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  • 特開-露光装置およびアライメント方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164945
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】露光装置およびアライメント方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20231107BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20231107BHJP
   G03F 7/22 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 501
G03F7/22 H
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144007
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2019035471の分割
【原出願日】2019-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】中澤 朗
(57)【要約】      (修正有)
【課題】投影露光装置において、スループットを向上させながら、マスクパターンを基板に精度よく転写する。
【解決手段】投影露光装置とは独立した測定装置によって、基板Wにマトリクス配置されたチップのアライメントマークの位置を事前に測定し(S101)、各チップ固有の固有位置ずれ量を求める(S102)。投影露光装置は、GA用アライメントマークを測定し、線形性のある各チップの位置ずれ量を算出する(S103)。そして、固有位置ずれ量(S104)と線形性のある位置ずれ量とに基づき、露光装置に基板W搭載されている状況で各チップのアライメントマークの位置を算出し、アライメント露光を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の複数のチップに対し露光可能であって、チップ毎に形成されたアライメントマークの位置情報を測定する独立した測定装置との間で通信可能な露光装置であって、
前記基板に設けられたGA(グローバルアライメント)用アライメントマークの位置を測定する測定部を備え、
各チップのアライメントマーク位置情報から得られる各チップの固有位置ずれ量と、前記測定部によって測定されたGA用アライメントマークの位置情報とに基づいて、アライメントすることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
各チップのアライメントマーク位置情報から基板全体に関わる変形量を除外することによって得られるダイシフト量を、固有位置ずれ量として求める演算部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記演算部が、線形成分の変形量を除外することによって、ダイシフト量を求めることを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
基板上の複数のチップに対し露光可能な露光装置と通信可能な測定装置であって、
チップ毎に形成されたアライメントマークの位置情報を測定するアライメントマーク測定部を備え、
各チップのアライメントマーク位置情報から得られる各チップの固有位置ずれ量を求め、固有位置ずれ量のデータを前記露光装置に送信することを特徴とする測定装置。
【請求項5】
アライメントマークの位置を測定する、露光装置とは独立した測定装置によって、複数のチップを2次元配置させた基板に設けられる、各チップのアライメントマーク位置を測定し、
前記露光装置に設けられた測定部によって、前記基板に設けられたGA(グローバルアライメント)用アライメントマークの位置を測定し、
前記測定装置または前記露光装置によって、各チップのアライメントマーク位置情報から得られる各チップの固有位置ずれ量と、前記測定部によって測定されたGA用アライメントマークの位置情報とに基づいて、アライメントすることを特徴とするアライメント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンを基板に形成する露光装置に関し、特に、基板に対するアライメント(位置合わせ)に関する。
【背景技術】
【0002】
露光装置では、パターンの微細化とともに高精度のアライメントが要求される。そのため、基板に対して形成されるアライメントマークは、基板全体の変形を測定するために基板4隅に設けられるマークだけでなく、ワンショットの露光領域に合わせてアライメントマークが形成される。
【0003】
このように基板に設けられる膨大な数のアライメントマークの位置を検出することは多大な時間を要し、スループットが低下する。そのため、露光装置とは独立してアライメントマークの位置を計測する計測装置を設ける構成が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
そこでは、露光装置本体によるアライメント調整に先立ち、計測装置によって所定の露光領域のアライメントマークの位置が検出される。そして、露光装置では、基板全体に関するアライメントマークの位置だけをGA方式などによって検出し、先に検出されたアライメントマークの位置情報を利用してアライメントを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-64804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、キャリアにシリコンチップを搭載するFO-WLP(ファンアウト-ウェハレベルパッケージ)基板の場合、チップマウント精度に起因してランダムなチップ配列誤差が生じる。一方で、基板の伸縮、変形は、工程を経るごとに生じ、その伸縮、変形度合いは異なる。
【0007】
そのため、露光装置に先立って測定されたアライメントマークの位置は、後の露光装置によるアライメント計測のときには異なっている場合があり、露光工程のアライメントの際に位置合わせ誤差が生じる。特に、複数の層にパターンを重ねて転写する露光工程を繰り返すプロセスでは、位置あわせ誤差が顕著となる。
【0008】
したがって、露光装置によるアライメントに先立ってアライメントマークの位置を計測する場合において、精度のよいアライメントを実現できることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の露光装置は、基板上の複数のチップに対し露光可能であって、チップ毎に形成されたアライメントマークの位置情報を測定する独立した測定装置との間で通信可能な露光装置であって、基板に設けられたGA(グローバルアライメント)用アライメントマークの位置を測定する測定部を備える。そして、各チップのアライメントマーク位置情報から得られる各チップの固有位置ずれ量と、測定部によって測定されたGA用アライメントマークの位置情報とに基づいて、アライメントする。ここで、固有位置ずれ量とは、基板全体の変形、伸縮など線形性をもち、チップ間で共通しているとみなせる誤差ではなく、各チップ固有の誤差成分を表す。
【0010】
アライメントに関しては、露光装置で固有位置ずれ量を求めることが可能であり、露光装置は、各チップのアライメントマーク位置情報から基板全体に関わる変形量を除外することによって得られるダイシフト量を、固有位置ずれ量として求める演算部を備えることができる。例えば演算部は、アライメントマーク位置情報から線形成分の変形量を除外することによって、ダイシフト量を求める。
【0011】
一方で、独立した測定装置で固有位置ずれ量を求めることも可能である、本発明の他の態様である測定装置は、チップ毎に形成されたアライメントマークの位置情報を測定するアライメントマーク測定部を備え、各チップのアライメントマーク位置情報から得られる各チップの固有位置ずれ量を求め、固有位置ずれ量のデータを露光装置に送信する。
【0012】
本発明の他の態様であるアライメント方法は、アライメントマークの位置を測定する、露光装置とは独立した測定装置によって、複数のチップを2次元配置させた基板に設けられる、各チップのアライメントマーク位置を測定し、露光装置に設けられた測定部によって、基板に設けられたGA(グローバルアライメント)用アライメントマークの位置を測定し、測定装置または露光装置によって、各チップのアライメントマーク位置情報から得られる各チップの固有位置ずれ量と、測定部によって測定されたGA用アライメントマークの位置情報とに基づいて、アライメントする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、投影露光装置において、スループットを向上させながら、マスクパターンを基板に精度よく転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態である投影露光装置の概略的ブロック図である。
図2】基板Wに形成されたショット配列を示した図である。
図3】ショット配列誤差を成分に分けて示した図である。
図4】測定装置15で実行されるチップ固有配列誤差算出処理のフローチャートを示した図である。
図5】投影露光装置10において実行されるアライメントを含めた露光処理を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態である投影露光装置の概略的ブロック図である。ここでは、複数のレイヤーにパターンを重ねて形成する露光プロセスを行う。
【0017】
投影露光装置10は、フォトマスクとしてのレチクルRに形成されたマスクパターンを、ステップ&リピート方式に従って基板(ワーク基板)Wに転写する露光装置であり、放電ランプなどの光源20、投影光学系34を備えている。レチクルRは石英材などから構成されており、遮光領域をもつマスクパターンが形成されている。基板Wは、ここではシリコン、セラミックス、ガラスあるいは樹脂製の基板(例えば、インターポーザ基板)などが適用される。
【0018】
光源20から放射された照明光は、ミラー22を介してインテグレータ24に入射し、照明光量が均一になる。均一となった照明光は、ミラー26を介してコリメータレンズ28に入射する。これにより、平行光がレチクルRに入射する。光源20は、ランプ駆動部21によって駆動制御される。
【0019】
レチクルRは、マスクパターンが投影光学系34の光源側焦点位置となるようにレチクル用ステージ30に搭載されている。レチクルRを搭載したステージ30、基板Wを搭載したステージ40には、互いに直交するX-Y―Zの3軸座標系が規定されている。ステージ30は、レチクルRを焦点面に沿って移動させるようにX-Y方向に移動可能であり、ステージ駆動部32によって駆動される。またステージ30は、X-Y座標平面において回転も可能である。ステージ30の位置座標は、ここではレーザ干渉計もしくはリニアエンコーダ(図示せず)によって測定される。
【0020】
レチクルRのマスクパターンが形成されたエリアを透過した光は、投影光学系34によって基板Wにパターン光として投影される。基板Wは、その露光面が投影光学系34の像側焦点位置と一致するように、基板用ステージ40に搭載されている。
【0021】
ステージ40は、基板Wを焦点面に沿って移動させるようにX-Y方向に移動可能であり、ステージ駆動部42によって駆動される。また、ステージ40は、焦点面(X-Y方向)に垂直なZ軸方向(投影光学系34の光軸方向)へ移動可能であり、さらに、X-Y座標平面において回転も可能である。ステージ40の位置座標は、図示しないレーザ干渉計もしくはリニアエンコーダによって測定される。
【0022】
制御部50は、ステージ駆動部32、42を制御してレチクルR、基板Wを位置決めするとともに、ランプ駆動部21を制御する。そして、ステップ&リピート方式に基づく露光動作を実行する。制御部50に設けられたメモリ(図示せず)には、レチクルRのマスクパターン位置座標、基板Wに形成されたショット領域の設計上の位置座標、ステップ移動量などが記憶されている。
【0023】
アライメントマーク撮像部36は、基板Wに形成されたアライメントマークを撮像するカメラあるいは顕微鏡であり、露光前において、ステージ駆動部42を駆動してステージ40を移動させることによって基板Wに設けられたアライメントマークを撮像する。画像処理部38は、アライメントマーク撮像部36から送られてくる画像信号に基づいて、アライメントマークの位置座標を検出する。ここでは、基板Wの四隅などに設けられたGA(グローバルアライメント)用アライメントマークの位置を検出する。
【0024】
制御部50は、ステップ&リピート方式に従い、基板Wに形成された各ショット領域にレチクルRのマスクパターンを順次転写していく。すなわち、制御部50は、ショット領域間隔に従ってステージ40を間欠的に移動させ、マスクパターンの投影位置に露光対象となるショット領域が位置決めされると、光源20を駆動してパターン光をショット領域に投影させる。
【0025】
測定装置15は、基板Wに設けられたアライメントマークを測定する装置であって、アライメントマーク測定部15Aを備え、投影露光装置10と相互にデータ通信可能に接続されている。基板Wは、ここではFO-WLP基板で構成され、キャリア基板上にシリコンチップがマトリクス状に多数(例えば1万個)配列している。なお、基板はFO-WLP基板に限定するものではなく、通常のウエハ基板やプリント配線板等であってもよい。チップは同一種類でなくてもよく、複数種類のチップが配列されていてもよい。また、基板に比して小さい領域の回路パターン(ユニットと称する)がマトリクス状に多数配置された基板であって、ユニットを基準にアライメントして露光するものであってもよい。ユニットの内側に一つまたは複数のチップがあってもよい。測定装置15は、露光装置10によるパターニング前の段階で、各チップに設けられたアライメントマークの位置を測定する。
【0026】
測定装置15は、基板Wを載置する基板ステージと、アライメントマークを撮像するカメラと、カメラに対して基板を相対移動させる走査機構と、基板の相対移動量を測定する計測部と、カメラによる撮像によって得られた画像からアライメントマークの位置を計測する画像処理部と、計測したアライメントマークの位置情報をファイルにして記録するデータ管理部と、それらを制御するコントローラとを備える(ここでは、いずれも図示せず)。
【0027】
測定装置15は、各チップのアライメントマークの位置情報に関するファイルをデータサーバ60に送信する。データサーバ60は、測定対象となった基板WのIDと紐付けてファイルを記録、管理する。
【0028】
投影露光装置10は、各レイヤーに対してマスクパターンを転写(露光)するとき、アライメントを行う。すなわち、ショット領域の配列誤差である位置合わせ誤差を検出し、基板Wのショット領域とマスクパターンの投影エリアとの位置合わせを事前に行う。
【0029】
本実施形態では、投影露光装置10が、測定装置15によって測定された各チップのアライメントマークの位置から、各チップ固有の位置ずれ量を算出し、この位置ずれ量と、アライメントマーク撮像部36によって測定されるGA用アライメントマークの位置とを用いて、露光工程時における各チップの露光位置を求める。投影露光装置10は、求められた各チップの露光位置に応じて、ダイ・バイ・ダイ(以下、D/D)方式によるアライメント露光を行う。以下、これについて詳述する。
【0030】
図2は、基板Wに形成されたショット配列を示した図である。図3は、基板Wの変形等に起因するショット配列の歪みを示した図である。
【0031】
図2に示すように、基板Wには、X-Y座標系によって規定されるグリッドに合わせてチップCPをマトリクス状に一定間隔で配列させた下層パターンが形成されている。ここでは、各チップCPはショット領域に相当し、レチクルRに形成されているマスクパターンをチップCP(以下、ショット領域ともいう)上に重ねて形成する。また、ショット領域CPの配列に沿って、位置合わせ用のアライメントマークAMが任意の位置(図2においては左右端中央位置)に形成されている。位置合わせ用のアライメントマークAMは、ショット領域CPの近傍位置(例えばスクライブライン上)に設けても良い。また、位置合わせ用のアライメントマークAMの内のいくつかを、GA用アライメントマークとして兼用するようにしてもよい。
【0032】
図3には、基板Wの変形によってショット領域CPの並びが崩れている状態を示している。基板Wがウエハである場合、その変形量はさほど大きくないが、下層パターンとの重ね合せで許容される誤差範囲と比較すると無視できない大きさとなる。また、基板Wがプリント基板やインターポーザー基板である場合、基板Wの変形は更に大きくなる。そのため、各チップCPの位置は、設計上の位置からずれる。
【0033】
基板WがFO-WLP基板の場合、チップマウント精度に起因するランダムなチップ配列誤差(ダイシフトと呼ばれる)が発生する。一方、基板Wは、工程を経る度に伸縮、変形(これらを合わせて基板変形と呼ぶ)が生じる。そのため、露光時の各チップCPのアライメントマークAMの位置は、測定装置15で測定した時のアライメントマークAMの位置とは異なる。
【0034】
特に、複数のレイヤーに対してパターニングを行う場合、露光およびその前後の工程(露光、エッチング、熱処理等)を繰り返すたびに、基板Wの伸縮、変形度合いが変化し、測定装置15によって測定されたアライメントマークAMとの位置ずれが大きくなる。
【0035】
図3は、ショット配列誤差を成分に分けて示した図である。ダイシフトによるチップ配列誤差成分(ダイシフト量と定義する)は、チップCP間でその誤差量に関連性、法則性がない。この関連性、法則性のない配列誤差を固有位置ずれ量と定義する。固有位置ずれ量は、基板W全体の変形、伸縮とは関係なく線形性のない(非線形の)誤差成分とみなすことができる。一方、基板Wの変形、伸縮などによるチップ配列誤差成分は、基板Wの全体に対する変形度合いに応じてチップCP間で共通の法則性をもって生じる配列誤差であるため、線形性のある誤差成分とみなすことができる。
【0036】
そこで、最初に測定装置15によって測定された各チップCPのアライメントマークAMの位置と設計上の位置とのチップ配列誤差量の中から、線形性のある配列誤差量を取り除き、各チップの固有位置ずれ量を抽出する。そして、露光装置10では、GA用アライメントマークから求められる線形性のチップ配列誤差量を求め、各チップの固有位置ずれ量を組み合わせて露光工程時における各チップの露光位置を推定する。
【0037】
図4は、測定装置15で実行されるチップ固有配列誤差算出処理のフローチャートを示した図である。
【0038】
基板Wの各チップに設けられたアライメントマークの位置を測定すると(S101)、各チップにおけるアライメントマークの位置情報と設計上の位置情報との差分(X、Y、θ)を算出する(S102)。そして、求められたチップ配列誤差量から、最小二乗法などを用いて線形成分を抽出し(S103)、これを取り除くことによって、各チップの固有位置ずれ量となるX、Y、θ成分を求める(S104)。
【0039】
図5は、投影露光装置10において実行されるアライメントを含めた露光処理を示した図である。
【0040】
基板Wに設けられたGA用アライメントマークの位置(例えば、基板四隅に設けられたアライメントマークの位置)を測定し、設計上の位置との差分を、X成分、Y成分、θ成分に分けて算出する(S201)。一方、測定装置15によって求められた各チップの固有位置ずれ量のデータをデータサーバ60から読み出す(S202)。
【0041】
露光装置10によって測定されたGA用アライメントマークの位置ずれ量は、線形性をもつ位置ずれ量(すなわち、露光装置に基板を載置した際のX、Y、θのずれ量や、基板伸縮や直交度の変化等の変形量の総和)とみなすことができるため、これから露光工程における基板W全体の変形量を算出することができる。そして、GAアライメントの手法によって、基板W全体の変形量から求めた各チップの露光位置におけるX、Y、θ成分の位置ずれ量を算出することができる(この基板W全体の変形量から求めた各チップの露光位置における位置ずれ量を、線形位置ずれ量と定義する)。ただし、基板Wの変形、伸縮が、基板全体に渡って、あるいは露光対象領域に関して略均一に生じているものとする。
【0042】
そして、各チップの線形位置ずれ量と、固有位置ずれ量とに基づいて、各チップの露光位置を算出する(S203)。すなわち、設計上の露光位置に対して、線形位置ずれ量と、固有位置ずれ量とを加味することにより、露光工程時の各チップの露光位置(露光マップ)を算出する。投影露光装置10では、各チップのアライメントマークを測定していないが、この演算によって各チップの露光位置を推定して、ダイ・バイ・ダイ方式による露光が行われる(S204)。
【0043】
このように本実施形態によれば、投影露光装置10とは独立した測定装置15によって、基板Wにマトリクス配置されたチップのアライメントマークの位置を事前に測定し、各チップ固有の固有位置ずれ量を求める。そして、投影露光装置10は、GA用アライメントマークを測定し、線形性のある各チップの位置ずれ量を算出する。そして、固有位置ずれ量と線形性のある位置ずれ量とに基づき、露光装置10に基板W搭載されている状況で各チップの露光位置を算出し露光を行う。
【0044】
このように工程とともに変化する線形性のある位置ずれ量を露光工程時に算出する一方、最初のチップ搭載時に生じ、工程を経ても変化しない固有位置ずれ量とを露光装置使用前に算出することにより、適切なアライメントを行うことができる。特に、基板Wに対して繰り返しパターンを重ねる場合においても、適切なアライメントを実行することができる。これは、チップ以外の要素を2次元配列した基板に対して適用することも可能である。
【0045】
測定装置15がチップ固有の位置ずれ量を算出し投影露光装置10に出力する代わりに、データサーバ60あるいは投影露光装置10によってチップ固有の位置ずれ量を算出するようにしてもよい。また、GA用アライメントマークは、基板Wに対して特定の箇所に形成されたものに限定されず、所定のアライメントマークを選んで線形性のある位置ずれ量を求めてもよい。また、投影露光装置の代わりにマスクレス露光装置に適用することも可能である。この場合、求められた各チップのアライメントマーク固有位置ずれ量の位置に基づいて、露光データを補正すればよい。
【0046】
また、基板Wの所定のレイヤーの露光においては、測定装置15がチップ固有の位置ずれ量を算出して投影露光装置10に出力するようにし、そのレイヤーより上層のレイヤーの露光の際には、すでに算出したチップ固有の位置ずれ量を用いてアライメントを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 投影露光装置
40 ステージ
42 ステージ駆動部
50 制御部
W 基板
AM アライメントマーク
R レチクル
図1
図2
図3
図4
図5