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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165162
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】誘導加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
H05B6/12 324
H05B6/12 303
H05B6/12 313
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075844
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】文屋 潤
(72)【発明者】
【氏名】竹下 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】吉田 秀人
(72)【発明者】
【氏名】栗城 勇介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匡薫
(72)【発明者】
【氏名】倉本 康司
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151BA44
3K151CA48
(57)【要約】
【課題】加熱動作中の電力投入状況に応じて使用者が意図するタイミングで複数のインバータの駆動時間のバランスを変更することでき、使い勝手のよい誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】誘導加熱調理器は、被加熱物が載置される加熱口を複数有する誘導加熱調理器であって、各加熱口の下方に設けられ、加熱口に載置された被加熱物を誘導加熱する複数のインバータと、複数のインバータに電力を供給する前段回路と、複数のインバータが互いに排他動作を行うように複数のインバータを時分割駆動させる制御装置と、使用者により操作される操作部と、を備え、制御装置は、使用者の操作部に対する操作に基づいて、複数のインバータの駆動時間比を変更する駆動時間比変更モードを実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物が載置される加熱口を複数有する誘導加熱調理器であって、
各加熱口の下方に設けられ、前記加熱口に載置された前記被加熱物を誘導加熱する複数のインバータと、
前記複数のインバータに電力を供給する前段回路と、
前記複数のインバータが互いに排他動作を行うように前記複数のインバータを時分割駆動させる制御装置と、
使用者により操作される操作部と、を備え、
前記制御装置は、前記使用者の前記操作部に対する操作に基づいて、前記複数のインバータの駆動時間比を変更する駆動時間比変更モードを実行する
誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記制御装置は、前記複数のインバータのそれぞれにおいて予め設定された設定電力が投入されるように前記駆動時間比を変更する第1の駆動時間比変更モードを有し、前記使用者の前記操作部に対する操作に基づいて、前記第1の駆動時間比変更モードを実行する
請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記操作部は、複数の加熱口のうち優先する加熱口の選択を受け付けるものであり、
前記制御装置は、前記複数の加熱口のうち前記使用者により選択された加熱口に対応するインバータにおいて優先して設定電力が投入されるように前記駆動時間比を変更する第2の駆動時間比変更モードを有し、前記使用者の前記操作部に対する操作に基づいて、前記第2の駆動時間比変更モードを実行する
請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記操作部は、前記使用者による電力比率の設定を受け付けるものであり、
前記制御装置は、設定された前記電力比率に応じて前記駆動時間比を変更し、変更後の前記駆動時間比で前記複数のインバータを時分割駆動する第3の駆動時間比変更モードを有し、前記使用者により前記電力比率の設定が変更されると、前記第3の駆動時間比変更モードを実行する
請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記操作部は、前記使用者による前記複数の加熱口のそれぞれについて火力の設定の変更を受け付けるものであり、
前記制御装置は、前記複数の加熱口に設定された火力の比率に応じて前記複数のインバータのそれぞれの設定電力を変更し、前記駆動時間比が変更後の前記設定電力の比率と同一となるように前記駆動時間比を再設定する第4の駆動時間比変更モードを有し、前記使用者により前記複数の加熱口のうち1以上の加熱口に対して火力の設定が変更されると、前記第4の駆動時間比変更モードを実行する
請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【請求項6】
前記制御装置は、前記駆動時間比変更モードを実行する前に実行中の加熱動作を停止させ、その後、前記駆動時間比変更モードにおいて、変更後の前記駆動時間比で、前記複数の加熱口における負荷検知と加熱動作とを行う
請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のインバータを備えた誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱調理器において、複数の加熱口のそれぞれに対応したインバータを備えたものがある。また、このような誘導加熱調理器において、平滑コンデンサを含む前段回路の出力側に複数のインバータを並列に接続し、複数のインバータが互いに排他的に周期Tで時分割駆動されるものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1の誘導加熱調理器では、前段回路の出力側に第1のインバータ及び第2のインバータが並列に接続されており、まず、第1のインバータ及び第2のインバータのそれぞれの設定電力に基づいて期間T1及び期間T2が算出される。そして、期間T1における第1のインバータの出力電力と期間T2における第2のインバータの出力電力との差、すなわち切り替え時の電力変化量が基準量以下となるように駆動時間比(T1:T2)が調節される。第1のインバータ及び第2のインバータは、調節後の駆動時間比で駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5909674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1のインバータと第2のインバータとが互いに排他的に周期Tで時分割駆動される構成では、周期Tよりも短い期間T1又はT2の駆動によって各インバータが必要な設定電力を得るためには駆動中の出力電力を高くする必要があり、最大定格電力による電力制限がかかり易い。このため、第1のインバータと第2のインバータとが互いに排他的に駆動される誘導加熱調理器では、加熱動作中に最大定格電力により電力制限がかかった場合又は電力制限がかかりそうな場合に、複数のインバータの駆動時間のバランスを変更することが望まれる。しかしながら、特許文献1の誘導加熱調理器では、第1のインバータの設定電力と第2のインバータの設定電力との組み合わせによって駆動時間比は一意的に決定され、決定された駆動時間比で加熱が行われる。よって、特許文献1の誘導加熱調理器では、加熱動作中の電力投入状況に応じて使用者が意図するタイミングで複数のインバータの駆動時間のバランスを変更することができず、使い勝手が悪いものとなっていた。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、加熱動作中の電力投入状況に応じて使用者が意図するタイミングで複数のインバータの駆動時間のバランスを変更することでき、使い勝手のよい誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る誘導加熱調理器は、被加熱物が載置される加熱口を複数有する誘導加熱調理器であって、各加熱口の下方に設けられ、前記加熱口に載置された前記被加熱物を誘導加熱する複数のインバータと、前記複数のインバータに電力を供給する前段回路と、前記複数のインバータが互いに排他動作を行うように前記複数のインバータを時分割駆動させる制御装置と、使用者により操作される操作部と、を備え、前記制御装置は、前記使用者の前記操作部に対する操作に基づいて、前記複数のインバータの駆動時間比を変更する駆動時間比変更モードを実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の誘導加熱調理器において、制御装置は、使用者の操作部に対する操作に基づいて、複数のインバータの駆動時間比を変更する駆動時間比変更モードを実行する。これにより、加熱動作中の電力投入状況に応じて使用者が意図するタイミングで複数のインバータの駆動時間のバランスを変更することができる、使い勝手のよい誘導加熱調理器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る誘導加熱調理器の概略構成を示す回路図である。
図2図1の誘導加熱調理器の外観を示す概略平面図である。
図3図1の誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4図1の誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときに使用者の操作によりモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。
図5図3の例とは駆動時間比の初期値が異なる場合の2つのインバータの動作を示すタイミングチャートである。
図6図3の例とは設定電力が異なる場合の2つのインバータの動作を示すタイミングチャートである。
図7図1の誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときに制御装置により自動的にモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。
図8】実施の形態2に係る誘導加熱調理器の概略構成を示す回路図である。
図9図8の誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときに使用者の操作によりモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。
図10図8の誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図11図8の誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときに制御装置により自動的にモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。
図12】実施の形態3に係る誘導加熱調理器の概略構成を示す回路図である。
図13図12の誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図14図12の誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときに使用者の操作によりモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。
図15】実施の形態4に係る誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときに使用者の操作によりモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器100の概略構成を示す回路図である。図2は、図1の誘導加熱調理器の外観を示す概略平面図である。図1において、誘導加熱調理器100は商用電源200と接続されている。図1及び図2に基づき、誘導加熱調理器100の構成について説明する。
【0010】
(誘導加熱調理器100の構成)
図1に示されるように、誘導加熱調理器100は、複数の加熱コイル13a及び14aを含む回路と、加熱コイル13a、14aの上方に配置された天板2(図2参照)と、制御装置30と、使用者が操作する操作部4と、表示部20と、を備えている。
【0011】
図2に示されるように、天板2には、加熱領域である複数の加熱口1a及び1bが設けられている。加熱口1a、1bは、鍋又はフライパンといった被加熱物が載置される領域を示すよう、天板2に印刷で示されている。図1に示される例では、誘導加熱調理器100は2つの加熱コイル13a及び14aを備えている。図1及び図2に示されるように、本実施の形態では、天板2に2つの加熱口1a及び1bが左右に設けられ、各加熱口1a、1bの下方に円形状の加熱コイル13a、14aが配置されているものとして説明する。加熱口1a、1bは、加熱源である加熱コイル13a、14aの外形と同じ形状か、または、加熱コイル13a、14aの外形よりも若干大きい形状に形成される。本実施の形態では、加熱口1a、1bは円形状に形成されている。なお、加熱口1a、1bおよび加熱コイル13a、14aの数および形状は、図1及び図2に示す例に限定されるものではない。
【0012】
操作部4は、各加熱口1a、1bに応じた操作部4a及び4bを有している。各操作部4a、4bは、電源をオン又はオフするための電源スイッチ(不図示)、および火力を調節するための操作ダイヤル4a1、4b1などを含む。また、操作部4は、後述する複数のインバータの駆動時間比が変更される駆動時間比変更モードを実行するためのモードボタンを有している。本実施の形態では、制御装置30は、駆動時間比変更モードとして、制御装置30が駆動時間比を決定する自動比率設定モード(以下、第1の駆動時間比変更モードともいう)を有し、操作部4は、この自動比率設定モードに移行するためのモードボタン4m1を有するものとする。自動比率設定モードの詳細については、後述する。
【0013】
表示部20は、例えば液晶ディスプレイ等で構成され、各加熱口1a、1bの加熱状況又は各種設定値等を表示する。
【0014】
回路は、交流電源を整流する整流回路11と、整流回路11からの出力を平滑化するフィルタ回路12と、加熱コイル13aを含む共振回路13と、加熱コイル14aを含む共振回路14と、高周波電流を共振回路に供給するインバータと、を有している。図1に示される例では、誘導加熱調理器100は2つのインバータを備えている。
【0015】
整流回路11は、例えば、ブリッジ構成の複数のダイオード11aで構成されている。フィルタ回路12は、チョークコイル12a及び平滑コンデンサ12bを有している。2つのインバータのそれぞれは、複数のスイッチング素子を有している。後述する第1のインバータINV1は、スイッチング素子3a及び3bを有し、後述する第2のインバータINV2は、スイッチング素子3c及び3dを有する。共振回路13は、加熱コイル13a及び共振コンデンサ13bを有している。共振回路14は、加熱コイル14a及び共振コンデンサ14bを有している。
【0016】
図1に示されるように、1つの整流回路11の出力側に1つのフィルタ回路12が接続され、そのフィルタ回路12の出力側に2つのインバータINV1及びINV2が接続されている。そして、各インバータの出力側には共振回路13又は14が接続されている。2つのインバータのうち一方のインバータ(第1のインバータINV1)は、一方の加熱口(例えば、図2に示す天板2の右側に設けられた加熱口1a)に対応した加熱コイル13aに高周波電流を供給し、その加熱口1aに載置された被加熱物を誘導加熱する。また、2つのインバータのうち他方のインバータ(第2のインバータINV2)は、他方の加熱口(図2に示す天板2の左側に設けられた加熱口1b)に対応した加熱コイル14aに高周波電流を供給し、その加熱口1bに載置された被加熱物を誘導加熱する。
【0017】
以降の説明において、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とを特に区別しない場合には、それぞれを、インバータINVと称する。
【0018】
整流回路11及びフィルタ回路12は、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2に共通の前段回路10とされており、この前段回路10の出力段に第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とが並列に接続されている。前段回路10は、商用電源200を直流電圧に変換して、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2のそれぞれに印加する。ここで、このような回路構成において、前段回路10の出力段すなわちフィルタ回路12の出力段を母線と呼び、また、当該回路構成では2つのインバータINV1及びINV2の母線が共通接続されていることから、当該回路構成を母線共通方式と呼ぶ。
【0019】
このようにフィルタ回路12を含む前段回路10を、2つのインバータINV1及びINV2に対して共通化することにより、各インバータINVに前段回路10を設ける構成と比べ、回路部品の削減、並びに、回路の小型化及び軽量化を図っている。
【0020】
なお、図1に示されるインバータの回路方式は2つのスイッチング素子3a及び3bを組み合わせたハーフブリッジ回路方式としているが、この場合に限定されず、例えば、一石電圧共振回路方式、あるいはフルブリッジ回路方式等の他の回路方式でもよい。
【0021】
誘導加熱調理器100は、電流、電力、または抵抗(すなわち負荷)といった制御要素を検知する制御要素検知手段を備えている。図1に示される例では、制御要素検知手段として、整流回路11の電流すなわち入力電流を測定する電流検出器51、および各加熱コイル13a、14aの電流すなわちコイル電流を測定する電流検出器52a、52bが設けられている。制御装置30は、制御要素検知手段の検知結果に基づき、各インバータに投入された電力を検知する。また、本実施の形態では、制御装置30は、制御要素検知手段の検知結果に基づき、各加熱コイル13a、14aにおける負荷の状態を検知する。なお、制御要素検知手段の構成は上記の構成に限定されない。
【0022】
具体的には、負荷の状態として、各加熱コイル13a、14aの上方の被加熱物の有無、あるいは各加熱コイル13a、14aに載置された被加熱物の材質が判別される。加熱コイル13a、14aの上方に被加熱物が配置されている場合と、配置されていない場合とでは、その加熱コイル13a、14aの両端で測定したインピーダンスは異なる。また、被加熱物が鉄などの磁性金属である場合と、アルミニウム又は銅などの非磁性体である場合とでは、加熱コイル13a、14aの両端で測定したインピーダンスは異なる。このインピーダンスの違いを利用して、各加熱コイル13a、14a上に載置された被加熱物の負荷判定が行われる。インピーダンスの違いは、抵抗またはインダクタンスの変化として測定される。
【0023】
制御装置30は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Centl Processing Unit)で構成されている。なお、CPUは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はプロセッサともいう。
【0024】
制御装置30には、複数の電流検出器51、52a、52bの検出結果、及び操作部4を介した指示が入力される。制御装置30は、入力に応じて誘導加熱調理器100の動作を制御する。制御装置30は、2つのインバータのそれぞれに駆動信号であるPWM信号を送信する。各インバータINVは、PWM信号を受けて高周波駆動(例えば、周波数が20~100[kHz]での駆動)を行うことで、加熱コイル13a、14aに高周波電流を供給する。
【0025】
また、制御装置30は、複数の電流検出器51、52a、52bの検出結果に基づき、各加熱コイル13a、14aの負荷判定を行い、また、各インバータINVに使用者が所望する設定電力が投入できているかを判定する。
【0026】
図3は、図1の誘導加熱調理器100において2つのインバータが共に動作しているときの動作の一例を示すタイミングチャートである。図3に示されるように、制御装置30は、操作部4(図1参照)を介して加熱開始の指示が入力されると、負荷判定シーケンスを実施する。負荷判定シーケンス中、制御装置30は、指示対象のインバータINVを、負荷判定用の駆動信号により駆動しつつ、予め決められたタイミングで、図1に示される電流検出器51及び電流検出器52a、52bからの入力に基づいて負荷判定を行う。具体的には、対象のインバータINVが負荷判定用の駆動周波数で駆動するときに、電流検出器51で測定された入力電流と、電流検出器52aで測定された指示対象の加熱コイル13a又は14aのコイル電流との比に基づき、この加熱コイル13a又は14aの負荷の状態が判別される。以下、加熱開始の指示を、動作開始要求と称する場合がある。
【0027】
制御装置30は、負荷判定の結果に基づいてインバータINVの駆動信号(スイッチングの駆動周波数及びデューティ等を含む)を決定する。被加熱物が非磁性材料のアルミニウム又は銅等で構成されている場合、その電気抵抗は非常に小さいので、必要な熱を起こすためには磁性材料で構成される場合と比べ、駆動周波数を大きくする必要がある。
【0028】
制御装置30は、負荷判定シーケンスに続く加熱シーケンスでは、負荷判定シーケンスにおいて決定した駆動信号により、インバータINVを駆動する。図1に示されるように、第1のインバータINV1のスイッチング素子3a及び3bは、制御装置30からの駆動信号を受けてスイッチングを行う。また、第2のインバータINV2のスイッチング素子3c及び3dは、制御装置30からの駆動信号を受けてスイッチングを行う。これにより、加熱コイル13aに高周波電流が供給されることで、加熱コイル13aの上方に配置された被加熱物が誘導加熱される。また、加熱コイル14aに高周波電流が供給されることで、加熱コイル14aの上方に配置された被加熱物が誘導加熱される。
【0029】
制御装置30は、加熱シーケンスを開始する直前だけでなく、加熱シーケンス中に被加熱物が加熱口1a、1bから取り除かれる等して負荷が変化した場合にも、負荷判定シーケンスを行うように構成してもよい。以下、加熱シーケンスを開始する直前に行う負荷判定シーケンスを初期負荷検知と称する。
【0030】
図3に示されるように、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とは、常に排他動作となるように、交互に駆動を繰り返すように制御装置30により制御される。すなわち、第1のインバータINV1が高周波駆動を行っている瞬間には第2のインバータINV2は完全停止し、第2のインバータINV2が高周波駆動を行っている瞬間には第1のインバータINV1は完全停止する。第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とは周期Tにおいて1回切り替わり、周期Tにおいて最初に第1のインバータINV1が駆動時間T1の間駆動し、その後、第2のインバータINV2が駆動時間T2の間駆動する。2つのインバータが排他動作となるので、第1のインバータINV1が動作時の入力電力は、図1に示した電流検出器51にて検出され、同様に、第2のインバータINV2が動作時の入力電力も、電流検出器51にて検出される。第1のインバータINV1が入力電力を有しているときは第2のインバータINV2の入力電力はゼロであり、第2のインバータINV2が入力電力を有しているときは第1のインバータINV1の入力電力はゼロとなる。なお、各インバータINVの入力電力が検出される代わりに、各インバータの出力電力が検出される構成でもよい。
【0031】
負荷判定シーケンス中、インバータINVは、オンとオフとの切替えを繰り返し行う。例えば、制御装置30は、インバータINVの負荷判定シーケンス中にそのインバータINVの駆動周波数が変化するように掃引を行い、予め掃引過程に設定されている複数の負荷判定ポイントで、負荷判定を行う。負荷判定シーケンスは被加熱物の加熱を目的としていないので、負荷判定シーケンスでの駆動周波数は、加熱シーケンスでの駆動周波数と比べて高く設定される。負荷判定において判定条件が成立すると(例えば、被加熱物が加熱適正鍋であると判断された場合)、負荷判定シーケンスは終了し、加熱シーケンスに移行する。一方、負荷判定において判定条件が不成立の場合(すなわち、被加熱物が加熱適正鍋であると判断されなかった場合)、その後、2回目の負荷判定が行われる。数回の負荷判定を行っても判定条件が不成立の場合、加熱不適正鍋であると判断して、加熱シーケンスは行われない。
【0032】
被加熱物の加熱を目的とする加熱シーケンスでは、各インバータは、例えば約300[W]~3000[W]の電力範囲で駆動され、負荷判定を目的とする負荷判定シーケンスでは、各インバータは、例えば約200[W]~300[W]の電力範囲で駆動される。
【0033】
以下、誘導加熱調理器100の制御装置30が有する複数のモードについて説明する。本実施の形態の制御装置30は、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2の駆動時間比が固定値とされる定常加熱モードと、制御装置30により駆動時間比が調整される自動比率設定モードと、を有している。具体的には、定常加熱モードでは、予め決められた一定の駆動時間比で第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とが駆動され、制御要素検知手段の検知結果から得られる各インバータの電力算出値が、使用者が所望する設定電力Ps1、Ps2となるように、駆動周波数が調整される。使用者が所望する設定電力Ps1、Ps2とは、使用者が操作部4の操作ダイヤル4a1、4b1により設定した火力を得るのに必要な電力であり、実施の形態1では使用者が火力を設定することで制御装置30により設定される。一方、自動比率設定モードすなわち第1の駆動時間比変更モードでは、各インバータに所望の設定電力Ps1、Ps2が投入されるように駆動時間比が変更され、変更後の駆動時間比で2つのインバータによる時分割駆動が行われる。
【0034】
制御装置30は、定常加熱モードの加熱シーケンス中に自動比率設定モードに移行する際、実行中の加熱シーケンスを一旦停止する。制御装置30は、自動比率設定モードで駆動時間比を決定した後、自動比率設定モードにおいて、決定された駆動時間比で初期負荷検知から実行し、その後、その駆動時間比で2つのインバータによる加熱シーケンスを実行する。
【0035】
ここで、制御装置30は、使用者が操作部4(図1参照)に特定の操作を行った場合に自動比率設定モードに移行するよう構成されてもよく、あるいは、予め決められた条件が満たされたと判定した場合に自動比率設定モードへ移行するよう構成されてもよい。すなわち、定常加熱モードから自動比率設定モードへの移行は、制御装置30により自動で行われても、又は利用者の操作により手動で行われてもよい。
【0036】
図4は、図1の誘導加熱調理器100において2つのインバータが共に動作しているときに使用者の操作によりモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。以下、図1図4を用いて、使用者が手動で自動比率設定モードに移行する場合の制御及び動作について説明する。
【0037】
図1及び図4に示されるように、まず、使用者が操作部4を介して誘導加熱調理器100の主電源をオンにすると、制御装置30は、図4に示される制御を開始する。制御装置30は、2つの加熱口1a及び1bの動作開始要求が入力されたか否かを判定する(ステップST101)。使用者が2つの加熱口1a及び1bの電源スイッチをオンにすると、制御装置30に2つの加熱口1a及び1bの動作開始要求が入力される。具体的には、天板2の右側及び左側に設けられた2つの加熱口1a及び1bに対する操作部4a及び4bの電源スイッチを使用者がオンにすることで、右側の加熱口1aに対応した第1のインバータINV1及び左側の加熱口1bに対応した第2のインバータINV2の動作開始要求が制御装置30に入力される。制御装置30は、2つの加熱口1a及び1bの動作開始要求が入力されたと判定した場合(ステップST101;YES)、定常加熱モードで2つのインバータによる時分割駆動を開始する(ステップST102)。定常加熱モードにおける時分割駆動では、制御装置30から各インバータINVにPWM信号が出力され、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2はそれぞれのPWM信号により一定の駆動時間比で時分割駆動を行う。制御装置30は、定常加熱モードで時分割駆動を開始した後、自動比率設定モードへの移行指示を受けるまで、定常加熱モードで加熱シーケンスを実行する。一方、ステップST101において、2つの加熱口1a及び1bの同時の動作開始要求が入力されていないと制御装置30が判定した場合(ステップST101;NO)、誘導加熱調理器100の主電源がオンである間、2つの加熱口1a及び1bの動作開始要求が入力されるまで、制御装置30は一定時間ごとにステップST101の判定を行う。
【0038】
図3に示されるように、制御装置30に2つのインバータの動作開始要求が入力されると、制御装置30は、定常加熱モードにおいて一定比率の駆動時間比で、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とを駆動させる。図3の例では、駆動時間比の初期値は7:3である。
【0039】
制御装置30は、定常加熱モードにおいてまず初期負荷検知を開始し、2つの加熱口1a及び1bのそれぞれについて、加熱口上の被加熱物が加熱適正鍋/不適正鍋かを判断する(工程d)。工程dにおいても時分割駆動は適用され、一定比率の駆動時間比で第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とが駆動する。工程dにおいて、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とは、例えば100[msec]の周期Tで交互に駆動される。周期Tにおいてまず70[msec]の駆動時間T1の間、第1のインバータINV1がオン期間となり、その後、30[msec]の駆動時間T2の間、第2のインバータINV2がオン期間となる。工程dで初期負荷検知が行われた結果、2つの加熱口1a及び1bの被加熱物が共に加熱適正鍋であると判断されると、工程aの加熱シーケンスに移行する。なお、2つの加熱口1a及び1b上の被加熱物のどちらかが不適正鍋であると判断されて対応するインバータが動作停止した場合、その後の加熱動作は1つのインバータのみが駆動する単一動作となる。単一動作については、本開示の趣旨ではないので説明を割愛する。
【0040】
工程dにおいて、2つの加熱口1a及び1b上の被加熱物共に加熱適正鍋であると判断されると、制御装置30は、定常加熱モードで工程aの加熱シーケンスを開始する。ここで、例えば使用者による各加熱口1a、1bの火力の指定により、第1のインバータINV1の設定電力Ps1は1000[W]に設定され、第2のインバータINV2の設定電力Ps2は1500[W]に設定されているものとする。制御装置30は、制御要素検知手段の検知結果を受信して、制御要素検知手段の検知結果から得られる各インバータの出力電力から、各々の被加熱物への投入電力、すなわち時分割駆動中の平均電力Pa1、Pa2を算出して把握する。制御装置30は、第1のインバータINV1の平均電力Pa1が1000[W]、第2のインバータINV2の平均電力Pa2が1500[W]となるようにPWM信号を出力する。具体的には、定常加熱モードの加熱シーケンスでは、2つのインバータのそれぞれにおいて、制御要素検知手段の検知結果から得られる電力算出値が、設定電力Ps1、Ps2に見合う平均電力Pa1、Pa2となるように、各インバータの駆動電力が決定される。そして、各インバータの駆動周波数を調整することで、各インバータの駆動電力が設定される。
【0041】
図3の例では、定常加熱モードにおいて、短周期の加熱シーケンス(工程a)と長周期の加熱シーケンス(工程b)とが実行される。工程aにおいて、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とは7:3の駆動時間比で時分割駆動を行うので、周期Tの7割の駆動時間T1で第1のインバータINV1が1000[W]の設定電力Ps1を得るためには、以下の式(1)で算出した動作時電力Pr1で第1のインバータINV1を駆動する必要がある。
【0042】
[数1]
Pr1=Ps1×T/T1・・・式(1)
【0043】
すなわち、制御装置30は、工程aの駆動時間T1において、第1のインバータINV1の動作時電力Pr1が1429[W]となるようなPWM信号を出力する。
【0044】
また、周期Tの3割の駆動時間T2で第2のインバータINV2が1500[W]の設定電力Ps2を得るためには、以下の式(2)で算出した動作時電力Pr2で第2のインバータINV2を駆動する必要がある。
【0045】
[数2]
Pr2=Ps2×T/T2・・・式(2)
【0046】
すなわち、制御装置30は、工程aの駆動時間T2において、第2のインバータINV2の動作時電力Pr2が5000[W]となるようなPWM信号を出力する必要がある。
【0047】
ところで、図1に示される整流回路及びフィルタ回路といった2つのインバータに共通の前段回路は、例えば、第1のインバータINV1の単独動作時の最大定格電力PLが3000[W]となり、また、第2のインバータINV2の単独動作時の最大定格電力PLも3000[W]となるように設計される。この場合、商用電圧を200[V]と定義すると、前段回路に流すことができる最大電流値は15[Arms]であり、各インバータのスイッチング素子3a、3b、3c、3dの出力電力は3000-αi[W](ここで、αi[W]は回路損失分)で設計される。
【0048】
図3に示される工程aのように、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とが7:3といった一定の駆動時間比で時分割駆動を実施している場合、第1のインバータINV1では、駆動電力が、式(1)で算出された動作時電力Pr1すなわち1429[W]となるように駆動周波数が制御されることで、所望の平均電力(1000[W])が得られる。また、第2のインバータINV2では、駆動時の電力が、式(2)で算出された動作時電力Pr2すなわち5000[W]となるように駆動周波数が制御されることで、所望の平均電力(1500[W])が得られる。しかし、上述のとおり最大定格電力PLは3000[W]であるため、第2のインバータINV2については式(2)で算出された動作時電力Pr2が定格オーバーとなる。したがって、駆動時間比を固定値として最大定格電力PL内で電力の制御が行われる場合、第2のインバータINV2の駆動電力は、最大定格電力PLすなわち3000[W]に制限される。このようにINV2の駆動電力が制限される場合、第2のインバータINV2の平均電力Pa2は以下の式(3)で求められる。
【0049】
[数3]
Pa2=PL×T2/T・・・式(3)
【0050】
すなわち、第2のインバータINV2の平均電力Pa2は900[W]となる。つまり、定常加熱モードでの加熱シーケンス(工程a)では、第2のインバータINV2に対しては、使用者が所望する設定電力Ps2(1500[W])よりも小さい平均電力Pa2(900[W])での電力制限動作が余儀なくされる。
【0051】
工程aの加熱シーケンスに続く工程bの加熱シーケンスは、工程aと同一の駆動時間比(図3では、7:3)で、周期Tを長くしたシーケンスである。長周期(例えば、500[msec])の工程bを設けることで、例えば、対流発生、焦げ付き抑制、又は煮込みのしみ込み促進といった効果が得られる。工程bにおいても、第2のインバータINV2については式(2)で算出された動作時電力Pr2が定格オーバーとなるので、第2のインバータINV2の駆動電力は、最大定格電力PLすなわち3000[W]に制限される。つまり、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2のそれぞれの駆動電力及び平均電力Pa1、Pa2は、工程aと工程bとにおいて同じであり、工程bでも、第2のインバータINV2に電力制限がかかった電力制限動作が行われる。
【0052】
図4に示されるように、ステップST102において定常加熱モードで2つのインバータによる時分割駆動を開始した後、少なくとも一方のインバータで設定電力が得られない場合(ステップST103;NO)、制御装置30は、上述したように少なくとも一方のインバータに電力制限がかかった電力制限動作で、2つのインバータによる時分割駆動を継続する(ステップST104)。一方、工程a又は工程bの加熱シーケンスにおいて、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2がそれぞれ、駆動周波数の調整により設定電力Ps1、Ps2を得ている場合には(ステップST103;YES)、2つの加熱口1a及び1bにおいて使用者が所望した加熱が行われているので、制御装置30は、定格動作で、2つのインバータによる時分割駆動を継続する。その後、定格動作で2つのインバータによる時分割駆動が行われている間、少なくとも一方のインバータで設定電力が得られないと判定されるまで、制御装置30は一定時間ごとにステップST103の判定を行う。
【0053】
電力制限動作で時分割駆動が継続されているとき、制御装置30は、使用者により操作部4のモードボタン4m1が押下されたか否か、すなわち自動比率設定モードへの移行指示が入力されたか否かを判定する(ステップST105)。制御装置30は、自動比率設定モードへの移行指示が入力されたと判定した場合(ステップST105;YES)、実行中の加熱シーケンス(例えば、図3の工程b)を停止し、自動比率設定モードへ移行する(ステップST106)。一方、制御装置30は、自動比率設定モードへの移行指示が入力されていないと判定した場合には(ステップST105;NO)、定常加熱モードで実行中の加熱シーケンス(例えば、図3の工程b)を継続する。定常加熱モードにおいて電力制限動作で加熱シーケンスが行われる間、自動比率設定モードへの移行指示が入力されたと判定されるまで、一定時間ごとにステップST105の判定が行われる。
【0054】
ステップST106において自動比率設定モードへ移行すると、制御装置30は、2つのインバータで設定電力Ps1、Ps2が得られるように駆動時間比を変更し、変更後の駆動時間比で2つのINVによる時分割駆動を再開する(ステップST107)。すなわち、実施の形態1では、自動比率設定モードに移行すると制御装置30により自動的に駆動時間比が決定され変更される。
【0055】
そして、変更後の駆動時間比で2つのインバータによる時分割駆動が再開された後、自動比率設定モードの加熱シーケンス(図3の工程e)においても、少なくとも一方のインバータで設定電力が得られない場合には(ステップST108;NO)、制御装置30は、電力制限動作で、2つのインバータによる時分割駆動を継続する(ステップST109)。この場合、電力制限は解消しない。一方、変更後の駆動時間比で時分割駆動が再開された後、工程eの加熱シーケンスにおいて第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2がそれぞれ設定電力Ps1、Ps2を得ている場合には(ステップST108;YES)、制御装置30は、定格動作で2つのインバータによる時分割駆動を行う。すなわち、電力制限が解消する。その後、定格動作で2つのインバータによる時分割駆動が行われている間、少なくとも一方のインバータで設定電力が得られないと判定されるまで、制御装置30は一定時間ごとにステップST108の判定を行う。
【0056】
図3に示されるように、使用者によって操作部4のモードボタン4m1が押下されて自動比率設定モードへの移行指示が制御装置30に入力されると、制御装置30は、まず、定常加熱モードで実行中の加熱シーケンス(工程b)を停止させる。工程cでは、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2の駆動が停止する。その後、制御装置30は、自動比率設定モードで、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2との駆動時間比を変更し、変更後の駆動時間比(例えば、T1:T2=5:5)で第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とによる時分割駆動を再開する。自動比率設定モードでは、まず、初期負荷検知(工程d1)が実行され、工程d1において、2つの加熱口1a及び1b上の被加熱物が共に加熱適正鍋であると判断されると、制御装置30は、工程eの加熱シーケンスに移行する。
【0057】
ここで、自動比率設定モードを設けた目的は、電力制限動作を回避して所望どおりの電力を投入することにある。また、停止期間である工程cを設けたのは、駆動時間比が異なる定常加熱モードと自動比率設定モードとの間で、完全に動作を停止させてモード間の移行を円滑に行うためである。また、工程cの後、自動比率設定モードの加熱シーケンス(工程e)の前に工程d1の初期負荷検知を行うのは、停止期間である工程cの間に各加熱口1a、1b上の被加熱物の状態(例えば、被加熱物の有無又は被加熱物の種類)が変わることがあり、工程c後の被加熱物の状態を正確に把握するためである。なお、工程d1の初期負荷検知は省略してもよい。
【0058】
制御装置30は、変更後の駆動時間比(例えば、5:5)で第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とが時分割駆動を行うようにPWM信号を制御して工程eの加熱シーケンスを開始する。図3の例では、モード移行後の加熱シーケンス(工程e)においても、モード移行直前の加熱シーケンス(工程b)のときと同様、周期Tは500[msec]とされている。
【0059】
工程eでは、駆動時間比の変更に伴い、第1のインバータINV1が1000[W]の設定電力Ps1を得るために、第1のインバータINV1の動作時電力Pr1が2000[W]となるよう、第1のインバータINV1の駆動周波数が調整される。また、駆動時間比の変更に伴い、第2のインバータINV2が1500[W]の設定電力Ps2を得るために、第2のインバータINV2の動作時電力Pr2が3000[W]となるよう、第2のインバータINV2の駆動周波数が調整される。自動比率設定モードの加熱シーケンス(工程e)では、変更後の駆動時間比(この場合、5:5)が用いられることで、電力制限が解消し、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2のそれぞれで所望の設定電力Ps1、Ps2が得られる定格動作(すなわち、図4のステップST108の判定でYESとなる場合の動作)が行われる。
【0060】
以下、上記以外の動作例を記す。第1例として、図3の例とは駆動時間比の初期値が異なる場合について説明する。図5は、図3の例とは駆動時間比の初期値が異なる場合の2つのインバータの動作を示すタイミングチャートである。
【0061】
図3の例と同様、図5に示す本例においても、使用者により、第1のインバータINV1の設定電力Ps1は1000[W]に、第2のインバータINV2の設定電力Ps2は1500[W]に設定されているものとする。ただし、本例では、図5に示されるように、駆動時間比の初期値が2:8とされている。定常加熱モードの加熱シーケンス(工程b)において、制御装置30は、制御要素検知手段の出力を受信して第1のインバータINV1の平均電力Pa1が1000[W]、第2のインバータINV2の平均電力Pa2が1500[W]となるようにPWM信号を出力する。
【0062】
ここで、本例の工程bでは、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とは2:8の駆動時間比で時分割駆動を行うので、第1のインバータINV1が1000[W]の設定電力Ps1を得るためには、式(1)から、第1のインバータINV1の動作時電力Pr1が5000[W]となる必要がある。また、第2のインバータINV2が1500[W]の設定電力Ps2を得るためには、式(2)から、第2のインバータINV2の動作時電力Pr2が1875[W]となる必要がある。
【0063】
本例では、第1のインバータINV1については式(1)で算出された動作時電力Pr1が定格オーバーとなるので、駆動時間比を2:8の固定値として最大定格電力PL内で電力の制御が行われる場合、第1のインバータINV1の駆動電力は、最大定格電力PLすなわち3000[W]に制限される。このように第1のインバータINV1の駆動電力が制限される場合、第1のインバータINV1の平均電力Pa1は以下の式(4)で求められる。
【0064】
[数4]
Pa1=PL×T1/T・・・式(4)
【0065】
すなわち、第1のインバータINV1の平均電力Pa2は600[W]となる。つまり、本例の定常加熱モードでの加熱シーケンス(工程b)では、第1のインバータINV1に対しては、使用者が所望する設定電力Ps1(1000[W])よりも小さい平均電力Pa1(600[W])での電力制限動作が余儀なくされる。
【0066】
そして、駆動時間比が2:8とされている本例でも、自動比率設定モードで駆動時間比を変更することで、第1のインバータINV1の電力制限を解消することができる。本例では、自動比率設定モードにおいて、駆動時間比が4:6に変更される。そして、駆動時間比の変更に伴い、第1のインバータINV1が1000[W]の設定電力Ps1を得るために、第1のインバータINV1の動作時電力Pr1が2500[W]となるよう、第1のインバータINV1の駆動周波数が設定される。また、駆動時間比の変更に伴い、第2のインバータINV2が1500[W]の設定電力Ps2を得るために、第2のインバータINV2の動作時電力Pr2が2500[W]となるよう、第2のインバータINV2の駆動周波数が設定される。本例でも、自動比率設定モードの加熱シーケンス(工程e)では、変更後の駆動時間比(この場合、4:6)が用いられることで、電力制限が解消し、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2の双方で所望電力が得られる定格動作が行われる。
【0067】
次に、図3の例とは設定電力Ps1及びPs2が異なる場合について説明する。図6図3の例とは設定電力が異なる場合の2つのインバータの動作を示すタイミングチャートである。図6に示されるように、本例では、使用者により、第1のインバータINV1の設定電力Ps1は2500[W]に設定され、第2のインバータINV2の設定電力Ps2は1250[W]に設定されている。本例においても、図3の例と同様、駆動時間比の初期値は7:3とされている。定常加熱モードの加熱シーケンス(工程b)において、制御装置30は、制御要素検知手段の出力を受信して第1のインバータINV1の平均電力が2500[W]、第2のインバータINV2の平均電力が1250[W]となるようにPWM信号を出力する。
【0068】
ここで、本例の工程bでは、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とは7:3の駆動時間比で時分割駆動を行うので、第1のインバータINV1が2500[W]の設定電力Ps1を得るためには、式(1)から、第1のインバータINV1の動作時電力Pr1が3571[W]となる必要がある。また、第2のインバータINV2が1250[W]の設定電力Ps2を得るためには、式(2)から、第2のインバータINV2の動作時電力Pr2が4167[W]となる必要がある。
【0069】
本例では、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2の双方が定格オーバーとなるので、駆動時間比を7:3の固定値として最大定格電力PL内で電力の制御が行われる場合、2つのインバータのそれぞれの駆動電力は最大定格電力PLすなわち3000[W]に制限される。このように2つのインバータの駆動電力が制限される場合、第1のインバータINV1の平均電力Pa1は、式(4)から、2100[W]となり、第2のインバータINV2の平均電力Pa2は、式(3)から、900[W]となる。つまり、本例の定常加熱モードでの加熱シーケンス(工程b)では、第1のインバータINV1に対しては、使用者が所望する設定電力Ps1(2500[W])よりも小さい平均電力Pa1(2100[W])での電力制限動作が余儀なくされ、また、第2のインバータINV2に対しては、使用者が所望する設定電力Ps2(1250[W])よりも小さい平均電力Pa2(900[W])での電力制限動作が余儀なくされる。
【0070】
本例では、自動比率設定モードにおいて、駆動時間比が5:5に変更される。そして、駆動時間比の変更に伴い、第1のインバータINV1が2500[W]の設定電力Ps1を得るために、第1のインバータINV1の動作時電力Pr1が5000[W]である必要があるが、最大定格電力PLにより制限されて駆動時の電力は3000[W]となる。また、駆動時間比の変更に伴い、第2のインバータINV2が1250[W]の設定電力Ps2を得るために、第2のインバータINV2の動作時電力Pr2が2500[W]となるよう、第2のインバータINV2の駆動周波数が設定される。
【0071】
本例では、自動比率設定モードの加熱シーケンス(工程e)で駆動時間比が変更されると、第2のインバータINV2については電力制限が解消するが、第1のインバータINV1については電力制限が解消せず、電力制限動作(すなわち、ステップST108の判定でNOとなった場合の動作)が行われる。本例では、自動比率設定モードが実行されても、第1のインバータINV1については設定電力Ps1が大きいために電力制限が解消されない。制御装置30は、電力制限が解消できないインバータについては、図1の表示部20に制限中であることを示す表示を行う。このように構成することで、使用者は、各加熱口1a、1bに所望の設定電力Ps1、Ps2が投入できているか否かを、表示部20を見て知ることができる。したがって、例えば、制限中であることを示す表示がされている側の加熱口(例えば、右側の加熱口1a)に対しては、予定した加熱時間を終了した後に単独で加熱を続行するなど、対処を行うことができる。
【0072】
図4に示した動作例では、使用者により操作部4のモードボタン4m1が押下された場合に、制御装置30が自動比率設定モードへ移行する。使用者は、例えば、少なくとも一方のインバータINVで設定電力Ps1、Ps2が得られていない場合に、モードボタン4m1を押下することで、制御装置30に駆動時間比を初期値から変更させることができる。ここで、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2のそれぞれが設定電力Ps1、Ps2を得たか否かの判定は、制御装置30により行われてもよいし、使用者により行われてもよい。例えば、使用者は2つの加熱口1a及び1bの火力感に基づいて上記の判定を行うことができ、第1のインバータINV1又は第2のインバータINV2で所望の設定電力が得られていないと使用者が判断した場合に、使用者はモードボタン4m1を押下すればよい。また、定常加熱モードにおいて設定電力が得られない電力制限動作が行われている場合だけでなく、定格動作が行われている場合にも使用者がモードボタン4m1を操作できる構成としてもよい。このような構成とすることで、定常加熱モードの駆動時間比の初期値では2つの加熱口1a及び1b間で所望する火力感での加熱を行うことが難しいと使用者が判断した場合に、定常加熱モードの駆動時間比の初期値から予め変更して加熱を開始し、電力制限動作になること自体を回避することができる。
【0073】
また、例えば、制御装置30が、電流検出器51、52a、52b等の検出値に基づき、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2ともに設定電力Ps1、Ps2を得たか否かを判定してもよい。この場合、制御装置30は、投入電力が不足している加熱口側で電力が制限中であることを、表示部20に表示することが好ましい。使用者は、定常加熱モードにおいて表示部20に「制限中」表示がされている場合に、電力制限動作が行われている事を知り、モードボタン4m1を押下して電力制限の解消を試みることができる。
【0074】
図7は、図1の誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときに制御装置により自動的にモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。以下、図7を用いて、制御装置30の判定により自動的に自動比率設定モードへ移行する場合の制御及び動作の一例について説明する。
【0075】
図7の例のステップST201~ST203は、図4の例のステップST101~ST103と同じであり、また、図7の例のステップST204~ST207は、図4の例のステップST106~ST109と同じである。
【0076】
ただし、図7の例では、制御装置30がステップST203及びステップST206の判定を行う。定常加熱モードでの加熱シーケンス中、制御装置30がステップST203において、少なくとも1つのインバータで設定電力が得られないと判定した場合(ステップST203;NO)、制御装置30は、実行中の加熱シーケンスを停止し、自動比率設定モードへ移行する(ステップST204)。図7の例では、制御装置3の判定結果に応じて自動的に駆動時間比変更モードへの移行が行われるので、図4の例のステップST104~ST105は省略される。
【0077】
以上のように、実施の形態1の誘導加熱調理器100は、被加熱物が載置される加熱口を複数有する誘導加熱調理器であって、各加熱口1a、1bの下方に設けられ、加熱口に載置された被加熱物を誘導加熱する複数のインバータ(第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2)を備える。また、誘導加熱調理器100は、複数のインバータに電力を供給する前段回路10を備える。また、誘導加熱調理器100は、複数のインバータが互いに排他動作を行うように複数のインバータを時分割駆動させる制御装置30と、使用者により操作される操作部4と、を備える。制御装置30は、使用者の操作部4に対する操作に基づいて、複数のインバータの駆動時間比を変更する駆動時間比変更モードを実行する。
【0078】
制御装置30は、使用者の操作部4に対する操作に基づいて、複数のインバータの駆動時間比を変更する駆動時間比変更モードを実行するので、加熱動作を開始した後でも、加熱動作中の電力投入状況に応じて使用者が意図するタイミングで複数のインバータの駆動時間のバランスを変更することができる。よって、使い勝手のよい誘導加熱調理器を提供できる。
【0079】
また、制御装置30は、複数のインバータのそれぞれにおいて予め設定された設定電力Ps1、Ps2が投入されるように駆動時間比を変更する第1の駆動時間比変更モード(自動比率設定モード)を有する。制御装置30は、使用者の操作部4に対する操作(例えば、モードボタン4m1の押下)に基づいて、第1の駆動時間比変更モードを実行する。これにより、最大定格電力PLにより電力制限が掛かる場合に、使用者は意図したタイミングで操作部4を操作して、複数のインバータのそれぞれにおいて設定電力Ps1、Ps2が投入されるように制御装置30に駆動時間比を変更させることができる。よって、電力制限を解消する、あるいは掛かりにくくすることができる。
【0080】
制御装置30は、駆動時間比変更モードを実行する前に実行中の加熱動作を停止させ、その後、駆動時間比変更モードにおいて、変更後の駆動時間比で、複数の加熱口(例えば、2つの加熱口1a及び1b)における負荷検知と加熱動作とを行う。これにより、使用者の操作に基づいて、加熱動作を停止させ、変更後の駆動時間比を適用して、負荷検知と加熱動作とが行われるので、加熱動作の開始後にモードを変更する場合でも一連の動作が自動化され、使い勝手が更に向上する。
【0081】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の概略構成を示す回路図である。以下、図8に基づき、実施の形態2の誘導加熱調理器の構成について説明する。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0082】
実施の形態2では、制御装置30は、駆動時間比が変更される駆動時間比変更モードとして、複数のインバータのいずれかに優先的に電力を投入できる加熱偏重モード(以下、第2の駆動時間比変更モードともいう)を有する。加熱偏重モードにおいて、制御装置30は、複数のインバータのうち優先するよう選択されたインバータに設定電力が投入されるように駆動時間比を変更する。例えば、第1のインバータINV1が選択されている場合には、第1のインバータINV1が電力制限なしで駆動できるように、制御装置30は、変更前の駆動時間比に対して、第1のインバータINV1側の駆動割合を増加させる。一方、第2のインバータINV2が選択されている場合には、第2のインバータINV2が電力制限なしで駆動できるように、制御装置30は、変更前の駆動時間比に対して、第2のインバータINV2側の駆動割合を増加させる。
【0083】
ここで、優先的に電力を投入する対象となるインバータ(以下、優先インバータともいう)は、使用者が操作部4を介して加熱口1a、1bを指定することで選択される。制御装置30は、使用者により指定された加熱口1a、1bに対応するインバータを、優先インバータとして選択する。
【0084】
図8に示されるように、実施の形態2の誘導加熱調理器100において、操作部4は、加熱偏重モードに移行するためのモードボタン4m2を有している。加熱偏重モードは、使用者が操作部4のモードボタン4m2を押下した場合に実行される。また、加熱偏重モードは、予め決められた条件が満たされたと制御装置30が判定した場合に実行されてもよい。
【0085】
図9は、図8の誘導加熱調理器100において2つのインバータが共に動作しているときに使用者の操作によりモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。図9に基づき、定常加熱モードで電力制限動作が行われている場合において使用者がモードボタン4m2を押下して加熱偏重モードへ移行する場合の動作例について説明する。図9の例において、主電源が投入された後、定常加熱モードで電力制限動作が行われるまでの動作(すなわち、図9のステップST301~ST304までの動作)は、図4の例のステップST101~ST104までの動作と同じである。
【0086】
定常加熱モードにおいて電力制限動作で時分割駆動が継続されているとき(ステップST304)、制御装置30は、使用者により操作部4のモードボタン4m2が押下されたか否か、すなわち加熱偏重モードへの移行指示が入力されたか否かを判定する(ステップST305)。制御装置30は、加熱偏重モードへの移行指示が入力されたと判定した場合(ステップST305;YES)、優先インバータを選択し(ステップST306)、実行中の加熱シーケンスを停止し、加熱偏重モードへ移行する(ステップST307)。ステップST306において優先インバータを選択する際、制御装置30は、使用者に加熱口1a、1bを指定するよう要求するメッセージを表示部20(図8参照)に表示し、使用者が操作部4を介して指定した加熱口1a、1bに基づいて優先インバータを選択する。なお、操作部4は使用者による加熱口1a、1bの指定をいつでも受け付ける構成でもよい。この場合、制御装置30は、事前に指定されて制御装置30の記憶部に記憶されている加熱口の情報をステップST306で参照して優先インバータを選択する。
【0087】
制御装置30は、加熱偏重モードへの移行指示が入力されていないと判定した場合には(ステップST305;NO)、定常加熱モードで実行中の加熱シーケンスを継続する。定常加熱モードにおいて電力制限動作で加熱シーケンスが行われる間、加熱偏重モードへの移行指示が入力されたと判定されるまで、一定時間ごとにステップST305の判定が行われる。
【0088】
ステップST307において加熱偏重モードへ移行すると、制御装置30は、優先インバータで設定電力が得られるように駆動時間比を変更し、変更後の駆動時間比で2つのインバータによる時分割駆動を再開する(ステップST308)。加熱偏重モードにおいても、実施の形態1に示される自動比率設定モードの場合と同様、変更後の駆動時間比で、まず、初期負荷検知(図3の工程d1参照)が実行され、初期負荷検知の結果、2つの加熱口1a及び1b上の被加熱物が共に加熱適正鍋であると判断されると、加熱シーケンスに移行する。なお、加熱偏重モードで加熱シーケンスが実行される場合の具体的な電力値を用いた動作例については後述する。
【0089】
なお、図9の例では、定常加熱モードで電力制限動作が行われている場合において加熱偏重モードへの移行指示が入力された場合に、加熱偏重モードに移行するものと定義したが、加熱偏重モードに移行するタイミングはこの場合に限定されない。例えば、制御装置30は、誘導加熱調理器100の電源がオンのときにはいつでもモードボタン4m2からの移行指示を受け付ける構成としてもよい。
【0090】
また、制御装置30は、駆動時間比変更モードとして実施の形態1に示した第1の駆動時間比変更モード(すなわち、自動比率設定モード)と、実施の形態2に示した第2の駆動時間比変更モード(すなわち、加熱偏重モード)と、を有する構成としてもよい。この場合、図4に示したステップST100~ST108の後、ステップST109の電力制限動作が行われているときに、図9のステップST305以降の動作が行われる構成とするとよい。実施の形態1の図6の例のように、自動比率設定モードが実行されても電力制限が解消しないことがある。上記のように自動比率設定モードと加熱偏重モードとを組み合わせることで、自動比率設定モードで電力制限が解消できない場合に、使用者が加熱を優先させたい加熱口1a、1bを指定でき、指定した加熱口側へ優先して電力が投入される駆動時間比が設定される。したがって、電力制限動作中であっても加熱口1a、1bを指定して優先加熱でき、使い勝手が更に向上する。
【0091】
図10は、図8の誘導加熱調理器100において2つのインバータが共に動作しているときの動作の一例を示すタイミングチャートである。以下、図10に基づき、図8及び図9を参照しつつ、具体的な電力値を用いた動作例について説明する。
【0092】
定常加熱モードでの加熱シーケンス(工程a2)を開始する際、使用者による各加熱口1a、1bの火力の指定により、第1のインバータINV1の設定電力Ps1は2500[W]に設定され、第2のインバータINV2の設定電力Ps2は1250[W]に設定されているものとする。制御装置30は、制御要素検知手段の出力を受信して第1のインバータINV1の平均電力が2500[W]、第2のインバータINV2の平均電力が1250[W]となるようにPWM信号を出力する必要がある。ここで、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2とが7:3の駆動時間比で工程a2の時分割駆動を開始したとき、第1のインバータINV1が2500[W]の設定電力Ps1を得るためには、式(1)で算出した動作時電力Pr1(この場合、3571[W])で第1のインバータINV1を駆動する必要がある。また、第2のインバータINV2が1250[W]の設定電力Ps2を得るためには、式(2)で算出した動作時電力Pr2(この場合、4167[W])で第2のインバータINV2を駆動する必要がある。しかし、工程a2では2つのインバータ共に動作時電力Pr1、Pr2が最大定格電力PL(3000[W])を超過するので、第1のインバータINV1においても、また第2のインバータINV2においても、電力制限がかかってしまい、所望の設定電力Ps1、Ps2を投入することができない。
【0093】
ここで、右側の加熱口1aに対して使用者が高火力を設定しているため、特に第1のインバータINV1では、設定電力Ps1が、最大定格電力PL(3000[W])に近い2500[W]となっている。使用者が、右側の加熱口1aを電力制限なしの高火力で使用したい場合、加熱偏重モードに移行するためのモードボタン4m2(図8参照)を押下し、優先加熱したい右側の加熱口1aを指定することで、右側の加熱口1aに対応する第1のインバータINV1に優先的に電力を投入することができる。
【0094】
図10の例では、加熱偏重モードにおいて、第1のインバータINV1に優先的に電力を投入できるよう、駆動時間比が9:1に変更され、変更後の駆動時間比で2つのインバータによる加熱シーケンス(工程e2)が実行される。駆動時間比の変更に伴い、優先インバータである第1のインバータINV1が2500[W]の設定電力Ps1を得るために、第1のインバータINV1の駆動電力が、式(1)で算出された動作時電力Pr1(2778[W])とされる。一方、優先インバータではない第2のインバータINV2に対しては電力制限がかかり、第2のインバータINV2の駆動電力は最大定格電力PLとなるので、式(4)から第2のインバータINV2の平均電力Pa2は300[W]となる。
【0095】
このように、加熱偏重モードで駆動時間比を変更する場合、優先インバータ以外のインバータ(図10の例では、第2のインバータINV2)では1250[W]の設定電力に対して300[W]しか投入できず電力を犠牲にする形だが、加熱優先したい第1のインバータINV1については、定格動作により所望した電力(すなわち2500[W])を得ることができる。
【0096】
上記のとおり、優先的に電力を投入したいインバータにおいて定常加熱モードでは最大定格電力PLにより電力制限がかかり設定電力Ps1が得られない場合に、加熱偏重モードが有用である。
【0097】
ところで、上記の図10の例において、第1のインバータINV1の設定電力Ps1が2500[W]ではなく2000[W]とされた場合、工程e2における駆動時間比が9:1であると、式(1)より、第1のインバータINV1の動作時電力Pr1は2222[W]となり、優先インバータである第1のインバータINV1は、最大定格電力PL(3000[W])まで778[W]の余力を有して定格動作を行うことになる。一方、優先インバータでない第2のインバータINV2は、周期T中の1割しか駆動されないため、駆動中の電力を最大定格電力PL(3000[W])としても、第2のインバータINV2の平均電力Pa2は、300[W]にしかならない。したがって、加熱偏重モードにおいて設定電力Ps1及びPs2と無関係に一律に駆動時間比を変更したのでは、優先インバータ以外のインバータに投入される電力が極端に制限されてしまい、2つの加熱口1a及び1bで効率的な加熱が行えない。
【0098】
そこで、好ましくは、制御装置30は、加熱偏重モードにおいて、優先インバータに電力制限が掛からず且つ余力が小さくなるような駆動時間比を設定するよう構成される。このような構成により、本例では、加熱偏重モードで設定される駆動時間比が、余力を最小限とした7:3とされ、第1のインバータINV1は、2857[W]の動作時電力Pr1で駆動され、設定電力Ps1の2000[W]を得る定格動作を行うことができる。また、第2のインバータINV2では、周期T中の駆動時間T2が長くなるので、平均電力Pa2は式(3)から900[W]となる。よって、優先インバータ以外のインバータにおいても設定電力Ps2により近い電力が投入できる。
【0099】
以下、加熱偏重モードで制御装置30が行う、駆動時間比及び出力電力の算出方法の一例について詳しく説明する。ここで、第1のインバータの設定電力Ps1はα[W]であり、第2のインバータの設定電力Ps2はβ[W]であり、最大定格電力PLは3000[W]であるものと定義する。
【0100】
まず、第1のインバータINV1に電力制限が掛かった電力制限動作中に第1のインバータINV1を優先インバータとした加熱偏重モードが実行される場合について説明する。ここで、第1のインバータINV1を最大定格電力PLの3000[W]で駆動する場合の駆動時間比(すなわちT1:T2)の値がa:(10-a)であるものと定義する。制御装置30は、以下の式(5)からaの値を算出する。式(5)は、式(4)において、第1のインバータINV1側の駆動割合(すなわち、T1/T)にa/10を代入し、平均電力Pa1に設定電力Ps1のα[W]を代入して変形した式である。
【0101】
[数5]
a=(α[W]/3000[W])×10 ・・・式(5)
【0102】
ただし、aの値が整数でない場合には整数に繰り上げられる。以下、整数であるa又は整数に繰り上げられたaを、a’で表す。優先インバータである第1のインバータINV1の動作時電力Pr1は、式(1)のT1/Tにa’/10を代入して、a’を用いて以下の式(6)で表せる。
【0103】
[数6]
Pr1=α[W]×10/a’ ・・・式(6)
【0104】
上記のように優先インバータに所望の設定電力Ps1のα[W]を投入しつつ駆動割合(a’/10)を最小にすることで、優先インバータ以外のインバータ側の駆動割合をできるだけ大きくし、設定電力Ps2に対する平均電力Pa2の不足分を最小限にすることができる。第2のインバータINV2へ投入できる平均電力Pa2の最大値は、式(3)のT2/Tに(10-a’)/10を代入して、a’を用いて以下の式(7)で表せる。
【0105】
[数7]
Pa2=3000×(10-a’)/10・・・式(7)
【0106】
次に、第2のインバータINV2に電力制限が掛かった電力制限動作中に第2のインバータINV2を優先インバータとした加熱偏重モードが実行される場合について説明する。ここで、第2のインバータINV2を最大定格電力PLの3000[W]で駆動する場合の駆動時間比(すなわちT1:T2)の値が(10-b):bであるものと定義する。制御装置30は、以下の式(8)からbの値を算出する。式(8)は、式(3)において、第2のインバータINV2側の駆動割合(すなわち、T2/T)にb/10を代入し、平均電力Pa2に設定電力Ps2のβ[W]を代入して変形した式である。
【0107】
[数8]
b=(β[W]/3000[W])×10・・・式(8)
【0108】
ただし、bの値が整数でない場合には整数に繰り上げられる。以下、整数であるb又は整数に繰り上げられたbを、b’で表す。優先インバータである第2のインバータINV2の動作時電力Pr2は、式(2)のT2/Tにb’/10を代入して、b’を用いて以下の式(9)で求められる。
【0109】
[数9]
Pr2=β[W]×10/b’・・・式(9)
【0110】
そして、第1のインバータINV1へ投入できる平均電力Pa1の最大値は、式(4)のT1/Tに(10-b’)/10を代入して、b’を用いて以下の式(10)で表せる。
【0111】
[数10]
Pa1=3000[W]×(10-b’)/10・・・式(10)
【0112】
図11は、図8の誘導加熱調理器において2つのインバータが共に動作しているときに制御装置により自動的にモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。以下、図11を用いて、制御装置30の判定に基づき自動的に加熱偏重モードへ移行する場合の制御及び動作の一例について説明する。
【0113】
図11の例のステップST410~ST403は、図9の例のステップST301~ST303と同じであり、また、図11の例のステップST404~ST406は、図9の例のステップST306~ST308と同じである。
【0114】
ただし、図11の例では、定常加熱モードでの加熱シーケンス中、制御装置30がステップST403において、少なくとも1つのインバータで設定電力が得られないと判定した場合(ステップST403;NO)、自動的にステップST404に移行する。そして、制御装置30は、優先インバータを選択し(ステップST404)、実行中の加熱シーケンスを停止し、加熱偏重モードへ移行する(ステップST405)。図11の例では、制御装置3の判定結果に応じて自動的に駆動時間比変更モードへの移行が行われるので、図9の例のステップST304~ST305は省略される。
【0115】
以上のように、実施の形態2の誘導加熱調理器100において、操作部4は、複数の加熱口(例えば、2つの加熱口1a及び1b)のうち優先する加熱口の選択を受け付けるものである。そして、制御装置30は、複数の加熱口のうち使用者により選択された加熱口に対応するインバータ(例えば、第1のインバータINV1)において優先して設定電力Ps1が投入されるように駆動時間比を変更する第2の駆動時間比変更モード(加熱偏重モード)を有する。また、制御装置30は、使用者の操作部4に対する操作(例えば、モードボタン4m2の押下)に基づいて、第2の駆動時間比変更モードを実行する。これにより、複数の加熱口のうち加熱を優先させたい加熱口を使用者が選択して、その加熱口に設定電力Ps1を投入できるので、使い勝手が更に向上する。
【0116】
実施の形態3.
図12は、実施の形態3に係る誘導加熱調理器100の概略構成を示す回路図である。以下、図12に基づき、実施の形態3の誘導加熱調理器100の構成について説明する。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0117】
実施の形態3では、制御装置30は、駆動時間比が変更される駆動時間比変更モードとして、複数のインバータ間の電力比率を使用者が指定できる電力比率設定モード(以下、第3の駆動時間比変更モードともいう)を有する。電力比率設定モードにおいて、制御装置30は、指定された電力比率に応じて駆動時間比を変更する。
【0118】
図12に示されるように、実施の形態3の誘導加熱調理器100において、操作部4は、電力比率設定モードに移行するためのモードボタン4m3を有している。電力比率設定モードは、使用者が操作部4のモードボタン4m3を押下した場合に実行される。また、予め決められた条件が満たされたと制御装置30が判定した場合に電力比率設定モードに移行する構成でもよい。
【0119】
また、操作部4は、駆動時間比を変更するボタン41及び42を有している。また、制御装置30には、予め複数段階の駆動時間比が記憶されている。例えば、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2との駆動時間比として整数比である9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8、及び1:9が記憶されている。
【0120】
例えば、使用者は、加熱開始後に2つの加熱口1a及び1bの投入電力状況に応じてボタン41又は42を操作し、2つの加熱口1a及び1bへの電力比率を指定することができる。すなわち、電力比率設定モードでは、2つの加熱口1a及び1bへ投入される電力のバランスを、使用者が指定することができる。
【0121】
制御装置30は、使用者が指定した電力比率に応じて駆動時間比を選択し、駆動周波数を調整する。使用者がボタン41を1回押下するごとに、制御装置30は、第1のインバータINV1側の駆動割合が1段階大きい駆動時間比を選択する。また、使用者がボタン42を1回押下するごとに、制御装置30は、第2のインバータINV2側の駆動割合が1段階大きい駆動時間比を選択する。
【0122】
図13は、図12の誘導加熱調理器100において2つのインバータが共に動作しているときの動作の一例を示すタイミングチャートである。図14は、図12の誘導加熱調理器100において2つのインバータが共に動作しているときに使用者の操作によりモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。以下、図13及び図14に基づき、図12を参照しつつ、定常加熱モードで電力制限動作が行われている場合において使用者がモードボタン4m3(図12参照)を押下して電力比率設定モードへ移行する場合の動作例について説明する。
【0123】
図14の例において、主電源が投入された後、定常加熱モードで電力制限動作が継続されるまでのステップST501~ST504は、図4の例のステップST101~ST104と同じである。
【0124】
ここで、ステップST502において定常加熱モードの定常加熱シーケンス(工程a3)が開始される際、第1のインバータINV1の設定電力Ps1は2000[W]に、第2のインバータINV2の設定電力Ps2は1500[W]に設定されているものと定義する。また、定常加熱モードにおける駆動時間比は7:3であるものと定義する。
【0125】
工程a3では、第1のインバータINV1の動作時電力Pr1は、式(1)より2857[W]となり、第1のインバータINV1は設定電力Ps1を得る定格動作を行うが、第2のインバータINV2には電力制限がかかる。したがって、定常加熱モードでは、第2のインバータINV2に電力制限がかかった電力制限動作で、2つのインバータによる加熱シーケンスが行われる(ステップST504、工程a3)。このとき、第2のインバータINV2は、駆動時間T2の間、最大定格電力PLの3000[W]で駆動されるが、周期Tの3割しか駆動しないので、その平均電力Pa2は、設定電力Ps2(1500[W])よりも600[W]少ない900[W]となる。
【0126】
ここで、定常加熱モードにおいて2つのインバータ共に所望の設定電力Ps1、Ps2を得たか否かの判定は、制御要素検知手段の検知結果から得られる電力算出値が、使用者が所望する設定電力Ps1、Ps2になったか否かに基づいて制御装置30が行うこともできる。制御装置30は、1つ以上のインバータで電力制限がかかりステップST504の電力制限動作が行われる場合に使用者にそのことを報知するよう構成されてもよい。例えば、制御装置30は、電力制限動作が行われる場合に、電力制限中であることを示すメッセージ、及び電力制限が掛かっている側の加熱口(例えば、左側の加熱口1b)の情報を、表示部20(図12参照)に表示する。
【0127】
ステップST504において電力制限動作での時分割駆動を継続しているとき、制御装置30は、使用者により操作部4のモードボタン4m3が押下されたか否か、すなわち電力比率設定モードへの移行指示が入力されたか否かを判定する(ステップST505)。制御装置30は、電力比率設定モードへの移行指示が入力されたと判定した場合(ステップST505;YES)、使用者の入力に基づき駆動時間比を選択し(ステップST506)、実行中の加熱シーケンス(図13の工程a3)を停止し、電力比率設定モードへ移行する(ステップST507)。ステップST506において駆動時間比を選択する際、制御装置30は、まず、使用者に電力比率を指定するよう要求するメッセージを表示部20(図12参照)に表示する。そして、制御装置30は、使用者が指定した電力比率に基づき、予め記憶された複数段階の整数比から駆動時間比を選択する。また、駆動時間比の変更に伴い、各インバータの駆動周波数を調整する。
【0128】
一方、制御装置30は、電力比率設定モードへの移行指示が入力されていないと判定した場合には(ステップST505;NO)、定常加熱モードで実行中の加熱シーケンスを継続する。定常加熱モードにおいて電力制限動作で加熱シーケンスが行われる間、電力比率設定モードへの移行指示が入力されたと判定されるまで、一定時間ごとにステップST505の判定が行われる。
【0129】
ステップST507において電力比率設定モードへ移行すると、制御装置30は、ステップST506で選択した駆動時間比に変更し、変更後の駆動時間比で2つのINVによる時分割駆動を再開する(ステップST508)。その後、制御装置は、変更後の駆動時間比を用いた加熱シーケンス(図13の工程e3)において、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2共に所望の設定電力Ps1、Ps2を得たか否かを判定する(ステップST509)。制御装置30は、少なくとも一方のインバータINVで設定電力が得られていないと判定した場合(ステップST509;NO)、電力制限は解消していないので、使用者が電力比率を修正できるようにステップST505に戻る。一方、変更後の駆動時間比で時分割駆動が再開された後、工程e3の加熱シーケンスにおいて第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2共に設定電力Ps1、Ps2を得ていると制御装置30が判定した場合には(ステップST509;YES)、電力比率設定モードで2つのインバータによる時分割駆動を継続する(ステップST510)。この場合、電力制限は解消し、定格動作が行われる。
【0130】
図12に示されるように、使用者がボタン41を押下すると、制御装置30は、初期値の駆動時間比に対して、第1のインバータINV1の電力比率を大きくし且つ第2のインバータINV2の電力比率を小さくするように、駆動時間比の変更を行う。また、使用者がボタン42を押下すると、制御装置30は、初期値の駆動時間比に対して、第2のインバータINV2の電力比率を大きくし且つ第1のインバータINV1の電力比率を小さくするように駆動時間比の変更を行う。
【0131】
図13の例では、駆動時間比の初期値は7:3であり、定常加熱モードの加熱シーケンス(工程a3)において、第1のインバータINV1は、駆動時間T1に電力が2857[W]となるような駆動周波数で駆動され、2000[W]の設定電力Ps1を得る定格動作を行う。一方、工程a3において、第2のインバータINV2は、駆動時間T2に最大定格電力PL(すなわち、3000[W])で駆動されるが、1500[W]の設定電力Ps2を得ていない。
【0132】
図13の例では、駆動時間比の初期値が7:3であるから、電力比率設定モードで使用者が電力比率を指定する際、ボタン41が押下されるごとに、第1のインバータINV1側の駆動割合が増加し、ボタン42が押下されるごとに、第2のインバータINV2側の駆動割合が増加する。
【0133】
例えば、使用者がボタン42を1回押下すると、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2との駆動時間比が、初期値の7:3から1段階低い6:4となる。駆動時間比を6:4として電力比率設定モードの加熱シーケンス(工程e3)が実行されると、第1のインバータINV1は、駆動時間T1に最大定格電力PL(すなわち、3000[W])で駆動されるが、平均電力Pa1は、2000[W]の設定電力Ps1よりも200[W]低い1800[W]となる。また、工程e3において、第2のインバータINV2は、駆動時間T2に最大定格電力PLで駆動されるが、平均電力Pa2は、1500[W]の設定電力Ps2よりも300[W]少ない1200[W]となる。この場合、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2の双方において電力制限が掛かることになる。しかし、定常加熱モードでは設定電力と平均電力との差が大きかった第2のインバータINV2側において、電力比率設定モードでは投入電力の不足が軽減している。
【0134】
また、例えば、使用者がボタン42を2回押下すると、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2との駆動時間比が、初期値の7:3から2段階低い5:5となる。駆動時間比を5:5として電力比率設定モードの加熱シーケンス(工程e3)が実行されると、第1のインバータINV1は、駆動時間T1に最大定格電力PL(すなわち、3000[W])で駆動されるが、平均電力Pa1は、2000[W]の設定電力Ps1よりも500[W]低い1500[W]となる。また、工程e3において、第2のインバータINV2は、駆動時間T2に最大定格電力PLで駆動され、平均電力Pa2は設定電力Ps2と同じ1500 [W]となる。この場合、第1のインバータINV1の電力を犠牲にする形となるが、第2のインバータINV2では所望の設定電力Ps2が得られる。
【0135】
また、例えば、使用者がボタン42を3回押下すると、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2との駆動時間比が、初期値の7:3から3段階低い4:6となる。駆動時間比を4:6として電力比率設定モードの加熱シーケンス(工程e3)が実行されると、第1のインバータINV1は、駆動時間T1に最大定格電力PL(すなわち、3000[W])で駆動されるが、平均電力Pa1は、2000[W]の設定電力Ps1よりも800[W]低い1200[W]となる。また、工程e3において、第2のインバータINV2は、駆動時間T2に電力が2500[W]となるような駆動周波数で駆動され、1500[W]の設定電力Ps2を得る定格動作を行う。この場合、第2のインバータINV2では、駆動時間比が5:5の場合と同様に所望の設定電力Ps2が得られるが、第1のインバータINV1では投入電力の不足が増大する。
【0136】
以下、電力比率設定モードで制御装置30が行う、駆動時間比ごとの2つのインバータの出力電力の算出方法の一例について詳しく説明する。ここで、第1のインバータの設定電力Ps1はα[W]であり、第2のインバータの設定電力Ps2はβ[W]であり、最大定格電力PLは3000[W]であるものと定義する。
【0137】
まず、電力制限動作中に第1のインバータINV1で所望の設定電力(α[W])が得られるように使用者が電力比率を設定する場合について説明する。ここで、第1のインバータINV1を最大定格電力PLの3000[W]で駆動する場合の駆動時間比(すなわちT1:T2)の値がa:(10-a)であるものと定義する。制御装置30は、式(5)からaの値を算出する。整数であるa又は整数に繰り上げられたaをa’とすると、第1のインバータINV1の動作時電力Pr1は式(6)で示されるように、α[W]×10/a’となる。したがって、第1のインバータINV1側の駆動割合がa’/10である場合に第1のインバータINV1に投入できる平均電力Pa1_0は、以下の式(11)で表される。
[数11]
Pa1_0=α[W]・・・式(11)
【0138】
また、ボタン42をn回押下した後の駆動時間比は、a’を用いて(a’-n):(10-a’-n)と表せるので、ボタン42をn回押下した場合に第1のインバータINV1に投入できる平均電力Pa1_nは、以下の式(12)で求められる。
[数12]
Pa1_n=3000[W]×(a’-n)/10・・・式(12)
【0139】
例えば、第1のインバータINV1の所望の設定電力(α[W])が2000[W]である場合、式(5)から、aの値は6.7となる。これを整数に繰り上げてa’の値は7となり、駆動時間比は7:3となる。駆動時間比が7:3であるとき、第1のインバータINV1の動作時電力Pr1は、式(6)から2857[W]となり、また、第1のインバータINV1に投入できる平均電力Pa1_0は、式(11)から2000[W]となる。そして、駆動時間比が7:3である状態からボタン42が1回押下されると、駆動時間比は6:4となり、第1のインバータINV1に投入できる平均電力Pa1_1は、式(12)から1800[W]となる。さらにボタン42が2回目、3回目と押下されると、第1のインバータINV1に投入できる平均電力Pa1_2、Pa1_3は、1500[W]、1200[W]と小さくなる。
【0140】
次に、電力制限動作中に第2のインバータINV2で所望の設定電力(β[W])が得られるように使用者が電力比率を設定する場合について説明する。ここで、第2のインバータINV2を最大定格電力PLの3000[W]で駆動する場合の駆動時間比(すなわちT1:T2)の値が(10-b):bであるものと定義する。制御装置30は、式(8)からbの値を算出する。整数であるb又は整数に繰り上げられたbをb’とすると、第2のインバータINV2の動作時電力Pr2は式(9)で示されるように、β[W]×10/b’となる。したがって、第2のインバータINV2側の駆動割合がb’/10である場合に第2のインバータINV2に投入できる平均電力Pa2_0は、以下の式(13)で表される。
[数13]
Pa2_0=β[W]・・・式(13)
【0141】
また、ボタン41をm回押下した後の駆動時間比は、b’を用いて(10-b’-m):(b’-m)と表せるので、ボタン41をm回押下した場合に第2のインバータINV2に投入できる平均電力Pa2_mは、以下の式(14)で求められる。
[数14]
Pa2_m=3000[W]×(b’-m)/10・・・式(14)
【0142】
例えば、第2のインバータINV2の所望の設定電力(β[W])が1500[W]である場合、式(8)から、bの値は5となる。bは整数なのでb’の値も5となり、駆動時間比は5:5となる。駆動時間比が5:5であるとき、第2のインバータINV2の動作時電力Pr2は、式(9)から3000[W]となり、また、第2のインバータINV2に投入できる平均電力Pa2_0は、式(13)から1500[W]となる。そして、駆動時間比が5:5である状態からボタン41が1回押下されると、駆動時間比は6:4となり、第2のインバータINV2に投入できる平均電力Pa2_1は、式(14)から1200[W]となる。さらにボタン41が2回目、3回目と押下されると、第2のインバータINV2に投入できる平均電力Pa2_2、Pa2_3は、900[W]、600[W]と小さくなる。
【0143】
以上のように、実施の形態3の誘導加熱調理器100において、操作部4は、使用者による電力比率の設定を受け付けるものである。制御装置30は、設定された電力比率に応じて駆動時間比を変更し、変更後の駆動時間比で複数のインバータを時分割駆動する第3の駆動時間比変更モード(電力比率設定モード)を有する。制御装置30は、使用者により電力比率の設定が変更されると、第3の駆動時間比変更モードを実行する。これにより、使用者は自在に電力比率を設定することで駆動時間比を変更することができ、2つの加熱口1a及び1bの投入電力のバランスを調整できるので、更に使い勝手が向上する。上述した実施の形態2のように優先する加熱口を選択する場合よりも、電力比率をより自由に変更できる。
【0144】
実施の形態4.
図15は、実施の形態4に係る誘導加熱調理器100において2つのインバータが共に動作しているときに使用者の操作によりモード移行する場合の制御の一例を示すフローチャートである。実施の形態4は、使用者により設定された加熱口1a、1bの設定火力F1、F2の比率に応じてインバータINVの設定電力比及び駆動時間比が自動的に決定される場合の形態である。以下、図15に基づき、実施の形態4の誘導加熱調理器100の構成について説明する。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0145】
実施の形態4においても、実施の形態1~3の場合と同様、制御装置30は、使用者の操作部4に対する操作に基づいて、2つのインバータの駆動時間比を変更する駆動時間比変更モードを実行するように構成されている。具体的には、制御装置30は、加熱シーケンスの開始後に、2つの加熱口1a及び1bに設定された設定火力F1、F2の比率に応じて駆動時間比を変更する第4の駆動時間比変更モードを有する。実施の形態4では、操作部4の操作ダイヤル4a1、4b1がモードボタンとして機能し、制御装置30は、使用者が操作ダイヤル4a1、4b1を操作して1以上の加熱口の設定火力を変更した場合に、第4の駆動時間比変更モードを実行する。
【0146】
使用者が操作部4を介して誘導加熱調理器100の主電源をオンにすると、制御装置30は、図15の制御を開始する。制御装置30は、まず、2つの加熱口1a及び1bの動作開始要求が入力されたか否かを判定し(ステップST601)、動作開始要求が入力されたと判定した場合には、2つのインバータの設定電力比を算出する(ステップST602)。具体的には、使用者が操作ダイヤル4a1、4b1(図1参照)を介して各加熱口1a、1bの火力を設定し、制御装置30は、動作開始要求を受けると、使用者が設定した右側の加熱口1aの設定火力F1と左側の加熱口1bの設定火力F2との比率に応じて、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2の設定電力比を算出し(ステップST602)、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2の駆動時間比を決定する(ステップST603)。火力は、例えば操作ダイヤル4a1、4b1の目盛りに対応して複数レベルに分けられている。例えば、制御装置30は、設定火力F1と設定火力F2の比率が4:5である場合、2つのインバータの設定電力比、及び2つのインバータの駆動時間比をそれぞれ4:5とする。
【0147】
次に、制御装置30は、算出した設定電力比及び決定した駆動時間比から、2つのインバータの動作時電力Prが最大定格電力PLを超えるか否かを判定する(ステップST604)。ここで、上記のように設定火力の比率に応じて駆動時間比が決定される場合、動作時電力Prは2つのインバータで同じである。動作時電力Prが最大定格電力PLを超えると判定された場合(ステップST604;YES)、制御装置30は、2つのインバータ共に電力制限して時分割駆動を開始する(ステップST605)。
【0148】
例えば、使用者による各加熱口1a、1bへの火力の設定により、第1のインバータINV1の設定電力Ps1が2000[W]、第2のインバータINV2の設定電力Ps2が2500[W]である場合、設定電力比は4:5であるから、駆動時間比は4:5とされる。この駆動時間比を用いて、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2の動作時電力Prは、式(1)及び式(2)から、ともに4500Wが必要である。しかし、2つのインバータ共に電力制限が掛かるので、各インバータの駆動電力は、最大定格電力PLの3000[W]となる。結果、第1のインバータINV1の平均電力Pa1は1333[W]となり、第2のインバータINV2の平均電力Pa2は1667[W]となる。すなわち、実施の形態4では、加熱シーケンスにおいて、設定火力F1、F2の比率に応じて決定された駆動時間比を維持しながら、2つのインバータの駆動電力が最大定格電力PLの3000[W]以下となるよう制御される。
【0149】
ステップST604の判定により動作時電力Prが最大定格電力PLを超えないと判定された場合(ステップST604;NO)、制御装置30は、2つのインバータ共に電力制限せず時分割駆動を開始する(ステップST612)。すなわち、定格動作が行われる。
【0150】
制御装置30は、ステップST605又はステップST612において2つのインバータによる時分割駆動を開始した後、1以上の加熱口1a、1bの設定火力F1、F2が変更されたか否かを判定する(ステップST606)。いずれの加熱口の設定火力F1、F2も変更されていない場合(ステップST606;NO)、制御装置30は、実行中の時分割駆動を続行する。
【0151】
一方、1以上の加熱口1a、1bの設定火力F1、F2が変更されたと判定された場合(ステップST606:YES)、変更後の設定火力F1、F2の比率に応じて、設定電力比を算出し(ステップST607)、駆動時間比を決定し(ステップST608)、実行中の加熱シーケンスを停止する(ステップST609)。そして、制御装置30は、算出した設定電力比及び決定した駆動時間比から、2つのインバータの動作時電力Prが最大定格電力PLを超えるか否かを判定する(ステップST610)。動作時電力Prが最大定格電力PLを超えると判定された場合(ステップST610;YES)、制御装置30は、ステップST608で決定された駆動時間比を使用して2つのインバータ共に電力制限して時分割駆動を再開し、継続する(ステップST611)。
【0152】
一方、変更後の設定火力F1、F2の比率に応じて算出した設定電力比及び決定した駆動時間比から、動作時電力Prが最大定格電力PLを超えないと判定された場合(ステップST610;NO)、制御装置30は、2つのインバータ共に電力制限なしの時分割駆動を再開し、継続する(ステップST613)。すなわち、定格動作を行う。
【0153】
加熱シーケンスを開始する際に制御装置30により決定された駆動時間比が、その後の加熱シーケンスで維持されてしまうと、上述したステップST605の動作例のように電力制限が掛かった場合に、使用者が2つの加熱口1a及び1bの火力を調整できる変更幅が限定されてしまう。しかし、制御装置30は第4の駆動時間比変更モード(ステップST606~ST611及びステップST613)を有しているので、加熱シーケンスの開始後であっても、使用者は1以上の加熱口の設定火力を変更することで、駆動時間比を変更することができ、2つの加熱口1a及び1bの火力のバランスを自由に変更でき、電力制限が掛かった場合の使い勝手が向上する。
【0154】
例えば、ステップST605の電力制限動作が行われているときに、使用者が2つの加熱口1a及び1bの設定火力を変更し、第1のインバータINV1の設定電力Ps1が1200[W]、第2のインバータINV2の設定電力Ps2が800[W]に変更された場合、設定電力比は3:2であるから、駆動時間比は3:2に変更される。制御装置30がこの駆動時間比を適用することで、第1のインバータINV1及び第2のインバータINV2の動作時電力Prは、式(1)及び式(2)から、ともに2000[W]となり、いずれも電力制限のない定格動作となる。実施の形態4では、第1のインバータINV1と第2のインバータINV2の投入電力比率は、常に設定電力比と同一となる。
【0155】
以上のように、実施の形態4の誘導加熱調理器100において、操作部4は、使用者による複数の加熱口(例えば、2つの加熱口1a及び1b)のそれぞれについて火力(設定火力F1、F2)の設定の変更を受け付けるものである。制御装置30は、加熱動作の開始後に、複数の加熱口に設定された火力の比率に応じて駆動時間比を変更する第4の駆動時間比変更モードを有する。制御装置30は、使用者により複数の加熱口のうち1以上の加熱口に対して火力の設定が変更されると、第4の駆動時間比変更モードを実行する。
【0156】
これにより、加熱動作の開始後に、使用者によって1以上の加熱口の火力設定が変更されたとき、設定火力の比率に応じて自動的に駆動時間比が再設定されるので、使用者による設定等の操作の煩わしさが無く、使い易い誘導加熱調理器100を提供できる。
【0157】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、制御装置30は、駆動時間比変更モードとして、実施の形態1~4に示した複数の駆動時間比変更モード又はその一部を有する構成としてもよい。また、実施の形態1~4では、誘導加熱調理器100が、2つの加熱コイル及び2つのインバータを備える場合について説明した、誘導加熱調理器100は、3つ以上の加熱コイル及び3つ以上のインバータを備えるものであってもよい。
【0158】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0159】
(付記1)
被加熱物が載置される加熱口を複数有する誘導加熱調理器であって、
各加熱口の下方に設けられ、前記加熱口に載置された前記被加熱物を誘導加熱する複数のインバータと、
前記複数のインバータに電力を供給する前段回路と、
前記複数のインバータが互いに排他動作を行うように前記複数のインバータを時分割駆動させる制御装置と、
使用者により操作される操作部と、を備え、
前記制御装置は、前記使用者の前記操作部に対する操作に基づいて、前記複数のインバータの駆動時間比を変更する駆動時間比変更モードを実行する
誘導加熱調理器。
(付記2)
前記制御装置は、前記複数のインバータのそれぞれにおいて予め設定された設定電力が投入されるように前記駆動時間比を変更する第1の駆動時間比変更モードを有し、前記使用者の前記操作部に対する操作に基づいて、前記第1の駆動時間比変更モードを実行する
付記1に記載の誘導加熱調理器。
(付記3)
前記操作部は、前記複数の加熱口のうち優先する加熱口の選択を受け付けるものであり、
前記制御装置は、前記複数の加熱口のうち前記使用者により選択された加熱口に対応するインバータにおいて優先して設定電力が投入されるように前記駆動時間比を変更する第2の駆動時間比変更モードを有し、前記使用者の前記操作部に対する操作に基づいて、前記第2の駆動時間比変更モードを実行する
付記1又は2に記載の誘導加熱調理器。
(付記4)
前記操作部は、前記使用者による電力比率の設定を受け付けるものであり、
前記制御装置は、設定された前記電力比率に応じて前記駆動時間比を変更し、変更後の前記駆動時間比で前記複数のインバータを時分割駆動する第3の駆動時間比変更モードを有し、前記使用者により前記電力比率の設定が変更されると、前記第3の駆動時間比変更モードを実行する
付記1~3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
(付記5)
前記操作部は、前記使用者による前記複数の加熱口のそれぞれについて火力の設定の変更を受け付けるものであり、
前記制御装置は、前記複数の加熱口に設定された火力の比率に応じて前記複数のインバータのそれぞれの設定電力を変更し、前記駆動時間比が変更後の前記設定電力の比率と同一となるように前記駆動時間比を再設定する第4の駆動時間比変更モードを有し、前記使用者により前記複数の加熱口のうち1以上の加熱口に対して火力の設定が変更されると、前記第4の駆動時間比変更モードを実行する
付記1~4のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
(付記6)
前記制御装置は、前記駆動時間比変更モードを実行する前に実行中の加熱動作を停止させ、その後、前記駆動時間比変更モードにおいて、変更後の前記駆動時間比で、前記複数の加熱口における負荷検知と加熱動作とを行う
付記1~5のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【符号の説明】
【0160】
1a 加熱口、1b 加熱口、2 天板、3 制御装置、3a、3b、3c、3d スイッチング素子、4、4a、4b 操作部、4a1、4b1 操作ダイヤル、4m1、4m2、4m3 モードボタン、10 前段回路、11 整流回路、11a ダイオード、12 フィルタ回路、12a チョークコイル、12b 平滑コンデンサ、13 共振回路、13a 加熱コイル、13b 共振コンデンサ、14 共振回路、14a 加熱コイル、14b 共振コンデンサ、20、20a、20b 表示部、30 制御装置、41、42 ボタン、51 電流検出器、52a 電流検出器、52b 電流検出器、100 誘導加熱調理器、200 商用電源、F1 設定火力、F2 設定火力、INV インバータ、INV1 第1のインバータ、INV2 第2のインバータ、PL 最大定格電力、Pa1、Pa1_0、Pa1_1、Pa1_2、Pa1_n 平均電力、Pa2、Pa2_0、Pa2_1、Pa2_2、Pa2_m 平均電力、Pr 動作時電力、Pr1 動作時電力、Pr2 動作時電力、Ps1 設定電力、Ps2 設定電力、T 周期、T1 駆動時間、T2 駆動時間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15