(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165029
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】測定装置及び精度管理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20231107BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20231107BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
G01N15/14 B
G01N35/00 F
G01N35/00 A
G01N35/08
G01N15/14 C
【審査請求】有
【請求項の数】41
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149804
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2018185295の分割
【原出願日】2018-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立谷 洋大
(72)【発明者】
【氏名】木西 基
(72)【発明者】
【氏名】辻 智悠
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 泰明
(72)【発明者】
【氏名】米田 聖
(57)【要約】
【課題】
測定装置において精度管理を支援することを一課題とする。
【解決手段】
精度管理を行うための管理試料を測定する測定部と、表示部と、前記精度管理において使用される評価基準を設定するための入力画面を前記表示部に表示する処理部と、を備え、前記処理部は、前記管理試料の測定結果および前記評価基準に基づき、前記検査項目の精度管理結果を前記表示部に表示する、測定装置により解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精度管理を行うための管理試料を測定する測定部と、
表示部と、
前記管理試料の測定結果に基づく精度管理結果を前記表示部に表示する処理部と、を備え、
前記処理部は、前記管理試料の測定結果の表示と前記精度管理において使用される評価基準の設定が可能な入力画面を前記表示部に表示し、前記入力画面を介して設定された前記評価基準と管理試料の測定結果とに基づき、精度管理結果を表示する、フローサイトメータ。
【請求項2】
前記処理部は、検査項目に応じた測定結果を前記表示部に表示し、
前記評価基準は、前記検査項目に応じて設定される、請求項1に記載のフローサイトメータ。
【請求項3】
前記検査項目が測定対象の細胞に対応している、請求項2に記載のフローサイトメータ。
【請求項4】
前記検査項目は1以上の測定項目を含み、前記評価基準が測定項目ごとに設定される、請求項2または3に記載のフローサイトメータ。
【請求項5】
前記測定部は、異なる波長を検出する複数の受光素子を備え、
前記測定項目は、異なる受光素子によって個別に検出される2以上の検出対象の標的分子に対応する測定項目を含む、請求項4に記載のフローサイトメータ。
【請求項6】
前記標的分子が抗原である、請求項5に記載のフローサイトメータ。
【請求項7】
前記評価基準が、前記管理試料を測定した際の各受光素子の光の強さに基づいて決定される、請求項5又は6に記載のフローサイトメータ。
【請求項8】
前記評価基準が、2つの測定項目の光の強さによって張られる粒子分布図に対して設定される、請求項5から7のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項9】
前記評価基準が、所定のゲート内に対して設定される、請求項7又は8に記載のフローサイトメータ。
【請求項10】
前記ゲートがユーザによって設定される、請求項9に記載のフローサイトメータ。
【請求項11】
前記評価基準が、光の強度又は粒子の大きさの上限値と下限値を含む、請求項5から10のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項12】
前記評価基準が、統計情報に基づいて設定される、請求項11に記載のフローサイトメータ。
【請求項13】
前記統計情報が、前記ゲート内における細胞の数、光の強度の中央値、光の強度の平均値、又は光の強度の標準偏差から選択される、請求項12に記載のフローサイトメータ。
【請求項14】
前記入力画面には、各受光素子に対応する文字列が表示される、請求項5から13のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項15】
前記光が蛍光及び/又は散乱光である、請求項5から14のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項16】
前記処理部は、前記光が蛍光であり、1種の蛍光に対して複数の受光素子が感受性を有する場合、前記評価基準を設定する際に、さらに前記複数の受光素子の感受性を調整するための蛍光補正の条件の設定を行う、請求項15に記載のフローサイトメータ。
【請求項17】
前記精度管理の結果が、各精度管理のための管理試料を測定する度に表示される、請求項1から16のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項18】
前記精度管理の結果が、チャネルごとの精度管理の結果であり、複数のチャネルを軸として張られたチャートで表示される、請求項17に記載のフローサイトメータ。
【請求項19】
精度管理の結果が、過去に行った一時点の精度管理の結果と共に表示される、請求項17又は18のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項20】
前記精度管理の結果が、時系列チャートで表示される、請求項19に記載のフローサイトメータ。
【請求項21】
前記精度管理の結果が不良の場合に、精度管理の結果と共に警告を表示する、請求17から20のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項22】
前記入力画面には、ユーザによる文字を受け付ける入力領域が表示される、請求項1から21のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項23】
前記入力画面には、ユーザによる選択を受け付けるアイコンが表示される、請求項1から22のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項24】
前記入力画面には、ユーザによる選択を受け付けるプルダウンリストが表示される、請求項1から23のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項25】
前記入力画面には、ヒストグラム又はドットプロットが表示される、請求項1から24のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項26】
前記評価基準を前記処理部で読み出すことができる形式で記憶する記憶部をさらに備える、請求項1から25のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項27】
前記入力画面に前記評価基準を設定するための入力部をさらに備える、請求項1から26のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項28】
精度管理を行うための管理試料の測定結果の表示と前記精度管理において使用される評価基準の設定が可能な入力画面を表示する表示工程と、
前記管理試料を測定する測定工程と、
前記測定工程により測定された前記管理試料の測定結果を前記入力画面に出力する出力工程と、
前記入力画面を介して設定された前記評価基準と管理試料の測定結果とに基づき、精度管理結果を表示する精度管理工程と、を備える、フローサイトメータの精度管理方法。
【請求項29】
前記評価基準が、検査項目に応じて設定される、請求項28に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項30】
前記検査項目が1以上の測定項目を含み、前記評価基準が測定項目ごとに設定される、請求項28又は29に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項31】
前記測定項目が、異なる受光素子によって個別に検出される2以上の検出対象の標的分子に対応する検出項目を含む、請求項30に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項32】
前記評価基準が、各受光素子が測定した光の強さに基づいて決定される、請求項28から31のいずれか一項に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項33】
前記評価基準が、2つの測定項目の光の強さによって張られる粒子分布図に対して設定される、請求項28から32のいずれか一項に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項34】
前記評価基準が、所定のゲート内に対して設定される、請求項33に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項35】
前記評価基準が、光の強度又は粒子の大きさの上限値と下限値を含む、請求28から34のいずれか一項に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項36】
前記評価基準が、統計情報に基づいて設定される、請求項34又は35に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項37】
前記入力画面には、ヒストグラム又はドットプロットが表示される、請求項28から36に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項38】
前記光が蛍光及び/又は散乱光である、請求項31から37のいずれか一項に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項39】
前記出力工程において、精度管理の結果を各精度管理のための管理試料を測定する度に表示される、請求項28から38のいずれか一項に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項40】
前記出力工程において、前記精度管理の結果を、複数のチャネルを軸として張られたチャートで表示する、請求項28から39のいずれか一項に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【請求項41】
前記出力工程において、前記精度管理の結果を時系列チャートで表示する、請求項39又は40に記載のフローサイトメータの精度管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置及び精度管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子分析装置を用いた細胞の分析では、同じ細胞を同じ検出試薬で測定する場合、異なる日時に独立して実施された分析間で測定結果に違いが出ないことが求められる。特に臨床検体を扱う臨床細胞分析検査では、分析精度を維持するため、内部精度管理が義務図けられている(非特許文献1)。
【0003】
内部精度管理は、分析の再現性及びばらつきをモニタリングすることを目的として行われる。この再現性のモニタリングは、通常臨床検体の測定前に、市販の精度管理試料、及び各施設で集めた精度管理用の試料等の管理試料を測定することにより行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Flow Cytometry Checklist(07.28.2015) FLO.23737 QC - Reagents/Stain Phase II
【非特許文献2】ベックマンコールター社 FCMのための精度管理入門 1.管理検体による内部精度管理https://www.bc-cytometry.com/QC/QC-4-1.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検体検査を行う測定装置においては、同じ検体を測定した際に測定に再現性が求められるため、測定精度の精度管理が必要となる。特にフローサイトメータのような粒子分析装置において1回の検査で多種の抗原や核酸を検出する場合、検査対象の細胞に標識される蛍光色素と同じ蛍光波長を有するビーズや、検査対象となる細胞と同じ細胞種又は細胞系統の生きた細胞、又は生きた細胞を固定して保存した細胞を含む細胞試料を管理試料として内部精度管理に使用することが一般的である。検査依頼の頻度が高い検査項目、特に体外診断用試薬を用いる検査項目については、精度管理試料が市販されている。しかし、検査依頼の頻度が低い検査項目、特に研究用試薬の精度管理を行うための管理試料は、一般的に市販されていない。
【0006】
米国では、非特許文献1に示すように、このような管理試料が提供されていない検査項目についても、内部精度管理を行うことを義務付けている。したがって、管理試料が市販されていない場合、各検査室で精度管理用の試料を準備する必要がある。
【0007】
また、精度管理は検査が行われる日ごと、週ごと、又は月ごとや、試薬ロットごとに行われることが一般的である。このため、管理試料が提供されている場合、この管理試料を測定する際に、測定装置をどの程度の検出感度に保つべきか、蛍光補正をどのように行うか等の測定条件をどの程度に保つべきかといった管理情報も管理試料の提供元、又は測定装置の提供元から提供されることが一般的である。そして、このような場合には、管理試料と共に精度の許容範囲である評価基準に関する情報も提供される。しかし、管理試料が管理試料の提供元、又は測定装置の提供元から提供されない場合、精度管理のための評価基準も各検査室で設定する必要がある。
【0008】
さらには、粒子分析装置は一般的に、市販の管理試料を測定した結果について、粒子分析装置を管理するシステムによって管理されるケースはまれであり、粒子分析装置に付属
する管理するシステムにおいて、ユーザの求め応じて経時的にモニタリングすることはできなかった。従来、管理試料のモニタリング結果の管理はエクセル(登録商標)等でXbar-R管理図等の管理グラフを作成する等して行っている。しかし、このような管理グラフの作成、及び管理グラフからの精度管理情報の判読は、粒子分析に関し熟練したユーザの経験に委ねられていた。
【0009】
本開示では、上記のようにユーザが測定装置における検査項目に応じた精度管理の評価基準を設定する場合において、この精度管理を支援することを一課題とする。また、細胞分析に関するユーザのスキルに依存しなくても、測定装置の精度管理が行えるよう支援することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のある実施形態は、精度管理を行うための管理試料を測定する測定部(200)と、表示部(17)と、前記精度管理において使用される評価基準を設定するための入力画面を前記表示部(17)に表示する処理部(10)と、を備え、前記処理部(10)は、前記管理試料の測定結果および前記評価基準に基づき、前記検査項目の精度管理結果を前記表示部(17)に表示する、測定装置(1000)に関する。本実施形態によれば、測定装置(1000)の制御ユニット(100)に接続された表示部(17)に、精度管理結果を表示することができる。結果として、測定データの品質向上、管理コストの削減、業務時間の短縮等の効果が見込まれる。
【0011】
好ましくは、前記評価基準は、検査項目に応じて設定される。この実施形態により、精度管理を検査項目に応じて行うことができる。
【0012】
好ましくは、前記評価基準をユーザが設定する。このような実施形態とすることにより、ユーザの希望する検査項目について、精度管理を行うことができる。
【0013】
好ましくは、前記評価基準は粒子分析装置(1000)の記憶部に、粒子分析装置(1000)の処理部(10)が読み出すことができる形式で記憶される。このような実施形態にすることで、精度管理の評価基準を、測定装置(1000)のアプリケーションソフトウエア上に呼び出すことができる。
【0014】
好ましくは、測定装置(1000)は、前記入力画面に前記評価基準を設定するための入力部をさらに備える。このような実施形態とすることで、ユーザによる評価基準の設定を補助することができる。
【0015】
好ましくは、前記粒子が細胞であり、前記検査項目が測定対象の細胞に対応する。より好ましくは、標的分子が抗原である。このような実施形態にすることで、細胞分析の精度管理を制御ユニット(100)で行うことができる。
【0016】
好ましくは、前記検査項目は1以上の測定項目を含み、前記評価基準は測定項目ごとに設定される。より好ましくは、前記測定項目が、異なる受光素子によって個別に検出される2以上の検出対象の標的分子に対応する検出項目を含む。このような実施形態とすることで、評価基準の設定をサブセットパネルごとに行うことができる。
【0017】
好ましくは、前記評価基準が、各受光素子が検出した光の強さに基づいて決定される。このような実施形態とすることで、ヒストグラムに基づいて、評価基準を設定することができる。
【0018】
好ましくは、前記評価基準は、2つの測定項目の光の強さによって張られる粒子分布図
に対して設定される。このような実施形態とすることでドットプロット上で評価基準を設定することができる。好ましくは、前記評価基準は、所定のゲート内に対して設定される。より好ましくは、前記ゲートはユーザによって設定されたものである。このような実施形態とすることで、所定のゲート内について、評価基準を設定することができる。
【0019】
好ましくは、前記評価基準は、光の強度又は粒子の大きさの上限値と下限値を含む。このような実施形態とすることで、光の強度又は粒子の大きさに基づいて、評価基準を設定することができる。
【0020】
好ましくは、前記評価基準は、統計情報に基づいて設定される。より好ましくは、前記統計情報は、前記ゲート内における細胞の数、光の強度の中央値、光の強度の平均値、又は光の強度の標準偏差から選択される。このような実施形態とすることで、様々な統計学情報に基づいて評価基準を設定することができる。
【0021】
好ましくは、前記入力画面には、ユーザによる文字を受け付ける入力領域、ユーザによる選択を受け付けるアイコン、ユーザによる選択を受け付けるプルダウンリストから選択される少なくとも1種が表示される。このような実施形態とすることで、ユーザビリティ
を高めることができる。
【0022】
好ましくは、前記入力画面には、ヒストグラム又はドットプロットが表示される。このような実施形態とすることで、ユーザは、入力画面に表示されるヒストグラム又はドットプロットを見ながら評価基準を設定することができる。
【0023】
好ましくは、前記入力画面には、各受光素子に対応する文字列が表示される。このような実施形態とすることで、受光素子ごとに評価基準を設定することができる。
【0024】
好ましくは、前記光が蛍光及び/又は散乱光である。このような実施形態とすることで、蛍光及び散乱光等についても評価基準を設定することができる。
【0025】
好ましくは、処理部(10)は、前記光が蛍光であり、1種の蛍光に対して複数の受光素子が感受性を有する場合、前記評価基準を設定する際に、さらに前記複数の受光素子の感受性を調整するための蛍光補正の条件の設定を行う。このような実施形態とすることで、複数波長の蛍光を使用する場合に、自動的に蛍光補正を行うことができる。
【0026】
好ましくは、前記粒子分析装置(1000)は、フローサイトメータである。このような実施形態とすることで、フローサイトメータ、特にマルチカラーフローサイトメータにおいて評価基準の設定を行うことができる。
【0027】
好ましくは、精度管理の結果が、各精度管理のための管理試料を測定する度に表示される。このような実施形態とすることで精度管理結果をリアルタイムでモニタリングすることができる。
【0028】
好ましくは、前記精度管理の結果は、チャネルごとの精度管理の結果であり、複数のチャネルを軸として張られたチャートで表示される。このような実施形態とすることで、複数のチャネルの精度管理結果を1画面に表示することができる。
【0029】
好ましくは、精度管理の結果は、過去に行った一時点の精度管理の結果と共に表示される。より好ましくは、前記精度管理の結果は、時系列チャートで表示される。このような実施形態とすることで、精度管理結果の日内変動や日差変動を一目で把握することができる。
【0030】
好ましくは、前記精度管理の結果が不良の場合に、精度管理の結果と共に警告を表示する。このような実施形態とすることで、ユーザが精度管理異常をいち早く把握することができる。
【0031】
本開示のある実施形態は、検査項目に応じた評価基準を設定するための入力画面を表示する表示工程と、前記評価基準に基づき、精度管理を行うための管理試料を測定する測定工程と、前記測定工程により測定された前記管理試料の精度管理結果を出力する出力工程と、を備える、精度管理方法に関する。本実施形態によれば、測定装置(1000)の制御ユニット(100)に接続された表示部17に、精度管理結果を表示することができる。結果として、測定データの品質向上、管理コストの削減、業務時間の短縮等の効果が見込まれる。
【0032】
好ましくは、精度管理方法において、前記評価基準は、検査項目に応じて設定される。この実施形態により、精度管理を検査項目に応じて行うことができる。
【0033】
好ましくは、精度管理方法において、前記評価基準をユーザが設定する。このような実施形態とすることにより、ユーザの希望する検査項目について、精度管理を行うことができる。
【0034】
好ましくは、精度管理方法において、前記検査項目は1以上の測定項目を含み、前記評価基準は測定項目ごとに設定される。より好ましくは、前記測定項目が、異なる受光素子によって個別に測定される2以上の測定対象の標的分子に対応する測定項目を含む。このような実施形態とすることで、評価基準の設定をサブセットパネルごとに行うことができる。
【0035】
好ましくは、精度管理方法において、前記評価基準が、各受光素子が測定した光の強さに基づいて決定される。このような実施形態とすることで、ヒストグラムに基づいて、評価基準を設定することができる。
【0036】
好ましくは、精度管理方法において、前記評価基準は、2つの測定項目の光の強さによって張られる粒子分布図に対して設定される。このような実施形態とすることでドットプロット上で評価基準を設定することができる。好ましくは、前記評価基準は、所定のゲート内に対して設定される。より好ましくは、前記ゲートはユーザによって設定されたものである。このような実施形態とすることで、所定のゲート内について、評価基準を設定することができる。
【0037】
好ましくは、精度管理方法において、前記評価基準は、光の強度又は粒子の大きさの上限値と下限値を含む。このような実施形態とすることで、光の強度又は粒子の大きさに基づいて、評価基準を設定することができる。
【0038】
好ましくは、精度管理方法において、前記評価基準は、統計情報に基づいて設定される。このような実施形態とすることで、様々な統計学情報に基づいて評価基準を設定することができる。
【0039】
好ましくは、精度管理方法において、前記入力画面には、ヒストグラム又はドットプロットが表示される。このような実施形態とすることで、ユーザは、入力画面に表示されるヒストグラム又はドットプロットを見ながら評価基準を設定することができる。
【0040】
好ましくは、精度管理方法において、前記光が蛍光及び/又は散乱光である。このよう
な実施形態とすることで、蛍光及び散乱光等についても評価基準を設定することができる。
【0041】
好ましくは、精度管理方法は、フローサイトメータを用いて行われる。このような実施形態とすることで、フローサイトメータ、特にマルチカラーフローサイトメータにおいて評価基準の設定を行うことができる。
【0042】
好ましくは、精度管理方法の前記出力工程において、精度管理の結果が、各精度管理のための管理試料を測定する度に表示される。このような実施形態とすることで精度管理結果をリアルタイムでモニタリングすることができる。
【0043】
好ましくは、前記出力工程において、前記精度管理の結果は、チャネルごとの精度管理の結果であり、複数のチャネルを軸として張られたチャートで表示される。このような実施形態とすることで、複数のチャネルの精度管理結果を1画面に表示することができる。
【0044】
好ましくは、前記出力工程において、前記精度管理の結果は、時系列チャートで表示される。このような実施形態とすることで、精度管理結果の日内変動や日差変動を一目で把握することができる。
【0045】
本開示の別の実施形態は、精度管理を行うための管理試料を測定する測定部(200)と、表示部(17)と、検査項目の精度管理結果を前記表示部に表示する処理部(10)と、を備え、処理部(10)は、管理試料に応じた情報を取得し、取得した前記情報に基づき、対応する前記検査項目の精度管理設定画面又は精度管理画面を前記表示部に表示する、測定装置(1000)に関する。本実施形態によれば、管理試料に応じて精度管理設定画面又は精度管理画面を表示することができる。
【0046】
好ましくは、前記管理試料に応じた情報が、管理試料に応じた表示モード情報であり、取得した表示モード情報に対応する前記検査項目の精度管理設定画面又は精度管理画面を、他の表示モード情報に対応する精度管理設定画面又は精度管理画面と切り替え可能に前記表示部に表示する。このような実施形態とすることにより、1画面上で異なる管理試料の精度管理設定画面又は精度管理画面を表示することができる。
【0047】
好ましくは、前記処理部は、検査試薬の容器、又は外装に付されたバーコードから、試薬情報を読み取り、前記表示モードの情報に対応する検査項目の精度管理設定画面又は精度管理画面を前記表示部に表示する。このような実施形態とすることで、ユーザが試薬情報を入力しなくても、試薬情報を取得することができ簡便である。検出試薬として体外診断用試薬を用いる場合有用である。
【0048】
前記処理部は、入力部からの入力により又はネットワークから試薬情報を取得し、前記表示モードの情報対応する検査項目の精度管理設定画面又は精度管理画面を前記表示部に表示する。このような実施形態とすることで、研究用試薬を使用する場合であっても、試薬情報を入力することができる。
【0049】
好ましくは、前記管理試料が、体外診断用試薬の管理試料又は研究用試薬を用いて調製された管理試料であり、前記表示モード情報は、前記管理試料が前記体外診断用試薬の管理試料であるか、研究用試薬を用いて調製された管理試料であるかの情報を含む。このような実施形態とすることで、体外診断用試薬の管理試料及び研究用試薬を用いて調製された管理試料について精度管理を行うことができる。
【0050】
好ましくは、管理試料として研究用試薬を用いて調製された管理試料を用いる場合には
、評価基準を設定する画面を表示し、管理試料として、体外診断用試薬の管理試料を用いる場合には、評価基準が設定された画面を表示する。このような実施形態とすることで、1画面上で、体外診断用試薬を用いる場合の精度管理画面と、研究用試薬を使用する場合の精度管理設定画面及び精度管理画面を1画面上に表示することができる。
【0051】
本開示の別の実施形態は、管理試料に応じた情報を取得する工程と、前記管理試料に対応する検査項目の精度管理設定画面又は精度管理画面を表示する表示工程と、精度管理を行うための管理試料を測定する測定工程と、前記測定工程により測定された前記管理試料の精度管理結果を出力する出力工程と、を含む精度管理方法に関する。本実施形態によれば、管理試料に応じて精度管理設定画面又は精度管理画面を表示することができる。
【0052】
好ましくは、精度管理方法において、前記管理試料に応じた情報が、管理試料に応じた表示モード情報であり、取得した表示モード情報に対応する前記検査項目の精度管理設定画面又は精度管理画面を、他の表示モード情報に対応する精度管理設定画面又は精度管理画面と切り替え可能に前記表示部に表示する。このような実施形態とすることにより、1画面上で異なる管理試料の精度管理設定画面又は精度管理画面を表示することができる。
【0053】
好ましくは、精度管理方法において、検査試薬の容器、又は外装に付されたバーコードから、試薬情報を読み取り、前記表示モードの情報に対応する検査項目の精度管理設定画面又は精度管理画面を前記表示部に表示する。このような実施形態とすることで、ユーザが試薬情報を入力しなくても、試薬情報を取得することができ簡便である。検出試薬として体外診断用試薬を用いる場合有用である。
【0054】
好ましくは、精度管理方法において、入力部からの入力により又はネットワークから試薬情報を取得し、前記表示モードの情報対応する検査項目の精度管理設定画面又は精度管理画面を前記表示部に表示する。このような実施形態とすることで、研究用試薬を使用する場合であっても、試薬情報を入力することができる。
【0055】
好ましくは、前記管理試料が、体外診断用試薬の管理試料又は研究用試薬を用いて調製された管理試料であり、前記表示モード情報は、前記管理試料が前記体外診断用試薬の管理試料であるか、研究用試薬を用いて調製された管理試料であるかの情報を含む。このような実施形態とすることで、体外診断用試薬の管理試料及び研究用試薬を用いて調製された管理試料について精度管理を行うことができる。
【0056】
好ましくは、精度管理方法において、管理試料として研究用試薬を用いて調製された管理試料を用いる場合には、評価基準を設定する画面を表示し、管理試料として、体外診断用試薬の管理試料を用いる場合には、評価基準が設定された画面を表示する。このような実施形態とすることで、1画面上で、体外診断用試薬を用いる場合の精度管理画面と、研究用試薬を使用する場合の精度管理設定画面及び精度管理画面を1画面上に表示することができる。
【発明の効果】
【0057】
本実施形態によれば、管理試料が管理試料の提供元、又は測定装置の提供元から提供されない場合においても、精度管理を行うための条件を簡便に設定し、精度管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図7】装置QC設定処理のフローチャート例を示す。
【
図13-1】パネル登録処理のフローチャート例を示す。
【
図13-2】パネル登録処理のフローチャート例を示す。
【
図13-3】パネル登録処理のフローチャート例を示す。
【
図30-1】ベースラインセッティングのフローチャート例を示す。
【
図30-2】ベースラインセッティングのフローチャート例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面において、同じ符号は同じ又は類似の構成要素を示すこととし、よって、同じ又は類似の構成要素に関する説明を省略する。
【0060】
[本開示の概要]
本開示の概要について、
図1を用いて説明する。以下の説明では、測定装置1000として粒子分析装置1000を使用する例を用いるが、測定装置1000は粒子分析する測定装置に限定されない。測定装置として、例えば核酸増幅装置、核酸配列解析装置、免疫測定装置、生化学測定装置、凝固系測定装置、尿検査装置等を挙げることができる。粒子分析装置1000の構成例は、
図2に示す。本開示におけるある態様は、粒子分析装置1000における精度管理を支援することに関する。また、別の態様として、粒子分析装置1000における精度管理に関する。より好ましくは、粒子分析装置1000において粒子の測定の精度を管理するための管理試料の測定条件が提供者より提供されていない検査項目について、精度管理を支援することに関する。より好ましくは、検査項目に応じた精度管理の評価基準を、粒子分析装置1000における精度管理のための処理において呼び出すことができるファイル形式で生成し、補助記憶部13に記憶する。前記設定は、測定試料の分析に先立って、又は測定試料の分析の際に所定の時期に受け付けられる。
【0061】
粒子分析装置1000を起動させるため、粒子分析装置1000の制御ユニット100にユーザがアクセスすると粒子分析装置1000の起動処理が始まる(ステップS1)。起動処理終了後、制御ユニット100の処理部10は、粒子分析装置1000の測定ユニット200の精度管理を開始する。
【0062】
例えば、測定ユニット200の精度管理には、検査項目を問わず測定ユニット200のハードウェア自体の精度管理(装置精度管理、又は装置QCともいう)を行うことと、測定試薬の劣化等をモニタリングするための検査項目に応じた精度管理(検査項目精度管理)とがある。
図1に示すように、ユーザが粒子分析装置1000の起動を行うと、処理部10は、粒子分析装置1000の起動処理を行い(ステップS1)に、処理部10は、測定ユニット200の装置QCを行うためのステップS2を行う。続いて処理部10は検査項目精度管理を行う。検査項目(パネルともいう)に応じた精度管理を行うためには、検査項目に応じた精度管理の評価基準が必要となる。すでに評価基準が設定されている検査項目については、既存の評価基準を使用する。新規の検査項目について、処理部10は、検査項目に応じた精度管理を行うための評価基準の設定を受け付ける(ステップS3からステップS6)。あるいはすでに評価基準が設定されている場合であっても例えば精度管理試料のロットがかわる場合等には、処理部10は、評価基準を設定するための処理を行う必要がある。新規の検査項目の評価基準を設定する場合には、処理部10は、ユーザによるパネルの登録を受け付ける(ステップS3)。続いて、登録されたパネルについての精度管理ファイル(QCファイル)の登録(ステップS4)と、登録されたQCファイルについて管理試料を使ったベースラインの設定(ステップS5)を受け付ける。すでに登録されている評価基準を更新する場合にはステップS4とステップS5を行う。必要に応じて、処理部10は、設定された評価基準についてのレポートを作成する(ステップS6)。処理部10は、ステップS7において、設定された評価基準を使用して日々の測定の前に各検査項目について精度管理を行う。この精度管理はデイリーQCとも呼ばれる。デイリーQCの結果もレポートとして出力されてもよい(ステップS8)。デイリーQCを行った後に、すなわちステップS7の後又はステップS8の後に、検体から調製された測定試料を測定するステップS9を含んでもよい。また、測定試料の測定結果もレポートとして出力されてもよい(ステップS10)。
【0063】
検査項目に応じた精度管理を行うための評価基準の設定を受け付けるステップS3からステップS6に必要な画面を包括的に精度管理設定画面と称することがある。
【0064】
本開示において、ユーザは、測定装置の操作者を意図する。操作者には、例えば臨床検査技師、研究者、技術者、実験補助者、学生、測定システムの管理者等を含む。後述する評価基準の設定を行うユーザは、例えば測定装置の管理者としてのスキルを有していることが好ましい。管理者としてのスキルとは、例えば検査室の室長、主任、マネージャー、測定システム管理者等の測定分野に精通した者を挙げることができる。後述するデイリーQCは、管理者としてのスキルを有していない者が行ってもよい。
【0065】
[粒子分析システム]
はじめに、本開示における精度管理の対象となる粒子分析について説明する。
粒子分析は、粒子を分析する。粒子は、所定の光を照射された際に1又は2以上の光を発することが好ましい。所定の光を照射された際に粒子から発せられる光を、粒子に由来する光と総称する。前記粒子に由来する光には散乱光及び発光などが含まれる。粒子に由来する光は、どのような波長の光であってもよいが、350nm~850nmの範囲にピーク波長を有する光であることが好ましい。より具体的には、前記粒子に由来する光は蛍光であることが好ましい。前記粒子に由来する光は、粒子に含まれる物質自体が発する光であってもよい。あるいは、前記粒子に由来する光は、粒子を蛍光物質などの発光物質で標識し、この発光物質が発する光を粒子に由来する光として検出してもよい。また、粒子に由来する光は、測定項目毎にピーク波長が異なることが好ましい。
【0066】
粒子は、磁気ビーズやプラスチックビーズ等の人工的な粒子であってもよい。また、粒子は円柱等の生体成分であってもよく、微生物、動物細胞、及び植物細胞等の粒子であってもよい。
【0067】
粒子は、検出試薬によって検出される。好ましくは粒子に存在する標的分子を検出試薬に含まれる蛍光色素と結合させることにより、粒子を検出する。
【0068】
前記標的分子は粒子に存在するものである限り制限されない。好ましくは、前記粒子は細胞であり、前記標的分子は細胞膜上、細胞膜中、細胞内のいずれに存在していてもよい分子である。前記標的分子は細胞内小器官(核、核膜、核小体、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体、リソソーム、細胞膜、細胞質等)そのものであってもよい。前記標的分子は、例えば遺伝子導入等により獲得された分子であってもよい。前記標的分子は、好ましくは、抗原、及び核酸よりなる群から選択される少なくとも一種である。
【0069】
前記標的分子を検出するために使用される、蛍光色素が結合している抗体、蛍光色素が結合している核酸又は蛍光シグナルを発する染色物質等を含む試薬を検出試薬と呼ぶ。検出試薬は、検査依頼に含まれる検出項目(標的分子)に応じて、複数の検出試薬を適宜組み合わせることができる。好ましくは、標的分子を抗原として検出する場合、前記抗原の検出に用いられる抗体を検出抗体と呼ぶ。
【0070】
粒子が生体に由来する場合、検体は、個体から採取される細胞、組織、細胞を含む体液等である限り制限されない。測定に先立ち前記検体若しくは検体に由来する細胞を希釈、又は固定等した細胞試料と検出試薬を混合することにより、粒子分析装置1000で測定可能な測定試料(蛍光色素と結合した細胞の浮遊液)を調製する。検体として好ましくは、末梢血、骨髄、尿等である。例えばマルチカラーフローサイトメトリーの場合、一般的に1つの細胞試料について、検査項目に含まれる1以上、好ましくは複数の検出項目を1から数回のアッセイ(検出ともいう)に分けて分析を行う。検査項目に含まれる1以上、好ましくは複数の検出項目のセットをパネルともいう。1回のアッセイで測定される複数の検出項目のセットを測定項目(サブセットパネル)ともいう。したがって、検査項目は1以上、好ましくは複数の検出項目を含むサブセットパネルを含み、パネルは1以上、好
ましくは複数のサブセットパネルを含む。例えば、パネルが20項目の検出項目を含む場合、一般的に前記検出項目を4~10のサブセットパネルに分けて測定する。
【0071】
本開示において、粒子分析は、粒子分析装置1000によって行われる。粒子分析装置1000は、
図2に示すように、例えば粒子分析を行う測定ユニット200と測定ユニット200における分析を制御するための制御ユニット100とを備える。測定ユニット200と制御ユニット100とはネットワークで有線又は無線で接続されていてもよく、測定ユニット200と制御ユニット100とは一体となっていてもよい。また、粒子分析装置1000は、依頼者端末300と、ネットワーク99を通じて互いに有線又は無線で接続され、粒子分析システム5000を構成してもよい。
【0072】
制御ユニット100は、例えば汎用コンピュータで構成されており、後述するフローチャートに示す手順に基づいて、粒子分析装置において粒子分析の精度を管理するための管理試料の測定条件が提供者より提供されていない粒子を検出するための検出試薬の組み合わせについて、前記検出試薬に応じた精度管理用の試料を測定する測定条件の設定を、粒子分析装置の精度管理のための処理において呼び出すことができるファイル形式で精度管理データを生成する。ユーザは、粒子試料に検出試薬を混合し測定試料29を調製する。調製された測定試料29は、試料容器28に格納され、測定ユニット200にセットされ、粒子の分析が行われる。
【0073】
ここでは、制御ユニット100が、粒子分析装置1000における粒子分析の制御と、管理試料の測定データに基づいて精度管理の管理条件を含むデータを生成する例を示すが、制御ユニット100とは異なる汎用コンピュータが精度管理の評価基準を含むデータを生成し、制御ユニット100に送信してもよい。
【0074】
[制御装置のハードウェア構成]
図3に制御ユニット100のハードウェアの構成例を示す。制御ユニット100は、処理部10を備える。また制御ユニット100は、入力部16と、出力部17とを備えていてもよい。
【0075】
制御ユニット100は、後述するデータ処理を行う処理部10であるCPU(Central Processing Unit)と、データ処理の作業領域に使用するメモリ12と、後述するプログラム及び処理データを記憶する補助記憶部13と、各部の間でデータを伝送するバス14と、外部機器とのデータの入出力や通信を行うインタフェース部15(以下、「I/F部」と記す)とを備えている。インタフェース部15の中で通信を行うインタフェース部を通信部151とする。入力部16及び出力部17は、処理部10に接続されている。本開示においてメモリと補助記憶部13とを併せて記憶部と呼ぶことがある。例示的には、入力部16と出力部17(表示部又はプリンタ等)とは一体化されて、タッチパネル式の入力表示装置として構成することができる。また、入力部16として、キーボードやマウスと共に、バーコードリーダ等の読み取り装置が接続されていてもよい。前記読み取り装置は、例えば検出試薬の外装に付された検出試薬の情報等を登録したバーコード等を読み取ることができる。
【0076】
また、制御ユニット100は、以下で説明する精度管理を支援するための各ステップを行うために、本開示に係るプログラムを、例えば実行形式(例えばプログラミング言語からコンパイラにより変換されて生成される)で補助記憶部13に予め記憶しており、処理部10は、補助記憶部13に記憶したプログラムを使用して処理を行う。
【0077】
処理部10は、メモリ12を作業領域として必要なデータ(処理途中の中間データ等)を一時記憶し、補助記憶部13に演算結果等の長期保存するデータを適宜記憶する。
【0078】
[粒子分析装置の構成]
測定ユニット200は、吸引部21と、流体回路22と、測定部23とを備える。測定ユニット200は、試料容器28に収容された測定試料29を吸引部21によって吸引し、吸引した測定試料29を流体回路22によって流体搬送し、搬送した測定試料29を測定部23において測定する。
【0079】
本実施形態では、測定ユニット200の制御は制御ユニット100が兼任して行う。すなわち、測定部23によって測定された光学的情報は、制御ユニット100へ送信され、制御ユニット100が、測定部23から送信された光学的情報に基づいて、粒子の数や各抗原に対応する分析を行う。制御ユニット100は、測定ユニット200の制御のための処理手順と、測定部23から送信された測定値の測定のための処理手順とを規定したコンピュータプログラムを、後述する補助記憶部13に予め記憶している。制御ユニット100は、後述する処理部10によりコンピュータプログラムを実行することにより、測定ユニット200の制御を行う。
【0080】
吸引部21は、例えば、測定試料等の吸引及び吐出が可能なノズルである。流体回路22は、流体の流路であり、流体は例えばシリンジポンプにより搬送される。粒子分析システム1000は、例えば、フローサイトメータである。好ましくは、マルチカラーフローサイトメータである。フローサイトメータは、フローサイトメトリー法により試料を光学的に測定する。以下、粒子が細胞であり、検出試薬が細胞に存在する標的分子を検出する抗体を含む場合を例として説明する。
【0081】
測定部23が備える蛍光検出用の受光素子(例えば、フォトマルチプライアチューブ)の数は、測定ユニット200が対応可能な蛍光色素の数に応じて決められている。例えば、測定ユニット200が、1回のアッセイあたり10色の蛍光色素に対応可能であれば、測定ユニット200は、測定部23に合計10個の蛍光測定用の受光素子を備える。以下、
図12を参照して、複数の蛍光を同時に測定するケースを一例として、フローサイトメータの光学系を説明する。
図4において符号77で表される点線は、本来ある受光素子の図を省略していることを意味する
【0082】
図4に、測定部23の一例として、フローサイトメータの光学系の一例を示す。フローサイトメータは、測定試料中の細胞を含有する細胞含有液を受け入れるセル27と、セル27を通過する細胞に光を照射する光源201、224と、細胞に由来する光の光学的情報を検出して電気信号に変換された検出信号を出力する受光素子200A~200Fとを備える。実際の光源は2つだけではなく3つであるが、説明の便宜上光源201、224を例として説明する。また、
図3のフローサイトメータに関する以下の説明では、測定試料29が血液と抗体試薬との混合物である場合を一例として説明する。
【0083】
細胞は、所定の光を照射された際に1又は2以上の光を発することが好ましい。所定の光を照射された際に細胞から発せられる光を、細胞に由来する光と総称する。前記細胞に由来する光には散乱光及び発光などが含まれる。細胞に由来する光は、どのような波長の光であってもよいが、350nm~850nmの範囲にピーク波長を有する光であることが好ましい。より具体的には、前記細胞に由来する光は蛍光であることが好ましい。前記細胞に由来する光は、細胞に含まれる物質自体が発する光であってもよい。あるいは、前記細胞に由来する光は、細胞を上記細胞の分析で述べた検出試薬に含まれていた蛍光色素が発する光を細胞に由来する光として検出してもよい。また、細胞に由来する光は、抗原ごとにピーク波長が異なることが好ましい。第1の実施態様において、細胞に由来する蛍光は、検出試薬に含まれる各抗体に標識されている蛍光色素に由来する。
【0084】
細胞含有液とは、試料からフローサイトメータ内に吸引された測定試料を含む液であり、必要に応じて希釈液を含む。光学的情報とは、細胞から発せられる1又は2以上の光波長スペクトルに含まれる情報である。光波長スペクトルにはその光波長スペクトルに含まれる個々の光波長、光波長領域、及びそのそれぞれの光波長、又は光波長領域の強さが含まれる。個々の光波長、及び波長領域は、後述する1又は2以上の受光素子のいずれが受光したかによって特定することができる。また、それぞれの光波長、又は光波長領域の強さは、受光した前記受光素子が出力する電気信号によって特定することができる。
【0085】
以下、細胞に由来する光が散乱光及び蛍光である場合を例として具体的に説明する。光源201から出射された光は、コリメートレンズ202、ダイクロイックミラー203、集光レンズ204を経てセル27に照射される。セル27を通過する細胞に由来する光の前方散乱光は、集光レンズ205により集光され、ビームストッパー206、ピンホール板207、バンドパスフィルタ208を経て受光素子200Aに入射する。
【0086】
一方、セル27を通過する細胞に由来する光の側方散乱光及び側方蛍光は、集光レンズ209により集光される。側方散乱光は、ダイクロイックミラー210、211、212、ピンホール板203、バンドパスフィルタ214を経て受光素子200Bに入射する。波長が520nm以上、542nm以下の側方蛍光は、ダイクロイックミラー210、211を透過してダイクロイックミラー212で反射され、ピンホール板215、バンドパスフィルタ216を経て受光素子200Cに入射する。また、波長が570nm以上、620nm以下の側方蛍光は、ダイクロイックミラー210を透過してダイクロイックミラー211で反射され、ピンホール板217、バンドパスフィルタ218を経て受光素子200Dに入射する。さらに波長が670nm以上、800nm以下の側方蛍光は、ダイクロイックミラー210で反射され、ダイクロイックミラー219を透過してピンホール板220、バンドパスフィルタ221を経て受光素子200Eに入射する。
【0087】
光源224から出射された光は、コリメートレンズ225、ダイクロイックミラー203、集光レンズ204を経てセル27に照射される。セル27を通過する細胞に由来する光の側方蛍光は、集光レンズ209により集光される。662.5nm以上、687.5nm以下の側方蛍光はダイクロイックミラー210で反射され、ダイクロイックミラー219で反射された後、ピンホール板222、バンドパスフィルタ223を経て受光素子200Fに入射する。
【0088】
図4に示す一例では、光源201には488nmの波長のレーザダイオードを用い、光源224には642nmの波長のレーザダイオードを用いている。セル27にはシースフローセルを用いている。前方散乱光を受光する受光素子200Aにはフォトダイオードを用い、側方散乱光を受光する受光素子200Bにはアバランシェフォトダイオード(avalanche photodiode、APD)を用いている。側方蛍光を受光する受光素子200C~200Fにはフォトマルチプライアチューブ(Photo Multiplier Tube、PMT)を用いてい
る。
【0089】
このように、
図4に示すフローサイトメータでは、説明の便宜上、側方蛍光を受光する受光素子200C~200Fの数は4個である。しかし実際には10個である。したがって、この例に示すフローサイトメータは、蛍光検出用の4個の受光素子を備え、1回のアッセイあたり、4色の蛍光を同時に測定することができる。しかし実際には、フローサイトメータは、蛍光検出用の10個の受光素子を備え、1回のアッセイあたり、10色の蛍光を同時に測定することができる。
【0090】
各受光素子200A~200Fから出力されるそれぞれの検出信号は、増幅回路(図示せず)において増幅され、A/D変換器(図示せず)においてA/D変換されてデジタル
データ化される。デジタルデータ化された検出信号は、本実施形態では制御ユニット100に送信され、細胞の分析が行われる。増幅回路は、例えばオペアンプ等から構成される既知の増幅回路である。
【0091】
光源は、1つであっても2つ以上であってもよい。好ましくは、フローサイトメータは少なくとも3つの光源を搭載する。光源は、細胞に由来する光の波長領域に応じて選択される。光源が2以上である場合には、これらの光源は異なるピーク波長を有する光を発することが好ましい。
【0092】
フォトダイオード、ダイクロイックミラー、及びバンドパスフィルタの数は、細胞に由来する光のピーク波長の数に応じて変更することができる。また、フォトダイオード、ダイクロイックミラー、及びバンドパスフィルタの種類も、細胞に由来する光のピーク波長、又は波長領域、及びその強さに応じて選択することができる。
【0093】
制御ユニット100は、測定部23が散乱光や蛍光を検出する際の検出感度に関する情報、検出された蛍光の組み合わせに応じた蛍光補正に関する情報、及び検出される細胞の分布領域を選択するためのゲーティングに関する情報を測定部23に送り、これらの情報に基づいて測定部23が抗原に応じて適切な光学的情報を取得できるように制御する。
【0094】
[制御ユニットの動作の概要]
制御ユニット100では、例えば医師が、患者がある疾患(例えば、白血病)に罹患しているか否かを判断するために必要な検査依頼を、処理部10が取得する。ユーザは、受信した検査依頼に対応する複数の測定項目に応じて、測定試料29を調製し、測定ユニット200にセットする。その後ユーザの測定開始指示の入力により、測定ユニット200において、後述する細胞分析の処理手順に従って各標的分子の測定が行われる。
【0095】
[依頼者端末]
さらに、粒子分析装置1000は、依頼者端末300と、ネットワーク99を通じて互いに接続されていてもよい。依頼者端末300を介して例えば医師から指示される検査依頼は、ネットワークを通じて粒子分析装置1000に送信される。依頼者端末300は、例えば処理部10及びメモリを有する汎用コンピュータで構成されている。検査対象の検体は、別途、ユーザに渡される。依頼者端末300は、入力された検査依頼を制御ユニット100に送信する。また、粒子分析装置1000は、測定結果を依頼者端末300に送信してもよい。
【0096】
[精度管理の支援方法及び精度管理方法]
本開示は、粒子分析装置1000において行われる細胞分析の精度管理を支援することに関する。はじめに、精度管理の概要を説明する。
【0097】
(精度管理の概要と支援方法の効果)
精度管理は、各検査室内における分析の精度を管理する内部精度管理と、独立した複数の検査室間における分析精度を管理する外部精度管理が存在する。本開示は、内部精度管理に関する。本開示において単に「精度管理」又は「QC」と呼ぶ場合には、内部精度管理を意図する。
【0098】
粒子分析の精度管理は、分析の再現性及びばらつきをモニタリングすることを目的として行われる。前記精度管理には、測定ユニット200自体の分析性能に関する精度管理(装置精度管理又は装置QC)と、検出試薬の品質や、測定試料の調製方法を反映する検査項目の精度管理(検査項目精度管理)とが含まれる。本開示において、精度管理は好ましくは検査項目精度管理である。
【0099】
以下、測定ユニット200としてフローサイトメータ用い、検出試薬として検出抗体を用いた細胞分析を例として、精度管理の支援方法について説明する。
【0100】
一般的に、装置QCを行う場合には、測定ユニット200が測定する蛍光波長に対応した蛍光ビーズ等を含む装置精度管理のための管理試料(装置管理試料)を用いる。具体的には、測定ユニット200を起動した際、最初にこのような装置管理試料を測定し、測定ユニット200の検出系が正常に動作していることを確認することが好ましい。装置精度管理の結果は、その都度精度管理実施日及び異常があった場合にはその内容も含め履歴が補助記憶部13に記憶されることが好ましい。
【0101】
次に、検査項目に応じた検査項目精度管理が行われる。一般的に検査項目は検査依頼書等に記載されており、検査したい粒子の種類等に相当する。検査項目について検査を行う場合、粒子の種類に応じた複数の標的分子をそれぞれ検出項目として測定ユニット200において測定する。例えば、検査項目(細胞種別)はCD4陽性T細胞であり、この依頼を満足する検出項目(標的分子の種類)は、T細胞の表面抗原であるCD3とCD4である。検査項目精度管理は、検査項目ごとであって、かつ各検査項目に含まれる検出項目全てについて行われることが好ましい。このため、検査項目精度管理は、検査依頼を満足するよう、検査項目の細胞種と同一、又は似た細胞を使って、検体から測定試料を調製する場合と同様の検出試薬を用いて調製された管理試料(検査項目管理試料)を使用して行うことが好ましい。検査項目精度管理は、測定試料の測定に先立って行われることが好ましい。検査項目精度管理の結果は、その都度精度管理実施日及び異常があった場合にはその内容も含め履歴が補助記憶部13に記憶されることが好ましい。
【0102】
上述した装置精度管理及び検査項目精度管理は、装置起動時、又は測定試料の測定前に、例えば測定日に少なくとも1回行われることからデイリーQCと呼ばれることもある。
【0103】
本開示において、装置管理試料及び検査項目管理試料を併せて管理試料と呼ぶ場合がある。装置管理試料を、管理試料の提供元、又は粒子分析装置1000の提供元から入手した場合、通常粒子分析装置1000におけるその装置管理試料の測定条件等の情報も提供されることが一般的である。一方で検査項目管理試料については、仮に検査項目管理試料を提供元から入手したとしても、前記検査項目管理試料の測定条件の情報までは提供されないことが多い。特に粒子分析装置1000がマルチカラーフローサイトメータである場合には、検査項目管理試料の測定条件の情報までは提供されない。
【0104】
また、管理試料の提供元、又は粒子分析装置の提供元から提供される管理試料の種類は限られており、検査依頼に合わせてコマーシャルベースの検査項目管理試料を常に入手できるとは限らない。このような場合には、各検査室で管理試料、特に検査項目管理試料を準備する必要がある。
【0105】
したがって、ユーザは、特に検査項目管理試料の測定条件及び/又は精度管理を行うための評価基準の設定を、各検査室で設定する必要がある。
【0106】
従来、装置精度管理については、粒子分析装置1000の制御ユニット100において管理されている。一方で、検査項目管理試料を用いた精度管理の結果は粒子分析装置1000を管理するシステムによって管理されていなかった。このため、各検査室は、検査項目管理試料の精度管理の結果を、粒子分析装置1000を制御するシステムとは別のシステムで管理する必要があった。
【0107】
本開示においては、検査項目管理試料を用いた精度管理の条件の設定と、設定された条
件によって測定された精度管理の結果の管理を、粒子分析装置1000を制御する制御ユニット100内で行うことができる。言い換えると、検査項目管理試料を用いた精度管理において使用される評価基準を制御ユニット100に入力し、入力された評価基準に基づいて、行われる精度管理の結果を粒子分析装置1000のアプリケーション画面上に表示する。
【0108】
(精度管理の支援方法)
図1のステップS1において、ユーザが起動処理を行うための指令を制御ユニット100に入力すると(例えば粒子分析を行うアプリケーションソフトの起動)、処理部10は
図5に示すログイン画面Lを表示する。処理部10はログイン画面から例えばユーザのID及びパスワードの入力処理を受け付け、
図6に示すメイン画面Bを出力部(表示部)17に表示する。
【0109】
はじめに、
図6に示すメイン画面Bと、精度管理を支援するための各処理について説明する。各画面は精度管理の支援を行うためにユーザによる入力を受け付けるユーザインタフェースである。以下の説明で使用される「入力領域」は、ユーザが入力部から文字入力を行うことにより必要な情報が入力される領域である。「アイコン」は、その領域をユーザが選択することにより、ユーザが操作を希望する処理を行うための画面を表示する選択領域である。ユーザは、入力部16を操作し、アイコンを選択することができる。「プルダウンリスト」は、その領域をユーザがマウスやタッチパネルを使って選択すると既にメモリ12又は補助記憶部13等に記憶されている選択肢がリスト状に表示され、リストに表示されている各項目をユーザが選択できるリストである。
【0110】
・メイン画面
図6に粒子分析装置1000を制御するための操作を行うメイン画面Bを例示する。メイン画面Bは、制御ユニット100を起動させ、粒子分析装置1000を制御するアプリケーションを起動させると表示される画面である。メイン画面Bは、メイン操作領域B1と、ワークリスト領域B2と、粒子分析条件セッティング領域B3と、分析状態表示領域BAと、分析操作領域B6を備える。
【0111】
メイン操作領域B1は、メイン操作領域を表示するためのメインアイコンB11と、精度管理領域を表示するためのQCアイコンB12と、粒子分析条件セッティング領域B3を表示させるためのセッティングアイコンB13と、メンテナンス領域を表示させるためのメンテナンスアイコンB14と、ユーザがメイン画面からログオフする際のログオフアイコンB16が表示される。本開示における精度管理を支援するためのコンピュータプログラムには、QCアイコンB12からアクセスすることが可能である。
【0112】
ワークリスト領域B2は、測定を行う測定試料のリストを表示するワークリストタブB22と、各測定試料について測定する検査項目を設定するパネルマスタータブB23とが、選択可能に表示される。
【0113】
粒子分析条件セッティング領域B3には、測定条件を設定するセッティングタブB33と、分析の終了を操作するストップタブB34が選択可能に表示される。
【0114】
分析状態表示領域BAには、測定試料から受光されている光をリアルタイム又は記録画像で表示するためのホームタブBA1と、その他の操作を行うためのタブBA2~BA5がそれぞれ選択可能に表示される。ホームタブBA1には、測定試料から受光されている光をドットプロットとしてプロットするためのプロットタブBA10と、結果を表示するレポートタブBA5等が選択可能に表示される。
【0115】
分析操作領域B6には、測定ユニット200を操作するための測定装置状態表示領域B60、測定装置名表示領域B61、測定開始アイコンB62、測定停止アイコンB63、測定消去アイコンB64、測定粒子数及び測定時間を表示する領域B66~68、試薬残量を表示させるアイコンB70、廃液状態を表示させるアイコンB71、プリンターの状態を示すアイコンB72、エラー表示アイコンB73、測定試料情報入力領域B74、メッセージ表示領域75、測定モード表示領域B76、ユーザ情報表示領域B77が表示される。
【0116】
メイン画面を含む、以下で説明する操作画面は、例えば補助記憶部14に保存されているアウリケーションソフトウェア等を処理部10が実行することにより、表示される。
【0117】
・装置QC設定処理
処理部10は、
図1に示すステップS2において、装置QC設定処理を行う。以下に装置QC設定処理の例を説明する。ユーザが管理試料の測定データの管理条件を設定するために、例えば、処理部10は、ユーザによる
図6に示す粒子分析装置1000を制御するための操作を行うメイン画面BのQCアイコンB12の選択を受け付け(
図7に示すステップS101)、
図8に示すように、ワークリスト領域B2に換えてQCファイルリスト領域QC0とサブセットパネルリスト表示領域BQC3を表示する。QCファイル領域QC0には、QCファイルを操作するためのQCファイル操作領域BQC1と、QCファイルのリストを表示するためのリスト表示領域BQC2とが表示される。QCファイル操作領域BQC1には、例えばカーソルで選択したリスト表示領域BQC2内のQCファイルを行うQCアイコンX1と、QCファイルのセッティングを行うためのセッティングアイコンX2と、新しいQCファイルを登録するための装置QCファイル登録アイコンX3と、サブセットパネル選択アイコンX4と、削除アイコンX5が表示される。QCファイルは各検査項目(パネル)に対応する。サブセットパネルファイル領域BQC3には、リスト表示領域BQC2においてカーソル等で選択された各パネルに含まれるサブセットパネルを表示するリストBQC4が表示される。
【0118】
また、
図7に示すステップS101において、処理部10は、
図8に示すように、粒子分析条件セッティング領域B3に換えて管理試料の測定結果を示す領域BQC5を表示する。領域BQC5には、測定結果をチャネルごとに表示するレーダチャートタブBQC6と、各チャネルについての測定結果を時系列で示すL-JチャートタブBQC7が選択可能に表示される。
【0119】
図7に示すステップS102において、処理部10は、ユーザによるアイコンX3の選択を受け付けることにより、
図9に示す新しい管理試料の測定データの管理条件を設定するための装置QCファイルダイアログを表示する(ステップS103)。
【0120】
QCファイル登録ダイアログX3Dを表示する。装置QCファイル登録ダイアログX3Dには、例えば、装置のQCファイルであることを示すパネル名を選択するプルダウンリスト領域X3D1と装置管理試料名を選択するプルダウンリスト領域と、装置管理試料のロット番号が入力される領域X3D4と、装置管理試料の使用期限を入力するための領域X3D5と、入力を確定し次のステップに進むための確定(OK)アイコンX3DEと、設定を中止するためのキャンセルアイコンX3DCとが表示される。
【0121】
処理部10は、ステップS104において、例えば、ユーザによるプルダウンリスト領域X3D1の選択を受け付ける。処理部10は、必要に応じて、ユーザによる領域X3D4への装置管理試料のロット番号の入力、及び/又は領域X3D5への装置管理試料の使用期限の入力を受け付ける。続いて、処理部10は、ステップS105においてユーザによる確定(OK)アイコンX3DEの選択により、処理部10は装置QCファイル登録ダ
イアログX3Dへの各入力内容を記憶し、装置QCファイル登録ダイアログX3Dを閉じる。画面表示は、
図10に示すQCファイルBQC0を表示するメイン画面Bに戻る(ステップS106)。
【0122】
処理部10は、ステップS107において、ユーザによる装置QCファイルリストBQC2にリストアップされているQCファイルの指定によりセッティングすべきQCファイルを選択し(ステップS107)、ユーザによるセッティングアイコンX2の選択により、ベースラインを設定するためにQCファイルのセッティングの指示を受け付ける(ステップS108)。
【0123】
処理部10は、続いてベースラインを設定するためのベースラインダイアログX2D(
図11)を表示する(ステップS109)。ベースラインダイアログX2Dには、測定を開始するためのスタートアイコンX2D1と、サブセットパネルリスト表示領域X2D2と、受光素子ステータス表示領域X2D4と、入力を確定し次のステップに進むための確定(OK)アイコンX2DEと、設定を中止するためのキャンセルアイコンX2DCとが表示される。サブセットパネルリスト表示領域X2D2はサブセットパネルリストX2D3が表示される。また、受光素子ステータス表示領域X2D4には各チャネル(受光する光の種類)について各受光素子(PMT)の電圧及び分散(Rubust Coefficient Value:rCV)を表示する領域が表示される。PMT電圧及びrCVには、目標値(Target)を表示する領域と、実測値(Value)を表示する領域とを含む。精度管理される受光素子には、蛍光を受光する素子と、前方散乱光(FSC)を受光する素子と、側方散乱光(SSC)を受光する素子とが含まれる。
【0124】
ユーザは、ステップS109を行ってから、又はステップS109の前に、装置管理試料を準備し、粒子分析装置1000の吸引部21にセットする。
【0125】
処理部10は、ステップS110において、ユーザによるスタートアイコンX2D1の選択を受け付け、装置管理試料の測定を開始する。処理部10は、
図12に示すように測定している管理試料の各チャネルのPMT電圧及びrCVを表示する(ステップS111)。処理部10は、管理試料を測定ユニット200で測定した場合の各PMT電圧及びrCVの目標値を予め記憶部に記憶している。したがって、装置管理用試料を測定した際に、PMT電圧の実測値が目標値に近づくよう、好ましくは各目標値の±300V程度となるように、受光素子に印加する電圧を自動的に調整する(ステップS112)。
【0126】
全てのチャネルについて、受光素子のPMT電圧の調整が終わると、処理部10は、自動的に測定を終了する。測定が終了すると確定アイコンX2DEが選択可能となる。処理部10は、ユーザによる選択可能となった確定アイコンX2DEの選択を受け付け(ステップS113)、各チャネルのPMT電圧値と、処理部10によって算出されたrCVをQCパネルの設定値として記憶する(ステップS114)。処理部10は、装置QC設定処理を終了し、ベースラインダイアログX2Dを閉じ、ワークリスト領域B2を表示するメイン画面Bを表示する(ステップS115)。
【0127】
(パネルの登録処理)
各検査室で準備した管理試料を用いた精度管理を支援するため、本開示は、
図1のステップS3からステップS6したがって、
図14から
図22、
図24に例示する画面を操作することにより、検査項目QCの設定処理を行う。すなわち、検査項目QCの設定処理は、パネルの登録処理ステップS3と、精度管理(QC)ファイル登録処理(ステップS5)と、ベースラインのセッティング処理(ステップS6)を含みうる。さらに検査項目QCの設定処理は、レポート作成処理(ステップS7)を含みうる。
【0128】
・検査項目QC設定処理
・・パネルの登録
以下に検査項目QC設定処理の例を説明する。検査項目QC設定処理では、はじめに、処理部10はユーザによるパネルの登録を受け付ける。処理部10は、ユーザによる
図6に示すメイン画面Bのワークリスト領域B2に表示されているパネルマスタータブB23の選択を受け付ける(
図13-1、ステップS301)。処理部10は、パネルマスタータブB23を表示する(
図13-1、ステップS302)。はじめからパネルマスタータブB23が表示されている場合にはステップS301とステップS302はスキップしてもよい。パネルマスタータブB23には、
図6に示すように、パネルマスタータブB23には、新たな検査項目QCの設定を開始する際に選択されるパネル登録アイコンB222、すでに登録されている検査項目QCを書き換えるためのパネル書き換えアイコンB223、登録された検査項目QCをコピーするためのコピーアイコンB225、登録された検査項目QCを削除するための削除アイコンB226、登録された検査項目QCを読み込むためのインポートアイコンB228、検査項目QCを書き出すためのエクスポートアイコンB229等を含むパネルリストエリアB230と、パネル設定リストB231とが表示される。また、パネルリストエリアB230の横にサブセットパネルリスト表示領域B232が表示される。ユーザによってパネル設定リストB231内にリストアップされている1つのパネル設定が選択されると、このパネル設定に含まれるサブセットパネルのリストがサブセットパネルリスト表示領域B232に表示される。サブセットパネルリスト表示領域B232には、サブセットパネル設定を複製するための複製アイコンG8と設定を削除するための駆除アイコンが表示される。
【0129】
処理部10は、
図13-1のステップS303において、ユーザによるパネルリストエリアB230内のパネル登録アイコンB222の選択を受け付け、
図14に示すパネルマスター登録ダイアログG1Dを表示する。パネルマスター登録ダイアログG1Dには、検査項目名等を入力するためのパネル名入力領域G1D1と、パネルの識別番号を入力するためのパネルID入力領域G1D2と、検査項目についてのコメント等を入力してもよいコメント入力領域G1D3と、パネルに含まれる測定項目の一覧を表示する入力を表示するサブセットパネル表示領域G1D4と、パネルマスター登録ダイアログG1Dへの確定する際に選択される確定アイコンG1DEと、設定を中止する際に選択されるキャンセルアイコンG1DCとが表示される。サブセットパネルマスター領域G1D4には、サブセットパネルリストG1D41と、新規サブセットパネルを登録するためのサブセットパネル登録アイコンH1と、登録されたサブセットパネルの設定を更新する際に選択されるサブセットパネル更新アイコンH2と、サブセットパネルの設定を削除するための削除アイコンH3と、サブセットパネルの設定を複製するための複製アイコンH4とが表示される。
【0130】
処理部10は、
図13-1のステップS305において、ユーザによるパネルマスター登録ダイアログG1Dの各入力領域への入力を受け付ける。
図14では、パネル名入力領域G1D1には、例示的に「6C TBNK」と入力されている。パネルID入力領域G1D2には、例示的に「1234」と入力されている。続いて、処理部10は、ステップS306において、ユーザによるサブセットパネル登録アイコンH1の選択を受け付ける。
【0131】
次に、処理部10は、
図13-1、ステップS307において、
図15に示すサブセットパネル登録ダイアログH1Dを表示する。サブセットパネル登録ダイアログH1Dには、サブセットパネル名等を入力するためのサブセットパネル名入力領域H1D1と、サブセットパネルID入力領域H1D2と、必要に応じてコメントを入力するコメント入力領域H1D3と、検出試薬の名称を入力するための検出試薬名入力領域H1D4と、検出試薬の識別番号を入力するための検出試薬ID入力領域H1D5と、入力を確定するための
確定アイコンH1DEと、設定を中止するためのキャンセルアイコンH1DCとが表示される。
図13のステップS308において、処理部10は、ユーザによる、サブセットパネル登録ダイアログH1Dの各入力領域への入力を受け付ける。ここでは例示的にサブセットパネル名入力領域H1D1には、「CD3/CD4/CD8/CD16+・・・」と入力されており、サブセットパネルID入力領域H1D2には、「1234」と入力されている。サブセットパネルは複数登録されうる。
【0132】
処理部10は、ユーザによるサブセットパネル登録ダイアログH1Dへの入力後、ユーザによる確定アイコンH1DEの選択を受け付け、サブセットパネル登録ダイアログH1Dを閉じる。次に、処理部10は、パネルマスター登録ダイアログH1Dにおいてユーザによる確定アイコンG1DEの選択を受け付け、パネルマスター登録ダイアログH1Dを閉じる(
図13-1、ステップS310)。
【0133】
処理部10は、パネルマスター登録ダイアログG1D閉じると、メイン画面BのパネルマスタータブB23のパネル設定リストB231に、
図16に示すように上記ステップS301からステップS309の処理で新規に登録されたパネル設定の名称を表示する。(ここでは、「6C TBNK」が表示されている。パネル設定リストB231には、パネル名の他、そのパネルが登録された日時が表示され得る。
【0134】
次に、処理部10は、ユーザはパネル設定リストB231に表示されているパネルの中から新しく検査項目QCを登録するパネルを選択し、処理部10は、この選択を受け付ける(
図13-2、ステップS311)。例示的にここでは「6C TBNK」を選択している。ユーザによって1つのパネルが選択されると、処理部10は、
図17に示すように、粒子分析条件セッティング領域B3のセッティングタブB33に各受光素子のゲイン等の受光条件を設定するためのチャネル条件設定領域B335を表示し、各領域へのユーザによる入力又は選択を受け付ける(
図13-2、ステップS312)。領域B335において、FSCは前方散乱光を、SSCは側方散乱光を示す。Nameは各受光素子がどのような光を検出しているか等の情報をユーザが入力できる入力領域B334が表示される。Gain/PMTは、受光素子の増幅電圧を示す。Thresholdは、通常FSCについて設定され、一定以上の強さをもつ光を受光するために設定されるカットオフ値である。Timeは時間軸を取得の要否を示し、LogicはThresholdの論理取得条件を示し、Heightは蛍光強度のピーク値の取得の要否を示し、Areaは面積値の取得の要否を示す。各受光素子についてGain/PMT及びThresholdの列にはユーザが値を入力するための入力領域B336及びB337を表示する。この領域への入力は、処理部10がユーザによって入力された値を受け付けてもよく、また、処理部10が各受光素子に合わせて記憶部に記憶されている受光素子ごとのGain/PMT及びThresholdの設定を表示してもよい。入力された設定は、タブの切り替え時、又はパネルの切り替え時に一時的にメモリ12に記憶される。
【0135】
チャネル条件設定領域B335はスクロールキーSCによってユーザが表示領域を変更することが可能である。
図17に示す例では、蛍光を受光するための受光素子は、FL1からFL10まで設定が可能であるが、この数は測定ユニット200が搭載するレーザの数に依存し得る。
【0136】
ユーザがチャネル条件設定領域B335を下にスクロールすることにより、処理部10は、チャネル条件設定領域B335の下に、
図18に例示する流速設定領域B341を表示し、さらに流速設定領域B341の下に使用するレーザの設定領域B351を表示し、各領域へのユーザによる入力又は選択を受け付ける(
図13-2、ステップS313、ステップS314)。流速設定領域B341にはフローサイトメータの流速を段階的に調節することができる流速調節バーB342が設けられている。処理部10は、ユーザの操作
による流速調節バーB342の調節を受け付け、I/F部15を介して測定ユニット200のフローセル27内の液体の流速を制御する。レーザの設定領域B351には、ユーザが使用するレーザを選択可能なアイコンB352が設けられており、例えば、ユーザが使用しない波長の下のアイコンB352を選択すると、処理部10はこのレーザが選択されていないことを示すためにアイコンの色を変えて表示し、処理部10は、そのアイコンが選択されたことをI/F部15を介して測定ユニット200に送信する。また別の態様としてユーザが使用する波長の下のアイコンB352を選択すると、処理部10はこのレーザが選択されていることを示すためにアイコンの色を変えて表示し、処理部10は、そのアイコンが選択されたことをI/F部15を介して測定ユニット200に送信してもよい。
【0137】
次に、処理部10はユーザによるストップタブB34の選択を受け付ける。処理部10は続いて
図19に例示するストップタブB34を表示し、各領域へのユーザによる入力又は選択を受け付ける(
図13-2、ステップS315)ストップタブB34には、停止条件の設定の入力を受け付けるための、Stop Logic Setting領域B361、Event Count領域B362、Time領域B363が含まれる。Stop
Logic Setting領域B361には、停止条件の論理設定アイコンB3611が含まれ、「or」が設定されると設定変更が不可となる。Event Count領域B362には、停止条件(Stop condition)を設定するためのプルダウンリスト表示領域B3621と、測定を停止する測定細胞数の入力領域B3622が含まれる。Time領域B363には、所定の時間で測定を終了するための時間設定を入力する入力領域B3631が含まれる。Event Count領域B362とTime領域B363はどちらか一方が選択可能である。測定の停止は、ユーザが入力した条件を満たした場合に処理部10がI/F部15を介して測定ユニット200に測定停止の指令を送信する。
【0138】
入力された設定は、タブ切り替え時、又はパネル切り替え時に、一時的にメモリ12に記憶されるか、自動的に補助記憶部14に記憶部に記憶される(
図13-2、ステップS316)。
【0139】
次に処理部10は、ユーザによる新しいプロットの挿入を受け付ける。処理部10は、ユーザによる
図20の領域BAに表示されているホームタブBA1のプロットタブへの新しいプロットの入力を受け付ける。また、HomeタブBA1が表示されていない場合にはプロットタブへの新しいプロットの入力を受け付ける前に、ユーザによるホームタブBA1の選択を受け付ける(
図13-3、ステップS317)。HomeタブBA1は、プロットの挿入を行うためのプロット挿入領域BA1Aと、プロットを表示するためのプロット表示領域BA1Bとを含む。プロット挿入領域BA1Aは、ゲート挿入を行うためのアイコンを含むGate領域BA1A1領域と、プロットをプロット表示領域BA1Bに追加するためのアイコンを含むAdd Plot領域BA1A2と、親ゲートで設定されたゲート内粒子のみをプロットに展開するPalente Gate表示を行うための領域BA1A3と、プロットを削除するための削除アイコンを含むEdit領域BA1A4とを含む。処理部10は、ユーザによるAdd Plot領域BA1A2に表示されるいずれかのアイコンの選択を受け付け、その選択されたアイコンに対応する空のプロットをプロット表示領域BA1Bに追加して表示する(
図13-3、ステップS317)。
【0140】
次に処理部10は、ステップS316で追加したプロットに対するユーザによる設定を受け付ける。具体的には、ユーザによるviewタブBA2の選択を受け付け、
図21に例示するviewタブを表示する(ステップS318)。viewタブBA2には、各プロットの表示の設定を行うためのプロット設定領域BA2Aと、各プロットが表示されるプロット表示領域BA1Bとが表示される。プロット設定領域BA2Aには、プロット設
定領域BA2Aには、さらにScailing領域BA2A1とHistogram style領域BA2A2とが含まれる。Scaling領域BA2A1には、それぞれのプロットのX軸とY軸について、設定を行うための入力領域が表示される。それぞれの軸について、軸に表示される受光素子を設定するためのプルダウンリスト(X軸がBA21、Y軸がBA211)、リニア表示か対数表示かを選択するためのプルダウンリスト(X軸がBA22、Y軸がBA212)、軸の最小値を入力するための入力領域(X軸がBA23、Y軸がBA213)、軸の最大値を入力するための入力領域(X軸がBA24、Y軸がBA214)、Logicle軸の1パラメータであるNegative %を表示するためのプルダウンリスト(X軸がBA26、Y軸がBA215)が含まれる。また、Histogram style領域BA2A2には、軸の設定を自動で行うかいなかをユーザに選択させるためのAuto Scaling選択領域BA221と、選択されているヒストグラムのY軸の表示領域であるMax countを入力するための領域BA222が、プロット設定領域BA2Aには、含まれる。プロット表示領域BA1Bにはプロットを表示するプロットタブBA10とレポートを生成するためのレポートタブBA20とが含まれる。
【0141】
図21に示すプロットタブには、測定部200で受光した光のシグナルを、例示的にPlot1~Plot6までの6つのプロットが異なる受光素子の組み合わせの2軸のスッキャッタグラムとして表示される例が示されているが、各プロットは、異なる受光素子の組み合わせの数に応じて表示させることができる。また、プロットはドットプロットだけでなく、受光素子1つずつについて、測定部200で受光した光のシグナルをヒストグラムとして光の強さと粒子数で表してもよい。
各プロットは、ユーザが例えば表示されているプロットをクリック等することで選択が可能である。ユーザが選択したプロットについて、処理部10は、選択中Plotに対し、測定後の粒子の最大値、最小値の範囲を表示する機能であるAuto Scalingで設定された軸の設定を受け付けるか、ユーザが各プロットについて、プロット設定領域BA2Aの各領域を選択又は入力した内容を受け付ける(
図13-3、ステップS319)。
【0142】
処理部10は、ユーザによる全てのプロットについて設定が完了した場合には、その旨の入力を受け付ける(
図13-3、ステップS320)。処理部10は、完了した旨の入力を受け付けた場合(Yes)には、プロットごとの設定の内容を、タブ切り替え時、又はパネル切り替え時に、一時的にメモリ12に記憶するか、自動的に補助記憶部14に記憶部に記憶する(ステップS321)。完了した旨の入力がない場合には、ステップS318に戻ってさらなるユーザによるプロットの選択と入力を受け付ける。
【0143】
次に処理部10は、ステップS320で保存した設定が完了したプロットについて、ゲートのセッティングを行う。処理部10は、ユーザによるホームタブBA1の選択を受け付け、プロット挿入領域BA1Aを表示する(
図20のプロット挿入領域BA1A参照)。続いて、ステップS318と同様にユーザによるプロットの選択を受け付け、ユーザがクリックやタッチ等を行うことで選択したGate領域BA1A1内に表示されているいずれかのゲートアイコンに対応するゲートをプロット表示領域BA1B内で選択されたプロット内に表示する。プロット内に表示されたゲートは、ユーザによる選択とドラッグ、キーボードの矢印キー等の操作に対応して、移動が可能である。処理部10は、ユーザが確定させたゲートの位置をゲートの設定として受け付ける(
図13-3、ステップS322)。処理部10は、ユーザによる全てのプロットについて設定が完了した場合には、その旨の入力を受け付ける(
図13-3、ステップS323)。処理部10は、完了した旨の入力を受け付けた場合(Yes)には、プロットごとの設定の内容を、タブ切り替え時、又はパネル切り替え時に、一時的にメモリ12に記憶するか、自動的に補助記憶部14に記憶部に記憶する(ステップS324)。完了した旨の入力がない場合には、ステップ
S3222に戻ってさらなるユーザによるプロットの選択とゲートの設定を受け付ける。
【0144】
次に、処理部10は、ユーザが準備した検査項目管理試料を測定ユニット200において測定しながら、ステップS322~S329で設定した各プロットの設定についてユーザによるさらなる調整を受け付ける(
図13-3、ステップS325)。ユーザは、測定ユニット200の吸引部21に検体をセットし、
図22に示す測定開始アイコンB62を選択する。処理部10は、ユーザによる測定開始アイコンB62の選択を受け付け、測定を開始するための指令をI/F部15を介して測定ユニット200に送信する。また、処理部10は、I/F部15を介して測定部23の各受光素子が検出した光のシグナルの情報を受信する。処理部10は、受信した光のシグナルの情報をプロット表示領域BA1B内の各受光素子に対応するプロットに光の強さに応じたプロット及び/又は細胞の大きさに応じたプロットとして表示する(
図13-3、ステップS326、
図22)。プロットとして好ましくは、ドットプロット又はヒストグラムである。ユーザは、各プロットを見ながら、プロットの選択と軸及び/又はゲートの再調整を行い、処理部10は、ユーザによるプロットの選択と軸及び/又はゲートの再調整を受け付ける(
図13-3、ステップS327)。処理部10は、ユーザによる全てのプロットについて設定が完了した場合には、その旨の入力を受け付ける(
図13-3、ステップS328)。処理部10は、完了した旨の入力を受け付けた場合(Yes)には、プロットごとの設定の内容を、タブ切り替え時、又はパネル切り替え時に、一時的にメモリ12に記憶するか、自動的に補助記憶部14に記憶部に記憶する(ステップS329)。完了した旨の入力がない場合には、ステップS326に戻ってさらなるユーザによるプロットの選択とゲートの設定を受け付ける。
【0145】
・・QCファイル登録
処理部10は、パネルの登録処理が終わると、続いてユーザによるQCファイルの登録を受け付ける(
図1、ステップS4)。ユーザによる
図22のQCアイコンB12の選択を受け付けメイン画面BにQCファイルBQC0を表示する(
図24)。続いて処理部10は、ユーザによるQCファイル操作領域BQC1内のQCファイル登録アイコンX3の選択を受け付け、
図25に示すQCファイル登録ダイアログX3DTを表示する(
図23、ステップS401)。QCファイル登録ダイアログX3DTには、登録されているパネルの名称を表示するパネル名プルダウンリスト領域X3DT1と、登録されているパネルに付されたコメントを表示するコメント表示領域X3DT2と、前記パネルに登録されているサブセットパネルを表示するサブセットパネル表示領域X3DT2と、設定を確定させ、QCファイル登録ダイアログX3DTを閉じるためのセーブアイコンX3DTEと、設定をセーブせずにQCファイル登録ダイアログX3DTを閉じるためキャンセルアイコンX3DTCとが含まれる。
【0146】
プルダウンリスト領域X3DT1は、前記「パネルの登録」で設定したパネル名のリストが表示される。コメント表示領域X3DT2には、パネルマスター登録ダイアログG1Dのコメント入力領域G1D3に入力した内容が表示される。
【0147】
サブセットパネル表示領域X3DT2には、
図13のステップS308において入力されたサブセットパネル名が表示される。
【0148】
次に処理部10は、
図26に示すようにユーザによるパネル名のプルダウンリストからのパネル名の選択を受け付け、選択されたパネル名に対応するサブセットパネルリストをサブセットパネル表示領域X3DT2に表示する(
図23、ステップS402)。1つのサブセットパネルリストには、試薬のポジション番号(Pos.)、サブセットパネル名、試薬の有効期限(Expiration Date)、コメント等を表示する欄等が含まれる。試薬のポジション番号、試薬の有効期限、コメント等は、ユーザによる入力を受
け付けることにより入力され、処理部10は、これを受け付ける(
図23、ステップS402)。
図26においては、試薬の有効期限は、試薬の有効期限欄の日付マークをユーザが選択する、若しくはポイントすると、カレンダーが表示され、そのカレンダーから日付を選択できるように構成されているが、日付は直接入力されてもよい。
【0149】
次に処理部10は、ユーザによる入力の確定、すなわちユーザによるセーブアイコンX3DTEの選択を受け付け(
図23、ステップS403)、QCファイル登録ダイアログX3DTを閉じる。その際、処理部10は、ユーザによって入力された内容をメモリ12又は補助記憶部14に記憶する。続いて処理部10は、ユーザによる
図24に示すサブセットパネル選択アイコンX4の選択を受け付け、
図27に示すベースライン設定画面Tを表示する(
図23、ステップS403)。
【0150】
・・ベースラインの設定
処理部10は、ベースラインセッティング画面Tにおいて、
図13-3のステップS325において各検査室で準備した検査項目管理試料を粒子分析装置1000で測定した測定データに基づいて、精度管理の評価基準等の設定を受け付ける。この設定が
図1のステップS5におけるベースラインの設定処理となる。
【0151】
図27に示すベースラインセッティング画面Tには、パネル名の表示領域Tと、パネルのコメント表示領域T2と、サブセットパネル名の表示領域T3と、サブセットパネルのコメント表示領域T4と、各チャネルの設定領域(QC Item)T5と、粒子分布表示領域T7と、親ゲートの設定を表示するリスト表示領域T61と、電圧値を合わせる蛍光強度を入力するターゲットMFI表示領域T62と、精度管理の評価基準(Limit)の一定範囲設定領域T63と、精度管理の評価基準の上限値(Upper Limited)を手動で入力する領域T64と、精度管理の評価基準の下限値(Lower Limited)を手動で入力する領域T65と、設定を確定するための確定(OK)アイコンTOと、設定を中止するためのキャンセルアイコンTCとが表示されうる。
図27に示す例では、親ゲートの設定を表示するリスト表示領域T61と一定範囲設定領域T63とはプルダウンリストで表示されているが、ユーザによる文字入力を受け付けてもよい。一定範囲設定領域T63には、統計情報が入力され得る。統計情報は、例えば±1SD(SDは標準偏差)、±2SD、±3SD、平均値、中央値、細胞数等である。
【0152】
また、各チャネルの設定領域T5には、PMT値/ゲイン設定タブT51と、蛍光補正を行うためのコンペンセーションタブT52と、統計タブT53とが切替え可能に表示される。各タブのラベル名「PMT値/ゲイン」、「コンペンセーション」、「統計」等の表示の横には、ユーザがクリック又はタッチ等することによりチェックが入るチェックボックスCBがそれぞれ設けられている。このチェックボックスCBをチェックすることによりチェックしたタブの項目を精度管理の管理項目とすることができる。PMT値/ゲイン設定タブT51には、各チャネル(受光素子)を選択するためのItem領域と、管理対象(PMT値及びまたはrCV)を選択するためのTarget領域が含まれる。Target領域には、装置QCで設定された値が表示される。符号T54は、チャネルを追加する際にユーザが選択するアイコンを示す。Item領域に表示されるSSC、FSC、FL4、FL1、FL5、FL8、FL6、FL2等は、各チャネル(受光素子)に対応する文字列である。「H」はHight値を表し、「A」はArea値を表す。Item領域の表示は、
図20に示すプロットタブに表示される各プロットの軸ラベルに対応させ処理部10が表示する。精度管理の管理項目とするか否かは、ユーザがチェックボックスCBをクリックすることにより各タブ単位で設定することができるが、Target領域の1セルをダブルクリック等でユーザが選択することにより1つの受光素子ごとに設定することもできる。
【0153】
粒子分布表示領域T6には、縦軸を粒子数、横軸を蛍光強度として、検査項目管理試料を測定した際の粒子の分布が表示される。粒子分布表示領域T6には、光の強さに応じたプロット及び/又は細胞の大きさに応じたプロット、好ましくはヒストグラム又はドットプロットが表示される。粒子分布表示領域T6では、ヒストグラムによる表示とドットプロットによる表示の切り替えが可能である。粒子分布表示領域T6は、
図22に示すプロットタブBA10に表示される各プロットが表示される。
図27は、ヒストグラムで粒子分布を示す例である。この領域では、管理したい粒子集団のピーク範囲をゲートで設定する。ゲートの位置、及び幅は、ユーザがマウス等でT8領域を動かすことで調整可能である。
【0154】
蛍光シグナルを取得する範囲は、粒子分布表示領域T6においてゲートT8として表示される。
【0155】
パネル名の表示領域T1には、前記「パネルの登録」で設定したパネル名の情報が表示される。パネルのコメント表示領域T2には、パネルマスター登録ダイアログG1Dのコメント入力領域G1D3に入力した内容が表示される。サブセットパネル名の表示領域T3には、
図13のステップS308において入力されたサブセットパネル名が表示される。サブセットパネルのコメント表示領域T4には、
図15に示すコメント入力領域H1D3が受け付けたコメントがそれぞれ表示される。
【0156】
コンペンセーションタブT52をユーザが選択すると、
図28に示すように処理部10は、Item領域及びTarget領域の表示に変えて、各受光素子ラベルを列方向及び行方向に配列した蛍光強度を示す値が入力された表を表示する。この表は、パネル登録時に自動蛍光補正を行う設定をした場合、管理試料を測定した際に処理部10が補助記憶部13又はメモリ14に記憶した値を表示する。行方向はArea値を示し、列方向は検出器を示す。例えば行FL1、列FL1のセルは「100」が表示されている。FL1の受光素子が検出すべき蛍光波長領域の光をFL1の受光素子が100%検出していることを意味している。一方、例えば行FL2、列FL1のセルは「4.1」が表示されている。これは、FL2の受光素子が検出すべき蛍光波長領域の光をFL1の受光素子が4.1%検出していることを意味している。このような場合、FL1とFL2を組み合わせて粒子の検出を行う場合には、FL1の受光素子が検出した光量から4.1%分光量を減じる補正を行う必要があることを意味している。
【0157】
コンペンセーションタブT52が選択されると、粒子分布表示領域T6はプロット表示に切り替わる。コンペンセーションタブT52が選択されている際、
図28の例では、親ゲートの選択のみが可能である。
【0158】
統計タブT53をユーザが選択すると、
図29に示すように処理部10は、パネル登録時に管理試料を測定することによって設定された各プロットにおけるゲートの統計結果を示す。
図29の例では、統計結果の第1列は、Item名、例えば検査項目(パネル)名であるリンパ球(Lymph)の測定項目(マーカ)を示すラベルを表示している。処置部10は、Item名に、
図22に示すプロットタブBA10のプロットのゲートに対応する名称を表示している。Lymphの中はCD3陽性(CD3+)群とCD3陰性(CD3-)群に分けて表示している。CD3+群は、さらにリンパ球の細かなポピュレーションに応じてCD4+/CD8+、CD4+/CD8-、CD4-/CD8+及びCD4-/CD8-とに分けられる。CD3-群は、CD19+/CD16+、CD19+/CD16-、CD19-/CD16+及びCD19-/CD16-とに分けられる。統計結果の第2列はカウントした細胞数(#Count)を示す。例えば行Lymphでは、10,000個カウントしたことを意味している。CD3+の行は、Lymphの中にCD3+が8721個あったことを意味している。また、CD4+/CD8+は、CD3+の
中に5102個CD4+/CD8+細胞があったことを意味している。X_rCVは、X軸の蛍光強度の分散を示す。Y_meanは、Y軸の蛍光強度の算術平均を示す。
【0159】
統計タブT53をユーザが選択すると、粒子分布表示領域T6には、Itemに対応するヒストグラム又はプロットが表示される。また、精度管理の評価基準を設定するための、精度管理の評価基準(Limit)の一定範囲設定領域T63と、精度管理の評価基準の上限値(Upper Limited)を手動で入力する領域T64と、精度管理の評価基準の下限値(Lower Limited)を手動で入力する領域T65とが表示される。処理部10は、ユーザによるこれらの領域の選択、又はこれらの領域への入力を受け付ける。
・・精度管理の評価基準の設定
【0160】
図30-1を例として、
図1のステップS5に示すベースラインのセッティング(精度管理の評価基準の設定)方法について説明する。
【0161】
図30-1のステップS501において、処理部10は、ユーザによるPMT/ゲインタブT51のチャネルの選択を受け付ける。PMT/ゲインタブ51が選択されていない場合には、ステップS501の前に、ユーザによるPMT/ゲインタブ51の選択を受け付け、PMT/ゲインタブ51を表示する。
【0162】
次に処理部10は、選択されたチャネルに対応するヒストグラム又はプロットを表示する(ステップS502)。
【0163】
次に処理部10は、ユーザによるゲートT8の調整を受け付ける(ステップS503)。
【0164】
次に処理部10は、ユーザによる親ゲートの設定を表示するリスト表示領域T61、ターゲットMFI表示領域T62、及び一定範囲設定領域T63又はUpper Limitedを手動で入力する領域T64及びLower Limitedを手動で入力する領域T65への入力、又は選択を受け付ける(ステップS504)。このステップが評価基準の設定ステップとなる。
【0165】
次に処理部10は、ユーザが全ての設定が完了した旨の操作を行った場合には、全てのチャネルの設定が終了したもの(YES)として次のステップへ進む。ユーザが全ての設定が完了した旨の操作を行わなかった場合には、ステップS501に戻り次のチャネルの選択を受け付ける。
【0166】
次にPMT/ゲインタブT51の設定が終わると、次にユーザによるコンペンセーションタブT52の選択を受け付け、コンペンセーションタブT52を表示する(
図30-2、ステップS506)。
【0167】
次に、処理部10は、ユーザによる統計タブT53の選択を受け付け、統計タブT53を表示する(
図30-2、ステップS507)。
【0168】
次に処理部10は、ユーザによる一定範囲設定領域T63又はUpper Limitedを手動で入力する領域T64及びLower Limitedを手動で入力する領域T65への入力、又は選択を受け付ける(
図30-2、ステップS508)。このステップが統計値に基づく評価基準の設定ステップとなる。
【0169】
次に処理部10は、ユーザによるベースラインセッティング画面TのOKアイコンTO
の選択を受け付ける(
図30-2、ステップS509)。処理部10は、OKアイコンTOの選択を受け付けるとベースラインセッティング画面Tを閉じ、QCファイル登録ダイアログX3DTを表示する(
図30-2、ステップS509)。
【0170】
次に処理部10は、ユーザによるQCファイル登録ダイアログX3DTのセーブアイコンX3DTEの選択を受け付け、評価基準の設定を記憶部に、処理部10が後述するデイリーQC処理において粒子分析装置200の動作を制御するプログラムが呼び出し可能なファイル形式のデータとして記憶する。処理部10は、評価基準の設定を、メモリ12又は補助記憶部14に、好ましくは補助記憶部13に不揮発性に記憶する(
図30-2、ステップS510)。
【0171】
次に処理部10は、出力部17としてのモニタに、
図31に示す精度管理方法の選択画面ダイアログSを表示する(ステップS511)。選択画面Sの領域S1は、ユーザに精度管理方法を選択させるための一例である。Yes領域S2はユーザの選択を確定させるための領域であり、No領域S3は、設定をキャンセルための選択を受け付ける領域である。領域S1のNot Updateの○をユーザが選択した場合、処理部10は、検査項目QCの設定で述べた方法で設定された精度管理の評価基準を使用して以下に説明する精度管理を行う。処理部10は、ユーザによるYes領域S2又はNo領域S3の選択を受け付けると精度管理方法の選択画面ダイアログSを閉じ、
図32のQCファイルBQCを含むメイン画面Bを表示する(
図30-2、ステップS512)。
【0172】
・・レポート作成
次に処理部10は、
図1のステップS6に示すレポートの作成処理を行う。
図33に示すように、処理部10は、QCファイル操作領域BQC1に、精度管理の評価基準が設定された「6C TBNK」のQCファイルを表示する。QCファイル操作領域BQC1内のQCファイルをユーザが選択すると、リストBQC4内にサブセットパネルのリストが表示される。ここでは、「CD3/CD4/CD8/CD16+・・・」のサブセットパネルリストが表示されている。サブセットパネルリストをユーザが選択し、アーカイブボタンAcBを選択する処理を処理部10が受け付けると、処理部10はレポートタブBA20にレポートを表示する。レポートタブBA20には、ユーザが任意に選択した結果を表示する。例えば検体情報表示領域BA201、プロット表示領域BA202、計数結果表示領域BA203、測定者サイン領域BA204等が表示される。
【0173】
図1に示すステップS1からステップS5までは、ユーザのアクセス権が制限されていることが好ましい。例えば、
図5に示すログイン画面Lにおいて入力されるパスワードは、管理権限のあるユーザのみが管理していることが好ましい。このようにすることで、一度設定された精度管理の評価基準等がむやみに書き換えられることを防ぐことができる。
【0174】
(精度管理方法)
制御ユニット100は、上記「検査項目QCの設定」で設定された各サブセットパネルの精度管理の評価基準を用いて、日々の検査における精度管理(「デイリーQC」ともいう)を行う。このとき、制御ユニット100は精度管理装置となる。
【0175】
・デイリーQC処理
各検査室で準備した管理試料によるデイリーQCを行う
図1のステップS7について説明する。ここで、精度管理の評価基準の設定は、デイリーQCの前に毎回行う必要はなく、例えば週1回、月1回等の所定の間隔で、又は検出試薬や管理試料のロットがかわる際に行ってもよい。デイリーQCを行うために必要な画面を包括的に精度管理画面と称することがある。
【0176】
図34にデイリーQCの処理のフローを示す。また
図35には、デイリーQCを行う場合のログイン画面Lの例を示す。デイリーQCは、権利権限のないユーザが行ってもよいため、このログイン画面Lは、必須ではない。処理部10は、ステップS701においてユーザよるQCアイコンB12の選択を受け付ける。
【0177】
続いて処理部10は、ステップS702において
図36示すように、QCファイルリスト領域QC0とサブセットパネルリスト表示領域BQC3を表示する。
【0178】
次に、ステップS703においてユーザによる、QCファイルリスト領域QC0内に表示されている検査項目QC設定処理で生成したQCパネルの選択を処理部10が受け付ける。処理部10は、続いてステップS704において、ユーザによるQCファイルの内容を表示するためQCアイコンX1の選択を受け付ける。
【0179】
次に処理部10は、ステップS705において
図37に示すデイリーQCダイアログX1Dを表示する。デイリーQCダイアログX1Dは、デイリーQCダイアログX1Dには、測定を開始するためのスタートアイコンX1D1と、サブセットパネルリスト表示領域X1D2と、受光素子ステータス表示領域X1D4と、入力を確定し次のステップに進むための確定(OK)アイコンX1DEと、設定を中止するためのキャンセルアイコンX1DCとが表示される。サブセットパネルリスト表示領域X1D2はサブセットパネルリストX1D3が表示される。また、受光素子ステータス表示領域X1D4には各チャネルについて各受光素子(PMT)の電圧及び分散(rCV)を表示する領域が表示される。PMT電圧及びrCVには、目標値(Target)を表示する領域と、実測値(Value)を表示する領域とを含む。目標値を表示する領域には、予め決められた目標値が表示される。ユーザはステップS705の後に又はステップS705に先だって装置管理試料を粒子分析装置1000の吸引部21にセットする。
【0180】
処理部10は、ステップS706において、処理部10は、
図38に示すように測定している装置管理試料を測定した際の各チャネルのPMT電圧値と、処理部10によって算出されたrCVを表示し、ユーザによるスタートアイコンX1D1の選択を受け付け、装置管理試料の測定を開始する。測定が開始されると、
図23に示すようにPMT電圧は、測定項目に応じて目標値付近になるように自動的に設定される。PMT電圧が設定されると、確定アイコンX1DEが選択可能となる。処理部10は、ユーザによる確定アイコンX1DEの選択を受け付け、デイリーQCダイアログX1Dを閉じる。
【0181】
続いて、ユーザは、検査室で準備した検査項目管理試料を吸引部21にセットする。処理部10は、ユーザによる測定開始指示の入力により、検査室で準備した検査項目管理試料の測定を開始する(ステップS707)。測定が終わると、処置部10は精度管理結果を出力する(ステップS708)。精度管理結果は、数値で表示してもよいがグラフ等のチャートで示してもよい。チャートとして、各チャネルを軸とした複数の軸によって張られるグラフ(例えば、レーダチャート)を例示できる。またチャートは、チャネルごとのXbar-R管理図(Levey-jenningsチャート:L-Jチャート)、Xbar-Rs-R管理図、等の時系列グラフを例示できる。各チャネルはPMT電圧値、及び/又は各チャネルのrCV値に分けて表示されてもよい。精度管理の結果は、デイリーQCを行う度に表示されてもよい。
【0182】
複数の軸によって張られるグラフは、1回のデイリーQCの結果について複数の軸をまとめて一画面に表示できることから好ましい。また、時系列グラフは少なくとも1時点の過去の精度管理結果と共に表示されるため、日内変動や日差変動をモニタリングできる。精度管理結果を表示する精度管理画面には、少なくとも各検出項目についての精度管理結果と、各検出項目の評価基準を表示する領域を含みうる。
【0183】
例えば各チャネルについて出力部17がディスプレイである出力例を
図39に示す。
図39左は、検査項目管理試料の測定結果を示す領域BQC5のレーダチャートタブBQC6の例を示す。検査項目管理試料の測定結果が、レーダグラフとして表示される。また、
図40には、各チャネルを軸としたレーダチャートを示す。
図41には、各レーダに表示される線の意味を示す。Lower Limitは管理限界の下限値を示す。Upper
Limitは管理限界の上限値を示す。Plotは実際の実測値を示し、Targetは目標値を示す。FL1、FL2は各チャネルを示す。レーダチャートの各軸は、各チャネルにおける各検出対象を示す。レーダチャートの軸の数は制限されないが、表示される文字が判別できるように3から6程度とすることが好ましい。このように精度管理データを表示することで、万が一精度管理不良が生じた場合に、ユーザはどのチャネルに問題があるか一目で把握することができる。
【0184】
図42には、L-JチャートタブBQC7の表示例を示す。また、L-JチャートタブBQC7の拡大図を
図43に示す。L-JチャートタブBQC7は、各管理試料の測定データを管理試料ごとに管理限界と共に時系列でプロットしたものであり、ユーザが分析精度の変動を一目で把握できる。L-JチャートタブBQC7には、各グラフが対応するチャネル対象項目名を表示する項目表示領域LJ1と、精度管理グラフ(好ましくはXbar-R管理図)を表示するグラフ表示領域LJ2が表示される。また、L-JチャートタブBQC7には、各グラフプロットの詳細を表示するためのアイコンY1と、プロットをグラフから削除するためのアイコンY2と、コメントを挿入するためのアイコンY3とが表示される。
図44を用いて、L-JチャートタブBQC7内の表示をより詳細に説明すると、各プロットは、それぞれ1回ごとの精度管理測定に対応している。精度管理カーソルCSを合わせることで選択可能である。また、カーソルCSの横にはカーソル上のプロットについての測定日時が表示される。また、例えば、精度管理不良を検出した場合にはコメントアイコンcm1が表示される。またプロットのシンボルについて、●は管理試料の測定値が管理限界の範囲内であることを意味し、×は前記測定値が管理限界を超えたことを意味する。○は管理からはずされたデータであることを意味する。符号cm2で表されるカーソルは精度管理の開始時を意味し、符号cm3で表されるカーソルは、試薬ロットがかわったことを意味する。
【0185】
L-JチャートタブBQC7では、カーソルCSをユーザ希望する位置に合わせることにより、ユーザが希望する日時の精度管理データを閲覧することができる。
【0186】
ユーザは、表示された精度管理結果を確認し、精度管理が良好である場合には、精度管理を終了する。上記において精度管理不良等のコメントの表示方法は上記に制限されない。精度管理不良と判断されたプロットの色を変える、プロットシンボルの形状を変える、感嘆符を表示する等の表示方法を選択することができる。
・レポートの出力
次に処理部10は、
図1のステップS8に示すレポートの作成処理を行う。
図45に示すように、処理部10は、QCファイル操作領域BQC1に、精度管理の評価基準が設定された「6C TBNK」のQCファイルを表示する。QCファイル操作領域BQC1内のQCファイルをユーザが選択すると、リストBQC4内にサブセットパネルのリストが表示される。ここでは、「CD3/CD4/CD8/CD16+・・・」のサブセットパネルリストが表示されている。サブセットパネルリストをユーザが選択し、アーカイブボタンAcBを選択する処理を処理部10が受け付けると、処理部10はレポートタブBA20にレポートを表示する。レポートタブBA20は、ユーザが任意に選択した結果を表示する。例えば検体情報表示領域BA201、プロット表示領域BA202、計数結果表示領域BA203、測定者サイン領域BA204等が表示される。が表示される。また、処理部10は、ユーザによるエクスポートアイコンEXの選択を受け付けると、レポート
を出力部17に出力する。
【0187】
(測定試料の測定)
デイリーQCが終わると、
図1に示すステップS9において、処理部10は、ステップS8の具体的な処理を
図48に示す。ステップS801において、処理部10は、ユーザによる、
図6に示すメイン画面BのMainアイコンB11の選択を受け付ける。
図46にMainアイコンB11を選択した際に処理部が表示するメイン画面Bを示す。パネルリストには、登録されたパネル「6C TBNK」が表示されている。続いて処理部10は、ステップS802において、処理部10はユーザによる登録されたパネルの選択を受け付け、
図6に示す粒子分析条件設定領域B3を表示する。ステップS803において、処理部10はユーザによる粒子分析条件設定領域B3への測定条件の入力を受け付ける。また処理部10は、ユーザによる
図6に示す分析操作領域B6への測定試料の情報の入力を受け付ける。続いて、ユーザは、吸引部21に測定試料29をセットし、
図6に示す分析操作領域B6内の測定開始アイコンB62を選択する。この選択を処理部10が受け付け、測定処理を開始する。処理部10は、一定数の細胞を測定した後に測定を自動的に終了してもよく、ユーザによる
図6に示す分析操作領域B6内の測定停止アイコンB63の選択により測定を終了してもよい。分析が終了すると、
図47に示すようにプロットタブBA10に測定結果が表示される。
【0188】
[コンピュータプログラム]
本開示の別の実施形態は、
図13-1~
図13-3に示すステップS301~S3029及び
図23に示すS401~S403、
図30-1及び
図30-2に示すステップS501~S513、
図34に示すS701~S708又は
図48に示すステップS801~S807をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムに関する。前記コンピュータプログラムは、粒子分析装置1000のアプリケーションソフトウエアである。
【0189】
さらに、本開示のある実施形態は、前記支援プログラムを記憶した、記憶媒体等のプログラム製品に関する。すなわち、前記コンピュータプログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等の記憶媒体に記憶される。前記記憶媒体へのプログラムの記憶形式は、前記提示装置が前記プログラムを読み取り可能である限り制限されない。前記記憶媒体への記憶は、不揮発性であることが好ましい。前記記憶媒体はプログラム製品として提供されてもよい。
【0190】
[その体の態様]
上記実施形態では、管理試料及び測定試料を吸引部21にセットする形態を説明したが、例えば、管理試料及び測定試料は、試料調製装置で粒子と検出試薬を混合し、調製したものをサンプルラックごと粒子分析装置1000にセットして測定してもよい。
【0191】
パネルの設定及び/又はデイリーQCの異なる態様として、測定装置1000の処理部10は、管理試料に応じた表示モード情報を取得し、取得した表示モード情報に対応する前記検査項目の精度管理設定画面又は精度管理画面を、他の表示モード情報に対応する精度管理設定画面又は精度管理画面と切り替え可能に前記表示部16に表示する。
検査項目管理試料には、体外診断用試薬の管理試料、又は研究用試薬を用いて調製された管理試料が含まれうる。体外診断用試薬の管理試料は、管理試料の提供元や、測定装置の提供元から提供されることが多い。このような場合、評価基準も体外診断用の管理試料と共に提供される。このため、体外診断用試薬の管理試料を用いる精度管理の評価基準は、例えば、補助記憶部13にプレインストールされているか、ネットワーク99から通信部151を介して処理部10が取得することが可能である。一方、研究用試薬を用いて調製される管理試料は、体外診断用試薬の管理試料のように評価基準が提供されないため、ユーザが評価基準を設定する必要がある。したがって、体外診断用試薬の管理試料を用い
てパネルの設定及び/又はデイリーQCを行う場合と、研究用試薬を用いて調製された管理試料を用いてパネルの設定及び/又はデイリーQCを行う場合とで、精度管理設定画面や精度管理画面の表示形態が異なる場合がある。処理部10は、管理試料に応じた情報を取得する。前記管理試料に応じた情報には、試薬を特定するための情報(試薬名、試薬識別番号等)、ロット番号、使用期限、表示モード情報等が含まれ得る。表示モード情報には、管理試料が前記体外診断試薬用の管理試料であるか、研究用試薬を用いて調製された管理試料であるかの情報が含まれ得る。表示モード情報を取得することにより、精度管理設定画面や精度管理画面の表示を切り替えることができる。表示モード情報は、ユーザが入力部16から入力する情報として処理部10が取得してもよい。また、表示モード情報は、検出試薬の外装や容器にバーコードとして付されており、制御ユニット100に接続された読み取り装置がこのバーコードを読み取り、処理部10がその情報を取得してもよい。さらに、処理部10は、補助記憶部13にプレインストールされている表示モード情報を取得してもよく、ネットワーク99から通信部151を介して表示モード情報を取得してもよい。
【符号の説明】
【0192】
1000 測定装置
200 測定ユニット
10 処理部
17 出力部
16 入力部
12 メモリ
13 補助記憶部
21 吸引部