(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164838
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】内燃機関用改善吸気システム、その内燃機関および原動機付き車両
(51)【国際特許分類】
F02B 27/00 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
F02B27/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132915
(22)【出願日】2023-08-17
(62)【分割の表示】P 2020542239の分割
【原出願日】2019-02-07
(31)【優先権主張番号】102018000002615
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】カルロ・カラペッルッチ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吸気の流体ダイナミクスを改善すること。
【解決手段】内燃機関8吸気システム4は、空気吸入開口16から空気排出開口20へと延び、輸送容積を定める空気輸送ダクト12と、互いに離隔され、空気排出開口20に面し、「n」は2以上である「n」個の吸入トランペット28とを備える。好適には、輸送ダクト12は、当該ダクト12を互いに流体的に分離された「n」個のダクト12に空気吸入開口16から空気排出開口20の間の伸びに沿って内部で分割する少なくとも一つの内部隔壁32を備え、「n」個のダクト12のそれぞれは、空気排出開口20で、対応する吸気トランペット28に面する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸入開口(16)から空気排出開口(20)へと延び、輸送容積を定める空気輸送ダクト(12)と、
「n」個の吸気トランペット(28)であって、互いに離隔され、前記空気排出開口(20)に面し、「n」は2以上である、「n」個の吸気トランペット(28)と、を備える内燃機関(8)用吸気システム(4)であって、
前記空気輸送ダクト(12)は、前記空気輸送ダクト(12)を互いに流体的に分離された「n」個のチャネル(36)に前記空気輸送ダクト(12)の広がりに沿って内部で分割する少なくとも一つの内部隔壁(32)備え、前記「n」個のチャネル(36)は、前記空気排出開口(20)で、対応する吸気トランペット(28)に面することを特徴とし、
前記空気輸送ダクト(12)および前記少なくとも一つの内部隔壁(32)は、前記チャネル(36)の前記空気排出開口(20)と前記対応する吸気トランペット(28)の空気吸入縁(40)との間に間隙(44)が設けられるように配置されている、内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項2】
前記「n」個のチャネル(36)は、前記少なくとも一つの内部隔壁(32)によって、および前記空気輸送ダクト(12)の内側によって範囲を定められる、請求項1に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項3】
前記少なくとも一つの内部隔壁(32)は、前記輸送容積を前記チャネル(36)の「n」個の容積に分割し、特に前記チャネル(36)は互いに実質的に等しい、請求項1または請求項2に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項4】
前記間隙(44)は、前記対応する吸気トランペット(28)の前記空気吸入縁(40)の直径(48)の30%から70%の間で構成された幅を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項5】
前記吸気トランペット(28)は、前記間隙(44)を変化させるように構成された移動手段に連結されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項6】
前記移動手段は、前記空気吸入縁(40)を前記空気排出開口(20)と接触するように移動させ、前記間隙(44)を除外するように構成されている、請求項5に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項7】
前記移動手段は、前記空気吸入縁(40)を少なくとも部分的に前記チャネル(36)内へ移動させ、前記間隙(44)を除去するように構成されている、請求項5または請求項6に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項8】
前記吸気トランペット(28)の移動は、「n」個の間隙(44)を個々に変化させるために、独立している、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項9】
前記少なくとも一つの内部隔壁(32)は、前記「n」個のチャネル(36)の少なくとも一つの容積を変更するように構成されたモータ手段に連結された少なくとも一つの可動部材を備える、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項10】
前記チャネル(36)の少なくとも二つは、前記空気吸入開口(16)での空気流の方向に垂直な、横方向(T)に並んでいる、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項11】
前記チャネル(36)の少なくとも二つは、前記空気吸入開口(16)での空気流の方向および前記横方向(T)に垂直な、縦方向(L)に並んでいる、請求項10に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項12】
前記横方向(T)および前記縦方向(L)に沿って、正方行列パターンに応じて配置された四つのチャネル(36)を備える、請求項11に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項13】
前記「n」個のチャネル(36)のそれぞれの内側に、少なくとも部分的に、燃料噴射装置(52)が収容された、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項14】
前記燃料噴射装置(52)の燃料噴射点(P)は、各チャネル(36)内に、前記空気排出開口(20)での前記チャネル(36)の断面の径(48)の20%以上、前記空気排出開口(20)から距離(D)をとって配置されている、請求項13に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項15】
各燃料噴射装置(52)は、少なくとも一つのチャネル(36)を通る、請求項13または請求項14に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項16】
前記燃料噴射装置(52)は、各チャネル(36)の前記排出開口(20)に実質的に垂直な向きに配置されている、請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項17】
前記システム(4)は、前記空気吸入開口(16)の上流に配置された少なくとも一つのエアフィルタ(24)を備える、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項18】
エアボックス(30)であって、前記空気吸入開口(16)が前記エアボックス(30)の外側に位置されるように、前記吸気トランペット(28)の少なくとも一部、前記空気輸送ダクト(12)の少なくとも一部およびその隔壁(32)を含むように配置されたエアボックス(30)を備える、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の吸気システム(4)を備える内燃機関(8)であって、前記エンジン(8)は、数「n」個のチャネル(36)と同じ数「n」個のシリンダを備え、各シリンダは、それぞれの吸気トランペット(28)を有し、それぞれのチャネル(36)によって供給される、内燃機関(8)。
【請求項20】
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の吸気システム(4)および/または請求項19に記載のエンジン(8)を備える原動機付き車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の改善吸気システム、当該吸気システムを備える内燃機関、およびその原動機付き車両に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、多気筒内燃機関は、シリンダの充填効率に関して問題があり、これにより体積効率が著しく減少する。
【0003】
実質的に、吸気システムは典型的に、吸気空気を収集し且つシリンダ(トランペット)の個々の吸気ダクトへと吸入空気を運ぶボックス(エアボックスと呼ばれる)を有する。シリンダが、トルク出力、およびエンジン動作を制御するために、できる限り同相で作動しないため、吸気の流体ダイナミクスは、非常に複雑である。すなわち、個々のシリンダの燃焼サイクル(ディーゼルサイクルであろうとオットーサイクルであろうと)は、位相がずれている。
【0004】
したがって、一つのシリンダの吸気フェーズの間に別のシリンダの燃焼フェーズなどが生じ得る。
【0005】
様々なシリンダの吸気サイクルは、相互に互いに干渉する可能性があり、フィルタボックスのすぐ内側で、エンジンの全体積効率を減少させる。
【0006】
さらに、動作範囲は、すなわち、内燃機関の速度範囲は、かなり変化することができ、特定の速度で、全体積効率を改善または悪化させ得る吸気空気質量の共振現象を引き起こす。
【0007】
これらの現象は、例えばモータサイクル(自動二輪車)に使用するものなど、非常に広い速度範囲を有するエンジンの場合、扱いがさらにいっそう困難である。
【0008】
吸気の流体ダイナミクスを改善するために、エンジン速度に応じて吸気ダクトの長さを実質的に変更する複数の解決策が考えられてきた。このようにして、シリンダを充填するのを支援するために共振現象を利用することを試みることができる。
【0009】
これらの解決策は、主に(ただし限定するものではない)エンジンアーキテクチャ(構造)自体に、すなわち、エアーボックスに対するシリンダの配置に、起因する、各シリンダの特定の動作特性を考慮しないため、エンジン動作を最適化できない。
【発明の概要】
【0010】
したがって、周知技術に関して記載された欠点および制限を解決する必要性が感じられる。
【0011】
そのような要件は、請求項1に記載の内燃機関吸気システムによって、請求項20に記載の内燃機関によって、および請求項21に記載の原動機付き車両によって満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点が、本発明の実施形態の好ましく、非限定的な例の以下の記載からより明らかになるだろう。
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による内燃システムの拡大概略図を示す。
【0014】
以下に記載する実施形態間で共通の要素または要素の一部は、同一の符号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前述の図面を参照して、本発明による内燃機関8用の吸気システムの集合的な概略図が符号4でまとめて示されている。
【0016】
本発明のために、用語「内燃機関」は、広義で考えられるべきであり、あらゆるエンジンタイプまたはアーキテクチャを含み、これは上記したカテゴリのオットーサイクルおよびディーゼルサイクル吸熱エンジンだけではなく、ロータリエンジン(ヴァンケル)も含む。
【0017】
さらに、エンジンタイプは、エンジンが搭載され得る車両の種類とは全く関係ない。
【0018】
上記したように、本発明は、大きさ、重量および美観に関するかなりの制約によって特徴付けられる、モータサイクルに特に利益をもたらす。しかし、同様に、自動車、産業車両、および原動機付き車両全般にも適用できる。
【0019】
用語「モータサイクル」は、少なくとも二つの車輪(すなわち、前輪と後輪)を備える原動機付きの自転車を意味する。したがって、このような定義は、また、例えば前方キャリッジでの対となった二つの操舵輪、および後車軸での一つの駆動輪を含む、三輪を有するモータサイクルも含み、モータサイクルには、前方キャリッジでの単一の操舵輪、および後車軸での二つの駆動輪もまた含まれる。最後に、四輪車(クワドリシクル)も同様にモータサイクルの定義に含まれ、クワドリシクルは、前方キャリッジに二つの車輪と、後部に二つの車輪とを有する。
【0020】
内燃機関8用吸気システム4は、空気吸入開口16から空気排出開口20へと延びる、輸送容積を定める空気輸送ダクト12を備える。
【0021】
典型的には、空気吸入開口16の上流に、吸気システム4は、少なくとも一つのエアフィルタ24を備える。また、エアフィルタ24は、空気輸送ダクト12内に配置されてもよいし、空気排出開口20の下流にすら配置されてもよい。また、いずれの場合でも、エアフィルタ24は、省略されてもよい。
【0022】
吸気システム4は、「n」個の吸気トランペット28をさらに備える。吸気トランペット28は、互いに離隔し、空気排出開口20に面している。「n」は2以上である。
【0023】
吸気トランペット28は、周知の方法で、空気排出開口20から内燃機関8の関連シリンダに向かって次第に細くなる、円錐台形状を有すると好ましい。すなわち、トランペットは、それぞれのシリンダに面する小さな直径口を有する。好ましくは、各吸気トランペット28は、同じものを供給するために、内燃機関8の対応するシリンダに関連付けられている。明らかなように、吸気トランペット28の数「n」、および内燃機関8のシリンダの数は、2以上である。これは、本発明の吸気システム4が、多気筒タイプのあらゆる内燃機関8に適用できることを意味する。
【0024】
好適には、空気輸送ダクト12は、空気輸送ダクト12に沿って連続的に延びる少なくとも一つの隔壁32を備え、空気輸送ダクト12の内部を「n」個の、互いに流体的に分離されたチャネル36に分割する。
【0025】
すなわち、内部隔壁32は、空気吸入開口16から空気排出開口20間の全区域に沿って延びると好ましい。このようにすると、「n」個のチャネル36は、空気輸送ダクト12内で互いにつながらず、影響を与えない。「n」個のチャネル間の空気および/または圧力波交換は、空気吸入開口16の上流および/または空気排出開口20の下流で行われてもよい。当該下流で「n」個のチャネル36のそれぞれは、最後には対応する吸気トランペット28に面する。
【0026】
具体的には、より詳細に後述しているように、空気排出開口20の下流での「n」個のダクト間での空気/波の圧力交換は、個々のシリンダでの吸気流を均質化し、内燃機関8の全体積効率を最適化する。
【0027】
一実施形態によると、「n」個のチャネル36は、少なくとも一つの内部隔壁32によって、および空気輸送ダクト12の内側、すなわち、内側壁、によって定められる。
【0028】
明らかなように、少なくとも一つの内部隔壁32が輸送容積をチャネル36の「n」個の体積へと分割すると好ましい。
【0029】
内燃機関8は、チャネルの数「n」と同じく数「n」のシリンダを備えると好ましい。各シリンダは、それぞれの吸気トランペット28を備えられ、それぞれのチャネル36によって流体的に供給される。
【0030】
一実施形態によると、吸気システム4は、吸気トランペット28の少なくとも一部、空気輸送ダクト12の少なくとも一部、およびその隔壁32を含むように配置されたエアーボックス30を備え、空気流入開口16が同じエアーボックス30の外側に位置されるようにしている。実質的に、エアーボックス30は、空気排出開口20、すなわち、空気排出口20、と合流する箱形状を有する。そのような排出口20は、トランペット28の大きい直径を有する口40に面する。
【0031】
一実施形態によると、空気輸送ダクト12および少なくとも一つの内部隔壁32は、チャネル36の空気排出開口20と対応する吸気トランペット28の吸入縁40との間に間隙44が定められるように、形成されている。
【0032】
空気吸入縁40は、各吸入トランペット28の内側に、各吸入トランペット28に面する対応するチャネル36から来る空気流の吸入区域または口の範囲を定める。
【0033】
吸気トランペット28は、空気排出開口20の側部から内燃機関8の対応する吸気ダクトへ向かって変化する、全体にテーパ形状(先が次第に細くなる形状)、例えば、円錐台状、を有すると好ましい。
【0034】
全体のテーパ形状は、吸気トランペット28の主たる延在軸に垂直な断面平面に対して、円形断面を有する必要はない。また、例えば、楕円タイプの形状を備える、異なる類いの断面を有してもよい。
【0035】
さらに、また、実質的に一定の断面を備える形状を有する、すなわち、実質的にテーパ部分がない、吸気トランペット28を提供することも可能である。
【0036】
想定される実施形態によると、間隙44は、対応する吸気トランペット28の空気吸入縁40の直径48の30%から70%の間で構成された幅を有する。直径48は、吸気トランペット28の主たる延在軸に垂直な断面平面との関連で理解されなければならない。具体的には、間隙44は、トランペットの吸入口に対する、またはトランペットの吸入縁に対する高さで測定される。また、間隙44は、径方向によっても、つまり、それぞれの輸送ダクトの口と、対応するトランペットの口との間の直径の差異としても、決められ得る。
【0037】
想定される実施形態によると、吸気トランペット28は、示されていない、適切に間隙44を変化させるように構成された移動手段と結合される。
【0038】
間隙44の変化は、内燃機関8の動作パラメータの変化に応じて得られると好ましい。典型的には、間隙44の変化は、吸気空気流の共振現象によって同一エンジンの個々のシリンダの体積充填を最適化するために、内燃機関8の速度に応じて変化する。
【0039】
例えば、移動手段は、空気吸入縁40を空気排出開口20と接触するように移動させて、間隙44を実質的に除去するように構成される。また、除去することは、数ミリメータまたは10分のいくつかのミリメータの達成を意味し、これにより、空気流の通過において外部分散を実質的に除外する。間隙44が除去されると、隣接するチャネル36の空気吸気流は、空気排出開口20から流出した後でさえ互いに影響を及ぼすのを妨げられる。間隙44は、例えば、吸気トランペット28の空気吸入縁40を各対応するチャネル36の一部と空気排出開口20で接触するように移動させることで、実質的に除去されてもよい。構成要素間の接触は、振動およびノイズの削減に加えて空気流がシールされるようになる、少なくとも一つのガスケットが介在することで弱められると好ましい。
【0040】
また、間隙44を除去するように、吸気縁40を少なくとも部分的にチャネル36内に移動させるように、移動手段を構成することも可能である。
【0041】
想定される実施形態によると、吸気トランペット28の移動は、独立して「n」個の間隙を変化させるために、独立している。
【0042】
すなわち、各吸気トランペット28と対応するチャネル36の間の距離を独立して別々に変化させることが可能である。このようにして、各シリンダの体積充填を、例えば、アーキテクチャ、および吸気システム4内のダクトの位置に関連した、同一シリンダの特定のおよび偶発的な動作状況に応じて、また、幾何学的性質のパラメータを考慮に入れて、最適化することが可能である。例えば、「V」構造を備えるエンジンにおいて、前方に面する側に配置されたシリンダの間隙44を増加または減少させ、逆に、反対側に配置された対応するシリンダの間隙44を減少または増加させることが可能である。
【0043】
想定される実施形態によると、少なくとも一つの内部隔壁32は、輸送容積をチャネル36の「n」個の容積に分割し、これらは実質的に互いに同一である。
【0044】
例えば、小さな延在長を有するチャネル36の空気通過区域大きくし、大きな延在長を有するチャネルの空気通過区域を小さくすることが可能である。延在長とは、空気吸入開口16から空気排出開口20へと通るために各チャネル36内を移動する平均長さである。
【0045】
想定される実施形態によると、前述の少なくとも一つの内部隔壁32は、「n」個のチャネル36の少なくとも一つの容積を変更することが可能な、モータ手段(示されていない)に結合された少なくとも一つの移動部材(示されていない)を備える。
【0046】
チャネル36の配置は、大きく変化可能であり、排他的なものではないが典型的には、内燃機関8のアーキテクチャ、すなわち、関連するシリンダの配置、に基づく。
【0047】
例えば、チャネル36の少なくとも二つは、空気吸入開口16を通る空気の流れの方向X、すなわち吸入方向、に垂直な横方向Tに並んで配置されて設けられてもよい。
【0048】
また、空気吸入開口を通る空気の流れの方向、すなわち入ってくる方向、に垂直な縦方向Lに並んで、および縦方向Lに配置されたチャネル36の少なくとも二つを提供することが可能である。
【0049】
例えば(
図1)、空気輸送ダクト12は、横方向Tおよび縦方向Lに沿って正方行列配置によって配置された四つのチャネル36を備えるように設けられてもよい。
【0050】
吸気空気のみ、または空気と、燃料噴射装置52によって適切に噴射された燃料との混合物を運ぶように、チャネル36を提供することが可能である。
【0051】
一実施形態によると、「n」個のチャネルのそれぞれは、燃料噴射装置52を少なくとも部分的に収容してもよい。
【0052】
本発明において、電子式、圧電式または類似のものであり得る燃料噴射装置52の具体的な種類は、関係ない。
【0053】
燃料噴射装置52の燃料噴射点Pは、各チャネル36内に、空気排出開口20でのチャネル36の断面の径Kの20%以上の、空気排出開口20から距離Dを離して配置されると好ましい。
【0054】
想定される実施形態によると、各燃料噴射装置52は、少なくとも一つのチャネル36を貫通している。
【0055】
例えば、チャネル36が例えば、縦方向Lに沿って、少なくとも部分的に重なっている場合、各燃料噴射装置は、少なくとも二つのチャネル36を通る場合があり、同様に、同一縦方向Lに沿って重なる。
【0056】
燃料噴射装置52は、それぞれのチャネル36内で、配置されてもよく、様々なやり方でより良い方向に配置されていてもよく、想定される実施形態によっては、燃料噴射装置52は、各チャネル36の空気排出開口20の実質的に垂直な方向に配置される。
【0057】
前述したことから理解され得るように、本発明は従来技術の欠点を克服できる。
【0058】
具体的には、ダクトの「n」個のチャネルへの、同一ダクトの全長(すなわち、空気吸入開口から空気排出開口まで)にわたって細分することにより、各チャネルを、それを供給する特定の吸気トランペット(および関連シリンダ)に応じて、空気が排出開口から漏れ出ることがない限り、個々の吸気流が互いに影響を及ぼすことを可能とすることなく、較正できる。
【0059】
したがって、間隙の存在により、隣接するトランペットの吸入縁で圧力交換を得ることが可能となり、様々なシリンダでの吸気流を「均質化」し、全体的な体積効率を最適化する。
【0060】
個々のダクト間の分割に起因して、空気吸入開口から空気排出開口の間の全区域において、ダクトのそれぞれの内部での空気と燃料の予混合は、隣接ダクトによって影響を及ぼされない。
【0061】
均質化およびトランペットへの吸気の回収は、空気排出開口を通過した後でのみ、様々なダクトの共振によって影響を受け、最適化される。
【0062】
また、必要に応じて、特定の動作状態下で、少なくとも一つのダクトと、そこに隣接するダクトとの間の干渉を避けるために、間隙を塞ぐことも可能である。
【0063】
流体的に分離されたダクト内へのインジェクタ(噴射装置)の配置により、噴霧をより分離し、各トランペットによってそれぞれのシリンダへと運ばれるガスの混合、および滴定量(タイター)を非常に正確に制御することができる。
【0064】
当業者は、偶発的で特定の要件を満たすために、上記された吸気システムおよびエンジンに多数の改良および変更をすることができるが、その全ては、以下の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲内に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸入開口(16)から空気排出開口(20)へと延び、輸送容積を定める空気輸送ダクト(12)と、
「n」個の吸気トランペット(28)であって、互いに離隔され、前記空気排出開口(20)に面し、「n」は2以上である、「n」個の吸気トランペット(28)と、を備える内燃機関(8)用吸気システム(4)であって、
前記空気輸送ダクト(12)は、前記空気輸送ダクト(12)を互いに流体的に分離された「n」個のチャネル(36)に前記空気輸送ダクト(12)の広がりに沿って内部で分割する少なくとも一つの内部隔壁(32)備え、前記「n」個のチャネル(36)は、前記空気排出開口(20)で、対応する吸気トランペット(28)に面することを特徴とし、
前記空気輸送ダクト(12)および前記少なくとも一つの内部隔壁(32)は、前記チャネル(36)の前記空気排出開口(20)と前記対応する吸気トランペット(28)の空気吸入縁(40)との間に間隙(44)が設けられるように配置されている、内燃機関(8)用吸気システム(4)。
【外国語明細書】