(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164778
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ジャケット構造体及び洋上風力システム
(51)【国際特許分類】
E02D 27/14 20060101AFI20231107BHJP
E02D 27/32 20060101ALI20231107BHJP
E02D 27/52 20060101ALI20231107BHJP
E02B 17/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
E02D27/14
E02D27/32 A
E02D27/52 A
E02B17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022189199
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】片山 能輔
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 暢一
(72)【発明者】
【氏名】舟竹 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】入江 敬
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA07
2D046DA05
2D046DA62
(57)【要約】
【課題】低コストで十分な終局強度を有するジャケット構造体及び洋上風力システムを提供することを目的とする。
【解決手段】洋上風車200を支持するトランジションピース11と、トランジションピース11を支持する複数のレグ12と、複数のレグ12を接続する複数のブレース13と、複数の杭15と、を備えるジャケット構造体10であって、ジャケット構造体10の一部の鋼材は、SA440又はSM570であることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
複数の杭と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570である、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項2】
同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車をそれぞれ支持する、複数のジャケット構造体、
を備える洋上風力システムであって、
前記複数のジャケット構造体のそれぞれは、
前記洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
複数の杭と、
を含み、
前記複数のジャケット構造体のそれぞれは、第1グループ又は第2グループに属し、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体のそれぞれの鋼材の一部は、共通し、且つ、SA440又はSM570である、
ことを特徴とする洋上風力システム。
【請求項3】
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体のそれぞれの前記トランジションピースは、
上側板と、
洋上風車のタワーを支持する円筒状部材であるセンターパイプと、
を含み、
前記一部は、前記上側板と前記センターパイプとの交点を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項4】
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体のそれぞれは、前記複数のレグと前記複数の杭とを接続する接続部材、を含み、
前記接続部材は、上フランジを含み、
前記一部は、前記上フランジと前記複数のレグのうちの1つとの交点を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項5】
前記一部は、前記複数のブレースを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項6】
前記複数のブレースは、第1ブレース及び第2ブレースを含み、
前記一部は、前記第1ブレースと前記第2ブレースとの交点を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の洋上風力システム。
【請求項7】
前記複数のブレースは、第1ブレース及び第2ブレースを含み、
前記一部は、前記第1ブレース及び前記第2ブレースの部分であって前記第1ブレースと前記第2ブレースとの交点を含まない部分、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の洋上風力システム。
【請求項8】
前記一部は、前記複数のブレースの端部を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の洋上風力システム。
【請求項9】
前記一部は、前記複数のレグを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項10】
前記一部は、前記複数のレグの部分であって前記複数のレグと前記複数のブレースとの交点を含む部分、を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の洋上風力システム。
【請求項11】
前記一部は、前記複数のレグの部分であって前記複数のレグと前記複数のブレースとの交点を含まない部分、を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の洋上風力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャケット構造体及び洋上風力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電に用いられる風車等を洋上に配置するために、鋼管を組み合わせたジャケット構造体を用いることがある。
特許文献1では、地震時への対策として、杭ガイド兼用主部材の内部に補強部が設けられているジャケット構造体が開示されている。
特許文献2では、風車の振動による繰り返し荷重への対策として、鋼管杭と、鋼製外管との溶接箇所を減少させた接合構造が開示されている。
特許文献3では、ジャケットと杭の合理的設計を可能とするため、水底地盤から所要高さ以上に突出するシアキー付杭を、杭径より内径を大きくしたレグ下部に挿入させ、この結合部のレグ内周と杭外周間の所定長さにグラウト材を充填して結合した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-11363号公報
【特許文献2】国際公開第2012/118186号
【特許文献3】特開2003-221816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジャケット構造体において、一部の終局強度を向上させることが求められることがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、低コストで十分な終局強度を有するジャケット構造体及び洋上風力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係るジャケット構造体は、洋上風車を支持するトランジションピースと、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、複数の杭と、を備えるジャケット構造体であって、前記ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570であることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570である。ここで、ジャケット構造体の設計過程における構造解析の結果、ジャケット構造体のいずれかの部位の終局強度を向上させる必要があることが判明することがある。この場合に、例えば、ジャケット構造体を構成する鋼材の板厚を変更する等、ジャケット構造体の形状を変更する措置を執ると、形状を変更した部位の剛性が変化する。このため、ジャケット構造体の形状を変更する場合、ジャケット構造体及び洋上風車の構造解析を再度行う必要がある。
しかしながら、ジャケット構造体の構造解析には長期間を要する(例えば、数か月程度)。このため、ジャケット構造体の形状を変更する措置は容易に採りえない。
【0008】
SA440又はSM570は、ジャケット構造体の構造に用いられる鋼材のうち、比較的降伏応力が大きい鋼材である。SA440又はSM570をはじめとする降伏応力が大きい鋼材は、例えば、比較的高価である、調達に長期間を要することがある、等の特徴がある。
【0009】
これに対し、ジャケット構造体の一部の鋼材がSA440又はSM570であることで、例えば、ジャケット構造体のうち、終局強度を向上させる必要がある部位に限定して、降伏応力が大きいSA440又はSM570を用いることができる。よって、ジャケット構造体の形状を変更することなく、ジャケット構造体における任意の部位の終局強度を向上させることができる。よって、ジャケット構造体の設計を効率的に行うことができる。
【0010】
更に、SA440又はSM570を用いる部位を限定することで、上述した特徴を有する降伏応力が大きい鋼材を効率的に用いることができる。よって、例えば、必要以上にジャケット構造体の費用が増加することを抑えることができる。例えば、鋼材の調達に要する期間が長期化することを抑えることができる。
【0011】
<2>本発明の態様2に係る洋上風力システムは、同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車をそれぞれ支持する、複数のジャケット構造体、を備える洋上風力システムであって、前記複数のジャケット構造体のそれぞれは、前記洋上風車を支持するトランジションピースと、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、複数の杭と、を含み、前記複数のジャケット構造体のそれぞれは、第1グループ又は第2グループに属し、前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体のそれぞれの鋼材の一部は、共通し、且つ、SA440又はSM570であることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、複数のジャケット構造体のそれぞれは、第1グループ又は第2グループに属する。なお、グループとは、共通点を持つジャケット構造体の集まりをいう。これにより、例えば、ジャケット構造体が設けられる場所の水深や地盤の硬さ等の特徴に合わせて、複数のジャケット構造体をグループごとに分類することができる。
第1グループに属する複数のジャケット構造体のそれぞれの鋼材の一部は、共通し、且つ、SA440又はSM570である。これにより、降伏応力が大きい鋼材を効率的に用いることができる。複数のジャケット構造体のそれぞれの構造を共通にすることで、複数のジャケット構造体の設計を効率的にすることができる。
【0013】
<3>本発明の態様3に係る洋上風力システムは、態様2に係る洋上風力システムにおいて、前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体のそれぞれの前記トランジションピースは、上側板と、洋上風車のタワーを支持する円筒状部材であるセンターパイプと、を含み、前記一部は、前記上側板と前記センターパイプとの交点を含むことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、ジャケット構造体のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、トランジションピースの上側板とセンターパイプとの交点を含む。上側板とセンターパイプとの交点は応力集中しやすい部位であることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体の構造の共通化を容易にすることができる。
【0015】
<4>本発明の態様4に係る洋上風力システムは、態様2又は態様3に係る洋上風力システムにおいて、前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体のそれぞれは、前記複数のレグと前記複数の杭とを接続する接続部材、を含み、前記接続部材は、上フランジを含み、前記一部は、前記上フランジと前記複数のレグのうちの1つとの交点を含むことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、ジャケット構造体のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、接続部材の上フランジと複数のレグのうちの1つとの交点を含む。上フランジとレグとの交点は応力集中しやすい部位であることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体の構造の共通化を容易にすることができる。
【0017】
<5>本発明の態様5に係る洋上風力システムは、態様2から態様4のいずれか1つに係る洋上風力システムにおいて、前記一部は、前記複数のブレースを含むことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、ジャケット構造体のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、複数のブレースを含む。ブレースは、複数のレグを接続することでジャケット構造体を補強する機能を有することから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体の構造の共通化を容易にすることができる。
【0019】
<6>本発明の態様6に係る洋上風力システムは、態様2から態様5のいずれか1つに係る洋上風力システムにおいて、前記複数のブレースは、第1ブレース及び第2ブレースを含み、前記一部は、前記第1ブレースと前記第2ブレースとの交点を含むことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、ジャケット構造体のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、第1ブレースと第2ブレースとの交点を含む。第1ブレースと第2ブレースとの交点は、レグから伝達される荷重により応力集中しやすい部位であることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体の構造の共通化を容易にすることができる。
【0021】
<7>本発明の態様7に係る洋上風力システムは、態様2から態様6のいずれか1つに係る洋上風力システムにおいて、前記複数のブレースは、第1ブレース及び第2ブレースを含み、前記一部は、前記第1ブレース及び前記第2ブレースの部分であって前記第1ブレースと前記第2ブレースとの交点を含まない部分、を含むことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、ジャケット構造体のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、第1ブレース及び第2ブレースの部分であって第1ブレースと第2ブレースとの交点を含まない部分、を含む。第1ブレース及び第2ブレースの部分であって第1ブレースと第2ブレースとの交点を含まない部分には、レグを介して大きな荷重が付加されることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の長期化を抑えつつ、ジャケット構造体の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体の構造の共通化を容易にすることができる。
【0023】
<8>本発明の態様8に係る洋上風力システムは、態様2から態様7のいずれか1つに係る洋上風力システムにおいて、前記一部は、前記複数のブレースの端部を含むことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、ジャケット構造体のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、複数のブレースの端部を含む。ブレースの端部には、例えば、レグが接続される。したがって、ブレースの端部は、レグから伝達される荷重により応力集中しやすい部位であることから、高い終局強度が求められる。これらの部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体の構造の共通化を容易にすることができる。
【0025】
<9>本発明の態様9に係る洋上風力システムは、態様2から態様8のいずれか1つに係る洋上風力システムにおいて、前記一部は、前記複数のレグを含むことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、ジャケット構造体のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、複数のレグを含む。レグには、トランジションピースを介して洋上風車から伝達される大きな荷重が付加されることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体の構造の共通化を容易にすることができる。
【0027】
<10>本発明の態様10に係る洋上風力システムは、態様2から態様9のいずれか1つに係る洋上風力システムにおいて、前記一部は、前記複数のレグの部分であって前記複数のレグと前記複数のブレースとの交点を含む部分、を含むことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、ジャケット構造体のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、複数のレグの部分であって複数のレグと複数のブレースとの交点を含む部分、を含む。レグとブレースとの交点は、レグから伝達される荷重により応力集中しやすい部位であることから、高い終局強度が求められる。これらの部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体の構造の共通化を容易にすることができる。
【0029】
<11>本発明の態様11に係る洋上風力システムは、態様2から態様10のいずれか1つに係る洋上風力システムにおいて、前記一部は、前記複数のレグの部分であって前記複数のレグと前記複数のブレースとの交点を含まない部分、を含むことを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、ジャケット構造体のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、複数のレグの部分であって複数のレグと複数のブレースとの交点を含まない部分、を含む。レグとブレースとの交点を含まない部分には、トランジションピースを介して洋上風車から伝達される大きな荷重が付加されることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体の構造の共通化を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、低コストで十分な終局強度を有するジャケット構造体及び洋上風力システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る洋上風力システム100及びジャケット構造体10を説明する。
図1に示すように、洋上風力システム100は、複数のジャケット構造体10を備える。複数のジャケット構造体10は、同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車200をそれぞれ支持する。1つの洋上風力システム100には、例えば、25程度の洋上風車200が設けられる。なお、ウインドファーム(洋上ウインドファーム)とは、例えば、海上に配置された複数基の洋上風力システム100をいう。
【0034】
(ジャケット構造体10の構成)
ジャケット構造体10は、
図2に示すように、トランジションピース11と、レグ12と、ブレース13と、接続部材14と、杭15と、を含む。
トランジションピース11は、洋上風車200を支持する。トランジションピース11は、上側板11aと、センターパイプ11bと、下側板11cと、補強板11dと、を含む。
【0035】
上側板11aは、トランジションピース11の上側において水平方向に配置される。以下において、上側板11aを示す際に、単にトランジションピース11の上端と呼称することがある。本実施形態において、水平方向とは、洋上風車200が配置される海面と平行な方向である。
図3に示すように、上側板11aは十字状であり、中央にセンターパイプ11bが配置される。
【0036】
センターパイプ11bは、洋上風車200のタワーを支持する円筒状部材である。センターパイプ11bは、
図2及び
図3に示すように、トランジションピース11の中央に配置される。センターパイプ11bは、上側板11a、下側板11c、及び補強板11dによって支持される。本実施形態において、センターパイプ11bには洋上風車200が接続される。これにより、トランジションピース11によって洋上風車200を支持する。センターパイプ11bは、上側板11a、下側板11c、及び補強板11dに対して、例えば、溶接により固定される。
【0037】
下側板11cは、トランジションピース11の下端において水平方向に配置される。以下において、下側板11cを示す際に、単にトランジションピース11の下端と呼称することがある。
図3に示すように、下側板11cは上側板11aと同様に十字状であり、中央にセンターパイプ11bを備える。これにより、トランジションピース11においてセンターパイプ11bを上下2箇所で支持する。
【0038】
補強板11dは、上側板11aと、下側板11cと、センターパイプ11bと、後述するレグ12と、との間を補強する部材である。
図2に示すように、補強板11dは略四角形状の板である。補強板11dは、前記略四角形状の4辺を、上述の上側板11aと、下側板11cと、センターパイプ11bと、レグ12と、にそれぞれ接続する。これによりトランジションピース11を補強する。
【0039】
レグ12は、トランジションピース11を支持する円筒状部材である。
図2に示すように、レグ12の上端は、トランジションピース11に接続される。レグ12の下端は、接続部材14を介して杭15に接続される。
レグ12は、ジャケット構造体10において複数設けられる。本実施形態において、レグ12は、例えば、ジャケット構造体10において4つ設けられる。
【0040】
ブレース13は、複数のレグ12を接続する円筒状部材である。具体的には、
図2に示すように、ブレース13は、ジャケット構造体10における上下方向を軸とした周方向において、互いに隣り合うレグ12同士を接続する。これにより、ブレース13は、ジャケット構造体10を補強する機能を有する。ブレース13は、レグ12同士の間に複数設けられる。
【0041】
ブレース13は、第1ブレース13aと、第2ブレース13bと、を含む。ブレース13は、第1ブレース13aと第2ブレース13bとによってX字状を形成する。この時、第1ブレース13aと第2ブレース13bとの交点は次のような形状となる。すなわち、
図2に示すように、第1ブレース13aの側面に、第2ブレース13bの端部が接する。つまり、第1ブレース13aがいわゆる通し部材であり、第2ブレース13bは、第1ブレース13aによって分断された状態となる。
【0042】
以下、第2ブレース13bの端部が接続された第1ブレース13aの側面をブレースキャンという。第1ブレース13aに接続された第2ブレース13bの端部をブレーススタブという。ブレース13において、要求される疲労強度に対応するため、ブレースキャン及びブレーススタブの板厚は、例えば、ブレースキャン及びブレーススタブ以外の部位よりも厚いことが好ましい。本実施形態において、ブレースキャンの板厚とブレーススタブの板厚とは等しい。
【0043】
以下、第1ブレース13aと第2ブレース13bとを区別しない場合に、ブレース13という。ブレース13が形成する前記X字状は、例えば、ジャケット構造体10において上下方向に2段設けられる。これに限らず、前記X字状は、ジャケット構造体10において上下方向に1段のみ設けられてもよいし、3段以上設けられてもよい。
【0044】
接続部材14は、複数のレグ12と複数の杭15とを接続する。言い換えれば、接続部材14は、ジャケット構造体10に複数設けられたレグ12の1つと、前記レグ12の1つに対応した杭15と、を接続する。本実施形態において、上述のようにレグ12は4つ設けられる。このため、接続部材14は、レグ12の数に対応して4つ設けられる。
接続部材14は、
図2に示すように、上フランジ14aと、下フランジ14bと、ウェブ14cと、スリーブ14dと、を含む。
【0045】
上フランジ14aは、接続部材14の上側に設けられる板状の部材である。上フランジ14aは、例えば、略水平に設けられる。
下フランジ14bは、接続部材14の下側に設けられる板状の部材である。下フランジ14bは、例えば、略水平に設けられる。すなわち、下フランジ14bは、水平に設けられてもよいし、水平方向に対して45°以下の角度で傾いて設けられてもよい。
上フランジ14a及び下フランジ14bには、それぞれ、レグ12が挿通されるレグ貫通孔H1と、スリーブ14dが貫通するスリーブ貫通孔H2と、が設けられる。これにより、上フランジ14a及び下フランジ14bによって、レグ12とスリーブ14dとが連結される。なお、レグ貫通孔H1は、上フランジ14aにのみ設けられていても良く、上述のように上フランジ14a及び下フランジ14bの両方に設けられていても良い。
【0046】
ウェブ14cは、上フランジ14aと下フランジ14bとの間に設けられる板状の部材である。ウェブ14cは、例えば、垂直に設けられる。これにより、上フランジ14aと下フランジ14bとを補強する。ウェブ14cの、水平方向の両端部は、例えば、レグ12又はスリーブ14dに沿うように配置される。
【0047】
スリーブ14dは、上下方向に沿って配置される円筒状部材である。スリーブ14dには、杭15が挿入される。上述のように、レグ12とスリーブ14dとは、上フランジ14a及び下フランジ14bによって連結されている。したがって、スリーブ14dに杭15が挿入されることで、レグ12と杭15とが接続される。本実施形態において、スリーブ14dは、例えば、1つの接続部材14において2つ設けられる。
【0048】
杭15は、
図2に示すように、洋上風力システム100が設けられるウインドファーム又は海域の地盤に打設される。杭15は、例えば、円筒状である。杭15は、1つのジャケット構造体10において複数設けられる。本実施形態において、杭15は、例えば、1つのレグ12に対して2つ設けられる。杭15の上端は、接続部材14のスリーブ14dに挿入される。これにより、杭15は、レグ12と接続される。このことで、ジャケット構造体10が洋上に配置される。
【0049】
(ジャケット構造体10を構成する鋼材について)
本実施形態において、ジャケット構造体10の一部の鋼材は、日本鉄鋼連盟製品規定のSA440、又はJIS規格のSM570である。SA440には、例えば、日本製鉄株式会社のBT-HT440が挙げられる。SA440又はSM570は、ジャケット構造体10の構造に用いられる鋼材のうち、比較的降伏応力が大きい鋼材である。例えば、SA440の降伏応力は、440N/mm2である。SM570の降伏応力は、次に示すように、板厚によって異なる。すなわち、例えば、SM570の板厚が16mm以下である場合、降伏応力は460N/mm2以上である。SM570の板厚が16mmを超え40mm以下である場合、降伏応力は450N/mm2以上である。SM570の板厚が40mmを超え75mm以下である場合、降伏応力は430N/mm2以上である。SM570の板厚が75mmを超え100mm以下である場合、降伏応力は420N/mm2以上である。これらの鋼材は、例えば、比較的高価である、調達に長期間を要することがある、等の特徴がある。
【0050】
本実施形態に係るジャケット構造体10は、
図2又は
図3に示すように、SA440又はSM570を以下の部位において部分的に用いることで、ジャケット構造体10の費用の削減や、調達に要する期間の短縮を図る。なお、ジャケット構造体10のうち、SA440又はSM570が用いられない部位には、例えば、SM400、SM490、SM490Y、SM520、等が好適に用いられる。
以下の説明において、SA440及びSM570を高強度鋼材という。SM400、SM490、SM490Y、SM520、等を一般鋼材という。本実施形態において、一般鋼材とは、例えば、高強度鋼材よりも降伏応力が低い鋼材をいう。
【0051】
ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、例えば、上側板11aとセンターパイプ11bとの交点(以下、第1部P1)を含む。第1部P1は、例えば、上側板11aのうち、特にセンターパイプ11bの側に位置する領域である。第1部P1は、上側板11aとセンターパイプ11bとの溶接部を含む。第1部P1は、例えば、センターパイプ11bのうち、特に上側板11aの付近に位置する領域であってもよい。つまり、高強度鋼材は、少なくとも上側板11aの一部と、センターパイプ11bの一部に用いられる。
第1部P1には、例えば、ジャケット構造体10が支持する洋上風車200から伝達される荷重が付加される。第1部P1に高強度鋼材を用いることで、洋上風車200から伝達される荷重に対応できるようにすることが好ましい。
【0052】
上側板11aにおける第1部P1以外の部位には、一般鋼材が用いられる。上側板11aにおける第1部P1以外の部位は、上側板11aのうち、レグ12の側に位置する領域である。上側板11aにおける第1部P1以外の部位は、上側板11aとレグ12との交点を含む。
【0053】
図3に示すように、上側板11aの第1部P1の高強度鋼材と、第1部P1以外の部位の一般鋼材は、例えば、溶接により接合される。このように、高強度鋼材と一般鋼材とを溶接することによって上側板11aを形成することは、上述した費用の削減や調達期間の短縮の効果に加えて、例えば、1枚の板状の高強度鋼材によって上側板11aを形成する場合と比較して、調達する板状の高強度鋼材の面積の大きさを抑えることができる効果を有する。
【0054】
ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、接続部材14の上フランジ14aと複数のレグ12のうちの1つとの交点(以下、第2部P2)を含む。第2部P2は、例えば、上フランジ14aのうち、特にレグ12の側に位置する領域である。第2部P2は、例えば、レグ12のうち、特に上フランジ14aの側に位置する領域であってもよい。つまり、高強度鋼材は、少なくとも上フランジ14aの一部と、レグ12の一部に用いられる。
第2部P2には、例えば、地震荷重が付加される。第2部P2に高強度鋼材を用いることで、地震荷重に対応できるようにすることが好ましい。なお、上フランジ14aは、例えば、1枚の鋼板によって形成される。したがって、上フランジ14a全体が第2部P2であってもよい。
【0055】
ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、複数のブレース13を含む。
具体的には、ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、例えば、第1ブレース13aと第2ブレース13bとの交点(以下、第3部P3)を含む。第3部P3は、ブレースキャン及びブレーススタブである。ブレースキャン及びブレーススタブの一方に高強度鋼材を用いる場合は、他方も高強度鋼材を用いることが好ましい。
【0056】
ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、例えば、第1ブレース13aと第2ブレース13bとの交点を含まなくてもよい。言い換えれば、ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、例えば、第1ブレース13a及び第2ブレース13bの部分であって第1ブレース13aと第2ブレース13bとの交点を含まない部分(以下、第4部P4)を含んでもよい。第4部P4は、ブレース13のうち、ブレースキャン及びブレーススタブ以外の部分である。
ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、複数のブレース13の端部(以下、第5部P5)を含む。第5部P5は、例えば、第1ブレース13a又は第2ブレース13bとレグ12との接続部である。
【0057】
ブレース13は、複数のレグ12を接続することでジャケット構造体10を補強する機能を有することから、高い疲労強度、及び、高い終局強度が求められる。すなわち、例えば、第1ブレース13a及び第2ブレース13bとレグ12との接続部、ブレースキャン、及びブレーススタブには、レグ12を介して洋上風車200から大きな荷重が継続的に伝達される。疲労強度を向上するためには、板厚を大きくすることが効果的であるが、終局強度を向上するためには、高強度鋼材を用いることが効果的である。
【0058】
ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、複数のレグ12を含む。
具体的には、ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、例えば、複数のレグ12の部分であって複数のレグ12と複数のブレース13との交点を含む部分(以下、第6部P6)を含む。第6部P6は、第1ブレース13a及び第2ブレース13bとレグ12との接続部である。以下、第6部P6をレグキャンという。
【0059】
ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、例えば、複数のレグ12と複数のブレース13との交点を含まなくてもよい。言い換えれば、ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、例えば、複数のレグ12の部分であって複数のレグ12と複数のブレース13との交点を含まない部分(以下、第7部P7)を含んでもよい。第7部P7は、レグ12のうち、レグキャン以外の部分である。つまり、第7部P7は、例えば、レグキャン同士の間や、接続部材14の上フランジ14aの近傍に位置する部位である。
【0060】
レグ12には、トランジションピース11を介して洋上風車200から伝達される大きな荷重が付加されることから、高い終局強度が求められる。レグキャンである第6部P6は、ブレース13との接続部であるから、大きな荷重が継続的に付加される。このため、第6部P6は、高い終局強度に加えて、高い疲労強度が求められる。第7部P7は、第6部P6と同様に大きな荷重が付加されるため、高い終局強度が求められる。第7部P7は、第6部P6と比較すると、高い疲労強度は求められない。このため、第6部P6及び第7部P7の両方に高強度鋼材を用いる場合は、第6部P6の板厚を厚くすることで、疲労強度に対応することが好ましい。
【0061】
上述のように、本実施形態において、レグ12は複数設けられる。レグ12の第6部P6又は第7部P7に高強度鋼材を用いる場合は、ジャケット構造体10全体の等方性を確保するために、全てのレグ12において、高強度鋼材を用いる部位を同じにすることが好ましい。
【0062】
ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、杭15を含む。
具体的には、ジャケット構造体10のうち、高強度を用いる一部は、例えば、杭15が打設された地盤から、杭15の上端が突出する部位を含む領域(第8部P8)である。第8部P8は、例えば、下方が地盤の内部に位置し、上方が水中に位置する。ここで、杭15のうち、地盤の内部に位置する部位は地盤によって支持される。杭15のうち、第8部P8のように、地盤の浅層部に位置する部位や、水中に位置する部位は、地盤による支持の効果を得ることができない。このため、第8部P8には高い疲労強度が求められる。第8部P8に高強度鋼材を用いることで、前述の要件に対応可能とすることが好ましい。
【0063】
ジャケット構造体10のうち、高強度鋼材を用いる一部は、例えば、杭15が打設された地盤における、地層と地層との境目を含む領域(第9部P9)である。第9部P9は、例えば、上方と下方の一方が比較的硬い地層に位置し、他方が比較的柔らかい地層に位置する。この場合、例えば、杭15が打設された場所において地震が発生した際、前述の硬い地層と柔らかい地層とが水平方向にずれるように力が作用する。このとき、杭15にはせん断力が付加される。第9部P9に高強度鋼材を用いることで、前述のせん断力に対応可能とすることが好ましい。
【0064】
(洋上風力システム100について)
本実施形態において、洋上風力システム100が備える複数のジャケット構造体10のそれぞれは、第1グループG1又は第2グループG2に属する。なお、本実施形態において、グループとは、共通点を持つジャケット構造体10の集まりをいう。第1グループG1及び第2グループG2は、例えば、洋上風力システム100が設けられるウインドファーム又は海域の推進や地盤条件によって決定される。
洋上風力システム100において、同一のグループに属するジャケット構造体10は、同一の形状である。具体的には、同一のグループに属するジャケット構造体10は、骨組みや各部位の断面の形状が同一である。例えば、第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10のそれぞれの鋼材の一部は、共通し、且つ、高強度鋼材である。
同一のグループに属する複数のジャケット構造体10の降伏応力は、共通である。なお、同一のグループに属するジャケット構造体10の降伏応力は、共通でなくても良い。この時、同一のグループに属する複数のジャケット構造体10のそれぞれのうち、最も降伏応力が求められるものに合わせて、ジャケット構造体10が設計される。
【0065】
(ジャケット構造体10の設計方法)
次に、本実施形態におけるジャケット構造体10の設計方法について説明する。
まず、洋上風力システム100において複数設けられるジャケット構造体10を、第1グループG1と第2グループG2とに分類する。このとき、ウインドファーム又は海域の水深や地盤条件によっては、より多くのグループを設けてもよい。
【0066】
次に、上述のように分類されたジャケット構造体10の構造解析を行う。構造解析においては、例えば、ジャケット構造体10の各部位に発生する応力、杭軸力、変形を解析する。
構造解析が完了したら、ジャケット構造体10のうち、どの部位に高強度鋼材を使用し、度の部位に一般鋼材を使用するかを決定する。
上記工程により、ジャケット構造体10を設計する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係るジャケット構造体10によれば、ジャケット構造体10の一部の鋼材は、SA440又はSM570である。ここで、ジャケット構造体10の設計過程における構造解析の結果、ジャケット構造体10のいずれかの部位の終局強度を向上させる必要があることが判明することがある。この場合に、例えば、ジャケット構造体10を構成する鋼材の板厚を変更する等、ジャケット構造体10の形状を変更する措置を執ると、形状を変更した部位の剛性が変化する。このため、ジャケット構造体10の形状を変更する場合、ジャケット構造体10及び洋上風車200の構造解析を再度行う必要がある。
しかしながら、ジャケット構造体10の構造解析には長期間を要する(例えば、数か月程度)。このため、ジャケット構造体10の形状を変更する措置は容易に採りえない。
【0068】
SA440又はSM570は、ジャケット構造体10の構造に用いられる鋼材のうち、比較的降伏応力が大きい鋼材である。SA440又はSM570をはじめとする降伏応力が大きい鋼材は、例えば、比較的高価である、調達に長期間を要することがある、等の特徴がある。
【0069】
これに対し、ジャケット構造体10の一部の鋼材がSA440又はSM570であることで、例えば、ジャケット構造体10のうち、終局強度を向上させる必要がある部位に限定して、降伏応力が大きいSA440又はSM570を用いることができる。よって、ジャケット構造体10の形状を変更することなく、ジャケット構造体10における任意の部位の終局強度を向上させることができる。よって、ジャケット構造体10の設計を効率的に行うことができる。
【0070】
更に、SA440又はSM570を用いる部位を限定することで、上述した特徴を有する降伏応力が大きい鋼材を効率的に用いることができる。よって、例えば、必要以上にジャケット構造体10の費用が増加することを抑えることができる。例えば、鋼材の調達に要する期間が長期化することを抑えることができる。
【0071】
また、複数のジャケット構造体10のそれぞれは、第1グループG1又は第2グループG2に属する。なお、グループとは、共通点を持つジャケット構造体10の集まりをいう。これにより、例えば、ジャケット構造体10が設けられる場所の水深や地盤の硬さ等の特徴に合わせて、複数のジャケット構造体10をグループごとに分類することができる。
第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10のそれぞれの鋼材の一部は、共通し、且つ、SA440又はSM570である。これにより、降伏応力が大きい鋼材を効率的に用いることができる。複数のジャケット構造体10のそれぞれの構造を共通にすることで、複数のジャケット構造体10の設計を効率的にすることができる。
【0072】
また、ジャケット構造体10のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、トランジションピース11の上側板11aとセンターパイプ11bとの交点を含む。上側板11aとセンターパイプ11bとの交点は応力集中しやすい部位であることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体10の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体10の構造の共通化を容易にすることができる。
【0073】
また、ジャケット構造体10のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、接続部材14の上フランジ14aと複数のレグ12のうちの1つとの交点を含む。上フランジ14aとレグ12との交点は応力集中しやすい部位であることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体10の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体10の構造の共通化を容易にすることができる。
【0074】
また、ジャケット構造体10のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、複数のブレース13を含む。ブレース13は、複数のレグ12を接続することでジャケット構造体10を補強する機能を有することから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体10の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体10の構造の共通化を容易にすることができる。
【0075】
また、ジャケット構造体10のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、第1ブレース13aと第2ブレース13bとの交点を含む。第1ブレース13aと第2ブレース13bとの交点は、レグ12から伝達される荷重により応力集中しやすい部位であることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体10の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体10の構造の共通化を容易にすることができる。
【0076】
また、ジャケット構造体10のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、第1ブレース13a及び第2ブレース13bの部分であって第1ブレース13aと第2ブレース13bとの交点を含まない部分、を含む。第1ブレース13a及び第2ブレース13bの部分であって第1ブレース13aと第2ブレース13bとの交点を含まない部分には、レグ12を介して大きな荷重が付加されることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の長期化を抑えつつ、ジャケット構造体10の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体10の構造の共通化を容易にすることができる。
【0077】
また、ジャケット構造体10のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、複数のブレース13の端部を含む。ブレース13の端部には、例えば、レグ12が接続される。したがって、ブレース13の端部は、レグ12から伝達される荷重により応力集中しやすい部位であることから、高い終局強度が求められる。これらの部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体10の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体10の構造の共通化を容易にすることができる。
【0078】
また、ジャケット構造体10のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、複数のレグ12を含む。レグ12には、トランジションピース11を介して洋上風車200から伝達される大きな荷重が付加されることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体10の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体10の構造の共通化を容易にすることができる。
【0079】
また、ジャケット構造体10のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、複数のレグ12の部分であって複数のレグ12と複数のブレース13との交点を含む部分、を含む。レグ12とブレース13との交点は、レグ12から伝達される荷重により応力集中しやすい部位であることから、高い終局強度が求められる。これらの部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体10の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体10の構造の共通化を容易にすることができる。
【0080】
また、ジャケット構造体10のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、複数のレグ12の部分であって複数のレグ12と複数のブレース13との交点を含まない部分、を含む。レグ12とブレース13との交点を含まない部分には、トランジションピース11を介して洋上風車200から伝達される大きな荷重が付加されることから、高い終局強度が求められる。この部位に降伏応力の大きいSA440又はSM570を効率的に用いることで、費用の増加や材料調達の期間の延長を抑えつつ、ジャケット構造体10の設計を効率的に行うことができる。更に、複数のジャケット構造体10の構造の共通化を容易にすることができる。
【0081】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した第2部P2は、上フランジ14a及びレグ12を含む領域であると説明したが、ウェブ14cを更に含んでもよい。つまり、接続部材14のウェブ14cに高強度鋼材を用いてもよい。
また、第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10のそれぞれの鋼材の一部は、形状が共通していれば、必ずしも材質が共通していなくてもよい。
本実施形態では、ジャケット構造体10を例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、ジャケット構造体10の代わりに、モノパイル構造体を採用しても良い。そのように採用した場合、モノパイル構造体のうち、SA440又はSM570を用いる一部は、例えば、モノパイル構造体の海底面付近の部材になる。
【0082】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 ジャケット構造体
11 トランジションピース
11a 上側板
11b センターパイプ
11c 下側板
11d 補強板
12 レグ
13 ブレース
13a 第1ブレース
13b 第2ブレース
14 接続部材
14a 上フランジ
14b 下フランジ
14c ウェブ
14d スリーブ
15 杭
200 洋上風車
G1 第1グループ
G2 第2グループ
H1 レグ貫通孔
H2 スリーブ貫通孔
P1 第1部
P2 第2部
P3 第3部
P4 第4部
P5 第5部
P6 第6部
P7 第7部
P8 第8部
P9 第9部
【手続補正書】
【提出日】2023-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風車を支持するトランジションピースを備える海洋構造体であって、
前記海洋構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570である、
ことを特徴とする海洋構造体。
【請求項2】
同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車をそれぞれ支持する、複数の海洋構造体、
を備える洋上風力システムであって、
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、前記洋上風車を支持するトランジションピースを含み、
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、第1グループ又は第2グループに属し、
前記第1グループに属する前記複数の海洋構造体のそれぞれの鋼材の一部は、共通し、且つ、SA440又はSM570である、
ことを特徴とする洋上風力システム。
【請求項3】
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、複数の杭と、を含むジャケット構造体であり、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体のそれぞれの前記トランジションピースは、
上側板と、
前記洋上風車のタワーを支持する円筒状部材であるセンターパイプと、
を含み、
前記一部は、前記上側板と前記センターパイプとの交点を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項4】
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、複数の杭と、を含むジャケット構造体であり、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体のそれぞれは、前記複数のレグと前記複数の杭とを接続する接続部材、を含み、
前記接続部材は、上フランジを含み、
前記一部は、前記上フランジと前記複数のレグのうちの1つとの交点を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項5】
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、複数の杭と、を含むジャケット構造体であり、
前記一部は、前記複数のブレースを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項6】
前記複数のブレースは、第1ブレース及び第2ブレースを含み、
前記一部は、前記第1ブレースと前記第2ブレースとの交点を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の洋上風力システム。
【請求項7】
前記複数のブレースは、第1ブレース及び第2ブレースを含み、
前記一部は、前記第1ブレース及び前記第2ブレースの部分であって前記第1ブレースと前記第2ブレースとの交点を含まない部分、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の洋上風力システム。
【請求項8】
前記一部は、前記複数のブレースの端部を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の洋上風力システム。
【請求項9】
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、複数の杭と、を含むジャケット構造体であり、
前記一部は、前記複数のレグを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項10】
前記一部は、前記複数のレグの部分であって前記複数のレグと前記複数のブレースとの交点を含む部分、を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の洋上風力システム。
【請求項11】
前記一部は、前記複数のレグの部分であって前記複数のレグと前記複数のブレースとの交点を含まない部分、を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の洋上風力システム。
【請求項12】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
複数の杭と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570であり、
前記トランジションピースは、
上側板と、
洋上風車のタワーを支持する円筒状部材であるセンターパイプと、
を含み、
前記一部は、前記上側板と前記センターパイプとの交点を含む、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項13】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
複数の杭と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570であり、
前記複数のレグと前記複数の杭とを接続する接続部材、を含み、
前記接続部材は、上フランジを含み、
前記一部は、前記上フランジと前記複数のレグのうちの1つとの交点を含む、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項14】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
複数の杭と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570であり、
前記一部は、前記杭が打設された地盤から、前記杭の上端が突出する部位を含む領域を含む、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項15】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
複数の杭と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570であり、
前記一部は、前記杭が打設された地盤における、地層と地層との境目を含む領域を含む、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車をそれぞれ支持する、複数の海洋構造体、
を備える洋上風力システムであって、
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、前記洋上風車を支持するトランジションピースを含み、
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、第1グループ又は第2グループに属し、
前記第1グループ及び前記第2グループは、前記ウインドファーム又は前記海域の水深や地盤条件によって決定され、
同一のグループに属する前記海洋構造体は、同一の形状であり、
前記第1グループに属する前記複数の海洋構造体のそれぞれの鋼材の一部は、共通し、且つ、SA440又はSM570である、
ことを特徴とする洋上風力システム。
【請求項2】
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、複数の杭と、を含むジャケット構造体であり、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体のそれぞれの前記トランジションピースは、
上側板と、
前記洋上風車のタワーを支持する円筒状部材であるセンターパイプと、
を含み、
前記一部は、前記上側板と前記センターパイプとの交点を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の洋上風力システム。
【請求項3】
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、複数の杭と、を含むジャケット構造体であり、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体のそれぞれは、前記複数のレグと前記複数の杭とを接続する接続部材、を含み、
前記接続部材は、上フランジを含み、
前記一部は、前記上フランジと前記複数のレグのうちの1つとの交点を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の洋上風力システム。
【請求項4】
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、複数の杭と、を含むジャケット構造体であり、
前記一部は、前記複数のブレースを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の洋上風力システム。
【請求項5】
前記複数のブレースは、第1ブレース及び第2ブレースを含み、
前記一部は、前記第1ブレースと前記第2ブレースとの交点を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の洋上風力システム。
【請求項6】
前記複数のブレースは、第1ブレース及び第2ブレースを含み、
前記一部は、前記第1ブレース及び前記第2ブレースの部分であって前記第1ブレースと前記第2ブレースとの交点を含まない部分、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の洋上風力システム。
【請求項7】
前記一部は、前記複数のブレースの端部を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の洋上風力システム。
【請求項8】
前記複数の海洋構造体のそれぞれは、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、複数の杭と、を含むジャケット構造体であり、
前記一部は、前記複数のレグを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の洋上風力システム。
【請求項9】
前記一部は、前記複数のレグの部分であって前記複数のレグと前記複数のブレースとの交点を含む部分、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の洋上風力システム。
【請求項10】
前記一部は、前記複数のレグの部分であって前記複数のレグと前記複数のブレースとの交点を含まない部分、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の洋上風力システム。
【請求項11】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
複数の杭と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570であり、
前記トランジションピースは、
上側板と、
洋上風車のタワーを支持する円筒状部材であるセンターパイプと、
を含み、
前記一部は、前記上側板と前記センターパイプとの交点を含む、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項12】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
複数の杭と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570であり、
前記複数のレグと前記複数の杭とを接続する接続部材、を含み、
前記接続部材は、上フランジを含み、
前記一部は、前記上フランジと前記複数のレグのうちの1つとの交点を含む、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項13】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
複数の杭と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570であり、
前記一部は、前記杭が打設された地盤から、前記杭の上端が突出する部位を含む領域を含む、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項14】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
複数の杭と、
を備えるジャケット構造体であって、
前記ジャケット構造体の一部の鋼材は、SA440又はSM570であり、
前記一部は、前記杭が打設された地盤における、地層と地層との境目を含む領域を含む、
ことを特徴とするジャケット構造体。