(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165104
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】ブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造物
(51)【国際特許分類】
E04C 1/39 20060101AFI20231108BHJP
E04B 2/02 20060101ALI20231108BHJP
E04C 3/30 20060101ALI20231108BHJP
E04B 1/19 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
E04C1/39
E04B2/02 140
E04C3/30
E04B1/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075737
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】521507774
【氏名又は名称】梶川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】梶川 泰司
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA02
2E163FB32
2E163FC31
2E163FE03
(57)【要約】
【課題】トラス構造による柱状や高層な構造物を構築するのに、ブロックの積上げという概念手法を用いることができ、その結果、足場等の仮設なしに効率良く施工できる柱状・壁状もしくは高層トラス構造を提供する。
【解決手段】ブロックは、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成し、これら細長接合面を有するフレーム端部を連結してなるテトラモジュール同士を細長接合面を有するフレームの相互を接合させて連結したデルタ多面体ブロック11であり、このデルタ多面体ブロック11をテトラモジュール1の形成の細長接合面を有するフレーム3同士を重合することで組み合わせてなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックは、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成し、これら細長接合面を有するフレーム端部を連結してなるテトラモジュール同士を細長接合面を有するフレームの相互を接合させて連結したデルタ多面体ブロックであり、このデルタ多面体ブロックをテトラモジュール形成の細長接合面を有するフレーム同士を重合することで組み合わせてなることを特徴としたブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造。
【請求項2】
ブロックは、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成し、これら細長接合面を有するフレーム端部を連結してなるテトラモジュール同士を細長接合面を有するフレームの相互を接合させて連結したデルタ多面体ブロックをテトラモジュール形成の細長接合面を有するフレーム同士を重合することで2個横繋ぎにして内部に相補的な四角錐状トラス架構領域として四角錘トラスを構成したテトラモジュール4個組みブロックであり、このテトラモジュール4個組みブロックを組み合わせてなることを特徴としたブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造。
【請求項3】
デルタ多面体ブロックは、相互に連結した2個のテトラモジュールの相対向する頂上部相互を前記テトラモジュールを形成するフレームの√2倍の長さを有するフレームで連結して八面体状架構であるオクタモジュールとして形成する請求項2記載の柱状・壁状もしくは高層トラス構造。
【請求項4】
フレーム同士を重合およびブロック同士の組合せは、重合するフレーム同士を固定して行う請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造。
【請求項5】
四面体はフレーム長さを全て同じとした正四面体である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造。
【請求項6】
四面体はフレーム長さを上弦材、下弦材を形成するフレームと、上弦材、下弦材間の斜材を形成するフレームとでは長さが異なるものとした正四面体ではない変形四面体である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラス構造における柱や壁、高層建築、鉄塔などのブロック積みによる柱として、壁として、もしくは建物としての柱状・壁状もしくは高層トラス構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
トラス構造は、部材同士を三角形につなぎ合わせた構造形式であり、部材の両端がピン接合で三角形のため、外力を加えても軸力しか発生しない。
【0003】
例えば四角形に力を作用させると、四角形は力を受けて曲がってしまうが、一方、三角形は力に対して「曲がる」ではなく、「縮む」又は「伸びる」ような変形をする。「曲がる」という変形が起きる部材には、曲げモーメントが作用しているが、「縮む、伸びる」変形には軸力しか作用していない。
【0004】
同じ大きさの部材でも、曲げモーメントが作用する部材と、軸力のみ作用する部材では、後者が圧倒的に有利である。つまり、軸力のみ作用する部材は効率的な断面が選定できる。
【0005】
このようにして、トラス構造のメリットを下記に示すと、
・部材間には軸力しか作用しない。
・よって、細い部材で構造物を構成することが可能。
・大規模空間の屋根構造等にも適した構造形式である。
・軽快で細い部材で建築物を創ることができ、意匠的にも魅力がある。
ということが挙げられる。
【0006】
柱や高層建築物を立体トラスの構造で形成する例は数多くある。立体トラスとは、立体的に(三角錐や四角錘など)組まれたトラスで、大スパン構造(ドーム、体育館など)に多く適用されている。下記特許文献もその一例であり、斜材を用いた建築物の立体トラス構造である。
【特許文献1】実用新案登録第3153357号公報
【0007】
なお、下記特許文献2には立体トラス構造〔土木構造物、単位ブロック〕の単位架構となる単位モジュール〔要素ブロック〕を造り、単位モジュ一ルを相互に接合して立休トラス構造物を構築するモジュール式骨組構造が提示されている。
【特許文献2】特開平11-61707号公報
【0008】
特許文献2は単位モジュールは、四面体を細長接合面を有するフレームで形成し、これら細長接合面を有するフレームの端部を連結して四面体状架構であるテトラモジュールに組み立て、細長接合面を有するフレームの相互を細長接合面を接合させて単位モジュールであるテトラモジュール同士を相互に連結して立体トラス構造物を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
トラス構造のデメリットとしては、施工が面倒なことである。トラス構造は、上弦材、下弦材、束材、斜材という部材が必要で、部材が交錯する点は、どうしても接合部が複雑になりがちになる。
【0010】
また、トラス構造による柱状や高層な構造物を構築するのに、モジュールでの形成やブロック結合での形成を行うという概念は従来なかった。
【0011】
前記特許文献2は、テトラモジュールは正四面体によるものではなく(3つの直角二等辺三角形による四面体ではあるが正四面体ではない)、また、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成したものではない。
【0012】
特許文献2ではテトラモジュールによるコンクリートブロック(単位ブロック)の要素ブロックの4個をそれらのトラス梁相互を添設固定して全体として直方形ないし立方形になるように組み立てられることは記載があるが、この直方形ないし立方形を組み立ててトラス構造による柱状や高層な構造物を構築するという技術思想は見出すことはできない。
【0013】
本発明の目的前記従来例の不都合を解消し、トラス構造による柱状や高層な構造物を構築するのに、ブロックの積上げという概念手法を用いることができ、その結果、例えば足場等の仮設なしに効率良く施工できるブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、ブロックは、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成し、これら細長接合面を有するフレーム端部を連結してなるテトラモジュール同士を細長接合面を有するフレームの相互を接合させて連結したデルタ多面体ブロックであり、このデルタ多面体ブロックをテトラモジュール形成の細長接合面を有するフレーム同士を重合することで組み合わせてなることを要旨とするものである。
【0015】
請求項1記載の本発明によれば、レゴ(登録商標)ブロック的な積木の技術思想と、トラス構造という構造技術をドッキングさせることで、トラス構造のブロックを生み出したものであり、また、本発明で用いるデルタ多面体ブロックは水平な上面と水平な下面を有するブロックであり、積上げて高さのある構造物を形成できる。このブロックを積上げることにより、高さのある柱状トラス構造物もしくは高層トラス構造物を構築することができる。
【0016】
しかもブロックは、立体トラス構造の単位架構となるモジュールを造り、モジュールを相互に接合したものなので、簡単に形成できる。
【0017】
このモジュールもしくはブロックを立体トラス構造物を構築するように組みあわせるのに、多面体の稜線部分となるフレームを細長接合面を有する部材の細長接合面を接合させて行うことができるので、特に、モジュール以外の部材を連結部材として用いることなく、モジュールだけの組み合わせで立体トラス構造物を構築することが可能となり、プレハブ化が向上し、組立を少ない工数で簡易かつ迅速に行える。
【0018】
さらに、モジュールもしくはブロックを組み合わせるのに、多面体の稜線部分となるフレームは相互に重なり、2重となるので強度が増し、これが立体トラス構造物の斜材の部分であれば立体トラス構造物自体が堅牢なものとなる。なお、ここで多面体とは単に面が複数という意味であり、すべての面が正三角形等の同一の角度を有するもののみの面の集合を意味するものではない。
【0019】
また、各モジュールは稜線部分となるフレームを細長接合面を接合させて行うことにより、側面方向だけでなく上下方向にもモジュールを積み重ねて多層の安定トラス構造を組み立てることができる。
【0020】
トラス構造による柱状や高層な構造物を構築するものとして、ブロック積みによる構造体は、ブロック相互の接合で撓みにも強いものとなる。
【0021】
請求項2記載の本発明は、ブロックは、正四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成し、これら細長接合面を有するフレーム端部を連結してなるテトラモジュール同士を細長接合面を有するフレームの相互を接合させて連結したデルタ多面体ブロックをテトラモジュール形成の細長接合面を有するフレーム同士を重合することで2個横繋ぎにして内部に相補的な四角錐状トラス架構領域として四角錘トラスを構成したテトラモジュール4個組みブロックであり、このテトラモジュール4個組みブロックを組み合わせてなることを要旨とするものである。
【0022】
請求項2記載の本発明によれば、前記請求項1記載の発明の作用に加えて、内部に四角錘トラスを構成できるので、きわめて堅牢で安定したトラス構造となる。
【0023】
請求項3記載の本発明は、デルタ多面体ブロックは、相互に連結した2個のテトラモジュールの相対向する頂上部相互を前記テトラモジュールを形成するフレームの√2倍の長さを有するフレームで連結して八面体状架構であるオクタモジュールとして形成することを要旨とするものである。
【0024】
請求項3記載の本発明によれば、テトラモジュールを形成するフレームの√2倍の長さを有するフレーム3は、立体トラス構造物の内部に構成されるテトラモジュール自体の内部の正四面体状架構領域に対して、相補的に形成される四角錐状トラス架構領域Bの底辺面である正方形枠の角にたすき架けもしくは袈裟懸けに架け渡され、ブレース的な役割となるので、構造的強度が増すものとなる。
【0025】
請求項4記載の本発明は、フレーム同士を重合およびブロック同士の組合せは、重合するフレーム同士を固定して行うことを要旨とするものである。
【0026】
請求項4記載の本発明によれば、テトラモジュールおよびブロック同士の積み上げ接合は重合するフレーム同士をボルト・ナット止めもしくは溶接で固定して行うので、ボールジョイントによる組立と比べて、安定かつ確実な組立が可能となる。
【0027】
請求項5記載の本発明は、四面体はフレーム長さを全て同じとした正四面体であることを要旨とするものである。
【0028】
請求項5記載の本発明によれば、テトラモジュールを正四面体から形成することにより、フレーム長さを全て同じもので構成でき、部材点数を少ないものとすることができる。
【0029】
請求項6記載の本発明は、四面体はフレーム長さを上弦材、下弦材を形成するフレームと、上弦材、下弦材間の斜材を形成するフレームとでは長さが異なるものとした正四面体ではない変形四面体であることを要旨とするものである。
【0030】
請求項6記載の本発明によれば、テトラモジュールは正四面体で形成した場合に比べて、デルタ多面体ブロックの高さを高くしたり、低くしたりすることができ、特に高くする場合は積み上げるブロックの数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0031】
以上述べたように本発明の柱状・壁状もしくは高層トラス構造は、トラス構造による柱状や高層な構造物を構築するのに、ブロックの積上げという概念手法を用いることができ、その結果、例えば、足場等の仮設なしに効率良く施工できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明のブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造物で使用するデルタ多面体ブロックの斜視図である。
【
図2】デルタ多面体ブロック2個積みの斜視図である。
【
図3】本発明のブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造物の柱状トラス構造物の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図4】本発明のブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造物で使用するデルタ多面体ブロックの側面図である。
【
図5】デルタ多面体ブロック2個積みの側面図である。
【
図6】本発明のブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造物の柱状トラス構造物の第1実施形態を示す側面図である。
【
図7】本発明のブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造物で使用するテトラモジュール4個組みブロックの斜視図である。
【
図8】テトラモジュール4個組みブロックの説明図である。
【
図9】テトラモジュール4個組みブロック2個積みの接合前の斜視図である。
【
図10】テトラモジュール4個組みブロック2個積みの接合後の斜視図である。
【
図11】テトラモジュール4個組みブロック4個積みの斜視図である。
【
図12】本発明のブロック積みによる柱状・壁状もしくは高層トラス構造物の柱状トラス構造物の第2実施形態を示す側面図である。
【
図13】正四面体のテトラモジュールの斜視図である。
【
図14】正四面体のテトラモジュールの平面図である。
【
図15】本発明のブロック積みによる壁状トラス構造物の1実施形態を示す斜視図である。
【
図16】本発明のブロック積みによる壁状トラス構造物の1実施形態を示す説明図である。
【
図17】本発明のブロック積みによる高層トラス構造物の1実施形態を示す斜視図である。
【
図18】本発明のブロック積みによる高層トラス構造物の1実施形態を示す正面図である。
【
図19】本発明のブロック積みによる高層トラス構造物の積立状況を示す斜視図である。
【
図20】非正四面体のテトラモジュールの斜視図である。
【
図21】非正四面体のテトラモジュールのフレームの分解説明図である。
【
図22】非正四面体のテトラモジュールによるデルタ多面体ブロックの斜視図である。
【
図23】本発明で使用する√2オクタモジュールの斜視図である。
【
図24】本発明で使用する√2オクタモジュールの組立を示す斜視図である。
【
図25】本発明で使用する√2オクタモジュールの強度の説明図である。
【
図26】本発明で使用する√2オクタモジュールを2つ平行に組み合わせた正面方向からの斜視図である。
【
図27】発明で使用する√2オクタモジュールを2つ平行に組み合わせた背面方向からの斜視図である。
【
図28】本発明のブロック積みによる高層トラス構造物で√2オクタモジュールを用いた場合の積立状況を示す斜視図である。
【
図29】√2オクタモジュールを用いた鉄塔の例を示す斜視図である。
【
図30】√2オクタモジュールを用いた鉄塔の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。先に本発明で形成するデルタ多面体ブロックについて説明する。なお、本発明においてデルタ多面体なる用語はデルタ(三角形)による複数の面、多面体の意味であり、全ての面が正三角形である凸多面体に限定されず、正三角形ではない三角形による多面体も含むものである。
【0034】
第1のブロックとしては
図1に示すようなデルタ多面体ブロック11である。デルタ多面体ブロック多面体11が正四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレーム3で形成し、これら細長接合面を有するフレーム3の端部を連結してなるテトラモジュール1同士を細長接合面を有するフレーム3の相互を接合させて連結してなる。
【0035】
デルタ多面体ブロック11は細長接合面を有するフレーム3がハの字に並び、細長接合面が外側に向くことにより、平坦な、上面X、下面Y、側面Zからなる
ブロック体である。上面X、下面Yは水平面、側面Zは垂直面で、上面Xと下面Y、側面Z同士は、相対向している。
【0036】
テトラモジュール1は正四面体形状であり、
図13、
図14に示すように、フレーム3は図示では帯状角材である長方形細長平板であるが、正四面体状架構として組んだ時に外側に向かう面が細長接合面2であれば、種々の断面形状のものを用いることができ、平板、中空管材、H形その他の型鋼、アングル材、チャンネル材のいずれかを選択することが可能である。
【0037】
また、細長接合面2を有するフレーム3の材質も完成する立体トラス構造物の用途によって種々選択でき、鋼、アルミニュウムなどの金属、木、合成樹脂等である。海洋構造物等を対象とする場合防食性の高いチタンを使用することも可能である。
【0038】
フレーム3同士の端部の結合も直接溶接や接着するなども考えられるが、組立の容易性、運搬、保管の有利性を考慮してジョイント部材4により組み立てることとした。
【0039】
テトラモジュール1のジョイント部材4は細長接合面2を有するフレーム3により正四面体架構に組み立てる事ができるものであれば特に形状を問わないが、細長接合面2を有するフレーム3への接合片部5を3つ平面視で相互に120°の開きで展開し、これら接合片部5は天板もしくは側板6で相互に連結するものが好適である。図示の例は側板6で相互に連結した。側板6はこれがなくてもよい。
【0040】
ジョイント部材4の材質も前記フレーム3と同様であり、用途によって種々選択でき、鋼、アルミニュウムなどの金属、木、合成樹脂等である。
【0041】
なお、テトラモジュール1の相互の接合に支障をきたさないように、長方形細長接合面2の端面はジョイント部材4の天井部には覆い被さらないようにし、ジョイント部材4の天井部7は正三角形の開口面とするとか、図示のように平面視略正三角形状(六角形状)の天板とする。この天井部7の各(辺)縁に接合片部5の端部や側板6が連続的に接続している。
【0042】
前記細長接合面2を有するフレーム3とジョイント部材4との結合に関しては、ジョイント部材4の接合片部5と長方形細長接合面2の結合箇所では、双方を重ね合わせてから固定することや、細長接合面2を有するフレーム3にスリットを形成し、接合片部5をこのスリットへ差し込んで挟み込むものであり、接合片部5とフレーム3の双方の固定はボルト・ナットによる締結や溶接などによる。
【0043】
このテトラモジュール1の相互を接合し、かつ固定してデルタ多面体ブロック11を形成するには、細長接合面2を有するフレーム3の相互をフレーム3の部分で固定する行う場合と、細長接合面2を有するフレーム3同士は固定せずにジョイント部材4相互を結合して行う場合と、その両方を採用する場合とがある。
【0044】
また、細長接合面2を有するフレーム3を重ね合わせての相互をこのフレーム3の部分で固定するには、ボルト・ナットによる締結、溶接、凹凸結合、バンド等による加締めなどの手段で結合することが可能である。
【0045】
前記デルタ多面体ブロック11は平坦な、上面X、下面Y、側面Zを有するものであり、これを上下に積み重ねることができる。
図2は2段上下に積んだ状態、
図3は4段上下に積んだ状態で、
図3では柱状のトラス構造が形成される。
【0046】
デルタ多面体ロック11の1段、2段、4段の側面視を
図4、
図5,
図6に示す。
【0047】
第2のブロックとしては
図7、
図8に示すようなデルタ多面体ブロック11を横組したテトラモジュール4個組みブロック12である。
【0048】
このテトラモジュール4個組みブロック12の特徴は、デルタ多面体ブロック11の2個を組み合わせることで、テトラモジュール1同士の細長接合面2を有するフレーム3の相互を細長接合面2を接合させ、内部にテトラモジュール1の相補的(補間的)な四角錐状トラス架構領域として四角錘トラスBが構成される。
【0049】
この四角錘トラスBの形成については、4個のテトラモジュール1の組合せで実現できる、テトラモジュール1をその頂点を一箇所に集めるように4個を組み合わせた場合、テトラモジュール1の頂点が対向する面を形成する辺に該当するフレーム3の細長接合面2のうち1つは前記一点に集めるようにした頂点の集合に対してこれを囲むような正方形枠Aを構成し、ここに相補的(補間的)な四角錐トラスBが形成される。
【0050】
この相補的(補間的)な四角錐状トラス架構領域としての四角錐トラスBについてさらに説明すると、相補的(補間的)とは直接四角錐トラスを部材をもって形成するのではなく、テトラモジュール1を組む結果、テトラモジュール1の相互間で自動生成される意味であり、正四面体状架構である単位モジュールのテトラモジュール1を2個稜線部分となるフレーム3の部分で細長接合面2を接合させると、この細長接合面2が重なるフレーム3は斜材となり、一方、他のフレーム3は細長接合面2を外側に向けて水平または垂直にかつ直交方向に並ぶ。これが組み合わさると前記相補的な四角錐状トラス架構領域の四角錐トラスBの底辺面の正方形枠Aが形成される。
【0051】
ちなみに、前記相補的な四角錐状トラス架構領域Bの体積はテトラモジュール1を2つ合わせた体積と同一である。
【0052】
このように連結するテトラモジュール1が前後、左右に組まれた場合、単位モジュールの側面間に相補的な四角錐状トラス架構領域としての四角錐トラスBを形成することができ、テトラモジュールだけで安定したトラス構造を組み立てることができる。
【0053】
さらに、テトラモジュール1を組み合わせるのに、正四面体の稜線部分となるフレーム3は相互に重なり、2重となるので強度が増し、これが斜材の部分であれば立体トラス構造物の斜材が堅牢なものとなる。
【0054】
テトラモジュール4個組みブロック12は
図8に示すように、上面Xはフレーム3で形成する正方形枠A、下面Yは前記正方形枠Aに対してフレーム3で形成するクロスがその中心を前記正方形枠Aの中心に位置する十字、側面Zはフレームで形成するハの字形であり、これら上面X、下面Y、側面Zは直方体状ブロックNの面として成り立つ。
【0055】
前記デルタ多面体ブロック11と同様にこれを上下に積み重ねることができる。
図9、
図10は2段上下に積んだ状態、
図11は4段上下に積んだ状態、
図12は6段上下に積んだ状態で、このように限りなく上下に積み上げることができ、柱状のトラス構造が形成される。柱状のトラス構造はこれが構造物の柱をして形成される場合である。
【0056】
テトラモジュール4個組みブロック12は四角錘トラスBを形成する4個のテトラモジュール1の組合せを四角錘トラスBの底辺正方形枠を重ね合わせるようにすることで、内部に正八面体(オクテットトラス)を形成する。
【0057】
デルタ多面体ブロック11による柱状トラス構造、テトラモジュール4個組みブロック12による柱状トラス構造は
図15に示すように横展開することにより壁状トラス構造物として組み立てることができる。ここで壁状トラス構造物としてとは構造物の壁として形成される場合である。
【0058】
また、さらに、壁状トラス構造物を四角に組合せることにより高層トラス構造物として組み立てることができる。(
図16~
図18参照)
【0059】
高層トラス構造物は、
図19に示す環状のトラス構造物を積上げた筒状のものである。
【0060】
前記テトラモジュール1は正四面体によるものであるが、これを正四面体でない変形四面体として、デルタ多面体ブロック11の高さを高いものとしてもよい。かかるテトラモジュール1はが正四面体でない変形四面体の場合は、デルタ多面体ブロック11はいわゆるデルタ多面体(全ての面が正三角形である凸多面体)ではなく、正三角形ではない三角形の多面体となる。
【0061】
変形四面体のテトラモジュール13を
図20にテトラモジュール1の対比として示すが、四面体はフレーム長さを上弦材、下弦材を形成するフレーム13-1と、上弦材、下弦材間の斜材を形成するフレーム13-2とでは長さが異なるものとした変形四面体である。
【0062】
図21に示すように、フレーム13-1に対してフレーム13-2は長さが長いものとした。
【0063】
これにより、デルタ多面体ブロック11は平坦な、上面X、下面Y、側面Zを有するものであるが、
図1のデルタ多面体ブロック11に比べて高さの高いものとなり、かかる高さの高いデルタ多面体ブロック11を上下に積み重ねた柱状のトラス構造は階高の高いものが形成される。壁状トラス構造もしくは高層トラス構造の場合も同様である。
【0064】
なお、図示は省略するが、フレーム13-1に対してフレーム13-2は長さが短いものとして、デルタ多面体ブロック11の高さを低いものとすることもできる。
【0065】
また、テトラモジュール1の補強を行えるモジュールとして、
図23、
図24、
図25に示すように、前記テトラモジュール1をその細長接合面を有するフレームの相互を細長接合面を接合させて相互に連結した2個のテトラモジュールの相対向する頂上部相互を前記テトラモジュールを形成するフレームの√2倍の長さを有するフレーム3aで連結して八面体状架構であるオクタモジュールである。(このモジュールは以下√2オクタモジュール15と称する。)
【0066】
√2オクタモジュール15はテトラモジュール1を相互に接合する場合において、テトラモジュール1のA,Bが接合箇所の回転軸Xを中心に左右に回転する動きを生じた場合に、フレーム3aは接合する2個のテトラモジュール1同士の回転を阻止する部材となる。
【0067】
また、
図25に示すようにフレーム3aがあることでOPQRが4面体を形成することになる。
【0068】
√2オクタモジュール15同士を連結する場合もテトラモジュール1同士を連結する場合と同じく、細長接合面2を有するフレーム3の相互を細長接合面2を接合させて行うことは同一である。
【0069】
前記のように√2オクタモジュール15は2個のテトラモジュール1を√2倍の長さを有するフレーム3aで連結してなるが、この√2オクタモジュール15を構成するテトラモジュール1を2個とも接合するようにして、2個の√2オクタモジュール15を相互に接合すると、
図26、
図27に示すようにフレーム3aは、立体トラス構造物の内部に構成されるテトラモジュール1自体の内部の正四面体状架構領域に対して、相補的に形成される四角錐状トラス架構領域Bの底辺面である正方形枠Aの角にたすき架けもしくは袈裟懸けに架け渡され、フレーム3aは正方形枠Aの中に平行に並び、ブレース的な役割となる。
【0070】
図28にこの√2オクタモジュール15による環状のトラス構造物を積上げた筒状の高層トラス構造物の例を示す。
【0071】
図29、
図30に前記変形四面体のテトラモジュール13からなる相似的な複数種の√2オクタモジュール15を積上げて形成した鉄塔の例を示す。
【0072】
鉄塔は上部に積層するにつれてテトラモジュール4個組みブロック12の径が縮径するもので構成するが、前記変形四面体のテトラモジュール13を適用することも可能である。
【0073】
以上本発明の柱状・壁状もしくは高層トラス構造の構築方法については、デルタ多面体ブロック11もしくはテトラモジュール4個組みブロック12を形成し、これを積上げるものであれば特に限定はなく、これら、デルタ多面体ブロック11もしくはテトラモジュール4個組みブロック12を縦積したものを横に連結する、もしくは先に横に連結したものを縦積にするなど自由に設定できる。
【0074】
地上での構築の場合は、デルタ多面体ブロック11もしくはテトラモジュール4個組みブロック12のジャッキアップでの積上げ、クレーン等での積上げも可能であり、また、海中構造物として施工する場合は、台船上で積上げながら水中に吊下していくような構築も可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…テトラモジュール 2…細長接合面
3、3a…フレーム 4…ジョイント部材
5…接合片部 6…側板
7…天井部
11…デルタ多面体ブロック
12…テトラモジュール4個組みブロック
13…変形四面体のテトラモジュール
15…√2オクタモジュール
A…正方形枠 B…四角錐状トラス架構領域
C…正八面体状架構領域 D…正四面体状架構領域
A…正方形枠 B…四角錘トラス
X…上面 Y…下面
Z…側面 N…直方体状ブロック
R…平坦面