(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164914
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】シリコン系負極材料、シリコン系負極材料の製造方法及び応用
(51)【国際特許分類】
H01M 4/58 20100101AFI20231107BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20231107BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20231107BHJP
C01B 33/12 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/38 Z
H01M4/36 E
H01M4/36 C
H01M4/36 B
C01B33/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023141675
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202211316163.1
(32)【優先日】2022-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520416026
【氏名又は名称】広東▲凱▼金新能源科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangdong Kaijin New Energy Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 302, Unit 2, Building 29, No.4, Keji 10th Road, Songshanhu Park, Dongguan, Guangdong, 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 勇龍
(72)【発明者】
【氏名】傅 儒生
(72)【発明者】
【氏名】余 徳馨
(72)【発明者】
【氏名】仰 韻霖
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シリコン系負極材料、およびシリコン系負極材料の製造方法を提供する。
【解決手段】シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン及びケイ素酸素リチウム含有化合物を含み、被覆層が-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を少なくとも含む。シリコン系負極材料の製造方法はシリコン系コアを製造するステップ(I)と、ポリマー層を被覆するステップ(II)とを含む。本発明のシリコン系負極材料はより高い初回クーロン効率及びリチウム挿入容量を有する。被覆層には水に溶解しない-Si-O-Si-結合を有するポリマー層が含まれ、ペーストが沈降し、塗布性能が良くないといった問題を回避することができ、シリコン系負極材料に良好な加工性能を付与する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン系負極材料であって、
シリコン系コア及び被覆層を含み、前記シリコン系コアがナノシリコン及びケイ素酸素リチウム含有化合物を含み、前記被覆層が-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を少なくとも含むことを特徴とするシリコン系負極材料。
【請求項2】
前記シリコン系負極材料のメジアン径が2~15μmである特徴1)、
前記ナノシリコンの結晶粒寸法が20nm以下である特徴2)、
前記ケイ素酸素リチウム含有化合物がLi2SiO3又はLi2SiO3とLi2Si2O5との混合物を含む特徴3)、のうちの少なくとも1つの特徴を含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコン系負極材料。
【請求項3】
前記被覆層が-Si-O-Si-結合を有するポリマー層であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系負極材料。
【請求項4】
前記被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含み、且つ前記ポリマー層と前記炭素被覆層がいずれも前記シリコン系コアの表面に被覆されることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系負極材料。
【請求項5】
前記被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含み、且つ前記ポリマー層が前記炭素被覆層と前記シリコン系コアとの間に介在することを特徴とする請求項1に記載のシリコン系負極材料。
【請求項6】
前記被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含み、且つ前記炭素被覆層が前記ポリマー層と前記シリコン系コアとの間に介在することを特徴とする請求項1に記載のシリコン系負極材料。
【請求項7】
前記炭素被覆層の厚さが5~300nmである第1特徴、
前記炭素被覆層が前記シリコン系コアと前記被覆層との質量の和の0.5~20%を占める第2特徴、
前記ポリマー層の厚さが2~50nmである第3特徴、
前記ポリマー層が前記シリコン系コアと前記被覆層との質量の和の0.1~10%を占める第4特徴、のうちの少なくとも1つの特徴を含むことを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載のシリコン系負極材料。
【請求項8】
シリコン系負極材料の製造方法であって、
シリコン系コアの製造であって、シリコン系材料とリチウム源を混合して熱処理反応を行い、前記シリコン系材料をSiOx又は炭素で被覆されたSiOxとし、且つ0.5≦x≦1.6にするステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、水素徐放剤水分散液を製造して前記シリコン系コアに加えて撹拌して混合液を得て、前記混合液のpH値を10~11に維持し、ケイ酸基含有の成膜促進剤を加えて撹拌し続け、更に固液分離を行って、固相物質を取って熱処理してから分散させるステップ(II)と、を含むことを特徴とするシリコン系負極材料の製造方法。
【請求項9】
前記リチウム源がアルキルリチウム、金属リチウム、水素化アルミニウムリチウム、リチウムアミド、炭化リチウム、ケイ化リチウム及び水素化ホウ素リチウムのうちの少なくとも1つを含む特徴(1)、
前記リチウム源が前記シリコン系材料の質量の2~25%を占める特徴(2)、
ステップ(I)におけるシリコン系コアの製造中の前記熱処理の温度が300~1000℃である特徴(3)、
ステップ(I)におけるシリコン系コアの製造中の前記熱処理の時間が1~10hである特徴(4)、
ステップ(I)におけるシリコン系コアの製造中の前記熱処理が真空又は非酸化性雰囲気において行われ、前記非酸化性雰囲気が水素ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、ヘリウムガス雰囲気、ネオンガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、クリプトンガス雰囲気及びキセノンガス雰囲気のうちの少なくとも1つである特徴(5)、
ステップ(I)におけるシリコン系コアの製造中において前記熱処理反応の後に水で洗浄して乾燥させる特徴(6)、
前記固液分離が用いる手段が遠心、吸引ろ過又は加圧ろ過である特徴(7)、
ステップ(II)におけるポリマー層の被覆中の前記熱処理の温度が40~800℃である特徴(8)、
ステップ(II)におけるポリマー層の被覆中の前記熱処理の時間が5~60hである特徴(9)、
ステップ(II)におけるポリマー層の被覆中の前記熱処理が真空又は非酸化性雰囲気において行われ、前記非酸化性雰囲気が水素ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、ヘリウムガス雰囲気、ネオンガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、クリプトンガス雰囲気及びキセノンガス雰囲気のうちの少なくとも1つである特徴(10)、
ステップ(II)におけるポリマー層の被覆中の前記熱処理の昇温速度が0.5~5℃/minである特徴(11)、
前記した水素徐放剤水分散液の製造が水素徐放剤を溶媒に分散させることを含み、前記水素徐放剤がリン酸ケイ素、トリポリリン酸ケイ素、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム及び炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つを含む特徴(12)、
前記した水素徐放剤水分散液の製造が水素徐放剤を溶媒に分散させることを含み、前記溶媒が前記混合液のpH値を10~11に調整する特徴(13)、
前記成膜促進剤がシリカゾル、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸カリウムのうちの少なくとも1つを含む特徴(14)、
前記成膜促進剤が前記シリコン系コアの質量の0.1~1%を占める特徴(15)、
前記混合液中の固相物質と液相物質との質量比が1:1~1:5である特徴(16)、
前記撹拌が用いる装置が磁気撹拌機、プロペラ型撹拌機、タービン型撹拌機又はリボン型撹拌機である特徴(17)、
前記撹拌の継続時間が0.5~12hである特徴(18)、
前記分散が粉砕及びふるい分けを含む特徴(19)、のうちの少なくとも1つの特徴を含むことを特徴とする請求項8に記載のシリコン系負極材料の製造方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載のシリコン系負極材料、又は請求項8~9のいずれか1項に記載のシリコン系負極材料の製造方法で製造されたシリコン系負極材料の負極材料における応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料製造の技術分野に関し、特にシリコン系負極材料、シリコン系負極材料の製造方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
経済の発展及び社会の進歩に従い、電動工具は人の生活において重要な役割をしており、その中で二次電池は更に電動工具の替えがきかない核心となっている。人々がより大きな容量及びより軽薄を追求するにつれて、既存の二次電池技術は既に急速に高まっているニーズ、例えば電気自動車のより長い航続距離、スマートウェアラブルデバイスの軽薄化への追求などを満足できなくなっており、以上の問題の核心はいずれも既存の二次電池が備えるエネルギー密度が低いという現実的な問題にある。
【0003】
現在、商業において最も広く使用されている二次電池の負極材料は黒鉛負極材料であり、その理論グラム容量が372mAh/gだけであり、従来技術では既にその理論グラム容量に極めて接近するため、より高いグラム容量を有する負極材料の開発は既に切迫している。シリコン負極材料は極めて高いグラム容量(理論グラム容量が4200mAh/gである)を有するため、多くの学者によって研究されており、また、シリコン負極材料はリチウム脱離/挿入電位がより低く、原材料の供給源が多いといった利点を更に有し、現在認められる次世代負極材料である。その欠点は、体積膨張が大きく(>300%)、充放電過程において繰り返し収縮及び膨張により粒子が破裂・風解しやすく、材料の表面のSEI層が絶えず破裂及び再生して、大量の電解液及び可逆的容量を消費して、電池のサイクル特性が急速に劣化してしまうことにある。
【0004】
大きな膨張問題を解決するために、ケイ素酸素含有負極材料は人々に注目され始めており、より高いグラム容量(1500~1800mAh/g)及びより低いサイクル膨張(<160%)を有するが、リチウム挿入過程に形成されたケイ酸リチウムなどの化合物が大量のリチウムイオンを消費するため、その初回クーロン効率が一般的に75%を超えず、その応用を制約する最大の要素となっている。ケイ素酸素含有負極をプレリチウム化することにより、その初回クーロン効率を85%以上まで向上させることができるが、プレリチウム化が材料の加工過程に悪影響を与えることとなる。例えば、水系ホモジェネート過程において表面のケイ酸リチウムなどの化合物が水に溶解しやすく、内部のナノシリコンが水と反応してガスを生成し、及びペーストシステムのpH値を大きくしやすく、ペーストシステムの平衡状態を破って、ペーストの沈降を引き起こすとともに、塗布過程においてピンホール及び不均一な塗布の現象を生じやすい。
【0005】
従って、プレリチウム化されたケイ素酸素含有負極材料のガス生成挙動を改善して、材料の加工性能を向上させることは、現在業界内の早急な解決の待たれる難題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題に鑑みて、本発明の目的はシリコン系負極材料及びシリコン系負極材料の製造方法を提供することにある。本発明に係るシリコン系負極材料はより高い可逆的容量及び初回クーロン効率を有し、水系ペーストが安定し、加工性能に優れたという利点を有し、特に、高温下でガス生成を抑制することができ、ホモジェネート過程において十分に安定するように維持することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明の第1態様ではシリコン系負極材料を提供し、シリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン及びケイ素酸素リチウム含有化合物を含み、被覆層が-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を少なくとも含む。
【0008】
本発明に係るシリコン系負極材料のコアはナノシリコン及びケイ素酸素リチウム含有化合物を含む。被覆層は水に溶解しない-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含み、シリコン系コアにおけるナノシリコンが水と反応してガスを生成することを回避し、及びペーストの沈降、塗布性能が悪いといった問題を引き起こすことを回避することができ、その故、シリコン系負極材料に良好な加工性能を有させる。
【0009】
いくつかの実施形態では、シリコン系負極材料のメジアン径が2~15μmである。
【0010】
いくつかの実施形態では、ナノシリコンの結晶粒寸法が20nm以下である。
【0011】
いくつかの実施形態では、ケイ素酸素リチウム含有化合物がLi2SiO3又はLi2SiO3とLi2Si2O5との混合物を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、被覆層が-Si-O-Si-結合を有するポリマー層である。
【0013】
いくつかの実施形態では、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含み、且つポリマー層と炭素被覆層がいずれもシリコン系コアの表面に被覆される。
【0014】
いくつかの実施形態では、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含み、且つポリマー層が炭素被覆層とシリコン系コアとの間に介在する。
【0015】
いくつかの実施形態では、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含み、且つ炭素被覆層がポリマー層とシリコン系コアとの間に介在する。
【0016】
いくつかの実施形態では、炭素被覆層の厚さが5~300nmである。
【0017】
いくつかの実施形態では、炭素被覆層がシリコン系コアと被覆層との質量の和の0.5~20%を占める。
【0018】
いくつかの実施形態では、ポリマー層の厚さが2~50nmである。
【0019】
いくつかの実施形態では、ポリマー層がシリコン系コアと被覆層との質量の和の0.1~10%を占める。
【0020】
本発明の第2態様ではシリコン系負極材料の製造方法を提供し、ステップ(I)及びステップ(II)を含む。
【0021】
ステップ(I) シリコン系コアの製造であって、シリコン系材料とリチウム源を混合して熱処理反応を行い、シリコン系材料をSiOx又は炭素で被覆されたSiOxとし、且つ0.5≦x≦1.6にする。
【0022】
ステップ(II) ポリマー層の被覆であって、水素徐放剤水分散液を製造してシリコン系コアに加えて撹拌して混合液を得て、混合液のpH値を10~11に維持し、ケイ酸基含有の成膜促進剤を加えて撹拌し続け、更に固液分離を行って、固相物質を取って熱処理してから分散させる。
【0023】
本発明のシリコン系負極材料の製造方法において、ステップ(I)においてシリコン系材料とリチウム源に対して熱処理反応を行い、シリコン系材料中のシリコン酸化物をプレリチウム化してケイ素酸素リチウム含有化合物を生成してもよく、これにより高可逆的容量のシリコン系負極材料を得るとともに初回クーロン効率を更に向上させる。ステップ(II)において、水素徐放剤水分散液にシリコン系コアを加えて、ケイ素酸素リチウム含有化合物が水溶液に溶解してケイ酸イオンを形成することとなり、成膜促進剤は溶液中に十分に多いケイ酸イオンを有するように維持することができ、pH値が10~11の条件において、複数のケイ酸及び複数のケイ酸イオンが脱水重縮合することにより大量の-Si-O-Si-ポリマーを形成することができ、更に熱処理して更に縮合して三次元網目構造のポリマー層を形成する。製造されたシリコン系負極材はガス生成挙動の発生を効果的に回避することができ、良好な加工性能を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、リチウム源がアルキルリチウム、金属リチウム、水素化アルミニウムリチウム、リチウムアミド、炭化リチウム、ケイ化リチウム及び水素化ホウ素リチウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、リチウム源がシリコン系材料の質量の2~25%を占める。
【0026】
いくつかの実施形態では、ステップ(I)におけるシリコン系コアの製造中の熱処理の温度が300~1000℃である。
【0027】
いくつかの実施形態では、ステップ(I)におけるシリコン系コアの製造中の熱処理の時間が1~10hである。
【0028】
いくつかの実施形態では、ステップ(I)におけるシリコン系コアの製造中の熱処理が真空又は非酸化性雰囲気において行われる。非酸化性雰囲気が水素ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、ヘリウムガス雰囲気、ネオンガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、クリプトンガス雰囲気及びキセノンガス雰囲気のうちの少なくとも1つである。
【0029】
いくつかの実施形態では、ステップ(I)におけるシリコン系コアの製造中において熱処理反応の後に水で洗浄する。
【0030】
いくつかの実施形態では、固液分離が用いる手段が遠心、吸引ろ過又は加圧ろ過である。
【0031】
いくつかの実施形態では、ステップ(II)におけるポリマー層の被覆中の熱処理の温度が40~800℃である。
【0032】
いくつかの実施形態では、ステップ(II)におけるポリマー層の被覆中の熱処理の時間が5~60hである。
【0033】
いくつかの実施形態では、ステップ(II)におけるポリマー層の被覆中の熱処理が真空又は非酸化性雰囲気において行われる。非酸化性雰囲気が水素ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、ヘリウムガス雰囲気、ネオンガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、クリプトンガス雰囲気及びキセノンガス雰囲気のうちの少なくとも1つである。
【0034】
いくつかの実施形態では、ステップ(II)におけるポリマー層の被覆中の熱処理の昇温速度が0.5~5℃/minである。
【0035】
いくつかの実施形態では、水素徐放剤水分散液の製造が水素徐放剤を溶媒に分散させることを含み、水素徐放剤がリン酸ケイ素、トリポリリン酸ケイ素、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム及び炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、水素徐放剤水分散液の製造が水素徐放剤を溶媒に分散させることを含み、溶媒が混合液のpH値を10~11に調整する。
【0037】
いくつかの実施形態では、成膜促進剤がシリカゾル、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸カリウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、成膜促進剤がシリコン系コアの質量の0.1~1%を占める。
【0039】
いくつかの実施形態では、混合液中の固相物質と液相物質との質量比が1:1~1:5である。
【0040】
いくつかの実施形態では、撹拌が用いる装置が磁気撹拌機、プロペラ型撹拌機、タービン型撹拌機又はリボン型撹拌機である。
【0041】
いくつかの実施形態では、撹拌継続時間が0.5~12hである。
【0042】
いくつかの実施形態では、分散が粉砕及びふるい分けを含む。
【0043】
本発明はシリコン系負極材料の負極材料における応用を更に提供する。このシリコン系負極材料を負極活性材料として使用すれば、電動工具の高エネルギー密度の使用ニーズを満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は実施例1におけるシリコン系負極材料のXRDグラフである。
【
図2】
図2は実施例1におけるペーストを常温で268h放置する際のガス生成状況を示す図である。
【
図3】
図3は比較例1におけるペーストを常温で2h放置する際のガス生成状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明のシリコン系負極材料は負極活性材料として二次電池に応用され得る。それは負極活性材料として独立して使用されてもよく、他の負極活性材料(例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン及び/又はハードカーボンなど)と混合して使用されてもよい。
【0046】
本発明のシリコン系負極材料はシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系負極材料のメジアン径が2~15μmである。例として、シリコン系負極材料のメジアン径は具体的に2μm、2.5μm、3μm、4.5μm、4.9μm、5.2μm、6.3μm、6.7μm、8.2μm、10μm、12μm、15μmであってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、メジアン径は4~9μmであってもよい。
【0047】
シリコン系コアはナノシリコン及びケイ素酸素リチウム含有化合物を含む。ナノシリコンの結晶粒寸法は20nm以下であり、具体的に20nm、18nm、16nm、14nm、12nm、10nm、8nm、6nm、5nmであってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、ナノシリコンの結晶粒寸法は10nm以下である。いくつかの実施形態では、より小さな結晶粒寸法のナノシリコンは、材料が激しく膨張して風解を起こすことを防止して、そのサイクル安定性を効果的に確保することができる。ケイ素酸素リチウム含有化合物はLi2SiO3又はLi2SiO3とLi2Si2O5との混合物を含み、Li2Si2O5がLi2SiO3に転化しやすい影響を受けて、一般的にリチウム化後に形成したLi2SiO3が多い。実際の操作中に、シリコン系コア中のケイ素酸素リチウム含有化合物の含有量及び具体的な成分はプレリチウム化度の影響を受ける。いくつかの実施形態では、ケイ素酸素リチウム含有化合物はLi2SiO3又はLi2SiO3とLi2Si2O5との混合物である。
【0048】
本発明のシリコン系負極材料の被覆層は複数の形式がある。
【0049】
第1実施形態として、被覆層は-Si-O-Si-結合を有するポリマー層であり、即ちケイ酸及びケイ酸イオンはシリコン系コアの表面に脱水重縮合して-Si-O-Si-結合を有する三次元網目構造のポリマー層を形成する。
【0050】
いくつかの実施形態では、シリコン系コアの表面にはポリマーの被覆を行う前に炭素被覆層が設置され、得られたシリコン系負極材料の被覆層は炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。シリコン系コアの表面は炭素で全体的に被覆されてもよく、又は炭素で被覆されていない領域が部分的に存在し又は少量で存在してもよい(例えば、≦50%、≦40%、≦30%、≦20%、≦10%、≦5%、≦3%、≦1%の領域)。
【0051】
第2実施形態として、被覆層は炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含み、且つポリマー層と炭素被覆層がいずれもシリコン系コアの表面に被覆され、このような形式は主に炭素被覆層がシリコン系コアを全体的に被覆していないので、ポリマー層がシリコン系コアの炭素被覆層で被覆されていない表面領域に被覆されるためである。選択肢として、炭素被覆層は少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%のシリコン系コア表面を被覆し、それによりシリコン系コアの膨張を抑制する。
【0052】
第3実施形態として、シリコン系負極材料を製造するとき、シリコン系コアを水素徐放剤水分散液に加え、溶液が炭素被覆層を浸潤してゆっくりと炭素被覆層を通ってシリコン系コア中のケイ素酸素リチウム含有化合物に接触し、その後、ケイ素酸素リチウム含有化合物が溶解して炭素被覆層を透過して溶液に拡散し、ケイ酸と重合するとき、炭素被覆層の表面に重縮合し、それによりシリコン系コア-炭素被覆層-ポリマー層の3層の構造を形成する。このとき、被覆層は炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含み、且つ炭素被覆層はポリマー層とシリコン系コアとの間に介在する。
【0053】
第4実施形態として、シリコン系コアを水素徐放剤水分散液に加えて一定時間浸漬した場合、ケイ素酸素リチウム含有化合物の溶解量が十分に多く、このとき、炭素被覆層とシリコン系コアが分離して、それらの間に隙間があり、このとき、炭素被覆層がシリコン系コアに密着するのではなく、溶解したケイ素酸素リチウム含有化合物がシリコン系コアと炭素被覆層との間の隙間で重合し始め、このとき、シリコン系コア-ポリマー層-炭素被覆層の3層の構造を形成する。即ち、被覆層は炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含み、且つポリマー層は炭素被覆層とシリコン系コアとの間に介在する。代替的に、シリコン系コア-ポリマー層-炭素被覆層-ポリマー層の4層の構造を形成してもよい。
【0054】
当然ながら、実際の過程において、シリコン系負極材料の被覆層は上記形式に限らず、複数の形式の組み合わせであってもよい。例えば、炭素被覆層がシリコン系コアを完全に被覆していない場合、ポリマー層は炭素で被覆されていないシリコン系コアの表面及び炭素被覆層の外表面に存在してもよい。又は、ポリマー層は炭素で被覆されていないシリコン系コアの表面、炭素被覆層の外表面及び内表面に存在してもよい。又は、ポリマー層は炭素で被覆されていないシリコン系コアの表面及び炭素被覆層の内表面に存在してもよい。又は、例えば、炭素被覆層がシリコン系コアを完全に被覆する場合、ポリマー層は炭素被覆層の外表面及び内表面に同時に存在してもよい。シリコン系負極材料の被覆層の形式は炭素被覆層の被覆状況、結合力、空隙率、及びシリコン系コアの溶液中での浸漬時間などの複数の要素からの影響を受けるが、被覆層がどの形式であるかにかかわらず、被覆層は-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を少なくとも含み、いずれもガス生成を抑制して、シリコン系負極材料がホモジェネート過程において十分に安定するように維持する役割を果たすことができる。
【0055】
一実施形態として、本発明の炭素被覆層の厚さは5~300nmである。炭素被覆層の厚さは具体的に5nm、10nm、20nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nmであってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、炭素被覆層の厚さは20~100nmである。
【0056】
一実施形態として、本発明の炭素被覆層はシリコン系コアと被覆層との質量の和の0.5~20%を占める。炭素被覆層が占める質量は具体的に0.5%、1%、2%、2.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%、20%であってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、炭素被覆層が占める質量は1~10%である。
【0057】
一実施形態として、本発明のポリマー層の厚さは2~50nmである。ポリマー層の厚さは具体的に2nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nmであってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、ポリマー層の厚さは2~10nmである。
【0058】
一実施形態として、本発明のポリマー層はシリコン系コアと被覆層との質量の和の0.1~10%を占める。ポリマー層の質量は具体的に0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%であってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、ポリマー層の質量は1~3%である。
【0059】
本発明のシリコン系負極材料の製造方法は、
シリコン系コアの製造であって、シリコン系材料とリチウム源を混合して熱処理反応を行い、シリコン系材料をSiOx又は炭素で被覆されたSiOxとし、且つ0.5≦x≦1.6にするステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、水素徐放剤水分散液を製造してシリコン系コアに加えて撹拌して混合液を得て、混合液のpH値を10~11に維持し、ケイ酸基含有の成膜促進剤を加えて撹拌し続け、更に固液分離を行って、固相物質を取って熱処理してから分散させるステップ(II)と、を含む。
【0060】
一般的にSiOxがナノシリコンであってシリコン酸化物に分散するとみなし、ここで、xは具体的に0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6であってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、0.7≦x≦1.2である。
【0061】
炭素で被覆されたSiOxはシリコン系材料としてプレリチウム化され、プレリチウム化の進行に寄与する。プレリチウム化過程において、液体に近いプレリチウム化剤は炭素被覆層に沿って流れて炭素被覆層を浸透する。また、プレリチウム化剤の溶解過程において熱を放出し、炭素被覆を行って、領域内のナノシリコン結晶粒が急速に成長することを回避することが好ましい。炭素で被覆されたSiOxは通常の方式で被覆され得る。
【0062】
一実施形態として、リチウム源はアルキルリチウム、金属リチウム、水素化アルミニウムリチウム、リチウムアミド、炭化リチウム、ケイ化リチウム及び水素化ホウ素リチウムのうちの少なくとも1つを含む。リチウム源はシリコン系材料の質量の2~25%を占め、リチウム源の質量は具体的に2%、5%、7%、9%、10%、12%、15%、17%、19%、21%、25%であってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、リチウム源がシリコン系材料を占める質量は3~15%である。
【0063】
一実施形態として、熱処理の温度は300~1000℃である。熱処理の温度は具体的に300℃、450℃、550℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃であってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、熱処理の温度は500~800℃である。熱処理の時間は1~10hである。熱処理の時間は具体的に1h、2h、2.5h、3h、4h、5h、6h、7h、8h、9h、10hであってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、熱処理の温度は3~7hである。熱処理は真空又は非酸化性雰囲気において行われ、非酸化性雰囲気は水素ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、ヘリウムガス雰囲気、ネオンガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、クリプトンガス雰囲気及びキセノンガス雰囲気のうちの少なくとも1つである。
【0064】
一実施形態として、熱処理反応の後に水で洗浄して乾燥させ、それにより材料の表面の余分な物質を除去する。乾燥の温度は40~150℃であり、乾燥の温度は具体的に40℃、60℃、80℃、100℃、120℃、140℃、150℃であってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、乾燥の温度は40~100℃である。乾燥の時間は6~48hであり、具体的に6h、12h、18h、24h、30h、36h、42h、46h、48hであってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、熱処理の温度は6~24hである。
【0065】
ステップ(II)のポリマー層の被覆において、水素徐放剤水分散液の製造は水素徐放剤を溶媒に分散させることを含む。
【0066】
一実施形態として、水素徐放剤はリン酸ケイ素、トリポリリン酸ケイ素、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム及び炭酸マグネシウムのうちの少なくとも1つを含む。例として、水素徐放剤はリン酸ケイ素又はトリポリリン酸ケイ素である。水素徐放剤はシリコン系コアの質量の0.1~10%を占める。水素徐放剤の質量は具体的に0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%であってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、水素徐放剤の質量は1~3%であり、水素徐放剤の質量がより軽く、且つシリコン系コアと副反応が生じないため、シリコン系コアの元の高容量及び高初回効率特性を維持することができる。上記物質を水素徐放剤として選択することにより、ゆっくりと加水分解してH+を放出することができ、システムにおける単一のケイ酸基をその放出したH+の作用によってケイ酸に変えることができ、ケイ酸はケイ酸基と反応してダイマーを生成し、ダイマーは再びH+と結合して単一のケイ酸基と反応してトリマーを生成し、これによりケイ酸ポリマーを絶えず繰り返し生成し、それにより後続の熱処理において-Si-O-Si-結合を有する三次元網目構造を形成する。水素徐放剤は粒子状であって、サンド仕上、研磨などの方式でその粒径をナノレベル例えば100nm、200nm、300nm、400nm、500nmに低減し、例として、水素徐放剤の粒径がD50<200nmである。
【0067】
一実施形態として、溶媒は弱酸性緩衝溶液、弱アルカリ性緩衝溶液、或いは水又はアルコールを更に加えた混合溶液である。溶媒で混合液のpH値を10~11、例えば10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9又は11.0に調整する。溶媒で混合液のpH値を10~11に調整することにより、ケイ酸基がダイマーの形式ではなくポリマーの形式でシステムに存在するようにすることができ、更に後続の熱処理において-Si-O-Si-結合を有する三次元網目構造を形成する。
【0068】
一実施形態として、成膜促進剤はシリカゾル、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸カリウムのうちの少なくとも1つを含む。本発明は上記物質を成膜促進剤として選択し、それらは水可溶性のものであって、いずれも溶液システムにケイ酸基を供給することができる。例として、成膜促進剤はシリカゾルである。成膜促進剤はシリコン系コアの質量の0.1~1%を占め、具体的に0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%であってもよいが、それらに限らない。
【0069】
一実施形態として、撹拌が用いる装置は磁気撹拌機、プロペラ型撹拌機、タービン型撹拌機又はリボン型撹拌機である。一実施形態として、撹拌継続時間は0.5~12hであり、具体的に0.5h、1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h、8h、9h、10h、11h、12hであってもよいが、それらに限らない。水系の条件において、シリコン系コアの活性が高く、表面のケイ素酸素リチウム含有化合物の溶解速度がより速く、長時間撹拌すると大量のケイ素酸素リチウム含有化合物が溶解して、ナノシリコンが水と反応してガスを生成してしまう。
【0070】
一実施形態として、混合液中の固相物質と液相物質との質量比は1:1~1:5であり、具体的に1:1、1:2、1:3、1:4、1:5であってもよいが、それらに限らない。例として、混合液中の固相物質と液相物質との質量比は1:1~1:2である。より少量の液相物質(即ち、溶媒)を用いることは、システムにおけるケイ酸及びケイ酸基の濃度を増加させることに寄与し、それらに重縮合反応が生じることに寄与する。固液分離が用いる手段は遠心、吸引ろ過又は加圧ろ過である。
【0071】
ステップ(II)のポリマー層の被覆において固液分離して得た固相物質を熱処理する目的は、固相物質を乾燥させて水分を除去する一方、一定の温度及び雰囲気の作用において形成されたケイ酸ポリマーに更なる反応が生じて脱水縮合して三次元構造を有するポリマー膜を形成することである。一実施形態として、熱処理の温度は40~800℃であり、具体的に40℃、60℃、80℃、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃であってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、熱処理の温度は60~500℃である。熱処理の時間は5~60hであり、具体的に5h、6h、8h、10h、12h、20h、24h、30h、36h、40h、48h、53h、60hであってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、熱処理の時間は6~24hである。熱処理の昇温速度は0.5~5℃/minであり、具体的に0.5℃/min、1.0℃/min、2℃/min、3℃/min、4℃/min、5℃/minであってもよいが、それらに限らない。いくつかの実施形態では、熱処理の昇温速度は1.0~1.5℃/minである。熱処理は真空又は非酸化性雰囲気において行われ、非酸化性雰囲気は水素ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、ヘリウムガス雰囲気、ネオンガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気、クリプトンガス雰囲気及びキセノンガス雰囲気のうちの少なくとも1つである。
【0072】
一実施形態として、分散は粉砕及びふるい分けを含む。粉砕装置の線速度が5~10m/sであり、それにより形成されたポリマー膜が破壊されないように確保する。ふるい分けが400メッシュのふるいをかけてもよい。
【0073】
本発明の目的、技術案及び有益な効果をより良く説明するために、以下に具体的な実施例によって本発明を更に説明する。なお、下記実施における前記方法は本発明を更に解釈・説明するためのものであって、本発明を制限するものではない。
【0074】
実施例1
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのトリポリリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、更に16.7gの30wt%のシリカゾルを加えて、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0075】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が6μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察及び
図1におけるXRDグラフと組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li
2SiO
3及びLi
2Si
2O
5からなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0076】
実施例2
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiOx(xが0.8であり、炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが40nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOxの質量の2.5%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOxの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理して、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、1.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのトリポリリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.7に維持し、更に16.7gの30wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において12h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0077】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が5μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li2SiO3及びLi2Si2O5からなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0078】
実施例3
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiOx(xが1.2であり、炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが60nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOxの質量の3.5%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOxの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、1.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのトリポリリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.6に維持し、更に16.7gの30wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0079】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が6μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li2SiO3及びLi2Si2O5からなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0080】
実施例4
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiOx(xが0.9であり、炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOxの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOxの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、1.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのトリポリリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、更に16.7gの30wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で400℃の真空雰囲気において4h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0081】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が7μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li2SiO3及びLi2Si2O5からなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0082】
実施例5
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、更に16.7gの30wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0083】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が10μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li2SiO3及びLi2Si2O5からなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0084】
実施例6
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが80nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の5.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのリン酸マグネシウムを加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、更に16.7gの30wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0085】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が6μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li2SiO3及びLi2Si2O5からなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0086】
実施例7
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gの炭酸マグネシウムを加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、更に16.7gの30wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0087】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が6μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li2SiO3及びLi2Si2O5からなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0088】
実施例8
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたケイ素酸素含有材料SiOの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのリン酸カルシウムを加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、更に16.7gの30wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0089】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が6μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li2SiO3及びLi2Si2O5からなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0090】
実施例9
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのトリポリリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、更に5gのケイ酸カリウムを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0091】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が6μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコンLi2SiO3とLi2Si2O5とからなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0092】
実施例10
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのトリポリリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、更に5gのメタケイ酸ナトリウムを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0093】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が6μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li2SiO3及びLi2Si2O5からなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0094】
実施例11
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが100nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の4.0%を占める)と水素化ホウ素リチウム(水素化ホウ素リチウムが炭素で被覆されたSiOの質量の25%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、1.5kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、5gのトリポリリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ0.8kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.6に維持し、更に20gの30wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0095】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が6μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li2SiO3及びLi2Si2O5からなり、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0096】
実施例12
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOの質量の10.5%を占める)を混合して、ヘリウムガス雰囲気における箱形炉に置いて860℃で2h熱処理し、昇温速度を3℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:2とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を80℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.05mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのトリポリリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を700rpm/minとし、15min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ0.9kgのシリコン系コアを加えて700rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、更に16.7gの20wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:1とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を2.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって5m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0097】
製造されたシリコン系負極材料のメジアン径が6μmである。FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、シリコン系負極材料がシリコン系コア及び被覆層を含む。シリコン系コアがナノシリコン、Li2SiO3及びLi2Si2O5を含み、被覆層が炭素被覆層及び-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を含む。
【0098】
実施例1~12において製造されたシリコン系負極材料に対して赤外吸収スペクトルテストをそれぞれ行い、粉末サンプルはKBr打錠法を用いて一定量の粉末サンプルと一定量のKBrを一定の比率で混合して、赤外線ランプの下で研磨し、600Kgf/cm2で1min程度加圧成形するように維持する。製造されたシリコン系負極材料は1095cm-1で強い-Si-O-Si-結合の反対称伸縮振動吸収ピークがあり、800cm-1程度で-Si-O-Si-結合の対称伸縮振動吸収ピークがある。
【0099】
比較例1
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、更に16.7gの30wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0100】
FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、比較例1において製造されたシリコン系負極材料にはポリマー層がなく、-Si-O-Si-結合もない。
【0101】
比較例2
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの脱イオン水を量り取って、10gのトリポリリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、測定された混合液のpH値が12であり、更に16.7gの30wt%のシリカゾルを加え、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0102】
比較例2において重合が生じることがなく、FTIRを電子顕微鏡による観察と組み合わせたところ、製造されたシリコン系負極材料にはポリマー層がなく、-Si-O-Si-結合もない。
【0103】
比較例3
本実施例はシリコン系負極材料の製造方法であり、
シリコン系コアの製造であって、炭素で被覆されたSiO(炭素被覆層は全体被覆であってその厚さが50nmであり、炭素被覆層が炭素で被覆されたSiOの質量の3.0%を占める)と金属Li(金属Liが炭素で被覆されたSiOの質量の10.5%を占める)を混合して、窒素ガス保護雰囲気における箱形炉に置いて650℃で4h熱処理し、昇温速度を2℃/minとし、反応が終了した後に混合材料を水で洗浄し、混合材料と水との質量比を1:3とし、遠心分離によって水分を除去し、湿った混合材料を60℃の送風乾燥機に置いてオーブン乾燥させてシリコン系コアを得るステップ(I)と、
ポリマー層の被覆であって、2.0kgの炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム(0.025mol/L)のアルカリ性緩衝溶液を量り取って、10gのトリポリリン酸ケイ素を加えて混合撹拌し、回転速度を500rpm/minとし、10min撹拌し、それにより水素徐放剤水分散液を製造し、且つ1.0kgのシリコン系コアを加えて500rpm/minの回転速度で60min撹拌して混合液を形成し、混合液のpH値を10.5に維持し、混合液中の固相物質と液相物質との質量比を1:3とし、30min撹拌し続けてから加圧ろ過し、固相物質を取って送風乾燥機で60℃の真空雰囲気において24h熱処理し、昇温速度を1.5℃/minとし、自然冷却した後、粉砕装置によって7m/sの線速度で粉砕して400メッシュのふるいをかけてシリコン系負極材料を得て、上記撹拌が用いる装置がプロペラ型撹拌機であるステップ(II)と、を含む。
【0104】
検出によって、比較例3において製造されたシリコン系負極材料のポリマー層の網目構造が完全ではない。
【0105】
実施例1~12及び比較例1~3において製造されたシリコン系負極材料に対して電気化学性能テスト及びガス生成テストを行い、そのテスト条件は以下のとおりであり、テスト結果は表1に示される。そして、実施例1におけるペーストを常温で268h放置する際のガス生成状況は
図2に示される。比較例1におけるペーストを常温で2h放置する際のガス生成状況は
図3に示される。
【0106】
電気化学性能テスト
実施例1~12及び比較例1~3において製造されたシリコン系負極材料をそれぞれ活性物質とし、バインダーであるアクリロニトリル多元共重合体の水分散液(LA132、固形分含有量15%)及び導電剤(Super-P)と70:10:20の質量比で混合して、適量の水を溶媒として加えてペーストに調製して銅箔に塗布し、且つ真空乾燥、ロールプレスによって負極シートに製造する。金属リチウムを対電極とし、1mol/LのLiPF6を用いてEC:DMC:EMC=1:1:1(v/v)の三成分混合溶媒で混合して電解液を形成し、ポリプロピレン微細孔膜をセパレータとして用い、不活性ガスをいっぱいに充填しているグローブボックスでCR2032型ボタン電池に組み立てる。ボタン電池の充放電テストは武漢市藍電電子株式会社の電池テストシステムにおいて行われ、常温条件において0.1Cで0.01Vまで定電流で充放電し、次に0.02Cで0.005Vまで定電流放電し、最後に0.1Cで1.5Vまで定電流充電し、1.5Vに充電する容量が初回リチウム挿入容量であり、充電容量と放電容量との比が初回クーロン効率である。
【0107】
ガス生成テスト
電気化学性能テストステップにおけるペーストを5ml取って20mlのシリンジに置いて、ホットメルトで針管の先端を密封し、ペーストを入れたシリンジを密封してから室温条件において45℃のオーブンに置いて貯蔵し、シリンジの移動状況を観察し、シリンジが移動し始める時間とテスト開始時間との時間差を記録し、これを該材料のガス生成時間とする。
【0108】
表1 各実施例及び比較例の電気化学性能テスト及びガス生成テストの結果
【0109】
表1の結果から分かるように、実施例1~12及び比較例1~3において製造されたシリコン系負極材料は、初回リチウム挿入容量及び初回クーロン効率がいずれもより高い。比較例1~3に比べて、実施例1~12において製造されたシリコン系負極材料はガス生成を効果的に抑制することができ、且つpH値が10~11の条件において、複数のケイ酸及び複数のケイ酸イオンは脱水重縮合することにより大量の-Si-O-Si-ポリマーを形成することができ、更に熱処理して更に縮合して三次元網目構造のポリマー層を形成することができる。
【0110】
ところが、比較例1において水素徐放剤がないため、ケイ酸イオンがケイ酸に転化して重縮合することを促すことができず、-Si-O-Si-結合を有するポリマー層を形成することができない。
図2及び
図3の比較により分かるように、実施例1において製造されたシリコン系負極材料は常温で268h静置するとガスを生成することがないが、比較例1において製造されたシリコン系負極材料は常温で2h静置するとガス生成量が既に3mLに達する。
【0111】
比較例2において混合液のpH値が12であり、比較例2におけるガス生成の抑制効果が悪い。
【0112】
比較例3において成膜促進剤がなく、比較例3におけるガス生成の抑制効果が悪い。
【0113】
最後に説明すべきことは、以上の実施例は単に本発明の技術案を説明するためのものであって、本発明の保護範囲を制限するものではなく、好適な実施例によって本発明を詳しく説明したが、実施例において列挙したものに限定されるのではなく、当業者であれば理解されるように、本発明の技術案の本質及び範囲を逸脱せずに、本発明の技術案に対して修正又は等価置換を行うことができる。