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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165215
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】自立性包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20231108BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B65D30/16 A
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075992
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】小谷 直己
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】岡村 正信
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
【Fターム(参考)】
3E064AA11
3E064AD14
3E064BA21
3E064BA24
3E064BB03
3E064EA07
3E064FA04
3E064FA05
3E064FA06
3E064GA02
3E064HN01
3E086AA01
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB85
(57)【要約】
【課題】モノマテリアル化を実現しつつ、落下時の衝撃による底材からの内容物の漏出を抑制可能な自立性包装袋を提供すること。
【解決手段】自立性包装袋は、互いに立設する一対の本体部と、一対の本体部のそれぞれに接着される底材とを備える。一対の本体部のそれぞれは、第1基材層、及び、第1シーラント層を有し、底材は、外側シート部材、及び、内側シート部材を有し、外側シート部材は、第2基材層、及び、第2シーラント層を有し、第1基材層、第2基材層、第1シーラント層、第2シーラント層、及び内側シート部材のそれぞれは、ポリオレフィン樹脂の成形体であり、底材の縁領域では、第2シーラント層と内側シート部材とは、互いに一体化されると共に第1シーラント層に接着され、底材において縁領域に囲われる主領域において、内側シート部材は、外側シート部材に対して離間可能に設けられる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに立設する一対の本体部と、前記一対の本体部のそれぞれに接着される底材とを備え、前記一対の本体部及び前記底材によって封止空間が画成される自立性包装袋であって、
前記一対の本体部のそれぞれは、第1基材層、及び、前記第1基材層よりも前記封止空間の近くに位置する第1シーラント層を有し、
前記底材は、外側シート部材、及び、前記外側シート部材よりも前記封止空間の近くに位置する内側シート部材を有し、
前記外側シート部材は、第2基材層、及び、前記第2基材層と前記内側シート部材との間に位置する第2シーラント層を有し、
前記第1基材層、前記第2基材層、前記第1シーラント層、前記第2シーラント層、及び前記内側シート部材のそれぞれは、ポリオレフィン樹脂の成形体であり、
前記底材の縁領域では、前記第2シーラント層と前記内側シート部材とは、互いに一体化されると共に前記第1シーラント層に接着され、
前記底材において前記縁領域に囲われる主領域において、前記内側シート部材は、前記外側シート部材に対して離間可能に設けられる、
自立性包装袋。
【請求項2】
前記第2基材層の弾性率は、前記第2シーラント層の弾性率よりも高い、請求項1に記載の自立性包装袋。
【請求項3】
前記第2基材層は、高密度ポリエチレンの成形体である、請求項2に記載の自立性包装袋。
【請求項4】
前記第2シーラント層は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の自立性包装袋。
【請求項5】
前記第2基材層の弾性率は、前記内側シート部材の弾性率よりも高い、請求項1~3のいずれか一項に記載の自立性包装袋。
【請求項6】
前記内側シート部材は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体である、請求項5に記載の自立性包装袋。
【請求項7】
前記一対の本体部のそれぞれは、前記第1シーラント層と前記封止空間との間に位置する第3シート部材をさらに有し、
前記第3シート部材は、ポリオレフィン樹脂の成形体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の自立性包装袋。
【請求項8】
前記一対の本体部のそれぞれの一部では、前記第3シート部材は、前記第1シーラント層に対して離間可能に設けられる、請求項7に記載の自立性包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立性包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スタンディングパウチ等の自立性包装袋の利用が広がっている。例えば、下記特許文献1には、少なくとも上部シール部と側部シール部を有するとともに、底部にガセット部を有するスタンディングパウチが開示されている。このスタンディングパウチでは、上部シール部を底部に向かって折り返した折返し片を有し、該折返し片は少なくとも上部シール部の幅方向の中央部分を含むように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-101371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境問題への意識の高まりに応じて包装袋にリサイクル適性を持たせるために、単一素材を使用した包装袋(いわゆるモノマテリアル包材袋)への関心が高まっている。リサイクル適正の観点から、モノマテリアル包装袋に用いられる主材料として、ポリオレフィン樹脂が用いられることがある。この場合、モノマテリアル包装袋の胴部(本体部)と底部(底材)とのそれぞれは、通常の包装袋の主材料であるナイロン、ポリエチレンテレフタレートではなく、ポリオレフィン樹脂を主材料として形成される。このため、例えば、モノマテリアル包装袋(特に底部)は、通常の包装袋よりも落下時の衝撃によって破損する傾向がある。
【0005】
そこで、本発明の一側面に係る目的は、モノマテリアル化を実現しつつ、落下時の衝撃による底材からの内容物の漏出を抑制可能な自立性包装袋の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る自立性包装袋は、互いに立設する一対の本体部と、一対の本体部のそれぞれに接着される底材とを備え、一対の本体部及び底材によって封止空間が画成される自立性包装袋であって、一対の本体部のそれぞれは、第1基材層、及び、第1基材層よりも封止空間の近くに位置する第1シーラント層を有し、底材は、外側シート部材、及び、外側シート部材よりも封止空間の近くに位置する内側シート部材を有し、外側シート部材は、第2基材層、及び、第2基材層と内側シート部材との間に位置する第2シーラント層を有し、第1基材層、第2基材層、第1シーラント層、第2シーラント層、及び内側シート部材のそれぞれは、ポリオレフィン樹脂の成形体であり、底材の縁領域では、第2シーラント層と内側シート部材とは、互いに一体化されると共に第1シーラント層に接着され、底材において縁領域に囲われる主領域において、内側シート部材は、外側シート部材に対して離間可能に設けられる。
【0007】
上記自立性包装袋によれば、底材は、外側シート部材及び内側シート部材を有し、底材において縁領域に囲われる主領域において、内側シート部材は、外側シート部材に対して離間可能に設けられる。この場合、仮に外側シート部材に破損が生じた場合であっても、内側シート部材の存在により、底材からの内容物の漏出を防止できる。加えて、底材に衝撃が加わったとき、主領域において外側シート部材から内側シート部材へ衝撃が伝搬しにくい。このため、底材に衝撃が加わった場合、外側シート部材と内側シート部材との両方が同時に破損しにくい。さらには、第1基材層、第2基材層、第1シーラント層、第2シーラント層、及び内側シート部材のそれぞれは、ポリオレフィン樹脂の成形体である。したがって、本発明の一側面に係る自立性包装袋によれば、モノマテリアル化を実現しつつ、落下時の衝撃による底材からの内容物の漏出を抑制可能である。
【0008】
第2基材層の弾性率は、第2シーラント層の弾性率よりも高くてもよい。この場合、第2基材層と第2シーラント層とが互いに異なる性能を示し得る。
【0009】
第2基材層は、高密度ポリエチレンの成形体でもよい。この場合、外側シート部材の耐熱性を向上できるので、自立性包装袋の製造時における第2基材層の熱による破損を抑制できる。
【0010】
第2シーラント層は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体でもよい。この場合、モノマテリアル化を実現しつつ、外側シート部材の引っ張り強度を向上できる。
【0011】
第2基材層の弾性率は、内側シート部材の弾性率よりも高くてもよい。この場合、外側シート部材と内側シート部材とが互いに異なる性能を示し得る。
【0012】
内側シート部材は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体でもよい。この場合、モノマテリアル化を実現しつつ、内側シート部材の引っ張り強度を向上できる。
【0013】
一対の本体部のそれぞれは、第1シーラント層と封止空間との間に位置する第2内側シート部材をさらに有し、第2内側シート部材は、ポリオレフィン樹脂の成形体でもよい。この場合、仮に第1基材層に破損が生じた場合であっても、第2内側シート部材の存在により、本体部からの内容物の漏出を防止できる。この場合、落下時の衝撃による本体部からの内容物の漏出を良好に抑制可能である。
【0014】
一対の本体部のそれぞれの一部では、第2内側シート部材は、第1シーラント層に対して離間可能に設けられてもよい。この場合、本体部に衝撃が加わったとき、第1シーラント層を介して第1基材層から第2内側シート部材へ衝撃が伝搬しにくい。このため、本体部に衝撃が加わったとき、第1シーラント層、第1基材層、第2内側シート部材の全てが同時に破損しにくくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モノマテリアル化を実現しつつ、落下時の衝撃による底材からの内容物の漏出を抑制可能な自立性包装袋が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係るスタンディングパウチの概略正面図である。
図2図2(a)は、図1のIIa-IIa線に沿った断面図であり、図2(b)は、図1のIIb-IIb線に沿った断面図である。
図3図3(a)は、一実施形態に係るスタンディングパウチの第2状態の概略斜視図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb面に沿った断面図である。
図4図4は、実施形態に係るスタンディングパウチの構成要素を模式的に示す分解斜視図である。
図5図5(a)は、比較例に係るスタンディングパウチの要部概略断面図であり、図5(b)は、実施形態に係るスタンディングパウチの要部概略断面図である。
図6図6は、変形例に係るスタンディングパウチの要部概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、場合により図面を参照して、本発明の一側面に係る実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明の一側面を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0018】
<スタンディングパウチ>
図1は、実施形態に係るスタンディングパウチの概略正面図である。図2(a)は、図1のIIa-IIa線に沿った断面図であり、図2(b)は、図1のIIb-IIb線に沿った断面図である。図3(a)は、一実施形態に係るスタンディングパウチの第2状態の概略斜視図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb面に沿った断面図である。図4は、実施形態に係るスタンディングパウチの構成要素を模式的に示す分解斜視図である。
【0019】
図1図4に示されるように、スタンディングパウチ10は、例えば、液体、ゲル、粉体などの内容物を密封する自立性包装袋である。図1及び図2(a),(b)に示されるスタンディングパウチ10の第1状態は、畳まれていて自立性を示さない状態である。一方、図3(a),(b)に示されるスタンディングパウチ10の第2状態は、自立性を示す状態である。
【0020】
スタンディングパウチ10は、互いに立設する一対の本体部1,2と、本体部1,2のそれぞれに接着される底材3とを備え、本体部1,2及び底材3によって封止空間Sが画成される。図4に示されるように、本体部1,2のそれぞれは、互いに異なるシートであるが、これに限られない。例えば、本体部1は、1枚のシートを二つ折りしたときの半分に相当し、本体部2は当該シートの別の半分に相当してもよい。底材3は、1枚のシートの二つ折り体であり、本体部1,2によって挟まれる。本実施形態では、本体部1,2と、底材3とは、互いにヒートシールされている。以下では、図1における横方向(すなわち、スタンディングパウチ10の正面視における横方向)を左右方向とし、縦方向を上下方向と呼称することがある。
【0021】
図1において、スタンディングパウチ10の側部10a,10bのそれぞれは、サイドシール部5で構成されている。各サイドシール部5は、一対の本体部1,2同士をヒートシールした部分であり、上下方向に延在する。サイドシール部5は、封止空間Sを画成する部分の一部として機能する。スタンディングパウチ10の下方において、サイドシール部5は、一対の本体部1,2と、底材3の一部とをヒートシールする。サイドシール部5の幅は、例えば、5~18mmであり、7~15mmであってもよい。サイドシール部5の幅が5mm以上であることで十分なシール強度を達成できる傾向があり、サイドシール部5の幅が18mm以下であることでスタンディングパウチ10の十分な内容量を確保しやすい傾向がある。
【0022】
側部10a,10bのそれぞれの下方には、融着部9が設けられる。本実施形態においては、側部10a,10bのそれぞれに、二つの融着部9が上下に並んで形成される。融着部9は、本体部1,2を互いに接合する部分である。融着部9は、底材3に設けられた切り欠き部8a,8b(図4を参照)を通じて、本体部1,2が局所的に融着している部分である。図3に示されるように、切り欠き部8a,8bは、底材3の折り目3aと底辺3d,3dとの間の領域であって、底材3の側部に設けられている。切り欠き部8a,8bのそれぞれは、底材3に4つずつ設けられる。融着部9が設けられていることで、スタンディングパウチ10の自立性及び落下耐性をより一層向上させることができる。なお、ここでは、側部10a,10bのそれぞれに二つの融着部9が設けられる場合を例示したが、これに限られない。例えば、側部10a,10bのそれぞれには、一つの融着部9が設けられてもよい。
【0023】
図1において、スタンディングパウチ10の底部10cは、ボトムシール部6で構成されている。ボトムシール部6は、本体部1,2と、底材3の別の一部とをヒートシールした部分である。ボトムシール部6は、封止空間Sの底面が曲面をなすように形成される。例えば、図1に示されるように、ボトムシール部6の上辺6aは、下方に突出する半円状の凹部をなしている。底材3のうちサイドシール部5及びボトムシール部6を含まない部分は、正面視にて略半円形状を呈する。
【0024】
本実施形態では、図3(a),(b)に示されるように、サイドシール部5及びボトムシール部6の両方に含まれる底材3の一部と、ボトムシール部6に含まれる底材3の別の一部とは、底材3の縁領域ERに含まれる。縁領域ERでは、底材3は、本体部1,2のいずれかに接着される。加えて、底材3において縁領域ERに囲われる部分は、底材3の主領域MRに相当する。主領域MRは、スタンディングパウチ10の底として機能し、封止空間Sの一部を画成する。
【0025】
スタンディングパウチ10は、モノマテリアル化が実現された包装袋である。本明細書では、包装袋が実質的に単一の材料(モノマテリアル)から形成される場合、当該包装袋のモノマテリアル化が実現されたとみなせる。本実施形態では、包装袋に含まれる特定の材料の質量比率が90質量%以上である場合、当該包装袋が実質的に単一の材料(モノマテリアル)から形成されるとみなされる。本実施形態では、リサイクル適正の観点から、スタンディングパウチ10は、実質的にポリオレフィン樹脂から形成される。スタンディングパウチ10のモノマテリアル化をより高度に達成する観点から、スタンディングパウチ10に含まれるポリオレフィン樹脂の質量比率は、92.5質量%以上でもよいし、95質量%以上でもよい。換言すると、スタンディングパウチ10の全質量に対する、ポリオレフィン樹脂以外の(これら主たるフィルム以外の)成分の合計質量の比率は、10質量%以下とすることができ、7.5質量%以下であってよく、5.0質量%以下であってよい。
【0026】
ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプリピレン樹脂などである。ポリエチレン樹脂は、石油由来のものに限定されず、その一部又は全部が生物由来の樹脂材料(例えば、バイオマス由来のエチレンを原材料に用いたバイオマスポリエチレン)であってもよい。バイオマス由来のポリエチレン樹脂の製造方法は、例えば、特表2010-511634号公報に開示されている。ポリエチレン樹脂は、市販のバイオマスポリエチレン(ブラスケム社製グリーンPE等)を含んでもよく、使用済みのポリエチレン製品、ポリエチレン製品の製造過程で発生した樹脂(いわゆるバリ)等を原料とするメカニカルリサイクルポリエチレン、原料まで分解し再合成したケミカルリサイクルポリエチレンなどを含んでもよい。ポリエチレン樹脂は、超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等を含んでもよく、これらのブレンドであってもよい。VLDPEの密度は、例えば、0.90g/cm以上0.909g/cm以下であるが、これに限られない。LDPE及びLLDPEの密度は、例えば、0.91g/cm以上0.925g/cm以下であるが、これに限られない。MDPEの密度は、例えば、0.926g/cm以上0.929g/cm以上であるが、これに限られない。HDPEの密度は、例えば、0.93g/cm以上0.98g/cm以下であるが、これに限られない。
【0027】
ポリプロピレン樹脂は、石油由来のものに限定されず、その一部又は全部が生物由来の樹脂材料(例えば、バイオマス由来のエチレンを原材料に用いたバイオマスポリプロピレン)であってもよい。バイオマス由来のポリプロピレン樹脂は、バイオマス由来のナフサを原料にエチレンクラッカーで分解されたバイオプロピレンから重合されたバイオポリプロピレン、バイオマス由来のエチレン、イソプロパノール等から合成されたバイオプロピレンから重合されたバイオポリプロピレンなどが挙げられる。ポリプロピレン樹脂は、市販のバイオマスポリプロピレン(岩谷産業株式会社製等)を含んでもよく、使用済みのポリプロピレン製品、ポリプロピレン製品の製造過程で発生した樹脂(いわゆるバリ)等を原料とするメカニカルリサイクルポリプロピレン、原料まで分解し再合成したケミカルリサイクルポリプロピレンなどを含んでもよい。ポリオレフィン樹脂は、リサイクルの妨げにならない程度のコポリマー、ターポリマーを含んでいてもよい。
【0028】
<積層体>
本実施形態では、一対の本体部1,2のそれぞれは積層体20であり、底材3は積層体30である。本実施形態では、モノマテリアル化の実現、及び、樹脂再生の容易化などの観点上から、積層体20,30のそれぞれにおけるポリオレフィン樹脂の含有量は、90質量%以上である。このため、積層体20,30のそれぞれは、実質的に単一の材料(モノマテリアル)から形成されるとみなせる。積層体20,30におけるポリオレフィン樹脂の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を使用して測定できる。
【0029】
図2(a),(b)及び図3(a)に示されるように、積層体20は、第1基材層21と、第1基材層21よりも封止空間Sの近くに位置する第1シーラント層22とを有する。このため、スタンディングパウチ10において、第1基材層21は、第1シーラント層22よりも外側に位置する。
【0030】
第1基材層21は、スタンディングパウチ10の外装部分として機能する層状部分である。第1基材層21は、ポリオレフィン樹脂の成形体である。第1基材層21におけるポリエチレン樹脂の質量が、第1基材層21の全質量を基準として、50質量%を超える場合、第1基材層21は、ポリオレフィン樹脂の成形体とみなせる。すなわち、第1基材層21がポリオレフィン樹脂の成形体である場合、当該成形体にはポリオレフィン樹脂以外の成分が含まれ得る。第1基材層21におけるポリエチレン樹脂の質量は、第1基材層21の全質量を基準として、70質量%以上でもよいし、80質量%以上でもよいし、90質量%以上でもよいし、92.5質量%以上でもよいし、95質量%以上でもよい。本実施形態では、耐熱性などの観点から、第1基材層21は、高密度ポリエチレンの成形体である。後述するように、当該成形体には、高密度ポリエチレン以外の成分が含まれ得る。
【0031】
第1基材層21の融点は、ヒートシール時における第1基材層21の溶融抑制の観点から、第1シーラント層の融点よりも高い。例えば、第1基材層21の融点は、第1シーラント層22の融点より20℃以上高くてもよく、25℃以上高くてもよく、30℃以上高くてもよい。第1基材層21の融点は、例えば、120℃以上、又は125℃以上である。すなわち、第1基材層21は、融点が120℃以上のポリオレフィン樹脂で構成されていてもよく、融点が125℃以上のポリオレフィン樹脂で構成されていてもよい。第1基材層21の融点は、例えば、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
【0032】
第1基材層21は、未延伸のフィルムであってもよい。第1基材層21が未延伸のフィルムであることで、第1基材層21内における樹脂の配向性がほとんどない。これにより、第1基材層21は、引っ張り力などの外部応力に対して伸びやすく、破断しにくい。第1基材層21は、単層構造でもよいし、複層構造でもよい。第1基材層21の厚さは、例えば、5μm以上200μm以下である。
【0033】
第1基材層21は、ポリオレフィン樹脂とは異なるその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、生分解性の樹脂材料(例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉等)などが挙げられる。第1基材層21は、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤等の添加剤を含んでもよい。第1基材層21におけるポリエチレン樹脂以外の成分の質量は、例えば、第1基材層21の全質量を基準として、0~15質量%、又は0~10質量%である。
【0034】
第1シーラント層22は、本体部1,2同士をヒートシールするための層状部分であって、本体部1,2と底材3とをヒートシールするための層状部分である。第1シーラント層22は、第1基材層21と同様に、ポリオレフィン樹脂の成形体である。すなわち、第1シーラント層22がポリオレフィン樹脂の成形体である場合、当該成形体にはポリオレフィン樹脂以外の成分が含まれ得る。第1シーラント層22におけるポリエチレン樹脂の質量は、第1シーラント層22の全質量を基準として、70質量%以上でもよいし、80質量%以上でもよいし、90質量%以上でもよいし、92.5質量%以上でもよいし、95質量%以上でもよい。本実施形態では、ヒートシール性などの観点から、第1シーラント層22は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体である。後述するように、当該成形体には、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレン以外の成分が含まれ得る。
【0035】
第1シーラント層22の融点は、第1基材層21の融点よりも低い。第1シーラント層22の融点は、例えば、第1基材層21の融点より20℃以上低くてもよく、25℃以上低くてもよく、30℃以上低くてもよい。第1シーラント層22の融点は、120℃以下、又は110℃以下であってもよい。第1シーラント層22の融点は、95℃以上でもよい。すなわち、第1シーラント層22は、融点が120℃以下のポリエチレン樹脂で構成されていてもよく、融点が110℃以下のポリエチレン樹脂で構成されてもよい。第1シーラント層22の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定できる。
【0036】
第1シーラント層22は、ポリオレフィン樹脂以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、生分解性の樹脂材料(例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉等)などが挙げられる。第1シーラント層22は、酸化防止剤、スリップ剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、光安定剤、脱水剤、粘着付与剤、結晶核剤、可塑剤等の添加剤を含んでもよい。第1シーラント層22におけるポリエチレン樹脂以外の成分の質量は、例えば、第1シーラント層22の全質量を基準として、0~15質量%、又は0~10質量%である。
【0037】
第1シーラント層22の厚さは、例えば、20μm以上250μm以下である。ヒートシール性の観点から、第1シーラント層22の厚さは、40μm以上でもよい。第1シーラント層22の弾性率は、第1基材層21の弾性率よりも低い。換言すると、第1基材層21の弾性率は、第1シーラント層22の弾性率よりも高い。
【0038】
積層体20は、第1基材層21と第1シーラント層22との間に位置する接着層(不図示)を更に含んでもよい。接着層を形成する接着剤は、接着方法に合わせて選定することができるが、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等を用いることができる。このような接着層を設けることで、第1基材層21と第1シーラント層22との密着性を高くしてデラミネーションしにくくなる。このため、積層体20の耐圧性及び耐衝撃性がより向上する。接着層は、塩素を含まなくてもよい。この場合、接着層を形成する接着剤、リサイクル後の再生樹脂等の着色、及び加熱処理による臭いの発生を抑制できる。接着層は、環境配慮の観点から、バイオマス材料で形成されていてもよく、溶剤を含まなくてもよい。
【0039】
積層体20は、例えば、水蒸気及び酸素に対するガスバリア性向上の観点から、ガスバリア層を更に含んでもよい。ガスバリア層は、第1基材層21と第1シーラント層22との間に設けられてもよく、第1基材層21の第1シーラント層22とは反対側の面に設けられてもよい。積層体20がガスバリア層を含むことで、内容物の水蒸気及び酸素による劣化を抑制し、長期的に品質を保持しやすくなる。ガスバリア層の破損抑制の観点から、ガスバリア層は、第1基材層21と第1シーラント層22との間に設けられてもよい。
【0040】
ガスバリア層の一例として、無機酸化物の蒸着層が挙げられる。無機酸化物の蒸着層を用いることにより、積層体20のリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層で、高いバリア性を得ることができる。無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、及び酸化錫が挙げられる。透明性及びバリア性の観点から、無機酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウムからなる群より選択されてもよい。無機酸化物の蒸着層の厚さは、例えば、5~100nm、又は10~50nmであってもよい。無機酸化物の蒸着層の厚さが5nm以上であることで優れたバリア性を得やすく、無機酸化物の蒸着層の厚さが100nm以下であることで積層体の可撓性を維持しいやすい。蒸着層は、例えば、物理気相成長法、化学気相成長法等によって形成することができる。
【0041】
積層体20は、ガスバリア層として、無機酸化物の蒸着層に代えて、又は無機酸化物の蒸着層に加えて、金属蒸着層を含んでもよい。金属蒸着層としては、防湿性、延展性等の加工性及びコスト等の観点から、例えばアルミニウム層などを用いることができる。金属蒸着層の厚さは、5~100nm、又は10~50nmであってもよい。
【0042】
積層体20は、第1基材層21と第1シーラント層22との間にアンカーコート層を更に備えてもよい。アンカーコート層は、アンカーコート剤を用いて形成することができる。アンカーコート剤としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。アンカーコート剤としては、耐熱性及び層間接着強度の観点から、アクリルウレタン系樹脂及びポリエステル系ポリウレタン樹脂の少なくとも一方であってもよい。アンカーコート層は、積層体20のリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層であればよい。
【0043】
積層体20は、印刷層を更に含んでもよい。印刷層は、第1基材層21と第1シーラント層22との間に設けられてもよく、第1基材層21の第1シーラント層22とは反対側の面に設けられてもよい。印刷層は、印刷層の再溶融時に着色すること、及び臭いが発生することを抑制する観点から、塩素を含まなくてもよい。印刷層は、環境配慮の観点、バイオマス材料により形成されていてもよい。
【0044】
図2(a),(b)及び図3に示されるように、積層体30は、外側シート部材31と、外側シート部材31よりも封止空間Sの近くに位置する内側シート部材32とを有する。
【0045】
外側シート部材31は、底材3の外面を含むと共に底材3の主要部として機能する層状部材である。外側シート部材31は、第2基材層33、及び、第2基材層33と内側シート部材32との間に位置する第2シーラント層34を有する。第2基材層33は、第1基材層21と同様に、スタンディングパウチ10の外装部分として機能する層状部分であり、ポリオレフィン樹脂の成形体である。第2基材層33に含まれる材料、特性などは、第1基材層21と同様である。このため本明細書では、第1基材層21の説明を第2基材層33に適用できる。本実施形態では、第2基材層33は、高密度ポリエチレンの成形体である。
【0046】
第2シーラント層34は、本体部1,2と底材3とをヒートシールするための層状部分である。第2シーラント層34に含まれる材料、特性などは、第1シーラント層22と同様である。このため本明細書では、第1シーラント層22の説明を第2シーラント層34に適用できる。本実施形態では、第2シーラント層34は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体である。第2基材層33の弾性率は、第2シーラント層34の弾性率よりも高い。換言すると、第2シーラント層34の弾性率は、第2基材層33の弾性率よりも低い。
【0047】
内側シート部材32は、底材3の内面を含む部材であり、第1基材層21などと同様に、ポリオレフィン樹脂の成形体である。すなわち、第1シーラント層22がポリオレフィン樹脂の成形体である場合、当該成形体にはポリオレフィン樹脂以外の成分が含まれ得る。第1シーラント層22と第2シーラント層34とのヒートシールの阻害抑制などの観点から、内側シート部材32は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体である。この場合、第1シーラント層22と第2シーラント層34とがヒートシールされる箇所にて、第1シーラント層22と、第2シーラント層34と、内側シート部材32とが互いにヒートシールされる。
【0048】
内側シート部材32の融点は、第1シーラント層22と同様である。また、内側シート部材32は、第1シーラント層22と同様に、ポリオレフィン樹脂以外のその他の成分、添加剤を含んでもよい。その他の成分、添加剤としては、第1シーラント層22に含まれ得るその他の成分、添加剤と同様である。内側シート部材32におけるポリエチレン樹脂以外の成分の質量は、例えば、内側シート部材32の全質量を基準として、0~15質量%、又は0~10質量%である。
【0049】
内側シート部材32の厚さは、例えば、30μm以上200μm以下である。衝撃などに対する内側シート部材32の破損抑制などの観点から、内側シート部材32の厚さは、50μm以上でもよい。縁領域ERにおけるヒートシール性の観点から、内側シート部材32の厚さは、100μm以下でもよい。内側シート部材32の弾性率は、第2基材層33の弾性率よりも低い。換言すると、第2基材層33の弾性率は、内側シート部材32の弾性率よりも高い。
【0050】
図3(b)に示されるように、底材3の縁領域ERでは、第2シーラント層34と内側シート部材32とは、互いに一体化されると共に第1シーラント層22に接着される。本実施形態では、縁領域ERにおいて、第1シーラント層22と、第2シーラント層34と、内側シート部材32とがヒートシールされることによって、各層が互いに強固に接合される。一方、底材3の主領域MRにおいて、内側シート部材32は、外側シート部材31に対して離間可能に設けられる。すなわち、主領域MRにおいては、内側シート部材32の全面は、外側シート部材31に対して離間可能である。本実施形態では、主領域MRにおいて、内側シート部材32と、第2シーラント層34とは、互いにヒートシールされていない。主領域MRにおいて、内側シート部材32と、第2シーラント層34とは、互いに離間可能に接着されてもよい。この場合、主領域MRにおける内側シート部材32と第2シーラント層34との接着力は、縁領域ERにおける内側シート部材32と第2シーラント層34との接着力と比較して、顕著に小さい。例えば、主領域MRにおいて、内側シート部材32と第2シーラント層34とは、互いにブロッキングされてもよい。
【0051】
図3(b)において、縁領域ERにおける第1シーラント層22と内側シート部材32との境界、及び、内側シート部材32と第2シーラント層34との境界のそれぞれは、二点鎖線にて示される。加えて、主領域MRにおける、内側シート部材32と第2シーラント層34との境界は、実線にて示される。すなわち、各図においてヒートシールされて一体化された2以上の構成要素の境界が二点鎖線にて示される。
【0052】
積層体30は、積層体20と同様に、上記接着層、上記ガスバリア層、上記アンカーコート層、及び上記印刷層の少なくとも一を含み得る。
【0053】
以上に説明した本実施形態に係るスタンディングパウチ10の作用効果について、図5(a),(b)を参照しながら説明する。図5(a)は、比較例に係るスタンディングパウチの要部概略断面図であり、図5(b)は、実施形態に係るスタンディングパウチの要部概略断面図である。図5(a)に示されるように、比較例に係るスタンディングパウチでは、底材103の全体において、外側シート部材31と内側シート部材32とがヒートシールされている。このような比較例においては、仮に外側シート部材31に破損が生じた場合であっても、内側シート部材32の存在により、底材103からの内容物の漏出を防止できる。しかしながら、外側シート部材31に衝撃が加わったとき、当該衝撃は内側シート部材32に良好に伝搬する。これにより、外側シート部材31に衝撃が加わったとき、外側シート部材31だけでなく内側シート部材32も破損してしまうおそれがあり、内容物の漏出対策が不十分と言える。
【0054】
一方、本実施形態に係るスタンディングパウチ10によれば、底材3の主領域MRにおいて、内側シート部材32は、外側シート部材31に対して離間可能に設けられる。この場合、底材3に衝撃が加わったとき、図5(b)に示されるように、主領域MRでは、外側シート部材31と内側シート部材32とが互いに離間し得る。これにより、外側シート部材31と内側シート部材32との間に空間S1が設けられると、外側シート部材31から内側シート部材32へ衝撃が伝搬しにくくなる。よって、外側シート部材31と内側シート部材32との両方が破損しにくい。加えて、第1基材層21、第2基材層33、第1シーラント層22、第2シーラント層34、及び内側シート部材32のそれぞれは、ポリオレフィン樹脂の成形体である。したがって、スタンディングパウチ10を利用することによって、モノマテリアル化を実現しつつ、落下時の衝撃による底材3からの内容物の漏出を抑制可能である。
【0055】
さらに、本実施形態では、積層体20,30のそれぞれにおけるポリオレフィン樹脂の含有量は、90質量%以上であるので、スタンディングパウチ10は、モノマテリアル化が実現された包装袋である。
【0056】
本実施形態では、第2基材層33の弾性率は、第2シーラント層34の弾性率よりも高い。このため、第2基材層33と第2シーラント層34とが互いに異なる性能を示し得る。
【0057】
本実施形態では、第2基材層33は、高密度ポリエチレンの成形体である。このため、外側シート部材31の耐熱性を向上できるので、スタンディングパウチ10の製造時における第2基材層33の熱による破損を抑制できる。
【0058】
本実施形態では、第2シーラント層34は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体である。このため、モノマテリアル化を実現しつつ、外側シート部材31の引っ張り強度を向上できる。
【0059】
本実施形態では、第2基材層33の弾性率は、内側シート部材32の弾性率よりも高くてもよい。この場合、外側シート部材31と内側シート部材32とが互いに異なる性能を示し得る。
【0060】
本実施形態では、内側シート部材32は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体である。このため、モノマテリアル化を実現しつつ、内側シート部材32の引っ張り強度を向上できる。
【0061】
次に、図6を参照しながら、上記実施形態の変形例について説明する。以下では、上記実施形態と重複する記載は省略し、上記実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、変形例に上記実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0062】
図6は、変形例に係るスタンディングパウチの要部概略断面図である。図6に示されるように、一対の本体部1A,2Aのそれぞれは、第1基材層21及び第1シーラント層22に加えて、第1シーラント層22と封止空間Sとの間に位置する内側シート部材41(第2内側シート部材)を有する。すなわち、積層体20Aは、順に積層される第1基材層21、第1シーラント層22、及び内側シート部材41を有する。
【0063】
内側シート部材41は、本体部1A,2Aの内面を含む部材であり、内側シート部材32と同様に、ポリオレフィン樹脂の成形体である。すなわち、内側シート部材41がポリオレフィン樹脂の成形体である場合、当該成形体にはポリオレフィン樹脂以外の成分が含まれ得る。第1シーラント層22と第2シーラント層34と内側シート部材32とのヒートシールの阻害抑制などの観点から、内側シート部材41は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体である。この場合、第1シーラント層22と第2シーラント層34とがヒートシールされる箇所にて、第1シーラント層22と、第2シーラント層34と、内側シート部材32と、内側シート部材41とが互いにヒートシールされる。
【0064】
内側シート部材41の特性(例えば、融点、厚さ、弾性率など)は、内側シート部材32と同様である。このため本明細書では、内側シート部材32の説明を内側シート部材41に適用できる。
【0065】
本体部1Aの第1シーラント層22と、本体部2Aの第1シーラント層22とが互いに接着する領域において、内側シート部材41は、第1シーラント層22に一体化されると共に第1シーラント層22に接着される。本実施形態では、当該領域において、第1シーラント層22と、内側シート部材41とがヒートシールされることによって、各層が互いに強固に接合される。特に、底材3の縁領域ERにおいては、第1シーラント層22と、第2シーラント層34と、内側シート部材32,41とが、互いに一体化される。一方、本体部1Aの第1シーラント層22と、本体部2Aの第1シーラント層22とが互いにヒートシールされない領域(未ヒートシール領域)においては、内側シート部材41は、第1シーラント層22に対して離間可能に設けられる。上記未ヒートシール領域では、第1シーラント層22と、内側シート部材41とは、互いに離間可能に接着されてもよい。この場合、例えば、未ヒートシール領域において、第1シーラント層22と内側シート部材41とは、互いにブロッキングされてもよい。
【0066】
以上に説明した変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、仮に第1基材層21に破損が生じた場合であっても、内側シート部材41の存在により、本体部1A,2Aからの内容物の漏出を防止できる。よって、落下時の衝撃による本体部1A,2Aからの内容物の漏出を良好に抑制可能である。さらに、本体部1A,2Aのそれぞれの一部である上記未ヒートシール領域では、内側シート部材41は、第1シーラント層22に対して離間可能に設けられる。このため、本体部1A,2Aに衝撃が加わったとき、第1シーラント層22を介して第1基材層21から内側シート部材41へ衝撃が伝搬しにくい。したがって、本体部1A,2Aに衝撃が加わったとき、第1シーラント層22、第1基材層21、内側シート部材41の全てが破損しにくくなる。
【0067】
本発明の一側面に係る自立性包装袋は、以下の[1]~[8]に記載する通りであり、上記実施形態及び上記変形例に基づいてこれらを詳細に説明した。
[1]互いに立設する一対の本体部と、前記一対の本体部のそれぞれに接着される底材とを備え、前記一対の本体部及び前記底材によって封止空間が画成される自立性包装袋であって、
前記一対の本体部のそれぞれは、第1基材層、及び、前記第1基材層よりも前記封止空間の近くに位置する第1シーラント層を有し、
前記底材は、外側シート部材、及び、前記外側シート部材よりも前記封止空間の近くに位置する内側シート部材を有し、
前記外側シート部材は、第2基材層、及び、前記第2基材層と前記内側シート部材との間に位置する第2シーラント層を有し、
前記第1基材層、前記第2基材層、前記第1シーラント層、前記第2シーラント層、及び前記内側シート部材のそれぞれは、ポリオレフィン樹脂の成形体であり、
前記底材の縁領域では、前記第2シーラント層と前記内側シート部材とは、互いに一体化されると共に前記第1シーラント層に接着され、
前記底材において前記縁領域に囲われる主領域において、前記内側シート部材は、前記外側シート部材に対して離間可能に設けられる、
自立性包装袋。
[2]前記第2基材層の弾性率は、前記第2シーラント層の弾性率よりも高い、[1]に記載の自立性包装袋。
[3]前記第2基材層は、高密度ポリエチレンの成形体である、[2]に記載の自立性包装袋。
[4]前記第2シーラント層は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体である、[1]~[3]のいずれかに記載の自立性包装袋。
[5]前記第2基材層の弾性率は、前記内側シート部材の弾性率よりも高い、[1]~[4]のいずれかに記載の自立性包装袋。
[6]前記内側シート部材は、低密度ポリエチレンもしくは直鎖状低密度ポリエチレンの成形体である、[5]に記載の自立性包装袋。
[7]前記一対の本体部のそれぞれは、前記第1シーラント層と前記封止空間との間に位置する第3シート部材をさらに有し、
前記第3シート部材は、ポリオレフィン樹脂の成形体である、[1]~[6]のいずれかに記載の自立性包装袋。
[8]前記一対の本体部のそれぞれの一部では、前記第3シート部材は、前記第1シーラント層に対して離間可能に設けられる、[7]に記載の自立性包装袋。
【0068】
しかし、本発明の一側面は、上記実施形態、上記変形例及び上記[1]~[8]に限定されない。本発明の一側面は、その要旨を逸脱しない範囲でさらなる変形が可能である。
【0069】
上記実施形態及び上記変形例では、自立性包装袋に含まれる各積層体のポリオレフィン樹脂の含有量が、90質量%以上であればよい。このため、例えば、本体部に含まれる積層体において、第1基材層と第1シーラント層との一方におけるポリオレフィン樹脂の質量比率は、90質量%未満でもよい。同様に、底材に含まれる積層体において、第2基材層と第2シーラント層と内側シート部材との少なくとも一におけるポリオレフィン樹脂の質量比率は、90質量%未満でもよい。
【符号の説明】
【0070】
1,1A,2,2A…本体部、3,103…底材、3a…折り目、3d…底辺、5…サイドシール部、6…ボトムシール部、6a…上辺、8a…切り欠き部、8b…切り欠き部、9…融着部、10…スタンディングパウチ、10a…側部、10b…側部、10c…底部、20,20A,30…積層体、21…第1基材層、22…第1シーラント層、31…外側シート部材、32…内側シート部材、33…第2基材層、34…第2シーラント層、41…内側シート部材(第2内側シート部材)、ER…縁領域、MR…主領域、S…封止空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6