IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホワイト・モーターサイクル・コンセプツ・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164816
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】オートバイ
(51)【国際特許分類】
   B62J 17/10 20200101AFI20231107BHJP
【FI】
B62J17/10
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023130664
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2021531186の分割
【原出願日】2019-08-08
(31)【優先権主張番号】1812934.6
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521055541
【氏名又は名称】ホワイト・モーターサイクル・コンセプツ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WHITE MOTORCYCLE CONCEPTS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Paddock Cottage Silver Street, Brixworth, Northamptonshire NN6 9BY, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、ロバート・ジェイムズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オートバイの空力効率を改善する。
【解決手段】少なくとも1つの前輪14、少なくとも1つの後輪16、及び車体を備えるオートバイ10であって、車体は、車体の前部62に配置された開放入口開口部60と車体の後部に配置された開放出口開口部との間に車体の中央部分を通って縦方向に延びる実質的に開放された細長いダクトを備えるオートバイ10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの前輪、少なくとも1つの後輪、及び車体を備えるオートバイであって、前記車体は、前記車体の前部に配置された開放入口開口部と前記車体の後部に配置された開放出口開口部との間に前記車体の中央部分を通って縦方向に延びる実質的に開放された細長いダクトを備える、オートバイ。
【請求項2】
前記開放入口開口部が前記前輪に隣接して位置付けられ、及び/又は前記開放出口開口部が前記後輪に隣接して位置付けられる、請求項1に記載のオートバイ。
【請求項3】
前記細長いダクトが前記入口開口部と出口開口部の間を前記車体の縦方向中心線平面に実質的に平行に延びる、請求項1又は2に記載のオートバイ。
【請求項4】
前記縦方向中心線平面が前記細長いダクトの少なくとも一部を通って延びる、請求項3に記載のオートバイ。
【請求項5】
前記車体がライダー用のシートと、前記前輪及び後輪の間に位置付けられた動力源とをさらに備え、
前記細長いダクトが、前記シートと前記動力源の間を前記車体を貫いて延びる、請求項1~4のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項6】
前記入口開口部、出口開口部、及び細長いダクトが、前記細長いダクトを貫いて前記入口開口部の少なくとも一部と前記出口開口部の少なくとも一部との間に見通し線を定めるように位置付けられ、配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項7】
前記入口開口部、出口開口部、及び細長いダクトが、前記車体の前記縦方向中心線平面に実質的に平行な方向に前記細長いダクトを貫いて前記入口開口部の少なくとも一部と前記出口開口部の少なくとも一部との間に見通し線を定めるように位置付けられ、配置される、請求項6に記載のオートバイ。
【請求項8】
前記細長いダクトが、前記入口開口部に隣接する入口部分、中央部分、及び前記出口開口部に隣接する出口部分を備え、
前記ダクトの前記中央部分は前記入口開口部及び/又は前記出口開口部よりも断面積が小さい、請求項1~7のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項9】
前記ダクトの前記入口部分が、前記ダクトの前記入口部分の断面積が前記入口開口部から前記中央部分まで減少するように、前記入口開口部から前記中央部分に向かって内向きに先細になっており、及び/又は、
前記ダクトの前記出口部分が、前記ダクトの前記出口部分の断面積が前記中央部分から前記出口開口部まで増加するように、前記中央部分から前記出口に向かって外向きに末広がりになっている、請求項8に記載のオートバイ。
【請求項10】
前記細長いダクトが中心縦方向軸を有し、前記ダクトの前記入口部分及び/又は出口部分の1つ又は複数の内壁が、前記中心縦方向軸に対して1から10度の範囲で角度をつけて配置される、請求項8又は9に記載のオートバイ。
【請求項11】
前記細長いダクトがベンチュリプロファイルを有する、請求項8、9又は10のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項12】
前記入口開口部及び/又は前記出口開口部が、前記オートバイの合計正面断面積の10~40%の間の正面断面積を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項13】
前記入口開口部及び/又は前記出口開口部が、前記オートバイ本体の全幅の50%を超える幅を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項14】
中央部分が、10,000mmから90,000mmの範囲の断面積を有する、請求項8~11のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項15】
前記入口開口部、出口開口部、及び/又は細長いダクトが、実質的に長方形の断面を有し、及び/又は、
前記細長いダクトが、実質的に平面の表面を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項16】
前記動力源が内燃機関及び/又は電気モータを備える、請求項5に記載のオートバイ。
【請求項17】
前記動力源が、少なくとも1つの細長い熱交換器要素を含み、
前記細長い熱交換器要素は、縦方向軸を有し、上流側から下流側へ前記熱交換器要素の前記縦方向軸に実質的に垂直な方向に前記熱交換器要素を通過する空気流に応答して冷却を提供するように動作可能であり、
1つの又は各熱交換器要素は前記車両本体の縦方向中心線に実質的に平行に位置付けられる、請求項16に記載のオートバイ。
【請求項18】
1つの又は各熱交換器要素が、1つの又は各熱交換器要素の前記下流側が前記細長いダクトの内部と流体連通するように配置される、請求項17に記載のオートバイ。
【請求項19】
1つの又は各熱交換器要素が、前記細長いダクトとは別の熱交換器ダクトを有し、
前記熱交換器ダクトは、熱交換器取り込み口からそれぞれの熱交換器要素の前記上流側まで延び、それにより、前記熱交換器取り込み口から前記熱交換器要素を通って前記細長いダクトの前記内部に至る流路が定められる、請求項18に記載のオートバイ。
【請求項20】
複数の熱交換器要素が設けられる、請求項17~19のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項21】
前記動力源が過給機を有する内燃機関を備え、
少なくとも1つの熱交換器要素が前記過給機用のインタークーラを備える、請求項17~20のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項22】
前記細長いダクトが、デフレクタ要素を備え、
前記デフレクタ要素は、
デフレクタ要素が前記入口開口部と出口開口部の間の前記細長いダクトの前記内部を通る実質的に制限されない空気流を可能にする第1の位置と、
前記細長いダクトの前記内部を通る空気流が実質的に制限される第2の位置と
の間で移動可能である、請求項1~21のいずれか一項に記載のオートバイ。
【請求項23】
前記デフレクタ要素が、
前記細長いダクトの前記内部に位置付けられ、及び/又は
前記細長いダクトの内壁の一部を形成する、請求項22に記載のオートバイ。
【請求項24】
前記第1の位置では、前記デフレクタ要素が前記細長いダクトを通る前記空気流に実質的に平行に配置され、
前記第2の位置では、前記デフレクタ要素が、前記細長いダクトが実質的に閉じられるように前記空気流に対して角度を付けて配置される、請求項23に記載のオートバイ。
【請求項25】
前記デフレクタ要素が、前記細長いダクト内に形成され且つ前記出口開口部とは別の偏向開口部を介して前記空気流を前記細長いダクトから外へ導くように前記第2の位置に配置される、請求項24に記載のオートバイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたオートバイに関する。
【背景技術】
【0002】
今日まで、効率と最高速度の点で有利性を求めて、原動機付き車両の空力効率を改善するために多くの試みがなされてきた。しかしながら、自動車などの四輪車の空力抵抗を低減することにおいて顕著な改善がなされてきた一方で、オートバイの空力効率を改善する試みは、今日まであまり成功していない。
【0003】
オートバイの空力効率を改善するための初期の試みは、オートバイの前面に部分的に囲まれた空力フェアリングを組み込むことだった。このような設計は、戦間期から1950年代後半までの競技用オートバイで一般的であり、NSU SportmaxやMoto Guzzi 500 V8などのモデルが含まれた。
【0004】
流線形のノーズフェアリングは、競技用オートバイの空力抵抗を低減することに成功し、その結果、そのような設計は、従来の設計と比較して、所与のエンジン出力に対して、対応した高い最高速度を示した。しかしながら、そのような設計は直線では効率的であったが、コーナリング時に重大で危険な欠点を示した。本質的に、空力フェアリングはオートバイの圧力中心を重心よりかなり前に配置した。これにより、オートバイに強いヨー力が発生し、コーナリング中又は横風条件において横方向の不安定性が大幅に増加した。これは多くの事故を引き起こし、そのような設計は1958年に競技モータースポーツにおいて禁止された。
【0005】
近年、オートバイの空力効率の向上はささやかなものであり、専用の空力設計自体ではなく、オートバイの構成部品(例えば、トランスミッション、エンジン、ラジエータ、熱交換器等)のより効果的なパッケージング又はサイズの低減の結果として主に生じる。
【0006】
さらに、モータースポーツにおける競争優位性のために空力設計を用いる試みは、ダウンフォースの改善又はライダー周りの空気のより効果的な誘導に主に焦点を当てている。それは例えば2016年と2017年のMotoGP設計に示されるようなものであり、そこでは小型前部翼状部品、ウィングレット、及び渦流発生器が、追加のダウンフォースを発生させること、及びライダーの下流での空気流の離脱を防止することを試みた。
【0007】
しかしながら、一般的に、ダウンフォースが発生すると、オートバイの抗力が増す。翼状部品やスポイラなどの空力表面を使用する必要があるからである。限られた床下のサイズ及びコーナーにおいて、傾斜する(リーンする)必要性は、一般に、オートバイにおいてディフューザなどの低抗力ダウンフォース発生構成要素の使用を除外する。
【0008】
さらに、既知の設計におけるダウンフォースの発生は、コーナリングで問題となる可能性がある。これは、発生した力が、シャーシの垂直軸を介してタイヤの接地面の中心を介して作用するためである。したがって、オートバイがコーナーで傾いている場合、これにより、コーナーで外側に作用するダウンフォースの成分が作り出され、利用可能な横方向のグリップを低減する。
【0009】
今日まで、オートバイの空力効率を改善する試みは限られた成功しか収めていない。実施形態において、これらの問題に取り組むことが、本発明の技術的目的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つの前輪、少なくとも1つの後輪、及び車体を備えるオートバイが提供され、車体は、車体の前部に配置された開放入口開口部と車体の後部に配置された開放出口開口部との間に車体の中央部分を通って縦方向に延びる実質的に開放された細長いダクトを備える。
【0011】
一実施形態では、開放入口開口部は前輪に隣接して位置付けられ、及び/又は開放出口開口部は後輪に隣接して位置付けられる。一実施形態では、縦方向中心線平面は細長いダクトの少なくとも一部を通って延びる。
【0012】
一実施形態では、入口開口部、出口開口部、及び細長いダクトは、細長いダクトを貫いて入口開口部の少なくとも一部と出口開口部の少なくとも一部との間に見通し線を定めるように位置付けられ、配置される。
【0013】
一実施形態では、入口開口部、出口開口部、及び細長いダクトは、車体の縦方向中心線平面に実質的に平行な方向に細長いダクトを貫いて入口開口部の少なくとも一部と出口開口部の少なくとも一部との間に見通し線を定めるように位置付けられ、配置される。
【0014】
一実施形態では、細長いダクトは、入口開口部に隣接する入口部分、中央部分、及び出口開口部に隣接する出口部分を備え、ダクトの中央部分は入口開口部及び/又は出口開口部よりも断面積が小さい。
【0015】
一実施形態では、ダクトの入口部分は、断面積が入口開口部から中央部分まで減少するように、入口開口部から中央部分に向かって内向きに先細になっている。一実施形態では、ダクトの出口部分は、断面積が中央部分から出口開口部まで増加するように、中央部分から出口に向かって外向きに末広がりになっている。
【0016】
一実施形態では、ダクトは中心縦方向軸を有し、ダクトの入口部分及び/又は出口部分の1つ又は複数の内壁は、1から10度の範囲で中心縦方向軸に対して斜めに配置される。一実施形態では、ダクトはベンチュリプロファイルを有する。一実施形態では、入口開口部及び/又は出口開口部は、オートバイの合計正面断面積の10~40%の間の正面断面積を有する。一実施形態では、入口開口部及び/又は出口開口部は、オートバイの合計正面断面積の15~35%の間の正面断面積を有する。
【0017】
一実施形態では、入口開口部及び/又は出口開口部は、オートバイ本体の全幅の20%を超える幅を有する。一実施形態では、入口開口部及び/又は出口開口部は、オートバイ本体の全幅の40%を超える幅を有する。一実施形態では、入口開口部及び/又は出口開口部は、オートバイ本体の全幅の50%を超える幅を有する。
【0018】
一実施形態では、中央部分は、10,000mm2から90,000mm2の範囲の断面積を有する。
【0019】
一実施形態では、入口開口部、出口開口部、及び/又は細長いダクトは、実質的に長方形の断面を有する。一実施形態では、細長いダクトは、実質的に平面の表面を備える。一実施形態では、車体は、ライダー用のシートと、前輪及び後輪の間に位置付けられた動力源とをさらに備え、ダクトは、シート及び動力源の間を車体を貫いて延びる。
【0020】
一実施形態では、動力源は、内燃機関及び/又は電気モータを備える。一実施形態では、動力源は、内燃機関及び少なくとも1つの細長いラジエータ要素を備え、細長いラジエータ要素は縦方向軸を有し、上流側から下流側へラジエータ要素の縦方向軸に実質的に垂直な方向にラジエータ要素を通過する空気流に応答して冷却を提供するように動作可能であり、1つの又は各細長いラジエータ要素はオートバイ本体の縦方向中心線に実質的に平行に位置付けられる。一実施形態では、1つの又は各ラジエータ要素は、1つの又は各ラジエータ要素の下流側がダクトの内部と流体連通するように配置される。
【0021】
一実施形態では、1つの又は各ラジエータ要素は、細長いダクトとは別のラジエータダクトを有し、ラジエータダクトは、ラジエータ取り込み口からそれぞれのラジエータ要素の上流側まで延び、その結果、ラジエータ取り込み口からラジエータ要素を通って細長いダクトの内部に至る流路が定められる。一実施形態では、複数のラジエータ要素が提供される。一実施形態では、内燃機関は過給機を備え、少なくとも1つのラジエータ要素はインタークーラを備える。
【0022】
一実施形態では、細長いダクトは、入口開口部と出口開口部の間の細長いダクトの内部を通る実質的に制限されない空気流をデフレクタ要素が可能にする第1の位置と、細長いダクトの内部を通る空気流が実質的に制限される第2の位置との間で移動可能なデフレクタ要素をさらに備える。一実施形態では、デフレクタ要素は、第1の位置と第2の位置の間で回動可能である。一実施形態では、デフレクタ要素は細長いダクトの内部に位置付けられる。
【0023】
一実施形態では、デフレクタ要素は、実質的に平面の構成を有し、第1の位置では、細長いダクトを通る空気流に実質的に平行に配置され、第2の位置では、細長いダクトが実質的に閉じられるように空気流に対して角度を付けて配置される。一実施形態では、デフレクタ要素は、出口開口部とは別の偏向開口部を介して空気流を細長いダクトから外へ導くように第2の位置に配置される。
【0024】
一実施形態では、少なくとも1つの前輪、少なくとも後輪及び車体を備えるオートバイが提供され、車体は下部構造部分及び上部構造部分を備え、下部構造部分は動力ユニットを備え、前輪及び後輪に接続され、上部は下部構造部分から取り外し可能である。一実施形態では、上部構造部分はモノコックを備える。一実施形態では、下部構造部分は、動力ユニットを取り囲むフレーム部分を備える。
【0025】
一実施形態では、少なくとも1つの前輪、少なくとも後輪及び車体を備えるオートバイが提供され、車体は動力源と車体の内部を通って延びる細長いダクトとを備える。動力源は、少なくとも1つの細長い熱交換器要素を備え、少なくとも1つの細長い熱交換器要素は、縦方向軸を有し、上流側から下流側に熱交換器要素の縦軸に実質的に垂直な方向に熱交換器要素を通過する空気流に応答して冷却を提供するように動作可能であり、1つの又は各熱交換器要素は、1つの又は各熱交換器要素の下流側がダクトの内側と流体連通するように位置付けられ、配置される。
【0026】
一実施形態では、1つの又は各熱交換器要素は、細長いダクトとは別の熱交換器ダクトを有し、熱交換器ダクトは、熱交換器取り込み口からそれぞれの熱交換器要素の上流側まで延び、その結果、熱交換器取り込み口から熱交換器要素を通って細長いダクトの内側に至る流路が定められる。
【0027】
次に本発明の実施形態を添付の図面を参照して詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態によるオートバイの等角図である。
図1a】オートバイの前部を示す図1の拡大版である。
図2図1のオートバイの背面等角図である。
図3図1のオートバイの正面図である。
図4図1のオートバイの背面図である。
図5図1のオートバイの側面図である。
図6図1のオートバイの下面図である。
図7図1のオートバイの平面図である。
図8図1のオートバイの残りの部分と分離したベース構造の図である。
図9a図1と同様の図であるが下部カバーが取り外されている。
図9b図8と同様の別の図であるがカバーが取り外されている。
図9c】下部カバーを取り外した側面図である。
図10図1のオートバイの残りの部分とは分離して示されている前輪及び操舵構成の図である。
図11】一実施形態による、オートバイの正面面積の減少を示す簡略化された側面断面図である。
図12】減少された正面面積を示す一実施形態によるオートバイの簡略化された正面図及び背面図を示す。
図13図5の平面A-Aに沿って取られた正面断面図である。
図14図7の平面B-Bに沿って取られた側面断面図である。
図15図7の平面B-Bに沿って取られた別の側面断面図である。
図16図5の平面C-Cに沿って取られた平面断面図である。
図17】使用中の位置にあるデフレクタを示す、オートバイの後部の側面断面図を示す。
図18】使用中の位置にあるデフレクタを示す、オートバイの後部の側面断面図を示す。
図19】本発明の別の実施形態によるオートバイの等角図である。
図20図19のオートバイのさらなる等角図である。
図21図19のオートバイの背面等角図である。
図22図19のオートバイの側面図である。
図23図22の平面D-Dに沿って取られた断面図である。
図24図19のオートバイの平面図である。
図25図24の平面F-Fに沿って取られた断面図である。
図26図22の平面E-Eに沿って取られた正面断面図である。
図27図25と同様の断面図であるが使用中の空気流経路を示す。
図28】第1の構造にある空力翼状部品を有するさらなる実施形態によるオートバイを示す図25と同様の断面図である。
図29】第2の構造にある空力翼状部品を示す図26と同様の断面図である。
図30】偏向された構造のフラップを有するさらなる実施形態によるオートバイを示す、図25、26、及び27と同様の断面図である。
図31】様々な回転位置にある回転可能な翼状部品を示す、さらなる実施形態によるオートバイの正面図である。
図32】移動中のオートバイの概略図であり、図31の翼状部品を有するオートバイに作用する力を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施形態では、オートバイ本体及びオートバイは、従来の設計のオートバイと比較して、空力抗力を大幅に改善するように配置されている。低減した空力抗力は、所与のエンジンサイズ及び出力に対してより高い最高速度を提供するために利用することができ、又はより高い効率を提供するために使用することができる。
【0030】
実施形態では、この改善は、オートバイの正面面積の減少によって達成される。これは、オートバイの中心を通る実質的に制限されない通路の提供の結果として生じる。しかしながら、記載されるように、追加の空気圧制御及び空気流制御要素が、抗力をさらに低減し、圧力の中心を変更し、オートバイの先端部に蓄積された圧力を取り除き、必要に応じてダウンフォースを発生させ、制動、加速、及びコーナリングのパフォーマンスを改善することができる。
【0031】
本記載及び特許請求の範囲を通じて、オートバイという用語は、特定の車両構成に関して非限定的であることを意図している。本記載の文脈において、オートバイという用語は、実質的に開放的であり、オートバイの本体にまたがる、又はシートに座るライダーによって運転され、一般に2つの車輪を有し得るが、代わりに3つの車輪(2つの前輪と1つの後輪、又は1つの前輪と2つの後輪)又は4つの車輪(2つの前輪と2つの後輪)を有し得る自動車を指すことを意図する。3つ以上の車輪が提供される場合、対になった車輪は、共通の車軸によって構造的に接続され得るか、又は完全に独立し得る。特定の構成では、車輪は使用中にオートバイの本体と一緒に傾く必要があり得る。
【0032】
図1から7は、本発明の実施形態によるオートバイ10の様々な図を示している。
【0033】
オートバイ10は、本体12、前輪14、後輪16を有する。本体12は、様々な方法で形成することができる。例えば、本体12は、空気力学的/美的目的のためのフェアリングパネルを備えたフレームを含み得るか、又は本体12は、モノコック構造であり得るか、又はこの実施形態において記載されるように、一緒に接続されたこれらの構成要素の組み合わせを含み得る。この実施形態では、本体12は、2つの主要な要素-ベースフレーム構造18及び上部本体セクション20を含む。しかしながら、これらの要素は、明確にするために別々に記載されているが、別々の要素である必要はなく、一体のシャーシとして形成され得る、又は、一緒に接続された複数の部品を含み得る。
【0034】
本体は縦方向の中心線平面X-Xを有する(図3、4、6、及び7に示される)。本体12は、ライダー用のシート22及びウィンドシールド24をさらに備える。シート22の前方に位置するのは、本体12の隆起部分26であり、これは、熱交換器(後述)と、任意選択的に、バッテリ(電力又はハイブリッド動力の場合)及び/又は燃料タンク(ICE動力の場合)などのエネルギー供給ユニット28とを含むように働くことができる。
【0035】
本体構造
オートバイ10の本体構造は、この実施形態では、ベースフレーム構造18及び上部本体セクション20を備える。これらの主要要素は、交換、修理、又は異なるセクションの入れ替えのために互いに分離可能である。これは、フレーム構造と非構造的フェアリングを備えた従来のオートバイデザインでは不可能である。
【0036】
ベースフレーム構造18は、オートバイ10に必要な機械的構成要素(例えば、エンジン、サスペンション等)を備える。上部本体セクション20は、少なくとも部分的に構造的であり、例えば炭素繊維からモノコックとして形成することができる。或いは、上部本体セクション20の一部のみが、後述するように構造的であり得る。
【0037】
次に、ベースフレーム構造18について記載する。ベースフレーム構造18は、構造フレーム30、動力ユニット32、及び下部フェアリング34を備える。構造フレーム30は構造的構成要素であり、この実施形態では、動力ユニット32もまた、一体化された構造的構成要素である。この実施形態では、下部フェアリング34は非構造的構成要素である。しかしながら、これは制限することを意図していない。
【0038】
動力ユニット32(図8から10により詳細に示されている)は、前輪14と後輪16の間に配置され、一対のリヤスイングアーム36(図9aに最もよく示される)を介して後輪16を駆動するように配置されている。動力ユニット32は、任意の適切な形態を取ることができ、ピストンエンジン又はロータリ(ワンケル)エンジンなどの内燃機関(ICE)、電気モータ又は組み合わせ動力源(例えば、電気モータによって支援されるICEを備えたハイブリッドドライブトレイン)であり得る。
【0039】
ICEを使用する場合は、できるだけ小型のエンジンを使用することが望ましい。過給エンジンを使用することができ、過給機は、後述するラジエータ要素の1つを形成し得るインタークーラによって冷却することができる。
【0040】
或いは、90度回転される(すなわち、縦方向に取り付けられる)エンジンを使用して、前面の面積を低減することができる。さらなる変形例として、より大型のエンジンが、ベンチュリ空力ダクト(後述)の内部に突出するように配置され得る空冷シリンダブロックとともに使用され得る。さらなる変形例は当業者には明らかであろう。
【0041】
電気動力源を使用する場合は、後輪を駆動する中央に取り付けられたモータが好ましい。しかしながら、特定の状況では、インホイールモータを後輪及び/又は前輪ハブ内で使用することができる。
【0042】
ベースフレーム構造18のコア部分は、図8にオートバイ10とは別に示されている。示されているように、ベースフレーム構造18は、動力ユニット32を支持するすべての主要構成要素、例えば、ダクト、燃料管及び接続部、並びに電子機器などの動力付属品を備える。ベースフレーム構造18のコア部分には、オートバイ10の一体構造要素を形成する動力ユニット32がある。この実施形態では、動力ユニット32は過給ICEを備え、その後部から延びる排気管32aを有する。
【0043】
構造フレーム30は、動力ユニット32に固定され、動力ユニット32の両側に形成された一対の構造部材を備える。構造部材は、上部本体セクション20を取り付けることができる4つの取り付け点40a、40b、40c、40dを定める。リヤスイングアーム36もまた、構造フレーム30に接続される。
【0044】
図9a、9b、9c及び10は、ベースフレーム構造18が上部本体セクション20に接続され、下部フェアリング34が取り外されたオートバイ10を示している。示されるように、本体部分20は、4つの取り付け点40a、40b、40c、40dによってベースフレーム構造18に接続されている。4つの取り付け点40a、40b、40c、40dはすべて、共通の分離平面S-S(図13に示される)にあり、したがって、上部本体部分20の実質的に平面の下面に接合するように配置される。これは、縦方向中心線軸X-Xに垂直である実質的に水平の平面S-Sに沿った上部本体部分と下部本体部分との間の分離を定める。
【0045】
しかしながら、これは本発明にとって重要ではなく、他の固定構成及び構造を適切に使用することができ、例えば、追加の又はより少ない取り付け点を設けることができ、取り付け点は、オートバイの縦方向中心線X-Xに垂直な共通の水平平面S-S内になくてもよい(例えば、後部取り付け点は前部取り付け点よりも高く、中心線平面X-Xに対して鋭角又は鈍角である平面内にあってもよい)。当業者はこの変形例に気付くだろう。
【0046】
次に前輪支持及び操舵機構について記載する。図9から10に示されるように、前輪14は、前輪14の片側に配置された一対の前部ウィッシュボーン42によってベースフレーム構造18に接続されている。
【0047】
操舵機構は、図10により詳細に示されている。図10では、前輪支持及び操舵機構は、オートバイ10の残りの部分とは別に示されている。
【0048】
記載されるように、前輪14は、対のスイングアームとして機能する垂直スタック構成に配置された一対の実質的に水平なウィッシュボーン42によってベースフレーム構造18に取り付けられる。前部ウィッシュボーン42のそれぞれは、一端でベースフレーム構造18に接続し、他端で中央前輪ハブ44に接続する。前部ウィッシュボーン42は、回転キングピン接続によって前輪ハブ44に接続され、前輪を車輪の回転軸に垂直な平面の周りで回転させることを可能し、使用中にオートバイ10を操舵することを可能にする。
【0049】
サスペンションダンパ46は、構造フレーム30と前部ウィッシュボーン42の上部対との間に延びるプルロッドリンケージ48を介して接続される。このタイプのフォークレス構成の使用は、(上記のように)空力特性を改善し、さらに、スイングアーム構成は、フロントフォークを装備した設計に影響を及ぼし得る急降下、スクワット、及び静摩擦の問題に悩まされることはない。さらに、本体構造を軽量化し、操舵を制動力及び加速力から分離することができる。
【0050】
操舵は、プッシュロッド操舵構成50によって行われる。プッシュプルロッド52が、ホイールハブ44に回動可能に接続された接続アーム56への直角ジョイントを介してハンドルバー54に接続される。しかしながら、他の構成、例えばハブセンター構成を本発明で使用することができる。状況によっては、従来のフォークを使用することもできるが、空力特性が劣るため、これらはあまり好ましくない。しかしながら、フロントフォークの間隔が十分且つ必然的に広い場合(例えば、2つの間隔のある前輪を備えたオートバイの構成において)、フロントフォークが効果的である可能性がある。
【0051】
図8から10に示すように、本実施形態の構成は、主パワートレイン、操舵及びサスペンション構成要素と上部本体セクション20との間の分離を可能にする。換言すると、ベースフレーム構造18は、燃料源、熱交換器、及びヘッドストック/ハンドルバー54を除いて、オートバイの操作に必要なすべての要素を備える。
【0052】
これにより、オートバイ10のモジュール構造が可能になる。下部ベースフレーム構造18及び本体部分20の構造的独立性を考慮すると、本体部分20は、異なる構造及び形状と容易に入れ替えることができ、又は損傷の場合に容易に交換することができる。オートバイ10の前部から後部に延びるオートバイ10の上部セクション20を設けることにより、簡単な構築、修理、改造が可能になる。
【0053】
さらに、この構成は、ドライブトレイン構成要素を組み込むという制約なしに、最適な空気力学的要件又はパッケージング要件のために本体部分20を成形及び寸法決定することを可能にする。
【0054】
次に、図1から10を参照して、上部本体セクション20の構造について記載する。上部本体セクション20は、オートバイ10の外面の一部を形成し、少なくとも部分的に構造的である。上記のように、上部本体セクション20全体は、構造的荷重が上部本体セクション20の外面を通過する単一のモノコックとして形成され得る。
【0055】
しかしながら、これは当てはまらなくてもよい。上部本体セクション20は、オートバイ10の上部セクション全体を構成するが、特定の要素のみが構造的である必要がある。例えば、上部本体セクション20は、最小限の必要な構造的構成要素を含む中央構造ユニットを備え得る。これらの構成要素の非限定的且つ非網羅的なリストは、次のとおりであり得る:ヘッドストック、シート22、及びベースフレームセクション18の取り付け点40a、40b、40c、40dに接続されるように構成された取り付けセクション。上部本体部分20の中心構造的要素はこれらの要素を含み得る一方、上部本体セクション20の他の領域(例えば、前部及び後部)は非構造的フェアリングタイプの構造であり得る。これにより、損傷が発生した場合の容易な交換が可能になり得る。
【0056】
このようなモジュール構造は、従来のオートバイでは不可能であり、多くの利点をもたらす。
【0057】
ベンチュリダクト構成
オートバイ本体12の上部本体セクション20は、それを貫くベンチュリダクト58を画定する。これは図11及び12に概略的に、図13から16に詳細に示されている。
【0058】
ベンチュリダクト58は、オートバイ10の前部からオートバイ10の後部まで連続的に延びる。一般的なレベルでは、ベンチュリダクト58は、オートバイ10の中心を直接貫いて本体12の前部から本体12の後部まで延びる実質的に制限されない開放された通路又は細長いダクトを備える。ベンチュリダクト58は、本体12の前部62にある取り込み口60と、本体12の後部66にある出口64とを備える。
【0059】
ベンチュリダクト58の目的は、オートバイ10の正面面積を減少させることである。これは、空気などの流体中の移動物体に対する抗力Fが、以下の式1)に示されているように、物体の正面面積及び物体の抗力係数Cに比例するためである:
【数1】
式中、Fは抗力であり、Cは抗力係数であり、ρは空気の密度であり、vは速度であり、Aは物体の正面面積である。
【0060】
一般に、車両の正面面積Aは、運動方向に垂直な平面上の車両の正投影である。定常状態の直線状態にあるオートバイの場合、地面Rに沿った運動方向Dは、一般に、オートバイ10の縦方向中心線平面X-Xと一致する。そのため、オートバイ10の正面面積Aは中心線平面X-Xに垂直な平面で測定された正面面積であると考慮することができる。縦方向中心線平面X-Xを図3、4、6、及び7に示す。
【0061】
オートバイ10の中心を貫く実質的に開放されたチャネルを提供することにより、オートバイ10の正面面積を大幅に減少することが可能である。図11は、オートバイ10の簡略化された側面断面図を示す(より詳細な側面断面図は後の図に示されている)。図12は、図3及び4と同様であるがベンチュリダクト58の開放領域を強調している、簡略化された正面図及び背面図を示している。
【0062】
図11に示されるように、ベンチュリダクト58は、縦方向中心線平面X-Xに実質的に平行である軸V-Vに沿って延びる。通常の直線運動状態では、軸V-Vはまた、オートバイ10の運動方向Dに実質的に平行であり、したがって、対向する空気流の方向に実質的に平行である(横風がないと仮定する)。
【0063】
図11の影付きの領域は、中心線平面X-Xに沿って及び軸V-Vに平行に見たときのベンチュリダクト58の実質的に遮るもののない開放された領域VAを概略的に示している。遮るもののない領域VAは、ベンチュリダクト58の最も狭いセクションによって区切られ、これは、後でより詳細に記載されるように、中心にある。換言すると、領域VAは、軸V-Vに平行なこの領域に引かれた線がオートバイ10のどの部分にも接触しないような縦方向断面プロファイルを有する細長いチャネル又はダクトを備える。
【0064】
影付きの領域VAは図12にも示されている。示されるように、領域VAは、ベンチュリダクト58の中央領域の断面積によって確定される実質的に長方形の断面VAcを有する。
【0065】
断面積VAcは、部分的に、縦方向中心線平面X-Xに対する取り込み口60、ベンチュリダクト58、及び出口64の間の位置関係によって確定される。換言すると、正面面積Aを最小化する(同時に断面積VAcを最大化する)ために、取り込み口60及び出口64は、縦方向中心線平面X-Xの方向において整列される必要があり、ベンチュリダクト58の軸V-Vは、縦方向中心線平面X-Xに平行である必要がある。
【0066】
換言すると、オートバイ10の正面面積Aを減少するために、取り込み口60と出口64の間にベンチュリダクト58を貫いて、好ましくは縦方向中心線平面X-Xの方向に見通し線が存在することが必要である。関連する方向(この場合、平面X-X)で見たとき、関連する平面における取り込み口60と出口64の間の重なりが大きいほど、遮るもののない領域VAの断面積VAcの値が大きくなり、したがって正面面積Aの減少が大きくなる。
【0067】
通常の使用では、前輪及び後輪14、16が領域VAにわずかに侵入することに留意されたい。これは、実施形態では、ベンチュリダクト58の全体的なサイズと面積、地面からのベンチュリダクト58の高さ、及びオートバイ10の高さの間のトレードオフとして上手くまとめられる。
【0068】
しかしながら、勿論のこと、前輪及び後輪14、16が領域VAに侵入する量は、使用中、例えば、制動、加速、コーナリング、又はサスペンションに可変負荷がかかるその他の状況の間、前輪及び後輪への負荷及びシャーシに対する車輪14、16の動きに依存して、使用中に変化する。正面面積を考慮するとき、運動方向における正面面積の正投影は、当然のことながら、前輪及び後輪14、16の侵入が、ベンチュリダクト58の断面積VAcを減少し、正面面積Aを増大し得ることを意味するだろう。しかしながら、これが合計抗力に及ぼす最終的な影響は、オートバイ10の特定の領域における車輪の限定的な投影及びベンチュリダクト58を通る空気流の影響のために、より複雑である。
【0069】
特に図12に示されるように、正投影断面積VAcを有する実質的に開放されたベンチュリダクト58は、オートバイ10の正面面積Aをかなり減少させる。実施形態では、正面面積Aの減少は、ベンチュリダクト58がない、又はベンチュリダクト58が閉じられている同様のオートバイと比較した場合、10~40%の範囲、一般に15~30%の範囲であり得る。
【0070】
換言すると、A/(VAc+A)の比は、典型的には、0.7~0.85の範囲にあり得る。式1)に記載されているように、これは、形状のさらなる空気力学的利点のいずれかが考慮される前に、オートバイ10にかかる抗力を対応する量だけ減少させる。
【0071】
上に記載したように、オートバイ10の正面面積をベンチュリダクト58の断面(例えば、ベンチュリの最も狭い点における断面)の寸法に等しい量だけ減少させることによって、抗力Fはそれに対応して減少する。
【0072】
さらに、圧力の蓄積がより低い、空気力学的により効率的な形状を提供することも、抗力係数Cに影響を及ぼし得る。例えば、ベンチュリダクト58が存在するオートバイ10の異なる形態は、形状抗力又は寄生抗力の低減をもたらし、その設計のCを低減し得る。例えば、ベンチュリダクト58の存在は、オートバイ10の中央正面形状を、比較的幅広い鈍端構造から、ベンチュリダクト58によって分離された2つの狭くて高アスペクト比の側壁に変える。これらの側壁は、従来のオートバイに見られるような幅広い鈍端の先端形状よりも好ましい空気力学的特性を有し得る。
【0073】
オートバイ10の合計正面面積を減少させることに加えて、ベンチュリダクト58は、空気力学的利益を提供するために利用することができる。例えば、高速のオートバイの重要な圧力蓄積領域は、前輪の上のオートバイの先端領域である。ベンチュリダクト58を使用することにより、空気はベンチュリダクト58の内部を通って加速され、取り込み口60内により低い圧力の領域を作り出す。
【0074】
実際、当業者は、ベンチュリダクト58の使用の空気力学的利点が、前面面積Aの大幅な減少がなくても有利であり得ることを理解するであろう。
【0075】
これは、例えば、上記のような単一の中央取り込み口60の代わりに、横方向又は垂直方向にオフセットされた一対の取り込み口が提供される場合に当てはまる可能性がある。これは、中央取り込み口を提供できない場合、例えば、法的要件によりヘッドライト又はその他のアイテムを中央に配置する必要がある場合に必要になる可能性がある。
【0076】
追加的又は代替的に、例えば、中央テール領域にアイテム(例えば、テールライト又は排気構成要素)を提供する必要がある場合、中央出口の代わりに、横方向又は垂直方向にオフセットされた一対の出口を提供することができる。さらなる代替案として、単一の取り込み口及び/又は出口を提供できるが、取り込み口及び出口は、互いに対して垂直方向及び/又は横方向にオフセットされる。その場合、ベンチュリダクト58は、1つ又は複数の湾曲したセクションを有し得る。
【0077】
さらなる代替案として、取り込み口と出口の間にベンチュリダクト58を貫いて見通し線が存在し得るが、ベンチュリダクト58は、縦方向中心線平面X-Xに平行であるが路面又は進行方向に対して斜めである軸V-Vを有し得る。これは、例えば、地面に対してオートバイ10に特定の傾斜がある場合に生じる可能性がある。
【0078】
これらの代替案は、上記の例とは対照的に、合計正面面積Aを最小化しないだろう。関連する平面で見たときに取り込み口領域と出口領域の間の重なりがより少ない(又はまったくない)であろうからである。しかしながら、そのような重なりが不可能である状況(例えば、パッケージングの制約のために)において、ベンチュリダクト58の使用には依然として重要な利点があり得る。
【0079】
ベンチュリダクト58は、オートバイの設計に対する競合する制約によって可能にされ、実用的にされる。第1に、ライダーがコーナーにもたれかかることができるように、地面から十分な高さでライダー用のシートを設ける必要がある。ライダーが低すぎる高さで座る場合、コーナーでオートバイを傾けるのに十分なモーメントアームがない。しかしながら、これは、抗力を減らすためにオートバイの正面面積を減らしたいという一般的な要望に反する。
【0080】
前輪と後輪の間に縦方向に延在し、ライダーのシート22と動力ユニット32の間に垂直に延在するオートバイシャーシの中心を通る実質的に開放された通路を提供することによって、これらの問題の両方に対処することができる。ベンチュリダクト58は、正面面積を減少する一方、ライダーが必要に応じてオートバイを制御することを可能にするのに適した高さにシート22を依然として維持する。
【0081】
図13から16は、ベンチュリダクト58の選択された図をより詳細に示している。図13は、図5の平面A-Aに沿って取られたベンチュリダクト58の中心を通る正面断面図を示す。図14及び15は、図7の平面B-Bに沿って取られたオートバイ10の側面断面図を示し、図16図5に示す平面C-Cに沿って取られた平面断面図を示す。
【0082】
図13~16に示すように、ベンチュリダクト58は、本体12の中心を通って延び、取り込み口60から出口64まで延びる。ベンチュリダクト58は、取り込み部分68、中央部分70、及び拡散器部分72を有する。
【0083】
中央部分70は、取り込み部分及び出口部分60、64よりも小さい断面積を有し、それにより、ベンチュリ流れセクションを形成する。換言すると、ベンチュリダクト58の断面積は、取り込み口60から中央部分70まで減少し、次いで、拡散器部分72の長さを介して出口64まで増加する。
【0084】
取り込み口60に入る空気流は、取り込み部分68を通過して中央部分70に入り、取り込み口60から中央部分70までの断面積が減少するために加速され、その後、断面積が中央部分70から出口64に向かって増大するにつれて拡散器部分72で減速する。中央部分70に入る空気流の加速は、中央部分70と取り込み口60の間に圧力勾配を作り出し、これにより動いている間オートバイ10の前部の圧力が減少する。
【0085】
実施形態では、ベンチュリダクト58は、本体12の上部本体セクション20と一体的に形成される。換言すると、本体12の上部本体セクション20はモノコックとして形成され、ベンチュリダクト58は本体12の一部として画定される。しかしながら、他の構成を利用することもできる。上記のように、上部本体セクション20は、前部及び後部に非構造的フェアリングを具備する中央構造的モノコック(ヘッドストックからシート22まで延在し、取り付け点40a、40b、40c、40dに接続するために下面に接続点を含み得る)を備え得る。
【0086】
例えば、取り込み部分68及び/又は拡散器部分72を定める上部本体セクション20の部分は、非構造的フェアリングとして形成され得る。これにより、損傷が発生した場合の簡単な交換が可能になり、材料及び構造の自由度が高まる。例えば、取り込み部分68及び/又は拡散器部分72を定める上部本体セクション20の部分は、ポリカーボネートなどの透明又は半透明の材料から形成することができる、又はGRPなどのより安価な非構造的材料から形成することができる。
【0087】
冷却ダクト及びチャネルはオートバイの設計でよく知られているが、本出願の発明者は、前輪及び後輪14、16の間でオートバイ10の前部と後部の間に直接延びるそのような大きく実質的に開放されたダクトの提供が、オートバイの設計に著しい効率と空力上の利点をもたらし、パフォーマンスの向上をもたらす可能性があることを初めて発見した。
【0088】
実施形態では、ベンチュリダクト58は、10,000mm(0.01m)から約90,000mm(0.09m)の範囲の最小断面積(すなわち、ダクトが最も狭い中央領域の)を有するように構成される。さらに、取り込み部分は1°~10°の間の円錐角を有し、拡散器部分は1°~10°の間の円錐角を有することが望ましい。これは、中心線に対する取り込み部分の各表面の角度がこの範囲内にあることを意味する。したがって、取り込み部分の(例えば)上面と下面の間の合計角度は、1°から20°の範囲であるはずである。しかしながら、これらの寸法及び構造は例示的なものであり、必要に応じて変更することができる。
【0089】
ベンチュリダクトの詳細な構造
次に、図1から16を参照して、ベンチュリダクト58の構造について記載する。
【0090】
図1aに示されるように、取り込み口60は、取り込み部分68を画定する上壁74、下壁76及び側壁78、80を形成する上部本体部分20によって区切られる。取り込み口60は、幅が広く、実質的に長方形の形状であり、オートバイ10の前部領域のかなりの部分を形成する。この実施形態では、取り込み口60は、上壁74が下壁76の前方に延びるように前方に傾斜している。壁74、76、78、80は、実質的に平坦で、スラブ面(slab-sided)を有する。
【0091】
取り込み口60は前輪14に隣接して位置付けられる。取り込み口60の基部は、前輪14の回転軸の後部とほぼ同じレベルに位置付けられ、その後部に対しオフセットされている。これは、図1、1a、3及び5に最もよく示されており、ここで取り込み部分68の下壁76は、前輪14の頂部よりも低い高さにある。この構成は、層状空気が取り込み口60に流入することを可能にする一方、前輪14からの乱気流が下部カバー(後述)の周りを通過するように構成されている。
【0092】
図3に示すように、オートバイ10の縦軸に沿って見ると、前輪14のタイヤの最上部は、取り込み口60を規定する領域の中にわずかに延在している。取り込み口60の下壁76は、下壁76の最後部の領域に切り欠き82が形成されている(図1a及び15を参照)。
【0093】
これは、前輪14が使用中に動くためのスペースを提供するためであり、例えば、制動、負荷、又はコーナリング中のサスペンション移動のためのスペースを提供するため、及び前輪14が回転してオートバイ10の操舵を可能にするためのスペースを許容するためである。
【0094】
理想的には、ベンチュリダクト58に入る空気が可能な限り層流になることを確実にするために、前輪14の動きによって発生する乱流から取り込み口60を完全に隔離することが望ましい。代替案は、例えば、オートバイのより高い位置にベンチュリダクト58を位置付けること、及び/又は前輪14と取り込み口60の間に下部スプリッタ(図示せず)を提供することである。さらなる代替案又は追加として、フェアリング又はハガー構造を前輪に追加して、空気流をそらすことができる。
【0095】
しかしながら、使いやすさとパフォーマンスを実現するには、トレードオフが必要である。本実施形態では、前輪14の最上部が入口60によって規定される領域に侵入する一方で、これにより、入口60をより大きくすることができ、したがって、オートバイ10の正面断面積が減少する。さらに、切り欠き82の提供のために、前部サスペンション負荷の下で(例えば、制動又は路面の大きなうねりの下で)、前輪14は、取り込み口60によって規定される領域に一時的に侵入し得る。
【0096】
しかしながら、オートバイ10が乗車されている時間の大部分の間、前輪14は、取り込み口60からさらに離れており、ベンチュリ58はより効果的であり得る。いずれにせよ、制動中のベンチュリ58及び取り込み口60に入る空気流の妨害は、オートバイ10を減速させるための追加の抗力を生み出すのに有益であり得る。
【0097】
上記に加えて、入口60の下壁76は、オートバイ10が動いているときに前輪14とともに上方に運ばれる空気の一部を遮断及び/又はそらすように動作可能な小さなスプリッタを画定する。
【0098】
下部フェアリング34は、これを支援するように成形及び配置されている。下部フェアリング34は、ベースフレーム構造18を覆うように配置されて、オートバイ10の下部構成要素に環境保護を提供し、オートバイ10の空力効率を改善する。下部フェアリング34は一般に以下の3つの主要な機能を有する:前輪14によって発生した乱気流をオートバイ10の残りの部分の周りで緩和すること、効率的なフェアリングを提供するため動力ユニットを空力フェアリングに収容すること、オートバイ10の上部から下部までライダーの脚を収容すること。図2、3及び6に最もよく示されるように、下部フェアリング34は、単一の交点84及び湾曲した側面86を備えた湾曲したV字形の断面を有する実質的にボート形状の外殻を有する。換言すると、その断面は、垂直方向において下部フェアリング34の最下端の一点に向かって先細になっている。
【0099】
下部フェアリング34の前部88は、概して弓形の構造を有する。前部88は、前輪14の後部に隣接する点から外向きに先細になっており、平面図でV字形を形成している。これは、図6に最もよく示されている。換言すると、前部88は、2つの後方に角度の付いたパネルセクション90を含み、これらは、使用中に対向空気及び前輪14から空気をオートバイ10の中心線の両側に及びオートバイ10の側面の周りに偏向させるために配置される。対向する空気をオートバイ10の側面の周りに滑らかに偏向させることにより、これは乱流空気の取り込み口60への逆流を低減する。
【0100】
下部フェアリング34は、動力ユニット32を覆うために前部86から後方に延びる。開口部92(図1及び5)が各側面86に形成され、フットレストなどの構成要素がベースフレーム構造18から延びることを可能にし、ライダーが下肢を押し込むためのスペースを提供する。最後に、ライダー位置の後方に延在し、オートバイ10の後部で本体部分20の下面に接合する2つのサイドフランジ94が提供される。サイドフランジ94は、ライダーの脚の下流を通過する空気流の離脱を防止する一助となり、したがって乱気流と抗力を低減するのに一役買う。
【0101】
下部カバー内及びその周辺において、さらなる要素を使用することができる。例えば、破風板又は他の空力装置(図示せず)を下部フェアリング34の前方に隣接して位置付けて、それらの間に狭いダクトを画定することができる。そのような狭いダクトを通る空気流の高い流速は、空気力学的利益のために利用することができる。例えば、境界層の停滞を緩和するために;下部カバーの前部86の下流の乱流伴流を低減することにより形状抗力を低減するために;及びライダーの脚の周りに空気流を案内するために利用することができる。
【0102】
また、ICEエンジンを搭載している場合、ICEのエアボックスに入口開口部を設ける必要がある。エンジン入口開口部は、任意の適切な場所に位置付けることができる。例えば、ベンチュリダクト58の下壁に形成することができる、又は取り込み口60と下部フェアリング34の間に位置付けることができる。場所は、ICEへの吸気圧が増加し、誘導圧力の増加を提供するように、より高い圧力の領域に配置することができる。
【0103】
示されるように、ベンチュリ出口64は、後輪16に隣接してオートバイの後部に位置付けられる。ベンチュリ出口64は、ベンチュリダクト58の拡散器部分72を形成するダクト本体20の後部によって区切られる。拡散器部分72は、シート22に隣接するシート22の後方の領域において、オートバイ10の後方に向かって外側に拡がる不規則な拡散器円錐を形成する。
【0104】
しかしながら、出口64は実質的に不規則な断面を有するものとして示されているが、これが当てはまる必要はなく、任意の適切な形状を使用することができる。例えば、出口64及び/又は拡散器部分72は、円形、卵形、又は長方形などの任意の適切な断面形状を取ることができる。
【0105】
拡散器部分72をより詳細に見ると(図2)、拡散器部分72は、上壁96、下壁98、及び側壁100を備える。図2に示されるように、後輪16の一部は、拡散器部分72によって画定された空間内に延びる。さらに後輪16は出口64自体の中に延びる。実施形態では、後輪16は、下壁60に形成された切り欠き102内で回転する。
【0106】
この構成には特筆すべき利点がある。第1に、後輪16の回転によって発生した空気流は、拡散器部分72及び出口64を通る流れによって少なくとも部分的に打ち消される。これは、後輪16からの実質的に垂直に移動する空気流から生じる抗力を低減する。
【0107】
第2に、図8を参照すると、動力ユニット18が内燃機関を備える場合、内燃機関の排気管32aは、ベンチュリダクト58の拡散器部分72の中に排気し得る。これには、ベンチュリダクト58の拡散器部分72へ増加した流れを提供し、ベンチュリダクト58を通る空気のさらなる加速を引き起こし、オートバイ10の前部からベンチュリダクト58への空気流の引き込みを支援するという追加の利点がある。後輪16を排気ガスの熱負荷から保護し、排気ガスを偏向させるために、後輪16の前の排気管32aの下流に金属熱シールド(図示せず)を任意選択的に置くことができる。
【0108】
このような構成を提供することにより、後輪16及び排気管32aからの空気流が、ベンチュリダクト58のより高い効率を達成するために達成される。図7に示すように、排気ガスはまた、ベンチュリダクト58を通る空気流によって希釈される。これは、排気ガスを冷却し、排気32aの下流のオートバイ10の構成要素への熱負荷を低減し、排気32aから出力される騒音を低減する効果を有するであろう。
【0109】
しかしながら、その構成は図のようなものである必要はない。当業者は、本開示の範囲内に入るであろう変更を行うことができることを容易に理解するであろう。例えば、後輪16は、ベンチュリダクト58の拡散器部分72に突出する必要はなく、そこから、例えば下壁98によって、分離され得る。
【0110】
図13から16に戻って、ベンチュリダクト58の構成要素及び構造をさらに記載する。
【0111】
示されるように、ベンチュリダクト58の中央部分70の断面積は、正しい流れの加速を作り出すために、取り込み部分68及び拡散器部分72の断面積よりも著しく小さい。
【0112】
取り込み部分68に目を向けると、取り込み部分68が中央部分70に交わるように先細になるにつれて、取り込み部分68の断面積は中央部分70に向かって減少する。テーパ率は、必要に応じて変えることができる。例えば、テーパ率は一定であり得る(錐台又は円錐のように)。或いは、テーパ率は、入口60からの直線距離とともに変化することができ、例えば、断面積の変化率が断面積自体に何らかの形で比例するようなトランペットのように変化することができる。空気力学の多くの分野では、抗力と離脱乱気流を減らすために、断面積の滑らかな変化を維持することが望ましい。
【0113】
しかしながら、2から10°の角度が望ましい。さらに、先細りは図に示すように横方向平面と垂直平面の両方で起こる。
【0114】
拡散器部分72に関して、図14及び15に示されるように、拡散器部分72は、中央部分70の後部セクションから広い出口64に向かってフレア状に広がる。拡散器部分72の断面積の拡張率は、必要に応じて変更することができる。
【0115】
図13から16を参照して、中央部分70をより詳細に見ると、複数の熱交換器104a~cが、中央部分70の上部及び側部内に水平に位置付けられている。図13に最もよく示されているように、3つの熱交換器104a~cは、中央部分70内のベンチュリダクト58の3つの側面に位置付けられている。
【0116】
過給ICEが動力源32として使用される実施形態では、熱交換器104aは、過給機のためのインタークーラを含み得る。
【0117】
熱交換器104a~cは、オートバイ10の前部に配置された個々の取り込みダクト106a~cによって供給される。ダクト106aは、取り込み口60に隣接してその上に位置付けられ、取り込み口60とは別の、ウィンドシールド24の一部内に位置付けられた取り込み口108aから供給される。ダクト106aは、取り込み口108aから熱交換器104aまで延びる。
【0118】
ダクト106b及び106cは、図15に最もよく示されている。ダクト106b、106cは、ベンチュリダクト58の取り込み口60内に位置付けられ、実質的に垂直に延びる長方形の取り込み断面を有する取り込み口108b、108cから延びる。
【0119】
図16に示されるように、取り込みダクト106b、106cは、それぞれの取り込み口108b、108cの下流でベンチュリダクト58から分離されており、形状が曲がりくねっており、外側に湾曲した後、熱交換器104b、104cに隣接する領域の中心線に向かって内側に緩やかに湾曲している。ダクト108b、108cは、ベンチュリダクト58の外壁と本体部分20の間のスペースを画定して、操舵装置50の機械的アスペクトがそれらの間を通過できるようにする。これは図9に示される。
【0120】
各熱交換器104a~cの面は、空気流に実質的に平行であり、冷却空気は、第1の入口側から第2の出口側まで、中央部分70を通る空気流に垂直に、及び動いているときのオートバイ10の速度ベクトルに垂直に熱交換器104a~cを通過する。
【0121】
示されるように、熱交換器104a~cは、実質的に水平に、すなわち、従来のオートバイのように空気流に垂直ではなく、空気流に実質的に平行に配置することができる。このように熱交換器を使用すると、従来のオートバイの設計において大きな正面面積を作りながら熱交換器が空気流に向き合う場合に生じる空力抗力が大幅に減少する。
【0122】
示されるように、熱交換器104a~cの平行な配置は、ベンチュリダクト58の取り込み口60と中央領域70との間の圧力勾配のために冷却空気の有意な貫流を依然として有しながら、正面面積及び対応する抗力を低減する。
【0123】
示されるように、ベンチュリダクト58に入る空気流は、取り込み部分68によって濃縮され、空気がベンチュリダクト58の中央部分70に入るときに加速される。したがって、中央部分70の圧力は、より速い速度のために、取り込み部分68の圧力よりもかなり低い。
【0124】
さらに、中央部分70の空気圧は、熱交換器ダクト106a~cの空気圧よりも著しく低いので、既知のオートバイ設計の従来の冷却システムと比較して、空気はかなりの効率で、及びこの構成の全体抗力にほとんど影響を及ぼさずに熱交換器104a~cを通して容易に引き込まれる。
【0125】
空気が中央部分70を出ると、拡散器部分72は、オートバイ10の後部に向かって鋭い外向きの末広がりを有する不規則なトランペット形状を有する。これにより空気が膨張し、その結果、速度が遅くなる。空気の速度が低下すると、気圧が高くなる。排気66はまた拡散器部分72に通気する(ICEを利用する実施形態において)。排気ガスの速度及び温度を与えられると、これは、空気流が拡散器部分72に沿って出口64から出るのを促す一助となり、ベンチュリダクト58の対向する空気流に対する流れ抵抗を再び減少させる。
【0126】
その結果、ベンチュリダクト58は、流入する空気流に対する制限を可能な限り小さくし、オートバイ10の前部の圧力を低下させ、したがって、速度の上昇に伴って圧力の蓄積を低下させる。これは、オートバイ10の減少した正面面積と組み合わされて、オートバイ10の前進運動に対する抵抗を著しく減少させ、オートバイ10を所与の動力出力に対してより効率的且つ高速にする。
【0127】
さらに、本発明者は、ベンチュリダクト58の空力特性及び抗力低減特性は、特定の動作レジームにおけるオートバイ10の性能を改善するために修正できることを認識した。
【0128】
これに関して、回動可能なデフレクタ114が、拡散器部分72内に、又は拡散器部分72に隣接して位置付けられる。図14から17に最もよく示されるように、デフレクタ114は、拡散器部分72内にベンチュリダクト58の全幅にわたって延びる実質的に翼形状の構造を備える。デフレクタ114は、ベンチュリダクト58内の垂直方向のほぼ中央に位置付けられ、排気32aの下流及び上方に位置付けられる。
【0129】
デフレクタ114は、実質的に中央の回動点116を中心に回動される(図17及び18)。回動点116は、デフレクタ114が実質的に水平な軸の周りを回転するように配置される。デフレクタ114は、他の力がない場合、デフレクタが図14から16に示されるように実質的に水平な構造に維持されるように配置される。換言すると、作動力がない場合、ベンチュリ58を通る空気流は、回動点116の後方の表面に作用する力が、回動点116の前方の表面に作用する力よりも大きくなるように、デフレクタ114の上面に作用する。
【0130】
図17及び18を参照すると、デフレクタ114は、作動機構118に接続される。作動機構118は、リヤスイングアーム36に接続されたアクチュエータリンク120を備える。
【0131】
使用中、アクチュエータリンク120は、デフレクタ114を図14及び15に示される位置に、すなわち、空気がベンチュリダクト58を通って自由に流れることができる水平状態に維持するように配置される。
【0132】
しかしながら、制動下では、リヤスイングアームは本体12の残りの部分に対して下方に移動し、アクチュエータライン120は、デフレクタ114の前縁を閉位置に引き下げる。
【0133】
開位置と閉位置をそれぞれ図17及び18に示す。これらの図は、オートバイ10の後部のみを示している。
【0134】
示されるように、激しい制動の下で、リヤスイングアームは下方に動き、アクチュエータリンク120にデフレクタ114の前縁を閉位置に引っ張らせる。閉位置において、デフレクタ114は、ベンチュリダクト58の拡散器部分72全体を実質的に封じる。換言すると、デフレクタ114の前縁は拡散器部分72の下面に当接し、デフレクタ114の後縁は拡散器部分72の上面に当接する。
【0135】
実施形態では、デフレクタ114によるベンチュリダクト58の閉鎖は、デフレクタ114の開位置と比較して、オートバイ10の前面面積の実質的な増加を生み出す。さらに、流れに対するより大きな抵抗も生み出される。したがって、抗力が増加し、これは制動の間オートバイ10を減速させるのに役立つ。
【0136】
しかしながら、本発明者は、追加の利点を有するさらなるアプローチを認識した。シート22の後ろの本体部分20の領域に、出口ダクト122が形成される。出口ダクト122は、フラップ124を有する。加速又は一定速度条件下で、フラップ124は、図18に示されるように閉位置に維持される。これは、使用中のオートバイ10上の外部空気流、ベンチュリダクト58の内部と外気との間の圧力差、付勢装置(例えば、ばね又は他の弾性部材)などの機械的手段、フラップ124の自然な静止位置が閉位置にあるように単純に加重された構成のうちの、1つ又は複数によるものであり得る。
【0137】
しかしながら、デフレクタ114が図18に示される閉位置にあるとき、ベンチュリダクト58を通る空気流は、出口ダクト122中に偏向され、フラップは、この空気流によって付勢されて開かれる。
【0138】
この構成には多くの利点がある。第1に、ベンチュリ58を通る空気流が突然遮断されず、空気は、例えば熱交換器104a~cが十分な空気流を受けることを確実にするために、制動の間流れ続けることができる。第2に、排気32aからの排気ガスのための出口が引き続き提供される(ただし、排気は、デフレクタ114の下流にあるように位置付け直され得ることに留意されたい)。第3に、空気の大きなプルーム(plume)の上方への偏向は、高速で垂直に移動する空気の大きなブルーム(bloom)のために、オートバイ10の抗力を増加させる助けとなる。さらに、出ていく空気の力が後輪に下向きに作用し、制動パフォーマンスの助けとなる。
【0139】
制動段階が完了すると、後輪16及びリヤスイングアーム36は本体12に対して上昇し、デフレクタ114は開位置に戻され、空気流は図17に示すようにベンチュリダクト58の出口64から再び排出され続ける。
【0140】
デフレクタ114の開閉は、例えば、ロッカーを使用して機械的に調整することができる。これは、デフレクタ114が作動される特定の点を作り出すために使用され得るか、又はデフレクタ114の事前定義された又は可変の変化率を作り出すために使用され得る。例えば、ロッカーは、制動段階の早い段階でデフレクタ114を展開し、オートバイ10が制動段階を終了するまでデフレクタ114を閉じないように調整可能である。オートバイの空気流への中間的な影響又は妨害を最小限に抑えるために、デフレクタ114は、作動されると急速に閉じ、非作動にされると素早く開くことが望ましい。しかしながら、必要に応じて他のプロファイルを使用することもできる。
【0141】
オートバイ10にベンチュリダクト58を使用することの顕著な利点は、オートバイ10の中心を通って実質的に層流の領域が提供されることである。これにより、空気力学的な表面及び機能を提供して、特定条件下でのオートバイ10のパフォーマンスを改善することができる。ダウンフォース及び/又はリフト発生面の使用は、図19から32の第2の実施形態でより詳細に記載される。
【0142】
本開示の範囲内で、様々な追加物又は代替物が可能である。例えば、ベンチュリダクト58のセクションの特定の形状が本明細書に記載されているが、これらは単に例示的なものであり、代替物が十分に使用され得ることが理解されるべきである。
【0143】
ベンチュリダクト58の表面のほとんどは実質的に平面として示されているが(ダクトの実質的に長方形の断面をもたらしながら)、これが当てはまる必要はない。例えば、ベンチュリダクトの断面は、オートバイ10の本体12の所望の形状に適合しながら、正面面積の減少を最大化するのに最適なように円形、楕円形、又は他の任意の適切な形状であり得る。
【0144】
第2の実施形態
図19から32は、本発明の代替の実施形態によるオートバイ200の異なる等角図を示している。
【0145】
オートバイ210は、本体212、前輪214及び後輪216を有する。動力ユニット218(図16~24に全体的に示され、後の図に示される)が、前輪及び後輪214、216の間に位置付けられ、一対のスイングアーム220を介して後輪216を駆動するように構成されている。動力ユニット218は、任意の適切な形態を取ることができ、ピストンエンジン又はロータリ(ワンケル)エンジンなどの内燃機関(ICE)、電気モータ或いは組み合わせ動力源(例えば、電気モータによって支援されるICEを備えたハイブリッドドライブトレイン)であり得る。電気動力源を使用する場合は、後輪を駆動する中央に取り付けられたモータが好ましい。しかしながら、特定の状況では、インホイールモータを後輪及び/又は前輪ハブ内で使用することができる。
【0146】
前の実施形態と同様に、前輪214は、前部の上部及び下部ウィッシュボーン、ステアリングアーム、及びサスペンションプッシュロッド(図示せず)を介して本体212に取り付けられている。しかしながら、当業者は、フロントフォーク及び他の構造を含む使用可能な代替物に容易に気付くであろう。
【0147】
本体212は、ライダー用のシート222及びウィンドシールド224をさらに備える。シート222の前方に位置付けられるのは、熱交換器226(図22から24を参照)及び任意選択的にバッテリ(電気動力又はハイブリッド動力の場合)又は燃料タンク(ICE動力の場合)などの動力供給ユニットを含むように動作可能な本体212の隆起部分である。
【0148】
本体212はモノコック構造として形成され得るか、又は一緒に接続された個々の構成要素を備え得る。本体212は大まかに2つの主要な要素-ベースフレーム228及びダクト本体230を備える。しかしながら、これらの要素は明確にするために別々に記載されているが、別個の要素である必要はなく、単一のシャーシとして形成されてもよく、又は一緒に接続された複数の部品を備え得る。
【0149】
この実施形態では、ベースフレーム228は下端でV字形を形成し、動力ユニット232と、ダクト、燃料パイプ及び接続部などの動力付属品と、電子機器とを支持するように動作可能である。ベースフレーム228はまた、リヤスイングアーム220及びフロントウィッシュボーンが前輪及び後輪214、216の接続及び懸架を可能にするための接続部を提供する。
【0150】
ベースフレーム228は、オートバイ200の側面を形成し且つ本体212の上面に向かって延びる一対の実質的に垂直なサイドパネル232を備える。
【0151】
ダクト本体230は、オートバイ200の外面の一部を形成し、それを通るベンチュリダクト234を画定する。ベンチュリダクト234は、オートバイ10の前部からオートバイ10の後部まで延びる。ベンチュリダクト234は、本体12の前部238にある取り込み口236と、本体12の後部242にある出口240とを備える。
【0152】
前輪の間、及びライダーのシート222と動力ユニット218との間に、オートバイシャーシの中心を通る実質的に開放された通路を提供することによって、これらの問題の両方に対処することができる。ベンチュリダクトは前面面積を減少する一方、ライダーが必要に応じてオートバイを制御することを可能にするのに適切な高さにシート22を依然として維持する。
【0153】
図22から27は、ベンチュリダクト234の選択された図をより詳細に示している。示されるように、そして第1の実施形態と同様に、ベンチュリダクト234は、取り込み口236から出口240まで延びる本体12の中心を通って延びる。前の実施形態と同様に、取り込み口236及びベンチュリダクト234を通り出口240までの直接の見通し線がある。ベンチュリダクト234は、取り込み部分242、中央部分244、及び拡散器部分246を有する。
【0154】
中央部分244は、取り込み部分及び出口部分42、46よりも小さい断面積を有し、それにより、ベンチュリ流れセクションを作り出す。換言すると、ベンチュリダクト234の断面積は、取り込み口236から中央部分244まで徐々に減少し、次いで、拡散器部分246の長さを介して出口240まで徐々に増大する。
【0155】
取り込み口236に入る空気流は、取り込み部分68を通過して中央部分244に入り、断面積が減少するために加速され、その後、断面積が増大するにつれて拡散器部分246で減速する。中央部分244に入る空気流の加速は、中央部分244と取り込み口236の間に圧力勾配を作り出し、これは運動中のオートバイ10の前部の圧力を低下させる。
【0156】
実施形態では、ベンチュリダクト234は、本体12と一体的に形成される。換言すると、本体12はモノコックとして形成され、ベンチュリダクト234は本体12の一部として画定される。
【0157】
冷却ダクト及びチャネルはオートバイの設計で知られているが、本出願の発明者は、オートバイ10の前部と後部の間、前輪及び後輪14、16の間に直接延びる、大きく実質的に開放されたダクトの提供がオートバイの設計に顕著な効率と空力上の利点をもたらし、パフォーマンスの改善をもたらし得ることを初めて発見した。
【0158】
実施形態では、ベンチュリダクト234は、10,000mm(0.01m)から約90,000mm(0.09m)の範囲の最小断面積を有するように構成されている。さらに、取り込み部分はベンチュリの中心線に対して1°~20°の間の角度を有し、拡散器部分はベンチュリの中心線に対して1°~20°の間の角度を有することが望ましい。これらは、2°及び40°からの取り込み部分及び拡散器部分のそれぞれの円錐角に対応する。円錐角は、各上面/下面又は側面が互いに対して成す角度であり、単一平面拡散器要素のそれの2倍である。第2の実施形態の円錐角は、第1の実施形態よりもかなり積極的であることに留意されたい。しかしながら、当業者は、その相対寸法は適切であり、これらの寸法及び構造は例示的であり、必要に応じて変更できることを認識するだろう。
【0159】
次に、第2の実施形態のベンチュリダクト234の構造を、図19から32を参照して記載する。
【0160】
図19及び20に示されるように、取り込み口236は、ダクト本体230及びベースフレーム28のサイドパネル32の一部によって区切られ、これらは、取り込み部分242を画定する上壁、下壁、及び側壁を形成する。取り込み口236は広く、実質的に長方形の形状であり、オートバイ10の前部領域のかなりの部分を形成する。この実施形態では、取り込み口236は、上壁が下壁の前方に延びるように前方に傾斜している。
【0161】
取り込み口236は、前輪214に隣接して、前輪214の後方に位置付けられ、その結果、前輪214は、使用中に取り込み口236に入る空気のための流路内に延びる。これは第1の実施形態とは異なる構造である。これは図20に最もよく示されており、ここでは取り込み口236の下壁は前輪214の頂部よりも低い高さにある。
【0162】
さらに、取り込み口236の下に位置付けられ、下壁と連通しているベースフレーム228の前壁は、輪郭で見たときに、取り込み口236に対して鈍角で配置されている。これは、空気流が取り込み口236に向けられることを確実にする。
【0163】
前輪214の真後ろの取り込み口236の少なくとも一部の位置を利用して、回転する前輪214によって発生した乱流空気をベンチュリダクト234に引き込み、そこで加速して、前輪214の領域において圧力及び乱流空気を低減することができる。これは、第1の実施形態とは著しく対照的である。
【0164】
しかしながら、これは当てはまらなくてもよく、取り込み口236は、例えば、第1の実施形態で記載及び示されるように、取り込み部分242の前方に延びるスプリッタによって前輪から分離され得る。代替的又は追加的に、前輪214は、前輪214から生じる空気流から取り込み口236を実質的に空気力学的に隔離する泥除け又はシールドを備え得る。
【0165】
図21を参照すると、ベンチュリ出口240は、後輪216に隣接してオートバイの後部に位置付けられる。ベンチュリ出口240は、ベンチュリダクト234の拡散器部分246を形成するダクト本体230の後部によって区切られる。拡散器部分246は、本質的に、シート222に隣接しその後方にある領域において、オートバイ10の後方に向かって外側に拡張する正方形の錐台を形成する。
【0166】
しかしながら、出口240は実質的に長方形の断面を有するものとして示されているが、これが当てはまる必要はなく、任意の適切な形状を使用することができ、例えば、出口240及び/又は拡散器部分246は、円形、卵形、又は長方形などの任意の適切な断面形状を取ることができる。
【0167】
より詳細に拡散器部分246に目を向けると、拡散器部分246は、上壁、下壁、及び側壁を備える。図21及び22に示されるように、後輪216の一部は、拡散器部分246によって画定される空間内に延在する。さらに、後輪216は、出口240自体の中に延在する。実施形態では、後輪216は、下壁に形成された切り欠き内で回転する。
【0168】
この構成には特筆すべき利点がある。第1に、後輪216の回転によって生じる空気流は、拡散器部分246及び出口240を通る流れによって少なくとも部分的に打ち消される。これは、後輪216からの実質的に垂直に移動する空気流から発生する抗力を低減する。
【0169】
第2に、図25を参照すると、動力ユニット218が内燃機関を備える場合、内燃機関の排気管266は、ベンチュリダクト234の拡散器部分246に排気し得る。これには、ベンチュリダクト234の拡散器部分246への増加した流れを提供し、ベンチュリダクト234を通る空気のさらなる加速を引き起こし、オートバイ200の前部からベンチュリダクト234への空気流の引き込みを助けるという追加の利点がある。
【0170】
このような配置を提供することにより、後輪216及び排気266からの空気流が実現され、ベンチュリダクト234のより高い効率を達成する。図25に示すように、排気ガスはまた、ベンチュリダクト234を通る空気流によって希釈され得る。これは、排気ガスを冷却し、排気266の下流のオートバイ10の構成要素への熱負荷を低減し、排気266から出力される騒音を低減するという効果を有するであろう。
【0171】
しかしながら、構成は図のようなものである必要はない。当業者は、本開示の範囲内に入るであろう変更を行うことができることを容易に理解するであろう。例えば、後輪216は、ベンチュリダクト234の拡散器部分246に突出する必要はなく、例えば、下壁60によって、そこから分離され得る。さらに、後輪216への排気流は、使用中の後輪216の周りの空気流の少なくとも一部を打ち消すであろう。
【0172】
次に、図19から27を参照してベンチュリダクト234の構成を記載する。示されるように、特に、ベンチュリダクト234の中央部分244の断面積は、流れの正しい加速を作り出すために、取り込み部分242及び拡散器部分246の断面積よりも著しく小さい。
【0173】
取り込み部分242に目を向けると、取り込み部分242が中央部分244に交わるように先細になるにつれて、取り込み部分242の断面積は中央部分244に向かって急激に減少する。テーパ率は必要に応じて変えることができる。例えば、その率は一定であり得る(錐台又は円錐のように)。或いは、テーパ率は、例えば断面積の変化率が断面積自体に何らかの形で比例するようにトランペットのように、入口236からの直線距離とともに変化し得る。空気力学の多くの分野では、抗力と離脱乱気流を減らすために、断面積の滑らかな変化を維持することが望ましい。
【0174】
しかしながら、少なくとも1°から20°の角度が望ましい。さらに先細りは図5及び7に示すように横方向平面と垂直平面の両方で起こる。
【0175】
拡散器部分246は、中央部分244の後部から広い出口240に向かってフレア状に広がっている。拡散器部分246の断面積の拡張率は、必要に応じて変えることができる。
【0176】
図25及び27を参照して、中央部分244にさらに詳細に目を向けると、熱交換器226が中央部分244の上部内に水平に位置付けられている。換言すると、熱交換器226の面は空気流に実質的に平行であり、冷却空気は、中央部分244を通る空気流に垂直に且つ移動中のオートバイ200の速度ベクトルに垂直に第1の入口側から第2の出口側へ熱交換器226を通過する。
【0177】
この熱交換器の構造は、オートバイ200の前部の取り込み口236の上に位置付けられた交換器入口226aを備える。入口68は、図1、7、及び8で最もよく見ることができる。入口68は、実質的に水平に熱交換器226に延びる熱交換器ダクト70につながる。
【0178】
示されるように、熱交換器226は、実質的に水平に、すなわち、従来のオートバイのように空気流に垂直ではなく空気流に実質的に平行に配置することができる。このように熱交換器226を使用すると、熱交換器が従来のオートバイの設計において空気流に面し大きな正面面積を作り出すときに発生する空力抗力を大幅に減少する。
【0179】
図27は、図25と同様の概略図を示しており、熱交換器226及びベンチュリダクト234を通る空気流を示している。示されているように、取り込み口236は、ベンチュリダクト234の中央部分244の低圧領域よりも高い圧力にある。
【0180】
したがって、この圧力勾配のために、空気流は熱交換器226を通して引き込まれる。示されるように、熱交換器226は、空気流に実質的に平行であり、それにより正面面積及び抗力を低減する一方、取り込み口68とベンチュリダクト234の中央領域244との間の圧力勾配のために、冷却空気のかなりの貫流を依然として有する。
【0181】
示されるように、ベンチュリダクト234に入る空気流は、取り込み部分236によって濃縮され、空気がベンチュリダクト234の中央部分244に入るときに加速される。したがって、中央部分244の圧力は、そのより高い速度のために取り込み部分242の圧力よりもかなり低い。
【0182】
さらに、中央部分244の空気圧は熱交換器ダクト270の空気圧よりも著しく低いので、空気は、既知のオートバイ設計の従来の冷却システムと比較して、かなりの効率で、及び装置の全体的な抗力にほとんど影響を与えずに熱交換器226を通して容易に引き込まれる。
【0183】
空気が中央部分244を出ると、拡散器部分246は、オートバイ200の後部に向かって鋭い外向きの末広がりを有する錐台形状を有する。これにより、空気が膨張し、その結果、速度が遅くなる。空気速度が低下すると、空気圧が高くなる。排気66はまた、拡散器部分246に通気する(ICEを利用する実施形態において)。排気ガスの速度及び温度を与えられると、これは、空気流が拡散器部分246に沿って出口240から出るのを促す一助となり、ベンチュリダクト234の対向する空気流に対する流れ抵抗を再び減少させる。
【0184】
その結果、ベンチュリダクト234は、流入する空気流に対する制限を可能な限り小さくし、オートバイ200の前部の圧力を低下させ、したがって、速度の上昇に伴って圧力の蓄積を低下させる。これは、オートバイ200の減少した正面面積と組み合わされて、オートバイ200の前進運動に対する抵抗を顕著に減少させ、オートバイ200を所与の動力出力に対してより効率的且つ高速にする。
【0185】
本開示の範囲内で、様々な追加物又は代替物が可能である。例えば、ベンチュリダクト234のセクションの特定の形状が本明細書に記載されているが、これらは単に例示的なものであり、代替物が十分に使用され得ることが理解されるべきである。
【0186】
ベンチュリダクト234の表面のほとんどは、実質的に平面として示されているが(ダクトの実質的に長方形の断面をもたらしながら)、これは当てはまらなくてもよい。例えば、ベンチュリダクトの断面は、オートバイ200の本体212の所望の形状に適合しながら、正面面積の減少を最大化するのに最適なように円形、楕円形、又は他の任意の適切な形状であり得る。
【0187】
次に、代替又は追加の構造について記載する。オートバイ200の本体12の中心内に高速で流れる空気チャネルを提供することは、これまでの既知のオートバイの設計では完全に不可能又は非現実的であった方法で空気流制御の多くの機会を提供する。
【0188】
例えば、オートバイの空力面(例えば、2016/2017年のMoto GPオートバイの)は、コーナーでのオートバイの傾斜角度によって影響を受ける。そのため、例えば直線と比べてコーナーで傾斜する場合、異なる流れの状態が存在する。しかしながら、この場合、地面に対するオートバイの向きに関係なく、ベンチュリダクト234を通る実質的に一定の空気流を維持することができる。
【0189】
例えば、速度に関する流速及び取り込み口236への空気流の方向に影響を及ぼし得る潜在的に角度に関する回転率において違いが存在し得るが、ベンチュリの中央部分244内では、空気流は実質的に層流であり、所与のオートバイの速度に対して一定の速度及び圧力である。
【0190】
これは、ベンチュリダクト234内の空力装置を利用して、特定の動作レジームの下でオートバイ200のパフォーマンスを改善する機会を提示する。
【0191】
図28及び29は、翼状部品280がベンチュリダクト234の中央部分244内に置かれる構成を示している。翼状部品280は、使用中回動点Pの周りで実質的に移動可能である。したがって、翼状部品80を使用して、タイヤの接地面に作用する追加の力に起因してオートバイ200のグリップを強化するのを助け得るダウンフォース(すなわち、逆揚力)を発生させることができる。翼状部品は、翼状部品の圧力中心がオートバイ200の重心と一致するように位置付けることができる。したがって、発生したダウンフォースは、オートバイ200の重心と翼状部品80の圧力中心との間にモーメントを引き起こさない。
【0192】
翼状部品は、位置及び構造の両方において、第1の実施形態で記載したデフレクタ114とは異なることに留意されたい。
【0193】
回動点Pを中心に翼状部品280を回転させることにより、必要に応じてダウンフォース/揚力の量を変えることができる。例えば、直線(ここでは速度及び加速度が主な関心事である)において、翼状部品280は、正味のダウンフォースが発生せず、抗力が最小に減少するように、中立又は正の入射に向けられ得る。しかしながら、コーナーでは、翼状部品280は、タイヤの接地面を介して垂直に下向きに揚力を加え、強化されたグリップを提供するように配置され得る。追加的又は代替的に、加速度及び/又は破壊を強化するために追加のダウンフォースが提供され得る。
【0194】
さらなる追加の代替案として、ベンチュリダクト234を完全に閉じるために翼状部品280を回動することができる。換言すると、例えば、翼状部品280の後縁が中央部分244の上面と接触し、翼状部品280の前縁が中央部分244の下面と接触するように(又はその逆に)回転するように翼状部品280は動作可能である。
【0195】
この構成を提供することにより、ベンチュリダクト234を効果的に閉鎖することができ、その結果、第1に、正面面積が付随して増加し、第2に、オートバイ200の前部の圧力も増加する。これは、コーナーに入る又は直線上のオートバイ200の制動中に役立つ可能性がある。オートバイ200の前面面積の増加及び先端部の圧力の増加により抗力が対応して増加するからである。
【0196】
或いは、翼状部品などの空力表面は、ベンチュリダクト234の異なる部分に置くことができる。中央部分244(空気流が最も速く、したがって、いずれの空力表面も最大の効果を有する)内に空力表面を有することが一般に望ましいが、これが当てはまる必要はない。例えば、翼状部品又は他の空力表面を、取り込み口236又は取り込み部分242内に置くことができ、これを使用して、例えば制動中に前輪のダウンフォースを増加させることができ、又は急加速中に前輪214が地面から浮き上がるのを防ぐことができる。
【0197】
或いは、翼状部品は拡散器部分246(第1の実施形態と同様に)又は後輪216に隣接する任意の他の位置に置いて、後輪の摩擦力を改善することができる。
【0198】
さらなる変形又は追加が図30に示される。図30では、代替の可動表面282が提供される。この実施形態では、可動表面282は、拡散器部分246内に置かれる。さらに、可動表面282は、前の実施形態の翼状部品よりも大きな翼弦を有する。
【0199】
この代替案では、表面282は、中立の空力プロファイルを提供する、すなわち、空気流から隠される第1の構造と、制動を助けるために空気流に対する抵抗を提供する、すなわち、抗力発生を介して他の補助を提供する第2の構造との間を行ったり来たりするように回動するように構造化される。しかしながら、この構成では、表面282は、拡散器部分の壁の一部を形成し、作動されると下向きにスイングするように配置されている。さらに、ベンチュリダクト234の上端を通る出口284が提供される。出口は、シート222及び使用中のライダーの背面に配置され、図30に第2の構造で示されている。
【0200】
使用中、可動表面282が図30に示されるように閉位置に回転されると、可動表面282は拡散器部分246の出口240を効果的に密閉し、代わりに空気流は垂直出口284を通して向けられる。結果、ベンチュリダクト234全体を完全に閉じるのではなく、ベンチュリダクト234を通る空気流は、高速で移動する空気の実質的に垂直なプルームが出口284から排出されるように、上方に偏向される。さらに、可動表面282は、排気266の下流に位置付けられるので、排気ガスは、垂直に上向きであって、出口284を通って排出される追加の空気流を提供する。
【0201】
この構成の利点は、正面面積を決定するためにベンチュリダクト234を効果的に「密閉」することに加えて、ベンチュリダクト234を通る空気流からの上方に向けられたガスのプルームもまた、出口84によって発生した空気の実質的に垂直なシートによって作り出された抵抗の形態で追加の抗力を提供することである。最後に、出口84を出る空気の力はまた、オートバイ200に等価で反対向きの反作用を作り出し、追加のダウンフォースを提供する。
【0202】
このような構成は、激しい制動時に特に有益であり得る。その場合、追加の抗力とダウンフォースによって停止距離が大幅に短縮される。構造が異なるが、これは原則として第1の実施形態と同様である。
【0203】
代替案を利用することができる。例えば、可動空力装置は、ベンチュリダクト234の中心にある翼の形態を取る必要はなく、代わりに、図30に関連して記載されるように、ベンチュリダクト234の壁の可動セクションを形成し得る。例えば、可動フラップは、使用されていないときはベンチュリダクトの下面又は上面と同一平面上にあり、使用中にベンチュリダクト234の上面/下面から延びて、図12に示される翼状部品の位置を効果的にし得る。フラップは、出口84に隣接する後点で回動され、電子的又は油圧空気圧的起動の下で展開され得る。ベンチュリダクト234を通る空気流は、フラップを開位置に位置付けるために力を加え、その後、フラップは油圧で格納させることができる。
【0204】
そのような装置は、故障状態では、空気流が偏向される通常の開位置にあるであろう。これは特定の構成では望ましくない可能性がある。
【0205】
したがって、代替案では、フラップは、閉位置にあるときに拡散器部分246の下面と同一平面に配置され、空気流が上向きに偏向される開位置に油圧で作動され得る。
【0206】
代替的又は追加的に、ベンチュリダクト234の後部全体は、「ベクタードスラスト」の形態として関節式に移動可能であり得る。
【0207】
さらなる代替案として、特定の角度で保持することができる複数の平行な可動スラットを使用することができ、例えば、出口240に隣接して位置付けられ、水平軸の周りで回転可能な複数のスラットを使用して、空気を必要に応じて適切な出口を介して上方に偏向させることができる。複数の空力表面は潜在的により多くの抗力を作り出すが、各表面はより小さくすることができ、それに作用する力が減少する。
【0208】
図31及び32は、本発明のさらなる実施形態によるオートバイ200を示している。この実施形態では、翼状部品290は、ベンチュリダクト234の中央部分244内に位置付けられる。しかしながら、この実施形態では、翼状部品90は、図31に概してYYとして示されているオートバイ200の中心縦方向軸の周りを回転するように動作可能な可動回転可能セクション292に取り付けられている。
【0209】
この構成の利点は、翼状部品290を任意の角度(図31に点線で概略的に示されている)に回転させて、可動方向ベクトルを有する力を提供できることである。これは、オートバイ200の縦方向軸に対して任意の方向にダウンフォースを提供するために使用することができる。この構成の利点は、オートバイ200の傾斜角に関係なく、翼状部品290を回転させて、例えば、固定された方向(例えば、垂直下向き)に力を提供できることである。
【0210】
図32は、回転時のオートバイ200の概略図を示している。様々な力が示されており、オートバイ200のカーブを切る能力は、タイヤ接地面を介して作用する摩擦力Ffによって提供される。回転時、オートバイ200の重心と接地面との間の高さLによって作り出されるモーメントのために、オートバイ200は傾斜するように要求される。これにより、オートバイをターン(turn)の外側に向けて回転させるように作用する外向きの力Fcが作り出される。これは、従来、オートバイを傾斜することによって打ち消され、その結果、重心の位置に起因する下向きの力mgの水平成分が、傾きモーメントを打ち消し、オートバイが回転時に安定することを保証する。
【0211】
しかしながら、本発明の回転可能な翼状部品290を使用することにより、力Fwをターンの方に内向きに加えて、要求されたモーメントを打ち消すことができる。したがって、所与の回転半径及び速度に対してオートバイ200の傾斜角を低減することが可能である。オートバイの傾斜角が所与の速度に対する最大コーナリング半径を決定する可能性がある特定の状況では、傾斜角を低減することができることにより、オートバイはより迅速且つより安全に回転できる可能性がある。
【0212】
図32では、力Fcを直接打ち消す力Fwを加えるために、翼状部品が実質的に垂直に示されている。これは、力Fwの中心が重心Cgと一致する場合に限り適切である可能性がある。
【0213】
そうでない場合、オートバイ200の傾きに関係なく、翼状部品が常に下方向にダウンフォースFwを提供することを確実にすることが好ましい場合がある。換言すると、翼状部品290は水平位置に維持される。繰り返すが、これにより、追加の力が加えられるため、回転時のオートバイ200の傾きが減少する。
【0214】
オートバイ用タイヤの重大な問題は、半円形の断面は大きな接地面を許容しないことである。回転可能な翼状部品290を注意深く調整することにより、オートバイが傾きなしで、又は最小限の傾きのみでカーブを切ることを可能にすることがあり得る。これにより、より平坦でより正方形の輪郭を有するタイヤ(車のタイヤなど)を使用して、路面でのタイヤの接地面を増やすことができる。
【0215】
図示された実施例を特に参照して本発明の実施形態を記載してきた。特定の例が図面に示され、本明細書で詳細に記載されているが、図面及び詳細な記載は、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。本発明の範囲内で記載される実施例に対して変更及び修正を行うことができることが理解されよう。
図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
【外国語明細書】