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特開2023-164989ガイドワイヤーアクティベーション機構と近位作動機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164989
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】ガイドワイヤーアクティベーション機構と近位作動機構
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
A61M25/092 500
A61M25/092 510
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145993
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2020531926の分割
【原出願日】2018-12-12
(31)【優先権主張番号】62/597,888
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514102803
【氏名又は名称】ラピッド メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン、アハロン
(72)【発明者】
【氏名】ゲデュルター、マタン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、モシェ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザ作動セグメントの再配置まで、ユーザ作動セグメントおよびガイドワイヤーをその位置に保持する腔内ガイドワイヤーを提供する。
【解決手段】管腔内ガイドワイヤー800の内側部材840は、ユーザ作動セグメント内に少なくとも部分的に配置され、ユーザ作動セグメントに固定された近位端と、シャフト内に少なくとも部分的に配置された遠位端とを有し、管腔内ガイドワイヤーのコアワイヤーが内側部材を通過する。管腔内ガイドワイヤーは、シャフト内の内側部材の遠位セグメントがシャフト内の移動時に摩擦拘束を示す。摩擦拘束は、内側部材の外面とシャフトの内面との摩擦力である。内側部材の係止セグメントは屈曲部を備え、係止セグメントがシャフト内に挿入されるときに、屈曲部はシャフトの内面に摩擦力を及し、屈曲部での内側部材の外径は、シャフトの内面の径よりも小さい。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔内ガイドワイヤーにおいて、
中空の細長いシャフトであって、その遠位端と近位端との間に延在する中空の細長いシャフト、
前記中空の細長いシャフトの前記近位端の近位に配置されたユーザ作動セグメントであって、前記中空の細長いシャフトに対して移動するように構成されているユーザ作動セグメント、
前記ユーザ作動セグメントと前記中空の細長いシャフトの遠位部分との間に延在するコアワイヤー、および
内側部材であって、
前記ユーザ作動セグメント内に少なくとも部分的に配置され、前記ユーザ作動セグメントに対して固定された近位端と、
前記中空の細長いシャフト内に少なくとも部分的に配置され、前記中空の細長いシャフトに対して軸線方向に移動するように構成された遠位端とを有し、前記コアワイヤーが前記内側部材を通過するようになっている、内側部材
を備え、
前記中空の細長いシャフト内に配置するように構成された前記内側部材の係止セグメントが、前記中空の細長いシャフト内の移動時に摩擦拘束を供するように構成され、移動時の前記摩擦拘束は、前記内側部材の外面と前記中空の細長いシャフトの内面との間の摩擦力であり、
前記内側部材の前記係止セグメントは、少なくとも1つの屈曲部を備え、前記内側部材の前記係止セグメントが前記中空の細長いシャフト内に挿入されるときに、前記内側部材の前記少なくとも1つの屈曲部は、前記中空の細長いシャフトの前記内面に摩擦力を及ぼすように構成され、
前記少なくとも1つの屈曲部での前記内側部材の外径は、前記中空の細長いシャフトの前記内面の径よりも小さい、管腔内ガイドワイヤー。
【請求項2】
前記中空の細長いシャフトは、前記中空の細長いシャフトの前記遠位端を包含する偏向可能セグメントを備え、請求項1に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項3】
前記内側部材の前記係止セグメントは、前記内側部材の前記係止セグメントが前記中空の細長いシャフト内に挿入されるときに、前記少なくとも1つの屈曲部が少なくとも部分的に真っ直ぐになるように構成されるのに十分な可撓性を有する、請求項1に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項4】
前記内側部材の前記係止セグメントは、複数の屈曲部を含み、前記複数の屈曲部の各屈曲部は、前記中空の細長いシャフトの前記内面の別の部分に摩擦力を及ぼすように構成される、請求項1に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項5】
前記ユーザ作動セグメントに対して固定され、前記ユーザ作動セグメントの前記近位端から延在する接続部材をさらに備える、請求項1に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項6】
前記ユーザ作動セグメントの外径は、前記中空の細長いシャフトの外径よりも小さいか、または略同一である、請求項1に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項7】
前記ユーザ作動セグメントに対して固定され、前記中空の細長いシャフトの前記近位端を内部に受容するように構成される外側ハンドルをさらに備える、請求項1に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項8】
前記コアワイヤーの少なくとも一部が、前記外側ハンドル内に延在し、かつ前記外側ハンドルに対して固定される、請求項7に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項9】
前記内側部材の前記係止セグメントは、らせん状配置、ジグザグ配置、または正弦波配置を有する、請求項1に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項10】
前記内側部材が超弾性材料から構成される、請求項1に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項11】
前記コアワイヤーは、前記偏向可能セグメントに固定される、請求項2に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項12】
前記ユーザ作動セグメントの移動により前記偏向可能セグメントに変更を生じさせるようになっている、請求項2に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項13】
前記接続部材は、前記内側部材に接続されるか一体に形成されている、請求項5に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【請求項14】
前記接続部材は少なくとも1つの屈曲部を備え、前記接続部材の前記少なくとも1つの屈曲部は、第2の中空の細長いシャフトの内面に第2の摩擦力を及ぼすように構成される、請求項5に記載の管腔内ガイドワイヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血管内および/または管腔内医療装置に関するものであり、その様々な実施形態は、体腔内へのカテーテルおよび他の医療装置の導入のための偏向可能なガイドワイヤーに係るものである。
【背景技術】
【0002】
ガイドワイヤーは、体内の治療部位に、カテーテルおよび血栓除去装置などの血管内および管腔内医療装置を前進させるために使用することができる。場合によっては、ガイドワイヤーは、ガイドワイヤーの遠位先端部が所望の治療部位に位置するまで、体を通過することができる。ガイドワイヤーを配置した後、管腔内装置をガイドワイヤー上で前進させ、治療部位で病状を治療するために使用することができる。
【0003】
曲がりくねった解剖学的構造を通過するために、ガイドワイヤーは、所望の方向に、ガイドワイヤーの遠位先端部を曲げるまたは偏向するように構成することができるプルワイヤーなどのステアリング機構を含むことができる。プルワイヤーは、ガイドワイヤーの近位端にあるハンドルなどのユーザ作動セグメントに固定することができ、ガイドワイヤーに対してユーザが軸線方向に移動させて、ガイドワイヤーの遠位先端部の偏向および真直化を制御することができる。ユーザ作動セグメントはガイドワイヤーに対して軸線方向に移動するように構成されているので、ガイドワイヤーが回転するとき、または管腔内装置がガイドワイヤー上を前進するときなど、ガイドワイヤーの使用を伴う操作中のユーザ作動セグメントの移動を防ぐのは難しいかもしれない。その結果、ガイドワイヤーの遠位先端部が不注意に曲げられるか、または真っ直ぐにされて、ガイドワイヤーが所望の搬入経路からそらされ、解剖学的構造にガイドワイヤーを通すことが困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、ガイドワイヤーに対する不注意な移動を回避するために、ユーザ作動セグメントを固定するように構成された係止機構を有すが、ユーザ作動セグメントでガイドワイヤーの遠位先端部の偏向および真直化を妨げない、管腔内ガイドワイヤーの必要性が残っている。本開示の実施形態は、ユーザ作動セグメントがユーザによって再配置されるまで、ユーザ作動セグメントおよびガイドワイヤーをそれぞれの位置にしっかりと保持するように構成することができるガイドワイヤー用自己係止機能を提供する。
【0005】
本開示の実施形態は、中空の細長いシャフトであって、中空の細長いシャフトの遠位端と中空の細長いシャフトの近位端との間に延在する中空の細長いシャフトを含むことができる。一実施形態によれば、管腔内ガイドワイヤーは、中空の細長いシャフトの近位端の近位に配置されたユーザ作動セグメントであって、中空の細長いシャフトに対して移動するように構成されているユーザ作動セグメントを含むことができる。管腔内ガイドワイヤーは、ユーザ作動セグメントと中空の細長いシャフトの遠位部分との間に延在するコアワイヤーを含むことができる。管腔内ガイドワイヤーはまた、内側部材を含むことができる。内側部材は、ユーザ作動セグメント内に少なくとも部分的に配置され、ユーザ作動セグメントに対して固定された内側部材の近位端を有することができる。内側部材はさらに、中空の細長いシャフト内に少なくとも部分的に配置され、中空の細長いシャフトに対して軸線方向に移動するように構成された内側部材の遠位端を有し、コアワイヤーが内側部材を通過することができる。いくつかの実施形態では、管腔内ガイドワイヤーは、中空の細長いシャフト内に配置するように構成された内側部材の係止セグメントが、中空の細長いシャフト内の移動時に摩擦拘束を示すように構成され、移動時の摩擦拘束は、内側部材の外面と中空の細長いシャフトの内面との間の摩擦力であるように構成することができる。
【0006】
いくつかに実施形態では、管腔内ガイドワイヤーは、中空の細長いシャフトの遠位部分に少なくとも部分内に位置する偏向可能セグメントを含むことができる。コアワイヤーは、偏向可能セグメントに固定することができる。コアワイヤーは、ユーザ作動セグメントの移動が偏向可能セグメントの偏向を引き起こすように構成することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、内側部材の係止セグメントはまた、少なくとも1つの屈曲部を含むことができ、内側部材の係止セグメントが中空の細長いシャフト内に挿入されるときに、内側部材の少なくとも1つの屈曲部は、中空の細長いシャフトの内面に摩擦力を及ぼすことができるようにする。
【0008】
いくつかの実施形態では、内側部材の係止セグメントは、内側部材の係止セグメントが中空の細長いシャフト内に挿入されるときに、少なくとも1つの屈曲部を部分的に真っ直ぐにするように構成されることができるように十分に可撓性があることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、内側部材の係止セグメントは、複数の屈曲部を含むことができる。複数の屈曲部のうちのそれぞれの屈曲部は、中空の細長いシャフトの内面の別の部分に摩擦力を及ぼすように構成することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、管腔内装置は、ユーザ作動セグメントに対して固定され、ユーザ作動セグメントの近位端から延在する接続部材を含むことができる。接続部材は少なくとも1つの屈曲部を含み、接続部材の少なくとも1つの屈曲部は、第2の中空の細長いシャフトの内面に第2の摩擦力を及ぼすように構成されるようにすることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ユーザ作動セグメントの外径は、中空の細長いシャフトの外径よりも小さいか、または実質的に等しい。
【0012】
いくつかの実施形態では、管腔内装置は、ユーザ作動セグメントに対して固定される外側ハンドルを含むことができる。外側ハンドルは、中空の細長いシャフトの近位端を内部に受容するように構成することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、コアワイヤーの少なくとも一部は、外側ハンドル内に延在することができ、かつ外側ハンドルに対して固定されることができる。
【0014】
開示された実施形態の他の構成および利点は以下の説明に部分的に記載され、一部は説明から明らかであろう。または、開示された実施形態の実施によって知ることができる。開示された実施形態の構成および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される要素および組み合わせによって実現され、達成されるであろう。
【0015】
前述の一般的説明および以下の詳細な説明は実施例および例示のみであり、特許請求され開示された実施形態を限定するものではないことを理解すべきである。
【0016】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、開示された実施形態を例示し、説明と共に、開示された実施形態を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本開示の様々な実施形態と一致する、第1の構成の例示的なガイドワイヤーの図である。
図1B】本開示の様々な実施形態と一致する、第2の構成の図1Aのガイドワイヤーの図である。
図1C】本開示の様々な実施形態と一致する、第3の構成の図1Aのガイドワイヤーの図である。
図2】本開示の様々な実施形態と一致する、別の例示的なガイドワイヤーの図である。
図3】本開示の様々な実施形態と一致する、さらなる例示的なガイドワイヤーの図である。
図4A】本開示の様々な実施形態と一致する、ガイドワイヤーの例示的な内側部材の図である。
図4B】本開示の様々な実施形態と一致する、図4Aの内側部材を含む例示的なガイドワイヤーの図である。
図5】本開示の様々な実施形態と一致する、さらに別の例示的なガイドワイヤーの図である。
図6A】本開示の様々な実施形態と一致する、別の例示的なガイドワイヤーを示す。
図6B】本開示の様々な実施形態と一致する、別の例示的なガイドワイヤーを示す。
図7】本開示の様々な実施形態と一致する、外側部材を有する例示的なガイドワイヤーの図である。
図8】本開示の様々な実施形態と一致する、外側部材を有する別の例示的なガイドワイヤーの図である。
図9A】本開示の様々な実施形態と一致する、内側部材を外側シャフト内に挿入する例示的な方法を示す。
図9B】本開示の様々な実施形態と一致する、内側部材を外側シャフト内に挿入する例示的な方法を示す。
図9C】本開示の様々な実施形態と一致する、内側部材を外側シャフト内に挿入する例示的な方法を示す。
図9D】本開示の様々な実施形態と一致する、内側部材を外側シャフト内に挿入する例示的な方法を示す。
図10A】本開示の種々の実施形態と一致する、外側部材を有する例示的なガイドワイヤーの遠位端の制御を示す。
図10B】本開示の種々の実施形態と一致する、外側部材を有する例示的なガイドワイヤーの遠位端の制御を示す。
図10C】本開示の様々な実施形態と一致する、トルク装置を有する図10Aのガイドワイヤーの回転を示す。
図10D】本開示の様々な実施形態と一致する、トルク装置を有する図10Aのガイドワイヤーの回転を示す。
図11】本開示の様々な実施形態と一致する、例示的なガイドワイヤー上でのマイクロカテーテルの前進を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面に現れる注釈は単なる例示であり、特許請求される本発明を限定するものではない。
【0019】
例示的な実施形態は、添付の図面を参照して説明される。必ずしも一定の縮尺で描かれていない図では、符号の左端の数字は、符号が最初に現れる図を識別する。都合のよい場所では、同じまたは同様の部品を参照するために、図面全体を通して同じ符号が使用される。本明細書では開示された原理の例および構成について説明するが、開示された実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、修正、適応、および他の実装が可能である。また、「備える」、「含む」、「有する」(comprising、containing、including)という単語、および他の同様の形態は、意味が同等であり、これらの単語のいずれか1つに続く1つまたは複数の項目がそのような1つまたは複数の項目の完全なリストであること、またはリストされた1つまたは複数の項目のみに限定されることを意味しない点で開放型(オープンエンド)であることを意図している。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の参照を含むことにも留意すべきである。
【0020】
本開示の実施形態は、広く言えば、医療用ガイドワイヤー、およびガイドワイヤーを使用して医療装置を体腔内に搬送するための方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、ガイドワイヤーの遠位端の屈曲および/または偏向を制御するように構成されたユーザ作動セグメントを有するガイドワイヤーに関する。例示的なガイドワイヤーは、ガイドワイヤーに対する移動を回避するようにユーザ作動セグメントを固定するように構成された自己係止機能を含むことができ、例えば医療装置をガイドワイヤー上で体腔へと搬送する間に、ガイドワイヤーの遠位端を所望の構成に保持するようにする。
【0021】
図1A図1Cに示されるように、本開示と一致するガイドワイヤー100は、ガイドワイヤーの遠位端102とガイドワイヤーの近位端104との間で長手方向軸線Aに沿って延在する中空の外側シャフト120を含むことができる。本開示では、「近位」という用語は、使用中に装置の操作者により近い装置(例えば、ガイドワイヤー100)の端部を指し、「遠位」という用語は、使用中に装置の操作者からより遠い装置の端部を指す。外側シャフト120は、ステンレス鋼、ニチノール、PEEK、ウレタン、および/またはポリカーボネートなどの生体適合性材料で構成することができる。ガイドワイヤー100は、例えば約100センチメートル~約350センチメートルの任意の適切な長さを有することができ、ガイドワイヤーは、少なくとも患者の体外の場所から体内の所望の部位まで延在するのに十分になるようにする。
【0022】
外側シャフト120は、その遠位端に偏向可能セグメント122を含むことができる。偏向可能セグメント122は、外側シャフト120よりも可撓性が大きくなるように構成することができ、偏向可能セグメント122は、外側シャフト120が長手方向軸線Aに沿って真っ直ぐに留まったまま、1つ以上の方向に横方向に湾曲または偏向することができる。いくつかの実施形態では、偏向可能セグメント122は、ステンレス鋼、ニッケル合金、ニッケルチタン合金(例、ニチノール)、プラチナ、タンタル、チタンなどの弾性材料で構成されたらせん状に巻かれたワイヤーを含むことができる。偏向可能セグメント122のらせん状コイルは、長手方向軸線Aに平行に延在することができ、はんだ、溶接、接着剤、1つ以上の機械式締結具、または他の適切な手段などによって、外側シャフト120に接続することができる。いくつかの代替実施形態では、偏向可能セグメント122は、偏向可能セグメント122を外側シャフト120よりも可撓性を大きくするように製造または処理された、外側シャフト120の延長部または一部を構成することができる。例えば、偏向可能セグメント122は、片側に沿って一連の切り込みまたは溝を含むことができ、偏向可能セグメント122が、切り込みまたは溝を有するセグメント122の側面が面する方向に屈曲または偏向することを可能にする。いくつかの実施形態では、偏向可能セグメント122の外径は、外側シャフト120の外径と実質的に等しくすることができる。あるいはまた、偏向可能セグメント122の外径は、外側シャフトの外径よりも大きく、または小さくすることができる。いくつかの実施形態では、偏向可能セグメント122は、丸みを帯びた鈍角の遠位先端部を含むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、偏向可能セグメント122は、約0.5cm~約10.0cmの軸線方向の長さを有することができる。例えば、偏向可能セグメント122は、約1.0cm~約5.0cmの軸線方向の長さを有することができる。様々な実施形態では、限定することなしに、偏向可能セグメント122は、0.5cm、1.0cm、1.5cm、2.0cm、2.5cm、3.0cm、3.5cm、4.0cm、4.5cm、5.0cm、5.5cm、6.0cm、6.5cm、7.0cm、7.5cm、8.0cm、8.5cm、9.0cm、9.5cm、10.0cm、またはこれらの範囲のうちの少なくとも1つである軸線方向の長さを有することができる。
【0024】
ガイドワイヤー100は、その近位端104にユーザ作動セグメント130を含むことができる。ユーザ作動セグメント130は、ハンドルとして構成された部材を含むことができ、これは、外側シャフト120に対して移動可能とすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザ作動セグメント130の少なくとも一部は、中空とすることができ、外側シャフト120の外径と実質的に等しい外径を有することができる。ガイドワイヤー100は、コアワイヤー110を含むことができ、コアワイヤー110は、偏向可能セグメント122に接続し、外側シャフト120の内腔を通って外側シャフト120の近位端まで延在することができ、ユーザ作動セグメント130に接続されることができる。
【0025】
ユーザ作動セグメント130とコアワイヤー110との間の接続により、ユーザ作動セグメント130の軸線方向の移動は、外側シャフト120に対するコアワイヤー110の対応する軸線方向の移動を引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、(図1Bおよび図1Cに点線矢印134aおよび134bによって示される)ユーザ作動セグメント130の外側シャフト120に対する軸線方向の動作は、外側シャフト120の残りの部分に対して偏向可能セグメント122の偏向および/または真直化を引き起こすことができる。図1A図1Cに示される例では、偏向可能セグメント130は、コアワイヤー110から印加される軸線方向の力が無い場合、実質的に真っ直ぐな構成(図1A)のままであるように構成することができる。いくつかの実施形態では、(図1Cの矢印134bによって表される)ユーザ作動セグメント130の近位移動は、コアワイヤー110を近位方向に引き、偏向可能セグメント122を、長手方向軸線A(図1C)から離れる第1の方向に偏向または湾曲させることができる。追加的に、または代替的に、(図1Bの矢印134aによって表される)ユーザ作動セグメント130の遠位移動は、コアワイヤー110を遠位方向に押し、偏向可能セグメント122を第1の方向(図1B)とは反対の長手方向軸線Aから離れる第2の方向に偏向または湾曲させることができる。長手方向軸線Aから離れる偏向可能セグメント122の曲率は、少なくとも部分的に、偏向可能セグメント122の可撓性によって提供することができる。
【0026】
代替の実施形態では、偏向可能セグメント122は、コアワイヤー110から加えられる軸線方向の力が無い中で、偏向または湾曲した構成(例えば、図1Bまたは図1Cに示される構成)に留まるように構成することができる。ユーザ作動セグメント130(したがって、コアワイヤー110)の軸線方向の移動は、偏向可能セグメント122を真っ直ぐにすることができる。
【0027】
コアワイヤー110は、依然として偏向可能セグメント内で屈曲して湾曲するのに十分に可撓性をもちながら、偏向可能セグメントの曲率を制御するように、偏向可能セグメント122を押して引くのに十分な強度を有する1つ以上の材料から構成することができる。例えば、コアワイヤー110は、ステンレス鋼合金、ニッケルチタン合金、またはポリマーから構成することができる。コアワイヤー110は、はんだ、溶接、接着剤、1つ以上の機械式締結具、または他の適切な手段によって、偏向可能セグメント122およびユーザ作動セグメント130に接続することができる。いくつかの実施形態では、コアワイヤー110は、偏向可能セグメント122の遠位先端部に接続することができる。追加的に、または代替的に、コアワイヤー110は、偏向可能セグメント122の別の部分に接続することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤー100の一部または全部は、ガイドワイヤー100の生体適合性を高め、ガイドワイヤーの外面を滑らかにするために、PTFE、ePTFE、FEP、ポリエステル、またはポリウレタンなどの外側コーティングを含むことができる。例えば、外側シャフト120、偏向可能セグメント122、およびオプションでユーザ作動セグメント130は、外側コーティングでそのように処理することができる。追加的に、または代替的に、コアワイヤー110は、PTFE、ePTFE、FEP、ポリエステル、またはポリウレタンなどの材料でコーティングされて、コアワイヤー110が外側シャフト120内で摺動する能力を高めることができる。
【0029】
図2は、別の例示的なガイドワイヤー200の近位端を示す。ガイドワイヤー200は、少なくとも部分的に外側シャフト120およびユーザ作動セグメント130内に位置することができる内側部材240を含むことができ、コアワイヤー110は、内側部材240を通って延在する。内側部材240は、外側シャフト120に対するユーザ作動セグメント130の軸線方向の移動を案内および支持するために、ユーザ作動セグメント130または外側シャフト120に接続することができる。
【0030】
図3は、他の例示的なガイドワイヤー300の近位端を示す。ガイドワイヤー300は、少なくとも部分的に外側シャフト320およびユーザ作動セグメント130内に位置する内側部材340を含むことができる。いくつかの実施形態では、内側部材340は、はんだ、溶接、接着剤、1つ以上の機械式締結具、またはその他の適切な手段によって、ユーザ作動セグメント130に接続することができる。内側部材340は、外側シャフト320に対して軸線方向に移動するように構成することができる。いくつかの実施形態では、内側部材340の一部(例えば、部分346)は、外側シャフト320との意図された摩擦を示すように構成することができる。これは、概して破線を使用して内側部材340の外側部分346を示すことによって図3に示されている。内側部材340と外側シャフト320との間の摩擦は、自己係止機能を形成することができ、ユーザが摩擦に打ち克つようにユーザ作動部材130に十分な軸線方向の力を加えたとき、内側部材340は外側シャフト320に対して軸線方向に移動することができるようにする。しかしながら、ユーザが印加する軸線方向の力が無い場合は、ユーザがユーザ作動部材130に軸線方向の力を加えるまで、摩擦は、内側部材340および外側シャフト320をそれらの相対軸線方向位置に保持することができる。
【0031】
本開示の実施形態と一致して、意図した摩擦は、多くの方法で設計して実施することができる。いくつかの実施形態では、意図した摩擦は、内側部材と外側シャフトとの間の干渉公差を使用することによって実施できる。例えば、内側部材340は、約0.2mm~約3.0mmの外径340aを有することができ、一方、外側シャフト320は、内側部材340の外径と外側シャフト320の内径との間に摩擦が形成されるように外径340aに対して締まりばめ公差を有するように構成された内径320bを有することができる。
【0032】
いくつかの代替実施形態では、内側部材は、成形または他の方法で外側シャフトの内腔に接触するように構成され、こうしてそれらの間に摩擦を作成することができる。例えば、図4Aに示されるように、内側部材が外側シャフト420の外側に位置するとき、内側部材440は、1つ以上の設計された屈曲部442を有する幾何学的形状を示すことができる。いくつかの実施形態では、内側部材440は、蛇行構成をとるように構成することができ、内側部材は、実質的に真直なセクションによって分離される1つ以上の設計された屈曲部442を含むようにすることができる。内側部材440は、1つの屈曲部、2つの屈曲部、3つの屈曲部、4つの屈曲部、5つの屈曲部、6つの屈曲部、または任意の他の適切な数の屈曲部を含むことができる。他の実施形態では、内側部材440は、ジグザグパターン、正弦波パターン、またはらせん状コイルパターンなどの異なる屈曲パターンを含むことができる。いくつかの実施形態では、内側部材440は、異なる屈曲パターン、例えば蛇行部分と正弦波部分の組み合わせを含むことができる。
【0033】
内側部材440は、当業者に公知の任意の適切な可撓性材料から構成することができる。適切な可撓性材料は、ポリマー、金属、金属合金、およびそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、例えば、内側部材440は、ニチノールなどの超弾性金属から構成することができる。その結果、内側部材が外側シャフト420の内側で真っ直ぐにされると、内側部材440は、負荷ばねとして作用し、指定された圧力/摩擦点442で内側部材440と外側シャフト420の間の連続的で一定の摩擦を確実にすることができる。例えば、図4Bに示されるガイドワイヤー400は、外側シャフト420内に配置するために十分に真っ直ぐになるように構成された内側部材440を含むことができる。しかしながら、内側部材440のばね状構成により、内側部材は、屈曲部442が外側シャフトの内面に接触するまで、外側シャフト420内で屈曲することができる。これにより、少なくとも屈曲部442の位置で内側部材440と外側シャフト420との間に摩擦を生成することができる。ユーザがこの摩擦に打ち克つのに十分な軸線方向力をユーザ作動セグメント130に及ぼすと、内側部材440は、外側シャフト420に対して軸線方向に移動することができ、偏向可能セグメント(図4Bには図示されない)の屈曲または真直化を可能にする。ユーザが加えた力が無い場合、意図された摩擦は、内側部材440と外側シャフト420をそれぞれの軸線方向位置に保持することができる。有利なことに、この摩擦は、内側部材および外側シャフトの不注意な移動または外れを防止し、偏向可能セグメントがその意図された屈曲または真直構成に留まることを可能にすることができる。例えば、ガイドワイヤー400の操作中または回転中、または医療装置がガイドワイヤー400上で送入されている間、内側部材440および外側シャフト420は、摩擦によって共に保持され、偏向可能セグメントが不注意に曲がる、または真っ直ぐになるのを防ぐことができる。図4Aおよび図4Bに示されるように、コアワイヤー110は、内側部材440の曲率内で曲がるように十分に可撓性であることができる。
【0034】
代替の実施形態では、内側部材は、はんだ、溶接、接着剤、1つ以上の機械式締結具、または他の適切な手段などによって、外側シャフトに接続することができる。そのような実施形態では、内側部材は、ユーザ作動セグメントに対して軸線方向に移動するように構成することができ、上述の例示的な機構によって内側部材とユーザ作動セグメントとの間に意図された摩擦が形成される。
【0035】
図5は、別の例示的なガイドワイヤー500を示す。いくつかの実施形態では、ユーザ作動セグメント530の外径530aは、外側シャフト520の外径520aと実質的に等しくすることができる。あるいはまた、ユーザ作動セグメント530の外径530aは、外側シャフト520の外径520aよりも小さくすることができる。ユーザ作動セグメント530および外側シャフト520のうちの少なくとも一方は、0.25mm~3.0mmの外径を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザ作動セグメント530および外側シャフト520のうちの少なくとも一方は、0.36mm~0.42mmの範囲の外径を有することができる。様々な実施形態では、限定することなしに、ユーザ作動セグメント530および外側シャフト520の少なくとも一方は、0.25mm、0.26mm、0.27mm、0.28mm、0.29mm、0.30mm、0.31mm、0.32mm、0.33mm、0.34mm、0.35mm、0.36mm、0.37mm、0.38mm、0.39mm、0.40mm、0.41mm、0.42mm、0.43mm、0.44mm、0.45mm、0.46mm、0.47mm、0.48mm、0.49mm、0.50mm、0.55mm、0.60mm、0.65mm、0.70mm、0.75mm、0.80mm、0.85mm、0.90mm、0.95mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3.0mm、またはこれらの範囲のうちの少なくとも1つである外径を有することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、偏向可能セグメントの外径は、外側シャフト520の外径520aと実質的に等しくすることができる。いくつかの代替実施形態では、偏向可能セグメントの外径は、外側シャフト520の外径520aよりもより大きく、または小さくすることができる。外側シャフト520とユーザ作動セグメント530の一部は、内側部材540を内部に受容することができるように中空とすることができる。したがって、内側部材540は、外側シャフト520およびユーザ作動セグメント530の内径よりも小さい外径540aを有することができる。内側部材540は、0.15mm~3.0mmの外径540aを有することができる。いくつかの実施形態では、内側部材540は、0.16mm~0.22mmの範囲内の外径540aを有することができ、例えば、内側部材540は、0.19mmの外径540aを有することができる。様々な実施形態では、限定することなしに、内側部材540は、0.15mm、0.16mm、0.17mm、0.18mm、0.19mm、0.20mm、0.21mm、0.22mm、0.23mm、0.24mm、0.25mm、0.26mm、0.27mm、0.28mm、0.29mm、0.30mm、0.31mm、0.32mm、0.33mm、0.34mm、0.35mm、0.36mm、0.37mm、0.38mm、0.39mm、0.40mm、0.41mm、0.42mm、0.43mm、0.44mm、0.45mm、0.46mm、0.47mm、0.48mm、0.49mm、0.50mm、0.55mm、0.60mm、0.65mm、0.70mm、0.75mm、0.80mm、0.85mm、0.90mm、0.95mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3.0mm、またはこれらの範囲のうちの少なくとも1つである外径540aを有することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ユーザ作動セグメント530および外側シャフト520の外径は、様々な他の互換性のある装置にガイドワイヤー500の後部からの装填を可能にすることができる。すなわち、ユーザ作動セグメント530および外側シャフト520の外径は、医療装置(例えば、カテーテル)が近位端504からユーザ作動セグメント530上に装填され、ユーザ作動セグメント530および外側シャフト520を越えて遠位端502に向かって前進することを可能にすることができる。
【0038】
図6Aおよび図6Bは、ユーザ作動セグメント630の近位端に追加された、またはそこから延在する接続部材645を有する別の例示的なガイドワイヤー600を示す。いくつかの実施形態では、接続部材645は、接続部材が内側部材640の延長部を構成するように、内側部材640と一体的に形成することができる。いくつかの代替実施形態では、接続部材645は、例えば、はんだ、溶接、接着剤、1つ以上の機械式締結具、またはその他の適切な手段によって、内側部材640に接続することができる。いくつかの実施形態では、接続部材645は、ユーザ作動セグメント630に直接接続することができる。あるいはまた、接続部材645は、ユーザ作動セグメント630と内側部材640との間の接続により、ユーザ作動セグメント630に対して固定することができる。いくつかの実施形態では、接続部材645は、ユーザ作動セグメント630の外径と実質的に等しいかまたはそれよりも小さい外径を有することができる。
【0039】
接続部材645は、延長ワイヤー、ドケットワイヤー、シャフト、または任意の他の補助装置(例えば、装置650)をガイドワイヤー600に接続できるように構成することができる。例えば、図6Bに示されるように、補助装置650は、近位端604から接続部材645上に装填され、補助装置650が接続部材645上にしっかりと取り付けられるまで、遠位に前進させることができる。いくつかの実施形態では、本開示と一致して、接続部材645(例えば、それに接続された延長ワイヤーまたはドケットワイヤーを有する)は、ガイドワイヤー600上に配置されたカテーテルの近位端を超えて近位に延在するように構成することができる。そのような延長部は、ユーザ(例えば、医師)が、ガイドワイヤーの近位端へのアクセスを失うことなく、かつガイドワイヤーの遠位端を体内の手術位置から不注意に取り除くことなく、カテーテルを操作および再配置可能にすることができる。
【0040】
図6Aおよび図6Bに示されるように、接続部材645はまた、前述の例示的な内側部材と同様に、補助装置650とのしっかりした接続のための意図された摩擦を伴う設計を組み込むことができる。例えば、図6Aに示されるように、接続部材645は、接続部材が補助装置650の外側に位置しているとき、1つ以上の設計された屈曲部646を備えた幾何学的形状を示すことができる。いくつかの実施形態では、接続部材645は、接続部材が実質的に直線セクションによって分離された1つ以上の設計された屈曲部646を含むことができるように、蛇行構成をとるように構成することができる。接続部材645は、1つの屈曲部、2つの屈曲部、3つの屈曲部、4つの屈曲部、5つの屈曲部、6つの屈曲部、または任意の他の適切な数の屈曲部を含むことができる。他の実施形態では、接続部材645は、ジグザグパターン、正弦波パターン、またはらせん状コイルパターンなどの異なる屈曲パターンを含むことができる。いくつかの実施形態では、接続部材645は、異なる屈曲パターン、例えば、蛇行部分と正弦波部分の組み合わせを含むことができる。
【0041】
接続部材645は、当業者に公知の任意の適切な可撓性材料から構成することができる。適切な可撓性材料は、ポリマー、金属、金属合金、およびそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、例えば、接続部材645は、ニチノールなどの超弾性金属から構成することができる。その結果、接続部材645は、補助装置650内に配置するために十分に真っ直ぐになるように構成することができる。しかしながら、接続部材645のばねのような構成により、屈曲部646が補助装置650の内面に接触するまで、接続部材は補助装置650内で屈曲することができる。これにより、少なくとも屈曲部646の位置で、接続部材645と補助装置650との間に摩擦が生じ得る。ユーザが補助装置650に十分な軸線方向の力を加えると、この摩擦に打ち克つことができ、補助装置650は接続部材645の上を遠位に前進することができる。しかしながら、ユーザが加えた力が無い場合、摩擦により、接続部材645および補助装置650をそれぞれの軸線方向位置に保持することができる。
【0042】
図6Bに示す実施形態を含むいくつかの実施形態では、内側部材640および接続部材645は、上述の例示的な構成に従って、外側シャフト620および補助装置650をそれぞれ摩擦係合するように構成することができる。有利なことに、この構成により、補助装置650がガイドワイヤー600に固定されたまま、同時に、ユーザ作動セグメント630と外側シャフトの固定された相対位置により、偏向可能セグメント622を所望の真直または屈曲構成に維持することも可能にすることができる。追加的に、または代替的に、ユーザは、ユーザ作動セグメント630を軸線方向に移動させることによって偏向可能セグメント622の曲率を調整することができ、これは、内側部材640、接続部材645、および補助装置650の対応する軸線方向移動を引き起こすことができる。これにより、ユーザ作動セグメント630を使用して偏向可能セグメント622を曲げまたは真っ直ぐにする間でさえ、補助装置をガイドワイヤー600に固定したままにすることができる。
【0043】
図7は、その上に外側部材760が位置するユーザ作動セグメント730を含む例示的なガイドワイヤー700を示す。いくつかの実施形態では、ユーザ作動セグメント730は、外側部材760内に完全に受容されることができる。あるいはまた、ユーザ作動セグメント730の一部は、外側部材760から延在することができる。外側部材760はまた、外側シャフト720の少なくとも一部を内部に受容することができる。いくつかの実施形態では、ユーザ作動セグメント730と外側部材760は、外側部材760が、偏向可能セグメントの曲率を制御するために、外側シャフト720に対して軸線方向に移動できるように共に固定することができる(図示せず)。外側部材760は、ハンドルとして構成することができ、改善されたサポートと使いやすさを提供することができる。外側部材760は、永久的にまたは取り外し可能にユーザ作動セグメント730に固定することができる。
【0044】
図8は、近位端摩擦ハンドルセクションとして構成することができる外側部材860を含む例示的なガイドワイヤー800を示す。ユーザ作動セグメント830は、外側部材860内に位置することができ、内側部材840に対して外側部材860を固定することができる。内側部材840は、外側部材860の遠位端から延在することができる。いくつかの実施形態では、外側部材860は、外側シャフト820の外径820aと実質的に等しい外形860aを有することができる。あるいはまた、外側部材860の外径860aは、外側シャフト820の外径820aよりも大きくすることができる。
【0045】
外側部材860は、約0.3mm~約3.0mmの外径860aを有することができる。いくつかの実施形態では、外側部材860は、0.36mm~0.42mmの範囲内の外径860aを有することができる。様々な実施形態では、限定することなしに、外側部材860は、0.30mm、0.31mm、0.32mm、0.33mm、0.34mm、0.35mm、0.36mm、0.37mm、0.38mm、0.39mm、0.40mm、0.41mm、0.42mm、0.43mm、0.44mm、0.45mm、0.46mm、0.47mm、0.48mm、0.49mm、0.50mm、0.51mm、0.52mm、0.53mm、0.54mm、0.55mm、0.56mm、0.57mm、0.58mm、0.59mm、0.60mm、0.65mm、0.70mm、0.75mm、0.80mm、0.85mm、0.90mm、0.95mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3.0mm、またはこれらの範囲のうちの少なくとも1つである外径860aを有することができる。
【0046】
追加的に、または代替的に、外側シャフト820は、約0.25mm~約0.6mmの外径820aを有することができる。いくつかの実施形態では、外側シャフト820は、0.38mm~0.42mmの範囲内の外径820aを有することができ、例えば、外側シャフト820は、0.40mmの外径820aを有することができる。様々な実施形態では、限定することなしに、外側シャフト820は、0.25mm、0.26mm、0.27mm、0.28mm、0.29mm、0.30mm、0.31mm、0.32mm、0.33mm、0.34mm、0.35mm、0.36mm、0.37mm、0.38mm、0.39mm、0.40mm、0.41mm、0.42mm、0.43mm、0.44mm、0.45mm、0.46mm、0.47mm、0.48mm、0.49mm、0.50mm、0.51mm、0.52mm、0.53mm、0.54mm、0.55mm、0.56mm、0.57mm、0.58mm、0.59mm、0.60mm、またはこれらの範囲のうちの少なくとも1つである外径820aを有することができる。
【0047】
図8に示されるように、外側シャフト820の近位端は、減少した外径865aを有することができ、外側シャフトの近位端が、少なくとも部分的に外側部材860内に受容することができるようにする。この構成は、外側シャフト820と外側部材860との間の交差部865において滑らかな外面を提供することができ、また、外側部材860が操作されている間のガイドワイヤー800の安定性を改善することができる。いくつかの実施形態では、外側シャフト820の外径820aは、交差部865で外径865aに減少することができる。外側シャフト820の減少した外径865aは、0.20mm~0.56mmの範囲内とすることができ、例えば、外側シャフト820は、交差部865で0.31mmの減少した外径865aを有することができる。様々な実施形態では、限定することなしに、外側シャフト820は、交差部865で0.20mm、0.21mm、0.22mm、0.23mm、0.24mm、0.25mm、0.26mm、0.27mm、0.28mm、0.29mm、0.30mm、0.31mm、0.32mm、0.33mm、0.34mm、0.35mm、0.36mm、0.37mm、0.38mm、0.39mm、0.40mm、0.41mm、0.42mm、0.43mm、0.44mm、0.45mm、0.46mm、0.47mm、0.48mm、0.49mm、0.50mm、0.51mm、0.52mm、0.53mm、0.54mm、0.55mm、0.56mm、またはこれらの範囲のうちの少なくとも1つである減少した外径865aを有することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、外側シャフト820は、0.10mm~0.40mmの範囲内の内径820bを有することができ、例えば、外側シャフト820は、0.20mmの内径820bを有することができる。様々な実施形態では、限定することなしに、外側シャフト820は、0.10mm、0.11mm、0.12mm、0.13mm、0.14mm、0.15mm、0.16mm、0.17mm、0.18mm、0.19mm、0.20mm、0.21mm、0.22mm、0.23mm、0.24mm、0.25mm、0.26mm、0.27mm、0.28mm、0.29mm、0.30mm、0.31mm、0.32mm、0.33mm、0.34mm、0.35mm、0.36mm、0.37mm、0.38mm、0.39mm、0.40mm、またはこれらの範囲のうちの少なくとも1つである内径820bを有することができる。
【0049】
使用時には、外側部材860は、偏向可能セグメントの曲率を制御するために、外側シャフト820に対して軸線方向に移動させることができる(図示せず)。外側部材860の近位への移動は、外側シャフト820と外側部材860との間の交差部865の長さの短縮を引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、交差部865は、特定の位置を超えた外側部材860の近位移動を防止するように構成されるストッパーまたは戻り止めを含むことができる。外側部材860はまた、外側シャフト820に対して遠位に移動することができ、こうして交差部865の長さを増加させることができる。いくつかの実施形態では、外側部材860は、外側部材の遠位端が外側シャフト820の大径部分に当接するまで遠位に移動することができる(例えば、図8に示される構成)。
【0050】
図9A図9Dは、外側シャフト920によって内側部材940の遠位端944を挿入する例示的な方法を示している。図9Aに示されるように、内側部材940は、外側シャフト920の外側に位置するとき、湾曲したまたは曲がった構成を有することができる。例えば、内側部材940は、いくつかの屈曲部942を含み、内側部材をジグザグまたは蛇行構成にすることができる。内側部材940の屈曲部942は、内側部材が外側シャフト920内に挿入されるとき、部分的に真っ直ぐになることができ、(図9Bおよび図9C)、こうしてそれらの間で摩擦嵌合を達成する。いくつかの実施形態では、内側部材940は、屈曲部942のすべてが外側シャフト920内に配置されるまで遠位に挿入することができる(図9D)。
【0051】
図10Aおよび図10Bは、偏向可能セグメント1022の偏向および/または真直化に影響を与えるための、外側シャフト1020に対するユーザ作動セグメント1020および任意選択で外側部材1060の相対運動を示す。内側部材1040と外側シャフト1020との間の摩擦嵌合は、ガイドワイヤー1000の操縦中に、偏向可能セグメント1022を所望の偏向または真直構成に保持することができる。例えば、図10Cおよび図10Dは、トルカー1070がガイドワイヤー1000に挿入され、ガイドワイヤー1000から取り外されている間、所望の偏向構成に保持された偏向可能セグメント1022を示す。トルカー1070は、ガイドワイヤーを回転させるために、任意の点でガイドワイヤー1000に固定することができる。例えば、図10Cは、外側部材1060へのトルカー1070の固定、およびガイドワイヤー1000の回転をもたらすためのトルカーの回転を示す。また、図10Dは、外側シャフト1020へのトルカー1070の固定、およびガイドワイヤー1000の回転をもたらすためのトルカーの回転を示す。両方の構成において、内側部材1040と外側シャフト1020との間の摩擦嵌合は、トルカー1070によるガイドワイヤー1000の回転中に所望の湾曲または真直化された構成に偏向可能セグメント1022を保持することができる。
【0052】
図11は、マイクロカテーテル1180が上に配置された例示的なガイドワイヤー1100を示す。図11では、マイクロカテーテル1180内に位置するガイドワイヤー1100の部分が破線で描かれている。いくつかの実施形態では、ユーザ作動セグメント1130の外径は、外側シャフト1120の外径と実質的に等しいかまたはそれよりも小さくすることができる。その結果、マイクロカテーテル1180などの装置は、ユーザ作動セグメント1130を含むガイドワイヤー1100上を通過し、摩擦嵌合がユーザ作動セグメント1130を保持しながら、したがって偏向可能セグメント1122を静止状態に保持しながら体内に送入させることができる。いくつかの実施形態では、摩擦嵌合がガイドワイヤー部品を静止状態に保持しながら、カテーテル交換操作をガイドワイヤー1100によって実行することができる。カテーテル交換操作では、第1のマイクロカテーテルをガイドワイヤー1100から取り外し、第2のマイクロカテーテルをガイドワイヤー1100の上に挿入することができる。交換操作中に摩擦嵌合が残るため、偏向可能セグメント1122は所望の偏向構成を保持し、ガイドワイヤー1100の遠位端は交換中に変位しない。
【0053】
本明細書では例示的な実施形態を説明してきたが、範囲は、本開示に基づく、均等な要素、変形、省略、(例えば、多様な実施形態にわたる態様の)組み合わせ、適用、または改変を有する任意のおよび全ての実施形態を含む。請求項内の要素は、請求項で使用される言語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載された例または本出願の審査中に限定されず、それらの例は非限定的であると解釈されるべきである。さらに、開示された方法のステップは、ステップを再順序付けすること、またはステップを挿入または削除することを含む、任意の方法で修正することができる。したがって、明細書および例は、例としてのみ考慮されることが意図されており、真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の全範囲によって示される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11