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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165011
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】液体用紙容器の口栓
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/74 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
B65D5/74 020Z
B65D5/74 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148235
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2019094419の分割
【原出願日】2019-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】仲野 祐輔
(57)【要約】
【課題】良好な密封性を有すると共に、高齢者など比較的力の弱い使用者でも容易に開封および再開封ができる口栓を提供する。
【解決手段】液体用紙容器に取り付けられ、スパウト20とキャップ10とからなるプラスチック樹脂製の口栓1であって、スパウトを構成する樹脂がポリエチレン樹脂を主成分とし、かつバイオマスポリエチレン樹脂を5重量%以上含み、スパウトには、外側面に外ネジ条24が設けられ、内側面に開口部を封鎖する封鎖板22と該封鎖板に連結した第1係合部26が設けられ、封鎖板はスパウトの内側面と周状薄肉部23を介して連結され、キャップには、スパウトの外ネジ条と螺合する内ネジ条14と、第1係合部と係合する第2係合部16が設けられ、外ネジ条と内ネジ条が螺解されるときに第1係合部と第2係合部が係合し、封鎖板がキャップと共に回動されて周状薄肉部が破断される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体用紙容器に取り付けられ、スパウトとキャップとからなるプラスチック樹脂製の口栓であって、
前記スパウトを構成する樹脂がポリエチレン樹脂を主成分とし、かつバイオマスポリエチレン樹脂を5重量%以上含み、
前記スパウトには、外側面に外ネジ条が設けられ、内側面に開口部を封鎖する封鎖板と該封鎖板に連結した第1係合部が設けられ、前記封鎖板は前記スパウトの内側面と周状薄肉部を介して連結され、
前記キャップには、前記スパウトの前記外ネジ条と螺合する内ネジ条と、前記第1係合部と係合する第2係合部が設けられ、
前記外ネジ条と前記内ネジ条が螺解されるときに前記第1係合部と前記第2係合部が係合し、前記封鎖板が前記キャップと共に回動されて前記周状薄肉部が破断されることを特徴とする液体用紙容器の口栓。
【請求項2】
前記スパウトを構成する樹脂が、バイオマスポリエチレン樹脂を50重量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の液体用紙容器の口栓。
【請求項3】
前記キャップを構成する樹脂が、ポリエチレン樹脂を主成分とし、かつバイオマスポリエチレン樹脂を5重量%以上含むことを特徴とする請求項1または2に記載の液体用紙容器の口栓。
【請求項4】
前記キャップを構成する樹脂が、バイオマスポリエチレン樹脂を50重量%以上含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体用紙容器の口栓。
【請求項5】
前記第1係合部および前記第2係合部が、逆ネジ、アンダーカット、フラップまたはラチェットのいずれかの構造を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体用紙容器の口栓。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体用紙容器の注出口に設けられるスパウトとキャップからなる口栓に関し、密閉性を有すると共に少ない力で開けることができる口栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や非食品の液体内容物に使用される液体用紙容器には、使用時の使い易さを考慮して、胴部の外観が四角柱状で、切り妻屋根形の頂部の傾斜板に、スパウトとキャップとからなる口栓を突設した液体用紙容器が、広い用途範囲にわたって使用されていた。
【0003】
この口栓は、容器の口栓取付け孔から突出するスパウトの注出筒にキャップをネジ部で螺着したり、開閉自在なヒンジで連結したりしたものであるが、流通時の密封性の完全さやバージン性の確保、または、使用時の易開封性を兼ね備えるために、スパウトの注出筒の内側の下方に封鎖板を設けて封止している。封鎖板を開封するためには、封鎖板上に先端にプルリングをもつ支柱を立設して、使用時に開口する際には、プルリングを引っ張ることで封鎖板を破断し、開口させる様にしたものが広く用いられている(例えば、特許文献1。
【0004】
しかしこの様な口栓は、開封するためにキャップを取り外し、プルリングを引っ張って封鎖板を破断して開口する、という2回の動作が必要であり、またプルリングを引く際に相応の力を必要とすることから、近年、開封をより簡単にするために1回の動作で開封が行えるようにした口栓が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
この様な口栓では、使用者がキャップを取り外す方向へ回転させるときに、封鎖板または封鎖板に連結された部分がキャップと回転方向で係合し、キャップの回転に伴って封鎖板の薄肉部などを切り裂いて封鎖板を開封する。キャップを口栓から取り外しても、キャップと上下方向で係合した封鎖板も落下することなく取り外すことができる。
【0006】
この様な口栓は、キャップを回転させるという1回の動作で開封することができるという利便性を有するが、一方で封鎖板を切り裂くためにキャップを大きなトルクで回転させなければならないことがあり、封鎖板の切り裂きには大きな力が必要となるため、力の弱い高齢者や女性などには開け難いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-84078号公報
【特許文献2】特開2013-209103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の様な従来技術の課題を解決するためなされたもので、液体紙容器の口栓であって、良好な密封性を有すると共に、1回の動作で開封できる口栓でありながら、高齢者など比較的力の弱い使用者でも容易に開封および再開封ができる口栓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、
液体用紙容器に取り付けられ、スパウトとキャップとからなるプラスチック樹脂製の口栓であって、
前記スパウトを構成する樹脂がポリエチレン樹脂を主成分とし、かつバイオマスポリエチレン樹脂を5重量%以上含み、
前記スパウトには、外側面に外ネジ条が設けられ、内側面に開口部を封鎖する封鎖板と該封鎖板に連結した第1係合部が設けられ、前記封鎖板は前記スパウトの内側面と周状薄肉部を介して連結され、
前記キャップには、前記スパウトの前記外ネジ条と螺合する内ネジ条と、前記第1係合部と係合する第2係合部が設けられ、
前記外ネジ条と前記内ネジ条が螺解されるときに前記第1係合部と前記第2係合部が係合し、前記封鎖板が前記キャップと共に回動されて前記周状薄肉部が破断されることを特徴とする液体用紙容器の口栓である。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る発明は、
前記スパウトを構成する樹脂が、バイオマスポリエチレン樹脂を50重量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の液体用紙容器の口栓である。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る発明は、
前記キャップを構成する樹脂が、ポリエチレン樹脂を主成分とし、かつバイオマスポリエチレン樹脂を5重量%以上含むことを特徴とする請求項1または2に記載の液体用紙容器の口栓である。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る発明は、
前記キャップを構成する樹脂が、バイオマスポリエチレン樹脂を50重量%以上含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体用紙容器の口栓である。
【0013】
また、本発明の請求項5に係る発明は、
前記第1係合部および前記第2係合部が、逆ネジ、アンダーカット、フラップまたはラチェットのいずれかの構造を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体用紙容器の口栓である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、キャップの螺解と同時に封鎖板の切り裂きを行う口栓であっても、スパウトの主成分であるポリエチレン樹脂がバイオマスポリエチレン樹脂を所定の比率以上含むことで、石油由来のポリエチレン樹脂のみ使用した場合に比較して低分子量成分が多くなって引っ張り破断強度が低下することにより、スパウトの開口部を封鎖する封鎖板の破断強度が低下し、キャップを螺解するときにより少ない力でも周状薄肉部23の破断が可能になり、高齢者、子供、女性など比較的力の弱い使用者でもキャップを取り外す1回の動作で開封が行える液体用紙容器の口栓を提供できる。
【0015】
また開封後にキャップを再封し、再度開封するときも、低分子成分がブリードアウトすることでスパウトとキャップを螺合させるネジ条やインナーリングとの接触部での滑り性が増すため、キャップを取り外す抵抗が小さくなり、より小さい力でキャップを取り外すことができる液体用紙容器の口栓を提供できる。
【0016】
またキャップの主成分をポリエチレン樹脂として、バイオマスポリエチレン樹脂を一定比率以上含むことで、同様にキャップを取り外す際にさらに少ない力で取り外しが可能になり、高齢者、子供、女性など比較的力の弱い使用者でもよりスムーズに開封が行える液体用紙容器の口栓を提供できる。
【0017】
また本発明の口栓は、植物由来のバイオマスポリエチレン樹脂を含んだ樹脂で構成されているので、いずれも植物由来であり、焼却しても環境にやさしいという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の口栓の一形態の断面模式図である。
図2】本発明の口栓の一形態のキャップを螺解する状態の断面模式図である。
図3】第1係合部と第2係合部の構成例の上面図である。
図4】本発明の口栓の第二の形態の断面模式図である。
図5】本発明の口栓の第三の形態の断面模式図である。
図6】本発明の口栓を用いた液体用紙容器の一形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下において同等の部材等には同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0020】
図1は、本発明の口栓の一形態の断面模式図であり、ここではキャップとスパウトが螺着された状態を示している。口栓1はキャップ10とスパウト20からなり、スパウト20の下端には、外側に平坦に延びるフランジ部28が一体に設けられ、スパウト20は、ポリエチレン樹脂を主成分とし、かつバイオマスポリエチレン樹脂を5重量%以上含む樹脂で成形されていて、例えば図6に示したように四角柱状の胴部101を有する液体用紙容器100の傾斜板102に設けられた孔に挿入されて内側から接着されて使用される。液体用紙容器の内面側が熱可塑性樹脂層であれば、その熱可塑性樹脂層と溶着することも可能である。
【0021】
スパウト20は、フランジ部28から円筒状の注出筒21が立ち上がり、上端が開口部となっており、その外周面にはキャップ10と螺合するための外ネジ条24が設けられている。注出筒21の内側には注出筒21を封鎖する封鎖板22が設けられ、封鎖板22上には、下面側にV字溝が周回して設けられ、その部位は封鎖板22が薄くなった周状薄肉部23となっている。なおV字溝は封鎖板22の上面側に設けられても良く、上下両面に設けられても良い。またスパウト20の封鎖板22上の周状薄肉部23の内側に、円筒状の第1係合部26が立設され、第1係合部26の内面側に第1係合構造25が形成されている。
【0022】
キャップ10は、天面部11と、その周縁から円筒状に下垂する側壁部12を有する。側壁部12の内面側にはスパウト20の注出筒21の外ネジ条24と螺合するための内ネジ条14が形成されており、天面部11からは注出筒21の内面に密着する様に円筒状のインナーリング13が下垂している。インナーリング13の外径は注出筒21の内径よりも若干大きくなっている。またキャップ10の天面部11から、スパウト20の第1係合部26に内挿されるように円筒状の第2係合部16が下垂し、第2係合部16の外面側に第2係合構造15が形成されている。
【0023】
第1係合構造25と第2係合構造15は、少なくとも外ネジ条24と内ネジ条14を螺解させてキャップ10を取り外すときの回転方向で係合する構造を有する。また第1係合部26と第2係合部16はさらに上下方向でも係合する構造を有しても良く、特に限定するものではないが、例えば図1に示すアンダーカット27の様な構造や、フラップ、ラチェットなどの構造を有していても良い。または第1係合構造25と第2係合構造15が互いに嵌合する構造または形状として、回転方向および上下方向の両方向で係合される構造または形状でも良い。
【0024】
図2は前述の形態の口栓のキャップを螺解する状態の断面模式図である。口栓1を開封するためにキャップ10を回転させて内ネジ条14と外ネジ条24を螺解させると、第1係合部26の第1係合構造25と第2係合部16の第2係合構造15が回転方向で係合し、第1係合部とそれに連結された封鎖板22にキャップ10と共に回転するような回転トルクがかかる。その回転トルクが周状薄肉部23の部位をねじ切る力として作用して周状薄肉部23が破断され、封鎖板22はスパウト20から分離される。第1係合部26と第2係合部16はアンダーカット27で上下方向にも係合しているため、封鎖板22が落下することが無く、キャップ10と一体に取り外すことができる。封鎖板22が除去されることで、注出筒21の開口部が容器の内部と連通し、内容物の注出が可能となる。
【0025】
図3は、第1係合部と第2係合部の構成例の上面図である。第1係合構造25と第2係合構造15は、黒矢印で示す回転方向で係合する構造を有し、例えば図3に示す様に(a)フラップ構造15a、25a、(b)アンダーカット構造15b、25b、(c)ラチェット構造15c、25cなどのいずれかとすることができ、それ以外にも内ネジ条14、外ネジ条24とは螺合の回転方向が反対の逆ネジ構造を例示することができるが、これらに限定されない。
【0026】
スパウト20は、構成樹脂として全部をバイオマスポリエチレン樹脂とすることもできるが、一般的にバイオマスポリエチレン樹脂は高コストであり、製造コストを考慮して化石燃料由来のポリエチレン樹脂とブレンドして使用することができ、バイオマスポリエチレン樹脂を少なくとも5重量%以上、より好ましくは50重量%以上含むと、低分子成分がブリードアウトすることで破断強度が低下するため、従来は100N・cm程度にも達する回転トルクが必要であったところ、封鎖板22の周状薄肉部23の部位がより小さな力で破断することができる様になり、高齢者など比較的力の弱い使用者でも容易に開封が行える様になる。
【0027】
また前述のように、インナーリング13の外径は注出筒21の内径よりも若干大きくなっており、その差は「せり量」とも呼ばれる。「せり量」がある場合、インナーリング13が注出筒21に挿入される際は樹脂の自然な弾性により弾性変形して挿入されると共に、挿入後は弾性によりインナーリング13が注出筒21の内面に押し付けられる態様となり、インナーリング13が注出筒21の内面に密着することで内容物が漏れ出ない様に密封する。一般に、「せり量」を大きくすると密封性が向上するが、押し付ける力が強くなるため、キャップを取り外す際の滑り抵抗が大きくなり、力の弱い使用者がキャップを開け難くなることがあった。
【0028】
本発明の口栓においては、スパウト20にバイオマスポリエチレン樹脂を所定の比率含むため、低分子成分がブリードアウトすることで滑り性が増し、「せり量」を大きくして密封性を高めても比較的小さな力でも開けることができるという効果も呈する。
【0029】
キャップ10は、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂などを成形して形成することができる。ポリエチレン樹脂を適用する場合は、スパウト20と同様にその一部または全部をバイオマスポリエチレン樹脂とすることができる。その場合の好ましい含有比率としてはスパウト20と同様であり、5重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。
【0030】
そしてキャップ10も所定の比率のバイオマスポリエチレン樹脂を含むポリエチレン樹脂で成形したものとすると、キャップ10からもスパウト20と同様に低分子成分がブリードアウトすることから、内ネジ条14、外ネジ条24の螺解が容易になり、さらに小さい力で開封および再開封を行うことができる。
【0031】
スパウト20およびキャップ10は、それぞれを構成する樹脂組成物を用いて、従来の石油由来の樹脂のみを用いたスパウトやキャップと同様の圧縮成形法や射出成型法等の公知の成形法により形成することができる。
【0032】
図4は本発明の口栓の第二の形態の断面模式図である。本実施形態の口栓2においては、スパウト20bの第1係合部26が前述の実施形態の封鎖板よりも下方に向かって円筒状に延び、その円筒状の部分と底面部とが実質的に封鎖板22を形成している。それに伴って、キャップ10bの第2係合部16も下方に延長されている。この場合、第1係合構造25と第2係合構造15を形成する領域を広く取ることもできる。
【0033】
図5は本発明の口栓の第三の形態の断面模式図である。本実施形態の口栓3においては、スパウト20cの第1係合部26は前述の実施形態の封鎖板よりも下方に円筒状に延びた部分に形成され、上方には延びていない。下方に延びた円筒状の部分と底面部とが実質的に封鎖板22を形成している。それに伴って、キャップ10cの第2係合部16も下方に延長され、互いに対向する部位に第1係合構造25と第2係合構造15が形成されている。
【0034】
本発明の口栓に用いられるバイオマスポリエチレン樹脂は、通常のプラスチック樹脂の多くが枯渇性の化石資源である石油を原材料とするのに対し、植物などの再生性資源を原材料として化学的または生物学的に合成することにより得られ、大気中のCO濃度を上昇させず、地球温暖化の防止、化石資源への依存度低減に資するとされるバイオマスプラスチックの一種として近年注目されている材料である。
【0035】
スパウト20およびキャップ10に用いられるバイオマスポリエチレン樹脂としては、植物由来のバイオマスポリエチレン樹脂が用いられている。植物由来とは、植物を発酵させて得られたアルコールを原料として合成され、植物由来の炭素を含むことを意味し、このアルコールからエチレンを合成して、さらに重合してバイオマスポリエチレン樹脂が得られる。原材料の植物としては、特に限定するものではないがトウモロコシ、サトウキビ、ビート、キャッサバなどが例示できる。
【0036】
バイオマスポリエチレン樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SHA7260、バイオマス度:94.5%、密度:0.955g/cm、MFR:20g/10分)や、直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm、MFR:2.7g/10分)などが例示できるが、これらに限定されない。またバイオマスポリエチレン樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、各種フィラーなどの各種添加剤を添加してもよい。
【0037】
本発明の口栓は、以上説明した様にバイオマスポリエチレン樹脂を所定の比率で含むため、環境にやさしい口栓ともなっている。すなわち再生可能資源である植物由来のバイオマスポリエチレン樹脂を使用することで、枯渇性資源である化石燃料の使用量をより一層削減し、カーボンニュートラル特性により二酸化炭素の排出量を低減することができる。
【実施例0038】
以下に実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0039】
(サンプルの構成)
図1に示したものと同等な形状の、ポリエチレン樹脂製のスパウトとポリプロピレン樹脂製のキャップを作製し、スパウトのポリエチレン樹脂中のバイオマスポリエチレン樹脂の比率を5%~100%の範囲で変えてサンプル6点を各10個ずつ作製した。
・比較サンプルとして、スパウトのポリエチレン樹脂中にバイオマスポリエチレン樹脂を含まないものを1点(10個)作製した。
【0040】
(評価)
・内ネジ、外ネジの螺解に必要なトルクを、トルクメーターを用いて測定し、その平均値を求めた(開封トルク)。
・比較サンプルよりも開封トルクが小さいものを程度により「良い」(△)、「非常に良い」(○)とした。
・比較サンプルも同様に測定し、「不良」(×)と評価した。
【0041】
<実施例1>
・スパウトのバイオマスポリエチレン樹脂の比率:5%
【0042】
<実施例2>
・スパウトのバイオマスポリエチレン樹脂の比率:20%
【0043】
<実施例3>
・スパウトのバイオマスポリエチレン樹脂の比率:50%
【0044】
<実施例4>
・スパウトのバイオマスポリエチレン樹脂の比率:80%
【0045】
<実施例5>
・スパウトのバイオマスポリエチレン樹脂の比率:95%
【0046】
<実施例6>
・スパウトのバイオマスポリエチレン樹脂の比率:100%
【0047】
・以上の各実施例の評価結果を表1にまとめる。
【0048】
【表1】
【0049】
表1からも明らかに、スパウトのポリエチレン樹脂中のバイオマスポリエチレン樹脂の比率を5%にすると、螺解のトルクが低下する効果が確認できた。また、比率が50%に増加するまでは効果がより大きくなり、それ以上増やしても効果は変わらなかった。
【符号の説明】
【0050】
1、2、3…口栓
10、10b、10c…キャップ
11…天面部
12…側壁部
13…インナーリング
14…内ネジ条
15、15a、15b、15c…第2係合構造
16…第2係合部
20、20b、20c…スパウト
21…注出筒
22…封鎖板
23…周状薄肉部
24…外ネジ条
25、25a、25b、25c…第1係合構造
26…第1係合部
27…アンダーカット
28…フランジ部
100…液体用紙容器
101…胴部
102…傾斜板
図1
図2
図3
図4
図5
図6