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特開2023-164955フィルムの製造方法、太陽電池、太陽光発電モジュール及び太陽光発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164955
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】フィルムの製造方法、太陽電池、太陽光発電モジュール及び太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0216 20140101AFI20231107BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20231107BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20231107BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H01L31/04 240
H01L31/04 424
H01L21/316 X
H01L21/31 C
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023144248
(22)【出願日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】202310388825.4
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 成法
(72)【発明者】
【氏名】張 帥
(72)【発明者】
【氏名】陳 紅
(72)【発明者】
【氏名】陸 玉剛
(72)【発明者】
【氏名】李 万里
(72)【発明者】
【氏名】▲ゾウ▼ 楊
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フィルムのパッシベーション効果と製造効率とを両立できるフィルムの製造方法、太陽電池、太陽光発電モジュール及び太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】製造方法は、第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することと、第2製造プロセスを用いて第1パッシベーション層の基板から離れる側の表面に第2パッシベーション層を形成することとを含み、第2パッシベーション層の材質は、第1パッシベーション層の材質と同じである。第1製造プロセスのパッシベーション層製造速度は、第2製造プロセスのパッシベーション層製造速度よりも小さく、且つ第1パッシベーション層のパッシベーション効果は、第2パッシベーション層のパッシベーション効果よりも優れる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの製造方法であって、
第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することと、
第2製造プロセスを用いて前記第1パッシベーション層の前記基板から離れる側の表面に第2パッシベーション層を形成し、前記第2パッシベーション層の材質が前記第1パッシベーション層の材質と同じであることとを含み、
前記第1製造プロセスのパッシベーション層製造速度は、前記第2製造プロセスのパッシベーション層製造速度よりも小さく、且つ前記第1パッシベーション層のパッシベーション効果は、前記第2パッシベーション層のパッシベーション効果よりも優れる、ことを特徴とするフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記第1パッシベーション層のパッシベーション効果は、前記第2パッシベーション層のパッシベーション効果よりも優れていることは、
前記第1パッシベーション層の水素含有量は、前記第2パッシベーション層の水素含有量よりも小さいこと、及び/又は
前記第1パッシベーション層の負電荷密度は、前記第2パッシベーション層の負電荷密度よりも大きいことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記第1パッシベーション層の第1厚さは、前記第2パッシベーション層の第2厚さよりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記第1パッシベーション層の第1厚さは、2nm~6nmである、ことを特徴とする請求項3に記載のフィルムの製造方法。
【請求項5】
第1製造プロセスは、原子層堆積を含む、ことを特徴とする請求項4に記載のフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することは、
前記基板が位置する反応チャンバ内に第1前駆体を導入することと、
第1所定時間が経過後、前記反応チャンバ内の前記第1前駆体を排出して、第2前駆体を導入し、前記第2前駆体は、前記第1前駆体と反応して前記第1パッシベーション層を生成するためのものであることと、
第2所定時間が経過後、前記反応チャンバ内の前記第2前駆体を排出することと、
前記第1パッシベーション層の厚さが前記第1厚さに達するまで、上記を繰り返し実行することとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載のフィルムの製造方法。
【請求項7】
第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することは、
前記基板が移動して順に第1前駆体を導入する第1噴流領域、隔離ガスを導入する第2噴流領域及び第2前駆体を導入する第3噴流領域を通過するように制御し、前記第2前駆体は、前記第1前駆体と反応して前記第1パッシベーション層を生成するためのものであり、前記隔離ガスは、仕切って前記第1前駆体及び前記第2前駆体の前記基板の前記第1表面以外の領域での反応を抑制するためのものであることと、
前記第1パッシベーション層の厚さが前記第1厚さに達するまで、上記を繰り返し実行することとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載のフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することは、
前記基板が移動して順に第1前駆体を導入する第1噴流領域、排気領域及び第2前駆体を導入する第3噴流領域を通過するように制御し、前記第2前駆体は、前記第1前駆体と反応して前記第1パッシベーション層を生成するためのものであることと、
前記第1パッシベーション層の厚さが前記第1厚さに達するまで、上記を繰り返し実行することとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載のフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することは、
前記基板が移動して順に第1前駆体を導入する第1噴流領域及び第2前駆体を導入する第3噴流領域通過するように制御し、前記第2前駆体は、前記第1前駆体と反応して前記第1パッシベーション層を生成するためのものであり、前記第1噴流領域と前記第3噴流領域との間の距離が、前記第1前駆体及び前記第2前駆体の噴出流量及び/又は噴出圧力によって定められることと、
前記第1パッシベーション層の厚さが前記第1厚さに達するまで、上記を繰り返し実行することとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載のフィルムの製造方法。
【請求項10】
前記第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することにおいて、前記第1パッシベーション層は、さらに前記基板の周側表面に形成され、前記周側表面と前記第1表面とは連なる、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルムの製造方法。
【請求項11】
前記第2製造プロセスは、プラズマ増強化学気相堆積又は交互に実施されたプラズマ増強化学気相堆積及び原子層堆積を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルムの製造方法。
【請求項12】
前記第1パッシベーション層の材質と前記第2パッシベーション層の材質は、いずれもアルミナである、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
【請求項13】
太陽電池であって、
基板と、請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法を用いて製造して形成された第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層とを含む、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項14】
太陽電池であって、
基板と、請求項12に記載のフィルムの製造方法を用いて製造して形成された第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層とを含む、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項15】
太陽電池であって、
基板と、
前記基板の第1表面に設けられる第1パッシベーション層と、
前記第1パッシベーション層の前記基板から離れる側の表面に設けられる第2パッシベーション層とを含み、
前記第2パッシベーション層の材質は、前記第1パッシベーション層の材質と同じであり、
前記第1パッシベーション層の水素含有量は、前記第2パッシベーション層の水素含有量よりも小さく、及び/又は前記第1パッシベーション層の負電荷密度は、前記第2パッシベーション層の負電荷密度よりも大きい、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項16】
前記第1パッシベーション層の第1厚さは、前記第2パッシベーション層の第2厚さよりも小さい、ことを特徴とする請求項15に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記第1パッシベーション層の第1厚さは、2nm~6nmである、ことを特徴とする請求項16に記載の太陽電池。
【請求項18】
前記第1パッシベーション層は、さらに前記基板の周側表面に設けられ、前記周側表面と前記第1表面とは連なる、ことを特徴とする請求項15に記載の太陽電池。
【請求項19】
前記第1パッシベーション層の材質と前記第2パッシベーション層の材質は、いずれもアルミナである、ことを特徴とする請求項15~18のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項20】
太陽光発電モジュールであって、
電池ストリングを含み、
前記電池ストリングは、請求項15~18のいずれか1項に記載の太陽電池が複数接続されてなる、ことを特徴とする太陽光発電モジュール。
【請求項21】
太陽光発電モジュールであって、
電池ストリングを含み、
前記電池ストリングは、請求項19に記載の太陽電池が複数接続されてなる、ことを特徴とする太陽光発電モジュール。
【請求項22】
太陽光発電システムであって、
請求項20に記載の太陽光発電モジュールを含む、ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項23】
太陽光発電システムであって、
請求項21に記載の太陽光発電モジュールを含む、ことを特徴とする太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、フィルムの製造の技術分野に関し、特に、フィルムの製造方法、太陽電池、太陽光発電モジュール及び太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術が絶えずに発展することに伴い、人々の半導体デバイスの性能に対する要求も高まっている。その中で、パッシベーションは、デバイスの性能を著しく向上させる技術である。例えば、太陽電池において、パッシベーション層を形成することにより、太陽電池の光電変換効率を大幅に向上させることができる。しかし、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成するために、ある程度デバイスの製造効率に影響して、デバイスの生産能力の不足を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、上記技術的問題に対して、フィルムのパッシベーション効果と製造効率とを両立できるフィルムの製造方法、太陽電池、太陽光発電モジュール及び太陽光発電システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1態様において、本願は、フィルムの製造方法を提供し、前記製造方法は、
第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することと、
第2製造プロセスを用いて前記第1パッシベーション層の前記基板から離れる側の表面に第2パッシベーション層を形成し、前記第2パッシベーション層の材質が前記第1パッシベーション層の材質と同じであることとを含み、
前記第1製造プロセスのパッシベーション層製造速度は、前記第2製造プロセスのパッシベーション層製造速度よりも小さく、且つ前記第1パッシベーション層のパッシベーション効果は、前記第2パッシベーション層のパッシベーション効果よりも優れる。
【0005】
一実施例では、前記第1パッシベーション層のパッシベーション効果は、前記第2パッシベーション層のパッシベーション効果よりも優れることは、前記第1パッシベーション層の水素含有量は、前記第2パッシベーション層の水素含有量よりも小さいこと、及び/又は前記第1パッシベーション層の負電荷密度は、前記第2パッシベーション層の負電荷密度よりも大きいことを含む。
【0006】
一実施例では、前記第1パッシベーション層の第1厚さは、前記第2パッシベーション層の第2厚さよりも小さい。
【0007】
一実施例では、前記第1パッシベーション層の第1厚さは、2nm~6nmである。
【0008】
一実施例では、第1製造プロセスは、原子層堆積を含む。
【0009】
一実施例では、前記第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することは、
前記基板が位置する反応チャンバ内に第1前駆体を導入することと、
第1所定時間が経過後、前記反応チャンバ内の前記第1前駆体を排出して、第2前駆体を導入し、前記第2前駆体は、前記第1前駆体と反応して前記第1パッシベーション層を生成するためのものであることと、
第2所定時間が経過後、前記反応チャンバ内の前記第2前駆体を排出することと、
前記第1パッシベーション層の厚さが前記第1厚さに達するまで、上記を繰り返し実行することとを含む。
【0010】
一実施例では、第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することは、
前記基板が移動して順に第1前駆体を導入する第1噴流領域、隔離ガスを導入する第2噴流領域及び第2前駆体を導入する第3噴流領域を通過するように制御し、前記第2前駆体は、前記第1前駆体と反応して前記第1パッシベーション層を生成するためのものであり、前記隔離ガスは、仕切って前記第1前駆体及び前記第2前駆体の前記基板の前記第1表面以外の領域での反応を抑制するためのものであることと、
前記第1パッシベーション層の厚さが前記第1厚さに達するまで、上記を繰り返し実行することとを含む。
【0011】
一実施例では、前記第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することは、
前記基板が移動して順に第1前駆体を導入する第1噴流領域、排気領域及び第2前駆体を導入する第3噴流領域を通過するように制御し、前記第2前駆体は、前記第1前駆体と反応して前記第1パッシベーション層を生成するためのものであることと、
前記第1パッシベーション層の厚さが前記第1厚さに達するまで、上記を繰り返し実行することとを含む。
【0012】
一実施例では、前記第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することは、
前記基板が移動して順に第1前駆体を導入する第1噴流領域及び第2前駆体を導入する第3噴流領域通過するように制御し、前記第2前駆体は、前記第1前駆体と反応して前記第1パッシベーション層を生成するためのものであり、前記第1噴流領域と前記第3噴流領域との間の距離が、前記第1前駆体及び前記第2前駆体の噴出流量及び/又は噴出圧力によって定められることと、
前記第1パッシベーション層の厚さが前記第1厚さに達するまで、上記を繰り返し実行する。
【0013】
一実施例では、前記第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成することにおいて、前記第1パッシベーション層は、さらに前記基板の周側表面に形成され、前記周側表面と前記第1表面とは連なる。
【0014】
一実施例では、前記第2製造プロセスは、プラズマ増強化学気相堆積又は交互に実施されたプラズマ増強化学気相堆積及び原子層堆積を含む。
【0015】
一実施例では、前記第1パッシベーション層の材質と前記第2パッシベーション層の材質は、いずれもアルミナである。
【0016】
第2態様において、本願は、太陽電池を提供し、当該太陽電池は、基板と、上記の製造方法を用いて製造して形成された第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層とを含む。
【0017】
第3態様において、本願は、太陽電池を提供し、前記太陽電池は、
基板と、
前記基板の第1表面に設けられる第1パッシベーション層と、
前記第1パッシベーション層の前記基板から離れる側の表面に設けられる第2パッシベーション層とを含み、
前記第2パッシベーション層の材質は、前記第1パッシベーション層の材質と同じであり、
前記第1パッシベーション層の水素含有量は、前記第2パッシベーション層の水素含有量よりも小さく、及び/又は前記第1パッシベーション層の負電荷密度は、前記第2パッシベーション層の負電荷密度よりも大きい。
【0018】
一実施例では、前記第1パッシベーション層の第1厚さは、前記第2パッシベーション層の第2厚さよりも小さい。
【0019】
一実施例では、前記第1パッシベーション層の第1厚さは、2nm~6nmである。
【0020】
一実施例では、前記第1パッシベーション層は、さらに前記基板の周側表面に設けられ、前記周側表面と前記第1表面とは連なる。
【0021】
一実施例では、前記第1パッシベーション層の材質と前記第2パッシベーション層の材質は、いずれもアルミナである。
【0022】
第4態様において、本願は、太陽光発電モジュールを提供し、当該陽光発電モジュールは、電池ストリングを含み、前記電池ストリングは、上記の太陽電池が複数接続されてなる。
【0023】
第5態様において、本願は、太陽光発電システムを提供し、当該太陽光発電システムは、上記太陽光発電モジュールを含む。
【発明の効果】
【0024】
上記フィルムの製造方法は、第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成し、第2製造プロセスを用いて第1パッシベーション層の前記基板から離れる側の表面に第2パッシベーション層を形成する。ここで、第2パッシベーション層と第1パッシベーション層は、同じ材質を有し、それにより、材質が統一である第1パッシベーション層と第2パッシベーション層は、デバイスにおける他の膜層の製造プロセスにより容易に適用することができる。さらに、材質が同じであっても、異なる製造プロセスの成膜効果間に差異が存在するため、第1パッシベーション層と第2パッシベーション層は、異なるパッシベーション効果を有する。具体的には、第1パッシベーション層のパッシベーション効果が第2パッシベーション層のパッシベーション効果よりも優れることで、基板に近い第1パッシベーション層は、基板を良好にパッシベーションして、デバイスの性能を確保することができる。なお、第2製造プロセスのパッシベーション層製造速度が第1製造プロセスのパッシベーション層製造速度よりも速いため、第2製造プロセスを用いて第1パッシベーション層と第2パッシベーション層とを含むパッシベーション膜の全体厚さが目標厚さになるまで速やかに補足することができ、それにより、目標厚さを有するパッシベーション膜は、十分な信頼性を有する。従って、本願のフィルムの製造方法は、第1製造プロセスと第2製造プロセスのメリットを統合することができ、製造されるフィルムの全体パッシベーション効果と製造効率を効果的に両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施例におけるフィルムの製造方法のフローチャートである。
図2】一実施例における太陽電池の断面模式図である。
図3】他の一実施例における太陽電池の断面模式図である。
図4】一実施例において第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成するフローチャートである。
図5】他の一実施例において第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成するフローチャートである。
図6】一実施例における噴流ヘッドの配列模式図である。
図7】他の一実施例における噴流ヘッドの配列模式図である。
図8】他の一実施例において第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成するフローチャートである。
図9】他の一実施例における噴流ヘッドの配列模式図である。
図10】他の一実施例においいて第1製造プロセスを用いて基板の第1表面に第1パッシベーション層を形成するフローチャートである。
図11】他の一実施例における噴流ヘッドの配列模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願の目的、技術案及びメリットをより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本願をさらに詳しく説明する。ここで記述される具体的な実施例は、本願を解釈するためだけに用いられ、本願を限定するために用いられないと理解すべきである。
【0027】
本願の実施例は、フィルムの製造方法を提供し、当該フィルムの製造方法は、基板表面のパッシベーション層を形成して、半導体デバイスの性能を向上させるために用いられる。ここで、半導体デバイスは、光電デバイスであってもよいが、それに限定されない。光電デバイスは、太陽光発電電池、半導体発光デバイスなどを含み、太陽光発電電池は、例えば太陽電池であってもよい。本願の各実施例では、いずれもフィルムの製造方法が太陽電池のパッシベーション層を形成するために用いられることを例として説明する。
【0028】
具体的には、太陽電池は、光電効果を利用して光を電気エネルギーに変換する半導体デバイスである。太陽電池技術は、通常のアルミニウム・バックサーフェス・フィールド(Aluminium Back Surface Field、BSF)電池から、エミッタ及び裏面パッシベーション(Passivated Emitterand Rear Cell、PERC)電池、さらに選択エミッタ(Passivated Emitterand Rear Cell+Selective Emiter、PERC+SE)電池への変換を経験した。PERC+SE電池技術は、通常のBSF電池に比べて、通常の拡散工程後、レーザSE2次拡散工程及び裏面パッシベーション工程が追加されている。当該裏面パッシベーション工程が生成した裏面パッシベーション層フィルムは、PERC太陽電池が通常の電池に対して主に改良された構造であり、その原理は、基板の裏面がパッシベーション層フィルムで覆われ、それにより、表面をパッシベーションし、長波応答を向上させ、表面複合速度を減少させることで、太陽電池の光電変換効率を向上させることである。
【0029】
一実施例では、本願は、フィルムの製造方法を提供する。図1及び図2を参照すると、フィルムの製造方法は、以下のステップ102~ステップ104を含む。
【0030】
ステップ102であって、第1製造プロセスを用いて基板202の第1表面に第1パッシベーション層204を形成する。
【0031】
ステップ104であって、第2製造プロセスを用いて第1パッシベーション層204の基板202から離れる側の表面に第2パッシベーション層206を形成する。
【0032】
ここで、太陽電池は、基板202を含み、基板202は、入射光線を受けて光生成キャリアを生成するために用いられる。
【0033】
例示的に、太陽電池は、TOPCON(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト)電池であってもよく、基板202の2つの表面は、いずれも入射光線を受けるために用いられてもよい。基板202は、N型半導体基板202であり、即ち、基板202内にN型イオンがドープされており、N型イオンは、リン、ヒ素又はアンチモンのうちのいずれかであってもよい。基板202は、第1表面及びそれに対向する第2表面を有し、基板202の第2表面は、エミッタであり、エミッタは、P型ドープ層であってもよく、P型イオンがドープされており、エミッタは、基底とPN接合を形成する。
【0034】
基板202の第1表面は、トンネル層及びドープポリシリコン層が形成されている。トンネル層は、ドープポリシリコン層とともにパッシベーションコンタクト層を構成することができる。トンネル層は、基板202の第1表面の界面パッシベーションを実現するために用いられ、化学パッシベーションの効果を果たす。具体的には、基板202の表面のダングリングボンドを飽和し、基板202の第1表面の界面欠陥状態密度を低下することにより、基底の第1表面の複合中心を減少させてキャリアの複合速度を低下させる。ここで、トンネル層の材料は、誘電体材料であり、例えば、二酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、アルミナ又は酸化チタンのうちの少なくとも1つであってもよい。第1パッシベーション層204と第2パッシベーション層206は、トンネル層を形成するために利用することができる。ここで、トンネル層は、基板202の第1表面のダングリングボンドと結合することができ、それにより、太陽電池の表面のキャリア複合を抑制して、太陽電池の光電変換効率を向上させる。
【0035】
一部の実施例では、ドープポリシリコン層のトンネル層から離れる側には、さらにパッシベーション膜が設けられ、当該パッシベーション膜は、基板202の表面のキャリア濃度を高くすることができ、それにより、キャリア複合を抑制して、太陽電池の開路電圧、短絡電流及び充填因子を向上させて、両面の光電変換率を向上させる。一部の実施例では、パッシベーション膜の材料は、二酸化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素又は炭酸窒化ケイ素のうちの1つ又は複数であってもよい。そのため、本願の実施例では、第1パッシベーション層204と第2パッシベーション層206は、さらに当該パッシベーション膜を構成するために利用することができる。
【0036】
一部の実施例では、エミッタの基板202から離れる側にもパッシベーション膜が設けられている。当該パッシベーション膜の材料は、二酸化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素又は炭酸窒化ケイ素のうちの1つ又は複数であってもよい。そのため、本願の実施例では、第1パッシベーション層204と第2パッシベーション層206は、さらに当該パッシベーション膜を形成するために利用することができる。
【0037】
本願の実施例では、第2パッシベーション層206の材質と第1パッシベーション層204の材質は、同じである。具体的には、半導体デバイスの製造過程では、異なる膜層の材質の特性を考慮して、後のプロセス製造過程ですでに形成されたデバイス構造が損傷されることを抑制する。本実施例は、材質の統一である第1パッシベーション層204及び第2パッシベーション層206が用いられるため、上記角度から、1つのパッシベーション層材質の特性のみを考慮すればよく、デバイスにおける他の膜層の製造プロセスにより容易に適応することができる。さらに、本実施例の第1パッシベーション層204及び第2パッシベーション層206の材質は、関連技術における材質を流用することができ、対応的に、他の膜層の製造プロセスも、適応的な調整を行う必要がなく、それにより、本実施例の方法を用いて他の膜層のプロセス製造過程に対する影響を低減させることができる。
【0038】
さらに理解できるように、材質が同じであっても、異なる製造プロセスの成膜効果の間に差異が存在し、即ち、第1パッシベーション層204と第2パッシベーション層206は、異なるパッシベーション効果を有する。具体的には、本実施例は、第1パッシベーション層204のパッシベーション効果が、第2パッシベーション層206のパッシベーション効果よりも優れるとすることにより、基板202に近い第1パッシベーション層204は、基板202を良好にパッシベーションすることができ、デバイスの性能を確保する。なお、第2製造プロセスのパッシベーション層製造速度が、第1製造プロセスのパッシベーション層製造速度よりも速いため、第2製造プロセスを用いることで、パッシベーション膜の全体厚さ(即ち、第1パッシベーション層204と第2パッシベーション層206との厚さの和)が目標厚さになるように速やかに補足することができる。第2パッシベーション層206は、第1パッシベーション層204を保護することができ、それにより、第1パッシベーション層204が薄すぎることによって強度が不足して、損傷しやすいことなどの問題を抑制して、目標厚さを有するパッシベーション膜は、十分な信頼性を有する。
【0039】
本実施例では、フィルムの製造方法は、第1製造プロセス及び第2製造プロセスのメリットを統合することができ、製造されるフィルムの全体パッシベーション効果と製造効率を効果的に両立することができる。
【0040】
一実施例では、第1パッシベーション層204の材質と第2パッシベーション層206の材質は、いずれもアルミナである。具体的には、アルミナは、電子と正孔の必要以上の早期複合を防止することができ、さらに、太陽光を反射する鏡面とすることもでき、それにより、太陽光が再び太陽電池の活性部分に入って電気エネルギーに変換されて、さらに太陽電池の光電変換効率を向上させる。他の実施例では、第1パッシベーション層204と第2パッシベーション層206は、同じ材質を有する他のフィルムであってもよく、ここで限定されない。
【0041】
一実施例では、第1パッシベーション層204の第1厚さは、第2パッシベーション層206の第2厚さよりも小さい。説明の便宜上、本願の実施例では、第1厚さと第2厚さとの和を目標パッシベーション厚さと称する。ここで、第1厚さは、基板202に十分なパッシベーション効果を実現できる際の第1パッシベーション層の厚さであると理解することができる。第1厚さを確定した後、目標パッシベーション厚さ及び第1厚さによって第2厚さを確定することができる。第1厚さを有する第1パッシベーション層204及び第2厚さを有する第2パッシベーション層206を形成する時、太陽電池は第1光電変換効率を有する。完全に第1製造プロセスを用いて目標パッシベーション厚さを有するパッシベーション膜を形成する時、太陽電池は第2光電変換効率を有する。選択的には、第1光電変換効率と第2光電変換効率とを比較し、第1光電変換効率と第2光電変換効率との差が所定の閾値よりも小さい場合、現状の第1パッシベーション層204及び第2パッシベーション層206の厚さは、基板202に十分なパッシベーション効果を実現可能であると考えることができる。本実施例では、第1パッシベーション層204を製造する第1製造プロセスのパッシベーション層製造速度が比較的に遅いため、第1厚さの小さい第1パッシベーション層204を設けることにより、第1製造プロセスを用いて第1パッシベーション層204を製造する時間を効果的に短縮することができ、それにより、パッシベーション効果を確保する前提で、フィルム全体を製造する製造時間を短縮することができる。
【0042】
一実施例では、第1パッシベーション層204の第1厚さは、2nm~6nmである。例えば、第1厚さは、2nm、3nm、5nm、6nmのうちのいずれかであってもよいが、本実施例では限定されない。対応的に、第2パッシベーション層206の第2厚さは、第1厚さによって適応的に調節することができ、それにより、目標パッシベーション厚さがデバイスの厚さに対する要求を満たすようにすることができる。さらに、デバイスの性能に対する要求に応じて適切な第1厚さを選択することができる。例えば、目標パッシベーション厚さが25nmであることを例とすると、太陽電池の光電変換効率に対する要求が低いである場合、2nmの第1パッシベーション層204と23nmの第2パッシベーション層206との組み合わせを採用することができ、太陽電池の光電変換効率に対する要求が高い場合、6nmの第1パッシベーション層204と19nmの第2パッシベーション層206との組み合わせを採用することができる。本実施例では、第1パッシベーション層204の第1厚さを2nm~6nmのうちのいずれかの厚さとすることにより、フィルムの全体製造時間と製造されるフィルムのパッシベーション効果をよりよく両立することができる。
【0043】
一実施例では、図3を参照すると、第1製造プロセスを用いて基板202の第1表面に第1パッシベーション層204を形成する際、第1パッシベーション層204は、さらに基板202の周側表面に形成される。上記周側表面は、上記第1表面に接続され、且つ基板202の厚さ方向に平行である。さらに、第2パッシベーション層206を形成する際、第2パッシベーション層206は、側面まで延在するとともに、基板202の側表面に位置する第1パッシベーション層204を覆うことが可能である。本実施例では、基板202の周側表面に第1パッシベーション層204を形成することにより、太陽電池の側表面の複合速度をさらに減少させることができ、それにより、太陽電池の光電変換効率を向上させる。
【0044】
一実施例では、第1製造プロセスは、原子層堆積を含み、即ち、原子層堆積のプロセスを用いて基板202の第1表面に第1パッシベーション層204を形成する。ここで、原子層堆積(Atomic Layer Deposition、ALD)は、物質を単原子膜の形態で一層ずつ基板202の第1表面にメッキする方法である。具体的には、原子層堆積の過程では、次の一層の原子膜の化学反応は、直接的にその前の一層と関連し、このような方法は、反応ごとに一層の原子のみを堆積する。従って、原子層堆積は、膜層の厚さに対してナノメータ級の精確制御を図ることができ、また、亀裂がなく、緻密であり且つ形状が維持された高品質のフィルムをより容易に得ることができる。即ち、原子層堆積プロセスを用いて第1パッシベーション層204を形成する際、第1パッシベーション層204は、より優れたパッシベーション効果を有することが可能である。本実施例では、原子層堆積は、揮発性の前駆体分子とマトリックスの自己停止表面制限反応に基づくため、膜層が均一であり、パッシベーション効果が優れた第1パッシベーション層204を生成することができ、それにより、基板202の第1表面に近い第1パッシベーション層204のパッシベーション効果を確保することができる。
【0045】
一実施例では、図4を参照すると、第1製造プロセスを用いて基板202の第1表面に第1パッシベーション層204を形成することは、以下のステップ402~ステップ408を含む。
【0046】
ステップ402であって、基板202の位置する反応チャンバ内に第1前駆体を導入する。
【0047】
ここで、反応チャンバには、複数の噴流ヘッドが設けられてもよい。異なる噴流ヘッドは、異なるガス状態の物質を反応チャンバ内に輸送するために用いられる。反応チャンバは、対応して複数の噴流領域を備え、複数の噴流ヘッドは、一対一に複数の噴流領域にそれぞれ設けられている。具体的には、輸送可能なガス状態の物質は、各前駆体や不活性ガスを含むが、それらに限定されない。好ましくは、噴流ヘッドは、反応チャンバの上壁に接続されてもよく、ガス状態の物質は、基板202の第1表面に垂直に噴出され、それにより、第1前駆体が基板202の第1表面に均一に付着できるように確保する。さらに、第1パッシベーション層204の材質がアルミナであることを例とすると、第1前駆体は、アルミニウム源であり、例えば、トリメチルアルミニウム(Trimethyl-Aluminu、TMA)であってもよい。
【0048】
ステップ404であって、第1所定時間が経過後、反応チャンバ内の第1前駆体を排出して、第2前駆体を導入する。
【0049】
具体的には、第2前駆体は、第1前駆体と反応して第1パッシベーション層204を生成するために用いられる。第2前駆体は、基板202の上方に位置する噴流ヘッドを介して噴出されてもよく、それにより、第1前駆体を噴出する噴流ヘッドと区別することができる。第1パッシベーション層204の材質がアルミナであることを例とすると、第2前駆体は、酸素源であり、例えば、水とオゾンのうちの少なくとも1つを含んでもよい。具体的には、第1所定時間が経過後、反応チャンバ内の第1前駆体を排出することにより、残留した第1前駆体がその後に導入される第2前駆体と反応することを効果的に抑制することができ、それにより、不要な反応の生成物が基板202の第1表面に付着して、基板202の第1表面での反応に影響し、又は基板202の第1表面での成膜が均一でない問題などを効果的に抑制する。第2前駆体が反応チャンバに導入されると、第2前駆体は、表面での第1前駆体が完全に消耗するまで、基板202の第1表面にすでに付着した第1前駆体と反応して対応する生成物を生成して、必要な原子層を形成する。好ましくは、真空ポンプ、分子ポンプなどによって反応チャンバ内の第1前駆体を排出することができるが、本実施例では、これに限定されない。
【0050】
さらに、第1所定時間とは、噴流ヘッドが第1前駆体を噴出した時刻から第1前駆体が基板202の第1表面を敷き切った時刻までの期間である。従って、第1所定時間は、基板202の第1表面の面積、反応チャンバの体積、第1前駆体の噴出流量及び/又は噴出圧力、及び噴流ヘッドと基板202との間の距離などのうちの少なくとも1つと関連することができる。
【0051】
ステップ406であって、第2所定時間が経過後、反応チャンバ内の第2前駆体を排出する。
【0052】
ステップ404に類似し、第2所定時間とは、噴流ヘッドが第2前駆体を噴出した時刻から第2前駆体が基板202に到達して基板202の第1表面を敷き切った時刻までの期間である。従って、第2所定時間は、基板202の第1表面の面積、反応チャンバの体積、第2前駆体の噴出流量及び/又は噴出圧力、及び噴流ヘッドと基板202との間の距離などのうちの少なくとも1つと関連することができる。
【0053】
ステップ408であって、第1パッシベーション層204の厚さが第1厚さに達するまで、上記ステップ402~ステップ406を繰り返し実行する。
【0054】
具体的には、単層原子層の厚さ及び第1パッシベーション層204の第1厚さによって上記ステップ402~ステップ406を繰り返し実行する回数を定めることができ、例えば、上記ステップ402~ステップ406を20回~50回繰り返し実行して、第1厚さを有する第1パッシベーション層204を形成することができる。
【0055】
本実施例では、第2前駆体を導入する前に基板202の第1表面に付着しなかった第1前駆体をすべて排出されたため、第2前駆体を導入すると、基板202の第1表面以外に第1前駆体と第2前駆体の反応生成物を生成することがない。これにより、第1前駆体と第2前駆体の「時間」上の隔離を実現し、それにより、割合の大きい第1前駆体と第2前駆体を基板202の第1表面に反応させ、第1前駆体と第2前駆体は、厳格な自己制御の方式によって基板202の第1表面で反応し、それにより、最終的に均一であり、パッシベーション効果が優れた第1パッシベーション層204を形成する。
【0056】
一実施例では、図5を参照すると、第1製造プロセスを用いて基板202の第1表面に第1パッシベーション層204を形成することは、以下のステップ502~ステップ504を含む。
【0057】
ステップ502であって、基板202が移動して順に第1前駆体を導入する第1噴流領域、隔離ガスを導入する第2噴流領域及び第2前駆体を導入する第3噴流領域を通過するように制御する。
【0058】
ここで、第2前駆体は、第1前駆体と反応して第1パッシベーション層204を生成するために用いられる。隔離ガスは、第1前駆体及び第2前駆体と反応しない。隔離ガスは、仕切って第1前駆体及び第2前駆体が前記基板表面以外の領域と反応することを抑制するために用いられる。具体的には、隔離ガスは、ガス状態の第1前駆体及び第2前駆体が基板に到達する前に化学気相堆積することを抑制し、第1前駆体と第2前駆体の反応がすべて基板の表面での原子層堆積となるようになり、それにより、第1パッシベーション層204の成膜品質を向上させる。隔離ガスは、窒素ガス(N)又は不活性ガスであってもよい。具体的には、図6に示すように、第1前駆体、隔離ガス及び第2前駆体は、それぞれ異なる噴流ヘッドを導入され、即ち、第1噴流ヘッドは、第1前駆体を噴出するためのものであり、第2噴流ヘッドは、隔離ガスを噴出するためのものであり、第3噴流ヘッドは、第2前駆体を噴出するためのものである。複数の噴流ヘッドは、それぞれ複数の噴流領域と一対一で対応して設けられ、且つ異なる噴流ヘッドは、反応チャンバの上壁に線状に配列することができる。好ましくは、基板202は、熱板に配置することができ、そして、熱板が移動するように制御することで、基板202が順に各噴流領域を通過するように駆動して、基板202を熱処理することが容易になる。
【0059】
さらに、各噴流ヘッドの噴出流量及び/又は噴出圧力によって基板202の移動速度を定めることができ、それにより、原子層の堆積効果を確保する。理解できるように、原子層の堆積効果と第1前駆体の吸着効果、第2前駆体の反応効果と隔離ガスの隔離効果などは、いずれも関連する。従って、原子層の堆積効果に対する要求に基づき、基板202の移動速度、各噴流ヘッドの噴出流量及び/又は噴出圧力、及び各噴流ヘッドの制御ロジックを適当に調節することができる。例示的に、各噴流ヘッドは、反応チャンバ内に持続的に対応するガス状態の物質を輸送することができ、それにより、噴流ヘッドの制御ロジックを簡略化するとともに、第1前駆体の吸着効果、第2前駆体の反応効果及び隔離ガスの隔離効果の最適化を図る。さらに、例示的に、各噴流ヘッドは、基板202が対応する噴流領域に入る直前のみに反応チャンバ内に対応するガス状態の物質を輸送し始めてもよく、それにより、各材料の使用量を減少させる。さらに、例示的に、前駆体の対応する噴流ヘッドが、基板202が対応する噴流領域に入る直前のみに反応チャンバ内に対応する前駆体を輸送し始めるように制御し、隔離ガスの噴流ヘッドが反応チャンバ内に持続的に隔離ガスを輸送するように制御してもよく、それにより、隔離効果及び反応効果を確保する前提で、前駆体の使用量を減少させる。
【0060】
ステップ504であって、第1パッシベーション層204の厚さが第1厚さに達するまで、上記ステップ502を繰り返し実行する。
【0061】
例示的に、反応チャンバ内には、順次に複数組の噴流ヘッドが設けられてもよく、即ち、図7に示すように、そのうちの2組の噴流ヘッドが示され、各組の噴流ヘッドは、それぞれ第1噴流ヘッド、第2噴流ヘッド及び第3噴流ヘッドを含む。つまり、反応チャンバ内には、順次に第1噴流ヘッド→第2噴流ヘッド→第3噴流ヘッド…第1噴流ヘッド→第2噴流ヘッド→第3噴流ヘッドが設けられ、また、基板202が線形的に移動して順に各噴流領域を通過するように制御する。本例では、体積の大きい反応チャンバを必要とするが、基板202に対する高速処理を図ることができ、且つそれぞれ異なる組の噴流ヘッドの下にそれぞれ基板202を設ける形態により、同期的に複数の基板202を処理することができる。これにより、第1パッシベーション層204の製造効率を大幅に向上させることができる。さらに、例示的に、反応チャンバ内には、図6に示すように1組の噴流ヘッドのみが設けられてもよく、1周期の反応が完了後、反応チャンバにおけるすべてのガスを排出して、基板202を再び第1噴流領域に移動させて、上記ステップを繰り返す。本示例は、製造効率が前の例に及ばないが、反応チャンバの体積に対する要求が低く、生産量が少ない使用シーンにより適用する。
【0062】
図4に示す実施例で排気過程によって第1前駆体及び第2前駆体を「時間」上に隔離することに比べて、本実施例で基板202が移動して順に第1噴流領域、第2噴流領域及び第3噴流領域を通過するように制御することにより、「空間」上の隔離を実現することができ、それにより、反応チャンバに対して排気する過程を省略して、第1パッシベーション層204を形成するのに必要な時間を大幅に短縮する。第2噴流領域を設けることで第1前駆体と第2前駆体を能動的に隔離し、且つ第2噴流領域の幅、隔離ガスの噴出流量及び/又は噴出圧力を合理的に設定することにより、第1前駆体と第2前駆体を効果的に隔離して、大きい部分の第1前駆体と第2前駆体の反応は、基板202の第1表面で行われるようになり、第1パッシベーション層204の均一性を効果的に向上させ、さらに、第1パッシベーション層204のパッシベーション効果を向上させる。さらに、基板202は、熱板に配置されて持続的に移動することができる。本実施例の技術案は、第1パッシベーション層204を形成する際に回り込み現象が生じにくく、回り込み現象によって、基板202の裏面に不均一の膜層が形成されてしまい、太陽電池の外観及び光電変換性能に影響を及ぼす。従って、本実施例は、さらに上記問題を効果的に抑制することにより、総合性能が良い太陽電池を提供する。
【0063】
一実施例では、図8を参照すると、第1製造プロセスを用いて基板202の第1表面に第1パッシベーション層204を形成することは、以下のステップ802~ステップ804を含む。
【0064】
ステップ802であって、基板202が移動して順に第1前駆体を導入する第1噴流領域、排気領域及び第2前駆体を導入する第3噴流領域を通過するように制御する。排気領域は、排気領域における気体物質を前記反応チャンバから排出するために用いられる。
【0065】
また、第2前駆体は、第1前駆体と反応して第1パッシベーション層204を生成するために用いられる。具体的には、図9に示すように、第1前駆体と第2前駆体は、それぞれ異なる噴流ヘッドを介して導入され、即ち、第1噴流ヘッドは、第1前駆体を噴出するためのものであり、第3噴流ヘッドは、第2前駆体を噴出するためのものである。本実施例では、さらに第1噴流ヘッドと第3噴流ヘッドとの間に排気管路が設けられ、排気管路が真空ポンプに接続されてもよく、それにより、排気領域におけるガス物質を吸引することができる。理解できるように、第1噴流領域及び第3噴流領域の具体的な設置形態は、図5に示す実施例を参照すればよく、ここで繰り返し述べない。排気領域を設けることにより、第1前駆体又は第2前駆体が排気領域に蔓延した場合、それらを直ちに反応チャンバから排出させて、第1前駆体と第2前駆体の反応を抑制して、第1パッシベーション層204の品質を向上させる。
【0066】
ステップ804であって、第1パッシベーション層204の厚さが第1厚さに達するまで、上記ステップ802を繰り返し実行する。
【0067】
本実施例では、基板202が移動して順に第1噴流領域、排気領域及び第3噴流領域を通過するように制御することにより、「空間」上の隔離を実現することにより、反応チャンバ全体に対する排気の過程を省略して、さらに第1パッシベーション層204を形成するのに必要な時間を大幅に短縮する。排気領域を設けることで第1前駆体と第2前駆体を隔離するとともに、排気領域の幅を合理的に設定することにより、第1前駆体と第2前駆体を効果的に隔離して、大きい部分の第1前駆体と第2前駆体の反応は、基板202の第1表面で行われるようになり、第1パッシベーション層204の均一性を効果的に向上させ、さらに第1パッシベーション層204のパッシベーション効果を向上させる。さらに、基板202が熱板に配置されて持続的に移動可能であるため、本実施例の技術案は、第1パッシベーション層204を形成する際、回り込み現象が生じにくく、回り込み現象によって、基板202の裏面に不均一の膜層が形成されてしまい、太陽電池の外観及び光電変換性能に影響を及ぼす。従って、本実施例は、さらに上記問題を効果的に抑制することで、総合性能の良い太陽電池を提供する。
【0068】
一実施例では、基板202が移動して順に第1前駆体の第1噴流領域、隔離ガスの第2噴流領域、排気領域及び第2前駆体の第3噴流領域を通過するように制御し、或いは基板202が移動して順に第1前駆体の第1噴流領域、排気領域、隔離ガスの第2噴流領域及び第2前駆体の第3噴流領域を通過するように制御することができる。理解できるように、本実施例における第1噴流領域、第2噴流領域、排気領域及び第3噴流領域の具体的な設置形態は、前述の実施例を参照すればよく、ここで繰り返し述べない。
【0069】
一実施例では、図10を参照すると、第1製造プロセスを用いて基板202の第1表面に第1パッシベーション層204を形成することは、以下のステップ1002~ステップ1004を含む。
【0070】
ステップ1002であって、基板202が移動して順に第1前駆体を導入する第1噴流領域及び第2前駆体を導入する第3噴流領域を通過するように制御する。
【0071】
また、第2前駆体は、第1前駆体と反応して第1パッシベーション層204を生成するために用いられる。具体的には、図11を参照すると、第1前駆体と第2前駆体は、それぞれ異なる噴流ヘッドを介して導入され、即ち、第1噴流ヘッドは、第1前駆体を噴出するためのものであり、第3噴流ヘッドは、第2前駆体を噴出するためのものである。第1噴流領域と第3噴流領域との間に一定の距離dがある。具体的には、第1噴流領域と第3噴流領域との間の距離を拡大することにより、第1前駆体と第2前駆体の基板202以外領域での反応を効果的に抑制して、不要な反応した生成物が基板202の第1表面に付着することによって、基板202の第1表面での反応に影響を及ぼし、又は基板202の一方側の表面での成膜が不均一である問題などを効果的に抑制する。さらに、距離dは、前記第1前駆体及び前記第2前駆体の噴出流量及び/又は噴出圧力によって定められる。具体的には、距離dを設ける目的は、第1前駆体及び第2前駆体の基板202以外での反応を減少させて、第1パッシベーション層204のパッシベーション効果を向上させることである。理解できるように、第1前駆体及び第2前駆体の噴出流量又は噴出圧力が大きいほど、2種の前駆体は、気流の作用で反応しやすくなる。従って、距離dの設定は、第1前駆体及び第2前駆体の噴出流量及び噴出圧力と正の相関を有する。即ち、第1前駆体と第2前駆体の噴出流量及び/又は噴出圧力が大きいほど、それに対応してより大きな距離dが必要となり、空間上の隔離効果を向上させる。理解できるように、本実施例では、第1噴流領域と第3噴流領域には、他の気体を導入する噴流領域が設けられなくてもよい。
【0072】
ステップ1004であって、第1パッシベーション層204の厚さが第1厚さに達するまで、上記ステップ1002を繰り返し実行する。
【0073】
本実施例では、第1噴流領域と第3噴流領域は、一定の距離dを隔てるため、別途設備やガスを加える必要がなく、即ち、大きい部分の第1前駆体と第2前駆体は、基板202の第1表面で反応するようになり、それにより、第1パッシベーション層204の均一性及びパッシベーション効果を確保する前提で、反応チャンバの構造を大幅に簡略化することができる。さらに、基板202が熱板に配置されて持続的に移動可能であるため、本実施例の技術案は、第1パッシベーション層204を形成する際、回り込み現象が生じにくく、回り込み現象によって、基板202の裏面に不均一の膜層が形成されてしまい、太陽電池の外観及び光電変換性能に影響を及ぼす。従って、本実施例は、さらに上記問題を効果的に抑制することができ、総合性能の良い太陽電池を提供する。
【0074】
一実施例では、第2製造プロセスは、プラズマ増強化学気相堆積を含み、即ち、プラズマ増強化学気相堆積を用いて第1パッシベーション層204の基板202から離れる側の表面に第2パッシベーション層206を形成することができる。また、プラズマ増強化学気相堆積(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、PECVD)は、放電現象を利用して目標材質に対応する原子を電離させた後、基板に化学反応堆積を行うフィルムの製造方法である。理解できるように、原子層堆積が毎回に一層の原子しか形成できない反応メカニズムに制限されて、原子層堆積のプロセスが必要とする時間が長いため、原子層堆積が単位時間内で生産能力が低い。原子層堆積に比べて、プラズマ増強化学気相堆積は、第1前駆体と第2前駆体を必要とせず、基板202表面で反応するだけで、つまり、第1前駆体が完全に基板202の第1表面に付着する必要がなく、いくつかの処理手段により反応腔における第1前駆体を排出し、そして第2前駆体を導入するフローを経ることにより、同じ材質のパッシベーション層の製造効率を大幅に向上させることができる。しかし、プラズマ増強化学気相堆積の成膜の均一性が原子層堆積に及ばず、且つ電離過程によって、パッシベーションの表面に衝撃損傷を引き起こすため、プラズマ増強化学気相堆積だけでは、最適なパッシベーション効果に達成することが困難である。本実施例では、プラズマ増強化学気相堆積法を用いることにより、第2パッシベーション層206をより快速に製造することができ、さらに、原子層堆積とプラズマ増強化学気相堆積を統合することにより、基板202に対するパッシベーション効果を大幅に向上させることができる。
【0075】
一実施例では、第2製造プロセスは、交互に実施されたプラズマ増強化学気相堆積及び原子層堆積を含む。本実施例では、第2製造プロセスは、交互に実施されたプラズマ増強化学気相堆積及び原子層堆積を採用し、プラズマ増強化学気相堆積によるフィルムの製造速度は、原子層堆積によるフィルムの製造速度よりも大きいため、第2製造プロセスが交互に実施されたプラズマ増強化学気相堆積及び原子層堆積を採用することにより、第2製造プロセスがフィルムを製造する速度が、第1製造プロセスがフィルムを製造する速度よりも速いことも実現することができ、さらにフィルム製造の全体効率を向上させる。
【0076】
一実施例では、第1パッシベーション層204の水素含有量は、第2パッシベーション層206の水素含有量よりも小さい。また、パッシベーション層の水素含有量は、対応する製造プロセスに関連する。具体的には、第1パッシベーション層204の材質と第2パッシベーション層206の材質がアルミナであることを例とすると、プラズマ増強化学気相堆積法を用いて製造されたアルミナにおける水素含有量が最も高く、原子層堆積「時間」法(例えば図4に示す実施例)で製造されたアルミナフィルムは、それより劣り、原子層堆積「空間」法(例えば図5に示す実施例)で製造されたアルミナにおける水素含有量は、最も低い。パッシベーション層における水素原子の含有量が低いほど、パッシベーション効果がよくなる。従って、第1パッシベーション層204及び第2パッシベーション層206の水素含有量を測定することにより、プロセス製造過程を効果的に確定するとともに、各パッシベーション層のパッシベーション効果を取得することができる。
【0077】
一実施例では、第1パッシベーション層204の負電荷密度は、第2パッシベーション層206の負電荷密度よりも大きい。具体的には、パッシベーション層と基板202、例えば、シリコンチップとの接触面の負電荷密度が高いほど、p型シリコン表面の少数キャリアをシールドする能力が強くなるため、より良いフィールドパッシベーション特性を有する。本実施例では、第1パッシベーション層204の負電荷密度が第2パッシベーション層206の負電荷密度よりも大きいとすることにより、基板202の第1表面に近い第1パッシベーション層204のパッシベーション効果は、基板202から離れる第2パッシベーション層206のパッシベーション効果よりも優れ、太陽電池の光電変換効率をより効果的に向上させることができる。従って、第1パッシベーション層204及び第2パッシベーション層206の負電荷密度を測定することにより、各パッシベーション層のパッシベーション効果を奏することができる。
【0078】
以上の各実施例に係るフローチャートに示す各ステップは、矢印が示す通りに順に示されるが、これらのステップは、必ずしも矢印の示す順番によって順に実行されるとは限らないと理解されるべきである。本明細書に特に明記しない限り、これらのステップの実行は、厳格な順番制限がなく、これらのステップは、他の順番で実行されてもよい。さらに、上記の各実施例に係るフローチャートに示す少なくとも1部のステップは、複数のステップ又は複数の段階を含むことができる。これらのステップ又は段階は、必ずしも同じ時刻で実行して完了すると限らず、異なる時刻で実行されてもよい。これらのステップ又は段階の実行順番も必ずしも順に実行されるとは限らず、他のステップ又は他のステップにおけるステップ又は段階の少なくとも1部と交互又は交替的に実行することができる。
【0079】
一実施例では、引き続き図2を参照すると、本願は、さらに太陽電池を提供し、当該太陽電池は、基板202、第1パッシベーション層204及び第2パッシベーション層206を含む。基板202は、入射光線を受けて光生成キャリアを生成するために用いられる。例えば、一部の実施例では、太陽電池は、両面電池であり、即ち、基板202の2つの表面は、いずれも太陽光線を受けるために用いられる。基板202は、シリコン基板であってもよい。シリコン基板の材料は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及び微結晶シリコンを含んでもよい。第1パッシベーション層204は、基板202の第1表面に設けられている。第2パッシベーション層206は、第1パッシベーション層204の基板202から離れる側の表面に設けられている。第2パッシベーション層206の材質と第1パッシベーション層204の材質は、同じである。
【0080】
一実施例では、第1パッシベーション層204の水素含有量は、第2パッシベーション層206の水素含有量よりも小さく、及び/又は第1パッシベーション層204の負電荷密度は、第2パッシベーション層206の負電荷密度よりも大きい。
【0081】
一実施例では、第1パッシベーション層204の第1厚さは、第2パッシベーション層206の第2厚さよりも小さい。
【0082】
一実施例では、第1パッシベーション層204の第1厚さは、2nm~6nmである。
【0083】
一実施例では、第1パッシベーション層204の材質と第2パッシベーション層206の材質は、いずれもアルミナである。
【0084】
一実施例では、引き続き図3を参照すると、本願は、さらに太陽電池を提供し、当該太陽電池の第1パッシベーション層204は、基板202の周側表面まで延在し、周側表面は、第1表面に接続され、且つ基板202の厚さ方向に平行である。第2パッシベーション層206は、基板202の周側表面に位置する第1パッシベーション層204まで延在して当該第1パッシベーション層204を覆う。
【0085】
一実施例では、太陽電池における第1パッシベーション層204及び第2パッシベーション層206は、上記いずれかの実施例に係るフィルムの製造方法を用いて製造して形成されるものである。前述したフィルムの製造方法に基づき、本実施例は、製造速度が速く、性能が良い太陽電池を提供する。対応的に、本願の実施例は、さらに太陽光発電モジュールを提供し、太陽光発電モジュールは、電池ストリングを含み、電池ストリングは、上記いずれかの実施例の提供する太陽電池又は上記いずれかの実施例の提供するフィルムの製造方法を用いて製造される太陽電池が接続されてなる。
【0086】
太陽光発電モジュールは、封止層及び蓋板をさらに含み、封止層は、電池ストリングの表面を覆うために用いられる。蓋板は、封止層の電池ストリングから離れる表面を覆うために用いられる。太陽電池は、1つのセル又はマルチカットセルの形態で電気的に接続されて複数の電池ストリングを形成する。複数の電池ストリングは、直列及び/又は並列の形態で電気的に接続されている。具体的には、一部の実施例では、複数の電池ストリング間は、導電ストリップにより電気的に接続されている。封装層は、太陽電池の表面を覆う。例示的に、封装層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンオクテンコエラストマーフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルム等の有機封止フィルムであってもよい。蓋板は、ガラス蓋板、プラスチック蓋板など光を透過する機能を有する蓋板であってもよい。
【0087】
本願の実施例は、さらに、上記いずれかの実施例における太陽光発電モジュールを含む太陽光発電システムを提供する。
【0088】
理解できるように、太陽光発電システムは、太陽光発電ステーション、例えば地面発電ステーション、屋根発電ステーション、水上発電ステーションなどに応用することができ、太陽エネルギーを利用して発電する設備又は装置、例えばユーザの太陽エネルギー電源、太陽エネルギー街灯、太陽エネルギー自動車、太陽エネルギー建物などに応用することができる。当然ながら、理解できるように、太陽光発電システムの応用シーンはこれらに限定されない。即ち、太陽光発電システムは、太陽エネルギーを用いて発電する必要があるすべての分野に応用することができる。太陽光発電システム網を例とすると、太陽光発電システムは、太陽光発電アレイ、集流箱及びインバータを含むことができる。太陽光発電アレイは、複数の太陽光発電モジュールのアレイの組み合わせであってもよい。例えば、複数の太陽光発電モジュールは、複数の太陽光発電アレイを構成することができる。太陽光発電アレイは、集流箱に接続され、集流箱は、太陽光発電アレイの生じる電流を集流することができ、集流後の電流は、インバータを流れて商用電力網が要求する交流電力に変換されてから商用電力網に接続されて太陽エネルギーによる給電を実現する。
【0089】
以上の実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするため、前記実施例中の各技術的特徴のすべての可能な組み合わせを説明していないが、しかし、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾が存在しない限り、すべて本明細書に記載された範囲と見なすべきである。
【0090】
以上の実施例は、本願のいくつかの実施形態を表現しただけで、その説明は比較的に具体的で詳細であるが、本願の特許請求の範囲を制限すると理解すべきではない。当業者にとって、本願の構想を逸脱しない前提で、さらに若干の変形と改良を行うことができ、これらはすべて本願の保護範囲に属することを指摘すべきである。そのため、本願の保護範囲は付属の特許請求の範囲を基準とする。
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