(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165160
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】画像形成装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/14 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
G03G21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075839
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】板屋 哲
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA60
2H270LD08
2H270LD14
2H270MB25
2H270MB27
2H270MB43
2H270MB55
2H270MH06
2H270NA01
2H270NC16
2H270ND02
2H270QA46
2H270QA53
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】 画質維持と待ち時間の短縮とをバランスよく実現する。
【解決手段】 実施形態の画像形成装置は、形成部、調整部、受付部及び制御部を備える。形成部は、媒体に対して画像を形成する。調整部は、画像を形成する際の形成部の動作条件を調整する。受付部は、形成部による画像形成を開始する必要が生じ、かつ予め定められた実行条件が成立している場合に、調整部による調整を形成部による画像形成の開始前に実行するか否かの操作者の指定を受ける。制御部は、開始前に実行する指定が受付部により受けられたことに応じて形成部に画像形成を開始させる前に調整部に調整を実行させ、開始前に実行しない指定が受付部により受けられたことに応じて調整部に調整を実行させることなしに形成部に画像形成を開始させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対して画像を形成する形成部と、
画像を形成する際の前記形成部の動作条件を調整する調整部と、
前記形成部による画像形成を開始する必要が生じ、かつ予め定められた実行条件が成立している場合に、前記調整部による調整を前記形成部による画像形成の開始前に実行するか否かの操作者の指定を受ける受付部と、
開始前に実行する指定が前記受付部により受けられたことに応じて前記形成部に画像形成を開始させる前に前記調整部に調整を実行させ、開始前に実行しない指定が前記受付部により受けられたことに応じて前記調整部に調整を実行させることなしに前記形成部に画像形成を開始させる制御部と、
を具備した画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、開始前に実行しない指定が前記受付部により受けられたことに応じて前記調整部に調整を実行させることなしに前記形成部に画像形成を開始させた場合は、当該の画像形成の終了後に前記調整部に調整を実行させる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受付部は、前記調整部による調整を前記形成部による画像形成の開始前に実行しない場合に、画像形成の終了後に実行するか否かの指定をさらに受け、
前記制御部は、開始前に実行しない指定に応じて前記調整部に調整を実行させることなしに前記形成部に画像形成を開始させた場合、画像形成の終了後に実行する指定が前記受付部により受けられているならば上記の開始させた画像形成の終了後に前記調整部に調整を実行させ、画像形成の終了後に実行しない指定が前記受付部により受けられているならば上記の開始させた画像形成の終了後に前記調整部に調整を実行させない、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記受付部は、予め定められた強制条件が成立している場合は、画像形成の終了後に実行するか否かの指定を受けず、
前記制御部は、開始前に実行する指定が前記受付部により受けられたことに応じて前記形成部に画像形成を開始させる前に前記調整部に調整を実行させ、開始前に実行しない指定が前記受付部により受けられたことに応じて前記調整部に調整を実行させることなしに前記形成部に画像形成を開始させ、かつ当該の画像形成の終了後に前記調整部に調整を実行させる、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記受付部は、操作者が予め定められたユーザである場合は、前記調整部による調整の実行に関する指定を受けず、
前記調整部は、操作者が予め定められたユーザである場合は、前記調整部による調整を前記形成部による画像形成の開始前に実行するか否かを予めの設定に応じて決定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
媒体に対して画像を形成する形成部と、
画像を形成する際の前記形成部の動作条件を調整する調整部と、
を備える画像形成装置を制御するコンピュータを、
前記形成部による画像形成を開始する必要が生じ、かつ予め定められた実行条件が成立している場合に、前記調整部による調整を前記形成部による画像形成の開始前に実行するか否かの操作者の指定を受ける受付部と、
開始前に実行する指定が前記受付部により受けられたことに応じて前記形成部に画像形成を開始させる前に前記調整部に調整を実行させ、開始前に実行しない指定が前記受付部により受けられたことに応じて前記調整部に調整を実行させることなしに前記形成部に画像形成を開始させる制御部と、
として機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス環境又はリモートワーク環境などの構築のためにワークプレイスで用いられる機器の1つとして画像形成装置が知られている。
画像形成装置は、動作条件の変化に応じて画質が変化する。このため、所要の画質を維持するための画質維持制御が行われている。この画質維持制御は、画像形成動作を開始する直前に実行することが、所要の画質での画像形成を行うためには好ましい。
しかしながら、画像形成動作を行う必要が生じてから画質維持制御を実行すると、この画質維持制御が終了するまで画像形成動作を開始することができず、待ち時間が生じてしまう。
このような事情から、画質維持と待ち時間の短縮とをバランスよく実現できることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、画質維持と待ち時間の短縮とをバランスよく実現できる画像形成装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、形成部、調整部、受付部及び制御部を備える。形成部は、媒体に対して画像を形成する。調整部は、画像を形成する際の形成部の動作条件を調整する。受付部は、形成部による画像形成を開始する必要が生じ、かつ予め定められた実行条件が成立している場合に、調整部による調整を形成部による画像形成の開始前に実行するか否かの操作者の指定を受ける。制御部は、開始前に実行する指定が受付部により受けられたことに応じて形成部に画像形成を開始させる前に調整部に調整を実行させ、開始前に実行しない指定が受付部により受けられたことに応じて調整部に調整を実行させることなしに形成部に画像形成を開始させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係るMFPの機械的な構成を表す図。
【
図2】
図1に表されるMFPの制御に関わる構成を概略的に表すブロック図。
【
図3】
図2中のシステムコントローラ及びプリンタコントローラの要部回路構成を表すブロック図。
【
図4】
図3中のシステムコントローラに設けられたプロセッサによる制御処理における処理手順を表したフローチャート。
【
図5】
図3中のシステムコントローラに設けられたプロセッサによる制御処理における処理手順を表したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態を、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態では、画像形成装置をプリンタとして備えたMFP(multi-function peripheral)を例に説明する。
まず、本実施形態に係るMFPの構成について説明する。
図1は実施形態に係るMFP100の機械的な構成を表す図である。なお
図1は、MFP100の機械的な構成を厳密に表している訳では無く、一部の要素の形状及び位置関係は実際とは異なる場合もある。
【0008】
図1に表すように、MFP100は、スキャナ101及びプリンタ102を有する。
スキャナ101は、原稿の画像を読み取って、これに対応する画像データを生成する。スキャナ101は、例えばCCD(charge-coupled device)を用いたラインセンサなどのイメージセンサを用い、原稿の読取面からの反射光像に応じた画像データを生成する。スキャナ101は、原稿台に載置された原稿を、当該原稿に沿って移動するイメージセンサによりスキャンする。スキャナ101はあるいは、ADF(auto document feeder)が搬送する原稿を、固定されたイメージセンサによりスキャンする。
【0009】
プリンタ102は、画像形成の対象となる媒体に電子写真方式により画像を形成する。媒体は、典型的にはカット紙等のプリント用紙である。そこで以下では、媒体としてプリント用紙が用いられることとして説明する。ただし、媒体としては、カット紙とは別の紙製のシート材が用いられてもよいし、紙以外の樹脂等の素材のシート材が用いられてもよい。プリンタ102は、カラー画像をプリント用紙に印刷するカラー印刷機能と、モノクロの画像をプリント用紙に印刷するモノクロ印刷機能とを有する。プリンタ102は、例えばイエロー、マゼンタ及びシアンの3色、あるいはこれにブラックを加えた4色のトナーをそれぞれ用いた要素画像を重ね合わせて形成することによってカラー画像を形成する。また、プリンタ102は、例えばブラックのトナーを用いてモノクロ画像を形成する。ただしプリンタ102は、カラー印刷機能及びモノクロ印刷機能のいずれか一方のみを備えてもよい。
【0010】
図1に表す構成例において、プリンタ102は、給紙ユニット1、プリントエンジン2、定着ユニット3、ADU(automatic duplexing unit)4及び排紙トレイ5を含む。
給紙ユニット1は、給紙カセット10-1,10-2,10-3、ピックアップローラ11-1,11-2,11-3、搬送ローラ12-1,12-2,12-3、搬送ローラ13及びレジストローラ14を含む。
給紙カセット10-1~10-3は、プリント用紙を積み重ねた状態で収納する。給紙カセット10-1~10-3がそれぞれ収納するプリント用紙は、サイズ及び材質が異なる別種のプリント用紙であっても、同種のプリント用紙であってもよい。給紙ユニット1は、他に、手差しトレイを含んでもよい。
【0011】
ピックアップローラ11-1~11-3は、各給紙カセット10-1~10-3からプリント用紙を一枚ずつ取り出す。ピックアップローラ11-1~11-3は、取り出したプリント用紙を搬送ローラ12-1~12-3へと送り込む。
搬送ローラ12-1~12-3は、ピックアップローラ11-1~11-3から送り込まれたプリント用紙を、図示しないガイド部材などにより形成された搬送路を介して搬送ローラ13へと送り込む。
【0012】
搬送ローラ13は、搬送ローラ12-1~12-3のいずれかから送り込まれたプリント用紙を更に搬送し、レジストローラ14へと送り込む。
レジストローラ14は、プリント用紙の傾きを正す。レジストローラ14は、プリントエンジン2へとプリント用紙を送り込むタイミングを調整する。
給紙カセット、ピックアップローラ及び搬送ローラは、3組に限定されるものではなく、任意の組数が設けられてよい。また、手差しトレイを設けるのであれば、給紙カセットと、それと対をなすピックアップローラ及び搬送ローラとは、1組も設けなくてもよい。
【0013】
プリントエンジン2は、ベルト20、支持ローラ21,22,23,24、画像形成ユニット25-1,25-2,25-3,25-4、供給ユニット26-1,26-2,26-3,26-4、露光ユニット27、転写ローラ28及びベルトクリーナ29を含む。
ベルト20は、無端状をなし、
図1に表す状態を維持するように支持ローラ21,22,23,24により支持される。ベルト20は、支持ローラ21の回転に伴って、
図1中の反時計回りに回転する。ベルト20は、外側に位置する面(以下、像担持面と称する)に、プリント用紙に形成すべきトナーの像を一時的に担持する。つまりベルト20は、像担持体の一例である。ベルト20には、耐熱性及び対磨耗性の点から、例えば半導電性ポリイミドが用いられる。ベルト20の回転に伴う像担持面の移動により、いわゆる副走査が実現されるのであり、像担持面の移動方向は副走査方向とも呼ばれる。
【0014】
画像形成ユニット25-1~25-4は、それぞれが感光体、帯電器、現像器、転写器及びクリーナを含み、露光ユニット27との協働により電子写真方式による画像形成を行う。なお、転写器は、画像形成ユニット25-1~25-4に含まれず、ベルト20を含むユニットなどの別のユニットに含まれてもよいし、いずれのユニットにも属さない状態で存在していてもよい。画像形成ユニット25-1~25-4は、それぞれの感光体の軸方向が互いに平行する状態で、ベルト20に沿って配列されている。画像形成ユニット25-1~25-4は、用いるトナーの色が異なるのみであり、構造及び動作は同様である。画像形成ユニット25-1は、例えばブラックの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-2は、例えばシアンの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-3は、例えばマゼンタの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-4は、例えばイエローの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-1~25-4は、各色の要素画像を、ベルト20の像担持面上で互いに重なり合うようにする。これにより、画像形成ユニット25-1~25-4は、画像形成ユニット25-1を通過した時点におけるベルト20の像担持面上に、各色の各要素画像を重ね合わせたカラー画像を形成する。
【0015】
供給ユニット26-1,26-2,26-3,26-4は、トナーを収容したトナーボトルを着脱可能であり、装着されているトナーボトルに収容されているトナーを画像形成ユニット25-1~25-4にそれぞれ供給する。トナーボトルには、トナーが単独で、つまりいわゆる1成分現像剤として収容されていてもよいし、トナーとキャリアなどの他の物質とを混合した、いわゆる多成分現像剤として収容されていてもよい。トナーボトルが多成分現像剤を収容する場合、供給ユニット26-1,26-2,26-3,26-4は、キャリア等の物質とともにトナーを供給する。ただし、供給ユニット26-1~26-4から画像形成ユニット25-1~25-4へと供給されるトナーが通過する通路の図示は
図1では省略している。
【0016】
露光ユニット27は、画像形成ユニット25-1~25-4のそれぞれの感光体を、各色の要素画像を表した画像データに従って露光する。露光ユニット27としては、レーザスキャナ又はLED(light emitting diode)ヘッドなどが用いられる。露光ユニット27は、レーザスキャナが用いられるならば例えば、半導体レーザ素子、ポリゴンミラー、結像レンズ系及びミラーを含む。そしてこの場合の露光ユニット27は例えば、半導体レーザ素子から画像データに従って出射されたレーザビームを、ミラーによる出射方向の切り替えによって画像形成ユニット25-1~25-4のそれぞれの感光体に選択的に入射させる。また露光ユニット27は、上記のレーザビームを、ポリゴンミラーによって感光体の軸方向(
図1中の奥行き方向)に走査する。このレーザビームの走査は、いわゆる主走査であり、その方向は主走査方向と呼ばれる。
【0017】
転写ローラ28は、支持ローラ24と平行に配置され、支持ローラ24との間にベルト20を挟み込む。転写ローラ28は、レジストローラ14から送り出されたプリント用紙を、ベルト20の像担持面との間に挟み込む。そして転写ローラ28は、ベルト20の像担持面に形成されたトナーの像を、静電力を利用してプリント用紙に対して転写する。
ベルトクリーナ29は、プリント用紙に転写し切れずにベルト20の像担持面に残留したトナーを除去する。
かくしてプリントエンジン2は、レジストローラ14により送り込まれるプリント用紙に対して、電子写真方式により画像を形成する。つまりプリントエンジン2は、形成部の一例である。
【0018】
定着ユニット3は、定着ローラ30及び加圧ローラ31を含む。
定着ローラ30は、例えば耐熱性の金属ローラの内部にヒータを収容する。ヒータは、例えばIH(induction heating)ヒータであるが、他の任意のタイプのヒータを適宜に利用できる。定着ローラ30は、プリントエンジン2から送り出されるプリント用紙に付着したトナーを溶融させることによって、当該トナーをプリント用紙に定着させる。
加圧ローラ31は、定着ローラ30と平行して、かつ定着ローラ30に対して押圧された状態で設けられている。加圧ローラ31は、プリントエンジン2から送り出されたプリント用紙を定着ローラ30との間に挟み込み、定着ローラ30へと押しつける。
【0019】
ADU4は、複数のローラを含み、次の2つの動作を選択的に行う。第1の動作は、定着ユニット3を通過したプリント用紙をそのまま排紙トレイ5に向けて送り出す。この第1の動作は、片面プリント又は両面プリントを終えた場合に行われる。第2の動作は、定着ユニット3を通過したプリント用紙を、一旦は排紙トレイ5の側へと搬送したのち、スイッチバックさせてプリントエンジン2へと送り込む。この第2の動作は、両面プリントにおける一面のみへの画像形成を終えた場合に行われる。
排紙トレイ5は、画像が形成されて排出されたプリント用紙を受ける。
【0020】
図2はMFP100の制御に関わる構成を概略的に表すブロック図である。なお
図2において、
図1に示されるのと同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
MFP100は、スキャナ101及びプリンタ102に加えて、通信ユニット103、システムコントローラ104及びオペレーションパネル105を含む。
【0021】
通信ユニット103は、LAN(local area network)及び公衆通信網などの通信ネットワークを介して、コンピュータ装置などの情報端末及びファクシミリ装置などの画像端末と通信するための処理を行う。
システムコントローラ104は、MFP100としての所期の動作を実現するために、MFP100を構成する各部を統括的に制御する。なお、MFP100としての所期の動作は、例えば既存のMFPにより実現される種々の機能を実現するための動作である。
【0022】
オペレーションパネル105は、入力デバイス及び表示デバイスを含む。オペレーションパネル105は、入力デバイスにより、操作者による指示を入力する。オペレーションパネル105は、表示デバイスにより、操作者に対して通知すべき各種の情報を表示する。オペレーションパネル105としては例えば、タッチパネル、各種のスイッチ及び各種のランプ等を単独で、あるいは適宜に組み合わせて利用できる。
【0023】
プリンタ102が備える前述した定着ユニット3、ADU4、画像形成ユニット25-1~25-4、露光ユニット27及び転写ローラ28は、制御の対象となる要素である。プリンタ102はこれらに加えて、モータ群6を制御の対象となる要素として含む。モータ群6は、ピックアップローラ11-1~11-3、搬送ローラ12-1~12-3、搬送ローラ13、レジストローラ14、支持ローラ21、転写ローラ28、定着ローラ30、画像形成ユニット25-1~25-4に含まれる各種の回転体、さらにはADU4に含まれるローラなどを回転させるための複数のモータを含む。
【0024】
プリンタ102はさらに、センサ群7、プリンタコントローラ81、形成コントローラ82、露光コントローラ83、転写コントローラ84、定着コントローラ85、反転コントローラ86及びモータコントローラ87を含む。
【0025】
センサ群7は、装置の動作状態を監視するための各種のセンサを含む。センサ群7には、画質センサ群71を含む。
画質センサ群71は、
図1に表すように、ベルト20の像担持面のうちで画像形成ユニット25-1と転写ローラ28との間に位置する領域に対向して配置されている。画質センサ群71は、ベルト20の像担持面に形成されている画像の濃度及び形成位置の測定のための複数のセンサを含む。例えば、画質センサ群71は、ベルト20のフロント側、センタ及びリア側の3箇所に位置するように主走査方向に並べて3つの濃度センサを含む。濃度センサは例えば、ベルト20の像担持面での反射光量を測定する反射型の光センサである。
【0026】
プリンタコントローラ81は、システムコントローラ104の制御の下に、プリンタ102としての所期の動作を実現するために、プリンタ102を構成する各部を総括的に制御する。
形成コントローラ82、露光コントローラ83、転写コントローラ84、定着コントローラ85、反転コントローラ86及びモータコントローラ87は、いずれもプリンタコントローラ81の制御の下に動作し、画像形成ユニット25-1~25-4、露光ユニット27、転写ローラ28、ADU4及びモータ群6の動作をそれぞれ制御する。
【0027】
図3はシステムコントローラ104及びプリンタコントローラ81の要部回路構成を表すブロック図である。
システムコントローラ104は、プロセッサ1041、メインメモリ1042、補助記憶ユニット1043、インタフェースユニット1044及び伝送路1045を含む。
【0028】
プロセッサ1041、メインメモリ1042及び補助記憶ユニット1043を伝送路1045で接続することによって、MFP100を構成する各部を統括的に制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ1041は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ1041は、オペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラム等の情報処理プログラムに従って、後述する情報処理を実行する。
【0029】
メインメモリ1042は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ1042は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メインメモリ1042は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメインメモリ1042は、プロセッサ1041が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ1042は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ1041によるワークエリアとして使用する。
【0030】
補助記憶ユニット1043は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット1043としては、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)及びSSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。補助記憶ユニット1043は、プロセッサ1041が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ1041での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット1043は、情報処理プログラムを記憶する場合もある。本実施形態では、補助記憶ユニット1043は、制御プログラムPRAを記憶する。制御プログラムPRAは、MFP100の制御のための情報処理について記述された情報処理プログラムである。また補助記憶ユニット1043は、ユーザデータベースDBAを保存する。ユーザデータベースDBAは、MFP100のユーザを管理するためのデータベースである。ユーザデータベースDBAは、ユーザの個々を識別するための識別子としてのユーザコードに関連付けて、そのユーザによるMFP100の利用に関わる諸設定を表した設定データを含む。
インタフェースユニット1044は、スキャナ101、通信ユニット103、オペレーションパネル105及びプリンタコントローラ81との間でのデータの授受を仲介する。
【0031】
プリンタコントローラ81は、プロセッサ811、メインメモリ812、補助記憶ユニット813、インタフェースユニット814及び伝送路815を含む。
プロセッサ811、メインメモリ812及び補助記憶ユニット813を伝送路815で接続することによって、プリンタ102を構成する各部を総括的に制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ811は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ811は、オペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラム等の情報処理プログラムに従って、後述する情報処理を実行する。
【0032】
メインメモリ812は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ812は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メインメモリ812は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメインメモリ812は、プロセッサ811が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ812は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ811によるワークエリアとして使用する。
【0033】
補助記憶ユニット813は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット813としては、例えばEEPROM、HDD及びSSD等の周知の記憶デバイスを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。補助記憶ユニット813は、プロセッサ811が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ811での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット813は、情報処理プログラムを記憶する場合もある。本実施形態では、補助記憶ユニット813は、調整プログラムPRBを記憶する。調整プログラムPRBは、画質維持のための調整動作のための情報処理について記述された情報処理プログラムである。
インタフェースユニット814は、システムコントローラ104、センサ群7、形成コントローラ82、露光コントローラ83、転写コントローラ84、定着コントローラ85、反転コントローラ86及びモータコントローラ87との間でのデータの授受を仲介する。
【0034】
次に以上のように構成されたMFP100の動作について説明する。以下に説明する各種の動作及び各種の処理の内容は一例であって、一部の動作及び処理の順序の変更、一部の動作及び処理の省略、あるいは別の動作及び処理の追加などは適宜に可能である。
なお、以下においては、同種の既存のMFPの動作とは異なる動作を中心に説明し、その他の動作の説明は省略する。なお、本実施形態におけるMFP100の動作で特徴的なのは、画質維持のための調整動作の実行制御である。
【0035】
まずは、実行制御の対象となる調整動作について簡単に説明する。
画像形成ユニット25-1~25-4によりそれぞれ形成される要素画像の濃度及び階調再現性は、例えば現像コントラスト電位、露光量、画像データの処理におけるスクリーンの割合などの変動に応じて変動する。また画像形成ユニット25-1~25-4により形成される要素画像の濃度及び階調再現性は、例えば周囲環境、あるいは感光体及びベルト20の劣化具合など、画像形成の際の前提条件の影響によっても変動する。また画像形成ユニット25-1~25-4によりそれぞれ形成される要素画像の相対的な位置関係が変動することもある。そしてこれらの変動の影響により、プリンタ102により形成される画像の画質が変動する。このような画質の変動を補償し、予め定められた画質を維持するための動作が画質維持のための調整動作である。
【0036】
調整動作はより具体的には例えば、ベルト20の像担持面でのテストパターンの形成状況を、画質センサ群71を用いて測定し、画像形成ユニット25-1~25-4のそれぞれの動作条件を調整する動作である。このため、調整動作の実行中は、プリンタ102を用いるジョブを実行できない。
調整動作は、例えばプロセッサ811が調整プログラムPRBに基づく情報処理を実行してプリンタ102の各部を動作させることにより実現される。かくして調整プログラムPRBに基づく情報処理をプロセッサ811が実行することによって、プロセッサ811を中枢部分とするコンピュータは調整部として機能する。
【0037】
さて、MF100が、プリンタ102による画像形成を伴うジョブを実行可能とする動作状態にあるとき、システムコントローラ104にてプロセッサ1041は、調整動作の実行を制御するための制御処理を制御プログラムPRAに基づいて実行する。
図4及び
図5は制御処理におけるプロセッサ1041の処理手順を表したフローチャートである。
【0038】
MFP100がいずれのジョブも実行する必要のない状態において、プロセッサ1041はACT1として、MFP100の使用が開始されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ1041は、予め定められた事象が発生すると、使用が開始されたとしてYESと判定し、ACT2へと進む。プロセッサ1041は例えば、オペレーションパネル105に含まれるタッチパネルで、画面へのタップが検出されたことに応じて、使用が開始されたと判定する。プロセッサ1041は例えば、
図2には表されず、システムコントローラ104に接続されたカードリーダにてID(identification)カードの近接が検出されたことに応じて、使用が開始されたと判定する。プロセッサ1041は例えば、
図2には表されず、システムコントローラ104に接続された人感センサにより人体の近接が検出されたことに応じて、使用が開始されたと判定する。なお、どのような事象の発生を使用の開始とするかは、例えばFP100の設計者などによって適宜に定められてよい。
【0039】
ACT2としてプロセッサ1041は、操作者の認証が必要であるか否かを確認する。そしてプロセッサ1041は、操作者の認証が必要な状況であるならばYESと判定し、ACT3へと進む。プロセッサ1041は例えば、MFP100の動作設定にて操作者認証を必須とする設定となっている場合、操作者認証が必要であると判定する。プロセッサ1041は例えば、MFP100の動作設定にてIDカードによる操作者認証を許容する設定となっており、カードリーダにてIDカードが読み取られた場合、操作者認証が必要であると判定する。プロセッサ1041は例えば、オペレーションパネル105での予め定められた操作により操作者認証の実行が指示された場合、操作者認証が必要であると判定する。なお、どのような場合に操作者認証が必要であるとするかは、例えばFP100の設計者などによって適宜に定められてよい。
【0040】
ACT3としてプロセッサ1041は、操作者を認証するための認証処理を実行する。認証処理は、MFP100を操作している操作者が予めユーザ登録されている複数のユーザのうちのどのユーザであるかを特定するための処理である。認証処理は、周知の処理であって構わない。プロセッサ1041は、認証処理を終えたならば、ACT4へと進む。なおプロセッサ1041は、認証に失敗した場合には、ACT1の待ち受け状態に戻るなどしてACT4へと進まないようにしてもよい。プロセッサ1041は、操作者認証が不要であるならば、ACT2にてNOと判定し、ACT3をパスしてACT4へと進む。
【0041】
ACT4としてプロセッサ1041は、使用するジョブが指定されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ1041は、例えばオペレーションパネル105での予め定められた操作によりジョブが指定されるとYESと判定し、ACT5へと進む。
ACT5としてプロセッサ1041は、指定されたジョブの実行に際して、プリンタ102を用いての画像形成を行う必要があるか否かを確認する。そしてプロセッサ1041は、例えばスキャンジョブなどのような画像形成の必要の無いジョブが指定されたならばNOと判定し、そのジョブを実行するため、後述する処理とは別の処理へと進む。なお、この場合の処理は、例えば既存の別のMFPにおける処理と同様であってよく、ここでの説明は省略する。これに対してプロセッサ1041は、プリントジョブ及びコピージョブなどのような画像形成の必要の有るジョブが指定されたならばYESと判定し、
図5中のACT6へと進む。
【0042】
ACT6としてプロセッサ1041は、調整動作の実行条件が成立しているか否かを確認する。実行条件は、プリンタ102により形成される画像の画質の低下が見込まれる状況となるか、それよりも少し早く成立するように予め定められる。実行条件は、例えばMFP100の設計者又は管理者などにより適宜に定められて構わない。
【0043】
一例として実行条件は、画像形成動作を終了してからの画像形成動作の停止期間が、例えば15分などとして予め定められた時間を越えている場合として定められる。一例として実行条件は、調整動作を前回に実行した際の機体内温度と現在の機体内温度との差が、例えば1℃などとして予め定められた温度差を越えている場合として定められる。一例として実行条件は、調整動作を前回に実行した際の機体内湿度と現在の機体内湿度との相対変化が、例えば10%などとして予め定められた変化量を越えている場合として定められる。一例として実行条件は、調整動作を前回に実行してからの画像形成の積算枚数が、例えば1000枚として予め定められた枚数を越えている場合として定められる。一例として実行条件は、トナーエンプティ状態から復帰した場合として定められる。
実行条件は、上記例のような異なる複数種の条件の1つのみ有効としてもよいし、複数種をいずれも有効としてもよい。
【0044】
プロセッサ1041は、実行条件が成立しているならばACT6にてYESと判定し、ACT7へと進む。
ACT7としてプロセッサ1041は、拒否ユーザであるか否かを確認する。拒否ユーザとは、後述する確認動作の実行を拒否することを予め宣言しているユーザである。拒否ユーザであるか否かは、ユーザデータベースDBAに記述される。プロセッサ1041は例えば、ACT3で操作者認証に成功している場合に、ユーザデータベースDBAを参照し、該当のユーザのユーザコードに関連付けて拒否ユーザではないことが記述されていることを確認したならばNOと判定し、ACT8へと進む。
【0045】
ACT8としてプロセッサ1041は、強制条件が成立するか否かを確認する。強制条件については、後述する。プロセッサ1041は、強制条件が成立しないならばNOと判定し、ACT9へと進む。
ACT9としてプロセッサ1041は、第1の確認画面を、例えばオペレーションパネル105が備える表示デバイスに表示させる。プロセッサ1041は例えば、既にデバイスに表示されている画面に重ねたポップアップ画面として第1の確認画面を表示させる。第1の確認画面は、調整動作を実行するか否かを操作者に指定させるための操作画面である。第1の確認画面は、調整動作を実行するタイミングをジョブの開始前及び終了後のいずれとするかを操作者に指定させるための操作画面でもある。
【0046】
図6は一例としての第1の確認画面SCAを表す図である。
第1の確認画面SCAは、調整動作に関する指定を促す文字メッセージと、ボタンBUA,BUB,BUCを表す。なお文字メッセージ中の「画像安定化制御」は、調整動作のことである。ボタンBUAは、ジョブの開始前に調整動作を実行すること(以下、即時実行と称する)を操作者が指定するためのソフトキーである。ボタンBUBは、調整動作を実行しないこと(以下、無実行と称する)を操作者が指定するためのソフトキーである。ボタンBUCは、ジョブの終了後に調整動作を実行すること(以下、事後実行と称する)を操作者が指定するためのソフトキーである。
【0047】
操作者は、例えば実行しようとしているジョブで行われる画像形成における画質低下を望まない場合などにおいて即時実行を希望するならば、例えばボタンBUAをタップするなどの予め定められた操作により即時実行を指定する。操作者は、例えば実行しようとしているジョブで行われる画像形成における画質低下は容認し、速やかにジョブが開始されることを希望する場合などにおいては、例えばボタンBUBにタップするなどの予め定められた操作により無実行を指定するか、例えばボタンBUCにタップするなどの予め定められた操作により事後実行を指定する。
【0048】
プロセッサ1041は、第1の確認画面を表示させた状態で、ACT11へと進む。
ACT11としてプロセッサ1041は、即時実行が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ1041は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT12へと進む。
ACT12としてプロセッサ1041は、無実行が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ1041は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT13へと進む。
ACT13としてプロセッサ1041は、事後実行が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ1041は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT11へと戻る。
かくしてプロセッサ1041はACT11~ACT13としては、即時実行、無実行及び事後実行のいずれかが指定されるのを待ち受ける。そしてプロセッサ1041は、前述のように即時実行が指定されたことを確認できたならば、ACT11にてYESと判定し、ACT14へと進む。なおプロセッサ1041は、拒否ユーザであることが確認できたならばACT7にてYESと判定し、ACT8~ACT11はパスして、つまり操作者の指定を受けること無しにACT14へと進む。
ACT14としてプロセッサ1041は、調整動作の開始をプリンタコントローラ81に指示する。この指示に応じてプリンタコントローラ81にてプロセッサ811は、調整動作のための情報処理を調整プログラムPRBに基づいて実行する。
【0049】
ACT15としてプロセッサ1041は、調整動作が終了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ1041は、プロセッサ811の制御の下での調整動作が終了するとYESと判定してACT16へと進む。
なおプロセッサ1041は、ACT6にて、実行条件が成立していないためにNOと判定した場合は、ACT7~ACT15を実行すること無しにACT16へと進む。またプロセッサ1041は、ACT11~ACT13の待ち受け状態にて無実行が指定された場合は、ACT12にてYESと判定し、ACT14及びACT15を実行すること無しにACT16へと進む。つまりこれらの場合は、調整動作を実行すること無しにACT16へと進む。
【0050】
ACT16としてプロセッサ1041は、ACT4で指定されたジョブを実行するための制御処理(以下、ジョブ制御と称する)を開始する。プロセッサ1041は、このジョブ制御を、例えば
図4及び
図5に表す制御処理とは別スレッドの処理として実行する。
ACT17としてプロセッサ1041は、ジョブ制御の下でのジョブが終了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ1041は、ジョブが終了したならばYESと判定し、
図4中のACT1の待ち受け状態に戻る。
【0051】
一方、プロセッサ1041は、ACT11~ACT13の待ち受け状態にあるときに事後実行が指定されたならば、ACT13にてYESと判定し、ACT18へと進む。
ACT18としてプロセッサ1041は、ACT16と同様に、ジョブ制御を開始する。
ACT19としてプロセッサ1041は、ACT17と同様に、ジョブが終了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ1041は、ジョブが終了したならばYESと判定し、ACT20へと進む。
【0052】
ACT20としてプロセッサ1041は、ACT14と同様に、調整動作の開始をプリンタコントローラ81に指示する。
ACT21としてプロセッサ1041は、ACT15と同様に、調整動作が終了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ1041は、調整動作が終了するとYESと判定して
図4中のACT1の待ち受け状態に戻る。
【0053】
さて、プロセッサ1041は、ACT8にて強制条件が成立していることを確認したならば、YESと判定してACT10へと進む。強制条件は、ACT12にてYESと判定されて調整動作が実行されない状態が継続した場合に成立するように予め定められる。強制条件は、例えばMFP100の設計者又は管理者などにより適宜に定められて構わない。
【0054】
一例として強制条件は、ACT11~ACT13の待ち受け状態で無実行の指定が規定回数連続して繰り返されていた場合として定められる。この場合にプロセッサ1041は例えば、ACT12にてYESと判定した場合にカウント値をカウントアップし、ACT14又はACT20を実行した場合にカウント値をクリアする。そしてプロセッサ1041は、ACT8においては、カウント値が規定値に到達しているならばYESと判定する。
【0055】
一例として強制条件は、ACT14又はACT20を前回に実行してからの経過時間が予め定められた規定時間に到達している場合として定められる。この場合にプロセッサ1041は例えば、ACT14又はACT20を実行してからの経過時間を計測しておく。そしてプロセッサ1041は、ACT8においては、この測定した経過時間が規定時間を越えている場合にYESと判定する。
【0056】
ACT10としてプロセッサ1041は、第2の確認画面を例えばオペレーションパネル105が備える表示デバイスに表示させる。プロセッサ1041は例えば、既にデバイスに表示されている画面に重ねたポップアップ画面として第1の確認画面を表示させる。第2の確認画面は、調整動作を実行するタイミングをジョブの開始前及び終了後のいずれとするかを操作者に指定させるための操作画面である。
【0057】
図7は一例としての第2の確認画面SCBを表す図である。
第2の確認画面SCBは、調整動作に関する指定を促す文字メッセージと、ボタンBUA,BUCを表す。
つまり第2の確認画面SCBは、第1の確認画面SCAからボタンBUBを省いた画面である。
【0058】
プロセッサ1041は、ACT10にて第2の確認画面を表示させた場合も、その状態でACT11~ACT13の待ち受け状態に進む。しかしながら第2の確認画面は、無実行の指定を受けない画面であるので、第2の確認画面の表示中においては、プロセッサ1041はACT12にてYESと判定することはない。従ってプロセッサ1041は、ACT14又はACT20のいずれかに進み、調整動作を実行する。
【0059】
このようにプロセッサ1041は、即時実行が指定された場合において、画像形成を伴うジョブの開始前、つまり画像形成の開始前に調整処理を実行させる。つまりプロセッサ1041は、調整動作を画像形成の開始前に実行するか否かの操作者の指定を受けているのであり、制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1041が実行することによって、プロセッサ1041を中枢部分とするコンピュータは、そのような指定を受ける受付部として機能する。またプロセッサ1041は、指定に応じて、画像形成の開始前に調整動作を実行するか否かを制御しているのであり、制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1041が実行することによって、プロセッサ1041を中枢部分とするコンピュータは、そのような制御を行う制御部として機能する。
【0060】
またプロセッサ1041は、画像形成の開始前に調整動作を実行しない指定の1つである事後実行が指定された場合には、画像形成の終了後に調整動作を実行させる。かくしてプロセッサ1041は、制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1041が実行することによって、画像形成の開始前に調整動作を実行しない指定に応じて、画像形成の終了後に調整動作を実行させる制御部として機能する。
【0061】
またプロセッサ1041は、調整動作を画像形成の開始前に実行しない場合の指定として、事後実行又は無実行の指定を受ける。この指定は、調整動作を画像形成の終了後に実行するか否かの指定に相当する。そしてプロセッサ1041は、指定に応じて、事後実行とするか、無実行とするかを制御する。かくしてプロセッサ1041は、制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1041が実行することによって、調整動作を画像形成の終了後に実行するか否かの指定を受ける受付部と、このように受付部により受けられた指定に応じて画像形成後に調整動作を実行するか否かを制御する制御部として機能する。
【0062】
またプロセッサ1041は、強制条件が成立しているために第2の確認画面により操作者の指定を受けるときには、調整動作を画像形成の終了後に実行するか否かの指定を受けない。そしてプロセッサ1041は、調整動作を画像形成の開始前に実行しない場合は、調整動作を画像形成の終了後に実行させる。かくしてプロセッサ1041は、制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1041が実行することによって、強制条件が成立している場合に調整動作を画像形成の終了後に実行するか否かの指定を受けない受付部と、この場合の調整動作を画像形成の開始前又は終了後に実行させる制御部として機能する。
【0063】
またプロセッサ1041は、操作者が拒否ユーザとして予め定められたユーザである場合は、調整動作の実行に関する操作者の指定を受け付けず、開始前及び開始後のいずれか予め定められたタイミングで調整動作を実行させる。かくしてプロセッサ1041は、制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1041が実行することによって、拒否ユーザによる指定を受けない受付部と、予め定められたタイミングで調整動作を実行させる制御部として機能する。
【0064】
以上のようにMFP100は、実行条件が成立している状況でプリンタ102による画像形成を開始する必要が生じたならば、画像形成の開始前に調整動作を実行するか否かを操作者に指定させる。そしてMFP100は、画像形成の開始前に調整動作を実行するかどうかを操作者の指定に応じて決定する。かくして、操作者が画質を重視するならば、画像形成の開始前に調整動作を実行して規定の画質での画像形成を行うことが可能である。反面、操作者が画像形成の完了を急ぐならば、画像形成の開始前に調整動作を行うことなく、画像形成を速やかに開始することで、画像形成の完了を早めることが可能である。かくしてMFP100によれば、ユーザニーズに応じて、画質維持と待ち時間の短縮とをバランスよく実現できる。
【0065】
またMFP100は、事後調整が指定されたならば、調整動作を行うことなしに画像形成を開始した上で、当該の画像形成の終了後に調整動作を実行する。かくして、次に画像形成を開始する必要が生じるまでの空き時間があるならば、その間に調整動作を実行することが可能である。
【0066】
またMFP100は、画像形成の開始前に調整動作を実行しない場合に、画像形成の終了後に調整動作を実行するか否かを操作者による指定に応じて決定する。かくして、例えば操作者が複数回の画像形成を急ぎ繰り返したい場合などにおいては、画像形成の終了後に調整動作を実行しないことにより、そのようなユーザニーズに応じることができる。
【0067】
またMFP100は、強制条件が成立するならば、無実行の指定を受け付けない。これにより、実行条件が成立しているにも拘わらずに長期間に渡って調整動作が実行されないことが防止され、画質が極端に低下してしまうことを防止できる。
【0068】
またMFP100は、操作者が拒否ユーザである場合には、操作者による指定を受けることなしに画像形成の開始前に調整動作を実行する。かくして、画質を重視するために調整動作の実行の有無の確認を好まないユーザは、拒否ユーザとして予め登録しておくことによって、調整動作の実行に関する指定を省くことが可能である。
【0069】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
実行条件が成立した場合に、即時実行及び事後実行のいずれかの指定のみを受けるのでも構わない。この場合、ACT7にてNOと判定した場合にACT10へと進むこととし、ACT8、ACT9及びACT12は行わないようにする。
【0070】
実行条件の成立時に、常に無実行の指定を受けてもよい。この場合、プロセッサ1041は例えば、ACT7にてNOと判定した場合にACT9へと進むこととし、ACT8及びACT10は行わないようにする。
【0071】
操作者が拒否ユーザである場合は、事後実行が指定されたものとしてもよい。この場合、プロセッサ1041は例えば、ACT7にてYESと判定したことに応じてACT18へと進むようにする。
【0072】
操作者が拒否ユーザである場合は、無実行が指定されたものとしてもよい。この場合、プロセッサ1041は例えば、ACT7にてYESと判定したことに応じてACT16へと進むようにする。
【0073】
拒否ユーザ毎に、即時実行及び事後実行のいずれか、あるいはさらに無実行も含めたうちの1つを予め定めておくようにし、操作者が拒否ユーザである場合は、その拒否ユーザに対して予め定められたものが指定されたものとしてもよい。この場合、プロセッサ1041は例えば、ACT7にてYESと判定したことに応じて操作者となっているユーザの設定を確認し、即時実行であるならばACT14へ、無実行であるならばACT16へ、事後実行であるならばACT18へと進むようにする。
【0074】
操作者がどのユーザであるかに拘わらずに、調整動作の実行に関する指定を受けるようにしてもよい。この場合、プロセッサ1041は例えば、ACT6にてYESと判定したことに応じて、ACT8、ACT9又はACT10のいずれかに進むようにする。
【0075】
ジョブが画像形成以外の動作も含むならば、画像形成以外の動作は調整動作の完了前に開始させてもよい。例えばプロセッサ1041は、実行対象がコピージョブであるならば、調整動作を行いつつ、原稿の読取動作を行わせてもよい。
【0076】
画像形成を行う装置であれば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などのMFP以外の各種装置においても上記と同様の実施が可能である。
【0077】
画像形成ユニットの数は4つには限らず、少なくとも1つを有していればよい。
【0078】
例えばインクジェット方式などのような電子写真方式とは別の方式により画像形成を行う画像形成装置であってもよい。
【0079】
情報処理によりプロセッサ1041が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1…給紙ユニット、2…プリントエンジン、3…定着ユニット、4…ADU、5…排紙トレイ、6…モータ群、7…センサ群、20…ベルト、21~24…支持ローラ、25-1~25-4…画像形成ユニット、26-1~26-4…供給ユニット、27…露光ユニット、28…転写ローラ、29…ベルトクリーナ、71…画質センサ群、81…プリンタコントローラ、82…形成コントローラ、83…露光コントローラ、84…転写コントローラ、85…定着コントローラ、86…反転コントローラ、87…モータコントローラ、101…スキャナ、102…プリンタ、103…通信ユニット、104…システムコントローラ、105…オペレーションパネル、811,1041…プロセッサ、812,1042…メインメモリ、813,1043…補助記憶ユニット、814,1044…インタフェースユニット、815,1045…伝送路。