(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164819
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】子宮内膜癌のマーカとしてのCTNB1
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
G01N33/68
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131042
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2020502167の分割
【原出願日】2018-07-20
(31)【優先権主張番号】17382483.0
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】512274953
【氏名又は名称】フンダシオ オスピタル ウニベルシタリ バル デブロン-インスティテュート デ レセルカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス ガルシア,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】コラス オルテガ,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ギル モレノ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】レベントス プッチジャネー,ジャウメ
(72)【発明者】
【氏名】ドモン,ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ルシュール,アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】カンポイ モンカヨ,イレーネ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、1つ以上のタンパク質の発現レベルを検出することにより、入手が容易な単離サンプル中の子宮内膜癌の診断及び予後を行う方法を提供する。特に、子宮液サンプルからである。本発明は、疾患の診断及び予後に使用するための前記タンパク質を検出する手段を含むキットも提供する。
【解決手段】女性生殖管からの子宮液サンプル中の、以下のタンパク質:PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3及びMX1の1以上の発現レベルを決定することを含む、子宮内膜癌(EC)の予後のための方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性生殖管からの子宮液サンプル中のCTNB1の発現レベルを判定することを含む、
子宮内膜癌の鑑別診断の方法。
【請求項2】
前記子宮液サンプルが、女性生殖管からの子宮吸引液サンプルである、請求項1に記載
の方法。
【請求項3】
以下のタンパク質:MMP9、AGRIN、CAPG、HSPB1及びXPO2の1つ
以上の発現レベルを判定することを含む、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
以下のタンパク質:PIGR、VIME、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CA
DH1、CD44、LEG3、LEG1、AGR2、BCAM、PODXL、CD59、
CLD6、IF2B3、PLD3及びMX1の1つ以上の発現レベルを判定することを含
む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
以下のタンパク質:PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GS
TP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、CAYP1、
SG2A1、LDHA、PERM、OSTP、SPIT1、NAMPT、CASP3、K
2C8、MUC1、ANXA1、ANXA2、FABP5及びWFDC2の1つ以上の発
現レベルを判定することをさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP1、
GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL及びLDHAからなる群
から選択される1つのタンパク質の発現レベルを判定することをさらに含む、請求項1か
ら5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
子宮吸引物から単離されたエクソソーム含有画分におけるCLD6、BCAM、IF2
B3、PLD3及びMX1からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の発現レベル
を判定することをさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
LAMP、MMP9、PIGR;AGRIN、MMP9、PIGR;AGR2、PIG
R、PLD3;AGR2、BCAM、PODXL;BCAM、PODXL;PIGR、P
LD3;BCAM、PIGR;CLD6、RAB8A;CLD6、PODXL;BCAM
、RL29;BCAM、PODXL;CLD6、PPIA、AGRIN、BCAM;AN
XA、BCAM;BCAM、RAB8A;BCAM、SYIC;CLD6、IFB3;及
び表Cに挙げるセットからなる群から選択される少なくとも1セットのタンパク質の発現
レベルを判定することを含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
子宮内膜癌の前記鑑別診断が、類内膜子宮内膜癌を非類内膜子宮内膜癌及び非癌と区別
することによって判定される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記発現レベルがタンパク質レベルで判定される、請求項1~9のいずれかに記載の方
法。
【請求項11】
前記タンパク質レベルが、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化学発
光アッセイ、電気化学アッセイ、質量分析及びその組合せからなる群から選択されるアッ
セイ又は技術によって判定される、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
タンパク質の前記発現レベルが、該タンパク質に結合することができる抗体又はそのフ
ラグメントを使用して判定される、請求項10~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記抗体又はそのフラグメントがキットの一部を形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
女性生殖管からの子宮液サンプル中の子宮内膜癌の予後のためのインビトロマーカとし
てのPIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH
1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MM
P9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3及びMX1からなる群から選択される
タンパク質の1つ以上の使用。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法における、子宮内膜癌の予後のための、P
IGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、C
D44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、
CD59、CLD6、IF2B3、PLD3及びMX1からなる群から選択されるタンパ
ク質の1つ以上の使用。
【請求項16】
子宮内膜癌の予後のためのキットの使用であって、固体担体並びに以下のタンパク質P
IGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、C
D44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、
CD59、CLD6、IF2B3、PLD3及びMX1の1つ以上の発現レベルを検出す
る手段、並びに任意に以下のタンパク質XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1
、KPYM、ENOA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPI
S、NGAL及びLDHAの1つ以上の発現レベルを検出する手段を含む、キットの使用
。
【請求項17】
固体担体並びにLAMP、MMP9、PIGR;AGRIN、MMP9、PIGR;A
GR2、PIGR、PLD3;AGR2、BCAM、PODXL;BCAM、PODXL
;PIGR、PLD3;BCAM、PIGR;CLD6、RAB8A;CLD6、POD
XL;BCAM、RL29;BCAM、PODXL;CLD6、PPIA、AGRIN、
BCAM;ANXA、BCAM;BCAM、RAB8A;BCAM、SYIC;CLD6
、IFB3;及び表Cに挙げるセットからなる群から選択される少なくとも1セットのタ
ンパク質の発現レベルを検出する手段を含む、請求項16に記載のキットの使用。
【請求項18】
前記タンパク質の発現レベルを検出する手段が、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、
蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ、質量分析及びその組合せからなる
群から選択されるアッセイ又は技術を実施する手段である、請求項16~17のいずれか
に記載のキットの使用。
【請求項19】
前記タンパク質の発現レベルを検出する手段が抗体又はそのフラグメントである、請求
項16~18のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
固体担体並びにPIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC
2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PO
DXL、MMP9、CD59、CLD6、BCAM、IF2B3、PLD3、MX1、X
PO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP1、GT
R1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL及びLDHAからなる群から
選択される1つ以上のタンパク質の発現レベルを検出する手段を含む、キット。
【請求項21】
固体担体並びにLAMP、MMP9、PIGR;AGRIN、MMP9、PIGR;A
GR2、PIGR、PLD3;AGR2、BCAM、PODXL;BCAM、PODXL
;PIGR、PLD3;BCAM、PIGR;CLD6、RAB8A;CLD6、POD
XL;BCAM、RL29;BCAM、PODXL;CLD6、PPIA、AGRIN、
BCAM;ANXA、BCAM;BCAM、RAB8A;BCAM、SYIC;CLD6
、IFB3;及び表Cに挙げるセットからなる群から選択される少なくとも1セットのタ
ンパク質の発現レベルを検出する手段を含む、キット。
【請求項22】
MMP9、PODXL、RAB8A;MMP9、PODXL、RSSA;AGRIN、
MMP9、PODXL;MMP9、PODXL、VAMP8;MMP9、MX1;MMP
9、RSSA;MMP9、MVP;MMP9、RAB8A;MMP9、VAMP8;BC
AM、MMP9;MMP9、AGRIN;AGRIN、CD81、TERA;AGRIN
、CD59、MVP;AGR2、AGRIN、CD81;AGRIN、CD166、MV
P;AGRIN、CD81;AGRIN、CD166;AGRIN、CD59;AGRI
N、MMP9;及び表Dに挙げるタンパク質のセットからなる群から選択される少なくと
も1セットのタンパク質の発現レベルを検出する手段をさらに含む、請求項21に記載の
キット。
【請求項23】
前記タンパク質の発現レベルを検出する手段が、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、
蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ、質量分析及びその組合せからなる
群から選択されるアッセイ又は技術を実施する手段である、請求項20~22のいずれか
に記載のキット。
【請求項24】
前記タンパク質の発現レベルを検出する手段が抗体又はそのフラグメントである、請求
項20~23のいずれかに記載のキット。
【請求項25】
酵素結合免疫吸着アッセイを実施するためのキットである、請求項20~24のいずれ
かに記載のキット。
【請求項26】
個々のサンプルを分類するためのパンネルダイヤグラムをさらに含む、請求項20~2
5のいずれかに記載のキット。
【請求項27】
請求項1~13のいずれかに記載の方法を実施するためのコンピュータ実装方法であっ
て、ECの診断及び/又は予後のためにタンパク質の1つ以上の発現レベルを判定した後
、前記レベルに値及び/又はスコアが与えられ、計算値を得るために数式で任意に計算さ
れ、前記レベル、スコア及び/又は計算値の機能において、ECに罹患している若しくは
罹患していない選択肢の間で、及び/又は異なるECサブタイプ間で罹患している選択肢
の間で決定がなされる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年7月21日に出願された欧州特許出願EP17382483.0
の利益を主張する。
【0002】
本発明は、子宮内膜癌の診断及び予後に関する。
【背景技術】
【0003】
子宮内膜癌(endometrial cancer、EC)は、女性生殖管の最も頻
繁に認められる浸潤性腫瘍であり、先進国の女性で4番目に多い癌であり、米国では20
17年に診断症例数が61380件、推定死亡者10,920名となっている。現在、E
C症例の70%は疾患の初期段階で診断され、初期段階では腫瘍はまだ子宮内膜内に局在
し、96%の全5年生存率に関連付けられる。しかし、EC患者の30%は、5年生存率
の大幅な低下に関連付けられる、疾患の進行期にのみ診断され、5年生存率は、子宮筋層
浸潤及び/又はリンパ節の罹患が既に存在する場合、67%に低下し、遠隔転移の場合は
18%に低下する。したがって、早期診断を改善することは、ECを適切に管理し、疾患
に関連する死亡率を低下させるための主要な課題である。
【0004】
EC患者を早期発見するには、ECと診断される女性の93%に存在する異常な膣出血
などの症状が存在すると有利であるが、他の多くの良性の疾患によって同様の症状が引き
起こされる。良性の子宮内膜病変の患者とECの患者の区別は、骨盤検査及び経膣超音波
検査からなる冗長な診断過程の後、子宮内膜生検の確認用の組織病理学的検査を行った後
にのみ達成される。この手順で使用される好ましい生検は、子宮吸引物及び/又はpip
elle生検と呼ばれ、子宮腔内からの子宮内膜液の低侵襲吸引によって得られる。現行
の子宮吸引物の診断手順は細胞物質の存在に依存しているため、この過程は残念ながら診
断の失敗を伴い、関連する不適切なサンプリング率はそれぞれ8%及び15%である。不
適切なサンプリング率は、閉経後の女性では12%及び22%まで上昇する。これらの症
例では、子宮鏡により誘導される生検を行う必要があり、この侵襲的な技法によって、子
宮穿孔、出血及び他の臓器に及ぼし得る害を含む合併症のリスクが上昇する。
【0005】
これまで、主に組織及び血清サンプル中のECタンパク質バイオマーカを同定するため
に多くの研究が行われてきた(例えば非特許文献1又は2参照のこと)。そのいずれも臨
床的有用性につながっていない。
【0006】
生検は腫瘍組織学及び腫瘍グレードに関する情報を与えて、EC患者のリスク層別化に
役立ち、外科的病期分類手順を導くはずであるが、残念ながら、検査に利用できる細胞の
数が限定され、病理学的解釈における観察者間のばらつきが大きいため、生検と最終子宮
摘出標本間のECの組織型及びグレードの不一致が40~50%生じる。したがって、E
C腫瘍の組織型と悪性度の診断、予後、術前評価を改善する高感度、特異的、再現性のあ
るバイオマーカの同定は、EC患者を適切に管理し、この疾患に関連する死亡率及び罹患
率を低下させるためにきわめて重要である。
【0007】
ECのサブタイプ又は発現変種(manifestations variety)の
中で、類内膜子宮内膜癌(EEC)はECで最も一般的な組織構造であり、非類内膜EC
症例(NEEC)と比較すると予後は良好である。NEECは全EC症例の約20%に相
当するが、ECの再発及び死亡の50%超を占めている。NEECの中で、漿液性EC(
SEC)は最も一般的なサブタイプである。転帰が異なるこれら2つの組織構造を区別す
るために利用できる検査はない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】DeSouza LV,et al,“Endometrial cancer biomarker discovery and verification using differentially tagged clinical samples with multidimensional liquid chromatography and tandem mass spectrometry”, Mol Cell Proteomics MCP-2007,vol.no.6,pp.:1170-8
【非特許文献2】Kemik P, et al.“Diagnostic and prognostic values of preoperative serum levels of YKL-40,HE-4and DKK-3 in endometrial cancer”,Gynecol Oncol-2016;vol.no.140,pp.:64-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
結論として、費やした労力にもかかわらず、高い感度と特異性で子宮内膜癌の診断及び
予後さえも可能にするバイオマーカの必要性、特に臨床診療のためのバイオマーカの必要
性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、子宮液から単離したエクソソーム中に検出可能なあるタンパク質マーカに
よって、子宮内膜癌(EC)の貴重な診断情報を提供することを突き止めた。これらのタ
ンパク質の多くは、エクソソーム画分を単離することなく、子宮液自体において検証され
た。したがって、このタンパク質は、子宮液中で分析した場合に、ECと非癌対照を高い
感度及び特異性で区別可能にする、有意義な診断バイオマーカである。
【0011】
更に本発明者らは、子宮液及び子宮液のエクソソーム画分において検出できるいくつか
のタンパク質が子宮内膜癌(EC)の有意義な予後バイオマーカであることを突き止めた
。これらのタンパク質によって、子宮内膜癌のサブタイプを高い感度と高い特異性で区別
できるようになるため、これらのサブタイプ間での偽陽性及び偽陰性の分類のリスクを最
小限に抑えることができる。
【0012】
更に、侵襲的診療なしで得られるサンプル中で、例えば更にEC診断における通常のサ
ンプルタイプである子宮液サンプル中で検出可能なタンパク質であることにより、EC患
者分類及び管理の臨床診療における真の利点と改善が想定される。
【0013】
発明者らは以前の研究で、子宮吸引物の液画分がECタンパク質バイオマーカのスクリ
ーニングに重要な価値を有することを示した(例えば、Martinez-Garcia
E,et al.“Development of a sequential wo
rkflow based on LC-PRM for the verificat
ion of endometrial cancer protein biomar
kers in uterine aspirate samples”,Oncota
rget-2016,vol.no.7(33),pp.:53102-53114を参
照のこと)。この文献では、LC-PRMに基づいたシーケンシャルワークフロで実施さ
れた研究を示し、発見と臨床診療のギャップを埋めるバイオマーカ検証フェーズの重要性
を示している。この研究は、非EC患者(対照)からEC患者を診断するための26のタ
ンパク質の利点を強調した。
【0014】
子宮液のエクソソーム中で同定されたECの新たな診断バイオマーカに関して、本発明
の一態様は、ECの診断方法であって、本方法は、女性生殖管からの子宮液サンプル中の
AGRIN、MVP、VAMP8、SYIC、RAB8A、MX1、IMB1、CLIC
1、SMD3、ILF2、TERA、RL11、BCAM、ANXA2、LAT1、RU
VB1、SH3L3、RPL13A、RS16、RSSA、RL12、PDIA1、RL
29、PPIA、AGR2、MMP9、KPYM、TACD2、FAS、SORT、LA
T1、ADA10、ITA3、RUXE、PSMD2、VPS35、ANXA4、PLD
3、SSRA、LAMP2、PODXL、CLD6、IF2B3、CD59、MLEC、
PGBM、S10AC、CD14、H10、CD81、AR6P1、VAC14、ITB
3及びCD166からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを判定する
ことを含む。
【0015】
本発明の別の態様は、女性生殖管からの子宮液サンプル中のECを診断するためのイン
ビトロマーカとしての、AGRIN、MVP、VAMP8、SYIC、RAB8A、MX
1、IMB1、CLIC1、SMD3、ILF2、TERA、RL11、BCAM、AN
XA2、LAT1、RUVB1、SH3L3、RPL13A、RS16、RSSA、RL
12、PDIA1、RL29、PPIA、AGR2、MMP9、KPYM、TACD2、
FAS、SORT、LAT1、ADA10、ITA3、RUXE、PSMD2、VPS3
5、ANXA4、PLD3、SSRA、LAMP2、PODXL、CLD6、IF2B3
、CD59、MLEC、PGBM、S10AC、CD14、H10、CD81、AR6P
1、VAC14、ITB3及びCD166からなる群から選択されるタンパク質の1以上
の使用である。この態様は、対象において1以上の子宮内膜癌マーカを検出するインビト
ロ法として構築することもでき、方法は、(a)女性生殖管から液体サンプルを取得する
こと、並びに(b)女性生殖管からの子宮液サンプル中のAGRIN、MVP、VAMP
8、SYIC、RAB8A、MX1、IMB1、CLIC1、SMD3、ILF2、TE
RA、RL11、BCAM、ANXA2、LAT1、RUVB1、SH3L3、RPL1
3A、RS16、RSSA、RL12、PDIA1、RL29、PPIA、AGR2、M
MP9、KPYM、TACD2、FAS、SORT、LAT1、ADA10、ITA3、
RUXE、PSMD2、VPS35、ANXA4、PLD3、SSRA、LAMP2、P
ODXL、CLD6、IF2B3、CD59、MLEC、PGBM、S10AC、CD1
4、H10、CD81、AR6P1、VAC14、ITB3及びCD166から選択され
る、ECの診断の情報を与える、少なくとも1つの子宮内膜癌マーカの量をサンプル中で
検出することを含む。一般に、女性生殖管から単離された子宮液サンプル中の子宮内膜癌
を診断するためのインビトロマーカとしての、AGRIN、MVP、VAMP8、SYI
C、RAB8A、MX1、IMB1、CLIC1、SMD3、ILF2、TERA、RL
11、BCAM、ANXA2、LAT1、RUVB1、SH3L3、RPL13A、RS
16、RSSA、RL12、PDIA1、RL29、PPIA、AGR2、MMP9、K
PYM、TACD2、FAS、SORT、LAT1、ADA10、ITA3、RUXE、
PSMD2、VPS35、ANXA4、PLD3、SSRA、LAMP2、PODXL、
CLD6、IF2B3、CD59、MLEC、PGBM、S10AC、CD14、H10
、CD81、AR6P1、VAC14、ITB3及びCD166からなる群から選択され
るタンパク質の1以上の使用が含まれる。
【0016】
上掲の1以上のタンパク質を用いたECの診断は、これらのタンパク質の発現レベルを
判定する手段を含むキットを使用して行うことができる。このため、固体担体並びに1以
上の以下のタンパク質AGRIN、MVP、VAMP8、SYIC、RAB8A、MX1
、IMB1、CLIC1、SMD3、ILF2、TERA、RL11、BCAM、ANX
A2、LAT1、RUVB1、SH3L3、RPL13A、RS16、RSSA、RL1
2、PDIA1、RL29、PPIA、AGR2、MMP9、KPYM、TACD2、F
AS、SORT、LAT1、ADA10、ITA3、RUXE、PSMD2、VPS35
、ANXA4、PLD3、SSRA、LAMP2、PODXL、CLD6、IF2B3、
CD59、MLEC、PGBM、S10AC、CD14、H10、CD81、AR6P1
、VAC14、ITB3及びCD166の発現レベルを検出する手段を含むキットも本発
明の態様である。
【0017】
本発明の別の態様は、ECの診断のための、上記で定義したタンパク質の1以上を判定
する手段を含むキットの使用である。
【0018】
ECの診断に関連する更なる態様は、ECに罹患した疑いのある対象を同定する方法で
あって、
a)女性の子宮液サンプル中のAGRIN、MVP、VAMP8、SYIC、RAB8
A、MX1、IMB1、CLIC1、SMD3、ILF2、TERA、RL11、BCA
M、ANXA2、LAT1、RUVB1、SH3L3、RPL13A、RS16、RSS
A、RL12、PDIA1、RL29、PPIA、AGR2、MMP9、CLIC1、B
CAM及びKPYMからなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルをインビ
トロで判定するステップ、
b)子宮液から分離されたエクソソーム含有画分中のAGRIN、MVP、TACD2
、FAS、VAMP8、SYIC、SORT、LAT1、TERA、RUVB1、RS1
6、RSSA、SMD3、ADA10、RPL13A、RL11、IMB1、AGR2、
ITA3、RUXE、RL12、PSMD2、MX1、VPS35、ILF2、PDIA
1、ANXA4、MMP9、RAB8A、SH3L3、RL29、PLD3、PPIA、
ANXA2、SSRA、LAMP2、PODXL、CLD6、IF2B3、CD59、M
LEC、PGBM、S10AC、CD14、H10、CD81、AR6P1、VAC14
、ITB3及びCD166からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを
インビトロで任意に判定するステップ、並びに
c)ステップ(a)のレベル及び任意にステップ(b)のレベルを基準対照レベルと比
較するステップを含み、ステップ(a)にて判定されたレベル及び任意にステップ(b)
にて判定されたレベルが基準対照レベルよりも高い場合、対象が子宮内膜癌に罹患してい
る疑いがあることを示す、方法を提供する。
【0019】
更なる態様において、本発明は、子宮内膜癌に罹患している疑いのある対象の医療レジ
メンを開始するか否かを決定又は推奨する方法であって、
a)女性の子宮液サンプル中のAGRIN、MVP、VAMP8、SYIC、RAB8
A、MX1、IMB1、CLIC1、SMD3、ILF2、TERA、RL11、BCA
M、ANXA2、LAT1、RUVB1、SH3L3、RPL13A、RS16、RSS
A、RL12、PDIA1、RL29、PPIA、AGR2、MMP9及びKPYMから
なる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルをインビトロで判定するステップ
、
b)子宮液から分離されたエクソソーム含有画分中のAGRIN、MVP、TACD2
、FAS、VAMP8、SYIC、SORT、LAT1、TERA、RUVB1、RS1
6、RSSA、SMD3、ADA10、RPL13A、RL11、IMB1、AGR2、
ITA3、RUXE、RL12、PSMD2、MX1、VPS35、ILF2、PDIA
1、ANXA4、MMP9、RAB8A、SH3L3、RL29、PLD3、PPIA、
ANXA2、SSRA、LAMP2、PODXL、CLD6、IF2B3、CD59、M
LEC、PGBM、S10AC、CD14、H10、CD81、AR6P1、VAC14
、ITB3及びCD166からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを
インビトロで任意に判定するステップ、並びに
c)ステップ(a)のレベル及び任意にステップ(b)のレベルを基準対照レベルと比
較するステップを含み、ステップ(a)にて判定されたレベル及び任意にステップ(b)
にて判定されたレベルが基準対照レベルよりも高い場合、対象が子宮内膜癌に罹患してい
る疑いがあることを示し、
i)対象が子宮内膜癌に罹患している、又は子宮内膜癌に罹患している疑いがあると診
断された場合、医療レジメンの開始が推奨される、及び
ii)患者が子宮内膜癌に罹患していないと診断された場合、医師による患者の検査結
果を考慮して、フォローアップが任意に実施される、
方法を提供する。
【0020】
検査サンプルのマーカレベルを判定することにより、サンプルで検出されたレベルが疾
患の伸展(即ち重症度)を反映し得るため、当業者は更に、どれが推奨できる最も適切な
治療法であるかを確定することができる。
【0021】
子宮液中のECの新しい予後バイオマーカに関連して、本発明の第1の態様は、子宮内
膜癌の鑑別診断の方法であって、女性生殖管からの子宮液サンプル中のCTNB1の発現
レベルを判定することを含む方法である。
【0022】
別の態様は、子宮内膜癌の予後の方法であって、女性生殖管からの子宮液サンプル中の
PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、
CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9
、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3及びMX1の1以上のタンパク質の発現レ
ベルを判定することを含む方法である。
【0023】
該方法が重要な診断及び予後情報を与えるのは、ECの2つの異なる組織学的症状発現
、即ち類内膜子宮内膜癌(EEC)と非類内膜子宮内膜癌(NEEC)が鑑別可能である
ので、正確な予後診断が可能となるためであり、EECはより良好な、起こりがちな転帰
(即ち、より良い予後)である。言い換えれば、子宮液サンプル中のタンパク質の判定に
より、EECとNEECを鑑別診断することができる。
【0024】
以下の例に示すように、上述のタンパク質により、EECに罹患した患者及びNEEC
に罹患した患者による単離サンプルにて、タンパク質が差次的に発現したという点で、E
Cの診断又はECの正確な予後のいずれも可能となった。診断的価値のあるタンパク質は
、非ECサンプル(健常対照)との関係において、EC対象の子宮液サンプルにおける差
次的発現のために、差次的に検出することができる。NEEC腫瘍にて増加したCAPG
を除き、NEECサブタイプのレベルと比較して、EECサブタイプでは予後値を有する
タンパク質が有意に増加した。そのためそのタンパク質によって、最も一般的な組織学的
サブタイプの腫瘍の分類が可能となった。そのタンパク質はこのため、診断、予後及び/
又は術前リスク評価を改善するための、並びに最適な外科的治療の予測を支援するための
有用なツールである。以下にまた示すように、ECサンプルと非ECサンプルを正確な区
別が可能であり、EC組織型(0.99のAUC)も正確に区別する、これら及び他のタ
ンパク質を含むいくつかのタンパク質パネル(タンパク質の組合せ)が開発されている。
これらのパネルを組織病理学的検査と組合せると、より侵襲的な診断サンプリングが必要
なくなり、EC患者の最適な外科的治療を予測する助けとなることが期待される。
【0025】
したがって、一般的には、本発明の一態様は、子宮内膜癌(EC)の予後の方法であっ
て、女性生殖管からの子宮液サンプル中のPIGR、VIME、CTNB1、CAYP1
、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、A
GR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3
及びMX1の1以上のタンパク質の発現レベルを判定することを含む、方法である。
【0026】
本発明の第2の態様は、女性生殖管からの子宮液サンプル中のECの予後を判定するた
めのインビトロマーカとしてのPIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A
1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、B
CAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3及びMX1
からなる群から選択されるタンパク質の1以上の使用である。この態様は、対象における
1以上の子宮内膜癌マーカを検出するためのインビトロ法であって、(a)女性生殖管か
ら液体サンプルを取得するステップ、並びに(b)サンプル中でPIGR、VIME、C
TNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、L
EG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、
IF2B3、PLD3及びMX1から選択される少なくとも1つの子宮内膜癌マーカの量
を検出するステップであって、マーカがEEC及びNEECの鑑別診断の情報を与える、
ステップを含む方法として構築することもできる。一般に、女性生殖管からの単離された
子宮液サンプル中の子宮内膜癌の予後を判定するためのインビトロマーカとしてのPIG
R、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD4
4、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、PODXL、MMP9、CD59、CL
D6、BCAM、IF2B3、PLD3及びMX1からなる群から選択されるタンパク質
の1以上の使用が含まれる。
【0027】
第3の態様において、本発明は、第1の態様の方法における子宮内膜癌の予後のための
、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1
、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP
9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3及びMX1からなる群から選択されるタ
ンパク質の1以上の使用を提供する。即ち、タンパク質はEECとNEECを鑑別診断す
るために使用される。
【0028】
重要なことには、本発明のタンパク質バイオマーカの目的は、病院で広く利用可能な免
疫化学、化学発光アッセイ又はELISAなどの簡単で低コストの方法により評価できる
。結果として、これらのタンパク質バイオマーカは、日常的な臨床診断及び/又は予後キ
ットとして容易に実装でき、医療制度のコストが低減される。加えて、本発明により提供
されるバイオマーカに基づく診断キット検査は、診断及び予後の現在の方法を改善するこ
とができ、子宮吸引物に疾患の貴重な診断及び予後情報を与える能力を付与する。
【0029】
したがって、第4の態様において、本発明は、ECの予後のためのキットの使用を提供
し、該キットは、固体担体並びに以下のタンパク質PIGR、VIME、CTNB1、C
AYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CA
PG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、
PLD3及びMX1の1以上の発現レベルを検出する手段、並びに任意に以下のタンパク
質XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP1、
GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL及びLDHAの1以上の
発現レベルを検出する手段を含む。
【0030】
本態様は、ECの予後で使用するための、固体担体並びに以下のタンパク質PIGR、
VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、
LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59
、CLD6、IF2B3、PLD3及びMX1の1以上の発現レベルを検出する手段、並
びに任意に以下のタンパク質XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM
、ENOA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGA
L及びLDHAの1以上の発現レベルを検出する手段を含むキットとして構築することも
できる。
【0031】
本発明の方法及び使用の実施を容易にする新しいキットが開発されている。このため、
第5の態様において、本発明は、固体担体並びにPIGR、VIME、CTNB1、CA
YP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAP
G、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、P
LD3、MX1、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA
、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL及びLD
HAからなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを検出する手段を含むキ
ットも提供する。
【0032】
追加の態様は、固体担体並びにLAMP、MMP9、PIGR;AGRIN、MMP9
、PIGR;AGR2、PIGR、PLD3;AGR2、BCAM、PODXL;BCA
M、PODXL;PIGR、PLD3;BCAM、PIGR;CLD6、RAB8A;C
LD6、PODXL;BCAM、RL29;BCAM、PODXL;CLD6、PPIA
;AGRIN、BCAM;ANXA、BCAM;BCAM、RAB8A;BCAM、SY
IC;CLD6、IFB3;及び表Cに挙げるセットからなる群から選択される少なくと
も1セットのタンパク質の発現レベルを検出する手段を含むキットである。
【0033】
追加の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の方法における子宮内膜癌の予後
のための、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、C
ADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL
、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、MX1の発現レベルを判定す
る手段の使用を提供する。このため、これはEECとNEECの鑑別診断のための手段で
ある。本発明の第1の態様の方法における子宮内膜癌の予後のための、PIGR、VIM
E、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG
3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CL
D6、IF2B3、PLD3、MX1の発現レベルを判定する手段及び任意にXPO2、
PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP1、GTR1、C
H10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL及びLDHAの発現レベルを判定する
手段の使用も提供される。
【0034】
更なる態様において、本発明は、NEECのEECを鑑別診断することによって、子宮
内膜癌に罹患している疑いのある対象を同定する、及び更にECサブタイプを同定する方
法であって、
a)対象の女性生殖管の子宮液サンプル中のPIGR、VIME、CTNB1、CAY
P1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG
、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PL
D3、MX1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベル並びに任意にタ
ンパク質XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GST
P1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL及びLDHAの1
以上のタンパク質の発現レベルをインビトロで判定するステップ、並びに
b)ステップ(a)のレベルを基準対照レベルと比較するステップであって、ステップ
(a)で判定したレベルがPIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、
WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、AGR2、BCAM、POD
XL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、MX1の基準対照レベル
よりも高く、CAPGの基準対照レベルよりも低い場合、対象がNEECに罹患している
及びEECに罹患している疑いがあることを示す、ステップ、を含む方法を提供する。
【0035】
本発明のこの態様において、基準対照レベルは、非EC及びNEECサンプルから不明
瞭に選択される。上で明るみになったように、CAPGを除いて、EECの発現レベルは
NEECの発現レベルよりも高い。更に、CADH1、CAPG、CTNB1及びCD4
4のレベルも、非EC(癌なし)対照サンプルよりも高い。
【0036】
更なる態様において、本発明は、予後の機能における、子宮内膜癌に罹患している対象
の医療レジメンを開始するか否かを決定又は推奨する方法であって、
a)対象の女性生殖管からの子宮液サンプル中の、PIGR、VIME、CTNB1、
CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、C
APG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3
、PLD3、MX1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベル及び任意
にタンパク質XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、G
STP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL及びLDHA
の1以上の発現レベルをインビトロで判定するステップ、並びに
b)検査サンプル中のタンパク質レベルがPIGR、VIME、CTNB1、CAYP
1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、AGR2、
BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、MX1
の基準対照レベルよりも高く、及びCAPGの基準対照レベルよりも低い場合、EECと
NEECを区別することによってECの予後を確立するステップ、
を含み、
i)対象が子宮内膜癌に罹患している、又は子宮内膜癌に罹患している疑いがあると診
断され、対象がEECに罹患していると鑑別診断された場合、EECの医療レジメンの開
始が推奨され;
ii)対象が子宮内膜癌に罹患している、又は子宮内膜癌に罹患している疑いがあると
診断され、対象がNEECに罹患していると鑑別診断された場合、NEECの医療レジメ
ンの開始が推奨され、及び
検査サンプルのマーカレベルを判定することにより、サンプル中で検出されたレベルが
疾患の攻撃性を反映し得るため、当業者が更に、推奨できる最も好適な治療法を確立でき
る、方法を提供する。
【0037】
最後に、本発明の別の態様は、上記の態様で定義された診断及び/又は予後の方法のい
ずれかを実施するためのアルゴリズムを提供することである。本発明の意味において、「
アルゴリズム」という用語は、個々のサンプルを正しく分類するためのパンネル又は決定
ダイヤグラム、予測子、及びデータの組合せの同義語でもある。
【0038】
本発明の態様及び実施形態により、ECの診断及び予後を、上記のECの診断及び予後
のバイオマーカの1以上を含む生体分子、タンパク質、抗体及び/又はmRNAの検出可
能なレベルを評価する数学的アルゴリズムを、他の臨床パラメータと併せて、又は他の臨
床パラメータから独立して使用して行って、健常な患者、子宮内膜の非悪性疾患の患者、
子宮内膜の前悪性疾患の患者、子宮内膜癌の患者に由来するものとして個々のサンプル
を正しく分類することができ、又は上記のように、子宮内膜癌の特定の組織学的サブタイ
プを有する対象、特定の組織学的グレード若しくは病期を有する対象、若しくはECの特
定の分子サブタイプを有する対象に由来するものとして個々のサンプルを更に分類するこ
とができる。
【0039】
分類アルゴリズムは、測定した特定のバイオマーカ又はバイオマーカのサブセットの量
が特定のカットオフ数を上回るか下回るかの判定と同程度に容易であり得る。複数のバイ
オマーカを使用する場合、分類アルゴリズムは線形回帰式であり得る。又は、分類アルゴ
リズムは、いくつかの学習アルゴリズムのいずれかの積であってもよい。複雑な分類アル
ゴリズムの場合、コンピュータ、例えばプログラム可能なデジタルコンピュータを使用し
て、データに対してアルゴリズムを実行し、それによって分類を判定することが必要であ
り得る。どちらの場合でも、次いで例えばメモリドライブ若しくはディスクなどのコンピ
ュータで読み取り可能な形式で、又は単に紙に印刷して、有形の媒体に状態を記録するこ
とができる。結果はコンピュータ画面に表示することもできる。このアルゴリズムは、診
断及び/又は予後法として使用され、特に前の態様で開示した方法を実施するためのキッ
トの一部である。
【0040】
レベル、スコア、及び/又は計算値の関数におけるECの診断及び/又は予後のための
タンパク質の1以上の発現レベルの判定後、前悪性病変及び/若しくはECの罹患の有無
の選択肢、並びに/又は異なるECサブタイプ間の罹患の選択肢の間で決定がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、NEECからEECを区別するマーカのROC曲線を示し、具体的にはNEECの症例は漿液性子宮内膜癌(SEC)である。CTNB1、XPO2、CAPGそれぞれの感度及び特異性並びに3つの組合せ(又はタンパク質のパネル)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
発明の詳細な説明
【0043】
本出願において本明細書で使用される全ての用語は、別途記載しない限り、当分野で既
知であるような通常の意味で理解されるものとする。本出願で使用するある用語の他のよ
り具体的な定義は、後述の通りであり、明示的に定義された定義がより広い定義を提供し
ない限り、明細書及び請求項全体に均一に適用されるものである。
【0044】
本発明は、女性生殖管液中の子宮内膜癌の診断及び予後のための新たなバイオマーカを
提供する。
【0045】
「診断」という用語は、当業者に既知である。「診断」は、本明細書で使用する場合、
対象における特定の医学的状態の合併症若しくはリスクを認識するようになること、疾患
若しくは状態の性質を判定すること、又は、ある疾患若しくは状態を別のものと区別する
こととして理解される。これは、考えられる疾患又は障害を判定又は同定しようとする方
法、及びその方法によって到達した意見の両方を示す。診断は、診断手順の意味で、治療
及び予後に関する医学的決定を可能にする別個の異なるカテゴリに、個人の状態を分類す
る試みとみなすことができる。続いて、診断上の意見は、疾患又は他の状態の観点から説
明されることが多い。しかし、診断は多くの形をとることができる。診断は、存在を検知
し、疾患、病変、機能不全又は障害を命名することであり得る。診断は、あるカテゴリを
管理又は予後のためカテゴリに帰属させる作業であり得る。診断は、連続体の異常の程度
又は分類上の異常の種類のいずれのどちらかを示し得る。一般に、本明細書に記載する診
断マーカは、子宮内膜癌サンプル(複数のEC型を含む)に対する対照の単離サンプル(
非癌個人)において、レベル発現で差次的に検出されるタンパク質である。
【0046】
本発明の第1の態様のインビトロ方法は、(a)無症候性対象、(b)子宮内膜癌に罹
患している疑いがあると既に同定されている対象、(c)相補的な確定診断アッセイ時に
子宮内膜癌と既に診断されている対象又は(d)疾患に罹患するリスクの高い対象のサン
プルを用いて行うことができる。
【0047】
本発明において、本発明の態様のいずれかの方法において言う「基準対照レベル」とい
う用語は、所与の分子マーカ又は所与の分子マーカの組合せの、この場合、第1又は第2
の態様並びに詳細な実施形態に挙げたタンパク質のいずれかの、所定の値として理解され
るべきであり、この値はサンプル又はサンプルグループ中の分子マーカ又は複数のマーカ
のレベルから誘導される。発現レベルがタンパク質レベルで判定される場合、「基準発現
レベル」はタンパク量の所定値であるのに対して、発現レベルがmRNAレベルで判定さ
れる場合、「基準発現レベル」は、mRNA量の所定値である。サンプルは、疾患の存在
、非存在、病期、組織学的サブタイプ若しくはグレード又は経過が以前に適切に行われた
対象又は対象のグループから採取される。この値は、特に疾患の組織学的サブタイプ、子
宮内膜癌の発生又は罹患のリスクを判定するために、分析される状態が存在する対象をそ
のような状態が存在しない対象から(即ち、子宮内膜癌を有する対象を子宮内膜癌のない
対象から)区別するための閾値として使用される。この基準対照レベルは、対象の医療レ
ジメン開始の必要性及びレジメンの有効性を判定するのにも有用である。「基準対照レベ
ル」が得られる1名以上の対象は、状態が存在しない1名以上の対象、状態が存在する1
名以上の対象又はその両方を含み得る。一般知識を利用する当業者は、本発明の各方法の
基準対照レベルを得るためにより適切な対象又は対象の群を選択することができる。選択
された対象の群から基準値を得る方法は、最新技術において周知である(Burtis
C.A.et al.,2008,Chapter14,section“Statis
tical Treatment of Reference Values”)。詳細
な場合において、「基準対照レベル」は、従来のROC分析(受信者操作特性分析、Re
ceiver Operating Characteristic analysis
)によって定義されたカットオフ値である。当業者によって認識されるように、最適なカ
ットオフ値は、診断法又は予後法の特定の用途:目的、診断又は予後の対象集団、特異性
と感受性のバランスなどに従って定義される。
【0048】
「予後」とは、本明細書で使用する場合、疾患の起こり得る進行及び転帰の予測を示す
。予後は、新生物の類別(増加する退形成が新生物の攻撃性と相関するとき、新生物にお
ける細胞の分化のレベルを反復可能な用語で表現しようとする試み)、新生物の病期分類
(患者における新生物の程度を反復可能な用語で表現しようとする試み)、新生物の組織
学的サブタイプ及び新生物の分子サブタイプを含む。予後とは、本明細書で使用する場合
、詳細な実施形態において、類内膜子宮内膜癌と非類内膜子宮内膜癌との区別を意味する
。
【0049】
「女性生殖管からの液体サンプル」という用語は、女性生殖管の一部を形成する子宮器
官により生成され、吸引、例えば真空吸引によって若しくはcornier pipel
le及び/又は子宮腔から液体を回収する他の任意の方法によって採取された液体(即ち
「子宮吸引物サンプル」)を示す。このため、サンプルは子宮洗浄液を含む。本発明によ
り、流体の吸引は特に、以前の生理食塩水の注入ステップなしで行われる。即ち「吸引物
」という用語には、子宮洗浄液から生じるサンプルは含まれない。
【0050】
本発明において、「エクソソーム」は、「細胞外小胞」、「微小胞」、「エクソソーム
様小胞」又は「ユーテロソーム(uterosome)」と互換的に呼ばれ、血液、尿及
び細胞培養物の培養培地を含む多くの真核細胞液中に存在する、細胞由来小胞である。報
告されているエクソソームの直径は30~100nmであり、低密度リポタンパク質(L
DL)よりも大きいが、例えば赤血球よりもはるかに小さい。エクソソームは、多小胞体
が細胞膜と融合したときに細胞から放出されるか、又は細胞膜から直接放出される。エク
ソソームは、場合によっては診断、予後、治療に並びに健康及び疾患のバイオマーカとし
て使用することができる。「UAから単離されたエクソソーム含有画分」は、主にエクソ
ソームを含む子宮吸引物からの任意の精製画分として理解されるべきである。子宮吸引物
からエクソソームを単離する方法の非限定的な例を以下に詳述する。
【0051】
子宮液のエクソソームにて同定されたECの新たな診断バイオマーカに関する態様の詳
細な実施形態において、上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、本発明の一態
様は、サンプルが子宮液吸引物(UA)であるECの診断方法である。
【0052】
上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、ECの診断方法の別の詳細な実施形
態において、サンプルは、子宮吸引物(子宮液サンプル)から単離されたエクソソーム含
有画分であり、該方法は、AGRIN、MVP、TACD2、FAS、VAMP8、SY
IC、SORT、LAT1、TERA、RUVB1、RSSA、RS16、SMD3、A
DA10、RPL13A、RL11、IMB1、AGR2、ITA3、RUXE、RL1
2、PSMD2、MX1、VPS35、ILF2、PDIA1、ANXA4、MMP9、
RAB8A、SH3L3、RL29、PLD3、PPIA、ANXA2、SSRA、LA
MP2、PODXL、CLD6、IF2B3、CD59、MLEC、PGBM、S10A
C、CD14、H10、CD81、AR6P1、VAC14、ITB3、及びCD166
からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0053】
別の実施形態において、ECの診断方法は、UAから単離したエクソソーム含有画分中
のAGRIN、MVP、TACD2、FAS、VAMP8、SYIC、SORT、LAT
1、TERA、RUVB1、RS16、RSSA、SMD3、ADA10、RPL13A
、RL11、IMB1、AGR2、ITA3、RUXE、RL12、PSMD2、MX1
、VPS35、ILF2、PDIA1、ANXA4、MMP9、RAB8A、SH3L3
、RL29、PLD3、PPIA、ANXA2、SSRA、LAMP2、PODXL、C
LD6、IF2B3、CD59、MLEC、PGBM、S10AC、CD14、H10、
CD81、AR6P1、VAC14、ITB3、及びCD166から選択される1以上の
タンパク質の発現レベル、並びに女性生殖管からの子宮液サンプル中のAGRIN、MV
P、VAMP8、SYIC、RAB8A、MX1、IMB1、CLIC1、SMD3、I
LF2、TERA、RL11、BCAM、ANXA2、LAT1、RUVB1、SH3L
3、RPL13A、RS16、RSSA、RL12、PDIA1、RL29、PPIA、
AGR2、MMP9、及びKPYMからなる群から選択される1以上のタンパク質の発現
レベルを判定することを含み、この後者のサンプルは、エクソソームの単離又は精製は行
わない。
【0054】
詳細な実施形態において、ECの診断方法は、2以上のタンパク質、より詳細には3以
上のタンパク質、更には4以上のタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0055】
別の詳細な実施形態において、ECの診断方法は、PERM、OSTP、CTNB1、
CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、N
AMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1
、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、G
STP1、GTR1、ENOA、PDIA1、KPYM、ANXA2、及びFABP5か
らなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを判定することを更に含む。
【0056】
上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、別の詳細な実施形態において、EC
の診断方法は、UAから単離されたエクソソーム含有画分中のAGRIN、CD81、T
ERA;AGRIN、CD59、MVP;AGR2、AGRIN、CD81;AGRIN
、CD166、MVP;AGRIN、CD81;AGRIN、CD166;AGRIN、
CD59;及びAGRIN、MMP9からなる群から選択される少なくとも1セットのタ
ンパク質(即ちバイオマーカ)の発現レベルを判定すること、並びに/又は子宮吸引物中
のMMP9、PODXL、RAB8A;MMP9、PODXL、RSSA;AGRIN、
MMP9、PODXL;MMP9、PODXL、VAMP8;MMP9、MX1;MMP
9、RSSA;MMP9、MVP;MMP9、RAB8A;MMP9、VAMP8;BC
AM、MMP9;MMP9、AGRINからなる群から選択される少なくとも1セットの
タンパク質(即ちバイオマーカ)の発現レベルを判定することを含む。
【0057】
上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、更に別の詳細な実施形態において、
ECの診断方法は、(本明細書の最後に示す)表Dのリストからなる群から選択される少
なくとも1セットのタンパク質(即ちバイオマーカ)の発現レベルを判定することを更に
含む。
【0058】
本発明の別の態様は、女性生殖管からの子宮液サンプル中のECを診断するためのイン
ビトロマーカとしての、AGRIN、MVP、VAMP8、SYIC、RAB8A、MX
1、IMB1、CLIC1、SMD3、ILF2、TERA、RL11、BCAM、AN
XA2、LAT1、RUVB1、SH3L3、RPL13A、RS16、RSSA、RL
12、PDIA1、RL29、PPIA、AGR2、MMP9、KPYM、TACD2、
FAS、SORT、LAT1、ADA10、ITA3、RUXE、PSMD2、VPS3
5、ANXA4、PLD3、SSRA、LAMP2、PODXL、CLD6、IF2B3
、CD59、MLEC、PGBM、S10AC、CD14、H10、CD81、AR6P
1、VAC14、ITB3、及びCD166からなる群から選択されるタンパク質の1以
上の使用である。この態様は、対象において1以上の子宮内膜癌マーカを検出するインビ
トロ法として構築することもでき、方法は、(a)女性生殖管から液体サンプルを取得す
ること、並びに(b)女性生殖管からの子宮液サンプル中のAGRIN、MVP、VAM
P8、SYIC、RAB8A、MX1、IMB1、CLIC1、SMD3、ILF2、T
ERA、RL11、BCAM、ANXA2、LAT1、RUVB1、SH3L3、RPL
13A、RS16、RSSA、RL12、PDIA1、RL29、PPIA、AGR2、
MMP9、KPYM、TACD2、FAS、SORT、LAT1、ADA10、ITA3
、RUXE、PSMD2、VPS35、ANXA4、PLD3、SSRA、LAMP2、
PODXL、CLD6、IF2B3、CD59、MLEC、PGBM、S10AC、CD
14、H10、CD81、AR6P1、VAC14、ITB3、及びCD166から選択
される、ECの診断の情報を与える、少なくとも1つの子宮内膜癌マーカの量をサンプル
中で検出することを含む。一般に、女性生殖管から単離された子宮液サンプル中の子宮内
膜癌を診断するためのインビトロマーカとしての、AGRIN、MVP、VAMP8、S
YIC、RAB8A、MX1、IMB1、CLIC1、SMD3、ILF2、TERA、
RL11、BCAM、ANXA2、LAT1、RUVB1、SH3L3、RPL13A、
RS16、RSSA、RL12、PDIA1、RL29、PPIA、AGR2、MMP9
、KPYM、TACD2、FAS、SORT、LAT1、ADA10、ITA3、RUX
E、PSMD2、VPS35、ANXA4、PLD3、SSRA、LAMP2、PODX
L、CLD6、IF2B3、CD59、MLEC、PGBM、S10AC、CD14、H
10、CD81、AR6P1、VAC14、ITB3、及びCD166からなる群から選
択されるタンパク質の1以上の使用が含まれる。
【0059】
上掲の1以上のタンパク質を用いたECの診断は、これらのタンパク質の発現レベルを
判定する手段を含むキットを使用して行うことができる。診断キットの詳細な実施形態に
おいて、キットは、UAから単離したエクソソーム含有画分からの以下のタンパク質AG
RIN、MVP、TACD2、FAS、VAMP8、SYIC、SORT、LAT1、T
ERA、RUVB1、RSSA、RS16、SMD3、ADA10、RPL13A、RL
11、IMB1、AGR2、ITA3、RUXE、RL12、PSMD2、MX1、VP
S35、ILF2、PDIA1、ANXA4、MMP9、RAB8A、SH3L3、RL
29、PLD3、PPIA、ANXA2、SSRA、LAMP2、PODXL、CLD6
、IF2B3、CD59、MLEC、PGBM、S10AC、CD14、H10、CD8
1、AR6P1、VAC14、ITB3、及びCD166の1以上の発現レベルを検出す
る手段を含む。
【0060】
上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、別の詳細な実施形態において、キッ
トは、以下のタンパク質PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NG
AL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CAS
P3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、
PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、GTR1、ENO
A、PDIA1、KPYM、ANXA2、及びFABP5の1以上の発現レベルを更に検
出する手段を含む。
【0061】
また別の更に詳細な実施形態において、キットは、詳細な予後情報を与え(即ち予後バ
イオマーカ)、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2
、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、XPO2、PRDX1、CL
IC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、
PEBP1、TPIS、NGAL、LDHA、AGR2、PODXL、MMP9、CD5
9、CLD6、BCAM、IF2B3、PLD3、及びMX1から選択される1以上のタ
ンパク質の発現レベルを検出する手段を含む。
【0062】
本発明の別の態様は、ECの診断のための、上記で定義したタンパク質の1以上を判定
する手段を含むキットの使用である。
【0063】
キットの使用の別の詳細な実施形態において、タンパク質の発現レベルを検出する手段
は、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学ア
ッセイ、質量分析、及びその組合せからなる群から選択されるアッセイ又は技術を実施す
る手段である。
【0064】
ここに挙げたすべてのタンパク質のUniprotデータベースアクセッション番号は
、2017年7月7日にアクセス可能なバージョンに対応する。アクセッション番号を実
施例の表に更に示す。
【0065】
AGRINのUniprotデータベースアクセッション番号はO00468である。
このタンパク質は、神経筋接合部の形成と維持に関与するヘパリン硫酸基底膜糖タンパク
質である。
【0066】
MVPは、主要なヴォールトタンパク質としても既知であり、Uniprotデータベ
ースアクセッション番号はQ14764である。MVPはシグナル伝達に関与する。
【0067】
VAMP8は、小胞関連膜タンパク質8としても既知であり、Uniprotデータベ
ースアクセッション番号はQ9BV40である。VAMP8は、リソソーム膜とのオート
ファゴソーム膜融合の直接制御によるオートファジーに関与する可溶性N-エチルマレイ
ミド感受性因子付着タンパク質受容体(SNARE)である。
【0068】
SYICは、イソロイシン-tRNAリガーゼとしても既知であり、Uniprotデ
ータベースアクセッション番号はP41252である。
【0069】
RAB8Aは、Ras関連タンパク質Rab-8Aとしても既知であり、Unipro
tデータベースアクセッション番号はP61006である。RAB8Aは、細胞内膜輸送
に関与する小型GTPアーゼRabである。
【0070】
MX1は、インターフェロン誘導GTP結合タンパク質Mx1としても既知であり、U
niprotデータベースアクセッション番号はP20591である。MX1は、広範囲
のRNAウイルスと一部のDNAウイルスに対する抗ウイルス活性を有する。
【0071】
IMB1は、インポーチンサブユニットベータ1としても既知であり、Uniprot
データベースアクセッション番号はQ14974である。IMB1は核タンパク質輸送に
関与している。
【0072】
SMD3は、小型核リボ核タンパク質Sm D3としても既知であり、Uniprot
データベースアクセッション番号はP62318である。SMD3はスプライソソームの
成分である。
【0073】
ILF2は、インターロイキンエンハンサ結合因子2としても既知であり、Unipr
otデータベースアクセッション番号はQ12905である。ILF2はIL2遺伝子の
調節に関与している。
【0074】
TERAは、移行性小胞体ATPアーゼとしても既知であり、Uniprotデータベ
ースアクセッション番号はP55072である。このタンパク質は、移行性小胞体の形成
に関与している。
【0075】
RL11は、60Sリボソームタンパク質L11としても既知であり、Uniprot
データベースアクセッション番号はP62913である。このタンパク質はリボソームの
成分であるため、細胞内のタンパク質の合成に関与している。
【0076】
BCAMは、基底細胞接着分子としても既知であり、Uniprotデータベースアク
セッション番号はP50895である。このタンパク質は、ラミニンα-5受容体である
。
【0077】
ANXA2は、アネキシンA2としても既知であり、Uniprotデータベースアク
セッション番号はP07355である。このタンパク質は、PSCK9強化LDLR分解
を阻害する、カルシウム調節性膜結合タンパク質である。
【0078】
LAT1は、大型中性アミノ酸トランスポータ小型サブユニット1としても既知であり
、Uniprotデータベースアクセッション番号はQ01650である。このタンパク
質は、細胞のアミノ酸取り込みに関与している。
【0079】
RUVB1は、ポンチン52又はINO80複合体サブユニットHとしても既知であり
、Uniprotデータベースアクセッション番号はQ9Y265である。このタンパク
質は、主にヌクレオソームヒストンH4及びH2Aのアセチル化による選択遺伝子の転写
活性化に関与する、NuA4ヒストンアセチルトランスフェラーゼ複合体の成分である。
【0080】
SH3L3は、SH3ドメイン結合グルタミン酸リッチライクタンパク質3又はSH3
ドメイン結合タンパク質1としても既知であり、Uniprotデータベースアクセッシ
ョン番号はQ9H299である。このタンパク質は、グルタレドキシン活性の調節に関与
し得る。
【0081】
RPL13Aは、60Sリボソームタンパク質としても既知であり、Uniprotデ
ータベースアクセッション番号はP40429である。RPL13Aは炎症過程における
インターフェロンγ誘発転写産物選択的翻訳阻害に関与している。
【0082】
RS16は、40Sリボソームタンパク質S16としても既知であり、Uniprot
データベースアクセッション番号はP62249である。
【0083】
RSSAは、40Sリボソームタンパク質SA又はラミニン受容体1としても既知であ
り、Uniprotデータベースアクセッション番号はP08865である。RSSAは
40Sリボソームサブユニットの組立て及び/又は安定性に必要である。
【0084】
RL12は、60Sリボソームタンパク質L12としても既知であり、Uniprot
データベースアクセッション番号はP30050である。
【0085】
RL29は、60Sリボソームタンパク質L29としても既知であり、Uniprot
データベースアクセッション番号はP47914である。このタンパク質は、大型リボソ
ームサブユニットの成分である。
【0086】
PPIAは、ペプチジル-プロリルシス-トランスイソメラーゼA、シクロフィリンA
又はロタマーゼAとしても既知であり、Uniprotデータベースアクセッション番号
はP62937である。このタンパク質は、タンパク質の折りたたみに関与している。
【0087】
AGR2は、前部勾配(anterior gradient)タンパク質2ホモログ
又はHPC8としても既知であり、Uniprotデータベースアクセッション番号はO
95994である。このタンパク質は、MUC2の転写後の合成と分泌に関与している。
【0088】
PODXLは、ポドカリキシン又はGCTM-2抗原としても既知であり、Unipr
otデータベースアクセッション番号はO00592である。PODXLは接着、細胞形
態及び癌の進行の調節に関与している。
【0089】
CD59は、CD59糖タンパク質又はMAC阻害タンパク質としても既知であり、U
niprotデータベースアクセッション番号はP13987である。CD59は、補体
膜攻撃複合体(MAC)作用の阻害に関与している。
【0090】
TACD2は、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質2又は細胞表面糖タンパク質Tr
op-2としても既知であり、Uniprotデータベースアクセッション番号はP09
758である。このタンパク質は成長因子受容体として機能し得る。
【0091】
FASは、脂肪酸シンターゼとしても既知であり、Uniprotデータベースアクセ
ッション番号はP49327である。FASはアセチルCoA、マロニルCoA及びNA
DPHからの長鎖脂肪酸の形成に関与している。
【0092】
SORTは、ソルチリン又はニューロテンシン受容体3としても既知であり、Unip
rotデータベースアクセッション番号はQ99523である。このタンパク質は、ゴル
ジ体領域における選別受容体として、及び細胞表面のクリアランス受容体として機能する
。
【0093】
ADA10は、ディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼドメイン含有タンパク質
10としても既知であり、Uniprotデータベースアクセッション番号はO1467
2である。ADA10はTNF-αの膜結合前駆体等、複数の細胞表面タンパク質のタン
パク質分解放出に関与している。
【0094】
PGBMは、基底膜特異的ヘパラン硫酸プロテオグリカンコアタンパク質又はパールカ
ンとしても既知であり、Uniprotデータベースアクセッション番号はP98160
である。PGBMは負の静電膜電荷及び血管新生の固定に関与している。
【0095】
ITA3は、インテグリンα-3又はVLA-3サブユニットαとしても既知であり、
Uniprotデータベースアクセッション番号はP26006である。ITA3はフィ
ブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、エピリグリン、トロンボスポンジン及びCSPG
4の受容体である。
【0096】
RUXEは、小型核リボ核タンパク質Eとしても既知であり、Uniprotデータベ
ースアクセッション番号はP62304である。このタンパク質は、ヒストン3´末端プ
ロセシングに関与している。間接的に発毛に関与し得る。
【0097】
PSMD2は、26Sプロテアソームの非ATPアーゼ調節サブユニット2としても既
知であり、Uniprotデータベースアクセッション番号はQ13200である。PS
MD2はユビキチン化タンパク質のATP依存性分解に関与している。
【0098】
VPS35は、液胞タンパク質選別関連タンパク質35としても既知であり、Unip
rotデータベースアクセッション番号はQ96QK1である。VPS35は、選択され
た膜貫通型カーゴタンパク質のリソソーム分解経路への誤選別の防止に関与している。
【0099】
ANXA4は、アネキシンA4又はリポコルチンIVとしても既知であり、Unipr
otデータベースアクセッション番号はP09525である。ANXA4は膜融合関連過
程及びエキソサイトーシスに関与している。
【0100】
PLD3は、ホスホリパーゼD3又はコリンホスファターゼ3としても既知であり、U
niprotデータベースアクセッション番号はQ8IV08である。このタンパク質は
、APPプロセシングに関与し得る。
【0101】
S10ACは、タンパク質S100-A12又はカルグラニュリン-Cとしても既知で
あり、Uniprotデータベースアクセッション番号はP80511である。このタン
パク質は、炎症過程及び免疫応答の調節に関与している。
【0102】
CD14は、単球分化抗原CD14としても既知であり、Uniprotデータベース
アクセッション番号はP08571である。このタンパク質は、細菌性リポ多糖(LPS
)に対する自然免疫応答に関与する、細菌性LPSの共受容体である。
【0103】
LAMP2は、リソソーム関連膜糖タンパク質2としても既知であり、Uniprot
データベースアクセッション番号はP13473である。LAMP2はシャペロン介在性
オートファジーに関与している。
【0104】
CLD6は、クローディン-6又はSkullinとしても既知であり、Unipro
tデータベースアクセッション番号はP56747である。CLD6は、細胞間空間のタ
イトジャンクション特異的閉塞に関与している。
【0105】
IF2B3は、インスリン様成長因子2mRNA結合タンパク質3又はVICKZファ
ミリーメンバー3としても既知であり、Uniprotデータベースアクセッション番号
はO00425である。IF2B3は細胞質タンパク質-RNA複合体への標的転写物の
補充に関与している。
【0106】
MLECは、マレクチンとしても既知であり、Uniprotデータベースアクセッシ
ョン番号はQ14165である。このタンパク質は、タンパク質N-グリコシル化の初期
段階に関与している。
【0107】
H10は、ヒストンH1.0又はヒストンH1’としても既知であり、Uniprot
データベースアクセッション番号はP07305である。このタンパク質は、ヌクレオソ
ーム鎖の高次構造への縮合に関与している。
【0108】
CD166は、CD166抗原としても既知であり、Uniprotデータベースアク
セッション番号はQ13740である。ヘテロ型及びホモ型の細胞間接触の両方に関与し
ている。
【0109】
CD81は、CD81抗原又はテトラスパニン-28としても既知であり、Unipr
otデータベースアクセッション番号はP60033である。このタンパク質は、リンパ
腫細胞増殖の調節に関与し得る。
【0110】
AR6P1は、ADPリボシル化因子様タンパク質6-相互作用タンパク質1としても
既知であり、Uniprotデータベースアクセッション番号はQ15041である。こ
のタンパク質は、SLC1A1/EAAC1介在性グルタミン酸輸送に関与している。
【0111】
VAC14は、タンパク質VAC14ホモログ又はTax1結合タンパク質2としても
既知であり、Uniprotデータベースアクセッション番号はQ08AM6である。こ
のタンパク質は、初期のエンドソームからのエンドソーム担体小胞(ECV)/多胞体(
MVB)輸送中間体の生合成に関与している。
【0112】
ITB3は、インテグリンβ-3としても既知であり、Uniprotデータベースア
クセッション番号はP05106である。このタンパク質は、特にフィブロネクチン、ラ
ミニン又はオステオポンチン(ostoeopontin)等のいくつかのリガンドに対
する細胞受容体を形成するため、細胞シグナル伝達に関与している。
【0113】
PIGRは、高分子免疫グロブリン受容体としても既知であり、Uniprotデータ
ベースアクセッション番号はP01833、2007年6月26日-v4である。この受
容体は上皮細胞の基底外側表面で高分子IgA及びIgMに結合する。
【0114】
VIMEは、ビメンチンとしても既知であり、多様な非上皮細胞、特に間葉細胞に見ら
れるクラスIII中間体フィラメントである。ビメンチンは、核、小胞体及びミトコンド
リアに側方又は末端のどちらで結合する。ビメンチンのUniprotデータベースアク
セッション番号はP08670、2007年1月23日-v4である。
【0115】
CTNB1は、カテニンβ-1としても既知であり、Uniprotデータベースアク
セッション番号はP35222、1994年2月1日-v1である。CTNB1は中心体
凝集の負の調節因子として作用し、悪性腎臓及び腸上皮細胞のアノイキスを遮断する。
【0116】
CAYP1は、カルシフォシンとしても既知であり、Uniprotデータベースアク
セッション番号はQ13938、1997年11月1日-v1である。CAYP1は、細
胞シグナル伝達イベントで役割を果たし得るカルシウム結合タンパク質である。
【0117】
WFDC2、即ちWAP4-ジスルフィドコアドメインタンパク質2は、精巣上体分泌
タンパク質E4としても既知である、広範囲のプロテアーゼ阻害剤である。WFDC2の
Uniprotデータベースアクセッション番号はQ14508 2002年1月23日
-v2である。
【0118】
CADH1は、カドヘリン-1又はE-カドヘリンとしても既知であり、Unipro
tデータベースアクセッション番号はP12830、1993年7月1日-v3である。
このタンパク質は、上皮細胞の細胞間接着、移動性及び増殖を調節する機構に関与してい
る。強力な浸潤サプレッサの役割を有する。
【0119】
CD44は、CD44抗原としても既知であり、Uniprotデータベースアクセッ
ション番号はP16070、2010年10月5日-v3である。HAに対する親和性に
よって、並びにおそらくオステオポンチン、コラーゲン、マトリックスメタロプロテイナ
ーゼ(MMP)などの他のリガンドに対する親和性によって、細胞間相互作用及び細胞マ
トリックス間相互作用に介在する。
【0120】
XPO2は、エクスポーチン-2としても既知であり、Uniprotデータベースア
クセッション番号はP55060、2005年3月29日-v3である。このタンパク質
はとりわけ、インポーチン-αの受容体を搬出し、基質(カーゴ)搬入後に核から細胞質
へのインポーチン-αの再搬出に介在し、その活性GTP結合形でインポーチン-α及び
GTPアーゼRanに協同的に結合するとして開示されている。
【0121】
SG2A1は、マンマグロビンBとしても既知であり、Uniprotデータベースア
クセッション番号はO75556、1998年11月1日-v1である。SG2A1はア
ンドロゲンや他のステロイドに結合し得る。
【0122】
ENOAは、α-エノラーゼとしても既知であり、Uniprotデータベースアクセ
ッション番号はP06733、2007年1月23日-v2である。ENOAは、解糖に
おけるその役割と同様に、成長調節、低酸素耐性及びアレルギー反応などの多様な過程で
役割を果たす多機能酵素である。白血球やニューロンなどの複数の細胞型の細胞表面でプ
ラスミノーゲンの受容体及び活性化剤として機能するその能力のために、血管内及び細胞
周囲の線維素溶解系でも機能し得る。免疫グロブリンの産生を刺激する。
【0123】
LEG3は、ガレクチン-3(galectin-3)として既知であり、ガレクチン
-3(Galectin-3)とも呼ばれ、IgEに結合するガラクトース特異的レクチ
ンである。内皮細胞遊走のCSPG4による刺激に、α-3,β-1インテグリンによっ
て介在し得る。DMBT1とともに、(類似性により)初期胚形成中の円柱上皮細胞の最
終分化に必要とされる。核内では、pre-mRNAスプライシング因子として作用する
。好中球の活性化及び接着、単球マクロファージの化学誘引、アポトーシス好中球のオプ
ソニン作用及びマスト細胞の活性化を含む急性炎症反応に関与する。Uniprotデー
タベースアクセッション番号はP17931、2008年11月25日-v5である。
【0124】
LEG1は、タンパク質のLEG1ホモログとしても既知であり、初期肝臓発生に関与
する。Uniprotデータベースアクセッション番号はP09382、2005年3月
29日-v2である。
【0125】
CAPGは、マクロファージキャッピングタンパク質としても既知であり、Unipr
otデータベースアクセッション番号は、P40121、2010年11月30日-v2
である。CAPGは、アクチンフィラメントの反矢尻端を可逆的に遮断するが、事前に形
成されたアクチンフィラメントは切断しない、カルシウム感受性タンパク質である。CA
PGは、マクロファージ機能で重要な役割を果たし得る。
【0126】
PRDX1は、ペルオキシレドキシン-1としても既知であり、Uniprotデータ
ベースアクセッション番号はQ06830、1994年6月1日-v1である。PRDX
1は細胞の酸化還元調節に関与している。
【0127】
CLIC1は、塩化物細胞内チャネルタンパク質1としても既知であり、CLIC1の
Uniprotデータベースアクセッション番号はO00299、2007年1月23日
-v4である。CLIC1は膜中に挿入され、塩化物イオンチャネルを形成する。チャネ
ルの活性はpHに依存する。膜挿入は酸化還元調節されていると思われ、酸化条件下での
み発生し得る。細胞周期の調節に関与している。
【0128】
PDIA1は、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼとしても既知であり、Unipr
otデータベースアクセッション番号はP07237、1997年11月1日-v3であ
る。PDIA1は、ジスルフィド結合の形成、破壊及び転位を触媒する。
【0129】
KPYMは、ピルビン酸キナーゼPKMとしても既知であり、Uniprotデータベ
ースアクセッション番号はP14618、2007年1月23日-v4である。KPYM
は、ホスホエノールピルビン酸(PEP)からADPへのホスホリル基の移動を触媒して
ATPを生成し、腫瘍細胞のカスパーゼ非依存性細胞死において一般的な役割を果たす解
糖系酵素である。
【0130】
GSTP1は、グルタチオンS-トランスフェラーゼPとしても既知であり、Unip
rotデータベースアクセッション番号はP09211、2007年1月23日-v2で
ある。GSTP1はp25/p35転座を介してCDK5活性を負に調節して、神経変性
を防止する。
【0131】
GTR1のUniprotデータベースアクセッション番号はP11166、2006
年10月3日-v2である。GTR1は促進性グルコース輸送体である。このアイソフォ
ームは、構成的又は基礎的グルコース取り込みを担い得る。GTR1は基質特異性が非常
に広く、ペントース及びヘキソースの両方を含む広範囲のアルドースを輸送できる。
【0132】
CH10は、ミトコンドリアの10kDa熱ショックタンパク質としても既知であり、
Uniprotデータベースアクセッション番号はP61604、2007年1月23日
-v2である。CH10はCPN60とともに、ミトコンドリアのタンパク質生合成に不
可欠である。Mg-ATPの存在下でCPN60に結合し、Mg-ATPのATPアーゼ
活性を抑制する。
【0133】
MIFは、マクロファージ遊走阻害因子としても既知であり、Uniprotデータベ
ースアクセッション番号はP14174、2007年1月23日-v4である。MIFは
、細菌性病原体に対する自然免疫応答に関与している
【0134】
PEBP1、即ちホスファチジルエタノールアミン結合タンパク質1は、ATP、オピ
オイド、ホスファチジルエタノールアミンに結合する。PEBP1は、トロンビン、ニュ
ーロプシン及びキモトリプシンを阻害するが、(類似性により)トリプシン、組織型プラ
スミノーゲン活性化因子及びエラスターゼを阻害しないセリンプロテアーゼ阻害剤である
。RAF1のキナーゼ活性を、その活性化を阻害することにより、及びRAF1/MEK
複合体を解離することにより、MEKリン酸化の競合阻害剤として作用して阻害する。R
AF1のUniprotデータベースアクセッション番号はP30086、2007年1
月23日-v3である。
【0135】
TPISは、トリオースリン酸イソメラーゼとしても既知であり、Uniprotデー
タベースアクセッション番号はP60174、2011年10月19日-v3である。こ
のタンパク質は、炭水化物生合成の一部である糖新生経路に関与している。
【0136】
NGALは、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリンとしても既知であり、Uniprot
データベースアクセッション番号はP80188、1995年11月1日-v2である。
NGALはインターロイキン3(IL3)欠乏によるアポトーシス及び自然免疫に関与し
ている。
【0137】
LDHAは、L-乳酸デヒドロゲナーゼA鎖としても既知であり、Uniprotデー
タベースアクセッション番号はP00338、2007年1月23日-v2である。この
タンパク質は、ピルビン酸から(S)乳酸塩を合成するサブ経路のステップ1に関与して
いる。
【0138】
これらのタンパク質のいくつかは、組織サンプルにおけるECの段階に関連付けられて
いる。しかし、女性生殖管の子宮液サンプルの値と相関する有意なデータはない。上記で
明らかになったように、子宮液(吸引物又は洗浄液)中のマーカの検出によって、婦人科
疾患の臨床診療における日常的なサンプリングからデータを収集する利点が示され、コス
ト、そして重要なことには組織生検が回避される。
【0139】
上記のように、本発明は、第1の態様として、子宮内膜癌の鑑別診断の方法であって、
女性生殖管からの子宮液サンプル中のCTNB1の発現レベルを判定することを含む、方
法も目的とする。
【0140】
子宮内膜癌の鑑別診断方法の詳細な実施形態において、子宮液サンプルは、女性生殖管
からの子宮吸引液サンプルである。
【0141】
別の詳細な実施形態において、本方法は、以下のタンパク質:MMP9、AGRIN、
CAPG、HSPB1、及びXPO2の1以上の発現レベルを判定することを更に含む。
【0142】
更に別の詳細な実施形態において、以下のタンパク質:PIGR、VIME、CAYP
1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、AGR2、
BCAM、PODXL、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、及びMX1の1以
上の発現レベルを更に判定することを含む。
【0143】
子宮内膜癌の鑑別診断方法の別の詳細な実施形態において、以下のタンパク質:PRD
X1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP1、GTR1、CH10
、MIF、PEBP1 、TPIS、NGAL、CAYP1、SG2A1、LDHA、P
ERM、OSTP、SPIT1、NAMPT、CASP3、K2C8、MUC1、ANX
A1、ANXA2、FABP5、及びWFDC2の1以上の発現レベルを判定することを
更に含む。
【0144】
更に、別の詳細な実施形態において、方法は、XPO2、PRDX1、CLIC1、P
DIA1、KPYM、ENOA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1
、TPIS、NGAL、及びLDHAからなる群から選択される1つのタンパク質の発現
レベルを判定することを更に含む。
【0145】
別の詳細な実施形態において、方法は、子宮吸引物から単離されたエクソソーム含有画
分におけるCLD6、BCAM、IF2B3、PLD3、及びMX1からなる群から選択
される1以上のタンパク質の発現レベルを判定することを更に含む。
【0146】
更に、別の詳細な実施形態において、方法は、
LAMP、MMP9、PIGR;AGRIN、MMP9、PIGR;AGR2、PIG
R、PLD3;AGR2、BCAM、PODXL;BCAM、PODXL;PIGR、P
LD3;BCAM、PIGR;CLD6、RAB8A;CLD6、PODXL;BCAM
、RL29;BCAM、PODXL;CLD6、PPIA、AGRIN、BCAM;AN
XA、BCAM;BCAM、RAB8A;BCAM、SYIC;CLD6、IFB3;及
び表Cに挙げるセットからなる群から選択される少なくとも1セットのタンパク質の発現
レベルを判定することを更に含む。
【0147】
本方法の別の詳細な実施形態において、子宮内膜癌の鑑別診断は、類内膜子宮内膜癌を
非類内膜子宮内膜癌及び非癌と区別することによって判定される。
【0148】
方法の別の詳細な実施形態において、発現レベルはタンパク質レベルで判定される。
【0149】
より詳細な実施形態において、タンパク質レベルは、イムノアッセイ、生物発光アッセ
イ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ、質量分析、及びその組合せか
らなる群から選択されるアッセイ又は技術によって判定される。
【0150】
別の詳細な実施形態において、タンパク質の発現レベルは、そのタンパク質に結合する
ことができる抗体又はそのフラグメントを使用して判定される。
【0151】
より詳細には、抗体又はそのフラグメントはキットの一部を形成する。
【0152】
指摘するように、本発明の別の態様は、女性生殖管からの子宮液サンプル中の子宮内膜
癌の予後を判定するためのインビトロマーカとしてのPIGR、VIME、CTNB1、
CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、C
APG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3
、PLD3、及びMX1からなる群から選択されるタンパク質の1以上の使用である。よ
り詳細には、少なくともCTNB1の発現レベルの使用である。
【0153】
本発明は、態様及び実施形態のいずれか1つの方法における、子宮内膜癌の予後のため
の、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH
1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MM
P9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、及びMX1からなる群から選択され
るタンパク質の1以上の使用にも関する。
【0154】
別の態様は、子宮内膜癌の予後診断及び子宮内膜癌の鑑別診断のためのキットの使用で
もあり、キットは、固体担体並びに以下のタンパク質PIGR、VIME、CTNB1、
CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、C
APG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3
、PLD3、及びMX1の1以上の発現レベルを検出する手段、並びに任意に以下のタン
パク質XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP
1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及びLDHAの1
以上の発現レベルを検出する手段を含む。
【0155】
キットの使用の詳細な実施形態において、キットは、固体担体並びにLAMP、MMP
9、PIGR;AGRIN、MMP9、PIGR;AGR2、PIGR、PLD3;AG
R2、BCAM、PODXL;BCAM、PODXL;PIGR、PLD3;BCAM、
PIGR;CLD6、RAB8A;CLD6、PODXL;BCAM、RL29;BCA
M、PODXL;CLD6、PPIA;AGRIN、BCAM;ANXA、BCAM;B
CAM、RAB8A;BCAM、SYIC;CLD6、IFB3;及び表Cに挙げるセッ
トからなる群から選択される少なくとも1セットのタンパク質の発現レベルを検出する手
段を含む。
【0156】
キットの使用の詳細な実施形態において、タンパク質の発現レベルを検出する手段は、
イムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセ
イ、質量分析、及びその組合せからなる群から選択されるアッセイ又は技術を実施する手
段である。
【0157】
より詳細には、タンパク質の発現レベルを検出する手段は、抗体又はそのフラグメント
である。
【0158】
本発明の別の態様は、固体担体並びにPIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、
SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AG
R2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、BCAM、IF2B3、
PLD3、MX1、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENO
A、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及び
LDHAからなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを検出する手段を含
む、特に、少なくともCTNB1の発現レベルを検出する手段を含むキットである。
【0159】
別の態様は、固体担体並びにLAMP、MMP9、PIGR;AGRIN、MMP9、
PIGR;AGR2、PIGR、PLD3;AGR2、BCAM、PODXL;BCAM
、PODXL;PIGR、PLD3;BCAM、PIGR;CLD6、RAB8A;CL
D6、PODXL;BCAM、RL29;BCAM、PODXL;CLD6、PPIA、
AGRIN、BCAM;ANXA、BCAM;BCAM、RAB8A;BCAM、SYI
C;CLD6、IFB3;及び表Cに挙げるセットからなる群から選択される少なくとも
1セットのタンパク質の発現レベルを検出する手段を含むキットである。
【0160】
キットの詳細な実施形態において、キットは、
MMP9、PODXL、RAB8A;MMP9、PODXL、RSSA;AGRIN、
MMP9、PODXL;MMP9、PODXL、VAMP8;MMP9、MX1;MMP
9、RSSA;MMP9、MVP;MMP9、RAB8A;MMP9、VAMP8;BC
AM、MMP9;MMP9、AGRIN;AGRIN、CD81、TERA;AGRIN
、CD59、MVP;AGR2、AGRIN、CD81;AGRIN、CD166、MV
P;AGRIN、CD81;AGRIN、CD166;AGRIN、CD59;AGRI
N、MMP9;及び表Dに挙げるタンパク質のセットからなる群から選択される少なくと
も1セットのタンパク質の発現レベルを検出する手段を更に含む。
【0161】
キットのより詳細な実施形態において、タンパク質の発現レベルを検出する手段は、イ
ムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ
、質量分析及びその組合せからなる群から選択されるアッセイ又は技術を実施する手段で
ある。
【0162】
より詳細には、キットは、タンパク質の発現レベルを検出する手段として、抗体又はそ
のフラグメントを含む。
【0163】
キットの別の詳細な実施形態において、キットは酵素結合免疫吸着アッセイを実施する
ためのキットである。
【0164】
別の詳細な実施形態において、キットは、個々のサンプルを分類するためのパンネルダ
イヤグラムを更に含む。
【0165】
本発明は、上で開示され、実施形態のいずれかで定義される鑑別診断の方法を実施する
ためのコンピュータ実装方法であって、ECの診断及び/又は予後のためにタンパク質の
1以上の発現レベルを判定した後、レベルに値及び/又はスコアが与えられ、計算値を得
るために数式で任意に計算され、レベル、スコア及び/又は計算値の機能において、EC
に罹患している若しくは罹患していない選択肢の間で、及び/又は異なるECサブタイプ
間で罹患している選択肢の間で決定がなされる、方法にも関する。
【0166】
上記のように、本発明は、別の態様として、ECの予後のための方法も目的とする。本
発明の第1の態様の詳細な実施形態において、本方法は、女性生殖管からの子宮液サンプ
ル中のPIGR、VIME、LEG1、及びCAPGの1以上の発現レベルを判定するこ
とを含む。
【0167】
上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、本発明のこの態様の別の詳細な実施
形態において、子宮液サンプルは女性生殖管からの子宮吸引液サンプルである。
【0168】
必要な操作は最小限であり、臨床的に意味のある情報が得られるため、子宮吸引物でタ
ンパク質を差次的に検出できることが非常に有利である。
【0169】
この態様の別の詳細な実施形態において、方法は、以下のタンパク質:PIGR、VI
ME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、及びCADH1の1以上の発
現レベルを判定することを含む。実施例で説明するように、この7つのタンパク質の1つ
のレベルを判定することによって、ROC曲線下面積(AUC)0.74~0.85(信
頼区間95%)のECサブタイプの高感度かつ特異的な診断が可能となった。
【0170】
発明者らは、子宮液、特に子宮吸引物中の他のタンパク質の発現レベルを検出すること
により、ECサブタイプの分類の、また疾患の診断の、頑健性(感度及び特異性)を改善
できたと判断した。このため、上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、第1及
び他の態様の別の詳細な実施形態において、方法は、以下のタンパク質:XPO2、PR
DX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP1、GTR1、CH1
0、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、CAPG、CD44、LEG1、LEG
3、及びLDHAの1以上の発現レベルを判定することを更に含む。
【0171】
より詳細には、方法は、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、
ENOA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL
、CAPG、CD44、LEG1、LEG3、及びLDHAからなる群から選択される1
つのタンパク質の発現レベルを判定することを更に含む。
【0172】
上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、本発明の第1及び他の態様の別の詳
細な実施形態において、方法は、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2
A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、
BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、MX1
、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP1、
GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及びLDHAからなる
群から選択される2つのタンパク質の発現レベルを判定することを含み、タンパク質の少
なくとも1つは、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC
2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、及びCAPGからなる群から選択され
る。
【0173】
別の詳細な実施形態において、方法は、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1
、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、A
GR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3
、MX1、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GS
TP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及びLDHA
からなる群から選択される2つのタンパク質の発現レベルを検出することを含む。
【0174】
第1及び更なる方法の態様の別の詳細な実施形態において、方法は、AGR2、BCA
M、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、及びMX1か
らなる群から選択される2つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0175】
上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、本発明の第1及び更なる方法態様の
別の詳細な実施形態において、方法は、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、
SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AG
R2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、
MX1、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GST
P1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及びLDHAか
らなる群から選択される3つのタンパク質の発現レベルを判定することを含み、タンパク
質の少なくとも1つは、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、W
FDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、及びCAPGからなる群から選
択される。
【0176】
上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、本発明の第1及び更なる方法態様の
別の詳細な実施形態において、方法は、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、
SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AG
R2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、
MX1、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GST
P1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及びLDHAか
らなる群から選択される3つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0177】
本発明の第1及び更なる方法の態様の別の詳細な実施形態において、方法は、AGR2
、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、及び
MX1からなる群から選択される3つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0178】
ECの予後のための方法の別の詳細な実施形態において、方法は、子宮吸引物から単離
されたエクソソーム含有画分におけるCLD6、BCAM、IF2B3、PLD3及びM
X1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを判定することを更に含
む。
【0179】
発明者らは、エクソソームをより精製された形で含む子宮吸引物の画分中で、あるマー
カ(タンパク質)がEEC及びNEECにおいて差次的に発現したことを見出した。この
ため、本発明は、子宮液にて判定された予後を検証するための、又はエクソソームを単離
せずに子宮液によって関連データが得られない場合の方法の感度上昇させるための、処理
済み子宮吸引物(エクソソーム画分)中で特定のマーカを判定する任意のステップを含む
。
【0180】
より詳細な実施形態において、ECの予後又は鑑別診断の方法は、LAMP、MMP9
、PIGR;AGRIN、MMP9,PIGR;AGR2,PIGR,PLD3;AGR
2,BCAM,PODXL;BCAM、PODXL;PIGR、PLD3;BCAM、P
IGR;CLD6、RAB8A;CLD6、PODXL;BCAM、RL29;BCAM
、PODXL;CLD6、PPIA;AGRIN、BCAM;ANXA、BCAM;BC
AM、RAB8A;BCAM、SYIC;CLD6、IFB3;及び表Cに挙げるセット
からなる群から選択される少なくとも1セットのタンパク質の発現レベルを判定すること
を含む。
【0181】
LAMP、MMP9、PIGR;AGRIN,MMP9,PIGR;AGR2,PIG
R,PLD3;AGR2,BCAM,PODXL;BCAM,PODXL;PIGR,P
LD3;BCAM,PIGR(下の表B);並びに表Cに挙げるもの(明細書の最後に示
す)から選択される特定の組合せは、子宮吸引物中のタンパク質の発現レベルが検出され
た際に、高い予後値で判定された。次の表Bは、AUC及び95%値の信頼区間(CI)
を示す。データは、EEC及びNEECのサンプルの分析に由来する。表Cには、AUC
値も示す。
【0182】
他方、表Aは、以下の組合せCLD6、RAB8A;CLD6、PODXL;BCAM
、RL29;BCAM、PODXL;CLD6、PPIA、AGRIN、BCAM;AN
XA、BCAM;BCAM、RAB8A;BCAM、SYIC;CLD6、IFB3のA
UC値及び95%のCIを示し、子宮吸引物から単離されたエクソソーム含有画分でタン
パク質の発現レベルが検出された際の重要な予後情報を与える。データは、EEC及びN
EECのサンプルの分析に由来する。
【0183】
【0184】
より詳細な実施形態において、方法は、CTNB1、XPO2、及びCAPGの発現レ
ベルを判定することを含む。以下で説明及び図示(
図1)説明するように、この組合せに
より、EEC対NEEC(漿液性EC;SEC)の高感度で特異的な鑑別診断が可能とな
る。
【0185】
上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、本発明の第1及び更なる方法態様の
別の詳細な実施形態において、方法は、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、
SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AG
R2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、
MX1、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GST
P1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及びLDHAか
らなる群から選択される4、5、6、7、8、9、10、又は11個のタンパク質の発現
レベルを判定することを含み、タンパク質の少なくとも1つは、PIGR、VIME、C
TNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、L
EG1、及びCAPGからなる群から選択される。
【0186】
上記又は下記の任意の実施形態と任意に組合せた、本発明の第1及び更なる方法態様の
別の詳細な実施形態において、方法は、以下のタンパク質PIGR、VIME、CTNB
1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1
、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、及びCD59の発現レベルを
判定することを含む。
【0187】
上記又は下記で与える実施形態のいずれかにおいて、本発明の態様のいずれについても
、発現レベルはタンパク質レベルで判定される。本実施形態において、タンパク質マーカ
としては、これに限定されるわけではないが、天然配列ペプチド、アイソフォーム、キメ
ラポリペプチド、マーカのすべての相同体、フラグメント及び前駆体が挙げられ、ポリペ
プチド及びその誘導体の修飾型が含まれる。より詳細な実施形態において、タンパク質レ
ベルは、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化
学アッセイ、質量分析及びその組合せからなる群から選択されるアッセイ又は技術によっ
て判定される。
【0188】
上記又は下記に与える詳細な実施形態において、発現のレベルは免疫化学によって決定
される。
【0189】
「免疫化学」という用語は、本明細書で使用する場合、サンプル中の抗原(通常はタン
パク質及びペプチド、この場合は、単独の又は組合せた上記タンパク質のいずれか)を、
抗原に特異的に結合する抗体の原理を利用することによって検出する、多様な技術を示す
。抗体-抗原相互作用の描出は、いくつかの方法で実現できる。最も一般的な例では、抗
体は、発色反応を触媒できるペルオキシダーゼなどの酵素に結合する。又は、抗体は、フ
ルオレセイン又はローダミンなどのフルオロフォアにタグ付けすることもできる。免疫化
学的技法は直接的又は間接的であることができる。直接法はワンステップ染色法であり、
抗原と直接反応する標識抗体(例えばFITC結合抗血清)を使用する。この技法は抗体
を1つのみを使用するため、簡単で迅速であるが、例えば間接法による、信号増幅がわず
かであるため感度はより低く、間接法ほど一般的に使用されない。間接法には、サンプル
中の標的抗原に結合する非標識1次抗体(第1層)と、1次抗体と反応する標識2次抗体
(第2層)が含まれる。本方法は、2次抗体が蛍光又は酵素レポータに結合している場合
、各1次抗体に複数の2次抗体が結合することによるシグナル増幅のため、直接検出法よ
りも高感度となる。
【0190】
2次抗体が複数のビオチン分子に結合している場合、更なる増幅が可能となり、アビジ
ン-酵素、ストレプトアビジン-酵素又はニュートラアビジン-酵素の複合体を補充する
ことできる。間接法は、感度がより高いことは別として、生成する必要があるのは比較的
少数の標準的な結合(標識)2次抗体のみであるという利点もある。直接法では、対象と
なるすべての抗原に対して1次抗体をそれぞれ標識することが必要となる。(ある標的核
酸配列に特異的に結合するように設計された)タグ付き核酸プローブを標識抗体によって
後に検出可能である場合、免疫化学技法を使用してある核酸配列の検出も可能であること
に留意する必要がある。このため、タンパク質の検出は、標的タンパク質RNAの特定の
配列に結合するように設計されたタグ付き核酸を使用し、次に、タグに選択的に結合する
標識抗体によってタグ付き核酸を検出することによって行うことができる。
【0191】
好適なイムノアッセイ処置としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA、例えば
マルチプレックスELISA)、酵素イムノドットアッセイ、凝集アッセイ、抗体-抗原
-抗体サンドイッチアッセイ、抗原-抗体-抗原サンドイッチアッセイ、イムノクロマト
グラフィー(immunocromatography)又は当業者に周知の他のイムノ
アッセイ形式、例えばラジオイムノアッセイ並びにタンパク質マイクロアレイ形式が挙げ
られる。
【0192】
上記又は下記に与える実施形態のいずれかと組合せた、一実施形態において、タンパク
質の発現レベルは、イムノアッセイによって判定される。
【0193】
上記又は下記に与える実施形態のいずれかと組合せた、別の実施形態では、タンパク質
の発現レベルはELISA、特にマルチプレックスELISAによって判定される。
【0194】
又は、タンパク質の発現レベルは、生物発光、蛍光、化学発光、電気化学又は質量分析
によって判定することができる。
【0195】
又は、タンパク質の発現レベルは、タンパク質のプロテオタイプペプチド(所与のプロ
テオームにおける試験を行ったタンパク質に一意に関連付けられたアミノ酸配列を有する
ペプチド)のレベルを質量分析によって測定することによって判定することができる。
上記又は下記に与える実施形態のいずれかと組合せた、別の実施形態において、タンパ
ク質の発現レベルは、標的タンパク質に結合することができる抗体又はそのフラグメント
を使用して判定される。
【0196】
「標的タンパク質に結合することができる抗体又はそのフラグメント」という用語は、
標的タンパク質に選択的に結合することができる免疫グロブリン又はそのフラグメントと
して理解されるべきである。この用語には、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体
が含まれる。「そのフラグメント」という用語は、標的タンパク質のエピトープへの結合
に好適なサイズ及び構造を有する抗体の任意の部分を含む。好適なフラグメントとしては
、F(ab)、F(ab’)及びFvが挙げられる。「エピトープ」は、免疫系(B細胞
、T細胞又は抗体)によって認識されている抗原の一部である。
【0197】
特異的検出に使用される抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルである。抗体の調
製及びキャラクタリゼーションの最新技術において、周知の手段がある。ポリクローナル
抗体を生成する方法は、先行技術において周知である。簡潔には、動物をタンパク質で免
疫することによってポリクローナル抗体を調製し、次に免疫動物の血清を収集し、抗体を
単離する。抗血清の作製には、広範囲の動物種を使用できる。通例、抗血清の作製に使用
される動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット又はヤギであり得る。
【0198】
更に、モノクローナル抗体(MAb)は、周知の技法を使用して調製することができる
。通例、この処置は、疾患に関連するタンパク質によって好適な動物を免疫する。免疫化
組成物は、抗体産生細胞の刺激に有効な量で投与することができる。モノクローナル抗体
の調製方法は、一般に、ポリクローナル抗体の調製と同じ方針に従って開始される。免疫
原は、抗原として動物に注入される。抗原は、完全又は不完全フロイントアジュバントな
どのアジュバントと混合され得る。およそ2週間の間隔で、同じ抗原によって免疫を反復
する。
【0199】
第3の態様の別の詳細な実施形態において、本発明を実施する手段は、キットの一部を
形成する。標的タンパク質を検出するための抗体又はそのフラグメントを、キットに含め
ることができる。キットは、抗体-タンパク質相互作用を描出する手段(添加剤、溶媒)
を更に含み得る。
【0200】
これらの抗体は、本発明の第5の態様において標的タンパク質の発現を判定するための
「手段」として使用することができる。
【0201】
このため、本発明の第1及び更なる方法の態様の詳細な実施形態において、タンパク質
の発現レベルは、タンパク質に結合することができる抗体又はそのフラグメントを使用し
て判定される。
【0202】
別の詳細な実施形態において、抗体又はそのフラグメントはキットの一部を形成する。
【0203】
本発明の第1及び更なる方法の態様の下で、分析されるタンパク質(リストの2~11
)に関する上記の全ての実施形態も、本発明の第2、第3、及び第4の態様の使用の詳細
な実施形態である。
【0204】
又は、発現レベルはmRNAレベルで判定される。
【0205】
一実施形態において、マーカそれぞれのmRNAの量は、例えば1以上のポリヌクレオ
チド子宮内膜癌マーカ又はそのようなポリヌクレオチドの補体にハイブリダイズするオリ
ゴヌクレオチドプライマーを使用する、ポリメラーゼ連鎖反応により検出される。他の実
施形態では、mRNAの量は、1以上のポリヌクレオチド子宮内膜癌マーカ又はそのよう
なポリヌクレオチドの補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを用いる、
ハイブリダイゼーション技法を使用して検出される。
【0206】
mRNA検出を使用する場合、方法は、当分野で周知の標準的な方法に従って、単離さ
れたmRNAを試薬と組合せてcDNAに変換し、変換されたcDNAを、核酸プライマ
ーの適切な混合物と共に容器内の増幅反応試薬(例えばcDNA PCR反応試薬)で処
理して、容器の内容物を反応させて増幅産物を生成し、増幅産物を分析して、サンプル中
の1以上のポリヌクレオチド子宮内膜癌マーカの存在を検出することによって行われ得る
。mRNAについては、サンプル中のポリヌクレオチド子宮内膜癌マーカの存在を検出す
るノーザンブロット分析を使用して、分析ステップが達成され得る。分析ステップは、増
幅産物中のポリヌクレオチド子宮内膜癌マーカの存在を定量的に検出し、検出されたマー
カの量を、同様のプライマーを使用して得た正常組織及び悪性組織中のそのようなマーカ
の既知の存在又は非存在に関する期待値のパネルと比較することによって、更に達成され
得る。
【0207】
別の実施形態において、本発明は、mRNAが、(a)サンプルからmRNAを単離し
、mRNAを試薬と組合せ、mRNAをcDNAに変換すること、(b)変換されたcD
NAを、増幅反応試薬及び1以上のポリヌクレオチド子宮内膜癌マーカにハイブリダイズ
する核酸プライマーによって処理して、増幅産物を産生すること、(c)増幅産物を分析
して、タンパク質子宮内膜癌マーカをコードするmRNAの存在量を測定すること、並び
に(d)mRNAの測定量を、同様の方法を使用して得た正常組織及び病変組織(例えば
悪性組織)の予測値のパネルに対して検出された量と比較することによって検出される方
法を提供する。
【0208】
本発明の詳細な実施形態において、RT-PCRを使用して、検出及び分析のためのタ
ンパク質子宮内膜癌マーカのmRNAを増幅することができる。本発明の他の実施形態は
、定量的RT-PCRを使用して、タンパク質子宮内膜癌マーカのmRNAの量を定量的
に測定する。本発明の更なる実施形態は、定量化及び分析のためにリアルタイムRT-P
CRを使用する。
【0209】
本発明のデバイス又はキットに関して、キットは、本発明の詳細な実施形態において、
患者サンプルの分析のために提供される。このようなデバイス又はキットには、少なくと
もタンパク質のサブセットが上に挙げたタンパク質及び下に挙げる表A~Fから選択され
る、1以上のタンパク質を特異的に同定する試薬が含まれる。対象のデバイスとしては、
スライド、ゲル、マルチウェルプレートなどの基質上で試薬が空間的に分離されるアレイ
が挙げられる。又は、試薬は、懸濁液又は懸濁性形態の試薬、例えばビーズに結合した試
薬を含むキットとして提供され得る。対象の試薬としては、自己抗体マーカに特異的な試
薬が挙げられる。そのような試薬としては、抗原性タンパク質又はペプチドなどが挙げら
れ得る。そのようなデバイス又はキットは、サイトカイン特異的抗体又はそのフラグメン
トなどを更に含み得る。
【0210】
上記のように、本発明の一態様は、固体担体並びに以下のタンパク質PIGR、VIM
E、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG
3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CL
D6、IF2B3、PLD3及びMX1の1以上の発現レベルを検出する手段、並びに任
意に以下のタンパク質XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、EN
OA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及
びLDHAの1以上の発現レベルを検出する手段を含むキットであって、NEECのEE
Cを区別することによる子宮内膜癌の予後のためのキットの使用である。
【0211】
キットの使用の詳細な実施形態において、キットは、固体担体及びPIGR、VIME
、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3
、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD
6、IF2B3、PLD3及びMX1、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1
、KPYM、ENOA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPI
S、NGAL、及びLDHAからなる群から選択される2、3、4、5、6、7、8、9
、10及び11個のタンパク質の発現レベルを検出する手段を含む。より詳細には、キッ
トは、固体担体及びこれらのタンパク質の3つの発現レベルを検出する手段を含む。
【0212】
キットの使用の詳細な実施形態において、キットは、固体担体並びにLAMP、MMP
9、PIGR; AGRIN、MMP9、PIGR;AGR2、PIGR、PLD3;A
GR2、BCAM、PODXL;BCAM、PODXL;PIGR、PLD3;BCAM
、PIGR;CLD6、RAB8A;CLD6、PODXL;BCAM、RL29;BC
AM、PODXL;CLD6、PPIA;AGRIN、BCAM;ANXA、BCAM;
BCAM、RAB8A;BCAM、SYIC;CLD6、IFB3;及び表Cに挙げるセ
ットからなる群から選択される少なくとも1セットのタンパク質の発現レベルを検出する
手段を含むキットである。
【0213】
キットの使用のより詳細な実施形態において、キットは、固体担体並びにCTNB1、
XPO2及びCAPGの発現レベルを検出する手段を含むキットである。
【0214】
キットの使用の別の詳細な実施形態において、タンパク質の発現レベルを検出する手段
は、標的タンパク質に特異的に結合する抗体又はそのフラグメントである。
【0215】
第5の態様により、本発明は、固体担体並びにPIGR、VIME、CTNB1、CA
YP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAP
G、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、BCAM、IF
2B3、PLD3、MX1、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM
、ENOA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGA
L、及びLDHAからなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを検出する
手段を含むキットに関する。
【0216】
第5の態様の詳細な実施形態において、キットは、固体担体並びにLAMP、MMP9
、PIGR;AGRIN、MMP9、PIGR;AGR2、PIGR、PLD3;AGR
2、BCAM、PODXL;BCAM、PODXL;PIGR、PLD3;BCAM、P
IGR;CLD6、RAB8A;CLD6、PODXL;BCAM、RL29;BCAM
、PODXL;CLD6、PPIA;AGRIN、BCAM;ANXA、BCAM;BC
AM、RAB8A;BCAM、SYIC;CLD6、IFB3;及び表Cに挙げるセット
からなる群から選択される少なくとも1セットのタンパク質の発現レベルを検出する手段
を含む。
【0217】
より詳細な実施形態において、キットは、2~500セット、より詳細には2~400
セットの組合せの発現レベル検出する手段を含む。
【0218】
上記又は下記の実施形態のいずれかと任意に組合せた、別の詳細な実施形態において、
キットは、MMP9、PODXL、RAB8A;MMP9、PODXL、RSSA;AG
RIN、MMP9、PODXL;MMP9、PODXL、VAMP8;MMP9、MX1
;MMP9、RSSA;MMP9、MVP;MMP9、RAB8A;MMP9、VAMP
8;BCAM、MMP9;MMP9、AGRIN;AGRIN、CD81、TERA;A
GRIN、CD59、MVP;AGR2、AGRIN、CD81;AGRIN、CD16
6、MVP;AGRIN、CD81;AGRIN、CD166;AGRIN、CD59;
AGRIN、MMP9;及び表Dに挙げるタンパク質のセットからなる群から選択される
、少なくとも1セットのタンパク質の発現レベルを検出する手段を更に含む。
【0219】
次の表Eから選択される特定の組合せ並びに表Dに挙げたもの(本明細書の最後に示す
)は、子宮吸引物中のタンパク質の発現レベルが検出された際に、高い診断値で判定され
た。次の表Eは、AUCと95%値の信頼区間(CI)を示す。データは、非EC及びE
C(EEC及びNEECを含む)のサンプルの分析に由来する。表Dには、AUCも示す
。
【0220】
【0221】
他方、表Fは、以下の組合せ:AGRIN、CD81、TERA;AGRIN、CD5
9、MVP;AGR2、AGRIN、CD81;AGRIN、CD166、MVP;AG
RIN、CD81;AGRIN、CD166;AGRIN、CD59;AGRIN、MM
P9のAUC値及び95%のCIを示し、子宮吸引物から分離されたエクソソーム含有画
分でタンパク質の発現レベルが検出された際の重要な予後情報を与える。データは、非E
C及びEC(EEC及びNEECを含む)のサンプルの分析に由来する。
【0222】
第4の態様について示したように、この第5の態様の詳細な実施形態において、タンパ
ク質の発現レベルを検出する手段は、標的タンパク質に特異的に結合する抗体又はそのフ
ラグメントである。
【0223】
本発明の第4及び第5の態様の別の詳細な実施形態において、キットはELISAキッ
トである。本実施形態において、キットは、固体担体並びに上記のタンパク質及びタンパ
ク質の組合せのいずれかの発現レベルを判定する手段を含む。別の実施形態において、キ
ットは、検出される標的タンパク質に特異的に結合する固体担体及び抗体又はそのフラグ
メントを含み、これらの抗体はシグナルを生成できるレポータ分子と結合している。
「固体担体」としては、ニトロセルロース膜、ガラス又はポリマーが挙げられる。最も
よく使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン
、ポリ塩化ビニル又はポリプロピレンである。固体担体は、ストリップ、チューブ、ビー
ズ、ディスク若しくはマイクロプレートの形態、又はイムノアッセイを行うのに好適な他
の表面であってよい。
【0224】
本明細書で使用する「レポータ分子」は、その化学的性質により、抗原結合抗体の検出
を可能にする分析的に同定可能なシグナルを与える分子を意味する。検出は定性的又は定
量的のいずれかであり得る。この種のアッセイで最もよく使用されるレポータ分子は、酵
素、フルオロフォア又は放射性核種含有分子(即ち、放射性同位元素)のいずれかである
。酵素イムノアッセイの場合、酵素は、一般にグルタルアルデヒド又は過ヨウ素酸塩によ
って2次抗体に結合されている。しかし、ただちに認識されるように、多種多様の異なる
結合技法が存在し、これらは当業者に容易に利用できる。よく使用される酵素としては、
特にホースラディッシュペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダ
ーゼ及びアルカリホスファターゼが挙げられる。特定の酵素とともに使用される基質は、
一般に、対応する酵素による加水分解の際に、検出可能な色変化の生成のために選択され
る。例えば、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート/ニトロブルーテト
ラゾリウムは、アルカリホスファターゼ結合体との使用に好適であり、ペルオキシダーゼ
結合体には、1,2-フェニレンジアミン、5-アミノサリチル酸、3,3:5,5:テ
トラメチルベンジジン又はトリジンがよく使用される。上記の発色性基質ではなく、蛍光
生成物を生じる蛍光発生基質を用いることも可能である。蛍光発生基質の例は、フルオレ
セイン及びローダミンである。特定の波長の光の照射によって活性化されると、蛍光色素
標識抗体は光エネルギーを吸収し、分子内に励起状態を誘発し、続いて光学顕微鏡によっ
て視覚的に検出可能な特徴的な色で光が放出される。免疫蛍光及びEIA技法はどちらも
当分野で十分に確立されていて、本方法にとって特に好ましい。しかし、他のレポータ分
子、例えば放射性同位体、化学発光分子及び生物発光分子並びに/又は色素及び他の発色
性物質も使用され得る。
【0225】
特定のレポータ分子結合抗体の選択は、大部分は、本発明の検査キットの意図された使
用及び使用者によって決定される。
【0226】
バイオマーカのレベルを測定するための結合アッセイでは、固相又は均一形式が使用さ
れ得る好適なアッセイ法としては、サンドイッチ又は競合結合アッセイが挙げられる。サ
ンドイッチイムノアッセイの例は、米国特許第4,168,146号及び米国特許第4,
366,241号に記載され、これらはどちらもその全体が参照により本明細書に組み入
れられている。競合イムノアッセイの例としては、米国特許第4,235,601号、米
国特許第4,442,204号及び米国特許第5,208,535号に開示されているも
のが挙げられ、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられている
。
複数のバイオマーカは、マルチプレックスアッセイ形式、例えば、結合試薬アレイの使
用による多重化、標識のスペクトル区別を使用する多重化、例えばLuminex(登録
商標)システムを使用する、粒子に対して行われる結合アッセイのフローサイトメトリー
分析の多重化を使用して測定され得る。
【0227】
本発明のアッセイは、任意の好適な方法によって行われ得る。一実施形態において、バ
イオマーカレベルは単一のサンプルで測定され、これらの測定は、これに限定されるわけ
ではないが、アッセイプレートの単一のウェル、単一のアッセイカートリッジ、単一の側
方流デバイス、単一のアッセイチューブなどを含む、単一のアッセイチャンバ又はアッセ
イデバイスで行われ得る。バイオマーカレベルは、当業者が利用可能ないくつかの技法、
例えば直接物理的測定(例えば質量分析)又は結合アッセイ(例えばイムノアッセイ、凝
集アッセイ及び免疫クロマトグラフィーアッセイ)のいずれかを使用して測定され得る。
方法は、化学反応、例えば光学的吸光度の変化、蛍光の変化、化学発光又は電気化学発光
の発生、反射率、屈折率又は光散乱の変化、表面からの検出可能な標識の蓄積又は放出、
酸化又は還元又は酸化還元種、電流又は電位、磁場の変化などから生じるシグナルを測定
することも含み得る。好適な検出技法は、標識の光ルミネセンス(例えば蛍光、時間分解
蛍光、エバネッセント波蛍光、アップコンバートリン光体、多光子蛍光などの測定により
)、化学発光、電気化学発光、光散乱、光学的吸光度、放射能、磁場、酵素活性(例えば
、光学的吸光度若しくは蛍光の変化を引き起こす、又は化学発光の放出を引き起こす酵素
反応によって酵素活性を測定することにより)による標識の測定を通じて標識結合試薬の
関与を測定することによって、結合イベントを検出し得る。又は、標識の使用を必要とし
ない検出技法、例えば質量(例えば表面弾性波測定)、屈折率(例えば表面プラズモン共
鳴測定)又は検体の固有のルミネセンスの測定に基づく技法が使用され得る。
【0228】
別の実施形態において、キットはマイクロアレイである。
【0229】
別の実施形態において、キットは、タンパク質子宮内膜癌マーカをコードする定義され
た遺伝子のセットを含むマイクロアレイである。発現が子宮内膜疾患によって著しく変化
する、分析される特定のタンパク質(リストの2~11)について上記で与えた実施形態
すべても、マイクロアレイの詳細な実施形態である。
【0230】
別の詳細な実施形態において、本発明のキットは、個々のサンプルを分類するためのパ
ンネルダイヤグラムを更に含む。
【0231】
本発明の更なる態様は、予後の機能における、子宮内膜癌に罹患している対象の医療レ
ジメンを開始するか否かを決定又は推奨する方法であった。本方法の詳細な実施形態にお
いて、方法は
a)対象の女性生殖管からの子宮液サンプル中の、PIGR、VIME、CTNB1、
CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、C
APG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3
、PLD3、MX1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベル及び任意
にタンパク質XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、G
STP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及びLDH
Aの1以上の発現レベルをインビトロで判定するステップ、並びに
b)検査サンプル中のタンパク質レベルがPIGR、VIME、CTNB1、CAYP
1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、AGR2、
BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、MX1
の基準対照レベルよりも高く、及びCAPGの基準対照レベルよりも低い場合、EECと
NEECを区別することによってECの予後を確立するステップ、
を含み、
i)対象が子宮内膜癌に罹患している、又は子宮内膜癌に罹患している疑いがあると診
断され、対象がEECに罹患していると鑑別診断された場合、リンパ節郭清によって任意
に補完された、子宮全摘出術及び両側付属器切除術からなる、EECの医療レジメンの開
始が推奨され、
ii)対象が子宮内膜癌に罹患している、又は子宮内膜癌に罹患している疑いがあると
診断され、対象がNEECに罹患していると鑑別診断された場合、子宮全摘出術及び両側
付属器切除術、骨盤内及び傍大動脈リンパ節郭清、大網切除術並びに腹膜(periti
oneal)生検からなる、NEECの医療レジメンの開始が推奨される。
【0232】
確立された予後の機能における子宮内膜癌に罹患した対象の医療レジメンを開始するか
否かを決定又は推奨する別の詳細な実施形態の方法において、対象がEECに罹患してい
ると診断された場合、放射線療法、化学療法及びその組合せから選択される補助治療が推
奨される。更に別の詳細な実施形態において、対象がNEECに罹患していると診断され
た場合、補助治療として化学療法が推奨される。
【0233】
本発明の別の態様は、上記の態様及び実施形態で定義された診断及び/又は予後の方法
のいずれかを実施するためのアルゴリズムを提供することである。
【0234】
詳細な実施形態において、アルゴリズムは、ECの診断及び/又はECの予後のための
、特にECサブタイプ、特にEEC又はNEECを判定することによる疾患の予後のため
のコンピュータ実装方法である。このアルゴリズムにより、サンプルがECに罹患してい
る対象若しくは罹患していない対象のどちらに由来するか、又はサンプルがECに罹患し
ている対象に由来する場合、EEC又はNEECのどちらに罹患しているかを決定するこ
とができる。より詳細な実施形態において、アルゴリズムは推奨治療を提供する。したが
って、上記で定義された方法を実施するためのコンピュータ実装方法も提供され、本方法
では、ECの診断及び/又は予後のためにタンパク質の1以上の発現レベルを判定した後
、レベルに値及び/又はスコアが与えられ、計算値を得るために数式で任意に計算され、
レベル、スコア及び/又は計算値の機能において、ECに罹患している若しくは罹患して
いない選択肢の間で、及び/又は異なるECサブタイプ間で罹患している選択肢の間で決
定がなされる。
【0235】
言い換えれば、本発明のアルゴリズムの別の詳細な実施形態において、ECの診断及び
/又は予後のためにタンパク質の1以上の発現レベルを判定した後、レベルに値及び/又
はスコアが与えられ、計算値を得るために数式で任意に計算され、レベル、スコア及び/
又は計算値の機能において、ECに罹患している若しくは罹患していない選択肢の間で、
及び/又は異なるECサブタイプ間で罹患している選択肢の間で決定がなされる。
【0236】
本発明は、非類内膜子宮内膜癌(NEEC)から類内膜子宮内膜癌(EEC)を区別す
ることによる、子宮内膜癌の予後の方法であって、女性生殖管から単離したサンプル中の
以下のPIGR及びVIMEタンパク質の1以上の発現レベルを判定することを含む、方
法も含む。
【0237】
発明者らは、これらの2つのタンパク質が、女性生殖管のサンプルから出ることによっ
て、ECサブタイプの区別に有用であることを初めて発見した。サンプルは、特に子宮器
官の組織生検及び生殖管の液体(即ち子宮吸引物)から選択することができる。本方法は
、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1、CD44、LEG3
、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP9、CD59、CLD
6、IF2B3、PLD3、MX1、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、
KPYM、ENOA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS
、NGAL、及びLDHAからなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを
更に検出することを含む。発現レベルは、特にタンパク質に特異的に結合する抗体又は抗
体のフラグメントによって、特にタンパク質レベルで判定される。方法を実施するために
使用される部品及び手段のキットも本発明の一部である。
【0238】
本発明者らが行ったアッセイにより、ECの重要な情報を与えるタンパク質が同定され
ている。これは、EECサンプル及びNEEC(SEC)サンプルにおいて差次的に発現
されたVIMEの場合である。このため、本タンパク質によって、ECサブタイプの分類
だけでなく、診断の確認も可能となる。発明は、ECの診断及び/又は予後の方法であっ
て、特に女性生殖管からの女性の単離サンプル中のVIMEの発現レベルを判定すること
を含む、方法を含む。
【0239】
その上、アッセイしたサンプルによって、ECと子宮内膜過形成の間の、女性生殖管か
らの液体サンプル中のいくつかのタンパク質の差次的発現の判定が可能になる。子宮内膜
過形成は、過剰なストロゲン刺激によって引き起こされる子宮内膜の肥厚である。これは
良性疾患である。しかし、これはECの前駆病変と見なされ、明確に診断すべきである。
ECサンプル(任意のサブタイプ、EEC及びNEEC)及び過形成症例を含む(inc
ludig)非ECサンプル対照を用いたアッセイにおいて、16のタンパク質が差次的
に豊富であることが見出され、過形成とその他の非EC対照(正常な子宮内膜又は筋腫若
しくはポリープなどの過形成とは異なる良性疾患の女性)の間で調整p値は<0.05、
倍率変化は2倍を超えた。このタンパク質のうち4つ、NAMPT、ENOA、CATD
、及びGSTP1は、0.85より高いAUCを示した。適正な検証の後、これらはEC
からの過形成の診断につながる。このため、本発明は、対象における子宮内膜過形成の診
断及び/又は予後の方法であって、特に女性生殖管からの女性の単離サンプル中の以下の
タンパク質:NAMPT、ENOA、CATD、及びGSTP1の1以上の発現レベルを
判定することを含む方法にも関する。ECの前駆病変である過形成を早期に検出すること
によって、可能な限り早期に悪性腫瘍を検出するための、患者のフォローオンを増加する
ことができる。この態様に関連して、本発明は、本発明のNAMPT、ENOA、CAT
D、及びGSTP1マーカの1以上を使用して過形成のための医療レジメンをモニタリン
グする方法も提供する。マーカの正常レベルへの(即ち、過形成のない対照対象のレベル
への)低下又は復帰によって、患者が医療レジメンに有利に反応したこと、従って、レジ
メンが有効であることを示すことができる。マーカのレベルが大幅に変化しない、又は上
昇する場合、これはレジメンが有効ではないこと、及び/又は過形成がECに進行するリ
スクが高いことを示すことができる。これらの症例では、外科的治療を行う必要がある。
【0240】
本発明のインビトロ方法は、診断及び/又は予後情報を与える。一実施形態において、
本発明の方法は、(i)診断及び/又は予後情報を収集するステップ、並びに(ii)デ
ータ担体に情報を保存するステップを更に含む。
【0241】
本発明の意味において、「データ担体」は、紙等の、子宮内膜癌の診断及び/又は予後
のための意味のある情報データを含有する任意の手段として理解されるべきである。担体
は、予後データの収容が可能な任意の要素又はデバイスでもあり得る。例えば、担体は、
ROM、例えばCD ROM若しくは半導体ROM、又は磁気記録媒体、例えばフロッピ
ーディスク若しくはハードディスクなどの記憶媒体を備え得る。更に、担体は、電気若し
くは光ケーブルを介して、又は無線若しくは他の手段によって搬送され得る、電気又は光
シグナルなどの伝送可能な担体であり得る。診断/予後データが、ケーブル又は他のデバ
イス若しくは手段によって直接搬送され得るシグナルで表される場合、担体はそのような
ケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって構成され得る。他の担体は、USBデバ
イス及びコンピュータアーカイブに関連している。好適なデータ担体の例は、紙、CD、
USB、PCのコンピュータアーカイブ、又は同じ情報を用いた音声登録である。
【0242】
明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」という用語及びそ
の用語の変形は、他の技術的特徴、添加物、成分又はステップを除外することを意図して
いない。更に、「含む(comprise)」という用語は、「からなる(consis
ting of)」の場合を含む。本発明の追加の目的、利点及び特徴は、明細書を検討
することにより当業者に明らかになるか、又は本発明の実施により習得され得る。以下の
実施例は例示のために提供されるものであり、本発明を限定することを意図するものでは
ない。更に、本発明は、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態の全ての考えられる組
合せを網羅している。
【実施例0243】
実施例1 子宮液由来のエクソソーム中の及び子宮液中のECの診断及び予後のバイオマ
ーカ
【0244】
1.サンプル、試薬及び方法
1.1 患者及びサンプルの説明
患者は3つの別の機関:HUVH(Hospital Universitari V
all d’Hebron、バルセロナ、スペイン)、HUAV(Hospital U
niversitari Arnau de Vilanova、レリダ、スペイン)及
びUMCF(University Medical Center of Freib
urg、フライブルク、ドイツ)で募集した。各参加機関は倫理審査による承認を得て、
参加者がインフォームドコンセントに署名した後に、サンプルを採取した。
【0245】
子宮吸引物(UA)は、Cornier Pipelle(Gynetics Med
ical Products)を用いた吸引によって得た。サンプルを1.5mL管に入
れ、1:1の比率(v/v)でのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の添加、サンプルの穏
やかなピペッティング、F45-30-11ロータ(Eppendorf Microc
entrifuge 5417R)による、2500 g(4℃)にて20分間の遠心分
離を含む処理全体を通じて氷上に保持して、細胞画分を除去した。次に、残りの上清(S
N)画分を分注し、必要になるまで-80℃にて凍結させた。
【0246】
エクソソーム(省略形ELV)単離では、ELVは、Theryらによって以前に記載
されたELV単離プロトコルhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov
/pubmed/18228490の変法に従い、分画遠心分離によってUAのSNから
得た。簡潔には、SNを解凍し、PBSで希釈して最終体積を25mLとした。10,0
00×g(4℃)で30分間の遠心分離ステップをThermo Scientific
Heraeus MultifugeX3R遠心分離機(FiberLiteロータF
15-8x-50c)にて行い、細胞片、マクロ粒子及びアポトーシス体を除去した。M
Vが濃縮された、得られたペレットをPBS 50μLに再懸濁させて、-80℃にて凍
結させた。次に、上清を超遠心管(Beckman Coulter)に移し、PBSで
満たし、AH-629ロータを備えたThermo Scientific Sorva
ll WX UltraSeries遠心分離機で100,000×g(4℃)にて2時
間、最初の超遠心ステップを行った。この2回目の遠心分離の上清は可溶性画分であり、
-80℃にて凍結させた。この最初のペレットをPBSに再懸濁させて、100,000
×g(4℃)にて1時間、再度遠心分離した。ELVが濃縮された最終ペレットを(微小
胞(MV)及びいくつかの残存アポトーシス体とともに)PBS50μLに再懸濁させた
。MV及びELVペレットから5μLを、粒度分布及びNTAによる定量化のために-8
0℃にて保存して、残りのサンプルはタンパク質抽出のために-80℃にて凍結させた。
【0247】
1.2 液体クロマトグラフィー並行反応モニタリング(LC-PRM)分析によるタン
パク質の抽出及び同定
発見段階では、40mM Tris pH8、300mM NaCl、10mM ED
TA、2%Triton X-100及び1:100プロテアーゼ阻害剤(Sigma-
Aldrich)で構成される溶解緩衝液に、ELVを1:1の比率(v/v)で再懸濁
させた。次に、サンプルを-20℃にて少なくとも8時間凍結させ、氷上で解凍し、振幅
100%で5秒間の超音波処理(Labsonic M、Sartorius Sted
im Biotech)を、サイクルを5回行って、膜を破壊した。抽出したタンパク質
は、必要になるまで-20℃にて保存した。
【0248】
検証段階は、ELVを隔離する必要なしに、ELV及び子宮吸引物(UA)に対して行
った。検証段階でELVからタンパク質を抽出するために、溶解緩衝液に含有される洗浄
剤を1%未満のNP-40に変更し、タンパク質抽出が直接溶液内消化及びLC-MS/
MSにすでに好適となるようにした。残りの手順は同様のままとした。UAの液体画分か
らタンパク質を抽出するには、サンプル中に存在する微小胞、タンパク質凝集体及び/又
は粘液を破壊するために、各UAに、100%振幅で5秒間の超音波処理(Labson
ic M、Sartorius Stedim Biotech)サイクルを5回行った
。次に、Albumin & IgG depletion spin trapキット
(GE Healthcare)を製造元の指示に従って使用して、サンプルからアルブ
ミン及び免疫グロブリンGを除去した。抽出したタンパク質は全て、必要になるまで-2
0℃にて保存した。アルブミン及び免疫グロブリンGを除去しなかった子宮液サンプル(
ELV又はELVを単離しないUA)でも、診断値と予後値のデータを得た。
【0249】
発見段階では、0.1%ギ酸に溶解させたペプチドをまず、所内充填カラム内の内径1
50μmID×20cm nano-LC(Jupiter C18,3μm、300Å
、Phenomenex、トーランス、カリフォルニア州)に添加して、EASY na
noLCシステム(Thermo Scientific)を用いて分離した。ペプチド
の溶離には、600nL/分の一定流量で5~40%ACN(0.2%FA)の1時間線
形勾配を使用した。LCシステムをQExactive plus Orbitrapタ
ンデム質量分析計(Thermo Fisher Scientific)に連結し、R
AWファイルをXCaliburソフトウェア(Thermo Fisher Scie
ntific)によって取り込んだ。タンデム質量スペクトルは、m/z 2.0の前駆
体単離ウィンドウ(precursor isolation window)を用いた
Top-12法で行った。分解能は、検索スキャンではm/z400にて70.000(
AGC 1e6、最大注入時間200 ms、スキャン範囲m/z300-2000)、
MS/MSスペクトルでは17.500(5e5におけるAGC、最大注入時間50ms
及びスキャン範囲m/z200-2000)であった。正規化衝突エネルギー(NCE)
を25に設定し、排除時間を10秒に設定した。
【0250】
タンパク質の同定については、SILAC定量化のために、MaxQuant(バージ
ョン1.3.0.3)を使用してRAWファイルを分析した。採用したデフォルトのパラ
メータは、MS/MSフラグメントの許容誤差20ppm、カルバミドメチル化(Car
bamidomethylatin)(C)固定、酸化(M)並びに可変修飾としてのア
セチル(タンパク質N末端)であった。重度標識にはアルギニン(Arg10)及びリジ
ン(Lys8)を選択し、「match between run」オプションを適用し
た。RAWファイルは、HUMAN SwissProtデータベースで検索した。Pr
esence/Absence分析では、PEAKS7.0(http://www.b
ioinfor.com/)を使用して標識フリー分析を行った。データベース検索では
、37254エントリを含有するHuman UniprotデータベースでRAWファ
イルを検索した。検索パラメータについては、前駆体の誤差許容値を10ppmに設定し
、MS2フラグメントについては、許容値は0.01Daであった。トリプシンの最大2
つの誤切断が許容された。カルバミドメチル化(C)、脱アミド化(NQ)及び酸化(M
)は可変修飾であった。偽発見率(FDR)が1%未満のペプチドのみを検討した。潜在
的バイオマーカを検証するために、PEAKS結果をScaffoldプロテオームソフ
トウェア(http://www.proteomesoftware.com/)にア
ップロードした。
【0251】
発見段階の統計分析を行って、2つの異なる結果:(1)患者の異なるサブグループに
存在する又は存在しないタンパク質からなる定性的データ及び(2)各タンパク質と内部
標準の相対的存在量を表すSILAC比から得た発現測定値から成る定量的データを得た
。
【0252】
定性的データについては、Fisherの正確検定を各タンパク質に適用して、グルー
プ間で存在/非存在を比較した(p値<0.001)。定量的データについては、差次的
に発現されるタンパク質を選択するために、グループの各ペア間でStudentのt検
定を行った。この検定は、グループごとに4名を超える個人に存在するタンパク質に対し
てのみ行った。多くの検定(タンパク質につき1つ)を行って生じた多重比較の問題に対
処するために、Benjamini-Hockberg法を使用して、p値を調整してF
DRを強く制御した(調整p値<0.25及びFC>1.3)。
【0253】
全ての分析は、統計プログラム「R」(Rバージョン3.2、(C)2015 The
R Foundation for Statistical Computing)
を使用して行った。
【0254】
発明者のグループの以前の結果から選択した5つの候補とともに、発見段階の結果(4
9)に基づいて、選択反応モニタリング(SRM)により、対象実験用に合計54のタン
パク質を選択した。タンパク質ごとに2つの固有のペプチドを選択して、以前の質量分析
実験での検出可能性に基づいてSRMによってモニタリングした。選択した各ペプチドに
ついて、同位体標識バージョン(15N2、13C6-リジン、15N4、13C6-ア
ルギニン)を購入し、各サンプルにスパイクして内部標準として使用した。内部標準は、
実験の希釈曲線に基づいて個々のペプチドごとに確立された線形応答範囲内の濃度でスパ
イクした(データ非表示)。並行して、同位体標識ペプチドを混合し、MS2スペクトル
ライブラリと保持時間の知識データベースを生成するために使用した。
【0255】
合計85の内因性ペプチドとその対応する内部標準を、患者107人名の独立したコホ
ートからのLys-C及びトリプシン消化サンプルにおけるSRMによって測定した。ペ
プチド当たりの5つの最も強いトランジションは、内径75μMを有し、1.9μM C
18粒子を充填した逆相クロマトグラフィー25cmカラム(日京テクノス株式会社、日
本)及び2cmプレカラム(Acclaim PepMap 100、C18、15μM
、100A)を装備した、三連四重極質量分析計(5500Q-Trap、AB Sci
ex Instruments、米国カリフォルニア州フォスター)でモニタリングした
。ローディング緩衝液:0.1%ギ酸を含むH2O;溶離緩衝液:ACN、0.1%ギ酸
。使用した流量は250nL/分であり、40分間で5~40%の範囲に及ぶ溶離緩衝液
のクロマトグラフィー勾配を使用した。サンプルの繰り越しを回避するために、生物学的
サンプルのSRM測定間にブランク試験を行った。測定は、300秒のウィンドウ及び1
.5秒の目標サイクル時間を使用して、スケジュール化SRMモードで行った。
【0256】
検証フェーズのデータ分析のために、標的ペプチドに対応するトランジショングループ
を、ライト形及びヘビー形の両方で、標的ペプチドに関連付けられたトランジショントレ
ースの共溶離;ライトSRM相対強度とヘビーSRM相対強度の相関に基づいて、Sky
line v2.5で評価した。すべてのペプチドピークを目視検査した。MSstat
s Skyline plug-in(v3.3)に実装された線形混合効果モデルへの
入力として、すべてのトランジションの領域を使用して、異なるサンプルグループ間でタ
ンパク質の倍率変化と調整p値を計算した。
【0257】
予測変数の開発では、MSstatsを使用して、log2変換されたトランジション
面積に基づいてすべてのサンプルに存在するタンパク質の量を概算し、定義されたグルー
プ間のロジスティック回帰モデルへの入力変数として使用した。各タンパク質の分類能力
は、性能指標として、曲線下面積(AUC)を使用してデータセットの2/3以内で評価
した。最も特徴的な高いタンパク質が最初の分類指標として選択された。AUC値を増加
させながら(ΔAUC>0.02)、大半の特徴的タンパク質を繰返し添加した。分類評
価の手順は、各繰返しにおいて異なる患者のサブセットを使用して500回繰返した。サ
ンプルのサブセットは、置換を行わずに元のコホートから患者を無作為に選択することに
よって生成して、サンプルのサブグループごとに平衡化した。最終的なコンセンサスモデ
ルは、タンパク質の組合せで構成され、500個の繰返しで最も多く選択された。最終モ
デルを全データセットに当て嵌め、ROC曲線下面積、感度、特異性及び精度を使用して
予測精度を定量化した。統計プログラム「R」のpROCパッケージを、ROCの作成、
AUC及びその他のパフォーマンス値(即ち、感度、特異性及び精度)の計算に使用した
。「最適カットオフ」を感度と特異度の和が最大値に達した時点と見なして、これらを得
た。
【0258】
2.結果
2.1 発見段階
このプロジェクトの発見段階では、EEC(EC1とも省略)患者10名から、NEE
C(EC2とも省略、特にSECであった)10名から及び対照患者10名からの子宮吸
引物(N=30)を使用してELVを単離した。
【0259】
単離した小胞の純度を確認したら、1D-SDS-PAGEによる分離の直前に、30
個の各サンプル(EEC n=10、NEEC n=10及びCTRL n=10)を、
2:1のヘビー/ライト比の同量のSuper-SILACミックス(内部標準)でスパ
イクした。各ゲルレーンをバンド10個にスライスし、各バンドをトリプシン消化してペ
プチドを抽出し、300個の個別のLC-MS/MS分析を行った。これらのタンパク質
のみが少なくとも1つの固有のペプチドによって同定され、これらのペプチドが1%未満
の偽発見率(FDR)を有すると考えて、MS/MSデータのタンパク質データベースを
検索した結果、全体で2138のタンパク質が同定された。MS/MSスペクトルをソフ
トウェアMaxQuantで更に処理すると、920のタンパク質の定量化、即ち同定さ
れたプロテオームの43%の全定量化率につながった。
【0260】
合計152のタンパク質は、調整p値<0.25及び-1.3未満又は1.3超の倍率
変化で、差次的に発現した。これらから、147のタンパク質が潜在的な診断バイオマー
カであり(CTRLとECの比較からの差)、28のタンパク質が潜在的な予後バイオマ
ーカ(EECとNEECの比較からの差)であった。定量分析と並行して、定量できなか
ったタンパク質を考慮するために存在/非存在試験を行ったのは、そのタンパク質にはヘ
ビー相対物(heavy counterpart)はないが、特定のグループに存在す
るために関連性がなおあるためである。このため、RAWファイルをPEAKSソフトウ
ェアで再分析し、Fisher検定を行って、グループ内に有意に存在するタンパク質を
選択した(p値<0.001)。この分析後に、29の潜在的な診断バイオマーカ及び9
の潜在的な予後バイオマーカに相当する、合計30の候補が含まれていた。
【0261】
上記の統計的制限を常に尊重して、(i)相対定量分析、(ii)存在/非存在試験及
び(iii)候補リストでファミリが過剰提示されたタンパク質又は癌でダウンレギュレ
ートされたタンパク質の排除などの生物学的基準を組合せて、合せて54の候補の最終リ
ストが生成された。この54の候補バイオマーカのうち、50は診断バイオマーカに相当
し、15は予後バイオマーカに相当し、そのうち37は診断潜在能力のみを有し、2は予
後潜在能力のみを有し、13が診断潜在能力と予後潜在能力の両方を有していた。
【0262】
2.2 UA ELVのタンパク質バイオマーカの検証
前の節に記載した54の候補リストを得て、新たなより大規模な患者コホートでLC-
SRMを使用して、その候補の潜在能力を検証することを目的とした。発見段階の試験と
同様に、UAのELV画分が分析の選択サンプルであった。ECを診断し、組織学的サブ
タイプを区別する各マーカの個々の潜在能力を評価することに加えて、ここでは異なる候
補を組合せて診断モデル及び予後モデルを生成しようとした。更に、独立コホート中のU
Aの全体液画分における各候補の分類精度を評価した。
【0263】
検証段階で合計107人の患者を募集して(コホートB)、EEC又はEC1(n=4
5)、NEEC又はEC2(n=21)、及びCTRL(n=41)の3つのグループに
分けた。特に、NEECは漿液性子宮内膜癌(SEC)と診断された患者に相当した。こ
れより、前の節で見られたように、UAからのELVが単離、キャラクタリゼーションさ
れた(データ非表示)。発見段階で生成した54のタンパク質候補バイオマーカのリスト
をLC-SRMによって検証した。検証するために、タンパク質ごとに2つの固有のトリ
プシンペプチドを選択し、これから最終的に合計85の内因性ペプチドをスケジュールS
RMによってモニタリングした。ただし、51のタンパク質に対応する85のペプチドの
うち、検出されたのは69のみであった。3つの候補(TNR6、CLH1、及びPSB
3)はいずれのサンプルでも検出されなかった。
【0264】
このSRM実験の結果として、48の潜在的な診断バイオマーカのうち43(89.6
%)が(即ち、CTRLとECの間で存在量の有意差が認められた)、この検証段階でも
有意であることが認められ(調整p値<0.01)、このため、個々の診断バイオマーカ
としての潜在能力が確認された。45の定量化されたタンパク質のうち合計29が、EC
症例とCTRL症例を個別に区別する高い精度を示した(表6にて太字で強調表示した、
0.75より高いAUC値)。最も重要な5つの個々のバイオマーカは、AGRIN(A
UC=0.90、CI95:0.85-0.96)、TACD2(AUC=0.87、C
I95:0.81-0.94)、SORT(AUC=0.86、CI95:0.79-0
.93)、MVP(AUC=0.86、CI95:0.78-0.93)及びFAS(A
UC=0.85、CI95:0.78-0.92)であった。以下の表2.1は、ELV
中のEC診断用に選択したバイオマーカのリストを示す。
【0265】
潜在的な予後バイオマーカ(即ち、EC1(EEC)対EC2(NEEC)の比較)に
ついては、15の候補のうち5つのタンパク質のみが検証段階で差次的に発現しているこ
とが判明した(調整p値<0.01)。検証したバイオマーカは、CLD6、IF2B3
、BCAM、PLD3及びMX1であった。45の定量タンパク質のうち合計4つが、E
C1症例とEC2症例を個別に区別する高い精度を示し、AUC値は0.75:CLD6
(AUC=0.88、CI95:0.76-1.00)、BCAM(AUC=0.87、
CI95:0.76-0.97)、IF2B3(AUC=0.80、IC95:0.68
-0.93)及びPLD3(AUC=0.79、IC95:0.66-0.93)であっ
た。以下の表2.2は、ELVのEC予後に関して選択されたバイオマーカのリストを示
す。
【0266】
2.3 UAの全液体中の標的プロテオミクスによる候補の検証
これらのバイオマーカの使用が、より入手しやすく、細胞外小胞の単離を必要としない
サンプルに移行可能か否かを理解するために、UAの全液体画分のエクソソーム中で同定
されたバイオマーカの試験を行うことを目的とした。そのために、合計67人の患者(コ
ホートC)を選択し、EEC(n=22)、NEEC(n=20)、CTRL(n=25
)の3つのグループに分けた。
【0267】
試験のこの部分では、合計51のタンパク質を分析した。タンパク質ごとに2つの固有
のトリプシンペプチドを選択し、これから最終的に合計75の内因性ペプチドをスケジュ
ールSRMによってモニタリングした。合計37のタンパク質のみを検出し、続いてAU
Cを推定するために定量化した。
【0268】
この検証試験で得た結果は、ELVに基づくバイオマーカをUAの全液体に移行させる
可能性を理解するために、以前に行った結果と比較して評価した。まず、UAの全液体中
のELVバイオマーカの検出可能性は、ELVを分析したときの検出可能性と比較して非
常に限定的であることが認められ、ELVで検出された51のバイオマーカのうち、UA
で検出されたものは、わずか34(66.7%)であった。
【0269】
次の表1.1及び表1.2に、UAの全液体画分におけるEC診断のための、及びUA
の全液体画分におけるEC予後(EECとNEECの比較)のための重要なバイオマーカ
のリスト。
【0270】
【0271】
【0272】
実施例2 子宮吸引物中の、患者116名のコホートにおける、EEC(EC1)症例を
NEEC(EC2)症例と区別することによるECの予後
【0273】
1.サンプル、試薬及び方法
1.1 患者及びサンプルの説明
2012年から2015年にかけて、Vall Hebron University
Hospital(バルセロナ、スペイン)、Hospital Universit
ari Arnau de Vilanova(リエダ、スペイン)及びUnivers
ity Medical Center Freiburg(フライブルク、ドイツ)で
合計116名の女性を募集した。各病院の倫理委員会によって承認されたインフォームド
コンセント文書にすべての患者が署名した。全ての女性は、ECの疑い、即ち経膣超音波
検査の結果に基づく、異常子宮出血(blooding)(AUB)の出現及び/又は閉
経後の女性では4mm以上、閉経前の女性では8mm以上の子宮内膜の厚さによる、EC
診断過程に進んだ。女性116名のうち、69名がECと診断され、類内膜EC(EEC
)49名及び非類内膜漿液性EC(SEC又はNEEC)20名が含まれていた。残りの
47名の女性は、子宮内膜が正常であるか、良性障害(子宮内膜過形成を含む)と診断さ
れた非EC女性であった。患者の臨床病理学的特徴を、患者の次の表に記載する。
【0274】
表3 試験に登録した女性の臨床的特徴
*未定グレードの1症例
【表3】
【0275】
子宮吸引物をCornier Pipelle(Eurogine Ref.0304
0200)で吸引して採取し、1.5mlマイクロチューブに移した。リン酸緩衝生理食
塩水を1:1(v/v)の比率で添加し、細胞画分から液体画分を分離するために、2,
500xgで20分間遠心分離した。100μl~1mlの範囲に及ぶ子宮吸引物液を、
使用するまで-80℃に保持した。
【0276】
1.2 液体クロマトグラフィー並行反応モニタリング(LC-PRM)分析のためのサ
ンプル調製
LC-PRM分析のサンプル調製は、Martinez-Garcia Eら、“De
velopment of a sequential workflow based
on LC-PRM for the verification of endom
etrial cancer protein biomarkers in uter
ine aspirate samples”,Oncotarget-2016,vo
l.no.7(33),pp.:53102-53114(上掲)によって以前に記載さ
れたように行った。簡潔には、子宮吸引物からの液体画分を超音波処理し、Albumi
n&IgG depletion spin trapキット(GE Healthca
re)を使用して、各サンプル50μlからアルブミン及び免疫グロブリンGタンパク質
を除去した。総タンパク質濃度は、Bradfordアッセイによって推定した。次に、
サンプル116個すべてを12.5μgの2つの等しいアリコートに分割し、技術的複製
を用いて後続のステップ及び分析を行った。サンプルを変性、還元及びアルキル化した後
、最初にLys-CエンドプロテイナーゼMSグレード(Thermo Scienti
fic)をプロテアーゼ/総タンパク質量比1/150(w/w)で4時間、37℃にて
、次にトリプシン(Promega)をプロテアーゼ/総タンパク質量比1/50(w/
w)、37℃にて一晩使用して、2段階の連続タンパク質分解を行った。安定同位体標識
合成ペプチド(Thermo Fisher、粗品質)の混合物を各サンプルにスパイク
した(C末端アルギニン13C6、15N4、Δm=10Da、C末端リジン13C6、
15N2、Δm=8Da、又は重ロイシン13C6、15N1、Δm=7Da若しくはフ
ェニルアラニン13C9、15N1、Δm=10Daに利用できない場合)。最後に、サ
ンプルを固相抽出(Sep Pak tC18、50mg、Waters)で精製し、真
空乾燥させ、LC-PRM分析の前に0.1%ギ酸に再懸濁させた。実施例1と同様に、
アルブミン及び免疫グロブリンGを除去しなかった子宮液サンプル(UA)でも予後値デ
ータを得た。
【0277】
1.3 LC-PRMの準備
ペプチドの分離は、Dionex Ultimate 3000RSLCクロマトグラ
フィーシステムをカラムスイッチングモードで動作させて行った。水中の0.05%トリ
フルオロ酢酸と1%アセトニトリルの移動相を流速5μl/分にて使用して、消化サンプ
ル250ngの相当物をトラップカラム(75μm×2cm、C18pepmap100
、3μm)に注入及び添加した。2%溶媒Aから開始して35%溶媒Bまでの線形勾配に
より、48分間で300nl/分にて、ペプチドを分析カラム(75μm×15cm、C
18pepmap100、2μm)中へ更に溶離させた。溶媒Aは水中0.1%ギ酸であ
り、溶媒Bはアセトニトリル中0.1%ギ酸であった。Q Exactive plus
質量分析計(Thermo Scientific)でPRM分析を行った。MSサイク
ルは、(200m/zにて)分解能70,000で行われるフルMS1スキャンと、(2
00m/zにて)分解能35,000で得た正規化衝突エネルギーが20の、時間設定さ
れた標的MS2スキャンからなっていた。前駆体イオンの四重極単離ウィンドウをMS2
イベントでは1m/z単位に設定し、内因性及び同位体標識ペプチドの各ペアの時間設定
ウィンドウの期間を2分に設定した。
【0278】
1.4.PRMデータ処理
PRMデータは、Martinezら(上掲)に記載されているように処理した。簡潔
には、各前駆体の5つの最も強力なフラグメントイオン(即ちPRMトランジション)の
抽出イオンクロマトグラム(XIC)の面積を、Skylineプログラム(v3.1)
(McCoss Lab、ワシントン大学、米国)を使用して抽出した。ペプチドの同一
性は、リファレンスの5つのトランジションのピーク面積(生体マトリックスなしの合成
ペプチドミックスのPRM取得)と、臨床サンプル中の内因性及び重ペプチドの対応する
トランジションの面積との間で計算したスペクトルコントラスト角度(cosθ)のコサ
インに基づく、スペクトルマッチング手法を使用して確認した。ペプチドの内因性及び同
位体標識バージョンのcosθのどちらも0.98を超えた場合、ペプチドの検出及び同
定は合格であった。定量化の限界を下回るMS測定により、0.98未満のスコアが生成
され、そのような場合には、面積値をバックグラウンドの推定値に置き換えた。
【0279】
1.5 統計分析
各ペプチドの軽/重面積比をSkylineから抽出して、複製間の平均を計算した。
統計分析は、SPSS(v20.0)(IBM、ニューヨーク州アーモンク、米国)及び
Graph Pad Prism(v.6.0)(GraphPad Software
、ラホーヤ、カリフォルニア州、米国)で行った。データが正規分布に従っていなかった
ため、ノンパラメトリックMann-Whitney U検定を使用して、患者のグルー
プ間でモニタリングしたペプチドのレベルの比較を行った。Benjamini-Hoc
hberg FDR法を使用して、複数の比較のためにP値を調整した。0.05未満の
調整p値は、統計的に有意であると見なした。受信者操作特性(ROC)分析を使用して
、バイオマーカの特異性と感度を評価し、個々のタンパク質ごとにROC曲線下面積(A
UC)を推定した。
【0280】
1.6 分類指標の開発
タンパク質の各種組合せの能力を評価して、サンプルを2つの臨床カテゴリに分類する
ために、ロジスティック回帰モデルをデータに合わせて調整した。これらの回帰モデルご
とにROC曲線を生成した。AUC、及びグループ間の区別のための「最適」カットオフ
ポイントにおける感度及び特異性を得た。最適カットオフは、同一性ライン(対角線)ま
での距離を最大化したしきい値に相当していた。最適性基準は:max(感度+特異性)
であった。AUC 95%信頼区間(CI)は、Delong法で計算した。感度及び特
異性の値の95%CIは、ブートストラップ再サンプリング及びFawcettが記載し
た平均化方法によって計算した。すべてのROC分析は、R「pROC」パッケージを使
用して行った(Robin et al.,“pROC:and open-sourc
e package for R and S+to analyze and com
pare ROC curves”,BMC Bioinformatics-2011
,vol.no.12:77)。各タンパク質パネルの頑健性を評価するために、データ
セット内の各サンプルに、データセットの残りのサンプルに対して調整したロジスティッ
ク回帰モデルを適用することにより、「リーブワンアウト(leave-one-out
)」交差検証手順を行い、よって新しいROC曲線を得て、その後、通常のROC分析を
行った。
【0281】
2.結果
EECはECで最も一般的な組織型であり、非類内膜EC症例(NEEC)と比較した
場合、予後は良好である。NEECは全EC症例の約20%に相当するが、ECの再発及
び死亡の50%超を占めている。NEECの中で、漿液性EC(SEC)は最も一般的な
サブタイプである。49のEEC症例と20のSEC症例のコホートにおいて51のタン
パク質の存在量を調査した後、表4に示すように、EEC患者からの子宮吸引物サンプル
において11のタンパク質のレベルが有意に上昇した(調整p値<0.05)。中でも、
6つのタンパク質は2を超える倍率変化を有し、最も高い個別のAUC値を示した:PI
GR 0.85(95%CI、0.734-0.958)、CAYP1 0.83(95
%CI、0.725-0.942)、CTNB1 0.78(95%CI、0.670-
0.895)、SG2A1 0.77(95%CI、0.661-0.880)、VIM
E 0.76(95%CI、0.645-0.881)及びWFDC2 0.74(95
%CI、0.624-0.855)。
【0282】
表4 EEC対SEC(NEEC)を鑑別診断するタンパク質
【表4】
【0283】
発明者らは、表4のタンパク質の1以上の発現レベルを判定することに加えて、他のタ
ンパク質のレベルを分析した場合に、分類の頑健性が向上することを見出した。特に、X
PO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP1、GT
R1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及びLDHAの1以上のレ
ベル。
【0284】
上記と同じ手順に従って、診断及び予測バイオマーカの間で2~12のタンパク質、特
に2及び3のタンパク質のすべての考えられる組合せを評価して、個々のバイオマーカの
結果を改善するタンパク質のパネルを同定した。CTNB1、XPO2及びCAPGから
なる3つのタンパク質の組合せは、AUC 0.99(95%CI、0.90-1)を有
する、子宮吸引物サンプルの液体中のEECとSECを区別するための性能が最高のパネ
ルであった。このパネルは、95%(95%CI、85%-100%)の感度及び95.
9%(95%CI、89.8%-100%)の特異性を達成した(
図1)。「リーブワン
アウト(leave-one-out)」交差検証の完了後、値は95%の感度と89.
8%の特異性であった。
【0285】
この
図1から推測できるように、マーカCTNB1とCAPGのどちらも、SECから
EECを鑑別診断するための感度及び特異性の興味深い値を与えたが、驚くべきことに、
CTNB1、CAPG及び更にXPO2の組合せ(パネル)は、高い感度及び特異性の鑑
別診断値を与えた。このため、パネルは診断パネルとしてだけでなく、ECサブタイプの
分類を可能にする、信頼性の高い予後パネルとしても理解されるべきである。疾患の正確
な分類は、早ければ早いほど良く、基本的には可能な限り早く適用される正しい医療レジ
メンのために、生存率の上昇につながる。
【0286】
本試験において、女性生殖管から得た液体生検(即ち、子宮吸引物液)を使用すること
により、EECとSECの組織を高い信頼性で区別する方法が開示されている。これによ
り真の改善が前提とされるのは、現行の診断手順が、このサンプルの限定された細胞含有
量の組織学的検査に基づき、重大な欠点:平均22%の未診断患者、及び最大50%のE
C症例の誤った組織型及び/又はグレード割り当てに関連付けられるためである。
【0287】
この調査の臨床上の強みは、この試験に登録した女性がEC診断過程に参加する女性の
幅広い多様性を含んでいたことである。EC患者に関しては、2つの最も一般的な組織構
造である、EEC及びSEC症例が含まれていた。非EC患者は、主にAUB又は子宮内
膜の肥厚によりECの疑いがあるすべての女性を対象とした。これには、良性の病状(主
にポリープ、筋腫及び子宮内膜過形成)に罹患した女性、及び子宮内膜が正常な女性が含
まれていた。更に、この試験には、機能性子宮内膜を有する閉経前の女性と、主に萎縮性
子宮内膜を示す閉経後の女性の両方が含まれていた。
【0288】
EC患者のリスクグループの割り当てを改善するための試験を行ったタンパク質の役割
に関して、欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medic
al Oncology、ESMO)分類等の現行の主要なリスク層別化システムは、腫
瘍の組織構造、グレード、子宮筋層浸潤及びリンパ管浸潤に焦点を当てている。大半の情
報は術前に利用できないため、組織学的サブタイプ及びグレードは、リスクグループの割
り当て及び外科的病期分類手順の範囲の決定のための重要な要素となる。本発明に由来す
る3つのタンパク質(CTNB1、XPO2、及びCPG)の組合せにより、95.0%
の感度及び95.9%の特異性で、EEC及びNEEC(SEC)組織ECタイプ間を正
確に区別することができた。
【0289】
これらの3つのタンパク質は、以前はECに関連していた。ベータカテニン(CTNB
1)は、上皮細胞間接着、及びWntシグナル伝達経路の細胞増殖及び分化を担う必須遺
伝子の転写において重要な役割を有する。現行のアッセイでの観察に従って、CTNB1
はEEC組織標本に記載されているが、NEEC腫瘍には記載されていない。マクロファ
ージキャッピングタンパク質(CAPG)は、アクチンフィラメントを再構築することに
よって細胞の運動性を調節する。いくつかのタイプの癌の細胞遊走及び侵襲性に関与して
いる。CTNB1とは異なり、組織レベルのEEC症例と比較して、より浸潤性のSEC
腫瘍ではより高いレベルのCAPGが報告され、これはここで報告した子宮吸引物の結果
と一致している。最後に、細胞アポトーシス感受性タンパク質としても既知である、エク
スポーチン-2(XPO2)は、有糸分裂紡錘体チェックポイントにおいて役割を有する
。XPO2の除去は細胞周期の停止につながり、結果として、腫瘍の増殖に関連している
が、腫瘍の浸潤及び転移にも関連している。ECを含む多くの癌タイプでXPO2がより
高いレベルで認められ、患者のより高い癌グレード及び転帰不良に明らかに関連している
。本試験において、EEC症例とSEC症例の間にXPO2レベルの有意な差は認められ
なかったが、CTNB1とCAPGによって形成されたパネルに含めると、その性能は有
意に改善された。
【0290】
注目すべきことに、本試験がECの重要な臨床的ニーズを扱っているのは、本明細書に
記載する子宮吸引物に基づくプロテオミクス手法が、EC腫瘍をより臨床的に関連性のあ
るリスクグループに分類し、外科的治療の予測を支援するプロテオミクスシグネチャの同
定への道を開くためである。したがって、最も一般的な組織を正確に分類するためのシク
ネチャを用いて最初のステップが達成された。全体として、子宮吸引物ベースのバイオマ
ーカシグネチャの開発は、EC患者の管理を改善し、多額の医療費を節約することが期待
されている。
【0291】
説明に示したように、表C及び表Dの特定のタンパク質のセットを以下に挙げる。
【0292】
【0293】
【0294】
発明は、以下の項の内容にも関連している。
【0295】
項1 子宮内膜癌の予後の方法であって、女性生殖管からの子宮液サンプル中の以下の
タンパク質PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、C
ADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL
、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、及びMX1の1以上の発現レ
ベルを判定することを含む、方法。
項2 子宮液サンプルが、女性生殖管からの子宮吸引液サンプルである、項1に記載の
方法。
項3 以下のタンパク質:PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1
、及びWFDC2及の1以上の発現レベルを判定することを含む、項1~2のいずれかに
記載の方法。
項4 以下のタンパク質:XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM
、ENOA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGA
L、及びLDHAのタンパク質の1以上の発現レベルを判定することを更に含む、項1~
3のいずれかに記載の方法。
項5 XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GST
P1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及びLDHAか
らなる群から選択される1つのタンパク質の発現レベルを判定することを更に含む、項1
~4のいずれかに記載の方法。
項6 子宮吸引物から単離されたエクソソーム含有画分におけるCLD6、BCAM、
IF2B3、PLD3、及びMX1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現
レベルを判定することを更に含む、項1~5のいずれかに記載の方法。
項7 LAMP、MMP9、PIGR;AGRIN、MMP9、PIGR;AGR2、
PIGR、PLD3;AGR2、BCAM、PODXL;BCAM、PODXL;PIG
R、PLD3;BCAM、PIGR;CLD6、RAB8A;CLD6、PODXL;B
CAM、RL29;BCAM、PODXL;CLD6、PPIA、AGRIN、BCAM
;ANXA、BCAM;BCAM、RAB8A;BCAM、SYIC;CLD6、IFB
3;及び表Cに挙げるセット
からなる群から選択される少なくとも1セットのタンパク質の発現レベルを判定するこ
とを含む、項1~6のいずれかに記載の方法。
項8 子宮内膜癌の予後が、類内膜子宮内膜癌を非類内膜子宮内膜癌と区別することに
よって判定される、項1~7のいずれかに記載の方法。
項9 発現レベルがタンパク質レベルで判定される、項1~8のいずれかに記載の方法
。
項10 タンパク質レベルが、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化
学発光アッセイ、電気化学アッセイ、質量分析及びその組合せからなる群から選択される
アッセイ又は技術によって判定される、項1~9のいずれかに記載の方法。
項11 タンパク質の発現レベルが、該タンパク質に結合することができる抗体又はそ
のフラグメントを使用して判定される、項9~10のいずれかに記載の方法。
項12 抗体又はそのフラグメントがキットの一部を形成する、項11に記載の方法。
項13 女性生殖管からの子宮液サンプル中の子宮内膜癌の予後のためのインビトロマ
ーカとしてのPIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、
CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODX
L、MMP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、及びMX1からなる群から
選択されるタンパク質の1以上の使用。
項14 項1~13のいずれか一項に記載の方法における、子宮内膜癌の予後のための
、PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CADH1
、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、MMP
9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3、及びMX1からなる群から選択される
タンパク質の1以上の使用。
項15 子宮内膜癌の予後のためのキットの使用であって、固体担体並びに以下のタン
パク質PIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、WFDC2、CAD
H1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCAM、PODXL、M
MP9、CD59、CLD6、IF2B3、PLD3及びMX1の1以上の発現レベルを
検出する手段、並びに任意に以下のタンパク質XPO2、PRDX1、CLIC1、PD
IA1、KPYM、ENOA、GSTP1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、
TPIS、NGAL、及びLDHAの1以上の発現レベルを検出する手段を含む、キット
の使用。
項16 固体担体並びにLAMP、MMP9、PIGR;AGRIN、MMP9、PI
GR;AGR2、PIGR、PLD3;AGR2、BCAM、PODXL;BCAM、P
ODXL;PIGR、PLD3;BCAM、PIGR;CLD6、RAB8A;CLD6
、PODXL;BCAM、RL29;BCAM、PODXL;CLD6、PPIA、AG
RIN、BCAM;ANXA、BCAM;BCAM、RAB8A;BCAM、SYIC;
CLD6、IFB3;及び表Cに挙げるセットからなる群から選択される少なくとも1セ
ットのタンパク質の発現レベルを検出する手段を含む、項15に記載のキットの使用。
項17 タンパク質の発現レベルを検出する手段が、イムノアッセイ、生物発光アッセ
イ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ、質量分析、及びその組合せか
らなる群から選択されるアッセイ又は技術を実施する手段である、項15~16のいずれ
かに記載のキットの使用。
項18 タンパク質の発現レベルを検出する手段が抗体又はそのフラグメントである、
項15~17のいずれかに記載の使用。
項19 固体担体並びにPIGR、VIME、CTNB1、CAYP1、SG2A1、
WFDC2、CADH1、CD44、LEG3、LEG1、CAPG、AGR2、BCA
M、PODXL、MMP9、CD59、CLD6、BCAM、IF2B3、PLD3、M
X1、XPO2、PRDX1、CLIC1、PDIA1、KPYM、ENOA、GSTP
1、GTR1、CH10、MIF、PEBP1、TPIS、NGAL、及びLDHAから
なる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを検出する手段を含む、キット。
項20 固体担体並びにLAMP、MMP9、PIGR;AGRIN、MMP9、PI
GR;AGR2、PIGR、PLD3;AGR2、BCAM、PODXL;BCAM、P
ODXL;PIGR、PLD3;BCAM、PIGR;CLD6、RAB8A;CLD6
、PODXL;BCAM、RL29;BCAM、PODXL;CLD6、PPIA、AG
RIN、BCAM;ANXA、BCAM;BCAM、RAB8A;BCAM、SYIC;
CLD6、IFB3;及び表Cに挙げるセットからなる群から選択される少なくとも1セ
ットのタンパク質の発現レベルを検出する手段を含む、キット。
項20 MMP9、PODXL、RAB8A;MMP9、PODXL、RSSA;AG
RIN、MMP9、PODXL;MMP9、PODXL、VAMP8;MMP9、MX1
;MMP9、RSSA;MMP9、MVP;MMP9、RAB8A;MMP9、VAMP
8;BCAM、MMP9;MMP9、AGRIN;AGRIN、CD81、TERA;A
GRIN、CD59、MVP;AGR2、AGRIN、CD81;AGRIN、CD16
6、MVP;AGRIN、CD81;AGRIN、CD166;AGRIN、CD59;
AGRIN、MMP9;及び表Dに挙げるタンパク質のセット
からなる群から選択される少なくとも1セットのタンパク質の発現レベルを検出する手
段を更に含む、項19に記載のキット。
項21 前記タンパク質の発現レベルを検出する手段が、イムノアッセイ、生物発光ア
ッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ、質量分析、及びその組合
せからなる群から選択されるアッセイ又は技術を実施する手段である、項19~20のい
ずれかに記載のキット。
項22 タンパク質の発現レベルを検出する手段が抗体又はそのフラグメントである、
項19~21のいずれかに記載のキット。
項23 酵素結合免疫吸着アッセイを実施するためのキットである、項19~22のい
ずれかに記載のキット。
項24 個々のサンプルを分類するための、パンネルダイヤグラムを更に含む、項19
~23のいずれかに記載のキット。
項25 項1~12のいずれかに記載の方法を実施するためのコンピュータ実装方法で
あって、ECの診断及び/又は予後のためにタンパク質の1以上の発現レベルを判定した
後、レベルに値及び/又はスコアが与えられ、計算値を得るために数式で任意に計算され
、レベル、スコア及び/又は計算値の機能において、ECに罹患している若しくは罹患し
ていない選択肢の間で、及び/又は異なるECサブタイプ間で罹患している選択肢の間で
決定がなされる、方法。
【0296】
参考文献
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no.12:77
前記タンパク質レベルが、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ、質量分析及びその組合せからなる群から選択されるアッセイ又は技術によって決定される、請求項7のいずれか1項に記載の方法。