IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スタンレー電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用灯具 図1
  • 特開-車両用灯具 図2
  • 特開-車両用灯具 図3
  • 特開-車両用灯具 図4
  • 特開-車両用灯具 図5
  • 特開-車両用灯具 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165203
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/33 20180101AFI20231108BHJP
   F21S 41/147 20180101ALI20231108BHJP
   F21S 41/37 20180101ALI20231108BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20231108BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231108BHJP
【FI】
F21S41/33
F21S41/147
F21S41/37
F21W102:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075964
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】草壁 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐原 晋
(57)【要約】
【課題】 成形時のリフレクタの変形を抑制可能な車両用灯具の提供を目的とする。
【解決手段】 車両用灯具は、光源からの照射光を反射する光反射板部を有するリフレクタを備え、前記光反射板部は、基板部と、基板部の表面に形成される光反射部とを備え、前記光反射部の表面に、格子状に区画された複数の前記光反射領域が形成され、前記基板部の裏面に、リブが形成され、前記リブは、隣り合う前記光反射領域の境界部の少なくとも一部と向かい合うことを備えることを特徴とする。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの照射光を反射する光反射板部を有するリフレクタを備え、
前記光反射板部は、基板部と、前記基板部の表面に形成される光反射部とを備え、
前記光反射部の表面に、格子状に区画された複数の光反射領域が形成され、
前記基板部の裏面に、リブが形成され、
前記リブは、隣り合う前記光反射領域の境界部の少なくとも一部と向かい合う
ことを備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記隣り合う光反射領域の境界部に、段差が形成され、
前記リブの突出方向とは逆側に前記リブが延在すると仮定した場合の仮想延在領域に、前記段差が含まれる、
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記基板部が、ポリプロピレン製である、
請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドランプ等の車両用灯具は、光源からの照射光を車両前方側に反射する(配光する)リフレクタを備える。リフレクタを備える車両用灯具は、例えば、下記特許文献1に開示されている。ここで、特許文献1に示されるように、リフレクタは、略放物面状の光反射板部(リフレクタ本体)を備える。また、光反射板部は、基板部と、光反射部(例えば、基板部の表面に蒸着された金属蒸着膜)を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-123454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般にリフレクタの主要部分(例えば、光反射板部の基板部等)は、PC(ポリカーボネート)等の樹脂で構成される。また、リフレクタの樹脂部分(例えば、光反射板部の基板部等)の成形方法の1つとして、可塑化された樹脂(PC等)を金型に充填し、金型の内面形状に対応する形状の製品(リフレクタ)を成形する射出成形法が採用されている。
【0005】
しかしながら、射出成形法によってリフレクタの樹脂部分を成形する場合、金型に充填された樹脂を冷却固化するステップを含む。そのため、リフレクタの樹脂部分は、冷却固化される際に収縮する。これにより、リフレクタの所定箇所に応力が掛かり、成形時にリフレクタが変形するなどの事態が生じ得る。
【0006】
また、コストダウンや軽量化の観点から、リフレクタの樹脂部分をPCではなく、PP(ポリプロピレン)等の他の樹脂に代替することも検討されている。ただし、特にPPの場合、冷却固化される際の収縮率が、PCに比べて高い。そのため、リフレクタの樹脂部分をPPとする場合、前述した成形時のリフレクタが変形する可能性がより高まる。
【0007】
前記課題に鑑み、本発明は、成形時のリフレクタの変形を抑制可能な車両用灯具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するため、本発明に係る車両用灯具は、
光源からの照射光を反射する光反射板部を有するリフレクタを備え、
前記光反射板部は、基板部と、前記基板部の表面に形成される光反射部とを備え、
前記光反射部の表面に、格子状に区画された複数の光反射領域が形成され、
前記基板部の裏面に、リブが形成され、
前記リブは、隣り合う前記光反射領域の境界部の少なくとも一部と向かい合う
ことを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のこの態様において、リフレクタの光反射板部(基板部)の裏面に形成されるリブが、光反射板部の表面(光反射部)における隣り合う光反射領域の境界部の少なくとも一部に向かい合う。すなわち、成形時の樹脂収縮によって応力の掛かりやすい境界部に向かい合うよう、リブが配設される。その結果、本発明のこの態様によれば、境界部がリブによって適切に補強され、成形時の樹脂収縮に伴うリフレクタ(光反射板部)の変形を防ぐことができる。それに加え、リブが境界部と向かい合うよう配設される(リブが光反射領域の裏側に配設されない)ため、光反射領域にヒケが生じるなどの不具合を抑制することができる。
【0010】
また、本発明に係る車両用灯具において、
前記隣り合う光反射領域の境界部に、段差が形成され、
前記リブの突出方向とは逆側に前記リブが延在すると仮定した場合の仮想延在領域に、前記段差が含まれることが好ましい。
【0011】
本発明のこの態様によれば、リフレクタの光反射板部の裏面に形成されるリブが、特に応力の掛かりやすい光反射領域の境界部の段差に向かい合う。その結果、成形時の樹脂収縮に伴うリフレクタ(光反射板部)の変形をより有効に防ぐことができる。
【0012】
更に、本発明に係る車両用灯具において、
前記基板部が、ポリプロピレン製であることが好ましい。
【0013】
本発明のこの態様によれば、応力が掛かりやすい光反射領域の境界部が、リブによって適切に補強されるため、リフレクタの光反射板部(基板部)を成形時の収縮率の高いポリプロピレン製としても、リフレクタ(光反射板部)の変形を有効に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、成形時のリフレクタの変形を抑制可能な車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の分解斜視図。
図2】本実施形態のリフレクタの斜視図。
図3】本実施形態のリフレクタの部分正面図。
図4】本実施形態のリフレクタの部分裏面図。
図5図4のA-A断面図。
図6図4のB-B断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る車両用灯具を詳細に説明する。初めに、図1を参照して、本実施形態に係る車両用灯具1の全体構成の概略を説明する。ここで、図1は、車両用灯具1の分解斜視図である。また、図1に示される車両用灯具1は、二輪車用のヘッドランプである。ただし、車両用灯具1の種類は、これに限られない。
【0017】
また、車両用灯具1は、光源10(例えば、LED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子)を底面側に取り付けた基板11、光源10からの照射光を車両前方側に反射するリフレクタ20、光源10(基板11)、リフレクタ20等を収容するハウジング30、インナーレンズ40、エクステンション50、アウターレンズ60等を備える。
【0018】
次に、図2から図6を参照して、本実施形態のリフレクタ20を詳細に説明する。ここで、図2は、リフレクタ20の斜視図である。また、図3は、リフレクタ20の部分正面図である。更に、図4は、リフレクタ20の部分裏面図である。更に、図5は、図4に示されるリフレクタ20のA-A断面図である。更に、図6は、図4に示されるリフレクタ20のB-B断面図である。
【0019】
図2に示されるように、リフレクタ20は、左右一対の光反射板部21(21a,21b)を備える。また、本実施形態の光反射板部21a,21bは、光源10からの照射光を車両前方側に反射する(配光する)ための光学部材であって、略放物面に湾曲する板状部材に対応する基板部22(図4図6参照)と、基板部22(光反射板部21)の表面23側に位置する光反射部24を備える。特に限定されるものではないが、本実施形態の基板部22は、ポリプロピレン(PP)製である。また、光反射部24は、基板部22の表面23に蒸着された金属薄膜である7。
【0020】
また、図3に示されるように、本実施形態の光反射部24は、光反射板部21の縦方向及び横方向に沿って配列される複数の光反射領域25に区画される。本実施形態における各光反射領域25は、矩形状の形態を呈する。ただし、光反射領域25の形態は、これに限られない。また、隣り合う光反射領域25の間に、段差状の境界部26が形成される(図5図6参照)。
【0021】
次に、図4に示されるように、基板部22(光反射板部21)の裏面27に、背方側に突出するリブ28が形成される。本実施形態のリブ28は、表面23側に位置する境界部26と向かい合う(沿う)よう配設される。従って、本実施形態のリブ28は、裏面27に格子状に設けられる。ただし、図示されるリブ28は、境界部26のほぼ全域に向かい合うよう配設されるが、境界部26の少なくとも一部に向かい合う態様であってもよい。
【0022】
更に、図5及び図6に示されるように、リブ28の突出方向とは逆側にリブ28が延在すると仮定した場合の仮想延在領域28BSに、段差状の境界部26が含まれることが好ましい。このように、成形時におけるリフレクタ20(光反射板部21の基板部22)の収縮の際、特に応力の掛かりやすい段差状の境界部26にリブ28が向き合うことで、基板部22が適切に補強される。その結果、成形時のリフレクタ20(光反射板部21)の変形を防ぐことができる。
【0023】
更に、リフレクタ20(光反射板部21の基板部22)が、リブ28によって適切に補強されるため、基板部22を成形時の収縮率の高いポリプロピレン製としても、リフレクタ20(基板部22)の変形を有効に防ぐことができる。そのため、基板部22をポリカーボネート(PC)製とする場合に比べて、コストダウン及び軽量化を図ることができる。
【0024】
それに加え、リブ28が、境界部26と向かい合うよう配設される(リブ26が光反射領域25の裏側に配設されない)ため、光反射領域25にヒケが生じるなどの不具合を抑制することができる。すなわち、リブ28が設けられても、新たにリフレクタ20の配光特性等に影響がでる事態を防ぐことができる。なお、特に限定されるものでないが、リブ28の高さ28H(突出方向側の長さ)は、0.5mmから2.0mm程度であることが好ましい。リブ28の高さ28Hが前記範囲であることで、リブ28を形成するために過度に樹脂量を増やすことなく、且つ、基板部22を適切に補強することができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0026】
1… 車両用灯具
10… 光源
11… 基板
20… リフレクタ
21(21a,21b)… 光反射板部
22… 基板部
24… 光反射部
25… 光反射領域
26… 境界部
28… リブ
30… ハウジング
40… インナーレンズ
50… エクステンション
60… アウターレンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6