(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164928
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】流体制御装置
(51)【国際特許分類】
F16L 55/00 20060101AFI20231107BHJP
F16L 41/06 20060101ALI20231107BHJP
F16K 43/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
F16L55/00 C
F16L41/06
F16K43/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142772
(22)【出願日】2023-09-04
(62)【分割の表示】P 2020541072の分割
【原出願日】2019-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2018166358
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】玉田 聡
(57)【要約】
【課題】筐体内の流体管に穿孔した孔部、及びこの孔部に挿入する弁体の位置精度を向上させ、管内流体の制御性を高めるとともに、穿孔装置、制流弁の設置装置や作業弁装置等の施工用機材を小型化、軽量化、コストダウンをすることができる流体制御装置を提供する。
【解決手段】流体管1を密封状に外嵌する分割構造の筐体5と、筐体5内にて不断流状態で穿孔された流体管1の孔部1bに挿入可能な弁体11及び弁筐体12を備えた制流弁10と、を少なくとも有する流体制御装置であって、筐体5は、該筐体5に制流弁10を設置するための開放端部5cと、該筐体5内を開閉可能な作業弁装置3を着脱するための開口部5bとを備えた首部5dを有し、制流弁10の弁筐体12の周面、若しくは流体管1を穿孔する穿孔機7の取付筒71の周面と、首部5dの開口部5bよりも流体管1側の周面との間に、環状に形成された密封部材21、76が設けられ、制流弁10若しくは穿孔機7と、筐体5とを直接に接続可能な接続機構を有している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管を密封状に外嵌する分割構造の筐体と、前記筐体内にて不断流状態で穿孔された前記流体管の孔部に挿入可能な弁体及び弁筐体を備えた制流弁と、を少なくとも有する流体制御装置であって、
前記筐体は、該筐体に前記制流弁を設置するための開放端部と、該筐体内を開閉可能な作業弁装置を着脱するための開口部とを備えた首部を有し、
前記制流弁の前記弁筐体の周面、若しくは前記流体管を穿孔する穿孔機の取付筒の周面と、前記首部の前記開口部よりも前記流体管側の周面との間に、環状に形成された密封部材が設けられ、前記制流弁若しくは前記穿孔機と、前記筐体とを直接に接続可能な接続機構を有していることを特徴とする流体制御装置。
【請求項2】
前記接続機構は、前記制流弁若しくは前記穿孔機に設けられ、前記筐体の前記開放端部に内嵌される内壁部と、前記筐体の前記開放端部に外嵌される外壁部と、前記内壁部及び前記外壁部の基端部を構成する内底部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記接続機構は、前記外壁部に係合して前記制流弁若しくは前記穿孔機の抜け出しを規制する分割構造の規制部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記制流弁の前記弁筐体の周面と、前記首部の前記開口部よりも前記開放端部側の周面との間に、環状に形成された第2の密封部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記首部の前記周面は、前記弁筐体の挿入方向に直線状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記首部の前記開口部は、前記流体管の管路方向に開口していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記筐体は、該筐体に設置された前記制流弁を周方向に移動規制する係合部を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管を密封状に外嵌する分割構造の筐体と、この筐体内にて不断流状態で穿孔された流体管の孔部に弁体を挿入して管内流体を制御する制流弁と、を有する流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体制御装置は、既設の流体管に分割構造の筐体(割T字管)を密封状に外嵌し、この筐体を構成する首部上端の開放端部に作業弁装置(作業用仕切弁)及び穿孔装置(穿孔機)を接続して、この穿孔装置によって筐体内部の流体管を穿孔した後、筐体内を閉塞した作業弁装置に、穿孔後の穿孔装置に替えて制流弁の設置装置(作業ケース、操作杆、ジャッキ機構)を用いて制流弁(弁ケース、仕切弁体)を挿入して筐体に接続し、この制流弁の弁体(仕切弁体)を流体管の孔部を介して管内に挿入して、流体管の内周面を弁座とすることで、管内流体を制御するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-38584号公報(第18頁、第33図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、流体管に外嵌した筐体を構成する割T字管の首部の上端に形成された開放端部に、作業弁装置を接続したうえ、更に作業弁装置の上端に重畳して穿孔装置、若しくはこれに替えて制流弁の設置装置を接続しており、この制流弁を筐体の首部上端の開放端部に密封状に接続していた。よって、穿孔装置の備えるカッタや制流弁の設置装置の伸長ストロークが長くなり、設計通りの位置に穿孔若しくは弁体挿入できずに位置ずれが生じてしまい、管内流体の制御性を高く維持できないという問題が生じていた。特に、穿孔装置の伸長ストロークが長くなると、穿孔装置の取付部のわずかな面接触ずれにより、穿孔位置に大きな位置ずれが生じ、弁体挿入の際に弁体が損傷するおそれがあった。また、伸長ストロークが長くなるとことにより、穿孔装置、制流弁の設置装置や作業弁装置等の施工用機材が大型化するため、機材費や施工費が高価になるばかりか、それらの重量が既設の流体管に過大な負荷をかける原因にもなっていた。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、筐体内の流体管に穿孔した孔部、及びこの孔部に挿入する弁体の位置精度を向上させ、管内流体の制御性を高めるとともに、穿孔装置、制流弁の設置装置や作業弁装置等の施工用機材を小型化、軽量化、コストダウンをすることができる流体制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の流体制御装置は、
流体管を密封状に外嵌する分割構造の筐体と、前記筐体内にて不断流状態で穿孔された前記流体管の孔部に挿入可能な弁体及び弁筐体を備えた制流弁と、を少なくとも有する流体制御装置であって、
前記筐体は、該筐体に前記制流弁を設置するための開放端部と、該筐体内を開閉可能な作業弁装置を着脱するための開口部とを備えた首部を有し、
前記制流弁の前記弁筐体の周面と、前記首部の前記開口部よりも前記流体管側の周面との間に、環状に形成された第1の密封部材が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、筐体の首部に作業弁装置を着脱するための開口部を有していることで、作業弁装置の取付位置を流体管に近づけることができるため、穿孔ストロークが短くなり、穿孔の位置ずれを極小化でき、併せて作業弁装置や穿孔機などの施工用機材の小型化、軽量化、コストダウンを達成できる。また、制流弁の弁筐体と首部の開口部よりも流体管側の周面間に設けられた環状の第1の密封部材により、弁筐体が首部の開口部を超えた位置にて密封状態にできるため、この密封状態で開口部及び開放端部を同時に遮断することができる。したがって、この制流弁の弁体が流体管の孔部に挿入する際の支点が確実となり、ストローク長さを低減して弁体の位置精度を向上させ、管内流体の制御性を高めることができる。
【0007】
前記制流弁の前記弁筐体の周面と、前記首部の前記開口部よりも前記開放端部側の周面との間に、環状に形成された第2の密封部材が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、第1の密封部材が開口部を超えるときに首部の内面から一時的に離間しても、このとき第2の密封部材が首部の内面を密封できるため、弁筐体が挿入し終えるまで密封状態を維持することができる。
【0008】
前記首部の前記周面は、前記弁筐体の挿入方向に直線状に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、直線状に形成された首部の内面に沿って弁筐体を挿入し易いばかりか、この周面に接する密封部材の密封状態を安定させることができる。
【0009】
前記制流弁の前記弁筐体は、該弁筐体の上端部に開閉可能な空気抜き孔を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、弁筐体の上端部に形成された空気抜き孔を介し弁筐体内の空気を略全量排出することができるため、弁筐体内の空気が圧縮されて不測の事故につながる虞を回避できるばかりか、弁筐体の腐食を抑制できる。
【0010】
前記首部の前記開口部は、前記流体管の管路方向に開口していることを特徴としている。
この特徴によれば、開口部に取り付ける作業弁装置を、流体管の管路方向に延設させることができるため、作業弁装置の取付領域を確保しやすい。
【0011】
前記筐体は、該筐体に設置された前記制流弁を周方向に移動規制する係合部を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、係合部により制流弁を筐体に対し周方向に移動規制できるため、制流弁が管内流体の流動により動いてしまう虞を回避できる。
【0012】
前記筐体は、前記開口部に取り付けられる前記作業弁装置を位置決めする位置決め部を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、位置決め部により作業弁装置を開口部に対し正確に取り付けることができるため、作業弁装置による筐体内の開閉機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例における流体制御装置を構成する筐体を示す斜視図である。
【
図2】(a)は流体管を外嵌した筐体を示す一部断面正面図であり、(b)は同じく側面断面図である。
【
図4】筐体に組付けた作業弁装置を示す斜視図である。
【
図5】(a)は作業弁装置の収容部材を示す平面断面図であり、(b)は作業弁装置の取付部材を示す平面断面図である。
【
図6】筐体に組付けた穿孔機を示す一部断面正面図である。
【
図7】穿孔機により流体管を穿孔している状況を示す一部断面斜視図である。
【
図8】排出機により切り粉を排出している状況を示す一部断面斜視図である。
【
図9】作業弁装置に組付けた実施例における挿入手段である液圧ロッドを示す一部断面正面図である。
【
図11】液圧ロッドに組付けた制流弁を示す一部断面正面図である。
【
図12】(a)は実施例における密封部材の断面図であり、(b)は変形例1における密封部材の断面図であり、(c)は変形例2における密封部材の断面図である。
【
図14】液圧ロッドにより制流弁を挿入している途中の状況を示す一部断面斜視図である。
【
図15】液圧ロッドにより制流弁の設置が完了した状況を示す一部断面斜視図である。
【
図16】筐体に固定された制流弁を示す一部断面斜視図である。
【
図19】変形例における挿入手段であるネジ式挿入機を示す一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る流体制御装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0015】
実施例に係る流体制御装置及びその設置方法につき、
図1から
図19を参照して説明する。
図16~18に示されるように、本発明に係る流体制御装置は、流体管1を外嵌する筐体5と、この筐体5に設置され管内流体を制御する制流弁10と、から主として構成されている。本実施例においては、流体制御装置及びその設置方法として、不断流状態で、管路構成部材である既設の流体管1の所定箇所に筐体5内にて穿孔した後、筐体5内に制流弁10を設置するまでの一連の流れを説明する。尚、流体管1内の流体は、本実施例では上水であるが、例えば、工業用水、農業用水、下水等の他、水以外の液体でも良いし、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0016】
本実施例の流体管1は、比較的小口径のダクタイル鋳鉄管であって、
図1,2に示されるように、断面視略円形状の直管に形成されている。本実施例では、流体管1の管路方向は略水平方向に配設されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、流体管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0017】
ここで本発明の流体管とは、本実施例のように直管に限られず、例えば異形管で構成されてもよい。ここで異形管とは、例えば曲管部や、分岐部、十字部、異径部、継ぎ輪部、短管部、排水部等の様々な異形部を少なくとも一部に有する管を総称するものである。
【0018】
先ず、
図1及び
図2に示されるように、本発明に係る流体制御装置の取付箇所となる流体管1の外面を清掃した後、この流体管1の後述する穿孔部分を密封するためのシール部材4を介し、流体制御装置を構成する筐体5を密封状に外嵌する。筐体5は、複数分割構造であり、本実施例では、上部側を構成する第1分割体51と、下部側を構成する第2分割体52とから主に構成されている。尚、筐体5の分割構造は、本実施例に限らず例えば、水平方向に分割されてもよいし、また、分割数も3分割以上の所定数に分割されてもよい。また、分割筐体同士は、本実施例では、ボルト・ナットからなる締結部材2により密封状態で接合されるものであるが、これに限らず例えば、溶接接合であっても構わない。
【0019】
図1~
図3に示されるように、筐体5の第1分割体51は、流体管1に沿って管路方向に延設される管路筐体部5aと、管路筐体部5aの略中央で上下方向に分岐して延設され、上方に開口する開放端部5c、及び側方に開口する開口部5bを有する筒状の首部5dとから構成され、正面視逆T字状に形成されている。
【0020】
更に首部5dの開放端部5cは、流体管1の管路方向に向けて一対に外径方向に突出したフランジ状の鍔部5e、5eと、この鍔部5eの周方向の中央位置にて内径方向に凹設された係合部としての切欠部5f、5fとを有している。
【0021】
この首部5dは、その筒状の周側部に、外面が径方向に突出した管厚部5gを備え、この管厚部5gに、流体管1の管路方向の一方に向けて開口する開口部5bを有している。
図1に示されるように、開口部5bは側面視で横長の略長方形に開口しており、後述するように作業弁装置3の作業弁体31が挿通可能に形成されている。
【0022】
また
図2(a)に示されるように、首部5dの内周部は、平面視略円形の曲面且つ上下方向に直線状に形成された内周面5hと、開口部5bと同じ高さ位置にて外径方向に凹設された凹設部5iと、この凹設部5iよりも下方に形成され、上方の内周面5hと上下方向に略面一に形成された内周面5jと、この内周面5jの下端に連なり内径方向に突出した段部5kとを備えている。
【0023】
次に、
図4及び
図5に示されるように、この首部5dの開口部5bに対し作業弁装置3を密封状に接続する。作業弁装置3は、筐体5内を開閉可能にスライドする作業弁体31と、この作業弁体31を水平方向にスライド可能に収容する収容内部32a、及びその側方の一端が開放された開放部32bを有する作業弁筐体としての収容部材32と、この収容部材32とともに首部5dに外嵌可能に、曲面状の内周面を有する取付部材33とから主として構成される。
【0024】
図4~
図6に示されるように、収容部材32は、回転可能で且つ進退不能に枢支され、水平方向に延設された軸部材34を備え、この軸部材34に作業弁体31が螺合しており、この収容部材32の外方に突出した軸部材34の先端部34aに取り付けた操作部材35を回転操作することで、作業弁体31が収容部材32に対しスライド可能に構成されている。また収容部材32の上面及び取付部材33の上面には、後述する液圧ロッド60を支持するための支持部36,36が設けられている。
【0025】
また
図6に示されるように、作業弁体31の上面には板状のシール部材31aが被覆されており、このシール部材31aによって筐体5内を密封状に閉塞可能に構成される。
【0026】
作業弁装置3の取付手順について詳しくは、先ず収容部材32を、その開放部32bが首部5dの開口部5bに連通する位置にて首部5dの外面に配置する。このとき
図4及び
図5(a)に示されるように、首部5dの管厚部5gは、開口部5bの横方向に一対に突出した位置決め部としての突出部5mを有しており、この突出部5mに、収容部材32の開放部32bの側方に形成された平面視略L字状で且つ側面視略U字状の係合部32cの内周が係合することで、収容部材32は、その開放部32bと首部5dの開口部5bとが連通した配置位置で位置決めされている。このように、突出部5mにより作業弁装置3を開口部5bに対し正確に取り付けることができるため、作業弁装置3による筐体5内の開閉機能を維持することができる。
【0027】
次に取付部材33を、首部5dを挟んで収容部材32の反対側の位置にて首部5dの外面に配置する。このとき
図4及び
図5(b)に示されるように、首部5dの管厚部5gに、取付部材33に形成された側面視略U字状の係合部33aの内周が係合することで、取付部材33は、首部5dを挟んで収容部材32の反対側の配置位置で位置決めされている。また、係合部33aは、本実施例では周方向に断続的に側面視略U字状に構成されているが、これに限らず、周方向に連続して側面視略U字状に構成されてもよい。なお、上記した係合部32cの側面視略U字状を構成する3辺の角部形状、または係合部33aの側面視略U字状を構成する3辺の角部形状については、本実施例のように矩形状でもよいし、ラウンド形状でも構わない。
【0028】
このように、開口部5bに取り付ける作業弁装置3を、流体管1の管路方向に延設させることができるため、流体管1の上方領域を作業弁装置3の取付領域として利用することができ、当該領域を確保しやすい。
【0029】
次に
図4に示されるように、これら収容部材32及び取付部材33を締結する。本実施例では、取付部材33の両端部にボルト37の基端37aがヒンジ状に接続されており、当該ボルト37を収容部材32に向けて回動して、収容部材32の係合部33aの外周部に形成された隙間部32dに挿入し、更にこのボルト37の先端にナット38を螺合することで締結している。すなわち本実施例ではボルト37及びナット38が締結部材を構成している。このように、締結部材を構成するボルト37が取付部材33に接続されているため、締結作業を容易に行うことができるばかりか、ボルト37を隙間部32dに挿入させるに伴い、取付部材33を収容部材32に対し位置決めすることができる。
【0030】
また、収容部材32は開放部32bの周囲を囲むようにシール部材39が配設されており、上記した締結部材の締結によって、このシール部材39が開口部5bの周縁に密接することで、これら開口部5b及び開放部32bは密封されている。このように、作業弁装置3が、首部5dに設けられた開口部5bに設置されることで、後述する穿孔機7や液圧ロッド60の取付位置を極力、流体管1に近づけることができるため、これら穿孔機7や液圧ロッド60が流体管1にアプローチする伸長ストロークを短縮化できる結果、穿孔機7や液圧ロッド60を小型化、軽量化、コストダウンすることができる(
図6、
図11参照)。
【0031】
なお締結部材は、本実施例に限らず、例えば収容部材32及び取付部材33のそれぞれに、互いに連通する連通孔を形成し、これらの連通孔にボルトを挿通してナットで締結してもよい。
【0032】
次に
図6に示されるように、首部5dの開放端部5cに対し穿孔機7を密封状に接続する。穿孔機7は、取付フランジ筒71と、流体管1を穿孔するためのカッタ72と、取付フランジ筒71内においてカッタ72を回転させるための駆動モータ74と、カッタ72を上下方向に進行・退避させるための進退機構73と、から主に構成されている。カッタ72は、流体管1よりも小径の有底筒状に形成され、その先端に周方向に沿って切断刃を備えたホールソー72aと、該ホールソー72aの回転軸と同軸に配設され切断刃よりも先方に突出したセンタードリル72bとから構成されている。尚、カッタ72は、筐体5の首部5dの開放端部5cと同心円状に配設され、開放端部5c側から筐体5の首部5d内に挿入され、少なくとも流体管1の管頂部の管壁を貫通する位置まで進行可能となっている。
【0033】
穿孔機7の取付手順について説明すると、取付フランジ筒71の先端に形成された凹状部75を、首部5dの開放端部5cに嵌合する。より詳しくは、取付フランジ筒71の凹状部75は、開放端部5cの側壁に内嵌される内壁部75aと、開放端部5cの側壁に外嵌される外壁部75bと、これら内壁部75a及び外壁部75bの基端部を構成する内底部75cとを備えており、内壁部75a及び外壁部75bにより開放端部5cの側壁を挟持するとともに、内底部75cを開放端部5cの端面に当接させることで、穿孔機7の取付フランジ筒71を首部5dの開放端部5cに位置決めされた状態で嵌合する。
【0034】
また、内壁部75aの外周面にはシール部材76が設けられており、このシール部材76が開放端部5cの側壁に密接することで、この嵌合状態で穿孔機7の取付フランジ筒71及び筐体5の首部5dは密封されている。
【0035】
さらにこの嵌合状態で、外壁部75bの外周に沿って、この外壁部75bに係合する断面視略U字状の内周部を備えた分割構造の係合部材77を組み付ける。
【0036】
なお、首部5dの開口部5bに対する作業弁装置3の接続作業と、首部5dの開放端部5cに対する穿孔機7の接続作業とは、必ずしも上記した順序に限られず、穿孔機7の接続作業を行った後に作業弁装置3の接続作業を行ってもよいし、又はこれらの接続作業を同時並行に行っても構わない。
【0037】
次に、
図6及び
図7に示されるように、穿孔機7による流体管1の穿孔工程を説明すると、先ず、作業弁装置3の作業弁体31を収容部材32の収容内部32aに配置させ筐体5内を開放した状態において、穿孔機7の駆動モータ74によりカッタ72を回転させるとともに、進退機構73を構成するハンドル73aを回転操作することでカッタ72を下方に進行させ、流体管1の管頂部の管壁を不断流状態で穿孔する。
【0038】
このとき、例えば筐体5内部に連通する開口として、例えば筐体5の開口部5bよりも下方に形成された雌ネジ孔5pに図示しないボールバルブを設置して、穿孔の際に発生する切り粉を流体とともに外部へ排出する。なお、切り粉の排出口は上記に限られず、作業弁装置3の収容部材32の上面に形成された開口部32eを、その上端に接続された開閉バルブ32fを開状態とすることで、穿孔の際に発生する切り粉を流体とともに外部へ排出してもよい。上記したボールバルブは、穿孔後に不断流状態で取外し、これに替えて
図18のような開閉ボルト5nにて密封する。
【0039】
また、
図7に示されるように、カッタ72により流体管1が切断されると、流体管1から分断された管頂部の切片1aがホールソー72a内に保持された状態となる。そして、カッタ72を切片1aとともに取付フランジ筒71の内部に引き上げ、作業弁装置3の作業弁体31により筐体5内部を閉塞することで、流体管1の穿孔作業が完了する。この際、穿孔機7の取付位置が流体管1に近く、取付フランジ筒71の内壁部75aと首部5dの内周面5hとを受挿嵌合して穿孔作業を行うため、穿孔機7が筐体5に対して極力同芯で位置決めされ、穿孔機7本体の取付フランジと取付フランジ筒71の接続面の平行度のずれが生じても、穿孔部分への影響が極小化され穿孔ずれが抑制される。
【0040】
次に、作業弁装置3の作業弁体31により筐体5内部を密封状に閉塞した状態で、穿孔機7の撤去作業を行い、この穿孔機7に替えて首部5dの開放端部5cに、穿孔の際に生じた切り粉を排出するための排出機8を接続する。
【0041】
図8に示されるように、排出機8は、首部5dの開放端部5cに固定に取り付けられる取付フランジ筒81と、この取付フランジ筒81の上端に接続された短筒82と、この短筒82に接続された弾性部材からなるフレキシブル筒83と、このフレキシブル筒83の上端に接続された操作筒84と、これらの筒81,82,83及び84に密封状に挿通された排出管85と、から主として構成されている。排出管85の後端側は、操作筒84の外方に突出されるとともに、この排出管85内を開閉する図示しない開閉弁が接続されている。
【0042】
なお、排出機8の取付フランジ筒81と首部5dの開放端部5cとの接続態様は、上記した穿孔機7の取付フランジ筒71と首部5dの開放端部5cとの接続態様と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
次に、排出機8による切り粉の排出工程を説明すると、排出管85の後端側に接続された開閉弁(図示略)を開状態とすることで、流体管1や筐体5内の切り粉を流体とともに排出することができる。このとき、排出管85を同軸に外嵌する操作筒84を把持して、フレキシブル筒83の弾性変形を利用し、取付フランジ筒81に対し自在に傾斜することで、排出管85の先端の吸引口85aを筐体5内の所望の位置に移動させることができるため、流体管1や筐体5内の隅々に切り粉が散在しても略全量を排出することができる。
【0044】
次に、作業弁装置3の作業弁体31により筐体5内部を閉塞した状態で、排出機8の撤去作業を行い、この排出機8に替えて首部5dの開放端部5cに、管内流体を制御するための制流弁10を接続する。
【0045】
この制流弁10の取付けに先立ち、
図9及び
図10に示されるように、まず作業弁装置3の支持部36,36に、制流弁10を筐体5に挿入するための挿入手段として、一対の液圧ロッド60を上下方向に立設する。液圧ロッド60は、作業弁装置3の支持部36に接続される支持プレート61と、この支持プレート61に固定支持された内空構造のシリンダ62と、このシリンダ62内に一端が嵌挿されたピストン63とから主として構成されている。液圧ロッド60は、このシリンダ62の内部に供給口62a,62aに接続される図示しないを作動液ホースを介し、油等の作動液を供給ポンプ等により供給することで、その液圧によりピストン63を上下に押圧しながら伸縮可能となっている。また一対の液圧ロッド60、60は、それぞれのピストン63,63が同期して伸縮し、その上端が常に同じ位置に配置されるように構成されている。
【0046】
図11に示されるように、制流弁10は、流体管1の穿孔された孔部1bを通過し管内を開閉可能に上下動する栓体11(弁体)と、この栓体11を上下方向に移動可能に収容し、且つ下端が開放された周側部13を有する弁筐体12とから主として構成される。弁筐体12は、回転可能で且つ進退不能に枢支された状態で上下方向に延設された軸部材14を備え、この軸部材14に栓体11が螺合しており、この弁筐体12の外方に突出した軸部材14の上端の操作部14aを回転操作することで、栓体11が弁筐体12に対し上下動可能に構成されている。
【0047】
より詳しくは栓体11は、軸部材14に螺合した雌ネジを備えた雌ネジ片11aと、この雌ネジ片11aに係合して追従動作する芯部11bと、この芯部11bの全外面に亘って被覆した弾性材からなる栓部11cと、から主として構成されている。栓体11は、上記した軸部材14の回転により下方の流体管1の孔部1bを通じて管内に移動して、栓部11cが流体管1の孔部1bと内周面1cに全周に亘って密接することで、管内の流路を完全に遮断し、または栓部11cの移動量に応じて管内の流路を一部遮断して流量を制御可能に構成されている。なお栓部11cは、芯部11bに被覆したものに限られず、脱着可能としてもよく、管内の流路を遮断するのに必要な部分のみに設けられてもよい。
【0048】
また制流弁10の弁筐体12は、その上端側に周側部13を側方に貫通し、常時は閉状態の開閉プラグ15が螺合する雌ネジ部を備えた空気抜き孔13aが形成されるとともに、周側部13の下端側の外周面に全周に亘る凹部13b、13bが、上下に離間して2条形成され、それぞれの凹部13bに密封部材21、22が設けられている。以下、弁筐体12の下端側(先端側)を第1の密封部材21と称し、この第1の密封部材21よりも上側(基端側)を第2の密封部材22と称して説明する。
【0049】
図12(a)に示されるように、本実施例の第1の密封部材21及び第2の密封部材22は、それぞれ環状に一体形成された弾性材からなり、同一の形状である。第1の密封部材21は、凹部13bの底面に形成された膨出部13cと凹部13bの内壁との間に保持される基端側の保持部21aと、この保持部21aに連なり弾性変形を許容する変形部21bとから構成されており、これらの密封部材21,22は、その弾性変形前の自然状態では、変形部21bの最外径が首部5dの内径よりも大径に形成されている。また本実施例の変形部21bは、内外の径方向に膨出する膨出部21cと、先端方向に突出する突出部21dと、膨出部21c及び突出部21dに架けて凹状に形成された凹状部21eとを有している。なお、第2の密封部材22は、上記した第1の密封部材21と同一の形状であるため、説明を省略する。
【0050】
また第1の密封部材21と第2の密封部材22との上下方向の離間距離は、首部5dの開口部5bの上下方向の開口幅よりも大きく構成されている。
【0051】
次に、制流弁10の設置工程について説明すると、
図11及び
図13に示されるように、液圧ロッド60のピストン63,63を伸長させるとともに、これらの上端に制流弁10を押圧するための押圧部材64を架設し、ナット65で締結する。更に、この押圧部材64の略中央に貫通形成された嵌合部64aに、制流弁10の弁筐体12の上端周縁を嵌合させた状態とし、ピストン63,63を液圧により下方に作動させることで、押圧部材64の底面である押圧面64bを介して制流弁10に下方に押圧力を付与し、この制流弁10を首部5d内にて漸次下方に移動させる。
【0052】
図14に示されるように、液圧ロッド60により首部5d内に挿入された制流弁10は、少なくとも密封部材21が首部5dの開口部5bよりも上方の内周面5hに密接することで密封状態が保たれる。この密封状態にて、作業弁装置3の作業弁体31を開放する。この際、作業弁装置3の開閉バルブ32fと筐体5の雌ネジ孔5pに取り付けたボールバルブとをホースで接続して同圧にし、作業弁体31を開放するようにして、作業弁体31への抵抗を減らしてもよい。このとき、下側に配置された第1の密封部材21が首部5dの開口部5bよりも下方の内周面5jに密接する密接部分を境界として、首部5d内の下方は管内圧の液体(管内流体)で満たされ、また上方は管内圧よりも小さい大気圧の空気が存在しているため、所定の圧力差が生じている。すなわち首部5dの開口部5bよりも下方の内周面5jは、制流弁10を密封する弁座として機能している。この際、液圧ロッド60で下方移動するときに栓体11が作業弁体31に接触せず、密封部材21で密封する位置で止める必要があり、例えば、スペーサを押圧部材64と作業弁装置3との間に介設し、移動規制の管理をしてもよい。
【0053】
なお、本実施例では流体管1及びこれに外嵌する筐体5の首部5dが小径に形成されていることから、制流弁10に対し上方に作用する力は比較的小さく、この上方に作用する力に抗して液圧ロッド60により制流弁10を更に下方に押圧させることができる。
【0054】
制流弁10が下方に移動するに際し、首部5dの内周面5hを密封していた第1の密封部材21が開口部5bを通過するとき、首部5dの内周面5hから離間するため一時的に密封状態を維持できなくなるが、このとき上方の第2の密封部材22が首部5dの内周面5hを密封している。すなわち上下に離間したこれら第1の密封部材21及び第2の密封部材22により、制流弁10を設置するまで密封状態は常に維持され、流体漏洩を防止することができる。
【0055】
また、首部5dの開口部5bよりも上方の内周面5hと、開口部5bよりも下方の内周面5jとは、弁筐体12の挿入方向である上下方向に直線状に形成されており、このようにすることで、弁筐体12を挿入し易いばかりか、これらの内周面5h、5jに接する密封部材21,22の密封状態を安定させることができる。
【0056】
本実施例の密封部材21,22の上記した断面形状によれば、内外の径方向に膨出した膨出部21cと突出部21dとに架けて凹状に形成された凹状部21eの表面に、管内流体の圧力が作用することで、膨出部21cを首部5dの内周面5h、5j及び周側部13の凹部13bに密接させるリップシール効果を得ることができ、密封性を高めることができるとともに、制流弁10の挿入抵抗が低減される。
【0057】
図15に示されるように、制流弁10は、第1の密封部材21が開口部5bよりも下方に超えて首部5dの内周面5jに密接し、且つ第2の密封部材22が開口部5bよりも上方の内周面5hに密接する設置位置まで押圧される。この設置位置にて、弁筐体12の周側部13の外径側に張り出す張出部13dから更に下方に延びる鉤部13e,13eが、筐体5の首部5dの開放端部5cに形成された係合部としての切欠部5fに嵌合され、制流弁10は筐体5に対し周方向の移動を規制できるため、制流弁10が管内流体の流動により動いてしまう虞を回避できる。
【0058】
次に、筐体5の開放端部5cの鍔部5e、及びこれに重合した制流弁10の張出部13dを、断面視略U字状に形成された分割構造の嵌合部材19によって嵌合することで、制流弁10は筐体5に対し上方向の抜け出しが規制される。
【0059】
また、制流弁10の設置位置にて、開閉プラグ15を螺出して空気抜き孔13aを開状態とすることで、密封状態の制流弁10の弁筐体12内に残留する空気を外部に放出する。より詳しくは開閉プラグ15は、その先端から基端側の周面に架けて連通路15cが形成された雄ネジ部材15aと、この雄ネジ部材15aの座金部に設けられ弁筐体12の外面を密封するOリング15bと、から構成されている。この開閉プラグ15を僅かに螺出すると、弁筐体12内の空気が連通路15c、更にOリング15bと弁筐体12の外面との隙間を通じて外部に放出される。ここで空気抜き孔13aが弁筐体12の上端近傍に形成されており、弁筐体12内の空気を残さず略全量を外部に放出することができるため、弁筐体12内の空気が圧縮されて不測の事故を起こす虞を回避できるばかりか、弁筐体12の腐食を抑制できる。なお、空気の放出は、例えば制流弁10の挿入中に随時行ってもよいし、あるいは密封部材21が筐体5の開放端部5cを密封し、開閉バルブ32fと筐体5の雌ネジ孔5pに取り付けたボールバルブとをホースで接続して、充水する際に行ってもよい。
【0060】
上記したように制流弁10を設置した後、
図16~
図18に示されるように、この制流弁10に組付けていた押圧部材64及び液圧ロッド60を取外し、さらに筐体5の開口部5bに取り付けていた作業弁装置3を順次取外す。このとき、首部5dの開口部5bよりも下方の内周面5jを第1の密封部材21が密封しているため、開口部5bを開放しても内部流体の漏洩は防止されている。そのため栓体11による密封を行うことなく作業弁装置3を取外すことができ、作業弁装置3の老朽化の虞もない。
図16及び
図17に示されるように、作業弁装置3を取外した後の開口部5bに閉塞蓋9を密封状に取付ける。
【0061】
以上説明したように、本発明に係る流体制御装置によれば、筐体5の首部5dに作業弁装置3を着脱するための開口部5bを有していることで、作業弁装置3の取付位置を流体管1に近づけることができるため、穿孔ストロークが短くなり、穿孔の位置ずれを極小化でき、併せて作業弁装置3や穿孔機7などの施工用機材の小型化、軽量化、コストダウンを達成できる。また、制流弁10の弁筐体12と首部5dの開口部5bよりも流体管1側の周面間に設けられた環状の第1の密封部材21により、弁筐体12の先端が首部5dの開口部5bを超えた位置にて密封状態にできるため、この密封状態で開口部5b及び開放端部5cを同時に遮断することができる。したがって、この制流弁10の栓体11が流体管1の孔部1bに挿入する際の支点が確実となり、ストローク長さを低減して栓体11の位置精度を向上させ、管内流体の制御性を高めることができる。
【0062】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0063】
例えば、前記実施例では、制流弁10を筐体5に挿入するための挿入手段として、液圧ロッド60が構成されていたが、これに限らず例えば、
図19に示されるように、一対のネジ式挿入機69が構成されてもよい。ネジ式挿入機69は、作業弁装置3の支持部36に接続される支持プレート91と、支持プレート91に固定支持された雄ネジロッド92と、この雄ネジロッド92に挿通された押圧部材94を挟持して螺合する雌ネジ部材93と、から主として構成されている。ネジ式挿入機69は、これらの雌ネジ部材93を下方に螺挿することで、押圧部材94の底面である押圧面94bを介して制流弁10に下方に押圧力を付与し、この制流弁10を首部5d内にて漸次下方に移動させる。
【0064】
また、例えば、前記実施例では、第1の密封部材21及び第2の密封部材22の弾性変形を許容する変形部21bが、内外の径方向に膨出する膨出部21cと、先端方向に突出する突出部21dと、これらに架けて凹状に形成された凹状部21eとを有しているが、これに限らず例えば、本発明に係る密封部材の変形例1として、
図12(b)に示されるように、密封部材23の変形部23bが内外の径方向及び先端方向に向け滑らかに膨出する略球根状の断面形状に形成されてもよく、このようにすることで、変形部23bがその外面の略全面に流体の圧力を均等に受け、曲率半径の大きな緩やかな曲面状に弾性変形するため、首部の内周面との密封面を広く得ることができる。
【0065】
あるいは本発明に係る密封部材の変形例2として、
図12(c)に示されるように、密封部材24の変形部24bがその外周部に切欠き部24eを備えた断面視略円形状に形成されてもよく、このようにすることで、外径方向の弾性変形代を大きく取ることができるため、弾性変形後の変形部24bと首部の内周面との密封機能を高めることができる。加えて、第1の密封部材21及び第2の密封部材22が互いに異なる断面形状を有していてもよい。
【0066】
また、例えば、前記実施例では、制流弁10の弁筐体12の周側部13を側方に貫通した空気抜き用の空気抜き孔13aが形成されているが、これに限らず例えば、弁筐体12を貫通する軸部材14の周辺に上方に貫通した空気抜き用の連通路を形成するとともに、この連通路を常時は閉状態とする固定部材を取付け、空気抜きの際に当該固定部材を取外し若しくは緩めることで、前記連通路を介し空気抜きするようにしてもよいし、あるいは、軸部材14の密封を一時解除するように軸部材14を軸方向に引き抜いて空気抜きをしてもよい。
【0067】
更に例えば、前記実施例では、制流弁10が、その弁体として、流体管1の孔部1bを通過し内周面1cに密接する栓体11を備えているが、これに限らず、管内流体を制御可能であれば如何なる形態の弁体も適用することができる。
【0068】
また、例えば、前記実施例では、液圧ロッド60を作業弁装置3に設置したが、これに限らず、既設の流体管1や筐体5などを利用して設置してもよい。
【0069】
また、例えば、前記実施例では、流体管1よりも小径のホールソー72aで穿孔したが、これに限らず、流体管1よりも大径のホールソーあるいはバイト装置、ワイヤーソー装置等で筐体5内部の流体管の一部を切削し、切片を撤去して、筐体の内周面を弁座として密封するプラグや、弁体を内蔵した内弁箱を有する制流弁を不断流状態で設置するようにしてもよい。
【0070】
また、例えば、前記実施例では、流体管1をホールソー72aで穿孔したが、これに限らず、エンドミルなどの切削工具を用いて、流体管を切削し、流体管に栓体を挿入するための孔部を形成するようにしてもよい。この際、不断流状態での切削方法として例えば、筐体に設けたエンドミルを回転させ、流体管を穿孔した後、不断流状態で筐体ごとエンドミルを流体管の周方向に回転することで、孔部を形成しても良いし、あるいは流体管の軸方向に筐体ごとエンドミルを移動させて孔部を形成しても良い。また、筐体を流体管に対して固定させて、エンドミルを回転状態で、筐体と流体管に対して、相対移動させるようにして流体管に孔部を形成しても良い。