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特開2023-164827照光照準器及び熱撮像カメラを有する照準スコープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164827
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】照光照準器及び熱撮像カメラを有する照準スコープ
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/14 20060101AFI20231107BHJP
   G02B 23/12 20060101ALI20231107BHJP
   F41G 1/38 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
G02B23/14
G02B23/12
F41G1/38
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132225
(22)【出願日】2023-08-15
(62)【分割の表示】P 2019572628の分割
【原出願日】2018-07-03
(31)【優先権主張番号】17/00722
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック・エスピエ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ・クメール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】照光照準器及び熱撮像スコープなど、同じ装備に2つの原理を並置する装置において、各装置から同時に利益を得、かつ軽量な装置とする。
【解決手段】アイピース(60)に関連するカメラ(10)及びビデオマイクロディスプレイ(50)を単一の機械構造(80)に含む照準合わせ又はスポッティングスコープであり、スコープのアイピースは、外部ランドスケープの上にビデオマイクロディスプレイの画像を重ねるように配置される光コンバイナ(70)を含む。1つの変形形態において、スコープは、発光シンボル又はドット(95)と、ビデオマイクロディスプレイの画像の上且つ外部ランドスケープの上に前記発光シンボル又はドットの画像を重ねるように配置される光学装置(90)とを含む。カメラ、マイクロディスプレイ及びアイピースからなる光学チェーンは、1の倍率を有し、マイクロディスプレイの画像は、外部ランドスケープの画像に適合する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイピース(60)に関連するカメラ(10)及びビデオマイクロディスプレイ(50)を単一の機械構造(80)に含む照準合わせ又はスポッティングスコープにおいて、前記アイピースは、少なくとも1つのレンズのグループと、リターンミラーと、外部ランドスケープ上に前記ビデオマイクロディスプレイの画像を重ねるように配置された光コンバイナ(70)とをこの順序で含むことを特徴とする照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項2】
発光シンボル又はドット(95)と、前記ビデオマイクロディスプレイの前記画像上且つ前記外部ランドスケープ上に前記発光シンボル又はドットの画像を重ねるように配置された光学装置(90)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項3】
前記カメラ、前記マイクロディスプレイ及び前記アイピースで構成された光学チェーンは、1の倍率を有し、前記マイクロディスプレイの前記画像は、前記外部ランドスケープの画像に適合することを特徴とする、請求項1又は2に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項4】
前記光コンバイナは、照準合わせ又は位置決定軸に対して約45度で傾斜された平面半反射表面(711、721)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項5】
前記半反射表面は、2つの平面且つ平行な面を含むスプリッタプレート(73)に組み込まれることを特徴とする、請求項4に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項6】
前記半反射表面は、2つの平面且つ平行な面を含むスプリッタキューブ(71、72)に組み込まれることを特徴とする、請求項4に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項7】
前記スプリッタキューブは、反射凹面鏡(722)を含み、前記反射凹面鏡(722)の光学軸は、前記照準合わせ又は位置決定軸に直角であり、前記ビデオマイクロディスプレイからの光線は、前記半反射プレートによって透過され、前記凹面鏡によって反射され、次に前記半反射プレートによって反射されることを特徴とする、請求項6に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項8】
前記スプリッタキューブは、凸面入力面(723)を含み、前記凸面入力面(723)の光学軸は、前記照準合わせ又は位置決定軸に直角であり、且つ前記凹面鏡と対向することを特徴とする、請求項7に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項9】
前記光コンバイナは、前記照準合わせ又は位置決定軸に対して傾斜された「自由形状」又は回折タイプの凹面半反射表面(73)を含むことと、前記アイピースは、前記凹面半反射表面に関連する凸面鏡(632)を含むこととを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項10】
前記光学装置は、前記ビデオマイクロディスプレイの前に配置されたスプリッタプレート又はスプリッタキューブ(90)を含み、それにより、前記発光シンボル又はドットの前記画像は、前記スプリッタプレート又は前記スプリッタキューブによる反射又は透過によって前記ビデオマイクロディスプレイと結合されることを特徴とする、請求項2~9のいずれか一項に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項11】
前記カメラは、熱赤外線カメラであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項12】
前記カメラは、低光レベルカメラであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、熱撮像カメラ及び照光照準器を含む照準スコープの分野である。
【背景技術】
【0002】
歩兵は、自らの武器を用いてその様々な使命を実行するために以下を必要とする:
- 理想的には300メートルを超える有効な射撃のために、自らの武器を最もよく使用できるようにする正確な照準合わせを必要とする昼間及び夜間の射撃能力、
- ダイナミックな戦闘状況における迅速な照準合わせ、
- 昼間及び夜間に戦場で発生し得るいかなる脅威にも応答する優れた状況認識の保持。この状況認識は、周囲の空間を包含する広い視野を保持することを特に伴う、
- 昼間及び夜間の両方で脅威を「デカムフラージュ(decamouflage)」又は知覚する能力、
- 照準部材からの光放出のない状態を通して特に夜間に反映される分別、
- 時間を節約し且つ照準合わせの信頼性を保証するために、昼間の照準合わせから夜間の照準合わせ(逆も同様)に切り替える砲口照準合わせ設定動作がないこと、
- できるだけ軽量でコンパクトな装備を必要とする機動性及び耐久性。
【0003】
これらの必要性は、歩兵が提供される攻撃用ライフルに装備される照準合わせ部材に対する強い要求によって反映される。実際に、これらの要件は、部分的にのみ満たされ、コンパクトで軽量な装備の単一のピースでは全く満たされない。
【0004】
攻撃用ライフルにおける照準合わせを保証するための通常の解決法は、以下のとおりである。昼間の照準合わせのために、武器は、アイピース-照星アセンブリを基本的に含む。このアセンブリは、単純であり、堅牢であり、安価であるが、正確さをほとんど提供しない。
【0005】
武器は、昼間の照準合わせのために以下も含み得る:
- 照光照準器。即ち、発光シンボル又はドットを照準合わせ軸の外側に重ねることができるようにする光学アセンブリ。この照光照準器は、場合により切り替え可能な拡大光学部品に関連付けることができる。例として、倍率は、3である。
- レーザポインタ。
- 昼間の拡大スコープ。
夜間の照準合わせのために、武器は、以下を含むことができる:
- レーザポインタ。
- 「IL」スコープと呼ばれる光増強照準スコープを備えた照準スコープ。
- 「IR」スコープと呼ばれる赤外線照準スコープ。
- 昼間の照準スコープの上流に配置された光増強若しくは赤外線アダプタ又は「クリップオン」。
- 武器に固定された照光照準器に関連する夜間眼鏡を含む照準合わせ装置。
【0006】
これらの周知の解決法は、それぞれ利点及び欠点を有するが、しかし、いずれも、上記で識別された全体的な必要性に完全に対処しない。
【0007】
照光照準器の解決法は、特によく考えられている。なぜなら、それは、優れた精度を提供する一方、それが両目を開いた状態での照準合わせ及び射撃を可能にし、且つ照光照準器光学部品から比較的遠い目の位置を可能にし、目がアイピースの近くにある必要がない限り、全体的状況の優れた認知を保持するからである。射手は、両目を開けておくことができ、照光照準器は、拡大なしにランドスケープを伝える。
【0008】
特に夜間に広く用いられるレーザポインタによる照準合わせは、非常に有利である。なぜなら、それは、目が照準器の背後で整列される必要がないか、又は極限状況において武器を担ぐ必要さえなしにダイナミックな戦闘において迅速な射撃を可能にするからである。他方では、レーザポインタは、特に夜間に無思慮なままである。それが近赤外線を放射するポインタの場合でも、それは、暗視眼鏡又は近赤外線に敏感なカメラを用いる特定の装備でさえ容易に検知可能である。
【0009】
照準スコープが昼間のスコープであるか又は夜間のスコープであるかにかかわらず、熱光線増強又は熱赤外線を備えた照準スコープは、一般に、特にそれらの倍率による精度の利点を提供する。それらは、照準合わせのために用いられる目がアイピースの近くに置かれることを要求するという欠点を示す。更に、ユーザは、全体像のためにもう一方の目を用いることができない。この動作は、一定の時間がかかり、それは、ダイナミックな戦闘において効率の損失を構成する。更に、射手は、自らの環境から瞬間的に切り離され、そのとき、新しい脅威に気づかない可能性がある。最後に、夜間において、暗視眼鏡を装着している場合、戦闘員は、照準スコープの背後に自由な目を正確に置くことができるように自らの暗視眼鏡を取り外さなければならない。また、それは、戦闘における付加的な遅延と、環境からの戦闘員の分断とを表す。
【0010】
赤外線又は熱撮像照準スコープは、同じ欠点を示すが、しかし、少数の著しい利点、即ち完全な暗闇内を含む暗視と、戦場の霧及び煙における視覚の向上と、とりわけいかなるホットターゲットも「デカムフラージュ」する能力とを提供する。
【0011】
適切な応答を提供しようとするために、装備の単一のピース内に幾つかのシステムを並置することが可能である。例えば、図1で見ることができるように、幾つかの照準装備アイテムは、照光照準器が頂点にあるIL又はIR照準スコープを組み合わせる。この場合、スコープは、熱撮像カメラ及び視認装置を含む。熱撮像カメラは、合焦レンズ1及び感光性レシーバ2を含む。視認装置は、マイクロディスプレイ3及びアイピース4を含む。照光照準器は、視準及び直視7との重ね合わせのための発光シンボル5及び光学部品6を含む。
【0012】
これらの解決法は、機能が組み合わされることなしに機能の並置を提供する比較的嵩張る装備に帰着する。所与の瞬間において、ユーザは、照光照準器又はスコープのいずれかを用いることを選択しなければならず、従って両方のシステムの累積的な利点から利益を得ることがない。熱赤外線スコープ及び照光照準器を関連させるシステムの場合、ユーザは、迅速な照準合わせ及び照光照準器によって提供される状況認識から利益を得ること、又は熱撮像スコープによって提供されるデカムフラージュ及び暗視から利益を得ることの間で選択しなければならない。
【0013】
要約すると、照光照準器、ポインタ又はスコープタイプの単一の原理に基づいた既存の解決法は、いかなる状況でも射撃するための歩兵の必要性の全てを満たすわけではない。例えば、照光照準器及び熱撮像スコープなど、同じ装備に2つの原理を並置する解決法は、それらの全てから同時に利益を得ることを可能にするのではなく、特定の利点を寄せ集めることができるようにする。更に、これらのシステムは、嵩張って重い。それらは、上記で識別された必要性の全てを満たすわけではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるスコープは、上記の欠点を有しない。実際に、異なるソースからの幾つかの画像が照光照準器タイプの単一のアイピースによって知覚される。従って、この種の装備の要件の幾つかは、低減された嵩を保持しながら保証される。より具体的には、本発明の主題は、アイピースに関連するカメラ及びビデオマイクロディスプレイを単一の機械構造に含む照準合わせ又はスポッティングスコープにおいて、アイピースは、外部ランドスケープ上にビデオマイクロディスプレイ画像を重ねるように配置された光コンバイナを用いることを特徴とする照準合わせ又はスポッティングスコープである。
【0015】
有利には、スコープは、発光シンボル又はドットと、ビデオマイクロディスプレイの前記画像上且つ外部ランドスケープ上に前記発光シンボル又はドットの画像を重ねるように配置された光学装置とを含む。
【0016】
有利には、カメラ、マイクロディスプレイ及びアイピースで構成された光学チェーンは、1の倍率を有し、マイクロディスプレイ画像は、外部ランドスケープの画像に適合する。
【0017】
有利には、光コンバイナは、照準合わせ又は位置決定軸に対して約45度で傾斜された平面半反射表面を含む。
【0018】
有利には、半反射表面は、2つの平面且つ平行な面を含むスプリッタプレートに組み込まれる。
【0019】
有利には、半反射表面は、2つの平面且つ平行な面を含むスプリッタキューブに組み込まれる。前記面への垂線は、照準合わせ又は位置決定軸と平行であり得る。
【0020】
有利には、スプリッタプリズムは、反射凹面鏡を含み、反射凹面鏡の光学軸は、照準合わせ又は位置決定軸に直角であり、ビデオマイクロディスプレイからの光線は、半反射プレートによって透過され、凹面鏡によって反射され、次に半反射プレートによって反射される。
【0021】
有利には、スプリッタプリズムは、凸面入力面を含み、凸面入力面の光学軸は、照準合わせ又は位置決定軸に直角であり、且つ凹面鏡と対向する。
【0022】
有利には、光コンバイナは、照準合わせ又は位置決定軸に対して傾斜された「自由形状」又は回折タイプの凹面半反射表面を含み、及びアイピースは、凹面半反射表面に関連する凸面鏡を含む。
【0023】
有利には、光学装置は、ビデオマイクロディスプレイの前に配置されたスプリッタプレート又はスプリッタキューブを含み、それにより、発光シンボル又はドットの画像は、スプリッタプレート又はスプリッタキューブによる反射又は透過によってビデオマイクロディスプレイと結合される。
【0024】
有利には、カメラは、熱赤外線又は低光レベルカメラである。
【0025】
本発明は、非限定的な方法で且つ添付の図面から与えられる以下の説明を読むことで一層よく理解され、他の利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】既に解説されている、先行技術による照準合わせスコープ-照光照準器の組み合わせを表す。
図2】本発明による照準合わせ又はスポッティングスコープの斜視図を表す。
図3】本発明による照準合わせ又はスポッティングスコープのための製造方式を表す。
図4】本発明によるアイピースの第1の実施形態を表す。
図5】本発明によるアイピースの第2の実施形態を表す。
図6】本発明によるアイピースの第3の実施形態を表す。
図7】視準された発光ドットの生成を含む、本発明による照準合わせ又はスポッティングスコープの変形実施形態を表す。
図8】本発明によるアイピースの第4の実施形態を表す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2は、本発明による照準合わせ及びスポッティングスコープの斜視図を表す。それは、カメラ10と、マイクロディスプレイ及び光コンバイナを備えたアイピースを含む視認装置15とである2つの主なサブアセンブリを本質的に含む。光コンバイナは、カメラの上に搭載される。光学及び電子コンポーネントのアセンブリは、外部環境及び衝撃からそれらのコンポーネントを保護する密閉構造80に組み込まれる。
【0028】
この構造は、標準インターフェースを装備した武器上にこの構造を固定できるようにする機械的な固定インターフェース85を含む。このインターフェースは、例えば、「ピカティニー(Picatinny)」レール又はその均等物である。
【0029】
その構造は、特に装備の異なる機能のオン/オフ制御、ビデオマイクロディスプレイ輝度設定、電子的及び機械的な砲口照準合わせ設定、外部ランドスケープに関して生成された異なる画像の重ね合わせのための電子設定を可能にするボタン並びに制御部材のセット87も含む。それは、スコープの2つの横逃げ面の1つに配置することができる。例として、図2において、セットは、スコープの左横逃げ面に配置された3個のボタンを含み、他のボタンは、スコープの左逃げ面に配置される。
【0030】
図3は、本発明による照準合わせ又はスポッティングスコープの第1の実施形態を表す。この図及び後続の図のために以下の慣例が採用された。光学又は機械要素は、太線で表され、光線は、細線によって表され、光学軸は、点線によって表される。明確にするために、光学軸上の光線のみが表される。
【0031】
カメラは、優先的には、8μm~12μmに位置するスペクトル帯で動作する赤外線レンズ20と、同じスペクトル帯において感度のよいマイクロボロメータを備えた赤外線センサ25とで構成された熱撮像カメラである。
【0032】
カメラは、低ノイズ「CMOS」センサ(「CMOS」は、「相補型金属酸化膜半導体」の頭字語である)又は「EB-CMOS」センサ(「EB-CMOS」は、「電気衝撃CMOS」の頭字語である)を実現する低光レベルカメラでもあり得る。カメラは、1μm~2μmスペクトル帯で動作し、夜光からの光を感知し、且つまたデカムフラージュ能力を提供する「SWIR」カメラ(「SWIR」は、「短波長赤外線」の頭字語である)でもあり得る。
【0033】
このカメラは、電源、センサ駆動装置及び画像処理電子機器30と同様に、カメラの自律性を保証するために、観察眼側でスコープの背後に配置できる幾つかのバッテリセル又は充電式バッテリのブロックを収容する電源ユニット40を含む。
【0034】
視認装置は、マイクロディスプレイ50と、光コンバイナ70を備えたアイピース60と、マイクロディスプレイに動力を供給し、且つそれを駆動するために必要な電子機器とを含む。
【0035】
このマイクロディスプレイ50は、照門補正要素又は光学距離測定シンボル若しくは目盛りで場合により強化されたビデオ照準レチクルを表示する。それは、熱撮像カメラからのシーンの熱赤外線画像も表示する。
【0036】
このマイクロディスプレイは、例えば、「OLED」ディスプレイ(「OLED」は、「有機発光ダイオード」の頭字語である)、「LCD」(「LCD」は、「液晶ディスプレイ」の頭字語である)、「LCOS」ディスプレイ(「LCOS」は、「液晶オンシリコン」の頭字語である)であり得る。
【0037】
カメラ、マイクロディスプレイ及びアイピースで構成された光学チェーンは、1の倍率を有し、マイクロディスプレイ画像は、外部ランドスケープの画像に適合する。光コンバイナは、外部ランドスケープ上へのマイクロディスプレイ画像の完全な配置を保証する。
【0038】
光コンバイナを備えたアイピースは、異なる可能な実施形態を有する。
【0039】
異なる光学アイピース組み合わせを表す図4、5及び8に説明された第1の実施形態において、光コンバイナは、照準合わせ又は位置決定軸に対して45度で傾斜された平面半反射表面を含む。この表面は、光パワーを有しない。
【0040】
この表面は、図8で見られるような厚さの薄い平面且つ平行な面を備えた半反射プレートに属し得る。
【0041】
図4及び5に示されているように、このプレートは、有利には、外部ランドスケープ上に歪みを導入しないために、2つの平面且つ平行な面を含むスプリッタキューブに組み込むことができる。これらの面に対する垂線は、照準合わせ又は位置決定軸と平行であり得る。
【0042】
図4は、合焦光学部品を含む第1のアイピース61と、スプリッタキューブを備えた光コンバイナ71とを表す。合焦光学部品は、光コンバイナ71によって外部ランドスケープに重ねられる画像をマイクロディスプレイ50から無限大まで形成する。光コンバイナ71は、傾斜された平面半反射プレート711並びに2つの平面且つ平行な面712及び713を含む。例におけるように、図4の合焦光学部品は、3つのレンズ610、611及び612並びに第2のレンズと第3のレンズとの間に位置する平面リターンミラー613を含む。このミラー613は、合焦光学部品の嵩を低減できるようにする。変形実施形態において、ミラーは、全反射プリズムによって取り替えることができる。図4に表されたこの構成において、光コンバイナ71は、ディスプレイから観察者の目Yに画像を直接反射する。
【0043】
図5は、合焦光学部品を含む第2のアイピース62と、スプリッタキューブを備えた光コンバイナ72とを表す。この構成において、光コンバイナは、マイクロディスプレイの経路上に光パワーを有する。光コンバイナは、直接透過経路上に光パワーを有しない。従って、視準に必要なレンズの数及びサイズが低減される。アイピースは、より単純であり、且つそれほど嵩張らない。
【0044】
次に、スプリッタキューブ72は、反射凹面鏡722を含み、反射凹面鏡722の光学軸は、照準合わせ軸に直角である。ディスプレイ50からの光線の視準は、3つのレンズ620、621及び622のグループ及びコンバイナ72によって保証される。ビデオマイクロディスプレイ50からの光線は、レンズのグループを通過し、半反射プレート721によって透過され、凹面鏡722によって反射され、次に半反射プレート721によって観察者の目の方に再度反射される。
【0045】
この光学的組み合わせにおいて、前の組み合わせにおけるように、平面リターンミラー623は、アイピースの光学的嵩を低減できるようにする。変形実施形態において、スプリッタキューブは、凸面入力面723を含み、凸面入力面723の光学軸は、照準合わせ又は位置決定軸に直角であり、且つ凹面鏡722に対向する。この凸面面723の機能は、シーンから生じ、且つプリズムのこの面上の全反射によって反射される、目で見られる全反射を回避することである。この凸面面は、これらの疑似画像を脱焦させ、且つ射撃位置において目に見えないゾーンにそれらの画像を押し返すことを可能にする。
【0046】
図6に示されている第2の実施形態において、光コンバイナ73は、照準合わせ又は位置決定軸に対して傾斜された「自由形状」又は回折タイプの凹面半反射表面を含む。「自由形状」表面は、回転対称を有しない表面を意味すると理解される。それは、種々の方法で定義することができる。
【0047】
この構成において、半反射表面は、約40度であり得るかなりの角度で光学軸に対して傾斜される。この場合、アイピース63は、図5で見ることができるように、凹面半反射表面73に関連する光学軸に同様に傾斜される凸面鏡632を含む。この鏡も「自由形状」又は回折タイプの表面であり得る。最後に、アイピース63は、ペアを形成する2つのレンズ630及び631と、凸面鏡632と、凹面半反射表面73とのグループを含む。レンズのグループがかなりの焦点距離を有する場合、アイピースの嵩を低減するために、ミラーベース又はプリズムベースであり得る光学ビーム折り畳み装置をディスプレイ50とこのレンズのグループとの間に置くことが可能である。
【0048】
本発明による照準合わせ及びスポッティングスコープの重要な変形実施形態において、スコープは、発光シンボル又はドットと、ビデオマイクロディスプレイの画像上且つ外部ランドスケープ上に発光シンボル又はドットの画像を重ねるように配置された光学装置とを含む。次に、光学装置は、ビデオマイクロディスプレイの前に配置されたスプリッタプレート又はスプリッタキューブを含み、それにより、発光シンボル又はドットの画像は、スプリッタプレート又はスプリッタキューブによる反射又は透過によってビデオマイクロディスプレイと結合される。
【0049】
その基本バージョンにおいて、発光ドットは、送り孔の前に置かれた発光ダイオードによって生成され、送り孔は、マイクロディスプレイ画像に重ねられるようにアイピースの焦点面に配置される。このドットは、一般に赤色である。発光ドットは、ユーザが、武器の射撃軸に対して、発光ドットによって具体化される照準合わせ軸の砲口照準合わせ調整を実行できるようにするために、焦点面における平行移動調整機構上に固定される。ディスプレイのレチクル及び赤色ドットは、武器の照準合わせ軸を示すための2つの代替解決法を構成し、赤色ドットは、非常に低消費の単純な解決法である。ビデオレチクルは、例えば、適切な距離測定を保証する、人々又は車両の光学距離測定シンボルを含む様々な洗練された形状のパターンを生成することを可能にする。
【0050】
従って、「赤色」ドットは、ビデオマイクロディスプレイへの任意選択の補足を構成する。それは、マイクロディスプレイ及び熱画像が例えばスコープの電気エネルギを節約するために動作していない場合、低消費低下モードも可能にする。
【0051】
この変形実施形態の実行の第1の例が図7に表されている。平面半反射プレート91を含むスプリッタキューブ90は、マイクロディスプレイ50とアイピースの第1のレンズとの間に配置される。アイピースは、図3のアイピース60の構成を有する。赤色ドット95は、その画像が半反射プレート91における反射によってマイクロディスプレイと結合されるように配置される。
【0052】
第2の例示的な実施形態が図8に表されている。この例において、アイピース64は、マイクロディスプレイ50とスプリッタキューブ900との間に配置された光学部品640を含む。同一の光学部品640bisも赤色ドット95とスプリッタキューブ900との間に配置される。スプリッタキューブは、2つのプリズム901及び902のアセンブリであり、その共通面910は、半反射処理を含む。図7の場合、プリズム902は、全反射によって動作する。従って、アイピース部分は、光学部品640及び640bisと、スプリッタプリズム900と、ビームの折り畳みを保証する全反射プリズム641と、半反射プレート73及びペア642とをこの順序で含む。
【0053】
赤色ドットの生成をもたらすために、図6の自由形状プレートを備えたアイピースを適合させることが容易に可能であることに留意されたい。この目的のために、マイクロディスプレイとレンズとの間にスプリッタキューブ又は任意の他のプリズムアセンブリを配置することで十分である。
【0054】
本発明による照準合わせスコープは、外部ランドスケープの知覚を修正できるようにする補足的なモジュール光学システムを含むことができる。従って、例えば3の倍率を備えた拡大アフォーカル光学部品を光コンバイナの下流に配置することが可能である。同様に、倍率及び光増強軸偏向に関して不変の光モジュールをコンバイナの上流に配置することが可能である。従って、ユーザは、増強画像と外部ランドスケープの熱画像との両方を知覚する。
【0055】
本発明によるスコープの第1の利点は、昼間の照準合わせのために、照光照準器にデカムフラージュ能力を追加する一方、大きいアイプリントを提供し、周辺視野を隠さず、且つ両目を開けたままでターゲットを捉えることを可能にする照光照準器の人間工学的な品質を保持することである。ユーザは、照準器の窓にシーンの方向画像を有し、方向画像上に、一方ではその武器の射撃軸を具体化する光レチクルと、他方ではシーンに存在し、且つ脅威となる可能性があるホットターゲットのビデオ画像とが重ねられる。シーンの背景を削除することにより、人体温度のホットターゲットを専ら表示することは、特にIL/IR融合システムにおいて、熱撮像で用いられる従来のアルゴリズムによって保証される。これらのアルゴリズムは、当業者に周知である。従って、戦闘員は、シーンの直視とターゲットの熱赤外線視野との間の結合された視野から利益を得、その上には、戦闘員がこのターゲットに狙いを付けた場合、武器の射撃軸を示す光レチクルが現れる。
【0056】
このスコープの第2の利点は、夜間において、従来の熱撮像照準スコープではなく、照光照準器、即ち1の倍率、大きいアイプリント、両目を開けた照準合わせの人間工学で行うことができる方法で赤外線照準合わせを可能にすることである。
【0057】
第3の利点は、夜間において、戦闘員が、その戦闘員に提供され得る光増強暗視眼鏡を用いることにより、照光照準器で見ることができるようにすることであり、光増強暗視眼鏡は、戦闘員の頭又はそのヘッドセット上に固定され、従って戦闘員の目の前に保持される。次に、戦闘員は、暗視眼鏡の視野である広い視野にわたる夜間シーンの知覚から利益を得る。この視野は、典型的には40°である。更に、戦闘員は、自らの照準合わせ軸を画定するレチクルの周りのシーンの赤外線視覚から利益を得る。次に、戦闘員は、自らが両目を開けたまま使用できる、広い視野を提供する暗視眼鏡を介した状況認識と、熱赤外線においてデカムフラージュされるターゲットの画像との両方から利益を得る。
【0058】
従って、戦闘員は、2重画像結合システム、即ち昼間における直接及び熱赤外線視野、光強化及び夜間における熱赤外線を自由に使える。これは、特定の暗視眼鏡を追加することなしに、単に軍隊において既に利用可能な暗視眼鏡を用いることによって有効である。単一の軽量でコンパクトなモジュールから得られるこの2重の利益は、夜間と同様に昼間において、両目を開けたままで迅速な照準合わせを可能にする照光照準器タイプの人間工学を有する一方、各瞬間に環境の優れた知覚を保持し、この知覚が、動的戦闘状況における且つ闘争状況において優勢を取得できるようにする応答性にとって有益であるという利点に追加される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ(10)と、
カメラ(10)の画像を表示するビデオマイクロディスプレイ(50)と、
発光シンボル又はドット(95)と、
ビデオマイクロディスプレイの画像上に前記発光シンボル又はドットの画像を重ねるように配置された光学装置(90)と、
光学装置、少なくとも1つのレンズのグループ、および外部ランドスケープ上に前記ビデオマイクロディスプレイの画像および前記発光シンボルの画像を重ねるように配置された光コンバイナ(70)をこの順序で含むアイピースと
を単一の機械構造(80)に含む照準合わせ又はスポッティングスコープにおいて、
発光シンボル又はドットが、アイピースの焦点面に位置しており、照準合わせ軸を実現しており、
照準合わせ又はスポッティングスコープが、発光シンボル又はドット(95)の位置がアイピースの焦点面において平行移動で調整可能であるように、ユーザが武器の射撃軸に対して、照準合わせ軸の砲口照準合わせ調整を実行できるように構成されており、
照準合わせ又はスポッティングスコープは、
- ビデオマイクロディスプレイがパワーオンされ、少なくともレチクルを表示するように構成され、発光シンボル又はドット(95)がパワーオフされるモード、
- 発光シンボル又はドット(95)がパワーオンされながら、カメラおよびビデオマイクロディスプレイがパワーオフされる低消費低下モード
を含む異なるモードで動作するように構成される、照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項2】
前記カメラ、前記マイクロディスプレイ及び前記アイピースで構成された光学チェーンは、1の倍率を有し、前記マイクロディスプレイの前記画像は、前記外部ランドスケープの画像に一致することを特徴とする、請求項1に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項3】
前記光コンバイナは、照準合わせ又はスポッティング軸に対して45度で傾斜された平面半反射表面(711)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項4】
前記半反射表面は、2つの平面且つ平行な面を含むスプリッタプレートに組み込まれることを特徴とする、請求項3に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項5】
前記半反射表面は、2つの平面且つ平行な面を含むスプリッタキューブ(71、72)に組み込まれることを特徴とする、請求項3に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項6】
前記スプリッタキューブは、反射凹面鏡(722)を含み、前記反射凹面鏡(722)の光学軸は、前記照準合わせ又はスポッティング軸に直角であり、前記ビデオマイクロディスプレイからの光線は、前記半反射表面によって透過され、前記凹面鏡によって反射され、次に前記半反射表面によって反射されることを特徴とする、請求項5に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項7】
前記スプリッタキューブは、凸面入力面(723)を含み、前記凸面入力面(723)の光学軸は、前記照準合わせ又はスポッティング軸に直角であり、且つ前記凹面鏡と対向することを特徴とする、請求項6に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項8】
前記光コンバイナは、前記照準合わせ又はスポッティング軸に対して傾斜された「自由形状」又は回折タイプの凹面半反射表面(73)を含むことと、前記アイピースは、前記凹面半反射表面に関連する凸面鏡(632)を含むこととを特徴とする、請求項1又は2に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項9】
前記光学装置は、前記ビデオマイクロディスプレイの前に配置されたスプリッタプレート又はスプリッタキューブ(90)を含み、それにより、前記発光シンボル又はドットの前記画像は、前記スプリッタプレート又は前記スプリッタキューブによる反射又は透過によって前記ビデオマイクロディスプレイと結合されることを特徴とする、請求項1に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項10】
前記カメラは、熱赤外線カメラであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【請求項11】
前記カメラは、低光レベルカメラであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の照準合わせ又はスポッティングスコープ。
【外国語明細書】