特開 2023-165061 動物用トイレ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023165061

(43)【公開日】2023-11-15

(54)【発明の名称】動物用トイレ

(51)【国際特許分類】

   A01K 1/01 20060101AFI20231108BHJP

【ＦＩ】

A01K1/01 801

【審査請求】未請求

【請求項の数】24

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022075651

(22)【出願日】2022-05-02

(71)【出願人】

【識別番号】321000026

【氏名又は名称】株式会社大貴

(74)【代理人】

【識別番号】100179327

【弁理士】

【氏名又は名称】大坂 憲正

(72)【発明者】

【氏名】吉永 隼士

【テーマコード（参考）】

2B101

【Ｆターム（参考）】

2B101AA00

2B101CB01

2B101GB01

2B101GB05

(57)【要約】

【課題】仕切部の清掃に要する負担が軽減される動物用トイレを提供する。
【解決手段】動物用トイレ１は、本体部１０、及び仕切部２０を備えている。本体部１０は、底面部１０ａ及び側面部１０ｂを有している。本体部１０は、排泄された尿を受ける。仕切部２０は、本体部１０の内部空間を上部空間Ｓ１と下部空間Ｓ２とに区画している。仕切部２０は、板状部材２２を含んでいる。板状部材２２は、貫通孔を有していない。側面部１０ｂと板状部材２２との間には、尿を通過させる隙間が存在する。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

底面部及び側面部を有し、排泄された尿を受ける本体部と、
前記本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部と、を備え、
前記仕切部は、貫通孔を有しない第１の板状部材を含み、
前記側面部と前記第１の板状部材との間には、前記尿を通過させる第１の隙間が存在することを特徴とする動物用トイレ。

【請求項2】

請求項１に記載の動物用トイレにおいて、
前記第１の板状部材は、前記第１の隙間に向かって下方に傾斜している動物用トイレ。

【請求項3】

請求項２に記載の動物用トイレにおいて、
前記第１の板状部材の傾斜角度は、１０°以上３０°以下である動物用トイレ。

【請求項4】

請求項１又は２に記載の動物用トイレにおいて、
前記第１の板状部材の上面は、平坦である動物用トイレ。

【請求項5】

請求項１又は２に記載の動物用トイレにおいて、
前記第１の板状部材は、前記本体部に対して着脱可能である動物用トイレ。

【請求項6】

請求項１又は２に記載の動物用トイレにおいて、
前記第１の板状部材の厚みは、５ｍｍ以下である動物用トイレ。

【請求項7】

請求項１又は２に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、前記第１の板状部材のみからなる動物用トイレ。

【請求項8】

請求項１に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、貫通孔を有しない第２の板状部材を含み、
前記側面部と前記第２の板状部材との間には、前記尿を通過させる第２の隙間が存在し、
前記第１の板状部材と前記第２の板状部材との間には、前記尿を通過させる第３の隙間が存在する動物用トイレ。

【請求項9】

請求項８に記載の動物用トイレにおいて、
前記第２の板状部材は、前記第２の隙間に向かって下方に傾斜している動物用トイレ。

【請求項10】

請求項９に記載の動物用トイレにおいて、
前記第２の板状部材の傾斜角度は、１０°以上３０°以下である動物用トイレ。

【請求項11】

請求項８又は９に記載の動物用トイレにおいて、
前記第２の板状部材の上面は、平坦である動物用トイレ。

【請求項12】

請求項８又は９に記載の動物用トイレにおいて、
前記第２の板状部材は、前記本体部に対して着脱可能である動物用トイレ。

【請求項13】

請求項８又は９に記載の動物用トイレにおいて、
前記第２の板状部材は、平面視で、前記第１の隙間の全体を埋めるように設けられている動物用トイレ。

【請求項14】

請求項８又は９に記載の動物用トイレにおいて、
前記第２の板状部材の一部は、平面視で、前記第１の板状部材の一部に重なっている動物用トイレ。

【請求項15】

請求項８又は９に記載の動物用トイレにおいて、
前記第２の板状部材は、前記第１の板状部材と同一の形状及び大きさをしている動物用トイレ。

【請求項16】

請求項８又は９に記載の動物用トイレにおいて、
前記第２の板状部材の厚みは、５ｍｍ以下である動物用トイレ。

【請求項17】

請求項８又は９に記載の動物用トイレにおいて、
前記第１及び第２の板状部材の各々の面積は、平面視で、前記底面部の面積の６０％以下である動物用トイレ。

【請求項18】

請求項８又は９に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、前記第１及び第２の板状部材のみからなる動物用トイレ。

【請求項19】

請求項１又は２に記載の動物用トイレにおいて、
前記上部空間に敷設され、疎水性を有する複数の粒状体を備える動物用トイレ。

【請求項20】

請求項１９に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物を主材料とする動物用トイレ。

【請求項21】

請求項２０に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物のみからなる動物用トイレ。

【請求項22】

請求項１又は２に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部は、１つの容器からなる動物用トイレ。

【請求項23】

請求項１又は２に記載の動物用トイレにおいて、
前記下部空間に配設され、前記尿を吸収する吸水性シートを備える動物用トイレ。

【請求項24】

請求項２３に記載の動物用トイレにおいて、
前記吸水性シートが収容される引出部を備え、
前記本体部の前記側面部には、開口が形成されており、
前記引出部は、前記開口を通じて前記本体部に対して抜き挿しすることが可能である動物用トイレ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、動物用トイレに関する。

【背景技術】

【0002】

従来の動物用トイレとしては、例えば特許文献１に記載されたものがある。同文献に記載された動物用トイレは、排泄された尿を受ける本体部（トレー）、及び本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部（簀子）を備えている。仕切部には、尿を通過させる多数の貫通孔が形成されている。上部空間（仕切部上）には、低吸水性を有する複数の粒状体が敷設されている。下部空間には、尿を吸収する吸水性シートが配設されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００３－１８０１８２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上述の動物用トイレにおいて、本体部に排泄された尿は、粒状体どうしの間を通り抜けて仕切部に達する。仕切部に達した尿は、貫通孔を通じて、上部空間から下部空間へと移動する。このため、貫通孔の内面には、粒状体の欠片や尿に起因する汚れが付着しやすい。かかる汚れを放置しておくと、貫通孔が詰まったり、動物用トイレの周囲に悪臭が漂ったりする原因となる。しかしながら、仕切部には多数の貫通孔が存在するため、貫通孔の内面を清掃するのはユーザ（動物の飼主等）にとって大きな負担となる。

【0005】

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、仕切部の清掃に要する負担が軽減される動物用トイレを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明による動物用トイレは、底面部及び側面部を有し、排泄された尿を受ける本体部と、上記本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部と、を備え、上記仕切部は、貫通孔を有しない第１の板状部材を含み、上記側面部と上記第１の板状部材との間には、上記尿を通過させる第１の隙間が存在することを特徴とする。

【0007】

この動物用トイレにおいては、貫通孔を有しない第１の板状部材によって仕切部が構成されている。第１の板状部材は、本体部の側面部との間に隙間（第１の隙間）を空けて設けられている。それゆえ、尿は、第１の隙間を通って、上部空間から下部空間に移動することが可能である。このとき、第１の板状部材に汚れが付着しても、貫通孔が設けられていないため、貫通孔の内面を清掃する手間を省くことができる。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、仕切部の清掃に要する負担が軽減される動物用トイレが実現される。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。

【図2】本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。

【図3】本体部１０を示す端面図である。

【図4】本体部１０を示す正面図である。

【図5】本体部１０及び仕切部２０を示す平面図である。

【図6】本体部１０及び板状部材２２を示す平面図である。

【図7】本体部１０及び板状部材２４を示す平面図である。

【図8】引出部５０を示す斜視図である。

【図9】仕切部２０の一変形例を説明するための平面図である。

【図10】図９のX－X線に沿った端面図である。

【図11】仕切部２０の他の変形例を説明するための平面図である。

【図12】図１１のXII－XII線に沿った端面図である。

【図13】本体部１０の変形例を説明するための端面図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。

【0011】

図１及び図２は、本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。動物用トイレ１は、本体部１０、仕切部２０、複数の粒状体３０、吸水性シート４０、及び引出部５０を備えている。本体部１０は、底面部１０ａ及び側面部１０ｂを有している。本体部１０は、１つの容器からなっている。本体部１０は、排泄された尿を受ける。本体部１０の外形は、略直方体である。本体部１０の平面形状は、略長方形である。ここで、略長方形とは、長方形に限らず、角丸長方形のように長方形に近い形状も含む趣旨である。図１及び図２は、それぞれ、長方形の長辺方向及び短辺方向に垂直な端面を示している。

【0012】

図３及び図４は、それぞれ、本体部１０を示す端面図及び正面図である。本体部１０の側面部１０ｂには、引出部５０を抜き挿しするための開口１２が形成されている。開口１２は、底面部１０ａの近傍に位置し、横長の長方形状をしている。開口１２の横方向（図４の左右方向）の長さは、本体部１０の横幅（内寸）に略等しく、例えば２０ｃｍ以上４０ｃｍ以下である。開口１２の縦方向（図４の上下方向）の長さは、例えば２ｃｍ以上５ｃｍ以下である。本体部１０の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。

【0013】

仕切部２０は、本体部１０（側面部１０ｂ）の上端及び吸水性シート４０の双方から離間した位置に配設されている。これにより、仕切部２０は、本体部１０の内部空間を上部空間Ｓ１と下部空間Ｓ２とに区画している。上部空間Ｓ１は、仕切部２０の上方に存在し、複数の粒状体３０が敷設される空間である。下部空間Ｓ２は、仕切部２０の下方に存在し、尿が溜まる空間である。

【0014】

図５は、本体部１０及び仕切部２０を示す平面図である。図１及び図２に示した端面は、それぞれ、図５のI－I線及びII－II線に沿った端面に相当する。仕切部２０は、板状部材２２（第１の板状部材）、及び板状部材２４（第２の板状部材）を含んでいる。仕切部２０は、板状部材２２及び板状部材２４のみからなっている。板状部材２２は、略長方形の１枚の板である。板状部材２２の上面及び下面は、平坦である。板状部材２２の厚みは、一定であり、５ｍｍ以下であることが好ましい。側面部１０ｂと板状部材２２との間には、図６に示すように、尿を通過させる隙間Ｇ１（第１の隙間）が存在する。同図は、図５において板状部材２４の図示を省略した図である。板状部材２２は、貫通孔を有していない。ここで、貫通孔とは、板状部材２２を貫通し、かつ尿を通過させる孔であって、尿が通過可能である限り、その形状及び大きさは問わない。

【0015】

板状部材２２は、隙間Ｇ１に向かって下方に傾斜している（図１参照）。板状部材２２の傾斜角度は、１０°以上３０°以下であることが好ましい。板状部材２２は、本体部１０に固定されている。詳細には、板状部材２２の４辺のうち３辺が、側面部１０ｂに接続されている。板状部材２２の残りの１辺は対向する側面部１０ｂから離間しており、それにより隙間Ｇ１が生じている。当該１辺は、板状部材２２の下端に位置する辺である。板状部材２２は、側面部１０ｂと一体に成形されてもよいし、側面部１０ｂと別々に成形された後に側面部１０ｂに取り付けられてもよい。板状部材２２の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。

【0016】

板状部材２４は、略長方形の１枚の板である。板状部材２４の上面及び下面は、平坦である。板状部材２４の厚みは、一定であり、５ｍｍ以下であることが好ましい。板状部材２４は、板状部材２２と同一の形状及び大きさをしていてもよいし、板状部材２２と異なる形状又は大きさをしていてもよい。板状部材２２及び板状部材２４の各々の面積は、平面視で、本体部１０の底面部１０ａ（側面部１０ｂの内側の部分）の面積の６０％以下であることが好ましい。側面部１０ｂと板状部材２４との間には、図７に示すように、尿を通過させる隙間Ｇ２（第２の隙間）が存在する。同図は、図５において板状部材２２の図示を省略した図である。板状部材２４は、貫通孔を有していない。ここで、貫通孔とは、板状部材２４を貫通し、かつ尿を通過させる孔であって、尿が通過可能である限り、その形状及び大きさは問わない。

【0017】

板状部材２４は、側面部１０ｂと板状部材２２との間の隙間Ｇ１を塞がないように設けられている。同様に、板状部材２２は、側面部１０ｂと板状部材２４との間の隙間Ｇ２を塞がないように設けられている。板状部材２４は、板状部材２２から離間している。板状部材２２と板状部材２４との間には、尿を通過させる隙間Ｇ３（第３の隙間）が存在する（図２参照）。隙間Ｇ３は、粒状体３０を通過させない大きさをしている。本実施形態において板状部材２４は、平面視で、隙間Ｇ１の全体を埋めるように設けられている。同様に、板状部材２２は、平面視で、隙間Ｇ２の全体を埋めるように設けられている。さらに、板状部材２２及び板状部材２４は、平面視で、部分的に重なり合っている。すなわち、板状部材２４の一部は、平面視で、板状部材２２の一部に重なっている。

【0018】

板状部材２４は、隙間Ｇ２に向かって下方に傾斜している（図１参照）。板状部材２４の傾斜角度は、１０°以上３０°以下であることが好ましい。板状部材２４は、本体部１０に固定されている。詳細には、板状部材２４の４辺のうち３辺が、側面部１０ｂに接続されている。板状部材２４の残りの１辺は対向する側面部１０ｂから離間しており、それにより隙間Ｇ２が生じている。当該１辺は、板状部材２４の下端に位置する辺である。板状部材２４の下端は、板状部材２２の下端よりも低い位置にある。板状部材２４は、側面部１０ｂと一体に成形されてもよいし、側面部１０ｂと別々に成形された後に側面部１０ｂに取り付けられてもよい。板状部材２４の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。

【0019】

上部空間Ｓ１（仕切部２０上）には、排泄物（主に尿）を処理するための複数の粒状体３０が敷設される。粒状体３０は、板状部材２２及び板状部材２４上に直接敷設される。各粒状体３０は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体３０の粒径は、例えば、５ｍｍ以上２０ｍｍ以下である。ここで、粒状体３０の粒径は、当該粒状体３０を内包し得る最小の球の直径として定義される。動物用トイレ１の使用時、粒状体３０は、排泄された尿を直接に受けることになる。

【0020】

粒状体３０は、疎水性を有している。すなわち、粒状体３０は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。粒状体３０が疎水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が６０％以上であることが必要である。まず、内径１０ｃｍ、目開き１ｍｍの篩に５０ｇ相当の粒状体３０（サンプル）を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径３ｃｍ、筒先の内径４ｍｍのシリンジ（テルモ社製６０ｍｌシリンジ）を用いて、３０ｍｌの水を１０秒かけて滴下する。１分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量（３０ｍｌ）に対する割合をもって液通過率とする。このとき、ビーカー内の水量が１８ｍｌ以上であれば、液通過率が６０％以上となるため、粒状体３０が疎水性を有するといえる。

【0021】

各粒状体３０は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体３０の主材料とは、粒状体３０を構成する１又は２以上の材料のうち、当該粒状体３０に占める重量割合が最大のものをいう。かかる有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類、又はオカラが挙げられる。各粒状体３０は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。

【0022】

紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物、印画紙、剥離紙、フラッフパルプ、製紙スラッジ、又はパルプスラッジが挙げられる。塩ビ壁紙分級物は、紙及びポリ塩化ビニルを含有する塩ビ壁紙からポリ塩化ビニルの一部が除去されてなる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、アルミ蒸着フィルム、又は紙おむつ分級物（紙おむつを分級することにより得られるプラスチック）が挙げられる。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。これらの材料には、疎水処理（撥水処理）が施されていてもよいし、施されていなくてもよい。

【0023】

粒状体３０を構成する材料は、１つのみであってもよいし、２つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体３０を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体３０は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば、石膏又は重曹が挙げられる。石膏又は重曹を加えることにより、粒状体３０の疎水性を高めることができる。石膏又は重曹の割合は、例えば、粒状体３０の全体に対して５重量％以上５０重量％未満とされる。

【0024】

粒状体３０は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、造粒装置を用いて造粒材料（粒状体３０を構成する材料）を造粒することにより、粒状体３０となる造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒物には、必要に応じて疎水処理を施してもよい。疎水処理は、例えば、造粒物の表面を疎水剤（撥水剤）でコーティングすることにより行うことができる。疎水処理を行わない場合、造粒時に造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に隙間が極力生じないようにすることが好ましい。かかる隙間は、粒状体３０の内部に尿等の液体が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。また、造粒後には、篩分け（分粒）、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。

【0025】

下部空間Ｓ２（仕切部２０の下方）には、吸水性シート４０が配設される。吸水性シート４０は、仕切部２０の隙間Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３を通過した尿を吸収する。すなわち、隙間Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３を通過した尿は、吸水性シート４０に吸収された状態で下部空間Ｓ２に溜まる。

【0026】

図８は、引出部５０を示す斜視図である。引出部５０は、底板５０ａ、前板５０ｂ、先板５０ｃ、及び一対の側板５０ｄを有している。底板５０ａの大きさは、本体部１０の底面部１０ａの大きさに略等しい。前板５０ｂは、開口１２と略同一の形状及び大きさをしている。前板５０ｂには、把手５２が取り付けられている。引出部５０は、側面部１０ｂに形成された開口１２を通じて、本体部１０に対して抜き挿しすることが可能である。引出部５０には、吸水性シート４０が収容される。すなわち、吸水性シート４０は、引出部５０に収容された状態で本体部１０内に配設されている。引出部５０の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。

【0027】

動物用トイレ１の使用時、本体部１０に排泄された尿は、粒状体３０どうしの間を通り抜けて仕切部２０に達する。仕切部２０に達した尿は、側面部１０ｂと板状部材２２との間の隙間Ｇ１、板状部材２２と板状部材２４との間の隙間Ｇ３、及び側面部１０ｂと板状部材２４との間の隙間Ｇ２を順に通過して、上部空間Ｓ１から下部空間Ｓ２へと移動する。下部空間Ｓ２に移動した尿は、吸水性シート４０に吸収される。

【0028】

動物用トイレ１の効果を説明する。動物用トイレ１においては、貫通孔を有しない板状部材２２によって仕切部２０が構成されている。板状部材２２は、本体部１０の側面部１０ｂとの間に隙間Ｇ１を空けて設けられている。それゆえ、尿は、隙間Ｇ１を通って、上部空間Ｓ１から下部空間Ｓ２に移動することが可能である。このとき、板状部材２２に汚れが付着しても、貫通孔が設けられていないため、貫通孔の内面を清掃する手間を省くことができる。したがって、仕切部２０の清掃に要する負担が軽減される動物用トイレ１が実現されている。

【0029】

板状部材２２は、隙間Ｇ１に向かって下方に傾斜している。これにより、板状部材２２の上面に達した尿を隙間Ｇ１に導きやすくなる。このとき、板状部材２２の上面を尿が流れやすくする観点から、板状部材２２の傾斜角度は、１０°以上であることが好ましい。他方、傾斜角度が大きすぎると、本体部１０の高さ方向について、板状部材２２の上端から下端までの距離が長くなるため、板状部材２２を設置するスペースを確保しにくくなる。かかる観点から、板状部材２２の傾斜角度は、３０°以下であることが好ましい。

【0030】

板状部材２２の上面は、平坦である。この場合、当該上面に凹凸が存在する場合に比して、板状部材２２の清掃が容易になる。このことも、仕切部２０の清掃に要する負担の軽減に資する。

【0031】

上述のとおり板状部材２２には貫通孔が存在しないため、貫通孔が存在する場合に比して、板状部材２２を薄くしても板状部材２２の強度を確保しやすい。板状部材２２を薄くすることは、板状部材２２を構成する材料の節約、ひいては動物用トイレ１の製造コストの削減につながる。かかる観点から、板状部材２２の厚みは、５ｍｍ以下であることが好ましい。他方、板状部材２２を薄くしすぎると、板状部材２２の強度が不充分になりかねない。かかる観点から、板状部材２２の厚みは、２ｍｍ以上であることが好ましい。

【0032】

仕切部２０は、貫通孔を有しない板状部材２４を含んでいる。すなわち、仕切部２０は、板状部材２２及び板状部材２４によって構成されている。板状部材２４は、本体部１０の側面部１０ｂとの間に隙間Ｇ２を空けるとともに板状部材２２との間に隙間Ｇ３を空けて設けられている。それゆえ、尿は、隙間Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３を通って、上部空間Ｓ１から下部空間Ｓ２に移動することが可能である。このとき、板状部材２４に汚れが付着しても、貫通孔が設けられていないため、貫通孔の内面を清掃する手間を省くことができる。

【0033】

ところで、仕切部２０が１つの板状部材（板状部材２２）のみからなる場合、隙間Ｇ１は粒状体３０を通過させない大きさでなければならないという制約があるため、当該板状部材の面積を大きくせざるを得なくなる。このことは、板状部材２２の強度を確保する上で不利に働く。これに対し、本実施形態のように仕切部２０が複数の板状部材（板状部材２２，２４）からなる場合、隙間Ｇ３が粒状体３０を通過させない大きさである限り、隙間Ｇ１及び隙間Ｇ２は粒状体３０を通過させる大きさであってもよい。このため、上記制約から免れて、各板状部材２２，２４の面積を小さくすることが可能となる。

【0034】

このように、板状部材の面積を小さくした方が、当該板状部材の強度を確保するのに有利である。かかる観点から、板状部材２２及び板状部材２４の各々の面積は、平面視で、本体部１０の底面部１０ａの面積の６０％以下であることが好ましい。

【0035】

仕切部２０は、板状部材２２及び板状部材２４のみからなっている。この場合、比較的簡易な構成で、本体部１０の内部空間を上部空間Ｓ１と下部空間Ｓ２とに区画する仕切部２０を実現することができる。

【0036】

板状部材２４は、隙間Ｇ２に向かって下方に傾斜している。これにより、板状部材２４の上面に達した尿を隙間Ｇ２に導きやすくなる。このとき、板状部材２４の上面を尿が流れやすくする観点から、板状部材２４の傾斜角度は、１０°以上であることが好ましい。他方、傾斜角度が大きすぎると、本体部１０の高さ方向について、板状部材２４の上端から下端までの距離が長くなるため、板状部材２４を設置するスペースを確保しにくくなる。かかる観点から、板状部材２４の傾斜角度は、３０°以下であることが好ましい。

【0037】

板状部材２４の上面は、平坦である。この場合、当該上面に凹凸が存在する場合に比して、板状部材２４の清掃が容易になる。このことも、仕切部２０の清掃に要する負担の軽減に資する。

【0038】

板状部材２４は、平面視で、隙間Ｇ１の全体を埋めるように設けられている。この場合、平面視で、本体部１０の内側全体が仕切部２０で覆われることになる。これにより、下部空間Ｓ２に溜まった尿から発生した悪臭が上部空間Ｓ１まで上昇するのを抑制することができる。

【0039】

板状部材２４の一部は、平面視で、板状部材２２の一部に重なっている。これにより、下部空間Ｓ２に溜まった尿から発生した悪臭が上部空間Ｓ１まで上昇するのを一層効果的に抑制することができる。

【0040】

上述のとおり板状部材２４には貫通孔が存在しないため、貫通孔が存在する場合に比して、板状部材２４を薄くしても板状部材２４の強度を確保しやすい。板状部材２４を薄くすることは、板状部材２４を構成する材料の節約、ひいては動物用トイレ１の製造コストの削減につながる。かかる観点から、板状部材２４の厚みは、５ｍｍ以下であることが好ましい。他方、板状部材２４を薄くしすぎると、板状部材２４の強度が不充分になりかねない。かかる観点から、板状部材２４の厚みは、２ｍｍ以上であることが好ましい。

【0041】

板状部材２４が板状部材２２と同一の形状及び大きさをしている場合、動物用トイレ１の製造時、板状部材２２となる部材と板状部材２４となる部材とを共通化することができる。このことも、動物用トイレ１の製造コストの削減に資する。

【0042】

各粒状体３０は、疎水性を有している。この場合、粒状体３０上に排泄された尿の大部分は、粒状体３０に吸収されずに、粒状体３０どうしの間を通り抜けていく。これにより、尿を仕切部２０まで速やかに導くことができる。

【0043】

各粒状体３０が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体３０を得ることができる。この場合、使用済みの粒状体３０を可燃ゴミとして捨てやすくなるため、ユーザにとっての利便性が向上する。特に各粒状体３０が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体３０を得ることができる。

【0044】

本体部１０は、１つの容器からなっている。この場合、本体部１０が複数の容器からなる場合に比して簡易な構成で、上部空間Ｓ１及び下部空間Ｓ２を有する動物用トイレ１を実現することができる。

【0045】

下部空間Ｓ２には、吸水性シート４０が配設されている。これにより、下部空間Ｓ２に溜まった尿を吸水性シート４０内に閉じ込めることができる。このため、当該尿からの悪臭の発生を緩和することができる。

【0046】

本体部１０に対して抜き挿しすることが可能な引出部５０が設けられている。これにより、使用済みの吸水性シート４０を新しいものと交換する作業を楽に行うことができる。

【0047】

本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、板状部材２２が本体部１０に固定されている場合を例示した。しかし、板状部材２２は、本体部１０に固定されておらず、本体部１０に対して着脱可能であってもよい。かかる構成は、例えば、側面部１０ｂから本体部１０の内側に突出するとともに板状部材２２の縁（板状部材２２の４辺のうち、隙間Ｇ１に面していない３辺に沿った縁）を下から支持する突条を本体部１０に設けることにより、実現することができる。板状部材２２は、当該突条の上に載置されることにより、本体部１０内に配置される。このように板状部材２２が着脱可能である場合、本体部１０から取り外した状態で板状部材２２を清掃することが可能となる。

【0048】

上記実施形態においては、板状部材２４が本体部１０に固定されている場合を例示した。しかし、板状部材２４は、本体部１０に固定されておらず、本体部１０に対して着脱可能であってもよい。かかる構成は、例えば、側面部１０ｂから本体部１０の内側に突出するとともに板状部材２４の縁（板状部材２４の４辺のうち、隙間Ｇ２に面していない３辺に沿った縁）を下から支持する突条を本体部１０に設けることにより、実現することができる。板状部材２４は、当該突条の上に載置されることにより、本体部１０内に配置される。このように板状部材２４が着脱可能である場合、本体部１０から取り外した状態で板状部材２４を清掃することが可能となる。

【0049】

上記実施形態においては、板状部材２４の一部が平面視で板状部材２２の一部に重なる場合を例示した。しかし、例えば図９及び図１０に示すように、板状部材２２と板状部材２４とは、平面視で、全く重なり合わなくてもよい。図１０は、図９のX－X線に沿った端面図である。本例において、板状部材２４は、平面視で、側面部１０ｂと板状部材２２との間の隙間Ｇ１の一部のみを埋めるように設けられている。同様に、板状部材２２は、平面視で、側面部１０ｂと板状部材２４との間の隙間Ｇ２の一部のみを埋めるように設けられている。板状部材２４は、板状部材２２と同一の形状及び大きさをしている。板状部材２４の下端の高さは、板状部材２２の下端の高さに等しい。図１０において板状部材２２と板状部材２４とは、左右対称に設けられている。この場合、板状部材２２と板状部材２４との間の隙間Ｇ３は、隙間Ｇ１の残部（平面視で板状部材２４によって埋められていない部分）及び隙間Ｇ２の残部（平面視で板状部材２２によって埋められていない部分）に相当する。

【0050】

上記実施形態においては、仕切部２０が板状部材２２及び板状部材２４からなる場合を例示した。しかし、仕切部２０は、例えば図１１及び図１２に示すように、板状部材２２のみからなっていてもよい。図１２は、図１１のXII－XII線に沿った端面図である。側面部１０ｂと板状部材２２との間の隙間Ｇ１は、粒状体３０を通過させない大きさをしている。このように仕切部２０が板状部材２２のみからなる場合、特に簡易な構成で、仕切部２０を実現することができる。

【0051】

上記実施形態においては、板状部材２２が傾斜している場合を例示した。しかし、板状部材２２は、水平に（底面部１０ａと平行に）配置されていてもよい。板状部材２４についても同様である。

【0052】

上記実施形態においては、板状部材２２の上面及び下面が平坦である場合を例示した。しかし、板状部材２２の上面又は下面には、凹凸が存在してもよい。板状部材２４についても同様である。

【0053】

上記実施形態においては、引出部５０が設けられた場合を例示した。しかし、引出部５０を設けることは必須でない。引出部５０を設けない場合、吸水性シート４０は、底面部１０ａ上に直接配設される。その場合、当然ながら、側面部１０ｂに開口１２は設けられない。

【0054】

上記実施形態においては、本体部１０に吸水性シート４０が配設される場合を例示した。しかし、本体部１０に吸水性シート４０を配設することは必須でない。吸水性シート４０を配設しない場合、引出部５０も設けられない。

【0055】

上記実施形態においては、本体部１０が１つの容器で構成された場合を例示した。しかし、本体部１０は、例えば図１３に示すように、複数の容器で構成されてもよい。同図において本体部１０は、２つの容器（容器６２，６４）で構成されている。各容器６２，６４は、底面部及び側面部を有する箱状をしている。容器６２は、容器６４上に積み重ねられている。容器６２の底面部は、仕切部２０を構成している。これにより、容器６２の内部空間及び容器６４の内部空間が、それぞれ上部空間Ｓ１及び下部空間Ｓ２となっている。また、容器６４の底面部が本体部１０の底面部を構成するとともに、容器６２の側面部及び容器６４の側面部が本体部１０の側面部を構成している。

【符号の説明】

【0056】

１ 動物用トイレ
１０ 本体部
１０ａ 底面部
１０ｂ 側面部
１２ 開口
２０ 仕切部
２２ 板状部材（第１の板状部材）
２４ 板状部材（第２の板状部材）
３０ 粒状体
４０ 吸水性シート
５０ 引出部
５２ 把手
６２ 容器
６４ 容器
Ｇ１ 隙間（第１の隙間）
Ｇ２ 隙間（第２の隙間）
Ｇ３ 隙間（第３の隙間）
Ｓ１ 上部空間
Ｓ２ 下部空間

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】