(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164868
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】EL表示装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20231107BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231107BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20231107BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231107BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20231107BHJP
H10K 59/123 20230101ALI20231107BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20231107BHJP
H10K 50/805 20230101ALI20231107BHJP
【FI】
G09F9/30 339Z
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09G3/20 624B
G09G3/20 642K
G09G3/20 680G
G09G3/3233
H10K59/10
H10K59/12
H10K59/123
H10K59/35
H10K50/805
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136022
(22)【出願日】2023-08-24
(62)【分割の表示】P 2022112236の分割
【原出願日】2016-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2015241714
(32)【優先日】2015-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016050692
(32)【優先日】2016-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】池田 寿雄
(72)【発明者】
【氏名】豊高 耕平
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 英明
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博之
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩平
(72)【発明者】
【氏名】神保 安弘
(72)【発明者】
【氏名】道前 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】永田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】平佐 真一
(57)【要約】
【課題】精細度が極めて高い表示装置を提供する。表示品位が高められた表示装置を提供
する。視野角特性が向上した表示装置を提供する。曲げることのできる表示装置を提供す
る。
【解決手段】同じ色の副画素を、所定の方向に対してジグザグに配列した構成とする。す
なわち、ある副画素に着目した時に、これと同じ色を呈する2つの副画素が、それぞれ斜
め右上及び右下、またはそれぞれ斜め左上及び左下に位置するように配列した構成とする
。また、1つの画素はL字に配置された3つの副画素により構成される。さらに2つの画
素を組み合わせ、3×2の副画素からなる画素ユニットをマトリクス状に配置させた構成
とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のEL表示素子と、第2のEL表示素子と、第1の画素回路と、第2の画素回路と、を有し、
前記第1のEL表示素子は、第1の画素電極を有し、
前記第2のEL表示素子は、第2の画素電極を有し、
前記第1のEL表示素子と前記第2のEL表示素子とは、赤または緑に対応する表示素子であり、
前記第1の画素回路は、前記第2の画素回路の隣に設けられ、
前記第1の画素回路は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第1の容量素子と、を有し、
前記第2の画素回路は、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、第2の容量素子と、を有し、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と導通し、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1の容量素子の一方の電極と導通し、
前記第1の容量素子の他方の電極は、第1の配線と導通し、
前記第2のトランジスタのゲートは、第1のゲート線により制御され、
前記第1のトランジスタがオン状態となり、かつ前記第1の配線が、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方とを介して、前記第1の画素電極と導通状態になると、前記第1の配線と前記第1の画素電極との間に、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方とを介して、第1の電流が流れ、
前記第2のトランジスタがオン状態のとき、第2の配線の電位が、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方と、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方とを介して、前記第1のトランジスタのゲートに与えられ、
前記第3のトランジスタのゲートは、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と導通し、
前記第3のトランジスタのゲートは、前記第2の容量素子の一方の電極と導通し、
前記第2の容量素子の他方の電極は、前記第1の配線と導通し、
前記第4のトランジスタのゲートは、第2のゲート線により制御され、
前記第3のトランジスタがオン状態となり、かつ前記第1の配線が、前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方と、前記第3のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方とを介して、前記第2の画素電極と導通状態になると、前記第1の配線と前記第2の画素電極との間に、前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方と、前記第3のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方とを介して、第2の電流が流れ、
前記第4のトランジスタがオン状態のとき、第3の配線の電位が、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方と、前記第4のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方とを介して、前記第3のトランジスタのゲートに与えられ、
前記第1の画素電極は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第1の画素電極は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域と重ならず、
前記第1の画素電極は、前記第3のトランジスタのチャネル形成領域と重ならず、
前記第1の画素電極は、前記第4のトランジスタのチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第2の画素電極は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域と重ならず、
前記第2の画素電極は、前記第3のトランジスタのチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第2の画素電極は、前記第4のトランジスタのチャネル形成領域と重ならない、EL表示装置。
【請求項2】
第1のEL表示素子と、第2のEL表示素子と、第1の画素回路と、第2の画素回路と、を有し、
前記第1のEL表示素子は、第1の画素電極を有し、
前記第2のEL表示素子は、第2の画素電極を有し、
前記第1のEL表示素子と前記第2のEL表示素子とは、赤または緑に対応する表示素子であり、
前記第1の画素回路は、前記第2の画素回路の隣に設けられ、
前記第1の画素回路は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第1の容量素子と、を有し、
前記第2の画素回路は、第3のトランジスタと、第4のトランジスタと、第2の容量素子と、を有し、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と導通し、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1の容量素子の一方の電極と導通し、
前記第1の容量素子の他方の電極は、第1の配線と導通し、
前記第2のトランジスタのゲートは、第1のゲート線により制御され、
前記第1のトランジスタがオン状態となり、かつ前記第1の配線が、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方とを介して、前記第1の画素電極と導通状態になると、前記第1の配線と前記第1の画素電極との間に、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方とを介して、第1の電流が流れ、
前記第2のトランジスタがオン状態のとき、第2の配線の電位が、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方と、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方とを介して、前記第1のトランジスタのゲートに与えられ、
前記第3のトランジスタのゲートは、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と導通し、
前記第3のトランジスタのゲートは、前記第2の容量素子の一方の電極と導通し、
前記第2の容量素子の他方の電極は、前記第1の配線と導通し、
前記第4のトランジスタのゲートは、第2のゲート線により制御され、
前記第3のトランジスタがオン状態となり、かつ前記第1の配線が、前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方と、前記第3のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方とを介して、前記第2の画素電極と導通状態になると、前記第1の配線と前記第2の画素電極との間に、前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方と、前記第3のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方とを介して、第2の電流が流れ、
前記第4のトランジスタがオン状態のとき、第3の配線の電位が、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方と、前記第4のトランジスタのチャネル形成領域と、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方とを介して、前記第3のトランジスタのゲートに与えられ、
前記第1の画素電極は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第1の画素電極は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域と重ならず、
前記第1の画素電極は、前記第3のトランジスタのチャネル形成領域と重ならず、
前記第1の画素電極は、前記第4のトランジスタのチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第2の画素電極は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域と重ならず、
前記第2の画素電極は、前記第3のトランジスタのチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第2の画素電極は、前記第4のトランジスタのチャネル形成領域と重ならず、
前記第1の画素電極は、前記第1の容量素子の一方の電極と重なる領域を有し、
前記第1の画素電極は、前記第1の容量素子の他方の電極と重なる領域を有し、
前記第2の画素電極は、前記第2の容量素子の一方の電極と重なる領域を有し、
前記第2の画素電極は、前記第2の容量素子の他方の電極と重なる領域を有する、EL表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のEL表示装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発
明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置
、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることが
できる。
【背景技術】
【0003】
近年、高解像度の表示装置が求められている。例えば家庭用のテレビジョン装置(テレ
ビ、またはテレビジョン受信機ともいう)では、解像度がフルハイビジョン(画素数19
20×1080)であるものが主流となっているが、今後、4K(画素数3840×21
60)や、8K(画素数7680×4320)のように、テレビジョン装置の高解像度化
が進むと予想される。
【0004】
一方、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの携帯情報端末機器においても
、機器の表示部に用いられる表示パネルの高解像度化が進んでいる。
【0005】
表示装置としては、代表的には液晶表示装置、有機EL(Electro Lumin
escence)素子や発光ダイオード(LED:Light Emitting Di
ode)等の発光素子を備える発光装置、電気泳動方式などにより表示を行う電子ペーパ
などが挙げられる。
【0006】
例えば、有機EL素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層
を挟持したものである。この素子に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物から
発光を得ることができる。このような有機EL素子が適用された表示装置は、液晶表示装
置等で必要であったバックライトが不要なため、薄型、軽量、高コントラストで且つ低消
費電力な表示装置を実現できる。例えば、有機EL素子を用いた表示装置の一例が、特許
文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば携帯情報端末機器に搭載される表示パネルは、テレビジョン装置等に比べて表示
領域の面積が小さいため、解像度を高めるには精細度をより高める必要がある。
【0009】
本発明の一態様は、精細度が極めて高い表示装置を提供することを課題の一とする。ま
たは、表示品位が高められた表示装置を提供することを課題の一とする。または、視野角
特性が向上した表示装置を提供することを課題の一とする。または、開口率が高められた
表示装置を提供することを課題の一とする。または、曲げることのできる表示装置を提供
することを課題の一とする。または、信頼性の高い表示装置を提供することを課題の一と
する。または、新規な構成を有する表示装置を提供することを課題の一とする。
【0010】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様
は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。また、明細書等の記載から上
記以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、複数の画素ユニットを有する表示装置である。複数の画素ユニット
は、第1の方向と、当該第1の方向と交差する第2の方向に沿ってマトリクス状に配列し
ている。画素ユニットは、第1乃至第6の表示素子を有する。第1の表示素子、第3の表
示素子、及び第5の表示素子は、第1の方向に沿って順に配列している。第2の表示素子
、第4の表示素子、及び第6の表示素子は、第1の方向に沿って順に配列している。第1
の表示素子と第2の表示素子、第3の表示素子と第4の表示素子、並びに第5の表示素子
と第6の表示素子は、それぞれ第2の方向に沿って配列している。第1の表示素子と第4
の表示素子は、第1の色を呈する表示素子であり、第2の表示素子と第5の表示素子は、
第2の色を呈する表示素子であり、第3の表示素子と第6の表示素子は、第3の色を呈す
る表示素子である。
【0012】
上記において、さらに第1の配線及び第2の配線を有することが好ましい。このとき、
画素ユニットは、第1乃至第6のトランジスタを有し、第1のトランジスタ、第3のトラ
ンジスタ、及び第5のトランジスタのそれぞれのゲートは、第1の配線と電気的に接続し
、第2のトランジスタ、第4のトランジスタ、及び第6のトランジスタのそれぞれのゲー
トは、第2の配線と電気的に接続する構成とすることが好ましい。
【0013】
上記において、第3の配線、第4の配線、及び第5の配線を有することが好ましい。こ
のとき、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの各々のソース又はドレインの一方
は、第3の配線と電気的に接続し、第3のトランジスタ及び第4のトランジスタの各々の
ソース又はドレインの一方は、第4の配線と電気的に接続し、第5のトランジスタ及び第
6のトランジスタの各々のソース又はドレインの一方は、第5の配線と電気的に接続する
構成とすることが好ましい。
【0014】
または、上記において、第3の配線、第4の配線、第5の配線、及び第6の配線を有す
ることが好ましい。このとき、第1のトランジスタ及び第4のトランジスタのソース又は
ドレインの一方は、第4の配線と電気的に接続し、第2のトランジスタのソース又はドレ
インの一方は、第3の配線と接続し、第3のトランジスタ及び第6のトランジスタのソー
ス又はドレインの一方は、第5の配線と電気的に接続し、第5のトランジスタのソース又
はドレインの一方は、第6の配線と電気的に接続する構成とすることが好ましい。
【0015】
また、上記において、複数の画素ユニットの、第1の方向における配列周期の幅は、第
2の方向における配列周期の幅の2倍であることが好ましい。このとき、画素ユニットの
第1の方向における配列周期の幅が、12μm以上、150μm以下であることが好まし
い。
【0016】
また、上記第1乃至第6のトランジスタは、トップゲート構造のトランジスタであるこ
とが好ましい。このとき、第1の表示素子と電気的に接続する第7のトランジスタを有す
ることが好ましく、当該第7のトランジスタは、半導体層を挟む2つのゲート電極を有す
る構成とすることがより好ましい。
【0017】
本発明の他の一態様は、複数の第1の表示素子、複数の第2の表示素子、及び複数の第
3の表示素子を有する表示装置である。第1の表示素子は、第1の色を呈する表示素子で
あり、第2の表示素子は、第2の色を呈する表示素子であり、第3の表示素子は、第3の
色を呈する表示素子である。また第1の方向に延伸する、複数の第1の列、複数の第2の
列及び複数の第3の列を有する。第1の列、第2の列、及び第3の列は、第1の方向と交
差する第2の方向に沿ってこの順に配列している。ここで、第1の列は、第1の表示素子
と、第2の表示素子とが交互に配列した列であり、第2の列は、第3の表示素子と、第1
の表示素子とが交互に配列した列であり、第3の列は、第2の表示素子と、第3の表示素
子とが交互に配列した列である。さらに第1の列の第1の表示素子、第2の列の第3の表
示素子、及び第3の列の第2の表示素子が、第2の方向に配列する。
【0018】
上記において、さらに信号線及び走査線を有することが好ましい。このとき、第1の方
向は、信号線及び走査線のいずれか一方の延伸方向に平行な方向であり、第2の方向は、
他方の延伸方向に平行な方向であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、精細度が極めて高い表示装置を提供できる。または、表示品
位が高められた表示装置を提供できる。または、視野角特性が向上した表示装置を提供で
きる。または、開口率が高められた表示装置を提供できる。または、曲げることのできる
表示装置を提供できる。または、信頼性の高い表示装置を提供できる。または、新規な構
成を有する表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図23】実施の形態に係る、タッチパネルの構成例。
【
図24】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図25】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図26】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図27】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図28】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図36】実施例1に係る、トランジスタの電気特性。
【
図39】実施例2に係る、表示パネルの作製方法を説明する図。
【
図42】実施例2に係る、表示パネルの色度の視野角依存性。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0022】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には
同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様
の機能を指す場合には、ハッチングパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある
。
【0023】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0024】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避ける
ために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0025】
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制
御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは
、IGFET(Insulated Gate Field Effect Trans
istor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor
)を含む。
【0026】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合
や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このた
め、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることが
できるものとする。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例について説明する。
【0028】
本発明の一態様の表示装置は、複数の画素を有するものである。各画素は複数の副画素
を備える。各副画素は表示素子と、画素回路を有する。それぞれの副画素の表示素子は、
それぞれ異なる色を呈する。画素回路は少なくとも一のトランジスタを有する。各表示素
子は、少なくとも一の電極(画素電極ともいう)を有し、当該電極は画素回路と電気的に
接続される。各画素回路が有するトランジスタは、当該副画素を選択するためのスイッチ
としての機能を有し、選択トランジスタともいうことができる。画素回路は当該選択トラ
ンジスタ以外に、他のトランジスタや容量素子、ダイオードなどの素子、及びこれら素子
間を接続するための配線等を有していてもよい。
【0029】
また、本発明の一態様は、2つの隣接する画素により、画素ユニットが構成される。す
なわち、画素ユニットは同じ色を呈する副画素を2つずつ有する。例えば画素が3色(例
えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の副画素を有する場合、画素ユニットは6つ
の副画素により構成される。
【0030】
画素ユニットが6つの副画素を有する場合、第1の方向に3つ、第2の方向に2つ配列
するように、3×2のマトリクス状に副画素が配置されていることが好ましい。このとき
1つの画素は、L字を構成する3つの副画素により構成されることが好ましい。
【0031】
また、同じ色の副画素は、第2の方向に一列に並ぶのではなく、第2の方向に対してジ
グザグに配列していることが好ましい。すなわち、ある副画素に着目した時に、これと同
じ色を呈する2つの副画素が、それぞれ斜め右上及び右下、またはそれぞれ斜め左上及び
左下に位置するように配列していることが好ましい。これにより、極めて高精細な表示装
置であっても、視野角を変えたときの色度の変化を小さくすることが可能となる。
【0032】
例えば、表示装置がR、G、Bの3種類の表示素子を有する場合、第2の方向に沿った
以下の3種類の列が、順に第1の方向に沿って配列した構成とすることができる。第1の
列はRとGが第2の方向に交互に配列する列であり、第2の列はGとBが第2の方向に交
互に配列する列であり、第3の列はBとRが第2の方向に交互に配列する列である。そし
て、第1の方向に同じ色の表示素子が隣接して配置されないように、これら3つの列が配
列する。具体的には、Rの第1の方向に沿った両隣に位置する2つの表示素子は、一方が
Gであり、他方がBとなるように、第1の列、第2の列、及び第3の列が配列する構成と
することができる。
【0033】
また、本発明の一態様の表示装置は、画素回路が備える選択トランジスタのゲートに電
気的に接続する配線(ゲート線ともいう)を複数有する。当該配線に与えられる電位によ
り、選択トランジスタのオン・オフ状態が制御され、副画素の選択状態を制御することが
できる。
【0034】
本発明の一態様では、画素は2以上の副画素を有し、また画素には2本以上であり且つ
1つの画素あたりの副画素の数以下の本数のゲート線が電気的に接続される構成とする。
また複数のゲート線の各々には、画素が有する副画素の少なくとも一つが電気的に接続さ
れる構成とする。
【0035】
一例として、画素は3つの副画素を有し、2本のゲート線が画素と電気的に接続される
構成について説明する。より具体的には、一方のゲート線は、2つの副画素が有するそれ
ぞれの選択トランジスタのゲートと電気的に接続し、他方のゲート線が、残りの副画素が
有する選択トランジスタのゲートと電気的に接続する構成とする。
【0036】
本発明の一態様の表示装置の画素を、上記のような構成とすることにより、画素の占有
面積を縮小することが容易となる。その結果、表示装置の精細度を高めることができる。
以下では上記画素構成にすることで、画素の占有面積を縮小できる理由のひとつについて
説明する。
【0037】
表示装置の精細度を高める場合、1つの画素の占有面積を縮小する必要がある。例えば
画素の占有面積を縮小する方法の一つとして、最小加工寸法や、異なるレイヤー間の位置
合わせ精度などによって規定されるデザインルールを縮小する方法が挙げられる。しかし
ながら、デザインルールの大幅な縮小は製造装置の性能の向上に依存する点が多く、極め
て困難性が高い。例えば露光機などの製造装置の技術開発のコストは極めて膨大である。
また、たとえ新規な製造装置が開発されたとしても、既存の装置と置き換えるための膨大
な設備投資等が必要になってしまう。
【0038】
ここで比較として画素が3つの副画素を有し、1本のゲート線に当該3つの副画素の各
々の選択トランジスタが接続された場合を考える。また1つの画素は平面視において正方
形かそれに近い形とすることが好ましい。このとき、ゲート線の延伸方向には、各副画素
の画素回路が、1画素につき3つ並んで設けられることとなる。例えば正方形形状の画素
としたとき、画素回路は、ゲート線の延伸方向の長さと、これに直交する方向の長さの比
が略1:3である長方形の中に少なくとも納まる必要がある。また、平面視において、画
素の形状を正方形とした場合、画素の占有面積を縮小するためには、ゲート線の延伸方向
の長さと、当該方向とは直交する方向の長さの一方のみを縮小するのではなく、その両方
を同程度に縮小する必要がある。
【0039】
画素回路を作製する際、プロセス上のデザインルールが存在するため、画素回路が有す
る素子、電極、及びコンタクトホールの大きさ、素子間をつなぐ配線の幅、2つの素子の
間隔、並びに素子と配線の間隔などは、ある値より小さくすることができない。したがっ
て画素回路を上記長方形の中に収めつつ、その占有面積を縮小するために素子や配線等の
配置方法をいくら工夫したとしても、上記長方形の短辺方向の長さ、すなわちゲート線の
延伸方向の長さを、長辺方向の長さと同程度に縮小することは困難である。さらに、1つ
の画素回路につき、ゲート線と直交する1以上の配線を設ける必要がある。したがって画
素のゲート線の延伸方向にはこれと直交する方向に比べて配線等の構成が密集して設けら
れることとなり、画素回路のゲート線の延伸方向の長さを縮小することはより困難といえ
る。
【0040】
本発明の一態様の画素は、ゲート線の延伸方向に配置する画素回路の数を減らすことが
できるため、上述の構成に比べてゲート線の延伸方向の画素の長さをより小さくすること
が容易となる。さらに、ゲート線と直交する配線を、1つの画素内の画素回路のうち、異
なるゲート線に接続する2つの画素回路で共有することが可能となるため、1つの画素に
対応する、ゲート線と直交する配線の数を減らすことができ、画素のゲート線の延伸方向
の長さをより小さくすることが容易となる。
【0041】
また、本発明の一態様は、一対の画素を組み合わせた画素ユニットを有する構成とする
ことが好ましい。より具体的には、第1のゲート線に2つの画素回路が接続され、第2の
ゲート線に1つの画素回路が接続される第1の画素と、第1のゲート線に1つの画素回路
が接続され、第2のゲート線に2つの画素回路が接続される第2の画素と、からなる画素
ユニットを有する構成とすることができる。画素ユニットが有する6つの画素回路は、例
えばゲート線の延伸方向の長さとゲート線と直交する方向の長さの比が概略2:1である
長方形内に収まるように設けることが好ましい。このような構成とすることで、画素回路
をより効率的に密集して配置することができるため、画素の占有面積をより縮小すること
が容易となる。また、上記で示した比較の構成に比べて、一対の画素と接続するゲート線
と直交する配線の数を、少なくとも2つ以上削減することが可能となる。
【0042】
本発明の一態様の表示装置は、画素の占有面積を極めて小さくすることができる。した
がって極めて高精細な画素部を有する表示装置を実現できる。例えば、画素部の精細度は
、例えば400ppi以上3000ppi以下、または500ppi以上3000ppi
以下、好ましくは600ppi以上3000ppi以下、より好ましくは800ppi以
上3000ppi以下、さらに好ましくは1000ppi以上3000ppi以下とする
ことが可能となる。例えば1058ppiの精細度を有する表示装置を実現できる。
【0043】
このような高精細な表示装置は、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット端末な
どの携帯型情報端末機器、スマートウォッチ等のウェアラブル機器などの比較的小型の電
子機器に好適に用いることができる。また、カメラ等のファインダー、HMD(Head
Mounted Display)等にも好適に用いることができる。また、医療用途
などに用いられるディスプレイ機器などにも好適に用いることができる。
【0044】
本発明の一態様は、より具体的には、例えば以下のような構成とすることができる。
【0045】
[構成例]
以下では、本発明の一態様の表示装置の構成例について説明する。
【0046】
〔表示装置の構成例〕
図1(A)に、以下で例示する表示装置10の上面概略図を示す。表示装置10は、画
素部11、回路12、回路13、端子部15a、端子部15b、配線16a、配線16b
、及び配線16cを有する。また、
図1(A)では、表示装置10にIC17が実装され
ている例を示している。
【0047】
画素部11は、複数の画素を有し、画像を表示する機能を有する。
【0048】
回路12及びIC17は、画素部11内の各画素に、画素を駆動するための信号を出力
する機能を有する。例えば回路12は、ゲート駆動回路として機能する回路である。また
例えばIC17はソース駆動回路として機能する回路である。
図1(A)では、画素部1
1を挟んで2つの回路12が設けられ、また6つのIC17が実装されている例を示して
いる。なお、ゲート駆動回路として機能するICを実装し、回路12を設けない構成とし
てもよい。また、ソース駆動回路を設け、IC17を実装しない構成としてもよい。
【0049】
なお、ICやFPC(Flexible Printed Circuit)が実装さ
れた形態を、表示モジュールと呼ぶこともできる。また、FPCやICが実装されていな
い形態を、表示パネルと呼ぶこともできる。
【0050】
回路13は、IC17から入力される信号の1つを、2以上の配線に分配する機能を有
する回路(例えばデマルチプレクサ回路)である。回路13を設けることにより、IC1
7が出力する信号の数を低減することができ、IC17の端子数を削減できる。または部
品点数を削減できる。特に、4Kや8Kなどの極めて高解像度の表示装置を実現する場合
には、回路13を設けることは特に有効である。回路13は、不要であれば設けなくても
よい。
【0051】
端子部15a及び端子部15bには複数の端子が設けられ、FPCや他のICなどを接
続することができる。端子部15aの各端子は、複数の配線16aの一つを介して回路1
2と電気的に接続される。端子部15bの各端子は、複数の配線16bの一つを介してI
C17と電気的に接続される。またIC17が有する複数の出力端子は、それぞれ複数の
配線16cの一つを介して回路13と電気的に接続される。
【0052】
図1(B)は、画素部11における画素電極の配列方法の例を示す上面概略図である。
画素部11は、複数の画素ユニット20を有する。
図1(B)には、4つの画素ユニット
20を示している。画素ユニット20は、画素21aと画素21bを含んで構成されてい
る。画素21aは、画素電極31a、画素電極32a、及び画素電極33aを有する。画
素21bは、画素電極31b、画素電極32b、及び画素電極33bを有する。各画素電
極は、後述する表示素子の電極として機能する。また1つの副画素の表示領域22は、そ
の副画素が有する画素電極の内側に位置する。
【0053】
画素ユニット20が有する6つの画素電極は、縦2つ、横3つのマトリクス状に配置さ
れている。ここで、画素電極31a、画素電極32a、及び画素電極33aは、それぞれ
異なる色を呈する表示素子の電極とすることができる。また画素電極31bは画素電極3
1aと、画素電極32bは画素電極32aと、画素電極33bは画素電極33aと、それ
ぞれ同じ色を呈する表示素子の電極とすることができる。なお、ここでは3種類の画素電
極の大きさを同じとして明示しているが、それぞれ異なる大きさとしてもよい。または各
画素電極上の表示領域22の大きさを異ならせてもよい。
【0054】
なお、ここでは説明を容易にするため画素電極31aは赤色(R)を呈する表示素子の
電極としRの符号を付している。同様に画素電極32aは緑色(G)を呈する表示素子の
電極としGの符号を付し、画素電極33aは青色(B)を呈する表示素子の電極としBの
符号を付している。なお
図1(B)等に示す画素配列は一例であり、これに限られない。
また、R、G、Bは、これらを互いに入れ替えることができる。また、
図1(B)等に示
す画素配列を左右反転または上下反転した画素配列を用いてもよい。
【0055】
例えば従来の表示装置では、R、G、Bの3色の表示素子を配列する方法として、1つ
の正方形の中に、長方形形状の3つの表示素子を配列する方法がある。またこのとき、隣
接する画素間で、同じ色の表示素子を一方向に並べて配列する、いわゆるストライプ配列
とする方法がある。このような配列方法では、隣接する2つの異なる色を呈する表示素子
は、これらの長辺が隣り合うように配列することとなる。特に極めて高精細な表示装置の
場合、隣接する副画素間の距離が短くなるため、ある副画素の表示素子から発せられる光
が、隣の副画素のカラーフィルタを透過してしまい、斜め方向からみたときに混色が生じ
てしまう恐れがある(視野角特性が悪い、ともいう)。混色が生じると、画素部11に表
示される画像の色再現性が低下してしまう。さらに、高精細にすればするほど、表示素子
の短辺方向の長さが短くなるため、カラーフィルタが形成された基板と、画素電極が形成
された基板を貼り合せる際のわずかな位置ずれが、開口率の著しい低下、及び色再現性の
低下に及ぼす影響が極めて大きくなる。そのため、位置ずれの許容範囲が極めて小さくな
り、表示パネルを作製する際の歩留りが著しく低下してしまう恐れがある。
【0056】
これに対して、本発明の一態様の表示装置は、
図1(B)に示すように画素電極を配置
することにより、1つの副画素が占有する領域の形状を、上述したストライプ形状と比べ
て正方形に近い形状、すなわち、長辺の長さが短辺の長さに対して3未満となるような形
状とすることができる。これにより、同じ精細度であっても、異なる色の副画素が接する
辺の長さを短くすることが可能となる。またこのような形状とすることにより、同じ開口
率であっても、隣接する表示素子間の距離を十分に大きくとることができる。これにより
、視野角特性が向上するだけでなく、上述した基板の位置ずれの許容範囲が大きくなり、
歩留りが向上する。
【0057】
ここで、
図1(B)に示すような画素電極の配列方法を用いた場合と、上述したストラ
イプの配列方法を用いた場合とで、基板の位置ずれが生じた場合にどの程度の影響がある
か見積もった結果を説明する。まず、画素の精細度を1058ppi(画素ピッチ24μ
m)としたとき、ストライプ配列では、一つの副画素が占有する領域の短辺の長さ(すな
わち横方向のピッチ)は8μmであり、長辺の長さ(すなわち縦方向のピッチ)は24μ
mである。一方、
図1(B)で示す配列では画素ユニット20の横方向のピッチは48μ
m、縦方向のピッチは24μmとなり、一つの副画素が占有する領域の短辺の長さ(すな
わち縦方向のピッチ)は12μmであり、長辺の長さ(すなわち横方向のピッチ)は16
μmとなる。これら2つについて、表示素子が形成される基板と、カラーフィルタが形成
される基板とが2μmずれたときに、一つの表示素子が発する光がロス無く射出される最
大角度(正面方向を角度0度とする。)を見積もった。その結果、ストライプ配列の場合
には約5.4度であるのに対し、
図1(B)に示す配列方法では、33.9度であった。
【0058】
このように、極めて高精細な表示装置の場合には、
図1(B)に示すような配列方法を
取ることで、高い視野角特性を実現するだけでなく、作製歩留りを向上させることができ
る。
【0059】
図1(C)は、画素部11における画素回路の配列方法の例を示す回路図である。
図1
(C)には4つの画素ユニット20を示している。画素21aは、画素回路41a、画素
回路42a、及び画素回路43aを有する。画素21bは、画素回路41b、画素回路4
2b、及び画素回路43bを有する。また、画素部11には、配線51a、配線51b、
配線52a、配線52b、配線52c、配線53a、配線53b、配線53c等が配置さ
れている。
【0060】
配線51a及び配線51bは、それぞれ
図1(A)に示す回路12と電気的に接続され
、ゲート線(走査線ともいう)としての機能を有する。配線52a、配線52b、及び配
線52cは、それぞれ
図1(A)に示す回路13と電気的に接続され、信号線(データ線
、またはソース線ともいう)としての機能を有する。また配線53a、配線53b、及び
配線53cは、表示素子に電位を供給する機能を有する。
【0061】
画素回路41aは、配線51a、配線52a、及び配線53aと電気的に接続されてい
る。画素回路42aは、配線51b、配線52a、及び配線53aと電気的に接続されて
いる。画素回路43aは、配線51a、配線52b、及び配線53bと電気的に接続され
ている。画素回路41bは、配線51b、配線52b、及び配線53bと電気的に接続さ
れている。画素回路42bは、配線51a、配線52c、及び配線53cと電気的に接続
されている。画素回路43bは、配線51b、配線52c、及び配線53cと電気的に接
続されている。
【0062】
画素回路41aは、画素電極31aと電気的に接続されている。同様に、画素回路42
aは画素電極32aと、画素回路43aは画素電極33aと、画素回路41bは画素電極
31bと、画素回路42bは画素電極32bと、画素回路43bは画素電極33bと、そ
れぞれ電気的に接続されている。
図1(C)では、
図1(B)に示す各画素電極と、画素
回路との対応を分かりやすくするため、各画素回路にR、G、Bの符号を付している。な
お、ここでは説明を容易にするため、画素回路と画素電極とを分けて説明しているが、画
素電極は画素回路の一部であってもよいし、または画素回路が表示素子を含んでいてもよ
い。
【0063】
図1(C)に示すように、1つの画素に2本のゲート線が接続される構成とすることで
、反対に信号線(ソース線)の本数を、ストライプ配置と比べて半分にすることができる
。これにより、ソース駆動回路として用いるIC17の数を半分に減らすことが可能とな
り、部品点数を削減することができる。
【0064】
なお、
図1(C)では、1つの画素ユニット20に信号線として機能する配線(配線5
2a乃至c)が3本電気的に接続された構成を示すが、
図2(A)に示すように4本の配
線が画素ユニット20に電気的に接続する構成としてもよい。
【0065】
図2(A)において、配線52dは画素回路42aと電気的に接続している。また配線
52aは、画素回路41a及び画素回路41bと電気的に接続している。配線52bは、
画素回路43a及び画素回路43bと電気的に接続している。配線52cは、画素回路4
2bと電気的に接続している。なお、隣接する画素ユニットにおいて、配線52cは共有
されているため、画素ユニット20での配線52cは、隣の画素ユニットでは配線52d
に相当する。
【0066】
このように、信号線として機能する1本の配線には、同じ色に対応した画素回路を接続
する構成とすることが好ましい。例えば、画素間の輝度のばらつきを補正するために電位
が調整された信号を当該配線に供給する場合、補正値は色ごとに大きく異なる場合がある
。そのため、1本の信号線に接続される画素回路を、全て同じ色に対応した画素回路とす
ることで、補正を容易にすることができる。
【0067】
ここで、
図2(A)に示す構成では、行方向(配線51a及び配線51bの延伸方向)
に配置される画素回路の数をnとしたときに、信号線として機能する配線(配線52a等
)の数がn+1本となる。また画素部11に設けられる複数の信号線として機能する配線
のうち、両端に位置する2本の配線(1本目とn+1本目)のそれぞれには、同じ色(図
2(A)ではG)に対応した画素回路が接続されることになる。そこで、
図2(A)に示
すように、画素部11の両端に位置するこれら2本の配線(
図2(A)では配線52dと
、最も右側に位置する配線52c)を、例えば画素部11よりも外側に位置する配線54
により電気的に接続する構成とすると、信号線駆動回路として機能する回路の出力信号の
数を増やすことがないため好ましい。
【0068】
また、
図2(B)に示すように、2種類の画素ユニット20を配線52a等の延伸方向
に沿って交互に配置する構成としてもよい。配線52a等の延伸方向に隣接する2つの画
素ユニット20は、それぞれ配線51a等の延伸方向を対称軸として、線対称となるよう
に、副画素が配置されている。このような構成とすることで、配線52a等の延伸方向に
、2つの同じ色の副画素が隣接するため、カラーフィルタと表示素子との位置ずれの許容
範囲を大きくとることができる。
【0069】
〔画素回路の構成例〕
以下では、画素ユニット20が有する画素回路のより具体的な例について説明する。図
3に、画素ユニット20の回路図の例を示す。
図3では、
図2で例示したように、1つの
画素ユニット20につき信号線として機能する配線(配線52a等)が4本接続された場
合の例を示している。
【0070】
画素21aは、副画素71a、副画素72a、及び副画素73aを有する。画素21b
は、副画素71b、副画素72b、及び副画素73bを有する。各々の副画素は、画素回
路と表示素子60を有する。例えば副画素71aは、画素回路41aと表示素子60を有
する。ここでは、表示素子60として、有機EL素子等の発光素子を用いた場合を示す。
【0071】
また各々の画素回路は、トランジスタ61と、トランジスタ62と、容量素子63と、
を有している。例えば画素回路41aにおいて、トランジスタ61は、ゲートが配線51
aと電気的に接続し、ソース又はドレインの一方が配線52aと電気的に接続し、ソース
又はドレインの他方がトランジスタ62のゲート、及び容量素子63の一方の電極と電気
的に接続している。トランジスタ62は、ソース又はドレインの一方が表示素子60の一
方の電極と電気的に接続し、ソース又はドレインの他方が容量素子63の他方の電極、及
び配線53aと電気的に接続している。表示素子60の他方の電極は、電位V1が与えら
れる配線と電気的に接続している。なお、他の画素回路については、
図3に示すようにト
ランジスタ61のゲートが接続する配線、トランジスタ61のソース又はドレインの一方
が接続する配線、及び容量素子63の他方の電極が接続する配線が異なる以外は、画素回
路41aと同様の構成を有する。
【0072】
図3において、トランジスタ61は選択トランジスタとしての機能を有する。またトラ
ンジスタ62は、表示素子60と直列接続され、表示素子60に流れる電流を制御する機
能を有する。
図3において、選択トランジスタとして機能するトランジスタ61と、表示
素子60の一方の電極(画素電極)とは、トランジスタ62を介して電気的に接続されて
いる、と言うことができる。また容量素子63は、トランジスタ62のゲートが接続され
るノードの電位を保持する機能を有する。なお、トランジスタ61のオフ状態におけるリ
ーク電流や、トランジスタ62のゲートを介したリーク電流等が極めて小さい場合には、
容量素子63を意図的に設けなくてもよい。
【0073】
ここで、
図3に示すように、トランジスタ62はそれぞれ電気的に接続された第1のゲ
ートと第2のゲートを有する構成とすることが好ましい。このように2つのゲートを有す
る構成とすることで、トランジスタ62の流すことのできる電流を増大させることができ
る。特に高精細の表示装置においては、トランジスタ62のサイズ、特にチャネル幅を大
きくすることなく当該電流を増大させることができるため好ましい。
【0074】
なお、
図4(A)に示すように、トランジスタ62が1つのゲートを有する構成として
もよい。このような構成とすることで、第2のゲートを形成する工程が不要となるため、
上記に比べて工程を簡略化できる。また、
図4(B)に示すように、トランジスタ61が
2つのゲートを有する構成としてもよい。このような構成とすることで、いずれのトラン
ジスタもサイズを小さくすることができる。また、ここでは各トランジスタの第1のゲー
トと第2のゲートがそれぞれ電気的に接続する構成を示しているが、一方のゲートが異な
る配線と電気的に接続する構成としてもよい。その場合、当該配線に与える電位を異なら
せることにより、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。
【0075】
また、表示素子60の一対の電極のうち、トランジスタ62と電気的に接続する電極が
、上記画素電極(例えば画素電極31a等)に相当する。ここで、
図3及び
図4(A)(
B)では、表示素子60のトランジスタ62と電気的に接続する電極を陰極、反対側の電
極を陽極とした構成を示している。このような構成は、トランジスタ62がnチャネル型
のトランジスタの場合に特に有効である。すなわち、トランジスタ62がオン状態のとき
、配線53aにより与えられる電位がソース電位となるため、表示素子60の抵抗のばら
つきや変動によらず、トランジスタ62に流れる電流を一定とすることができる。
【0076】
なお、
図5(A)に示すように、表示素子60のトランジスタ62側の電極を陽極とし
、反対側の電極を陰極とした構成としてもよい。このような構成とすることにより、表示
素子60の他方の電極に与える電位V1に配線53a等に与えられる電位よりも低い固定
電位を用いることができる。また当該電位V1に共通電位や接地電位など、他の回路に用
いる電位と共通の電位を用いると、回路構成を簡略化できるため好ましい。
【0077】
また、上記では
図2に示したように1つの画素ユニットに信号線として機能する配線が
4本接続された構成を示したが、
図1(C)に示すように当該配線を3本接続した構成と
することもできる。その場合の画素ユニット20の構成の一例を
図5(B)に示す。
【0078】
また、画素回路が有するトランジスタとして、pチャネル型のトランジスタを用いても
よい。例えば、
図6(A)(B)には、それぞれ、
図5(A)(B)に示した構成におけ
るトランジスタ62を、pチャネル型のトランジスタとした場合の例を示している。
【0079】
〔モニタ回路〕
極めて高精細な表示装置の場合、1つの副画素が占有できる面積は極めて小さくなるた
め、画素回路の構成は簡略なものとすることが好ましい。したがって、各副画素の表示素
子の輝度の情報を外部に出力するモニタ回路を、表示装置に設けることが好ましい。これ
により、外部の装置を用いて、表示素子の輝度のばらつきに応じて信号線に入力する信号
の振幅を調整することで、表示ムラを補正することが可能となる。以降では、上述した画
素回路における配線53に流れる電流を外部に出力するためのモニタ回路の構成例につい
て説明する。
【0080】
回路14は、画素が有する表示素子に流れる電流を選択的に出力する機能を有する回路
(モニタ回路ともいう)である。また、回路14は、画素が有する表示素子に所定の電位
を供給する機能を有していてもよい。画素毎に回路14を介して出力された電流に応じて
、画素に供給する信号の電位を調整することにより、画素部11内の各画素の輝度のばら
つきを補正することができる。特に、高精細な画素部11とする場合には、画素の占有面
積を縮小するために1つの画素が有する画素回路を簡略化し、表示装置10の外部に設け
られる装置または回路で補正を行う(外部補正ともいう)方式を取ることが好ましい。な
お、画素回路が上記補正の機能を有し、画素回路内部で補正を行う(内部補正ともいう)
方式とする場合には、回路14を設けなくてもよい。また回路14が当該補正の機能を有
していてもよい。
【0081】
図7(A)に、回路14の構成の一例の回路図を示す。回路14は、m個(mは1以上
の整数)の回路80(回路80_1乃至80_m)を有する。また回路14には配線83
、配線84、複数の配線群53Sが電気的に接続されている。ここで、配線群53Sは、
配線53a、配線53b、及び配線53cをそれぞれ1本以上含む。また、回路14はm
個の出力端子86(出力端子86_1乃至86_m)が電気的に接続されている。各々の
出力端子86は、回路14内の一つの回路80と電気的に接続する。
【0082】
図7(B)に、回路80の構成例を示す。回路80は、複数のトランジスタ81と、複
数のトランジスタ82を有する。トランジスタ81は、ゲートが配線83と電気的に接続
し、ソース又はドレインの一方が配線群53Sのうちの1本の配線(配線53a、配線5
3b、または配線53c)と電気的に接続し、ソース又はドレインの他方が配線84と電
気的に接続している。トランジスタ82は、ゲートが端子85と電気的に接続し、ソース
又はドレインの一方がトランジスタ81のソース又はドレインの一方と電気的に接続し、
ソース又はドレインの他方が出力端子86と電気的に接続している。
【0083】
配線84には固定電位を与えることができる。例えば、上記電位V1よりも高い電位、
または電位V1よりも低い電位を与えることができる。配線83には、トランジスタ81
のオン/オフを制御するための信号を与えることができる。画素部11に画像を表示する
期間(表示期間ともいう)には、トランジスタ81をオン状態とすることで、配線84に
与えられた電位がトランジスタ81を介して配線群53Sのそれぞれに供給される。
【0084】
端子85には、トランジスタ82のオン状態及びオフ状態を制御するための信号を与え
ることができる。ここで、画素部11に画像を表示しない期間に、後述する動作を行うこ
とで各副画素に流れる電流を外部に出力する期間(モニタ期間ともいう)を設けることが
できる。具体的には、複数のトランジスタ81をオフ状態とし、複数のトランジスタ82
のうちの1つをオン状態とすることで、配線群53Sのうちの1つの配線と出力端子86
とがトランジスタ82を介して導通する。したがって複数のトランジスタ82を順番に選
択することで、配線群53Sのそれぞれの配線に流れる電流を、出力端子86に時分割で
出力することができる。
【0085】
図7(B)では、1本の配線(配線53a等)に対してトランジスタ82が接続される
構成としたが、
図7(C)に示すように、配線群53Sのうち隣接する複数の配線をまと
め、ひとつのトランジスタ82と接続する構成とすることが好ましい。こうすることで、
出力端子86に出力される電流は、複数の画素から出力される電流の足し合わせとなるた
め、感度を向上させることができる。特に、高精細の表示装置においては1つの副画素に
設けられる表示素子60の大きさが小さく、表示素子60が流す電流の値も小さいため、
このような構成とすることで補正を容易に行うことができる。また、このように複数の配
線をまとめることで、出力端子86の数を減らすことができるため、回路構成を簡略化で
きる。
【0086】
ここで、モニタ回路として機能する回路14を設ける場合に用いることのできる、上記
とは異なる画素の構成例について説明する。
【0087】
図8(A)に示す副画素は、トランジスタ61、トランジスタ62、容量素子63に加
え、トランジスタ64を備える。また副画素には、配線51、配線52、配線53、及び
配線55が電気的に接続している。配線51は、ゲート線として機能する配線であり、配
線52は信号線として機能する配線であり、配線53は回路14に電気的に接続する配線
である。また配線55には、所定の電位または信号を供給することができる。
【0088】
図8(A)において、トランジスタ61は、ゲートが配線51と電気的に接続され、ソ
ース又はドレインの一方が配線52と電気的に接続され、ソース又はドレインの他方が容
量素子63の一方の電極、及びトランジスタ62のゲートと電気的に接続されている。ト
ランジスタ62は、ソース又はドレインの一方が電位V2を供給する機能を有する配線と
電気的に接続され、ソース又はドレインの他方が表示素子60の一方の電極、及びトラン
ジスタ64のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。容量素子63は、他
方の電極が配線55と電気的に接続されている。トランジスタ64は、ゲートが配線51
と電気的に接続され、ソース又はドレインの他方が配線53と電気的に接続されている。
表示素子60は、他方の電極が電位V1を供給する機能を有する配線と電気的に接続され
ている。
【0089】
図8(A)に示す構成において、電位V1は、電位V2よりも低い電位とすることがで
きる。なお、表示素子60の陽極と陰極を入れ替えた場合には、これら電位を入れ替えれ
ばよい。
【0090】
図8(A)に示す構成では、トランジスタ62のゲートに所定の電位を与えたときに、
トランジスタ62に流れる電流を、トランジスタ64を介して配線53に出力することが
できる。例えばモニタ期間において、配線51の電位をトランジスタ61及びトランジス
タ64をオン状態とする電位とし、配線52の電位をトランジスタ62のゲートに供給す
る電位とすればよい。
【0091】
図8(A)では、トランジスタ61とトランジスタ64のそれぞれのゲートが一つの配
線51と電気的に接続する構成としたが、これらを別の配線と電気的に接続する構成とし
てもよい。
図8(B)では、トランジスタ64のゲートに電気的に接続する配線57を設
ける構成を示している。このような構成とすることで、例えば表示期間中にはトランジス
タ64を常にオフ状態とすることができ、当該期間中に配線53に意図しない電流が流れ
ないため好ましい。
【0092】
図8(C)に示す構成は、主に配線55を有さない点で上記と相違している。
図8(C
)において、容量素子63の他方の電極が、トランジスタ62のソース又はドレインの他
方、表示素子60の一方の電極、及びトランジスタ64のソース又はドレインの一方と電
気的に接続している。このような構成とすることで、配線の数を減らすことができ、より
高精細な表示装置を実現できる。
【0093】
また、
図8(D)には、
図8(B)と同様に、トランジスタ61とトランジスタ64の
それぞれのゲートが異なる配線と電気的に接続する構成を示している。
【0094】
なお、
図8(A)~(D)では、それぞれのトランジスタが1つのゲートを有する構成
を示したが、上記と同様に各トランジスタの少なくとも一つ、または全部が、電気的に接
続する2つのゲートを有する構成としてもよい。また2つのゲートのうちの一方を所定の
電位を供給する配線と電気的に接続させ、トランジスタのしきい値電圧を制御できる構成
としてもよい。
【0095】
なお、上記では、電流が流れることにより表示する素子を表示素子60に用いた場合の
例を示したが、これに限られない。例えば液晶素子など、電圧が印加されることにより表
示する素子を適用することもできる。
【0096】
図8(E)は、表示素子60に液晶素子を適用した場合の例である。
図8(E)に示す
構成は、トランジスタ61、表示素子60、及び容量素子63を有する。トランジスタ6
1は、ソース又はドレインの他方が表示素子60の一方の電極、及び容量素子63の一方
の電極と電気的に接続している。表示素子60の他方の電極、及び容量素子63の他方の
電極は、電位V1を供給する配線と電気的に接続している。
【0097】
〔画素電極の配置方法例〕
続いて、画素電極の配置方法の一例について説明する。
【0098】
図9(A)は、画素部11における各画素電極と、各配線の配置方法の例を示す上面概
略図である。配線51aと配線51bとは交互に配列している。また配線51a及び配線
51bと交差する配線52a、配線52b、及び配線52cが、この順で配列している。
また、各画素電極は、配線51a及び配線51bの延伸方向に沿ってマトリクス状に配列
している。
【0099】
図9(A)に示すように、画素ユニット20の配線52a等の延伸方向(第1の方向と
もいう)に配列する周期を周期Pとしたとき、配線51a等の延伸方向(第2の方向とも
いう)に配列する周期は、その2倍(周期2P)であることが好ましい。これにより、歪
みのない表示を行うことができる。ここで、周期Pは、12μm以上150μm以下、好
ましくは12μm以上120μm以下、より好ましくは12μm以上100μm以下、さ
らに好ましくは、12μm以上60μm以下とすることができる。これにより、極めて高
精細な表示装置を実現できる。
【0100】
例えば画素電極31aに着目したとき、画素電極31aは、配線51a、配線51b、
配線52c、及び配線52aに囲まれた領域の内側に配置されている。さらに画素電極3
1aは、これら4つの配線と重ならないように位置していることが好ましい。こうするこ
とで、各配線の寄生容量を低減することができるため、高解像度にすることや、駆動周波
数を高くすることができる。
【0101】
特に、画素電極31a等は信号線として機能する配線52a、配線52b、及び配線5
2c等と重ならないように設けられていることが好ましい。これにより、配線52a等と
画素電極31a等との間の寄生容量を介して電気的ノイズが伝わり、画素電極31a等の
電位が変動することで、表示素子の輝度が変化してしまうことを抑制できる。
【0102】
また、画素電極31a等は走査線として機能する配線51aまたは配線52b等と重な
って設けられていてもよい。これにより、画素電極31aの面積を大きくすることができ
るため、開口率を高めることができる。
図9(B)では、画素電極31a等の一部が配線
51a(または配線52b)と重なるように配置されている例を示している。
【0103】
ある副画素の画素電極と、走査線として機能する配線とを重ねて配置する場合、画素電
極が重畳する走査線として機能する配線は、その副画素の画素回路と接続する配線である
ことが好ましい。例えば、配線51a等を選択する信号が入力される期間は、当該副画素
のデータを書き換える期間に相当するため、配線51a等から、これと重畳する画素電極
にこれらの間の寄生容量を介して電気的ノイズが伝わったとしても、副画素の輝度が変化
することがない。
【0104】
〔画素レイアウトの例〕
以下では、画素ユニット20のレイアウトの一例について説明する。
【0105】
図10(A)には、1つの副画素のレイアウトの例を示している。ここでは見やすくす
るため、画素電極を形成する前の例を示している。
図10(A)に示す副画素は、トラン
ジスタ61、トランジスタ62、及び容量素子63を有する。トランジスタ62は、半導
体層を挟む2つのゲートを有するトランジスタである。
【0106】
図10(A)等では、同一の導電膜を加工して形成されたパターンに、同じハッチング
パターンを付して示している。最も下側に位置する導電膜により、配線51とトランジス
タ62の一方のゲートなどが形成されている。これよりも後に形成される導電膜により、
トランジスタ61のゲート及びトランジスタ62のもう一方のゲートなどが形成されてい
る。これよりも後に形成される導電膜により、配線52、各トランジスタのソース電極及
びドレイン電極、並びに容量素子63の一方の電極などが形成されている。これよりも後
に形成される導電膜により、配線53等が形成されている。配線53の一部は、容量素子
63のもう一方の電極として機能する。
【0107】
図10(B)には、
図10(A)で例示した副画素を用いた画素ユニット20のレイア
ウトの一例を示している。
図10(B)には、各画素電極と、表示領域22も明示してい
る。
【0108】
ここでは、配線51aと電気的に接続する3つの副画素と、配線51bと電気的に接続
する3つの副画素は、それぞれ左右対称となっている例を示している。これにより、配線
52a等の延伸方向に向かって同じ色の副画素をジグザグに配列し、且つ、これら副画素
が信号線として機能する一つの配線に接続する構成としたとき、副画素内の配線の長さな
どを揃えることができるため、副画素間の輝度のばらつきを抑制することができる。
【0109】
このような画素レイアウトを用いることにより、例えば最小加工寸法が0.5μm以上
6μm以下、代表的には1.5μm以上4μm以下である量産ラインであっても、極めて
高精細な表示装置を作製することが可能となる。
【0110】
以上が画素レイアウトの例についての説明である。
【0111】
本実施の形態で例示した表示装置により、極めて高精細な表示装置を実現することがで
きる。また、表示品位が高められた表示装置を提供できる。また、視野角特性が向上した
表示装置を提供できる。また、開口率が高められた表示装置を提供できる。
【0112】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0113】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1とは一部の構成の異なる表示装置の例について説
明する。なお以下では、実施の形態1と重複する部分は説明を省略する場合がある。
【0114】
以下で例示する表示装置は主に、画素電極の配列方法が異なる点で、上記実施の形態1
と相違している。具体的には、1つの画素が有する3つの副画素のそれぞれの表示素子は
、一方向に並べて配置される構成とする。すなわち、画素ユニットが有する6つの副画素
が備える6つの画素電極は、一方向に並べて配置される構成とする。
【0115】
[構成例]
〔表示装置の構成例〕
図11(A)に、以下で説明する表示装置10の上面概略図を示す。表示装置10は、
画素部11、回路12、回路13、回路14、端子部15a、端子部15b、複数の配線
16a、複数の配線16b、及び複数の配線16c等を有する。
【0116】
図11(B)は、画素部11における画素電極の配列方法の例を示す上面概略図である
。
図11(B)に示すように、画素ユニット20が有する6つの画素電極は、等間隔に並
べて配置されている。ここで、画素電極31a、画素電極32a、及び画素電極33aは
それぞれ異なる色を呈する表示素子の電極とすることができる。また画素電極31bは画
素電極31aと、画素電極32bは画素電極32aと、画素電極33bは画素電極33a
と、それぞれ同じ色を呈する表示素子の電極とすることができる。なお、ここでは3種類
の画素電極の大きさを同じとして明示しているが、それぞれ異なる大きさとしてもよい。
または各画素電極上の表示領域22の大きさを異ならせてもよい。
【0117】
図11(C)は、画素部11における画素回路の配列方法の例を示す回路図である。図
11(C)は、
図1(C)と同様の構成を有している。
【0118】
画素回路41aは、画素電極31aと電気的に接続されている。画素回路42aは、画
素電極32aと電気的に接続されている。画素回路43aは、画素電極33aと電気的に
接続されている。画素回路41bは、画素電極31bと電気的に接続されている。画素回
路42bは、画素電極32bと電気的に接続されている。画素回路43bは、画素電極3
3bと電気的に接続されている。
図11(C)では、
図11(B)に示す各画素電極と、
画素回路との対応を分かりやすくするため、各画素回路にR、G、Bの符号を付している
。
【0119】
このような構成とすることにより、同じ色の表示素子を一列に配列させることができる
。これにより、同じ色の表示素子が配列する方向に平行な方向において、視野角特性を高
めることが可能となる。また、このような配列方法を用いることで、カラーフィルタを形
成した基板を貼り合せて表示装置を作製する方法を用いる場合、同じ色の表示素子が配列
する方向に位置ずれが生じたとしても、色再現性の低下が生じない。
【0120】
なお、画素回路の構成については、
図11(C)の例に限られず、実施の形態1で例示
した構成(例えば
図2乃至
図6、
図8等で示した構成)を適宜用いることができる。
【0121】
〔画素電極の配列方法例〕
続いて、画素電極と各種配線との相対的な位置関係について説明する。
【0122】
図12(A)は、画素部11における画素電極と、配線の配置方法の例を示す上面概略
図である。配線51aと配線51bとは交互に配列している。また配線51a及び配線5
1bと交差する配線52a、配線52b、及び配線52cが、この順で配列している。ま
た、各画素電極は、配線51a及び配線51bの延伸方向に沿って配列している。
【0123】
画素ユニット20において、画素電極31aと画素電極32aは、配線52cと配線5
2aの間に配置されている。また画素電極33aと画素電極31bは、配線52aと配線
52bの間に配置されている。また画素電極32bと画素電極33bは、配線52bと配
線52cの間に配置されている。なお、
図12(A)では各画素電極と、これと隣接する
配線とが重畳しないように示しているが、画素電極の一部が配線と重畳していてもよい。
【0124】
また、画素ユニット20において、各画素電極は配線51aと配線51bの両方と重畳
するように設けられている。このように、2つのゲート線として機能する配線と重ねて画
素電極を設けることで、画素電極の面積を大きくでき、画素部の開口率を高めることがで
きる。
【0125】
また、
図12(B)に示すように、2本の信号線として機能する配線の間(例えば配線
52aと配線52bの間)に位置する2つの画素電極を、当該配線の延伸方向に相対的に
ずらして配置することが好ましい。言い換えると、1つの画素ユニット20が有する6つ
の画素電極が、ゲート線として機能する配線の延伸方向に沿って、ジグザグに配置してい
ることが好ましい。
【0126】
図13(A)を用いて、1つの画素ユニット20が有する6つの画素電極の位置関係を
説明する。
図13(A)において、各画素電極の平面視における重心に印を付している。
ここで、平面視における電極の重心とは、電極を平面視で見たときの輪郭が成す図形(2
次元図形)の、幾何学的な重心のことをいう。
【0127】
図13(A)に示すように、ゲート線として機能する配線の延伸方向に隣接する3つの
画素電極のうち、両端に位置する2つの画素電極のそれぞれの重心を結ぶ線と、間に位置
する画素電極の重心が一致しないような配列とすることが好ましい。例えば、画素電極3
1aの重心と画素電極33aの重心を結ぶ直線30aと、これらの間に位置する画素電極
32aの重心とが重ならないような配列とする。
【0128】
また、1つの画素ユニット20が有する6つの画素電極のうち、3つの画素電極の各々
の重心が第1の直線上に位置し、他の3つの画素電極の重心が第2の直線上に位置し、第
1の直線と第2の直線とは、平行で且つ一致しないことが好ましい。例えば、画素電極3
1a、画素電極33a、及び画素電極32bのそれぞれの重心を通る直線30aと、画素
電極32a、画素電極31b、及び画素電極33bのそれぞれの重心を通る直線30bと
が、互いに平行で且つ一致しないような配列とする。
【0129】
なお、実際は画素電極の形状にばらつきが生じる場合や、画素電極の形状を画素が呈す
る色に応じて異ならせる場合などでは、3以上の画素電極の重心を結ぶ線が直線とはなら
ない場合がある。このような場合は直線ではなく、ゲート線として機能する配線の延伸方
向に長い帯状の長方形の範囲内に、3以上の画素電極の重心が位置していれば、これら画
素電極の重心が直線上に位置するとみなすことができる。
図13(B)には、各画素電極
の重心位置が帯状の長方形30cまたは長方形30dの範囲内に位置している場合を示し
ている。このとき、帯状の長方形の短辺方向の幅Wとしては、例えば画素ピッチの1/1
0以下、好ましくは画素ピッチの1/20以下とすることができる。
【0130】
ここで、
図12(B)に示すように、1つの画素電極は、ゲート線として機能する配線
の2以上と重ならないように配置することが好ましい。ゲート線として機能する配線の電
位が変化したとき、これと重畳する画素電極の電位が変化し、表示素子にかかる電圧が変
化してしまう場合がある。また、1つの画素電極を、ゲート線として機能する配線のいず
れにも重ならないように配置すると、画素の開口率が低下してしまう場合がある。したが
って、1つの画素電極に1つのゲート線として機能する配線が重なる構成とすることで、
画素電極の電位の変化の影響を抑えつつ、高い開口率を維持することができる。
【0131】
特に、本発明の一態様では1つの画素につき2つのゲート線として機能する配線が接続
されるため、
図12(B)に示すように隣接する画素電極の位置をずらし、1つの画素電
極が画素に接続されるゲート線として機能する配線、または隣接する画素に接続されるゲ
ート線として機能する配線のうちの1つに重なるように配置するとよい。また、1つの副
画素が有する画素電極が重なるゲート線として機能する配線は、ゲート線を走査する向き
に対して1つ前の行に対応するゲート線であることが好ましい。このとき、1つ前の行の
ゲート線に与えられる信号により当該画素電極の電位が変化して表示素子にかかる電圧に
変化が生じたとしても、その直後にデータの書き換えが行われるため、表示への影響を軽
減することができる。
【0132】
なお、画素電極が2つのゲート線と重なるように配置する必要がある場合、画素電極と
一方のゲート線とが重なる部分の面積よりも、画素電極と他方のゲート線とが重なる部分
の面積のほうが小さくなるようにすればよい。特に、画素電極の面積に対して、いずれか
のゲート線と重なる部分の面積の比が3%未満の場合には、ゲート線の電位の変化が画素
電極の電位に与える影響がほとんどないため、実質的に重なっていないとみなすこともで
きる場合がある。
【0133】
図14(A)には、
図12とは異なる画素電極の配置方法を示している。画素21aは
、画素電極32aと画素電極33aとが、信号線として機能する配線(配線52a等)の
延伸方向に交互に配列している。またこの2つの画素電極の両方に隣接して、画素電極3
1aが配置されている。
【0134】
図14(B)に示す例では、信号線として機能する配線(配線52a等)の延伸方向に
隣接する2列の画素において、画素電極32aと画素電極33aとが互いに入れ替わって
配置されている。すなわち、隣接する2つの画素において、画素電極32a同士、及び画
素電極33a同士が隣接して設けられている。
【0135】
なお、上記では、理解を容易にするため各画素電極や画素回路に、R、G、B等の符号
を付しているがこれに限定されず、これらを互いに入れ替えることができる。
【0136】
〔画素レイアウトの例〕
以下では、画素ユニット20のレイアウトの一例について説明する。
【0137】
図15(A)(B)に、
図4(A)で例示した画素ユニット20に対応するレイアウト
の一例を示す。
図15(A)には、画素電極31a等よりも下層の構成を示し、
図15(
B)には、
図15(A)の構成に加えて画素電極31a等を設けた場合の構成を示してい
る。なお
図15(B)では、明瞭化のため隣接する画素ユニットの画素電極等を明示して
いない。
【0138】
図15(A)において、第1の導電膜により配線51a、配線51b等が構成されてい
る。また、これよりも上層に位置する第2の導電膜により、配線52a等が構成されてい
る。
【0139】
副画素71aにおいて、トランジスタ61は、配線51a上に設けられた半導体層と、
配線52aの一部等を含んで構成されている。トランジスタ62は、第1の導電膜からな
る導電層と、当該導電層上の半導体層と、配線53a等を含んで構成されている。容量素
子63は、配線53aの一部と、第1の導電膜からなる導電層とを含んで構成されている
。
【0140】
図15(B)において、各画素電極は、配線52a等の延伸方向に隣接する副画素の一
部と重なるように配置されている。例えば、画素電極32aは、副画素71a内のトラン
ジスタ61、容量素子63、及び副画素71aを構成する配線や電極等の一部と重ねて設
けられている。このような構成は、特に上面発光型(トップエミッション型)の発光素子
を用いた場合に有効である。このように画素電極よりも下側に回路を配置することで、画
素の占有面積を縮小したとしても、大きな開口率を実現できる。
【0141】
また、
図15(B)に示すように、各画素電極は配線52a等の信号線として機能する
配線と重ならないように配置することが好ましい。こうすることで、信号線の電位の変化
が画素電極の電位に影響を及ぼすことを抑制することができる。なお、画素電極を信号線
と重ねて配置する必要がある場合には、画素電極の面積に対して、これらが重なる面積の
割合が10%以下、好ましくは5%以下とすればよい。
【0142】
また、画素電極が隣接する副画素内のトランジスタの半導体層と重なる場合、画素電極
の電位が変化することによりトランジスタのしきい値電圧に変化が生じる場合がある。例
えば、
図15(B)では、画素電極32aは副画素71aの選択トランジスタとして機能
するトランジスタ61の半導体層と重ねて設けられている。このとき、画素電極は走査方
向に対して1つ前の行に対応する副画素の選択トランジスタと重なるように設けることが
好ましい。こうすることで、目的の副画素が選択され、画素電極の電位が変化したとして
も、これと重なる隣接する副画素は非選択状態であり、当該隣接する副画素の選択トラン
ジスタはオフ状態が維持される。隣接する副画素のゲート線には、当該副画素の選択トラ
ンジスタを確実にオフ状態とする電位を与えることができるため、しきい値電圧に多少の
変化が生じても問題が生じないように駆動することが可能となる。
【0143】
図16(A)(B)は、画素ユニットの各々の副画素の表示領域22が、一対のゲート
線として機能する配線(配線51a及び配線51b)の間に収まるように配置した例であ
る。このような配置方法を用いると、隣接する2つの表示領域22における、信号線とし
て機能する配線(配線52a等)の延伸方向の位置のずれを小さくすることができる。こ
のとき、配線51aと配線52bは、等間隔に配置されない構成とすることができる。
【0144】
以上が表示装置の構成例についての説明である。
【0145】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0146】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の断面構成例について説明する。
【0147】
[断面構成例1]
〔断面構成例1-1〕
図17は、表示装置10の断面概略図である。
図17は、例えば
図11(A)中の切断
線A1-A2に沿った断面に相当する。また、画素部11の断面は、例えば
図15(B)
中の切断線B1-B2に対応した断面に相当する。
【0148】
表示装置10は、第1の基板101と、第2の基板102とが接着層220によって貼
り合わされた構成を有する。
【0149】
第1の基板101上には、端子部15a、端子部15b、配線16a、配線16b、回
路13を構成するトランジスタ251、回路12を構成するトランジスタ252、画素部
11を構成するトランジスタ61、トランジスタ62、容量素子63、表示素子60a等
が設けられている。また第1の基板101上には、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層
213、絶縁層214、スペーサ215等が設けられている。
【0150】
第2の基板102の第1の基板101側には、絶縁層221、遮光層231、着色層2
32a、着色層232b、構造物230a、構造物230b等が設けられている。
【0151】
絶縁層213上に、表示素子60aが設けられている。表示素子60aは、第1の電極
として機能する画素電極31、EL層222、第2の電極223を有する。また画素電極
31とEL層222との間には、光学調整層224aが設けられている。絶縁層214は
、画素電極31及び光学調整層224aの端部を覆って設けられている。
【0152】
また、
図17には、隣接する副画素が有する表示素子60bが、トランジスタ61等と
重ねて設けられている例を示している。表示素子60bは、光学調整層224bを有する
。ここで、表示素子60aと表示素子60bとから着色層232aまたは着色層232b
を介して異なる色を射出させる場合には、
図17に示すように、光学調整層224aと光
学調整層224bの厚さを異ならせることが好ましい。または、いずれか一方を設けない
構成としてもよい。
【0153】
トランジスタ61は、副画素の選択、非選択を制御するためのスイッチとして機能し、
選択トランジスタとも呼ぶことができるトランジスタである。一方、トランジスタ62は
表示素子60aに流れる電流を制御する機能を有するトランジスタである。また
図17で
は、回路12及び回路13にトランジスタ252、トランジスタ251が設けられている
例を示している。
【0154】
回路12、回路13、及び画素部11が有するトランジスタは、それぞれ同じ構造であ
ってもよい。回路12、回路13、及び画素部11の各々に含まれるトランジスタは、そ
の回路内で全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用
いてもよい。
【0155】
図17では、トランジスタ251、トランジスタ252、トランジスタ61及びトラン
ジスタ62のそれぞれに、チャネルエッチ型のボトムゲート構造のトランジスタを適用し
た場合の例を示している。なお、半導体層271上に接する保護層を配置したチャネル保
護型のボトムゲート構造のトランジスタを適用してもよい。
【0156】
例えばトランジスタ61は、一部がゲートとして機能する導電層275と、半導体層2
71と、一部がソース電極またはドレイン電極として機能する一対の導電層273を有す
る。他のトランジスタも同様の構成を有する。
【0157】
容量素子63は、導電層275の一部と、絶縁層211の一部と、導電層273の一部
により構成されている。導電層275及び導電層273のそれぞれの一部は一対の電極と
して機能し、絶縁層211の一部は誘電体として機能する。
【0158】
図17では、表示素子60a及び表示素子60bがトップエミッション構造の発光素子
である例を示している。表示素子60a及び表示素子60bからの発光は、第2の基板1
02側に射出される。このような構成とすることで、表示素子60aまたは表示素子60
bの下側(第1の基板101側)にトランジスタ、容量素子、回路、配線等を配置するこ
とができるため、画素部11の開口率を高めることができる。
【0159】
第2の基板102の第1の基板101側の面には、表示素子60aと重なる着色層23
2aと、表示素子60bと重なる着色層232bが設けられている。また、着色層232
aと着色層232bが設けられていない部分には、遮光層231が設けられていてもよい
。遮光層231は、
図17に示すように、回路12及び回路13と重なる位置に設けられ
ていてもよい。また着色層232a、着色層232b、及び遮光層231を覆って、透光
性のオーバーコート層が設けられていてもよい。
【0160】
また、第2の基板102の第1の基板101側には、接着層220よりも内側の領域に
構造物230aが設けられ、接着層220よりも外側の領域に構造物230bが設けられ
ている。構造物230a及び構造物230bは、第2の基板102の端部において絶縁層
221や第2の基板102にクラックが生じたときに、これが進行することを抑制する機
能を有する。
図17では、構造物230a及び構造物230bとして、遮光層231と同
一の膜からなる層と、着色層232aと同一の膜からなる層の積層構造とした場合の例を
示している。このように2層以上の積層構造とすることで、よりクラックの進行を抑制す
る効果を高めることができる。なお、ここでは接着層220を挟んで両側に構造物230
a及び構造物230bを配置する構成を示したが、いずれか一方であってもよい。またク
ラックが生じる恐れがない場合(例えば第2の基板102等の剛性が高い場合)には、構
造物230a及び構造物230bを設けない構成としてもよい。
【0161】
スペーサ215は、絶縁層214上に設けられている。スペーサ215は、第1の基板
101と第2の基板102の距離が必要以上に縮まらないように制御する、ギャップスペ
ーサとしての機能を有する。また、スペーサ215は、その側面の一部と、被形成面との
角度が、好ましくは45度以上120度以下、より好ましくは60度以上100度以下、
さらに好ましくは75度以上90度以下である部分を有することが好ましい。こうするこ
とで、スペーサ215の側面においてEL層222の厚さが薄い領域が形成されやすくな
る。そのため、隣接する表示素子間において、EL層222を介して電流が流れることで
発光してしまう現象を抑制することができる。特に、画素部11が高精細である場合には
、隣接する表示素子間の距離が小さくなるため、このような形状のスペーサ215を表示
素子間に設けることは有効である。さらに、EL層222が導電性の高い材料を含む層を
有する場合などには、特に有効である。
【0162】
また、スペーサ215は、EL層222や第2の電極223等を形成する際に遮蔽マス
クを用いる場合、当該遮蔽マスクにより被形成面に傷がつかないようにする機能を有して
いてもよい。
【0163】
スペーサ215は、ゲート線と交差する配線(例えば配線52、配線53等)と重ねて
設けられていることが好ましい。
【0164】
図17では、カラーフィルタ方式を用いた表示装置10の例を示している。例えば着色
層232aまたは着色層232bとして、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のうちい
ずれかが適用された3色の副画素により、1つの色を表現する構成としてもよい。また、
これに加えて白色(W)や黄色(Y)の副画素を適用すると、色再現性が向上し、また消
費電力を低減できるため好ましい。
【0165】
表示素子60aにおいて、着色層232aと光学調整層224aによるマイクロキャビ
ティ構造の組み合わせにより、表示装置10からは色純度の高い光を取り出すことができ
る。光学調整層224aの厚さは、各副画素の色に応じて異なる厚さとすればよい。また
副画素によっては、光学調整層を有さない構成としてもよい。
【0166】
また、表示素子60aが備えるEL層222として、白色を発光するEL層を適用する
ことが好ましい。このような表示素子60aを適用することで、各副画素にEL層222
を塗り分ける必要がないため、コストの削減、歩留りの向上を図れるほか、画素部11の
高精細化が容易となる。また各副画素に厚さの違う光学調整層を設けてもよい。また、各
々の副画素に対して、EL層222を塗り分ける構成としてもよく、その場合には光学調
整層または着色層のいずれか一方、または両方を設けない構成としてもよい。またこのと
き、各副画素においてEL層222の少なくとも発光層のみを塗り分けて形成し、他の層
は塗り分けずに形成してもよい。
【0167】
図17では、端子部15aと電気的に接続するFPC241と、端子部15bに電気的
に接続するFPC242が設けられている例を示している。したがって、
図17に示す表
示装置10は、表示モジュールと呼ぶこともできる。また、FPC等が設けられていない
状態の表示装置を、表示パネルと呼ぶこともできる。
【0168】
端子部15aは、接続層243を介してFPC241と電気的に接続している。端子部
15bも同様に接続層243を介してFPC242と電気的に接続している。
【0169】
図17では、端子部15aは、配線16aと、画素電極31と同一の導電膜からなる導
電層の積層構造を有する構成を示している。また端子部15bも同様に、配線16bと導
電層の積層構造を有する構成を示している。このように、端子部15a及び端子部15b
を複数の導電層を積層した構成とすることで、電気抵抗を低減するだけでなく、機械的強
度を高めることができるため好ましい。
【0170】
ここで、
図17では、FPC241上にCOF(Chip On Film)方式によ
りIC244が実装された例を示している。IC244としては、例えばソース駆動回路
として機能するICを用いることができる。なお、IC244は基板101にCOG(C
hip On Glass)方式等により、直接実装してもよい。
【0171】
絶縁層211及び絶縁層221は、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いる
ことが好ましい。すなわち、絶縁層211及び絶縁層221はバリア膜として機能させる
ことができる。このような構成とすることで、第1の基板101や第2の基板102とし
て透湿性を有する材料を用いたとしても、表示素子60a等やトランジスタ等に対して外
部から不純物が侵入することを効果的に抑制することが可能となり、信頼性の高い表示装
置を実現できる。
【0172】
図17では、第1の基板101と第2の基板102の間に空間250を有する中空封止
構造を有する場合を示している。例えば、空間250は窒素や希ガスなどの不活性な気体
で充填されていてもよい。また、空間250は液晶材料や、オイルなどの流動性の材料が
充填されていてもよい。または、空間250は減圧されていてもよい。なお、封止方法は
これに限られず、樹脂などで充填された固体封止であってもよい。
【0173】
〔変形例〕
図18には、トランジスタの構成が異なる例を示している。
【0174】
トランジスタ62、トランジスタ251、及びトランジスタ252には、一部が第2の
ゲート電極として機能する導電層272が設けられている。すなわち、チャネルが形成さ
れる半導体を2つのゲート電極で挟持した構成を適用した例を示している。
【0175】
2つのゲート電極の一方に、トランジスタのしきい値電圧を制御する電位を与えること
により、トランジスタの電気特性を安定化させることが可能となる。
【0176】
また、2つのゲート電極を電気的に接続するなどして、これらに同じ信号を与える構成
とすることが好ましい。このようなトランジスタは他のトランジスタと比較して電界効果
移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることができる。その結果、高速
動作が可能な回路を作製することができる。さらには、回路部の占有面積を縮小すること
が可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表示装置を大型化、ま
たは高精細化したときに配線数が増大したとしても、各配線における信号遅延を低減する
ことが可能であり、表示ムラを抑制することが可能である。
【0177】
図18では、トランジスタ62、トランジスタ251、トランジスタ252に、2つの
ゲート電極を有するトランジスタを適用し、トランジスタ61には、1つのゲート電極を
有するトランジスタを適用した例を示している。このように、高いオン電流が要求される
トランジスタには、2つのゲート電極を有するトランジスタを適用することで、トランジ
スタのサイズ(特にチャネル幅方向の大きさ)を小さくすることが可能となる。
【0178】
〔断面構成例1-2〕
図19では、画素部11や回路13、及び回路14を折り曲げて使用する場合に適した
表示装置の構成例を示す。
【0179】
図19に示す表示装置10は、第1の基板101と第2の基板102が封止材260に
よって貼り合わされた固体封止構造を有する場合の例を示している。
【0180】
また第1の基板101上に接着層261と、接着層261上に絶縁層216を有し、絶
縁層216上にトランジスタや表示素子などが設けられている。絶縁層216は絶縁層2
21と同様に、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることができる。
【0181】
また、第2の基板102と絶縁層221との間に、接着層262を有する。
【0182】
また、
図19に示すように、絶縁層213は画素部11、回路12及び回路13よりも
外側において、開口部が設けられている。例えば絶縁層213として樹脂材料を用いた場
合には、画素部11、回路12及び回路13等を囲う開口部を設けることが好ましい。こ
のような構成とすることで、絶縁層213の外部と接する側面近傍と、画素部11、回路
12及び回路13等と重なる部分とが連続しないため、外部から絶縁層213を介して水
、水素などの不純物が拡散することを抑制できる。
【0183】
図19に示すように固体封止構造とすることで、第1の基板101と第2の基板102
の距離を均一に保つことが容易となる。したがって、第1の基板101及び第2の基板1
02として、可撓性を有する基板を好適に用いることができる。したがって、画素部11
、回路12、及び回路13の一部、または全部を折り曲げて使用することができる。例え
ば表示装置10を曲面に貼り付ける、または表示装置10の画素部を折り畳むなどするこ
とで、様々な形態の電子機器を実現することができる。
【0184】
[断面構成例2]
〔断面構成例2-1〕
図20は、主にトランジスタの構成が異なる構成の一例を示す。
図20は、例えば
図1
(A)中の切断線C1-C2に沿った断面に相当する。
【0185】
トランジスタ61は、絶縁層211上に半導体層271と、半導体層271上にゲート
電極として機能する導電層272と、半導体層271と導電層272の間にゲート絶縁層
として機能する絶縁層276と、半導体層271及び導電層272を覆う絶縁層212と
、絶縁層212上にソース電極またはドレイン電極として機能する一対の導電層273を
有する。導電層273は、絶縁層276に設けられた開口を介して半導体層271の導電
層272に覆われていない領域と電気的に接続している。
【0186】
また、導電層273上に絶縁層217、絶縁層218、及び絶縁層213が設けられて
いる。また絶縁層218上には導電層274が設けられている。
【0187】
トランジスタ62とトランジスタ252は、半導体層271を挟む2つのゲート電極を
有する構成を示している。トランジスタ61及びトランジスタ252は、絶縁層211よ
りも下側に、一部がゲート電極として機能する導電層275を有する。
【0188】
ここで、絶縁層218の一部に開口部が形成され、当該開口部を介して導電層274の
一部が絶縁層217の上面に接して設けられている。容量素子63は、導電層273の一
部と、導電層274の一部と、これらに挟持された絶縁層217の一部により形成されて
いる。このように、一対の電極として機能する導電層の間に位置する絶縁層の厚さを薄く
することで、容量素子の容量値を大きくできるため好ましい。
【0189】
〔断面構成例2-2〕
図21では、画素部11や回路13等を折り曲げて使用する場合に適した表示装置の構
成例を示す。
【0190】
図21に示す構成は、絶縁層211及び導電層275よりも基板101側に、絶縁層2
16を有する。また絶縁層216と第1の基板101とは接着層261によって貼り合わ
されている。また、第2の基板102と絶縁層221とは接着層262によって貼り合わ
されている。
【0191】
以上が断面構成例2についての説明である。
【0192】
[変形例1]
図22は、表示素子60として液晶素子を適用した場合の例を示している。
【0193】
図22には、画素部11の例として、1つの副画素の断面構成の例を示している。表示
素子60は、画素電極31と、導電層283と、液晶281を有する。
【0194】
基板102側には、着色層232及び遮光層231を覆うオーバーコート282と、導
電層283が積層して設けられている。
【0195】
透過型の表示装置とする場合には、画素電極31及び導電層283に可視光を透過する
導電性材料を用いる。また反射型の表示装置とする場合には、画素電極31に可視光を反
射する導電性材料を用いる。
【0196】
なお、ここでは垂直配向(VA:Vertical Alignment)モードを適
用した液晶素子を、表示素子60に適用した例を示している。
【0197】
VAモードとしては、MVA(Multi-Domain Vertical Ali
gnment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignm
ent)モード、ECB(Electrically Controlled Bire
fringence)モード、CPA(Continuous Pinwheel Al
ignment)モード、ASV(Advanced Super-View)モードな
どを用いることができる。
【0198】
なお、液晶素子のモードはこれに限られず、例えばIPS(In-Plane-Swi
tching)モード、TN(Twisted Nematic)モード、FFS(Fr
inge Field Switching)モード、ASM(Axially Sym
metric aligned Micro-cell)モード、OCB(Optica
lly Compensated Birefringence)モード、FLC(Fe
rroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(Anti
Ferroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いること
ができる。
【0199】
液晶材料としては、例えば、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子
分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。または、コレステ
リック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す液
晶材料を用いることができる。または、ブルー相を示す液晶材料を用いることができる。
【0200】
なお、表示素子60に用いることのできる素子は、発光素子や液晶素子に限られない。
例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical System
s)素子や、電子放出素子などの表示素子を用いることができる。MEMSを用いた表示
素子としては、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子など
が挙げられる。電子放出素子としては、カーボンナノチューブを用いてもよい。また、電
子ペーパを用いてもよい。電子ペーパとしては、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、
エレクトロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した素子を用いる
ことができる。
【0201】
以上が変形例についての説明である。
【0202】
[変形例2]
以下では、タッチセンサを有するタッチパネルの例について説明する。
【0203】
図23には、
図20で例示した構成にオンセル型のタッチセンサを適用したタッチパネ
ルの例を示している。
【0204】
基板102の外側の面上に、導電層291、導電層292が設けられ、これらを覆って
絶縁層294が設けられている。また絶縁層294上に導電層293が設けられている。
導電層293は、絶縁層294に設けられた開口を介して導電層291を挟んで設けられ
る2つの導電層292と電気的に接続している。また絶縁層294と基板296とが接着
層295によって貼り合わされている。
【0205】
導電層291と導電層292の間には容量結合が生じており、その容量の大きさは、被
検知体が近づくことにより変化する。これにより、被検知体が接近、または接触すること
を検出することができる。複数の導電層291と複数の導電層292を格子状に配置する
ことで、位置情報を取得することができる。
【0206】
また基板102の外周に近い領域に、端子部299が設けられている。端子部299は
、接続層298を介してFPC297と電気的に接続されている。
【0207】
ここで、基板296は、指またはスタイラスなどの検知体が直接触れる基板としても用
いることができる。その場合、基板296上に保護層(セラミックコート等)を設けるこ
とが好ましい。保護層は、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、
イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの無機絶縁材料を用いることができる。また
、基板296に強化ガラスを用いてもよい。強化ガラスは、イオン交換法や風冷強化法等
により物理的、または化学的な処理が施され、その表面に圧縮応力を加えたものを用いる
ことができる。タッチセンサを強化ガラスの一面に設け、その反対側の面を例えば電子機
器の最表面に設けてタッチ面として用いることにより、機器全体の厚さを低減することが
できる。
【0208】
タッチセンサとしては、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量方
式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また投影型静電容量方
式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用いると、同時多点
検出が可能となるため好ましい。以下では、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用す
る場合について説明する。
【0209】
なおこれに限られず、指やスタイラスなどの被検知体の接近、または接触を検知するこ
とのできる様々なセンサを適用することもできる。
【0210】
ここでは、基板102の外側の面にタッチセンサを構成する配線等が形成された、いわ
ゆるオンセル型のタッチパネルの構成を示したが、これに限られない。例えば、外付け型
(アウトセル型)のタッチパネル、インセル型のタッチパネルの構成を適用としてもよい
。オンセル型またはインセル型のタッチパネルの構成を用いることで、表示パネルにタッ
チパネルの機能を付加しても、その厚さを低減することができる。
【0211】
以上が断面構成例についての説明である。
【0212】
[各構成要素について]
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
【0213】
〔基板〕
表示装置が有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。発光素子から
の光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セ
ラミック、サファイヤ、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0214】
厚さの薄い基板を用いることで、表示装置の軽量化、薄型化を図ることができる。さら
に、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示装置を実現で
きる。
【0215】
ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホ
ウケイ酸ガラス等を用いることができる。
【0216】
可撓性及び可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、可撓性を有する程度
の厚さのガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメ
チルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PE
S)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げら
れる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、ポリアミドイミド
樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、ガラス繊維に有機
樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用
することもできる。このような材料を用いた基板は、重量が軽いため、該基板を用いた表
示装置も軽量にすることができる。
【0217】
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙
げた基板の他に、金属基板等を用いることもできる。金属基板は熱伝導性が高く、基板全
体に熱を容易に伝導できるため、表示装置の局所的な温度上昇を抑制することができ、好
ましい。
【0218】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニ
ッケル等の金属、もしくはアルミニウム合金またはステンレス等の合金などを好適に用い
ることができる。
【0219】
また、金属基板の表面を酸化する、又は表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処理
が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、電
着法、蒸着法、又はスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰囲
気で放置する又は加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形成し
てもよい。
【0220】
可撓性を有する基板に、表示装置の表面を傷などから保護するハードコート層(例えば
、窒化シリコン層など)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂層など)
等が積層されていてもよい。また、水分等による表示素子の寿命の低下等を抑制するため
に、可撓性を有する基板に透水性の低い絶縁膜が積層されていてもよい。例えば、窒化シ
リコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無機絶縁材料を用
いることができる。
【0221】
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とする
と、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示装置とすることができる。
例えば、発光素子に近い側からガラス層、接着層、及び有機樹脂層を積層した基板を用い
ることができる。このような有機樹脂層を設けることにより、ガラス層の割れやクラック
を抑制し、機械的強度を向上させることができる。このようなガラス材料と有機樹脂の複
合材料を基板に適用することにより、極めて信頼性が高いフレキシブルな表示装置とする
ことができる。
【0222】
〔トランジスタ〕
表示装置が有するトランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、
ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁
層として機能する絶縁層と、を有する。
【0223】
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例
えば、プレーナ型、スタガ型、または逆スタガ型等のトランジスタを用いることができる
。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。
ここで、スタガ型とは、半導体層よりも上側にゲート電極が、下側にソース電極及びドレ
イン電極がそれぞれ位置する構造である。一方、逆スタガ型とは、半導体層よりも下側に
ゲート電極が、上側にソース電極及びドレイン電極がそれぞれ位置する構造である。また
は、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0224】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、
結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領
域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トラン
ジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0225】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、第14族の元素(シリコン
、ゲルマニウム等)、化合物半導体又は酸化物半導体を半導体層に用いることができる。
代表的には、シリコンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む酸
化物半導体などを適用できる。
【0226】
特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好ましい。
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると
、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0227】
例えば、上記酸化物半導体として、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn
)を含むことが好ましい。より好ましくは、In-M-Zn系酸化物(MはAl、Ti、
Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)で表記される酸化物を含
む。
【0228】
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面
、または半導体層の上面に対し概略垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界が観察
されない酸化物半導体膜を用いることが好ましい。
【0229】
このような酸化物半導体は、結晶粒界を有さないために表示パネルを湾曲させたときの
応力によって酸化物半導体膜にクラックが生じてしまうことが抑制される。したがって、
可撓性を有し、湾曲させて用いる表示装置などに、このような酸化物半導体を好適に用い
ることができる。
【0230】
また半導体層としてこのような結晶性を有する酸化物半導体を用いることで、電気特性
の変動が抑制され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0231】
また、シリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を用いたトランジスタは、
その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長
期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用すること
で、各画素の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極め
て消費電力の低減された表示装置を実現できる。
【0232】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、シリコンを用いることが好ま
しい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリ
コンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコ
ンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温
で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備え
る。このような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることがで
きる。また極めて高精細な画素部を有する場合であっても、走査線駆動回路と信号線駆動
回路を画素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減
することができる。
【0233】
または、異なる半導体が適用されたトランジスタが混在していてもよい。例えば多結晶
シリコンが適用されたトランジスタと、酸化物半導体が適用されたトランジスタとを混在
して設ける構成とすることができる。このとき、例えば駆動回路内のトランジスタや、電
流制御用のトランジスタなど、大きな電流を流す必要のあるトランジスタに、多結晶シリ
コンを適用することが好ましい。また画素内のスイッチングトランジスタなど、トランジ
スタと直列に容量等が接続され、これに蓄積された電荷を保持するトランジスタなどには
、酸化物半導体を適用することが好ましい。
【0234】
〔導電層〕
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線お
よび電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロ
ム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタ
ングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの
材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを
含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タン
グステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合
金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン
膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミ
ニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三
層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または
銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造
等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。ま
た、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい
。
【0235】
また、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層に用いることのできる透光
性を有する材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物
、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いる
ことができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム
、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの金属材料や、該金属
材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化
チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用
いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材料の積層膜を導電層
として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の
積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。
【0236】
〔絶縁層〕
各絶縁層、オーバーコート、スペーサ等に用いることのできる絶縁材料としては、例え
ば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シリコーン樹脂等のシロキサン結合を有する樹脂の
他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニ
ウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0237】
また発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。こ
れにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑
制できる。
【0238】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を
含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、
酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0239】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m2・day)
]以下、好ましくは1×10-6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×1
0-7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m2・d
ay)]以下とする。
【0240】
〔接着層、封止材〕
接着層や封止材としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬
化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤
としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹
脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)
樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等
の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シ
ート等を用いてもよい。
【0241】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸
化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用い
ることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を
吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が機能素子に
侵入することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
【0242】
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、発光素子
からの光取り出し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、
ゼオライト、ジルコニウム等を用いることができる。
【0243】
〔発光素子〕
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流又は電圧によって輝
度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、発光ダイオード(LED)、有機
EL素子、無機EL素子等を用いることができる。
【0244】
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型
のいずれであってもよい。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる
。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好まし
い。
【0245】
EL層は少なくとも発光層を有する。EL層は、発光層以外の層として、正孔注入性の
高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入
性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含
む層をさらに有していてもよい。
【0246】
EL層には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合
物を含んでいてもよい。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)
、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0247】
陰極と陽極の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極側か
ら正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層におい
て再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0248】
発光素子として、白色発光の発光素子を適用する場合には、EL層に2種類以上の発光
物質を含む構成とすることが好ましい。例えば2以上の発光物質の各々の発光が補色の関
係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例えば、
それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物質、
またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質のうち、
2以上を含むことが好ましい。また、発光素子からの発光のスペクトルが、可視光領域の
波長(例えば350nm~750nm)の範囲内に2以上のピークを有する発光素子を適
用することが好ましい。また、黄色の波長領域にピークを有する材料の発光スペクトルは
、緑色及び赤色の波長領域にもスペクトル成分を有する材料であることが好ましい。
【0249】
EL層は、一の色を発光する発光材料を含む発光層と、他の色を発光する発光材料を含
む発光層とが積層された構成とすることが好ましい。例えば、EL層における複数の発光
層は、互いに接して積層されていてもよいし、いずれの発光材料も含まない領域を介して
積層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と燐光発光層との間に、当該蛍光発光層また
は燐光発光層と同一の材料(例えばホスト材料、アシスト材料)を含み、且ついずれの発
光材料も含まない領域を設ける構成としてもよい。これにより、発光素子の作製が容易に
なり、また、駆動電圧が低減される。
【0250】
また、発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層
が電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0251】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウ
ム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いることができる。また
、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コ
バルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、又
はこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成
することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることがで
きる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用いると、
導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい。
【0252】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タング
ステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又
はこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ラン
タン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、チタン、ニッケル
、またはネオジムと、アルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)を用いてもよい。ま
た銅、パラジウム、またはマグネシウムと、銀を含む合金を用いてもよい。銀と銅を含む
合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜
に接して金属膜又は金属酸化物膜を積層することで、アルミニウム膜またはアルミニウム
合金膜の酸化を抑制することができる。このような金属膜、金属酸化物膜の材料としては
、チタンや酸化チタンなどが挙げられる。また、上記可視光を透過する導電膜と金属材料
からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とインジウム錫酸化物の積層膜、銀とマグネ
シウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用いることができる。
【0253】
導電層は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、
インクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、又はメッキ法を用いて
形成することができる。
【0254】
なお、上述した、発光層、ならびに正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電
子輸送性の高い物質、及び電子注入性の高い物質、バイポーラ性の物質等を含む層は、そ
れぞれ量子ドットなどの無機化合物や、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリ
マー等)を有していてもよい。例えば、量子ドットを発光層に用いることで、発光材料と
して機能させることもできる。
【0255】
なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、
コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。また
、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を
用いてもよい。または、カドミウム、セレン、亜鉛、硫黄、リン、インジウム、テルル、
鉛、ガリウム、ヒ素、アルミニウム等の元素を含む量子ドット材料を用いてもよい。
【0256】
〔着色層〕
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含
まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0257】
〔遮光層〕
遮光層に用いることのできる材料としては、カーボンブラック、金属酸化物、複数の金
属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。また、遮光層に、着色層の材料を含
む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光を透過する着色層に用いる材料
を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜との積層構造を用いるこ
とができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、装置を共通化できるほか工程を
簡略化できるため好ましい。
【0258】
〔接続層〕
FPCやICと端子とを接続する接続層には、異方性導電フィルム(ACF:Anis
otropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:
Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができ
る。
【0259】
以上が各構成要素についての説明である。
【0260】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0261】
(実施の形態4)
本実施の形態では、可撓性を有する基板を用いた表示装置の作製方法の例について説明
する。
【0262】
ここでは、表示素子、回路、配線、電極、及び絶縁層、並びに着色層や遮光層などの光
学部材等が含まれる層をまとめて素子層と呼ぶこととする。例えば、素子層は表示素子を
含み、表示素子の他に表示素子と電気的に接続する配線、画素や回路に用いるトランジス
タなどの素子を備えていてもよい。
【0263】
またここでは、表示素子が完成した(作製工程が終了した)段階において、素子層を支
持し、可撓性を有する部材のことを、基板と呼ぶこととする。例えば、基板には、厚さが
10nm以上300μm以下の、極めて薄いフィルム等も含まれる。
【0264】
可撓性を有し、絶縁表面を備える基板上に素子層を形成する方法としては、代表的には
以下に挙げる2つの方法がある。一つは、可撓性を有する基板上に直接、素子層を形成す
る方法である。もう一つは、可撓性を有する基板とは異なる支持基板上に素子層を形成し
た後、素子層と支持基板を剥離し、素子層を基板に転置する方法である。なお、ここでは
詳細に説明しないが、上記2つの方法に加え、可撓性を有さない基板上に素子層を形成し
、当該基板を研磨等により薄くすることで可撓性を持たせる方法もある。
【0265】
基板を構成する材料が、素子層の形成工程にかかる熱に対して耐熱性を有する場合には
、基板上に直接、素子層を形成すると、工程が簡略化されるため好ましい。このとき、基
板を支持基板に固定した状態で素子層を形成すると、装置内、及び装置間における搬送が
容易になるため好ましい。
【0266】
また、素子層を支持基板上に形成した後に、基板に転置する方法を用いる場合、まず支
持基板上に剥離層と絶縁層を積層し、当該絶縁層上に素子層を形成する。続いて、支持基
板と素子層の間で剥離し、素子層を基板に転置する。このとき、支持基板と剥離層の界面
、剥離層と絶縁層の界面、または剥離層中で剥離が生じるような材料を選択すればよい。
この方法では、支持基板や剥離層に耐熱性の高い材料を用いることで、素子層を形成する
際にかかる温度の上限を高めることができ、より信頼性の高い素子を有する素子層を形成
できるため、好ましい。
【0267】
例えば剥離層として、タングステンなどの高融点金属材料を含む層と、当該金属材料の
酸化物を含む層を積層して用いる。また剥離層上の絶縁層として、酸化シリコン、窒化シ
リコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを複数積層した層を用いることが好ま
しい。なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含
有量が多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い
材料を指す。
【0268】
素子層と支持基板とを剥離する方法としては、機械的な力を加えることや、剥離層をエ
ッチングすること、または剥離界面に液体を浸透させることなどが、一例として挙げられ
る。または、剥離界面を形成する2層の熱膨張率の違いを利用し、支持基板を加熱または
冷却することにより剥離を行ってもよい。
【0269】
剥離を開始する際、最初に剥離の起点を形成し、当該起点から剥離を進行させることが
好ましい。剥離の起点は、レーザ光等により絶縁層や剥離層の一部を局所的に加熱するこ
と、鋭利な部材により物理的に絶縁層や剥離層の一部を切断または貫通すること等により
形成することができる。
【0270】
また、支持基板と絶縁層の界面で剥離が可能な場合には、剥離層を設けなくてもよい。
【0271】
例えば、支持基板としてガラスを用い、絶縁層としてポリイミドなどの有機樹脂を用い
ることで、ガラスと有機樹脂の界面で剥離することができる。また残ったポリイミドなど
の有機樹脂を基板として用いることもできる。
【0272】
または、支持基板と有機樹脂からなる絶縁層の間に発熱層を設け、当該発熱層を加熱す
ることにより、当該発熱層と絶縁層の界面で剥離を行ってもよい。発熱層としては、電流
を流すことにより発熱する材料、光を吸収することにより発熱する材料、磁場を印加する
ことにより発熱する材料など、様々な材料を用いることができる。例えば発熱層としては
、半導体、金属、絶縁体から選択して用いることができる。
【0273】
以下では、より具体的な作製方法の一例について説明する。以下で説明する作製方法で
は、被剥離層として形成する層を変更することで、本発明の一態様の可撓性を有する表示
装置も作製することができる。
【0274】
まず、作製基板301上に島状の剥離層303を形成し、剥離層303上に被剥離層3
05を形成する(
図24(A))。またこれとは別に、作製基板321上に島状の剥離層
323を形成し、剥離層323上に被剥離層325を形成する(
図24(B))。
【0275】
ここでは、島状の剥離層を形成する例を示したがこれに限られない。この工程では、作
製基板から被剥離層を剥離する際に、作製基板と剥離層の界面、剥離層と被剥離層の界面
、又は剥離層中で剥離が生じるような材料を選択する。本実施の形態では、被剥離層と剥
離層の界面で剥離が生じる場合を例示するが、剥離層や被剥離層に用いる材料の組み合わ
せによってはこれに限られない。なお、被剥離層が積層構造である場合、剥離層と接する
層を特に第1の層と記す。
【0276】
例えば、剥離層がタングステン膜と酸化タングステン膜との積層構造である場合、タン
グステン膜と酸化タングステン膜との界面(又は界面近傍)で剥離が生じることで、被剥
離層側に剥離層の一部(ここでは酸化タングステン膜)が残ってもよい。また被剥離層側
に残った剥離層は、その後除去してもよい。
【0277】
作製基板には、少なくとも作製工程中の処理温度に耐えうる耐熱性を有する基板を用い
る。作製基板としては、例えばガラス基板、石英基板、サファイア基板、半導体基板、セ
ラミック基板、金属基板、樹脂基板、プラスチック基板などを用いることができる。
【0278】
作製基板にガラス基板を用いる場合、作製基板と剥離層との間に、下地膜として、酸化
シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の絶縁膜を形
成すると、ガラス基板からの汚染を防止でき、好ましい。
【0279】
剥離層は、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバル
ト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム
、シリコンから選択された元素、該元素を含む合金材料、又は該元素を含む化合物材料等
を用いて形成できる。シリコンを含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれ
でもよい。また、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化イン
ジウム、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、In-Ga-Zn酸化物等の金
属酸化物を用いてもよい。剥離層に、タングステン、チタン、モリブデンなどの高融点金
属材料を用いると、被剥離層の形成工程の自由度が高まるため好ましい。
【0280】
剥離層は、例えばスパッタリング法、プラズマCVD法、塗布法(スピンコーティング
法、液滴吐出法、ディスペンス法等を含む)、印刷法等により形成できる。剥離層の厚さ
は例えば10nm以上200nm以下、好ましくは20nm以上100nm以下とする。
【0281】
剥離層が単層構造の場合、タングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブ
デンの混合物を含む層を形成することが好ましい。また、タングステンの酸化物もしくは
酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物もしくは酸化窒化物を含む層、又はタングステ
ンとモリブデンの混合物の酸化物もしくは酸化窒化物を含む層を形成してもよい。なお、
タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相
当する。
【0282】
また、剥離層として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構
造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁
膜を形成することで、タングステン層と絶縁膜との界面に、タングステンの酸化物を含む
層が形成されることを活用してもよい。また、タングステンを含む層の表面を、熱酸化処
理、酸素プラズマ処理、亜酸化窒素(N2O)プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い
溶液での処理等を行ってタングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。またプラズマ
処理や加熱処理は、酸素、窒素、亜酸化窒素単独、あるいは該ガスとその他のガスとの混
合気体雰囲気下で行ってもよい。上記プラズマ処理や加熱処理により、剥離層の表面状態
を変えることにより、剥離層と後に形成される絶縁膜との密着性を制御することが可能で
ある。
【0283】
なお、作製基板と被剥離層の界面で剥離が可能な場合には、剥離層を設けなくてもよい
。例えば、作製基板としてガラスを用い、ガラスに接してポリイミド、ポリエステル、ポ
リオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル等の有機樹脂を形成する。次に
、レーザ照射や加熱処理を行うことで、作製基板と有機樹脂の密着性を向上させる。そし
て、有機樹脂上に絶縁膜やトランジスタ等を形成する。その後、先のレーザ照射よりも高
いエネルギー密度でレーザ照射を行う、又は、先の加熱処理よりも高い温度で加熱処理を
行うことで、作製基板と有機樹脂の界面で剥離することができる。また、剥離の際には、
作製基板と有機樹脂の界面に液体を浸透させて分離してもよい。
【0284】
当該方法では、耐熱性の低い有機樹脂上に絶縁膜やトランジスタ等を形成するため、作
製工程で基板に高温をかけることができない。ここで、酸化物半導体を用いたトランジス
タは、高温の作製工程が必須でないため、有機樹脂上に好適に形成することができる。
【0285】
なお、該有機樹脂を、装置を構成する基板として用いてもよいし、該有機樹脂を除去し
、被剥離層の露出した面に接着剤を用いて別の基板を貼り合わせてもよい。また該有機樹
脂に、さらに接着剤を用いて別の基板(支持フィルム)を貼り合せてもよい。
【0286】
または、作製基板と有機樹脂の間に金属層を設け、該金属層に電流を流すことで該金属
層を加熱し、金属層と有機樹脂の界面で剥離を行ってもよい。
【0287】
被剥離層として形成する層に特に限定は無い。例えば、
図19に示す表示装置を形成す
る場合は、一方の被剥離層として、絶縁層216、各トランジスタ、及び各表示素子等を
形成すればよい。また、他方の被剥離層として、絶縁層221、各着色層、及び遮光層2
31等を形成すればよい。
【0288】
剥離層に接して形成する絶縁層(第1の層)は、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜
、酸化シリコン膜、又は窒化酸化シリコン膜等を用いて、単層又は多層で形成することが
好ましい。なお、これに限られず、剥離層に用いる材料に応じて最適な材料を選択するこ
とができる。
【0289】
該絶縁層は、スパッタリング法、プラズマCVD法、塗布法、印刷法等を用いて形成す
ることが可能であり、例えば、プラズマCVD法によって成膜温度を250℃以上400
℃以下として形成することで、緻密で非常に防湿性の高い膜とすることができる。なお、
絶縁層の厚さは10nm以上3000nm以下、さらには200nm以上1500nm以
下が好ましい。
【0290】
次に、作製基板301と作製基板321とを、それぞれの被剥離層が形成された面が対
向するように、接着層307を用いて貼り合わせ、接着層307を硬化させる(
図24(
C))。
【0291】
なお、作製基板301と作製基板321の貼り合わせは減圧雰囲気下で行うことが好ま
しい。
【0292】
なお、
図24(C)では、剥離層303と剥離層323の大きさが異なる場合を示した
が、
図24(D)に示すように、同じ大きさの剥離層を用いてもよい。
【0293】
接着層307は剥離層303、被剥離層305、被剥離層325、及び剥離層323と
重なるように配置する。そして、接着層307の端部は、剥離層303又は剥離層323
の少なくとも一方(先に剥離したい方)の端部よりも内側に位置することが好ましい。こ
れにより、作製基板301と作製基板321が強く密着することを抑制でき、後の剥離工
程の歩留まりが低下することを抑制できる。
【0294】
接着層307には、例えば、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱
硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型の接着剤等を用いることができる。これら
接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイ
ミド樹脂、イミド樹脂、PVC樹脂、PVB樹脂、EVA樹脂等が挙げられる。特に、エ
ポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。接着剤としては、所望の領域にのみ配置で
きる程度に流動性の低い材料を用いることが好ましい。例えば、接着シート、粘着シート
、シート状もしくはフィルム状の接着剤を用いてもよい。例えば、OCA(optica
l clear adhesive)フィルムを好適に用いることができる。
【0295】
接着剤は、貼り合わせ前から粘着性を有していてもよく、貼り合わせ後に加熱や光照射
によって粘着性を発現してもよい。
【0296】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸
化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用い
ることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を
吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、大気中の水分の侵入による機能
素子の劣化を抑制でき、装置の信頼性が向上するため好ましい。
【0297】
次に、レーザ光の照射により、剥離の起点を形成する(
図25(A)(B))。
【0298】
作製基板301及び作製基板321はどちらから剥離してもよい。剥離層の大きさが異
なる場合、大きい剥離層を形成した基板から剥離してもよいし、小さい剥離層を形成した
基板から剥離してもよい。一方の基板上にのみ半導体素子、発光素子、表示素子等の素子
を作製した場合、素子を形成した側の基板から剥離してもよいし、他方の基板から剥離し
てもよい。ここでは、作製基板301を先に剥離する例を示す。
【0299】
レーザ光は、硬化状態の接着層307と、被剥離層305と、剥離層303とが重なる
領域に対して照射する(
図25(A)の矢印P1参照)。
【0300】
第1の層の一部を除去することで、剥離の起点を形成できる(
図25(B)の点線で囲
った領域参照)。このとき、第1の層だけでなく、被剥離層305の他の層や、剥離層3
03、接着層307の一部を除去してもよい。
【0301】
レーザ光は、剥離したい剥離層が設けられた基板側から照射することが好ましい。剥離
層303と剥離層323が重なる領域にレーザ光の照射をする場合は、被剥離層305及
び被剥離層325のうち被剥離層305のみにクラックを入れることで、選択的に作製基
板301及び剥離層303を剥離することができる(
図25(B)の点線で囲った領域参
照。ここでは被剥離層305を構成する各層の一部を除去する例を示す。)。
【0302】
そして、形成した剥離の起点から、被剥離層305と作製基板301とを分離する(図
25(C)(D))。これにより、被剥離層305を作製基板301から作製基板321
に転置することができる。
【0303】
例えば、剥離の起点から、物理的な力(人間の手や治具で引き剥がす処理や、ローラー
を回転させながら分離する処理等)によって被剥離層305と作製基板301とを分離す
ればよい。
【0304】
また、剥離層303と被剥離層305との界面に水などの液体を浸透させて作製基板3
01と被剥離層305とを分離してもよい。毛細管現象により液体が剥離層303と被剥
離層305の間にしみこむことで、容易に分離することができる。また、剥離時に生じる
静電気が、被剥離層305に含まれる機能素子に悪影響を及ぼすこと(半導体素子が静電
気により破壊されるなど)を抑制できる。
【0305】
次に、露出した被剥離層305と基板331とを、接着層333を用いて貼り合わせ、
接着層333を硬化させる(
図26(A))。
【0306】
なお、被剥離層305と基板331の貼り合わせは減圧雰囲気下で行うことが好ましい
。
【0307】
次に、レーザ光の照射により、剥離の起点を形成する(
図26(B)(C))。
【0308】
レーザ光は、硬化状態の接着層333と、被剥離層325と、剥離層323とが重なる
領域に対して照射する(
図26(B)の矢印P2参照)。第1の層の一部を除去すること
で、剥離の起点を形成できる(
図26(C)の点線で囲った領域参照。ここでは被剥離層
325を構成する各層の一部を除去する例を示す。)。このとき、第1の層だけでなく、
被剥離層325の他の層や、剥離層323、接着層333の一部を除去してもよい。
【0309】
レーザ光は、剥離層323が設けられた作製基板321側から照射することが好ましい
。
【0310】
そして、形成した剥離の起点から、被剥離層325と作製基板321とを分離する(図
26(D))。これにより、被剥離層305及び被剥離層325を基板331に転置する
ことができる。
【0311】
その後、被剥離層325にさらに基板を貼り付けることもできる。
【0312】
露出した被剥離層325と基板341とを、接着層343によって貼り合せ、接着層3
43を硬化させる(
図27(A))。ここでは、基板341にあらかじめ開口が設けられ
ている例を示している。
【0313】
以上により、一対の可撓性の基板の間に、被剥離層を挟持することができる。
【0314】
その後、
図27(B)に示すように、基板331、基板341等の不要な端部を切断し
て除去してもよい。このとき、被剥離層305及び被剥離層325の端部の一部を同時に
切断してもよい。
【0315】
以上の方法により、可撓性を有するデバイスを作製することができる。被剥離層に、上
記実施の形態で例示した構成を用いることで、可撓性を有する表示装置を作製することが
できる。
【0316】
以上に示した本発明の一態様の表示装置の作製方法では、それぞれ剥離層及び被剥離層
が設けられた一対の作製基板を貼り合わせた後、レーザ光の照射により剥離の起点を形成
し、それぞれの剥離層と被剥離層とを剥離しやすい状態にしてから、剥離を行う。これに
より、剥離工程の歩留まりを向上させることができる。
【0317】
また、それぞれ被剥離層が形成された一対の作製基板をあらかじめ貼り合わせた後に、
剥離をし、作製したい装置を構成する基板を被剥離層に貼り合わせることができる。した
がって、被剥離層どうしの貼り合わせの際に、可撓性が低い作製基板どうしを貼り合わせ
ることができ、可撓性基板どうしを貼り合わせた際よりも貼り合わせの位置合わせ精度を
向上させることができる。
【0318】
なお、
図28(A)に示すように、被剥離層305の剥離される領域351の端部は、
剥離層303の端部よりも内側に位置することが好ましい。これにより、剥離工程の歩留
まりを高くすることができる。また、領域351が複数ある場合、
図28(B)に示すよ
うに、領域351ごとに剥離層303を設けてもよいし、
図28(C)に示すように、1
つの剥離層303上に複数の領域351を設けてもよい。
【0319】
以上が、可撓性を有する表示装置の作製方法についての説明である。
【0320】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0321】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用可能な電子機器の例について説明
する。
【0322】
本発明の一態様の表示装置を用いて、電子機器や照明装置を作製できる。本発明の一態
様の表示装置を用いて、表示品位の高い電子機器や照明装置を作製できる。本発明の一態
様の表示装置を用いて、視野角特性が良好な電子機器や照明装置を作製できる。本発明の
一態様の表示装置を用いて、消費電力が低減された電子機器や照明装置を作製できる。ま
た、本発明の一態様の表示装置を用いて、信頼性の高い電子機器や照明装置を作製できる
。
【0323】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパ
ーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオ
カメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再
生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0324】
本発明の一態様の電子機器または照明装置は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、
または、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
【0325】
本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を用いて
、二次電池を充電することができると好ましい。
【0326】
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイ
オンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機
ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられ
る。
【0327】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信す
ることで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ
及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0328】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転
数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力
、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を
有していてもよい。
【0329】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報
(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレ
ンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行
する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す
機能等を有することができる。
【0330】
さらに、複数の表示部を有する電子機器においては、一つの表示部を主として画像情報
を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報を表示する機能、または複数の表示部に
視差を考慮した画像を表示することで立体的な画像を表示する機能等を有することができ
る。さらに、受像部を有する電子機器においては、静止画または動画を撮影する機能、撮
影した画像を自動または手動で補正する機能、撮影した画像を記録媒体(外部または電子
機器に内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能等を有することがで
きる。なお、本発明の一態様の電子機器が有する機能はこれらに限定されず、様々な機能
を有することができる。
【0331】
図29(A)~(E)に、湾曲した表示部7000を有する電子機器の一例を示す。表
示部7000はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うこと
ができる。なお、表示部7000は可撓性を有していてもよい。
【0332】
表示部7000は、本発明の一態様の表示装置等を用いて作製される。本発明の一態様
により、消費電力が低減され、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い電子機器を提供
できる。
【0333】
図29(A)、(B)に携帯電話機の一例を示す。
図29(A)に示す携帯電話機71
00及び
図29(B)に示す携帯電話機7110は、それぞれ、筐体7101、表示部7
000、操作ボタン7103、外部接続ポート7104、スピーカ7105、マイク71
06等を有する。
図29(B)に示す携帯電話機7110は、さらに、カメラ7107を
有する。
【0334】
各携帯電話機は、表示部7000にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字
を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部7000に触れることで
行うことができる。
【0335】
また、操作ボタン7103の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部7000
に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メイ
ンメニュー画面に切り替えることができる。
【0336】
また、携帯電話機内部に、ジャイロセンサまたは加速度センサ等の検出装置を設けるこ
とで、携帯電話機の向き(縦か横か)を判断して、表示部7000の画面表示の向きを自
動的に切り替えるようにすることができる。また、画面表示の向きの切り替えは、表示部
7000を触れること、操作ボタン7103の操作、またはマイク7106を用いた音声
入力等により行うこともできる。
【0337】
図29(C)、(D)に携帯情報端末の一例を示す。
図29(C)に示す携帯情報端末
7200及び
図29(D)に示す携帯情報端末7210は、それぞれ、筐体7201及び
表示部7000を有する。さらに、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク、ア
ンテナ、カメラ、またはバッテリ等を有していてもよい。表示部7000にはタッチセン
サを備える。携帯情報端末の操作は、指やスタイラスなどで表示部7000に触れること
で行うことができる。
【0338】
本実施の形態で例示する携帯情報端末は、例えば、電話機、手帳または情報閲覧装置等
から選ばれた一つまたは複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとしてそれぞ
れ用いることができる。本実施の形態で例示する携帯情報端末は、例えば、移動電話、電
子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなど
の種々のアプリケーションを実行することができる。
【0339】
携帯情報端末7200及び携帯情報端末7210は、文字及び画像情報等をその複数の
面に表示することができる。例えば、
図29(C)、(D)に示すように、3つの操作ボ
タン7202を一の面に表示し、矩形で示す情報7203を他の面に表示することができ
る。
図29(C)では、携帯情報端末の上側に情報が表示される例を示し、
図29(D)
では、携帯情報端末の横側に情報が表示される例を示す。また、携帯情報端末の3面以上
に情報を表示してもよい。
【0340】
なお、情報の例としては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の通知
、電子メールや電話などの着信を知らせる表示、電子メールなどの題名もしくは送信者名
、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報が表示さ
れている位置に、情報の代わりに、操作ボタン、アイコンなどを表示してもよい。
【0341】
例えば、携帯情報端末7200の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末7200
を収納した状態で、その表示(ここでは情報7203)を確認することができる。
【0342】
具体的には、着信した電話の発信者の電話番号または氏名等を、携帯情報端末7200
の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末7200をポケットから
取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0343】
図29(E)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7300は、筐体7
301に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7303により筐体7
301を支持した構成を示している。
【0344】
図29(E)に示すテレビジョン装置7300の操作は、筐体7301が備える操作ス
イッチや、別体のリモコン操作機7311により行うことができる。または、表示部70
00にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることで操作して
もよい。リモコン操作機7311は、当該リモコン操作機7311から出力する情報を表
示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7311が備える操作キーまたはタッ
チパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示さ
れる映像を操作することができる。
【0345】
なお、テレビジョン装置7300は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信
機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または
無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または
双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能で
ある。
【0346】
図29(F)に、湾曲した発光部を有する照明装置の一例を示す。
【0347】
図29(F)に示す照明装置が有する発光部は、本発明の一態様の表示装置等を用いて
作製される。本発明の一態様により、消費電力が低減され、湾曲した発光部を備え、且つ
信頼性の高い照明装置を提供できる。
【0348】
図29(F)に示す照明装置7400の備える発光部7411は、凸状に湾曲した2つ
の発光部が対称的に配置された構成となっている。したがって照明装置7400を中心に
全方位を照らすことができる。
【0349】
また、照明装置7400が備える発光部は可撓性を有していてもよい。発光部を可塑性
の部材または可動なフレームなどの部材で固定し、用途に合わせて発光部の発光面を自在
に湾曲可能な構成としてもよい。
【0350】
照明装置7400は、操作スイッチ7403を備える台部7401と、台部7401に
支持される発光部7411を有する。
【0351】
なおここでは、台部によって発光部が支持された照明装置について例示したが、発光部
を備える筐体を天井に固定する、または天井からつり下げるように用いることもできる。
発光面を湾曲させて用いることができるため、発光面を凹状に湾曲させて特定の領域を明
るく照らす、または発光面を凸状に湾曲させて部屋全体を明るく照らすこともできる。
【0352】
図30(A)~(I)に、可撓性を有し、曲げることのできる表示部7001を有する
携帯情報端末の一例を示す。
【0353】
表示部7001は、本発明の一態様の表示装置等を用いて作製される。例えば、曲率半
径0.01mm以上150mm以下で曲げることができる表示装置等を適用できる。また
、表示部7001はタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7001に触れるこ
とで携帯情報端末を操作することができる。本発明の一態様により、可撓性を有する表示
部を備え、且つ信頼性の高い電子機器を提供できる。
【0354】
図30(A)、(B)は、携帯情報端末の一例を示す斜視図である。携帯情報端末75
00は、筐体7501、表示部7001、引き出し部材7502、操作ボタン7503等
を有する。
【0355】
携帯情報端末7500は、筐体7501内にロール状に巻かれた可撓性を有する表示部
7001を有する。引き出し部材7502を用いて表示部7001を引き出すことができ
る。
【0356】
また、携帯情報端末7500は内蔵された制御部によって映像信号を受信可能で、受信
した映像を表示部7001に表示することができる。また、携帯情報端末7500にはバ
ッテリが内蔵されている。また、筐体7501にコネクターを接続する端子部を備え、映
像信号及び電力を有線により外部から直接供給する構成としてもよい。
【0357】
また、操作ボタン7503によって、電源のON、OFF動作や表示する映像の切り替
え等を行うことができる。なお、
図30(A)、(B)では、携帯情報端末7500の側
面に操作ボタン7503を配置する例を示すが、これに限られず、携帯情報端末7500
の表示面と同じ面(おもて面)や、裏面に配置してもよい。
【0358】
図30(B)には、表示部7001を引き出した状態の携帯情報端末7500を示す。
この状態で表示部7001に映像を表示することができる。また、表示部7001の一部
がロール状に巻かれた
図30(A)の状態と表示部7001を引き出した
図30(B)の
状態とで、携帯情報端末7500が異なる表示を行う構成としてもよい。例えば、
図30
(A)の状態のときに、表示部7001のロール状に巻かれた部分を非表示とすることで
、携帯情報端末7500の消費電力を下げることができる。
【0359】
なお、表示部7001を引き出した際に表示部7001の表示面が平面状となるように
固定するため、表示部7001の側部に補強のためのフレームを設けていてもよい。
【0360】
なお、この構成以外に、筐体にスピーカを設け、映像信号と共に受信した音声信号によ
って音声を出力する構成としてもよい。
【0361】
図30(C)~(E)に、折りたたみ可能な携帯情報端末の一例を示す。
図30(C)
では、展開した状態、
図30(D)では、展開した状態または折りたたんだ状態の一方か
ら他方に変化する途中の状態、
図30(E)では、折りたたんだ状態の携帯情報端末76
00を示す。携帯情報端末7600は、折りたたんだ状態では可搬性に優れ、展開した状
態では、継ぎ目のない広い表示領域により一覧性に優れる。
【0362】
表示部7001はヒンジ7602によって連結された3つの筐体7601に支持されて
いる。ヒンジ7602を介して2つの筐体7601間を屈曲させることにより、携帯情報
端末7600を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。
【0363】
図30(F)、(G)に、折りたたみ可能な携帯情報端末の一例を示す。
図30(F)
では、表示部7001が内側になるように折りたたんだ状態、
図30(G)では、表示部
7001が外側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末7650を示す。携帯情報
端末7650は表示部7001及び非表示部7651を有する。携帯情報端末7650を
使用しない際に、表示部7001が内側になるように折りたたむことで、表示部7001
の汚れ及び傷つきを抑制できる。
【0364】
図30(H)に、可撓性を有する携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末7700は
、筐体7701及び表示部7001を有する。さらに、入力手段であるボタン7703a
、7703b、音声出力手段であるスピーカ7704a、7704b、外部接続ポート7
705、マイク7706等を有していてもよい。また、携帯情報端末7700は、可撓性
を有するバッテリ7709を搭載することができる。バッテリ7709は例えば表示部7
001と重ねて配置してもよい。
【0365】
筐体7701、表示部7001、及びバッテリ7709は可撓性を有する。そのため、
携帯情報端末7700を所望の形状に湾曲させること、及び携帯情報端末7700に捻り
を加えることが容易である。例えば、携帯情報端末7700は、表示部7001が内側ま
たは外側になるように折り曲げて使用することができる。または、携帯情報端末7700
をロール状に巻いた状態で使用することもできる。このように筐体7701及び表示部7
001を自由に変形することが可能であるため、携帯情報端末7700は、落下した場合
、または意図しない外力が加わった場合であっても、破損しにくいという利点がある。
【0366】
また、携帯情報端末7700は軽量であるため、筐体7701の上部をクリップ等で把
持してぶら下げて使用する、または、筐体7701を磁石等で壁面に固定して使用するな
ど、様々な状況において利便性良く使用することができる。
【0367】
図30(I)に腕時計型の携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末7800は、バン
ド7801、表示部7001、入出力端子7802、操作ボタン7803等を有する。バ
ンド7801は、筐体としての機能を有する。また、携帯情報端末7800は、可撓性を
有するバッテリ7805を搭載することができる。バッテリ7805は例えば表示部70
01またはバンド7801等と重ねて配置してもよい。
【0368】
バンド7801、表示部7001、及びバッテリ7805は可撓性を有する。そのため
、携帯情報端末7800を所望の形状に湾曲させることが容易である。
【0369】
操作ボタン7803は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オ
フ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を
持たせることができる。例えば、携帯情報端末7800に組み込まれたオペレーティング
システムにより、操作ボタン7803の機能を自由に設定することもできる。
【0370】
また、表示部7001に表示されたアイコン7804に指等で触れることで、アプリケ
ーションを起動することができる。
【0371】
また、携帯情報端末7800は、通信規格に準拠した近距離無線通信を実行することが
可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフ
リーで通話することもできる。
【0372】
また、携帯情報端末7800は入出力端子7802を有していてもよい。入出力端子7
802を有する場合、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うこ
とができる。また入出力端子7802を介して充電を行うこともできる。なお、本実施の
形態で例示する携帯情報端末の充電動作は、入出力端子を介さずに非接触電力伝送により
行ってもよい。
【0373】
図31(A)に自動車7900の外観を示す。
図31(B)に自動車7900の運転席
を示す。自動車7900は、車体7901、車輪7902、フロントガラス7903、ラ
イト7904、フォグランプ7905等を有する。
【0374】
本発明の一態様の表示装置は、自動車7900の表示部などに用いることができる。例
えば、
図31(B)に示す表示部7910乃至表示部7917に本発明の一態様の表示装
置を設けることができる。
【0375】
表示部7910と表示部7911は、自動車のフロントガラスに設けられている。本発
明の一態様では、表示装置が有する電極を、透光性を有する導電性材料で作製することに
よって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置とすることができる
。シースルー状態の表示装置であれば、自動車7900の運転時にも視界の妨げになるこ
とがない。よって、本発明の一態様の表示装置を自動車7900のフロントガラスに設置
することができる。なお、表示装置に、トランジスタなどを設ける場合には、有機半導体
材料を用いた有機トランジスタ、または酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性
を有するトランジスタを用いるとよい。
【0376】
表示部7912はピラー部分に設けられている。表示部7913はダッシュボード部分
に設けられている。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部7912に映
し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補完することができる。同様に、表示部7
913では、ダッシュボードで遮られた視界を補完することができ、表示部7914では
、ドアで遮られた視界を補完することができる。すなわち、自動車の外側に設けられた撮
像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。
また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認
を行うことができる。
【0377】
また、表示部7917は、ハンドルに設けられている。表示部7915、表示部791
6、または表示部7917はナビゲーション情報、スピードメーター、タコメーター、走
行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その他様々な情報を提供することがで
きる。また、表示部に表示される表示項目及びレイアウトなどは、使用者の好みに合わせ
て適宜変更することができる。なお、上記情報は、表示部7910乃至表示部7914に
も表示することができる。
【0378】
なお、表示部7910乃至表示部7917は照明装置として用いることも可能である。
【0379】
本発明の一態様の表示装置が適用される表示部は平面であってもよい。この場合、本発
明の一態様の表示装置は、曲面及び可撓性を有さない構成であってもよい。
【0380】
図31(C)、(D)に、デジタルサイネージ(Digital Signage:電
子看板)の一例を示す。デジタルサイネージは、筐体8000、表示部8001、及びス
ピーカ8003等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操
作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0381】
図31(D)は円柱状の柱に取り付けられたデジタルサイネージである。
【0382】
表示部8001が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表
示部8001が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることが
できる。
【0383】
表示部8001にタッチパネルを適用することで、表示部8001に画像または動画を
表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報
もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によ
りユーザビリティを高めることができる。
【0384】
図31(E)に示す携帯型ゲーム機は、筐体8101、筐体8102、表示部8103
、表示部8104、マイクロフォン8105、スピーカ8106、操作キー8107、ス
タイラス8108等を有する。
【0385】
図31(E)に示す携帯型ゲーム機は、2つの表示部(表示部8103と表示部810
4)を有する。なお、本発明の一態様の電子機器が有する表示部の数は、2つに限定され
ず1つであっても3つ以上であってもよい。電子機器が複数の表示部を有する場合、少な
くとも1つの表示部が本発明の一態様の表示装置を有していればよい。
【0386】
図31(F)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体8111、表示部811
2、キーボード8113、ポインティングデバイス8114等を有する。
【0387】
表示部8112に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0388】
図32(A)に、ファインダー8500を取り付けた状態の、カメラ8400の外観を
示す。
【0389】
カメラ8400は、筐体8401、表示部8402、操作ボタン8403、シャッター
ボタン8404等を有する。またカメラ8400には、着脱可能なレンズ8406が取り
付けられている。
【0390】
ここではカメラ8400として、レンズ8406を筐体8401から取り外して交換す
ることが可能な構成としたが、レンズ8406と筐体が一体となっていてもよい。
【0391】
カメラ8400は、シャッターボタン8404を押すことにより、撮像することができ
る。また、表示部8402はタッチパネルとしての機能を有し、表示部8402をタッチ
することにより撮像することも可能である。
【0392】
カメラ8400の筐体8401は、電極を有するマウントを有し、ファインダー850
0のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
【0393】
ファインダー8500は、筐体8501、表示部8502、ボタン8503等を有する
。
【0394】
筐体8501は、カメラ8400のマウントと係合するマウントを有しており、ファイ
ンダー8500をカメラ8400に取り付けることができる。また当該マウントには電極
を有し、当該電極を介してカメラ8400から受信した映像等を表示部8502に表示さ
せることができる。
【0395】
ボタン8503は、電源ボタンとしての機能を有する。ボタン8503により、表示部
8502の表示のオン・オフを切り替えることができる。
【0396】
カメラ8400の表示部8402、及びファインダー8500の表示部8502に、本
発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0397】
なお、
図32(A)では、カメラ8400とファインダー8500とを別の電子機器と
し、これらを脱着可能な構成としたが、カメラ8400の筐体8401に、本発明の一態
様の表示装置を備えるファインダーが内蔵されていてもよい。
【0398】
図32(B)には、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示している。
【0399】
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体82
03、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バ
ッテリ8206が内蔵されている。
【0400】
ケーブル8205は、バッテリ8206から本体8203に電力を供給する。本体82
03は無線受信機等を備え、受信した画像データ等の映像情報を表示部8204に表示さ
せることができる。また、本体8203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの動
きを捉え、その情報をもとに使用者の視点の座標を算出することにより、使用者の視点を
入力手段として用いることができる。
【0401】
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい
。本体8203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、
使用者の視点を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知す
ることにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部820
1には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使
用者の生体情報を表示部8204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭
部の動きなどを検出し、表示部8204に表示する映像をその動きに合わせて変化させて
もよい。
【0402】
表示部8204に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0403】
図32(C)、(D)には、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示している
。
【0404】
ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301、2つの表示部8302、操作
ボタン8303、及びバンド状の固定具8304を有する。
【0405】
ヘッドマウントディスプレイ8300は、上記ヘッドマウントディスプレイ8200が
有する機能に加え、2つの表示部を備える。
【0406】
2つの表示部8302を有することで、使用者は片方の目につき1つの表示部を見るこ
とができる。これにより、視差を用いた3次元表示等を行う際であっても、高い解像度の
映像を表示することができる。また、表示部8302は使用者の目を概略中心とした円弧
状に湾曲している。これにより、使用者の目から表示部の表示面までの距離が一定となる
ため、使用者はより自然な映像を見ることができる。また、表示部からの光の輝度や色度
が見る角度によって変化してしまうような場合であっても、表示部の表示面の法線方向に
使用者の目が位置するため、実質的にその影響を無視することができるため、より現実感
のある映像を表示することができる。
【0407】
操作ボタン8303は、電源ボタンなどの機能を有する。また操作ボタン8303の他
にボタンを有していてもよい。
【0408】
また、
図32(E)に示すように、表示部8302と使用者の目の位置との間に、レン
ズ8305を有していてもよい。レンズ8305により、使用者は表示部8302を拡大
してみることができるため、より臨場感が高まる。このとき、
図32(E)に示すように
、視度調節のためにレンズの位置を変化させるダイヤル8306を有していてもよい。
【0409】
表示部8302に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態
様の表示装置は、極めて精細度が高いため、
図32(E)のようにレンズ8305を用い
て拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より現実感の高い映像を表示
することができる。
【0410】
図33(A)~(C)には、1枚の表示部8302を有する場合の例を示している。こ
のような構成とすることで、部品点数を削減することができる。
【0411】
表示部8302は、左右2つの領域にそれぞれ右目用の画像と、左目用の画像の2つの
画像を並べて表示することができる。これにより、両眼視差を用いた立体映像を表示する
ことができる。
【0412】
また、表示部8302の全域に亘って、両方の目で視認可能な一つの画像を表示しても
よい。これにより、視野の両端に亘ってパノラマ映像を表示することが可能となるため、
現実感が高まる。
【0413】
また
図33(C)に示すように、レンズ8305設けてもよい。表示部8302には、
2つの画像を並べて表示させてもよいし、表示部8302に一つの画像を表示させ、レン
ズ8305を介して両目で同じ画像を見ることのできる構成としてもよい。
【0414】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【実施例0415】
本実施例では、本発明の一態様の表示パネルに用いることのできるトランジスタを作製
した。
【0416】
[トランジスタ構造について]
表示パネルに用いることのできるトランジスタの構造は様々であるが、ここではチャネ
ルエッチ型のボトムゲート構造と、トップゲート構造の2つの構造について、それぞれの
特徴を説明する。
【0417】
図34(A1)に、トップゲート構造のトランジスタの上面概略図の一例を示す。トラ
ンジスタは、半導体層801、導電層802、及び一対の導電層803を有する。導電層
802は、その一部がゲート電極として機能する。一対の導電層803は、その一部がソ
ース電極またはドレイン電極として機能する。
【0418】
図34(A2)、(A3)にはそれぞれ、トランジスタのチャネル長方向及びチャネル
幅方向の断面概略図の一例を示している。半導体層801上に絶縁層804が設けられ、
絶縁層804上に導電層802が設けられ、導電層802を覆って絶縁層805が設けら
れ、絶縁層805上に一対の導電層803が設けられている。絶縁層804は、その一部
がゲート絶縁層として機能する。また絶縁層805は、トランジスタを保護するパッシベ
ーション層として機能する。半導体層801は、ソース領域またはドレイン領域として機
能する一対の低抵抗領域808を有している。導電層803は、絶縁層805に設けられ
た開口を介して低抵抗領域808と接続している。
【0419】
図34(A4)は、導電層802と導電層803の交差部の断面概略図を示している。
例えば導電層802を走査線などの配線として、また導電層803を信号線などの配線と
して用いることができる。トップゲート構造では、導電層802と導電層803の間に位
置する絶縁層805の厚さを厚くすることが容易であるため、後述するボトムゲート構造
と比較して、導電層802と導電層803との間の寄生容量を小さくすることが可能とな
る。
【0420】
図34(B1)、(B2)、(B3)には、それぞれチャネルエッチ型のボトムゲート
構造の上面概略図と、チャネル長方向の断面概略図、及びチャネル幅方向の断面概略図を
示している。導電層802を覆って絶縁層804が設けられ、絶縁層804上に半導体層
801が設けられ、半導体層801の上面の一部と接して一対の導電層803が設けられ
、導電層803及び半導体層801を覆って絶縁層805が設けられている。
【0421】
ボトムゲート構造では、半導体層801と導電層803を直接接続することができるた
め、上述したトップゲート構造で必要であった絶縁層の開口部を形成する必要が無い。そ
のため工程が簡略化できる上に、トランジスタのサイズを小さくすることが容易である。
また、半導体層801と接する導電層803の一部と、導電層802とを重ねて配置する
ことが可能であるため、上述したトップゲート構造に比べてソース電極とドレイン電極の
間の距離を短くすることが容易である。
【0422】
一方、ボトムゲート構造では、トップゲート構造に比べて寄生容量を低減することが難
しいといった特徴もある。例えばソース電極とゲート電極、並びにドレイン電極とゲート
電極とが半導体層801を介して重なる部分に寄生容量が形成されてしまう。また、
図3
4(B4)にしめすように、導電層802と導電層803の間に設けられる絶縁層804
は、その厚さがトランジスタの電気特性に直接的に影響するため、その厚さを変更するこ
とは容易ではない。そのため、上述したトップゲート構造と比較して、導電層802と導
電層803の間の寄生容量を低減することが難しい。
【0423】
図35(A1)は、上記
図34(A1)で例示したトップゲート構造のトランジスタに
、導電層806を設けた例を示している。導電層806は、半導体層801を挟んで導電
層802とは反対側に位置し、その一部が第2のゲート電極として機能する。
【0424】
図35(A2)、(A3)にそれぞれ、トランジスタのチャネル長方向及びチャネル幅
方向の断面概略図を示す。導電層806を覆って絶縁層807が設けられ、絶縁層807
上に半導体層801が設けられている。半導体層801よりも上側の構成は、上記
図34
(A2)等と同様である。
【0425】
図35(A1)、(A3)に示すように、導電層802と導電層806とがこれらの間
に位置する絶縁層(絶縁層804及び絶縁層807)に設けられた開口を介して接続する
構成とすると、トランジスタをオン状態としたときに流すことのできる電流(オン電流と
もいう)を増大させることができるため好ましい。なお、導電層802と導電層806を
接続せずに、異なる電位を与えてトランジスタを駆動してもよい。これにより、トランジ
スタのしきい値電圧を制御することが可能となる。
【0426】
図35(A4)は、導電層806と導電層803の交差部の断面概略図である。導電層
806と導電層803の間には、絶縁層807、絶縁層804及び絶縁層805が設けら
れている。したがって、導電層806と導電層803を配線として用いることにより、こ
れらの間の寄生容量をより小さくすることが容易となる。
【0427】
高解像度の表示パネルでは、配線の交差部の数が増大するため、寄生容量の問題が生じ
やすい。さらに、高精細な表示パネルでは、配線の密度が高まるため、より配線間の寄生
容量が増大しやすくなる。また、寄生容量が増大すると、高周波駆動を実現することが困
難となる。したがって、
図34(A1)等に示す構造や、
図35(A1)等に示す構造は
、より表示パネルの高解像度化、高精細化、または高周波駆動を実現する用途に適してい
るといえる。
【0428】
図34(A1)等に示すトランジスタと、
図35(A1)等に示すトランジスタを、そ
れぞれ
図10に示す画素構成におけるトランジスタ61とトランジスタ62に適用した場
合、
図34(B1)等に示したチャネルエッチ型のボトムゲート構造のトランジスタを適
用した場合に比べて、ソース線(配線52a等)の寄生容量を約13%、ゲート線(配線
51a等)の寄生容量を約25%削減できると見積もることができる。
【0429】
[トランジスタ特性]
図35(A1)、(A2)、(A3)等に示す構造のトランジスタを作製し、該トラン
ジスタの電気特性を測定した結果を
図36に示す。ここでは、ゲート-ソース間電圧(V
g)を変化させながらソース-ドレイン間電流(Id)(Vg-Id特性ともいう)を測
定した。測定したトランジスタは、半導体層に結晶性の酸化物半導体が適用され、チャネ
ル長は2μm、チャネル幅は2μmである。
図36に示すように、チャネル長が極めて小
さいにも関わらず、良好な特性が得られている。
【0430】
図35(A1)、(A2)、(A3)で示したトランジスタの作製方法について説明す
る。
【0431】
トランジスタを支持する基板には、ガラス基板を用いた。
【0432】
導電層806には、それぞれスパッタリング法で成膜した厚さ約10nmのチタン膜と
、厚さ約300nmの銅膜の積層膜を用いた。
【0433】
絶縁層807には、それぞれプラズマCVD法により成膜した厚さ約400nmの窒化
シリコン膜と、厚さ約50nmの酸化窒化シリコン膜の積層膜を用いた。
【0434】
半導体層801には、スパッタリング法により成膜した厚さ約40nmのIGZO(I
n-Ga-Zn酸化物)膜を用いた。IGZO膜は、基板温度を170度とし、成膜ガス
にアルゴンガスと酸素ガスを1:1の割合で含むガスを用い、圧力を0.2Paとして成
膜した。スパッタリングターゲットとしては、InとGaとZnの比率が4:2:4.1
である金属酸化物ターゲットを用いた。
【0435】
絶縁層804には、プラズマCVD法により成膜した厚さ約150nmの酸化窒化シリ
コン膜を用いた。また絶縁層804の成膜後、窒素雰囲気中で350度、1時間の加熱処
理を行った。
【0436】
導電層802には、それぞれスパッタリング法により成膜した、厚さ約20nmのIG
ZO膜、厚さ約15nmのタングステン膜、及び厚さ約100nmのチタン膜の積層膜を
用いた。IGZO膜は、半導体層801と同様の組成の膜を用いた。ここで、IGZO膜
にタングステン膜を接して設けることにより当該IGZO膜の導電性が高まるため、当該
IGZO膜をゲート電極の一部として用いることができる。
【0437】
絶縁層805には、それぞれプラズマCVD法により成膜した厚さ約100nmの窒化
シリコン膜と、厚さ約300nmの酸化窒化シリコン膜の積層膜を用いた。ここで、半導
体層801の導電層802に覆われない部分に、水素を多く含む窒化シリコン膜を接して
成膜することにより、当該部分に水素が拡散し、自己整合的に低抵抗領域808を形成す
ることができる。
【0438】
導電層803には、それぞれスパッタリング法により成膜した、厚さ約35nmのチタ
ン膜と、厚さ約300nmの銅膜の積層膜を用いた。
【0439】
以上がトランジスタの作製方法の説明である。
【0440】
このようなトランジスタを表示装置の画素や駆動回路に用いることにより、高精細且つ
高解像度の表示装置を実現することができる。