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特開2023-1649903D-IC技術を用いて製造するイベントベースビジョンセンサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164990
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】3D-IC技術を用いて製造するイベントベースビジョンセンサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231107BHJP
   H01L 27/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H01L27/146 F
H01L27/00 301B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145998
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2020571913の分割
【原出願日】2019-03-08
(31)【優先権主張番号】62/642,838
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520352078
【氏名又は名称】ソニー アドバンスト ビジュアル センシング エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーナー ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ブランドリ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ザノニー ミッシモ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】3次元集積化(Three-Dimensional Integrated Circuit)技術として知られる高度の積層技術を用いてイベントベースビジョンセンサを提供する。
【解決手段】3次元集積化では、多くのウェーハ(又はダイ)を積層し、それらを垂直に接続する。このセンサの電子集積回路は、2以上の電気的に接続されたダイ間に分布する。ウェーハ1にはPD等の感光デバイスを形成し、ウェーハ2にはPRやイベントジェネレータ等の画素回路を形成する。両ウェハをCu-Cu接合部CCを介して接合する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された第1のダイと第2のダイを含むイベントベースビジョンセンサであって、
前記第1のダイに画素アレイの各画素のフォトダイオードが配置され、
前記第2のダイに画素アレイの各画素のイベント検出器と、光強度に依存するフォトレセプタ信号を生成して前記イベント検出器に入力するフォトレセプタ回路が配置され、
前記フォトレセプタ回路は、複数のトランジスタで構成され、
前記イベント検出器は、メモリキャパシタと、比較器と、メモリとを有し、
前記メモリキャパシタは、MIM(金属-絶縁体-金属構造)キャパシタで構成され、前記MIMキャパシタの第1のプレートは前記フォトレセプタ回路により生成されたフォトレセプタ信号と接続され、前記MIMキャパシタの第2のプレートは前記比較器の一方の入力に接続され、前記比較器の他方の入力はコントローラによって適用される閾値信号と接続され、
前記比較器の出力は前記メモリに記憶されるように構成される、
イベントベースビジョンセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のイベントベースビジョンセンサであって、
前記MIMキャパシタの前記第2のプレートと前記比較器の一方の入力との間には前記条件付きリセット回路が接続され、前記条件付きリセット回路は、前記メモリに記憶された前記比較器の出力とコントローラによって適用されるリセット信号との組み合わせに基づいて導通状態が切り替えられるように構成される、
イベントベースビジョンセンサ。
【請求項3】
請求項1に記載のイベントベースビジョンセンサであって、
前記第1のダイは配線層が光入射面とは反対側に配置される裏面照射構造を有する
イベントベースビジョンセンサ。
【請求項4】
請求項1に記載のイベントベースビジョンセンサであって、
前記第1のダイと前記第2のダイはCu-Cu接合部を用いて互いに接続される
イベントベースビジョンセンサ。
【請求項5】
請求項1に記載のイベントベースビジョンセンサであって、
前記第1のダイ及び/又は前記第2のダイは積層ダイを含み、前記積層ダイは、スルーシリコンビア接続を有する
イベントベースビジョンセンサ。
【請求項6】
請求項1に記載のイベントベースビジョンセンサであって、
前記フォトレセプタ回路は、n-FETトランジスタ及びp-FETトランジスタを含む
イベントベースビジョンセンサ。
【請求項7】
請求項1に記載のイベントベースビジョンセンサであって、
前記フォトレセプタ回路は、2つのn-FETトランジスタとp-FETトランジスタを含む
イベントベースビジョンセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年3月14日に出願された米国特許仮出願第62/642,838号の利益を35U.S.C.§119(e)に基づき主張するものであり、該仮出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
イベントベース画素アレイ(ダイナミックビジョンセンサ(DVS:Dynamic Vision Sensor)とも称する)の設計において重要なパラメータの1つに、量子効率(QE:quantum efficiency)がある。量子効率(QE)とは、光信号に対して生成される電子の数と、この光信号の光子の数との比率である。このパラメータは曲線因子(FF:fill-factor)に直接左右される。この曲線因子(FF)は、露光される感光デバイスの面積と、露光される集積回路の全面積との比率である。
【0003】
今日において、イベントベースビジョンセンサはシリコン・プレーナ・プロセスを用いて実現されるため、露光されるエリアは感光デバイスと、画素回路を構成する他の半導体デバイスとの間で共有される。この手法には2つの主な欠点がある。1つは、感光デバイスの面積が制限されるということであり、もう1つは、露光する必要のない回路が光にさらされ、これにより回路のパフォーマンスが低下することである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の主な目的は、イベントベースビジョンセンサの製造において高度な積層技術を用いてこれらの2つの問題を緩和することにある。このような高度な積層技術は3次元集積化(3D-IC:Three-Dimensional Integrated Circuit)技術として知られている。3D-IC技術では、多くのウェーハ(又はダイ)を積層し、これらを垂直に相互接続することができる。
【0005】
現存の動機として、以下のものがある。
【0006】
FFを増加させること。
【0007】
光を受容する必要が無い、又は光を受容するべきではない回路のシールドを行うこと。
【0008】
画素の異なる構成要素には異なる要件を定めること。この要件を満たすためには、これらの構成要素をそれぞれ異なるICプロセスで実現することが最適である(感光デバイスは、理論的には、非シリコンベースの技術、例えばGaAsで製造してもよい)。
【0009】
一般的に、一様態においては、イベントベースビジョンセンサ(EBVS)が垂直に接続された積層ダイを含むことが本発明の特徴とされる。結果として、画素アレイの各画素の感光デバイスを露光されるダイに配置し、光の受容には用いられない他のデバイスを他のウェーハ又はダイに配置することができる。
【0010】
好ましくは、ダイ間の画素アレイのすべての画素に対して少なくとも1の接続部があればよい。
【0011】
通常、画素アレイの各画素のフォトダイオードは第1のダイにあり、第2のダイの画素アレイの各画素のイベント検出器と、第1のダイと第2のダイ間の相互接続部によってフォトダイオードは各イベント検出器に接続される。
【0012】
この手法は、表面照射構造に用いることもできるし、裏面照射構造に用いることもできる。
【0013】
また、画素アレイの各画素のフォトレセプタ回路を実装するためには多くの異なる方法が存在する。例えば、フォトレセプタ回路は第2のダイ上に位置することもできるし、第1のダイ上に位置することもできるし、第1のダイと第2のダイの間に分布することもできる。
【0014】
追加のアンプ段は、第1のダイに追加されてもよい。
【0015】
多くの場合、n-FETトランジスタは第1のウェーハ又はダイにおいて用いられ、第2のダイではn-FETトランジスタとp-FETトランジスタの両方が用いられる。
【0016】
また、第1のダイ上のトランジスタと第2のダイ上のトランジスタのトランジスタ特性は異なっていてもよく、ゲート酸化物の厚さが異なっていてもよいし、又はインプラントが異なっていてもよい。
【0017】
概して、一様態においては、イベントベースビジョンセンサの製造方法が本発明の特徴とされる。通常、この方法は、異なるウェーハ又はダイにおいて画素アレイの各画素で異なるデバイスを製造し、その後このウェーハ又はダイを積層することを含む。
【0018】
本明細書で用いる「ダイ」という用語は、半導体ウェーハの一部を意味し、通常、チップ等の矩形の形状を有する。ここで、この半導体ウェーハの一部は、イベントベースビジョンセンサ等の集積回路デバイスの例の一部を含む。ウェーハ又はダイへの言及は、異なる製造手法の可能性に基づいている。積層は、ダイへのダイシングを行う前に、ウェーハレベルで行ってもよいし、ウェーハからダイを切り出した(ダイシングを行った)後に、個々のダイに対して積層を行ってもよい。結果として、このような製造プロセスによって得られる最終的なデバイスは積層ダイとなる。
【0019】
この方法はその後、例えばCu-Cu接合を用いて各画素を接続することを含む。
【0020】
一実施例においては、この方法はさらに、第1のウェーハ又はダイにおける画素アレイの各画素のフォトダイオードを製造し、第2のウェーハ又はダイにおける画素アレイの各画素のイベント検出器を製造することを含む。
【0021】
構造や部品の組合せに関して多様な新規の細部を含む発明の上記又はその他の特徴及び他の利点は、添付の図面を参照して本明細書において詳細に記載され、特許請求の範囲において指摘される。本発明を実施する特定の方法及びデバイスは、本発明を限定せず、単に例として示されることが理解される。本発明の原理及び特徴は、本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、様々な実施形態において実施され得る。
【0022】
添付図面において、異なる図面においても同じ参照符号は同一の部品を示す。図面は必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではなく、本発明の原理を示すことに重きが置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、例えば、PCT/IB2017/058526及びU.S.Pub.No.2018/0191972に記載のイベントベースイメージセンサ用の従来技術による画素の実施例を示す回路図である。
【0024】
図2A図2A~2Cはシングルウェーハによって実装される従来のイベントベースイメージセンサを示す(図2A及び図2Bは部分縦断面図を示し、図2Cは部分上面図を示す)。図2Aは表面照射(FSI:front-side illumination)への適用例を示す。
図2B図2Bは裏面照射(BSI:back-side illumination)への適用例を示す。
図2C図2Cは部分上面図を示す。
【0025】
図3A図3Aはウェーハのダイシングを行う前の好適な実施形態に係る2つの積層ウェーハの部分縦断面図を示す。
図3B図3Bは1画素にフォーカスした部分縦断面図であり、フォトダイオード(PD:photo-diode)のみを含む裏面照射(BSI)型トップウェーハと、各画素をボトムウェーハに接続する接続部の1つを示す。
図3C図3Cはピクセルフロントエンド回路の詳細と、これがウェーハ/ダイの間にどのように配置されるかを示すブロック図である。
図3D図3Dはピクセルフロントエンド回路の詳細と、これがウェーハ/ダイの間にどのように配置されるかを示す回路図である。。
【0026】
図4A図4Aは、トップウェーハがさらにフロントエンド回路の2つのトランジスタを含む他の実施形態に係る2つの積層ウェーハの部分縦断面図を示す。
図4B図4Bはピクセルフロントエンド回路の詳細と、これがウェーハ/ダイの間にどのように配置されるかを示す回路図である。
【0027】
図5A図5Aは最終的にソースフォロワ段を含むトップウェーハにおけるフロントエンド全体を示す、2つの積層ウェーハの部分縦断面図である。
図5B図5Bは、1画素にフォーカスした部分縦断面図であり、第1ウェーハからの出力がどのようにしてボトムウェーハ上の(上から1番目と2番目の金属の間に位置する)イベント検出器のMIM(金属-絶縁体-金属:metal-insulator-metal構造)キャパシタのプレートのうちの1つに直接接続を行うことができるかを示す。これは、2つの積層ウェーハ用のシリコン処理レイヤに関する詳細を含む簡略化した縦断面図である。
図5C図5C及び図5Dはピクセルフロントエンド回路の詳細を示す回路図である。
図5D図5C及び図5Dはピクセルフロントエンド回路の詳細を示す回路図である。
【0028】
図6A図6Aは別のピクセルフロントエンド回路を示す回路図であり、この回路はパフォーマンスを向上するための追加のp-FETを含む。
図6B図6Bはウェーハ/ダイ間の分離について示す回路図である。
【0029】
図7A図7A図7Cはすべての画素において複数のCu-Cu接合が必要となる様々なピクセルフロントエンド回路を示す回路図である。図7Aは好適な例を示す。
図7B図7B及び図7Cは、トップウェーハがp-FETデバイスを含まないようにウェーハ/ダイ間に回路の構成要素をどのように配置し得るかを示しており、この場合にどうして画素ごとに3つ以上のウェーハ(又はダイ)間の接続部が必要となるかを示す。
図7C図7B及び図7Cは、トップウェーハがp-FETデバイスを含まないようにウェーハ/ダイ間に回路の構成要素をどのように配置し得るかを示しており、この場合にどうして画素ごとに3つ以上のウェーハ(又はダイ)間の接続部が必要となるかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明の例示的な実施例を示す添付図面を参照して、本発明について詳しく説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実施することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ完璧なものになり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。
【0031】
本明細書において用いられる場合、「及び/又は(and/or)」の用語は、関連付けられて列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意又はすべての組み合わせを含む。また、単数形及び冠詞の"a"、"an"及び"the"は、特に明確な指示のない限り、複数形態も含むことが意図される。また、「含む」や「有する」(includes、comprises、including、comprising)という用語がこの明細書内で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、エレメント、及び/又は構成要素の存在を規定するものの、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、エレメント、構成要素、及び/又はそれらの集合の存在や追加を排除しないということが理解される。また、構成要素又はサブシステムを含むエレメントが他のエレメントと接続又は結合するものとして言及されたり図示されたりする場合、これらはダイレクトに接続又は接合されてもよいし、介在するエレメントが存在してもよいことが理解される。
【0032】
特に定義しない場合には、本明細書で用いる(技術用語や科学用語を含む)すべての用語は、本発明が属する分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と同様の意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されることはないことが理解される。
【0033】
定義
【0034】
イベントベース画素アレイ(EBPA:Event-Based Pixel Array)は、感光デバイスを有する画素のアレイ(配列)である。これらの画素は、それぞれ空間的及び/又は時間的に独立しており、受けとった光放射に応じて離散化データを生成する。
【0035】
イベントベースビジョンセンサ(EBVS:Event-based Vision Sensor)は、EBPAから抽出及び/又は構成されたデータを出力するセンサである。
【0036】
曲線因子(FF:fill-factor)は、画素の面積と画素内にある感光デバイスの面積の比率として定義される。これは、センサの表面に到達したすべての光放射のうちどのくらいの量がセンサによって効率的に受容されているかを示す尺度である。
【0037】
量子効率(QE:quantum efficiency)は、感光センサの表面に到達した光子の数と、それに応じて生成され、電気信号に変換される電子の数の比率として定義される。
【0038】
3D ICは、3次元集積化(Three-Dimensional Integrated Circuit)の頭字語であり、シリコンウェーハ又はダイを積層し、それらを垂直に相互接続することによって集積回路を製造する技術である。
【0039】
表面照射(FSI:Front-Side Illumination)はプレーナ・プロセスのレイヤが実装される側であるダイの上部から光が入射するように、集積回路(IC)として実現されるイメージセンサのタイプである。すべてのデバイスと金属配線は、感光デバイスとともに、直接光放射を受容する。
【0040】
裏面照射(BSI:Back-Side Illumination)は基板側であるダイの下部から光が入射するように、ICとして実現されるイメージセンサのタイプである。デバイスと金属配線は、直接光放射を受容せず、基板を介してのみ光放射を受容する。
【0041】
従来技術
【0042】
イベントベースビジョンセンサの例は、例えば、PCT/IB2017/058526、US7728269B2、U.S.Pub.No.2018/0191972に記載されている。
【0043】
図1に、本明細書で参考として用いるEBVSのEBPAの画素構造の例を示す。これはPCT/IB2017/058526及びU.S.Pub.No.2018/0191972に基づいており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本発明の主要な概念は、使用される特定の画素構造に依存することなく、ICとして実現される任意のイベントベースビジョンセンサに実質的に適用することができる。
【0044】
画素回路の主要な構成要素を以下に列挙する。
【0045】
1.フォトレセプタモジュール。図に示されるように、画素回路100は、衝突光を測定して光強度を電流Iphotoへ変換するためのフォトダイオードPD又は他のフォトセンサ、光強度に依存するフォトレセプタ信号Vprを生成するためのフォトレセプタ回路PRC、及び過去のフォトレセプタ信号を記憶するためのメモリキャパシタC1を含む。フォトセンサPD及びフォトレセプタ回路PRCは、フォトレセプタモジュールPRを構成する。
【0046】
2.メモリキャパシタC1:フォトレセプタ信号Vpr、従って、フォトセンサPDによって受光された光に応じた電荷をキャパシタの第1のプレートが帯びるようにフォトレセプタ信号Vprを受け取る。メモリキャパシタC1はイベント検出器EDの一部である。メモリキャパシタC1の第2のプレートは、A1の比較器ノード(反転入力)に接続される。従って、比較器ノードの電圧Vdiffは、フォトレセプタ信号Vprの変化とともに変動する。
【0047】
3.比較器A1:これは、現在のフォトレセプタ信号Vprと過去のフォトレセプタ信号との間の差を閾値と比較するための手段である。比較器A1はイベント検出器EDの一部である。この比較器A1は、各画素中にあってもよいし、画素のサブセット(例えば、画素列)間で共有されてもよい。好ましい実施形態では、比較器は画素と一体であり、各画素がそれぞれ専用の比較器A1を有する。
【0048】
4.メモリ:メモリ50は、コントローラ60からのサンプル信号に基づいて比較器出力を保存する。メモリ50はイベント検出器EDの一部である。メモリは、サンプリング回路(例えば、スイッチおよび寄生または明示的キャパシタ)あるいはデジタルメモリ回路(ラッチまたはフリップフロップ)とすることができる。ある実施形態では、メモリはサンプリング回路であり、各画素が2つのメモリを有する。
【0049】
5.条件付きリセット回路R1:リセットのための条件とは、記憶された比較器出力の状態とコントローラ60によって適用されるリセット信号との組み合わせである。条件付きリセット回路R1はイベント検出器EDの一部である。
【0050】
6.周辺回路の構成要素:比較器A1及びメモリ50は、画素中又は(画素回路の外部の)周辺回路中に位置することができる。
【0051】
周辺回路は、コントローラ60を含み、コントローラ60は、閾値信号を比較器A1に適用し、制御信号をメモリ50へ送り、条件付きリセット回路R1がアクティブになる時間を選択する。
【0052】
周辺回路は、読み出し回路も含んでもよい。読み出し回路は、メモリ50のコンテンツを読み取り、所与の画素についての光強度が、増加したか、減少したか、又は変化しなかったかどうかを判定して、(現在のメモリ値から計算された)出力をプロセッサへ送る。
【0053】
さらに詳細には、比較器は、光が増加及び/又は減少したかどうかを伝える。Off事象について:Vdiffが(Vb上の)閾値Voffより低ければ、比較器出力はハイであり、このレベルがメモリに保存される。これは、減少が検出されることを意味する。Vdiffが閾値より低くなければ、比較器出力はローとなる。つまり、減少は検出されない。
【0054】
唯一困難なのは、On事象では、ロー比較器出力が増加を意味し、一方でハイ比較器出力が変化なしを意味するが、Off事象については、ハイ比較器出力が減少を意味し、一方でロー比較器出力が変化なしを意味する点である。
【0055】
従って、読み出しの際は、メモリコンテンツ、及びどの閾値が適用されたかを認識する必要がある。
【0056】
画素回路100およびコントローラ60は、以下のように作動する。
【0057】
フォトセンサPDによって受光される光強度の変化は、フォトレセプタ信号Vprの変化に換算される。リセット回路R1が導通していないときには、比較器A1への反転入力(-)における比較器ノードの電圧VdiffにもVprの変化が反映される。これは、メモリキャパシタC1の両端間の電圧が一定のままであるために発生する。
【0058】
コントローラ60によって選択された時刻に、比較器A1は、メモリキャパシタC1の第2の端子における比較器ノードの電圧(Vdiff)を、比較器A1の非反転入力(+)に適用された(コントローラからの)閾値電圧Vbと比較する。
【0059】
コントローラ60は、比較器出力Vcompを保存するためにメモリ50を作動させる。メモリ50は、図示されるように、典型的には画素回路100の一部として実装される。しかしながら、他の実施形態では、メモリ50は列論理回路(周辺回路、画素アレイの各列ごとに1つ)の一部として実装される。
【0060】
メモリ50に保持された保存比較器出力の状態が光強度の変化を示し、AND、コントローラ60からのグローバルリセット信号であるGlobalReset信号がアクティブであれば、条件付きリセット回路R1は、導通している。ここで「AND」は、論理AND演算子を示す。条件付きリセット回路R1が導電状態にあると、比較器A1の反転入力における比較器ノードの電圧(Vdiff)は、既知のレベルへリセットされる。従って、比較器A1は、現在のフォトレセプタ信号VprをメモリキャパシタC1上に保存する。
【0061】
現在のところ、このような図1に示す画素のEBPAを有するEBVSは、シングルウェーハ上でシリコン・プレーナ・プロセスを用いた集積回路として製造されている。この技術を用いると、半導体デバイス(例えばMOSトランジスタ、ダイオード、フォトダイオード、ポリシリコンレジスタ等)は単一のレイヤの上にのみ配置され、半導体デバイスを垂直に積層することはできない。
【0062】
このため、画素100のエリアは感光デバイス(例えばPD)と、回路の他の要素との間で共有される必要がある。これに関して、図2Aは表面照射構造を示し、図2Bは裏面照射構造を示し、特に図2Cは平面図を示している。これはつまり、光検出器PDは表面に到達したすべての光を使用することができないことを意味する。この問題はマイクロレンズのレイヤを用いることで軽減することはできても、センサの表面は常に光放射を有用な電気信号に変換せずに吸収する部分を有することとなる。
【0063】
また、非感光デバイスに到達した光は望まない効果を有する可能性がある。これは、非感光デバイスの特徴のうちのいくつかが、非感光デバイスに衝突する光によって変化する可能性があるためである。例えば、MOSトランジスタはいくつかの半導体pn接合を含む。通常、半導体pn接合は光生成キャリアを捕捉し、これに応じて不必要な信号を生成する。
【0064】
裏面照射(BSI:back-side illumination)と呼ばれるより高度なプロセス技術によると、シリコン基板側であるウェーハ又はダイの裏面を露光させることにより、利用可能エリアの利用向上を行うことができる。このような方法で、画素内の感光デバイスの上方に位置することが可能な配線金属接続の自由度を高めることができる一方、表面照射(FSI:front-side illumination)技術では、感光デバイスは、ウェーハの上部に向かって光に露光されなければならず、そのため、捕捉される光を最大化するためには、感光デバイスの上部に金属を配置することができない。本発明は、シングルウェーハ又はダイ上で実施されるBSI手法及びFSI手法の両方よりも優れている。
【0065】
周知のように、イベントベースビジョンセンサは画素アレイに基づく。この画素は自身に到達した光に応じてデータを生成する。各画素はそれぞれ空間的及び/又は時間的に独立している。
【0066】
各画素は回路を含む。この回路は、感光部(例えばフォトダイオードPD)と、非感光部(例えばフォトレセプタ回路PRC、キャパシタC1、比較器A1、メモリ50、及びリセット回路R1)に分けられる。非感光部は感光回路に対してバイアスをかけ、光に応じて生成された信号を受け取り、多くの場合、第1の信号調整又は精緻化を行う。このようなタイプの画素の例については(従来技術として)前述した。
【0067】
通常、このようなセンサはプレーナ・プロセスに基づきシリコン集積回路(IC)として製造される。これはつまり、画素の感光部と残りの回路が単層の半導体デバイスを用いて実現される必要があることを意味する。この結果、画素のエリアの一部は非感光回路が占めることになり、実質的に画素の曲線因子が低下する(図2A、2B、2C参照)。このため、量子効率も低下する。同様のことが、シングルウェーハ又はダイ上に製造される裏面照射(BSI)ICにも言える。
【0068】
本発明では、3次元集積化(3DIC)として知られる技術を用いて複数のウェーハ又はダイを積層することにより、イベントベースビジョンセンサの画素の曲線因子を最大化することができる。
【0069】
感光デバイスは回路の非感光部に重ねることができるため、上記の技術を用いれば、画素の回路を異なるウェーハ又はダイ間で分けることができ、感光デバイスのエリアを最大化することが可能になる。さらに、トップウェーハの下のウェーハ上に位置する回路は、トップウェーハによって捕捉されるいかなる(又はほとんどの)光放射も受け取らないので、衝突光による非感光回路における望ましくない挙動の大幅な低減を可能にする。
【0070】
この手法の他の利点としては、2つのウェーハ又はダイが2つの異なる技術プロセスを用いて製造することができる点が挙げられる。これにより、感光デバイスと残りの回路の両方にとって利用可能な一番良いプロセスを選択することが可能となる。このような2種類の回路の技術要件は完全には重複しない場合が多い。
【0071】
実施形態の例
【0072】
図3Aから3Cは本発明の第1の実施形態(好適な実施形態)を示す。図3A図3Bでは、EBVSのICの縦断面図を示す。図3Aは、2つの積層ウェーハ(又はダイ)を図示している。ボトムウェーハ(ウェーハ2)への接続部は、トップウェーハ(ウェーハ1)の上面に配置されるワイヤボンドパッド210として提供される。スルーシリコンビア(TSV:Through-Silicon Via)を用いることによって、トップウェーハ(ウェーハ1)の本体を貫通して電気的接続が成される。TSVの端は銅ボールバンプ等のCu-Cu接合部CCとなっている。このようにして、トップウェーハの底面とボトムウェーハ(ウェーハ2)の上面上の電気回路が電気的に接続される。
【0073】
なお、本明細書において、ダイとウェーハはそれぞれ同じ意味で用いられる。一般的に「ダイ」とは、半導体ウェーハの一部を意味し、通常、チップ等の矩形の形状を有する。ここで、この半導体ウェーハの一部は、イベントベースビジョンセンサ等の集積回路デバイスの例の一部を含む。ウェーハ又はダイへの言及は、異なる製造手法の可能性に基づいている。積層は、ダイへのダイシングを行う前に、ウェーハレベルで行うことができる。又は、ウェーハからダイを切り出した(ダイシングを行った)後に、個々のダイに対して積層を行ってもよい。いずれにせよ、この製造プロセスから生じる最終的な単一化されたデバイス、つまりEBVSは、複数のダイを積層したものとなる。
【0074】
図3BはEBVSの画素の縦断面図の詳細を示す。これにより、どのようにして光が基板側(BSI)のトップウェーハ(ウェーハ1)の表面にのみ衝突するか、及び、どのようにしてこのウェーハが感光デバイス、フォトダイオードPDのみを含むかが分かる。このため、ボトムウェーハ(又はダイ)と接続するために各画素ごとに1つのCu-Cu接合部CCが用いられる。ボトムウェーハ(ウェーハ2)には、画素回路の非感光部、例えば比較器A1が実装される。
【0075】
図3Cは画素回路図を示す。この例はPCT/IB2017/058526及びU.S.Pub.No.2018/0191972及び図1に記載の画素回路を参照しているが、異なる構造のイベント検出画素を用いてもよい。これは、2つのウェーハ(又はダイ)間で回路がどのように割り振られているかを図示している。トップウェーハ/ダイ(ウェーハ1)にはフォトダイオードPDのみが実装され、ボトムウェーハ/ダイには残りの画素回路が実装されている。すべての画素に対してCu-Cu接合部CCが存在する。Cu-Cu接合部CCはフォトダイオードと受光回路を接続する。また、ウェーハ2上のイベント検出器も図示されている。読み出し回路ROはウェーハ2に設置されてもよいし、他のウェーハ又はダイに設置されてもよい。
【0076】
図3Dは、ウェーハ2に実装されるフォトレセプタ回路PRCの詳細を回路図を用いて示す。
【0077】
図4A及び図4Bは他の実施形態を示す。画素として選択される回路は図3C及び3Dで示されたものと同じだが、回路の構成要素はウェーハ/ダイ間で異なるように配置される。
【0078】
さらに、図4Bに示すよう区分されたウェーハ/ダイは、イベント検出器がp型デバイスのみで実現され得るので、ボトムウェーハ内の回路を全てp型MOSFETデバイスで実現することを可能にする。この手法によると、画素領域全体を同じnウェル内に配置することができるので、画素の面積をさらに減らすことができる。通常、n型MOSFETデバイスとnウェル(ここにp型MOSFETデバイスが位置する)との間には最低限の隙間(クリアランス)が必要となる。n型デバイスが無く画素が単一のnウェルに含まれている場合、画素のために必要な面積はn型デバイスとp型デバイスの両方が全ての画素に使用される場合よりも小さくすることができる。
【0079】
図4Bに示すように、トップウェーハ(ウェーハ1)はフォトダイオードPDと共に受光回路PRCのうちの2つのn-FETトランジスタ(M1及びMA1)を含む。この場合、ウェーハ/ダイ間のCu-Cu接合部CCは、フィードバックトランジスタM1のゲートとMA1のドレインに接続するノードと、バイアスp-FETトランジスタMA2のドレインとイベント検出器の入力に接続するノードとの間に位置する。イベント検出器の入力とは、図1に示すキャパシタC1のプレートのうちの1つに相当する。このような配置により、曲線因子が過度に低減することなく、また、トップウェーハの複雑さを低減することなく(製造に必要なプロセスマスクの数を効果的に制限する)、光検出のパフォーマンスを向上させることができる。このパフォーマンスは、特にノイズに関して向上する。Cu-Cu接合部は、典型的には、一方のウェーハの表面に到達するために必要なビアと金属レイヤ、そして、他方のウェーハのデバイスが原因で、ある程度の抵抗を有する。この抵抗のために、熱雑音が生じる。さらに、この積層した金属レイヤとビアは、通常、異なる金属を用いて製造され、この金属接合のために雑音が生じる。このような理由から、図4A及び4Bに示したような解決法が有益である。この解決法では、ウェーハ/ダイ積層技術によって最初にもたらされた面積占有に関する利益の犠牲が少なくて済む。また、このような解決方法では、トランジスタの数が少なくて済むため、下側のウェーハ(ウェーハ2)上において必要とされる面積が少なくなる。このため、画素サイズを縮小することができる。この解決方法(及び両方のウェーハ上にトランジスタを設ける他の解決法)のさらなる利点としては、上側のウェーハ上の2つのトランジスタの特性を、下側のウェーハ(ウェーハ2)上のトランジスタの特性とは独立して最適化できる点が挙げられる。
【0080】
図5Aから5Dには、第3の実施形態を示す。第3の実施形態は上記の実施形態で提示した回路について再び言及するが、第3の実施形態のトップウェーハ(ウェーハ1)はフロントエンド回路のバイアストランジスタを含む。最終的には、好ましくはソースフォロワアンプ段として実現されるバッファ段を追加することも可能である。
【0081】
この実施形態の利点として、ウェーハ(ダイ)間の接合前の回路の駆動能力を改善するという点が挙げられる。特に、バッファ段を追加する場合、出力ノードへの負荷が低減されるので、Cu‐Cu接合部CCの抵抗がフロントエンドのパフォーマンスに与える影響が少なくなる。この場合、Cu-Cu接合部は、フロントエンドの出力ノードと、イベント検出回路の入力との間に位置する。一例として、フロントエンドの出力ノードはM1のゲート、MA1のドレイン、及びMA2のドレインから構成される。イベント検出回路の入力は、キャパシタC1のプレートのうちの1つに相当する。
【0082】
しかし、この手法の最大の利点としては、キャパシタC1通常はMIM(金属-絶縁体-金属構造)キャパシタとして製造されるという点に関係している。このタイプのデバイスは、シリコン・プレーナ・プロセスの最上層となる2つの金属レイヤ、又は最終的には最上層の下の1つの金属レイヤを使用して製造される。そして、トップウェーハに実装された回路の出力をMIMキャパシタのトッププレートに直接接続することができ、キャパシタの大きさを最大化することができる。これは、トップウェーハの回路はMIMキャパシタC1のトッププレートをのぞいて他のノードに接続する必要がないので、画素の全エリアを占めることによって実現することができるためである。
【0083】
従って、この手法では、2つのウェーハ/ダイの間にデバイスをうまく分配することによって、画素のレイアウトを大幅に容易にし、最終的にはより小さな画素を実現することができる。
【0084】
この様子は図5Bに示す。図5Bは、シリコン・プレーナ・プロセス技術で実現される、2つの積層ウェーハ(ウェーハ1及びウェーハ2)の概略図であり、ウェーハを形成する様々なレイヤを図示している。これにより、トップウェーハの最後の金属レイヤがどのようにしてMIMキャパシタC1のプレートのうち1つに直接接続できるかが理解される。この具体例において、トップウェーハ/ダイはBSI(裏面照射)構造として配置されているので、トップウェーハ/ダイは基板側で光を受光し、Cu-Cu接合部CCを用いて他のウェーハに接続され、2つのウェーハ/ダイの2つのそれぞれの上部金属レイヤが接合される。図面を簡単にするために、図5に示されるフォトダイオード接合は、p基板内のnウェルとして実現されるが、実際にはより高度な構造が好ましい。
【0085】
図5C図5Dは2つの異なる回路レイアウトを示す。具体的には、図5Dは、バッファアンプB(好ましくはソースフォロワアンプ)を含むフロントエンドを示す。
【0086】
TSV(スルーシリコンビア)を用いてトップウェーハをボトムウェーハに接続することにより、トップウェーハに対するFSI(表面照射)手法を実現することができる。
【0087】
この手法を用い、2つのウェーハ(又はダイ)間で同じトランジスタの配置を使用して、MIMキャパシタC1をボトムウェーハ(又はダイ)(ウェーハ2)の代わりに、トップウェーハ(又はダイ)(ウェーハ1)に配置することもできる。このような手法は、例えば、最も費用対効果の高い解決法に従ってウェーハ(又はダイ)間に金属レイヤを分配するように金属レイヤに関して固有の検討を行うことで、理に適う手法とすることができる。2つのウェーハは2つの異なる技術で実現することができる。これらの技術プロセスのうちの1つでは、他のプロセスよりも安価に金属レイヤやMIM特有の金属レイヤを追加することができる。
【0088】
本明細書で示された全てのウェーハの例において、露光側にマイクロレンズ及び/又は光導波路を実装するレイヤを追加で積層することができ、これによりフォトレセプタのQEを改善することができるが、図面を簡略化するためにこのマイクロレンズ及び/又は光導波路は図示されていない。
【0089】
図6Aでは、ピクセルフロントエンドの他の実施形態を示す。この場合も同様に、画素ごとに1つのウェーハ(又はダイ)間接続部のみが必要となる。トップウェーハ(ウェーハ1)は、フォトダイオードPDとともに、フォトレセプタ回路PRCを含むピクセルフロントエンドを構成するトランジスタを含む。
【0090】
図6Bでは、どのようにして最終的にアンプ段B(好ましくはソースフォロワアンプとして実現される)を追加することができるか、及びどのようにしてトップウェーハ(ウェーハ1)にアンプ段Bを含めることができるかを示している。これには、フロントエンドの駆動能力を向上させ、フロントエンドの出力ノード(M1のゲート、MA1のドレイン、及びMA2のドレイン)への負荷を効果的に制限することができるという利点がある。実際、Cu-Cu接合部CCは、もしアンプ段がなければ、フロントエンドの出力に直接負荷がかかる無視できない抵抗を有する場合がある。
【0091】
図7Aでは、図5Bに示したものと同様のピクセルフロントエンド回路を示している。図7Aのアンプ段は、n-FET MOSデバイスで実現されるソース-フォロアアンプとして明示されている。ここで提案された解決法では、トップウェーハ内にp-FETデバイスを含まないため、必要とされるウェーハ(又はダイ)間接続部の数は1より多くなる。ここでは特に1画素に対して2つの接続部が存在している。
【0092】
トップウェーハ内にp-FET MOSデバイスを有しないという選択は、QEを改善するとう利点を有する。これは、照射されたウェーハ内にnウェルが存在する場合、このnウェルは、衝突光によって生成されたキャリアを引き付け、供給電圧と接地(グランド)との間に接続された寄生フォトダイオードとして作用するからである。
【0093】
図7Cでは、ピクセルフロントエンドの他の実施例を示しており、これは図6Bに示したものと同様である。この実施形態では、図7Aのように、照射されるトップウェーハはp-FET MOSデバイスを含まず、このため、1画素ごとに複数のウェーハ(又はダイ)間接続部が必要となる。この実施形態の場合には、1画素当たり4つの接続部が必要となる。バッファ段はn-FETデバイスから成るソースフォロワアンプとして実現される。
【0094】
図7Cでは、図7Bで使用されたのと同じ画素構造を示しているが、バッファとして作用するソースフォロワアンプは、p-FET MOSデバイスによって実現されている。このようにして、1画素につき1つの接続部を省略することができ、必要な接続部の数は3つのみとなる。
【0095】
一般的に、画素回路の分割には多くの異なる方法が利用可能であり、全ての方法にそれぞれの利点と欠点がある。例えば、回路のそれぞれのパーツにとって最適なテクノロジーを見つけることにフォーカスする場合、回路のデジタル部分とアナログ部分を分離することが考えられる。また、例えば、Cu-Cu接合部とTSVを使用することにより、積層技術によって積層され、垂直に接続され得るウェーハ/ダイの数に関する理論的限界がもたらされることが無くなる。このような接続部は、すべての画素内、又は画素アレイの端に配置することができる。例えば、列及び/又は行ごとに1つの接続部が配置される。
【0096】
本発明の好適な実施形態を参照しつつ本発明に関して具体的に図示と説明を行ったが、当業者には、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することないように本発明の形態及び詳細において種々の変更がなされ得ることが理解される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C