電体8bが接続される。集電体第1凹部8fにおいて、
第1負極集電体8aと第2負極集電体8bが溶接接続されていることが好ましい。第2負
極集電体8bには、第2正極集電体6bと同様にターゲット孔8eが設けられている。封
口板2に対して垂直な方向において、封口板2と集電体第1領域8b1の間の距離は、封
口板2と集電体第2領域8b2の間の距離より小さい。なお、第1負極集電体8aを用い
ず、第2負極集電体8bを負極端子9に接続することができる。
【0058】
図13に示すように、第1負極集電体8aの内部側絶縁部材12と対向する面であって
、集電体突起8xの裏側には集電体第2凹部8wが形成されている。これにより、第1負
極集電体8aと第2負極集電体8bの間により大きな溶接接続部を形成し易くなるため好
ましい。また、集電体第2凹部8wが形成されていることにより、第1負極集電体8aと
第2負極集電体8bを溶接接続する際に、溶接時の熱により内部側絶縁部材12が損傷す
ることを防止できる。
【0059】
なお、集電体突起6x及び集電体突起8xはそれぞれ、平面視の形状が非真円であるこ
とが好ましく、方形状、楕円状やトラック形状であることが好ましい。
【0060】
[カバー部の取り付け]
図15は、各部品が取り付けられた封口板2とカバー部80の斜視図である。なお、図
15においては、正極タブ40は図示されていない。カバー部80は、第1正極集電体6
aと対向するように配置されるカバー部本体80aと、カバー部本体80aの封口板2の
短手方向における両端部から封口板2に向かって延びる一対の腕部80bを有する。カバ
ー部80は、カバー部本体80aの封口板2の長手方向における端部から封口板2に向か
って延びるカバー壁部80eを有する。腕部80bの内側の面には、接続突起80cが設
けられている。カバー部本体80aにおいて、腕部80bの根元近傍には、根元開口80
dが設けられている。カバー壁部80eには壁部開口80fが設けられている。
【0061】
図16A及び
図16Bに示すように、カバー部80のカバー部本体80aが第1正極集
電体6aと対向するように、カバー部80を第1絶縁部材10及び第2絶縁部材63へ接
続する。カバー部80の一対の腕部80bは、それぞれ接続突起80cにより、第1絶縁
部材10の第2接続部10fに接続される。カバー部80のカバー壁部80eが第2絶縁
部材63の第3接続部63dに接続される。
【0062】
図17Aに示すように、第3接続部63dは第3壁部63bに設けられた突起であり、
第3接続部63dがカバー壁部80eの壁部開口80fと嵌合されることにより、第1絶
縁部材10とカバー部80が接続されている。
図17Bに示すように、第1絶縁部材10
の第2接続部10fに、カバー部80の腕部80bに設けられた接続突起80cが引っ掛
けるようにして接続される。
【0063】
なお、カバー部80は樹脂製であることが好ましい。また、カバー部80は絶縁部材か
らなることが好ましい。
【0064】
図17A及び
図17Bに示すように、第1正極集電体6aとカバー部80のカバー部本
体80aの上面の間に隙間が形成されるようにすることが好ましい。このような構成によ
り、変形板62の下面にスムーズにガスが流れ込むため、電池ケース100内の圧力が所定値以上となったときに、よりスムーズに変形板62が変形する。但し、上述の隙間は必
須の構成ではない。
【0065】
図17Bに示すように、カバー部80のカバー部本体80aに根元開口80dが設けら
れていることが好ましい。これにより、変形板62の下面にスムーズにガスが流れ込むた
め、電池ケース100内の圧力が所定値以上となったときに、よりスムーズに変形板62
が変形する。但し、根元開口80dは必須の構成ではない。
【0066】
[電極体作製]
図14における第1の電極体要素3aの上面と第2の電極体要素3bの上面とが直接な
いし他の部材を介して接するように第1正極タブ群40a、第2正極タブ群40b、第1
負極タブ群50a及び第2負極タブ群50bを湾曲させる。これにより、第1の電極体要
素3aと第2の電極体要素3bを纏めて、一つの電極体3とする。なお、第1の電極体要
素3aと第2の電極体要素3bを、テープ等により一つに纏めることが好ましい。あるい
は、第1の電極体要素3aと第2の電極体要素3bを、箱状ないし袋状に成形した絶縁シ
ート14内に配置して、一つに纏めることが好ましい。
【0067】
[角形二次電池の組み立て]
封口板2に取り付けられた電極体3を絶縁シート14で覆い、角形外装体1に挿入する
。なお、絶縁シート14は平板上のものを箱状ないし袋状に曲げ成形したものであること
が好ましい。そして、封口板2と角形外装体1をレーザ溶接等により接合し、角形外装体
1の開口を封口する。その後、電解質溶媒及び電解質塩を含有する非水電解液を封口板2
に設けられた電解液注液孔15より注液する。そして、電解液注液孔15を封止栓16で
封止する。これにより、角形二次電池20が作製される。
【0068】
[角形二次電池20について]
図8、
図17及び
図18に示すように、導電部材61において第1絶縁部材10と対向
する部分に第1絶縁部材10に向かって突出する押圧突起61eが設けられている。これ
により、押圧突起61eが第1絶縁部材10を封口板2に対してより強く押圧する。この
ため、電極体3の周囲に存在するガスが、封口板と第1絶縁部材の間ないし第1絶縁部材
と導電部材の間を通じて導電部材と端子の接続部近傍に移動することを抑制できる。よっ
て、ガスが、導電部材61と正極端子7の間を通じて、導電部材61と変形板62により
形成される空間内に移動することを抑制できる。このため、角形二次電池20に異常が生
じ、角形外装体1内の圧力が上昇したときに、より安定的に電流遮断機構60を作動させ
ることが可能となる。よって、より信頼性の高い角形二次電池20となる。
【0069】
なお、押圧突起61eは、導電部材61の導電部材ベース部61aにおいて、封口板2
側の面に形成されている。封口板2に対して垂直な方向から導電部材61及び正極端子7
を見たとき、押圧突起61eと、正極端子7の挿入部7bにおいてカシメられた部分7d
(拡径された部分)とが重なる位置となるようにすることが好ましい。また、押圧突起6
1eは、導電部材61の第3端子挿入孔61cの縁部に形成されることが好ましい。但し
、押圧突起61eは、導電部材61の第3端子挿入孔61cの縁部から離れた部分に形成
されてもよい。なお、押圧突起61eは、平面視の形状が環状であることが好ましい。但
し、押圧突起61eは、必ずしも平面視の形状が環状である必要はなく、環状の一部が取
り除かれた形状とすることもできる。例えば、環状とした場合の長さに対して、押圧突起
61eの長さが7割以上の長さとなるようにすることができる。なお、押圧突起61eを
導電部材61に設けることにより、所望の形状の押圧突起61eを容易に形成できるため
好ましい。
【0070】
押圧突起61eにより押圧された第1絶縁部材10が水平方向(封口板2に対して平行な方向。
図18においては左方向。)に逃げるように変形した場合、第1絶縁部材10が
歪み封口板2と第1絶縁部材10の間ないし第1絶縁部材10と導電部材61の間に隙間
が生じる虞がある。このような課題は、第1絶縁部材10において封口板2と導電部材6
1の間に配置される部分であって、第1絶縁部材10の第2端子挿入孔10dの径方向に
おいて押圧突起61eよりも外側に溝部を設けることにより解消できる。例えば、第1絶
縁部材10において、封口板2と対向する面に第1溝部10xを設けることが好ましい。
また、第1溝部10xに加えて、あるいは、第1溝部10xに代えて、第1絶縁部材10
において、導電部材61に対向する面に第2溝部10yを設けることが好ましい。なお、
第1絶縁部材10に、第1溝部10xと第2溝部10yのいずれか一方のみを設けてもよ
い。また、第1絶縁部材10において、封口板2と対向する面に第2溝部10yを設け、
導電部材61に対向する面に第1溝部10xを設けることもできる。なお、第1溝部10
x及び第2溝部10yは必須の構造ではない。
【0071】
なお、第1溝部10xは平面視の形状が環状であることが好ましい。第2溝部10yは
平面視の形状が環状であることが好ましい。但し、第1溝部10x及び第2溝部10yは
、必ずしも平面視の形状が環状である必要はなく、環状の一部が取り除かれた形状とする
こともできる。例えば、環状とした場合の長さに対して、第1溝部10xないし第2溝部
10yの長さが7割以上の長さとなるようにすることができる。
【0072】
第1絶縁部材10の両面に溝部を設ける場合は、第1絶縁部材10の第2端子挿入孔1
0dの径方向において、一方の溝部が他方の溝部よりも外側に設けられることが好ましい
。即ち、第1絶縁部材10の両面に溝部を設ける場合、第1絶縁部材10の第2端子挿入
孔10dから一方の溝部までの距離が、第1絶縁部材10の第2端子挿入孔10dから他
方の溝部までの距離よりも大きいことが好ましい。
【0073】
また、第1絶縁部材10の第2端子挿入孔10dの径方向において、一方の溝部の中央
と、他方の溝部の中央の間の距離(
図18における距離D)は、0.5mm~10mmで
あることが好ましく、0.5mm~5mmであることがより好ましい。
【0074】
例えば、第1絶縁部材10においては、第1絶縁部材10の第2端子挿入孔10dの径
方向において、第2溝部10yが第1溝部10xよりも外側に位置する。
図18に示すよ
うに第1溝部10xの幅方向の中央と第2溝部10yの幅方向の中央との間の距離Dは、
0.5mm~10mmであることが好ましいく、0.5mm~5mmであることがより好
ましい。なお、第1溝部10xと第2溝部10yの幅(
図18においては左右方向の幅)
は、0.5mm~2mmであることが好ましい。
【0075】
第1絶縁部材10を平面視したとき、第1溝部10xの一部と第2溝部10yの一部が
重なるようにすることが好ましい。但し、第1絶縁部材10を平面視したとき、第1溝部
10xと第2溝部10yとが完全に重ならないようにすることが好ましい。このような構
成であると、第1絶縁部材10の撓みをより効果的に抑制できる。
【0076】
なお、導電部材61の第3端子挿入孔61cの径方向における押圧突起61eの幅は、
5mm以下とすることが好ましく、2mmとすることがより好ましい。また、導電部材6
1の第3端子挿入孔61cの径方向における押圧突起61eと第1溝部10xの距離は0
.5mm~5mmとすることが好ましく、0.5mm~2mmとすることがより好ましく
、0.5mm~1mmとすることがさらに好ましい。
【0077】
なお、第1絶縁部材10が比較的柔らかい場合、例えば、ペルフルオロアルコキシアル
カン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等からなる場合、特に効果的
である。
【0078】
図18に示すように、導電部材61の第3端子挿入孔61cの電極体3側の端部にはテ
ーパー部61gを設けることが好ましい。このような構成であれば、正極端子7と導電部
材61の間に隙間が生じ難く、正極端子7と導電部材61の間をガスが通り抜けることを
より効果的に抑制できる。
【0079】
なお、導電部材61はアルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。正
極端子7はアルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。
【0080】
図10に示すように、第2絶縁部材63の固定用突起63fが第1正極集電体6aの固
定用孔6dに挿入され、固定用突起63fの先端が拡径され拡径部63f1が形成される
ことにより、第2絶縁部材63と第1正極集電体6aが固定されている。このような構成
であると、角形二次電池20に強い衝撃や振動が加わった際に、第1正極集電体6aに設
けられた薄肉部6fやノッチ6g等の脆弱部に負荷が加わることを抑制できる。特に、第
2絶縁部材63が、第1絶縁部材10及び導電部材61の少なくとも一方に接続されてい
ることが好ましい。
【0081】
第2絶縁部材63が樹脂製の場合、第2絶縁部材63の固定用突起63fを第1正極集
電体6aの固定用孔6dに挿入した後、固定用突起63fの先端を拡径する際、固定用突
起63fの歪みや縮みにより、固定用突起63fの側面と固定用孔6dの内面の間に隙間
が生じる虞がある。そしてこのような隙間が存在すると、角形二次電池20に強い衝撃や
振動が加わった際等に、封口板2に対して平行な方向において、第2絶縁部材63に対し
て第1正極集電体6aがずれる虞がある。なお、固定用突起63fの先端を加熱した状態
で拡径する場合、熱により固定用突起63fにおいて固定用孔6d内に配置された部分が
縮み、上述の隙間が生じ易い。
【0082】
角形二次電池20においては、第2絶縁部材63はずれ防止用突起63gを有し、この
ずれ防止用突起63gが第1正極集電体6aのずれ防止用孔6e内に配置されている。そ
して、ずれ防止用突起63gは、固定用突起63fのよう拡径されない。このため、固定
用突起63fと固定用孔6dの間に隙間が生じたとしても、ずれ防止用突起63gがずれ
防止用孔6eと嵌合することにより、第2絶縁部材63に対して第1正極集電体6aがず
れることを効果的に抑制できる。
【0083】
なお、固定用突起63fは、変形板62と第1正極集電体6aの接続部の周囲に複数形
成されることが好ましく、4箇所以上設けられることが特に好ましい。また、ずれ防止用
突起63gは、変形板62と第1正極集電体6aの接続部の両側に形成されることが好ま
しい。また、ずれ防止用突起63gは、固定用突起63fと固定用突起63fの間に形成
されることが好ましい。
【0084】
また、固定用突起63fの径は、ずれ防止用突起63gの径よりも大きいことが好まし
い。
【0085】
ずれ防止用孔6eが2箇所形成されている場合、一方の内径を他方の内径よりも大きく
することができる。また、ずれ防止用突起63gが2箇所形成されている場合、一方の外
径を他方の外径よりも大きくすることができる。
【0086】
なお、ずれ防止用孔6eの内径に対するずれ防止用突起63gの外径の割合は、0.9
5~1であることが好ましい。また、ずれ防止用孔6eの内径と、ずれ防止用突起63g
の外径の差は、0.1mm以下であることが好ましい。
【0087】
なお、ずれ防止用孔6eとずれ防止用突起63gの嵌合部が複数個設けられている場合
、一つの嵌合部におけるずれ防止用孔6eの内径とずれ防止用突起63gの外径の差と、
他の嵌合部におけるずれ防止用孔6eの内径とずれ防止用突起63gの外径の差とを、異
なる値とすることができる。
【0088】
ずれ防止用孔6eは、第2絶縁部材63の縁部に設けられた切り欠きではなく、ずれ防
止用孔6eの縁部が環状となることが好ましい。即ち、ずれ防止用突起63gの側面の全
周に亘って第2絶縁部材63が存在するようにすることが好ましい。これにより、より効
果的にずれを抑制できる。
【0089】
封口板2の短手方向において、変形板62と第1正極集電体6aの接続部の両側にずれ
防止用孔6eが設けられていることが好ましい。そして、二つのずれ防止用孔6eの間に
変形板62と第1正極集電体6aの接続部が配置されており、二つのずれ防止用孔6eを
結ぶ直線上に変形板62と第1正極集電体6aの接続部が配置されていることが好ましい
。これにより、変形板62と第1正極集電体6aの接続部、薄肉部6f、ノッチ6gに負
荷が加わることをより確実に抑制できる。
【0090】
ずれ防止用突起63gは、先端が拡径される前の状態において、先端部に凹部を有する
ことが好ましい。このような形態であると、ずれ防止用突起63gの根元側に負荷が加わ
ることを抑制しながら、ずれ防止用突起63gの先端を拡径することができる。
【0091】
図16及び
図17に示すように、第1正極集電体6aと電極体3の間にカバー部80が
配置されている。このような構成を有することにより、角形二次電池20に強い衝撃や振
動が加わり電極体3が封口板2側に移動した場合でも、電極体3が第1正極集電体6aに
接触し、第1正極集電体6aの薄肉部6fやノッチ6g等の脆弱部や、変形板62と第1
正極集電体6aの接続部等が損傷・破損することを防止できる。よって、より信頼性の高
い二次電池が得られる。なお、カバー部80は樹脂製であることが好ましい。また、カバ
ー部80は電気絶縁性であることが好ましい。
【0092】
カバー部80は、第1絶縁部材10及び第2絶縁部材63とは別部品とすることが好ま
しい。例えば、カバー部80が第1絶縁部材10及び第2絶縁部材63と別部品であると
、より簡単に組み立てられる二次電池となる。また、カバー部80と第2絶縁部材63を
別部品とすることで、第2絶縁部材63において第1正極集電体6a側の面に突起を設け
、この突起により第2絶縁部材63と第1正極集電体6aをより強固に接続した構成とす
ることができる。
【0093】
第1正極集電体6aとカバー部80のカバー部本体80aの間に隙間が設けられること
が好ましい。なお、第1正極集電体6aの電極体側の面とカバー部本体80aの封口板側
の面の間の距離は、0.1mm~5mmであることが好ましく、0.5~2mmであるこ
とがより好ましい。
【0094】
また、カバー部80において、カバー部本体80aから封口板2側に延びる部分が、第
1絶縁部材10及び第2絶縁部材63の少なくとも一方に接続され、第1正極集電体6a
とカバー部本体80aの間に隙間が形成されていることが好ましい。このような構成であ
ると、電極体3が封口板2側に移動し電極体3がカバー部80に接触しても、カバー部8
0がある程度衝撃を吸収できるため電極体3が損傷することを防止できる。
【0095】
カバー部80は、第1絶縁部材10及び第2絶縁部材63の少なくとも一方の接続され
ていることが好ましい。また。カバー部80は、第1絶縁部材10及び第2絶縁部材63
のそれぞれに接続されていることがより好ましい。例えば、カバー部80は、カバー部本体80aとカバー部本体80aから封口板2に向かって延びる一対の腕部80bを有し、
この腕部80bが第1絶縁部材10に接続されるようにすることが好ましい。また、カバ
ー部本体80aにカバー壁部80eを設け、このカバー壁部80eを第2絶縁部材63に
接続することが好ましい。
【0096】
カバー部本体80aには貫通孔を設けることが好ましい。このような構成であると、変
形板62の下側にガスがスムーズに流れるようになる。カバー部本体80aにおいて腕部
80bの根元に貫通孔として根元開口80dを設けることが好ましい。
【0097】
正極集電部材が第1正極集電体6aと第2正極集電体6bを含む場合、第1正極集電体
6aと第2正極集電体6bの接続部と、電極体3の間にカバー部80が配置されるように
することが好ましい。このような構成であると、角形二次電池20の強い振動や衝撃が加
わり、電極体3が封口板2側に動いた場合でも、電極体3が第1正極集電体6aと第2正
極集電体6bの接続部に接触し、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bの接続部が損
傷、破損することを防止できる。なお、カバー部本体80aの第1正極集電体6aと対向
する面において、第1正極集電体6aと第2正極集電体6bの接続部と対向する部分は、
変形板62と第1正極集電体6aの接続部に対向する部分よりも凹んでいることが好まし
い。
【0098】
なお、正極タブ40が接続された第2正極集電体6bを、変形板62に接続された第1
正極集電体6aに接続した後、カバー部80を第1絶縁部材10及び第2絶縁部材63の
少なくとも一方に接続することが好ましい。
【0099】
図8及び
図9に示すように、変形板62はその外周縁に電極体3側(
図9においては上
方)に突出する環状リブ62bを有する。そして、環状リブ62bが導電部材61の管状
部61bの電極体3側の端部に嵌合され、導電部材61に溶接接続される。また、変形板
62において、環状リブ62bよりも中央側に、環状薄肉部62cが設けられている。こ
のような構成によると、変形板62の厚みを大きくした場合であっても、角形外装体1内
の圧力が所定値以上となった時に変形板62がよりスムーズに変形するため好ましい。な
お、変形板62の厚みを大きくすることにより変形板62の熱容量を大きくすることがで
きる。したがって、第1正極集電体6aに設けた薄肉部6fやノッチ6g等の脆弱部で発
熱した場合であっても、その熱が変形板62側に伝わり、第1正極集電体6aに設けた薄
肉部6fやノッチ6g等の脆弱部が溶断することを防止できる。また、第1正極集電体6
aの接続用孔6cの縁部には、環状の接続リブ6hが設けられることが好ましい。これに
より、第1正極集電体6aに設けられた薄肉部6fやノッチ6g等の脆弱部の近傍の熱容
量を大きくすることができるため、第1正極集電体6aに設けた薄肉部6fやノッチ6g
等の脆弱部が溶断することをより効果的に防止できる。
【0100】
なお、変形板62は、外周縁から中央部に向かって、封口板2に対して傾斜するような
形状であることが好ましい。環状薄肉部62cは、変形板62の電極体3側の面に凹部を
設けることにより形成することが好ましい。このような形態であると、変形板62がより
スムーズに変形する。なお、平面視における環状薄肉部62cの幅は1mm~3mmであ
ることが好ましく、1.5mm~2mmであることがより好ましい。
【0101】
なお、ガス排出弁17が破断し、電池ケース100内のガスが電池ケース100外に排
出された後も、変形板62は破断せず、導電部材61の導電部材開口部61fは変形板6
2により密閉されている。
【0102】
図9及び
図11に示すように、変形板62は中央部に第1突出部62a1と第2突出部
62a2を含む段付き突起62aを有する。そして、第1正極集電体6aに設けられた接続用孔6cに、第2突出部62a2を嵌合する。第1突出部62a1の外径は、接続用孔
6cの内径よりも大きく、第1突出部62a1の電極体3側の面が第1正極集電体6aの
上面6iと接した状態となる。このような構成であると、変形板62の第2突出部62a
2と第1正極集電体6aの接続用孔6cの接続部にレーザ等のエネルギー線を照射した場
合、エネルギー線が第1突出部62a1と第1正極集電体6aの接続用孔6cの側壁の間
をすり抜け、第1正極集電体6aの上面側で、エネルギー線が散乱することを防止できる
。これにより、各部品がエネルギー線により損傷・破損することを確実に防止できる。ま
た、段付き突起62aにおいて、封口板2側の面に段付き凹部が設けられていることが好
ましい。また、段付き凹部の底部62dが第1正極集電体6aの上面6iよりも封口板2
側に位置することが好ましい。
【0103】
≪変形例1≫
変形例1に係る角形二次電池は、カバー部の形状を除いては、実施形態に係る角形二次電池20と同様の構造を有する。
図19A及び
図19Bに示すように、変形例1に係るカバー部81は、第1正極集電体6aと対向するように配置されるカバー部本体81aと、カバー部本体81aの封口板2の短手方向における両端部から封口板2に向かって延びる一対の腕部81bを有する。カバー部本体81aの封口板2の長手方向における端部から封口板2に向かって延びるカバー壁部81eを有する。腕部81bの内面側には接続突起が設けられている。この接続突起が、第1絶縁部材10の第2接続部10fに接続される。
【0104】
カバー部本体81aにおいて、腕部81bの根元近傍には、根元開口81dが設けられ
ている。カバー壁部81eには壁部開口81fが設けられている。変形例1に係る角形二
次電池のカバー部81において、カバー部本体81aにカバー部開口81xが設けられて
いる。カバー部開口81xは、変形板62と第1正極集電体6aの接続部に対向する位置
に設けられている。これにより、電流遮断機構がよりスムーズに作動する。
【0105】
≪変形例2≫
上述の実施形態に係る角形二次電池20においては、導電部材61において第1絶縁部
材10と対向する部分に押圧突起61eを設ける例を示した。変形例2に係る角形二次電
池は、導電部材に押圧突起を設ける代わりに、封口板において第1絶縁部材10と対向す
る部分に押圧突起を設ける以外は、上述の実施形態に係る角形二次電池20と同様の構成
を有する。
【0106】
図20は、変形例2に係る二次電池の電流遮断機構近傍の断面図である。
図20は、図
8Bに対応する断面図である。
図20に示すように、封口板102において第1絶縁部材
10と対向する部分に押圧突起102xが設けられている。このような構成であると、押
圧突起102xにより第1絶縁部材10がより強く押圧され、導電部材161と正極端子
7の接続部にガスが移動することを抑制することができる。よって、電極体近傍に存在す
るガスが、導電部材161と変形板62により形成される空間内にリークすることを抑制
できる。よって、電流遮断機構の作動が遅れることを抑制できる。また、封口板102に
押圧突起102xが設けられていると、第1絶縁部材10の外周部分が、電極体3に反る
ように第1絶縁部材10が変形することを抑制し易い。なお、押圧突起102xは平面視
の形状が環状であることが好ましい。
【0107】
なお、封口板102に対して垂直な方向から封口板102と正極端子7を見たとき、押
圧突起102xと、正極端子7の挿入部7bにおいてカシメられた部分7d(拡径された
部分)とが重なる位置となるようにすることが好ましい。
【0108】
なお、変形例2に係る角形二次電池において、導電部材161には押圧突起が設けられていない。但し、導電部材161には押圧突起を設けることも可能である。
【0109】
<その他>
変形板の変形に伴い破断する破断予定部は、集電部材に設けられた脆弱部、集電部材と
変形板の接続部、ないし、変形板に設けられた脆弱部とすることが好ましい。脆弱部とし
ては、薄肉部やノッチ等が好ましい。
【0110】
第1絶縁部材、第2絶縁部材、カバー部は、樹脂製であることが好ましく。例えば、ポ
リプロピレン、ポリエチレン、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)、又はエチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等からなるものを用いることができる。
【0111】
上述の実施形態においては、電極体3が二つの電極体要素3a、3bからなる例を示し
たが、これに限定されない。電極体3が一つの積層型電極体であってもよい。また、電極
体3が、長尺状の正極板と長尺状の負極板をセパレータを介して巻回した一つの巻回型電
極体であってもよい。また、二つの電極体要素3a、3bは、それぞれ積層型電極体に限
定されず、長尺状の正極板と長尺状の負極板をセパレータを介して巻回した巻回型電極体
であってもよい。
【0112】
電極体が複数枚の正極板及び複数枚の負極板を有する積層型電極体の場合や、電極体が
巻回電極体であり、その巻回軸が封口板に対して垂直な方向になるように配置される場合
、電極体において、正極板の端部、負極板の端部、及びセパレータの端部が封口板側に位
置することが好ましい。このような構成であると、封口板に電解液注液孔が設けられてい
る場合、電極体への電解液の注液性が向上する。このような場合、負極板における負極活
物質合剤層の封口板側の端部よりも、セパレータの封口板側の端部が、封口板2側に突出
していることが好ましい。また、電極体において、正極板における正極活物質合剤層の封
口板側の端部よりも、セパレータの封口板側の端部が、封口板側に突出していることが好
ましい。また、正極板とセパレータが接着層により接着され、負極板とセパレータが接着
層により接着されていることが好ましい。このような構成であると、第2絶縁部材に、正
極活物質合剤層及び負極活物質合剤層が接触し正極活物質層ないし負極活物質層が損傷す
ることを確実に防止できる。
【符号の説明】
【0113】
20・・・角形二次電池
1・・・角形外装体
2・・・封口板
2a・・・正極端子取り付け孔
2b・・・負極端子取り付け孔
100・・・電池ケース
3・・・電極体
3a・・・第1の電極体要素
3b・・・第2の電極体要素
4・・・正極板
4a・・・正極芯体
4b・・・正極活物質合剤層
4d・・・正極保護層
40・・・正極タブ
40a・・・第1正極タブ群
40b・・・第2正極タブ群
5・・・負極板
5a・・・負極芯体
5b・・・負極活物質合剤層
50・・・負極タブ
50a・・・第1負極タブ群
50b・・・第2負極タブ群
6・・・正極集電部材
6a・・・第1正極集電体
6c・・・接続用孔
6d・・・固定用孔
6d1・・・小径部
6d2・・・大径部
6e・・・ずれ防止用孔
6f・・・薄肉部
6g・・・ノッチ
6h・・・接続リブ
6i・・・上面
6x・・・集電体突起
6w・・・集電体第2凹部
6b・・・第2正極集電体
6b1・・・集電体第1領域
6b2・・・集電体第2領域
6b3・・・集電体第3領域
6k・・・ターゲット孔
6m・・・集電体第1凹部
6y・・・集電体第1開口
6z・・・集電体第2開口
7・・・正極端子
7a・・・鍔部
7b・・・挿入部
7c・・・端子貫通孔
7d・・・カシメられた部分
7x・・・端子封止部材
7y・・・金属部材
7z・・・ゴム部材
8・・・負極集電部材
8a・・・第1負極集電体
8x・・・集電体突起
8w・・・集電体第2凹部
8b・・・第2負極集電体
8b1・・・集電体第1領域
8b2・・・集電体第2領域
8b3・・・集電体第3領域
8e・・・ターゲット孔
8f・・・集電体第1凹部
8y・・・集電体第1開口
9・・・負極端子
10・・・第1絶縁部材
10a・・・第1絶縁部材本体部
10b・・・第1側壁
10c・・・第2側壁
10d・・・第2端子挿入孔
10e・・・第1接続部
10f・・・第2接続部
10g・・・凹部
10x・・・第1溝部
10y・・・第2溝部
11・・・外部側絶縁部材
11a・・・第1端子挿入孔
12・・・内部側絶縁部材
13・・・外部側絶縁部材
14・・・絶縁シート
15・・・電解液注液孔
16・・・封止栓
17・・・ガス排出弁
60・・・電流遮断機構
61・・・導電部材
61a・・・導電部材ベース部
61b・・・管状部
61c・・・第3端子挿入孔
61d・・・フランジ部
61e・・・押圧突起
61f・・・導電部材開口部
61g・・・テーパー部
62・・・変形板
62a・・・段付き突起
62a1・・・第1突出部
62a2・・・第2突出部
62b・・・環状リブ
62c・・・環状薄肉部
62d・・・段付き凹部の底部
63・・・第2絶縁部材
63x・・・絶縁部材第1領域
63a・・・絶縁部材第1開口
63b・・・第3壁部
63c・・・第4壁部
63d・・・第3接続部
63e・・・第4接続部
63f・・・固定用突起
63f1・・・拡径部
63g・・・ずれ防止用突起
63h・・・爪部
63y・・・絶縁部材第2領域
63i・・・絶縁部材第2開口
63k・・・絶縁部材環状リブ
63z・・・絶縁部材第3領域
80・・・カバー部
80a・・・カバー部本体
80b・・・腕部
80c・・・接続突起
80d・・・根元開口
80e・・・カバー壁部
80f・・・壁部開口
81・・・カバー部
81a・・・カバー部本体
81b・・・腕部
81d・・・根元開口
81e・・・カバー壁部
81f・・・壁部開口
81x・・・カバー部開口
90・・・溶接接続部
102・・・封口板
102x・・・押圧突起
161・・・導電部材