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特開2023-164933アスコルビン酸及び/又はその塩を含有する外用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164933
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】アスコルビン酸及び/又はその塩を含有する外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/375 20060101AFI20231107BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20231107BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20231107BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20231107BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231107BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20231107BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231107BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231107BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20231107BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
A61K31/375
A61P17/10
A61P17/16
A61P17/18
A61P29/00
A61P43/00 107
A61K8/34
A61K8/49
A61K8/33
A61Q19/00
A61Q19/08
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/08
A61K8/67
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143147
(22)【出願日】2023-09-04
(62)【分割の表示】P 2020549276の分割
【原出願日】2019-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2018179018
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北岡 侑
(72)【発明者】
【氏名】岩井 麻里子
(72)【発明者】
【氏名】山科 翔
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安定性に優れた外用組成物を提供する。
【解決手段】(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%、(B)炭素数3個のジオール20質量%以上、(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種、(D)水、を含有し、(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテル20質量%未満である外用組成物を調製する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスコルビン酸及び/又はその塩を含有する外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸は、抗炎症効果、ニキビ改善効果、美白効果、老化防止効果、抗酸化効果、コラーゲン等の生体成分の合成促進による細胞賦活効果、表皮角化細胞の紫外線による細胞障害やDNA損傷を抑制する効果といった各種の効果を発揮することが知られており、これらの効果を期待して皮膚外用剤として広く用いられている。
【0003】
アスコルビン酸は水溶液中など水の存在下で容易に酸化する為、製剤中の水を減らすことが求められるが、少量の水ではアスコルビン酸を十分可溶化できない。
【0004】
このため、アスコルビン酸を水性の皮膚外用剤において安定に可溶化するためのいくつかの方法が検討されている(例えば、特許文献1:WO02/19972号公報、特許文献2:WO00/78283号公報、特許文献3:特開2002-348228号公報、特許文献4:特開2005-225865号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO02/19972号公報
【特許文献2】WO00/78283号公報
【特許文献3】特開2002-348228号公報
【特許文献4】特開2005-225865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、安定性の良いアスコルビン酸含有外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
アスコルビン酸及び/又はその塩を含有する外用組成物であって、様々な濃度のアスコルビン酸及び/又はその塩の配合が可能となる外用組成物を提供する。
【0008】
本発明者らの検討によると、アスコルビン酸及び/又はその塩を所定濃度で配合しても、保存により、分解される場合があることが判明した。
【0009】
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%、(B)炭素数3個のジオール20質量%以上、(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種、(D)水、を含有し、(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテル20質量%未満とすることで、アスコルビン酸又はその塩の安定性に優れた外用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記に掲げる外用組成物を提供する。
項1.
(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%;
(B)炭素数3個のジオールを20質量%以上;
(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種;及び
(D)水、を含有し、
(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテル20質量%未満である外用組成物。
項2.
さらに、低級アルコールを含む、項1記載の外用組成物。
項3.
(B)成分が、1,3-プロパンジオールを含む、項1又は2記載の外用組成物。
項4.
(B)成分が、40質量%以上である、項1~3のいずれか1項記載の外用組成物。
項5.
(C)成分が、0.5質量%以下である、項1~4のいずれか1項記載の外用組成物。
【0011】
さらに、本発明は、以下の、外用組成物に安定性を付与する方法を提供する。
項6.
(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%、(B)炭素数3個のジオール20質量%以上、(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種、(D)水、を含有し、(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテル20質量%未満とすることによる、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する外用組成物に安定性を付与する方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、安定性に優れた外用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、含有量の単位「質量%」は、「g/100g」と同義である。
【0014】
本発明の外用組成物は、
(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%;
(B)炭素数3個のジオールを20質量%以上;
(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種;及び
(D)水、を含有し、
(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテルの含有量が20質量%未満の外用組成物である。
【0015】
本発明の外用組成物は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種の幅広い濃度域で安定であり、かつ安全性が高い。また、使用感や経皮吸収性にも優れる。
【0016】
[(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種]
本発明に用いられるアスコルビン酸としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として市販されているアスコルビン酸を使用することができ、これらは通常L体のものを指す。
【0017】
アスコルビン酸の塩も使用できる。ここで、アスコルビン酸の塩とは、薬学上許容される塩である。限定はされないが、例えば、有機塩基との塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ピリジン塩などの第3級アミンとの塩、アルギニンなどの塩基性アンモニウム塩など)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩など)などが挙げられる。特に好ましいアスコルビン酸の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩である。具体的には、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸モノリン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸ジリン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸トリリン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。
【0018】
本発明において、アスコルビン酸又はその塩は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0019】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する(A)成分の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、1質量%以上であり、好ましくは、2質量%以上、さらにより好ましくは、3質量%以上である。外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、40質量%以下であり、好ましくは、30質量%以下、さらにより好ましくは、25質量%以下である。外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、1質量%~40質量%、好ましくは、2質量%~30質量%、さらに好ましくは、3質量%~25質量%である。
【0020】
[(B)炭素数3個のジオール]
本発明に用いられる炭素数3個のジオールとしては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。また、このような炭素数3個のジオールは、市販品をそのまま用いることもできる。炭素数3個のジオールとしては、限定はされないが、例えば、1、3-プロパンジオール(CAS番号:504-63-2、英名:1,3-Dihydroxypropane又はTrimethyleneGlycol)又はプロピレングリコール(CAS番号:57-55-6、英名:1,2-Dihydroxypropane、和名別名:1,2-プロパンジオール)が例示でき、1種類を使用しても、適宜組み合わせて使用してもよい。皮膚への刺激緩和、使用感向上、製剤の着色抑制の観点から、1、3-プロパンジオール及びプロピレングリコールを組み合わせることも好ましい態様の一つであり、(B)成分として、少なくとも1、3-プロパンジオールを含むことがより好ましい。
【0021】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、特に限定されないが、20質量%以上であり、好ましくは、25質量%以上、より好ましくは、30質量%以上であり、さらに好ましくは、35重量%以上、さらにより好ましくは、40重量%以上である。
外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは、90質量%以下であり、より好ましくは、85質量%以下、さらに好ましくは、80質量%以下である。
【0022】
外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、特に限定されないが、好ましくは、20~90質量%、より好ましくは、25~85質量%、さらに好ましくは、30~80質量%、さらにより好ましくは40~80質量%である。
【0023】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の配合量の比率は特に限定されないが、(A)成分の総含有量1質量部に対して、1~300質量部が好ましく、1~100質量部がより好ましく、さらに好ましくは1~30質量部がさらに好ましい。
【0024】
[(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種]
本発明に用いられる(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種(ビタミンE類)としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として通常用いられる化合物を使用することができ、d体、l体、又はdl体のいずれであってもよく、またα、β、γ、δの構造のいずれであってもよい。(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種は、特に限定はされない。トコフェロールとしては、例えば、d-α-トコフェロール、d-β-トコフェロール、d-γ-トコフェロール及びd-δ-トコフェロール、l-α-トコフェロール、l-β-トコフェロール、l-γ-トコフェロール、l-δ-トコフェロール、それらの混合物であるdl-α-トコフェロール、dl-β-トコフェロール、dl-γ-トコフェロール、dl-δ-トコフェロール等が挙げられる。トコフェロールの誘導体としては、限定はされないが、トコフェロールのエステルが好ましい。また、特には、トコフェロールの誘導体としては、酢酸トコフェロール、トコフェロールニコチン酸エステル又はその塩、トコフェロールコハク酸エステル又はその塩、トコフェロールリノレン酸エステル、リン酸トコフェロール又はその塩、(リノール酸/オレイン酸)トコフェロール、及びトコトエリノールからなる群より選択される1種等が例示される。このうち、特にd体、l体、又はdl体のいずれであってもよく、またα、β、γ、δの構造のいずれであってもよいトコフェロール又は酢酸トコフェロールが好ましい。
【0025】
また、これらは、天然物を利用することや合成することもでき、市販品をそのまま使用することもできる。
【0026】
これらのビタミンE類は、1種又は2種以上の組み合わせで使用することもできる。
【0027】
これらのビタミンE類は、本発明の外用組成物のより高い安定性に寄与し得る。
【0028】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は特に限定されないが、好ましくは、0.00001質量%以上、より好ましくは0.0001質量%以上である。外用組成物の全量に対して、(C)成分の総含有量は、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは、5質量%以下である。外用組成物の全量に対して、(C)成分の含有量は、好ましくは、0.00001~10質量%、より好ましくは、0.0001~5質量%、である。
【0029】
[(D)水]
本発明の外用組成物は、水を含む液状組成物である。水の割合は、限定はされないが、外用組成物に対して、好ましくは、0.01~60質量%、より好ましくは、0.01~50質量%、さらにより好ましくは、0.1~40質量%、最も好ましくは、1~30質量%である。
【0030】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(D)成分の比率は、(A)成分の総含有量1質量部に対して、0.5~5.0質量部であり、0.5~4.0質量部がより好ましい。
【0031】
[グリコールエーテル]
本発明において、主として安定性向上の観点から、エトキシジグリコール等のグリコールエーテルは含有しないか、含有しても20質量%未満である。外用組成物に20質量%未満含まれるグリコールエーテルとしては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。ここで、グリコールエーテルとしては、エトキシジグリコールの他に、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられるものであって、水100gに対して10g以上溶解するものであればよい。重合度2以下のものが例示される。具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が例示できる。さらには、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルが、典型的な例である。特には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルが典型的な例である。
【0032】
これらのグリコールエーテルは、1種又は2種以上の組み合わせで使用することもできる。
【0033】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する、エトキシジグリコールを含めたグリコールエーテルの総含有量は、20質量%未満であり、好ましくは、15質量%以下であり、より好ましくは、10質量%以下であり、グリコールエーテルは、外用組成物に含まれなくても良い。
エトキシジグリコールを含めたグリコールエーテルの総含有量は、好ましくは、0以上20質量%未満、より好ましくは、0~15質量%、さらにより好ましくは、0~10質量%程度である。
【0034】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対するグリコールエーテル成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1質量部に対して、0~10質量部が好ましく、0~5質量部がより好ましい。また、場合によって、0.001~20質量部、又は0.01~10質量部とすることもできる。
【0035】
本発明の外用組成物は、(A)、(B)、(C)、及び(D)を含有し、グリコールエーテル全体の含有量を規定することで、安定性の良い外用組成物とすることもできる。
【0036】
[(E)低級アルコール]
本発明の外用組成物は、使用感の向上、安定性及び経皮吸収の促進の観点から、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分、及び含まれる場合には、エトキシジグリコールなどのグリコールエーテルの他に、任意に(E)低級アルコールを含んでいてもよい。
本発明において用いられる低級アルコールとしては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。本明細書において、「低級アルコール」というときは、C-Cのアルコールを指す。そのうち、特に、C-Cのアルコールを好ましく用いることができる。このような例として、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0037】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する(E)成分の総含有量は、含まれる場合、好ましくは、0.1質量%以上、であり、より好ましくは、0.5質量%以上である。
(E)成分の総含有量は、好ましくは、25質量%以下であり、より好ましくは、20質量%以下である。
【0038】
(E)成分の総含有量は、好ましくは0.001~30質量%、より好ましくは0.1~25質量%、さらに好ましくは、0.5~20質量%、さらにより好ましくは1~20質量%である。
【0039】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(E)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1質量部に対して、0.01~10質量部が好ましい。
【0040】
[多価アルコール]
本発明の外用組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)、(B)、(C)、(D)成分、及び含まれる場合には一定量未満のエトキシジグリコールなどのグリコールエーテルの他に、多価アルコールを含んでいてもよい。
【0041】
本発明において用いられる多価アルコールとしては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。多価アルコールは、限定はされないが、保湿の為又は可溶化剤として加える場合もある。具体的には、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオールなどがあげられる。好ましいものは、1、3-ブチレングリコール又はジプロピレングリコールである。
【0042】
ここで、(B)成分以外の多価アルコールの総含有量は、含まれる場合は、好ましくは0.001~60質量%、より好ましくは、0.01~50質量%、さらに好ましくは、0.1~40質量%、さらにより好ましくは、0.5~30質量%程度である。
【0043】
[アミン又はアミノ基を有するpH調整剤]
本発明の外用組成物は、使用感の向上、安定性及び経皮吸収促進の観点から、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分、及び、含まれる場合には、エトキシジグリコールなどのグリコールエーテルの他に、アミン又はアミノ基を有するpH調整剤を含んでいてもよい。本発明に用いられ得るアミンを有するpH調整剤としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として通常用いられる化合物を使用することができる。アミン又はアミノ基を有するpH調整剤としては、特に限定はされないが、例えば、アスパラギン酸、ε-アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジン、低分子ベタインなどが例示される。このうち、特に低分子ベタインが好ましい。
【0044】
本発明において低分子ベタインとは、分子量200以下の分子内で両性イオンを形成するものを示し、具体的には、4級アンモニウム塩基、4級ホスホニウム塩基、3級スルホニウム塩基等が挙げられ、これらは界面活性剤としての性質をほとんど示さない。
【0045】
具体的には、トリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリプロピルグリシン、トリイソプロピルグリシン、トリメチル-β-アラニン、トリメチル-γ-アミノ酪酸等が挙げられ、好ましくはトリメチルグリシンである。
【0046】
また、これらの低分子ベタインは置換されていてもよく、具体的には、N、N、N-トリメチルアラニン、N、N、N-トリエチルアラニン、N、N、N-トリイソプロピルアラニン、N、N、N-トリメチルメチルアラニン、カルニチン、アセチルカルニチン等が挙げられ、好ましくはカルニチンである。
【0047】
また、これらは、合成することもでき、市販品をそのまま使用することもできる。
【0048】
これらの低分子ベタインは、1種又は2種以上の組み合わせで使用することもできる。
【0049】
低分子ベタインに代表されるアミン又はアミノ基を有するpH調整剤は、本発明の外用組成物に、良好な経皮吸収性を持たせたい場合に使用できる。
【0050】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対するアミン又はアミノ基を有するpH調整剤の総含有量は特に限定されないが、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは、0.05質量%以上である。外用組成物の全量に対して、アミン又はアミノ基を有するpH調整剤の総含有量は、好ましくは、25質量%以下、より好ましくは、20質量%以下、である。外用組成物の全量に対して、アミン又はアミノ基を有するpH調整剤の含有量は、好ましくは、0.01質量%~25質量%、より好ましくは、0.05質量%~20質量%である。
【0051】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対するアミン又はアミノ基を有するpH調整剤の配合量の比率は特に限定されないが、(A)成分の総含有量1質量部に対して、0.00001~20質量部が好ましく、0.0001~20質量部がより好ましく、0.001~10質量部がさらに好ましく、0.0025~5質量部が一層好ましく、0.01~3質量部が最も好ましい。
【0052】
[3-O-エチルアスコルビン酸]
本発明の外用組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)、(B)、(C)、(D)、及び含まれる場合には一定量未満のエトキシジグリコールの他に、3-O-エチルアスコルビン酸又はその塩を含んでいてもよい。
3-O-エチルアスコルビン酸は、アスコルビン酸の3位の水酸基をエトキシ化して合成することができる(例えば、特開平8-134055に記載の公知の方法などによる)。3-O-エチルアスコルビン酸は、市販品をそのまま用いることもできる。市販品としては、限定はされないが、例えば、日本精化製「VCエチル」の他、純正化学株式会社製の製品などが例示される。
【0053】
3-O-エチルアスコルビン酸は、本発明の外用組成物の安定性に寄与する。
【0054】
3-O-エチルアスコルビン酸は、塩としても使用できる。ここで、3-O-エチルアスコルビン酸の塩とは、薬学上許容される塩である。限定はされないが、例えば、有機塩基との塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ピリジン塩などの第3級アミンとの塩、アルギニンなどの塩基性アンモニウム塩など)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩など)などが挙げられる。特に好ましい3-O-エチルアスコルビン酸の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩である。
【0055】
本発明において、3-O-エチルアスコルビン酸又はその塩は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0056】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する3-O-エチルアスコルビン酸又はその塩の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。外用組成物の全量に対して、好ましくは、0.005質量%以上であり、より好ましくは、0.01質量%以上、さらに好ましくは、0.02質量%以上、より好ましくは、0.05質量%以上、最も好ましくは、0.1質量%以上である。また、外用組成物の全量に対して3-O-エチルアスコルビン酸又はその塩の総含有量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは、5質量%以下、さらに好ましくは、3質量%以下、より好ましくは、2質量%以下である。外用組成物の全量に対して、3-O-エチルアスコルビン酸又はその塩の総含有量は、好ましくは0.005~10質量%、より好ましくは、0.01~5質量%、さらに好ましくは、0.02~3質量%、さらにより好ましくは、0.05~2質量%である。
【0057】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する3-O-エチルアスコルビン酸又はその塩の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1質量部に対して、3-O-エチルアスコルビン酸又はその塩の総含有量が0.0001~100質量部が好ましく、0.001~100質量部がより好ましく、0.005~10質量部がさらに好ましく、0.005~1質量部が最も好ましい。
【0058】
[界面活性剤]
本発明の外用組成物は、本発明の効果を妨げない限り、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤を含む場合には、HLBが通常8~20、好ましくは8~18、より好ましくは9~16、さらに好ましくは10~15の界面活性剤を用いることができる。このような界面活性剤は、(C)成分の安定化に寄与し得る。たとえばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、イソステアリン酸PEG-8グリセリル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、ヤシ油脂肪酸ポリグリセリル-10、ヤシ油脂肪酸ポリグリセリル-3、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸PEG-40グリセリル、イソステアリン酸PEG-40グリセリル、トリラウリン酸ポリグリセリル-10、トリカプリル酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどを用いる事ができ、特にポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、ラウリン酸ポリグリセリルが好ましい。
【0059】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する界面活性剤の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。外用組成物の全量に対して、界面活性剤の総含有量は、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは、0.05~5質量%、さらに好ましくは、0.1~3質量%である。
【0060】
[その他の成分]
本発明の外用組成物には、上記(A)、(B)、(C)、(D)、及び、含まれる場合には一定量未満のエトキシジグリコールの他に、さらに、アスコルビン酸が有する各種の作用を増強又は補足する目的で、また他の有用な作用を付加するため、美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、ニキビ改善成分、老化防止成分、コラーゲン等の生体成分合成促進成分、血行促進成分、保湿成分、老化防止成分等の各種成分を1種又は2種以上組み合わせて配合することができる。好ましくは美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、老化防止成分又は保湿成分の1種又は2種以上の成分である。これらの成分の組み合わせとして特に好ましいものとしては、美白成分との組み合わせ、美白成分と抗酸化成分との組み合わせ、抗酸化成分との各組み合わせ、老化防止成分との組み合わせ、美白成分と老化防止成分との各組み合わせを挙げることができる。これらの各成分としては、医薬品、医薬部外品、又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として従来から使用され、また将来使用されるものであれば特に制限されず、任意のものを適宜選択し使用することができる。
【0061】
本発明の外用組成物は、上記各成分に加えて、さらに可溶化成分、油脂類、糖類又は経皮吸収促進成分を配合することもできる。特に可溶化成分又は油脂類を配合することによって、水性溶媒中におけるアスコルビン酸の安定性、有効性、使用感をより向上させることができる。
【0062】
本発明の外用組成物には、外観安定性や粘度等の品質を損なわず、また本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内で、必要に応じて医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において外用剤の成分として一般的に用いられる各種の成分、例えば、アミノ酸、刺激軽減剤、増粘剤、防腐剤、紫外線防御剤、着色剤、分散剤、追加のpH調整剤、香料等を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、又は2種以上を任意に配合することができる。
【0063】
本発明の外用組成物は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%、(B)炭素数3個のジオール20質量%以上、(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種、及び(D)水、を含有し、(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテル20質量%未満であり、必要に応じて上記各任意成分を配合混合し、さらに必要に応じてその他の溶媒や通常使用される外用剤の基剤等を配合することによって、ペースト状、ムース状、ジェル状、液状、乳液状、クリーム状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状などの各種所望の形態に調製することができる。これらは当業界の通常の方法にて製造することができる。
【0064】
本発明の外用組成物は、アスコルビン酸及び/又はその塩を可溶化した、透明ないし半透明の組成物であることが特に好ましい。ここで、「可溶化」とは、以下のように定義されるものである。すなわち、例えば、紫外可視吸光度測定法により、分光光度計又は光電光度計UV-2450(島津製作所製)を用いて波長700nmの透過率として、透過率が、80~100%、好ましくは85~100%、より好ましくは90~100%の範囲にあるものをさす。ここで水の透過率を100%とする。本発明の可溶化組成物は、透明ないし半透明の外観を呈している。透過度測定方法は、より詳細には、第16改正日本薬局方[B]一般試験法 2.物理的試験法 分光学的測定法 2.24紫外可視吸光度測定法に記載の方法に準ずる。
【0065】
[粘度]
本発明の外用組成物は、特に皮膚に適用するために用いられる外用組成物の使用の際に望まれる適度な粘性を備えた組成物として調製することができる。本発明の外用組成物の粘度は、特に限定はされないが、例えば、E型粘度計を用いて25℃で測定した場合の粘度が通常1~300mPa・s程度、好ましくは1~200mPa・s程度、より好ましくは1~100mPa・s程度、最も好ましくは、1~50mPa・s程度である。粘度測定方法は、より詳細には、第16改正日本薬局方[B]一般試験法 2.物理的試験法 その他の物理的試験法 2.53 粘度測定法 2.第2法 回転粘度計法 2.1.3 円すい‐平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計)に記載の方法に準ずる。
【0066】
[pH]
本発明の外用組成物は、通常pH1~8の液性を備えていればよいが、アスコルビン酸の安定性、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚使用感の良さという観点から、好ましくはpH2~7、より好ましくはpH2~6、さらに好ましくは、pH2~5.0、最も好ましくは、pH2~4.5である。酸性領域であることが望ましい。
【0067】
[用途]
本発明の外用組成物は、特には、美白剤、抗炎症剤、抗老化剤として有効であり、例えば、にきび予防や治療、抗酸化の作用を有する。さらに、皮膚への適用により、皮膚の透明感が高まり、潤いが保持され、キメが整い、ざらつきを抑える効果が発揮される場合がある。さらには、毛穴を目立たなくさせる、整肌保湿などの効果が発揮される場合がある他、しみの予防や治療に用いることもできる。
【0068】
本発明の外用組成物は、例えば、美容液、化粧水、日焼け止めクリーム、乳液、クリーム、ローション、オイル及びパックなどの基礎化粧料;ファンデーション、口紅、リップクリーム、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、眉墨及び美爪料等のメーキャップ化粧料;洗顔料やクレンジング、ボディ洗浄料などの洗浄料;腋臭防止剤、水虫治療剤、鎮痒剤、創傷治癒剤、清拭剤、清浄剤、消炎鎮痛剤、にきび治療剤、痔疾用剤、殺菌消毒剤、美白剤、紫外線防御剤などの、化粧品、外用医薬品又は外用医薬部外品の分野に属する各種の外用組成物とすることができる。皮膚への作用効果から、本発明は皮膚外用剤(外皮用の製剤)等の外皮に適用される製品に使用されることが好ましい。本発明の組成物は、用途などに応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。
【0069】
[安定化方法]
また本発明は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種の安定化方法をも包含する。本発明において、アスコルビン酸の安定化方法によれば、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%、(B)炭素数3個のジオール20質量%以上、(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種、(D)水、を含有し、(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテル20質量%未満とすることによって、アスコルビン酸を含有しながら、安定な製剤とすることができる。特にはアスコルビン酸を高濃度(例えば、15%以上、あるいは20%以上など)に含有しながら、安定な製剤とすることができる。すなわち、本発明は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%、(B)炭素数3個のジオール20質量%以上、(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種、及び(D)水、を含有し、(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテル20質量%未満とすることによる、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する外用組成物に安定性を付与する方法、に関する。ここで、安定化とは、限定はされないが、例えば高温下、あるいは低温下においても安定性が担保されていることをいう。具体的には、50℃の保存又は40℃の保存、室温で保存した際にアスコルビン酸の濃度低下が抑制されていることなどを指す。
【0070】
本発明の方法において、
(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%、(B)炭素数3個のジオール20質量%以上、(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種、及び(D)水、を含有し、(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテル20質量%未満とすることやその含有量などについては、前記外用組成物で用いたものと同様である。
【0071】
本発明は以下の態様を含む。
[1]
(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%;
(B)炭素数3個のジオールを20質量%以上;
(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種;及び
(D)水、を含有し、
(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテル20質量%未満である外用組成物。
[2]
さらに、低級アルコールを含む、[1]記載の外用組成物。
[3]
前記低級アルコールが、エタノールである、[2]記載の外用組成物。
[4]
前記低級アルコールの含有量が、0.001~30質量%である、[2]~[3]のいずれか1項記載の外用組成物。
[5]
(B)成分が、1,3-プロパンジオールを含む、[1]~[4]のいずれか1項記載の外用組成物。
[6]
(B)成分が、40質量%以上である、[1]~[5]のいずれか1項記載の外用組成物。
[7]
(C)成分が、0.5質量%以下である、[1]~[6]のいずれか1項記載の外用組成物。
[8]
エトキシジグリコールエーテルの量が、10質量%未満である、[1]~[7]のいずれか1項記載の外用組成物。
【0072】
さらに、本発明は、以下の、外用組成物に安定性を付与する方法を提供する。
[9]
(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を1~40質量%、(B)炭素数3個のジオール20質量%以上、(C)トコフェロール、トコフェロールの塩、及びトコフェロールの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種、及び(D)水、を含有し、(D)成分/(A)成分の質量比が0.5~5.0、さらにグリコールエーテル20質量%未満とすることによる、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する外用組成物に安定性を付与する方法。
[10]
さらに、前記外用組成物が、低級アルコールを含む、[9]記載の方法。
[11]
前記低級アルコールが、エタノールである、[10]記載の方法。
[12]
前記低級アルコールの含有量が、0.001~30質量%である、[10]又は[11]のいずれか1項記載の方法。
[13]
前記外用組成物の(B)成分が、1,3-プロパンジオールを含む、[9]~[12]のいずれか1項記載の方法。
[14]
前記外用組成物の(B)成分が、40質量%以上である、[9]~[13]のいずれか1項記載の方法。
[15]
前記外用組成物の(C)成分が、0.5質量%以下である、[9]~[14]のいずれか1項記載の方法。
[16]
前記外用組成物に含まれるエトキシジグリコールエーテルの量が、10質量%未満である、[1]~[7]のいずれか1項記載の外用組成物。
【実施例0073】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、表における各成分量の単位は、質量%である。
【0074】
表1~表3に示す組成の外用組成物を常法に従って調製した。表中特に断りがない限り、数値は、質量%を表わす。
【0075】
[アスコルビン酸安定性試験]
20gを収容できるガラス物性瓶に、実施例及び比較例の外用組成物を15gずつ充填し、各恒温恒湿機に静置した。2週間又は4週間の期間経過後に、容器を恒温恒湿機から取り出し、25℃で恒温化した後に、アスコルビン酸の量の変化を評価した。
【0076】
アスコルビン酸のHPLCによる検出は紫外吸光光度計を用いて波長270nmにて逆相カラム(Inertsil ODS-3 、ジーエルサイエンス(株)製)を用いて行い、含有量の計算を行った。
【0077】
実施例及び比較例の組成物のアスコルビン酸安定性試験の結果を表1~表3に示す。各処方ごとに、トコフェロールの含有の有無以外は同一の処方と比較し、アスコルビン酸の量の変化を「改善率」で示した。改善率の算出は、以下の式の通りである。各処方ごとに、トコフェロールの含有の有無以外は同一の処方と比較し、アスコルビン酸の量の変化を「改善率」で示した。なお、試験実施後のアスコルビン酸の量(質量%)を「残存率」とした。改善率の算出は、以下の式の通りである。
減少率1=(100-トコフェロールを含まない組成物のアスコルビン酸の残存率)
減少率2=(100-トコフェロール配合組成物のアスコルビン酸の残存率)
改善率={(減少率1-減少率2)/減少率1}×100(%)
ここで、減少率1及び減少率2の算出は、トコフェロールの有無のみで異なる組成物を用いる。但し、トコフェロールを含まない組成物については、実際は、最も配合量が多い多価アルコールでこれを補充した。
【0078】
【表1】
【0079】
表1に示す通り、1,3-プロパンジオール(以下、PD)が配合された処方はトコフェロール(VE)を配合することによって、アスコルビン酸(VC)の分解を改善する事が明らかになった(実施例2及び3)。なお、この改善はVCの濃度やVEの濃度とは無関係であった。また、35.5重量%以上PGを配合した処方においても同様に改善する事が明らかになった(実施例4及び5)。PD、PGを配合している実施例1の処方においても同様の傾向が観察された。
【0080】
【表2】
【0081】
表2に示すように、PDを高濃度配合した処方(実施例6及び7)はd-δ-トコフェロールを配合することによって、アスコルビン酸の分解を改善する事が明らかになった。しかし、PD以外の多価アルコール等やPGを低濃度配合した処方、水を多く配合する処方においては、改善率が緩やかであるか、d-δ-トコフェロールを配合することでむしろアスコルビン酸の分解を促進した(比較例4~7)。
【0082】
【表3】
【0083】
ここで、表3のアスコルビン酸濃度の改善率(%)は、[{(100-比較例8の組成物のアスコルビン酸の残存率)-(100-各実施例の組成物のアスコルビン酸の残存率)}/(100-比較例8の組成物のアスコルビン酸の残存率)]×100とする。
表3に示す通り、PD、PGを配合した処方は、DPGを配合した処方で低下したVCの配合率をそれぞれ改善した(実施例8及び9)。
【0084】
[処方例]
下記表4に処方例を示す。処方例は、いずれも美容液で、処方例中の含有量はいずれも質量%である。
【0085】
【表4】