(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164848
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】技術的及び/又は装飾的機能を有する機械部品のレーザビーム付加製造の方法、並びに技術的及び/又は装飾的機能を有する機械部品
(51)【国際特許分類】
B22F 12/30 20210101AFI20231107BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20231107BHJP
B22F 10/66 20210101ALI20231107BHJP
B22F 12/17 20210101ALI20231107BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20231107BHJP
B22F 1/05 20220101ALI20231107BHJP
B22F 10/366 20210101ALI20231107BHJP
B22F 12/41 20210101ALI20231107BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20231107BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231107BHJP
C22C 14/00 20060101ALN20231107BHJP
C22C 5/02 20060101ALN20231107BHJP
C22C 21/00 20060101ALN20231107BHJP
C22C 21/06 20060101ALN20231107BHJP
【FI】
B22F12/30
B22F10/28
B22F10/66
B22F12/17
B22F1/00 N
B22F1/00 S
B22F1/00 K
B22F1/00 R
B22F1/05
B22F10/366
B22F12/41
B33Y80/00
B33Y10/00
C22C14/00 Z
C22C5/02
C22C21/00 N
C22C21/06
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023133417
(22)【出願日】2023-08-18
(62)【分割の表示】P 2021574969の分割
【原出願日】2020-06-09
(31)【優先権主張番号】19181282.5
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ミコ,シラ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイト,アナイス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性が高く再現性のある方法で、機械部品の製造に使用できる材料の選択肢を変更できる、レーザ付加製造方法を提供する。
【解決手段】セラミック材料製の基板を提供し、これを、中に中性ガスの雰囲気が生成された製造用エンクロージャ内に配置するステップ;基板上に、溶融対象の第1の金属材料の粉末の、第1のレイヤーを堆積させるステップ;溶融対象の第1のレイヤーを均すステップ;レーザビームを用いて、第1のレイヤーを、CADコンピュータファイルに従った選択的溶融ステップに供するステップ;必要に応じて、基板上に、第1の金属材料の粉末の、又は第1の金属材料とは異なる第2の金属材料の、第2のレイヤーを堆積させるステップ;第2のレイヤーを均し、第2のレイヤーを、レーザビームを用いて選択的に溶融させるステップに供するステップ;所望の機械部品が得られるまで、必要に応じてこれらの作業を繰り返すステップを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
技術的及び/又は装飾的機能を有する機械部品(32)のレーザ付加製造の方法であっ
て、前記機械部品(32)は、基板(6)と、前記基板(6)上にレーザ付加製造によっ
て形成される構造体(30)とで構成され、
前記方法は:
‐レーザビーム(16)を提供するステップであって、前記レーザビーム(16)の動
作は、コンピュータを用いて制御され、前記コンピュータには、重ね合わせたときに所望
の前記機械部品の前記構造体を形成できる1つ以上の層に切断されたCADコンピュータ
ファイル、前記レーザビームの動作パラメータを内包した別のコンピュータファイルが導
入される、ステップ;
‐レーザ付加製造に関わる温度よりも高い溶融温度を有するセラミック材料製の、前記
基板(6)を提供するステップ;
‐前記基板(6)を、製造用エンクロージャ(2)内のプラットフォーム上に配置する
ステップ;
‐前記製造用エンクロージャ(2)を閉鎖し、前記製造用エンクロージャ(2)内に中
性ガスの雰囲気を生成するステップ;
‐前記基板(6)上に、溶融対象の少なくとも1つの第1の金属材料の粉末の、少なく
とも1つの第1のレイヤー(28)を堆積させるステップ;
‐溶融対象の前記第1の金属材料の前記第1のレイヤー(28)を、前記第1のレイヤ
ー(28)が略均一な厚さを有するように均すステップ;
‐前記レーザビーム(16)を起動し、前記レーザビーム(16)を用いて、前記第1
の金属材料の前記第1のレイヤーを、所望の前記機械部品(32)の前記構造体(30)
の2次元層に対応する前記CADコンピュータファイルに従った、選択的溶融ステップに
供するステップ;
‐前記基板(6)上に、前記第1のレイヤー(28)を製造した材料と同一の金属材料
の粉末の、又は前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料の、少なくとも1つの第2
のレイヤーを堆積させるステップ;
‐前記第2のレイヤーを均し、前記第2のレイヤーを、前記CADコンピュータファイ
ルの次の前記2次元層に応じて、前記レーザビーム(16)を用いて選択的に溶融させる
ステップに供するステップ;
‐前記基板(6)と、レーザ付加製造によって前記基板(6)上に形成される前記構造
体(30)とからなる、前記所望の機械部品(32)が得られるまで、必要に応じてこれ
らの作業を繰り返すステップ;
‐前記機械部品(32)を前記製造用エンクロージャ(2)から取り出し、余剰の前記
金属材料を除去し、組立体を清掃するステップ;並びに
‐必要に応じて、前記機械部品(32)を研磨等の仕上げ作業に供するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記粉末材料のレイヤー(28)を選択的に溶融する前記ステップの前に、前記基板(
6)を表面処理に供することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記表面処理は、イオン注入作業、プラズマ処理、又は物理蒸着処理によるものである
ことを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記基板(6)は、前記粉末材料のレイヤー(28)を選択的に溶融する前記ステップ
の前に予熱されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記基板(6)は、400℃を超えない温度まで予熱されることを特徴とする、請求項
4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記基板(6)の厚さは少なくとも100μmであることを特徴とする、請求項1~5
のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記中性ガスはアルゴンであり、前記製造用エンクロージャ内の酸素の体積濃度は0.
5%未満であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記セラミック材料は、ボロシリケートガラス、アルミナ、サファイア、二ホウ化チタ
ン、酸化チタンTiO2、炭化チタン、炭化タングステン、窒化ケイ素、ジルコニア、エ
メラルド、ルビー、及びダイヤモンドからなる群から選択されることを特徴とする、請求
項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記金属材料は、アルミニウム、鋼鉄、白金、金、銀、パラジウム、ジルコニウム、及
びチタンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記
載の製造方法。
【請求項10】
6061アルミニウム粉末が使用され、前記6061アルミニウム粉末の粒子が5~6
3μmの直径を有することを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
18カラット750パーミルの金の粉末が使用され、前記金の粉末の粒子は、5~45
μmの直径を有することを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
使用される材料の前記粉末は、D10~D90タイプのものであり、即ちこれらの粉末
を形成する粒子の90%が63μm未満の直径を有し、これらの粒子の10%が5μm未
満の直径を有することを特徴とする、請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記基板(6)上に堆積される前記材料のレイヤーの厚さは、10μm~50μmであ
ることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記基板上に堆積させられる前記材料のレイヤーの数は、10~20であることを特徴
とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記レーザビームの出力は、10~35ワットの動作値に設定されること、及び
前記レーザビームの、前記基板(6)の表面上での移動速度は、100~700mm/
秒であること
を特徴とする、請求項8~14のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記レーザビーム(16)はYb:YAGタイプのものであることを特徴とする、請求
項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記所望の機械部品(32)の前記2次元層は、少なくとも1つの表面の範囲を画定す
る輪郭を有することを特徴とする、請求項8~16のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
技術的及び/又は装飾的機能を有する機械部品であって、前記機械部品(32)は、セ
ラミック材料製の基板(6)と、レーザ付加製造によって前記基板(6)上に形成された
金属材料製の構造体(30)とを含む、機械部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品のレーザビーム付加製造の方法に関する。本発明はまた、特に上記
付加製造方法を実装することによって得られる、このような機械部品に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部品のレーザ溶融による付加製造の技法は、この20年以上にわたって知られてお
り、特に航空機及び自動車の製造の分野で使用されている。
【0003】
簡潔に述べると、選択的レーザ溶融(Selective Laser Meltin
g)、即ちSLMとしても知られる、レーザビームによる選択的溶融法は、最大出力が典
型的には100ワットと2~3キロワットの間である二酸化炭素CO2レーザ又はYAG
レーザ等のレーザビームを用いて金属材料の粉末を溶融させることによる、迅速なプロト
タイプ作製技法である。この選択的溶融法は、レーザビームによって供給されるエネルギ
によって溶融温度となる金属材料の粉末から、3次元物体を1層ずつ形成するために使用
される。
【0004】
この従来のレーザ付加製造方法は、設計したい部品の体積を画定することになる、CA
D(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)タイプのコ
ンピュータファイルの開発から始まる。このコンピュータファイルは、1つ以上の2次元
層で構成され、上記層を重ね合わせると、設計したい部品を再構築できる。
【0005】
粉末状態の金属材料の均一な厚さのレイヤーを、レーザビーム付加製造機械のプラット
フォーム上に広げた後、レーザビームは、この金属粉末層の表面に、最初の2D層を描画
する。レーザビームによって供給される光エネルギの効果によって、金属粉末は溶融し、
その後、レーザビームの移動の制御に使用された上記最初の2次元層の外形に沿って、固
化する。金属粉末の新たなレイヤーを、プラットフォームの表面全体にわたって広げた後
、レーザビームを用いて金属粉末の粒子をその溶融温度にするプロセスを、部品が完成す
るまで繰り返す。
【0006】
部品は上述のように、プラットフォームの表面上に直接、付加印刷することによって製
造される。場合によっては、この製造は、プラットフォーム上に支持体を1レイヤーずつ
製造することから始まって、部品自体の製造に続く。この場合、上記支持体は、部品を印
刷機械のプラットフォーム上で製造する際に、上記部品を機械的に支持する役割を果たし
、レーザビームを用いた金属粉末の溶融によって生成される熱を除去できる。
【0007】
このようにして得られた部品は、付加製造機械のプラットフォームから注意深く引き出
して、周囲の溶融していない粉末を落とさなければならない。部品が支持体を用いて製造
された場合、部品は支持体から分離される。
【0008】
従来のレーザ付加製造方法の欠点の1つは、所望の部品の完成後に、この部品を付加製
造機械のプラットフォームから取り外さなければならず、続いて必要に応じてその支持体
から取り外さなければならないことである。これは時間がかかる繊細な作業であり、また
この作業中には、注意していても多くの部品が塑性変形し、廃棄が必要になる。
【0009】
別のレーザビーム付加製造技法は、製造作業の開始前に機械に設置される基板を用いる
ことを含む。部品はこの基板の上で製造されることになるが、この基板は、付加製造機械
のプラットフォームの表面と面一である。
【0010】
金属製であるこの基板により、粉末の溶融によって発生する熱を効率的に除去できるた
め、製造中の部品中に存在する熱応力を少なくとも部分的に緩和できる。部品の印刷後の
追加の熱処理により、熱応力が完全に排除される。部品の製造に使用される金属粉末は、
ほとんどの場合、基板の作製に使用される材料と同一の性質のものである。というのは、
これによって基板に対する部品の付着が促進されるためである。場合によっては、上記粉
末の作製に使用される合金の組成は、上記基板の合金組成とはわずかに異なる。また、例
えば部品の製造に貴金属を用いる場合、又はチタン等の他の金属が機械加工対象として使
用される場合に、コストを理由として、部品の製造のために、基板の作製に使用されるも
のとは異なる金属で作製された粉末を使用することも、既に提案されている。
【0011】
従って現在まで、レーザビームを用いた部品の付加製造に関して、基板のための材料、
及び上記基板上での付加印刷によって製造される部品のための材料の選択は、ほとんどの
場合、基板及び部品について同一の金属に限定されていた。場合によっては、基板の作製
に使用されるものとはわずかに異なる金属合金から、又は基板の材料と適合することが示
されている材料から、部品を作製することが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、信頼性が高く再現性のある方法で、機械部品の製造に使用できる材料
の選択肢を変更できる、レーザ付加製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明の対象は、技術的及び/又は装飾的機能を有する機械部品の
レーザ付加製造の方法であり、この機械部品は、基板と、上記基板上にレーザ付加製造に
よって形成される構造体とで構成され、この方法は:
‐レーザビームを提供するステップであって、上記レーザビームの動作は、コンピュー
タを用いて制御され、上記コンピュータには、所望の上記機械部品の上記構造体に対応す
る2次元CADコンピュータファイル、又は重ね合わせたときに所望の上記機械部品の上
記構造体を形成できる複数の2次元層に切断された3次元CADコンピュータファイル、
上記レーザビームの動作パラメータを内包した別のコンピュータファイルが導入される、
ステップ;
‐レーザ付加製造に関わる温度よりも高い溶融温度を有するセラミック材料製の、基板
を提供するステップ;
‐上記基板を、製造用エンクロージャのプラットフォーム上に配置するステップ;
‐上記製造用エンクロージャを閉鎖し、この製造用エンクロージャ内に中性ガスの雰囲
気を生成するステップ;
‐上記基板上に、溶融対象の少なくとも1つの第1の金属材料の粉末の、少なくとも1
つの第1のレイヤーを堆積させるステップ;
‐溶融対象の上記第1の金属材料の上記第1のレイヤーを、この第1のレイヤーが略均
一な厚さを有するように均すステップ;
‐上記レーザビームを起動し、このレーザビームを用いて、上記第1の金属材料の上記
第1のレイヤーを、所望の上記機械部品の上記構造体の上記2次元層に対応する上記CA
Dコンピュータファイルに従った、選択的溶融ステップに供するステップ;
‐上記基板上に、上記第1のレイヤーを製造した材料と同一の材料の金属粉末の、又は
上記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料の、少なくとも1つの第2のレイヤーを堆
積させるステップ;
‐上記第2のレイヤーを均し、この第2のレイヤーを、上記CADコンピュータファイ
ルの次の2次元層に応じて、上記レーザビームを用いて選択的に溶融させるステップに供
するステップ;
‐上記基板と、レーザ付加製造によって上記基板上に形成される上記構造体とからなる
、上記所望の機械部品が得られるまで、必要に応じてこれらの作業を繰り返すステップ;
‐上記機械部品を上記製造用エンクロージャから取り出し、余剰の上記金属材料を除去
し、組立体を清掃するステップ;並びに
‐必要に応じて、上記部品を研磨等の仕上げ作業に供するステップ
を含む。
【0014】
これらの特徴により、本発明は、固体セラミック基板と金属粉末とを併用して、技術的
及び/又は装飾的機能を有する機械部品を極めて高い品質で製造できる、レーザ付加製造
方法を提供する。実際に、レーザ溶融によって得られる金属構造体は、この構造体がその
上で作製されるセラミック基板に対して十分に付着し、また、機械部品であって、上記機
械部品を中に設置する対象として意図されている物体の中で直接使用できる、機械部品を
得ることができることが観察された。先験的に、イオン結合で1つに結合した金属原子と
、共有結合によって原子が結合した、セラミックに内包される酸素との間の化学的(イオ
ン/共有結合)親和性が低いことを考えると、この結果は極めて驚くべきことである。し
かしながら、チタンの原子が、セラミック基板に内包される酸素と良好に結合して、二酸
化チタンTiO2の分子を形成することが、特に観察された。同様に、アルミニウム原子
は、例えばアルミナ、サファイア、又はジルコニア製の基板の酸素原子に対して、良好な
親和性を有する。
【0015】
上記基板は、本発明の方法によって得られる、技術的及び/又は装飾的機能を有する機
械部品に属し、この基板はこの機械部品と一体であり、本方法の最後にレーザ付加製造に
よって得られる構造体から分離されることを意図したものではない。実際には、この構造
体は、この構造体がその上で製造された基板の表面に対して十分に付着し、従って、得ら
れた機械部品をそのまま、これが対象とする物体に一体化できることが観察された。よっ
て本発明により、レーザ付加製造によって得られる部品を付加製造機械のプラットフォー
ムから分離するという危険なステップが回避され、これにより、上記部品の破壊につなが
り得る塑性変形のリスクが回避される。同様に、この分離ステップが回避されることによ
り、時間が節約される。これは特に、付加製造によって得られた部品を別個の基板上に、
例えば接着によって、必ずしも固定しなくてよいためである。
【0016】
本発明の特別な実施形態によると:
‐上記粉末材料のレイヤーを選択的に溶融する上記ステップの前に、上記基板を表面処
理に供することができ;
‐上記表面処理は、イオン注入作業、プラズマトーチ処理、又は物理蒸着処理によるも
のであり;
‐上記基板は、上記粉末材料のレイヤーを選択的に溶融する上記ステップの前に予熱さ
れ;
‐上記基板は、400℃を超えない温度まで予熱され;
‐上記基板の厚さは少なくとも100μmであり;
‐上記中性ガスはアルゴンであり、上記製造用エンクロージャ内の酸素の体積濃度は0
.5%未満であり;
‐上記セラミック材料は、ボロシリケートガラス、アルミナ、サファイア、二ホウ化チ
タン、酸化チタンTiO2、炭化チタン、炭化タングステン、窒化ケイ素、ジルコニア、
エメラルド、ルビー、及びダイアモンドからなる群から選択され;
‐上記金属材料は、アルミニウム、鋼鉄、チタン、ジルコニウム、パラジウム、白金、
銀、及び金からなる群から選択され;
‐上記基板上に堆積される材料のレイヤーの厚さは、20μm~45μmであり;
‐上記レーザビームはNd:YAGタイプのものであり;
‐上記レーザビームの最大出力は、100ワット~300ワットであり;
‐上記所望の機械部品の上記2次元層は、少なくとも1つの表面の範囲を画定する輪郭
を有し;
‐上記粉末を形成する粒子のサイズは、5μm~63μmであり;
‐使用される材料の上記粉末は、D10~D90タイプのものであり、即ちこれらの粉
末を形成する粒子の90%が63μm未満の直径を有し、これらの粒子の10%が5μm
未満の直径を有する。
【0017】
本発明はまた、技術的及び/又は装飾的機能を有する機械部品に関し、この機械部品は
、セラミック基板と、レーザ付加製造によって上記基板上に形成された金属構造体とを含
む。
【0018】
粉末金属材料の上記レイヤーを選択的に溶融させる上記ステップの前に、上記セラミッ
ク基板を、イオン注入、プラズマトーチ、又は物理蒸着による表面処理に供することによ
り、上記基板上に形成される上記構造体の、上記基板との付着の強さを更に改善できるこ
とに、特に留意されたい。
【0019】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明による付加製造方法の実装の例の、以下に続く詳
細な説明から、より明らかになるだろう。この例は単なる例として与えられるものであり
、添付の図面との関連だけに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明による方法を実装するために好適なレーザビーム付加製造設備の概略図である。
【
図2】
図2は、付加製造方法の開始前の付加製造設備の状況を示す、詳細な概略図である。
【
図3】
図3は、溶融対象の粉末材料の第1のレイヤーの、基板上への堆積を示す、詳細な概略図である。
【
図4】
図4は、余剰の粉末材料の除去を示す、詳細な概略図である。
【
図5】
図5は、レーザビームを用いて粉末材料の第1のレイヤーを選択的に溶融させるステップを示す、詳細な概略図である。
【
図6】
図6は、粉末材料の追加のレイヤーを選択的に溶融させるステップを示す、詳細な概略図である。
【
図7】
図7は、基板を清掃する最後のステップを示す、詳細な概略図である。
【
図8】
図8は、溶融対象の粉末材料の第1のレイヤーの、基板上への堆積の前の、プラズマトーチによる基板調製ステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、レーザビームによる付加製造方法を用いて、技術的及び/又は装飾的機能を
有する機械部品を単一の片として製造するという、一般発明概念から発展したものである
。より具体的には、本発明は、レーザビームによる付加製造方法に関し、この方法では、
固体セラミック基板と金属粉末とを併用して、レーザ付加製造によって構造体を製造する
ことにより、技術的及び/又は装飾的機能を有する高品質の機械部品を得ることができる
。実際に、レーザ溶融によって得られる金属構造体は、この構造体がその上で作製される
セラミック基板に対して十分に付着し、また、機械部品であって、上記機械部品を中に設
置する対象として意図されている物体の中で直接使用できる、機械部品を得ることができ
ることが観察された。これは特に、金属原子とセラミックに内包される酸素との間の良好
な化学的(イオン/共有結合)親和性によるものと思われる。例えば、チタン原子は、セ
ラミックに内包される酸素と良好に結合して、二酸化チタン分子TiO2を形成する。同
様に、アルミニウム原子は、アルミナ、サファイア、又はジルコニア等の基板の酸素原子
に対して、優れた親和性を有する。よって本発明は、これまで不適合であると考えられて
きた複数の材料を組み合わせる、又は一体に結合させることができることを実証する。
【0022】
その一方で、セラミック材料に内包される酸素に対する同様の親和性は、金の場合には
得られないことが観察された。これは、セラミック基板上でレーザ溶融によって金の構造
体を成長させたい場合に、セラミック基板を、例えばイオン注入、プラズマトーチ、又は
物理蒸着タイプの表面処理に供することが好ましいためである。プラズマ処理の場合、ト
ーチの形成に使用されるガスは好ましくは、22%の酸素及び約70%の窒素を含有する
圧縮空気となる。
【0023】
所望の機械部品を作製するために使用されるセラミック基板は、この機械部品と一体と
なり、従って、製造方法の完了後に上記機械部品から分離する必要はない。従ってこのセ
ラミック基板は、犠牲にされるものとして設計されておらず、本発明による機械部品を形
成するレーザ付加製造によって得られる構造体のための恒久的な支持体として機能する。
これにより、製造用基板からのこの構造体の分離中に従来技術で発生していた、この構造
体の変形、更には破壊のリスクが回避される。
【0024】
本発明による方法によると、初めに基板が提供され、この基板の上に、レーザビームを
用いた付加製造によって、構造体が成長させられることになる。上記基板の形状及び寸法
は、本方法の実装によって得られる機械部品のその後の用途に応じて選択される。基板は
、付加製造作業を実施できる少なくとも1つの平坦な表面を有していれば十分である。し
かしながら、強度面を理由として、基板の厚さは100μm以上であることが好ましい。
この基板は、レーザ溶融付加製造に関わる温度よりも高い溶融温度を有するセラミック材
料製である。上記基板は、アルミナAl2O3、サファイア、酸化チタンTiO2、又は
ジルコニアZrO2等のセラミック材料製である。同等に好適な他のセラミック材料は、
窒化ケイ素Si3N4、及び炭化チタンTiCである。
【0025】
基板を選択し、製造用エンクロージャに導入した後、粉末材料のレイヤーをこの基板上
に堆積させ、続いてこれを、レーザビームを用いて選択的に溶融させる。この粉末状材料
は、基板の作製に使用される材料とは異なる。この粉末材料は、アルミニウム、金、白金
、チタン、鋼鉄、又はジルコニウムといった金属材料である。
【0026】
アルミニウムの場合、好ましくは6061アルミニウム合金が選択され、これは:95
.85~98.56重量%のアルミニウム;0.4~0.8重量%のケイ素;最大0.7
重量%の鉄(最小値の要件なし);0.15~0.4重量%の銅;最大0.15重量%の
マンガン(最小値の要件なし);0.8~1.2%のマグネシウム;0.04~0.35
%のクロム;最大0.25重量%の亜鉛(最小値の要件なし);最大0.15重量%のチ
タン(最小値の要件なし);それぞれの濃度0.05重量%を超えてはならず、かつ合計
濃度が0.15重量%を超えてはならない、他の元素を含む。本発明の文脈で使用される
6061アルミニウム粉末は、直径が5~63μmの粒子の混合物から形成される。
【0027】
上で詳述したアルミニウム粉末の10~20個のレイヤーを堆積させることによって作
製された部品は、ジルコニア基板上に構成されている。同様に、ジルコニア基板を用いて
、チタン粉末TiAl6V4から部品を製造した。
【0028】
金の場合、750パーミルの純金、50パーミルの銀、及び198.5パーミルの銅を
含有する、18カラットの金が好ましい。本発明の文脈で使用される金の粉末は、直径が
5~45μmの粒子の混合物から形成される。
【0029】
上で詳述した金の粉末の10~20個のレイヤーを堆積させることによって作製された
部品は、サファイア及びジルコニア基板上に構成されている。
【0030】
粉末材料のレイヤーを基板上に広げた後、このレイヤーを、典型的には15~50μm
の範囲内の略均一な厚さを有するように、機械的に掃くことによって均す。この掃く作業
の間に、直径又は複数の寸法のうちの少なくとも1つが上記レイヤーの厚さを超えている
粉末の粒子が、基板から除去されることが理解されるだろう。
【0031】
粉末材料のレイヤーを均した後、製造用エンクロージャを閉鎖し、このエンクロージャ
の容積内に中性ガスの雰囲気を形成する。選択される中性ガスは、限定するものではない
が好ましくはアルゴンであり、製造用エンクロージャ内の酸素の体積濃度は、0.5%未
満である。
【0032】
本発明の文脈で使用されるレーザデバイスは、例えばYb:YAGタイプレーザであり
、その最大出力は100ワットに等しく、またこれは連続的に発光する。非限定的な好ま
しい例として、選択されるレーザビームのタイプに応じて、その出力は10~35ワット
の動作値に設定され、基板の表面上でのその移動速度は、100~700mm/秒である
。レーザビームは、基板上に広げられた粉末材料のレイヤーを、CADコンピュータファ
イルが格納されたコンピュータによって決定される外形において溶融させる。このファイ
ルは1つ以上の2次元層に対応し、これらを重ねると、粉末材料のレイヤーに、所望の機
械部品の構造を形成できる。所望の機械部品の各層に関して、レーザビームの出力、レー
ザビームの移動速度、及びこのレーザビームがたどらなければならない経路といったレー
ザビームの動作パラメータを内包する、別のコンピュータファイルも使用される。
【0033】
従って溶融材料の各層は、15μm~50μmの厚さを有する。最終的な構造体の厚さ
は500μm~1mmとなり得る。これらの値の間の唯一の違いは、最終的な構造体が厚
いほど製造時間が長くなることである。
【0034】
粉末材料の第1のレイヤーを、CADコンピュータファイルに内包された命令に従った
上記材料の選択的溶融によって、構築した後、余剰の材料を除去し、第1のレイヤーの作
製に使用したものと同一であっても異なっていてもよい粉末材料の第2のレイヤーを、基
板上に堆積させる。最後に、基板と、レーザ付加製造によって基板上に形成された構造体
とからなる所望の機械部品が得られるまで、上記作業を繰り返す。得られた機械部品を製
造用エンクロージャから取り出し、余剰の材料を除去して組立体を清掃する。得られた機
械部品は、すぐに使用できる状態である。
【0035】
図1は、本発明による方法を実装するために好適なレーザビーム付加製造設備の概略図
である。この付加製造設備は全体として参照番号1で表されており、これは、基板6がそ
の上に配置されるプラットフォーム4が中に配設された、製造用エンクロージャ2を備え
る。好ましくは、プラットフォーム4は第1のピストン8に連結されることにより、底部
から上部へ、及び上部から底部へと垂直に移動できる。付加製造設備1はまた、第1のリ
ザーバ10及び第2のリザーバ12も備え、これらはいずれも製造用エンクロージャ2内
に配設される。中で第2のピストン14が移動する第1のリザーバ10は、溶融対象の粉
末材料の貯蔵に使用される。第2のリザーバ12に関しては、これは、溶融対象の材料の
余剰の粉末のため、及び選択的溶融ステップからの廃棄物のための、容器として機能する
。製造用エンクロージャ2はまた、基板6がその上に配置されるプラットフォーム4の真
上に配置された、レーザビーム16と、溶融対象の材料の粉末を移送するためのヘッド1
8とを内包する。
【0036】
図2では、基板6がその上に配置されるプラットフォーム4の移動を制御する第1のピ
ストン8を必要に応じて作動させることによって、基板6は、印刷面20と面一に配置さ
れる。同時に第2のピストン14を作動させて、溶融対象の材料の粉末22を、ある量だ
け、印刷面20の高さに移動させる。
【0037】
図3では、移送ヘッド18は、溶融対象の材料の上記量の粉末22を、基板6上に移動
させる役割を果たす。この目的のために、移送ヘッド18は、第1のスクレーパー24及
び第2のスクレーパー26を備え、これらは選択的に昇降できる。
図3で確認できるよう
に、上記量の粉末22を基板6上に運ぶためには、移送ヘッド18を図面の左側へと並進
移動させ、ここで、上記量の粉末22の前進を妨害しないように第1のスクレーパー24
を上昇させ、上記量の粉末22を移動させることができるように第2のスクレーパー26
を下降させる。
【0038】
反対に
図4では、移送ヘッド18を図面の右側へと移動させ、ここで第1のスクレーパ
ー24を下降させ、第2のスクレーパー26を上昇させることによって、基板6上に運ば
れた粉末材料のレイヤー28を均して圧縮する。
【0039】
図5では、レーザビーム16を用いて、粉末材料のレイヤー28を溶融させる。この目
的のために、レーザビーム16の動作をコンピュータで制御することになるが、このコン
ピュータには、1つ以上の層に分割されたCADコンピュータファイルが導入されており
、上記層を重ねると、所望の機械部品32の構造体30を形成できる。
【0040】
図6では、第1のピストン8を作動させることによって、基板6がその上に配置された
プラットフォーム4を下降させて、表面上に粉末材料の第1のレイヤー28が構築されて
いる基板6を、再び印刷面20と面一に配置する。次に、基板6の表面上に粉末材料の新
たなレイヤーを構築したい場合、
図2~5に関連して上で詳述した作業を繰り返す。
【0041】
最後に、粉末材料の第1のレイヤー28を、レーザビーム16を用いた選択的溶融ステ
ップに供することによって、所望の構造体30が得られたら、必要に応じて、例えば真空
クリーナー34を用いて、基板6及び構造体30によって形成された機械部品32を清掃
できる(
図7を参照)。
【0042】
レーザビーム16を用いた付加製造によって得られた構造体30の、基板6上への付着
を改善するために、製造作業の開始前に、基板6を、プラズマトーチ36を用いた表面処
理に供することができる(
図8を参照)。
【0043】
言うまでもないことであるが、本発明は上述の実施形態に限定されず、また当業者であ
れば、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様
々な修正及び単純な変更を考えることができる。特に、本発明及びその特定の実施形態の
文脈において、用語「機械部品」が、腕時計のブレスレットのリンクといった、機械的応
力が印加され得る部品だけでなく、時計の文字盤といった、装飾機能のみを有しかつその
表面上に材料の構造体が形成される部品をも意味するものと理解されることを、理解され
たい。
【符号の説明】
【0044】
1 レーザビーム付加製造設備
2 製造用エンクロージャ
4 プラットフォーム
6 基板
8 第1のピストン
10 第1のリザーバ
12 第2のリザーバ
14 第2のピストン
16 レーザビーム
18 移送ヘッド
20 印刷面
22 ある量の粉末
24 第1のスクレーパー
26 第2のスクレーパー
28 粉末材料のレイヤー
30 構造体
32 機械部品
34 真空クリーナー
36 プラズマトーチ
【手続補正書】
【提出日】2023-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
技術的及び/又は装飾的機能を有する機械部品(32)のレーザ付加製造の方法であって、前記機械部品(32)は、基板(6)と、前記基板(6)上にレーザ付加製造によって形成される構造体(30)とで構成され、
前記方法は:
‐レーザビーム(16)を提供するステップであって、前記レーザビーム(16)の動作は、コンピュータを用いて制御され、前記コンピュータには、重ね合わせたときに所望の前記機械部品の前記構造体を形成できる1つ以上の層に切断されたCADコンピュータファイル、前記レーザビームの動作パラメータを内包した別のコンピュータファイルが導入される、ステップ;
‐レーザ付加製造に関わる温度よりも高い溶融温度を有するセラミック材料製の、前記基板(6)を提供するステップ;
‐前記基板(6)を、製造用エンクロージャ(2)内のプラットフォーム上に配置するステップ;
‐前記製造用エンクロージャ(2)を閉鎖し、前記製造用エンクロージャ(2)内に中性ガスの雰囲気を生成するステップ;
‐前記基板(6)上に、溶融対象の少なくとも1つの第1の金属材料の粉末の、少なくとも1つの第1のレイヤー(28)を堆積させるステップ;
‐溶融対象の前記第1の金属材料の前記第1のレイヤー(28)を、前記第1のレイヤー(28)が略均一な厚さを有するように均すステップ;
‐前記レーザビーム(16)を起動し、前記レーザビーム(16)を用いて、前記第1の金属材料の前記第1のレイヤーを、所望の前記機械部品(32)の前記構造体(30)の2次元層に対応する前記CADコンピュータファイルに従った、選択的溶融ステップに供するステップ;
‐前記基板(6)上に、前記第1のレイヤー(28)を製造した材料と同一の金属材料の粉末の、又は前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料の、少なくとも1つの第2のレイヤーを堆積させるステップ;
‐前記第2のレイヤーを均し、前記第2のレイヤーを、前記CADコンピュータファイルの次の前記2次元層に応じて、前記レーザビーム(16)を用いて選択的に溶融させるステップに供するステップ;
‐前記基板(6)と、レーザ付加製造によって前記基板(6)上に形成される前記構造体(30)とからなる、前記所望の機械部品(32)が得られるまで、必要に応じてこれらの作業を繰り返すステップ;
‐前記機械部品(32)を前記製造用エンクロージャ(2)から取り出し、余剰の前記金属材料を除去し、組立体を清掃するステップ;並びに
‐必要に応じて、前記機械部品(32)を仕上げ作業に供するステップ
を含み、前記基板(6)のセラミック材料に内包される酸素と、前記第1の金属材料の金属原子との間のイオン/共有結合によって、前記基板(6)と前記構造体(30)とが結合される、方法。
【請求項2】
前記粉末材料のレイヤー(28)を選択的に溶融する前記ステップの前に、前記基板(6)を表面処理に供することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記表面処理は、イオン注入作業、プラズマ処理、又は物理蒸着処理によるものであることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記基板(6)は、前記粉末材料のレイヤー(28)を選択的に溶融する前記ステップの前に予熱されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記基板(6)は、400℃を超えない温度まで予熱されることを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記基板(6)の厚さは少なくとも100μmであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記中性ガスはアルゴンであり、前記製造用エンクロージャ内の酸素の体積濃度は0.5%未満であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記セラミック材料は、ボロシリケートガラス、アルミナ、サファイア、二ホウ化チタン、酸化チタンTiO2、炭化チタン、炭化タングステン、窒化ケイ素、ジルコニア、エメラルド、ルビー、及びダイヤモンドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記金属材料は、アルミニウム、鋼鉄、白金、金、銀、パラジウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
6061アルミニウム粉末が使用され、前記6061アルミニウム粉末の粒子が5~63μmの直径を有することを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
18カラット750パーミルの金の粉末が使用され、前記金の粉末の粒子は、5~45μmの直径を有することを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
使用される材料の前記粉末は、D10~D90タイプのものであり、即ちこれらの粉末を形成する粒子の90%が63μm未満の直径を有し、これらの粒子の10%が5μm未満の直径を有することを特徴とする、請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記基板(6)上に堆積される前記材料のレイヤーの厚さは、10μm~50μmであることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記基板上に堆積させられる前記材料のレイヤーの数は、10~20であることを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記レーザビームの出力は、10~35ワットの動作値に設定されること、及び
前記レーザビームの、前記基板(6)の前記表面上での移動速度は、100~700mm/秒であること
を特徴とする、請求項8~14のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記レーザビーム(16)はYb:YAGタイプのものであることを特徴とする、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記所望の機械部品(32)の前記2次元層は、少なくとも1つの表面の範囲を画定する輪郭を有することを特徴とする、請求項8~16のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
技術的及び/又は装飾的機能を有する機械部品であって、前記機械部品(32)は、セラミック材料製の基板(6)と、レーザ付加製造によって前記基板(6)上に形成された金属材料製の構造体(30)とを含み、前記基板(6)のセラミック材料に内包される酸素と、前記金属材料の金属原子との間のイオン/共有結合によって、前記基板(6)と前記構造体(30)とが結合される、機械部品。
【外国語明細書】