(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165108
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20231108BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A61B5/11 210
A61B10/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075749
(22)【出願日】2022-05-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 発行日(公開日) 令和3年11月2日 刊行物 第80回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会 Webポスター・オンライン抄録 参加者専用アドレスより公開 <資 料> 第80回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会 オンライン公開 抄録 (2) 開催日(公開日) 令和3年11月11日 集会名、開催場所 第80回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会 JPタワー ホール&カンファレンス(東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 KITTE 4、5階) <資 料> 第80回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会 開催概要・プログラム <資 料> 第80回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会 発表資料 (3) 開催日(公開日) 令和3年11月17日~令和3年12月6日 集会名、開催場所 第80回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会 参加登録者専用公開アドレスより公開 <資 料> 第80回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会 オンデマンド配信開始のお知らせ
(71)【出願人】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(71)【出願人】
【識別番号】504136993
【氏名又は名称】独立行政法人国立病院機構
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】堀井 新
(72)【発明者】
【氏名】八木 千裕
(72)【発明者】
【氏名】和佐野 浩一郎
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA05
4C038VB31
(57)【要約】
【課題】被験者のめまい疾患の可能性を判定できる判定装置、判定方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】判定装置は、被験者に視覚刺激負荷を与えた場合に被験者の荷重データを取得する取得部と、取得部が取得した荷重データに基づいて被験者の重心座標の散布データを作成する作成部と、作成部が作成した散布データに基づいて被験者のめまい疾患の可能性を判定する判定部とを備え、視覚刺激負荷は、被験者の眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示する第1視覚刺激負荷を含み、取得部は、被験者に第1視覚刺激負荷を与えた場合に被験者の第1荷重データを取得し、作成部は、取得部が取得した第1荷重データに基づいて被験者の重心座標の第1散布データを作成し、判定部は、作成部が作成した第1散布データに基づいて被験者のめまい疾患の可能性を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者に視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の荷重データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の散布データを作成する作成部と、
前記作成部が作成した前記散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する判定部と
を備え、
前記視覚刺激負荷は、前記被験者の眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示する第1視覚刺激負荷を含み、
前記取得部は、前記被験者に前記第1視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の第1荷重データを取得し、
前記作成部は、前記取得部が取得した前記第1荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の第1散布データを作成し、
前記判定部は、前記作成部が作成した前記第1散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する、判定装置。
【請求項2】
前記視覚刺激負荷は、前記被験者の眼前に所定の速度で移動する線状パターンを表示する第2視覚刺激負荷をさらに含み、
前記取得部は、前記被験者に前記第2視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の第2荷重データを取得し、
前記作成部は、前記取得部が取得した前記第2荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の第2散布データを作成し、
前記判定部は、前記作成部が作成した前記第2散布データにさらに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記視覚刺激負荷は、前記被験者の眼前に所定の速度で移動するドットパターンを表示する第3視覚刺激負荷をさらに含み、
前記取得部は、前記被験者に第3視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の第3荷重データを取得し、
前記作成部は、前記取得部が取得した前記第3荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の第3散布データを作成し、
前記判定部は、前記作成部が作成した前記第3散布データにさらに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する、請求項1又は請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記被験者の重心座標の前記散布データの外周の面積に基づいて、前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記被験者の重心座標の前記散布データの密集度に基づいて、前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記被験者の重心座標の前記散布データに基づいて前記被験者の持続性知覚性姿勢誘発めまい疾患の可能性を判定する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項7】
被験者に視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の荷重データを取得するステップと、
前記取得するステップで取得した前記荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の散布データを作成するステップと、
前記作成するステップで作成した前記散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定するステップと
を有し、
前記視覚刺激負荷は、前記被験者の眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示する第1視覚刺激負荷を含み、
前記取得するステップでは、前記被験者に前記第1視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の第1荷重データを取得し、
前記作成するステップでは、前記取得するステップで取得した前記第1荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の第1散布データを作成し、
前記判定するステップでは、前記作成するステップで作成した前記第1散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する、コンピュータが実行する判定方法。
【請求項8】
コンピュータに、
被験者に視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の荷重データを取得するステップと、
前記取得するステップで取得した前記荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の散布データを作成するステップと、
前記作成するステップで作成した前記散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定するステップと
を実行させ、
前記視覚刺激負荷は、前記被験者の眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示する第1視覚刺激負荷を含み、
前記取得するステップでは、前記被験者に前記第1視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の第1荷重データを取得させ、
前記作成するステップでは、前記取得するステップで取得した前記第1荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の第1散布データを作成させ、
前記判定するステップでは、前記作成するステップで作成した前記第1散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、判定装置、判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
持続性知覚性姿勢誘発めまい(Persistent Postural Perceptual Dizziness: PPPD)は3か月以上持続する浮遊感、不安定感、非回転性めまいを主訴とする疾患であり、症状は立位姿勢、能動的あるいは受動的な体動、動くものや複雑な視覚パターンを見たことで増悪する。何らかの前庭疾患、神経学的または内科的疾患、心理ストレスによる平衡障害に続発し、めまい症と診断される患者の中に多くのPPPD患者が含まれていると考えられている。平衡機能検査や脳画像検査において特異的な所見がなく、自覚症状に関する詳細な問診に基づき診断するが、その診断は難しい場合も少なくない。
【0003】
重心動揺計による平衡機能評価に関して、重心動揺計の実際の用い方とより整合性があり、かつ、より精度の高い精度検定手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、重心動揺計を用いた動的平衡機能検査において、動揺を定量化できる重心動揺計測システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-163915号公報
【特許文献2】特開2013-223542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)は慢性めまいの4割を占め、長期間に渡ってめまい・ふらつき症状が継続するため、罹患した患者の生活の質(Quality of Life: QoL)を著しく低下させる。本疾患に特異的な所見を示す検査がないことから、特徴的な症状に関する詳しい問診により診断を行っているが、医療者により診断が分かれることも少なくない。その結果、十分な治療が患者になされないことがあり、症状およびQoLの低下が継続し患者の不利益となっている。
重心動揺計による計測は、患者個人の平衡機能の時間経過による変化を評価することには有用であったが、PPPDをはじめ、めまいの鑑別診断には不適当であった。
【0006】
本発明の目的は、被験者のめまい疾患の可能性を判定できる判定装置、判定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、被験者に視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の荷重データを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の散布データを作成する作成部と、前記作成部が作成した前記散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する判定部とを備え、前記視覚刺激負荷は、前記被験者の眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示する第1視覚刺激負荷を含み、前記取得部は、前記被験者に前記第1視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の第1荷重データを取得し、前記作成部は、前記取得部が取得した前記第1荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の第1散布データを作成し、前記判定部は、前記作成部が作成した前記第1散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する、判定装置である。
本発明の一実施形態は、前述の判定装置において、前記視覚刺激負荷は、前記被験者の眼前に所定の速度で移動する線状パターンを表示する第2視覚刺激負荷をさらに含み、前記取得部は、前記被験者に前記第2視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の第2荷重データを取得し、前記作成部は、前記取得部が取得した前記第2荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の第2散布データを作成し、前記判定部は、前記作成部が作成した前記第2散布データにさらに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する。
本発明の一実施形態は、前述の判定装置において、前記視覚刺激負荷は、前記被験者の眼前に所定の速度で移動するドットパターンを表示する第3視覚刺激負荷をさらに含み、前記取得部は、前記被験者に第3視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の第3荷重データを取得し、前記作成部は、前記取得部が取得した前記第3荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の第3散布データを作成し、前記判定部は、前記作成部が作成した前記第3散布データにさらに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する。
本発明の一実施形態は、前述の判定装置において、前記判定部は、前記被験者の重心座標の前記散布データの外周の面積に基づいて、前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する。
本発明の一実施形態は、前述の判定装置において、前記判定部は、前記被験者の重心座標の前記散布データの密集度に基づいて、前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する。
本発明の一実施形態は、前述の判定装置において、前記判定部は、前記被験者の重心座標の前記散布データに基づいて前記被験者の持続性知覚性姿勢誘発めまい疾患の可能性を判定する。
【0008】
本発明の一実施形態は、コンピュータが実行する判定方法であって、被験者に視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の荷重データを取得するステップと、前記取得するステップで取得した前記荷重データに基づいて散布データを作成するステップと、前記作成するステップで作成した前記散布データに基づいて前記被験者の重心座標の前記被験者のめまい疾患の可能性を判定するステップとを有し、前記視覚刺激負荷は、前記被験者の眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示する第1視覚刺激負荷を含み、前記取得するステップでは、前記被験者に前記第1視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の第1荷重データを取得し、前記作成するステップでは、前記取得するステップで取得した前記第1荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の第1散布データを作成し、前記判定するステップでは、前記作成するステップで作成した前記第1散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定する、コンピュータが実行する判定方法である。
【0009】
本発明の一実施形態は、コンピュータに、被験者に視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の荷重データを取得するステップと、前記取得するステップで取得した前記荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の散布データを作成するステップと、前記作成するステップで作成した前記散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定するステップとを実行させ、前記視覚刺激負荷は、前記被験者の眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示する第1視覚刺激負荷を含み、前記取得するステップでは、前記被験者に前記第1視覚刺激負荷を与えた場合に前記被験者の第1荷重データを取得させ、前記作成するステップでは、前記取得するステップで取得した前記第1荷重データに基づいて前記被験者の重心座標の第1散布データを作成させ、前記判定するステップでは、前記作成するステップで作成した前記第1散布データに基づいて前記被験者のめまい疾患の可能性を判定させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、被験者のめまい疾患の可能性を判定できる判定装置、判定方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る判定システムの一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る判定システムの視覚刺激負荷の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る判定装置の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態の変形例1に係る判定システムの視覚刺激負荷の一例を示す図である。
【
図6】実施形態の変形例1に係る判定装置の一例を示す図である。
【
図7】実施形態の変形例1に係る判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態の変形例2に係る判定システムの視覚刺激負荷の一例を示す図である。
【
図9】実施形態の変形例2に係る判定装置の一例を示す図である。
【
図10】実施形態の変形例2に係る判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態の変形例2に係る判定システムにおける重心位置の散布データの外周の面積の導出例を示す図である。
【
図12】実施形態の変形例2に係る判定システムにおける重心位置の密集度の導出例を示す図である。
【
図13A】実施形態の変形例2に係る判定システムにおける重心位置の散布データの導出例を示す図である。
【
図13B】実施形態の変形例2に係る判定システムにおける重心位置の散布データの導出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態に係る判定装置、判定方法及びプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0013】
(実施形態)
(判定システム)
以下、本発明の実施形態に係る判定システムを、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る判定システムの一例を示す図である。
図1では、水平面をX軸方向とY軸方向とで表し、X軸方向とY軸方向とに直交する方向をZ軸方向とする。図中の矢印の方向が正方向であり、反対方向が負方向である。
本実施形態に係る判定システム1は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える。判定システム1は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データとを取得する。荷重データは、被験者SUの直立姿勢を評価するために、重心動揺計によって一定時間計測される。一定時間の一例は、30秒以上90秒未満であり、45秒以上75秒未満が好適となる。
判定システム1は、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データとの各々に基づいて、水平面上の重心位置を計算し、重心位置の散布データを作成する。判定システム1は、作成した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの重心位置の散布データと、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの重心位置の散布データとに基づいて被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
【0014】
判定システム1は、重心動揺計50と投影部70と判定装置100とを備える。
図1には、重心動揺計50と投影部70と判定装置100とに加えて、被験者SUと介助者CAと操作者OPと椅子CHとが示されている。重心動揺計50と投影部70と判定装置100と椅子CHとは検査室LAに設置される。
検査室LA内で、被験者SUは、検査が開始されるまで椅子CHに座っている。検査が開始されると、被験者SUは立ち上がり、重心動揺計50の上に乗る。被験者SUは、X軸方向のプラス側を向いて直立姿勢をとる。介助者CAは、必要に応じて検査中に被験者SUを介助する。
【0015】
被験者SUからX軸方向のプラス側に長さL1離れた位置には壁があり、その壁は投影エリアPAとされる。長さL1の一例は70cmから90cmであり、75cmから85cmが好適となる。例えば、投影エリアPAは、Y軸とZ軸とによって表される平面上に形成される。
投影エリアPAから、被験者SUとは逸れた方向に長さL3離れた位置には投影部70が設置される。長さL3の一例は175cmから225cmであり、190cmから210cmが好適となる。
【0016】
投影部70は、投影エリアPAに視覚刺激を投影する。投影部70の一例は、プロジェクタPRと、操作用コンピュータOTとを備える。操作者OPは、操作用コンピュータOTを操作することによって操作用コンピュータOTに接続されたプロジェクタPRに、Y軸方向に長さL2の視覚刺激を投影させる。長さL2の一例は80cmから100cmであり、85cmから95cmが好適となる。長さL2の一例は、被験者SUの片目の視野角を視野角θの設定し、両目Eの視野角2θの範囲に視覚刺激が含まれるように設定される。視覚刺激のZ軸方向の長さの一例は長さL2と同じである。
投影部70が、投影エリアPAに視覚刺激を投影することによって、被験者SUに視覚刺激負荷を与えることができる。
【0017】
図2は、本実施形態に係る判定システムの視覚刺激負荷の一例を示す図である。視覚刺激負荷の一例は、被験者の眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示することによって与えられる。視覚刺激の一例は、チェッカーパターンが、所定時間毎にY軸方向のプラス側又はマイナス側に移動する動画が表示されることで、所定時間毎に反転するように表示される。所定時間毎の移動の一例は、被験者SUと視覚刺激の所定の点を結んだ線と、1秒後に被験者SUと視覚刺激の所定の点とを結んだ線とのなす角度を角度Φとした場合、角度Φは3度から9度であり、4.5度から7.5度が好適となる。チェッカーパターンの一例は、二色(明色と暗色)の正方形のマスが、交互に縦に8列、横に12列並んだものである。二色の一例は、白色と黒色である。二色の色の組み合わせと正方形のマスの数とは適宜変更可能である。
図1に戻り説明を続ける。
【0018】
重心動揺計50は、被験者SUの荷重データを計測する。重心動揺計50は、一定時間所定の時間毎に被験者SUの荷重データを計測し、被験者SUの荷重データの計測結果を、判定装置100に出力する。所定の時間の一例は、25ミリ秒以上75ミリ秒未満であり、40ミリ秒以上60ミリ秒未満が好適となる。被験者SUの荷重データの計測結果には、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データとが含まれる。ここで、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの荷重データには、被験者SUに視覚刺激負荷を与えているときの被験者SUの荷重データが含まれてもよい。
【0019】
図3は、本実施形態に係る判定装置の一例を示す図である。
判定装置100は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。判定装置100は、例えば、入力部101と、取得部102と、作成部104と、判定部106と、出力部108と、記憶部110とを備える。
【0020】
入力部101は入力デバイスを備える。入力部101には、被験者SUの荷重データが入力される。例えば、入力部101には、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データが入力され、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データが入力される。
【0021】
取得部102は、入力部101に入力された被験者SUの複数の荷重データを取得する。取得部102は、取得した被験者SUの複数の荷重データを、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの荷重データについては、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。取得部102は、取得した被験者SUの複数の荷重データを、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの荷重データについては、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
【0022】
作成部104は、記憶部110から被験者SUの複数の荷重データを取得する。作成部104は、取得した被験者SUの複数の荷重データに基づいて被験者SUの複数の重心位置の散布データを作成する。
例えば、作成部104は、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを取得する。作成部104は、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データを作成する。
作成部104は、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104は、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
【0023】
判定部106は、作成部104から被験者SUの重心位置の散布データを取得する。判定部106は、取得した被験者SUの重心位置の散布データに基づいて被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。例えば、判定部106は、作成部104から、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとを取得する。
判定部106は、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とを導出する。ここで、外周の面積とは、重心位置の軌跡で定められる外周で囲まれた面積である。
判定部106は、導出した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも第1面積閾値以上増加した場合に被験者SUに持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)などのめまい疾患の可能性があると判定する。
判定部106は、導出した重心位置の散布データの外周の面積に基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第1面積閾値以上増加しない場合には被験者SUにPPPDなどのめまい疾患の可能性がないと判定する。
【0024】
出力部108は、判定部106から被験者SUのめまい疾患の可能性の判定結果を取得する。出力部108は、取得した被験者SUのめまい疾患の可能性の判定結果を出力する。例えば、出力部108は、被験者SUのめまい疾患の可能性の判定結果を音声で出力してもよいし、表示部(図示なし)に出力してもよい。
【0025】
なお、入力部101、取得部102、作成部104、判定部106および出力部108の全部または一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部110に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。
なお、入力部101、取得部102、作成部104、判定部106および出力部108の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0026】
(判定システムの動作)
図4は、本実施形態に係る判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図4を参照して、判定システム1に含まれる判定装置100の動作について説明する。
(ステップS1-1)
判定装置100の入力部101には、重心動揺計50から被験者SUの複数の荷重データが入力される。例えば、入力部101には、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データが入力され、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データが入力される。
【0027】
(ステップS2-1)
判定装置100の取得部102は、入力部101に入力された被験者SUの複数の荷重データを取得する。取得部102は、取得した被験者SUの荷重データのうち、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。取得部102は、取得した被験者SUの荷重データのうち、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
【0028】
(ステップS3-1)
判定装置100の作成部104は、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを取得する。作成部104は、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データの各々に基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データを作成する。
作成部104は、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104は、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データの各々に基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
【0029】
(ステップS4-1)
判定装置100の判定部106は、作成部104から被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとを取得する。判定部106は、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とを導出する。
【0030】
(ステップS5-1)
判定装置100の判定部106は、導出した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第1面積閾値以上面積が増加したか否かを判定する。
【0031】
(ステップS6-1)
判定装置100の判定部106は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第1面積閾値以上面積が増加したと判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する。
【0032】
(ステップS7-1)
判定装置100の判定部106は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第1面積閾値以上面積が増加しないと判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性がないと判定する。
【0033】
(ステップS8-1)
判定装置100の出力部108は、判定部106から、被験者SUにめまい疾患の可能性があるか否かの判定結果を取得する。出力部108は、取得した被験者SUのめまい疾患の可能性の判定結果を出力する。
【0034】
前述した実施形態では、視覚刺激負荷の一例として、被験者の眼前にチェッカーパターンが、所定時間毎にY軸方向のプラス側又はマイナス側に移動する動画が表示されることで、所定時間毎に反転するように表示されることによって与えられる場合について説明したがこの例に限られない。例えば、二色の正方形のマスを、交互に縦、横に複数並べたものに限らず、二色の円形又は多角形を、交互に縦、横に複数並べたものであってもよい。視覚刺激負荷の一例として、被験者の眼前にチェッカーパターンが、所定時間毎の移動で、Z軸方向のプラス側又はマイナス側に移動する動画を表示することによって与えられてもよい。
視覚刺激負荷の一例として、被験者の眼前にチェッカーパターンが、所定時間毎の移動で斜めの方向に移動する動画を表示することによって与えられてもよい。具体的には、視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定時間毎の移動でY軸方向のプラス側からZ軸方向のプラス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動するチェッカーパターンを表示することによって与えられてもよい。視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定時間毎の移動でY軸方向のマイナス側からZ軸方向のマイナス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動するチェッカーパターンを表示することによって与えられてもよい。
視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定時間毎の移動でY軸方向のマイナス側からZ軸方向のプラス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動するチェッカーパターンを表示することによって与えられてもよい。視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定時間毎の移動でY軸方向のプラス側からZ軸方向のマイナス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動するチェッカーパターンを表示することによって与えられてもよい。
また、前述した視覚刺激負荷の一例のいずれかが組み合わされてもよい。前述した実施形態では、判定装置100において、入力部101に、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データが入力され、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データが入力される場合について説明したがこの例に限られない。
例えば、判定装置100において、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データが予め入力されていてもよい。この場合、作成部104は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データを作成する。このように構成することによって、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データを取得する処理を省略できるため、検査に要する時間を短縮できる。
【0035】
前述した実施形態では、判定装置100において、判定部106は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とを導出する場合について説明したがこの例に限られない。
例えば、判定部106は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの重心位置の密集度と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの重心位置の密集度とを導出するようにしてもよい。
【0036】
例えば、判定部106は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数と散布データの外周の面積と、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数と散布データの外周の面積とを導出する。
判定部106は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数を散布データの外周の面積で除算することによって被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度を導出する。判定部106は、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数を散布データの外周の面積で除算することによって被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度を導出する。
【0037】
判定部106は、導出した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度と被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度とに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第1密集度閾値以上減少したか否かを判定する。
判定部106は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第1密集度閾値以上減少したと判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する。
判定部106は、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第1密集度閾値以上減少しないと判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性がないと判定する。被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する条件については適宜設定可能である。
前述した実施形態において、判定部106は、めまい疾患に含まれるPPPDであるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、第1面積閾値をPPPDであるか、PPPD以外のめまい疾患であるかを判定できるように設定する。
また、第1密集度閾値をPPPDであるか、PPPD以外のめまい疾患であるかを判定できるように設定することで、判定部106が、めまい疾患に含まれるPPPDであるか否かを判定するようにしてもよい。
【0038】
本実施形態に係る判定システム1によれば、判定装置100は、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた場合に被験者SUの荷重データを取得する取得部102と、取得部102が取得した荷重データに基づいて被験者の重心座標の散布データを作成する作成部104と、作成部104が作成した散布データに基づいて被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する判定部106とを備える。視覚刺激負荷は、被験者SUの眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示する第1視覚刺激負荷を含み、取得部102は、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合に被験者SUの第1荷重データを取得し、作成部104は、取得部102が取得した第1荷重データに基づいて被験者の重心座標の第1散布データを作成し、判定部106は、作成部104が作成した第1散布データに基づいて被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
【0039】
このように構成することによって、判定装置100は、被験者SUの眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示する第1視覚刺激負荷を与えた場合に被験者SUの複数の荷重データを取得し、取得した複数の荷重データに基づいて被験者の重心座標の散布データを作成できるため、作成した散布データに基づいて被験者SUのめまい疾患の可能性を判定できる。
【0040】
判定装置100において、判定部106は、被験者の重心座標の散布データの外周の面積に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
このように構成することによって、判定装置100は、被験者の重心座標の散布データの外周の面積を導出できるため、導出した散布データの外周の面積に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定できる。
【0041】
判定装置100において、判定部106は、被験者の重心座標の散布データの密集度に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
このように構成することによって、判定装置100は、被験者の重心座標の散布データの密集度を導出できるため、導出した散布データの密集度に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定できる。
判定装置100において、判定部106は、散布データに基づいて被験者SUの持続性知覚性姿勢誘発めまい疾患の可能性を判定する。
このように構成することによって、判定装置100は、被験者SUの持続性知覚性姿勢誘発めまい疾患の可能性を判定できる。
【0042】
(実施形態の変形例1)
(判定システム)
実施形態の変形例1に係る判定システム1aの一例は、
図1を適用できるただし、判定装置100の代わりに判定装置100aを備える点で異なる。さらに、投影部70は、所定時間毎に反転するチェッカーパターンに加えて、所定の速度で移動する線状パターンを、投影エリアPAに投影する。
【0043】
図5は、実施形態の変形例1に係る判定システムの視覚刺激負荷の一例を示す図である。視覚刺激負荷の一例は、被験者の眼前に所定の速度で移動する線状パターンを表示することによって与えられる。線状パターンは、垂直方向(Z軸方向)に黒色の線が複数形成されている。視覚刺激の一例は、線状パターンが、所定の速度でY軸方向のプラス側又はマイナス側に移動する動画が表示されることで、所定時間毎に反転し、所定の速度で移動するように表示される。所定速度の一例は、被験者SUと視覚刺激の所定の点を結んだ線と、1秒後に被験者SUと視覚刺激の所定の点とを結んだ線とのなす角度を角度Φとした場合、角度Φは3度から9度であり、4.5度から7.5度が好適となる。線状パターンの一例は、二色(明色と暗色)の縞が、交互に縦に23列並んだものである。換言すれば、線状パターンの一例は、12本の暗色(黒色)の線が並んだものである。二色の一例は、白色と黒色である。二色の色の組み合わせと縞の数とは適宜変更可能である。
【0044】
図6は、実施形態の変形例1に係る判定装置の一例を示す図である。
判定装置100aは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。判定装置100aは、例えば、入力部101aと、取得部102aと、作成部104aと、判定部106aと、出力部108と、記憶部110とを備える。
【0045】
入力部101aは入力デバイスを備える。入力部101aには、被験者SUの複数の荷重データが入力される。例えば、入力部101aには、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の複数の被験者SUの荷重データが入力され、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データが入力される。被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの荷重データには、被験者SUに視覚刺激負荷を与えているときの被験者SUの荷重データが含まれてもよい。ここで、視覚刺激負荷には、被験者の眼前に所定時間毎に反転するチェッカーパターンを表示することによって与えられる負荷(以下「第1視覚刺激負荷」という)と、被験者の眼前に所定の速度で移動する線状パターンを表示することによって与えられる負荷(以下「第2視覚刺激負荷」という)とが含まれる。
【0046】
取得部102aは、入力部101aに入力された被験者SUの荷重データを取得する。取得部102aは、取得した被験者SUの複数の荷重データを、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの荷重データについては、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
取得部102aは、取得した被験者SUの複数の荷重データを、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの荷重データについては、被験者SUの識別情報と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
取得部102aは、取得した被験者SUの複数の荷重データを、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの荷重データについては、被験者SUの識別情報と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
【0047】
作成部104aは、記憶部110から被験者SUの複数の荷重データを取得する。作成部104aは、取得した被験者SUの複数の荷重データに基づいて被験者SUの水平面上の重心位置を計算し、被験者SUの重心位置の散布データを作成する。
例えば、作成部104aは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを取得する。作成部104aは、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の重心位置を計算し、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データを作成する。
【0048】
作成部104aは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104aは、取得した被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の重心位置を計算し、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
【0049】
作成部104aは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104aは、取得した被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の重心位置を計算し、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
【0050】
判定部106aは、作成部104aから重心位置の散布データを取得する。判定部106aは、取得した散布データに基づいて被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
例えば、判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とを導出する。
【0051】
判定部106aは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第1閾値以上増加したか否かを判定する。判定部106aは、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第2閾値以上増加したか否かを判定する。
【0052】
判定部106aは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第1閾値以上増加したか否かの判定結果と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第2閾値以上増加したか否かの判定結果とに基づいて被験者SUにめまい疾患の可能性があるか否かを判定する。
【0053】
例えば、判定部106aは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第1閾値以上増加した場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第2閾値以上増加した場合との少なくとも一方に該当する場合に被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する。
【0054】
例えば、判定部106aは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第1閾値以上増加しない場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第2閾値以上増加しない場合との両方に該当する場合には被験者SUにめまい疾患の可能性がないと判定する。
【0055】
なお、入力部101a、取得部102a、作成部104aおよび判定部106aの全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部110に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。
なお、入力部101a、取得部102a、作成部104aおよび判定部106aの全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0056】
(判定システムの動作)
図7は、実施形態の変形例1に係る判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図7を参照して、判定システム1aの判定装置100aの動作について説明する。
(ステップS1-2)
判定装置100aの入力部101aには、重心動揺計50から被験者SUの複数の荷重データが入力される。例えば、入力部101aには、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データが入力され、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データが入力され、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データが入力される。
【0057】
(ステップS2-2)
判定装置100aの取得部102aは、入力部101aに入力された被験者SUの複数の荷重データを取得する。取得部102aは、取得した被験者SUの複数の荷重データのうち、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
取得部102aは、取得した被験者SUの複数の荷重データのうち、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUの識別情報と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
取得部102aは、取得した被験者SUの複数の荷重データのうち、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUの識別情報と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
【0058】
(ステップS3-2)
判定装置100aの作成部104aは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを取得する。作成部104aは、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データを作成する。
作成部104aは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104aは、取得した被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
作成部104aは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104aは、取得した被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
【0059】
(ステップS4-2)
判定装置100aの判定部106aは、作成部104aから被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとを取得する。判定部106aは、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の外周の面積と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の外周の面積とを導出する。
【0060】
(ステップS5-2)
判定装置100aの判定部106aは、導出した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とに基づいて、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第1面積閾値以上面積が増加した場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第2面積閾値以上面積が増加した場合との少なくとも一方に該当するかを判定する。
【0061】
(ステップS6-2)
判定装置100aの判定部106aは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第1面積閾値以上面積が増加した場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第2面積閾値以上面積が増加した場合との少なくとも一方に該当すると判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する。
【0062】
(ステップS7-2)
判定装置100aの判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第1面積閾値以上面積が増加しない場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第2面積閾値以上面積が増加しない場合との両方に該当すると判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性がないと判定する。
【0063】
(ステップS8-2)
判定装置100aの出力部108は、判定部106aから、被験者SUにめまい疾患の可能性があるか否かの判定結果を取得する。出力部108は、取得した被験者SUのめまい疾患の可能性の判定結果を出力する。
【0064】
前述した実施形態の変形例1では、第2視覚刺激負荷の一例として、被験者の眼前に線状パターンが、所定の速度でY軸方向のプラス側又はマイナス側に移動する動画を表示することによって与えられる場合について説明したがこの例に限られない。例えば、線状は直線状に限らず、波線状であってもよいし、ジグザグ線状であってもよい。第2視覚刺激負荷の一例として、被験者の眼前に線状パターンが、所定の速度で、Z軸方向のプラス側又はマイナス側に移動する動画を表示することによって与えられてもよい。
第2視覚刺激負荷の一例として、被験者の眼前に線状パターンが、所定の速度で斜めの方向に移動する動画を表示することによって与えられてもよい。具体的には、第2視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定の速度でY軸方向のプラス側からZ軸方向のプラス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動する線状パターンを表示することによって与えられてもよい。第2視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定の速度でY軸方向のマイナス側からZ軸方向のマイナス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動する線状パターンを表示することによって与えられてもよい。
第2視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定の速度でY軸方向のマイナス側からZ軸方向のプラス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動する線状パターンを表示することによって与えられてもよい。第2視覚刺激負荷の一例として、被験者の眼前に所定の速度でY軸方向のプラス側からZ軸方向のマイナス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動する線状パターンを表示することによって与えられてもよい。
また、前述した第2視覚刺激負荷の一例のいずれかが組み合わされてもよい。
実施形態の変形例1では、一例として、判定装置100aの判定部106aは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第1面積閾値以上面積が増加した場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第2面積閾値以上面積が増加した場合との少なくとも一方に該当すると判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する場合について説明したがこの例に限られない。例えば、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する条件については適宜設定可能である。
【0065】
前述した実施形態の変形例1では、判定装置100aにおいて、判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とを導出する場合について説明したがこの例に限られない。
例えば、判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの重心位置の密集度と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの重心位置の密集度と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの重心位置の密集度とを導出するようにしてもよい。
【0066】
例えば、判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数と散布データの外周の面積と、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数と散布データの外周の面積と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数と散布データの外周の面積とを導出する。
【0067】
判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数を散布データの外周の面積で除算することによって被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度を導出する。判定部106aは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数を散布データの外周の面積で除算することによって被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度を導出する。判定部106aは、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数を散布データの外周の面積で除算することによって被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度を導出する。
【0068】
判定部106aは、導出した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度とに基づいて、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第1密集度閾値以上減少したか否かを判定する。
判定部106aは、導出した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度とに基づいて、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第2密集度閾値以上減少したか否かを判定する。
【0069】
判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第1密集度閾値以上減少した場合と、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第2密集度閾値以上減少した場合との少なくとも一方に該当すると判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する。
判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第1密集度閾値以上減少しない場合と、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第2密集度閾値以上減少しない場合との両方に該当すると判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性がないと判定する。被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する条件については適宜設定可能である。
【0070】
前述した実施形態の変形例1において、判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とに基づいて、被験者SUにめまい疾患の可能性があるか否かを判定してもよい。
例えば、判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第2面積閾値以上増加した場合には、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する。
例えば、判定部106aは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第2面積閾値以上増加しない場合には、被験者SUにめまい疾患の可能性がないと判定する。
【0071】
前述した実施形態の変形例1において、判定部106aは、めまい疾患に含まれるPPPDであるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、第1面積閾値と第2面積閾値とをPPPDであるか、PPPD以外のめまい疾患であるかを判定できるように設定する。
また、第1密集度閾値と第2密集度閾値とをPPPDであるか、PPPD以外のめまい疾患であるかを判定できるように設定することで、判定部106aが、めまい疾患に含まれるPPPDであるか否かを判定するようにしてもよい。
【0072】
実施形態の変形例1に係る判定システム1aによれば、判定装置100aは、判定装置100において、視覚刺激負荷は、被験者SUの眼前に所定時間毎に反転する線状パターンを表示する第2視覚刺激負荷をさらに含む。取得部102aは、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合に被験者SUの第2荷重データを取得する。作成部104bは、取得部102bが取得した第2荷重データに基づいて被験者の重心座標の第2散布データを作成する。判定部106bは、作成部104bが作成した第2散布データにさらに基づいて被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
【0073】
このように構成することによって、判定装置100aは、被験者SUの眼前に所定の速度で移動する線状パターンを表示する第2視覚刺激負荷をさらに与えた場合に被験者SUの複数の荷重データを取得し、取得した複数の荷重データに基づいて被験者の重心座標の散布データを作成できるため、作成した散布データにさらに基づいて被験者SUのめまい疾患の可能性を判定できる。
【0074】
判定装置100aにおいて、判定部106aは、被験者の重心座標の散布データの外周の面積に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
このように構成することによって、判定装置100aは、被験者の重心座標の散布データの外周の面積を導出できるため、導出した散布データの外周の面積に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定できる。
【0075】
判定装置100aにおいて、判定部106aは、被験者の重心座標の散布データの密集度に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
このように構成することによって、判定装置100aは、被験者の重心座標の散布データの密集度を導出できるため、導出した散布データの密集度に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定できる。
判定装置100aにおいて、判定部106aは、被験者の重心座標の散布データに基づいて被験者SUの持続性知覚性姿勢誘発めまい疾患の可能性を判定する。
このように構成することによって、判定装置100aは、被験者SUの持続性知覚性姿勢誘発めまい疾患の可能性を判定できる。
【0076】
(実施形態の変形例2)
(判定システム)
実施形態の変形例2に係る判定システム1bの一例は、
図1を適用できるただし、判定装置100の代わりに判定装置100bを備える点で異なる。さらに、投影部70は、所定時間毎に反転するチェッカーパターンと所定の速度で移動する線状パターンとに加えて、所定の速度で移動するドットパターンを、投影エリアPAに投影する
【0077】
図8は、実施形態の変形例2に係る判定システムの視覚刺激負荷の一例を示す図である。視覚刺激負荷の一例は、被験者の眼前に所定の速度で移動するドットパターンを表示することによって与えられる。視覚刺激の一例は、所定の速度でX軸方向のプラス側又はマイナス側に一又は複数のドットの各々が移動している動画が表示されることで、一又は複数のドットを含むドットパターンが所定の速度で移動するように表示される。例えば、時間の経過とともに、一又は複数のドットの各々のサイズが変化することによって、一又は複数のドットの各々が移動しているように表示される。ドットパターンの一例は、黒色の背景に白色の複数のドットがランダムに配置されたものである。背景の色とドットの色とは適宜変更可能である。
【0078】
図9は、実施形態の変形例2に係る判定装置の一例を示す図である。
判定装置100bは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。判定装置100bは、例えば、入力部101bと、取得部102bと、作成部104bと、判定部106bと、出力部108と、記憶部110とを備える。
【0079】
入力部101bは入力デバイスを備える。入力部101bには、被験者SUの複数の荷重データが入力される。例えば、入力部101bには、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データが入力され、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データが入力される。
被験者SUに視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの荷重データには、被験者SUに視覚刺激負荷を与えているときの被験者SUの荷重データが含まれてもよい。ここで、視覚刺激負荷には、第1視覚刺激負荷と、第2視覚刺激負荷と、被験者の眼前に所定の速度で移動するドットパターンを表示することによって与えられる負荷(以下「第3視覚刺激負荷」という)とが含まれる。所定の速度で移動するドットパターンとは、オプティカルフローなどの時間の経過とともに移動するドットパターンである。
【0080】
取得部102bは、入力部101bに入力された被験者SUの複数の荷重データを取得する。取得部102bは、取得した被験者SUの複数の荷重データを、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの荷重データについては、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
取得部102bは、取得した被験者SUの複数の荷重データを、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの荷重データについては、被験者SUの識別情報と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
【0081】
取得部102bは、取得した被験者SUの複数の荷重データを、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの荷重データについては、被験者SUの識別情報と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
取得部102bは、取得した被験者SUの複数の荷重データを、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの荷重データについては、被験者SUの識別情報と被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
【0082】
作成部104bは、記憶部110から被験者SUの複数の荷重データを取得する。作成部104bは、取得した被験者SUの複数の荷重データに基づいて被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUの重心位置の散布データを作成する。
例えば、作成部104bは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを取得する。作成部104bは、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データを作成する。
【0083】
作成部104bは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104bは、取得した被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
【0084】
作成部104bは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104bは、取得した被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
【0085】
作成部104bは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104bは、取得した被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データに基づいて、被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
【0086】
判定部106bは、作成部104bから重心位置の散布データを取得する。判定部106bは、取得した散布データに基づいて被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
例えば、判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とを導出する。
【0087】
判定部106bは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第1閾値以上増加したか否かを判定する。判定部106bは、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第2閾値以上増加したか否かを判定する。判定部106bは、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第3閾値以上増加したか否かを判定する。
【0088】
判定部106bは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第1閾値以上増加したか否かの判定結果と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第2閾値以上増加したか否かの判定結果と、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第3閾値以上増加したか否かの判定結果とに基づいて被験者SUにめまい疾患の可能性があるか否かを判定する。
【0089】
例えば、判定部106bは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第1閾値以上増加した場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第2閾値以上増加した場合と、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第3閾値以上増加した場合との少なくとの一つに該当する場合に被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する。
【0090】
例えば、判定部106bは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第1閾値以上増加しない場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第2閾値以上増加しない場合と、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた場合の重心位置の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の重心位置の散布データの外周の面積よりも第3閾値以上増加しない場合との全てに該当する場合には被験者SUにめまい疾患の可能性がないと判定する。
【0091】
なお、入力部101b、取得部102b、作成部104bおよび判定部106bの全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部110に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。
なお、入力部101b、取得部102b、作成部104bおよび判定部106bの全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0092】
(判定システムの動作)
図10は、実施形態の変形例2に係る判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図10を参照して、判定システム1bの判定装置100bの動作について説明する。
(ステップS1-3)
判定装置100bの入力部101bには、重心動揺計50から被験者SUの複数の荷重データが入力される。例えば、入力部101bには、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データが入力され、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データが入力され、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データが入力され、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データが入力される。
【0093】
(ステップS2-3)
判定装置100bの取得部102bは、入力部101bに入力された被験者SUの複数の荷重データを取得する。取得部102bは、取得した被験者SUの複数の荷重データのうち、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
取得部102bは、取得した被験者SUの複数の荷重データのうち、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUの識別情報と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
取得部102bは、取得した被験者SUの複数の荷重データのうち、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUの識別情報と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
取得部102bは、取得した被験者SUの複数の荷重データのうち、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUの識別情報と被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる。
【0094】
(ステップS3-3)
判定装置100bの作成部104bは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに視覚刺激負荷を与える前であることを示す情報とを取得する。作成部104bは、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの複数の荷重データの各々に基づいて被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データを作成する。
作成部104bは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104bは、取得した被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データの各々に基づいて被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
【0095】
作成部104bは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104bは、取得した被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データの各々に基づいて被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
作成部104bは、記憶部110から、被験者SUの識別情報と被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データと被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後であることを示す情報とを取得する。作成部104bは、取得した被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの複数の荷重データの各々に基づいて被験者SUの水平面上の複数の重心位置を計算し、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データを作成する。
【0096】
(ステップS4-3)
判定装置100bの判定部106bは、作成部104bから被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとを取得する。
判定部106bは、取得した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とを導出する。
【0097】
(ステップS5-3)
判定装置100bの判定部106bは、導出した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とに基づいて、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第1面積閾値以上面積が増加した場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第2面積閾値以上面積が増加した場合と、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第3面積閾値以上面積が増加した場合との少なくとも一つに該当するかを判定する。
【0098】
(ステップS6-3)
判定装置100bの判定部106bは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第1面積閾値以上面積が増加した場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第2面積閾値以上面積が増加した場合と、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第3面積閾値以上面積が増加した場合との少なくとも一つに該当すると判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する。
【0099】
(ステップS7-3)
判定装置100bの判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第1面積閾値以上面積が増加しない場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第2面積閾値以上面積が増加しない場合と、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第3面積閾値以上面積が増加しない場合との全てに該当すると判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性がないと判定する。
(ステップS8-3)
判定装置100bの出力部108は、判定部106bから、被験者SUにめまい疾患の可能性があるか否かの判定結果を取得する。出力部108は、取得した被験者SUのめまい疾患の可能性の判定結果を出力する。
【0100】
前述した実施形態の変形例2では、第3視覚刺激負荷の一例として、被験者の眼前に一又は複数のドットが、所定の速度でX軸方向のプラス側又はマイナス側に移動する動画を表示することによって与えられる場合について説明したがこの例に限られない。例えば、ドットに限らず、楕円であってもよいし、多角形であってもよい。第3視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に時間の経過とともにランダムに移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよいし、視覚刺激負荷が被験者の眼前に時間の経過とともに所定の速度で、Z軸方向のプラス側又はマイナス側に移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよいし、視覚刺激負荷が被験者の眼前に時間の経過とともに所定の速度で、Y軸方向のプラス側又はマイナス側に移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよい。
第3視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に時間の経過とともに所定の速度で、X軸を中心として時計回り又は反時計回りに移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよい。また、第3視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に時間の経過とともに所定の速度で、投影エリアPAの中心に近づく方向に移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよいし、視覚刺激負荷が被験者の眼前に時間の経過とともに所定の速度で、投影エリアPAの中心から離れる方向に移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよい。
第3視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定の速度で斜め方向に移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよい。具体的には、第3視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定の速度でY軸方向のプラス側からZ軸方向のプラス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよい。第3視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定の速度でY軸方向のマイナス側からZ軸方向のマイナス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよい。
第3視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定の速度でY軸方向のマイナス側からZ軸方向のプラス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよい。第3視覚刺激負荷の一例として、視覚刺激負荷が被験者の眼前に所定の速度でY軸方向のプラス側からZ軸方向のマイナス側に0度よりも大きく90度未満の角度の方向に移動する一又は複数のドットを表示することによって与えられてもよい。
また、前述した第3視覚刺激負荷の一例のいずれかが組み合わされてもよい。
実施形態の変形例2では、一例として、判定装置100bの判定部106bは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の荷重データの散布データの外周の面積よりも第1閾値以上増加した場合と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の荷重データの散布データの外周の面積よりも第2閾値以上増加した場合と、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた場合の散布データの外周の面積が、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合の荷重データの散布データの外周の面積よりも第3閾値以上増加した場合との少なくとの一つに該当する場合に被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する場合について説明したがこの例に限られない。例えば、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する条件については適宜設定可能である。
【0101】
前述した実施形態の変形例2では、判定装置100bにおいて、判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とを導出する場合について説明したがこの例に限られない。
【0102】
例えば、判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データと、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データと、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データとに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の被験者SUの重心位置の密集度と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの重心位置の密集度と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの重心位置の密集度と被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の被験者SUの重心位置の密集度とを導出するようにしてもよい。
【0103】
例えば、判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数と散布データの外周の面積と、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数と散布データの外周の面積と、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数と散布データの外周の面積と、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数と散布データの外周の面積とを導出する。
【0104】
判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数を散布データの外周の面積で除算することによって被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度を導出する。
判定部106bは、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数を散布データの外周の面積で除算することによって被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度を導出する。
判定部106bは、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数を散布データの外周の面積で除算することによって被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度を導出する。
判定部106bは、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周で囲まれる領域に含まれる重心位置の数を散布データの外周の面積で除算することによって被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度を導出する。
【0105】
判定部106bは、導出した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度と被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度とに基づいて、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第1密集度閾値以上減少したか否かを判定する。
判定部106bは、導出した被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度と被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度とに基づいて、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第2密集度閾値以上減少したか否かを判定する。
【0106】
判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第1密集度閾値以上減少した場合と、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第2密集度閾値以上減少した場合と、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第3密集度閾値以上減少した場合との少なくとも一方に該当すると判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する。
判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第1密集度閾値以上減少しない場合と、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第2密集度閾値以上減少しない場合と、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の密集度よりも、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の密集度の方が、第3密集度閾値以上減少しない場合との全てに該当すると判定した場合に、被験者SUにめまい疾患の可能性がないと判定する。被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する条件については適宜設定可能である。
【0107】
前述した実施形態の変形例2において、判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積と被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積とに基づいて、被験者SUにめまい疾患の可能性があるか否かを判定してもよい。
例えば、判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第3面積閾値以上増加した場合には、被験者SUにめまい疾患の可能性があると判定する。
例えば、判定部106bは、被験者SUに視覚刺激負荷を与える前の重心位置の散布データの外周の面積よりも、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた後の重心位置の散布データの外周の面積の方が、第3面積閾値以上増加しない場合には、被験者SUにめまい疾患の可能性がないと判定する。
【0108】
前述した実施形態の変形例2において、判定部106bは、めまい疾患に含まれるPPPDであるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、第1面積閾値と第2面積閾値と第3面積閾値とをPPPDであるか、PPPD以外のめまい疾患であるかを判定できるように設定する。
また、第1密集度閾値と第2密集度閾値と第3密集度閾値とをPPPDであるか、PPPD以外のめまい疾患であるかを判定できるように設定することで、判定部106bが、めまい疾患に含まれるPPPDであるか否かを判定するようにしてもよい。
【0109】
実施形態の変形例2に係る判定システム1bによれば、判定装置100bは、判定装置100aにおいて、視覚刺激負荷は、被験者SUの眼前に所定の速度で移動するドットパターンを表示する第3視覚刺激負荷をさらに含む。取得部102bは、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた場合に被験者SUの第3荷重データを取得する。作成部104bは、取得部102bが取得した第3荷重データに基づいて被験者の重心座標の第3散布データを作成する。判定部106bは、作成部104bが作成した第3散布データにさらに基づいて被験者のめまい疾患の可能性を判定する。
このように構成することによって、判定装置100bは、被験者SUの眼前に所定の速度で移動するドットパターンを表示する第3視覚刺激負荷をさらに与えた場合に被験者SUの複数の荷重データを取得し、取得した複数の荷重データに基づいて散布データを作成できるため、作成した散布データにさらに基づいて被験者SUのめまい疾患の可能性を判定できる。
【0110】
判定装置100bにおいて、判定部106bは、被験者の重心座標の散布データの外周の面積に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
このように構成することによって、判定装置100bは、被験者の重心座標の散布データの外周の面積を導出できるため、導出した散布データの外周の面積に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定できる。
【0111】
判定装置100bにおいて、判定部106bは、被験者の重心座標の散布データの密集度に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定する。
このように構成することによって、判定装置100bは、被験者の重心座標の散布データの密集度を導出できるため、導出した散布データの密集度に基づいて、被験者SUのめまい疾患の可能性を判定できる。
判定装置100bにおいて、判定部106bは、被験者の重心座標の散布データに基づいて被験者SUの持続性知覚性姿勢誘発めまい疾患の可能性を判定する。
このように構成することによって、判定装置100bは、被験者SUの持続性知覚性姿勢誘発めまい疾患の可能性を判定できる。
【0112】
図11は、実施形態の変形例2に係る判定システムにおける重心位置の散布データの外周の面積の導出例を示す図である。PPPDの被験者、片側前庭機能障害の被験者(片側)、両側前庭機能障害の被験者(両側)、中枢性めまいの被験者(中枢)、健常人の被験者、心因性めまいの被験者(心因)の各々について、開眼時(被験者SUに視覚刺激負荷を与える前)と視覚刺激負荷時の測定値の比を算出した。算出結果を、一元配置分散分析(Ordinary one-way ANOVA)を使用して分析した。具体的には、Tukey-Kramer法による多群比較を行った。
(1)は、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合である。この場合のP値は、0.0001未満であった。仮に、有意水準として0.05を適用した場合に、PPPDの被験者、片側前庭機能障害の被験者、両側前庭機能障害の被験者、中枢性めまいの被験者、健常人の被験者、心因性めまいの被験者の各々について、開眼時と視覚刺激負荷時の測定値の比の平均値の間の差は、統計的に有意であることが分かる。
(2)は、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合である。この場合のP値は、0.0166であった。仮に、有意水準として0.05を適用した場合に、PPPDの被験者、片側前庭機能障害の被験者、両側前庭機能障害の被験者、中枢性めまいの被験者、健常人の被験者、心因性めまいの被験者の各々について、開眼時と視覚刺激負荷時の測定値の比の平均値の間の差は、統計的に有意であることが分かる。
(3)は、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた場合である。この場合のP値は、0.0128であった。仮に、有意水準として0.05を適用した場合に、PPPDの被験者、片側前庭機能障害の被験者、両側前庭機能障害の被験者、中枢性めまいの被験者、健常人の被験者、心因性めまいの被験者の各々について、開眼時と視覚刺激負荷時の測定値の比の平均値の間の差は、統計的に有意であることが分かる。
以上から、重心位置の散布データの外周の面積は、被験者SUのPPPDなどのめまいの診断を補助するために使用できることが分かる。
【0113】
図12は、実施形態の変形例2に係る判定システムにおける重心位置の密集度の導出例を示す図である。PPPDの被験者、片側前庭機能障害の被験者(片側)、両側前庭機能障害の被験者(両側)、中枢性めまいの被験者(中枢)、健常人の被験者、心因性めまいの被験者(心因)の各々について、開眼時と視覚刺激負荷時の測定値の比を算出した。算出結果を、一元配置分散分析を使用して分析した。具体的には、Tukey-Kramer法による多群比較を行った。
(1)は、被験者SUに第1視覚刺激負荷を与えた場合である。この場合のP値は、0.0493であった。仮に、有意水準として0.05を適用した場合に、PPPDの被験者、片側前庭機能障害の被験者、両側前庭機能障害の被験者、中枢性めまいの被験者、健常人の被験者、心因性めまいの被験者の各々について、開眼時と視覚刺激負荷時の測定値の比の平均値の間の差は、統計的に有意であることが分かる。
(2)は、被験者SUに第2視覚刺激負荷を与えた場合である。この場合のP値は、0.04894であった。仮に、有意水準として0.05を適用した場合に、PPPDの被験者、片側前庭機能障害の被験者、両側前庭機能障害の被験者、中枢性めまいの被験者、健常人の被験者、心因性めまいの被験者の各々について、開眼時と視覚刺激負荷時の測定値の比の平均値の間の差は、統計的に有意であることが分かる。
(3)は、被験者SUに第3視覚刺激負荷を与えた場合である。この場合のP値は、0.04647であった。仮に、有意水準として0.05を適用した場合に、PPPDの被験者、片側前庭機能障害の被験者、両側前庭機能障害の被験者、中枢性めまいの被験者、健常人の被験者、心因性めまいの被験者の各々について、開眼時と視覚刺激負荷時の測定値の比の平均値の間の差は、統計的に有意であることが分かる。
以上から、重心位置の密集度は、被験者SUのPPPDなどのめまいの診断を補助するために使用できることが分かる。
【0114】
次に、PPPDの被験者SUについて、SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)を導入する前と、導入した後とについて、視覚刺激負荷を与えない場合と、視覚刺激負荷を与えた場合について、重心位置の散布データを作成し、重心位置の散布データの外周の面積と、重心位置の移動速度と、重心位置の密集度と、重心位置の左右中心と、重心位置の前後中心とを導出した。
図13Aは、実施形態の変形例2に係る判定システムにおける重心位置の散布データの導出例を示す図である。
(1)は、SSRIを導入する前で、視覚刺激負荷を与えない場合である。(2)は、SSRIを導入する前で、視覚刺激負荷を与えた場合である。(1)と(2)とによれば、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた場合には、被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合と比較して、重心位置の散布データの外周の面積が広いことが分かる。
(3)は、SSRIを導入した後で、視覚刺激負荷を与えない場合である。(4)は、SSRIを導入した後で、視覚刺激負荷を与えた場合である。(3)と(4)とによれば、被験者SUに視覚刺激負荷を与えた場合と被験者SUに視覚刺激負荷を与えない場合とで、重心位置の散布データの外周の面積の変化はあまり見られない。
(1)から(4)によれば、SSRIを導入して治療を行うことによって、SSRIを導入しない場合と比較して、重心位置の散布データの外周の面積が小さくなることから、症状が改善していることが分かる。
図13Bは、実施形態の変形例2に係る判定システムにおける重心位置の散布データの導出例を示す図である。
(1)は、SSRIを導入する前で、視覚刺激負荷を与えない場合と視覚刺激負荷を与えた場合とで、重心位置の散布データの外周の面積と、重心位置の移動速度と、重心位置の密集度と、重心位置の左右中心と、重心位置の前後中心とを導出した結果を示す。(1)によれば、視覚刺激負荷を与えることによって、視覚刺激負荷を与えない場合と比較して、重心位置の散布データの外周の面積と、重心位置の移動速度と、重心位置の密集度と、重心位置の左右中心と、重心位置の前後中心とが増加していることが分かる。
(2)は、SSRIを導入した後で、視覚刺激負荷を与えない場合と視覚刺激負荷を与えた場合とで、重心位置の散布データの外周の面積と、重心位置の移動速度と、重心位置の密集度と、重心位置の左右中心と、重心位置の前後中心とを導出した結果を示す。(2)によれば、視覚刺激負荷を与えた場合と視覚刺激負荷を与えない場合とで、重心位置の散布データの外周の面積と、重心位置の移動速度と、重心位置の密集度と、重心位置の左右中心と、重心位置の前後中心との変化は、SSRIを導入する前と比較して、小さいことが分かる。
(1)と(2)によれば、SSRIを導入して治療を行うことによって、SSRIを導入しない場合と比較して、重心位置の散布データの外周の面積と、重心位置の移動速度と、重心位置の密集度と、重心位置の左右中心と、重心位置の前後中心との変化が小さくなることから、症状が改善していることが分かる。
【0115】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合わせを行うことができる。これら実施形態及びその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、前述の判定装置100、判定装置100a、判定装置100bは内部にコンピュータを有している。そして、前述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0116】
1、1a、1b…判定システム、 50…重心動揺計、 70…投影部、 100、100a、100b…判定装置、 101、101a、101b…入力部、 102、102a、102b…取得部、 104、104a、104b…作成部、 106、106a、106b…判定部、 108…出力部、 110…記憶部