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特開2023-164907歪み波動歯車と歪み波動歯車システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164907
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】歪み波動歯車と歪み波動歯車システム
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
F16H1/32 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023140972
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2020526139の分割
【原出願日】2018-11-15
(31)【優先権主張番号】17201940.8
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516266514
【氏名又は名称】ユニバーサル ロボッツ アクツイエセルスカプ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン、 ステフェン ヘンリク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低コストで高剛性、手動調整を必要としない歪み波動歯車を提供する。
【解決手段】歪み波動歯車は、外側リングと外側リング内に回転可能に配置された内側リングとを含む。内側リングは、内歯の歯車を含み、可撓性スプラインは内側リング内に配置され、外歯歯車を含む可撓性部を含む。波動発生機は、フレクスプラインに対して回転可能であり、可撓性部を半径方向に撓ませて、外歯の歯車を内歯の歯車と部分的に噛合させ、内側リングを外側リングに対して回転させるように構成される。前記内側リングの一部は、前記外側リングから外に延び、外側に突出する出力フランジを含む。エンコーダ読み取り装置は、外側リングに配置することができ、エンコーダトラックは、内側リングに配置することができる。歪み波動歯車を含むロボット関節も開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪み波動歯車であって、
・外側リングと、
・前記外側リング内に回転可能に配置された内側リングであって、内歯の歯車を含む内側
リングと、
・前記内側リング内に配置されたフレクスプラインであって、外歯の歯車を含む可撓性部
を含むフレクスプラインと、
・前記フレクスプライン内に配置されて前記フレクスプラインに対して回転可能な波動発
生機であって、前記外歯の歯車を前記内歯の歯車と部分的に噛合させるために、前記可撓
性部を半径方向に撓ませるように構成された波動発生機と
を含み、
前記波動発生機の回転により、前記歯車の噛合位置が周方向に移動して、前記内側リング
が前記外側リングに対して回転し、
前記内側リングの一部は、前記外側リングから外に延び、
前記内側リングの前記一部は、外側に突出する出力フランジを含む、歪み波動歯車。
【請求項2】
前記内側リングは、少なくとも1つの内部軸受を介して前記外側リング内に回転可能に配
置される、請求項1又は2に記載の歪み波動歯車。
【請求項3】
前記内部軸受のアウターレーサの少なくとも一部は、前記外側リングに配置される、請求
項2に記載の歪み波動歯車。
【請求項4】
前記内部軸受の前記インナーレーサは、別個の部品として形成され、
前記内側リングの一端は、前記インナーレーサに同軸に連結される、請求項2に記載の歪
み波動歯車。
【請求項5】
前記内部軸受の前記アウターレーサの少なくとも一部は、前記外側リングに一体に形成さ
れる、請求項2~4のいずれか一項に記載の歪み波動歯車。
【請求項6】
前記内側リングの少なくとも一部は、前記内部軸受の前記インナーレーサ内に配置される
、請求項2~5のいずれか一項に記載の歪み波動歯車。
【請求項7】
前記内部軸受の前記インナーレーサの少なくとも一部は、前記内側リングに一体に形成さ
れる、請求項2~6のいずれか一項に記載の歪み波動歯車。
【請求項8】
前記内側リングの少なくとも前記内歯の歯車及び前記出力フランジは、単一部品として製
造される、請求項1~7のいずれか一項に記載の歪み波動歯車。
【請求項9】
前記内部軸受の前記インナーレーサのうちの前記内側リングに一体に形成された前記一部
と、前記内歯の歯車と、前記内側リングの前記出力フランジとは、単一部品として製造さ
れる、請求項7に記載の歪み波動歯車。
【請求項10】
入力シャフトが、前記フレクスプライン内の前記波動発生機を回転させるように構成され

前記入力シャフトは、前記内側リングによって、少なくとも1つの支持軸受を介して回転
可能に支持される、請求項1~9のいずれか一項に記載の歪み波動歯車。
【請求項11】
前記内側リングは、前記支持軸受を支持するように構成された内側環状フランジを含む、
請求項10に記載の歪み波動歯車。
【請求項12】
前記入力シャフトは、前記支持軸受を支持するように構成された外側環状フランジを含む
、請求項10又は11に記載の歪み波動歯車。
【請求項13】
エンコーダ読み取り装置が、前記外側リングに配置され、
エンコーダトラックが、前記内側リングに配置される、請求項1~12のいずれか一項に
記載の歪み波動歯車。
【請求項14】
ロボットアームのロボット関節であって、
前記ロボット関節は、出力フランジを介して少なくとも別のロボット関節に連結可能であ
り、
前記ロボット関節は、ロボット関節ハウジングに配置された関節モータを含み、
前記関節モータは、モータ軸のまわりに回転可能なモータアクスルを有し、
前記モータアクスルは、歪み波動歯車を介して、前記出力フランジを前記ハウジングに対
して回転させるように構成され、
前記モータアクスルは、前記歪み波動歯車の波動発生機を回転させるように構成され、
前記歪み波動歯車は、請求項1~13のいずれか一項に記載の歪み波動歯車であることを
特徴とする、ロボット関節。
【請求項15】
前記ロボットハウジングは、少なくとも別のロボット関節の前記出力フランジに連結され
るように構成された入力フランジを含む、請求項14に記載のロボット関節。
【請求項16】
歪み波動歯車駆動体であって、
・外側リングと、
・前記外側リング内に回転可能に配置された内側リングであって、内歯の歯車を含む内側
リングと、
・前記内側リング内に配置されたフレクスプラインであって、外歯の歯車を含む可撓性部
を含むフレクスプラインと、
前記フレクスプライン内に配置されて前記フレクスプラインに対して回転可能な波動発生
機であって、前記可撓性部を半径方向に撓ませて、前記外歯の歯車を前記内歯の歯車と部
分的に噛合させるように構成された波動発生機と
を含み、
前記波動発生機の回転により、前記歯車の噛合位置が周方向に移動して、前記内側リング
が前記外側リングに対して回転し、
エンコーダ読み取り装置が前記外側リングに配置され、
エンコーダトラックが前記内側リングに配置される、歪み波動歯車駆動体。
【請求項17】
前記内側リングは、前記エンコーダトラックを支持するように構成された少なくとも1つ
の外側環状フランジを含む、請求項16に記載の歪み波動歯車。
【請求項18】
前記外側リングは、前記エンコーダ読み取り装置を支持するように構成された少なくとも
1つの内側環状フランジを含む、請求項16又は17に記載の歪み波動歯車。
【請求項19】
前記エンコーダ読み取り装置及び前記エンコーダトラックは、前記歪み波動歯車内に配置
される、請求項16~18のいずれか一項に記載の歪み波動歯車。
【請求項20】
前記内側リングの一部は、前記外側リングから外に延び、
前記内側リングの前記一部は、外側に突出する出力フランジを含む、請求項16~19の
いずれか一項に記載の歪み波動歯車。
【請求項21】
ロボットアームのロボット関節であって、
前記ロボット関節は、出力フランジを介して少なくとも別のロボット関節に連結可能であ
り、
前記ロボット関節は、ロボット関節ハウジングに配置された関節モータを含み、
前記関節モータは、モータ軸のまわりに回転可能なモータアクスルを有し、
前記モータアクスルは、歪み波動歯車を介して、前記出力フランジを前記ハウジングに対
して回転させるように構成され、
前記モータアクスルは、前記歪み波動歯車の波動発生機を回転させるように構成され、
前記歪み波動歯車は、請求項16~20のいずれか一項に記載の歪み波動歯車であること
を特徴とする、ロボット関節。
【請求項22】
前記ロボットハウジングは、少なくとも別のロボット関節の前記出力フランジに連結され
るように構成された入力フランジを含む、請求項21に記載のロボット関節。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット関節用の歪み波動歯車に関する。歪み波動歯車は、外側リングと外
側リング内に回転可能に配置された内側リングとを含み、内側リングは、内歯歯車を含み
、フレクスプラインは内側リング内に配置され、外歯歯車を含む可撓性部を含む。波動発
生機は、可撓性部を半径方向に撓ませて、外歯歯車を内歯歯車に部分的に噛合させ、内側
リングを外側リングに対して回転させるように構成される。歪み波動歯車は、コスト効率
よく作製することができ、部品がより少なく、より組み立てやすく、コンパクト且つ小型
であり、高い剛性を有する。さらに、本発明は、歯車の出力部の位置を読み取るために、
歯車内に配置されたエンコーダを有する歪み波動歯車に関する。本発明はまた、ロボット
モータが、上記の歪み波動歯車を介して出力フランジを回転させるように構成されるロボ
ット関節に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットアームが、ロボットアームの様々な部分を連結する複数のロボット関節を含み
、関節モータが、その部分を互いに対して移動させるように構成されるロボット工学の分
野において、歪み波動歯車は、バックラッシュなしに大きな力を伝達するので、関節モー
タと可動部との間の伝動システムとして歪み波動歯車を使用することは公知である。
【0003】
先行技術は、可撓性外歯車を有する波動歯車駆動体を開示している。通常、そのような
可撓性外歯車は、フレクスプラインと、本体(シルクハット又はカップタイプと呼ばれる
ことが多い)の一方の開口端から半径方向外側に、又は半径方向内側に延びる円形ダイヤ
フラムと、ダイヤフラムの円周外縁に一体に形成された円形ボスと、本体の他方の開口端
部分の円周外面に形成された外歯とを含む。時には、歪み波動歯車は、可撓性歯車部を外
歯付きの円筒リングとして(このタイプはリング型歯車と呼ばれることが多い)設計され
る。
【0004】
歪み波動歯車は、CNCマシン、ロボット工学、人工衛星、太陽追尾装置などの様々な
用途で使用される。歪み波動歯車は、バックラッシュが小さいか、又はほとんどなく、き
わめて高精度であり、したがって、多くの場合、出力の高い精度及び正確性が必要とされ
る用途が好ましい。これらの用途では、多くの場合、歪み波動歯車の入力側を駆動する電
気モータを動かす制御用電子回路に接続された、電子エンコーダなどのフィードバックシ
ステムが使用される。
【0005】
この構成は、高い精度及び正確性で歯車の出力を制御することを可能にする。通常、エ
ンコーダ用の読み取りトラックは、出力アクスルの平坦な端面又は外径部にある、歪み波
動歯車の出力部のどこかに配置される。エンコーダ読み取りヘッドは、通常、何らかの外
歯車幾何形状部、又は歪み波動歯車を保持するハウジング/キャビネットに配置される。
この手法は通常、エンコーダ読み取りヘッドを読み取りトラックに対して適切に配置する
ための調整を必要とする。エンコーダ技術は、磁気式、光学式、誘導式などとすることが
できる。しばしば使用される別の手法は、エンコーダ用のプラットフォーム/軸受機構を
歪み波動歯車の出力側からエンコーダの読み取りトラックまでのフレキシブル機構/アク
スルと共に作製することである。この方法では、エンコーダ読み取りトラックに対するエ
ンコーダ読み取りトラックの位置は、プラットフォームによって定位置に保持された別個
の軸受で制御することができる。この手法は、多くの余分な部品を必要とし、これらの余
分な部品はコストを増やし、空間を必要とし、部品の品質又は精度が制御範囲外になった
場合に、機能しなくなる可能性がある。
【0006】
歪み波動歯車は通常、いくつかの別個の部分から構築される、又は組み立てられる。す
なわち、出力軸受部は、別個の円形スプライン部と共に、さらに、別個の出力フランジ部
と共に組み立てられる。この手法は、様々な出力軸受及び様々な出力フランジを円形スプ
ラインと組み合わせることで、各部分を様々な用途に適合させることを可能にする。時に
は、出力軸受部が円形スプライン部との組み合わせ部として機械加工されることもあった
。別個の構成要素を使用する欠点は、歪み波動歯車アセンブリにかかる、通常は重度の負
荷を支持するために、これらの別個の構成要素の組立が、各部分の接合部の高い精度と多
数の強力ねじとを必要とすることである。
【0007】
米国特許第5,906,142号明細書は、第1及び第2の端部プレートを有する波動
歯車駆動体を開示しており、第1及び第2の端部プレートは、プレート間に配置されたク
ロスころ軸受を用いて、互いに対して回転するように構成される。クロスころ軸受のイン
ナーレースは、内周面で内歯車と一体に形成される。インナーレースは、第1の端部プレ
ートに直接固定され、一方、クロスころ軸受のアウターレースは、可撓性の外歯車の円形
ボスが、アウターレースと第2の端部プレートとの間に保持されるように第2の端部プレ
ートに固定される。内歯は、クロスころ軸受の軌道の半径方向内側辺りに配置される。し
たがって、波動歯車駆動体(1)は、小型且つコンパクトであり、剛性が高まる。
【0008】
米国特許第5,775,178号明細書は、円形スプラインと、円形スプライン内に配
置されたフレクスプラインと、フレクスプラインを半径方向に撓ませて、フレクスプライ
ンに形成された外歯を円形スプラインに形成された内歯と部分的に係合させ、係合位置を
周方向にシフトさせて、円形スプラインとフレクスプラインとの間の内歯と外歯との歯数
の差に応じて相対回転を引き起こすために、フレクスプライン内に配置された波動発生機
とを有する波動歯車装置を開示している。円形スプラインは、その内周面に沿って内歯を
形成された環状の剛性歯部分と、装置ハウジングと装置ハウジングに回転可能に支持され
た支持部材との一方に堅固に固定された留め部分と、剛性歯部分及び留め部分を連結する
連結部分とを有する。連結部分は、装置の軸の方向と軸に垂直な方向との少なくとも一方
において、剛性歯部分の剛性と比較して剛性が低い。
【0009】
米国特許第8,991,282号明細書は、第1及び第2の入力軸受によって、中心軸
に沿って配置された入力シャフトを有する波動歯車ユニットを開示している。第1の入力
軸受側の第1のユニット端部プレートは、鉄系材料からなる軸受ハウジング部材が、軽量
材料からなる端部プレート本体部材と一体化された複合部材である。第2の入力軸受側の
第2のユニット端部プレートは、剛性の内歯歯車と一体化され、軽量材料からなる第2の
部材が、軽量材料からなる第1の部材と一体化された複合部材である。第1の部材は、第
2のユニット端部プレートの端部プレート本体部分と、剛性の内歯歯車の歯車本体部分と
を有し、一方、第2の部材は、第2のユニット端部プレートの軸受ハウジング部分と、剛
性の内歯歯車の歯形成部分とを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、例えば、コスト効率がより高く、より少ない部品で構築することがで
き、出力部にかかるより高い負荷に対処することができ、剛性を高めた歪み波動歯車を提
供することで、先行技術に関する上記の限界、又はロボットアームに使用される先行技術
の歪み波動歯車の他の問題に対処することである。また、本発明の目的は、先行技術の問
題解決策よりも高精度のエンコーダを有し、読み取りヘッドと読み取りトラックとの間の
半径方向又は軸方向の距離に対する手動調整を必要としない歪み波動歯車を提供すること
である。これは、独立請求項によって規定された通りの歪み波動歯車によって達成される
。従属請求項は、歪み波動歯車の可能な実施形態について記述している。本発明の利点及
び利益は、本発明の詳細な説明で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の態様による歪み波動歯車の実施形態の簡略化した断面図を示している。
図2】本発明の第1の態様による歪み波動歯車の様々な実施形態の簡略化した断面図を示している。
図3】本発明の第1の態様による歪み波動歯車の様々な実施形態の簡略化した断面図を示している。
図4】本発明の第1の態様による歪み波動歯車の様々な実施形態の簡略化した断面図を示している。
図5】本発明の第1の態様による歪み波動歯車の様々な実施形態の簡略化した断面図を示している。
図6】本発明の第1の態様による歪み波動歯車の様々な実施形態の簡略化した断面図を示している。
図7】本発明の第2の態様による歪み波動歯車の実施形態の簡略化した断面図を示している。
図8】本発明の第2の態様による歪み波動歯車の様々な実施形態の簡略化した断面図を示している。
図9】本発明の第2の態様による歪み波動歯車の様々な実施形態の簡略化した断面図を示している。
図10】本発明の第2の態様による歪み波動歯車の様々な実施形態の簡略化した断面図を示している。
図11A-11B】本発明による歪み波動歯車を示している。
図12A】本発明による歪み波動歯車を示している。
図12B】本発明による歪み波動歯車を示している。
図13】本発明による歪み波動歯車を含むロボット関節を示している。
図14A-14B】本発明による波動歯車駆動体の代替例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、本発明の原理を説明することのみを意図された例示的な実施形態に照らして
説明される。当業者は、特許請求の範囲内のいくつかの実施形態を提示することができる
であろう。説明全体を通して、同様の効果をもたらす同様の要素の参照番号は、下2桁が
同じである。さらに、当然のことながら、実施形態が複数の同じ特徴部を含む場合に、特
徴部の一部だけが参照番号を付けられることがある。
【0013】
図1は、本発明の第1の態様による歪み波動歯車101の簡略化した断面図を示してい
る。歪み波動歯車は、外側リング102、内側リング103、フレクスプライン104、
及び波動発生機105を含む。
【0014】
外側リング102は、環状成形体として形成され、内側リング103は、外側リングの
中心開口に回転可能に配置されている。図示した実施形態では、外側リングは円筒として
形成されているが、内側リング103を外側リングの中心開口に回転可能に配置できるな
らば、外側リングは、幾何学的な円筒又は環として形成される必要はないことを指摘して
おく。したがって、外側リングは、多数の異なる形態を有することができる。外側リング
は、歪み波動歯車のハウジングとして機能し、例えば、歪み波動歯車をモータに対して、
又はロボット関節内に固定するために使用することができる。
【0015】
内側リング103は、環状成形体として形成され、フレクスプライン104は、内側リ
ングの中心開口に配置されている。図示した実施形態では、内側リングのうちの外側リン
グ内に配置された部分は、円筒として形成されている。しかし、内側リング103を外側
リングの中心開口に回転可能に配置できるならば、内側リングは、幾何学的な円筒又は環
として形成される必要はないことを指摘しておく。したがって、内側リングは、多数の異
なる形態を有することができる。内側リング103はまた、内側リングの内壁に配置し、
内側リングの中心開口の方を向いた内歯歯車106を含む。図示した実施形態では、内側
リングは、内部軸受107を介して外側リング内に回転可能に配置されている。
【0016】
内部軸受は、外側リング102に配置されたアウターレーサ113と内側リング103
が中に配置されたインナーレーサ114とを含む玉軸受として示されている。しかし、当
然のことながら、任意の種類の軸受、例えば、玉軸受、クロスころ軸受、ニードル軸受、
滑り軸受など、又は内側リングが外側リングに対して回転するのを可能にする他の任意の
機構を使用することができる。1つを超える内部軸受を設けることができることも指摘し
ておく。
【0017】
フレクスプライン104は、内側リング内に配置された可撓性円筒体として形成され、
外歯歯車108を含む。外歯歯車は、内歯歯車106と少なくとも部分的に噛合するよう
に構成されている。フレクスプラインは、円筒体と一体に形成され、円筒体に対して外側
に延びる環状ダイヤフラム109を含む。環状ダイヤフラム109は、ダイヤフラムの円
周外縁部に一体に形成された環状ボス110を含む。環状ボス110は、ねじ、リベット
、釘、クリック/スナップ機構、接着剤、溶接、又は環状ボスを外側リングに留める他の
任意の種類の手段などの任意の種類の留め具を使用して、外側リング102に固定される
。したがって、内側リングは、外側リング102とフレクスプライン104の円筒体との
間に配置されている。外歯108は、円筒体の他端に形成され、外周面に沿って延びてい
る。
【0018】
波動発生機105は、フレクスプライン104内に回転可能に配置され、入力シャフト
111によって回転することができる。入力シャフトは、波動発生機をフレクスプライン
に対して回転させるように構成され、波動発生機は、回転時に可撓性円筒体を半径方向に
撓ませて、外歯歯車108を内歯歯車106と部分的に噛合させるように構成されている
。波動発生機は、例えば、楕円形の剛性カム、楕円形の波動軸受、又は円筒体の一部を半
径方向に撓ませるように構成された他の任意の機構として形成することができる。内歯歯
車及び外歯歯車の歯数は異なっており、波動発生機の回転により、歯車の噛合位置が周方
向に移動して、内側リングを外側リングに対して回転させる。入力シャフトは、例えば、
モータによって駆動することができ、それにより、歪み波動歯車は、モータと歪み波動歯
車の出力側との間で伝動システムを形成する。
【0019】
内側リングの一部は、前記外側リングから外に延び、外側に突出する出力フランジ11
2を含む。外側に突出する出力フランジは、内側リングに対して外側に、外側リングに向
かって延びている。内側リングに外側に突出する出力フランジを設けることで、歪み波動
歯車によって駆動される物体に歪み波動歯車を直接連結することが可能になる。これは、
歪み波動歯車が、ロボットアームの一部を駆動するのに頻繁に使用されるロボット工学分
野において有益であり、したがって、本発明の第1の態様による歪み波動歯車は、ロボッ
トリンク又はロボット関節に直接連結することができる。外側に突出する出力フランジは
、接触面の直径を大きくするのを可能にし、それにより、歪み波動歯車と歪み波動歯車に
よって駆動される物体との間で、より良好でより信頼性の高い、安定した接触を得ること
ができる。さらに、外側に突出する出力フランジには、連結歯、連結フランジ、連結され
る物体の歪み波動歯車に対する正確な向きを保証する指示要素(例えば、合わせ面構造)
などの、歪み波動歯車と、連結される物体との間のより良好な連結を保証する機械要素を
設けることができる。例えば、一実施形態では、外側に突出する出力フランジは、参照に
より本明細書に援用される国際公開第2018/130447号パンフレットで開示され
た解放可能な関節アセンブリの構成要素フランジの1つとして形成することができる。
【0020】
外側に突出する出力フランジは、内歯歯車を含む内側リングと一体化され、したがって
、別個の部品が互いにねじ留めされることから生じる組立公差が存在しないので、外側に
突出する出力フランジの幾何学配置/形状は、きわめて正確に、歯車軸に対して中心に置
くことができる。歯車は、別個の部品を組み立てるためのねじが必要とされないので、よ
り容易に、かつより速く組み立つ。ねじが破断する、又は緩くなるリスクがなく、ねじが
適切に締め付けられない場合にフランジがスリップするリスクがないので、歯車の品質及
び信頼性はより高い。さらに、これにより、より剛性の高い歪み波動歯車が、内側リング
の回転歯車として形成され、外側に突出する出力フランジは、歯車から出力フランジへの
トルクのより直接的な伝達を保証する1つの単体として形成することができる。したがっ
て、ロボットアームの様々な部分間に、より剛性の高い連結を確立することができる。
【0021】
さらに、別個の部品は、支持用幾何形状部及びセンタリングリムを形成するのに過剰な
材料を必要とするが、部品の一体化は、強度に対して最適化できるので、且つねじが必要
とされないので、歪み波動歯車の重量は軽くなる。製造される部品がより少なく、使用さ
れる材料がより少ないので、歪み波動歯車のコストが低くなる。外側に突出する出力フラ
ンジは、内側リングの一体部品として形成することができるので、歪み波動歯車は、外側
に突出する出力フランジにかかるより高い負荷を駆動することができる。このように、本
発明の第1の態様による歪み波動歯車は、コスト効率がより高く、少ない部品で構築する
ことができ、出力部にかかるより高い負荷に対処することができ、剛性を高めた歪み波動
歯車を形成する。
【0022】
図2は、本発明の第1の態様による歪み波動歯車201の別の実施形態の簡略化した断
面図を示している。歪み波動歯車201は、図1に示す歪み波動歯車101と同様であり
、同様の要素は、図1に示すのと同じ参照番号を付与され、さらに説明されない。この実
施形態では、内部軸受207のアウターレーサ213の少なくとも一部は、外側リング2
02に一体に形成され、内部軸受のインナーレーサ214は、内側リング103が中に配
置された別個の部品として形成されている。アウターレーサは、例えば、外側リング内の
凹部として形成され、この凹部は、内部軸受の回転要素を案内するように構成されている
。これは、内側リング及び外側リングを互いにより接近して配置することを可能にし、そ
れにより、よりコンパクトな歪み波動歯車を形成することができる。
【0023】
図3は、本発明の第1の態様による歪み波動歯車301の別の実施形態の簡略化した断
面図を示している。歪み波動歯車301は、図1~2に示す歪み波動歯車101、201
と同様であり、同様の要素は、同じ参照番号を付与され、さらに説明されない。この実施
形態では、内部軸受307のインナーレーサ314は、別個の部品として形成され、内側
リング303の一端は、インナーレーサに同軸に連結されている。したがって、内側リン
グ303及びインナーレーサ314は、内側リングの回転軸に沿って連続的に配置されて
いる。内側リング303及びインナーレーサ314は、ねじ、リベット、釘、クリック/
スナップ機構、接着剤、溶接、圧力ばめ、又は内側リング303及びインナーレーサ31
4を互いに対して固定する他の任意の種類の手段などの任意の種類の留め具を使用して連
結することができる。これは、内側リング及びインナーレーサ接合体を1つの本体/部品
として形成することを可能にし、インナーレーサ及び内側リングは異なる材料で作製する
ことができる。これは、内側リングの外面とインナーレーサとを揃えることができること
から、内側リング及びインナーレーサの半径方向寸法を縮小することを可能にする。その
結果、内側リング及び外側リングは、互いにきわめて接近して配置することができ、それ
により、よりコンパクトな歪み波動歯車を形成することができる。この実施形態では、内
側リング303の内歯歯車106及び外側に突出するフランジ112は単一部品として製
造される。これにより、歪み波動歯車の出力側は、歯車と外側に突出する出力フランジと
が単一体として形成されることから剛性がより高くなる。内側リングの回転を引き起こす
力は、フレクスプラインによって、内側リングの内歯歯車に直接加えられ、したがって、
外側に突出する出力フランジに直接伝達することができる。
【0024】
図4は、本発明の第1の態様による歪み波動歯車401の別の実施形態の簡略化した断
面図を示している。歪み波動歯車401は、図1~2に示す歪み波動歯車101、201
と同様であり、同様の要素は、同じ参照番号を付与され、さらに説明されない。この実施
形態では、内部軸受407のアウターレーサ213の少なくとも一部は、外側リング20
2に一体に形成され、内部軸受のインナーレーサ414は、内側リング403に一体に形
成されている。これは、内側リング及び外側リングを互いにきわめて接近して配置するこ
とを可能にし、それにより、よりコンパクトな歪み波動歯車を形成することができる。さ
らに、これは、内部軸受407のアウターレーサ213及びインナーレーサ414が、そ
れぞれ外側リング202及び内側リング403の一体部品として形成されることから、組
み立てられる必要がある要素数を減らすことを可能にする。言い換えると、外側リングは
、歪み波動歯車の内部軸受のアウターレーサを形成し、内側リングは、歪み波動歯車の内
部軸受のインナーレーサを形成している。したがって、内部軸受のインナーレーサと、内
歯歯車と、外側に突出する出力フランジとは、単一部品として製造することができる。
【0025】
図5は、本発明の第1の態様による歪み波動歯車501の別の実施形態の簡略化した断
面図を示している。歪み波動歯車501は、図1に示す歪み波動歯車101と同様であり
、同様の要素は、図1に示すのと同じ参照番号を付与され、さらに説明されない。この実
施形態では、入力シャフト511はフレクスプライン104を貫通し、内側リング103
によって、少なくとも1つの入力シャフト支持軸受516を介して回転可能に支持されて
いる。入力シャフト支持軸受516は、内側リング103に配置されたアウターレーサ5
17と入力シャフト511が中に配置されたインナーレーサ518とを含む。入力シャフ
ト511は、中実の入力シャフトとして図示されているが、当然のことながら、入力シャ
フトは、例えば、歪み波動歯車の重量を減らすために、又はワイヤが歪み波動歯車を貫通
するのを可能にするために、中空の入力シャフトとして形成することもできる。
【0026】
図6は、本発明の第1の態様による歪み波動歯車601の別の実施形態の簡略化した断
面図を示している。歪み波動歯車601は、図1~5に示す歪み波動歯車と同様であり、
同様の要素は、同じ参照番号を付与され、さらに説明されない。入力シャフト611は、
中空の入力シャフトとして形成され、内側リング603は、入力シャフト支持軸受516
を支持するように構成された内側環状フランジ620を含む。これは、入力シャフト61
1が、歪み波動歯車の内部の適切な位置に配置されることを保証する。さらに、内側環状
フランジは、入力シャフト支持軸受の適切な配置を保証するガイドとして使用できるので
、歪み波動歯車の組立時に役立つ。同様に、入力シャフト611は、入力シャフト支持軸
受516を支持するように構成された外側環状フランジ(図示せず)を含むことができる
ことを指摘しておく。
【0027】
図1~4に関連して図示及び説明した内部軸受107、207、307、407の様々
な実施形態は、図5~6に示す、入力シャフトを支持する支持軸受を含む実施形態と組み
合わせることもできる。
【0028】
図7は、本発明の第2の態様による歪み波動歯車701の簡略化した断面図を示してい
る。歪み波動歯車701は、図1に示す歪み波動歯車101と同様であり、同様の要素は
図1に示すのと同じ参照番号を付与され、さらに説明されない。この実施形態では、エ
ンコーダ読み取り装置722は、外側リング102に配置され、エンコーダトラック72
3は、内側リング103に配置されている。これは、エンコーダ部品を配置するのに、歪
み波動歯車のすでにきわめて高精度の内側リング103及び外側リング102を使用する
。固定された外側リング102にエンコーダ読み取り装置722を配置し、回転する内側
リング103にエンコーダトラック723を配置することで、余分な部品の必要性がなく
なり、エンコーダ読み取り装置とエンコーダトラックとの間の公差連鎖が可能な限り短く
なる。例えば、磁気式エンコーダは、高い正確性及び精度を発揮するのに読み取り距離の
短さに依存し、この短い読み取り距離は、組立後の余分な手動調整を必要とすることなく
、本発明を用いて可能である。
【0029】
エンコーダ読み取り装置722及びエンコーダトラック723は、特別なプラットフォ
ーム/ブラケット又は他の支持部を必要とすることなく、内側リング及び外側リング部に
直接取り付けることができる。これは、重量及びコストを節減する。エンコーダ読み取り
装置とエンコーダトラックとの間の読み取り距離は、手動調整を必要とすることなくきわ
めて正確である。これは、組立がより容易になり、コストがより低くなることから有益で
ある。エンコーダ読み取りの精度及び正確性は、エンコーダ部品間の読み取り距離が的確
に制御されるために他の構造よりも高くすることができる。これは、精度及び正確性が必
要とされるロボット工学などの多数の用途において大きな利点である。機械式伝動部品が
エンコーダトラックを歯車からの出力部に対して相対動作させることは、コストの増大及
び品質問題に加えて、精度及び正確性の低下をもたらすが、この機械式伝動部品による駆
動の必要がない。エンコーダ部品は、歯車内に置かれることで機械的に十分に保護される
。これは、壊れやすい電子回路に損傷を与えることがある過酷な環境での用途において有
益である。エンコーダトラック723は、精度及び正確性を高める大直径とすることがで
きる。
【0030】
エンコーダ読み取り装置は、行き来する信号を制御し、読み取るための電子回路を含む
エンコーダPCB(印刷回路板)724とエンコーダヘッド725とを含む。エンコーダ
トラック723は、エンコーダヘッドによって読み取ることができる複数のインジケータ
を含み、それにより、エンコーダ読み取り装置は、外側リングに対する内側リングの位置
を得ることができる。例えば、エンコーダヘッドは、磁気式エンコーダトラックを読み取
ることができる磁気式ヘッド(ホールセンサなど)、光学式トラックを読み取ることがで
きる光センサとすることができる。図示した実施形態では、エンコーダPCB724は、
環状ボス110が外側リング102に固定された端部とは反対側の外側リングの端部に配
置されている。エンコーダヘッド725は、エンコーダPCBに配置され、内側リングの
外面の方を向いている。エンコーダトラック723は、エンコーダヘッド725に対向す
る位置で、内側リングの外面に配置されている。
【0031】
図8は、本発明の第2の態様による歪み波動歯車801の別の実施形態の簡略化した断
面図を示している。歪み波動歯車801は、図7に示す歪み波動歯車701と同様であり
、同様の要素は、図1に示すのと同じ参照番号を付与され、さらに説明されない。エンコ
ーダ読み取り装置822、エンコーダPCB824、エンコーダヘッド825、エンコー
ダトラック823は、すでに説明したエンコーダ読み取り装置722、エンコーダPCB
724、エンコーダヘッド725、エンコーダトラック723と同様に機能し、これらの
機能はさらに説明されない。
【0032】
この実施形態では、エンコーダPCB824は、環状ボス110が外側リング102に
固定された端部とは反対側の外側リング102の端部に配置されている。エンコーダトラ
ック824は環として形成され、内側リング802の外側環状フランジ827に配置され
ている。内側リングの外側環状フランジ827は、環状ボス110が外側リング802に
取り付けられた歪み波動歯車の端部から離れる方を向いた面を含む。エンコーダヘッド8
25は、エンコーダPCB824に配置され、環状ボス110が外側リングに取り付けら
れた歪み波動歯車の端部から離れる方を向いた外側環状フランジの対向する面の方を向い
ている。したがって、エンコーダヘッドは、環状エンコーダトラック823に対向し、環
状エンコーダトラックのインジケータを読み取ることができる。これは、通常、環状エン
コーダトラックを含む標準的なエンコーダを使用することを可能にする。
【0033】
図9は、本発明の第2の態様による歪み波動歯車901の別の実施形態の簡略化した断
面図を示している。歪み波動歯車901は、図7及び図8に示す歪み波動歯車701、8
01と同様であり、同様の要素は、同じ参照番号を付与され、さらに説明されない。
【0034】
この実施形態では、エンコーダ読み取り装置822は、外側リング902の内側環状フ
ランジ928に配置されている。外側リングの内側環状フランジ928は、環状ボス11
0が外側リング902に取り付けられた端部から離れる方を向いた面を含み、エンコーダ
PCB824は、環状ボス110が外側リング802に取り付けられた端部から離れる方
を向いた内側環状フランジ928の面に配置されている。
【0035】
図10は、本発明の第2の態様による歪み波動歯車1001の別の実施形態の簡略化し
た断面図を示している。歪み波動歯車1001は、図7に示す歪み波動歯車701と同様
であり、同様の要素は、図7に示すのと同じ参照番号を付与され、さらに説明されない。
エンコーダ読み取り装置1022、エンコーダPCB1024、エンコーダヘッド102
5、エンコーダトラック1023は、すでに説明したエンコーダ読み取り装置722、エ
ンコーダPCB724、エンコーダヘッド725、エンコーダトラック723と同様に機
能し、これらの機能はさらに説明されない。
【0036】
この実施形態では、エンコーダ読み取り装置1022は、外側リング1002の内側環
状フランジ1028に配置されている。外側リングの内側環状フランジ1028は、環状
ボス110が外側リング1002に取り付けられた端部の方を向いた面を含み、エンコー
ダPCB1024は、環状ボス110が外側リング802に取り付けられた端部の方を向
いた内側環状フランジ1028の面に配置されている。エンコーダトラック1025は環
として形成され、内側リング1002の外側環状フランジ1027に配置されている。内
側リングの外側環状フランジ1027は、環状ボス110が外側リング1002に取り付
けられた歪み波動歯車の端部の方を向いた面を含む。エンコーダヘッド1025は、エン
コーダPCB1024に配置され、環状ボス110が外側リングに取り付けられた歪み波
動歯車の端部の方を向いた外側環状フランジの対向する面の方を向いている。或いは、環
状エンコーダトラック1023は、ボス110が外側リングに取り付けられた歪み波動歯
車の端部の方を向いた内側リングの端面に配置することができることを指摘しておく。
【0037】
図11A及び図11Bは、本発明による歪み波動歯車1101を示し、図11Aは、歪
み波動歯車の半分が切り取られた歪み波動歯車の斜視図であり、図11Bは、歪み波動歯
車の半分の断面図である。歪み波動歯車は、外側リング1102、内側リング1103、
フレクスプライン1104、及び波動発生機1105を含む。
【0038】
すでに説明したように、外側リング1102及び外側リング1103は、環状成形体と
して形成されている。内側イング1103は、外側リング1102の中心開口に回転可能
に配置され、フレクスプライン1104は、内側リング1102の中心開口に配置されて
いる。内側リング1103は、内側リングの内壁に配置し、内側リングの中心開口の方を
向いた内歯歯車1106を含む。内側リングは、内部軸受1107を介して外側リング内
に回転可能に配置されている。内部軸受1107は、アウターレーサ1113が外側リン
グ1102に一体に形成され、インナーレーサが内側リング1103に一体に形成された
クロスころ軸受として具現化されている。フレクスプライン1104は、内側リング内に
配置された可撓性円筒体として形成され、外歯歯車1108を含む。外歯歯車は、内歯歯
車1106と少なくとも部分的に噛合するように構成されている。フレクスプラインは、
円筒体と一体に形成され、円筒体に対して外側に延びる環状ダイヤフラム1109を含む
。環状ダイヤフラム1109は、ダイヤフラムの円周外縁部に一体に形成された環状ボス
1110を含む。環状ボス1110は、ねじ、リベット、釘、クリック/スナップ機構、
接着剤、溶接、又は環状ボスを外側リングに留める他の任意の種類の手段などの任意の種
類の留め具を使用して、外側リング1102に固定される。したがって、内側リングは、
外側リング1102とフレクスプライン1104の円筒体との間に配置されている。外歯
1108は、円筒体の他端に形成され、円筒体の外周面に沿って延びている。波動発生機
1105は、フレクスプライン1104内に回転可能に配置され、中空の入力シャフト1
111によって回転することができる。入力シャフトは、波動発生機をフレクスプライン
に対して回転させるように構成され、波動発生機は、回転時に可撓性円筒体を半径方向に
撓ませて、外歯歯車1108を内歯歯車1106と部分的に噛合させるように構成されて
いる。図示した実施形態では、波動発生機は、歪み波動歯車の技術分野において公知のよ
うに、楕円波動発生機として形成されている。内歯歯車及び外歯歯車の歯数は異なってお
り、波動発生機の回転により、歯車の噛合位置が周方向に移動して、内側リングを外側リ
ングに対して回転させる。入力シャフトは、例えば、モータによって駆動することができ
、それにより、歪み波動歯車は、モータと歪み波動歯車の出力側との間で伝動システムを
形成する。
【0039】
内側リングの一部は、前記外側リングから外に延び、外側に突出する出力フランジ11
12を含む。外側に突出する出力フランジは、内側リングに対して外側に、外側リングに
向かって延びている。内側リングに外側に突出する出力フランジを設けることで、歪み波
動歯車によって駆動される物体に歪み波動歯車を直接連結することが可能になり、それに
より、すでに説明した利点および利益を達成することができる。この実施形態では、外側
に突出する出力フランジは、参照により本明細書に援用される国際公開第2018/13
0447号パンフレットで開示された解放可能な関節アセンブリの構成要素フランジの1
つとして形成されている。
【0040】
入力シャフト1111は、フレクスプライン1104を貫通し、内側リング1103に
よって、入力シャフト支持軸受1116を介して回転可能に支持されている。入力シャフ
ト支持軸受1116は、内側リング1103に配置されたアウターレーサ1117と入力
シャフト111が中に配置されたインナーレーサ1118とを含む。内側リング1103
は、入力シャフト支持軸受1116を支持するように構成された内側環状フランジ112
0を含み、入力シャフト1111は、入力シャフト支持軸受1116を支持するように構
成された外側環状フランジ1121を含むことができる。これは、入力シャフト1111
が、歪み波動歯車内の適切な位置に配置されることを保証する。シール1119は、内側
リング1102と外側リング1103との間に配置されて、内部軸受1107内にある潤
滑剤が漏出するのを防止する。シールは、歪み波動歯車で公知の任意の種類のシールとし
て形成することができる。
【0041】
歪み波動歯車1101は、外側リング1102に配置されたエンコーダ読み取り装置1
122と、内側リング1103に配置されたエンコーダトラック1123とを含み、エン
コーダ読み取り装置は、エンコーダヘッド1125との間を行き来する信号を制御し、読
み取るための電子回路を含むエンコーダPCB(印刷回路板)を含む。外側リング110
2の固定部にエンコーダ読み取り装置1122を配置し、回転する内側リング1103に
エンコーダトラック1132を配置することで、余分な部品の必要性がなくなり、エンコ
ーダ部品間の公差連鎖が可能な限り短くなる。特に、磁気式エンコーダは、高い正確性及
び精度を発揮するのに読み取り距離の短さに依存し、この短い読み取り距離は、組立後の
余分な手動調整を必要とすることなく、本発明を用いて可能である。この実施形態では、
電子エンコーダ部品(エンコーダ読み取り装置1122及びエンコーダトラック1123
)は、歪み波動歯車内に配置され、これは異例であり、その理由は、エンコーダ部品が、
通常オイル又はグリースを充填された空洞にあるからである。しかし、これは、適切なオ
イル又はグリースを使用し、電子回路を適切に保護する場合に禁止的ではない。ガスケッ
ト1130は、エンコーダPCB1124の両側に配置することができ、1つ又は複数の
ワイヤは、歯車空洞から専用の穴を通って外に出ることができる。ワイヤは、通常、エン
コーダ信号をエンコーダ読み取り装置から受け取るために必要とされる。これは、重量及
びコストを節減する。エンコーダヘッド1125)とエンコーダトラック1123との間
の読み取り距離は、手動調整を必要とすることなくきわめて正確である。これは、組立が
より容易になり、コストがより低くなることから有益である。エンコーダ読み取りの精度
及び正確性は、エンコーダ部品間の読み取り距離が的確に制御されるために、他の構造よ
りも高くすることができる。これは、精度及び正確性が必要とされる多数の用途において
大きな利点である。機械式伝動部品がエンコーダトラックを歯車からの出力部に対して相
対動作させる必要はない。この機械式伝動部品による駆動は、コストの増大及び品質問題
に加えて、精度及び正確性の低下をもたらす。エンコーダ部品は、歪み波動歯車内に置か
れることで機械的に十分に保護される。これは、壊れやすい電子回路に損傷を与えること
がある過酷な環境での用途において有益である。エンコーダトラック1123は、精度及
び正確性を高める大直径とすることができる。
【0042】
一実施形態では、エンコーダPCB1124及び電子回路は、任意の化学剤を歯車内の
グリース/オイルに向けて放出しないことを確実にするために、適切な被覆剤で被覆する
ことができる。エンコーダ読み取り原理は、例えば、磁気式対光学式など、特に、グリー
ス/オイルが存在できる使用法に対して選択することができる。読み取りトラックは、歯
車内の余分な部品をなくすために、出力軸受材料の表面の物理パターン(機械加工、エッ
チング、レーザ彫刻など)とすることができる。エンコーダPCBからのワイヤは、PC
Bのまわりにガスケットを配置するのをより容易にするために、PCBの縁部から出る可
撓性ワイヤとすることができる。
【0043】
この実施形態では、典型的な歪み波動歯車の3つの部品が単一部品へのアセンブリであ
る。これは、内部軸受1107のインナーレーサ1114、内歯歯車1108(円形スプ
ラインとも称する)、及び出力フランジ部1112が単一部品として製造されることを意
味する。これに関するいくつかの明確な利点、すなわち、より高い許容荷重、より軽い重
量、より容易な組立、より良好な品質、より小さい公差、より小さい必要空間、より低い
コストがある。内部軸受は通常、専門製造業者からの独立した部品として供給されるため
に、この種の一体化は通常考えられない。また、内歯歯車(円形スプライン部)は、少数
の製造業者からの高度に専門化された製造品であり、歪み波動歯車を応用装置の他の部分
に連結するために、別個の出力フランジを付加することが必要であると考えられる。
【0044】
歪み波動歯車はまた、第1及び第2の端部プレート(図示せず)を含むことができる。
第1の端部プレートは、フレクスプラインの環状ボス1110の上で、歪み波動歯車の入
力側に配置することができ、入力シャフト1111が第1の端部プレートを貫通するのを
可能にする開口を含むことができる。入力シャフトは、第1及び第2の端部プレートによ
って、軸受を介して回転可能に支持することができる。第2の端部プレートは、内側リン
グの端面で、歪み波動歯車の出力側に配置することができ、入力シャフト及び外側に突出
する出力フランジが第2の端部プレートを貫通するのを可能にする開口を含む。
【0045】
図12A及び図12Bは、本発明による歪み波動歯車1201を示し、図12Aは、歪
み波動歯車の半分が切り取られた歪み波動歯車の斜視図であり、図12Bは、歪み波動歯
車の断面図である。歪み波動歯車は、外側リング1202、内側リング1203、フレク
スプライン1204、及び波動発生機1205を含む。
【0046】
すでに説明したように、外側リング1202及び外側リング1203は、環状成形体と
して形成されている。内側イング1203は、外側リング1202の中心開口に回転可能
に配置され、フレクスプライン1204は、内側リング1202の中心開口に配置されて
いる。内側リング1203は、内側リングの内壁に配置し、内側リングの中心開口の方を
向いた内歯歯車1206を含む。内側リングは、内部軸受1207を介して外側リング内
に回転可能に配置されている。
【0047】
内部軸受1207は、アウターレーサ1213が外側リング1202に一体に形成され
たクロスころ軸受として具現化されている。クロスころ軸受1207のインナーレーサ1
214は、別個の部品として形成され、内側リング1203の一端は、インナーレーサ2
014に同軸に連結されている。したがって、内側リング1203及びインナーレーサ1
214は、内側リングの回転軸に沿って連続的に配置されている。内側リング1203及
びインナーレーサ1214は、ねじ、リベット、釘、クリック/スナップ機構、接着剤、
溶接、圧力ばめ、又は内側リング1203及びインナーレーサ1214を互いに対して固
定する他の任意の種類の手段などの任意の種類の留め具を使用して連結することができる
【0048】
フレクスプライン1204は、内側リング内に配置された可撓性円筒体として形成され
、外歯歯車1208を含む。外歯歯車は、内歯歯車1206と少なくとも部分的に噛合す
るように構成されている。フレクスプラインは、円筒体と一体に形成され、円筒体に対し
て外側に延びる環状ダイヤフラム1209を含む。環状ダイヤフラム1209は、ダイヤ
フラムの円周外縁部に一体に形成された環状ボス1210を含む。環状ボス1210は、
ねじ、リベット、釘、クリック/スナップ機構、接着剤、溶接、又は環状ボスを外側リン
グに留める他の任意の種類の手段などの任意の種類の留め具を使用して、外側リング12
02に固定される。したがって、内側リングは、外側リング1202とフレクスプライン
1204の円筒体との間に配置されている。外歯1208は、円筒体の他端に形成され、
円筒体の外周面に沿って延びている。波動発生機1205は、フレクスプライン1204
内に回転可能に配置され、中空の入力シャフト1211によって回転することができる。
入力シャフトは、波動発生機をフレクスプラインに対して回転させるように構成され、波
動発生機は、回転時に可撓性円筒体を半径方向に撓ませて、外歯歯車1208を内歯歯車
1206と部分的に噛合させるように構成されている。図示した実施形態では、波動発生
機は、歪み波動歯車の技術分野において公知のように、楕円波動発生機として形成されて
いる。内歯歯車及び外歯歯車の歯数は異なっており、波動発生機の回転により、歯車の噛
合位置が周方向に移動して、内側リングを外側リングに対して回転させる。入力シャフト
は、例えば、モータによって駆動することができ、それにより、歪み波動歯車は、モータ
と歪み波動歯車の出力側との間で伝動システムを形成する。
【0049】
内側リングの一部は、前記外側リングから外に延び、外側に突出する出力フランジ12
12を含む。外側に突出する出力フランジは、内側リングに対して外側に、外側リングに
向かって延びている。内側リングに外側に突出する出力フランジを設けることで、歪み波
動歯車によって駆動される物体に歪み波動歯車を直接連結することが可能になり、それに
より、すでに説明した利点および利益を得ることができる。この実施形態では、外側に突
出する出力フランジは、参照により本明細書に援用される国際公開第2018/1304
47号パンフレットで開示された解放可能な関節アセンブリの構成要素フランジの1つと
して形成されている。
【0050】
入力シャフト1211は、フレクスプライン1204を貫通し、内側リング1203に
よって、入力シャフト支持軸受1216を介して回転可能に支持されている。入力シャフ
ト支持軸受1216は、内側リング1203に配置されたアウターレーサ1217と、入
力シャフト1211が中に配置されたインナーレーサ1218とを含む。入力シャフト1
211は、入力シャフト支持軸受1216を支持するように構成された外側環状フランジ
1221を含む。シール(図示せず)は、内側リング1202と外側リング1203との
間の空洞1231に配置することができる。シールは、内部軸受1207内にある潤滑剤
が漏出するのを防止することができる。シールは、歪み波動歯車で公知の任意の種類のシ
ールとして形成することができる。
【0051】
歪み波動歯車は、フレクスプラインの環状ボス1210の上で、歪み波動歯車の入力側
に配置された第1の端部プレート1232を含み、第1の端部プレート1232は、入力
シャフト1211が第1の端部プレートを貫通するのを可能にする開口を含む。入力シャ
フト1211は、端部プレートによって、支持軸受1233を介して回転可能に支持され
ている。支持軸受1233は、第1の端部プレート1232に配置されたアウターレーサ
1234と、入力シャフト1211が中に配置されたインナーレーサ1235とを含む。
アウターレーサ1234は、第1の端部プレートの内側環状フランジ1236によって支
持されている。
【0052】
歪み波動歯車1201は、外側リング1202に配置されたエンコーダ読み取り装置1
222と、内側リング1203に配置されたエンコーダトラック1223とを含み、エン
コーダ読み取り装置は、行き来する信号を制御し、読み取るための電子回路を含むエンコ
ーダPCB(印刷回路板)1224とエンコーダヘッド1225とを含む。エンコーダP
CB1224は、環状ボス1210が外側リング1202に固定された端部とは反対側の
外側リング1202の端部に配置されている。エンコーダトラック1223は環として形
成され、内側リング1202の外側環状フランジ1227に配置されている。内側リング
の外側環状フランジ1227は、環状ボス1210が外側リング1202に取り付けられ
た歪み波動歯車の端部から離れる方を向いた面を含む。エンコーダヘッド1225は、エ
ンコーダPCB1224に配置され、環状ボス1210が外側リングに取り付けられた歪
み波動歯車の端部から離れる方を向いた外側環状フランジの対向する面の方を向いている
【0053】
図13は、本発明による歪み波動歯車を含むロボット関節1340の簡略化した断面図
を示している。ロボット関節1340は、複数のロボット関節を含むロボットアームの一
部を形成することができ、出力フランジ112を介して少なくとも別のロボット関節13
40’に連結可能である。他方のロボット関節1340’は、第1のロボット関節134
0と同様に示されており、同様の特徴部は、参照番号の後にプライム符号の付いた同じ参
照番号を付与されている。図示した実施形態では、2つのロボット関節は、互いに直接連
結されているが、当然のことながら、ロボットリンクをロボット関節間に挿入することが
できる。ロボット関節は、ロボット関節ハウジング1342内に配置された関節モータ1
341を含む。関節モータは、モータ軸のまわりに回転可能なモータアクスル1343を
含み、モータアクスルは、歪み波動歯車の波動発生機105を回転させることで、歪み波
動歯車901を介して、出力フランジ112をロボットハウジング1342に対して回転
させるように構成されている。図示した実施形態では、歪み波動歯車は、図9に示す歪み
波動歯車901として形成されているが、当然のことながら、すでに説明した歪み波動歯
車のいずれか、又はそれらの組み合わせは、ロボット関節の歪み波動歯車として形成する
ことができる。図面を簡素化するために、歪み波動歯車901の要素は、図9に示す参照
符号のすべてを付けられているわけではない。モータアクスルは、歪み波動歯車への入力
車夫として形成され、波動発生機105を回転させ、ワイヤがロボット関節及びロボット
アームに通されるのを可能にするために中空である。
【0054】
ロボットハウジングは、別のロボット関節又はロボットリンクの出力フランジと連結す
るように構成された入力フランジ1344を含む。ロボット関節の出力フランジ112は
、他方のロボット1340’の入力フランジ1344’に連結されている。入力フランジ
1344、1344’は、外側に突出する入力フランジとして形成され、環状クランプ1
345を使用して出力フランジにクランプすることができる。こうして、ロボット関節1
340の出力フランジ112は、ロボット1340’の入力フランジ1344’に連結さ
れている。しかし、当然のことながら、2つのロボット関節の出力フランジ及び入力フラ
ンジを連結する他の機構、例えば、クリック/スナップ機構、スクリュー、ねじなどもあ
る。ロボット関節に本発明による歪み波動歯車を設けることは、すでに説明した利点及び
利益をもたらし、より信頼性が高く、より費用のかからないロボット関節を提供すること
を可能にする。
【0055】
以下の段落0055-0080は、図14A及び図14Bに関連して、本発明の代替の
開示を提示している。図14Aは、本発明による波動歯車駆動体の例の断面図を示し、図
14Bは、図14Aに示すセクション、波動歯車駆動体の断面図を示していることを指摘
しておく。なお、図参照の体系は、これまでの段落及び図とは異なる。
【0056】
上記及び他の目的を本発明に従って解決するために、第1の態様において、
・歪み波動歯車内の出力軸受の外側リング(1)と、
・歪み波動歯車内の出力軸受の内側リング(2)と、
・出力フランジ(5)と、
・内歯車内に配置された外歯車を有する可撓性スプライン部(3)と、
・内歯車を有する円形スプライン部(4)と、
・部分(3)を半径方向に撓ませて、外歯車を内歯車と部分的に係合させるために、前
記可撓性スプライン部内に配置された波動発生機と、
を含む歪み波動歯車が提供され、
内側リング(2)及び円形スプライン部(4)は、同軸に配置された歪み波動歯車の出
力フランジ(5)と共に単体を構成する。
【0057】
外側リング(1)及び/又は内側リング(2)は、軽量の材料から形成されている。ま
た、内歯車及び外歯車は、歯付き歯車とすることができる。可撓性スプライン部(3)は
、円筒体部分と、前記円筒体部分の一方の端部開口に接近した状態で、前記円筒体部分と
一体に形成された環状ダイヤフラムと、前記ダイヤフラムと一体に形成され、ダイヤフラ
ムの中心に配置されたボスと、前記円筒体の他方の端部開口に形成され、外周面に沿って
延びる外歯とを有することができる。クロスころ軸受は、可撓性スプライン部(3)の円
筒体部分の外周に配置することができ、外側リング(1)は、環状ボスを介して一方の端
部プレートに固定され、内側リング(2)は、円形スプライン部(4)を介して他方の端
部プレートに固定される。
【0058】
上記のように、本発明はまた、歪み波動歯車内に配置されたエンコーダを具現化する問
題解決策に関する。この点において、以下の2つの例示的な代替構成は、
i)エンコーダの読み取りヘッド(6)は、出力軸受の外側リング(1)に配置され、
読み取りトラック(7)は、出力軸受の内側リング(2)に配置されることと、
ii)エンコーダは、エンコーダの読み取りヘッド(6)が、出力軸受の内側リング(
2)に配置され、読み取りトラック(7)が、出力軸受の外側リング(1)に配置される
ように歪み波動歯車の内部に配置されることと、
を適用される。
【0059】
第2の態様において、本発明は、エンコーダを内部に有する歪み波動歯車駆動体を提供
し、前記駆動体は、
・歪み波動歯車内の出力軸受の外側リング(1)と、
・歪み波動歯車内の出力軸受の内側リング(2)と、
・内歯車を有し、回転軸のまわりに回転可能な円形スプライン部(4)と、
・内歯車内に配置された、外歯車を有する可撓性スプライン部(3)であって、内歯車
が、円形スプライン部(4)内に同心に配置された、可撓性スプライン部(3)と、
・部分(3)を半径方向に撓ませて、外歯車を内歯車と部分的に係合させるために、前
記可撓性スプライン部内に配置された波動発生機と、
波動発生機と可撓性スプライン部(3)との間に配置された、半径方向に可撓性の玉軸
受と、
を含み、
エンコーダは、エンコーダの読み取りヘッド(6)が、出力軸受の外側リング(1)に
配置され、読み取りトラック(7)が、出力軸受の内側リング(2)に配置されるように
、歪み波動歯車内に配置される。
【0060】
本発明の第2の態様の代替案において、エンコーダを内部に有する歪み波動歯車駆動体
が提供され、前記駆動体は、
・歪み波動歯車内の出力軸受の外側リング(1)と、
・歪み波動歯車内の出力軸受の内側リング(2)と、
・内歯車を有し、回転軸のまわりに回転可能な円形スプライン部(4)と、
・内歯車内に配置された、外歯車を有する可撓性スプライン部(3)であって、内歯車
が、円形スプライン部(4)内に同心に配置された、可撓性スプライン部(3)と、
・部分(3)を半径方向に撓ませて、外歯車を内歯車と部分的に係合させるために、前
記可撓性スプライン部内に配置された波動発生機と、
・波動発生機と可撓性スプライン部(3)との間に配置された、半径方向に可撓性の玉
軸受と、
を含み、
エンコーダは、エンコーダの読み取りヘッド(6)が、出力軸受の内側リング(2)に
配置され、読み取りトラック(7)が、出力軸受の外側リング(1)に配置されるように
歪み波動歯車内に配置される。
【0061】
図14A及び図14Bは、本発明による波動歯車駆動体の断面図を示している。波動歯
車駆動体は、第1及び第2の端部プレートを有し、第1及び第2の端部レートの軸方向に
沿って所定のギャップに配置される。クロスころ軸受(または標準的な玉軸受)は、第1
及び第2の端部プレート間で半径方向外側に配置されている。入力回転シャフトは、軸方
向に沿って第1及び第2の端部プレートを貫通して配置されている。入力回転シャフトは
、これらの端部プレートによって、玉軸受を介して回転可能に支持され、端部プレートの
それぞれの内周面に取り付けられている。クロスころ軸受は、剛性の内歯車と一体に形成
されたインナーレースを有する。より具体的には、剛性の内歯車の内歯は、インナーレー
スの内周面に形成されている。内歯の内側には、外歯を有する可撓性の外歯車が設けられ
ている。楕円形の波動発生機は、可撓性外歯車に挿入することができる。外歯車は、円筒
体と、円筒体の一方の開口端から半径方向外側に延びる円形ダイヤフラムと、ダイヤフラ
ムの円周外縁に一体に形成された円形ボスとを有する。外歯は、円筒体の他方の開口端部
分の外周面に形成されている。波動発生機は、楕円形剛性カムプレートとカムプレートに
固定された波動軸受とを含む。
【0062】
エンコーダ部品(6及び7)は、特定のプラットフォーム/ブラケット又は他の支持部
を必要とすることなく、出力軸受部に直接取り付けることができる。これは、重量及びコ
ストを節減する。エンコーダ読み取りヘッド(6)とエンコーダ読み取りトラック(7)
との間の読み取り距離は、手動調整を必要とすることなくきわめて正確である。これは、
組立がより容易になり、コストがより低くなることから有益である。エンコーダ読み取り
の精度及び正確性は、エンコーダ部品間の読み取り距離が的確に制御されるので、他の構
造よりも高くすることができる。これは、精度及び正確性が必要とされる多数の用途にお
いて大きな利点である。機械式伝動部がエンコーダトラックを歯車からの出力部に対して
相対動作させる必要はない。この機械式伝動部による駆動は、コストの増大及び品質問題
に加えて、精度及び正確性の低下をもたらす。エンコーダ部品は、歯車内に置かれること
で機械的に十分に保護される。これは、壊れやすい電子回路に損傷を与えることがある過
酷な環境での用途において有利である。エンコーダ読み取りトラック(7)は、精度及び
正確性を高める大直径とすることができる。
【0063】
エンコーダPCB及び電子回路は、任意の化学剤を歯車の内部のグリース/オイルに向
けて放出しないことを確実にするために、適切な被覆剤で被覆することができる。エンコ
ーダ読み取り原理は、例えば、磁気式対光学式など、特に、グリース/オイルが存在でき
る使用法に対して選択することができる。読み取りトラックは、歯車内の余分な部品をな
くすために、出力軸受材料の表面の物理パターン(機械加工、エッチング、レーザ彫刻な
ど)とすることができる。エンコーダPCBからのワイヤは、PCBのまわりにガスケッ
トを配置するのをより容易にするために、PCBの縁部から出る可撓性ワイヤとすること
ができる。
【0064】
出力部が出力軸受及び円形スプラインの一体部品であるので、歯車は、出力部にかかる
高い負荷を駆動することができる。これは、ほとんどの用途にとって有益である。別個の
部品が互いにねじ留めされることから生じる組立公差が存在しないので、出力フランジの
幾何学配置は、きわめて正確に、歯車軸に対して中心に置くことができる。歯車は、別々
の部品を組み立てるためのねじが必要とされないので、より容易に、かつより速く組み立
つ。ねじが破断する、又は緩くなるリスクがなく、ねじが適切に締め付けられない場合に
フランジがスリップするリスクがないので、歯車の品質及び信頼性はより高い。別個の部
品は、支持幾何形状部及びセンタリングリムを形成するのに過剰な材料を必要とするが、
部品の一体化は、強度に対して最適化できるので、且つねじが必要とされないので、歯車
の重量は軽くなる。製造される部品がより少なく、使用される材料がより少ないので、歯
車のコストが低くなる。
【0065】
図14A及び図14Bに示す歪み波動歯車駆動体は、ローマ数字の以下のステートメン
トによって規定することもできる。
【0066】
ステートメントI:歪み波動歯車駆動体であって、
歪み波動歯車内の出力軸受の外側リング(1)と、
歪み波動歯車内の出力軸受の内側リング(2)と、
出力フランジ(5)と、
内歯車内に配置された外歯車を有する、カップタイプのフレクスプライン又はシルクハ
ットフレクスプラインなどの可撓性スプライン部(3)と、
内歯車を有する円形スプライン部(4)と、
を含み、
内側リング(2)及び円形スプライン部(4)は、同軸に配置された出力フランジ(5
)と共に単体を構成する、歪み波動歯車駆動体。
【0067】
ステートメントII:部分(3)を半径方向に撓ませて、外歯車を内歯車と部分的に係
合させるために、波動発生機が、前記可撓性スプライン部内に配置される、ステートメン
トIに記載の歪み波動歯車。
【0068】
ステートメントIII:可撓性スプライン部(3)は、円筒体部分と、前記円筒体部分
の一方の端部開口に接近した状態で、前記円筒体部分と一体に形成された環状ダイヤフラ
ムと、前記ダイヤフラムと一体に形成され、ダイヤフラムの中心に配置されたボスと、前
記円筒体の他方の端部開口に形成され、外周面に沿って延びる外歯とを有する、ステート
メントI又はIIに記載の歪み波動歯車。
【0069】
ステートメントIV:クロスころ軸受は、可撓性スプライン部(3)の円筒体部分の外
周に配置され、外側リング(1)は、環状ボスを介して一方の端部プレートに固定され、
内側リング(2)は、円形スプライン部を介して他方の端部プレートに固定される、ステ
ートメントIIIに記載の歪み波動歯車。
【0070】
ステートメントV:エンコーダは、エンコーダの読み取りヘッド(6)が、出力軸受の
外側リング(1)に配置され、読み取りトラック(7)が、出力軸受の内側リング(2)
に配置されるように、歪み波動歯車内に配置される、ステートメントI~IVのいずれか
一項に記載の歪み波動歯車。
【0071】
ステートメントVI:エンコーダは、エンコーダの読み取りヘッド(6)が、出力軸受
の内側リング(2)に配置され、読み取りトラック(7)が、出力軸受の外側リング(1
)に配置されるように歪み波動歯車の内部に配置される、ステートメントI~IVのいず
れか一項に記載の歪み波動歯車。
【0072】
ステートメントVII:エンコーダを内部に有する歪み波動歯車駆動体であって、
歪み波動歯車内の出力軸受の外側リング(1)と、
歪み波動歯車内の出力軸受の内側リング(2)と、
内歯車を有し、回転軸のまわりに回転可能な円形スプライン部(4)と、
内歯車内に配置された外歯車を有する可撓性スプライン部(3)であって、内歯車が円
形スプライン部(4)内に同心に配置される、可撓性スプライン部(3)と、
波動発生機と可撓性スプライン部(3)との間に配置された、半径方向に可撓性の玉軸
受と、
を含み、
エンコーダは、エンコーダの読み取りヘッド(6)が、出力軸受の外側リング(1)に
配置され、読み取りトラック(7)が、出力軸受の内側リング(2)に配置されるように
、歪み波動歯車内に配置される、歪み波動歯車駆動体。
【0073】
ステートメントVIII:部分(3)を半径方向に撓ませて、外歯車を内歯車と部分的
に係合させるために、波動発生機が、前記可撓性スプライン部内に配置される、ステート
メントVIIに記載の歪み波動歯車駆動体。
【0074】
ステートメントIX:内側リング(2)及び円形スプライン部(4)は、同軸に配置さ
れた単体を構成する、ステートメントVII又はVIIIに記載の歪み波動歯車。
【0075】
ステートメントX:出力フランジ(5)をさらに含み、内側リング(2)及び円形スプ
ライン部(4)は、同軸に配置された出力フランジ(5)と共に単体を構成する、ステー
トメントVII又はVIIIに記載の歪み波動歯車。
【0076】
ステートメントXI:エンコーダを内部に有する歪み波動歯車駆動体であって、
歪み波動歯車内の出力軸受の外側リング(1)と、
歪み波動歯車内の出力軸受の内側リング(2)と、
内歯車を有し、回転軸のまわりに回転可能な円形スプライン部(4)と、
内歯車内に配置された外歯車を有する可撓性スプライン部(3)であって、内歯車が、
円形スプライン部(4)内に同心に配置される、可撓性スプライン部(3)と、
波動発生機と可撓性スプライン部(3)との間に配置された、半径方向に可撓性の玉軸
受と、
を含み、
エンコーダは、エンコーダの読み取りヘッド(6)が、出力軸受の内側リング(2)に
配置され、読み取りトラック(7)が、出力軸受の外側リング(1)に配置されるように
、歪み波動歯車内に配置される、歪み波動歯車駆動体。
【0077】
ステートメントXII:部分(3)を半径方向に撓ませて、外歯車を内歯車と部分的に
係合させるために、波動発生機が、前記可撓性スプライン部内に配置される、ステートメ
ントVIに記載の歪み波動歯車駆動体。
【0078】
ステートメントXIII:内側リング(2)及び円形スプライン部(4)は、同軸に配
置された単体を構成する、ステートメントXI又はXIIに記載の歪み波動歯車。
【0079】
ステートメントXIV:出力フランジ(5)をさらに含み、内側リング(2)及び円形
スプライン部(4)は、同軸に配置され出力フランジ(5)と共に単体を構成する、ステ
ートメントXI又はXIIに記載の歪み波動歯車。
【0080】
ステートメントXV:歪み波動歯車駆動体であって、
歪み波動歯車内の出力軸受の外側リング(1)と、
歪み波動歯車内の出力軸受の内側リング(2)と、
内歯車を有する出力フランジ(5)と、
内歯車内に配置された外歯車を有する、カップタイプのフレクスプライン又はシルクハ
ットフレクスプラインなどの可撓性スプライン部(3)と、
円形スプライン部(4)と、
を含み、
内側リング(2)及び円形スプライン部(4)は、同軸に配置された出力フランジ(5
)と共に単体を構成する、歪み波動歯車駆動体。
【符号の説明】
【0081】
101 歪み波動歯車
201 歪み波動歯車
301 歪み波動歯車
401 歪み波動歯車
501 歪み波動歯車
601 歪み波動歯車
701 歪み波動歯車
801 歪み波動歯車
901 歪み波動歯車
1001 歪み波動歯車
1101 歪み波動歯車
1201 歪み波動歯車
901’ 歪み波動歯車
102 外側リング
202 外側リング
902 外側リング
1002 外側リング
1102 外側リング
1201 外側リング
103 内側リング
303 内側リング
403 内側リング
603 内側リング
1003 内側リング
1103 内側リング
1203 内側リング
104 フレクスプライン
1104 フレクスプライン
1204 フレクスプライン
105 波動発生機
1105 波動発生機
1205 波動発生機
105’ 波動発生機
106 内歯歯車
1106 内歯歯車
1206 内歯歯車
107 内部軸受
207 内部軸受
307 内部軸受
407 内部軸受
1107 内部軸受
1207 内部軸受
108 外歯歯車
1108 外歯歯車
1208 外歯歯車
109 環状ダイヤフラム
1109 環状ダイヤフラム
1209 環状ダイヤフラム
110 環状ボス
1110 環状ボス
1210 環状ボス
111 入力シャフト
511 入力シャフト
611 入力シャフト
1111 入力シャフト
1211 入力シャフト
112 外側に突出する出力フランジ
1112 外側に突出する出力フランジ
1212 外側に突出する出力フランジ
112’ 外側に突出する出力フランジ
113 内部軸受のアウターレーサ
213 内部軸受のアウターレーサ
1113 内部軸受のアウターレーサ
1213 内部軸受のアウターレーサ
114 インターレーサ内部軸受
214 インターレーサ内部軸受
314 インターレーサ内部軸受
414 インターレーサ内部軸受
1114 インターレーサ内部軸受
1214 インターレーサ内部軸受
516 入力シャフト支持軸受
1116 入力シャフト支持軸受
1216 入力シャフト支持軸受
517 入力シャフト支持軸受のアウターレーサ
1117 入力シャフト支持軸受のアウターレーサ
1217 入力シャフト支持軸受のアウターレーサ
518 入力シャフト支持軸受のインナーレーサ
1118 入力シャフト支持軸受のインナーレーサ
1218 入力シャフト支持軸受のインナーレーサ
1119 シール
620 内側リングの内側環状フランジ
1120 内側リングの内側環状フランジ
1121 入力シャフトの外側環状フランジ
1221 入力シャフトの外側環状フランジ
722 エンコーダ読み取り装置
822 エンコーダ読み取り装置
1022 エンコーダ読み取り装置
1122 エンコーダ読み取り装置
1222 エンコーダ読み取り装置
723 エンコーダトラック
823 エンコーダトラック
1023 エンコーダトラック
1123 エンコーダトラック
1223 エンコーダトラック
724 エンコーダ読み取り装置PCB
824 エンコーダ読み取り装置PCB
1024 エンコーダ読み取り装置PCB
1124 エンコーダ読み取り装置PCB
1224 エンコーダ読み取り装置PCB
725 エンコーダ読み取りヘッド
825 エンコーダ読み取りヘッド
1025 エンコーダ読み取りヘッド
1125 エンコーダ読み取りヘッド
1225 エンコーダ読み取りヘッド
827 内側リングの外側環状フランジ
1027 内側リングの外側環状フランジ
1227 内側リングの外側環状フランジ
928 外側リングの内側環状フランジ
1028 外側リングの内側環状フランジ
1128 外側リングの内側環状フランジ
1228 外側リングの内側環状フランジ
1130 ガスケット
1230 ガスケット
1231 空洞
1232 第1の端部プレート
1233 入力シャフト支持軸受
1234 支持軸受のアウターレーサ
1235 支持軸受のインナーレーサ
1236 端部プレートの内側環状フランジ
1340 ロボット関節
1340’ ロボット関節
1341 関節モータ
1341’ 関節モータ
1342 関節ハウジング
1342’ 関節ハウジング
1343 関節モータ
1343’ 関節モータ
1344 入力フランジ
1344’ 入力フランジ
1 歪み波動歯車の出力軸受の外側リング
2 歪み波動歯車の出力軸受の内側リング
3 歪み波動歯車のフレクスプライン部
4 歪み波動歯車の円形スプライン部
5 歪み波動歯車の出力フランジ
6 エンコーダ読み取りヘッド
7 エンコーダ用読み取りトラック
8 エンコーダPCB用ガスケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A-11B】
図12A
図12B
図13
図14A-14B】
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
この構成は、高い精度及び正確性で歯車の出力を制御することを可能にする。通常、エンコーダ用の読み取りトラックは、出力アクスルの平坦な端面又は外径部にある、歪み波動歯車の出力部のどこかに配置される。エンコーダ読み取りヘッドは、通常、何らかの外歯車幾何形状部、又は歪み波動歯車を保持するハウジング/キャビネットに配置される。この手法は通常、エンコーダ読み取りヘッドを読み取りトラックに対して適切に配置するための調整を必要とする。エンコーダ技術は、磁気式、光学式、誘導式などとすることができる。しばしば使用される別の手法は、エンコーダ用のプラットフォーム/軸受機構を歪み波動歯車の出力側からエンコーダの読み取りトラックまでのフレキシブル機構/アクスルと共に作製することである。この方法では、エンコーダ読み取りトラックに対するエンコーダ読み取りヘッドの位置は、プラットフォームによって定位置に保持された別個の軸受で制御することができる。この手法は、多くの余分な部品を必要とし、これらの余分な部品はコストを増やし、空間を必要とし、部品の品質又は精度が制御範囲外になった場合に、機能しなくなる可能性がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
すでに説明したように、外側リング1102及び外側リング1103は、環状成形体として形成されている。内側ング1103は、外側リング1102の中心開口に回転可能に配置され、フレクスプライン1104は、内側リング110の中心開口に配置されている。内側リング1103は、内側リングの内壁に配置し、内側リングの中心開口の方を向いた内歯歯車1106を含む。内側リングは、内部軸受1107を介して外側リング内に回転可能に配置されている。内部軸受1107は、アウターレーサ1113が外側リング1102に一体に形成され、インナーレーサが内側リング1103に一体に形成されたクロスころ軸受として具現化されている。フレクスプライン1104は、内側リング内に配置された可撓性円筒体として形成され、外歯歯車1108を含む。外歯歯車は、内歯歯車1106と少なくとも部分的に噛合するように構成されている。フレクスプラインは、円筒体と一体に形成され、円筒体に対して外側に延びる環状ダイヤフラム1109を含む。環状ダイヤフラム1109は、ダイヤフラムの円周外縁部に一体に形成された環状ボス1110を含む。環状ボス1110は、ねじ、リベット、釘、クリック/スナップ機構、接着剤、溶接、又は環状ボスを外側リングに留める他の任意の種類の手段などの任意の種類の留め具を使用して、外側リング1102に固定される。したがって、内側リングは、外側リング1102とフレクスプライン1104の円筒体との間に配置されている。外歯1108は、円筒体の他端に形成され、円筒体の外周面に沿って延びている。波動発生機1105は、フレクスプライン1104内に回転可能に配置され、中空の入力シャフト1111によって回転することができる。入力シャフトは、波動発生機をフレクスプラインに対して回転させるように構成され、波動発生機は、回転時に可撓性円筒体を半径方向に撓ませて、外歯歯車1108を内歯歯車1106と部分的に噛合させるように構成されている。図示した実施形態では、波動発生機は、歪み波動歯車の技術分野において公知のように、楕円波動発生機として形成されている。内歯歯車及び外歯歯車の歯数は異なっており、波動発生機の回転により、歯車の噛合位置が周方向に移動して、内側リングを外側リングに対して回転させる。入力シャフトは、例えば、モータによって駆動することができ、それにより、歪み波動歯車は、モータと歪み波動歯車の出力側との間で伝動システムを形成する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
入力シャフト1111は、フレクスプライン1104を貫通し、内側リング1103によって、入力シャフト支持軸受1116を介して回転可能に支持されている。入力シャフト支持軸受1116は、内側リング1103に配置されたアウターレーサ1117と入力シャフト111が中に配置されたインナーレーサ1118とを含む。内側リング1103は、入力シャフト支持軸受1116を支持するように構成された内側環状フランジ1120を含み、入力シャフト1111は、入力シャフト支持軸受1116を支持するように構成された外側環状フランジ1121を含むことができる。これは、入力シャフト1111が、歪み波動歯車内の適切な位置に配置されることを保証する。シール1119は、内側リング110と外側リング110との間に配置されて、内部軸受1107内にある潤滑剤が漏出するのを防止する。シールは、歪み波動歯車で公知の任意の種類のシールとして形成することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
すでに説明したように、外側リング1202及び内側リング1203は、環状成形体として形成されている。内側ング1203は、外側リング1202の中心開口に回転可能に配置され、フレクスプライン1204は、内側リング120の中心開口に配置されている。内側リング1203は、内側リングの内壁に配置し、内側リングの中心開口の方を向いた内歯歯車1206を含む。内側リングは、内部軸受1207を介して外側リング内に回転可能に配置されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪み波動歯車であって、
外側リングと、
前記外側リングの中にあって前記外側リングの中で回転可能内側リングであって、内歯の歯車を含む内側リングと、
前記内側リングの中にあるフレクスプラインであって、外歯の歯車を含む可撓性部を含むフレクスプラインと、
前記フレクスプラインの中にあって前記フレクスプラインに対して回転可能な波動発生機であって、前記外歯の歯車を前記内歯の歯車と部分的に噛合させるために、前記可撓性部を半径方向に撓ませるように構成され波動発生機と
を含み、
前記波動発生機は、前記内歯の歯車と前記外歯の歯車との噛合位置を動かすように回転し、前記内側リングの前記外側リングに対する回転を引き起こすべく構成され
前記内側リングは、前記外側リングを越えるように延びる外側に突出する出力フランジを含み、
前記外側に突出する出力フランジは、前記内側リングに対して外側に延び、
前記外側に突出する出力フランジは、前記歪み波動歯車により駆動される物体に直接連結可能に構成され、
前記外側に突出する出力フランジと前記内側リングとは一体にされ、
前記外側に突出する出力フランジは、前記物体に連結するべく構成される一以上の機械要素を含み、
前記外側リング及び前記外側に突出する出力フランジは、前記外側リングと前記外側に突出する出力フランジとの間のギャップが、前記歪み波動歯車の内部に向かってよりも前記歪み波動歯車の外部に向かって大きくなるように構成される、歪み波動歯車。
【請求項2】
少なくとも部分的に前記内側リングと前記外側リングとの間にある少なくとも1つの内部軸受をさらに含む、請求項1の歪み波動歯車。
【請求項3】
前記少なくとも1つの内部軸受は、前記外側リングにアウターレーサを含む、請求項2の歪み波動歯車。
【請求項4】
前記少なくとも1つの内部軸受インナーレーサを含み
前記インナーレーサは別個の部品を含み
前記内側リングは、前記インナーレーサに同軸に連結される、請求項2の歪み波動歯車。
【請求項5】
記アウターレーサの少なくとも一部は、前記外側リングに一体に形成される、請求項3の歪み波動歯車。
【請求項6】
なくとも前記内歯の歯車及び前記外側に突出する出力フランジは、単一部品を含む、請求項1の歪み波動歯車。
【請求項7】
記フレクスプラインの中の前記波動発生機を回転させるように構成される入力シャフトをさらに含み
前記入力シャフトは、少なくとも1つの支持軸受を介して前記内側リングによって、支持される、請求項1の歪み波動歯車。
【請求項8】
前記入力シャフトは、前記少なくとも1つの支持軸受を支持するように構成され外側環状フランジを含む、請求項の歪み波動歯車。
【請求項9】
前記内側リングにおける第2の外側に突出するフランジであって、前記外側リングの方を向かない表面を有する第2の外側に突出するフランジと、
前記内側リングの前記第2の外側に突出するフランジの前記表面におけるエンコーダトラックと、
前記外側リングにおけるエンコーダ読み取り装置であって、前記外側リングに対する前記内側リングの位置を取得するために前記エンコーダトラックを読み取る電子回路を含むエンコーダ読み取り装置と
をさらに含む、請求項1の歪み波動歯車。
【請求項10】
歪み波動歯車システムであって、
外側リングと、
前記外側リングの中にあって前記外側リングの中で回転可能内側リングであって、内歯の歯車を含む内側リングと、
前記内側リングの中にあるフレクスプラインであって、外歯の歯車を含む円筒部を含むフレクスプラインと、
前記フレクスプラインの中にあって前記フレクスプラインに対して回転可能な波動発生機であって、前記円筒部を半径方向に撓ませて、前記外歯の歯車を前記内歯の歯車と部分的に噛合させるように構成され波動発生機と
エンコーダトラックからの信号を読み取る電子回路を含むエンコーダPCB(印刷回路板)を含むエンコーダ読み取り装置であって、前記エンコーダPCBは前記エンコーダトラックに隣接する、エンコーダ読み取り装置と
を含み、
前記内側リングは、前記外側リングの方を向かない表面を有する外側フランジを含み、
前記フレクスプラインはさらに、前記円筒部と一体に形成されて前記円筒部に対して外側に延びる環状ダイヤフラムであって、前記環状ダイヤフラムの円周外縁部に一体に形成される環状ボスを含み、前記環状ボスは前記外側リングに取り付けられる、環状ダイヤフラムを含み、
前記波動発生機前記内歯の歯車と前記外歯の歯車との噛合位置を動かすように回転し、前記内側リングの前記外側リングに対する回転を引き起こすべく構成され
前記エンコーダトラックは環を含んで前記内側リングの前記外側フランジの前記表面に存在し、
前記エンコーダPCBは、前記外側リングの一端に対向する前記外側リングの一部に存在する、歪み波動歯車システム
【請求項11】
前記外側フランジは、前記エンコーダトラックを支持するように構成され、請求項10の歪み波動歯車システム
【請求項12】
前記外側リングは、前記エンコーダ読み取り装置を支持するように構成され少なくとも1つの内側環状フランジを含む、請求項10の歪み波動歯車システム
【請求項13】
前記エンコーダ読み取り装置及び前記エンコーダトラックは、前記歪み波動歯車の中に存在する、請求項10の歪み波動歯車システム
【請求項14】
前記内側リングの一部が前記外側リングを越えるように延び、外側に突出するフランジを含む、請求項10の歪み波動歯車システム。
【外国語明細書】