(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016521
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】ドアウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
B60J 10/24 20160101AFI20230126BHJP
B60J 10/27 20160101ALI20230126BHJP
B60J 10/86 20160101ALI20230126BHJP
【FI】
B60J10/24
B60J10/27
B60J10/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120889
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】大村 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】井出 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】西村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 克征
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA03
3D201AA06
3D201BA01
3D201CA23
3D201DA16
3D201DA27
3D201DA36
(57)【要約】
【課題】中空シール部の車体パネルに対するシール圧の減少化を抑制して、シール性能や遮音性能の低下を防止できるドアウェザーストリップを提供する。
【解決手段】フロントドアのドア閉時に、中空シール部23の先端部23aが車体パネル9に弾接して撓み変形することにより、ドアパネルと車体パネルとの間をシールするドアウェザーストリップであって、中空シール部の先端部には、ドア閉時において、車体パネルに弾接する突起部26と、この突起部と連続して形成され、該突起部と共に車体パネルに弾接する肉厚シール部27と、を有し、突起部と肉厚シール部は、ドアが車両の走行中の負圧によってドアガラス11を介して車外方向に移動した際に、車体パネルと弾接したシール圧の方向が前記ドアの移動方向と平行あるいはほぼ平行となるように構成した。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアパネルに取り付けられる取付基部と、該取付基部に一体に設けられ、ドア閉時に、車体パネルに弾接する中空シール部と、を備え、
ドア閉時に、前記中空シール部の先端部が前記車体パネルに弾接して撓み変形することにより、前記ドアパネルと車体パネルとの間をシールするドアウェザーストリップであって、
前記中空シール部の前記先端部には、ドア閉時において、前記車体パネルに弾接する突起部と、前記突起部と共に前記車体パネルに弾接する部位に形成された肉厚シール部と、を有し、
前記突起部と肉厚シール部は、前記ドアが車両の走行中の負圧によってドアガラスを介して車外方向に移動した際に、車体パネルと弾接したシール圧の方向が前記ドアの移動方向と平行あるいはほぼ平行となるように構成したことを特徴とするドアウェザーストリップ。
【請求項2】
請求項1に記載のドアウェザーストリップであって、
前記突起部は、ドア閉時に車体パネルと弾接する部位が車内側の外側面であり、
前記肉厚シール部は、前記突起部の外側面と連続して形成されていることを特徴とするドアウェザーストリップ。
【請求項3】
請求項2に記載のドアウェザーストリップであって、
前記肉厚シール部は、前記突起部側から前記中空シール部の車内側の端部までにわたって漸次薄肉に形成されていることを特徴とするドアウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアパネルに取り付けられ、該ドアパネルと車体パネルとの間をシールするドアウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドアウェザーストリップとしては、以下の特許文献1に記載されているものが知られている。
【0003】
図1は本発明及び従来技術のドアウェザーストリップが適用される自動車のフロントドアの側面図、
図6は従来のドアウェザーストリップを示す
図1のA-A線断面図である。
【0004】
このドアウェザーストリップ1は、
図1に示すように、ドア本体3とドアサッシュ部4とからなるフロントドア(以下、ドアという。)2の周囲に閉ループ状に配設されている。
【0005】
図6に示すドアウェザーストリップ1は、ドアサッシュ部4の上辺部に配設されたものであって、ドアサッシュ部4のインナーパネル4aにクリップ5によって取り付け固定される取付基部6と、該取付基部6の車内側の上端に一体に設けられ、ドア閉時に車体パネル9に弾接する中空シール部7と、取付基部6から車外側に突出形成されて車体パネル9に弾接するシールリップ8と、を備えている。
【0006】
取付基部6の車外側端部には、ドアサッシュ部4のヘミングフランジ部4cに弾接するパネルリップ10a、10bが上下二段にわたって設けられている。
【0007】
前記中空シール部7は、横断面ほぼ楕円形状に形成されて取付基部6よりも低比重のスポンジゴム材によって全体がほぼ均一幅で成形されていると共に、ドア開時の自由状態では
図6の一点鎖線で示すように、先端部7aが前記車体パネル9方向に向かってほぼ直線状に突出形成されている。
【0008】
また、ドアサッシュ部4のインナーパネル4aとアウターパネル4bとの間には、昇降するドアガラス11の上端部両側面を摺動可能に保持するグラスラン12が設けられている。このグラスラン12は、インナー、アウターパネル4a、4bの間に設けられたガラス受け止め部材であるレインフォースブラケット(リテーナ)13の下面に当接配置された底壁部12aと、該底壁部12aの車内側と車外側の両端縁に一体に設けられた両側壁12b、12cと、該両側壁12b、12cのそれぞれの下部に対向して設けられ、ドアガラス11の上端部の両側面に摺接可能に設けられた一対のシールリップ12d、12eと、を有している。
【0009】
そして、ドア閉時には、前記中空シール部7の先端部7aが、
図6の実線で示すように、車体パネル9(ボディサイドアウタ)に弾接してドア2の押圧力によって潰れる方向へ撓み変形しつつ該先端部7aのシール圧によって車内外の間をシールすると共に、遮音性が得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、周知のように、自動車の例えば高速走行中には、車外の負圧と車内の大気圧との圧力差の影響によって、
図6の白抜き矢印で示すように、ドアガラス11を介してドア2全体を車外方向へ僅かに移動させるいわゆる吸い出し現象が発生する。
【0012】
このドア2に対する吸い出し方向(白抜き矢印方向)は、ドアガラス11の法線方向となることから、ドアガラス11の車体に対する傾斜角度θによっては、中空シール部7の撓み変形に伴う先端部7aの車体パネル9に対する当接位置が不安定になる。
【0013】
つまり、従来のドアウェザーストリップ1は、スポンジゴム材からなる中空シール部7の全体の肉厚がほぼ均一になっているので、前記傾斜角度θによって車体パネル9との弾接に伴う潰れ形状が変化し易くなる。特に、前記吸い出し現象の吸い出し量(移動量)に比例して中空シール部7の先端部7aの潰れ方向が変化して、車体パネル9に対する当接位置などが不安定になるおそれがある。
【0014】
この結果、中空シール部7の先端部7aが車体パネル9からシールアウトするとか、車体パネル9から離れてシール圧が減少して、シール性能や遮音性能が低下するおそれがある。
【0015】
本発明は、前記従来技術の技術的課題に鑑みて案出されたもので、中空シール部の先端部の車体パネルに対するシール圧の減少化を抑制して、シール性能や遮音性能の低下を防止できるドアウェザーストリップを提供することを一つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、車両のドアパネルに取り付けられる取付基部と、該取付基部に一体に設けられ、ドア閉時に、車体パネルに弾接する中空シール部と、を備え、
ドア閉時に、前記中空シール部の先端部が前記車体パネルに弾接して撓み変形することにより、前記ドアパネルと車体パネルとの間をシールするドアウェザーストリップであって、
前記中空シール部の前記先端部には、ドア閉時において、前記車体パネルに弾接する突起部と、前記突起部と共に前記車体パネルに弾接する部位に形成された肉厚シール部と、を有し、
前記突起部と肉厚シール部は、前記ドアが車両の走行中の負圧によってドアガラスを介して車外方向に移動した際に、車体パネルと弾接したシール圧の方向が前記ドアの移動方向と平行あるいはほぼ平行となるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車両の高速走行時における中空シール部によるシール性能や遮音性能の低下を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明及び従来技術のドアウェザーストリップが適用される自動車のフロントドアの側面図である。
【
図2】本発明に係るドアウェザーストリップを示す
図1のA-A線断面図である。
【
図3】自動車の走行前あるいは通常走行時におけるドアウェザーストリップの状態を示す
図1のA-A線断面図である。
【
図4】自動車の高速走行時におけるドアウェザーストリップの状態を示す
図1のA-A線断面図である。
【
図6】従来のドアウェザーストリップを示す
図1のA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のドアウェザーストリップの実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0020】
図2は本発明に係るドアウェザーストリップが自動車用フロントドアのドアサッシュ部に取り付けられた状態を示す
図1のA-A線断面図、
図3は自動車の走行前あるいは通常走行時における本実施形態のドアウェザーストリップの状態を示す
図1のA-A線断面図、
図4は自動車の高速走行時における本実施形態のドアウェザーストリップの状態を示す
図1のA-A線断面図、
図5は
図4のB部拡大図である。
【0021】
図1に示すように、車両である自動車のフロントドア2のドア本体3の上部には、ドアサッシュ部4を有し、このドアサッシュ部4は、車内側のインナーパネル4aの端末部と車外側のアウターパネル4bの端末部をヘミング加工によって結合して形成されている。
【0022】
なお、本実施形態では、従来技術のようなインナーパネル4aとアウターパネル4bとの間にレインフォースブラケットであるリテーナは介装されていない。
【0023】
ドアサッシュ部4の外周には、車体開口部とドアとの間をシールするドアウェザーストリップ21が設けられている。
【0024】
このドアウェザーストリップ21は、
図2に示すように、ドアサッシュ部4のインナーパネル4aにクリップ5によって取り付け固定される取付基部22と、該取付基部22の車内側の上端に一体に設けられ、ドア閉時に車体パネル9の直線部9aにほぼ垂直方向から弾接してメインシール部として機能する中空シール部23と、取付基部22の車外側端部から車外方向に突出形成されて、車体パネル9の湾曲状の外周部下面に弾接してサブシール部として機能するシールリップ24と、を備えている。
【0025】
取付基部22は、ソリッドゴム材によって横断面ほぼ矩形状に形成されて、ドアサッシュ部4を含むドア2の外周に沿って形成されていると共に、内部に車内側と車外側の2つの空間部22aが長手方向に沿って連続的に形成されている。また、取付基部22は、底壁22bにクリップ5が挿入される挿入孔22cが貫通形成されている。取付基部22の車外側端部には、ドアサッシュ部4のヘミングフランジ部4cに弾接するパネルリップ25a、25bが上下二段にわたって設けられている。
【0026】
中空シール部23は、横断面ほぼ楕円形状に形成されて取付基部22よりも低比重のスポンジゴム材によって成形されていると共に、ドア開時の自由状態では
図2の一点鎖線で示すように、先端部23aが車体パネル9の直線部9a方向に向かってほぼ直線状に突出形成されている。
【0027】
また、中空シール部23は、先端部23aにそれぞれ設けられて、ドア閉時に、車体パネル9に弾接可能な突起部26と、該突起部26から車内側方向に沿って形成され、突起部26と共に車体パネル9に弾接可能な肉厚シール部27と、を有している。
【0028】
前記突起部26は、
図2及び
図5に示すように、ドア開時の自由状態ではドア2の上方に指向していると共に、取付基部22とほぼ平行に形成されている。この突起部26は、ドアウェザーストリップ21の長手方向に沿って形成されていると共に、先端面26aが円弧状に形成されている。また、突起部26は、ドア閉時には先端面26aを除く車内側の外側面26bが車体パネル9の直線部9aに弾接するようになっている。
【0029】
前記肉厚シール部27は、突起部26から車内方向に一定の長さLで連続して形成されていると共に、突起部26と同じくドアウェザーストリップ21の長手方向に沿って形成されている。また、肉厚シール部27は、ドア閉時に、車内側の外面27aが突起部26の外側面26bとともに車体パネル9の直線部9aに弾接するようになっている。また、肉厚シール部27は、中空シール部23の突起部26側から車内側端部23bにわたって漸次薄肉に形成されて前記車内側端部23bと連続的に結合している。
【0030】
また、ドアサッシュ部4のインナーパネル4aとアウターパネル4bとの間には、昇降するドアガラス11の上端部の両側面を摺動可能に保持するグラスラン30が設けられている。このグラスラン30は、
図2に示すように、インナー、アウターパネル4a、4bの各端末フランジ部4d、4eの間に設けられており、車内方向に膨出変形したインナーパネル4aの平坦部下面に直接的に当接配置された底壁部31と、該底壁部31の車内側と車外側の両端縁に一体に設けられた両側壁32a、32bと、該両側壁32a、32bのそれぞれの下部に対向して設けられ、昇降可能なドアガラス11の上端部の両側面に摺接可能に設けられた一対の車内側、車外側のシールリップ33a、33bと、を有している。
【0031】
底壁部31の下面には、ドアガラス11の上昇時における該ドアガラス11の上端面が当接するシールリップ35が一体に設けられている。
【0032】
両側壁32a、32bの下端部には、車内側、車外側シールリップ33a、33bと反対方向へ折り返し状に折曲された第1、第2モールリップ34a、34bが設けられている。この第1,第2モールリップ34a、34bは、両側壁32a、32bの図中、両下端部の間に挿入されたアウター、インナーパネル4a,4bの各端末フランジ部4d、4eを第1、第2支持リップと一緒に挟持状態に保持するようになっている。
【0033】
〔本実施形態に係るドアウェザーストリップの作用効果〕
自動車のドア2を閉じた際には、
図2の実線及び
図3に示すように、中空シール部23の突起部26の外側面26bと肉厚シール部27の外面27aが、車体パネル9の直線部9aの外面に弾接する。これによって、中空シール部23は、ドア2の押圧力によって全体が潰れる方向へ撓み変形する。なお、自動車の通常走行時も中空シール部23は、車体パネル9の押圧力によってほぼ同じ撓み変形状態を維持している。
【0034】
そして、自動車の例えば高速走行時には、前述したように、車外の負圧と車内の大気圧との圧力差の影響によって、
図4に示すように、閉じられたドアガラス11を介してドア2全体が車外方向へ僅かに移動するいわゆる吸い出し現象が発生する。このとき、ドア2に対する吸い出し方向(
図2、
図5の白抜き矢印方向)は、ドアガラス11の法線方向となることから、ドアガラス11の車体に対する傾斜角度θによっては、中空シール部23の撓み変形に伴う先端部23aの車体パネル9に対する当接位置が不安定になりやすい。
【0035】
しかし、本実施形態では、中空シール部23の先端部23aに突起部26と肉厚シール部27とを設けたことによって、該突起部26と肉厚シール部27の車体パネル9の直線部9aへの弾接したシール圧の方向、つまり、中空シール部23のシール圧の方向が前記吸い出し力の吸い出し方向Xと平行あるいはほぼ平行となるように変形する。
【0036】
具体的に説明すれば、中空シール部23の突起部26及び肉厚シール部27が車体パネル9の直線部9aであるボディサイドアウタから受けるシール圧の成分は、
図5に示す分力となる。すなわち、突起部26と肉厚シール部27との境の部位Pを作用点とすると、このP点から突起部26と肉厚シール部27と同じ方向の分力F1と、この分力F1と垂直方向の分力F2と、に分けられ、この両分力F1、F2の合力Fが前記吸い出し力の吸い出し方向Xと平行になるように変形する。つまり、中空シール部23の先端部23aは、
図4及び
図5の実線で示す形状に撓み変形する。
【0037】
したがって、中空シール部23の先端部23aは、ドアガラス11の車体に対する傾斜角度θや前記吸い出し量(ドアの移動量)に拘わらず、倒れ方が変わることなく、その撓み変形が前記吸い出し方向Xと同じになる。これによって、前記吸い出し力が発生しても中空シール部23の先端部23aの車体パネル9に対する当接位置が安定化すると共に、シール幅が十分に確保される。
【0038】
このため、中空シール部23のシール圧の減少が抑制されて常に密着状態を維持できる。この結果、シール性能や遮音性能の低下を十分に防止できる。
【0039】
また、前記突起部26と肉厚シール部27が、連続的に形成されて、突起部26の外側面26bと肉厚シール部27の外面27aが連続一体になっていることから、車体パネル9の直線部9aに対するシール幅を大きくできると共に、シール剛性が高くなって前記ドア2(ドアガラス11)に対する吸い出し力に比較して中空シール部23の撓み変形量が小さくなる。この結果、中空シール部23の車体パネル9への密着性の低下が抑制されてシール性能の低下を抑制できる。
【0040】
また、前記肉厚シール部27は、突起部26から中空シール部23の車内側端部23bにわたって漸次薄肉となるように形成されていることから、ドア閉時に車体パネル9から突起部26及び肉厚シール部27が受ける圧力をなだらに吸収するように作用する。つまり、肉厚シール部27と車内側端部23bとの間に段差がある場合は、前記圧力によって中空シール部23の車内側端部23bが急激に潰れ変形してしまうおそれがあるが、前記連続性によって緩やかに潰れ変形する。これによって、前記吸い出し力による車体パネル9に対する中空シール部23の当接位置の変化やシール幅の減少をさらに抑制することが可能になる。
【0041】
また、本実施形態では、従来技術のような、グラスラン30の底壁部31を支持するリテーナなどが不要になるので、車高を低くすることが可能になる。
【0042】
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、肉厚シール部27の肉厚や長さを自動車の仕様や大きさなどに応じて任意に変更することが可能である。また、突起部26の形状や大きさなども自動車の仕様などに応じて任意に変更することができる。
【0043】
また、本実施形態では、フロントドア2側に適用されたドアウェザーストリップについて説明したが、リアドア側に適用することも可能である。
【0044】
以上説明した実施形態に基づくドアウェザーストリップとしては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
【0045】
すなわち、本発明に係るドアウェザーストリップの好ましい態様としては、車両のドアパネルに取り付けられる取付基部と、該取付基部に一体に設けられ、ドア閉時に、車体パネルに弾接する中空シール部と、を備え、
ドア閉時に、前記中空シール部の先端部が前記車体パネルに弾接して撓み変形することにより、前記ドアパネルと車体パネルとの間をシールするドアウェザーストリップであって、
前記中空シール部の前記先端部には、ドア閉時において、前記車体パネルに弾接する突起部と、前記突起部と共に前記車体パネルに弾接する部位に形成された肉厚シール部と、を有し、
前記突起部と肉厚シール部は、前記ドアが車両の走行中の負圧によってドアガラスを介して車外方向に移動した際に、車体パネルと弾接したシール圧の方向が前記ドアの移動方向と平行あるいはほぼ平行となるように構成した。
【0046】
この発明の態様によれば、中空シール部の先端部に突起部と肉厚シール部とを設け、これらが車体パネルに弾接しており、該突起部と肉厚シール部の車体パネルへの弾接したシール圧の方向が、つまり、中空シール部のシール圧の方向が高速走行中に発生する車外方向の吸い出し方向と平行あるいはほぼ平行となるように変形する。このため、前記吸い出し力が発生しても中空シール部の先端部の車体パネルに対するシール圧の減少が抑制されて、常に密着状態を維持できる。この結果、シール性能や遮音性能の低下を十分に防止できる。
【0047】
さらに好ましくは、前記突起部は、ドア閉時に車体パネルと弾接する部位が車内側の外側面であり、前記肉厚シール部は、前記突起部の外側面と連続して形成されている。
【0048】
この発明の態様によれば、突起部の外側面と肉厚シール部との連続性によって、車体パネルに対するシール幅を大きくできると共に、シール剛性が高くなって前記ドアの移動に比較して中空シール部の撓み変形量が小さくなる。この結果、中空シール部の車体パネルへの密着性の低下が抑制されてシール性能の低下を抑制できる。
【0049】
さらに好ましくは、前記肉厚シール部は、前記突起部側から前記中空シール部の車内側の端部までにわたって漸次薄肉に形成されている。
【0050】
この発明の態様によれば、肉厚シール部が突起部から中空シール部の車内側端部までわたって漸次薄肉となるように形成されていることから、ドア閉時に車体パネルから中空シール部の肉厚シール部が受ける圧力がなだらかになって、中空シール部の車内側の端部が急激に潰れ変形することなく緩やかに潰れ変形する。
【0051】
これによって、前記吸い出し力による車体パネルに対する中空シール部の当接位置の変化やシール幅の減少を抑制できる。
【符号の説明】
【0052】
1・21…ドアウェザーストリップ
2…ドア(フロントドア)
3…ドア本体
4…ドアサッシュ部
4a…インナーパネル
4b…アウターパネル
9…車体パネル
9a…直線部
22…取付基部
23…中空シール部
23a…先端部
23b…車内側の端部
26…突起部
26a…先端面
26b…外側面
27…肉厚シール部
27a…外面
X…吸い出し方向