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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164954
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】太陽電池及び太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20231107BHJP
   H01L 31/0236 20060101ALI20231107BHJP
   H01L 31/0745 20120101ALI20231107BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/04 280
H01L31/06 450
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023144247
(22)【出願日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】202310341102.9
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 倬涵
(72)【発明者】
【氏名】陳 達明
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲ユン▼▲ユン▼
(72)【発明者】
【氏名】柳 偉
(72)【発明者】
【氏名】季 ▲ウェン▼嫻
(72)【発明者】
【氏名】楊 睿
(72)【発明者】
【氏名】徐 冠超
(72)【発明者】
【氏名】張 学玲
(72)【発明者】
【氏名】楊 广涛
(72)【発明者】
【氏名】陳 奕峰
(57)【要約】      (修正有)
【課題】太陽電池の逆方向漏れ電流を低減し、太陽電池の効率を高めるように太陽電池を提供する。
【解決手段】基板110と、第1のエミッタ121と、第2のエミッタ131と、絶縁隔離構造140と、第1の電極122と、第2の電極132とを含む。基板110は、対向して設けられた正面及び背面を有し、第1のエミッタ121と第2のエミッタ131は基板の背面に設けられ、第1の電極122は、第1のエミッタ121の基板110から遠い側に設けられ第1のエミッタ121に電気的に接続され、第2の電極132は、第2のエミッタ131の基板から遠い側に設けられ第2のエミッタ131に電気的に接続され、絶縁隔離構造140は、第1のエミッタ121と第2のエミッタ131との間に設けられ、第1のエミッタ121と第2のエミッタ131とは、絶縁隔離構造140により隔離される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して設けられた正面及び背面を有する基板と、
前記基板の背面に設けられ、第1のドーピングタイプである第1のエミッタと、
前記基板の背面に設けられ、前記第1のドーピングタイプと反対の第2のドーピングタイプである第2のエミッタと、
前記第1のエミッタと前記第2のエミッタとの間に設けられ、前記第1のエミッタと前記第2のエミッタとを隔離させる絶縁隔離構造と、
前記第1のエミッタの前記基板から遠い側に設けられ、前記第1のエミッタに電気的に接続される第1の電極と、
前記第2のエミッタの前記基板から遠い側に設けられ、前記第2のエミッタに電気的に接続される第2の電極と、を含む、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記絶縁隔離構造は、環状をなし、前記第1のエミッタは、前記絶縁隔離構造の環外領域に設けられ、前記第2のエミッタは、前記絶縁隔離構造の環内領域に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
材料及びドーピングタイプがいずれも前記第1のエミッタと同じであり、絶縁隔離構造の環内領域に設けられ、且つ、前記第2のエミッタと前記絶縁隔離構造との間に位置するドーピング残部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記絶縁隔離構造は、環状の隔離溝を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記隔離溝の溝幅は、1μm~100μmである、
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記絶縁隔離構造は、前記隔離溝の中に設けられた絶縁部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1のエミッタの前記基板から遠い側及び前記第2のエミッタの前記基板から遠い側に設けられたバックパッシベーション層をさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1のエミッタの前記基板から遠い表面に設けられたパッシベーションコンタクト構造をさらに含み、前記パッシベーションコンタクト構造は、トンネリング酸化層とポリシリコン層とを含み、前記トンネリング酸化層と前記ポリシリコン層とは前記第1のエミッタ上に順に積層して設けられ、前記ポリシリコン層は、前記第1のドーピングタイプである、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記トンネリング酸化層の厚さは、1nm~2nmであり、及び/又は、
前記ポリシリコン層の厚さは、10nm~300nmである、
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記基板の背面は、第1の領域と前記第1の領域の外に位置する第2の領域を含み、前記パッシベーションコンタクト構造は、前記第1の領域上に設けられ前記第1の領域を覆い、前記絶縁隔離構造は、前記第2の領域上に設けられる、
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記絶縁隔離構造及び前記第2のエミッタはいずれも複数あり、前記第2の電極は、接続部と複数の電極部とを含み、複数の前記電極部は、複数の前記第2のエミッタにそれぞれ接触し、前記電極部は、前記絶縁隔離構造の環内領域上に設けられ、前記接続部は、隣接する前記電極部に接続され、複数の前記電極部及び前記接続部はいずれも前記第2の領域の中に設けられる、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
対向して設けられた正面及び背面を有する基板を提供することと、
前記基板の背面に、前記基板を覆う第1のドーピングタイプである第1のドーピング層を製造することと、
前記第1のドーピング層の中に、その一方側に位置する前記第1のドーピング層が第1のエミッタである絶縁隔離構造を製造することと、
前記絶縁隔離構造の他方側に、前記第1のエミッタとの間が前記絶縁隔離構造により隔離される、第2のドーピングタイプである第2のエミッタを製造することと、
前記第1のエミッタに電気的に接続される第1の電極を製造し、前記第2のエミッタに電気的に接続される第2の電極を製造することと、を含む、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記絶縁隔離構造を製造することは、前記第1のドーピング層をエッチングして、前記第1のドーピング層の中に、前記第1のドーピング層を貫通する、前記絶縁隔離構造に含まれる環状の隔離溝を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記隔離溝を形成した後に、前記基板の正面にテクスチャ構造を形成するように、前記基板をテクスチャリング剤に置いて洗浄処理及びテクスチャリング処理を行うことをさらに含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記第2のエミッタを製造する前に、前記基板の背面に絶縁のパッシベーション材料を製造し、前記隔離溝の中に位置する前記パッシベーション材料が前記絶縁隔離構造に含まれる絶縁部を形成し、前記パッシベーション部及び前記第1のドーピング層上に位置するパッシベーション材料がバックパッシベーション層を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の前記の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記第1のドーピング層を製造することは、
前記基板の背面にトンネリング酸化層及びシリコン層を順に製造することと、
前記シリコン層に対してドーピング元素拡散処理及び焼きなまし処理を行って、第1のドーピングタイプであるポリシリコン層を形成し、焼きなまし処理の過程において、前記ドーピング元素を前記基板の材料の中に拡散させて、前記基板を覆う第1のドーピング層を形成することと、を含む、
ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記基板の背面は、第1の領域と前記第1の領域の外に位置する第2の領域とを含み、前記ポリシリコン層を製造した後に、前記第2の領域におけるポリシリコン層及びトンネリング酸化層を除去することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の技術分野に関し、特に、太陽電池及び太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽エネルギーを電気エネルギーに直接的に変換可能なデバイスであり、太陽エネルギーがほとんど無限且つ清潔であるという特徴を有するため、太陽電池も、大きな発展のポテンシャルと応用の見通しを持っている。
【0003】
太陽電池は、太陽光を受ける正面とそれに対向する背面を有する。通常、太陽電池は、正面に正面電極を有し、背面に背面電極を有し、光生成キャリアにおける電子とホールがそれぞれ正面及び背面から導出されて電流が形成される。しかしながら、正面に位置する正面電極は、太陽電池に入る太陽光の一部を遮り、太陽電池の光線に対する吸収率を低減してしまう。
【0004】
バックコンタクト型(Interdigitated back contact、IBC)太陽電池は、効率的な電池構成であり、太陽電池の効率を高めるようにその電極がすべて背面に設けられている。しかしながら、現在量産されているバックコンタクト型太陽電池は、逆方向漏れ電流が基準を超える問題があり、太陽電池の効率に影響を与えることになる。
【発明の概要】
【0005】
かかる事情に基づき、上記背景技術に述べた問題に対して、太陽電池の逆方向漏れ電流を低減し、太陽電池の効率を高めるように太陽電池を提供する必要がある。
【0006】
本開示のいくつかの実施例によれば、基板と、第1のエミッタと、第2のエミッタと、絶縁隔離構造と、第1の電極と、第2の電極とを含む太陽電池が提供される。
【0007】
前記基板は、対向して設けられた正面及び背面を有し、前記第1のエミッタと前記第2のエミッタは前記基板の背面に設けられ、前記第1のエミッタは、第1のドーピングタイプであり、前記第2のエミッタは、前記第1のドーピングタイプと反対の第2のドーピングタイプであり、前記第1の電極は、前記第1のエミッタの前記基板から遠い側に設けられ前記第1のエミッタに電気的に接続され、前記第2の電極は、前記第2のエミッタの前記基板から遠い側に設けられ前記第2のエミッタに電気的に接続される。
【0008】
前記絶縁隔離構造は、前記第1のエミッタと前記第2のエミッタとの間に設けられ、前記第1のエミッタと前記第2のエミッタとは前記絶縁隔離構造により隔離される。
【0009】
本開示のいくつかの実施例では、前記絶縁隔離構造は、環状をなし、前記第1のエミッタは、前記絶縁隔離構造の環外領域に設けられ、前記第2のエミッタは、前記絶縁隔離構造の環内領域に設けられる。
【0010】
本開示のいくつかの実施例では、材料及びドーピングタイプがいずれも前記第1のエミッタと同じであり、絶縁隔離構造の環内領域に設けられ、且つ、前記第2のエミッタと前記絶縁隔離構造との間に位置するドーピング残部をさらに含む。
【0011】
本開示のいくつかの実施例では、前記絶縁隔離構造は、環状の隔離溝を含み、選択的には、前記基板の背面は、前記隔離溝から露出する。
【0012】
本開示のいくつかの実施例では、前記隔離溝の溝幅は、1μm~100μmである。
【0013】
本開示のいくつかの実施例では、前記絶縁隔離構造は、前記隔離溝の中に設けられる絶縁部をさらに含む。
【0014】
本開示のいくつかの実施例では、前記第1のエミッタの前記基板から遠い側及び前記第2のエミッタの前記基板から遠い側に設けられたバックパッシベーション層をさらに含み、選択的には、前記バックパッシベーション層は、前記絶縁部と一体成形される。
【0015】
本開示のいくつかの実施例では、前記第1のエミッタの前記基板から遠い表面に設けられたパッシベーションコンタクト構造をさらに含み、前記パッシベーションコンタクト構造は、トンネリング酸化層とポリシリコン層とを含み、前記トンネリング酸化層と前記ポリシリコン層は、前記第1のエミッタ上に順に積層して設けられ、前記ポリシリコン層は、前記第1のドーピングタイプである。
【0016】
本開示のいくつかの実施例では、前記トンネリング酸化層の厚さは、1nm~2nmであり、且つ/又は、前記ポリシリコン層の厚さは、10nm~300nmである。
【0017】
本開示のいくつかの実施例では、前記基板の背面は、第1の領域と前記第1の領域の外に位置する第2の領域とを有し、前記パッシベーションコンタクト構造は、前記第1の領域上に設けられ前記第1の領域を覆い、前記絶縁隔離構造は、前記第2の領域上に設けられる。
【0018】
本開示のいくつかの実施例では、前記絶縁隔離構造及び前記第2のエミッタはいずれも複数あり、前記第2の電極は、接続部と複数の電極部を含み、複数の前記電極部は、複数の前記第2のエミッタにそれぞれ接触し、前記電極部は、前記絶縁隔離構造の環内領域上に設けられ、前記接続部は、隣接する前記電極部に接続され、複数の前記電極部と前記接続部とは、いずれも前記第2の領域の中に設けられる。
【0019】
本開示の又いくつかの実施例によれば、
対向して設けられた正面及び背面を有する基板を提供することと、
前記基板の背面に、前記基板を覆う第1のドーピングタイプである第1のドーピング層を製造することと、
前記第1のドーピング層上に、その一方側に位置する前記第1のドーピング層が第1のエミッタである絶縁隔離構造を製造することと、
前記絶縁隔離構造の他方側に、前記第1のエミッタとの間が前記絶縁隔離構造により隔離される、第2のドーピングタイプである第2のエミッタを製造することと、
前記第1のエミッタに電気的に接続される第1の電極を製造し、前記第2のエミッタに電気的に接続される第2の電極を製造することと、を含む太陽電池の製造方法がさらに提供される。
【0020】
本開示のいくつかの実施例では、前記絶縁隔離構造を製造することは、前記第1のドーピング層をエッチングして、前記第1のドーピング層の中に、前記第1のドーピング層を貫通する、前記絶縁隔離構造に含まれる環状の隔離溝を形成することを含む。
【0021】
本開示のいくつかの実施例では、前記隔離溝を形成した後に、前記基板の正面にテクスチャ構造を形成するように、前記基板をテクスチャリング剤に置いて洗浄処理及びテクスチャリング処理を行うことをさらに含む。
【0022】
本開示のいくつかの実施例では、前記第2のエミッタを製造する前に、前記基板の背面に絶縁のパッシベーション材料を製造し、前記隔離溝の中に位置する前記パッシベーション材料が前記絶縁隔離構造に含まれる絶縁部を形成し、前記パッシベーション部及び前記第1のドーピング層上に位置するパッシベーション材料がバックパッシベーション層を形成することをさらに含む。
【0023】
本開示のいくつかの実施例では、前記第1のドーピング層を製造することは、
前記基板の背面にトンネリング酸化層とシリコン層とを順に製造することと、
前記シリコン層に対してドーピング元素拡散処理及び焼きなまし処理を行って、第1のドーピングタイプであるポリシリコン層を形成し、焼きなまし処理の過程において、前記ドーピング元素を前記基板の材料の中に拡散させて、前記基板を覆う第1のドーピング層を形成することを含む。
【0024】
本開示のいくつかの実施例では、前記基板の背面は、第1の領域と前記第1の領域の外に位置する第2の領域とを有し、前記ポリシリコン層を製造した後に、前記第2の領域におけるポリシリコン層とトンネリング酸化層とを除去することをさらに含む。
【0025】
本開示が提供する太陽電池は、基板の背面に設けられた第1のエミッタと第2のエミッタを含み、絶縁隔離構造をさらに含み、第1のエミッタと第2のエミッタとは絶縁隔離構造により隔離される。この太陽電池は、絶縁隔離構造を組み込むことにより、第1のエミッタと第2のエミッタとを効果的に隔離し、第1のエミッタと第2のエミッタとの界面上におけるキャリアの再結合を回避するため、太陽電池の逆方向漏れ電流を効果的に低減し、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0026】
上記の説明は、単に本発明の態様の概要であり、本発明の技術手段をより明確的に理解し、明細書の内容に準じて実施可能とするために、以下、本発明のより好適な実施例をもって、図面も参照して詳細に説明する。
【0027】
本出願の実施例にかかる態様をより明確に説明するために、実施例の記述に必要な図面を以下に簡単に紹介する。以下に記述する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を払わないという前提のもとで、これらの図面から他の実施例の図面を得ることもできることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本出願一実施例による太陽電池の背面構成模式図である。
図2図1におけるA領域の拡大構成模式図である。
図3図2におけるBB’断面の構成模式図である。
図4図3における絶縁隔離構造の拡大模式図である。
図5図2におけるCC’断面の構成模式図である。
図6】本出願他の実施例による他の太陽電池の背面構成模式図である。
図7】本出願一実施例による太陽電池の製造方法のフローチャートである。
図8】本出願一実施例による基板の構成模式図である。
図9】本出願一実施例による図8に示す構成のもとで第1のドーピング層、トンネリング酸化層、ポリシリコン層を製造した構成模式図である。
図10】本出願一実施例による図9に示す構成のもとで一部のポリシリコン層とトンネリング酸化層を除去した構成模式図である。
図11】本出願一実施例による図10に示す構成のもとで隔離溝を製造した構成模式図である。
図12】本出願一実施例による図11に示す構成のもとでパッシベーション積層を製造した構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願の理解の便宜上、以下、関連図面を参照して本出願についてより全面的に記述する。図面には、本出願の好適な実施例が記載されている。しかし、本出願は、多くの異なる形式にて実現可能であり、本出願に記述された実施例に限るものではない。逆に、これらの実施例を提供する目的は、本出願の開示内容をより透徹且つ全面的にすることにある。
【0030】
別途に定義がない限り、本出願で用いられる全ての技術・科学用語は、当業者が通常理解するものと同じ意味である。本出願の明細書で用いられる用語は、単に具体的な実施例を記述するためのものであり、本出願を制限するためのものではない。本出願で用いられる「及び/又は」は、一又は複数の挙げられたものの任意の組み合わせと全ての組み合わせを含む。
【0031】
素子又は層について他の素子又は層「の上にあり」、「と隣接」、「に接続」又は「に結合」というとき、直接的に他の素子又は層「の上にあり」、「と隣接」、「に接続」又は「に結合」してもいいし、介在する素子又は層があってもいいと理解すべきである。逆に、素子について他の素子又は層「の上に直接的にあり」、「と直接的に隣接」、「に直接的に接続」又は「に直接的に結合」というとき、介在する素子又は層がない。「第1の」、「第2の」、「第3の」等の用語を用いて各種の素子、部品、エリア、層及び/又は部分を記述することはできるが、これらの素子、部品、エリア、層及び/又は部分はこれらの用語に制限されるべきではないと理解すべきである。これらの用語は、単に一方の素子、部品、エリア、層又は部分と他方の素子、部品、エリア、層又は部分とを区別するためのものである。したがって、本出願の教示を逸脱しないもとで、以下に検討する第1の素子、部品、エリア、層又は部分は、第2の素子、部品、エリア、層又は部分と表すことができる。
【0032】
例えば「~下に」、「~の下側に」、「下側の」、「~の下に」、「~の上に」、「上側の」等の空間的関係用語は、ここで記述の便宜上用いられて図示する一方の素子又は特徴と他方の素子又は特徴との関係を記述するためのものである。空間的関係用語は、図示する配向以外に、使用及び操作中の素子又は特徴の異なる配向を含むことを意図すると理解すべきである。例えば、図面における素子又は特徴が反転すれば、他方の素子「の下側に」又は「の下に」又は「下に」と記述される素子又は特徴は、他方の素子又は特徴の「上」に配向されることになる。したがって、例示的な用語「~の下側に」と「~下に」は、上と下との両配向を含むことができる。素子又は特徴は、別途に配向されてもいい(90度だけ回転するか又は他の配向をとる)。そして、ここで用いられる空間的記述は、それに応じて解釈される。
【0033】
ここで用いられる用語は、単に具体的な実施例を記述するためのものであり、本出願に対する制限とされない。ここで用いられるとき、単数形の「一」、「一つ」と「前記/この」は、文脈において他の方式が明示されない限り、複数形も含むことを意図する。「からなる」及び/又は「含む」という用語は、この明細書で用いられるとき、前記特徴、整数、ステップ、操作、素子及び/又は部品の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、素子、部品及び/又はグループの存在又は添加を排除するものではないと理解すべきである。ここで用いられるとき、「及び/又は」という用語は、挙げられたもののいかなる及び全ての組み合わせを含む。
【0034】
ここでは、本出願の好適な実施例(及び中間構成)の模式図としての横断面図を参照して本出願の実施例を記述する。このように、例えば製造技術及び/又は許容範囲による示された形状からの変化が予期され得る。したがって、本出願の実施例は、ここに示すエリアの特定の形状に限られるべきではなく、例えば製造による形状偏差を含み、図示するエリアは、実質的に模式的なものであり、それらの形状は、デバイスのエリアの実際の形状を表示することを意図せず、且つ、本出願の範囲を限定することを意図しない。
【0035】
本開示実施例は、基板と、第1のエミッタと、第2のエミッタと、絶縁隔離構造と、第1の電極と、第2の電極とを含む、太陽電池を提供する。
【0036】
基板は、対向して設けられたの正面及び背面を有し、第1のエミッタと第2のエミッタは基板の背面に設けられ、第1のエミッタは、第1のドーピングタイプであり、第2のエミッタは、第1のドーピングタイプと反対の第2のドーピングタイプであり、第1の電極は、第1のエミッタの基板から遠い側に設けられ第1のエミッタに電気的に接続され、第2の電極は、第2のエミッタの基板から遠い側に設けられ第2のエミッタに電気的に接続される。
【0037】
絶縁隔離構造は、第1のエミッタと第2のエミッタとの間に設けられ、第1のエミッタと第2のエミッタとは、絶縁隔離構造により隔離される。
【0038】
本開示実施例が提供する太陽電池は、基板の背面に設けられた第1のエミッタと第2のエミッタを含み、絶縁隔離構造をさらに含み、第1のエミッタと第2のエミッタとは、絶縁隔離構造により隔離される。この太陽電池は、絶縁隔離構造を組み込むことにより、第1のエミッタと第2のエミッタとを効果的に隔離し、第1のエミッタと第2のエミッタとの界面上におけるキャリアの再結合を回避するため、太陽電池の逆方向漏れ電流を効果的に低減し、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0039】
上記太陽電池の構成の理解の便宜上、本開示の図1は、太陽電池の背面構成模式図を示し、図2は、図1におけるA領域の拡大構成模式図を示し、図3は、図2における太陽電池のBB’での断面構成模式図を示し、図5は、図2における太陽電池のCC’での断面構成模式図を示している。ここで、図1では、第1のエミッタ121、第2のエミッタ131及び絶縁隔離構造140が露出するように、図3における第1のバックパッシベーション層171、第2のバックパッシベーション層172、ポリシリコン層162及びトンネリング酸化層161が省略されている。
【0040】
図1図2に示すように、この太陽電池は、基板110と、第1のエミッタ121と、第2のエミッタ131と、絶縁隔離構造140と、第1の電極122と、第2の電極132とを含む。
【0041】
ここで、基板110は、対向して設けられた正面及び背面を有し、図3に示す構成では、基板110は、上方に位置する面が正面であり、下方に位置する面が背面である。第1のエミッタ121と、第2のエミッタ131と、第1の電極122と、第2の電極132とは、いずれも基板110の背面上に設けられる。
【0042】
図2に示すように、第1のエミッタ121と第2のエミッタ131とは、いずれも基板110の背面に設けられ、第1のエミッタ121は、第1のドーピングタイプであり、第2のエミッタ131は、第1のドーピングタイプと反対の第2のドーピングタイプである。第1のエミッタ121は、第1のドーピングタイプに対応するキャリア(例えば、電子又は正孔の一方)を第1の電極122に導出するためのものであり、第2のエミッタ131は、第2のドーピングタイプに対応するキャリア(例えば、電子又は正孔の他方)を第2の電極132に導出するためのものである。第1のドーピングタイプは、P型とN型とのうちの一方であり、第2のドーピングタイプは、P型とN型とのうちの他方であると考えられてもよい。第1のドーピングタイプと第2のドーピングタイプとは、異なる元素をドーピングして製造されてもよい。例えば、第1のドーピングタイプはN型であり、第2のドーピングタイプはP型である。第1のエミッタ121は、N型ドーピングの半導体であってよく、第2のエミッタ131は、P型ドーピングの半導体であってよい。N型ドーピングのドーピング元素は、V族元素、例えばリンであってよい。P型ドーピングの元素は、III族元素、例えばホウ素、アルミニウム及びガリウムのうちの一つ又は複数の種類であってよい。
【0043】
ここで、基板110のドーピングタイプは、第2のエミッタ131と同じであってよく、即ち、基板110は、第2のドーピングタイプである。さらに、第2のエミッタ131のドーピング濃度は、基板110のドーピング濃度よりも高くてもよい。
【0044】
ここで、第1の電極122は、第1のエミッタ121の基板110から遠い側に設けられ第1のエミッタ121に電気的に接続され、第2の電極132は、第2のエミッタ131の基板110から遠い側に設けられ第2のエミッタ131に電気的に接続されている。第1の電極122の第1のエミッタ121への電気的な接続の方式としては、第1の電極122が第1のエミッタ121に直接的に接触してもいいし、第1の電極122と第1のエミッタ121との間にはキャリアが通過可能な他の中間層が設けられてもいいと考えられる。第2の電極132の第2のエミッタ131への電気的な接続の方式としては、第2の電極132が第2のエミッタ131に直接的に接触してもいいし、第2の電極132と第2のエミッタ131との間にはキャリアが通過可能な他の中間層が設けられてもいい。
【0045】
図2に示すように、この実施例のいくつかの例示では、絶縁隔離構造140は、環状をなす。環状とは、絶縁隔離構造140の断面が環状をなすことを指し、その立体形状が環状の柱形状であってよく、環状とは、閉じた環の筒状又は管状とも捉えられてもよく、即ち、絶縁隔離構造140によって、環内領域と環外領域とを画定することができる。環外領域とは、環状の絶縁隔離構造140の外の領域を指し、環内領域とは、環状の絶縁隔離構造140により取り囲まれた領域を指す。
【0046】
第1のエミッタ121と第2のエミッタ131とが絶縁隔離構造140により隔離されるように、第1のエミッタ121は、絶縁隔離構造140の環外領域に設けられ、第2のエミッタ131は、絶縁隔離構造140の環内領域に設けられている。絶縁隔離構造140は、環内領域と環外領域とを絶縁隔離する。さらに、絶縁隔離構造140は、環外と環内を隔離する絶縁凹溝であってもよく、環外と環内とを隔離する絶縁材であってもよく、絶縁材が設けられた絶縁凹溝であってもいい。
【0047】
この実施例のいくつかの例示では、図3に示すように、この絶縁隔離構造140は、環状の隔離溝141を含み、隔離溝141は、第1のエミッタ121と第2のエミッタ131とを絶縁隔離するように、第1のエミッタ121と第2のエミッタ131との間に開けられている。
【0048】
ここで、隔離溝141は、エッチングにより形成することができ、例えば、レーザーエッチングにより隔離溝141を製造する。エッチングの過程では、第1のエミッタ121と第2のエミッタ131とを絶縁隔離するように、基板110が露出するまで第1のドーピング層1201をエッチングしてよい。このとき、隔離溝141の溝底壁は、基板110が露出した表面である。実際の製造過程では、隔離溝141をエッチングした後、さらに基板110を洗浄すべきであり、これにより、隔離溝141の溝底壁である基板110にテクスチャ構造を形成して、基板110の正面の光線吸収率に影響を及ぼすことになる。この実施例のいくつかの例示では、基板110の溝底壁としての表面は、テクスチャ構造を有し、隔離溝141は、溝幅≦100μmである。隔離溝141の幅を100μm以下に設定することにより、隔離溝141の溝底壁のテクスチャの吸光率に対する悪影響をなるべく低減することができるとともに、実際の生産過程における一定の加工速度の要求を満たすことができる。
【0049】
さらに、この実施例のいくつかの例示では、隔離溝141の溝底壁のテクスチャの吸光率に対する悪影響が低減されるとともに、隔離溝141の効果的な絶縁性が保証されるように、隔離溝141の溝幅は1μm~100μmである。いくつかの例示としては、隔離溝141の溝幅は、10μm~50μmである。さらに選択的には、隔離溝141の溝幅は、15μm~30μmである。
【0050】
この実施例のいくつかの例示では、絶縁隔離構造140、第1のエミッタ121及び第2のエミッタ131は同一の層に設けられる。隔離溝141は、底壁に接続される筒状の外側壁と筒状の内側壁をさらに含む。いくつかの例示では、第1のエミッタ121は、隔離溝141の筒状の外側壁を構成することに関与し、第2のエミッタ131は、隔離溝141の筒状の内側壁を構成することに関与する。
【0051】
この実施例のいくつかの例示では、この太陽電池は、ドーピング残部150をさらに含み、ドーピング残部150の材料及びドーピングタイプは、いずれも第1のエミッタ121と同じであり、ドーピング残部150は、絶縁隔離構造140が取り囲んだ環内領域に設けられ、且つ第2のエミッタ131と絶縁隔離構造140との間に位置する。
【0052】
この実施例のいくつかの例示では、この太陽電池は、パッシベーションコンタクト構造をさらに含み、パッシベーションコンタクト構造は、トンネリング酸化層161とポリシリコン層162とを含み、トンネリング酸化層161とポリシリコン層162とは、第1のエミッタ121の基板110から遠い側の表面上に順に積層して設けられ、ポリシリコン層162は、第1のドーピングタイプである。ここで、パッシベーションコンタクト構造は、第1のエミッタ121と第1の電極122との間のコンタクトによるキャリアの再結合を低減して効率を向上させるためのものである。
【0053】
ここで、トンネリング酸化層161の厚さは、キャリアがトンネリング酸化層161を通してポリシリコン層162に導出されるように、薄くされるべきである。この実施例のいくつかの例示では、トンネリング酸化層161の厚さは、1nm~2nmである。
【0054】
この実施例のいくつかの例示では、ポリシリコン層162の厚さは、10nm~300nmである。
【0055】
図1に示すように、この実施例のいくつかの例示では、基板110の背面は、第1の領域111と第1の領域111の外に位置する第2の領域112を有し、図1における破線枠の内部の領域は、第2の領域112であり、破線枠の外部の領域は、第1の領域111である。パッシベーションコンタクト構造は、第1の領域111上に設けられ第1の領域111を覆い、絶縁隔離構造140は、第2の領域112上に設けられる。実際の製造過程では、パッシベーションコンタクト構造が第1の領域111のみを覆うように、エッチングの方式により第2の領域112上のパッシベーションコンタクト構造を除去してよい。さらに、絶縁隔離構造140の環内領域も第2の領域112上に位置してもよく、このとき、第2のエミッタ131も第2の領域112上に位置する。
【0056】
図1に示すように、この実施例のいくつかの例示では、第2の領域112は、第1の領域111の間に位置する連続領域である。
【0057】
図1及び図2に示すように、絶縁隔離構造140と第2のエミッタ131とは、いずれも複数あり、第2の電極132は、接続部1322と複数の電極部1321とを含み、複数の電極部1321は、複数の第2のエミッタ131にそれぞれ接触し、電極部1321は、絶縁隔離構造140の環内領域上に設けられ、接続部1322は、隣接する電極部1321に接続され、複数の電極部1321と接続部1322とは、いずれも第2の領域112の中に設けられる。
【0058】
ここで、図3に第2の電極132の電極部1321が示され、電極部1321は、第2のエミッタ131に直接的に接触していると考えられる。図5に第2の電極132の接続部1322が示され、接続部1322は、隣接する電極部1321を接続するためのものである。
【0059】
図3及び図5に示すように、この実施例のいくつかの例示では、比較的高い光線吸収率が得られるように、基板110の正面もテクスチャ構造を有し、隔離溝141の溝底壁もテクスチャ構造を有する。基板110の正面及び背面のテクスチャ構造は、同一のプロセス工程にて同時に形成されてもよく、それぞれ異なるプロセス工程にて前後に形成されてもよい。
【0060】
図3及び図4に示すように、この実施例のいくつかの例示では、絶縁隔離構造140は、隔離溝141の中に設けられた絶縁部142をさらに含む。さらに、この太陽電池は、絶縁の第1のバックパッシベーション層171をさらに含み、第1のバックパッシベーション層171は、第1のエミッタ121の基板110から遠い側及び第2のエミッタ131の基板110から遠い側に設けられる。さらに、第1のバックパッシベーション層171は、絶縁部142と一体成形される。
【0061】
ここで、第1のバックパッシベーション層171は、太陽電池の表面をパッシベーションするためのものであり、通常、パッシベーション層は、表面キャリアの再結合を低減するように、エミッタ層の表面に設けられる。この実施例では、第1のバックパッシベーション層171は、絶縁部142と一体成形されることにより、製造プロセスを簡素化するのみならず、パッシベーション層と同じ材料を採用する絶縁部142が第1のエミッタ121と第2のエミッタ131との界面キャリアの再結合を低減することもできる。
【0062】
この実施例のいくつかの例示では、この太陽電池は、さらに第2のバックパッシベーション層172を含んでもよい。第2のバックパッシベーション層172は、第1のバックパッシベーション層171の基板110から遠い側に設けられる。第2のバックパッシベーション層172は、第1のバックパッシベーション層171と接触する。第2のバックパッシベーション層172と第1のバックパッシベーション層171とは積層パッシベーションフィルムを形成して、パッシベーション効果をさらに向上させる。
【0063】
この実施例のいくつかの例示では、第1のバックパッシベーション層171と第2のバックパッシベーション層172との材料は、各々独立的に窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素及び窒酸化ケイ素から選択される一つ又は複数の種類である。ここで、第1のバックパッシベーション層171の材料は、第2のバックパッシベーション層172の材料と異なってもよい。
【0064】
図3及び図5に示すように、この実施例のいくつかの例示では、この太陽電池は、さらに第1のフロントパッシベーション層181と第2のフロントパッシベーション層182とを含んでもよい。第1のフロントパッシベーション層181と第2のフロントパッシベーション層182とは、基板110の正面に順に積層して設けられる。ここで、第1のフロントパッシベーション層181と第2のフロントパッシベーション層182とは、積層パッシベーションフィルムを形成して、パッシベーション効果をさらに向上させる。
【0065】
この実施例のいくつかの例示では、第1のフロントパッシベーション層181と第2のフロントパッシベーション層182との材料は、各々独立的に窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素及び窒酸化ケイ素から選択される一つ又は複数の種類である。
【0066】
図1及び図3に示すように、この実施例のいくつかの例示では、絶縁隔離構造140の一部の外縁は、第2の領域112の縁と面一になってもよい。
【0067】
図1及び図3に示すように、この実施例のいくつかの例示では、絶縁隔離構造140の環内領域には、さらにドーピング残部150が設けられていてもよい。ドーピング残部150は、第2のエミッタ131と絶縁隔離構造140との間に位置し、ドーピング残部150の材料及びドーピングタイプは、いずれも第1のエミッタ121と同じである。
【0068】
図6は、本開示の他の実施例による太陽電池の背面構成模式図を示している。図6に示すように、この太陽電池は、基板210と、第1のエミッタ221と、第2のエミッタ231と、第1の電極222と、第2の電極232と、絶縁隔離構造240とを含み、基板210の背面には、第1の領域211と第2の領域212とを有する。ここで、各部品間の相対的な位置関係は、図1における太陽電池と類似しているので、ここでは説明を繰り返さない。図1に示す太陽電池と異なる点は、絶縁隔離構造240の環内領域上には、第2のエミッタ231しか設けられておらず、ドーピング残部がないことであり、このとき、絶縁隔離構造240の筒状の内側壁は、第2のエミッタ231の縁のすぐ隣にある。
【0069】
他の実施例では、絶縁隔離構造240の筒状の外側壁は、第2の領域212の縁と第2のエミッタ231の縁との間に位置してもよいと考えられる。
【0070】
さらに、本開示実施例は、上記太陽電池の製造方法を提供している。この製造方法は、
対向して設けられた正面及び背面を有する基板を提供することと、
基板の背面に、基板を接触して覆う第1のドーピングタイプである第1のドーピング層を製造することと、
第1のドーピング層の中に環形状の絶縁隔離構造を製造し、絶縁隔離構造の環外に位置する一部の第1のドーピング層を第1のエミッタとすることと、
絶縁隔離構造の環内に、基板と接触する第2のドーピングタイプである第2のエミッタを製造することと、
第1のエミッタに電気的に接続された第1の電極を製造し、第2のエミッタに電気的に接続された第2の電極を製造することと、を含む。
【0071】
この実施例による太陽電池の製造方法は、第1のドーピング層の中に環形状の絶縁隔離構造を形成してから、環形状の絶縁隔離構造の環内に第2のエミッタを製造することにより、第1のエミッタと第2のエミッタとの間を絶縁隔離し、第1のエミッタと第2のエミッタとの界面におけるキャリアの再結合を回避し、リーク電流を低減する。そして、絶縁隔離構造を設けることにより、絶縁隔離構造の環内領域の第1のドーピング層を保護層として、環内領域の基板にテクスチャ構造を形成することを回避し、絶縁隔離構造を組み込むことによる太陽電池の光吸収率に対する影響を低減することができる。
【0072】
この実施例のいくつかの例示では、絶縁隔離構造を製造することは、第1のドーピング層をエッチングして、第1のドーピング層の中に第1のドーピング層を貫通する、絶縁隔離構造に含まる環状の隔離溝を形成することを含む。
【0073】
この実施例のいくつかの例示では、前記方法は、隔離溝を形成した後に、基板の正面及び隔離溝の底部にテクスチャ構造を形成するように、基板をテクスチャリング剤に置いて洗浄処理及びテクスチャリング処理を行うことをさらに含む。
【0074】
この実施例のいくつかの例示では、前記方法は、第2のエミッタを製造する前に、基板の背面に絶縁のパッシベーション材を製造して、隔離溝の中に位置するパッシベーション材が絶縁隔離構造に含まれる絶縁部を形成し、第1のドーピング層上に位置するパッシベーション材がバックパッシベーション層を形成するようにすることを含む。
【0075】
この実施例のいくつかの例示では、第1のドーピング層を製造することは、基板の背面にトンネリング酸化層とシリコン層を順に製造することと、シリコン層に対してドーピング元素拡散処理及び焼きなまし処理を行って、第1のドーピングタイプであるポリシリコン層を形成し、焼きなまし処理の過程において、ドーピング元素を基板の材料の中に拡散させ、基板を覆う第1のドーピング層を形成することと、を含む。
【0076】
この実施例のいくつかの例示では、基板の背面は、第1の領域と第1の領域の外に位置する第2の領域とを有し、前記方法は、ポリシリコン層を製造した後に、第2の領域におけるポリシリコン層とトンネリング酸化層を除去することをさらに含む。
【0077】
さらに、図7は、図1における太陽電池の製造方法のフローチャートを示している。図7に示すように、この実施例による太陽電池の製造方法は、ステップS1~ステップS6を含む。
【0078】
ステップS1:基板を提供すること。
【0079】
図8に示すように、基板110は、対向して設けられた正面及び背面を有し、基板110の背面は、基板110の下方に位置する。ここで、基板110の材料は、ケイ素、例えば単結晶シリコンであってよい。基板110は、第2のドーピングタイプであってよく、例えば、基板110は、P型ドーピングのケイ素である。
【0080】
この実施例のいくつかの例示では、前記方法は、基板110の正面にテクスチャリングを行うことをさらに含む。基板110の正面にテクスチャリングを行うことは、基板110をテクスチャリング剤に置いて基板110の正面にテクスチャ構造を形成することを含んでよい。ここで、テクスチャ構造は、ピラミッド状であってよい。
【0081】
この実施例のいくつかの例示では、前記方法は、基板110の背面を研磨処理することをさらに含む。ここで、研磨処理は、化学研磨剤を選定して研磨を行ってよい。
【0082】
ここで、基板110の背面は、第1の領域111と第2の領域112とを有し、第2の領域112は、その後に製造されるパッシベーションコンタクト構造における除去が必要な部分に対応し、第1の領域111は、第2の領域112の外に位置する。
【0083】
ステップS2:基板上に第1のドーピング層を製造すること。
【0084】
ここで、第1のドーピング層1201は、基板110の材料に基づいて形成されてもよく、既存の基板110の表面に堆積された新しい材料層であってもよい。この実施例のいくつかの例示では、第1のドーピング層1201は、基板110の背面にドーピングして形成されてよい。例えば、第1のドーピング層1201のドーピングタイプはN型であり、製造時には、リン拡散の方式により基板110の背面に第1のドーピング層1201を製造してよい。
【0085】
この実施例のいくつかの例示では、第1のドーピング層1201を製造することは、前記基板110の背面にトンネリング酸化層161とシリコン層を順に製造することと、前記シリコン層に対してドーピング元素拡散処理及び焼きなまし処理を行って、第1のドーピングタイプであるポリシリコン層162を形成することと、を含んでよい。ドーピング元素拡散処理及び焼きなまし処理の過程では、ドーピング元素は、前記基板110の材料の中にも拡散して、前記基板110を覆う第1のエミッタ121を形成すると考えられる。この方式により、基板110上には、第1のドーピングタイプである第1のエミッタ121のみならず、パッシベーションコンタクト構造も形成されており、界面再結合を低減して太陽電池の効率をさらに向上させる。
【0086】
図9は、図8に示す構成上にさらに第1のドーピング層1201、トンネリング酸化層161、及びポリシリコン層162を製造した構成模式図を示している。図9に示すように、第1のドーピング層1201は、基板110の背面に被さっている。第1のドーピング層1201は、後続する製造プロセスにおいて第1のエミッタ121を形成するためのものである。一部の第1のドーピング層1201のみが第1のエミッタ121とされ、他の一部の第1のドーピング層1201が後続する製造過程において除去されると考えられる。選択的には、他の一部の第1のドーピング層1201は、除去されずに無駄な部分として残る。
【0087】
この実施例のいくつかの例示では、前記方法は、第1のドーピング層1201を形成した後に、基板110の側面及び正面の回り込みメッキ材料を除去することをさらに含む。
【0088】
図9に示すように、パッシベーションコンタクト構造は、積層して設けられたトンネリング酸化層161とポリシリコン層162とを含む。この実施例のいくつかの例示では、パッシベーションコンタクト構造を製造することは、前記第1のドーピング層1201上に、トンネリング酸化層161とポリシリコン層162とを順に製造することを含み、ポリシリコン層162は、第1のドーピングタイプである。
【0089】
ここで、トンネリング酸化層161は、一部の第1のドーピング層1201を酸化することにより製造されてもよく、第1のドーピング層1201上に堆積することにより製造されてもよい。この実施例のいくつかの例示では、トンネリング酸化層161は、化学気相堆積の方式により第1のドーピング層1201上に製造される。
【0090】
ここで、ポリシリコン層162は、堆積の方法により製造されてよい。さらに、ポリシリコン層162は、堆積の過程において直接的にドーピングされてもよく、ポリシリコン層162が形成された後にドーピングされてもよい。この実施例のいくつかの例示では、まず化学気相堆積の方式によりトンネリング酸化層161の表面にアモルファスシリコン層を堆積して製造し、そして、アモルファスシリコン層にドーピングし、そして、アモルファスシリコン層に対して焼きなまし処理を行って、第1のドーピングタイプであるポリシリコン層162を形成する。
【0091】
このステップS2では、トンネリング酸化層161とポリシリコン層162とは第1のドーピング層1201の全体を覆うと考えられる。
【0092】
ステップS3:第2の領域におけるポリシリコン層とトンネリング酸化層を除去すること。
【0093】
図10は、図9に示す構成のもとで一部のポリシリコン層162及びトンネリング酸化層161を除去した構成模式図を示している。図10に示すように、第2の領域112上に位置する一部のポリシリコン層162及びトンネリング酸化層161が除去された。第2の領域112上にはポリシリコン層162及びトンネリング酸化層161を有しないと考えられる。
【0094】
ここで、ポリシリコン層162及びトンネリング酸化層161を除去する方式は、エッチングから選択されてよい。エッチングの具体的な方式は、ウェットエッチング又はレーザーエッチングから選択されてよい。
【0095】
この実施例のいくつかの例示では、レーザーエッチングの方式によりポリシリコン層162及びトンネリング酸化層161を除去する。
【0096】
第2の領域112におけるポリシリコン層162及びトンネリング酸化層161を除去した後、第2の領域112の一部の第1のドーピング層1201が露出し、この第1のドーピング層1201は、基板110の保護層とすることができると考えられる。
【0097】
ステップS4:第1のドーピング層上に環状の隔離溝を製造すること。
【0098】
この実施例のいくつかの例示では、隔離溝141を製造することは、一部の第1のドーピング層1201を除去して環状の隔離溝141を形成することを含む。
【0099】
図11は、図10に示す構成のもとで隔離溝141を製造した構成模式図を示している。図11に示すように、第2の領域112の一部の第1のドーピング層1201が除去されて、環形の隔離溝141が形成される。隔離溝141の環外領域に位置する第1のドーピング層1201は、第1のエミッタ121とする一方、隔離溝141の環内領域に位置する第1のドーピング層1201は、ドーピング残部150として残してもよい。第1のエミッタ121とドーピング残部150とは、絶縁隔離される。
【0100】
この実施例のいくつかの例示では、隔離溝141は、隔離溝141の溝底が基板110となるように、第1のドーピング層1201を貫通する。
【0101】
この実施例のいくつかの例示では、第1のドーピング層1201を除去する方式は、レーザーエッチングである。
【0102】
この実施例のいくつかの例示では、環形の隔離溝141を製造するステップでは、隔離溝141の溝幅≦100μmとなるように制御する。さらに、隔離溝141の溝幅が1μm~100μmとなるように制御してもよい。いくつかの例示としては、隔離溝141の溝幅は、10μm~50μmである。さらに選択的には、隔離溝141の溝幅は、15μm~30μmである。
【0103】
レーザーエッチングの方式により隔離溝141を形成した後も、基板110の表面に残り材料が依然として存在するため、基板110に対して化学洗浄をさらに行う必要があると考えられる。
【0104】
この実施例のいくつかの例示では、テクスチャリング剤を採用して基板110に対して化学洗浄を行って、基板110を洗浄しながら基板110の正面にテクスチャ構造を製造し、製造プロセスを簡素化する。隔離溝141の環内領域の基板110がドーピング残部150に覆われるため、隔離溝141から露出する一部の基板110の背面のみにテクスチャ構造が形成されると考えられる。
【0105】
環状の隔離溝141を形成するのではなく、隔離溝141の環内領域の全ての第1のドーピング層1201を除去すると、ドーピング残部150に覆われていない全ての領域(即ち、第2の領域112)における基板110にはテクスチャ構造が形成され、これにより、基板110の光線に対する吸収率を著しく低減して、太陽電池の効率が比較的低くなってしまうと考えられる。
【0106】
ステップS5:第1のバックパッシベーション層、第2のバックパッシベーション層、第1のフロントパッシベーション層及び第2のフロントパッシベーション層を製造すること。
【0107】
図12は、図11に示す構成のもとでパッシベーション積層を製造した構成模式図を示している。図12に示すように、第1のバックパッシベーション層171は、基板110の背面を覆う。さらに、第1のバックパッシベーション層171を製造するとき、パッシベーション材料を隔離溝141の中に充填させて絶縁部142を形成する。パッシベーション材料は、第1のエミッタ121とドーピング残部150との間が導通することを防止するように、絶縁材料から選択されるべきであると考えられる。
【0108】
この実施例のいくつかの例示では、第1のバックパッシベーション層171と第1のフロントパッシベーション層181とは、材料が同じである。製造過程では、基板110の正面及び背面に第1のバックパッシベーション層171及び第1のフロントパッシベーション層181を同時に形成してよい。
【0109】
この実施例のいくつかの例示では、第1のバックパッシベーション層171及び第1のフロントパッシベーション層181を製造した後に、さらに、第2のバックパッシベーション層172及び第2のフロントパッシベーション層182を製造する。
【0110】
この実施例のいくつかの例示では、第2のバックパッシベーション層172と第2のフロントパッシベーション層182とは、材料が同じである。製造過程では、基板110の正面及び背面に第2のバックパッシベーション層172及び第2のフロントパッシベーション層182を同時に形成してよい。
【0111】
ステップS6:第2のエミッタ、第1の電極及び第2の電極を形成すること。
【0112】
ステップS6を経て、図3に示すような太陽電池の断面構成を形成することができると考えられる。ここで、第1の電極122は、第1のバックパッシベーション層171及び第2のバックパッシベーション層172を通してポリシリコン層162と接触するとともに、トンネリング酸化層161及びポリシリコン層162により第1のエミッタ121に電気的に接続される。
【0113】
この実施例のいくつかの例示では、第1の電極122を製造するステップでは、まずトンネリング酸化層161とポリシリコン層162をエッチングして第1の接続孔を形成してから、第1の接続孔の中に導電材料を充填して第1の電極122を形成する。
【0114】
この実施例のいくつかの例示では、第1の電極122の材料は、銀及び銅のうちの一つ又は複数の種類であってよい。
【0115】
この実施例のいくつかの例示では、第2のエミッタ131は、第2の電極132の材料及び基板110の材料を共焼結して製造されてよい。
【0116】
第2の電極132は、第1のバックパッシベーション層171及び第2のバックパッシベーション層172を通し、且つ、第2の電極132は、第2のエミッタ131に接触する。
【0117】
この実施例のいくつかの例示では、第2の電極132を製造するステップでは、まずトンネリング酸化層161及びポリシリコン層162をエッチングして第2の接続孔を形成してから、第2の接続孔の中に第2の電極132の材料を充填して、焼結処理を行って、第2のエミッタ131及び第2の電極132を形成する。
【0118】
ここで、第2の電極132の材料は、アルミニウムを含んでよい。
【0119】
ステップS1~ステップS6により、本開示実施例による太陽電池構造を製造することができると考えられる。
【0120】
本開示実施例による太陽電池の具体的な実現形態及びその利点への理解の便宜上、本開示は、以下のような実施例及び比較例をさらに提供している。実施例と比較例との間の相違点により、本開示実施例による太陽電池の利点も明らかになる。
【0121】
実施例1
【0122】
P型の単結晶シリコンウェハを基板として、基板に対してアルカリ性研磨を行って、基板表面の機械損傷層及び汚染物を除去した。
【0123】
厚さが2nmのトンネリング酸化層と厚さが100nmのアモルファスシリコン層を基板の背面に堆積し、アモルファスシリコン層がN型ポリシリコン層に変換されるとともに、トンネリング酸化層と基板との間に第1のドーピング層が形成されるように、アモルファスシリコン層に対してリンドーピング処理及び焼きなまし処理を行った。
【0124】
レーザーエッチングの方式により第2の領域におけるポリシリコン層及びトンネリング酸化層を除去して、第1のドーピング層を露出させた。
【0125】
レーザーエッチングの方式により第2の領域の第1のドーピング層に溝幅が25μmの複数の環状の隔離溝が現れるようにエッチングし、環外領域の第1のドーピング層を第1のエミッタとし、環内領域の第1のドーピング層をドーピング残部とし、そして、基板をテクスチャリング剤において洗浄処理及びテクスチャリング処理を行って、基板の正面及び隔離溝の露出している背面にテクスチャ構造を形成した。
【0126】
基板の正面及び背面のいずれにも、酸化アルミニウム層を第1のフロントパッシベーション層及び第1のバックパッシベーション層として堆積してから、窒化ケイ素膜層を第2のフロントパッシベーション層及び第2のバックパッシベーション層として堆積した。
【0127】
レーザーエッチングの方式により、第1の電極位置に対応する第1の接続孔を形成し、一部のポリシリコン層を露出させるとともに、第2の電極位置に対応する第2の接続孔を形成し、第2の領域の一部の基板を露出させた。
【0128】
ポリシリコン層に銀ペーストを、基板の第2の領域にアルミニウムペーストをスクリーン印刷し、アルミニウムペーストと基板とが接触する部分が第2のエミッタを形成するとともに、銀ペーストが第1の電極を、アルミニウムペーストが第2の電極を形成するように焼結した。
【0129】
実施例2
【0130】
P型単結晶シリコンウェハを基板として、基板に対してアルカリ性研磨を行って、基板表面の機械損傷層及び汚染物を除去してから、基板の正面にテクスチャ構造を製造した。
【0131】
厚さが2nmのトンネリング酸化層及び厚さが100nmのアモルファスシリコン層を基板の背面に堆積し、アモルファスシリコン層がN型ポリシリコン層に変換されるとともに、トンネリング酸化層と基板との間に第1のドーピング層が形成されるように、アモルファスシリコン層に対してリンドーピング処理及び焼きなまし処理を行った。
【0132】
レーザーエッチングの方式により第2の領域におけるポリシリコン層及びトンネリング酸化層を除去して、第1のドーピング層を露出させた。
【0133】
レーザーエッチングの方式により第2の領域の第1のドーピング層に溝幅が20μmの複数の環状の隔離溝が現れるようにエッチングし、環外領域の第1のドーピング層を第1のエミッタとし、環内領域の第1のドーピング層をドーピング残部とし、そして、基板をテクスチャリング剤において洗浄処理を行った。
【0134】
基板の正面及び背面のいずれにも、酸化アルミニウム層を第1のフロントパッシベーション層及び第1のバックパッシベーション層として堆積してから、窒化ケイ素膜層を第2のフロントパッシベーション層及び第2のバックパッシベーション層として堆積した。
【0135】
レーザーエッチングの方式により、第1の電極位置に対応する第1の接続孔を形成し、一部のポリシリコン層を露出させるとともに、第2の電極位置に対応する第2の接続孔を形成し、第2の領域の一部の基板を露出させた。
【0136】
ポリシリコン層に銀ペースト、基板の第2の領域にアルミニウムペーストをスクリーン印刷し、アルミニウムペーストと基板とが接触する部分が第2のエミッタを形成するとともに、銀ペーストが第1の電極を、アルミニウムペーストが第2の電極を形成するように焼結した。
【0137】
比較例1
【0138】
P型単結晶シリコンウェハを基板として、基板に対してアルカリ性研磨を行い、基板表面の機械損傷層及び汚染物を除去した。
【0139】
基板の背面にリンドーピングしてN型の第1のドーピング層を形成した。
【0140】
厚さが2nmのトンネリング酸化層と厚さが100nmのアモルファスシリコン層を基板の背面に堆積し、アモルファスシリコン層がN型ポリシリコン層に変換されるようにアモルファスシリコン層に対してリンドーピング処理及び焼きなまし処理を行った。
【0141】
ウェットエッチングの方式により背面の第2の領域のポリシリコン層とトンネリング酸化層を順に除去した。
【0142】
基板をテクスチャリング剤に置いて洗浄処理及びテクスチャリング処理を行い、基板の正面にテクスチャ構造を形成した。
【0143】
基板の正面及び背面のいずれにも、酸化アルミニウム層を第1のフロントパッシベーション層と第1のバックパッシベーション層として堆積してから、窒化ケイ素膜層を第2のフロントパッシベーション層と第2のバックパッシベーション層として堆積した。
【0144】
レーザーエッチングの方式により、第1の電極位置に対応する第1の接続孔を形成し、N領域のポリシリコン層を露出させるとともに、第2の電極位置に対応する第2の接続孔を形成し、P領域の基板を露出させた。
【0145】
N領域に銀ペーストを、P領域にアルミニウムペーストをスクリーン印刷し、アルミニウムペーストと基板とが接触する部分が第2のエミッタを形成するとともに、銀ペーストが第1の電極を、アルミニウムペーストが第2の電極を形成するように焼結した。
【0146】
比較例2
【0147】
P型単結晶シリコンウェハを基板として、基板に対してアルカリ性研磨を行い、基板表面の機械損傷層及び汚染物を除去した。
【0148】
厚さが2nmのトンネリング酸化層と厚さが100nmのアモルファスシリコン層を基板の背面に堆積し、アモルファスシリコン層がN型ポリシリコン層に変換されるとともに、トンネリング酸化層と基板との間に第1のドーピング層が形成されるように、アモルファスシリコン層に対してリンドーピング処理及び焼きなまし処理を行った。
【0149】
レーザーエッチングの方式により第2の領域におけるポリシリコン層とトンネリング酸化層を除去して、第1のドーピング層を露出させた。
【0150】
レーザーエッチングの方式により第2の領域全体の第1のドーピング層を除去してから、基板をテクスチャリング剤に置いて洗浄処理及びテクスチャリング処理を行い、基板の背面の第2の領域及び正面のいずれにもテクスチャ構造を形成した。
【0151】
基板の正面及び背面のいずれにも、酸化アルミニウム層を第1のフロントパッシベーション層と第1のバックパッシベーション層として堆積してから、窒化ケイ素膜層を第2のフロントパッシベーション層と第2のバックパッシベーション層として堆積した。
【0152】
レーザーエッチングの方式により、第1の電極位置に対応する第1の接続孔を形成し、一部のポリシリコン層を露出させるとともに、第2の電極位置に対応する第2の接続孔を形成し、第2の領域の一部の基板を露出させた。
【0153】
ポリシリコン層に銀ペーストを、基板の第2の領域にアルミニウムペーストをスクリーン印刷し、アルミニウムペーストと基板とが接触する部分が第2のエミッタを形成するとともに、銀ペーストが第1の電極を、アルミニウムペーストが第2の電極を形成するように焼結した。
【0154】
試験:複数枚の実施例1~実施例2及び比較例1~比較例2による太陽電池の効率及び逆方向電圧が11Vのときの逆方向漏れ電流を測定して、結果を表1に示す。ここで、逆方向漏れ電流を評価する列では、逆方向漏れ電流を2つの区間に分ける。「<1」は、太陽電池の逆方向漏れ電流がいずれも1A以下であることを示し、その逆方向漏れ電流が抑制されていることが確認された。「>5」は、太陽電池の逆方向漏れ電流がいずれも5A以上であることを示し、その逆方向漏れ電流が比較的に深刻であることが確認された。
【0155】
【表1】
【0156】
表1に示すように、実施例1及び実施例2と比較して、比較例1の逆方向漏れ電流がいずれも明らかに高かった。これは、主に、比較例1では、第1のエミッタと第2のエミッタとの間に隔離溝が製造されておらず、本開示における絶縁隔離構造を有してないため、漏れ電流が高くなってしまう問題を起こしたためである。比較例2の逆方向漏れ電流が低減されているものの、その効率も明らかに低減された。これは、主に、比較例2では、製造過程において第2の領域全体の第1のドーピング層を除去してからテクスチャリング処理を行ったため、第2の領域にわたってテクスチャ構造を有し、ひいては効率低減を起こしたためである。
【0157】
上記の実施例は、説明を意図とするだけであり、本出願に対する制限を意味するものではないことに注意されたい。
【0158】
本開示に明確な説明がない限り、前記のステップの実行には、厳密な順番制限がなく、これらのステップは、他の順番で実行されてもよいと理解すべきである。さらに、前記のステップの少なくとも一部は、複数のサブステップ又は複数の段階を含んでもよく、これらのサブステップ又は段階は、必ずしも同一の時点にて実行され遂行される必要はなく、異なる時点にて実行されてもよい。これらのサブステップ又は段階の実行は、必ずしも順に実行する必要はなく、他のステップ、あるいは、他のステップのサブステップ又は段階の少なくとも一部と順番に又は交代的に実行されてもよい。
【0159】
本明細書における各々の実施例は、すべて漸進的に記述されており、各実施例が重点的に説明するのは、他の実施例と異なる点であり、各実施例間の同一又は類似の部分は、互いに参照すればよい。
【0160】
以上に述べた実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、記述を簡潔とするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせが記述されていないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載の範囲であると考えるべきである。
【符号の説明】
【0161】
110 基板
111 第1の領域
112 第2の領域
1201 第1のドーピング層
121 第1のエミッタ
122 第1の電極
131 第2のエミッタ
132 第2の電極
1321 電極部
1322 接続部
140 絶縁隔離構造
141 隔離溝
142 絶縁部
150 ドーピング残部
161 トンネリング酸化層
162 ポリシリコン層
171 第1のバックパッシベーション層
172 第2のバックパッシベーション層
181 第1のフロントパッシベーション層
182 第2のフロントパッシベーション層
210 基板
211 第1の領域
212 第2の領域
221 第1のエミッタ
222 第1の電極
231 第2のエミッタ
232 第2の電極
240 絶縁隔離構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12