(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164965
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ユーザ装置、ネットワーク装置及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 8/24 20090101AFI20231107BHJP
H04W 88/14 20090101ALI20231107BHJP
【FI】
H04W8/24
H04W88/14
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144620
(22)【出願日】2023-09-06
(62)【分割の表示】P 2020511646の分割
【原出願日】2019-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2018072977
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】阿部 元洋
(72)【発明者】
【氏名】青▲柳▼ 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹田 晋也
(72)【発明者】
【氏名】石川 寛
(72)【発明者】
【氏名】清水 和人
(57)【要約】 (修正有)
【課題】能力に応じた複数のカテゴリのうち、何れかのカテゴリとして動作するユーザ装置、ネットワーク装置及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】無線アクセスネットワーク及びユーザ装置(UE)200を含む無線通信システムにおいて、能力に応じた複数のカテゴリのうち、何れかのカテゴリとして動作するUE200は、コアネットワークへのアタッチを実行するアタッチ処理部220と、通常カテゴリよりも能力が制限された制限カテゴリとしてUE200を動作させる動作制御部230と、アタッチ時またはアタッチ後において、UE200が動作しているカテゴリをコアネットワークに通知するカテゴリ通知部240と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアネットワークを構成するネットワーク装置であって、
能力に応じた複数のカテゴリのうち、何れかのカテゴリとして動作するユーザ装置のカテゴリを受信するカテゴリ受信部と、
前記カテゴリ受信部が受信した前記カテゴリを他のネットワーク装置、または課金システムに転送するカテゴリ転送部と
を備えるネットワーク装置。
【請求項2】
前記カテゴリ受信部は、制限カテゴリまたは通常カテゴリの何れかとして動作する前記ユーザ装置のカテゴリを受信する請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
前記カテゴリ受信部は、前記ユーザ装置のカテゴリが切り替えられた場合、前記ユーザ装置のカテゴリを受信する請求項1に記載のネットワーク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能力に応じた複数のカテゴリのうち、何れかのカテゴリとして動作するユーザ装置、ネットワーク装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP)は、Long Term Evolution(LTE)を仕様化し、LTEのさらなる高速化を目的としてLTE-Advanced(以下、LTE-Advancedを含めてLTEという)を仕様化している。また、3GPPでは、さらに、5G New Radio(NR)などと呼ばれるLTEの後継システムの仕様が検討されている。
【0003】
LTEのRelease-13以降では、Internet of Things(IoT)モジュールなどの安価な端末(ユーザ装置)用のカテゴリ(UEカテゴリ)が規定されている。具体的には、カテゴリM1, M2(以下、Cat.M)が仕様化されている。当該カテゴリは、LTE-M或いはeMTC(enhanced Machine Type Communication)とも呼ばれている。
【0004】
Cat.Mとして動作するユーザ装置は、通常カテゴリ(Cat. 4~6など)として動作するユーザ装置(スマートフォンなど)と比較して能力(通信速度など)が限定されているため、料金面などにおいて差別化したい要求がある。しかしながら、従来のLTEのRelease(Release-14)の仕様では、コアネットワークは、ユーザ装置がCat.M(制限カテゴリ)として動作しているかを判定することができない。
【0005】
そこで、コアネットワークへのアタッチ時にユーザ装置が在圏していたセル種別に基づいて、無線基地局(eNB)が、当該ユーザ装置のカテゴリを判定することが提案されている(非特許文献1参照)。eNBは、当該ユーザ装置がCat.Mとして動作していることをコアネットワーク(具体的には、MME(Mobility Management Entity)に通知する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“Identification of LTE-M (eMTC) traffic”, S2-182412, 3GPP TSG-SA2 Meeting #126, 3GPP, 2018年2月
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、上述したeNBによるコアネットワークへのカテゴリ(Cat.M)の通知方法には、次のような問題がある。具体的には、ユーザ装置が、Cat.M及び通常カテゴリの両方の能力を有している場合、ユーザ装置は、コアネットワークにアタッチした後にカテゴリを切り替えることができる。
【0008】
このため、このようなカテゴリの切り替えが発生した場合、上述した通知方法では、対応できない問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、Cat.Mを含む複数のUEカテゴリの能力を有している場合でも、動作中のUEカテゴリをコアネットワークなどに確実に通知し得るユーザ装置、ネットワーク装置及び無線通信方法の提供を目的とする。
【0010】
本発明の一態様は、能力に応じた複数のカテゴリのうち、何れかのカテゴリとして動作するユーザ装置(UE200)であって、コアネットワークへのアタッチを実行するアタッチ処理部(アタッチ処理部220)と、通常カテゴリよりも能力が制限された制限カテゴリ(Cat.M, LTE-M, eMTC)として前記ユーザ装置を動作させる動作制御部(動作制御部230)と、前記アタッチ時または前記アタッチ後において、前記ユーザ装置が動作しているカテゴリを前記コアネットワークに通知するカテゴリ通知部(カテゴリ通知部240)とを備える。
【0011】
本発明の一態様は、コアネットワークを構成するネットワーク装置(例えば、MME300)であって、能力に応じた複数のカテゴリのうち、何れかのカテゴリとして動作するユーザ装置(UE200)から、前記ユーザ装置が動作しているカテゴリを受信するカテゴリ受信部(カテゴリ受信部301)と、前記カテゴリ受信部が受信した前記カテゴリを他のネットワーク装置(S-GW310)、または課金システムに転送するカテゴリ転送部(カテゴリ転送部305)とを備える。
【0012】
本発明の一態様は、能力に応じた複数のカテゴリのうち、何れかのカテゴリとして動作するユーザ装置による無線通信方法であって、通常カテゴリよりも能力が制限された制限カテゴリとして前記ユーザ装置を動作させるステップと、コアネットワークへのアタッチ時または前記アタッチ後において、前記ユーザ装置が、前記ユーザ装置が動作しているカテゴリを前記コアネットワークに通知するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、無線通信システム10の全体概略構成図である。
【
図2】
図2は、UE200の機能ブロック構成図である。
【
図3】
図3は、MME300及びS-GW310の機能ブロック構成図である。
【
図4】
図4は、P-GW320の機能ブロック構成図である。
【
図5】
図5は、UE200が動作しているカテゴリのコアネットワークへの通知シーケンスを示す図である。
【
図6】
図6は、UE200がコアネットワークに向けて送信するNASメッセージの模式的な構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、P-GW320がOCS/OFCS400に向けて送信するメッセージの模式的な構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、UE200、MME300、S-GW310及びP-GW320のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0015】
(1)無線通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システム10の全体概略構成図である。無線通信システム10は、Long Term Evolution(LTE)に従った無線通信システムであり、無線アクセスネットワーク20及びユーザ装置200(以下、UE200)を含む。
【0016】
無線アクセスネットワーク20は、3GPPにおいて規定されるEvolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN)であり、無線基地局100(以下、eNB100)を含む。
なお、無線通信システム10は、必ずしもLTE(E-UTRAN)に限定されない。例えば、無線アクセスネットワーク20は、5Gとして規定されるUE200(ユーザ装置)と無線通信を実行する無線基地局を含む無線アクセスネットワークであってもよい。
【0017】
eNB100及びUE200は、LTEの仕様に従った無線通信を実行する。特に、本実施形態では、UE200は、Internet of Things(IoT)モジュールなどの安価な端末(ユーザ装置)用のカテゴリ(UEカテゴリ)として動作する。
【0018】
具体的には、UE200は、カテゴリM1, M2(以下、Cat.M)として動作できる。なお、Cat.Mは、LTE-M或いはeMTCとも呼ばれる(以下、適宜LTE-M或いはeMTCも表現も用いる)。
【0019】
また、本実施形態では、UE200は、通常のUEカテゴリ(通常カテゴリ)、具体的には、Cat. 4~6などとしても動作できる。すなわち、UE200は、無線能力(通信速度など)を含むユーザ装置の能力に応じた複数のカテゴリのうち、何れかのカテゴリとして動作することができる。
【0020】
eNB100は、UEカテゴリに応じた複数のセルを形成することができる。本実施形態では、eNB100は、通常カテゴリ(Cat. 4~6など)用のセルC1、Cat.M1用のセルC2を形成する。
【0021】
無線アクセスネットワーク20には、Mobility Management Entity 300(以下、MME300)が接続される。MME300は、eNB100を収容し、UE200のモビリティ制御などを提供する。
【0022】
MME300には、Serving Gateway 310(以下、S-GW310)が接続される。また、S-GW310には、Packet Data Network Gateway 320(以下、P-GW320)が接続される。MME300、S-GW310及びP-GW320は、コアネットワークを構成する。
【0023】
S-GW310は、UE200向けユーザデータパケットなどの転送を実行する。P-GW320は、外部ネットワークであるPacket Data Network(PDN)との接続点に設けられ、UE200用のIPアドレスの割り当て、及びS-GW310へのパケットの転送などを実行する。
【0024】
Online Charging System/Offline Charging System 400(以下、OCS/OFCS400)は、UE200に対する通信サービスの提供に伴う課金処理を実行する。OCS/OFCS400は、UE200の通信状況を取得し、サービス内容に応じた課金処理を実行する。本実施形態において、OCS/OFCS400は、課金システムを構成する。
【0025】
(2)無線通信システムの機能ブロック構成
次に、無線通信システム10の機能ブロック構成について説明する。具体的には、UE200、MME300、S-GW310及びP-GW320の機能ブロック構成について説明する。なお、以下、本実施形態における特徴に関連する部分についてのみ説明する。従って、当該装置は、本実施形態における特徴に直接関係しない他の機能ブロックを備えることは勿論である。
【0026】
(2.1)UE200
図2は、UE200の機能ブロック構成図である。
図2に示すように、UE200は、無線通信部210、アタッチ処理部220、動作制御部230及びカテゴリ通知部240を備える。
【0027】
無線通信部210は、LTE方式に従った無線通信を実行する。具体的には、無線通信部210は、eNB100とLTE方式に従った無線信号を送受信する。
【0028】
アタッチ処理部220は、コアネットワークへのアタッチを実行する。具体的には、アタッチ処理部220は、Attach requestをMME300に送信することによって、コアネットワークへのアタッチ処理を実行する。また、アタッチ処理部220は、Attach requestを受け付けたことを示すAttach acceptをコアネットワーク側から受信する。
【0029】
Attach request及びAttach acceptは、非アクセス層(Non-Access Stratum(NAS))メッセージの一種であり、3GPP TS24.301において規定されている。
【0030】
動作制御部230は、UE200の動作を制御する。特に、本実施形態では、動作制御部230は、UE200が何れのUEカテゴリとして動作するかを制御する。
【0031】
具体的には、動作制御部230は、通常カテゴリ(Cat. 4~6など)よりも能力が制限されたCat.M1(制限カテゴリ)としてUE200を動作させることができる。勿論、動作制御部230は、Cat. 4~6の何れかのUEカテゴリでUE200を動作させることもできる。
【0032】
動作制御部230は、UE200のカテゴリを、通常カテゴリと制限カテゴリとの間において切り替えることができる。但し、UE200は、通常カテゴリに対応せずに、Cat.M専用のユーザ装置であっても構わない。
【0033】
カテゴリ通知部240は、UE200のカテゴリをコアネットワークに通知する。具体的には、カテゴリ通知部240は、UE200が動作しているカテゴリをコアネットワークに通知する。
【0034】
上述したように、UE200は、複数のカテゴリ(通常カテゴリまたは制限カテゴリ)の何れかとして動作できる。カテゴリ通知部240は、動作制御部230による制御結果に基づいて、UE200が現在動作しているUEカテゴリをコアネットワークに通知する。
【0035】
カテゴリ通知部240は、アタッチ処理部220によるコアネットワークへのアタッチ時において、UE200が動作しているカテゴリをコアネットワークに通知することができる。また、カテゴリ通知部240は、当該アタッチ後において、UE200が当該時点において動作しているカテゴリをコアネットワークに通知することもできる。
【0036】
具体的には、カテゴリ通知部240は、動作制御部230によってUE200のカテゴリが切り替えられた場合、UE200が動作しているカテゴリをコアネットワークに通知することができる。
【0037】
或いは、カテゴリ通知部240は、Cat.M1用のセル(セルC2)にUE200が在圏した場合、UE200が動作しているカテゴリ、つまりCat.M1をコアネットワークに通知してもよい。
【0038】
カテゴリ通知部240は、NASメッセージを用いて、UE200が動作しているUEカテゴリをMME300に通知する。コアネットワークへのアタッチ時であれば、Attach requestを用いることができる。アタッチ後であれば、動作制御部230によるUE200のカテゴリ切り替えタイミングに応じて、Service request(TS24.301 8.2.25章参照)、Tracking area update complete(同8.2.27章参照)などを用いることができる。或いは、UE200が動作しているUEカテゴリを通知する新規のNASメッセージが用いられてもよい。
【0039】
図6は、UE200がコアネットワークに向けて送信するNASメッセージの模式的な構成例を示す。
【0040】
図6に示すように、NASメッセージであるメッセージM1は、UE200を一意に識別可能なUE識別子(例えば、EPS mobile identity)、及びUE200が動作しているカテゴリの情報(Cat.M1)を含む。勿論、実際には、メッセージM1には、さらに多くの要素が含まれる(例えば、Attach requestであれば、3GPP TS24.301 8.2.4章を参照)。
【0041】
(2.2)MME300及びS-GW310
図3は、MME300及びS-GW310の機能ブロック構成図である。つまり、MME300とS-GW310とは、本実施形態における特徴部分に関して、同様の機能ブロック構成を有する。以下、MME300を例として説明する。
【0042】
図3に示すように、MME300は、カテゴリ受信部301、セッション通信部303、カテゴリ転送部305及び優先処理部307を備える。
【0043】
カテゴリ受信部301は、UE200から、UE200が動作しているカテゴリを受信する。具体的には、カテゴリ受信部301は、UE200から送信されたNASメッセージに含まれるカテゴリ情報(
図6参照)を取得する。
【0044】
セッション通信部303は、UE200との通信に必要となる非アクセス層(NAS)のセッションを確立し、当該セッションを介した通信を実行する。また、セッション通信部303は、S-GW310との通信に必要となるGTP(GPRS Tunneling Protocol)のセッションを確立し、当該セッションを介した通信を実行する。
【0045】
カテゴリ転送部305は、カテゴリ受信部301が受信したUE200のカテゴリをS-GW310(他のネットワーク装置)に転送する。具体的には、カテゴリ転送部305は、セッション通信部303によって確立されたGTPセッションを介して、UE200のカテゴリをS-GW310に転送する。
カテゴリ転送部305によってS-GW310に転送されるメッセージの構成は、
図6に示したNASメッセージ(メッセージM1)と概ね同様である。
【0046】
優先処理部307は、UE200に対する優先処理を実行する。例えば、優先処理部307は、UE200が動作しているカテゴリがCat.M1である場合、通常カテゴリのユーザ装置よりも優先度を高くして、UE200向けのパケット転送を実行することができる。
【0047】
或いは、優先処理部307は、UE200が動作しているカテゴリがCat.M1である場合、通常カテゴリのユーザ装置よりも優先度を低くして、UE200向けのパケット転送を実行することができる。
【0048】
なお、S-GW310の場合、セッション通信部303は、MME300及びP-GW320とのGTPセッションを確立し、カテゴリ転送部305は、UE200のカテゴリをP-GW320に転送する。
【0049】
(2.3)P-GW320
図4は、P-GW320の機能ブロック構成図である。
図4に示すように、P-GW320は、カテゴリ受信部321、セッション通信部323、優先処理部325及び明細情報送信部327を備える。
【0050】
カテゴリ受信部321は、S-GW310から、UE200が動作しているカテゴリを受信する。具体的には、カテゴリ受信部321は、S-GW310から送信されたGTPセッションを介したメッセージに含まれるカテゴリ情報を取得する。
【0051】
セッション通信部323は、S-GW310とのGTPセッションを確立する。また、セッション通信部323は、OCS/OFCS400との通信に必要となるGTPセッションを確立する。なお、セッション通信部323は、File Transfer Protocol(FTP)のセッションをOCS/OFCS400と確立してもよい。
【0052】
優先処理部325は、UE200に対する優先処理を実行する。優先処理部325は、MME300(S-GW310)の優先処理部307と同様の機能を提供する。
【0053】
明細情報送信部327は、OCS/OFCS400に対して明細情報を送信する。明細情報は、UE200による通信サービスの利用明細(通信サービス種別(Cat.Mまたは通常カテゴリの種別を含む)、通信時間、パケット量など)を示す。
【0054】
図7は、P-GW320がOCS/OFCS400に向けて送信するメッセージの模式的な構成例を示す。
【0055】
図7に示すように、GTPセッション(またはFTPセッション)を介して送信されるメッセージM2は、UE200を一意に識別可能なUE識別子(例えば、EPS mobile identity)、明細情報、及びUE200が動作しているカテゴリの情報(Cat.M1)を含む。
【0056】
メッセージM2を受信したOCS/OFCS400は、当該カテゴリの情報を用いて、UE200による通信サービスの利用状況に応じた課金処理を実行する。
【0057】
(3)無線通信システムの動作
次に、無線通信システム10の動作について説明する。具体的には、UE200が動作しているカテゴリのコアネットワークへの通知動作について説明する。
【0058】
図5は、UE200が動作しているカテゴリのコアネットワークへの通知シーケンスを示す。
図5に示すように、eNB100及びUE200は、UE200が在圏しているセルの無線情報を交換する(S10)。
【0059】
ここでは、UE200は、Cat.M1のセル(セルC2)に在圏したものとする。eNB100及びUE200は、Cat.M1に応じた無線リソースを確保し、eNB100とUE200との間における無線ベアラの確立などを実行する。これにより、eNB100とUE200との間における無線通信が可能となる。
【0060】
UE200は、Cat.M1のセル(セルC2)に在圏したことに伴って、UE200のカテゴリ(UEカテゴリ)をCat.M1に設定する(S20)。なお、
図5では、Cat.M1以外の制限カテゴリ(Cat.M2など)も含み得る趣旨から、「LTE-M」と表記する。
【0061】
UE200は、NASメッセージ(
図6参照)をMME300に送信する(S30)。上述したように、コアネットワークへのアタッチ時であれば、UE200は、Attach requestをMME300に送信する。Attach requestには、UE200が動作しているカテゴリの情報(LTE-M)が含まれる。
【0062】
また、UE200は、コアネットワークへのアタッチ後にNASメッセージをMME300に送信してもよい。このようなNASメッセージとしては、上述したように、UE200のカテゴリ切り替えタイミングに応じて、Service request及びTracking area update completeなどが挙げられる。
【0063】
MME300は、UE200から受信したNASメッセージに含まれる当該カテゴリ(LTE-M)をS-GW310に転送する(S40)。具体的には、MME300は、GTPセッションを介して、当該カテゴリを含むメッセージをS-GW310に転送する。
【0064】
また、MME300は、受信した当該カテゴリに基づいて、UE200に対する優先処理を実行してもよい。優先処理としては、上述したように、UE200向けのパケット転送の優先度を上げる、或いは下げることが挙げられる。
【0065】
同様に、S-GW310は、MME300から受信したメッセージに含まれる当該カテゴリ(LTE-M)をP-GW320に転送する(S50)。具体的には、S-GW310は、GTPセッションを介して、当該カテゴリを含むメッセージをP-GW320に転送する。また、S-GW310も、受信した当該カテゴリに基づいて、UE200に対する優先処理を実行してもよい。
【0066】
P-GW320は、OCS/OFCS400に対してUE200の明細情報を送信する(S60)。具体的には、P-GW320は、S-GW310から転送されたメッセージに含まれる当該カテゴリ(LTE-M)を明細情報に付加する。
【0067】
P-GW320は、当該カテゴリ及び明細情報を含むメッセージ(
図7参照)をOCS/OFCS400に送信する。また、P-GW320も、受信した当該カテゴリに基づいて、UE200に対する優先処理を実行してもよい。
【0068】
OCS/OFCS400は、当該カテゴリの情報を用いて、UE200による通信サービスの利用状況に応じた課金処理を実行する。つまり、OCS/OFCS400は、UE200が何れのカテゴリとして動作しているかを、ほぼリアルタイムで認識することができるため、当該カテゴリ(LTE-M)向けの特定の課金プランなどを適用できる。
【0069】
(4)作用・効果
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、UE200は、UE200が動作しているカテゴリ(LTE-M)をコアネットワークに通知する。特に、UE200は、コアネットワークへのアタッチ時だけでなく、アタッチ後においても、UE200が当該時点において動作しているカテゴリをコアネットワークに通知することができる。
【0070】
このため、コアネットワークへのアタッチ後にUE200のカテゴリが切り替えられた場合でも、当該切り替え後においてUE200が動作しているカテゴリをコアネットワークに確実に通知できる。
【0071】
このような事象は、UE200が複数のカテゴリの何れかで動作可能である場合に発生し得るが、UE200は、このような場合でも、動作しているカテゴリをコアネットワークに確実に通知できる。
【0072】
また、コアネットワークを構成するMME300、S-GW310及びP-GW320は、当該カテゴリを示す情報を順次転送し、OCS/OFCS400に当該カテゴリを通知できる。
【0073】
すなわち、無線通信システム10によれば、UE200が、Cat.M(LTE-M, eMTC)を含む複数のUEカテゴリの能力を有している場合でも、UE200は、動作中のUEカテゴリをコアネットワークに確実に通知し得る。また、コアネットワークは、当該UEカテゴリをOCS/OFCS400に確実に通知し得る。
【0074】
さらに、OCS/OFCS400は、当該カテゴリの情報に基づいて、カテゴリに応じた課金ポリシーなどを適用できる。これにより、通常カテゴリとして動作するユーザ装置と、Cat.M(LTE-M, eMTC)として動作するユーザ装置とに対する課金ポリシーの差別化などを図り得る。
【0075】
本実施形態では、UE200は、UE200のカテゴリが切り替えられた場合、UE200が動作しているカテゴリをコアネットワークに通知することができる。このため、コアネットワーク及びOCS/OFCS400に対して、UE200が何れのカテゴリとして動作しているかを、ほぼリアルタイムで認識させることができる。これにより、UE200が現在動作しているカテゴリに即したきめ細かいサービス及び課金ポリシーの差別化を図り得る。
【0076】
本実施形態では、Cat.M1用のセル(セルC2)にUE200が在圏した場合、前UE200が動作しているカテゴリ(Cat.M1)をコアネットワークに通知できる。このため、UE200がコアネットワークにアタッチする際、或いはアタッチ後にカテゴリが切り替えられた場合でも、UE200が動作しているカテゴリを共通のスキームによって検出し得る。これにより、UE200の実装を簡素化し得る。
【0077】
本実施形態では、UE200は、NASメッセージを用いて、UE200が動作しているUEカテゴリをコアネットワークに通知する。このため、既存のNASメッセージを利用しつつ、UE200が動作しているカテゴリをコアネットワークに通知できる。これにより、UE200の実装を簡素化し得る。
【0078】
(5)その他の実施形態
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0079】
上述した実施形態では、UE200は、UE200が動作しているカテゴリを含むNASメッセージをMME300に送信し、MME300、S-GW310及びP-GW320が当該カテゴリを順次転送していた。しかしながら、UE200は、メッセージの種類によっては、MME300ではなく、S-GW310またはP-GW320に対して当該カテゴリを含むメッセージを直接送信してもよい。
【0080】
上述した実施形態では、P-GW320は、OCS/OFCS400とGTPまたはFTPのセッションを確立していたが、P-GW320とOCS/OFCS400との間に確立されるセッションは、GTPまたFTPに限られない。つまり、UE識別子、明細情報及びカテゴリの情報を含むメッセージM2(
図7参照)を送信可能であれば、GTPまたはFTP以外のセッションでも構わない。
【0081】
上述した実施形態では、Cat.M(LTE-M, eMTC)を例として説明したが、通常カテゴリ(Cat. 4~6など)と異なるIoT向けのカテゴリであれば、これらのカテゴリに限定されない。例えば、NB(Narrow Band)-IoT向けのカテゴリであってもよい。
【0082】
さらに、上述した実施形態の説明に用いたブロック構成図(
図2~4)は、機能ブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/またはソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/または論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/または間接的に(例えば、有線及び/または無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0083】
さらに、上述したUE200、MME300、S-GW310及びP-GW320(当該装置)は、本発明の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図8は、当該装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8に示すように、当該装置は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0084】
当該装置の各機能ブロック(
図2~4参照)は、当該コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、または当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
【0085】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)で構成されてもよい。
【0086】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only
Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、上述した実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0087】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及び/またはストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0088】
通信装置1004は、有線及び/または無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0089】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0090】
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0091】
また、情報の通知は、上述した実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block))、その他の信号またはこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC Connection Setupメッセージ、RRC Connection Reconfigurationメッセージなどであってもよい。
【0092】
さらに、入出力された情報は、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報は削除されてもよい。入力された情報は他の装置へ送信されてもよい。
【0093】
上述した実施形態におけるシーケンス及びフローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態において、MME300、S-GW310及びP-GW320によって行われるとした特定動作は、他のネットワークノード(装置)によって行われることもある。また、複数の他のネットワークノードの組み合わせによってMME300、S-GW310またはP-GW320の機能が提供されても構わない。
【0095】
なお、本明細書で説明した用語及び/または本明細書の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、該当する記載がある場合、チャネル及び/またはシンボルは信号(シグナル)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用されてもよい。
【0096】
さらに、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
【0097】
eNB100(基地局)は、1つまたは複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。
【0098】
「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び/または基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部または全体を指す。
さらに、「基地局」「eNB」、「セル」、及び「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、gNodeB(gNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0099】
UE200は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0100】
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0101】
また、「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形の用語は、「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書或いは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0102】
本明細書で使用した「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0103】
本明細書の全体において、例えば、英語でのa, an, 及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0104】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0105】
10 無線通信システム
20 無線アクセスネットワーク
100 eNB
200 UE
210 無線通信部
220 アタッチ処理部
230 動作制御部
240 カテゴリ通知部
300 MME
301 カテゴリ受信部
303 セッション通信部
305 カテゴリ転送部
307 優先処理部
310 S-GW
320 P-GW
321 カテゴリ受信部
323 セッション通信部
325 優先処理部
327 明細情報送信部
400 OCS/OFCS
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ストレージ
1004 通信装置
1005 入力装置
1006 出力装置
1007 バス