(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165099
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】水槽装置
(51)【国際特許分類】
A01K 63/04 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
A01K63/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075721
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】393022746
【氏名又は名称】ジェックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 周佑
(72)【発明者】
【氏名】大島 巧士
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104CA03
2B104CA07
2B104CB02
2B104CB28
2B104CB34
2B104CB42
2B104CB44
2B104ED05
2B104ED36
2B104ED37
(57)【要約】
【課題】 ポンプの清掃が容易な水槽装置を提供する。
【解決手段】 水槽装置1は、生物を飼育するための水槽2と、水槽2の下側に配置され、水槽2内から排水された水を濾過するための濾過槽3と、濾過槽3を引き出し可能に収容する収容部4と、濾過槽3で濾過した水を水槽2に戻すためのポンプ5と、を備え、ポンプ5は、濾過槽3内に配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物を飼育するための水槽と、
前記水槽の下側に配置され、前記水槽内から排水された水を濾過するための濾過槽と、
前記濾過槽を引き出し可能に収容する収容部と、
前記濾過槽で濾過した水を前記水槽に戻すためのポンプと、を備え、
前記ポンプは、前記濾過槽内に配置される、水槽装置。
【請求項2】
前記ポンプは、吐出管を備え、
前記濾過槽は、前記吐出管の位置を制限する制限部を備える、請求項1に記載の水槽装置。
【請求項3】
前記ポンプから吐出された水を前記水槽に戻すための給水管を備え、
前記給水管は、前記濾過槽を前記収容部に収容した状態で前記吐出管と着脱可能である、請求項2に記載の水槽装置。
【請求項4】
前記水槽内の水を排水可能な少なくとも1つ以上の排水管を備え、
前記吐出管は、上面視において前記排水管のうち1つの排水管と重なる位置に配置され、
前記給水管は、前記1つの排水管に挿通される、請求項3に記載の水槽装置。
【請求項5】
前記水槽内の水を排水可能な排水管と、
前記排水管から排水された水を濾過槽内で受ける水受け面を有する水受け部材と、を備え、
前記水受け面は、前記濾過槽の内側に向かって下方向に傾斜すると共に前記収容部の上壁と接触している、請求項1に記載の水槽装置。
【請求項6】
前記濾過槽は、前方向に引き出し可能であり、
前記濾過槽の前壁と前記収容部の上壁との隙間は、5mm以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の水槽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環濾過方式の水槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、魚介類飼育水槽と、1つ以上の生物濾過槽と、各水槽を収容するスライドラックと、給排水ポンプと、を備える、水槽装置が開示されている。ところで、給排水ポンプは、生物濾過槽よりも奥側に配置されており、給排水ポンプの清掃が容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、ポンプの清掃が容易な水槽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
水槽装置は、生物を飼育するための水槽と、前記水槽の下側に配置され、前記水槽内から排水された水を濾過するための濾過槽と、前記濾過槽を引き出し可能に収容する収容部と、前記濾過槽で濾過した水を前記水槽に戻すためのポンプと、を備え、前記ポンプは、前記濾過槽内に配置される。
【0006】
斯かる構成によれば、ポンプを濾過槽内に配置することにより、ポンプを濾過槽と共に引き出すことができる。これにより、ポンプの清掃が容易になり、清掃者の負担を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る水槽装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る水槽装置の濾過槽を引き出した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る水槽装置の水槽蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る水槽装置の水槽蓋を取り外した状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る水槽装置の背面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態における濾過槽の平面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態における濾過槽の底面図である
【
図12】
図12は、他の実施形態に係る水槽装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係る水槽装置について、
図1~
図11を参照しながら説明する。なお、各図(
図12も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0009】
図1は、本実施形態に係る水槽装置1の斜視図であり、
図2は、本実施形態に係る水槽装置1の濾過槽3を引き出した状態を示す斜視図である。
【0010】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る水槽装置1は、生物を飼育するための水槽2と、水槽2内から排水された水を濾過するための濾過槽3と、濾過槽3を引き出し可能に収容する収容部4と、濾過槽3で濾過した水を水槽2に戻すためのポンプ5と、を備えている。本実施形態において、水槽装置1は、水槽2を覆う水槽蓋6をさらに備えている。生物としては、熱帯魚などの観賞魚や水草などの観葉植物などが挙げられる。
図2において、濾過槽3は、後述する給水部8(給水管81)をポンプ5から引き抜いた後に引き出し可能となる。
【0011】
図3は、本実施形態に係る水槽装置1の水槽蓋6を取り外した状態を示す斜視図である。
図4は、本実施形態に係る水槽装置1の水槽蓋6を取り外した状態を示す平面図である。
【0012】
図3及び
図4に示すように、水槽2は、前壁21と一対の側壁22,22と後壁23と底壁24(
図4参照)とを備えている。前壁21、側壁22及び後壁23をまとめて周壁20ともいう。本実施形態における水槽2は、上面視において正方形状に形成されているが、これに限られない。例えば、水槽2は、上面視において長方形状や円形状に形成されていてもよい。
【0013】
本実施形態において、水槽2は、ガラスによって形成されているが、これに限られない。水槽2をガラスで形成することによって、水槽2に傷が付くことを抑制できる。なお、水槽2は、例えば、透明な樹脂で形成されていてもよい。
【0014】
水槽2の周壁20の上端面には、その全周(一部のみでも可)に亘ってシーリング材(不図示)が塗布されていることが好ましい。これにより、周壁20上で水槽蓋6が滑ることを防止できる。また、水槽蓋6の載置時に、周壁20との衝突によって水槽蓋6が破損することを防止できる。シーリング材としては、シリコン系シーリング材、変性シリコン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材などが挙げられる。
【0015】
水槽2は、水槽2内を仕切る水槽仕切部25を備えている。水槽仕切部25によって、水槽2は、生物を育成するための第1領域X1と、後述する排水部7や給水部8などが配置される第2領域X2と、に仕切られる。第2領域X2には、排水部7や給水部8の他にヒーター(不図示)などが配置される。
【0016】
水槽仕切部25は、上面視において略U字状に形成されている。水槽仕切部25は、第2領域X2を視認し難くする観点から、有色材で形成されていることが好ましい。水槽仕切部25は、第1領域X1と第2領域X2とを連通する複数の連通孔251と、給水部8を取り付けるための管取付部252と、備えている。連通孔251の幅は、生物の幅よりも小さいことが好ましい。管取付部252は、水槽仕切部25の上端部に設けられた切欠である。
【0017】
図5は、
図4のV-V線断面図である。
図5に示すように、水槽2は、上下方向に延びると共に水槽2の内側に突出する突起26を備え、水槽仕切部25は、水槽2に取り付けるための一対の切欠部253,253を備えている。突起26は、水槽2の側壁22に固定され、切欠部253は、水槽2の側壁22と対向する部分の下側に配置されている。切欠部253を突起26に嵌め込むことによって、水槽仕切部25を水槽2に取り付けることができる。
【0018】
図1示すように、水槽蓋6は、上面視において水槽2と略同一の形状に形成されている。本実施形態における水槽蓋6は、上面視において正方形状に形成されているが、これに限られない。水槽蓋6は、第1領域X1(
図3及び
図4参照)上に配置される第1板61と、第2領域X2(
図3及び
図4参照)上に配置される第2板62と、第1板61及び第2板62を回動可能に連結するヒンジ部63と、を備えている。第2板62の後面は、水槽2の後面(後壁23)よりも前方に配置されている。
【0019】
ヒンジ部63は、弾性材で形成され、第1板61及び第2板62のそれぞれの対向する側面を連結している。弾性材としては、シリコン系シーリング材、変性シリコン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材などが挙げられる。ヒンジ部63は、水槽蓋6の見栄えをよくする観点から、第1板61や第2板62と略同一の色であることが好ましい。
【0020】
図6は、本実施形態に係る水槽装置1の背面図である。
図6に示すように、水槽2の後壁23と水槽蓋6との間には、隙間G1を設けることが好ましい。これにより、水槽2内に設置した機器(ヒーターなど)のケーブルを隙間G1から通すことができる。本実施形態において、水槽2の後壁23と水槽蓋6との隙間G1は、7mmであるが、これに限られない。
【0021】
図3~
図5に示すように、水槽装置1は、水槽2内の水を排水可能な排水部7を備えている。排水部7は、少なくとも1つ以上の排水管を備えている。本実施形態において、排水部7は、第1排水管71と第2排水管72とを備えている。斯かる構成によれば、一方の排水管が詰まった場合でも他方の排水管から水を排水することができ、水槽2内の水が溢れることを防止できる。なお、排水部7は、例えば、3つ以上の排水管を備えていてもよく、1つの排水管のみを備えていてもよい。
【0022】
第1排水管71及び第2排水管72は、水槽2の第2領域X2に上下方向に沿って配置されている。本実施形態において、第1排水管71及び第2排水管72は、樹脂で形成された直管(屈曲部を有さない)であるが、これに限られない。第1排水管71の上端面は、第2排水管72の上端面よりも低い。これにより、正常時に第1排水管71から水槽2内の水を排水することができる。
【0023】
第1排水管71及び第2排水管72の各上端面の上下方向の差H1(
図5参照)は、5~20mmであることが好ましい。差H1を5mm以上とすることにより、正常時に第2排水管72から水が排水されることを抑制でき、差H1を20mm以下とすることにより、水槽2の大型化を抑制できる。本実施形態において、差H1は、7mmであるが、これに限られない。
【0024】
排水部7は、第1排水管71及び第2排水管72を水槽2の底壁24に固定するための管固定部材73を備えている。管固定部材73は、水槽2の底壁24よりも下側に飛び出していることが好ましい。これにより、管固定部材73と底壁24との固定強度を高めることができる。なお、第1排水管71及び第2排水管72を水槽2の底壁24に直接固定してもよい。
【0025】
水槽装置1は、ポンプ5(
図5参照)から吐出された水を水槽2に戻すための給水部8を備えている。給水部8の上端位置は、後述する吐出管51との着脱を容易にする観点から、排水管71,72の上端面よりも高い位置(即ち、水槽2内の水面よりも上)に配置されていることが好ましい。
【0026】
給水部8は、ポンプ5から吐出された水を水槽2に戻すための給水管81を備えている。本実施形態において、給水管81は、樹脂で形成された直管(屈曲部を有さない)であり、濾過槽3を収容部4に収容した状態で吐出管51と着脱可能である。給水管81は、第2排水管72に挿通されると共に第2排水管72及び吐出管51と実質的に同軸上に配置されている。実質的に同軸とは、各軸が同軸であるのみならず、各軸の5mm以下のずれを含む。なお、給水管81は、上記に限られない。
【0027】
給水管81と第2排水管72との間には、片側1mm~5mmの隙間G2が設けられていることが好ましい。隙間G2を1mm以上とすることによって、第2排水管72の排水性能を確保することができ、隙間G2を5mm以下とすることによって、第2排水管72に沿って容易に給水管81を吐出管51に連結することができる。本実施形態において、隙間G2は、2.25mmであるが、これに限られない。
【0028】
本実施形態において、給水部8は、給水方向を調整可能な調整部82を備えている。調整部82は、首振り可能なノズル821とL字管822とを備えている。調整部82は、ノズル821が首振り可能な状態で管取付部252に取り付けられ、給水管81から送られた水を第1領域X1に給水している。なお、給水部8は、例えば、調整部82を備えず、給水管81は、上端部が第1領域X1側に曲げられたL字管であってもよい。
【0029】
図5及び
図6に示すように、収容部4は、一対の側壁41,41と上壁42と底壁43とを備えている。本実施形態において、収容部4は、前側及び後側が開口している。なお、収容部4は、例えば、さらに後壁を備え、前側のみ開口している、という構成であってもよい。
【0030】
収容部4は、水槽2の下側(直下)に配置されている。収容部4の側壁41及び水槽2の側壁22の各外側面は、実質的に面一であることが好ましい。実質的に面一とは、各面が面一であることのみならず、5mm以下の段差も含む。本実施形態において、収容部4の側壁41は、ガラスで形成され、水槽2の側壁22と一体に形成されている。収容部4の上壁42は、水槽2の底壁24を兼ねている。なお、収容部4の側壁41及び上壁42は、上記に限られない。
【0031】
収容部4の底壁43は、収容部4の側壁41を嵌めることが可能な嵌込溝431(
図5参照)を備えている。これにより、底壁43と側壁41との固定が容易になる。嵌込溝431は、底壁43の上面に配置されると共に前後方向に沿って延びている。嵌込溝431は、底壁43の両側部に配置されている。嵌込溝431には、側壁41を嵌め易くするための面取りが設けられていることが好ましい。
【0032】
収容部4の底壁43は、上面視において水槽2よりも一回り大きい形状に形成されている。本実施形態において、底壁43は、樹脂で形成されている。これにより、嵌込溝431や後述するレール44を容易に形成することができる。
【0033】
図5に示すように、ポンプ5は、吐出管51を備えている。吐出管51は、上下方向に沿って配置され、上面視において第2排水管72と重なる位置に配置されていることが好ましい。これにより、給水管81と吐出管51との連結を容易にすることができる。
【0034】
濾過槽3は、水槽2の下側(直下)に配置されている。これにより、排水部7及び給水部8の管経路を短くすることができ、水槽装置1をコンパクトにすることができる。
【0035】
図7は、本実施形態における濾過槽3の平面図であり、
図8は、本実施形態における濾過槽3の底面図である。
図7及び
図8に示すように、本実施形態における濾過槽3は、上面視において略正方形状に形成され、前方向に引き出し可能(
図2参照)であるが、これに限られない。例えば、濾過槽3は、前方向及び後方向の両方向に引き出し可能であってもよい。
【0036】
濾過槽3は、前壁部31と一対の側壁32,32と後壁33と底壁34とを備えている。本実施形態において、前壁部31(後述する第2前壁312を除く)、側壁32、後壁33及び底壁34は、樹脂によって一体で形成されている。斯かる構成によれば、防水加工などを省略することができ、製造不良による濾過槽3からの水漏れを抑制できる。また、収容部4と接触する部分を樹脂とすることができ、濾過槽3の引き出し時に収容部4のガラス部分に傷が付くことを抑制できる。さらに、濾過槽3を軽くすることができ、濾過槽3の清掃を容易にすることができる。
【0037】
前壁部31は、水と接触する第1前壁311と、水と非接触な第2前壁312と、を備えている。第2前壁312は、第1前壁311よりも前方に配置され、第1前壁311と第2前壁312との間には、空間(隙間G3)が設けられている。斯かる構成によれば、外部からの光が第1前壁311よりも後方まで届き難くなり、濾過槽3内を視認し難くすることができる。これにより、水槽装置1の美観が損なわれることを抑制できる。また、第2前壁312を水と非接触とすることにより、第1前壁311に付いた苔などを濾過槽3の外から視認し難くすることができる。なお、前壁部31は、例えば、第1前壁311のみを備える、という構成であってもよい。
【0038】
第1前壁311と第2前壁312との隙間G3は、15mm~25mmであることが好ましい。隙間G3を15mm以上とすることにより、隙間G3に指の一部を入れることができ、隙間G3の清掃を容易にすることができる。隙間G3を25mm以下とすることにより、濾過槽3の容量を確保することができる。本実施形態において、隙間G3は、20mmであるが、これに限られない。
【0039】
第1前壁311及び第2前壁312は、実質的に平行となるように配置されている。実質的に平行とは、各壁が平行であるのみならず、各壁によって形成される角度が5度以下のものも含む。
【0040】
本実施形態において、第2前壁312は、ガラスで形成されている。斯かる構成によれば、第2前壁312と水槽2及び収容部4の側壁41とを同じ材質とすることができ、水槽装置1の前方側から視認できる部分をガラスで略統一することができる。これにより、水槽装置1に見た目の統一感を持たせることができる。
【0041】
前壁部31は、第1前壁311から前方向に突出する第1突出部313と、第1突出部313の前端部から突出する第2突出部314と、を備えている。第2突出部314の上部は、内側(下側)に突出し、第2突出部314の側部は、左右方向の外側に突出している。
【0042】
第2前壁312は、第2突出部314の前面に固定(例えば、接着)されている。第2突出部314を設けることにより、第1突出部313の前端に固定した場合よりも第2前壁312の固定面を増やすことができ、第2前壁312の固定強度を確保することができる。
【0043】
図6に示すように、濾過槽3の後壁33と水槽2の底壁24(収容部4の上壁42)との隙間G5は、5mm~10mmであることが好ましい。隙間G5を5mm以上とすることにより、ポンプなどのケーブルを通すことができ、隙間G5を10mm以下とすることにより、外部の空気が濾過槽3内に浸入することを抑制できる。本実施形態において、隙間G5は、7.5mmであり、後壁33の左右に亘って一定である。これにより、濾過槽3を引き出した際、管固定部材73と後壁33とが接触することを防止することができる。
【0044】
図5及び
図6に示すように、収容部4は、濾過槽3を引き出す(スライドさせる)ためのレール44を備えている。本実施形態において、レール44は、収容部4の底壁43に2本配置されているが、これに限られない。例えば、レール44は、例えば、収容部4の側壁41に配置されていてもよい。
【0045】
図6及び
図8に示すように、濾過槽3は、レール44に嵌めることが可能なガイド溝部39を備えている。ガイド溝部39は、レール44との位置合わせを容易にするための誘導部391を備えている。誘導部391は、ガイド溝部39の後側に配置され、後方向に向かって幅広に形成されている。本実施形態における誘導部391は、上面視(底面視)において三角形状に形成されているが、これに限られない。例えば、誘導部391は、上面視(底面視)において略U字状などに形成されていてもよい。また、ガイド溝部39は、濾過槽3の底壁34に配置されているが、これに限られない。例えば、ガイド溝部39は、濾過槽3の側壁32に配置されていてもよい。
【0046】
図7に示すように、濾過槽3は、濾過槽3内を複数の領域に仕切る濾過槽仕切部35を備えている。本実施形態において、濾過槽仕切部35は、第1排水管71(
図5参照)の下側(直下)に配置される濾過前領域X3と、濾材を配置する濾材領域X4と、ポンプ5が配置される濾過後領域X5と、に仕切っている。なお、濾過槽3は、例えば、濾過槽仕切部35を備えない、という構成であってもよく、濾過前領域X3と濾材領域X4とが仕切られていなくてもよい。
【0047】
濾材は、水を通過させることができ、水を浄化する作用を有するものであれば特に限定されるものではない。濾材としては、ウール、スポンジ、セラミック、活性炭、ゼオライト、砂利、砂及びサンゴなどが挙げられる。
【0048】
濾過槽仕切部35は、各領域X3~X5を仕切る第1仕切部材351と、濾材領域X4を第1濾材領域X41と第2濾材領域X42とに仕切る第2仕切部材352と、を備えている。本実施形態において、第1仕切部材351は、上面視においてT字状に形成され、第2仕切部材352は、上面視においてI字状に形成されている。第1仕切部材351及び第2仕切部材352は、樹脂で形成されている。
【0049】
第2仕切部材352を設けることにより、濾過槽3内の水が濾材を通る前に濾過後領域X5に流れることを防止でき、濾過槽3の濾過能力を高めることができる。なお、濾過槽仕切部35は、第2仕切部材352を備えない、という構成であってもよい。第1濾材領域X41及び第2濾材領域X42は、同じ濾材が配置されてもよく、異なる濾材が配置されていてもよい。また、第1濾材領域X41及び第2濾材領域X42のうち一方のみに濾材を配置してもよい。
【0050】
図9は、
図4のIX-IX線断面図である。
図9に示すように、第1仕切部材351は、濾過前領域X3と濾材領域X4とを連通する複数の第1連通孔351aと、濾材領域X4と濾過後領域X5とを連通する複数の第2連通孔351bと、を備えている。
【0051】
図10は、
図4のX-X線断面図である。
図10に示すように、第2仕切部材352は、第1濾材領域X41と第2濾材領域X42とを連通する複数の第3連通孔352aを備えている。第3連通孔352aは、濾過前領域X3及び濾過後領域X5(
図7参照)から離れた位置に配置することが好ましい。これにより、濾過槽3内の水が濾材を通る前に濾過後領域X5に流れることを防止でき、濾過槽3の濾過能力を高めることができる。
【0052】
図7及び
図9に示すように、濾過槽3の各側壁32,32は、それぞれ第1仕切部材351を挿し込み可能な第1溝部321,321を備えている。第1溝部321は、上下方向に沿って延び、各第1溝部321,321は、それぞれ対向するように濾過槽3の内側に配置されている。
【0053】
図7及び
図10に示すように、濾過槽3の前壁部31は、第2仕切部材352を挿し込み可能な第2溝部315を備え、第1仕切部材351は、第2仕切部材352を挿し込み可能な第3溝部351cを備えている。第2溝部315は、上下方向に沿って延びると共に第1前壁311の後側(内側)に配置されている。第3溝部351cは、上下方向に沿って延びると共に第2溝部315と対向する位置(第1仕切部材351の前側)に配置されている。本実施形態において、第2溝部315及び第3溝部351cは、第1溝部321よりも溝幅が大きい。
【0054】
濾過槽3は、第1排水管71から排水された水を濾過槽3内で受ける水受け面381を有する水受け部材38を備えている。水受け部材38は、濾過槽3の濾過前領域X3に配置されている。即ち、水受け部材38は、第1排水管71の下側(直下)に配置されている。本実施形態において、水受け部材38は、スポンジであるが、これ限られない。例えば、水受け部材38は、ウールなどであってもよい。水受け部材38は、濾過槽3の底壁34に設けられた突起341上に配置されている。
【0055】
水受け面381は、濾過槽3の内側に向かって下方向に傾斜した面である。斯かる構成によれば、濾過槽3内に排水された水を水受け面381で受けることによって、濾過槽3の外側に水が飛び出すことを防止できる。水受け面381は、収容部4の上壁42(水槽2の底壁24)と接触していることが好ましい。
【0056】
図5及び
図7に示すように、濾過槽3は、吐出管51の位置を制限するための第1制限部36を備えている。第1制限部36は、少なくとも前後方向及び左右方向に動かないように吐出管51の動きを制限している。本実施形態において、第1制限部36は、樹脂で形成された板部材であり、第1仕切部材351と一体形成されている。第1制限部36は、水平面に沿って配置されている。これにより、第1仕切部材351を取り外すことによって、第1制限部36によるポンプ5の制限が解除され、ポンプ5を容易に取り外すことができる。なお、第1制限部36は、第1仕切部材351と別体であってもよい。
【0057】
第1制限部36は、吐出管51の位置を制限するための制限孔361を備えている。制限孔361及び吐出管51の隙間G6は、片側0.2mm~2mmであることが好ましい。本実施形態において、隙間G6は、片側0.5mmであるが、これに限られない。
【0058】
図7に示すように、本実施形態における第1制限部36は、第1制限部36の上下側を連通する複数の第4連通孔362と、ポンプ5のケーブル(不図示)を通すための切欠部363と、を備えているが、これに限られない。
【0059】
図11は、
図7の濾過槽仕切部35を取り外した状態を示す平面図である。
図11に示すように、濾過槽3は、ポンプ5下側の動きを制限する第2制限部37を備えていることが好ましい。第2制限部37は、ポンプ5の周りを囲うように配置された複数の突起である。第2制限部37は、濾過槽3の底壁34に配置されている。
【0060】
図10に示すように、濾過槽3の前壁部31(第2前壁312)と水槽2の底壁24(収容部4の上壁42)との隙間G4は、5mm以下であることが好ましい。本実施形態において、隙間G4は、2mmであるが、これに限られない。第2前壁312は、水槽2の前壁21と実質的に面一であることが好ましい。
【0061】
第2前壁312の両側面は、収容部4への収容時において、収容部4の側壁41よりも前方に配置されている。これにより、第2前壁312の両側面を掴んで濾過槽3を引き出すことができるので、濾過槽3を引き出すための取手を省くことができる。これにより、取手を設けることによって、水槽装置1の美観が損なわれることを防止できる。
【0062】
[1]
以上より、本実施形態に係る水槽装置1は、生物を飼育するための水槽2と、水槽2の下側に配置され、水槽2内から排水された水を濾過するための濾過槽3と、濾過槽3を引き出し可能に収容する収容部4と、濾過槽3で濾過した水を水槽2に戻すためのポンプ5と、を備え、ポンプ5は、濾過槽3内に配置される、という構成である。
【0063】
斯かる構成によれば、ポンプ5を濾過槽3内に配置することにより、ポンプ5を濾過槽3と共に引き出すことができる。これにより、ポンプ5の清掃や交換が容易になり、清掃者の負担を減らすことができる。また、本実施形態に係る水槽装置1は、濾過槽を上側に引っ張り出すタイプの水槽装置と異なり、濾過槽3を引き出した際に濾過槽3内の水が外にこぼれない。さらに、ポンプ5を濾過槽3内に配置することにより、水槽装置1をコンパクトにすることができる。
【0064】
[2]
また、上記[1]に係る水槽装置1において、ポンプ5は、吐出管51を備え、濾過槽3は、吐出管51の位置を制限する第1制限部36を備える、という構成が好ましい。
【0065】
斯かる構成によれば、濾過槽3内で吐出管51の位置がずれることを抑制できる。これにより、例えば、濾過槽3の引き出し時や収容時において、吐出管51と管(本実施形態においては給水管81)との着脱を容易にすることができる。
【0066】
[3]
また、上記[1]又は[2]に係る水槽装置1は、ポンプ5から吐出された水を水槽2に戻すための給水管81を備え、給水管81は、濾過槽3を収容部4に収容した状態で吐出管51と着脱可能である、という構成が好ましい。
【0067】
斯かる構成によれば、給水管81を吐出管51から抜いた際、給水管81の中に存在する水を濾過槽3内に排出することができる。これにより、給水管81内の水が濾過槽3(水槽装置1)の外側に飛び散ることを防止することができる。
【0068】
[4]
また、上記[1]~[3]の何れか1つに係る水槽装置1は、水槽2内の水を排水可能な少なくとも1つ以上の排水管71,72を備え、吐出管51は、上面視において排水管71,72のうち1つの排水管(第2排水管72)と重なる位置に配置され、給水管81は、1つの排水管(第2排水管72)に挿通される、という構成が好ましい。
【0069】
斯かる構成によれば、第2排水管72に沿って給水管81を吐出管51に連結することができるので、給水管81とポンプ5との連結を容易にすることができる。また、第2排水管72に沿って給水管81を吐出管51から引き抜くことができるので、給水管81とポンプ5との連結の解除を容易にすることができる。その結果、給水管81とポンプ5との着脱が容易になり、濾過槽3の引き出し及び収容部4への濾過槽3の収容が容易になる。
【0070】
[5]
また、上記[1]~[4]の何れか1つに係る水槽装置1は、水槽2内の水を排水可能な排水管(第1排水管71)と、排水管(第1排水管71)から排水された水を濾過槽3内で受ける水受け面381を有する水受け部材38と、を備え、水受け面381は、濾過槽3の内側に向かって下方向に傾斜すると共に収容部4の上壁42と接触している、という構成が好ましい。
【0071】
斯かる構成によれば、水受け面381を収容部4の上壁42と接触させることにより、水受け面381に衝突した水が濾過槽3の外側に飛び出すことを防止できる。また、濾過槽3の引き出し時に第1排水管71から垂れる水を拭き取ることができ、収容部4に水がこぼれることを抑制できる。
【0072】
[6]
また、上記[1]~[5]の何れか1つに係る水槽装置1において、濾過槽3は、前方向に引き出し可能であり、濾過槽3の前壁(第2前壁312)と収容部4の上壁42との隙間G4は、5mm以下である、ことが好ましい。
【0073】
斯かる構成によれば、外部の空気が濾過槽3内に浸入することを抑制することができ、濾過槽3内の水と水槽2内の水との温度差を小さくすることができる。これにより、水槽2の底壁24に結露が生じることを抑制することができる。
【0074】
なお、水槽装置1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、水槽装置1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0075】
(A)濾過槽3の後壁33は、上部にケーブルを通すための切欠を備える、という構成であってもよい。斯かる構成によれば、濾過槽3の底壁34と水槽2の底壁24(収容部4の上壁42)との隙間G5を小さくすることができる。これにより、外部の空気が濾過槽3内に入ることをさらに抑制でき、水槽2の底壁24に結露が生じることをさらに抑制することができる。
【0076】
(B)本実施形態において、給水管81は、樹脂製の直管であるが、これに限られない。例えば、給水管81は、ホースであり、ホースは、濾過槽3の引き出し長さ分以上の余長を有する、という構成であってもよい。これにより、給水管81を引き抜くことなく濾過槽3を引き出すことができる。斯かる構成において、給水管81(ホース)は、水槽装置1(水槽2)の外側を通して配置される。
【0077】
(C)本実施形態において、排水部7は、第1排水管71と第2排水管72とを備え、給水管81は、第2排水管72に挿通される、という構成であるが、これに限られない。例えば、
図12に示すように、排水部7は、第1排水管71のみを備え、給水管81は、第3領域X6に配置される(排水管に挿通されない)、という構成であってもよい。第3領域X6は、水槽2内に設けられた水が入らない領域である。第3領域X6を区切る壁27の高さは、例えば、水槽2の周壁20の高さと同じである。
【0078】
(D)本実施形態において、水槽装置1は、1つの濾過槽3を備える、という構成であるが、これに限られない。例えば、水槽装置1は、複数の濾過槽3を備える、という構成であってもよい。斯かる構成において、複数の濾過槽3は、上下方向に配置され、ポンプ5は、最下位置の濾過槽3に配置される。
【符号の説明】
【0079】
1…水槽装置、2…水槽、20…周壁、25…水槽仕切部、251…連通孔、252…管取付部、253…切欠部、26…突起、3…濾過槽、31…前壁部、311…第1前壁、312…第2前壁、313…第1突出部、314…第2突出部、315…第2溝部、321…第1溝部、341…突起、35…濾過槽仕切部、351…第1仕切部材、351a…第1連通孔、351b…第2連通孔、351c…第3溝部、352…第2仕切部材、352a…第3連通孔、36…第1制限部、361…制限孔、362…第4連通孔、363…切欠部、37…第2制限部、38…水受け部材、381…水受け面、39…ガイド溝部、391…誘導部、4…収容部、431…嵌込溝、44…レール、5…ポンプ、51…吐出管、6…水槽蓋、61…第1板、62…第2板、63…ヒンジ部、7…排水部、71…第1排水管、72…第2排水管、73…管固定部材、8…給水部、81…給水管、82…調整部、821…ノズル、822…L字管