(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016513
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】睫毛用化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20230126BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230126BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/73
A61Q1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120879
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】500470840
【氏名又は名称】アサヌマ コーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】麻沼 知子
(72)【発明者】
【氏名】田沢 美樹
(72)【発明者】
【氏名】坂本 考信
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD111
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD241
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD301
4C083AD341
4C083AD351
4C083AD352
4C083CC14
4C083EE05
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、立体的な装飾を示す睫毛用化粧料を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明の(1)1~50重量%の多価アルコール、(2)0.15~3重量%の増粘多糖類及び(3)1~40重量%の炭素数2~4のアルコール、を含む睫毛用化粧料によって、解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)1~50重量%の多価アルコール、
(2)0.15~3重量%の増粘多糖類、及び
(3)1~40重量%の炭素数2~4のアルコール、
を含む睫毛用化粧料。
【請求項2】
前記多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,11-ウンデカンジオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1,3ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、及びカプリリルグリコールからなる群から選択される、請求項1に記載の睫毛用化粧料。
【請求項3】
前記増粘多糖類が、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、カラギーナン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、タマリンドガム、アルギン酸ナトリウム、クインスシードガム、スクレロチウムガム、グァーガム、スクレログルカンガム、ランサンガム、マルトデキストリン、デンプン、及びカラヤガムからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の睫毛化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睫毛用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
睫毛用化粧料には、睫毛をより目立たせるマスカラがあるが(特許文献1及び2)、睫毛の形状までを変化させるものではない。睫毛をより長く太くさせるために、付け睫毛や睫毛エクステンションを使用する場合があり、例えば、付け睫毛の中には、よりファッション性を高めるため、クリスタルや鳥の羽根などの装飾をされているものもある。
しかしながら、睫毛用化粧料でそのような立体的な装飾を施すのは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-528172号公報
【特許文献2】特表2014-527058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、立体的な装飾を示す睫毛用化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、立体的な装飾を示す睫毛用化粧料について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、3つの特定物質を含む睫毛用化粧料によって、睫毛にしずく状の修飾を形成できることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](1)1~50重量%の多価アルコール、(2)0.15~3重量%の増粘多糖類、及び(3)1~40重量%の炭素数2~4のアルコール、を含む睫毛用化粧料、
[2]前記多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,11-ウンデカンジオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1,3ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、及びカプリリルグリコールからなる群から選択される、[1]に記載の睫毛用化粧料、及び
[3]前記増粘多糖類が、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、カラギーナン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、タマリンドガム、アルギン酸ナトリウム、クインスシードガム、スクレロチウムガム、グァーガム、スクレログルカンガム、ランサンガム、マルトデキストリン、デンプン、及びカラヤガムからなる群から選択される、[1]又は[2]に記載の睫毛化粧料、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の睫毛用化粧料によれば、睫毛にしずく状の修飾を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の睫毛用化粧料により形成された睫毛のしずく状の修飾を示す写真である。
【
図2】本発明の睫毛用化粧料の睫毛への塗布方法を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の睫毛用化粧料は、(1)1~50重量%の多価アルコール、(2)0.2~2重量%の増粘多糖類、及び(3)1~40重量%の炭素数1~4のアルコール、
を含む。
【0009】
《多価アルコール(成分A)》
本発明の睫毛用化粧料は、1~50重量%の多価アルコール(以下、成分Aと称することがある)を含む。
多価アルコールとしては、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,11-ウンデカンジオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1,3ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、及びカプリリルグリコールが挙げられる。好ましくは、グリセリン、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びプロピレングリコールである。
【0010】
多価アルコールの含有量の下限は、好ましくは2重量%以上であり、より好ましくは4重量%であり、より好ましくは6重量%であり、より好ましくは8重量%であり、より好ましくは10重量%であり、より好ましくは12重量%であり、より好ましくは14重量%であり、より好ましくは15重量%であり、より好ましくは16重量%であり、より好ましくは18重量%である。多価アルコールの含有量の上限は、好ましくは48重量%以下であり、より好ましくは46重量%以下であり、より好ましくは44重量%以下であり、より好ましくは42重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下である。前記上限と下限とは、適宜組み合わせて好適な範囲とすることができる。前記範囲であることによって、本発明の睫毛用化粧料は、睫毛に塗ったときにきれいな球状を形成することができる。また、球状を長時間維持することができる。更に、多価アルコールが多すぎると、乾燥性が悪くなることがある。
【0011】
《増粘多糖類》
本発明の睫毛用化粧料は、0.15~3重量%の増粘多糖類(以下、成分Bと称することがある)を含む。
増粘多糖類としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、カラギーナン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、タマリンドガム、アルギン酸ナトリウム、クインスシードガム、スクレロチウムガム、グァーガム、スクレログルカンガム、ランサンガム、マルトデキストリン、デンプン、又はカラヤガムが挙げられる。成分Bとしては、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、カラギーナン、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
【0012】
増粘多糖類の含有量の下限は、好ましくは0.2重量%以上であり、より好ましくは0.3重量%であり、より好ましくは0.4重量%であり、より好ましくは0.5重量%である。増粘多糖類の含有量の上限は、好ましくは2.8重量%以下であり、より好ましくは2.6重量%以下であり、より好ましくは2.4重量%以下であり、より好ましくは2.3重量%以下であり、より好ましくは2.0重量%以下である。前記上限と下限とは、適宜組み合わせて好適な範囲とすることができる。前記範囲であることによって、本発明の睫毛用化粧料は、睫毛に塗ったときに球状を形成することができる。また、衝撃によって球形を崩れることを防止することができる。
【0013】
《炭素数2~4のアルコール》
本発明の睫毛用化粧料は、1~40重量%の炭素数2~4のアルコール(以下、成分Cと称することがある)を含む。
前記炭素数2~4のアルコールは、好ましくは一価のアルコールであり、具体的にはエタノール、プロパノール、又はブタノールが挙げられる。炭素数2~4のアルコールの含有量の下限は、好ましくは2.0重量%以上であり、より好ましくは4.0重量%であり、より好ましくは6.0重量%であり、より好ましくは8.0重量%であり、より好ましくは10.0重量%である。炭素数2~4のアルコールの含有量の上限は、好ましくは38重量%以下であり、より好ましくは36重量%以下であり、より好ましくは34重量%以下であり、より好ましくは32重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下である。前記上限と下限とは、適宜組み合わせて好適な範囲とすることができる。
本発明の睫毛用化粧料は、多価アルコールを含有するため、乾燥性が悪くなっている。炭素数2~4のアルコールは、睫毛用化粧料を睫毛に塗った後の乾燥性を向上させることができる。
【0014】
《その他の成分》
本発明の睫毛用化粧料は、本発明の効果が得られる限りにおいて、化粧料に用いられる他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば水、保湿剤(例えば、トリメチルグリシン、ソルビット、キシリトール、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、セラミド類、加水分解ケラチン)、着色剤(例えば、顔料、又は染料、光輝剤)、粘度調整剤(例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール)、乳化剤(例えば、モノステアリン酸グリセリン)、パール光沢付与剤(例えば、ジステアリン酸グリコール、又はジステアリン酸エチレングリコール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム)、植物エキス類、防腐剤、ビタミン剤、香料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、湿潤剤、キレート剤、pH調整剤(例えば、クエン酸、又は酒石酸)を含むことができる。
【0015】
《使用方法》
本発明の睫毛用化粧料は、限定されるものではないが、例えば
図2に記載のように使用することができる。まず、ベースとなるマスカラを睫毛に塗布する。次に、本発明の睫毛用化粧料を筆にしみこませ、筆が睫毛に対して横向きになるように置く。睫毛の横方向になぞるようにゆっくりと塗布することによって、睫毛にきれいな球状を形成することができる。
【0016】
《作用》
本発明の睫毛用化粧料が、睫毛にしずく状の修飾を形成できるメカニズムは、詳細に解析されたわけではないが、以下のように推定することができる。しかしながら、本発明は、下記の推定によって、限定されるものではない。
本発明の睫毛用化粧料には、「多価アルコール」及び「増粘多糖類」が含まれている。「多価アルコール」を含むことにより水を含む化粧料が、球形のしずくを形成できると思われる。この球形のしずくは、軽い衝撃でも壊れてしまうことがあるが、増粘多糖類を加えることによって、球形を崩れることを防止することができる。また、本発明の睫毛用化粧料は、「多価アルコール」を含むために乾燥性が悪くなるが、「炭素数2~4のアルコール」により、乾燥性を向上させることができると推定される。更に、「多価アルコール」は、乾燥後の球形の維持にも関与していると推定される。
本発明の睫毛用化粧料は、睫毛に塗布することによって、クリアで立体的な形状を形成し、より印象的な睫毛に仕上げることができる。
【実施例0017】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
《実施例1~7》
本実施例では、成分A(グリセリン、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、又はプロピレングリコール)、成分B(ジェランガム、寒天、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース)、及び成分C(エタノール)を用いて、睫毛用化粧料を作製した。
表1に記載の組成で、成分A、成分B、成分C、及び水を混合、加熱撹拌して化粧料を作製した。
【0019】
《評価試験》
実施例1で得られた睫毛用化粧料について、「球の形成性」、「衝撃耐性」、及び「球状の保持性」について検討した。
睫毛用化粧料を市販の付けまつ毛に筆で塗布し、「球の形成性」、「衝撃耐性」、及び「球状の保持性」について、以下の基準で「◎」、「〇」、「×」の3段階に評価した。
「球の形成性」
◎:真球になる
〇:真球ではないが球状になる
×:球状にならない
「衝撃耐性」
◎:軽く指で触った(約0.1N)際に崩れない
〇:軽く指で触った(約0.1N)際に若干崩れるが球状を保っている
×:軽く指で触った(約0.1N)だけで球状が崩れる
「乾燥後の球状の保持性」
◎:乾燥後も球状を保っている
〇:若干崩れる(塗布時との外観差が若干ある)
×:塗布時との外観差が大きい
【0020】
【表1】
成分A(グリセリン、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、又はプロピレングリコール)、成分B(ジェランガム、寒天、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース)、及び成分C(エタノール)を含む睫毛用化粧料は、優れた「球の形成性」、「衝撃耐性」、及び「球状の保持性」を示した。
【0021】
《実施例8~14及び比較例1~2》
本実施例及び比較例では、成分Aの量を検討した。
表2に記載の組成で、グリセリン、ジェランガム、エタノール、及び水を混合して、化粧料を作製した。得られた睫毛用化粧料について、前記評価試験に従って、「球の形成性」、「衝撃耐性」、及び「球状の保持性」を検討した。
【0022】
【表2】
グリセリンは、広い濃度範囲で本発明の効果が得られた。
【0023】
《実施例15~19及び比較例3~4》
本実施例及び比較例では、成分Bの量を検討した。表3に記載の組成で、グリセリン、ジェランガム、エタノール、及び水を混合して、化粧料を作製した。得られた睫毛用化粧料について、前記評価試験に従って、「球の形成性」、「衝撃耐性」、及び「球状の保持性」を検討した。
【0024】
【表3】
ジェランガムは、0.15~3.5重量%程度の添加で、本発明の効果を得ることができた。
【0025】
《実施例20~23》
本実施例では、成分Cの量を検討した。表4に記載の組成で、グリセリン、ジェランガム、エタノール、及び水を混合して、化粧料を作製した。得られた睫毛用化粧料について、前記評価試験に従って、「球の形成性」、「衝撃耐性」、及び「球状の保持性」を検討した。
【0026】