(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164987
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】蒸気発生デバイスのための誘導加熱組立体
(51)【国際特許分類】
H05B 6/36 20060101AFI20231107BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20231107BHJP
H05B 6/28 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H05B6/36 Z
H05B6/10 311
H05B6/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145843
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2020536532の分割
【原出願日】2018-12-20
(31)【優先権主張番号】17210822.7
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ヴァンコ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】誘導コイルにより発生した電磁場の漏洩が生じるのを防止する。
【解決手段】蒸気発生デバイス(10)のための誘導加熱組立体(22)が誘導コイル(32)と誘導加熱可能なカートリッジ(26)を受けるよう配置された加熱区画(24)とを含む。第1電磁シールド層(36)が誘導コイル(32)の外側に配置され、第2電磁シールド層(46)が第1電磁シールド層(36)の外側に配置される。第1及び第2電磁シールド層(36、46)はそれらの導電率及びそれらの透磁性の一方又は両方において異なっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生デバイス(10)のための誘導加熱組立体(22)であって、前記誘導加熱組立体(22)が、
誘導コイル(32)と、
誘導加熱可能なカートリッジ(26)を受けるよう配置された加熱区画(24)と、
前記誘導コイル(32)の外側に配置された第1電磁シールド層(36)と、
前記第1電磁シールド層(36)の外側に配置された第2電磁シールド層(46)と
を含み、
前記第1及び第2電磁シールド層(36、46)がそれらの導電率及びそれらの透磁性の一方又は両方において異なっている、誘導加熱組立体(22)。
【請求項2】
前記電磁シールド層(36、46)の一方がフェリ磁性、非導電性材料を含み、
他方の電磁シールド層(36、46)が導電性材料を含む、請求項1に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項3】
前記第1電磁シールド層(36)がフェリ磁性、非導電性材料を含み、
前記第2電磁シールド層(46)が導電性材料を含む、請求項2に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項4】
前記誘導コイル(32)と前記第1電磁シールド層(36)との間に導電性材料が無い、請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項5】
前記誘導コイル(32)と前記第1電磁シールド層(36)との間に位置付けられた第1絶縁層(52)をさらに含み、前記第1絶縁層(52)が実質的に非導電性であるとともに実質的に1に等しい相対的透磁性を有し、好ましくは前記第1絶縁層(52)が空気を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項6】
空気入口(21)から前記加熱区画(24)への空気通路(54)であって、前記第1絶縁層(52)の少なくとも一部を形成する空気通路(54)をさらに含む、請求項5に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項7】
ハウジング(12)であって、前記第2電磁シールド層(46)を含むハウジング(12)をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項8】
前記第1及び第2電磁シールド層(36、46)の一方又は両方が、前記誘導コイル(32)を実質的に囲むように、前記誘導コイル(32)の第1及び第2軸方向端部の両方で前記誘導コイル(32)の周りに円周方向に配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項9】
誘導加熱組立体(22)が、前記誘導加熱組立体(22)の第1軸方向端部(14)で前記加熱区画(24)と空気出口(19)との間に延在する吸入通路(62、72)をさらに含み、
前記吸入通路のある部分(68、82、84、86)が、前記加熱区画(24)と前記空気出口(19)との間で前記軸方向に実質的に垂直な方向に延在し、
前記第1及び第2電磁シールド層(36、46)の一方又は両方が、前記誘導コイル(32)の前記第1軸方向端部が前記電磁シールド層(36、46)により実質的に覆われるように、前記吸入通路の前記部分に隣接して延びる、請求項8に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項10】
前記誘導コイル(32)の第1及び第2軸方向端部の一方又は両方で前記第1又は第2電磁シールド層(36、46)内に位置付けられたシールドコイル(44)をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項11】
前記第1及び第2電磁シールド層(36、46)を囲む外側ハウジング層(13)をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項12】
蒸気発生デバイス(10)のための誘導加熱組立体(22)であって、前記誘導加熱組立体(22)が、
誘導コイル(32)と、
誘導加熱可能なカートリッジ(26)を受けるよう配置された加熱区画(24)と、
前記誘導コイル(32)の外側に配置された電磁シールド層(36)であって、フェリ磁性、非導電性材料を含む電磁シールド層(36)と、
前記誘導コイル(32)と前記電磁シールド層(36)との間に位置付けられた第1絶縁層(52)であって、実質的に非導電性であるとともに実質的に1に等しい相対的透磁性を有する材料を含む第1絶縁層(52)と
を含む誘導加熱組立体(22)。
【請求項13】
実質的に非導電性であるとともに1未満又は実質的に1に等しい相対的透磁性を有する第2絶縁層(58)であって、好ましくはプラスチック材料を含む第2絶縁層(58)をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項14】
前記第2絶縁層(58)の一部(58a)が、使用の際、前記誘導コイル(32)と前記誘導加熱可能なカートリッジ(26)内部の蒸発可能な物質との間にある、請求項13に記載の誘導加熱組立体(22)。
【請求項15】
蒸気発生デバイス(10)であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の誘導加熱組立体(22)と、
空気を加熱区画(24)に提供するように配置された空気入口(21)と、
前記加熱区画(24)と連通している空気出口(19)と
を含む蒸気発生デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気発生デバイスのための誘導加熱組立体に関する。本開示の実施形態はまた蒸気発生デバイスに関連する。
【背景技術】
【0002】
吸入のための蒸気を生じさせるために蒸発可能な物質を、燃焼させるのではなく加熱するデバイスは、近年消費者に人気が出ている。
【0003】
そのようなデバイスは、熱を物質に提供するためにいくつかの異なるアプローチのうちの1つを使い得る。1つのそのようなアプローチは、誘導加熱システムを用いる蒸気発生デバイスを提供することである。そのようなデバイスにおいて、誘導コイル(以降、インダクタとも呼ばれる)にデバイスが設けられ、サセプタに蒸発可能な物質が設けられる。ユーザがデバイスを起動させると電気エネルギーがインダクタに提供され、インダクタが今度は交流電磁場を発生させる。サセプタは電磁場と結合するとともに、蒸発可能な物質へ例えば伝導により伝えられる熱を発生させ、蒸発可能な物質が加熱されると蒸気が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなアプローチには、加熱、したがって蒸気発生のより良好な制御を提供する可能性がある。しかしながら、誘導加熱システムの使用の欠点は、誘導コイルにより発生した電磁場の漏洩が生じる場合があることであり、したがって、この欠点に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様によると、蒸気発生デバイスのための誘導加熱組立体であって、誘導加熱組立体が、
誘導コイルと、
誘導加熱可能なカートリッジを受けるよう配置された加熱区画と、
誘導コイルの外側に配置された第1電磁シールド層と、
第1電磁シールド層の外側に配置された第2電磁シールド層と
を含み、
第1及び第2電磁シールド層がそれらの導電率及びそれらの透磁性の一方又は両方において異なっている、誘導加熱組立体が提供される。
【0006】
本開示の第2態様によると、蒸気発生デバイスのための誘導加熱組立体であって、誘導加熱組立体が、
誘導コイルと、
誘導加熱可能なカートリッジを受けるよう配置された加熱区画と、
誘導コイルの外側に配置された電磁シールド層であって、フェリ磁性、非導電性材料を含む電磁シールド層と、
誘導コイルと電磁シールド層との間に位置付けられた第1絶縁層であって、実質的に非導電性であるとともに実質的に1に等しい相対的透磁性を有する材料を含む第1絶縁層と
を含む、誘導加熱組立体が提供される。
【0007】
本開示の第3態様によると、蒸気発生デバイスであって、
本開示の第1態様又は第2態様による誘導加熱組立体と、
空気を加熱区画に提供するように配置された空気入口と、
加熱区画と連通している空気出口と
を含む蒸気発生デバイスが提供される。
【0008】
1つ又は複数の電磁シールド層は、誘導コイルにより発生した電磁場の漏洩を減少させる小型で効率的で軽量の電磁シールド構造を提供する。これは今度は、より小型の誘導加熱組立体、したがって、より小型の蒸気発生デバイスの提供を可能にする。
【0009】
1つ又は複数の電磁シールド層における電流フローが抑制され、このことは(ジュール加熱を原因とする)シールド構造における熱の発生を減少させ、それによりエネルギー損失を減少させる。これは、(i)誘導コイルから誘導加熱可能なカートリッジと関連するサセプタへの電磁エネルギーのより有効な伝達、したがって、蒸発可能な物質の改良された加熱、(ii)温度の低下、これは、蒸気発生デバイスの表面温度の低下を招くとともに、例えばデバイス内のプラスチックコンポーネントが過度の高温を原因として溶けるのを防ぐことにより、デバイスの潜在的損傷を軽減する、及び(iii)蒸気発生デバイス内の他の電気及び電子部品の保護を含むいくつかの利点を提供する。
【0010】
ある実施形態において、電磁シールド層の一方がフェリ磁性、非導電性材料を含み、他方の電磁シールド層が導電性材料を含む。
【0011】
第1電磁シールド層はフェリ磁性、非導電性材料を含み得る。第1電磁シールド層のための好適な材料の例は、限定するものではないが、フェライト、ニッケル亜鉛フェライト及びミューメタルを含む。第1電磁シールド層は積層構造を含んでもよく、したがって、それ自体複数の層を含み得る。層は同じ材料を含んでも、例えば望ましいシールド特性を提供するように選択された複数の異なる材料を含んでもよい。第1電磁シールド層は、例えばフェライトの1つ又は複数の層と接着材料の1つ又は複数の層とを含み得る。
【0012】
第1電磁シールド層は0.1mm~10mmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、厚さは0.1mm~6mmであってもよく、より好ましくは、厚さは0.7mm~2.0mmであってもよい。
【0013】
第1電磁シールド層は、第1電磁シールド層の全表面積の80%より大きい被覆面積を提供し得る。いくつかの実施形態において、被覆面積は、90%より大きくてもよく、場合により95%より大きくてもよい。本明細書で使用する際、全表面積とは、層が、例えば空気入口又は空気出口などの開口が無いなど完全に無傷であるときの層の表面積を意味する。本明細書で使用する際、被覆面積とは、空気入口又は空気出口などの開口の面積を除いた表面積を意味する。
【0014】
第2電磁シールド層は導電性材料を含み得る。第2電磁シールド層はメッシュを含み得る。第2電磁シールド層は金属を含み得る。好適な金属の例は、限定するものではないが、アルミニウム及び銅を含む。第2電磁シールド層は積層構造を含んでもよく、したがってそれ自体複数の層を含み得る。層は同じ材料を含んでも、例えば望ましいシールド特性を提供するように選択された複数の異なる材料を含んでもよい。
【0015】
第2電磁シールド層は0.1mm~0.5mmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、厚さは0.1mm~0.2mmであり得る。第2電磁シールド層は30mΩ未満の抵抗値を有し得る。抵抗値は15mΩ未満であってもよく、10mΩ未満であってもよい。これらの抵抗値は、第2電磁シールド層における加熱及び導電性損失を最小化する。
【0016】
第2電磁シールド層は、第2電磁シールド層の全表面積の30%より大きい被覆面積を提供し得る。いくつかの実施形態において、被覆面積は50%より大きくてもよく、場合により65%より大きくてもよい。上記のとおり、第2電磁シールド層はメッシュを含み得るため、第2電磁シールド層の被覆面積は第1電磁シールド層の被覆面積より著しく小さてもよい。
【0017】
第2電磁シールド層は実質的に円筒形のシールド部分を含んでもよく、実質的に円筒形のスリーブを含んでもよい。円筒形のシールド部分は、円周方向の間隙を含み得る。したがって、第2電磁シールド層は円筒形のスリーブであって、円周方向の間隙が軸方向においてスリーブの全体に沿って延在する円筒形のスリーブを含み得る。円周方向の間隙は、第2電磁シールド層において電気遮断を提供し、それによりこのポイントで誘導電流を制限する。
【0018】
いくつかの実施形態において、誘導コイルと第1電磁シールド層との間には導電性材料が無い。このような配置構成はシールド構造における電流フローを抑えるのに役立つ。
【0019】
誘導加熱組立体は第1絶縁層を含み得る。第1絶縁層は誘導コイルと第1電磁シールド層との間に位置付けられてもよい。第1絶縁層は実質的に非導電性であってもよいとともに実質的に1に等しい相対的透磁性を有してもよい。実質的に1に等しい相対的透磁性とは、相対的透磁性が0.99~1.01、好ましくは0.999~1.001の範囲にあり得るということを意味する。
【0020】
第1絶縁層は、実質的に非導電性であるとともに実質的に1に等しい相対的透磁性を有する材料をもっぱら含み得る。代替的に、第1絶縁層は、実質的に非導電性であるとともに実質的に1に等しい相対的透磁性を有する材料を実質的に含み得る。第1絶縁層は、例えば、積層構造又は複合構造を含んでもよく、したがって、それ自体粒子/要素の複数の層及び/又は混合物を含み得る。粒子/要素の層又は混合物は同じ材料を含んでも、複数の異なる材料、例えば、非導電性材料、導電性材料及びフェリ磁性材料からなる群から選択された1つ又は複数の材料を含んでもよい。材料のこのような組合せは、第1絶縁層が、実質的に非導電性であるとともに実質的に1に等しい相対的透磁性を有する材料を「実質的に」含むことを確実にする比率で提供され得ることが理解される。一実施形態において、第1絶縁層の材料は空気を含み得る。
【0021】
第1絶縁層は0.1mm~10mmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、厚さは0.5mm~7mmであってもよく、場合により1mm~5mmであってもよい。第1絶縁層を含むこのような配置構成は、最適な交流電磁場が誘導コイルにより発生することを確実にする。
【0022】
第1絶縁層は、第1絶縁層の全表面積の90%より大きい被覆面積を提供し得る。いくつかの実施形態において、被覆面積は95%より大きくてもよく、場合により98%より大きくてもよい。
【0023】
誘導加熱組立体は空気入口から加熱区画への空気通路をさらに含んでもよく、空気通路は第1絶縁層の少なくとも一部を形成し得る。これは誘導加熱組立体の構造を単純化するとともに、誘導加熱組立体の、したがって蒸気発生デバイスのサイズが最小化されることを可能にする。誘導コイルからの熱はまた、空気通路を通って流れる空気へ伝えられてもよく、したがって、空気の予熱を原因として、誘導加熱組立体、したがって蒸気発生デバイスの効率を向上させる。
【0024】
誘導加熱組立体はハウジングをさらに含んでもよく、ハウジングは第2電磁シールド層を含み得る。ハウジングが第2電磁シールド層として機能するこのような配置構成は、コンポーネント数の減少をもたらし、したがって、誘導加熱組立体の、したがって蒸気発生デバイスのサイズ、重量及び製造費の改良をもたらす。
【0025】
第1及び第2電磁シールド層の一方又は両方は、誘導コイルを実質的に囲むように、誘導コイルの周りに円周方向に及び誘導コイルの第1及び第2軸方向端部の両方に配置され得る。したがって、シールド効果は最大化される。
【0026】
一実施形態において、誘導加熱組立体は、
誘導加熱組立体の第1軸方向端部で加熱区画と空気出口との間に延在する吸入通路をさらに含んでもよく、
吸入通路のある部分が、加熱区画と空気出口との間で軸方向に実質的に垂直な方向に延在し、
第1及び第2電磁シールド層の一方又は両方が、誘導コイルの第1軸方向端部が電磁シールド層により実質的に覆われるように吸入通路の前記部分に隣接して延びる。
【0027】
第1及び/又は第2電磁シールド層のこのような配置構成は、第1及び/又は第2電磁シールド層により誘導コイルの第1軸方向端部の最大被覆が提供されること並びにシールド効果が最大化されることを確実にする。
【0028】
誘導加熱組立体は、誘導コイルの第1及び第2軸方向端部の一方又は両方で場合により第1又は第2電磁シールド層内に位置付けられ得るシールドコイルをさらに含んでもよい。シールドコイルはローパスフィルタとして作動することができ、それによりコンポーネント数を減少させ、したがって、誘導加熱組立体の、したがって蒸気発生デバイスのサイズ、重量及び製造費の向上をもたらす。
【0029】
誘導加熱組立体は、第1及び第2電磁シールド層を囲み得る外側ハウジング層をさらに含んでもよい。これは、蒸気発生デバイスの外側表面が熱くならないこと及びユーザが不快感無しにデバイスを取り扱い得ることを確実にする。
【0030】
一実施形態において、誘導加熱組立体は第2絶縁層をさらに含んでもよい。第2絶縁層は実質的に非導電性であってもよいとともに、1未満又は実質的に1に等しい相対的透磁性を有し得る。実質的に1に等しい相対的透磁性とは、相対的透磁性が0.99~1.01、好ましくは0.999~1.001の範囲にあり得るということを意味する。第2絶縁層の第1部分は、使用の際、誘導コイルと誘導加熱可能なカートリッジ内部の蒸発可能な物質との間にあってもよい。第2絶縁層を含むこのような配置構成は、サセプタと交流電磁場との間の最適な結合が達成されることを確実にする。第2絶縁層の第2部分は、誘導コイルの外側に配置されてもよく、誘導コイルと第1電磁シールド層との間に位置付けられてもよい。
【0031】
第2絶縁層は、実質的に非導電性であるとともに1未満又は実質的に1に等しい相対的透磁性を有する材料をもっぱら含んでもよい。代替的に、第2絶縁層は、実質的に非導電性であるとともに1未満又は実質的に1に等しい相対的透磁性を有する材料を実質的に含んでもよい。第2絶縁層は、例えば積層構造又は複合構造を含んでもよく、したがって、それ自体粒子/要素の複数の層及び/又は混合物を含んでもよい。粒子/要素の層又は混合物は、同じ材料を含んでも、複数の異なる材料、例えば、非導電性材料、導電性材料及びフェリ磁性材料からなる群から選択された1つ又は複数の材料を含んでもよい。材料のこのような組合せは、第2絶縁層が、実質的に非導電性であるとともに1未満又は実質的に1に等しい相対的透磁性を有する材料を「実質的に」含むことを確実にする割合で提供され得ることが理解される。
【0032】
一実施形態において、第2絶縁層はプラスチック材料を含んでもよい。プラスチック材料は、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)又は極めて高い熱抵抗率(絶縁体)及び低い熱質量を有する他の任意の材料を含み得る。蒸気発生デバイスを使用していない期間の後で、デバイスの、したがって誘導加熱組立体のコンポーネントは、周囲温度に到達するまで冷えることが理解される。第2絶縁層に加熱された蒸気が触れるときの蒸気発生デバイスの初期起動時、比較的熱い蒸気とより冷たい第2絶縁層との間の接触を原因として第2絶縁層に結露が形成することがあり、結露は第2絶縁層の温度が上昇するまで残る。極めて高い熱抵抗率及び低い熱質量を有する材料の使用は、第2絶縁層に加熱された蒸気が接触するときの第2絶縁層がデバイスの初期起動に続いて可能な限り速やかに温まることを確実にするため、結露を最小化する。
【0033】
誘導加熱組立体は、使用の際、およそ20mT~最高濃度でおよそ2.0Tの磁束密度を有する変動電磁場で作動するように配置されてもよい。
【0034】
誘導加熱組立体は、高周波数で作動するように構成され得る電源及び電気回路を含んでもよい。電源及び電気回路は、およそ80kHz~500kHz、場合によりおよそ150kHz~250kHz、及び場合によりおよそ200kHzの周波数で作動するように構成されてもよい。電源及び電気回路は、使用される誘導加熱可能なサセプタのタイプに依存して、より高い周波数で、例えばMHz単位の範囲で作動するように構成され得る。
【0035】
誘導コイルは任意の好適な材料を含み得るが、典型的には誘導コイルはリッツワイヤ又はリッツケーブルを含み得る。
【0036】
誘導加熱組立体は任意の形状及び形を取り得るが、これは、過剰な材料使用を減らすために、実質的に誘導コイルの形をとるように配置され得る。誘導コイルは形状が実質的にらせん形であってもよい。
【0037】
らせん形誘導コイルの円形断面は誘導加熱組立体への誘導加熱可能なカートリッジの挿入を容易にするとともに誘導加熱可能なカートリッジの均一な加熱を確実にする。誘導加熱組立体の結果としての形状はまたユーザにとって快適に把持できるものである。
【0038】
誘導加熱可能なカートリッジは1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタを含み得る。当該又は各サセプタは、限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼及びその合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅の1つ又は複数を含んでもよい。その付近に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失を原因として当該又は各サセプタが熱を発生させることがあり、結果として電磁からのエネルギーを熱に変換する。
【0039】
誘導加熱可能なカートリッジは通気性シェル内部に蒸気発生物質を含み得る。通気性シェルは、電気絶縁性であり非磁性の通気性材料を含み得る。材料は、高温に耐えつつ空気が材料を通って流れることを可能にするために高通気性を有し得る。好適な通気性材料の例はセルロース繊維、紙、綿及び絹を含む。通気性材料はフィルタとしても機能し得る。代替的に、誘導加熱可能なカートリッジは紙に包まれた蒸気発生物質を含み得る。代替的に、誘導加熱可能なカートリッジは、蒸気発生物質であって、通気性はないが空気が流れるのを可能にするために好適な孔又は開口を含む材料の内部に保持された蒸気発生物質を含み得る。代替的に、誘導加熱可能なカートリッジは蒸気発生物質自体からなり得る。誘導加熱可能なカートリッジは実質的にスティックの形状に形成され得る。
【0040】
蒸気発生物質は任意のタイプの固体又は半固体材料であり得る。蒸気発生固体の例示的タイプは、粉体、顆粒、ペレット、小片、より糸、粒子、ゲル、ストリップ、ルーズリーフ、刻みフィラー、多孔質材料、発泡材料又はシートを含む。物質は植物由来材料を含んでもよく、特に、物質は煙草を含み得る。
【0041】
蒸気発生物質はエアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤の例は、多価アルコール及びその混合物、例えばグリセリン又はプロピレングリコールを含む。典型的には、蒸気発生物質は乾燥重量ベースでおよそ5%~およそ50%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。いくつかの実施形態において、蒸気発生物質は乾燥重量ベースでおよそ15%のエアロゾル形成剤内容量を含み得る。
【0042】
また、蒸気発生物質はエアロゾル形成剤自体であり得る。この場合、蒸気発生物質は液体であり得る。また、この場合、誘導加熱可能なカートリッジは、液体保持物質(例えば繊維の束、多孔質材料、例えばセラミックなど)であって、液体を蒸発するように保持するとともに、蒸気が形成され、液体保持物質から、例えばユーザによる吸入のために空気出口に向かって、放出/放射されることを可能にする液体保持物質を含み得る。
【0043】
加熱時、蒸気発生物質は揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又は香味化合物、例えば煙草香料を含み得る。
【0044】
サセプタを加熱するために作動しているときに誘導コイルは電磁場を発生させることから、誘導加熱可能なサセプタを含むいずれの部材も作動中の誘導コイルに近接して配置されると加熱され、したがって、加熱区画に受け入れられる誘導加熱可能なカートリッジの形状及び外形は限定されない。いくつかの実施形態において、誘導加熱可能なカートリッジは形状が円筒形であってもよく、したがって、加熱区画は、実質的に円筒形の蒸発可能な物品を受けるように配置される。
【0045】
蒸発可能な物質及び煙草製品は特に、円筒形の形で梱包されるとともに販売されることが多いため、加熱区画の、加熱されることになる実質的に円筒形の誘導加熱可能なカートリッジを受ける能力は有利である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本開示の第1実施形態による誘導加熱組立体を含む蒸気発生デバイスの概略図である。
【
図2】本開示の態様による電磁シールド層の使用により得られるシールド効果及び本開示の態様による絶縁層の使用により得られる磁場強度のバリエーションの概略図である。
【
図3】本開示の態様による電磁シールド層の使用により得られるシールド効果及び本開示の態様による絶縁層の使用により得られる磁場強度のバリエーションの概略図である。
【
図4】本開示の態様による電磁シールド層の使用により得られるシールド効果及び本開示の態様による絶縁層の使用により得られる磁場強度のバリエーションの概略図である。
【
図5】本開示の第2実施形態による誘導加熱組立体の一部の概略図である。
【
図6】本開示の第3実施形態による誘導加熱組立体の一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本開示の実施形態がここで、一例としてのみ、及び添付図面を参照して説明される。
【0048】
最初に
図1を参照すると、本開示の例による蒸気発生デバイス10が概略的に示されている。蒸気発生デバイス10はハウジング12を含む。デバイス10が吸入される蒸気を発生させるために使用されるとき、マウスピース18が空気出口19でデバイス10に設置され得る。マウスピース18は、ユーザがデバイス10により発生させられた蒸気を容易に吸入する能力を提供する。デバイス10は、高周波数で作動するように構成され得る参照符号20により示された電源及び制御電気回路を含む。電源は典型的には例えば誘導的に再充電可能であり得る1つ又は複数のバッテリを含む。デバイス10はまた、空気入口21を含む。
【0049】
蒸気発生デバイス10は、蒸気発生(すなわち蒸発可能な)物質を加熱するための誘導加熱組立体22を含む。誘導加熱組立体22は、略円筒形の加熱区画24であって、蒸発可能な物質28と1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタ30とを含む対応する形の略円筒形の誘導加熱可能なカートリッジ26を受けるように配置された略円筒形の加熱区画24を含む。誘導加熱可能なカートリッジ26は、典型的には蒸発可能な物質28を含むために外部層又は膜を含み、外部層又は膜は通気性である。例えば、誘導加熱可能なカートリッジ26は、煙草と少なくとも1つの誘導加熱可能なサセプタ30とを含む使い捨てカートリッジ26であってもよい。
【0050】
誘導加熱組立体22は、らせん形誘導コイル32であって、円筒形の加熱区画24の周りに延在するとともに電源及び制御電気回路20により励磁され得るらせん形誘導コイル32を含む。当業者により理解されるとおり、誘導コイル32が励磁されると、交流の及び時間的に変化する電磁場が作られる。これは1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタ30と結合するとともに、1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタ30において渦電流及び/又はヒステリシス損失を発生させ、それらを温める。熱は、次いで1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタ30から蒸発可能な物質28へ、例えば伝導、放射及び対流により伝えられる。
【0051】
誘導加熱可能なサセプタ30は、蒸発可能な物質28を加熱するとともに蒸気を生成するために、サセプタ30が誘導加熱組立体22の誘導コイル32により誘導加熱されると、熱がサセプタ30から蒸発可能な物質28へ伝えられるように、蒸発可能な物質28と直接的又は間接的に接触し得る。蒸発可能な物質28の蒸発は、空気入口21を通じた周囲環境からの空気の追加により促される。蒸発可能な物質28の加熱により発生した蒸気は、次いで空気出口19を通って加熱区画24を出て、例えば、マウスピース18を通じてデバイス10のユーザにより吸入され得る。加熱区画24を通る空気流、すなわち空気入口21から、加熱区画24を通り、誘導加熱組立体22の吸入通路34に沿って、空気出口19を出る空気流は、デバイス10の空気出口19側からマウスピース18を使用して空気を吸うユーザにより作り出された負の圧力により促進され得る。
【0052】
誘導加熱組立体22は、第1電磁シールド層36であって、誘導コイル32の外側に配置されるとともに、典型的にはフェリ磁性、非導電性材料、例えばフェライト、ニッケル亜鉛フェライト又はミューメタルで形成された第1電磁シールド層36を含む。
図1に示された実施形態において、第1電磁シールド層36は、誘導コイル32の周りに円周方向に延在するようにらせん形誘導コイル32の半径方向外側に位置付けられた、例えば実質的に円筒形のスリーブの形の実質的に円筒形のシールド部分38を含む。実質的に円筒形のシールド部分38は典型的にはおよそ1.7mm~2mmの(半径方向における)層厚さを有する。第1電磁シールド層36はまた、およそ5mmの(軸方向における)層厚さを有する、誘導加熱組立体22の第1軸方向端部14に提供された第1環状シールド部分40を含む。第1電磁シールド層36はまた、誘導加熱組立体22の第2軸方向端部16に提供された第2環状シールド部分42を含む。第2環状シールド部分42は、シールド材料の第1及び第2層42a、42bであって、それらの間に任意選択のシールドコイル44が位置付けられるシールド材料の第1及び第2層42a、42bを含むことに留意されたい。代替的実施形態において、第2環状シールド部分42は、シールドコイル44が存在するか存在しないかのいずれかの状態のシールド材料の単一の層を含み得る。
【0053】
誘導加熱組立体22は、第1電磁シールド層36の外側に配置された第2電磁シールド層46を含む。第2電磁シールド層46は、典型的には導電性材料、例えばアルミニウム又は銅など金属を含むとともに、メッシュの形であり得る。
図1に示された実施形態において、第2電磁シールド層46は、例えば軸方向に延在する円周方向の間隙(図示せず)を有する実質的に円筒形のスリーブの形の実質的に円筒形のシールド部分48と、誘導加熱組立体22の第1軸方向端部14に提供された環状シールド部分50とを含む。実質的に円筒形のシールド部分48及び環状シールド部分50は単一のコンポーネントとして一体的に形成され得る。いくつかの実施形態において、第2電磁シールド層46はおよそ0.15mmの層厚さを有する。第2電磁シールド層46の抵抗値は、第2電磁シールド層46における加熱及び導電性損失を最小にするように選択されるとともに、例えば、30mΩ未満の値を有し得る。
【0054】
誘導加熱組立体22は、外側ハウジング層13であって、第1及び第2電磁シールド層36、46を囲むとともにハウジング12の最外層を構成する外側ハウジング層13を含む。代替的実施形態(図示せず)において、外側ハウジング層13は、第2電磁シールド層46がハウジング12の最外層を構成するように省略され得る。
【0055】
誘導加熱組立体22は、誘導コイル32と第1電磁シールド層36との間に位置付けられた第1絶縁層52を含む。第1絶縁層52は実質的に非導電性であるとともに実質的に1に等しい相対的透磁性を有し、図示の実施形態において、第1絶縁層52は空気を含む。
【0056】
誘導コイル32と第1電磁シールド層36との間に第1侮辱層52を提供することは、有利には、誘導加熱可能なカートリッジ26のサセプタ30との結合にとって最適な電磁場が発生することを確実にし、これは、
図2~4において概略的に示されている。例えば、
図2は、上述の電磁シールド層36、46が無い状態でらせん形誘導コイル32により発生した電磁場を概略的に示す。他方で
図3は、上述の第1電磁シールド層36、特に実質的に円筒形のシールド部分38が誘導コイル32に極めて近接して位置付けられるか、又は誘導コイル32に接触しているかのいずれかの場合、換言すると、上記の第1絶縁層52が提供されない場合に、らせん形誘導コイル32により発生した電磁場を概略的に示す。第1電磁シールド層36は第1電磁シールド層36の半径方向外側領域における電磁場の強度を低下させ、それにより電磁場の漏洩を減少させるが、これはまた誘導加熱可能なカートリッジ26が使用の際位置付けられる誘導コイル32の半径方向内側領域における電磁場の強度も減少させることが
図3において容易に見られ得る。これは、誘導加熱可能なカートリッジ26のサセプタ30との電磁場の結合に悪影響を及ぼすとともに加熱効率を低下させるため、望ましくない。最後に
図4を参照すると、本開示の態様による第1絶縁層52が誘導コイル32と第1電磁シールド層36との間に位置付けられると、第1電磁シールド層36、特に実質的に円筒形のシールド部分38が第1電磁シールド層36の半径方向外側領域における電磁場の強度を低下させ、それにより
図3において示されたのと同様のやり方で電磁場の漏洩を減少させることが明らかとなる。しかしながら、
図3とは対照的に、誘導加熱可能なカートリッジ26が使用の際位置付けられる誘導コイル32の半径方向内側領域における電磁場の強度は低下せず、それにより誘導加熱可能なカートリッジ26のサセプタ30との電磁場の最適な結合を確実にするとともに加熱効率を最大化する。
【0057】
図1を再び参照すると、誘導加熱組立体22は、空気入口21から加熱区画24に延在する環状の空気通路54を含むことに留意されたい。空気通路54は、誘導コイル32と第1電磁シールド層36との間で誘導コイル32の半径方向外側に位置付けられ、第1絶縁層52は少なくとも部分的に空気通路54により形成される。
【0058】
誘導加熱組立体22は第2絶縁層58をさらに含む。第2絶縁層58の第1部分58aは、誘導コイル32と誘導加熱可能なカートリッジ26内部の蒸発可能な物質28との間にあるように誘導コイル32の内側に配置されることが
図1において見られる。第2絶縁層58の第2部分58bは誘導コイル32の外側に配置されるとともに誘導コイル32と第1電磁シールド層36との間に位置付けられることもまた
図1において見られる。図示の実施形態において、第2部分58bは、第1電磁シールド層36に隣接して、環状の空気通路54の半径方向外側に位置付けられた円筒形のスリーブ56を含む。第2絶縁層58は実質的に非導電性であるとともに、1未満又は実質的に1に等しい相対的透磁性を有するとともに典型的にはPEEKなどプラスチック材料を含む。
図1から容易に認められるとおり、第2絶縁層58の第1部分58aは、誘導加熱可能なカートリッジ26が使用の際受け入れられる加熱区画24の内部容積を画定する。
【0059】
ここで
図5を参照すると、蒸気発生デバイス10のための誘導加熱組立体60の第2実施形態の一部が示されている。
図5において示されている誘導加熱組立体60は、
図1に示されている誘導加熱組立体22と同様であり、対応するコンポーネントは同じ参照符号を使用して特定される。第1及び第2電磁シールド層36、46の実質的に円筒形のシールド部分38、48は
図5から省かれていることに留意されるべきである。
【0060】
誘導加熱組立体60は、誘導加熱組立体60の第1軸方向端部14で加熱区画24から空気出口19へ延在する吸入通路62を含む。吸入通路62は、加熱区画24と空気出口19との間で軸方向に実質的に平行な方向に延在する第1及び第2軸方向部分64、66を含む。吸入通路62はまた、加熱区画24と空気出口19との間で軸方向に実質的に垂直な方向に延在する横断部分68を含む。複数の電磁シールドアセンブリであって、各々第1及び第2電磁シールド層36、46を含む複数の電磁シールドアセンブリが、吸入通路62の横断部分68にその両側で隣接して延びるように位置付けられる。この配置構成で、誘導コイル32の第1軸方向端部が電磁シールド層36、46により実質的に遮蔽されるように、電磁シールドアセンブリは少なくとも部分的に互いに重複する。
【0061】
ここで
図6を参照すると、蒸気発生デバイス10のための誘導加熱組立体70の第3実施形態の一部が示されている。
図6に示された誘導加熱組立体70は
図5に示された誘導加熱組立体60と同様であり、対応するコンポーネントは同じ参照符号を使用して特定される。
【0062】
誘導加熱組立体70は、誘導加熱組立体70の第1軸方向端部14で加熱区画24から空気出口19へ延在する吸入通路72含む。吸入通路72は、加熱区画24と空気出口19との間で軸方向に実質的に平行な方向に延在する第1、第2、第3及び第4軸方向部分74、76、78、80を含む。吸入通路72はまた、加熱区画24と空気出口19との間で軸方向に実質的に垂直な方向に延在する第1、第2及び第3横断部分82、84、86を含む。複数の電磁シールドアセンブリであって、各々第1及び第2電磁シールド層36、46を含む複数の電磁シールドアセンブリが、この場合も、横断部分84の両側で吸入通路72の横断部分82、84、86に隣接して延びるように位置付けられる。この配置構成で、この場合も、誘導コイル32の第1軸方向端部が電磁シールド層36、46により実質的に遮蔽されるように、電磁シールドアセンブリは少なくとも部分的に互いに重複することが分かる。
【0063】
先行するパラグラフにおいては例示的な実施形態が説明されたが、これらの実施形態には添付の特許請求の範囲から逸脱すること無しに様々な修正がなされ得ることが理解されるべきである。したがって、特許請求の範囲の幅広さ及び範囲は上述の例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0064】
文脈上明らかに他を意味しない限り、説明及び特許請求の範囲全体にわたって、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などの用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包含的な意味で、すなわち、「含むが限定するものではない」という意味で解釈されるものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生デバイス(10)のための誘導加熱組立体(22)であって、前記誘導加熱組立体(22)が、
誘導コイル(32)と、
誘導加熱可能なカートリッジ(26)を受けるよう配置された加熱区画(24)と、
前記誘導コイル(32)の外側に配置された第1電磁シールド層(36)と、
前記第1電磁シールド層(36)の外側に配置された第2電磁シールド層(46)と
を含み、
前記第1及び第2電磁シールド層(36、46)がそれらの導電率及びそれらの透磁性の一方又は両方において異なっている、誘導加熱組立体(22)。