(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165064
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】冷却システムの制御方法及び冷却システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
F01P 3/12 20060101AFI20231108BHJP
F01P 3/18 20060101ALI20231108BHJP
F01P 5/10 20060101ALI20231108BHJP
F01P 7/16 20060101ALI20231108BHJP
F01M 1/06 20060101ALI20231108BHJP
F01M 5/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
F01P3/12
F01P3/18 G
F01P5/10 A
F01P7/16 504A
F01P7/16 504E
F01M1/06 D
F01M5/00 H
F01M5/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075662
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】米倉 賢午
(72)【発明者】
【氏名】土田 博文
【テーマコード(参考)】
3G313
【Fターム(参考)】
3G313BB14
3G313BD01
3G313DA00
3G313EA25
(57)【要約】
【課題】内燃機関とインバータの冷却を両立させる冷却システムを提供する。
【解決手段】冷却システム31は、内燃機関2の運転中、第1水温センサ10で検出された第1通路3内の冷却水の温度が第1通路側第1閾値よりも高く、かつ第2水温センサ18で検出された第2通路5内の冷却水の温度が第2通路側第1閾値以下の場合には、第2通路5へ内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が流れ込むように第1制御弁4を制御する。これによって、冷却システム31は、内燃機関2のフリクションの悪化を抑制しつつ、内燃機関2から受熱した冷却水でバッテリ16を昇温させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された発電機と、
上記発電機を駆動する内燃機関と、
車両の駆動輪を駆動する駆動用電動機と、
上記発電機で発電された電力を充電可能で、上記駆動用電動機に電力を供給可能なバッテリと、
上記内燃機関と熱交換した冷媒が循環可能な第1通路と、
上記第1通路に接続され、上記発電機、上記駆動用電動機及び上記バッテリが配置された第2通路と、
上記内燃機関と熱交換した冷媒が上記第2通路へ流れ込まないように冷媒の流れを制御することが可能な制御弁と、を有し、
上記内燃機関の運転中、上記第1通路内の冷媒の温度が予め設定された第1通路側第1閾値よりも高く、かつ上記第2通路内の冷媒の温度が予め設定された第2通路側第1閾値以下の場合には、上記第2通路へ上記内燃機関と熱交換した冷媒が流れ込むように上記制御弁を制御することを特徴とする冷却システムの制御方法。
【請求項2】
上記第2通路には、ヒータコアが配置され、
上記内燃機関の運転中、上記第1通路内の冷媒の温度が上記第1通路側第1閾値よりも高く、かつ上記第2通路内の冷媒の温度が上記第2通路側第1閾値以下の場合には、上記ヒータコアに上記内燃機関と熱交換した冷媒が流れ込むように上記制御弁を制御することを特徴とする請求項1に記載の冷却システムの制御方法。
【請求項3】
上記内燃機関の潤滑油が流れるオイル通路を有し、
上記オイル通路は、上記内燃機関のシリンダ近傍を通るように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却システムの制御方法。
【請求項4】
上記オイル通路は、上記内燃機関のシリンダの外周側を通るように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の冷却システムの制御方法。
【請求項5】
上記第1通路に接続され、上記第1通路内の冷媒が循環可能な第3通路と、
上記第3通路内の冷媒と上記オイル通路内の潤滑油との間の熱交換を行うオイルクーラと、を有し、
上記オイル通路内の潤滑油の温度が予め設定されたオイル温度閾値よりも高くなると、上記オイルクーラにて上記オイル通路内の潤滑油を冷却することを特徴とする請求項3に記載の冷却システムの制御方法。
【請求項6】
上記内燃機関の運転中、上記第1通路内の冷媒の温度が上記第1通路側第1閾値以下、かつ上記第2通路内の冷媒の温度が上記第2通路側第1閾値以下の場合には、上記第2通路へ上記内燃機関と熱交換した冷媒が流れ込まないように上記制御弁を制御することを特徴とする請求項1に記載の冷却システムの制御方法。
【請求項7】
上記第2通路内の冷媒の温度が上記第2通路側第1閾値よりも大きい所定の第2通路側第2閾値よりも高い場合には、上記第2通路へ上記内燃機関と熱交換した冷媒が流れ込むように上記制御弁を制御することを特徴とする請求項1に記載の冷却システムの制御方法。
【請求項8】
上記第2通路内の冷媒の温度が上記第2通路側第1閾値よりも大きく、かつ上記第2通路側第2閾値以下の場合には、上記第2通路へ上記内燃機関と熱交換した冷媒が流れ込まないように上記制御弁を制御することを特徴とする請求項7に記載の冷却システムの制御方法。
【請求項9】
上記第1通路に配置されて冷媒を圧送する第1ウォータポンプと、
上記第2通路に配置されて冷媒を圧送する第2ウォータポンプと、を有し、
上記内燃機関の運転中、上記第1通路内の冷媒の温度が上記第1通路側第1閾値よりも高く、かつ上記第2通路内の冷媒の温度が上記第2通路側第1閾値よりも高い場合には、上記第2通路へ上記内燃機関と熱交換した冷媒が流れ込まないように上記制御弁を制御し、
上記第1通路内の冷媒を上記第1ウォータポンプで循環させ、上記第2通路内の冷媒を上記第2ウォータポンプで循環させることを特徴とする請求項1に記載の冷却システムの制御方法。
【請求項10】
上記内燃機関の運転中、上記第1通路内の冷媒の温度が上記第1通路側第1閾値以下、かつ上記第2通路内の冷媒の温度が上記第2通路側第1閾値よりも高い場合には、上記第2通路へ上記内燃機関と熱交換した冷媒が流れ込まないように上記制御弁を制御し、
上記第1通路内の冷媒を上記第1ウォータポンプで循環させ、上記第2通路内の冷媒を上記第2ウォータポンプで循環させることを特徴とする請求項9に記載の冷却システムの制御方法。
【請求項11】
車両に搭載された発電機と、
上記発電機を駆動する内燃機関と、
車両の駆動輪を駆動する駆動用電動機と、
上記発電機で発電された電力を充電可能で、上記駆動用電動機に電力を供給可能なバッテリと、
上記内燃機関と熱交換した冷媒が循環可能な第1通路と、
上記第1通路に接続され、上記発電機、上記駆動用電動機及び上記バッテリが配置された第2通路と、
上記内燃機関と熱交換した冷媒が上記第2通路へ流れ込まないように冷媒の流れを制御することが可能な制御弁と、
上記内燃機関の運転中、上記第1通路内の冷媒の温度が予め設定された第1通路側第1閾値よりも高く、かつ上記第2通路内の冷媒の温度が予め設定された第2通路側第1閾値以下の場合、上記第2通路へ上記内燃機関と熱交換した冷媒が流れ込むように上記制御弁を制御する制御部と、を有することを特徴とする冷却システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却システムの制御方法及び冷却システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、エンジンとモータとの2つの駆動源を有するハイブリッド車両において、上記エンジンと直流電流を交流に変換して上記モータに供給するインバータとを、共通のウォータポンプで循環し、共通のラジエータで冷却された冷却水で冷却する冷却回路が開示されている。
【0003】
この特許文献1のハイブリッド車両は、エンジンとインバータとが同じ条件(共通の冷却水)で冷却されるため、エンジン潤滑用のオイルとして、超低粘度オイルが使用され、一般的なエンジンよりも低いエンジン水温で十分な潤滑性を確保して暖機を完了できるようになっている。
【0004】
これは、特許文献1においては、走行中のエンジン水温を通常のエンジンよりも低い温度とすることで、冷却水をインバータにとっての適温により近い温度にして、エンジンの冷却回路とインバータの冷却回路とを統合するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、エンジンのフリクション悪化を抑制するために、一般的なエンジンオイルに比して低温時の粘度が低い特別なオイルを使用する必要があり、メンテナンスのコストが高くなる虞がある。
【0007】
つまり、エンジン(内燃機関)とインバータの冷却回路を統合して、エンジン(内燃機関)とインバータとを冷却するにあたっては、更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷却システムは、内燃機関と熱交換した冷媒が循環可能な第1通路と、上記第1通路に接続され、発電機、駆動用電動機及びバッテリが配置された第2通路と、上記内燃機関と熱交換した冷媒が上記第2通路へ流れ込まないように上記冷媒の流れを制御することが可能な制御弁と、を有し、上記内燃機関の運転中、上記第1通路内の冷媒の温度が予め設定された第1通路側第1閾値よりも高く、かつ上記第2通路内の冷媒の温度が予め設定された第2通路側第1閾値以下の場合には、上記第2通路へ上記内燃機関と熱交換した冷媒が流れ込むように上記制御弁を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の冷却システムは、所定の条件(第1通路内の冷媒温度>第1通路側第1閾値、かつ第2通路内の冷媒温度≦第2通路側第1閾値)が成立した場合に上記第1通路内を循環する冷媒が上記第2通路に流入するので、上記内燃機関のフリクションの悪化を抑制しつつ、上記内燃機関から受熱した冷媒で上記バッテリを昇温させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明が適用された第1実施例の冷却システムの概要を模式的に示した説明図。
【
図2】第2実施例の冷却システムにおける冷却水に関する制御の流れを示すフローチャート。
【
図3】第2実施例の冷却システムにおける潤滑油に関する制御の流れを示すフローチャート。
【
図4】本発明が適用された第2実施例の冷却システムの概要を模式的に示した説明図。
【
図5】第2実施例の冷却システムにおける冷却水に関する制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された第1実施例の冷却システム1の概要を模式的に示した説明図である。
【0012】
冷却システム1は、ハイブリッド車両に適用されるものであって、内燃機関2と、駆動輪(図示せず)を駆動する駆動用電動機(図示せず)等を冷媒としての冷却水で冷却可能なものである。
【0013】
冷却システム1は、内燃機関2と熱交換した冷却水が循環可能な第1通路3と、第1制御弁4を介して第1通路3に接続された第2通路5と、第2通路5とは並列に第1通路3に接続された第3通路6と、内燃機関2の潤滑油(オイル)が流れるオイル通路7と、を有している。
【0014】
第1通路3は、内燃機関2のウォータジャケット8を含むものである。第1通路3には、冷却水を圧送する第1ウォータポンプ9と、冷却水の温度を検出する第1水温センサ10と、外気と冷却水の熱交換(冷却)が可能な第1ラジエータ11と、が配置されている。第1通路3は、冷却水の流路が環状に連続したものであって、第1ウォータポンプ9から吐出された冷却水が循環可能となっている。
【0015】
第1ウォータポンプ9は、内燃機関2のクランクシャフト(図示せず)の回転により駆動する機械式のポンプである。なお、第1ウォータポンプ9は、例えば後述するコントロールユニット12からの指令により駆動される電動ポンプであってもよい。
【0016】
第1水温センサ10は、内燃機関2のシリンダブロックやシリンダヘッドに形成されたウォータジャケット8を流れた後の冷却水の温度を検出するものであり、第1通路3の内燃機関出口側に配置される。つまり、第1水温センサ10は、内燃機関出口側(内燃機関2と熱交換後)の冷却水温度(内燃機関出口水温)を検出する。第1水温センサ10は、内燃機関2の下流側で、第1ラジエータ11の上流側に位置している。第1水温センサ10の検出信号は、制御部としてのコントロールユニット12に入力される。
【0017】
ここで、本明細書における「下流側」及び「上流側」は、冷却水あるいは潤滑油(後述)の流れる方向を基準としている。
図1において、第1通路3内の冷却水は、矢示するように、反時計回り(左回り)に流れるものとする。
【0018】
第1ラジエータ11は、第1バイパス弁13により冷却水が流入しないようにすることが可能となっている。第1通路3には、第1ラジエータ11をバイパスする第1バイパス通路14が第1バイパス弁13を介して接続されている。第1バイパス通路14は、一端となる下流側端が第1ラジエータ11の下流側となる位置で第1バイパス弁13を介して第1通路3に接続され、他端となる上流側端が第1ラジエータ11の上流側となる位置で第1通路3に接続されている。なお、第1バイパス通路14は、他端となる上流側端が第1ラジエータ11の上流側となる位置で第1バイパス弁13を介して第1通路3に接続され、一端となる下流側端が第1ラジエータ11の下流側となる位置で第1通路3に接続されたものでもよい。
【0019】
第1バイパス弁13は、例えば電磁三方弁であり、コントロールユニット12からの指令により制御される。なお、第1バイパス弁13は、三方弁ではなく、第1バイパス通路14の一端または他端を開閉する電磁弁等であってもよい。
【0020】
冷却システム1は、第1バイパス弁13を制御することで、冷却水が第1バイパス通路14を流れ、第1ラジエータ11に流入しないようにすることが可能となっている。すなわち、第1バイパス弁13は、第1バイパス通路14の一端と第1通路3との接続部分において、第1ラジエータ11を通過した冷却水が下流側へ流れるように第1通路3を開くとともに、第1バイパス通路14を通過した冷却水が下流側へ流れ込まないように第1バイパス通路14を閉じることが可能である。また、第1バイパス弁13は、第1バイパス通路14の一端と第1通路3との接続部分において、第1ラジエータ11を通過した冷却水が下流側へ流れ込まないように第1通路3を閉じるとともに、第1バイパス通路14を通過した冷却水が下流側へ流れるように第1バイパス通路14を開くことが可能である。
【0021】
第2通路5には、ハイブリッド車両のパワートレイン15と、バッテリ16と、冷却水を熱源として利用するヒータコア17と、冷却水の温度を検出する第2水温センサ18と、が配置されている。第2通路5は、一端となる下流側端が、第1水温センサ10の下流側、かつ第1ラジエータ11の上流側となる位置で第1制御弁4を介して第1通路3に接続されている。第2通路5は、他端となる上流側端が、第1水温センサ10の下流側、かつ第1ラジエータ11の上流側となる位置で第1通路3に接続されている。
図1において、第2通路5内の冷却水は、矢示するように、反時計回り(左回り)に流れるものとする。
【0022】
パワートレイン15は、上記内燃機関2によって駆動される発電機(図示せず)と、駆動輪を駆動する上記駆動用電動機と、バッテリ16からの電力や上記発電機で発電された電力を上記駆動用電動機に供給するインバータと、を有している。
【0023】
上記発電機は、例えば、ロータに永久磁石を用いた同期型モータからなっている。上記発電機は、内燃機関2に発生した回転エネルギーを電気エネルギーに変換し、上記インバータを介してバッテリ16や上記駆動用電動機に供給する。また、上記発電機は、内燃機関2の始動時にスタータモータとして使用してもよい。
【0024】
上記駆動用電動機は、例えば、ロータに永久磁石を用いた同期型モータからなっている。上記駆動用電動機は、ハイブリッド車両の駆動源であり、上記インバータからの交流電力により駆動する。また、上記駆動用電動機は、ハイブリッド車両の減速時に発電機として機能する。すなわち、上記駆動用電動機は、車両減速時の回生エネルギーを電力として上記インバータを介してバッテリ16に充電可能となっている。
【0025】
上記インバータは、上記発電機や上記駆動用電動機で発電された電力を直流電力に変換してバッテリ16に供給する電力変換回路である。また、上記インバータは、バッテリ16から出力される直流電力を交流電力に変換して上記駆動用電動機に供給する電力変換回路でもある。インバータは、上記発電機で発電された電力や、バッテリ16からの電力を上記駆動用電動機に供給する。
【0026】
バッテリ16は、上記発電機や上記駆動用電動機で発電された電力を直流電力として充電可能な二次電池である。バッテリ16は、充電された電力を上記インバータを介して上記駆動用電動機に供給する。バッテリ16は、第2通路5にあっては、パワートレイン15の上流側に、パワートレイン15と直列に配置されている。
【0027】
ヒータコア17は、第2通路5内に、バッテリ16及びパワートレイン15に対して並列に配置されている。ヒータコア17には、バッテリ16の上流側から分岐した冷却水が流入している。ヒータコア17を通過した冷却水は、パワートレイン15を通過した冷却水と合流している。
【0028】
第2水温センサ18は、パワートレイン15を流れた後の冷却水の温度を検出するものであり、第2通路5のパワートレイン出口側に配置される。つまり、第2水温センサ18は、パワートレイン出口側(バッテリ16及びパワートレイン15と熱交換後)の冷却水温度(パワートレイン出口水温)を検出する。第2水温センサ18は、パワートレイン15の下流側で、ヒータコア17を通過した冷却水が合流する位置よりも上流側に位置している。第2水温センサ18の検出信号は、コントロールユニット12に入力される。
【0029】
冷却システム1は、第1制御弁4を制御することで、冷却水を第1通路3から第2通路5へ流入させることが可能となっている。すなわち、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れるように第2通路5の一端を開くとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くことが可能である。また、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れ込まないように第2通路5の一端を閉じるとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くことが可能である。
【0030】
第1制御弁4は、制御弁に相当するものであり、コントロールユニット12からの指令により制御される。第1制御弁4は、例えば電磁三方弁である。なお、第1制御弁4は、三方弁ではなく、第2通路5の下流側端を開閉する電磁弁等であってもよい。
【0031】
第3通路6には、内燃機関2の潤滑油(オイル)が流れるオイル通路7との間で熱交換を行うオイルクーラ19と、オイルクーラ19への冷却水の流入を制御する第2バイパス弁20と、が配置されている。
図1において、第3通路6内の冷却水は、矢示するように、時計回り(右回り)に流れるものとする。
【0032】
第3通路6は、一端となる下流側端が、第1バイパス弁13の下流側、かつ第1ウォータポンプ9の上流側となる位置で第1通路3に接続されている。第3通路6は、他端となる上流側端が、第1水温センサ10の下流側、かつ第1制御弁4の上流側となる位置で第1通路3に接続されている。
【0033】
オイルクーラ19は、第3通路6を流れる冷却水とオイル通路7内の潤滑油とが熱交換(例えば冷却)を行うものである。
【0034】
第2バイパス弁20は、オイルクーラ19の上流側に配置されている。第2バイパス弁20は、電磁弁であり、コントロールユニット12からの指令により制御される。なお、第2バイパス弁20は、オイルクーラ19の下流側に配置するようにしてもよい。
【0035】
冷却システム1は、第2バイパス弁20を閉弁することで、冷却水が第3通路6に流れ込まないようにして、オイルクーラ19に冷却水が流入しないようにすることが可能となっている。
【0036】
第1実施例の冷却システム1は、第1通路3に配置された第1ウォータポンプ9によって、第2通路5内の冷却水や第3通路6内の冷却水を循環させている。
【0037】
オイル通路7は、第1通路3、第2通路5及び第3通路6から独立している通路である。オイル通路7は、内燃機関2のシリンダ3aの近傍に形成されてオイルジャケット21を含むものである。オイル通路7には、上述したオイルクーラ19と、潤滑油を圧送するオイルポンプ22と、潤滑油の温度を検出するオイル温度センサ23と、が配置されている。
図1において、オイル通路7内の潤滑油は、矢示するように、時計回り(右回り)に流れるものとする。
【0038】
オイルジャケット21は、内燃機関2の各部に供給される潤滑油が流れる通路であり、例えば内燃機関2のシリンダブロック(図示せず)に形成される。オイルジャケット21は、内燃機関2のシリンダ2aの外周側に位置し、シリンダ2a内の燃焼ガス(既燃ガス)とシリンダボア外周側の金属を介して内部を流れる潤滑油が熱交換(受熱)できるよう形成されている。詳述すると、オイルジャケット21は、内燃機関2のピストン24の下死点位置よりも内燃機関2のシリンダヘッド側に位置するよう形成される。つまり、オイル通路7は、シリンダ2a内の燃焼ガス(既燃ガス)とシリンダボア外周側の金属を介して内部を流れる潤滑油が熱交換(受熱)できる部位(オイルジャケット21)を有するよう形成されている。
【0039】
そのため、冷却システム1は、第1通路3内の冷却水の温度を低く保つ場合でも、オイル通路7内の潤滑油を高温に保持することが可能となる。また、冷却システム1は、内燃機関2の潤滑油の昇温を早めることで、内燃機関2のフリクション低下を早めることができる。
【0040】
オイルポンプ22は、内燃機関2のクランクシャフト(図示せず)の回転により駆動する機械式のポンプである。なお、オイルポンプ22は、例えばコントロールユニット12からの指令により駆動される電動ポンプであってもよい。
【0041】
オイル温度センサ23は、オイルジャケット21を流れた後の潤滑油の温度を検出するものであり、第3通路6のオイルジャケット出口側に配置される。つまり、オイル温度センサ23は、オイルジャケット出口側のオイル温度(オイルジャケット出口側油温)を検出する。オイル温度センサ23は、オイルジャケット21の下流側で、オイルクーラ19よりも上流側に位置している。オイル温度センサ23の検出信号は、コントロールユニット12に入力される。
【0042】
上述した第1実施例の冷却システム1においては、第1制御弁4を制御することで、第1通路3内を循環している冷却水を第2通路5へ流入させることが可能となる。つまり、冷却システム1は、第1通路3内の冷却水を循環させるともに、第2通路5内の冷却水を循環させないことができる。また、冷却システム1は、第1通路3内の冷却水を循環させるともに、第2通路5内の冷却水を循環させることができる。
【0043】
具体的には、冷却システム1は、内燃機関2の運転中、第1水温センサ10で検出された第1通路3内の冷却水の温度が予め設定された第1通路側第1閾値(例えば60℃)よりも高く、かつ第2水温センサ18で検出された冷却水の温度が予め設定された第2通路側第1閾値以下(例えば30℃)の場合には、第2通路5へ内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が流れ込むように第1制御弁4を制御する。このとき、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れるように第2通路5の一端を開くとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように制御される。このとき、第1バイパス弁13は、例えば、第1ラジエータ11に冷却水が流れ込むように制御される。
【0044】
第1通路側第1閾値は、例えば排気中の排気微粒子(Particulate Matter)や燃焼への影響が少ないものとする上で必要となる冷却水の温度の下限値であり、例えば60℃である。
【0045】
第2通路側第1閾値は、例えば所望のバッテリ出力特性を確保する上で必要となる冷却水の温度の下限値であり、例えば30℃である。
【0046】
冷却システム1は、所定の条件(第1通路3内の冷却水温度>第1通路側第1閾値、かつ第2通路内の冷却水温度≦第2通路側第1閾値)が成立した場合に第1通路3内を循環する冷却水が第2通路5に流入するので、内燃機関2のフリクションの悪化を抑制しつつ、内燃機関2から受熱した冷却水でバッテリ16を昇温させることができる。
【0047】
また、冷却システム1は、バッテリ16の低温時に、内燃機関2の熱を利用してバッテリ16を昇温させることが可能となる。そのため、バッテリ16は、温度低下による出力低下を抑制することができる。
【0048】
また、冷却システム1は、内燃機関2の運転中、第1水温センサ10で検出された第1通路3内の冷却水の温度が第1通路側第1閾値(例えば60℃)以下、かつ第2水温センサ18で検出された第2通路5内の冷却水の温度が第2通路側第1閾値(例えば30℃)以下の場合には、第2通路5へ内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が流れ込まないように第1制御弁4を制御する。このとき、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れ込まないように第2通路5の一端を閉じるとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように制御される。このとき、第1バイパス弁13は、例えば、第1ラジエータ11に冷却水が流れ込まないように制御される。
【0049】
冷却システム1は、所定の条件(第1通路3内の冷却水温度≦第1通路側第1閾値、かつ第2通路5内の冷却水温度≦第2通路側第1閾値)が成立した場合に、第1通路3内を循環する冷却水が第2通路5に流入することはないので、内燃機関2を早期に暖機することが可能となる。
【0050】
また、冷却システム1は、第2水温センサ18で検出された第2通路5内の冷却水の温度が第2通路側第1閾値(例えば30℃)よりも大きい所定の第2通路側第2閾値(例えば60℃)よりも高い場合には、第2通路5へ内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が流れ込むように第1制御弁4を制御する。このとき、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れるように第2通路5の一端を開くとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように制御される。このとき、第1バイパス弁13は、例えば、第1ラジエータ11に冷却水が流れ込むように制御される。
【0051】
第2通路側第2閾値は、例えばバッテリ16の劣化を抑制する上で必要となるバッテリ16(冷却水)の温度の上限値である。
【0052】
冷却システム1は、バッテリ16の高温時に、冷却水を循環させてバッテリ16を冷却させることが可能となり、バッテリ16の熱劣化を抑制することができる。
【0053】
また、冷却システム1は、内燃機関2の運転中、第2水温センサ18で検出された第2通路5内の冷却水の温度が第2通路側第1閾値(例えば30℃)よりも大きく、かつ第2通路側第2閾値(例えば60℃)以下の場合には、第2通路5へ内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が流れ込まないように第1制御弁4を制御する。このとき、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れ込まないように第2通路5の一端を閉じるとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように制御される。このとき、第1バイパス弁13は、例えば、第1ラジエータ11に冷却水が流れ込むように制御される。
【0054】
冷却システム1は、バッテリ16が高温ではない場合、第1通路3内で冷却水を循環させて内燃機関2を冷却させることができる。そのため、冷却システム1は、第1バイパス弁13を制御する等して第1通路3内の冷却水の温度を内燃機関2に適した温度に設定可能となり、内燃機関2の温度を効率良く好適にすることができる。
【0055】
冷却システム1は、内燃機関2の運転中、第1水温センサ10で検出された第1通路3内の冷却水の温度が第1通路側第1閾値よりも高く、かつ第2水温センサ18で検出された第2通路5内の冷却水の温度が第2通路側第1閾値以下の場合には、ヒータコア17に内燃機関2と熱交換した冷却水が流れ込むように第1制御弁4を制御する。このとき、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れるように第2通路5の一端を開くとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように制御される。このとき、第1バイパス弁13は、例えば、第1ラジエータ11に冷却水が流れ込まないように制御される。
【0056】
これによって、冷却システム1は、車室内の暖房のための電力消費を抑制することができる。
【0057】
冷却システム1は、オイル温度センサ23で検出されたオイル通路7内の潤滑油(オイル)の温度が予め設定されたオイル温度閾値よりも高くなると、オイルクーラ19にてオイル通路7内の潤滑油を冷却する。このとき、第2バイパス弁20は、オイルクーラ19に第1通路3から冷却水が流れ込むように制御(開弁)される。
【0058】
これによって、冷却システム1は、潤滑油の温度を適温に制御することが可能となる。
【0059】
図2は、第1実施例の冷却システム1における冷却水に関する制御の流れを示すフローチャートである。
【0060】
ステップS1では、第1通路3の内燃機関出口側(内燃機関2と熱交換後)の冷却水温度が第1通路側第1閾値より大きいか否かを判定する。ステップS1において、内燃機関出口水温が第1通路側第1閾値より大きい場合は、ステップS2へ進む。ステップS1において、内燃機関出口水温が第1通路側第1閾値以下の場合は、ステップS10へ進む。
【0061】
ステップS2では、第2通路5のパワートレイン出口側(バッテリ16及びパワートレイン15と熱交換後)の冷却水温度が第2通路側第1閾値より大きいか否かを判定する。ステップS2において、パワートレイン出口水温が第2通路側第1閾値より大きい場合は、ステップS3へ進む。ステップS2において、パワートレイン出口水温が第2通路側第1閾値以下の場合は、ステップS8へ進む。
【0062】
ステップS3では、第2通路5のパワートレイン出口側(バッテリ16及びパワートレイン15と熱交換後)の冷却水温度が第2通路側第2閾値より大きいか否かを判定する。ステップS3において、パワートレイン出口水温が第2通路側第2閾値より大きい場合は、ステップS4へ進む。ステップS3において、パワートレイン出口水温が第2通路側第2閾値以下の場合は、ステップS6へ進む。
【0063】
ステップS4では、内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が第2通路5へ流れ込むように第1制御弁4を制御する。つまり、ステップS4では、冷却水が第1通路3と第2通路5を循環するように第1制御弁4を設定する。
【0064】
ステップS5では、第1ラジエータ11で冷却された冷却水が循環するように第1バイパス弁13が制御される。つまり、ステップS5では、第1ラジエータ11に冷却水が流入するように第1バイパス弁13を設定する。
【0065】
ステップS6では、内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が第2通路5へ流れ込まないように第1制御弁4を制御する。つまり、ステップS6では、冷却水が第1通路3を循環するように第1制御弁4を設定する。
【0066】
ステップS7では、第1ラジエータ11で冷却された冷却水が循環するように第1バイパス弁13が制御される。つまり、ステップS7では、第1ラジエータ11に冷却水が流入するように第1バイパス弁13を設定する。
【0067】
ステップS8では、内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が第2通路5へ流れ込むように第1制御弁4を制御する。つまり、ステップS8では、冷却水が第1通路3と第2通路5を循環するように第1制御弁4を設定する。
【0068】
ステップS9では、第1ラジエータ11で冷却された冷却水が循環するように第1バイパス弁13が制御される。つまり、ステップS9では、第1ラジエータ11に冷却水が流入するように第1バイパス弁13を設定する。
【0069】
ステップS10では、第2通路5のパワートレイン出口側(バッテリ16及びパワートレイン15と熱交換後)の冷却水温度が第2通路側第1閾値より大きいか否かを判定する。ステップS10において、パワートレイン出口水温が第2通路側第1閾値より大きい場合は、ステップS11へ進む。ステップS10において、パワートレイン出口水温が第2通路側第1閾値以下の場合は、ステップS16へ進む。
【0070】
ハイブリッド車両では、走行中、バッテリ16に余力があって内燃機関2を停止していると、内燃機関出口水温が低下し、パワートレイン出口水温が高くなる。ステップS1からステップS10へと進む場合は、このような場合を想定している。
【0071】
ステップS11では、第2通路5のパワートレイン出口側(バッテリ16及びパワートレイン15と熱交換後)の冷却水温度が第2通路側第2閾値より大きいか否かを判定する。ステップS11において、パワートレイン出口水温が第2通路側第2閾値より大きい場合は、ステップS12へ進む。ステップS11において、パワートレイン出口水温が第2通路側第2閾値以下の場合は、ステップS14へ進む。
【0072】
ステップS12では、内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が第2通路5へ流れ込むように第1制御弁4を制御する。つまり、ステップS12では、冷却水が第1通路3と第2通路5を循環するように第1制御弁4を設定する。
【0073】
ステップS13では、第1ラジエータ11で冷却された冷却水が循環するように第1バイパス弁13が制御される。つまり、ステップS13では、第1ラジエータ11に冷却水が流入するように第1バイパス弁13を設定する。
【0074】
ステップS14及びステップS16では、内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が第2通路5へ流れ込まないように第1制御弁4を制御する。つまり、ステップS14及びステップS16では、冷却水が第1通路3を循環するように第1制御弁4を設定する。
【0075】
ステップS15及びステップS17では、第1ラジエータ11で冷却された冷却水が循環しないように第1バイパス弁13が制御される。つまり、ステップS15及びステップS17では、第1ラジエータ11に冷却水が流入しないように第1バイパス弁13を設定する。
【0076】
図3は、第1実施例の冷却システム1における潤滑油に関する制御の流れを示すフローチャートである。
【0077】
ステップS21では、オイル通路7の潤滑油(オイル)の温度がオイル温度閾値より大きいか否かを判定する。ステップS21において、潤滑油の温度がオイル温度閾値より大きい場合は、ステップS22へ進む。ステップS21において、潤滑油の温度がオイル温度閾値以下の場合は、ステップS23へ進む。
【0078】
ステップS22では、第2バイパス弁20を開弁する。ステップS23では、第2バイパス弁20を閉弁する。
【0079】
以下、本発明の他の実施例について説明する。なお、上述した実施例と同一の構成要素には同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0080】
図4及び
図5を用いて本発明の第2実施例について説明する。
図4は、本発明が適用された第2実施例の冷却システム31の概要を模式的に示した説明図である。第2実施例の冷却システム31は、上述した第1実施例の冷却システム1と略同一構成となっているが、
図4に示すように、第2通路5に第2ウォータポンプ32と第2ラジエータ33が配置され、かつ第2通路5の他端が第2制御弁34を介して第1通路3に接続されているとともに、第2通路5に第2バイパス通路35及び第3バイパス通路36が接続されている。
【0081】
なお、
図4において、第1通路3内の冷却水は、矢示するように、反時計回り(左回り)に流れるものとする。
図4において、第2通路5内の冷却水は、矢示するように、反時計回り(左回り)に流れるものとする。
図4において、第3通路6内の冷却水は、矢示するように、時計回り(右回り)に流れるものとする。
図4において、オイル通路7内の潤滑油は、矢示するように、時計回り(右回り)に流れるものとする。
【0082】
第2ウォータポンプ32は、内燃機関2のクランクシャフト(図示せず)の回転により駆動する機械式のポンプである。なお、第2ウォータポンプ32は、コントロールユニット12からの指令により駆動される電動ポンプであってもよい。
【0083】
第2ウォータポンプ32は、パワートレイン15及びヒータコア17の上流側、かつ第2制御弁34の下流側に位置している。
【0084】
第2ラジエータ33は、第3バイパス弁37により冷却水が流入しないようにすることが可能となっている。第2通路5には、第2ラジエータ33をバイパスする第2バイパス通路35が第3バイパス弁37を介して接続されている。第2バイパス通路35は、他端となる上流側端が第2ラジエータ33の上流側となる位置で第3バイパス弁37を介して第2通路5に接続され、一端となる下流側端が第2ラジエータ33の下流側となる位置で第2通路5に接続されている。なお、第2バイパス通路35は、一端となる下流側端が第1ラジエータ11の下流側となる位置で第3バイパス弁37を介して第2通路5に接続され、他端となる上流側端が第2ラジエータ33の上流側となる位置で第2通路5に接続されたものでもよい。
【0085】
第3バイパス弁37は、例えば電磁三方弁であり、コントロールユニット12からの指令により制御される。なお、第3バイパス弁37は、三方弁ではなく、第2バイパス通路35の一端または他端を開閉する電磁弁等であってもよい。
【0086】
冷却システム31は、第3バイパス弁37を制御することで、冷却水が第2バイパス通路35を流れ、第2ラジエータ33に流入しないようにすることが可能となっている。すなわち、第3バイパス弁37は、第2バイパス通路35の他端と第2通路5との接続部分において、冷却水が第2ラジエータ33に流れ込むように第2通路5を開くとともに、第2バイパス通路35を通過した冷却水が下流側へ流れ込まないように第2バイパス通路35を閉じることが可能である。また、第3バイパス弁37は、第2バイパス通路35の一端と第2通路5との接続部分において、冷却水が第2ラジエータ33に流れ込まないように第2通路5を閉じるとともに、第2バイパス通路35を通過した冷却水が下流側へ流れるように第2バイパス通路35を開くことが可能である。
【0087】
第2制御弁34は、制御弁に相当するものであり、第2ウォータポンプ32の上流側に配置され、コントロールユニット12からの指令により制御される。第2制御弁34は、第2通路5の上流側端を開閉する電磁弁である。
【0088】
第3バイパス通路36は、上流側となる一端がパワートレイン15、ヒータコア17及び第2ラジエータ33の下流側、かつ第1制御弁4の上流側となる位置で第2通路5に接続され、下流側となる他端が第2制御弁34の下流側、かつ第2ウォータポンプ32の上流側となる位置で第2通路5に接続されている。
【0089】
冷却システム31は、第2制御弁34を制御することで、冷却水を第2通路5内で循環させることが可能となっている。
【0090】
すなわち、冷却システム31は、第2制御弁34を閉弁し、第1制御弁4を第2通路5から第1通路3に冷却水が流入しないように制御することで、第1通路3内の冷却水の循環と、第2通路5内の冷却水の循環と、を独立した(切り離した)ものとすることが可能となっている。
【0091】
つまり、冷却システム31は、第2通路5に第1通路3からの冷却水を流入させるようにすることや、第2通路5に第1通路3から冷却水を流入させることなく第2通路5内で冷却水を循環させることが可能となっている。
【0092】
詳述すると、冷却システム31は、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れるように第2通路5の一端を開くとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように第1制御弁4を制御し、さらに第2制御弁34を開弁することで、第2通路5に第1通路3から流入させた冷却水が流れるようにすることが可能である。
【0093】
また、冷却システム31は、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れ込まないように第2通路5の一端を閉じるとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように第1制御弁4を制御し、さらに第2制御弁34を閉弁することで、第2通路5内の冷却水が第3バイパス通路36を利用して第2通路5を循環させることが可能である。
【0094】
なお、第2制御弁34は、第2通路5の上流側端と第1通路3との接続部分に三方弁として配置されたものでもよい。
【0095】
内燃機関2に最適な冷却条件は、バッテリ16やパワートレイン15に最適な冷却条件と必ずしも同一ではない。
【0096】
しかしながら、第2実施例の冷却システム31は、第1通路3内の冷却水温度と、第2通路5内の冷却水温度を個別に管理することが可能となる。そのため、冷却システム31は、内燃機関2をより好適な冷却条件で冷却できるとともに、バッテリ16やパワートレイン15等をより好適な冷却条件で冷却することができる。
【0097】
具体的には、冷却システム31は、内燃機関2の運転中、第1水温センサ10で検出された第1通路3内の冷却水の温度が第1通路側第1閾値(例えば60℃)よりも高く、かつ第2水温センサ18で検出された第2通路5内の冷却水の温度が第2通路側第1閾値(例えば30℃)よりも高い場合には、第2通路5へ内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が流れ込まないように第1制御弁4及び第2制御弁34を制御し、第1通路3内の冷却水を第1ウォータポンプ9で循環させ、第2通路5内の冷却水を第2ウォータポンプ32で循環させる。
【0098】
このとき、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れ込まないように第2通路5の一端を閉じるとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように制御される。第2制御弁34は、閉弁するように制御される。また、このとき、第1バイパス弁13は、第1水温センサ10で検出された第1通路3内の冷却水の温度が第1通路側3閾値(例えば90℃)よりも高ければ第1ラジエータ11に冷却水が流れ込むように制御され、第1水温センサ10で検出された第1通路3内の冷却水の温度が第1通路側3閾値(例えば90℃)以下であれば第1ラジエータ11に冷却水が流れ込まないように制御される。第3バイパス弁37は、例えば、第2ラジエータ33に冷却水が流れ込むように制御される。
【0099】
冷却システム31は、第1通路3内の冷却水温度と第2通路5内の冷却水温度とを異なる温度に制御することが可能となり、内燃機関2とバッテリ16をそれぞれ所期の冷却条件(暖機条件)で冷却(暖機)することが可能となる。
【0100】
また、冷却システム31は、内燃機関2の運転中、第1水温センサ10で検出された第1通路3内の冷却水の温度が第1通路側第1閾値(例えば60℃)以下、かつ第2水温センサ18で検出された第2通路5内の冷却水の温度が第2通路側第1閾値(例えば30℃)よりも高い場合には、第2通路5へ内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が流れ込まないように第1制御弁4及び第2制御弁34を制御し、第1通路3内の冷却水を第1ウォータポンプ9で循環させ、第2通路5内の冷却水を第2ウォータポンプ32で循環させる。
【0101】
このとき、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れ込まないように第2通路5の一端を閉じるとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように制御される。第2制御弁34は、閉弁するように制御される。また、このとき、第1バイパス弁13は、例えば、第1ラジエータ11に冷却水が流れ込まないように制御される。第3バイパス弁37は、例えば、第2ラジエータ33に冷却水が流れ込むように制御される。
【0102】
冷却システム31は、第1通路3内の冷却水温度と第2通路5内の冷却水温度とを異なる温度に制御することが可能となり、内燃機関2とバッテリ16をそれぞれ所期の冷却条件(暖機条件)で冷却(暖機)することが可能となる。
【0103】
冷却システム31は、内燃機関2の運転中、第1水温センサ10で検出された第1通路3内の冷却水の温度が予め設定された第1通路側第1閾値(例えば60℃)よりも高く、かつ第2水温センサ18で検出された冷却水の温度が予め設定された第2通路側第1閾値以下(例えば30℃)の場合には、第2通路5へ内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が流れ込むように第1制御弁4及び第2制御弁34を制御する。
【0104】
このとき、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れるように第2通路5の一端を開くとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように制御される。また、このとき、第1バイパス弁13は、例えば、第1ラジエータ11に冷却水が流れ込むように制御される。第3バイパス弁37は、例えば、第2ラジエータ33に冷却水が流れ込まないように制御される。
【0105】
冷却システム31は、所定の条件(第1通路3内の冷却水温度>第1通路側第1閾値、かつ第2通路内の冷却水温度≦第2通路側第1閾値)が成立した場合に第1通路3内を循環する冷却水が第2通路5に流入するので、内燃機関2のフリクションの悪化を抑制しつつ、内燃機関2から受熱した冷却水でバッテリ16を昇温させることができる。
【0106】
また、冷却システム31は、バッテリ16の低温時に、内燃機関2の熱を利用してバッテリ16を昇温させることが可能となる。そのため、バッテリ16は、温度低下による出力低下を抑制することができる。
【0107】
また、冷却システム31は、内燃機関2の運転中、第1水温センサ10で検出された第1通路3内の冷却水の温度が第1通路側第1閾値(例えば60℃)以下、かつ第2水温センサ18で検出された第2通路5内の冷却水の温度が第2通路側第1閾値(例えば30℃)以下の場合には、第2通路5へ内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が流れ込まないように第1制御弁4及び第2制御弁34を制御する。
【0108】
このとき、第1制御弁4は、第2通路5の一端である下流側端と第1通路3との接続部分において、第2通路5を通過した冷却水が第1通路3へ流れ込まないように第2通路5の一端を閉じるとともに、第1通路3の流れを阻害しないように第1通路3を開くように制御される。第2制御弁34は、閉弁するように制御される。また、このとき、第1バイパス弁13は、例えば第1ラジエータ11に冷却水が流れ込まないように制御される。第3バイパス弁37は、例えば、第2ラジエータ33に冷却水が流れ込まないように制御される。
【0109】
冷却システム31は、所定の条件(第1通路3内の冷却水温度≦第1通路側第1閾値、かつ第2通路5内の冷却水温度≦第2通路側第1閾値)が成立した場合に、第1通路3内を循環する冷却水が第2通路5に流入することはないので、内燃機関2を早期に暖機することが可能となる。
【0110】
図5は、第2実施例の冷却システム31における冷却水に関する制御の流れを示すフローチャートである。
【0111】
ステップS31では、第1通路3の内燃機関出口側(内燃機関2と熱交換後)の冷却水温度が第1通路側第1閾値より大きいか否かを判定する。ステップS31において、内燃機関出口水温が第1通路側第1閾値より大きい場合は、ステップS32へ進む。ステップS31において、内燃機関出口水温が第1通路側第1閾値以下の場合は、ステップS43へ進む。
【0112】
ステップS32では、第2通路5のパワートレイン出口側(バッテリ16及びパワートレイン15と熱交換後)の冷却水温度が第2通路側第1閾値より大きいか否かを判定する。ステップS32において、パワートレイン出口水温が第2通路側第1閾値より大きい場合は、ステップS33へ進む。ステップS32において、パワートレイン出口水温が第2通路側第1閾値以下の場合は、ステップS39へ進む。
【0113】
ステップS33では、内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が第2通路5へ流れ込まないように第1制御弁4を制御する。つまり、ステップS33では、第1通路3内の冷却水が第1通路3を循環するように第1制御弁4を設定する。
【0114】
ステップS34では、第2制御弁34を閉弁する。
【0115】
ステップS35では、第2ラジエータ33で冷却された冷却水が循環するように第3バイパス弁37が制御される。つまり、ステップS35では、第2ラジエータ33に冷却水が流入するように第3バイパス弁37を設定する。
【0116】
ステップS36では、第1通路3の内燃機関出口側(内燃機関2と熱交換後)の冷却水温度が第1通路側第3閾値より大きいか否かを判定する。ステップS36において、内燃機関出口水温が第1通路側第3閾値より大きい場合は、ステップS37へ進む。ステップS36において、内燃機関出口水温が第1通路側第3閾値以下の場合は、ステップS38へ進む。
【0117】
ステップS37では、第1ラジエータ11で冷却された冷却水が循環するように第1バイパス弁13が制御される。つまり、ステップS37では、第1ラジエータ11に冷却水が流入するように第1バイパス弁13を設定する。
【0118】
ステップS38では、第1ラジエータ11で冷却された冷却水が循環しないように第1バイパス弁13が制御される。つまり、ステップS38では、第1ラジエータ11に冷却水が流入しないように第1バイパス弁13を設定する。
【0119】
ステップS39では、内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が第2通路5へ流れ込むように第1制御弁4を制御する。つまり、ステップS39では、冷却水が第1通路3と第2通路5を循環するように第1制御弁4を設定する。
【0120】
ステップS40では、第2制御弁34を開弁する。
【0121】
ステップS41では、第2ラジエータ33で冷却された冷却水が循環しないように第3バイパス弁37が制御される。つまり、ステップS41では、第2ラジエータ33に冷却水が流入しないように第3バイパス弁37を設定する。
【0122】
ステップS42では、第1ラジエータ11で冷却された冷却水が循環するように第1バイパス弁13が制御される。つまり、ステップS42では、第1ラジエータ11に冷却水が流入するように第1バイパス弁13を設定する。
【0123】
ステップS43では、第2通路5のパワートレイン出口側(バッテリ16及びパワートレイン15と熱交換後)の冷却水温度が第2通路側第1閾値より大きいか否かを判定する。ステップS43において、パワートレイン出口水温が第2通路側第1閾値より大きい場合は、ステップS44へ進む。ステップS43において、パワートレイン出口水温が第2通路側第1閾値以下の場合は、ステップS48へ進む。
【0124】
ハイブリッド車両では、走行中、バッテリ16に余力があって内燃機関2を停止していると、内燃機関出口水温が低下し、パワートレイン出口水温が高くなる。ステップS31からステップS43へと進む場合は、このような場合を想定している。
【0125】
ステップS44では、内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が第2通路5へ流れ込まないように第1制御弁4を制御する。つまり、ステップS44では、第1通路3内の冷却水が第1通路3を循環するように第1制御弁4を設定する。
【0126】
ステップS45では、第2制御弁34を閉弁する。
【0127】
ステップS46では、第2ラジエータ33で冷却された冷却水が循環するように第3バイパス弁37が制御される。つまり、ステップS46では、第2ラジエータ33に冷却水が流入するように第3バイパス弁37を設定する。
【0128】
ステップS47では、第1ラジエータ11で冷却された冷却水が循環しないように第1バイパス弁13が制御される。つまり、ステップS47では、第1ラジエータ11に冷却水が流入しないように第1バイパス弁13を設定する。
【0129】
ステップS48では、内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が第2通路5へ流れ込まないように第1制御弁4を制御する。つまり、ステップS48では、第1通路3内の冷却水が第1通路3を循環するように第1制御弁4を設定する。
【0130】
ステップS49では、第2制御弁34を閉弁する。
【0131】
ステップS50では、第2ラジエータ33で冷却された冷却水が循環しないように第3バイパス弁37が制御される。つまり、ステップS50では、第2ラジエータ33に冷却水が流入しないように第3バイパス弁37を設定する。
【0132】
ステップS51では、第1ラジエータ11で冷却された冷却水が循環しないように第1バイパス弁13が制御される。つまり、ステップS51では、第1ラジエータ11に冷却水が流入しないように第1バイパス弁13を設定する。
【0133】
なお、第2実施例の冷却システム31における潤滑油に関する制御の流れは、上述した第1実施例の冷却システム1における潤滑油に関する制御の流れと同一である。
【0134】
以上、本発明の具体的な実施例を説明してきたが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0135】
例えば、第2実施例の冷却システム31においては、第2ウォータポンプ32が電動ポンプであれば、内燃機関2と熱交換した第1通路3内の冷却水が第2通路5へ流れ込むように第1制御弁4を制御するとともに、第2制御弁34を開弁するよう制御した際に、第2ウォータポンプ32を停止してもよい。
【0136】
上述した各実施例は、冷却システム1、31の制御方法及び冷却システム1、31の制御装置に関するものである。
【符号の説明】
【0137】
1…冷却システム
2…内燃機関
3…第1通路
4…第1制御弁
5…第2通路
6…第3通路
7…オイル通路
8…ウォータジャケット
9…第1ウォータポンプ
10…第1水温センサ
11…第1ラジエータ
12…コントロールユニット
13…第1バイパス弁
14…第1バイパス通路
15…パワートレイン
16…バッテリ
17…ヒータコア
18…第2水温センサ
19…オイルクーラ
20…第2バイパス弁
21…オイルジャケット
22…オイルポンプ
23…オイル温度センサ