(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165010
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】情報コード、情報コード読取システム及び情報コード生成方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/06 20060101AFI20231107BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20231107BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
G06K19/06 037
G06K7/10 456
G06K7/14 017
G06K7/14 039
G06K19/06 046
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148150
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2019186467の分割
【原出願日】2019-10-10
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】高須 紀彦
(57)【要約】
【課題】情報コードに記録されたデータが不正に読み取られることを抑制可能な構成を提供する。
【解決手段】置換前のQRコード20は、フォーマット情報領域23を構成する各セルが既定の配列パターンとなることで、このフォーマット情報領域23に記録されるフォーマット情報が既定の情報となるように構成される。そして、上記既定の配列パターンを構成するセルのうち少なくとも一部が、上記既定の情報を取得できないようにランダムに置換される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
QRコードを構成する複数種類のセルの一部を他のセルに置換してなる情報コードであって、
置換前の前記QRコードは、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域と、複数種類のセルによって当該QRコードを解読するためのフォーマット情報を記録するフォーマット情報領域と、複数種類のセルによってデータを記録する記録領域と、がコード領域内に設けられて、前記フォーマット情報領域を構成する各セルが既定の配列パターンとなることで前記フォーマット情報が既定の情報となるように構成され、
前記既定の配列パターンを構成するセルのうち少なくとも一部が、前記既定の情報を取得できないようにランダムに置換されることを特徴とする情報コード。
【請求項2】
請求項1に記載の情報コードと、前記情報コードを読み取るための情報コード読取装置とを備える情報コード読取システムであって、
前記情報コード読取装置は、
前記情報コードを撮像する撮像部と、
前記既定の情報を予め取得する取得部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に対して情報コードを解読するための解読処理を行う解読部と、
を備え、
前記解読部は、前記解読処理において前記撮像画像から前記フォーマット情報を取得できない場合に、前記取得部にて予め取得された前記既定の情報が前記フォーマット情報であるとして前記解読処理を行うことを特徴とする情報コード読取システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報コードと、前記情報コードを読み取るための情報コード読取装置とを備える情報コード読取システムであって、
前記情報コード読取装置は、
前記情報コードを撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に対して情報コードを解読するための解読処理を行う解読部と、
パスワードを入力操作するための操作部と、
前記操作部に対して正しく入力操作されたパスワードに応じて前記既定の情報を生成する生成部と、
を備え、
前記解読部は、前記解読処理において前記撮像画像から前記フォーマット情報を取得できない場合に、前記操作部に対して正しく入力操作されたパスワードに応じて前記生成部により生成された前記既定の情報が前記フォーマット情報であるとして前記解読処理を行うことを特徴とする情報コード読取システム。
【請求項4】
QRコードを構成する複数種類のセルの一部を他のセルに置換してなる情報コードを生成する情報コード生成方法であって、
予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域と、複数種類のセルによって当該QRコードを解読するためのフォーマット情報を記録するフォーマット情報領域と、複数種類のセルによってデータを記録する記録領域と、をコード領域内に設ける際に、前記フォーマット情報領域を構成する各セルが既定の配列パターンとなることで前記フォーマット情報が既定の情報となるように前記QRコードを生成した後、
前記既定の配列パターンを構成するセルのうち少なくとも一部を、前記既定の情報を取得できないようにランダムに置換することで前記情報コードを生成することを特徴とする情報コード生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード、情報コード読取システム及び情報コード生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、情報コードの用途が多様化しており、その用途に応じた情報コードが様々な方法で生成されている。例えば、下記特許文献1に開示される情報コードは、ベースコード領域のデータ領域に記録された所定のデータと異なる追加データが同じ形状のセルを用いて追加コード領域に記録されて、この追加コード領域が、ベースコード領域のデータ領域のうち誤り訂正符号を用いた誤り訂正により訂正可能な領域内に置換されて配置されるように生成される。これにより、通常の読取装置では、追加コード領域が汚れ等として誤り訂正されることで、ベースコード領域のデータ領域に記録された所定のデータのみが解読され、追加コード領域を特定可能な読取装置であれば、追加コード領域から追加データを解読した後に誤り訂正されたデータ領域から所定のデータを解読できる。すなわち、追加コード領域に記録される追加データの秘匿性を高めて、セキュリティ性の高い情報コードを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、QRコード(登録商標)は、バーコード等に比べて記録される情報量が多く正確に速く読み取れる情報コードとして様々な分野で利用されている。セキュリティ分野でもQRコードを採用する場合が多く、セキュリティ性を高めたQRコードが望まれている。その一方で、記録されるデータに関してセキュリティ性を高めるための工夫を凝らしたQRコードであっても、QRコードが不正に複製されてしまうと、その複製されたQRコードからデータが不正に読み取られてしまう可能性がある。例えば、不正に読み取られた秘匿データがパスワード付であっても、パスワード付の秘匿データを読み取った第三者がそのパスワードを解読してしまうと、秘匿データを不正に取得されてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、情報コードに記録されたデータが不正に読み取られることを抑制可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
QRコード(20)を構成する複数種類のセルの一部を他のセルに置換してなる情報コード(10)であって、
置換前の前記QRコードは、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域(22)と、複数種類のセルによって当該QRコードを解読するためのフォーマット情報を記録するフォーマット情報領域(23)と、複数種類のセルによってデータを記録する記録領域(24)と、がコード領域(21)内に設けられて、前記フォーマット情報領域を構成する各セルが既定の配列パターンとなることで前記フォーマット情報が既定の情報となるように構成され、
前記既定の配列パターンを構成するセルのうち少なくとも一部が、前記既定の情報を取得できないようにランダムに置換されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の情報コード(10)と、前記情報コードを読み取るための情報コード読取装置(30)とを備える情報コード読取システム(1)であって、
前記情報コード読取装置は、
前記情報コードを撮像する撮像部(33)と、
前記既定の情報を予め取得する取得部(32)と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に対して情報コードを解読するための解読処理を行う解読部(31)と、
を備え、
前記解読部は、前記解読処理において前記撮像画像から前記フォーマット情報を取得できない場合に、前記取得部にて予め取得された前記既定の情報が前記フォーマット情報であるとして前記解読処理を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、
請求項1に記載の情報コード(10)と、前記情報コードを読み取るための情報コード読取装置(30)とを備える情報コード読取システム(1)であって、
前記情報コード読取装置は、
前記情報コードを撮像する撮像部(33)と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に対して情報コードを解読するための解読処理を行う解読部(31)と、
パスワードを入力操作するための操作部(37,35)と、
前記操作部に対して正しく入力操作されたパスワードに応じて前記既定の情報を生成する生成部(31)と、
を備え、
前記解読部は、前記解読処理において前記撮像画像から前記フォーマット情報を取得できない場合に、前記操作部に対して正しく入力操作されたパスワードに応じて前記生成部により生成された前記既定の情報が前記フォーマット情報であるとして前記解読処理を行うことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、
QRコード(20)を構成する複数種類のセルの一部を他のセルに置換してなる情報コード(10)を生成する情報コード生成方法であって、
予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域(22)と、複数種類のセルによって当該QRコードを解読するためのフォーマット情報を記録するフォーマット情報領域(23)と、複数種類のセルによってデータを記録する記録領域(24)と、をコード領域(21)内に設ける際に、前記フォーマット情報領域を構成する各セルが既定の配列パターンとなることで前記フォーマット情報が既定の情報となるように前記QRコードを生成した後、
前記既定の配列パターンを構成するセルのうち少なくとも一部を、前記既定の情報を取得できないようにランダムに置換することで前記情報コードを生成することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、置換前のQRコードは、フォーマット情報領域を構成する各セルが既定の配列パターンとなることで、このフォーマット情報領域に記録されるフォーマット情報が既定の情報となるように構成される。そして、上記既定の配列パターンを構成するセルのうち少なくとも一部が、上記既定の情報を取得できないようにランダムに置換される。
【0011】
これにより、本発明に係る情報コードを撮像した通常の読取装置では、その撮像画像からQRコードのファインダパターン(位置検出パターン)が検出されることでQRコードが撮像視野に入っていることを把握できても、フォーマット情報を取得できないために、記録領域に記録されるデータを解読するために解読処理が行われることもない。一方、上記既定の情報を予め取得している特定の読取装置であれば、撮像画像からフォーマット情報を取得できない場合に、予め取得している既定の情報がフォーマット情報であるとして解読処理が行われることで、記録領域に記録されるデータを解読することができる。特に、本発明に係る情報コードは、QRコードのフォーマット情報領域を構成するセルの一部を他のセルに置換して構成されるため、一見しただけではQRコードと区別不能である。このため、本発明に係る情報コードが解読できない理由を容易に把握できないので、情報コードに記録されたデータが不正に読み取られることを抑制してセキュリティ性を高めることができる。
【0012】
請求項2の発明では、情報コード読取装置において、上記既定の情報が取得部にて予め取得されており、解読部により、解読処理において撮像画像からフォーマット情報を取得できない場合に、取得部にて予め取得された既定の情報がフォーマット情報であるとして解読処理が行われる。
【0013】
これにより、上述のようにセキュリティ性を高めた情報コードであっても、取得部にて予め取得された上記既定の情報をフォーマット情報として利用することで、その記録領域に記録されるデータを解読することができる。
【0014】
請求項3の発明では、情報コード読取装置において、解読部により、解読処理において撮像画像からフォーマット情報を取得できない場合に、操作部に対して正しく入力操作されたパスワードに応じて生成部により生成された既定の情報がフォーマット情報であるとして解読処理が行われる。
【0015】
これにより、上述のようにセキュリティ性を高めた情報コードであっても、正しく入力
されたパスワードに応じて生成された上記既定の情報をフォーマット情報として利用することで、その記録領域に記録されるデータを解読することができる。
【0016】
請求項4の発明では、請求項1と同様の効果を奏する情報コードを良好に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る情報コード読取システムを説明する説明図である。
【
図2】
図2(A)は、第1実施形態に係る情報コードを示す説明図であり、
図2(B)は、ファインダパターン22a周辺を拡大して示し、
図2(C)は、ファインダパターン22b周辺を拡大して示し、
図2(D)は、ファインダパターン22c周辺を拡大して示す。
【
図3】
図3(A)は、置換前のQRコードを示す説明図であり、
図3(B)は、ファインダパターン22a周辺を拡大して示し、
図3(C)は、ファインダパターン22b周辺を拡大して示し、
図3(D)は、ファインダパターン22c周辺を拡大して示す。
【
図4】第1実施形態に係る情報コードを読み取る情報コード読取装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【
図5】第1実施形態において情報コード読取装置の制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図6】第1実施形態の変形例に係る情報コードを示す説明図である。
【
図7】第2実施形態に係る情報コード読取システムを説明する説明図である。
【
図8】第2実施形態において情報コード読取装置の制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コード、情報コード読取システム及び情報コード生成方法を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る情報コード読取システム1は、情報コードを利用した認証システムであって、
図1に示すように、利用者が所持する媒体(例えば、社員証や入場チケットなど)Rに表示される情報コード10と、この情報コード10を光学的に読み取るための情報コード読取装置30と、情報コード読取装置30の読取結果等を利用して認証を行う認証装置2と、を備えるように構成されている。
【0019】
まず、
図2及び
図3を参照して本実施形態に係る情報コード10の構成を説明する。
図2(A)~(D)に示すように、本実施形態に係る情報コード10は、JIS規格(JISX0510:2004)で規格化されたQRコード20(
図3参照)を構成する複数種類のセルの一部を他のセルに置換して生成される。
【0020】
具体的には、
図3(A)~(D)に示すように、置換前のQRコード20は、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域22と、複数種類のセルによって当該QRコードを解読するためのフォーマット情報を記録するフォーマット情報領域23と、複数種類のセルによってデータを記録する記録領域24と、がコード領域21内に設けられるように生成される。上記特定パターンとしては、コード領域21の三隅に配置されるファインダパターン(位置検出パターン)22a~22cやタイミングパターン、アライメントパターン等が想定される。本実施形態では、記録領域24には、本人認証用の個人情報等が記録される。
【0021】
また、本実施形態では、フォーマット情報には、形式情報及び型番情報が含まれ、形式情報は、誤り訂正レベルやマスクパターン等を特定するための情報であり、型番情報は、サイズ(型番)等を特定するための情報である。形式情報は、フォーマット情報領域23のうち、ファインダパターン22a,22cに対して1セル分右側に離れた1セル幅の領域23aに配列されるセルと、ファインダパターン22a,22bに対して1セル分下側に離れた1セル幅の領域23bに配列されるセルとを利用して記録される。型番情報は、フォーマット情報領域23のうち、ファインダパターン22bに対して1セル分左側に離れた6×3のブロックの領域23cに配列されるセルと、ファインダパターン22cに対して1セル分上側に離れた3×6のブロックの領域23dに配列されるセルとを利用して記録される。
【0022】
本実施形態に係るQRコード20は、フォーマット情報領域を構成する各セルが既定の配列パターンとなることでフォーマット情報が既定の情報となるように構成されている。具体的には、QRコード20は、誤り訂正レベル及びマスクパターン等が予め決められて生成されるようになっており、形式情報が予め決められた既定の情報となるように生成される。このため、QRコード20は、
図3に示すように、フォーマット情報領域23のうち領域23a及び領域23bが上記既定の情報に応じて既定の配列パターンとなる。
【0023】
本実施形態に係る情報コード10は、上述のように生成されるQRコード20に対して、上記既定の配列パターンを構成するセルのうち少なくとも一部が、上記既定の情報を取得できないように他のセルに置換されて生成される。具体的には、情報コード10は、
図2及び
図3からわかるように、フォーマット情報領域23のうち上記既定の配列パターンを構成する領域23a及び領域23bにおける全ての暗色系セルが、上記既定の情報を取得できないようにそれぞれ明色系セルに置換されて生成される。
【0024】
このように情報コード10が生成されることで、情報コード10を撮像した通常の読取装置では、その撮像画像からQRコードのファインダパターン22a~22cが検出されることでQRコード20が撮像視野に入っていることを把握できても、形式情報(フォーマット情報)を取得できないために、記録領域24に記録されるデータを解読するために解読処理が行われることもない。
【0025】
次に、本実施形態に係る情報コード10を光学的に読み取るための情報コード読取装置30の構成について、
図4を用いて説明する。
本実施形態に係る情報コード読取装置30は、情報コード10を含めバーコードやQRコードなどの一般の情報コードなどを光学的に読み取る読取装置である。
図4に示す情報コード読取装置30は、例えば、情報コード10を読み取るためのアプリケーションプログラム(以下、読取アプリともいう)等がインストールされた認証用の読取端末であって、CPU等からなる制御部31、メモリ32、カメラとして構成される撮像部33、制御部31によって表示内容が制御される表示部34、入力操作に応じた操作信号を制御部31に出力する操作部35、外部機器等と通信するための通信部36などを備えている。
【0026】
このように構成される情報コード読取装置30では、上記既定の情報が予め取得されてメモリ32に記憶されている。このため、上記読取アプリを起動することで制御部31にてなされる読取処理により、形式情報(フォーマット情報)を取得できない場合に、予めメモリ32に記憶されている既定の情報がフォーマット情報であるとして解読処理が行われることで、情報コード10の記録領域24に記録されるデータを解読することができる。なお、読取処理を行う制御部31は、情報コードを解読するための解読処理を行う「解読部」の一例に相当し、メモリ32は、「取得部」の一例に相当し得る。
【0027】
以下、情報コード10が表示された媒体Rを所持する利用者が認証装置2を利用して本人認証を行う際に、情報コード読取装置30の制御部31にて実行される読取処理について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
認証装置2からの指示等に応じて上記読取アプリが起動することで制御部31により読取処理が開始されると、まず、
図5のステップS101に示す撮像処理がなされ、撮像部33により情報コード10等が撮像可能な状態になる。
【0028】
次に、ステップS103に示すファインダパターン検出処理がなされ、撮像画像においてコード領域21を特定するために各ファインダパターン22a~22cを検出するための処理がなされる。そして、各ファインダパターン22a~22cが検出されることでコード領域21が特定されると(S105でYes)、ステップS107の判定処理にて、特定されたコード領域21のフォーマット情報領域23に有効なフォーマット情報が記録されているか否かについて判定される。
【0029】
ここで、本実施形態に係る情報コード10を撮像している場合には、コード領域21におけるフォーマット情報領域23の領域23a及び領域23bが全て明色系セルからなるために、フォーマット情報領域23に有効なフォーマット情報の形式情報が記録されていないとして、ステップS107にてNoと判定される。この場合には、ステップS109に示す解読処理がなされ、メモリ32に予め記憶された上記既定の情報をフォーマット情報の形式情報として利用することで、記録領域24に記録されるデータを解読するための処理がなされる。この解読処理が成功して、記録領域24に記録される本人認証用の個人情報等が読み取られると(S111でYes)、この本人認証用の個人情報等が情報コード10の読取結果として認証装置2に出力される(S113)。上記解読処理が失敗した場合には(S111でNo)、上記ステップS101からの処理がなされる。
【0030】
一方、情報コード10と異なる他のQRコードを撮像している場合には、フォーマット情報領域23に有効なフォーマット情報が記録されているため、ステップS107にてYesと判定される。この場合には、ステップS115に示す報知処理がなされ、認証用の情報コードが撮像されていないために認証不可であることを示す情報が表示部34に表示されて報知される。なお、上記報知処理に代えて、フォーマット情報領域23に記録される有効なフォーマット情報を利用した解読処理を行い、その解読結果を認証不可であることを示す情報とともに認証装置2に出力してもよい。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード10では、置換前のQRコード20は、フォーマット情報領域23を構成する各セルが既定の配列パターンとなることで、このフォーマット情報領域23に記録されるフォーマット情報が既定の情報となるように構成される。そして、上記既定の配列パターンを構成するセルのうち少なくとも一部が、上記既定の情報を取得できないように他のセルに置換される。
【0032】
そして、本実施形態に係る情報コード読取システム1では、情報コード読取装置30において、上記既定の情報がメモリ32にて予め取得されて記憶されており、制御部31にてなされる解読処理において撮像画像からフォーマット情報を取得できない場合に(S107でNo)、メモリ32にて予め記憶された既定の情報がフォーマット情報であるとして解読処理が行われる。
【0033】
これにより、本発明に係る情報コードを撮像した通常の読取装置では、その撮像画像からQRコード20のファインダパターン22a~22cが検出されることでQRコード20が撮像視野に入っていることを把握できても、フォーマット情報を取得できないために、記録領域24に記録されるデータを解読するために解読処理が行われることもない。一方、上記既定の情報を予め取得している情報コード読取装置30であれば、撮像画像からフォーマット情報を取得できない場合に、予め取得している既定の情報がフォーマット情報であるとして解読処理が行われることで、記録領域24に記録されるデータを解読することができる。特に、本発明に係る情報コード10は、QRコード20のフォーマット情報領域23を構成するセルの一部を他のセルに置換して構成されるため、一見しただけではQRコード20と区別不能である。このため、本発明に係る情報コード10が解読できない理由を容易に把握できないので、情報コード10に記録されたデータが不正に読み取られることを抑制してセキュリティ性を高めることができる。
【0034】
特に、上記既定の配列パターンを構成する領域23a及び領域23bにおける全ての暗色系セルが、上記既定の情報を取得できないようにそれぞれ明色系セルに置換される。これにより、上記既定の情報を取得できないように上記既定の配列パターンのセルを置換したフォーマット情報領域を容易に構成することができる。
【0035】
なお、上記既定の配列パターンを構成する領域23a及び領域23bにおける全ての明色系セルが、上記既定の情報を取得できないようにそれぞれ暗色系セルに置換されてもよい。このようにしても、上記既定の情報を取得できないように上記既定の配列パターンのセルを置換したフォーマット情報領域を容易に構成することができる。
【0036】
また、
図6(A)~(D)に例示するように、
図3(A)~(D)に示すQRコード20に対して、上記既定の配列パターンを構成する領域23a及び領域23bにおける各セルを例えばランダムに置換することで、上記既定の情報を取得できないようにしてもよい。
【0037】
[第2実施形態]
次に、本第2実施形態に係る情報コード、情報コード読取システム及び情報コード生成方法について、
図7を参照して説明する。
本第2実施形態では、情報コード10を読み取る際に、入力されるパスワードに応じて上記既定の情報を生成する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
本実施形態では、
図7に示すように、情報コード読取装置30は、利用者がパスワードを入力操作するための入力装置37を別体にて備えており、入力装置37に対する入力操作に応じた操作信号が制御部31に出力されるように構成されている。
【0039】
また、本実施形態に係る情報コード10は、上記第1実施形態と同様に、QRコード20に対してフォーマット情報領域23の領域23a及び領域23bを構成するセルの少なくとも一部が異なるように構成される。より具体的には、情報コード10は、領域23a及び領域23bを構成する各セルから上記既定の情報を取得できず、領域23a及び領域23bを構成する各セルがセル置換用のパスワードに応じて所定の置換ルールに基づいて置換されると、QRコード20と同じセル配列となるように構成される。そして、情報コード読取装置30にてなされる読取処理では、撮像した情報コード10のフォーマット情報領域23の領域23a及び領域23bを構成する各セルをセル置換用のパスワードに応じて置換することでQRコード20を生成して、このように生成されたQRコード20を解読する。このため、本実施形態では、上記既定の情報を予めメモリ32に記憶する必要がない。
【0040】
以下、本実施形態において、情報コード読取装置30の制御部31にて実行される読取処理について、
図8のフローチャートを参照して説明する。
制御部31により読取処理が開始され、上記第1実施形態と同様に、撮像画像において各ファインダパターン22a~22cが検出されることでコード領域21が特定されると(
図8のS105でYes)、ステップS107の判定処理にて、特定されたコード領域21のフォーマット情報領域23に有効なフォーマット情報が記録されているか否かについて判定される。
【0041】
ここで、本実施形態に係る情報コード10を撮像している場合には、フォーマット情報領域23に有効なフォーマット情報の形式情報が記録されていないとして、ステップS107にてNoと判定される。この場合には、ステップS117に示す表示処理がなされ、入力装置37に対してセル置換用のパスワードの入力を促す情報が表示部34に表示されて報知される。
【0042】
この表示に応じて利用者により入力装置37に対してセル置換用のパスワードが正しく入力操作されると(S119)、ステップS121に示すフォーマット情報取得処理がなされる。この処理では、フォーマット情報領域23を構成するセルが正しいセル置換用のパスワードに応じて所定の置換ルールに基づいて置換されることで上記既定の配列パターンが生成され、この既定の配列パターンから取得された上記既定の情報がフォーマット情報の形式情報として取得される。なお、上記フォーマット情報取得処理を行う制御部31は、正しく入力操作されたパスワードに応じて既定の情報を生成する「生成部」の一例に相当し得る。
【0043】
続いて、ステップS123に示す解読処理がなされ、上述のように正しく入力されたセル置換用のパスワードに応じて取得された上記既定の情報を、フォーマット情報の形式情報として利用することで、記録領域24に記録されるデータを解読するための処理がなされる。この解読処理が成功して、記録領域24に記録される本人認証用の個人情報等が読み取られると(S111でYes)、この本人認証用の個人情報等が情報コード10の読取結果として認証装置2に出力される(S113)。
【0044】
一方、入力されたパスワードが正しくないために、フォーマット情報領域23を構成するセルが誤ったパスワードに応じて所定の置換ルールに基づいて置換されることで上記解読処理が失敗すると(S111でNo)、上記ステップS101からの処理がなされる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード10では、情報コード読取装置30において、制御部31にてなされる読取処理により、解読処理において撮像画像からフォーマット情報を取得できない場合に、入力装置37に対して正しく入力操作されたセル置換用のパスワードに応じて生成された既定の情報がフォーマット情報であるとして解読処理が行われる。
【0046】
これにより、上述のようにセキュリティ性を高めた情報コードであっても、正しく入力されたセル置換用のパスワードに応じて生成された上記既定の情報をフォーマット情報として利用することで、その記録領域24に記録されるデータを解読することができる。
【0047】
なお、セル置換用のパスワードは、別体として設けられる入力装置37に対する操作に応じて入力されることに限らず、例えば、操作部35に対する操作に応じて入力されてもよい。なお、入力装置37及び操作部35は、パスワードを入力操作するための「操作部」の一例に相当し得る。
【0048】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上記第1実施形態では、QRコード20は、フォーマット情報のうちの形式情報が予め決められた既定の情報となるように生成されることに限らず、例えば、型番情報が予め決められた既定の情報となるように生成されてもよい。この場合には、QRコード20は、フォーマット情報領域23のうち領域23c及び領域23dが上記既定の情報に応じて既定の配列パターンとなり、情報コード10は、フォーマット情報領域23のうち上記既定の配列パターンを構成する各セルの少なくとも一部が、上記既定の情報を取得できないように他のセルに置換されて生成される。また、QRコード20は、フォーマット情報のうち形式情報及び型番情報の双方が予め決められた既定の情報となるように生成されてもよい。この場合には、QRコード20は、フォーマット情報領域23のうち領域23a~23dが上記既定の情報に応じて既定の配列パターンとなり、情報コード10は、フォーマット情報領域23のうち上記既定の配列パターンを構成する各セルの少なくとも一部が、上記既定の情報を取得できないように他のセルに置換されて生成される。
【0049】
(2)上記第2実施形態では、情報コード10は、フォーマット情報領域23の領域23a及び領域23bを構成する各セルがセル置換用のパスワードに応じて所定の置換ルールに基づいて置換されることで、QRコード20と同じセル配列となるように構成されることに限らず、領域23c及び領域23dを構成する各セルがセル置換用のパスワードに応じて所定の置換ルールに基づいて置換されることで、QRコード20と同じセル配列となるように構成されてもよい。また、情報コード10は、領域23a~23dを構成する各セルがセル置換用のパスワードに応じて所定の置換ルールに基づいて置換されることで、QRコード20と同じセル配列となるように構成されてもよい。
【0050】
(3)本発明は、情報コード10を利用した認証システムに適用されることに限らず、例えば、情報コード10の記録領域24に記録される決済用の情報を利用した決済システムに適用されてもよい。また、本発明は、情報コード10の記録領域24に記録される利用者の顔認証情報を利用した顔認証システムに適用されてもよい。
【0051】
(4)本発明に係る情報コード10は、利用者が所持する媒体に印刷等によって表示されて利用されることに限らず、例えば、利用者が所持する携帯端末によって画面表示されて利用されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…情報コード読取システム
10…情報コード
20…QRコード
21…コード領域
22…特定パターン領域
22a~22c…ファインダパターン
23…フォーマット情報領域
24…記録領域
30…情報コード読取装置
31…制御部(解読部,生成部)
32…メモリ(取得部)
33…撮像部
35…操作部
37…入力装置(操作部)