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特開2023-164727感染を防止するための免疫予防へのマルチアジュバントのみアプローチのための組成物および方法
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  • 特開-感染を防止するための免疫予防へのマルチアジュバントのみアプローチのための組成物および方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164727
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】感染を防止するための免疫予防へのマルチアジュバントのみアプローチのための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/39 20060101AFI20231102BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231102BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20231102BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61K39/39
A61P31/04
A61P31/10
A61P37/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158426
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2020524311の分割
【原出願日】2018-10-29
(31)【優先権主張番号】62/578,848
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504043048
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブラッド スペルバーグ
(72)【発明者】
【氏名】トラヴィス ニールセン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ルナ
(57)【要約】
【課題】感染を防止するための免疫予防へのマルチアジュバントのみアプローチのための組成物および方法の提供。
【解決手段】本開示は、新たなワクチン組成物およびその使用のための方法を提供する。上記組成物は、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピド(MPL)、および全グルカン粒子(WGP)の各々の有効量を含むが、細菌または真菌感染に対して免疫応答を惹起する抗原を含まない。本開示は、細菌(抗生物質耐性細菌を含む)および真菌によって引き起こされる致命的なHAIsに対して短期間から中程度の期間の広いスペクトルの防御を媒介する、抗原なしのアジュバントに基づく、全く新しいワクチンに由来するアプローチを提供する。このアプローチは、垂直感染防止ストラテジーというよりむしろ全く新しい水平感染防止に基づく。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で米国特許出願第62/578,848号(2017年10月30日出願。その内容は、その全体において参考として援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
本出願全体を通じて、いくつかの技術に関する刊行物が、アラビア数字によって参照される。各参考文献の完全な書誌引用は、請求項の直前に見出される。そのように参照される各刊行物の内容および本明細書内で参照される刊行物は、本発明が属する分野の技術水準をより十分に記載するために、本開示に援用される。
【0003】
疾病対策予防センター(CDC)によれば、2014年に、550,000件の医療関連感染(Healthcare-Associated Infections)(HAIs)が米国で発生し、数万人もの患者が殺され、およそ1000億ドルものコストがかかった(1)。HAIsは、米国での死亡原因第6位であり、糖尿病および腎疾患に勝る(2)。超多剤耐性(Extremely drug-resistant)(XDR)グラム陰性細菌(これは、第1選択薬である抗細菌剤に耐性であり(3)、有効性において劣っているか、または好ましい薬剤より毒性が高いことが公知の薬剤でのみ処置可能である)は、新たな防止ストラテジーの最上に未だ満たされていないニーズである。専門家は、医療提供者の行動コンプライアンス(例えば、手指消毒)に依存しない、これら感染と戦う新たなアプローチを求めてきた(4,5)。従って、安全かつ有効な防止ストラテジーのニーズが、当該分野にある。本開示は、このニーズを満たし、関連の開示もまた提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示の概要
本開示は、細菌(抗生物質耐性細菌を含む)および真菌によって引き起こされる致命的なHAIsに対して短期間から中程度の期間の広いスペクトルの防御を媒介する、抗原なしのアジュバントに基づく、全く新しいワクチンに由来するアプローチを提供する。このアプローチは、垂直感染防止ストラテジーというよりむしろ全く新しい水平感染防止に基づく。
【0005】
Dick Wenzel博士およびMichael Edmond博士は、2名とも米国および全世界において感染防止のリーダーであり、「垂直(vertical)」感染防止の実践よりむしろ、いわゆる「水平(horizontal)」感染防止の卓越性を説明してきた。「水平」とは、一度に多くの異なる病原体によって引き起こされる感染を防止するアプローチを意味し、これは、一度に1種の病原体の感染を防止するアプローチより好ましい(6)。本開示は、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌病原体に対する先天的免疫防御を提供するために広い活性なワクチンアジュバントで免疫することによる水平感染防止ストラテジーを利用した。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A図1AおよびB S. aureus感染に対する種々のアジュバントの結果。図1Aは、種々のアジュバントおよび/またはタンパク質をワクチン接種したBALB/cマウスが、S. aureus LAC(市中感染型MRSA株)を、尾静脈を介してIV感染させた方法を示す。N=8 マウス/群。*コントロールに対してp<0.05。図1Bは S. aureausタンパク質抗原ありのアジュバントとS. aureausタンパク質抗原なしのアジュバントを比較する。アジュバントで免疫したマウスは、アジュバントおよびタンパク質抗原で免疫したマウスと同様に生存したに過ぎない。図1Cおよび1Dは、種々の免疫スケジュールが生存を改善することを示す。
図1B】同上。
図1C】同上。
図1D】同上。
【0007】
図2図2は、BALB/cマウスに、アジュバントおよびタンパク質の種々の組み合わせをワクチン接種し、S. aureus LAC(市中感染型MRSA株)を、尾静脈を介してIV感染させたことを示す。三重アジュバント(Alhydrogel + WGP + MPL)で免疫したマウスは、三重アジュバントおよび三重タンパク質で免疫したマウスと同じ生存の改善を有した。従って、アジュバントは、タンパク質よりむしろ防御を媒介していた。N=8 マウス/群。*コントロールに対してp<0.05。
【0008】
図3図3は、BALB/cマウスに、アジュバントの種々の組み合わせをワクチン接種し、S. aureus LACを、尾静脈を介してIV感染させた場合を示す。三重アジュバントは、最も有効なアプローチであった。N=8 マウス/群。*コントロールに対してp<0.05。
【0009】
図4図4は、三重アジュバントレジメンが≧7日間にわたって持続性の防御を有することを示す。BALB/cマウスに、三重アジュバントをワクチン接種し、3日後、7日後または21日後に、S. aureus LACを、尾静脈を介してIV感染させた。3週間で、いくらかのマウスにブーストし、3日後に感染させた。N=8 マウス/群。*コントロールに対してp<0.05。
【0010】
図5図5は、C3HeB/Feマウスに、単一用量の最適な三重アジュバントレジメン(Al(OH) + MPL + WGP)をワクチン接種して3日後または7日後に、A. baumanniiを感染させたことを示す。その三重アジュバントを受けた全てのマウスが生存したのに対して、全てのコントロールマウスが死滅した。N=6 マウス/群。*コントロールに対してp<0.05。
【0011】
図6図6は、C3HeB/Feマウスに、単一用量の最適な三重アジュバントレジメン(Al(OH) + MPL + WGP)をワクチン接種して3日後または7日後にK. pneumoniaeを感染させた場合を示す。その三重アジュバントレジメンを受けたマウスは、コントロールマウスと比較して、有意に生存を改善した。N=6 マウス/群。*コントロールに対してp<0.05。
【0012】
図7図7は、C3HeB/Feマウスに単一、二重、または三重アジュバントをワクチン接種して3日後または7日後にA. baumanniiを感染させた場合を示す。その三重アジュバントレジメンを受けたマウスは、コントロールマウスと比較して、有意に生存を改善した。N=8 マウス/群。*コントロールに対してp<0.05。
【0013】
図8図8は、マウスにワクチン接種し、rAsl3p-N + Al(OH)またはAl(OH)単独(コントロール)でブーストし、P. aeruginosa PA01を、尾静脈を介してIV感染させた場合を示す。2回の実験から、N=15 コントロールマウスおよび16 ワクチン接種マウス。ログランク検定によってp=0.07。
【0014】
図9図9は、マウスにワクチン接種し、Al(OH) + 通常のグリコシル化もしくはグリコシル化が減少したAls3p、またはコントロールとしてAl(OH)単独でブーストした場合を示す。N=17 コントロールマウス、および両方のワクチン群に関して各々16 マウス。マウスに、C. albicans SC5314を感染させた。ログランク検定によって、コントロールに対する通常のグリコシル化に関してp=0.002;コントロールに対する低グリコシル化に関して>0.2。
【0015】
図10図10。 マウスに、三重アジュバント、四重アジュバント(マンナンを含む)、またはPBS単独を投与した。マウスを、A. baumannii HUMC1(2×10 CFUs)でチャレンジした。
【0016】
図11図11。 マウスに、三重アジュバント、四重アジュバント(マンナンを含む)、またはPBS単独を投与した。その三重アジュバント群に、Al(OH)の混合物を10秒間のみとして、Al(OH)(1.3%) + MPL(30μg) + WGP(30μg)を与えた;マンナンを、100 □g用量で添加した。マウスを、A. baumannii HUMC1のより多くの接種物(2.4×10 CFUs)でチャレンジした。
【0017】
図12図12。 マウスに、三重アジュバント=alhydrogel(1.3%) + MPL(10μg) + WGP(100μg); 0.1×三重アジュバント=alhydrogel(1.3%) + MPL(1μg) + WGP(10μg); 0.01×三重アジュバント=alhydrogel(1.3%) + MPL(0.1μg) + WGP(1μg)、またはPBSを投与した。マウスを、S. aureus LAC(8.4×10 CFUs)でチャレンジした。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
組成物および方法を説明する前に、本発明が、記載されるその特定の方法論、プロトコール、細胞株、アッセイ、および試薬に限定されないことは、これらが変動し得ることから理解されるべきである。本明細書で使用される用語法が、本発明の特定の実施形態を記載することが意図され、添付の請求項に示されるとおりの本発明の範囲を限定することは決して意図されないことも、理解されるべきである。
【0019】
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものに類似または等価な任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、その好ましい方法、デバイス、および材料がここで記載される。本明細書で引用される全ての技術刊行物および特許公報は、それらの全体において本明細書に参考として援用される。本発明が先行発明のせいでこのような開示に先んじる権利がないという自認として解釈されるべきものは、本明細書には存在しない。
【0020】
本発明の実践は、別段示されなければ、組織培養、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学および組換えDNAの従来の技術を使用し、これらの技術は、当該分野の技術範囲内である。例えば、以下を参照のこと:Sambrook and Russell編(2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版; シリーズ Ausubel et al.編(2007) Current Protocols in Molecular Biology; シリーズ Methods in Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); MacPherson et al. (1991)
PCR 1: A Practical Approach (IRL Press at Oxford University Press); MacPherson et al. (1995) PCR 2: A Practical Approach; Harlow and Lane編(1999) Antibodies, A Laboratory Manual; Freshney (2005) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 第5版; Gait編(1984) Oligonucleotide Synthesis; 米国特許第4,683,195号; Hames and
Higgins編(1984) Nucleic Acid Hybridization; Anderson (1999) Nucleic Acid Hybridization; Hames and Higgins編(1984) Transcription and Translation; Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press (1986)); Perbal
(1984) A Practical Guide to Molecular Cloning; Miller and Calos編(1987) Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Cold Spring Harbor Laboratory); Makrides編(2003) Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells;およびMayer and Walker編(1987) Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Academic Press, London)。
【0021】
範囲を含め、全ての数値表記(例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量)は、0.1ずつ(+)または(-)に変動する近似値である。常に明示的に述べられるわけではないが、全ての数値表記の前に用語「約」があることは、理解されるべきである。常に明示的に述べられるわけではないが、本明細書で記載される試薬が例示に過ぎず、このようなものの等価物が当該分野で公知であることも理解されるべきである。
【0022】
定義
本明細書および請求項において使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」および「上記、この、その(the)」は、状況が別段明確に規定しなければ、複数形への言及を含む。例えば、用語「1つの細胞(a cell)」は、その混合物を含め、複数の細胞を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「含む、包含する(comprising)」または「含む、包含する(comprises)」は、組成物および方法が、その記載される要素を含むが、他の要素を排除しないことを意味することが意図される。組成物および方法を規定するために使用される場合に「から本質的になる(consisting essentially of)は、その述べられる目的のために、その組み合わせに対して何らかの本質的な重要性のある他の要素を排除することを意味するものとする。従って、本明細書で規定されるとおりの要素から本質的になる組成物は、単離および精製法からの微量の夾雑物および薬学的に受容可能なキャリア(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、保存剤など)を排除しない。「からなる(consisting of)は、他の成分の微量の要素および本発明の組成物を投与するための実質的な方法工程または組成物を生成するかもしくは意図した結果を達成するプロセス工程を超えるものを排除することを意味するものとする。これらの移行句の各々によって規定される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0024】
用語「単離される(isolated)」とは、核酸(例えば、DNAまたはRNA)に関して本明細書で使用される場合、それぞれ、天然の高分子供給源に存在する他のDNAまたはRNAから分離した分子をいう。用語「単離されたペプチドフラグメント(isolated peptide fragment)」とは、フラグメントとして天然に存在せず、天然の状態で見出されないペプチドフラグメントを含むことが意味される。用語「単離される」はまた、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチドおよびタンパク質をいうために本明細書で使用され、精製されたポリペプチドおよび組換えポリペプチドの両方を包含することが意味される。他の実施形態において、用語「単離される」は、細胞、組織、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはそのフラグメントが、通常、天然では会合している成分、細胞および他のものから分離されていることを意味する。例えば、単離された細胞は、似ていない表現型または遺伝子型の組織または細胞から分離されている細胞である。当業者に明らかであるように、天然に存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはそのフラグメントは、これらをその天然に存在する対応物から区別するために「単離」を要求しない。
【0025】
「組成物(composition)」は、単独で、あるいは一実施形態において、生理食塩水のような単純なキャリアまたは薬学的に受容可能であり得るキャリアまたは以下で規定されるとおりの固体支持体と組み合わせて、その請求項に記載される要素および別の化合物または組成物、不活性物質(例えば、検出可能な標識)または活性物質(抗原を除いて)の組み合わせを意味することが意図される。
【0026】
「薬学的組成物(pharmaceutical composition)」は、その組成物をインビトロ、インビボまたはエキソビボで、診断用途または治療用途に適切にして、請求項に記載される要素とキャリア、不活性物質または活性物質(抗原を除いて)との組み合わせを含むことが意図される。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア(pharmaceutically acceptable carrier)」とは、標準的な薬学的キャリア(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水溶液、水、およびエマルジョン(例えば、油/水または水/油エマルジョン)、および種々のタイプの湿潤剤)のうちのいずれかを含む。その組成物はまた、安定化剤および保存剤を含み得る。キャリア、安定化剤およびアジュバントの例に関しては、Martin (1975) Remington’s Pharm. Sci., 第15版. (Mack Publ. Co., Easton)を参照のこと。
【0028】
「投与(administration)」は、1用量において、処置の過程全体を通じて連続してまたは間欠的に、もたらされ得る。投与の最も有効な手段および投与量を決定する方法は、当業者に公知であり、治療に使用される組成物、治療目的、処置されている感染、および処置されている被験体に伴って変動する。単一または多数の投与は、その処置している医師によって選択されている用量レベルおよびパターンで行われ得る。適切な投与製剤およびその薬剤を投与する方法は、当該分野で公知である。投与経路がまた決定され得、その最も有効な投与経路を決定する方法は当業者に公知であり、治療に使用される組成物、治療目的、処置されている被験体の健康状態または疾患状態、および感染している細菌または生物に伴って変動する。投与経路の非限定的例としては、経口投与、鼻内投与、注射、および局所適用が挙げられる。
【0029】
用語「有効量(effective amount)」とは、所望の効果を達成するために十分な量をいう。治療適用または予防適用の状況において、その有効量は、未解決の状態のタイプおよび重篤度、ならびに個々の被験体の特徴(例えば、全身の健康状態、年齢、性別、体重、および薬学的組成物への寛容性に依存する。
【0030】
インビトロ適用の場合に、いくつかの実施形態において、その有効量は、問題の適用のサイズおよび性質に依存する。それはまた、そのインビトロ標的および使用における方法の性質および感度に依存する。当業者は、これらおよび他の考慮事項に基づいて、有効量を決定し得る。その有効量は、実施形態に依存して、組成物の1回またはこれより多くの投与を含み得る。
【0031】
本発明の方法に適用可能な投与経路としては、静脈内、鼻内、筋肉内、尿道、気管内、皮下、皮内、局所適用、直腸、鼻、経口、吸入、ならびに他の経口投与経路および非経口投与経路が挙げられる。投与経路は、薬剤および/または望ましい効果に依存して、望ましい場合には組み合わされ得るか、または調節され得る。活性薬剤は、単一用量でまたは多数の用量で投与され得る。これらの方法および送達に適した経路の実施形態としては、全身経路または局所経路が挙げられる。
【0032】
吸入投与以外の非経口投与経路としては、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、髄腔内、胸骨内、および静脈内経路、すなわち、消化管を経る以外の任意の投与経路が挙げられるが、これらに限定されない。非経口投与は、その阻害剤の全身送達または局所送達をもたらすために行われ得る。全身送達が望ましい場合、投与は、代表的には、薬学的調製物の侵襲性のまたは全身的に吸収される局所または粘膜投与を要する。
【0033】
用語「罹患する(suffering)」とは、この用語が用語「処置(treatment)」に関する場合、疾患または感染と診断されているかまたはこれらに対する素因のある被験体または患者または個体に言及する。患者はまた、疾患または感染に「罹患するリスクにある(at risk of suffering)」といわれ得る。この患者は、特徴的な疾患の病状または活発な感染を未だ発生させていないが、家族歴、その疾患を発生させる遺伝的素因があること、その被験体を感染させる実質的リスクに置く環境にあること、または彼らが、処置されるべき疾患を発生させやすくする疾患または障害を有すると診断されていることに起因して、その疾患に対する素因があることが既知である。
【0034】
Alhydrogel(登録商標)は、市販の(Accurate Chemical
and Scientific Corporation, Catalogue #
A1090S)湿潤ゲルコロイド懸濁物である。InvivoGenカタログ(invivogen.com/PDF/Alhydrogel_TDS.pdfd, 最終アクセス日:2017年10月23日)は、Alhydrogel(登録商標)アジュバントを水酸化アルミニウム湿潤ゲル懸濁物として記載する。Alhydrogel(登録商標)粒子は、pH5~7において正味の正電荷を有する。Alhydrogel(登録商標)アジュバント 2%は、Brenntag Biosector(高品質製品を生産する長い歴史のある、世界的なワクチンアジュバント市場の先導者)によって作製される。Alhydrogel(登録商標)アジュバント 2%を、水酸化アルミニウムゲルに関する国際標準調製物として選択した。Alhydrogel(登録商標)アジュバント 2%は、多数の市販のワクチン製剤中に存在する。
【0035】
全グルカン粒子(WGP)は、真菌 グルカンの粒状製剤を意図する。それは、水/生理食塩水中に再懸濁される市販の(InVivoGen Catalogue # tlrl-wgps)粉末である。これは、過去にワクチンアジュバントとして使用されている。
【0036】
モノホスホリルリピド(MPL)またはリピドAは、グラム陰性細菌の毒性の原因であると考えられるエンドトキシンの脂質構成要素を意図する。それは、以下の化学構造を有する:
【化1】
それは、InVivoGenから市販されている(Catalog # tlrl-mpls)。それはワクチンアジュバントとして使用されている。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「マンナン(mannan)」とは、マンノースポリマーから構成される、真菌において見出されるポリサッカリドを意図する(Sigma-Aldrich, カタログ番号M7504)。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「細菌または真菌病原体に対する免疫応答を誘導する抗原(antigen that induces an immune response against a bacterial of fungal pathogen)」とは、例えば、予防的に、ならびに感染およびこれら感染と関連する疾患の処置のために使用される従来のワクチン調製物を意図する。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「抗原(antigen)」とは、任意の物質であって、身体にその物質に対する免疫応答を生じさせるものを意図する。抗原としては、毒素、化学物質、細菌、ウイルス、または身体の外側から来る他の物質が挙げられる。身体組織および細胞は、がん細胞を含め、身体に対して免疫応答を引き起こし得る抗原を同様に有する。これらの抗原はまた、それらの組織または細胞を同定するために検査においてマーカーとして使用され得る。一局面において、用語「抗原」は、ここで請求項に記載される場合、細菌または真菌感染に対する免疫応答を誘導するもののみを意図する。
【0040】
「被験体(subject)」、「個体(individual)」または「患者(patient)」は、本明細書で交換可能に使用され、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトをいう。哺乳動物としては、マウス、ラット、ウサギ、サル、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、家畜、競技用動物、愛玩動物、ウマ、および霊長類、特にヒトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
組成物
本開示は、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピド(MPL)、および全グルカン粒子(WGP)の各々の有効量を含むか、または代わりにこれらから本質的になるか、またはその上さらにこれらからなる組成物であって、ただしその組成物は、真菌または細菌病原体に対する免疫応答を誘導するために有効な抗原を含まないものを提供する。さらなる局面において、その組成物は、有効量のマンナンをさらに含む。
【0042】
一局面において、その構成要素は、最終濃度を達成するために合わされ得る。例えば、その組成物は、約0.1mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約1.0mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約9mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約7mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約2mg/ml、または代わりに0.1mg/ml~約1mg/ml、または代わりに約0.2mg/ml~約8mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約2mg/mlの範囲の、あるいは約0.5mg/ml、または約1.0mg/ml、または約1.5mg/ml、または約0.5mg/ml、または約1.0mg/ml、または約1.5mg/ml、または約2.0mg/ml、または約3.0mg/ml、または約3.5mg/ml、または約4.0mg/ml、または約4.5mg/ml、または約5mg/ml、または約5.5mg/ml、または約6.0mg/ml、または約6.5mg/ml、または約7.0mg/ml、または約7.5mg/ml、または約8.0mg/ml、または約8.5mg/ml、または約9.0mg/ml、または約9.5mg/mlまたは約10mg/mlの合わせた濃度を有する。
【0043】
そのMPLは、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、PBS)のようなキャリア中に、約0.01mg/ml~約1mg/ml、または代わりに約0.05mg/ml~約1mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約1mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約0.9mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約0.7mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約0.5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約0.4mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約0.3mg/ml、または代わりに0.1mg/ml~約0.2mg/ml、または代わりに約0.2mg/ml~約0.8mg/ml、または代わりに約0.2mg/ml~約0.7mg/ml、または代わりに約0.2mg/ml~約0.6mg/ml、または代わりに約0.2mg/ml~約0.5mg/ml、または代わりに約0.2mg/ml~約0.4mg/ml、または約0.2mg/ml~約0.3mg/mlの範囲の濃度へと懸濁される。
【0044】
次いで、そのMPLおよびWGPは、任意の適切な組み合わせで合わせられ、各構成要素の比は同一であるものの、それらが1:1比で合わせられ得ることを意図しない。あるいは、そのMPLは、WGPと、約0.1:1; 約0.2:1; 約0.3:1; 約0.4:1; 約0.5:1; 約0.6:1; または約0.7:1; または約0.8:1; または約0.9:1; または約1:1の比で合わされる。あるいは、そのWGPおよびMPLは、そのWGPと、約0.1:1; 約0.2:1; 約0.3:1;
約0.4:1; 約0.5:1; 約0.6:1; または約0.7:1; または約0.8:1; または約0.9:1; または約1:1の比で合わされ得る。
【0045】
そのMPLおよびWGPのこの組み合わせの後に、その組み合わせは、水酸化アルミニウムと、約1:5、または代わりに約1:6、または代わりに約1:7、または代わりに約1:8、または代わりに約1:9、または代わりに約1:10、または代わりに約1:11、または代わりに約1:12、または代わりに約1:13、または代わりに約1:14、または代わりに約1:15、または代わりに約1:16、または代わりに約1:17、または代わりに約1:18、または代わりに約1:19、または代わりに約1:20の比でさらに混合される。
【0046】
いくつかの局面において、マンナンは、約0.1mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約1.0mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約9mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約7mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約2mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約1mg/ml、または代わりに約0.2mg/ml~約8mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約2mg/ml、あるいは約0.5mg/ml、または約1.0mg/ml、または約1.5mg/ml、または約0.5mg/ml、または約1.0mg/ml、または約1.5mg/ml、または約2.0mg/ml、または約3.0mg/ml、または約3.5mg/ml、または約4.0mg/ml、または約4.5mg/ml、または約 5mg/ml、または約5.5mg/ml、または約6.0mg/ml、または約6.5mg/ml、または約7.0mg/ml、または約7.5 mg/ml、または約8.0mg/ml、または約8.5mg/ml、または約9.0mg/ml、または約9.5mg/mlまたは約10mg/mlの濃度を提供するために、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、生理食塩水)のようなキャリアの中に溶解される。一局面において、これは、三重構成要素組成物に添加される。
【0047】
あるいは、その水酸化アルミニウムおよびMPLは、GlaxoSmithKline(GSK)のような商業的供給元から供給され、マンナンおよびWGPと、上記で注記されるとおりの量で合わされる。
【0048】
その組成物は、約5mcg/kg 体重~約50mcg/kg 体重、または代わりに10mcg/kg 体重~50mcg/kg 体重、または代わりに20mcg/kg 体重~約50mcg/kg 体重、または代わりに10mg/kg 体重~約100mcg/kg 体重、または代わりに約15mcg/kg 体重~約150mcg/kg 体重、または代わりに約20mcg/kg 体重~約200mcg/kg 体重を投与するために、(1またはこれより多くの用量での)インビボ投与のために製剤化され得る。
【0049】
その組成物は、例えば、凍結乾燥(lyophilization)または凍結乾燥(freeze-drying)によって、貯蔵および流通のためにさらに製剤化され得る。さらに、保存剤および安定化剤は、その組成物の貯蔵寿命をさらに高めるために添加され得る。
【0050】
処置方法
本開示はまた、細菌または真菌病原体によって引き起こされる感染に対して被験体における免疫を、上記で記載されるとおりの組成物の有効量をその被験体に投与することによって増強する方法を提供する。その処置されるべき被験体は、細菌(グラム陽性またはグラム陰性細菌)または真菌からの感染のリスクにあるかまたはその感染を発生させた任意の動物またはヒト患者である。非限定的な例としては、競技用動物および家畜、愛玩動物およびヒト患者が挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「免疫を増強する(enhance immunity)」は、先天的免疫応答(マクロファージ、好中球、樹状細胞、ならびにγδT細胞および/またはNK T細胞を含む)、ならびにその感染と戦うべき被験体における抗体またはT細胞生成を増大させることを意図する。免疫応答が誘発されているか否かを決定する方法は、当該分野で公知であり、例えば、適切なサンプル(血液、唾液または血漿)を患者から採取する工程、ならびにELISAによってサイトカインレベルを、およびその病原体または細菌に対する抗体が存在するか否かをアッセイする工程を包含する。さらに、非侵襲性の手段(例えば、その被験体の温度の低下)は、単独でまたは臨床方法と組み合わせて使用され得る。
【0051】
一局面において、その細菌は、S. aureus、A. baumannii、K.
Pneumoniae、P. aeruginosa、E. coli、Enterobacter spp.、Serratia、Stenotrophomonasから選択され、その真菌は、Candida spp.から選択される。
【0052】
その組成物は、処置している医師、医療専門家または獣医師によって決定されるように任意の適切な用量で投与され得る。適切な投与方法の非限定的な例は、筋肉内投与、皮下投与、または静脈内投与を含む。投与されるべき有効量は、約5mcg/kg 体重~約50mcg/kg 体重、または代わりに10mcg/kg 体重~50mcg/kg 体重、または代わりに20mcg/kg 体重~約50mcg/kg 体重、または代わりに10mg/kg 体重~約100mcg/kg 体重、または代わりに約15mcg/kg 体重~約150mcg/kg 体重、または代わりに約20mcg/kg 体重~約200mcg/kg 体重である。
【0053】
一局面において、その組成物は、1~3ヶ月の期間にわたって1回、2回または3回である。
【0054】
別の局面において、その方法は、当該分野で公知であるかまたは本明細書で記載されるとおりの方法を使用して、その組成物を投与する前に、細菌または真菌感染に関してその被験体をアッセイする工程をさらに包含する。
【0055】
その組成物は、処置している医師、医療専門家または獣医師によって決定されるように、任意の適切な用量で投与され得る。適切な投与方法の非限定的な例は、筋肉内投与、皮下投与、または静脈内投与を含む。投与されるべき有効量は、約25mcg/kg 体重~約200mcg/kg 体重、または代わりに約50mcg/kg 体重~約175mcg/kg 体重、または代わりに約75mcg/kg 体重~約200mcg/kg 体重、または約25mcg/kg 体重~約100mcg/kg 体重、または約25mcg/kg 体重~約175mcg/kg 体重、または約25mcg/kg 体重~約150mcg/kg 体重、または約75mcg/kg 体重~約200mcg/kg 体重、または約75mcg/kg 体重~約150mcg/kg 体重、または約25mcg/kg 体重~約 150mcg/kg 体重、または約50mcg/kg 体重~約125mcg/kg 体重、または約50mcg/kg 体重~約100mcg/kg
体重、または代わりに約25mcg/kg 体重、または代わりに約75mcg/kg
体重、または代わりに約100mcg/kg 体重、または代わりに約125mcg/kg 体重、または代わりに約150mcg/kg 体重、または代わりに約175mcg/kg 体重、または代わりに約200mcg/kg 体重である。
【0056】
その方法はまた、その必要性のある被験体において、細菌または真菌感染によって引き起こされる障害を処置または防止するために使用され得、その方法は、有効量の上記で記載されるとおりの組成物を投与する工程を包含する。その処置されるべき被験体は、細菌(グラム陽性またはグラム陰性細菌)または真菌からの感染のリスクにあるかまたはその感染を発生させた任意の動物またはヒト患者である。被験体が処置されているか否かを決定する方法は、例えば、適切なサンプル(血液、唾液または血漿)を患者から採取する工程、ならびにELISAによってサイトカインレベルを、およびその病原体または細菌に対する抗体が存在するか否かをアッセイする工程を包含する。さらに、非侵襲性の手段(例えば、その被験体の温度の低下)は、単独でまたは臨床方法と組み合わせて使用され得る。さらに、処置されている疾患に依存して、その疾患の臨床症状の低減は、有効な処置を示す。
【0057】
一局面において、その細菌は、S. aureus、A. baumannii、K.
Pneumoniae、P. aeruginosa、E. coli、Enterobacter spp.、Serratia、Stenotrophomonasから選択され、その真菌は、Candida spp.から選択される。
【0058】
その組成物は、処置している医師、医療専門家または獣医師によって決定されるように任意の適切な用量で投与され得る。適切な投与方法の非限定的な例は、筋肉内投与、皮下投与、または静脈内投与を含む。投与されるべき有効量は、約25mcg/kg 体重~約200mcg/kg 体重、または代わりに約50mcg/kg 体重~約175mcg/kg 体重、または代わりに約75mcg/kg 体重~約200mcg/kg 体重、または約25mcg/kg 体重~約100mcg/kg 体重、または約25mcg/kg 体重~約175mcg/kg 体重、または約25mcg/kg 体重~約150mcg/kg 体重、または約75mcg/kg 体重~約200mcg/kg 体重、または約75mcg/kg 体重~約150mcg/kg 体重、または約25mcg/kg 体重~約 150mcg/kg 体重、または約50mcg/kg 体重~約125mcg/kg 体重、または約50mcg/kg 体重~約100mcg/kg 体重、または代わりに約25mcg/kg 体重、または代わりに約75mcg/kg 体重、または代わりに約100mcg/kg 体重、または代わりに約125mcg/kg 体重、または代わりに約150mcg/kg 体重、または代わりに約175mcg/kg 体重、または代わりに約200mcg/kg 体重である。
【0059】
一局面において、その組成物は、1~3ヶ月の期間にわたって1回、2回または3回である。一局面において、その免疫は、免疫後約14~約28日間、免疫後約16~約26日間、または免疫後約18~約24日間で、または免疫後約20~約26日間で、または免疫後約22~約23日間で、または免疫後約3週間でブーストされる。
【0060】
別の局面において、その方法は、当該分野で公知であるかまたは本明細書で記載されるとおりの方法を使用して、その組成物を投与する前に、細菌または真菌感染に関してその被験体をアッセイする工程をさらに包含する。
【0061】
その組成物は、処置している医師、医療専門家または獣医師によって決定されるように、任意の適切な用量で投与され得る。適切な投与方法の非限定的な例は、筋肉内投与、皮下投与、または静脈内投与を含む。投与されるべき有効量は、約5mcg/kg 体重~約50mcg/kg 体重、または代わりに10mcg/kg 体重~50mcg/kg
体重、または代わりに20mcg/kg 体重~約50mcg/kg 体重、または代わりに10mg/kg 体重~約100mcg/kg 体重、または代わりに約15mcg/kg 体重~約150mcg/kg 体重、または代わりに約20mcg/kg 体重~約200mcg/kg 体重である。
【0062】
キット
本明細書で記載されるとおりの組成物または製剤および使用説明書を含むキットがまた、本明細書で提供される。
【0063】
薬物スクリーニングアッセイ
細菌もしくは真菌微生物感染に対する免疫を増強する、あるいは細菌もしくは真菌感染または細菌もしくは真菌微生物感染に関連する疾患を処置する、のうちの1またはこれより多くから選択される利益を提供する化合物または薬剤を同定する方法がまた、本明細書で提供され、その方法は、その化合物または薬剤と、本明細書で記載されるとおりの組成物とを混合する工程、およびその混合した組成物を、細菌または真菌微生物に感染した非ヒト被験体に投与する工程、および投与後に感染または生存に関してアッセイする工程を包含し、ここで本明細書で記載されるとおりの組成物の活性を増強する化合物または薬剤は、その利益を提供する化合物または薬剤である。免疫応答が誘発されたか否かを決定する方法は、当該分野で公知であり、例えば、適切なサンプル(血液、唾液または血漿)を患者から採取する工程、ならびにELISAによってサイトカインレベルを、およびその病原体または細菌に対する抗体が存在するか否かをアッセイする工程を包含する。さらに、非侵襲性の手段(例えば、その被験体の温度の低下)は、単独でまたは臨床方法と組み合わせて使用され得る。被験体が処置されているか否かを決定する方法は、例えば、適切なサンプル(血液、唾液または血漿)を患者から採取する工程、およびELISAによってその病原体または細菌に対する抗体が存在するか否かをアッセイする工程を包含する。さらに、非侵襲性の手段(例えば、その被験体の温度の低下)は、単独でまたは臨床方法と組み合わせて使用され得る。さらに、処置されている疾患に依存して、その疾患の臨床症状の低減は、有効な処置を示す。
【0064】
材料および方法
組成物の調製
その組成物を調製するために、水酸化アルミニウムの好ましい量は、約0.1mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約1.0mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約9mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約7mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約2mg/ml、または代わりに0.1mg/ml~約1mg/ml、または代わりに約0.2mg/ml~約8mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約2mg/mlの範囲の、あるいは約0.5mg/ml、または約1.0mg/ml、または約1.5mg/ml、または約0.5mg/ml、または約1.0mg/ml、または約1.5mg/ml、または約2.0mg/ml、または約3.0mg/ml、または約3.5mg/ml、または約4.0mg/ml、または約4.5mg/ml、または約 5mg/ml、または約5.5mg/ml、または約6.0mg/ml、または約6.5mg/ml、または約7.0mg/ml、または約7.5 mg/ml、または約8.0mg/ml、または約8.5mg/ml、または約9.0mg/ml、または約9.5mg/mlまたは約10mg/mlの濃度で生理食塩水溶液中に懸濁される。
【0065】
そのMPLは、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、PBS)中に、約0.1mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約1.0mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約9mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約7mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約2mg/ml、または代わりに0.1mg/ml~約1mg/ml、または代わりに約0.2mg/ml~約8mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約2mg/mlの範囲、あるいは約0.5mg/ml、または約1.0mg/ml、または約1.5mg/ml、または約0.5mg/ml、または約1.0mg/ml、または約1.5mg/ml、または約2.0mg/ml、または約3.0mg/ml、または約3.5mg/ml、または約4.0mg/ml、または約4.5mg/ml、または約 5mg/ml、または約5.5mg/ml、または約6.0mg/ml、または約6.5mg/ml、または約7.0mg/ml、または約7.5 mg/ml、または約8.0mg/ml、または約8.5mg/ml、または約9.0mg/ml、または約9.5mg/ml、または約10mg/mlの濃度へと懸濁される。
【0066】
次いで、そのMPおよびWGPは、任意の適切な組み合わせで合わせられ、各化合物の比は同一であるものの、それらが1:1比で合わされ得ることは意図されない。あるいは、そのMPは、そのWGPと、約0.1:1; 約0.2:1; 約0.3:1; 約0.4:1; 約0.5:1; 約0.6:1; または約0.7:1; または約0.8:1; または約0.9:1; または約1:1の比で合わされる。あるいは、そのWGPおよびMPLは、そのWGPと、約0.1:1; 約0.2:1; 約0.3:1; 約0.4:1; 約0.5:1; 約0.6:1; または約0.7:1; または約0.8:1; または約0.9:1; または約1:1の比で合わされる。
【0067】
そのMPLおよびWGPのこの組み合わせの後に、その組み合わせは、水酸化アルミニウムと、約1:5、または代わりに約1:6、または代わりに約1:7、または代わりに約1:8、または代わりに約1:9、または代わりに約1:10、または代わりに約1:11、または代わりに約1:12 または代わりに約1:13、または代わりに約1:14、または代わりに約1:15、または代わりに約1:16、または代わりに約1:17、または代わりに約1:18、または代わりに約1:19、または代わりに約1:20の比でさらに混合される。
【0068】
いくつかの局面において、マンナンは、約0.1mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約1.0mg/ml~約10mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約9mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約7mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約2mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約1mg/ml、または代わりに約0.2mg/ml~約8mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約5mg/ml、または代わりに約0.1mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約3mg/ml、または代わりに約0.5mg/ml~約2mg/mlの範囲の、あるいは約0.5mg/ml、または約1.0mg/ml、または約1.5mg/ml、または約0.5mg/ml、または約1.0mg/ml、または約1.5mg/ml、または約2.0mg/ml、または約3.0mg/ml、または約3.5mg/ml、または約4.0mg/ml、または約4.5mg/ml、または約5mg/ml、または約5.5mg/ml、または約6.0mg/ml、または約6.5mg/ml、または約7.0mg/ml、または約7.5mg/ml、または約8.0mg/ml、または約8.5mg/ml、または約9.0mg/ml、または約9.5mg/ml、または約10mg/mlの濃度を提供するために生理食塩水中に溶解される。
【0069】
あるいは、その水酸化アルミニウムおよびMPLは、GlaxoSmithKline(GSK)のような商業的供給元から供給され、マンナンおよびWGPと、上記に注記されるとおりの量で合わされる。
【0070】
その組成物は、約5mcg/kg 体重~約50mcg/kg 体重、または代わりに10mcg/kg 体重~50mcg/kg 体重、または代わりに20mcg/kg 体重~約50mcg/kg 体重、または代わりに10mg/kg 体重~約100mcg/kg 体重、または代わりに約15mcg/kg 体重~約150mcg/kg 体重、または代わりに約20mcg/kg 体重~約200mcg/kg 体重を投与するために、(1またはこれより多くの用量での)インビボ投与のために製剤化され得る。
【実施例0071】
実験番号1
S. aureusを標的とするワクチンの取り組み
出願人は、14の候補タンパク質を研究した。これらタンパク質を、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH))との組み合わせにおいて、S. aureus菌血症に対する有効性に関して体系的にスクリーニングした。しかし、Al(OH)アジュバントとともに投与したタンパク質の組み合わせはいずれも、S. aureusでIV感染させたマウスにおいて生存の改善を見出さなかった。結果として、出願人は、それゆえに、そのアジュバントを代用して、有効性を改善することを試みた。3つのアジュバント(Al(OH)、モノホスホリルリピド(MPL)、および全グルカン粒子(WGP)を含む)と、その3種のぶどう球菌タンパク質(α毒素、ABCトランスポータータンパク質、およびABCトランスポータータンパク質2)とを組み合わせ、初回免疫の3週間後のブーストを用いるレジメンを投与し、2週間後にそのマウスを感染させることによって、出願人は、PBS(生理食塩水)単独と比較して、生存における有意な改善を示す(図1A)。
【0072】
三重アジュバントもまた、S. aureus菌血症に対してアッセイした。S. aureus(LAC)およびA. baumannii(HUMC1)の抗生物質耐性臨床分離株を、10~10 CFUで尾静脈を介して注射した。首筋に200μlの皮下注射(Alhydrogel、1.3% デポー形成、NALP3インフラマソームアクチベーター;MPL(モホホスホリルリピドA)、10μg、無毒化LPS;WGP(全グルカン粒子)、100μg、真菌表面炭水化物。
【0073】
反復実験では、三重アジュバント + タンパク質を、三重アジュバント単独と比較した場合に、その有効性に差異はなかった。これは、有効性の主な駆動因子がそのアジュバントであって、そのタンパク質ではなかったことを示す(図2)。さらに、二重アジュバントは有効ではなかった。これは、そのアジュバントの全3種の構成要素が有効性にとって必要であることを示す(図2)。従って、アジュバントのこの組み合わせは自明ではない。なぜなら各構成要素単独では防御を媒介しないからである。最後に、出願人は、この三重アジュバントレジメンが、1日目および22日目に投与され、感染が36日目に行われたことを強調する。これは、そのレジメンが、最後の用量後少なくとも14日間、有効性を保持したことを示す。
【0074】
出願人はその実験を反復して、他の二重アジュバント組み合わせが有効性を有するか否かを決定した。三重アジュバントは、もう一度、高度に防御的であった(図3)。水酸化アルミニウム + モノホスホリルリピド(MPL)での二重アジュバントは有効ではなかった(図3)。水酸化アルミニウムおよび全グルカン粒子(WGP)での二重アジュバントでは、いくらかの有効性が認められたが、その有効性は、三重アジュバントで最適であった(図3)。WGP + MPLでの二重アジュバントの有効性なしを示す図2のデータと組み合わせると、三重治療の有効性は、明らかに自明でない。
【0075】
最後に、出願人は、三重アジュバントによって媒介されたS. aureusに対する防御の潜在的持続性を決定しようとした。マウスを、単一用量の三重アジュバントで免疫し、3日後、7日後、または21日後のいずれかに感染させた。別の群を三重アジュバントで免疫し、3週間でブーストし、3日後に感染させた。防御は、3日間および7日間持続した(図4)。
【0076】
出願人は、アジュバント単独で、病院で急性のリスクにある患者においてHAI病原体に対する短期間から中程度の期間の防御を提供する可能性があるという新規な概念を展開し始めた。入院期間にわたって必要とされるのは、わずか数週間の防御であり、アジュバントは、長期の免疫記憶を誘導するタンパク質なしでも、このような防御を媒介できた。
【0077】
実験番号2.
グラム陰性病原体に対するアジュバントの有効性
アルミニウムは、1930年代以来ワクチンにおいて使用されており、ジェネリックのAl(OH)は、A型肝炎、B型肝炎、TDaP、Hib、およびHPVワクチン製剤に含まれる、FDA承認のアジュバントである(7-9)。MPLは、TLR4を活性化する無毒化リポポリサッカリド(エンドトキシン)生成物であり、FDA承認のFendrix B型肝炎ウイルス(HBV)およびHPVワクチン(Cervarix)の中に含まれる(9)。従って、そのアジュバント混合物のこれら2つの構成要素は、FDA承認のワクチンにおいて既に使用されている。そのWGPアジュバントは、マクロファージおよび樹状細胞上のデクチン-1を通じてシグナル伝達する(10-12)。グルカンを含むワクチンは、未だFDA承認されていないが、グルカンを含むワクチンは、既に臨床試験に入っている(11, 12)。よって、これらアジュバントの全ては、患者において個々に研究されており、従って、HAIsのための予防レジメンへと迅速に移行され得る。
【0078】
S. aureus菌血症に対して認められるその有効性に倣って、出願人は、この新規なアジュバント混合物が同様に、グラム陰性病原体に対する防御を媒介し得るか否かを決定しようとした。マウスを、その三重アジュバントレジメンまたは生理食塩水プラシーボのいずれかの単一のSC用量で上記のように免疫した。3日後または7日後に、マウスに、A. baumannii HUMC1(超高毒性カルバペネム耐性臨床血液および肺分離株)またはK. pneumoniae KP3(超高毒性臨床血液分離株)をIV感染させた。三重アジュバントで免疫した全てのマウスは、A. baumannii感染から生き残ったのに対して、全てのコントロールマウスは死滅した(図5)。
【0079】
K. pneumoniaeで感染させたマウスに関して、単一用量の三重アジュバントでの免疫はまた、コントロールと比較して、統計的に有意に生存を改善した(図6)。
【0080】
最後に、防御を媒介するそのアジュバントの必須の組成の確立を開始するために、マウスを、三重アジュバント、または生理食塩水コントロールに対して、種々の二重アジュバント組み合わせの単一用量で免疫した。免疫の3日後に、マウスに、A. baumannii HUMC1を尾静脈を介してIV感染させた。その三重アジュバント組み合わせで免疫したマウスは、全ての他の群と比較して、最良の生存を有した(図7)。さらに、二重の水酸化アルミニウム + WGPまたはMPLは、有効性を有しなかった(図7)。驚くべきことに、水酸化アルミニウム単独では、A. baumanniiに対して統計的に有意に改善された生存を媒介した一方で、S. aureusに対しては全く利益を媒介せず、水酸化アルミニウムにWGPまたはMPLを添加しても、その有効性は失われた。同様に、WGP + MPLは、A. baumanniiに対していくらかの有効性を媒介したのに対して、S. aureusに対しては何ら有効性を媒介しなかった。しかし三重治療は、WGP + MPLおよび水酸化アルミニウム単独より優れていた。まとめると、これらの結果は、多数のアジュバントを合わせ、多数の生物に対して試験することの複雑さ、ならびに単一および二重組み合わせが信頼性高く防御を媒介しない場合に、三重組み合わせアジュバントがグラム陽性および陰性病原体に対する防御を媒介するという事実の自明でない性質を強調する。
【0081】
実験番号3
潜在的な第4のアジュバントとしてのマンナンの役割
以前の研究者は、組換え凝集素様配列1および3(rAls1p-NおよびrAls3p-N)ワクチンのN末端のワクチン媒介性防御の機構を調査していた(13-38)。例えば、1つの研究を、陰性コントロール(S. aureusのタンパク質の特異性を示すことを目的とする)としてP. aeruginosaでマウスを感染させて行った。驚くべきことに、2回の実験からの合計16 マウス/群に関して、rAls3p-Nをワクチン接種し、P. aeruginosaに感染させたマウスでは、実質的に生存が改善される傾向があった(p=0.07、図8)。これらの結果は、実際に、そのrAls3p-Nの有効性のうちの少なくともいくらかが、P. aeruginosaプロテオームに対するrAls3p-Nの相同性が全くないことから、一般的な免疫刺激に原因があるとし得ることを示唆した。
【0082】
同時に、他のグループは、真菌のマンナン(糖の1タイプ)が強力なTh1/Th17活性化特性を有し、先天的免疫応答および適応免疫応答の両方を顕著に刺激し得ることを示す研究を発表した。例えば、Lam et al. (39)は、生成の間に酵母によってマンノシル化されることもされないこともいずれもある組換えオボアルブミンを生成した。酵母のマンノシル化オボアルブミンは、E. coliにおいて生成された非グリコシル化オボアルブミンより有意に大きなT細胞増殖を非特異的に誘導した。さらに、その刺激効果は、N-マンノシル化よりむしろO-マンノシル化に原因がある可能性があった。化学的脱グリコシル化は、リンパ球共培養の間にそのマンノシル化タンパク質と、遊離S. cerevisiaeマンナンとの混合した場合のように、そのマンノシル化タンパク質の刺激効果を失った。これは、酵母のマンノシル化が免疫学的な効果の原因であったことを確認する。マンノシル化タンパク質の類似の免疫刺激効果が、CD8+ T細胞機能において認められた(40)。CD8+ T細胞増殖が増強したのみならず、炎症促進性サイトカイン(例えば、TNFおよびIL-12)の分泌もまた、標的抗原のマンノシル化によって顕著に増強された。より近年になってからは、O-マンノシル化糖脂質が、致死的な肺炎球菌感染に対して防御するインバリアントNKT細胞を活性化することが示されている(41)。
【0083】
従って、出願人は、そのAls3のO-グリコシル化が、その有効性の原因であり得ることを疑い始めた。出願人は、マンナン含有量が減少したAls3pを生成するS. cerevisiaeの変異体クローン(本来のクローンについては>90%に対して<80% マンナン)を単離できた。
【0084】
出願人は、三重アジュバント混合物(AlOH3 + MPL + WGP)の上にマンナンを添加することの影響を決定した。四重レジメンの有効性を、A. baumannii HUMC1感染に対してマウスを防御することにおいてその三重アジュバントレジメンと比較した。四重アジュバント(マンナンを含む)で免疫したマウスは、三重アジュバントで免疫したマウスと比較して、感染後2~4日目に臨床上改善したようであった(その三重アジュバント群におけるマウスについては、皮にシワがあり、活動が減少したのに対して、その四重群において皮にシワはなし、活動レベルは正常、および体重減少はなし)。しかし、両方の免疫群における全マウスが生き残ったので、その三重アジュバントレジメンと四重アジュバントレジメンとの間の死滅転帰までの時間に基づく有効性を区別することはできなかった。なぜなら三重アジュバント単独でも非常に有効であったからである(図10)。
【0085】
その実験を反復したが、MPLおよびWGPの用量を、通常提示するものの1/3に低減し、アルミニウムとの投与混合物を、三重アジュバントの取り込みを減少させるように変更した(水酸化アルミニウムに関するパッケージ挿入物は、そのアジュバントに結合されるべき材料との5分間の撹拌を推奨する。これを、そのアルミニウム上のMPL/WGP保持を減少させるために10秒間行った)。その目的は、第4のアジュバントとしてのマンナンの添加が、有効性を改善するか否かを決定するためにその三重レジメンの有効性を減少させることであった。実際に、全ての最適未満の三重アジュバントで免疫したマウスが死滅した一方で、その四重アジュバントで免疫したマウスは、生存における顕著な改善を有した(図11)。
【0086】
投与スケジュールを評価して、より低い用量が有効であり得るか否かを決定した。第1の実験では、マウスを、S. aureus LAC(MRSA)に感染させた。感染接種物(8.4×10)は、意図したものを33%上回った。その三重アジュバントレジメンで10倍投与量を減らしても、より高用量のアジュバントに類似の防御を保持した(図12)。これは、投与量の減少が、商品のコストを、臨床開発にとって財政上より魅力的にする可能性を示す。
【0087】
実験番号4
マンナン含有量が減少したrAls3p-Nは、通常のクローンより有意に低い防御を提供した
理論によって拘束されることなく、本開示は、マンナンが、医療関連病原体(P. aeruginosaおよびC. albicansを含む)に対する広いスペクトルの防御を提供する第4のアジュバントであることを提供する。
【0088】
実験番号5
種々の免疫スケジュール
図1Cおよび1Dに示されるように、出願人は、種々の免疫スケジュールが生存を改善することを示す。図1Cは、初回刺激とブーストとの間の3週間の維持、しかしブーストと感染との間には種々の遅れがあったことを示す。図1Dは、1回の免疫(すなわち、ブースターなし)と、免疫と感染との間の種々の遅れを示す。
【0089】
均等物
本開示は、上記の実施形態とともに記載されてきたが、前述の説明および実施例は、本開示の範囲を例証するのであって限定するのではないことが意図されることは、理解されるべきである。本開示の範囲内の他の局面、利点および改変は、本開示が属する分野の当業者に明らかである。
【0090】
本明細書で例証として記載される発明は、本明細書で具体的に開示されないいかなる要素、限定の非存在下でも適切に実施され得る。従って、例えば、用語「含む、包含する」、「含む、包含する、が挙げられる(including)」、「含む、含有する(containing)」などは、広くかつ限定しないと理解されるものとする。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、説明の用語として使用されており、限定の用語として使用されているのではなく、このような用語および表現の使用においては、示されかつ記載される特徴またはその一部のいかなる均等物をも排除するという意図はないが、種々の改変が、請求項に記載される発明の範囲内で可能であることは、認識される。
【0091】
従って、本発明は、好ましい実施形態および選択肢的な特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書で開示され、その中で具現化される発明の改変、改善およびバリエーションは、当業者に依るものであり得ること、ならびにこのような改変、改善およびバリエーションが、本発明の範囲内にあると見做されることは、理解されるべきである。ここで提供される材料、方法、および例は、好ましい実施形態の代表であり、例示であり、そして本発明の範囲に対する限定としては意図されない。
【0092】
本発明は、本明細書において広くかつ包括的に記載されてきた。包括的な開示の範囲内に入るより狭い種および下位の属のグループ分けの各々はまた、本発明の一部を形成する。これは、削除されたものが本明細書で具体的に記載されているか否かに拘わらず、本発明の包括的な記載とともに、その属から任意の主題を除去する但し書きまたは消極的限定を含む。
【0093】
さらに、本発明の特徴または局面が、マーカッシュグループに関して記載される場合、当業者は、本発明がまた、それによって、そのマーカッシュグループの任意の個々のメンバーまたはメンバーの下位群に関して記載されていることを認識する。
【0094】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、各々が個々に参考として援用されるのと同程度に、それらの全体において明示的に参考として援用される。矛盾する場合には、本明細書が、定義を含め、優先する。
参考文献
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
水酸化アルミニウム、MPL モノホスホリルリピド(MPL)、および全グルカン粒子(WGP)の各々の有効量を含む組成物であって、ただし該組成物は、真菌または細菌病原体に対する免疫応答を誘導するために有効な抗原を含まない、組成物。
(項目2)
有効量のマンナンをさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
水酸化アルミニウム、MPL モノホスホリルリピド(MPL)、および全グルカン粒子(WGP)の各々の有効量、ならびにキャリアから本質的になる組成物であって、ただし該組成物は、真菌または細菌病原体に対する免疫応答を誘導するために有効な抗原を含まない、組成物。
(項目4)
さらに有効量のマンナンから本質的になる、項目1に記載の組成物。
(項目5)
a.前記水酸化アルミニウムは、Alhydrogel(登録商標)である、
項目1~4のいずれか1項に記載の組成物。
(項目6)
前記有効量は、
a. 約0.1~約10mg/mlの水酸化アルミニウム;
b. 約0.1~約10mg/mlのMPL;
を含み、
c. 要素6a.および6b. 対 WGPに関して約1:1~約1:20の比で合わされる、
項目1~5のいずれか1項に記載の組成物。
(項目7)
薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、項目1~6のいずれか1項に記載の組成物。
(項目8)
前記マンノースの有効量は、約0.01mg/ml~約1mg/mlを含む、項目2~7のいずれか1項に記載の組成物。
(項目9)
細菌または真菌病原体によって引き起こされる感染に対して被験体において免疫を増強するための方法であって、該方法は、有効量の、項目1~8のいずれか1項に記載の組成物を該被験体に投与する工程を包含する方法。
(項目10)
前記細菌は、S. aureus、A. baumannii、K. Pneumoniae、P. aeruginosa、E. coli、Enterobacter spp.、Serratia、Stenotrophomonasから選択され、前記真菌は、Candida spp.から選択される、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記組成物は、筋肉内、皮下、または静脈内投与を含む方法によって投与される、項目9または10に記載の方法。
(項目12)
前記組成物は、1~3ヶ月の期間にわたって1回、2回、または3回投与される、項目9~11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記被験体は、細菌または真菌感染のリスクにある、項目9~12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記被験体は、前記細菌または真菌微生物に感染している、項目9~12のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記組成物を投与する前に、前記被験体を細菌または真菌感染に関してアッセイする工程をさらに包含する、項目9~12または14のいずれか1つに記載の方法。
(項目16)
必要性のある被験体において細菌または真菌感染によって引き起こされた障害を処置するための方法であって、該方法は、有効量の、項目1~8のいずれか1項に記載の組成物を投与する工程を包含する方法。
(項目17)
前記細菌または真菌微生物は、S. aureus、A. baumannii、K.
Pneumoniae、P. aeruginosa、E. coli、Enterobacter spp.、Serratia、Stenotrophomonas、Candida spp.から選択される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記組成物は、皮下、筋肉内、または静脈内を含む非経口投与を含む方法によって投与される、項目16または17に記載の方法。
(項目19)
前記組成物は、1回、2回または3回投与される、項目16~18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記組成物を投与する前に、細菌または真菌感染に関して前記被験体をアッセイする工程をさらに包含する、項目16~19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
項目1~8のいずれか1項に記載の組成物および使用説明書を含むキット。
(項目22)
細菌もしくは真菌微生物感染に対する免疫を増強する、あるいは細菌もしくは真菌感染または細菌もしくは真菌微生物感染に関する疾患を処置する、のうちの1またはこれより多くから選択される利益を提供する化合物または薬剤を同定するための方法であって、該方法は、該化合物または薬剤と、項目1~8のいずれか1項に記載の組成物とを混合する工程、および該混合した組成物を、細菌または真菌微生物に感染した非ヒト被験体に投与する工程、および投与後に感染または生存に関してアッセイする工程を包含し、ここで項目1~8のいずれか1項に記載の組成物の活性を増強する該化合物または薬剤は、該利益を提供する薬剤である、方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12