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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164966
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ネットワーク装置及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/18 20180101AFI20231107BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20231107BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20231107BHJP
【FI】
H04W76/18
H04W16/28
H04W24/10
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144652
(22)【出願日】2023-09-06
(62)【分割の表示】P 2021537347の分割
【原出願日】2020-08-05
(31)【優先権主張番号】62/884,275
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヘンリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カバレッジ拡張機能が適用されるユーザ装置に対してMDT(Minimization of Drive Tests)機能を適用するネットワーク装置及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】移動通信システムで用いられ、ユーザ装置により実行される通信制御方法であって、サービングセルの拡張カバレッジに居るときにユーザ装置により実行されたRRC接続に関する手順の失敗に関する失敗報告をネットワークに送信することを含む。失敗報告は、拡張カバレッジにおけるユーザ装置のカバレッジ拡張状態を示す拡張状態情報と、拡張状態情報と対応付けられた失敗回数情報とを含む。失敗回数情報は、カバレッジ拡張状態においてユーザ装置が手順に失敗した回数を示す。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク装置であって、
ユーザ装置により実行されるRRC接続に関する手順の開始に応じて起動したタイマが満了したときに保存された前記ユーザ装置の無線環境の測定値を含む失敗報告を、前記ユーザ装置から受信する受信部を備え、
前記失敗報告は、前記手順に失敗したセルに属する複数のビームのそれぞれのビーム識別子と、前記ビーム識別子によって識別されるビームに対応付けられた前記測定値とを含む
ネットワーク装置。
【請求項2】
ネットワーク装置により実行される通信制御方法であって、
ユーザ装置により実行されるRRC接続に関する手順の開始に応じて起動したタイマが満了したときに保存された前記ユーザ装置の無線環境の測定値を含む失敗報告を、前記ユーザ装置から受信することを含み、
前記失敗報告は、前記手順に失敗したセルに属する複数のビームのそれぞれのビーム識別子と、前記ビーム識別子によって識別されるビームに対応付けられた前記測定値とを含む
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動通信システムで用いるネットワーク装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(Third Generation Partnership Project)(登録商標。以下同じ)において、MDT(Minimization of Drive Tests)の機能が仕様化されている。MDT機能は、ユーザ装置が無線環境を測定し、無線環境の測定情報をユーザ装置の位置情報と共にネットワークに報告することにより、例えばカバレッジホール等を検出可能とし、ネットワークの最適化等を図る機能である。
【0003】
一方、MTC(Machine Type Communication)及びIoT(Internet of Things)サービスを対象としたユーザ装置が知られている。このようなユーザ装置は、低コスト化、カバレッジ拡張、及び低消費電力化を実現するために送受信帯域幅が制限される。また、このようなユーザ装置は、劣悪な無線環境下でも使用できるように、繰り返し送信(repetition)等を含むカバレッジ拡張機能が適用される。
【0004】
カバレッジ拡張機能が適用されるユーザ装置に対してMDT機能を適用する場合、従来のMDT機能には無い新たなメカニズムが必要になると考えられる。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態に係る通信制御方法は、ユーザ装置により実行される方法である。通信制御方法は、サービングセルの拡張カバレッジに居るときに前記ユーザ装置により実行されたRRC接続に関する手順の失敗に関する失敗報告をネットワークに送信することを含む。前記失敗報告は、前記拡張カバレッジにおける前記ユーザ装置のカバレッジ拡張状態を示す拡張状態情報と、前記拡張状態情報と対応付けられた失敗回数情報とを含む。前記失敗回数情報は、前記カバレッジ拡張状態において前記ユーザ装置が前記手順に失敗した回数を示す。
【0006】
一実施形態に係る通信制御方法は、ユーザ装置により実行される方法である。通信制御方法は、サービングセルに居るときに前記ユーザ装置により実行されたRRC接続に関する手順に失敗したときに、前記ユーザ装置の無線環境の測定値を保存することと、前記手順に複数回失敗した場合、前記保存ステップで保存した複数回分の測定値から1つの統計値を算出することと、前記算出された統計値を含む失敗報告をネットワークに送信することと、を含む。
【0007】
一実施形態に係る通信制御方法は、ユーザ装置により実行される方法である。通信制御方法は、MBMSサービスが提供されるSC-PTMの受信に失敗したときに、前記SC-PTMの受信に失敗したときの前記ユーザ装置の無線環境に関する無線環境情報を保存することと、前記保存された無線環境情報を含む失敗報告をネットワークに送信することと、を含む。前記失敗報告は、前記MBMSサービスを示すサービス識別子をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態に係るユーザ装置の構成を示す図である。
図3】一実施形態に係る基地局の構成を示す図である。
図4】一実施形態に係るユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図5】一実施形態に係る制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図6A】一実施形態に係る移動通信システムの下りリンクの論理チャネルとトランスポートチャネルとの間のマッピングを示す図である。
図6B】一実施形態に係る移動通信システムのトランスポートチャネルと物理チャネルとの間のマッピングを示す図である。
図7】eMTC UE及びNB-IoT UEが取り扱う周波数チャネルを示す図である。
図8】一実施形態に係る移動通信システムにおけるカバレッジ拡張状態の一例を示す図である。
図9】SC-PTMの受信の動作例を示す図である。
図10】第1実施形態に係る移動通信システムにおける動作フローを示す図である。
図11図10の動作フローの一部の詳細を示す図である。
図12】第2実施形態に係る移動通信システムにおける動作フローを示す図である。
図13図12の動作フローの一部の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0010】
(移動通信システム)
まず、一実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。一実施形態に係る移動通信システムは3GPPの5Gシステムであるが、移動通信システムには、LTEが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0011】
図1は、一実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、移動通信システムは、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。
【0013】
UE100は、移動可能な装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればよい。例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)、タブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、又は飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0014】
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、NG-RANノードと呼ばれることもある。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。
【0015】
なお、gNBがLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続されてもよいし、LTEの基地局が5GCに接続されてもよい。また、LTEの基地局とgNBとが基地局間インターフェイスを介して接続されてもよい。
【0016】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100が在圏するエリアの情報を管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPFは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。
【0017】
図2は、UE100(ユーザ装置)の構成を示す図である。
【0018】
図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
【0019】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0020】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0021】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0022】
なお、UE100は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機等の位置センサをさらに備えてもよい。
【0023】
図3は、gNB200(基地局)の構成を示す図である。
【0024】
図3に示すように、gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
【0025】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0026】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0027】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUと、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0028】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスを介してAMF/UPF300と接続される。なお、gNBは、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0029】
図4は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0030】
図4に示すように、ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0031】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0032】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0033】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0034】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0035】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0036】
図5は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0037】
図5に示すように、制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0038】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。また、RRC接続が中断(suspend)されている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0039】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF300のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0040】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0041】
図6A及び図6Bは、一実施形態に係る移動通信システムの下りリンクのチャネルの構成を示す図である。図6Aは、論理チャネル(Downlink Logical Channel)とトランスポートチャネル(Downlink Transport Channel)との間のマッピングを示す。
【0042】
図6Aに示すように、PCCH(Paging Control Channel)は、ページング情報、及びシステム情報変更を通知するための論理チャネルである。PCCHは、トランスポートチャネルであるPCH(Paging Channel)にマッピングされる。
【0043】
BCCH(Broadcast Control Channel)は、システム情報のための論理チャネルである。BCCHは、トランスポートチャネルであるBCH(Broadcast Channel)及びDL-SCH(Downlink Shared Channel)にマッピングされる。
【0044】
CCCH(Common Control Channel)は、UE100とgNB200との間の送信制御情報のための論理チャネルである。CCCHは、UE100がネットワークとの間でRRC接続を有していない場合に用いられる。CCCHは、DL-SCHにマッピングされる。
【0045】
DCCH(Dedicated Control Channel)は、UE100とネットワークとの間の個別制御情報を送信するための論理チャネルである。DCCHは、UE100がRRC接続を有する場合に用いられる。DCCHは、DL-SCHにマッピングされる。
【0046】
DTCH(Dedicated Traffic Channel)は、データ送信のための個別論理チャネルである。DTCHは、DL-SCHにマッピングされる。
【0047】
SC-MTCH(Single Cell Multicast Traffic Channel)は、SC-PTMのための論理チャネルである。SC-MTCHは、SC-PTMを用いてネットワークからUE100にデータ(MBMS)をマルチキャスト送信するための1対多チャネル(point-to-multipoint downlink channel)である。SC-PTMについての詳細は後述する。
【0048】
SC-MCCH(Single Cell Multicast Control Channel)は、SC-PTMのための論理チャネルである。SC-MCCHは、1又は複数のSC-MTCHのためのMBMS制御情報をネットワークからUE100にマルチキャスト送信するための1対多チャネル(point-to-multipoint downlink channel)である。SC-MCCHは、SC-PTMを用いてMBMSを受信する又は受信に興味を持つUE100に用いられる。また、SC-MCCHは、1つのセルに1つのみ存在する。
【0049】
MCCH(Multicast Control Channel)は、MBSFNのための論理チャネルである。MCCHは、ネットワークからUE100へのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるMCH(Multicast Channel)にマッピングされる。
【0050】
MTCH(Multicast Traffic Channel)は、MBSFNのための論理チャネルである。MTCHは、MCHにマッピングされる。
【0051】
図6Bは、トランスポートチャネル(Downlink Transport Channel)と物理チャネル(Downlink Physical Channel)との間のマッピングを示す。
【0052】
図6Bに示すように、BCHは、PBCH(Physical Broadcast Channel)にマッピングされる。
【0053】
MCHは、PMCH(Physical Multicast Channel)にマッピングされる。MCHは、複数のセルによるMBSFNをサポートする。
【0054】
PCH及びDL-SCHは、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)にマッピングされる。DL-SCHは、HARQ、リンクアダプテーション、及び動的リソース割当をサポートする。
【0055】
PDCCH(Physical Downlink Control Channel)は、PDSCH(DL-SCH、PCH)のリソース割り当て情報及びDL-SCHに関するHARQ情報等を運搬する。また、PDCCHは、上りリンクのスケジューリンググラントを運ぶ。
【0056】
(MDT機能)
次に、MDT機能の概要について説明する。一実施形態に係る移動通信システムは、MDTの機能をサポートする。
【0057】
MDTにおいて、gNB200は、MDT測定を設定する設定メッセージをUE100に送信する。そして、gNB200は、UE100からMDT測定情報を収集する。例えば、gNB200は、MDT用のサーバと直接的に又は間接的に接続される。MDT用のサーバは、gNB200からMDT測定情報を取得し、MDT測定情報に基づいて、カバレッジの最適化を含むネットワーク最適化を行う。
【0058】
MDTには、ログドMDT及びイミディエイトMDTの2種類がある。
【0059】
ログドMDTは、RRCアイドル状態、RRCインアクティブ状態、又はRRCコネクティッド状態のUE100が無線測定を行い、測定結果をUE位置情報及びタイムスタンプと共に記録し、記録した測定結果等を含む報告をネットワーク(gNB200)からの要求に応じて送信するものである。
【0060】
イミディエイトMDTは、RRCコネクティッド状態のUE100が無線測定及び他の項目の測定を行い、測定結果とUE位置情報とを含む報告をネットワーク(gNB200)に送信するものである。イミディエイトMDTを設定する設定メッセージは、UE位置情報を測定報告に含めることを要求する情報要素を含む測定設定メッセージであってもよい。
【0061】
MDTにおいて、UE100は、後述の各失敗情報を保存し、失敗情報を含む失敗報告を送信する。
【0062】
(カバレッジ拡張機能)
次に、カバレッジ拡張機能の概要について説明する。一実施形態に係る移動通信システムは、カバレッジ拡張機能をサポートする。
【0063】
MTC(Machine Type Communications)及びIoTサービスを対象としたUE100は、システム送受信帯域の一部のみに送受信帯域幅が制限される。例えばLTEにおいて、このようなUE100のカテゴリはカテゴリM1及びカテゴリNB(Narrow Band)-IoTと呼ばれる。カテゴリM1は、eMTC(enhanced MTC)UEが属するカテゴリである。カテゴリNB-IoT(カテゴリNB1)は、NB-IoT UEが属するカテゴリである。
【0064】
カテゴリM1は、UE100(eMTC UE)の送受信帯域幅を例えば1.08MHz(すなわち、6リソースブロックの帯域幅)に制限する。カテゴリNB-IoT(カテゴリNB1)は、UE100(NB-IoT UE)の送受信帯域幅を180kHz(すなわち、1リソースブロックの帯域幅)にさらに制限する。このような狭帯域化により、eMTC UE及びNB-IoT UEに要求される低コスト化及び低消費電力化が実現される。
【0065】
図7は、eMTC UE及びNB-IoT UEが取り扱う周波数チャネルを示す図である。
【0066】
図7に示すように、移動通信システムのシステム周波数帯域の周波数帯域幅は10MHzであり得る。システム送受信帯域の帯域幅は、例えば、50リソースブロック=9MHzである。eMTC UEが対応可能な周波数チャネルの帯域幅は、6リソースブロック=1.08MHz以内である。
【0067】
eMTC UEが対応可能な6リソースブロック以内の周波数チャネルは、「狭帯域(NB:Narrow Band)」と呼ばれる。NB-IoT UEが対応可能な周波数チャネルの帯域幅は、1リソースブロック=180kHzである。NB-IoT UEが対応可能な1リソースブロックの周波数チャネルは、「キャリア(carrier)」と呼ばれる。
【0068】
カテゴリM1のUE100は、6リソースブロックよりも広い帯域幅で送信される下りリンク無線信号を受信することができないため、通常のPDCCHを受信することができない。このため、MTC向けのPDCCHであるMPDCCH(MTC-PDCCH)が導入される。同様な理由で、NB-IoT向けのPDCCHであるNPDCCH(NB-PDCCH)が導入される。
【0069】
eMTC UEは、LTE送受信帯域幅内で運用される。NB-IoT UEは、LTE送受信帯域幅内で運用される形態、LTE送受信帯域幅外のガードバンドで運用される形態、及びNB-IoT専用の周波数帯域内で運用される形態をサポートする。
【0070】
eMTC UE及びNB-IoT UEは、カバレッジ拡張を実現するために、繰り返し送信等を用いた拡張カバレッジ(EC:Enhanced Coverage)機能をサポートする。なお、拡張カバレッジは、CE(Coverage Enhancement)と呼ばれることもある。
【0071】
カバレッジ拡張機能は、複数のサブフレームを用いて同一信号を繰り返し送信する繰り返し送信(repetition)を含んでもよい。繰り返し送信の回数が多いほど、カバレッジを拡張することができる。
【0072】
カバレッジ拡張機能は、送信信号の電力密度を上げる電力ブースト(power boosting)を含んでもよい。一例として、送信信号の周波数帯域幅を狭くする狭帯域送信により電力密度を上げる。送信信号の電力密度を上げるほど、カバレッジを拡張することができる。カバレッジ拡張機能は、送信信号に用いるMCSを下げる低MCS(lower MCS)送信を含んでもよい。データレートが低く、誤り耐性の高いMCSを用いて送信を行うことにより、カバレッジを拡張することができる。
【0073】
カバレッジ拡張機能は、カバレッジを拡張する度合いが異なる複数のカバレッジ拡張状態を有する。カバレッジ拡張状態の判定方法は後述する。
【0074】
なお、拡張カバレッジに居るUEは、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態において、受信電力(RSRP(Reference Signal Received Power))に基づくランキングによってセル再選択を行ってもよい。例えば、UEは、現在のサービングセルのランキングRs及び隣接セルのランキングRnを算出し、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってRsよりも高いランキングRnを有するセルを新たなサービングセルとして選択する。
【0075】
(カバレッジ拡張状態の判定方法)
図8は、一実施形態に係る移動通信システムにおけるカバレッジ拡張状態の一例を示す図である。
【0076】
カバレッジ拡張状態(以下、「CE状態」と呼ぶ)は、カバレッジ拡張レベル(以下、「CEレベル」と呼ぶ)及びカバレッジ拡張モード(以下、「CEモード」と呼ぶ)を含んでもよい。
【0077】
図8に示すように、CEモードは、少なくともCEモードA及びCEモードBを含む。CEモードBは、CEモードAよりもカバレッジがさらに拡張される状態である。CEモードBは、CEモードAよりも多くの繰り返し送信回数をサポートする。カバレッジ拡張機能をサポートするUE(例えば、eMTC UE)は、少なくともCEモードAをサポートする。
【0078】
CEレベルは、少なくともレベル0~レベル3という4つのレベルを含む。CEモードとCEレベルとが対応付けられてもよい。図8の例では、CEレベル0及び1がCEモードAに対応しており、CEレベル2及び3がCEモードBに対応している。CEモードとCEレベルとが対応付けらなくてもよい。
【0079】
RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるUE100は、通常カバレッジのための第1セル選択基準(第1のS-criteria)が満たされず、CEモードAのための第2セル選択基準(第2のS-criteria)が満たされた場合、自身が拡張カバレッジに居ると判定してもよい。UE100はCEモードBをサポートしており、かつ、第2のS-criteriaが満たされず、かつ、CEモードBのための第3セル選択基準(第3のS-criteria)が満たされた場合、自身が拡張カバレッジに居ると判定してもよい。「拡張カバレッジに居るUE」とは、セルにアクセスするためにカバレッジ拡張機能を用いることが必要とされるUEを意味してもよい。
【0080】
UE100は、自身が拡張カバレッジに居ると判定した後において、自身のCEレベルを判定する。
【0081】
UE100は、RSRP(Reference Signal Received Power)を測定し、測定したRSRPをCEレベルごとのRSRP閾値と比較することにより、自身のCEレベル(CEレベル0~3の1つ)を判定する。CEレベルごとのRSRP閾値は、UE100のサービングセルがブロードキャストするシステム情報によって設定されてもよい。
【0082】
UE100は、ランダムアクセス手順を行う際に自身のCEレベルを決定してもよい。UE100は、サービングセルに対してランダムアクセス手順を行う際に、自身のCEレベルに対応するPRACH(Physical Random Access Channel)リソース(周波数リソース、時間リソース、プリアンブル等)を使用してサービングセルに対してRAプリアンブル送信を行う。CEレベルとPRACHリソースとの対応関係はシステム情報によって設定されてもよい。UE100は、所定時間内においてサービングセルからRA(Random Access)応答を受信できない場合、RAプリアンブルを再度送信してもよい。RAプリアンブルの送信回数が所定数に到達してもRA応答を受信できない場合、UE100は、自身のCEレベルを次のレベルとして判定してもよい。例えば、UE100は、CEレベル0に対応するPRACHリソースを使用して送信するRAプリアンブルの送信回数が所定数に到達してもRA応答を受信できない場合、自身のCEレベルをCEレベル1と判定する。このような所定数は、システム情報によって設定されてもよい。その後、UE100は、CEレベル1に対応するPRACHリソースを使用してRAプリアンブルをサービングセルに送信してもよい。
【0083】
UE100は、受信に成功したRA応答に対応するRAプリアンブルを送信した際に使用したPRACHリソースに対応するCEレベルを、自身のCEレベルとして判定してもよい。
【0084】
UE100は、CEモードとCEレベルとの対応関係に基づいて自身のCEモードを判定してもよい。図8の例では、UE100は、自身のCEレベルがレベル0又は1である場合に、自身のCEモードをCEモードAと判定し、自身のCEレベルがレベル2又は3である場合に、自身のCEモードをCEモードBと判定する。UE100は他の基準で自身のCEモードを決定してもよい。例えば、UE100は、CEモードAのための第2セル選択基準が満たされたことに応じて自身が拡張カバレッジに居ると判定した場合、自身のCEモードをCEモードAと判定してもよい。
【0085】
UE100は、RRCコネクティッド状態である場合に、CEモードをサービングセルから設定してもよい。サービングセルから専用(dedicated)RRCシグナリングによってCEモードを設定されてもよい。
【0086】
UE100は、CEモードAを示すRRCシグナリングを受信する場合、自身のCEモードをCEモードAと判定する。UE100は、CEモードBを示すRRCシグナリングを受信する場合、自身のCEモードをCEモードBと判定する。
【0087】
CE状態は、複数の受信電力範囲(RSRP範囲)のうちの1つによって示されてもよい。複数のRSRP範囲は、UE100のサービングセルがブロードキャストするシステム情報によって設定されてもよい。UE100は、RSRPを測定し、測定したRSRPが属するRSRP範囲を判定する。例えば、RSRP範囲#1~#3が設定され、測定したRSRPがRSRP範囲#1に属する場合、UE100は、自身のCE状態をRSRP範囲#1と判定する。
【0088】
UE100は、上りリンク(UL)通信を行う際に、自身のCE状態に応じたULパラメータを適用する。ULパラメータは、RRCシグナリングによってUE100に設定されてもよい。ULパラメータは、システム情報によってUE100に設定されてもよい。ULパラメータは、UL繰り返し回数、送信電力等を含む。UL繰り返し回数は、UL送信に適用すべき繰り返しの回数を含んでもよい。UL繰り返し回数は、UL送信に適用すべき最大繰り返し回数を含んでもよい。UL繰り返し回数は、ULチャネル毎に設定されてもよい。例えば、UL繰り返し回数は、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)の繰り返し回数、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の繰り返し回数、及びPRACHの繰り返し回数等を含んでもよい。上述のRAプリアンブルの送信回数についての所定数は、PRACHの最大繰り返し回数であってもよい。
【0089】
UE100は、下りリンク(DL)通信を行う際に、自身のCE状態に応じたDLパラメータを適用する。DLパラメータは、RRCシグナリングによってUE100に設定されてもよい。DLパラメータは、システム情報によってUE100に設定されてもよい。DLパラメータは、DL繰り返し回数等を含む。DL繰り返し回数は、DL送信に適用すべき繰り返しの回数を含んでもよい。DL繰り返し回数は、DL送信に適用すべき最大繰り返し回数を含んでもよい。DL繰り返し回数は、DLチャネル毎に設定されてもよい。例えば、DL繰り返し回数は、PDCCHの繰り返し回数、PDSCHの繰り返し回数等を含んでもよい。
【0090】
(SC-PTMの概要)
次に、SC-PTMの概要について説明する。3GPPにおいて、ユーザ装置にマルチキャスト/ブロードキャストサービスを提供するMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)伝送が仕様化されている。MBMSの方式としては、MBSFN(Multicast Broadcast Single Frequency Network)及びSC-PTM(Single Cell Point-To-Multipoint)の2つの方式がある。MBSFNにおいては、複数のセルからなるMBSFNエリア単位で、PMCH(Physical Multicast Channel)を介してデータが送信される。これに対し、SC-PTMにおいては、セル単位で、PDSCHを介してデータが送信される。
【0091】
UE100は、RRCコネクティッド状態でMBMSサービスを受信してもよいし、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態でMBMSサービスを受信してもよい。
【0092】
図9は、SC-PTMの受信の動作例を示す図である。図9に示すように、ステップS1において、UE100は、gNB200を介して5GC20からUSD(User Service Description)を取得する。USDは、各MBMSサービスの基本的な情報を提供する。USDは、MBMSサービスごとに、当該MBMSサービスを識別するTMGIと、当該MBMSサービスが提供される周波数と、当該MBMSサービスの提供開始・終了時間と、を含む。
【0093】
ステップS2において、UE100は、BCCH(Broadcast Control Channel)を介してgNB200からSIB20を受信する。SIB20は、SC-MCCHの取得に必要な情報(スケジューリング情報)を含む。SIB20は、SC-MCCHの内容が変更され得る周期を示すsc-mcch-ModificationPeriod、SC-MCCHの送信(再送)周期を無線フレーム数で示すsc-mcch-RepetitionPeriod、SC-MCCHがスケジュールされる無線フレームのオフセットを示すsc-mcch-Offset、及びSC-MCCHがスケジュールされるサブフレームを示すsc-mcch-Subframe等を含む。
【0094】
ステップS3において、UE100は、SIB20に基づいて、SC-MCCHを介してgNB200からMBMS制御情報を受信する。MBMS制御情報は、SC-PTM設定情報(SCPTM Configuration)と称されてもよい。物理レイヤにおいてSC-MCCHの送信にはSC-RNTI(Single Cell RNTI)が用いられる。SC-PTM設定情報は、SC-MRB(Single Cell MBMS Point to Multipoint Radio Bearer)を介して送信されるMBMSサービスに適用可能な制御情報を含む。SC-PTM設定情報は、当該情報を送信するセルにおける各SC-MTCHの設定を含むsc-mtch-InfoList、及びSC-MRBを介してMBMSサービスを提供する隣接セルのリストであるscptmNeighbourCellListを含む。sc-mtch-InfoListは、1又は複数のSC-MTCH-Infoを含む。各SC-MTCH-Infoは、SC-MRBを介して送信される進行中のMBMSセッションの情報(mbmsSessionInfo)、当該MBMSセッションに対応するG-RNTI(Group RNTI)、及びSC-MTCHのためのDRX情報であるsc-mtch-schedulingInfoを含む。mbmsSessionInfoは、MBMSサービスを識別するTMGI及びセッションID(sessionId)を含む。G-RNTIは、マルチキャストグループ(具体的には、特定グループ宛てのSC-MTCH)を識別するRNTIである。G-RNTIは、TMGIと1対1でマッピングされる。sc-mtch-schedulingInfoは、onDurationTimerSCPTM、drx-InactivityTimerSCPTM、schedulingPeriodStartOffsetSCPTMを含む。schedulingPeriodStartOffsetSCPTMは、SC-MTCH-SchedulingCycle及びSC-MTCH-SchedulingOffsetを含む。
【0095】
ステップS4において、UE100は、SC-PTM設定情報中のSC-MTCH-SchedulingInfoに基づいて、SC-MTCHを介して、自身が興味のあるTMGIに対応するMBMSサービス(MBMSデータ)を受信する。物理レイヤにおいて、gNB200は、G-RNTIを用いてPDCCHを送信した後、PDSCHを介してMBMSデータを送信する。
【0096】
UE100は、SC-PTM受信を行う際に、上述の各チャネル(SIB20を搬送するBCCH、SC-MCCH、SC-MTCH等)に対応する繰り返し回数(例えば、BCCH繰り返し回数、SC-MCCH繰り返し回数、SC-MTCH繰り返し回数等)を適用して受信を試行してもよい。BCCH繰り返し回数、SC-MCCH繰り返し回数、及びSC-MTCH繰り返し回数は、CE状態毎に設定されてもよい。
【0097】
(第1実施形態)
次に、第1実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。図10は、第1実施形態に係る移動通信システムにおける動作フローを示す図である。この動作フローにおいて、例えばeMTC UE又はNB-IoT UEであるUE100により実行される。
【0098】
ステップS11において、gNB200は、MDT測定設定をUE100に送信する。この時点では、UE100は、RRCコネクティッド状態にある。ステップS12において、UE100は、RRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態に遷移する。
【0099】
ステップS11~S12の動作は省略されてもよい。以下において、UE100がRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態に遷移した後において自身が拡張カバレッジに居ると仮定して、ステップS13からの動作を説明する。
【0100】
ステップS13において、UE100は、RRC接続に関する手順を実行する。当該手順に失敗した場合に、ステップS14において、UE100は、当該手順の失敗に関する接続失敗情報を保存する。ここで、「RRC接続に関する手順」は、新しいRRC接続を確立するためのRRC接続確立(RRC connection establishment)手順であってもよいし、中断(suspend)されるRRC接続を回復(resume)するためのRRC接続回復(RRC connection resume)手順であってもよい。RRC connection establishment手順及びRRC connection resume手順の成功に応じてUE100はRRCコネクティッド状態に遷移する。RRC connection establishment手順及びRRC connection resume手順は、RRCコネクティッド状態に遷移するための手順と称してもよい。
【0101】
なお、UE100は、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態において、RRC接続に関する手順に複数回失敗する場合がある。この場合、UE100は、ステップS13及びS14の処理を複数回実行し、複数回分の失敗に関する接続失敗情報を保存する(ステップS14)。
【0102】
ステップS13~ステップS14の詳細について、図11を用いて説明する。図11は、ステップS13~ステップS14の詳細を示す図である。
【0103】
ステップS1301において、UE100は、前述のカバレッジ拡張状態の判定方法を用いて自身のCE状態を判定する。例えば、UE100は、測定したRSRPに応じて自身のCEレベルを判定してもよい。UE100は、成功に受信したRA応答に対応するRAプリアンブルを送信した際に使用したPRACHリソースに対応するCEレベルを、自身のCEレベルとして判定してもよい。なお、UE100が拡張カバレッジにいない場合(すなわち、通常カバレッジに居る場合)、ステップS1301を行わなくてもよい。
【0104】
ステップS1302において、UE100は、RRC接続に関する手順を開始し、当該手順に対応するRRC要求メッセージをサービングセル(gNB200)に送信する。UE100は、RA応答の受信に応じてRRC要求メッセージを送信してもよい。RRC接続に関する手順がRRC connection establishment手順である場合に、RRC要求メッセージはRRCSetupRequestメッセージである。RRC接続に関する手順がRRC connection resume手順である場合に、RRC要求メッセージはRRCResuemeRequestメッセージである。
【0105】
ステップS1303において、UE100は、RRC要求メッセージの送信に応じてタイマを起動する。タイマの値は、サービングセルからブロードキャストするシステム情報によって設定されてもよい。タイマの値は、「RRC接続に関する手順」の種類(RRC connection establishment、RRC connection resume等)に応じて異なってもよい。タイマの値は、CEモードの種類(CEモードA、CEモードB等)に応じて異なってもよい。RRC要求メッセージの送信に繰り返し送信が適用される場合に、UE100は、繰り返し送信における最初の送信に応じてタイマを起動してもよい。また、UE100は、繰り返し送信における最後の送信に応じてタイマを起動してもよい。例えば、繰り返し送信における最大繰り返し送信回数がUE100に設定される場合、UE100は、最大繰り返し送信回数に到達した直前に行った送信を最後の送信として見なしてもよい。
【0106】
ステップS1304~ステップS1305において、UE100は、タイマが満了する前に、RRC要求メッセージに応答するRRC応答メッセージの受信を試行する。
【0107】
タイマが満了する場合(ステップS1305:YES)、UE100は、動作をステップS14に進める。ここで、タイマが満了する前にRRC応答メッセージを受信できていない場合、UE100は、RRC接続に関する手順が失敗したと見なし、RRC接続に関する手順の失敗に関する失敗情報を保存する。
【0108】
一方、タイマが満了する前においてRRC応答メッセージを受信できた場合(ステップS1304:YES)、ステップS1306において、UE100はタイマを停止し、動作をステップS1307に進める。
【0109】
ステップS1307において、UE100は、受信したRRC応答メッセージが肯定応答であるか否かを判断する。RRC応答メッセージが肯定応答である場合(ステップS1307:YES)、ステップS1308において、UE100は、RRC接続に関する手順に成功する。
【0110】
一方、RRC応答メッセージが肯定応答ではない場合(ステップS1307:NO)、UE100は、RRC接続に関する手順を再度開始してもよい。UE100は、同一のサービングセルに対して当該手順を開始してもよいし、新しいサービングセルを選択し、当該新しいサービングセルに対して当該手順を開始してもよい。
【0111】
ここで、ステップS14の動作を説明する。ステップS14において、UE100は、RRC接続に関する手順の失敗に関する接続失敗情報を、接続失敗情報用の保存領域に保存する。接続失敗情報用の保存領域は、例えば制御部130に含まれるメモリに設けられる。接続失敗情報は、以下の(a)乃至(d)のうち少なくとも1つの情報を含む。
【0112】
(a)拡張状態情報
UE100は、RRC接続に関する手順に失敗した際の自身のCE状態(ステップS1301で判定したCE状態)を示す拡張状態情報を接続失敗情報に含めて保存する。拡張状態情報は、CEレベル、CEモード、及びRSRP範囲のうちの1つを示しもよいし、これらのうちの2以上の組み合わせを示してもよい。例えば、拡張状態情報は、CEモードA及びCEレベル0を示す。拡張状態情報は、RSRP範囲#1を示してもよい。
【0113】
(b)失敗回数情報
UE100は、RRC接続に関する手順に失敗した回数(以下、「失敗回数」と呼ぶ)を示す失敗回数情報を接続失敗情報に含めて保存する。具体的には、UE100は、失敗回数をカウントするカウンタを保持し、当該カウンタの値を失敗回数情報として保存する。例えば、UE100は、送信したRRC要求メッセージに対応するタイマの満了(ステップS1305:YES)に応じて、カウンタの値を1インクリメントし、失敗回数情報を更新する。
【0114】
UE100は、拡張状態情報と対応付けられる失敗回数情報を保存してもよい。つまり、UE100は、CE状態毎に失敗回数をカウントする。具体的には、UE100は、CE状態毎に上述のカウンタを保持し、同一のCE状態においてUE100が実行したRRC接続に関する手順に失敗した回数をカウントする。例えば、UE100は、CEレベル0に対応するカウンタ(カウンタ_CE0)を保持し、自身のCEレベルがCEレベル0である場合(ステップS1301においてCEレベルをCEレベル0と判定する)に送信したRRC要求メッセージに対応するタイマが満了する場合(ステップS1305:YES)、カウンタ_CE0を1インクリメントする。
【0115】
UE100は、基本的には、サービングセル毎に失敗回数をカウントするが、サービングセル問わずに所定時間(例えば、48h)内に実行されたRRC接続に関する手順の総失敗回数をカウントしてもよい。この場合、UE100は、総失敗回数に対応するカウンタ_Totalを保持してもよい。
【0116】
(c)失敗セル識別情報
UE100は、RRC接続に関する手順に失敗したサービングセルのセル識別子を失敗セル識別情報として接続失敗情報に含めて保存する。セル識別子は、ECGI(Evolved Cell Global Identifier)であってもよい。
【0117】
(d)無線環境の測定値
UE100は、RRC接続に関する手順に失敗したときの、UE100の無線環境の測定値を接続失敗情報に含めて保存する。測定値は、RSRPであってもよいし、RSRQ(Reference Signal Received Quality)であってもよい。UE100は、拡張カバレッジに居る場合のみに測定値を接続失敗情報に含めて保存してもよい。
【0118】
UE100は、RRC接続に関する手順に失敗するたびに無線環境を測定し、測定値を保存する。
【0119】
UE100は、RRC接続に関する手順に複数回失敗した場合、接続失敗情報に保存された複数回分の測定値から1つの統計値を算出してもよい。UE100は、RRC接続に関する手順に失敗した回数(例えば、失敗回数情報が示す回数)が閾値に到達した場合に、統計値の算出を開始してもよい。閾値は、gNB200から設定されてもよい。例えば、後述のMDT測定設定メッセージによってgNB200から閾値が設定されてもよい。UE100は、CE状態毎の測定値を保存してもよい。
【0120】
UE100は、複数回分に測定した複数の測定値と、RRC接続に関する手順に失敗した回数とに基づいて、統計値として平均値を算出してもよい。UE100は、複数の測定値のうちの最大値を統計値としてもよい。UE100は、複数の測定値のうちの最小値を統計値としてもよい。
【0121】
UE100は、保存された複数の測定値から1つの統計値を算出する場合、当該複数の測定値の代わりに、当該1つの統計値を無線環境の測定値として保存してもよい。これによって、複数の測定値の保存によって占用される保存領域のサイズを小さくすることができる。
【0122】
接続失敗情報は、上述の(a)乃至(d)の情報のほか、位置情報、タイムスタンプ等の既存のMDT測定に関する情報を含んでもよい。位置情報は、RRC接続に関する手順が失敗した際のUE100の地理的な位置を示す情報であってもよい。位置情報は、UE100のGNSS受信機から取得されてもよい。
【0123】
ステップS14において、UE100は、基本的には自律的に接続失敗情報を保存するが、ステップS11が行われる場合、gNB200からの設定メッセージ(MDT測定設定メッセージ)に従って接続失敗情報を保存してもよい。例えば、UE100は、設定メッセージ(MDT測定設定)によってCE状態が指定される場合、指定されたCE状態のみに対応付けられる失敗回数情報を保存してもよい。
【0124】
なお、ステップS14の後において、UE100は、動作をステップS1301に戻しRRC接続に関する手順を再度開始してもよい。
【0125】
図10に戻り、ステップS15以降の動作を説明する。ステップS15において、UE100は、自身が接続失敗情報を有することを示す通知メッセージをgNB200に送信する。この通知メッセージは、可用性インディケータと呼ばれることがある。当該可用性インディケータは、UE100が拡張カバレッジに居る場合に保存した接続失敗情報が存在することを通知するメッセージであってもよい。UE100は、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態からRRCコネクティッド状態に遷移する際、又はハンドオーバの際等において、通知メッセージを送信してもよい。
【0126】
なお、MDT測定設定時(ステップS11)にUE100が在圏するセルを管理するgNB200と、通知時(ステップS15)にUE100が在圏するセルを管理するgNB200とは異なっていてもよい。
【0127】
ステップS16において、gNB200は、UE100からの通知メッセージに基づいて、接続失敗情報を含む接続失敗報告の送信(報告)をUE100に要求するための報告要求メッセージをUE100に送信する。
【0128】
ステップS17において、UE100は、報告要求メッセージに応じて、接続失敗報告をgNB200に送信する。報告要求メッセージは、接続失敗報告に含むべき情報(例えば、上述の情報(a)~(d))を指定してもよい。UE100は、報告要求メッセージによって指定された情報のみを含む接続失敗報告を送信してもよい。接続失敗報告は、拡張状態情報と、当該拡張状態情報と対応付けられた失敗回数情報とを含む。接続失敗報告は、無線環境の測定値から算出された統計値を含む。
【0129】
UE100が複数のセルを跨いで接続失敗情報を保存している場合、セル毎の接続失敗情報を含む接続失敗報告を送信してもよい。
【0130】
(第1実施形態のまとめ)
以上説明したように、UE100は、サービングセルの拡張カバレッジに居るときにUE100により実行されたRRC接続に関する手順の失敗に関する失敗報告をネットワークに送信する。失敗報告は、拡張カバレッジにおけるUE100のCE状態を示す拡張状態情報と、当該拡張状態情報と対応付けられた失敗回数情報とを含む。失敗回数情報は、CE状態においてUE100が前記手順に失敗した回数を示す。これにより、ネットワークは、CE状態毎のアクセス性(Accessibility)を把握し、CE状態に対応する繰り返し送信回数等の送信パラメータを適切に設定できるようになる。
【0131】
(第1実施形態の変更例1)
第1実施形態では、UE100がRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態であることを仮定するが、第1実施形態の変更例1では、UE100がRRCコネクティッド状態であることを仮定する。
【0132】
第1実施形態の変更例1において、UE100がRRCコネクティッド状態においてステップS13~ステップ14の動作を行う。UE100がRRCコネクティッド状態である場合に、「RRC接続に関する手順」は、RRC接続を再確立するためのRRC接続再確立(RRC connection re-establishment)手順である。RRC connection re-establishment手順は、UE100がRRC接続先のセルについてのRLF(Radio Link Failure)を検知したことに応じて行われてもよい。
【0133】
ステップS1302において、UE100は、RRCReestablishmentRequestメッセージをRRC要求メッセージとして送信する。ステップS14において、UE100は、RRC connection re-establishment手順に対応する拡張状態情報及び失敗回数情報等を保存する。UE100は、ステップS15及びステップS16の動作を行わずに、connection re-establishment手順の成功に応じて、RRC connection re-establishment手順に対応する拡張状態情報及び失敗回数情報等を含む接続失敗報告を送信する。
【0134】
(第1実施形態の変更例2)
第1実施形態において、接続失敗情報に失敗セル識別情報を含める一例について説明したが、セルよりも広いエリア単位の情報を接続失敗情報に含めてもよい。このような広いエリア単位としては、RAN始動でページングが行われるエリア単位であるRAN通知エリア(RAN Notification Area(RNA))、MBMSが提供されるエリア単位であるMBSFNエリア、AMF始動でページングが行われるエリア単位であるトラッキングエリアが挙げられる。以下において、このような広いエリア単位としてRAN通知エリアを例に説明する。
【0135】
RAN通知エリアは、RAN-based Notification Area、RAN paging area、又はRAN location update areaとも呼ばれる。
【0136】
RAN通知エリアは、1つ又は複数のセルによって構成されてもよい。RAN通知エリアは、gNB200がUE100をRRCインアクティブ状態に遷移させるRRC ReleaseメッセージによりUE100に設定されてもよい。
【0137】
RRCインアクティブ状態のUE100は、RAN通知エリア内でセル再選択によりセル間を移動してもネットワークにセル再選択を行ったことを通知(報告)する必要がない。RRCインアクティブ状態のUE100は、RAN通知エリア外のセルを再選択した場合に、ネットワークにRAN通知エリアの更新を要求する。
【0138】
UE100は、自身に設定されたRAN通知エリアに属するセルにおいて、RRC connection resume手順を実行できる。
【0139】
UE100は、RAN通知エリアを特定するRAN通知エリア情報を接続失敗情報に含めて保存する。
【0140】
UE100は、RAN通知エリア情報に対応付けて失敗回数情報などの情報(上述の拡張状態情報、無線環境の測定値など)を保存してもよい。例えば、UE100は、RAN通知エリア毎に失敗回数をカウントする。具体的には、UE100は、RAN通知エリアに対応するカウンタを保持し、同一のRAN通知エリアにおいて実行されるRRC connection resume手順に失敗した回数をカウントする。
【0141】
UE100は、RAN通知エリア情報と、RAN通知エリア情報に対応付けられた失敗回数情報などの情報(上述の拡張状態情報、無線環境の測定値など)とを含む失敗報告をネットワークに送信する。従って、ネットワークは、RAN通知エリア毎のアクセス性を把握し、より適切なRAN通知エリアをUE100に設定できる。
【0142】
UE100は、セルよりも狭い単位の情報を接続失敗情報に含めて保存してもよい。このような狭い単位としては、セル内のビームが挙げられる。1つのセルは複数のビームを含み得る。各ビームは、自ビームのビーム識別子をブロードキャストする。
【0143】
UE100は、ビームを識別するビーム識別子に対応付けて失敗回数情報などの情報(拡張状態情報、無線環境の測定値など)を保存してもよい。
【0144】
UE100は、ビーム識別子と、ビーム識別子に対応付けられた失敗回数情報などの情報(拡張状態情報、無線環境の測定値など)とを含む失敗報告をネットワークに送信する。これによって、ネットワークは、ビーム毎のアクセス性を把握し、ビーム毎の詳細な最適化ができる。
【0145】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。図12は、第2実施形態に係る移動通信システムにおける動作フローを示す図である。
【0146】
第2実施形態は、SC-PTMの受信状況に関するデータをMDT機能で収集することに関する実施形態である。
【0147】
ステップS21において、gNB200は、RRCコネクティッド状態にあるUE100に対して、ログドMDTを設定するためのMDT測定設定メッセージを送信する。UE100は、MDT測定設定メッセージを受信し、受信したMDT設定メッセージに含まれる各種の設定パラメータを記憶する。設定パラメータは、CE状態を指定してもよい。測定パラメータは、特定のMBMSサービスを指定してもよい。
【0148】
ステップS22において、UE100は、gNB200との通信の終了後、RRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態に遷移し、MDT設定パラメータに従ったログドMDTの動作を開始する。
【0149】
或いは、UE100は、RRCコネクティッド状態において、MDT設定パラメータに従ったログドMDTの動作を行ってもよい。
【0150】
ステップS23において、UE100は、SC-PTMの受信を試行する。ステップS24において、UE100は、SC-PTMの受信に関するSC-PTM失敗情報又はSC-PTM成功情報を保存する。
【0151】
ステップS23及びステップS24の詳細について、図13を用いて説明する。図13は、ステップS23及びステップS24の詳細を示す図である。
【0152】
ステップS2301~ステップS2305において、UE100は、特定のMBMSサービスを受信するためにSC-PTMの受信を試行する。特定のMBMSサービスは、UE100が興味を持つMBMSサービスであってもよいし、ステップS21においてMDT測定設定メッセージによって指定されたMBMSサービスであってもよい。
【0153】
ステップS2301において、UE100は、特定のMBMSサービスをSC-PTMで提供する周波数(SC-PTM周波数)のセル(SC-PTMセル)へのセル再選択を試行する。セル再選択は、3GPPにおいて規定されたセル再選択手順に従って行われる。UE100は、セル再選択に関する基準(R-基準等)を満たすSC-PTMセルを発見できない場合、SC-PTMセルへのセル再選択が失敗したと見なす。
【0154】
UE100は、SC-PTMセルへのセル再選択が失敗した場合(ステップS2301:NO)、SC-PTM受信が失敗したと判断する(ステップS2306)。そして、UE100は、ステップS24において、SC-PTMの受信の失敗に関するSC-PTM失敗情報を保存する。ステップS24の動作の詳細について後述する。
【0155】
一方、UE100は、SC-PTMセルへのセル再選択が成功した場合(ステップS2301:YES)、動作をS2302に進める。
【0156】
ステップS2302において、UE100は、前述のカバレッジ拡張状態の判定方法を用いて自身のCE状態を判定する。なお、UE100が拡張カバレッジにいない場合(すなわち、通常カバレッジに居る場合)、ステップS2302を行わなくてもよい。
【0157】
ステップS2303において、UE100は、SIB20の受信を試行する。UE100は、UE100が拡張カバレッジにいる場合、設定されている最大繰り返し回数(例えば、BCCHの最大繰り返し回数)の範囲内でSIB20の受信を試行してもよい。UE100は、適用した最大繰り返し回数以内でSIB20を受信できない(具体的には、SIB20の復号に失敗した)場合、SIB20の受信に失敗したと判断してもよい。UE100は、一定期間内においてSIB20の受信を試行し、SIB20を受信できない場合、SIB20の受信に失敗したと判断してもよい。
【0158】
UE100は、SIB20の受信に失敗したと判断した場合(ステップS2303:NO)、SC-PTM受信が失敗したと判断する(ステップS2306)。
【0159】
一方、UE100は、SIB20の受信に成功した場合(ステップS2303:YES)、動作をステップS2304に進める。
【0160】
ステップS2304において、UE100は、SC-MCCH(SC-PTM設定情報)の受信を試行する。UE100は、UE100が拡張カバレッジにいる場合、設定されている最大繰り返し回数(例えば、SC-MCCHの繰り返し回数)の範囲内でSC-MCCHの受信を試行してもよい。UE100は、適用した最大繰り返し回数以内でSC-MCCHを受信できない場合、SC-MCCHの受信に失敗したと判断してもよい。UE100は、一定期間内においてSC-MCCHの受信を試行し、SC-MCCHを受信できない場合、SC-MCCHの受信に失敗したと判断してもよい。
【0161】
UE100は、SC-MCCHの受信に失敗したと判断した場合(ステップS2304:NO)、SC-PTM受信が失敗したと判断する(ステップS2306)。
【0162】
一方、UE100は、SC-MCCHの受信に成功した場合(ステップS2304:YES)、動作をステップS2305に進める。
【0163】
ステップS2305において、UE100は、SC-MTCH(MBMSデータ)の受信を試行する。UE100は、UE100が拡張カバレッジにいる場合、最大繰り返し回数(例えば、SC-MTCHの繰り返し回数)の範囲内でSC-MTCHの受信を試行してもよい。UE100は、適用した繰り返し回数以内にSC-MTCHを受信できない場合、SC-MTCHの受信に失敗したと判断してもよい。UE100は、一定期間内においてSC-MTCHの受信を試行し、SC-MTCHを受信できない場合、SC-MTCHの受信に失敗したと判断してもよい。
【0164】
UE100は、SC-MTCHの受信に失敗したと判断した場合(ステップS2305:NO)、SC-PTM受信が失敗したと判断する(ステップS2306)。
【0165】
一方、UE100は、SC-MTCHの受信に成功した場合(ステップS2305:YES)、SC-PTMの受信に成功したと判定する(ステップS2307)。
【0166】
ステップS24において、UE100は、SC-PTM受信が失敗したと判断した場合、SC-PTMの受信の失敗に関するSC-PTM失敗情報を、SC-PTM失敗情報用の保存領域に保存する。SC-PTM失敗情報用の保存領域は、制御部130に含まれるメモリに設けられる。SC-PTM失敗情報は、以下の(ア)乃至(キ)のうち少なくとも1つの情報を含む。
【0167】
(ア)SC-PTMセルの識別情報
UE100は、SC-PTMに失敗した際のSC-PTMセルの識別情報をSC-PTM失敗情報に含めて保存する。
【0168】
(イ)MBMSサービス識別情報
UE100は、MBMSサービス識別情報をSC-PTM失敗情報に含めて保存する。MBMSサービス識別情報は、UE100がSC-PTMの受信に失敗した際に考慮したMBMSサービス(上述の特定のMBMSサービス)に関する識別情報である。MBMSサービス識別情報は、TMGI、セッションID、及びG-RNTIのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0169】
(ウ)無線環境情報
UE100は、無線環境情報をSC-PTM失敗情報に含めて保存する。無線環境情報は、SC-PTMの受信に失敗したときのUE100の無線環境の測定値を含む。測定値は、RSRPであってもよいし、RSRQであってもよい。
【0170】
(エ)拡張状態情報
UE100は、SC-PTMの受信に失敗した際の自身のCE状態を示す拡張状態情報をSC-PTM失敗情報に含めて保存する。拡張状態情報は、CEレベル、CEモード、及びRSRP範囲のうちの1つを示しもよいし、これらのうちの2以上の組み合わせを示してもよい。
【0171】
(オ)SC-PTMの受信に試行した期間の情報
UE100は、UE100が拡張カバレッジにいた場合、SC-PTMの受信に試行した期間の情報(以下、「期間情報」と呼ぶ)をSC-PTM失敗情報に含めて保存する。期間情報は、SIB20の受信に試行した期間の情報、SC-MCCHの受信に試行した期間の情報、及びSC-MTCHの受信に試行した期間の情報のうちの少なくとも一つを含む。UE100は、期間情報を拡張状態情報と対応付けて保存してもよい。
【0172】
(カ)SC-PTMの受信に適用した繰り返し回数の情報
UE100は、UE100が拡張カバレッジにいた場合、SC-PTMの受信に適用した繰り返し回数の情報(以下、「繰り返し回数情報」と呼ぶ)をSC-PTM失敗情報に含めて保存する。繰り返し回数情報は、ステップS2303、ステップS2304及びステップS2305の各ステップにおいて適用された繰り返し回数に関する情報である。繰り返し回数情報は、SIB20の受信に適用した繰り返し回数の情報、SC-MCCHの受信に適用した繰り返し回数の情報、及びSC-MTCHの受信に適用した繰り返し回数の情報のうちの少なくとも一つを含む。UE100は、繰り返し回数情報を拡張状態情報と対応付けて保存してもよい。
【0173】
(キ)SC-PTMの受信に失敗した理由(Cause)の情報
UE100は、SC-PTMの受信に失敗したCauseの情報(以下、「Cause情報」と呼ぶ)をSC-PTM失敗情報に含めて保存する。
【0174】
UE100は、SC-PTMセルへの再選択の受信の失敗に起因してSC-PTM受信が失敗したと判断した場合、SC-PTMセルへの再選択を示す情報をCause情報として保存する。
【0175】
UE100は、SIB20の受信の失敗に起因してSC-PTM受信が失敗したと判断した場合、SIB20の受信失敗を示す情報をCause情報として保存する。
【0176】
UE100は、SC-MCCHの受信の失敗に起因してSC-PTM受信が失敗したと判断した場合、SC-MCCHの受信失敗を示す情報をCause情報として保存する。
【0177】
UE100は、SC-MTCHの受信の失敗に起因してSC-PTM受信が失敗したと判断した場合、SC-MTCHの受信失敗を示す情報をCause情報として保存する。
【0178】
SC-PTM失敗情報は、上述の(ア)乃至(キ)の情報のほか、位置情報、タイムスタンプ等の既存のMDT測定に関する情報を含んでもよい。SC-PTM失敗情報は、SC-PTM周波数を示す情報を含んでもよい。
【0179】
次に、図12に戻り、ステップS25以降の動作を説明する。ステップS25において、UE100は、自身がSC-PTM失敗情報を有することを示す通知メッセージをgNB200に送信する。UE100は、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態からRRCコネクティッド状態に遷移する際、又はハンドオーバの際等において、通知メッセージを送信してもよい。通知メッセージは、UE100がMBMSサービス毎のSC-PTM失敗情報を有することを示してもよい。
【0180】
ステップS26において、gNB200は、UE100からの通知メッセージに基づいて、SC-PTM失敗情報を含むSC-PTM失敗報告の送信(報告)をUE100に要求するための報告要求メッセージをUE100に送信する。
【0181】
ステップS27において、UE100は、報告要求メッセージに応じて、SC-PTM失敗報告をgNB200に送信する。報告要求メッセージは、SC-PTM失敗報告に含むべき情報(例えば、上述の情報(ア)~(キ))を指定してもよい。報告要求メッセージは、所定の周波数に対応するSC-PTM失敗情報を含むことを要求してもよい。報告要求メッセージは、所定のセルに対応するSC-PTM失敗情報を含むことを要求してもよい。報告要求メッセージは、所定のMBMS識別子(TMGI)に対応するSC-PTM失敗情報を含むことを要求してもよい。
【0182】
UE100は、報告要求メッセージによって指定された情報のみを含むSC-PTM失敗報告を送信してもよい。SC-PTM失敗報告は、無線環境情報とMBMSサービス識別情報とを含む。SC-PTM失敗報告は、拡張状態情報を含む。
【0183】
(第2実施形態のまとめ)
以上説明したように、UE100は、MBMSサービスが提供されるSC-PTMの受信に失敗したときに、SC-PTMの受信に失敗したときのUE100の無線環境に関する無線環境情報を保存する。UE100は、保存された無線環境情報を含むSC-PTM失敗報告をネットワークに送信する。SC-PTM失敗報告は、MBMSサービスを示すサービス識別子をさらに含む。これにより、ネットワークは、特定のMBMSサービスについてのSC-PTMの受信状況を把握し、当該特定のMBMSサービスについてのSC-PTM設定(周波数、MCS、繰り返し回数等)を適切に設定できるようになる。
【0184】
(第2実施形態の変更例)
本変更例において、SC-PTMの受信に成功した場合に保存する情報(SC-PTM成功情報)について説明する。
【0185】
図13に示すように、UE100はSC-PTMの受信に成功したと判断した場合(ステップS2307)、ステップS24において、SC-PTM成功情報を保存する。SC-PTM成功情報は、上述した(ア)SC-PTMセルの識別情報、(イ)MBMSサービス識別情報、及び(エ)拡張状態情報を含む。
【0186】
UE100は、拡張カバレッジに居るときに、繰り返し送信が適用されたSC-PTMの受信に成功した場合のみに、SC-PTM成功情報を保存してもよい。
【0187】
繰り返し送信が適用されたSC-PTMとは、上述したように、繰り返し送信が適用されたSIB20、繰り返し送信が適用されたSC-MCCH、及び、繰り返し送信が適用されたSC-MTCHの少なくとも1つを含む。
【0188】
また、UE100は、SC-PTM(SIB20、SC-MCCH、SC-MTCH等)が何回目に送信されたときに受信に成功したかを示す回数情報をSC-PTM成功情報にさらに含めて保存する。
【0189】
UE100は、SC-PTMセルの識別情報と、MBMSサービス識別情報と、拡張状態情報と、当該MBMSサービス識別情報に対応する回数情報とを含むSC-PTM成功報告をネットワークに送信する。これにより、ネットワークは、特定のMBMSサービスについてのSC-PTMの回数情報を把握し、当該特定のMBMSサービスについてのSC-PTM設定(繰り返し回数等)を適切に設定できるようになる。例えば、ネットワークが設定したSC-MTCHの繰り返し回数(SC-MTCHの繰り返し送信回数)が、SC-PTM成功情報に含まれるSC-MTCHの回数情報(UEがSC-MTCHを成功に受信するまでに試行した受信回数)よりも遥かに大きい場合、ネットワークは、SC-MTCHの繰り返し回数を小さく設定でき、SC-PTMの送信リソースの有効に活用できる。
【0190】
(その他の実施形態)
上述した実施形態において、MDTとしてログドMDTを適用する一例について主として説明したが、イミディエイトMDTを適用してもよい。
【0191】
また、上述した実施形態において、5Gシステム(NR)について主として説明したが、実施形態に係る動作をLTEに適用してもよい。
【0192】
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0193】
また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0194】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0195】
本願は、米国仮出願第62/884275号(2019年8月8日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13