(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165102
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】物品取得ゲーム端末およびゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/52 20140101AFI20231108BHJP
A63F 9/30 20060101ALI20231108BHJP
A63F 13/30 20140101ALI20231108BHJP
A63F 13/213 20140101ALI20231108BHJP
A63F 13/5375 20140101ALI20231108BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20231108BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20231108BHJP
A63F 13/65 20140101ALI20231108BHJP
【FI】
A63F13/52
A63F9/30 502C
A63F13/30
A63F13/213
A63F13/5375
A63F13/69
G06T19/00 A
A63F13/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075731
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】奥野 綾香
(72)【発明者】
【氏名】木俣 孝一
(72)【発明者】
【氏名】武田 元気
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 大樹
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA09
5B050CA07
5B050EA09
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA08
(57)【要約】
【課題】 オンラインクレーンゲームにおいて新しいゲーム性を提案することにある。
【解決手段】 ユーザ端末は、クレーンゲーム装置と通信ネットワークを介して接続される。ユーザ端末は、クレーンゲーム装置から、獲得対象となる実在物品252が載置されるプレイ空間の撮像画像250を受信し、実在物品252を把持可能なクレーンに対するプレイヤからの操作を受け付ける。合成部は、プレイ空間の視認性を下げる演出画像254を撮像画像250に合成することにより、合成画像260を生成する。プレイヤに対しては、合成画像260が表示される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品取得ゲーム装置と通信ネットワークを介して接続され、
前記物品取得ゲーム装置から、獲得対象となる実在物品が載置されるプレイ空間の撮像画像を受信する受信部と、
前記実在物品を把持可能なクレーンに対するプレイヤからの操作を受け付ける操作部と、
前記プレイ空間の視認性を変化させる演出画像を前記撮像画像に合成することにより、合成画像を生成する合成部と、
前記生成された合成画像を表示させる表示部と、を備える物品取得ゲーム端末。
【請求項2】
前記合成部は、少なくとも、前記撮像画像に含まれる前記実在物品の位置に前記演出画像を合成することにより、前記合成画像から前記実在物品の所在地をプレイヤに対して隠蔽する、請求項1に記載の物品取得ゲーム端末。
【請求項3】
前記合成部は、所定の解除条件が成立したとき、前記演出画像を変化させることにより前記プレイ空間の視認性を変化させる、請求項1に記載の物品取得ゲーム端末。
【請求項4】
前記合成画像のうち、前記実在物品に対応する位置を示唆する支援情報をプレイヤに通知する支援通知部、を更に備える、請求項1に記載の物品取得ゲーム端末。
【請求項5】
前記プレイ空間には、更に、仮想物品の位置座標が設定されており、
前記クレーンが前記仮想物品の位置座標に対応する位置にて把持操作を実行したとき、前記仮想物品をプレイヤに付与する仮想物品管理部、を更に備える請求項1に記載の物品取得ゲーム端末。
【請求項6】
前記合成部は、前記仮想物品が付与または使用されたときには、前記演出画像を変化させることにより前記プレイ空間の視認性を変化させる、請求項5に記載の物品取得ゲーム端末。
【請求項7】
前記合成画像のうち、前記実在物品および前記仮想物品それぞれの位置を示唆する支援情報をプレイヤに通知する支援通知部、を更に備える、請求項5に記載の物品取得ゲーム端末。
【請求項8】
物品取得ゲーム装置と通信ネットワークを介して接続され、
前記物品取得ゲーム装置から、獲得対象となる実在物品が載置されるプレイ空間の撮像画像を受信する受信部と、
前記実在物品を把持可能なクレーンに対するプレイヤからの操作を受け付ける操作部と、
前記撮像画像を表示させる表示部と、
前記プレイ空間には仮想物品の位置座標が設定されており、前記クレーンが前記仮想物品の位置座標を対象として把持操作を実行したとき、前記仮想物品をプレイヤに付与する仮想物品管理部と、を備える物品取得ゲーム端末。
【請求項9】
物品取得ゲーム装置におけるプレイ空間の撮像画像に対して、前記プレイ空間の視認性を変化させる演出画像を合成することにより、合成画像を生成する合成部と、
プレイヤに対して、前記生成された合成画像を表示させる表示部と、
プレイヤからの操作にしたがって、前記物品取得ゲーム装置のクレーンを移動させるクレーン制御部と、を備えるゲームシステム。
【請求項10】
物品取得ゲーム装置のプレイ空間には実在物品が配置されており、
前記プレイ空間においては、更に、仮想物品の位置座標があらかじめ設定されており、
プレイヤからの操作にしたがって、前記物品取得ゲーム装置のクレーンを移動させるクレーン制御部と、
前記クレーンが前記仮想物品の位置座標を対象として把持操作を実行したとき、前記仮想物品をプレイヤに付与する仮想物品管理部と、を備えるゲームシステム。
【請求項11】
物品取得ゲーム装置から、獲得対象となる実在物品が載置されるプレイ空間の撮像画像を受信する機能と、
前記実在物品を把持可能なクレーンに対するプレイヤからの操作を受け付ける機能と、
前記プレイ空間の視認性を変化させる演出画像を前記撮像画像に合成することにより、合成画像を生成する機能と、
前記生成された合成画像を表示させる機能を発揮可能であり、前記物品取得ゲーム装置と通信ネットワークを介して接続される通信端末において実行されるゲームプログラム。
【請求項12】
物品取得ゲーム装置から、獲得対象となる実在物品が載置されるプレイ空間の撮像画像を受信する機能と、
前記実在物品を把持可能なクレーンに対するプレイヤからの操作を受け付ける機能と、
前記撮像画像を表示させる機能と、
前記プレイ空間には仮想物品の位置座標が設定されており、前記クレーンが前記仮想物品の位置座標を対象として把持操作を実行したとき、前記仮想物品をプレイヤに付与する機能を発揮可能であり、前記物品取得ゲーム装置と通信ネットワークを介して接続される通信端末において実行されるゲームプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景品等の物品を獲得する物品取得ゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのゲームセンターには、クレーンゲーム装置(物品取得ゲーム装置)が設置されている。クレーンゲーム装置の筐体内にはステージ(ゲームフィールド)が設けられ、ぬいぐるみやお菓子などの景品(物品)が載置される。プレイヤは、横方向ボタンおよび縦方向ボタンを駆使してクレーンを操作する。クレーンで景品を掴み、落下口に景品を移動できれば、プレイヤは景品を獲得できる。
【0003】
近年では、ネットキャッチャーともよばれるオンライン型のクレーンゲームが市場規模を急速に拡大させている。オンラインクレーンゲームでは、プレイヤはスマートフォンなどの通信端末から、クレーンゲーム装置を遠隔操作することにより、景品の獲得にチャレンジする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オンラインクレーンゲームは、クレーンゲーム装置の設置場所に行かなくてもクレーンゲームを楽しめるところに特徴がある。しかし、オンラインクレーンゲーム独自のゲーム性については、まだそれほどの提案がなされていないのが現状である。
【0006】
本発明は、上記背景に鑑みて完成された発明であり、その主たる目的は、オンラインクレーンゲームにおいて新しいゲーム性を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様における物品取得ゲーム端末は、物品取得ゲーム装置と通信ネットワークを介して接続される。
この端末は、物品取得ゲーム装置から、獲得対象となる実在物品が載置されるプレイ空間の撮像画像を受信する受信部と、実在物品を把持可能なクレーンに対するプレイヤからの操作を受け付ける操作部と、プレイ空間の視認性を変化させる演出画像を撮像画像に合成することにより、合成画像を生成する合成部と、生成された合成画像を表示させる表示部と、を備える。
【0008】
本発明の別の態様における物品取得ゲーム端末も、物品取得ゲーム装置と通信ネットワークを介して接続される。プレイ空間には仮想物品の位置座標が設定されている。
この端末は、物品取得ゲーム装置から、獲得対象となる実在物品が載置されるプレイ空間の撮像画像を受信する受信部と、実在物品を把持可能なクレーンに対するプレイヤからの操作を受け付ける操作部と、撮像画像を表示させる表示部と、クレーンが仮想物品の位置座標を対象として把持操作を実行したとき、仮想物品をプレイヤに付与する仮想物品管理部と、を備える。
【0009】
本発明のある態様におけるゲームシステムは、物品取得ゲーム装置におけるプレイ空間の撮像画像に対して、プレイ空間の視認性を変化させる演出画像を合成することにより、合成画像を生成する合成部と、プレイヤに対して、生成された合成画像を表示させる表示部と、プレイヤからの操作にしたがって、物品取得ゲーム装置のクレーンを移動させるクレーン制御部と、を備える。
【0010】
本発明の別の態様において、物品取得ゲーム装置のプレイ空間には実在物品が配置されており、プレイ空間においては、更に、仮想物品の位置座標があらかじめ設定されている。
ゲームシステムは、プレイヤからの操作にしたがって、物品取得ゲーム装置のクレーンを移動させるクレーン制御部と、クレーンが仮想物品の位置座標を対象として把持操作を実行したとき、仮想物品をプレイヤに付与する仮想物品管理部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オンラインクレーンゲームに特有の楽しみをプレイヤに提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ゲームシステムのハードウェア構成図である。
【
図2】クレーンゲーム装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図3】サーバおよびクレーンゲーム装置の機能ブロック図である。
【
図5】ゲームフィールドにおける物品の配置例を示す模式図である。
【
図7】クレーンゲーム装置からユーザ端末に送信される撮像画像を示す図である。
【
図13】遊戯画像撮像装置における撮像画像を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、ゲームシステム100のハードウェア構成図である。
ゲームシステム100においては、サーバ102に対して、複数のクレーンゲーム装置104a、104b・・・104n(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「クレーンゲーム装置104」と総称する)と、物品取得ゲーム端末としてのユーザ端末110a・・・110m(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「ユーザ端末110」と総称する)がインターネット106を介して接続される。
【0014】
本実施形態におけるユーザ端末110(通信端末)は、スマートフォンを想定している。ユーザ端末110は、タブレット端末やラップトップPCであってもよい。ユーザ端末110とインターネット106は無線接続されるが、有線接続されてもよい。ユーザ端末110には、専用のアプリケーション(以下、「CS(Crane Service)ソフトウェア」とよぶ)がインストールされている。
【0015】
クレーンゲーム装置104は、遊園地やゲームセンターなどの遊戯施設に設置される。クレーンゲーム装置104を遠隔管理するため、遊戯施設を運営するオペレータにより使用されるタブレット端末がクレーンゲーム装置104と接続されてもよい。
【0016】
サーバ102は、クレーンゲームのための各種サービスを提供する。プレイヤは、CSソフトウェアをサーバ102からユーザ端末110にダウンロードする。このときプレイヤ登録が実行され、サーバ102はプレイヤにプレイヤIDを付与する。ユーザ端末110にもプレイヤIDが登録される。プレイヤ登録に際しては、プレイヤIDとともに、プレイヤの銀行口座番号、名前、住所など、プレイヤに関するさまざまな情報がプレイヤ情報としてサーバ102に登録される。サーバ102には、クレーンゲーム装置104を識別するゲーム機IDも登録される。
【0017】
プレイヤは、プレイヤ登録のあと、ユーザ端末110からサーバ102にアクセスする。サーバ102は、ユーザ端末110に対して複数のクレーンゲーム装置104の選択画面(後述)を表示させる。プレイヤはこの選択画面において、オンラインプレイしたいクレーンゲーム装置104を選ぶ。以後は、クレーンゲーム装置104に設置されるカメラからプレイ空間の撮像画像がユーザ端末110に送信され、プレイヤはユーザ端末110の画面を見ながら操作入力を行う。クレーンゲーム装置104は、プレイヤからの操作入力にしたがってクレーンゲームを実行する。
【0018】
選択画面において選ばれたクレーンゲーム装置104がすでに他のプレイヤによりプレイされているときには、サーバ102は予約管理を行う。プレイヤは自分より前に予約したプレイヤがいなくなれば、すなわち自分の順番になったとき、クレーンゲームをオンラインでプレイできる。また、予約中においては、他のプレイヤのプレイを見ることもできる。
【0019】
たとえば、プレイヤP1の次にプレイヤP2がクレーンゲーム装置104aを予約したとする。プレイヤP1がクレーンゲーム装置104aでオンラインクレーンゲームをプレイするときには、クレーンゲーム装置104aのプレイ空間の撮像画像は、プレイヤP1のユーザ端末110だけでなく、プレイヤP2のユーザ端末110にも送信される。
【0020】
本実施形態におけるクレーンゲーム装置104は、オンラインでもオフラインでもプレイ可能に構成される。プレイヤは、クレーンゲーム装置104の設置場所にて、クレーンゲーム装置104を直接操作することでオフラインクレーンゲーム(通常のクレーンゲーム)をプレイできる。あるいは、上述したように、プレイヤはユーザ端末110からクレーンゲーム装置104に遠隔からアクセスすることでオンラインクレーンゲームをプレイすることもできる。以下においては、オフラインとオフラインの双方に対応可能なクレーンゲーム装置104におけるオンラインプレイを想定して説明する。
【0021】
図2は、クレーンゲーム装置104の全体構成を概略的に示す図である。
クレーンゲーム装置104は、直方体形状の基台112と、基台112上に設けられた箱型の景品収容部114を備える。景品収容部114の内方にプレイ空間Sが形成され、景品載置台116(ゲームフィールド)が設けられている。景品載置台116上には、ぬいぐるみや雑貨等の景品Pが配置される。景品載置台116の上方にはクレーン118が設けられる。クレーン118は、プレイ空間Sの前後左右および上下に移動でき、景品Pを把持/解放する。
【0022】
景品収容部114は、その前面および左右側面が透明なガラス張りとされている。外部からの景品Pの視認性が考慮されたものである。クレーンゲーム装置104の天井面にはカメラ122が設置される。カメラ122は、景品載置台116を上方から撮像する。また、オンラインプレイのために、プレイ空間全体を斜め上方から撮像するためのカメラ122も設置される。
【0023】
クレーンゲーム装置104の立柱150にはLED(Light Emitting Diode)が配され、プレイ中に演出の一部として点灯する。景品収容部114の前面には扉124が設けられ、オペレータは景品Pを景品収容部114内に設置できる。
【0024】
景品載置台116は、第1領域126と第2領域128に区画される。それぞれの区画エリアが取り外し可能なパネルにより構成される。いずれか一方のパネルを取り外すことにより、景品Pを落下させる落下口130を形成できる。第1領域126に景品Pが載置され、第2領域128に落下口130が形成される場合、プレイヤは景品Pを第1領域126から第2領域128(落下口130)に移動できれば、景品Pを取得できる。
【0025】
基台112の内部には、落下口130から落下した景品Pを収容する景品ストック空間132が形成される。基台112の前面には、景品ストック空間132に落下した景品Pを取り出すための景品取出口134が形成される。
【0026】
基台112の前面側には操作卓136が設けられている。操作卓136にはコイン投入口138、IC(Integrated Circuit)カードリーダ140、操作部142および設定表示部144が設けられる。ゲーム開始に際し、プレイヤは、コイン投入口138にコインを投入するか、ICカードリーダ140に電子マネーがチャージされたICカードをタッチする。後者の場合、電子マネーによる支払処理が実行されるが、公知の技術であるため、その詳細については説明を省略する。
【0027】
操作部142は、プレイヤがクレーン118を移動させるための操作ボタン142a,142bを有する。操作部142は、プレイヤの操作に基づく入力信号を受け付ける「クレーン操作部」として機能する。操作ボタン142aは、クレーン118を左右方向(X方向)に移動させるボタンであり、操作ボタン142bは、クレーン118を前後方向(Y方向)に移動させるボタンである。変形例として、ジョイスティックによりクレーン118を前後左右に移動させてもよい。
【0028】
設定表示部144にはタッチパネルが設置される。設定表示部144は、オペレータからのゲームの設定情報の入力を受け付けるとともに、操作部142の操作方法やゲーム結果など、ゲームに関する情報を表示させる。クレーンゲーム装置104は、そのほかにもスピーカ(不図示)や外部接続端子等を備える。
【0029】
クレーン118は、景品Pを把持および解放可能なアーム146を有する。クレーン118はアーム146を開閉駆動するモータを含む。アーム146を開閉させることによって、景品Pを把持および解放する。
【0030】
クレーン118は、景品収容部114の上部に設置された図示略のガイドレールに沿って移動可能であり、クレーン駆動部148により駆動される。クレーン駆動部148は、クレーン118を横方向(X方向)および縦方向(Y方向)に駆動する移動機構と、上下方向(Z方向)に駆動する昇降機構を含む。移動機構は、X方向モータおよびY方向モータを含む。昇降機構は、Z方向モータを含む。クレーン駆動部148により、クレーン118をプレイ空間Sの任意の位置に移動させることができる。なお、このような駆動機構については公知であるため、その詳細な説明は省略する。
【0031】
オンラインプレイの場合には、操作卓136における各装置が使用されることはない。オンラインプレイの場合には、ユーザ端末110からの操作入力にしたがって、クレーン118が遠隔操作される。クレーン118が景品Pを掴んで落下口130に運べたときに景品Pが獲得される点はオフラインプレイと同じである。獲得された景品Pは、プレイヤの自宅に後日郵送される。
【0032】
図3は、サーバ102およびクレーンゲーム装置104の機能ブロック図である。
サーバ102およびクレーンゲーム装置104の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサ(Co-Processor)などの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
次の
図4に関連して説明するユーザ端末110の各構成要素についても同様である。
【0033】
(サーバ102)
サーバ102は、データ処理部162、データ格納部164および通信部160を含む。
通信部160は、ユーザ端末110およびクレーンゲーム装置104との通信処理を担当する。データ格納部164は各種データを格納する。データ処理部162は、通信部160により受信されたデータおよびデータ格納部164に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部162は、通信部160およびデータ格納部164のインタフェースとしても機能する。
【0034】
通信部160は、各種データを送信する送信部166と、データを受信する受信部168を含む。
【0035】
データ処理部162は、プレイヤ管理部170、検索部172およびエントリー管理部174を含む。
プレイヤ管理部170は、プレイヤごとにプレイヤ登録、プレイ履歴管理等の管理を行う。検索部172は、プレイヤから、プレイ対象となるクレーンゲーム装置104の検索を実行する。クレーンゲーム装置104の検索については
図12に関連して説明する。エントリー管理部174は、プレイヤによるクレーンゲーム装置104へのプレイの予約を管理する。
【0036】
(クレーンゲーム装置104)
クレーンゲーム装置104は、ユーザインタフェース処理部180、機構部182、データ処理部186、通信部184およびデータ格納部188を含む。
ユーザインタフェース処理部180は、各種の入力デバイスを介してプレイヤからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。機構部182は、クレーン118や景品ストック空間132等の各種機構を駆動する。通信部184は、ユーザ端末110およびサーバ102との通信処理を担当する。データ格納部188は各種データを格納する。データ処理部186は、ユーザインタフェース処理部180から入力されたデータ、通信部184により受信されたデータおよびデータ格納部188に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部186は、機構部182、ユーザインタフェース処理部180、通信部184およびデータ格納部188のインタフェースとしても機能する。
【0037】
ユーザインタフェース処理部180は、プレイヤからの入力を受け付ける入力部152と、プレイヤに対して画像や音声等の各種情報を出力する出力部190を含む。入力部152は操作部142(
図2参照)に対応する。出力部190は、設定表示部144等への画像表示も実行する。
【0038】
通信部184は、サーバ102等に各種データを送信する送信部194と、データを受信する受信部196を含む。
【0039】
機構部182は、クレーン駆動部148およびカメラ122(撮像部)を含む。上述したように、クレーンゲーム装置104に設置されるカメラ122は、景品載置台116(ゲームフィールド)を撮像する。この撮像画像により、景品の配置や移動経過を把握できる。また、撮像画像は、送信部194によりユーザ端末110にライブビュー画像として送信される。クレーン駆動部148により、クレーン118の移動、把持・解放が実行されることは上述の通りである。
【0040】
データ処理部186は、クレーン制御部154、移動判定部156、物品検出部230および視界管理部158を含む。
クレーン制御部154は、オフラインクレーンゲームのときには、操作部142による操作指示にしたがって、クレーン駆動部148に移動・把持・解放を指示する。オンラインクレーンゲームのときには、クレーン制御部154は、ユーザ端末110から受信する操作指示にしたがってクレーン駆動部148に動作方法を指示する。移動判定部156は、景品Pが落下口130に落下したか、いいかえれば、クレーンゲームの成否を判定する。
【0041】
物品検出部230は、カメラ122による景品載置台116の撮像画像を画像認識することにより、景品Pの位置を検出する。視界管理部158は、オンラインクレーンゲームのとき、プレイヤによる物品の位置を確認しやすさである視認性を管理する。視認性の管理については
図8以降に関連して詳述する。
【0042】
データ格納部188は、クレーンゲームのゲームプログラムのほか、設定およびゲームのプレイ結果などの使用状態に関する情報を格納する。
【0043】
図4は、ユーザ端末110の機能ブロック図である。
ユーザ端末110は、ユーザインタフェース処理部200、通信部202、データ処理部204およびデータ格納部206を含む。
ユーザインタフェース処理部200は、タッチパネル等の入力デバイスを介してプレイヤからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。通信部202は、サーバ102、クレーンゲーム装置104との通信処理を担当する。データ格納部206は各種データを格納する。データ処理部204は、ユーザインタフェース処理部200からの入力、通信部202の受信データおよびデータ格納部206に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部204は、通信部202、ユーザインタフェース処理部200およびデータ格納部206のインタフェースとしても機能する。
【0044】
ユーザインタフェース処理部200は、入力部208および出力部212を含む。
入力部208は、プレイヤからの各種入力を受け付ける。入力部208は、操作部210を含む。CSソフトウェアは、クレーン118をX方向およびY方向に移動させるための操作ボタンと、クレーン118をZ方向に下降させて把持動作をさせるための操作ボタンを画面表示させる。操作部210は、これらの操作ボタンに対するプレイヤからの操作を受け付ける。
【0045】
出力部212は、プレイヤに対して各種情報を出力する。出力部212は、表示部214と支援通知部216を含む。表示部214は、ユーザ端末110の画面に、クレーンゲーム装置104から送信される撮像画像から生成される後述の合成画像を表示させる。支援通知部216は、プレイヤの景品獲得を支援するための支援情報を出力する。支援情報の詳細は後述する。
【0046】
通信部202は、サーバ102等に各種データを送信する送信部218と、データを受信する受信部220を含む。送信部218は、プレイヤによる操作入力を、サーバ102を経由してクレーンゲーム装置104に送信する。クレーンゲーム装置104は、ユーザ端末110における操作入力にしたがってクレーン118を制御する。また、クレーンゲーム装置104は、カメラ122によるプレイ空間の撮像画像を、サーバ102を経由してユーザ端末110に送信する。
【0047】
データ処理部204は、合成部222と仮想物品管理部224を含む。
合成部222は、撮像画像に後述の演出画像を重畳することにより、合成画像を生成する。仮想物品管理部224は、後述の仮想物品を管理する。
【0048】
図5は、ゲームフィールドにおける物品の配置例を示す模式図である。
本実施形態における景品(物品)には、
図2に示したように物理的に存在する物品(以下、「実在物品252」とよぶ)と、物理的には存在しないデジタル情報としての物品(以下、「仮想物品276」とよぶ)の2種類が存在する。以下、実在物品252と仮想物品276を区別しないとき、あるいは、まとめていうときには単に「物品」とよぶ。物品は物品ID(以下、「GID」と表記する)により識別される。
【0049】
GID=R01の物品は実在物品252である(以下、「実在物品252(R01)」のように表記する)。カメラ122は景品載置台116を撮像する。物品検出部230は撮像画像を対象とする画像認識処理により、実在物品(R01)の位置座標を特定する。実在物品252(R01)の位置座標は(x1、y1)であるとする。物品(V01)~物品(V03)は仮想物品276である。仮想物品276にはあらかじめ位置座標が設定される。たとえば、仮想物品(V01)の位置座標は(x2、y2)であるとする。
【0050】
仮想物品276とは、たとえば、クレーンゲームをもう1回プレイできる権利を示すチケットなどのデジタルコンテンツであるが、詳細については後述する。
【0051】
点Cは、クレーン118の直下点を示す。点Cを中心とする半径K以内の範囲がレーダー範囲232である。レーダー範囲232についても後述する。本実施形態においては、プレイヤは、景品載置台116(ゲームフィールド)上に配置された実在物品252だけでなく、仮想物品276の獲得も目的として、オンラインクレーンゲームをプレイする。
【0052】
図6は、物品配置情報240のデータ構造図である。
物品配置情報240は、クレーンゲーム装置104のデータ格納部188に保存される。物品配置情報240は、実在物品252および仮想物品276のタイプ(種別)および位置座標を示す。上述したように実在物品252(R01)は、ゲームフィールド上の位置(x1、y1)に置かれる。実在物品252(R01)は人形のぬいぐるみである。
【0053】
仮想物品276(V01)は位置(x2、y2)に設定される「クリーナー」である。詳細は後述するが、本実施形態におけるオンラインのクレーンゲームにおいては物品が砂漠に埋まっているかのような演出がなされる。クリーナーはこの砂漠を吹き飛ばすアイテムである。仮想物品276(V02)は「チケット」である。プレイヤはチケットを手に入れると、もう1回、クレーンゲームに挑戦できる。仮想物品276(V03)は「ハズレ券」である。プレイヤは仮想物品276(V03)を手に入れても、利益を得ることはできない。
【0054】
図7は、クレーンゲーム装置104からユーザ端末110に送信される撮像画像250を示す図である。
クレーンゲーム装置104の正面上方のカメラ122から、景品載置台116(ゲームフィールド)が動画撮像される。クレーンゲーム装置104の送信部194は、このカメラによる撮像画像250をユーザ端末110にストリーミング送信する。
図7に示す撮像画像250には、クレーン118、アーム146、景品載置台116および実在物品252(R01)としての景品が映っている。ユーザ端末110の合成部222は、この撮像画像250に後述の演出画像を重畳することで合成画像を生成する。
【0055】
図8は、合成画像260の第1例を示す画面図である。
合成部222は、撮像画像250に対して、あらかじめ用意されている演出画像254を重ねることで合成画像260を生成する。演出画像254のひとつは、砂漠を示すコンピュータグラフィックス画像(以下、「砂漠画像」とよぶ)である。合成部222は、撮像画像250のうち、景品載置台116に対応する領域を検出し、景品載置台116が完全に覆われるように砂漠画像(演出画像254)を重ねる。このため、合成画像260からは実在物品252(R01)が隠される。オンラインプレイ時においては、プレイヤに対しては撮像画像250ではなく、合成画像260が表示されるので、プレイヤは実在物品252がどこにあるのかを知ることができない。
【0056】
合成部222は、撮像画像250からクレーン118に対応する画像領域を検出し、UFO(Unidentified Flying Object)を示す演出画像254(以下、「UFO画像272」とよぶ)を重ねる。UFO画像272は演出画像254の一種である。UFO画像272により、プレイヤにはクレーン118ではなく、アーム146を有するUFOを操作しているように見える。クレーン118の直下にあたる位置には、クレーン118(UFO)の直下点を示すための機影画像266が表示される。機影画像266の中心が直下点C(
図5参照)に対応する。
【0057】
プレイヤは、合成画像260を見ただけでは、実在物品252も仮想物品276もどこにあるのかわからない。そこで、合成部222はプレイヤに各物品の所在地についてヒントを与える宇宙人270を登場させる。宇宙人270は砂漠の上を動き回り、物品の所在地のそばで「ココ、ココ」「モットミギ」「モットムコウガワ」「ココジャナイカナァ」「ココニハナサソウダネ」などさまざまなヒントとなる言葉を発言する。宇宙人270によるヒントは、上述した支援情報の一種である。支援通知部216は宇宙人270のセリフを音声で出力してもよいし、
図8に示すように吹き出しとして表示してもよい。
【0058】
宇宙人270による支援情報(ヒント)は、確定的なものもあれば、曖昧なものもある。また、正しい情報もあればウソの情報もある。支援通知部216はこれらの支援情報をランダムに選びながらプレイヤを物品に導く。より具体的には、合成部222は、物品配置情報240を参照し、ヒントを与える対象となる物品をランダムに1つ選ぶ。このときの実在物品252の選択確率は仮想物品276の選択確率よりも高く設定される。また、合成部222は、所定の選択確率にて、いずれの物品も埋まっていない場所を目的地として選ぶ。たとえば、合成部222は、実在物品252(R01)の所在地点を50(%)、仮想物品276(V01)~仮想物品276(V03)の所在地点をそれぞれ15(%)の確率で選び、残りの5(%)の確率でいずれの物品も存在しない地点を目的地として選ぶ。
【0059】
次に、合成部222は宇宙人270を目的地に移動させる。支援通知部216は、目的地に到着した宇宙人270のセリフをあらかじめ用意された複数のセリフから選択する。たとえば、宇宙人270は仮想物品276(V01)の隠れている場所で「ココジャナイカナァ」などのヒントを与える。
【0060】
クレーン118、より厳密には、クレーン118に対応する直下点Cのxy座標がいずれかの物品の位置座標に近づくと、支援通知部216は音声(以下、「近接音」とよぶ)を出力する。近接音はブザー音でもよいし、音楽でもよい。たとえば、物品の位置座標とクレーン118の直下点Cとの距離がR(>K)以内となったとき、支援通知部216は近接音を出力する。クレーン118が物品に近づくほど、支援通知部216は近接音を大きくする。近接音も支援情報の一種である。支援通知部216は近接音の音量を大きくするのではなく、距離に応じて近接音の音色あるいはテンポを変更してもよい。また、クレーン118が仮想物品276に近づいているときの近接音と、実在物品252に近づいているときの近接音を異なる種類としてもよい。
【0061】
クレーン118の周辺であるレーダー範囲232(
図5参照)にいずれかの物品が存在するとき、いいかえれば、物品と直下点Cの距離がK以内となったとき、支援通知部216はゲーム画面の右下にレーダー画面262を表示させる。レーダー画面262にはレーダー範囲232を示す円と、物品の所在地点を示す輝点264が表示される。この輝点264も支援情報の一種である。プレイヤは、クレーン118と輝点264が重なるようにクレーン118を慎重に操作する。
【0062】
このように、撮像画像250に演出画像254を重畳することで合成画像260を生成し、支援情報をプレイヤに与えることにより、砂漠で宝探しをするような特有のゲーム性が実現される。
【0063】
図9は、合成画像260の第2例を示す画面図である。
プレイヤは、各種の支援情報を頼りにクレーン118の降下点を決める。プレイヤが、クレーン118を停止させ、ユーザ端末110に表示される降下ボタン(不図示)をタッチすると、クレーン118は下降する。これにともなって、合成部222は、UFO画像272が砂漠に着陸し、砂煙274が舞い上がるような演出を実行する。
【0064】
図10は、合成画像260の第3例を示す画面図である。
アーム146が実在物品252(R01)を掴んで持ち上げるとき、合成部222はUFOによって実在物品252(R01)が攫われるかのような演出を実行する。本実施形態におけるクレーンゲーム装置104においては、オフラインクレーンゲームに比べてオンラインプレイ時におけるアーム146の把持力は強めに設定されているため、アーム146が実在物品252を掴むことができれば比較的容易に実在物品252を獲得できる。
【0065】
クレーン118が実在物品252を吊り上げたあとは、クレーン118は自動的に落下口130まで実在物品252を運ぶ。取得された実在物品252は、プレイヤの自宅に後日郵送される。
【0066】
また、クレーン118の直下点Cの位置座標(xy座標)と、仮想物品276の位置座標(xy座標)との距離が所定閾値以内であるときにクレーン118を降下させたときには、プレイヤは仮想物品276を取得できる。このときにも、仮想物品276がUFOに吊り上げられるような演出が実行される。仮想物品276は吊り上げることさえできれば獲得とみなされる。
【0067】
たとえば、仮想物品276がチケットであれば、仮想物品管理部224はプレイヤにもう1回プレイする権利を付与する。仮想物品276(チケット)が獲得されたとき、仮想物品管理部224はサーバ102にプレイヤIDとともにチケット獲得を通知し、サーバ102のプレイヤ管理部170はプレイヤIDとチケットを対応づけて登録する。他の仮想物品276についても同様であり、プレイヤ管理部170はプレイヤがどのような仮想物品276(アイテム)を保有しているかを管理する。
【0068】
図11は、合成画像260の第4例を示す画面図である。
砂漠にはあらかじめ深度が設定されている。本実施形態における砂漠には、深い方から下層、中層、上層の3層が設定される。各物品は下層に埋まっているという想定になっている。
【0069】
あるプレイヤがクレーン118をいずれかの地点に降下させたとき、視界管理部158はこの砂漠を2層構造(下層と中層)に設定変更する。すなわち、クレーン118の降下にともなって砂漠の上層が除去される。以下、クレーン118により砂漠の深さが減るための条件を「解除条件」よぶ。視界管理部158は砂漠の層数を管理する。砂漠が2層構造のときには、合成部222は上層を削除した砂漠画像(演出画像254)、いいかえれば、少し浅くなった砂漠画像に変更する。
【0070】
砂漠が2層であるときに、更に、いずれかのプレイヤがクレーン118を降下させたとき、視界管理部158は砂漠を1層構造(下層)に設定変更する。視界管理部158は、ユーザ端末110に対して砂漠の層数を通知する。1層のときには、合成部222は上層と中層を削除した更に薄い砂漠画像に変更する。
【0071】
下層のみ砂漠画像となったとき、物品の一部が露出するような合成画像260となる。
図11は、下層のみの砂漠画像に対応する演出画像254を撮像画像250に合成したときの合成画像260である。多数のプレイヤがオンラインクレーンゲームに挑戦するほど、後で挑戦するプレイヤは物品を探しやすくなるので有利となる。
【0072】
合成部222は、クレーン118の降下点付近のみ砂漠が掘り起こされた状態を示す合成画像260を表示させてもよい。たとえば、クレーン118が位置(x5、y5)に着地したとする。このとき、合成部222は位置(x5、y5)から半径Lの範囲だけ上層が削除された砂漠画像(演出画像254)を撮像画像250に重畳してもよい。
【0073】
仮想物品276が露出した場合には、プレイヤは仮想物品276の位置にクレーン118を合わせさえすれば簡単に仮想物品を取得できる。一方、実在物品252は、砂漠から露出したとしても簡単に取得できるとは限らない。クレーン118を実在物品252の近くに降ろすことができたとしても、実在物品252の傾き方とアーム146との位置関係により、アーム146が実在物品252を確実に掴めるとはかぎらないためである。
【0074】
上述したように、プレイヤが仮想物品276の一種であるクリーナーを保有しているときには、プレイヤはクリーナーを使用できる。サーバ102は、ユーザ端末110に対して保有している仮想物品276のリストをあらかじめ提供しておく。プレイヤはユーザ端末110において保有中のクリーナーの使用を指示する。このとき、合成部222は合成画像260から砂漠の一部を除去する。たとえば、砂漠が3層構造であるときにクリーナーが使用されたときには、合成部222は2層に対応する砂漠画像に変更する。このとき、送信部218はサーバ102を経由してクレーンゲーム装置104にクリーナーの使用を通知し、視界管理部158は砂漠の深度を「2層(下層と上層)」に変更する。あるいは、クリーナーが使用されたときには、合成部222は砂漠画像を完全に除去するとしてもよい。
【0075】
視界管理部158は、定期的に、砂漠を回復させる。たとえば、視界管理部158は、砂漠の上層が削除されて2層化されてから所定時間経過したときには、砂漠を3層に戻す。このとき、クレーンゲーム装置104は、サーバ102を経由して、ユーザ端末110に3層化を通知する。ユーザ端末110の合成部222は、この3層化の通知を受けたとき、2層に対応する砂漠画像を3層に対応する砂漠画像に変更する。このような制御方法によれば、解除条件が成立するごとにプレイ空間の視認性が高まるとともに、しばらくすると砂漠が自然に埋め戻されていくことで視認性を低下させるという演出が可能となる。
【0076】
上述したように、クレーン118が降下したときに解除条件が成立するとしてもよいし、クレーン118が降下しても物品を獲得できなかったときに解除条件が成立するとしてもよい。
【0077】
図12は、選択画面280の画面図である。
プレイヤは、オンラインクレーンゲームをプレイするときには、ユーザ端末110からサーバ102にアクセスする。このとき、サーバ102のエントリー管理部174は、
図12に示す選択画面280をユーザ端末110に表示させる。選択画面280においては、プレイヤはプレイ対象となるクレーンゲーム装置104を選択する。
【0078】
プレイヤは、お気に入り欄282に好きなキャラクタの名前を入力する。
図12においては「クマ」が指定される。サーバ102のデータ格納部164には、あらかじめゲーム機IDと、クレーンゲーム装置104が格納する実在物品252の種類を対応づける情報が格納されている。検索部172は「クマ」を実在物品252として格納するクレーンゲーム装置104を検索し、選択画面280に一覧表示させる。
【0079】
選択ボタン284は、「クマ」を実在物品252として格納するクレーンゲーム装置104に対応するボタンである。プレイヤはいずれかの選択ボタン284を選択すると、選択されたクレーンゲーム装置104とユーザ端末110を接続できる。以後においては、サーバ102は、クレーンゲーム装置104とユーザ端末110のデータ送受を中継する。このとき、プレイヤはクレーンゲーム装置104が指定する量のポイントを消費する。ここでいうポイントとは、ゲームをプレイするための通貨として機能するデジタルデータである。
【0080】
<総括>
以上、実施形態にもとづいてゲームシステム100を説明した。
プレイヤは実際のプレイ空間を示す撮像画像250に演出画像254が重ねられた人工現実感のような合成画像260にて、オンラインクレーンゲームを楽しむことができる。演出画像254により物品の視認性が妨げられるので、物品を上手に掴むという従来のゲーム性に加えて、物品がどこにあるかを探し出すという新たなゲーム性も提供できる。
【0081】
プレイヤがクレーン118を降下させると解除条件が成立し、合成部222は砂漠画像(演出画像254)を変化させることで、プレイ空間の視認性を向上させる。したがって、多数のプレイヤがオンラインクレーンゲームをプレイするほど、物品獲得に対する期待感を高めることができる。また、宇宙人270などがさまざまな支援情報を提供することにより、物品探しを盛り上げることができる。
【0082】
宇宙人270は、明快なヒントを与えないこともある。あるいは、宇宙人270の与えるヒントが正しくない可能性もある。プレイヤは、宇宙人270のヒントを信じるべきかどうかという特有の心理を楽しむことができる。また、運営者は、宇宙人270の登場数や、宇宙人270が提供するヒント(支援情報)の正確性により、オンラインクレーンゲームの難易度を調整することができる。
【0083】
本実施形態においては、実在物品252に加えて仮想物品276も獲得対象となる。プレイヤは実在物品252以外にも特典としての仮想物品276を獲得できるので、クレーンゲームの成功に対するプレイヤの期待感を、オフラインクレーンゲーム以上に高めることができる。たとえば、実在物品252を取得できなくても、クリーナーやチケットなどの仮想物品276を取得できれば、プレイヤの再チャレンジ意欲を喚起できる。その一方、仮想物品276にはハズレもあるので、宝探しの面白さだけでなく、くじ引きの面白さも提供できる。
【0084】
本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0085】
複数のクレーンゲーム装置104、複数のユーザ端末110およびサーバ102を含むことによりゲームシステム100が構成されるとして説明したが、クレーンゲーム装置104またはユーザ端末110の機能の一部はサーバ102により実現されてもよいし、サーバ102の機能の一部がユーザ端末110またはクレーンゲーム装置104に割り当てられてもよい。また、クレーンゲーム装置104、ユーザ端末110やサーバ102以外の第3の装置が、サーバ102、クレーンゲーム装置104またはユーザ端末110の機能の一部を担ってもよい。
図3、
図4において説明したクレーンゲーム装置104およびユーザ端末110の各機能とサーバ102の各機能の集合体は大局的には1つの「情報処理装置」として把握することも可能である。1つまたは複数のハードウェアに対して、本発明を実現するために必要な複数の機能をどのように配分するかは、各ハードウェアの処理能力やゲームシステム100に求められる仕様等に鑑みて決定されればよい。
【0086】
<変形例>
本実施形態においては、演出画像254によりゲームフィールド全域を隠すとして説明したが、演出画像254は少なくとも物品の全部または一部を隠す画像であればよい。ここでいう「隠す」とは不透明の画像により物品を完全に遮蔽することであってもよいし、半透明の画像によって物品を見えづらくすることであってもよい。
【0087】
解除条件は、任意に設定可能である。たとえば、クレーン118が降下して実在物品252または仮想物品276を把持できたときに解除条件が成立するとしてもよい。あるいは、プレイヤが追加料金を支払ったときに解除条件が成立するとしてもよい。プレイヤがクリーナーの使用を指示したときではなく、クリーナーが獲得されたときに解除条件が成立し、砂漠画像が変化するとしてもよい。
【0088】
砂漠が浅くなるほど、UFOのレーダーが反応しやすくなるとしてもよい。たとえば、支援通知部216は、砂漠が3層構成となっているときにはレーダー範囲232の半径をK1とし、2層構成となっているときにはレーダー範囲232の半径をK2(>K1)に設定してもよい。このような制御方法によれば、砂漠が浅くなるほど、レーダーにより物品を見つけやすくなる。
【0089】
物品の視認性を下げるための演出画像254は、砂漠画像に限らない。たとえば、合成部222は撮像画像の上に吹雪を示す動画像を演出画像254として重ねることにより、プレイヤの視界を妨げてもよい。クレーン118の降下あるいはクリーナーの使用などによって解除条件が成立したとき、合成部222は吹雪を穏やかにすることで視認性を高めてもよい。
【0090】
合成部222は、水を示す演出画像254により、物品が水没しているかのような演出をしてもよい。
【0091】
合成部222は、炎を示す演出画像254により、物品が火の海に隠れているかのような演出をしてもよい。落下口130に対応する領域には水たまりを示す演出画像254が重ねられてもよい。この場合には、合成部222は、クレーン118により物品が炎の中から吊り上げられて、クレーン118が水たまりまで物品を運ぶような演出を実行してもよい。
【0092】
ユーザ端末110において撮像画像250を表示させ、物品の視認性を下げる演出画像254は表示させないとしてもよい。合成部222は、撮像画像250に仮想物品276に対応する演出画像254のみを合成してもよい。この場合、プレイヤは、実在物品252と仮想物品276が混在するプレイ空間を対象としてオンラインクレーンゲームを楽しむことができる。プレイヤは、ゲームフィールドに散在する実在物品252と仮想物品276を確認しながら、どの物品を獲得対象とするべきかを選んでクレーンゲームをプレイする。
【0093】
プレイヤ管理部170は、ポイントが所定数、たとえば、50ポイントが溜まったときにオンラインクレーンゲームを1回プレイできるように設定してもよい。プレイヤ管理部170は、プレイヤがオンラインクレーンゲームをプレイするごとに、プレイヤに1ポイントを付与する。また、仮想物品管理部224は、仮想物品276の一種としてプレイヤにポイントを付与してもよい。
【0094】
変形例として、たとえば、仮想物品276に「メガホン」を含めてもよい。プレイヤが仮想物品276「メガホン」を使用すると、支援通知部216は宇宙人270の数を増加させる。上述したように宇宙人270が提供する支援情報には曖昧さがある。したがって、宇宙人270が増えるほど支援情報が豊富になるのでプレイヤは物品を探しやすくなる。
【0095】
仮想物品276としては、このほかにも、アーム146の把持力を強化するアイテム、ゲームフィールドに登場する仮想物品276の数あるいは種類を増やすアイテム、ゲームフィールドを物理的に傾斜させるアイテム、UFO画像などの演出画像254を変化させるアイテムなどが考えられる。
【0096】
プレイヤは、追加料金を支払うことでクリーナーなどのアイテムを手に入れ、プレイ空間の視認性を向上させることができるとしてもよい。
【0097】
本実施形態においては、プレイヤがお気に入り欄282にキャラクタを入力すると、指定されたキャラクタに対応するクレーンゲーム装置104が検索されるとして説明した。このほかにもたとえばプレイヤがキャラクタXを格納するクレーンゲーム装置104をよくプレイしているときには、プレイヤ管理部170はキャラクタXをこのプレイヤのお気に入りとして登録してもよい。サーバ102は、いずれかのクレーンゲーム装置104においてキャラクタXが投入されたときには、キャラクタXをお気に入りとしているプレイヤに新着通知を送信してもよい。また、カメラ122による画像認識により、落下口130と実在物品252の距離が近く、かつ、この実在物品252がキャラクタXであるとき、キャラクタXをお気に入りとするプレイヤに獲得のチャンスがあることを通知してもよい。
【0098】
仮想物品管理部224の機能は、ユーザ端末110ではなくクレーンゲーム装置104またはサーバ102により実現されてもよい。同様にして、合成部222の機能はサーバ102により実現されてもよい。
【0099】
本実施形態においては、演出画像254により視認性を下げておき、解除条件が成立するときに視認性が向上するとして説明した。変形例として、解除条件が成立するごとに演出画像254により視認性を低下させるとしてもよい。演出画像254は、視認性の低下するときにアーム146の把持力を強くすることで難易度を調整してもよい。
【0100】
サーバ102またはクレーンゲーム装置104に合成部222の機能をもたせる場合には、ユーザ端末110にCSソフトウェアを導入しなくてもよい。ユーザ端末110は、ウェブブラウザを介してサーバ102等にアクセスし、クレーンゲーム装置104はウェブブラウザを通して撮像画像250をストリーミング送信してもよい。
【0101】
図13は、遊戯画像撮像装置における撮像画像290を示す模式図である。
いわゆるプリクラ(登録商標)とよばれる遊戯画像撮像装置と、クレーンゲームの連携も考えられる。プレイヤは、クレーンゲームにおいてキャラクタC1に対応するぬいぐるみなどの実在物品252を取得したとする。プレイヤは、実在物品252(キャラクタC1)を持ち込んで遊戯画像撮像装置で撮像を行う。
【0102】
遊戯画像撮像装置は、画像認識により実在物品252を検出し、キャラクタC1を特定する。このとき、遊戯画像撮像装置は、プレイヤ画像292のとなりに、キャラクタC1に対応するキャラクタ画像294を撮像画像290に重ねて表示させる。このような制御方法によれば、クレーンゲームを楽しんだプレイヤが、遊戯画像撮像も楽しむように誘導できる。
【0103】
また、プレイヤは実在物品252を持ち込んで撮像するときに、撮像前のライブビュー画像にキャラクタ画像294が映り込むので、プレイヤに新鮮な驚きを与えることができる。実在物品252の種類あるいは実在物品252の持ち方に応じて、遊戯画像撮像装置はキャラクタ画像294のポーズを変化させてもよい。たとえば、遊戯画像撮像装置は、キャラクタC1に対応する実在物品252aと、キャラクタC1に対応する別の実在物品252bでは、キャラクタ画像294のポーズが異なるように制御してもよい。あるいは、プレイヤがキャラクタC1に対応する実在物品252aを胸に抱えているときと、頭の上に持ち上げているときで、遊戯画像撮像装置は、キャラクタ画像294のポーズが異なるように制御してもよい。
【0104】
ポーズのほかにも、実在物品252を揺らすと音楽が流れる、などさまざまな演出方法が考えられる。
【0105】
なお、実在物品252はクレーンゲームにより取得された景品である必要はない。たとえば、遊戯画像撮像装置においては、プレイヤが店舗で購買した実在物品252であっても、その実在物品252に対応するキャラクタ画像294を撮像画像290に表示させてもよい。
【符号の説明】
【0106】
100 ゲームシステム、102 サーバ、104 クレーンゲーム装置、106 インターネット、110 ユーザ端末、112 基台、114 景品収容部、116 景品載置台、118 クレーン、120 モニタ、122 カメラ、124 扉、126 第1領域、128 第2領域、130 落下口、132 景品ストック空間、134 景品取出口、136 操作卓、138 コイン投入口、140 ICカードリーダ、142 操作部、142a 操作ボタン、142b 操作ボタン、144 設定表示部、146 アーム、148 クレーン駆動部、150 立柱、152 入力部、154 クレーン制御部、156 移動判定部、158 視界管理部、160 通信部、162 データ処理部、164 データ格納部、166 送信部、168 受信部、170 プレイヤ管理部、172 検索部、174 エントリー管理部、180 ユーザインタフェース処理部、182 機構部、184 通信部、186 データ処理部、188 データ格納部、190 出力部、194 送信部、196 受信部、200 ユーザインタフェース処理部、202 通信部、204 データ処理部、206 データ格納部、208 入力部、210 操作部、212 出力部、214 表示部、216 支援通知部、218 送信部、220 受信部、222 合成部、224 仮想物品管理部、230 物品検出部、232 レーダー範囲、240 物品配置情報、250 撮像画像、252 実在物品、252a 実在物品、252b 実在物品、254 演出画像、260 合成画像、262 レーダー画面、264 輝点、266 機影画像、270 宇宙人、272 UFO画像、274 砂煙、276 仮想物品、280 選択画面、282 お気に入り欄、284 選択ボタン、290 撮像画像、292 プレイヤ画像、294 キャラクタ画像