(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165236
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】水難溶性タンパク質を溶解する方法、それによって得られるタンパク質溶液、およびその成形体
(51)【国際特許分類】
C08J 3/205 20060101AFI20231108BHJP
C08L 89/00 20060101ALI20231108BHJP
C08K 5/32 20060101ALI20231108BHJP
C08K 5/357 20060101ALI20231108BHJP
C08L 1/02 20060101ALI20231108BHJP
C08L 29/04 20060101ALI20231108BHJP
C08J 3/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
C08J3/205 CEP
C08L89/00 ZAB
C08K5/32
C08K5/357
C08L1/02
C08L29/04 A
C08J3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076053
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】500101243
【氏名又は名称】株式会社ファーマフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】篠田 克巳
(72)【発明者】
【氏名】古賀 啓太
(72)【発明者】
【氏名】金 武祚
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA62
4F070AC12
4F070AC46
4F070AE14
4F070AE28
4F070CA02
4F070CA12
4F070CB11
4F070FA01
4F070FB06
4F070FC08
4F070FC09
4J002AB01X
4J002AD00W
4J002AD03W
4J002BE02X
4J002ES006
4J002EU236
4J002FD206
4J002GA01
4J002GB00
4J002GB01
4J002GK00
4J002HA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水難溶性タンパク質を溶解する方法、およびそれにより得られたタンパク質溶液から成形体を提供すること。
【解決手段】水難溶性タンパク質を溶解する方法であって、水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合する工程を含む、方法を提供する。また本発明は、このような方法によって得られたタンパク質溶液から成形体を作成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水難溶性タンパク質を溶解する方法であって、
水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記混合する工程は、高剪断力および/または振動を用いて混合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水難溶性タンパク質が加水分解されることなく溶解されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶性3級アミン酸化物が、N-メチルモルホリン N-オキシド(nMMO)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記nMMOが、少なくとも約70w/w%nMMOである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記水難溶性タンパク質が、卵殻膜、鶏羽、羊毛、及び鱗を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物に溶解して得られるタンパク質溶液。
【請求項8】
前記水難溶性タンパク質が加水分解されることなく溶解されることを特徴とする、請求項7に記載のタンパク質溶液。
【請求項9】
前記水溶性3級アミン酸化物が、N-メチルモルホリン N-オキシドを含む、請求項7または8に記載のタンパク質溶液。
【請求項10】
前記nMMOが、少なくとも約70w/w%nMMOである、請求項9に記載のタンパク質溶液。
【請求項11】
前記水難溶性タンパク質が、卵殻膜、鶏羽、羊毛、及び鱗を含む、請求項7~10のいずれか一項に記載のタンパク質溶液。
【請求項12】
水難溶性タンパク質を含有するポリマー成形体を作成する方法であって、
(a)水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、
(b)ヒドロキシル基含有ポリマーを水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、
(c)工程(a)によって得られたタンパク質溶液と、工程(b)によって得られたポリマー溶液とを混合する工程と、
(d)工程(c)によって得られた溶液からポリマー成形体を析出する工程と
を含む、方法。
【請求項13】
前記ヒドロキシル基含有ポリマーが、該ヒドロキシル基含有ポリマーに機能性官能基が結合した修飾ヒドロキシル基含有ポリマーを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ヒドロキシル基含有ポリマーが、セルロース、ポリビニルアルコール、およびポリ酢酸ビニルの鹸化物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記水溶性3級アミン酸化物が、N-メチルモルホリン N-オキシド(nMMO)を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記nMMOが、少なくとも約70w/w%nMMOである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記水難溶性タンパク質が、卵殻膜、鶏羽、羊毛、及び鱗を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
水難溶性タンパク質を含有するポリマー成形体であって、該成形体が、
(a)水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、
(b)ヒドロキシル基含有ポリマーを水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、
(c)工程(a)によって得られたタンパク質溶液と、工程(b)によって得られたポリマー溶液とを混合する工程と、
(d)工程(c)によって得られた溶液からポリマー成形体を析出する工程と
を含む、方法によって得られる、成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水難溶性タンパク質を溶解する方法、およびそれによって得られるタンパク質溶液に関し、特に水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物に溶解する方法、それによって得られるタンパク質溶液、およびその成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SDGsが注目されており、サスティナブルな社会を目指すために廃棄していた資源を有効に使い、地球を壊すことなく、豊かな環境を持続させる取り組みがなされている。その一環として、再利用することが難しく廃棄していた水難溶性タンパク質を溶解し、タンパク質溶液として利用することが望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明者らは、廃棄されていた資源を有効に活用することに加え、リサイクルするために、水難溶性タンパク質を溶解する方法を見出した。また本発明者らは、新規機能を発現するために水難溶性タンパク質を加水分解により低分子量化することなく、溶液化する方法を見出した。したがって、本発明では、水溶性3級アミン酸化物を用いることで水難溶性タンパク質を溶解する方法を提供する。
【0004】
したがって、本発明の主要な観点によれば、以下の発明が提供される。
(項目1)
水難溶性タンパク質を溶解する方法であって、
水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合する工程
を含む、方法。
(項目2)
前記混合する工程は、高剪断力および/または振動を用いて混合することを含む、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記水難溶性タンパク質が加水分解されることなく溶解されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
前記水溶性3級アミン酸化物が、N-メチルモルホリン N-オキシド(nMMO)を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記nMMOが、少なくとも約70w/w%nMMOである、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記水難溶性タンパク質が、卵殻膜、鶏羽、羊毛、及び鱗を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物に溶解して得られるタンパク質溶液。
(項目8)
前記水難溶性タンパク質が加水分解されることなく溶解されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載のタンパク質溶液。
(項目9)
前記水溶性3級アミン酸化物が、N-メチルモルホリン N-オキシドを含む、上記項目のいずれか一項に記載のタンパク質溶液。
(項目10)
前記nMMOが、少なくとも約70w/w%nMMOである、上記項目のいずれか一項に記載のタンパク質溶液。
(項目11)
前記水難溶性タンパク質が、卵殻膜、鶏羽、羊毛、及び鱗を含む、上記項目のいずれか一項に記載のタンパク質溶液。
(項目12)
水難溶性タンパク質を含有するポリマー成形体を作成する方法であって、
(a)水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、
(b)ヒドロキシル基含有ポリマーを水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、
(c)工程(a)によって得られたタンパク質溶液と、工程(b)によって得られたポリマー溶液とを混合する工程と、
(d)工程(c)によって得られた溶液からポリマー成形体を析出する工程と
を含む、方法。
(項目13)
前記ヒドロキシル基含有ポリマーが、該ヒドロキシル基含有ポリマーに機能性官能基が結合した修飾ヒドロキシル基含有ポリマーを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記ヒドロキシル基含有ポリマーが、セルロース、ポリビニルアルコール、およびポリ酢酸ビニルの鹸化物を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記水溶性3級アミン酸化物が、N-メチルモルホリン N-オキシド(nMMO)を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記nMMOが、少なくとも約70w/w%nMMOである、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記水難溶性タンパク質が、卵殻膜、鶏羽、羊毛、及び鱗を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
水難溶性タンパク質を含有するポリマー成形体であって、該成形体が、
(a)水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、
(b)ヒドロキシル基含有ポリマーを水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、
(c)工程(a)によって得られたタンパク質溶液と、工程(b)によって得られたポリマー溶液とを混合する工程と、
(d)工程(c)によって得られた溶液からポリマー成形体を析出する工程と
を含む、方法によって得られる、成形体。
【0005】
本開示において、上記の1つまたは複数の特徴は、開示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。なお、本開示のさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【0006】
なお、上記した以外の本開示の特徴及び顕著な作用・効果は、以下の発明の実施形態の項及び図面を参照することで、当業者にとって明確となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、廃棄に供されることの多かった卵殻膜、鶏羽、羊毛、及び鱗などの水難溶性タンパク質の資源有効利用に優れ、かつ新たな機能性を付与した成形体を得るに容易なタンパク質溶液を生成することができる。
【0008】
本発明のタンパク質溶液及びその成形体は、本来の特性に加えて新たな機能性も付与することができるため、吸放湿性、消臭性、抗菌性などの機能性を有することができる。
【0009】
さらに、本発明の成形体は、その形状や面積に制限はないため、タンパク質本来の大きさに応じた形状に限定されるという天然のタンパク質の欠点を解消することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例3で生成したタンパク質溶液を用いて再生した水難溶性タンパク質の顕微鏡写真である。
【
図2】
図2は、実施例7で生成したタンパク質溶液を用いて作成したポリマー成形体の顕微鏡写真である。
【
図3】
図3は、実施例8で生成したタンパク質溶液を用いて作成したポリマー成形体の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0012】
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
【0013】
本明細書において、「約」とは、後に続く数値の±10%を意味する。
【0014】
本明細書において、「水難溶性タンパク質」とは、0.1%水溶液を80℃で3時間加熱しても透明に溶解しないタンパク質をいう。水難溶性タンパク質か否かの判定方法としては、上記条件を満たすか否かを常法を用いて確認することができる。水難溶性タンパク質としては、例えば、卵殻膜、鶏羽、羊毛、及び鱗などを挙げることができる。
【0015】
本明細書において、水難溶性タンパク質を溶解して得られる「タンパク質溶液」とは、広義に解釈され、主に水難溶性タンパク質が溶解している溶液のことをいう。
【0016】
本明細書において、「水溶性3級アミン酸化物」とは、広義に解釈され、水溶性のアミンオキシドまたはアミン-N-オキシドをいい。三級アミンやピリジンのような含窒素複素環式化合物の酸化物を指す。水溶性3級アミン酸化物としては、例えばN-メチルモルホリン N-オキシド(nMMO)を挙げることができ、nMMOは、有機化合物の一種で、有機合成において酸化剤として用いられる。nMMOは、モルホリンの窒素上にメチル基が置換したN-メチルモルホリン(NMM)のアミンオキシドにあたる。
【0017】
本明細書において、「ポリマー成形体」とは、広義に解釈され、ポリマーを主成分とする成形体をいう。
【0018】
本明細書において、「ヒドロキシル基含有ポリマー」とは、広義に解釈され、ヒドロキシル基を有する高分子化合物を指す。ヒドロキシル基含有ポリマーとしては、例えば、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、アガロース、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ペクチン及びカラギーナン等の多糖類、ポリビニルアルコール(PVA)、及びフェノール樹脂、ポリ酢酸ビニル等の合成高分子が挙げられる。またヒドロキシル基含有ポリマーとしては、再生セルロースやポリ酢酸ビニルの部分的な鹸化物も挙げることができる。
【0019】
本明細書において、「高剪断力」を用いた混合とは、液体同士または液体と固体とを高速回転する攪拌羽根で剪断しながら混合することをいう。高剪断力の得られる攪拌機としては、ホモジナイザー、ターボ型攪拌機、バイオミキサー等の高速剪断混合機、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、または管内混合器(スタティックミキサー、および射出成型ミキサー(1軸、2軸)を含む)が挙げられる。
【0020】
本明細書において、「振動」を用いた混合とは、広義に解釈され、混合対象となる液体または固体を収容した容器において、液体または固体と溶媒とを振動させながら攪拌することをいう。振動を用いた混合は、例えば、スターラーによる撹拌、超音波振動による攪拌、分子レベルでの振動による攪拌などによって達成することができる。
【0021】
本明細書において、「溶解」した状態とは、溶液の外観が透明、半透明、または乳化状態となっている状態を含む。
【0022】
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでない。したがって、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができる。
【0023】
本願発明の一局面において、水難溶性タンパク質を溶解する方法であって、水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合する工程を含む、方法が提供される。
【0024】
[水難溶性タンパク質]
一実施形態において、本発明の方法は、水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合することで水難溶性タンパク質を溶解することができる。
【0025】
一実施形態において、水難溶性タンパク質は、その0.1%水溶液を80℃で3時間加熱しても透明に溶解しないタンパク質をいい、水難溶性タンパク質としては、例えば、卵殻膜、鶏羽、羊毛、及び鱗などを挙げることができる。
【0026】
一実施形態において、水難溶性タンパク質として卵殻膜を用いることができる。本発明の方法によって溶解する水難溶性タンパク質としての卵殻膜の由来は特に限られるものではない。例えば、卵殻膜としては、ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、カモ、アヒル、ガチョウ、ダチョウ、ホロホロチョウ、オナガドリ、チャボ、ハト、コブハクチョウ、エミュー、またはキジなどの家禽鳥類の卵殻膜を用いることができる。本発明の一実施形態においては、入手が容易で、産卵種としても多産であり、卵も大きく大量飼育方法が確立しているという点でニワトリが好ましい。
【0027】
通常、卵殻膜には卵殻が付着しており、このまま加水分解すると卵殻が不溶のまま残存して、成形体を得るときに異物として存在するため好ましくない。卵殻を除去するためには、卵殻が含まれている卵殻膜を塩酸、リン酸等の水溶液に浸し、卵殻を水に溶解してろ過、水洗により予め取り除くことが好ましい。
【0028】
[水難溶性タンパク質の粉砕]
一実施形態において、水難溶性タンパク質の溶解を容易にするために水難溶性タンパク質を粉砕することができる。一実施形態において、水難溶性タンパク質を粉砕した場合の径の大きさは特に限られるものではないが、例えば、水難溶性タンパク質は、粉砕した場合にその径を、約0.1μm以上、約0.2μm以上、約0.3μm以上、約0.4μm以上、約0.5μm以上、約0.6μm以上、約0.7μm以上、約0.8μm以上、約0.9μm以上、約1.0μm以上、約1.5μm以上、約2.0μm以上、約3.0μm以上、約4.0μm以上、または約5.0μm以上とすることができ、またその径を、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下とすることができる。一実施形態において、水難溶性タンパク質は、粉砕した場合にその径が、約0.1μm以上、約5mm以下であることが好ましく、約1μm以上、約1mm以下であることがより好ましい。この範囲とすることにより、水難溶性タンパク質を本発明の方法を用いて溶液とする場合に均一に溶解することができる。
【0029】
[水難溶性タンパク質の溶解]
一実施形態において、本発明の方法は、水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合することで水難溶性タンパク質を溶解することができ、例えば、水難溶性タンパク質と水溶性3級アミン酸化物との混合溶液に高剪断力を適用したり、および/または振動を加えることによって溶解することができる。
【0030】
一実施形態において、水難溶性タンパク質を溶解する溶媒(溶剤)としては、水溶性3級アミン酸化物を挙げることができ、水溶性3級アミン酸化物としては、例えば、N-メチルモルホリン N-オキシド(nMMO)を用いることができる。nMMOは、水難溶性タンパク質の溶解性の観点から好ましく、さらに後述するように溶液化した水難溶性タンパク質から成形体を再生したあとに、nMMOを再利用することができる点からも好ましい。一実施形態において、水難溶性タンパク質をN-メチルモルホリン N-オキシド(nMMO)に溶解する場合には、nMMO溶液としては、少なくとも約70w/w%、少なくとも約75w/w%、少なくとも約80w/w%、少なくとも約85w/w%、少なくとも約90w/w%、少なくとも約95w/w%、少なくとも約97w/w%、少なくとも約98w/w%、少なくとも約99w/w%の溶液を用いることができる。一実施形態において、約80w/w%以上のnMMO溶液を好ましく用いることができる。
【0031】
nMMOは有機化合物の一種であり、有機合成において酸化剤として用いられる無色の固体である。モルホリンの窒素上にメチル基が置換したN-メチルモルホリン(NMM)のアミンオキシドにあたる。四酸化オスミウムによる触媒的酸化反応、あるいはシャープレス酸化、TPAP酸化などにおいて、犠牲試薬としても用いられる。nMMOは基質を酸化させて活性が落ちた状態の触媒を再酸化して再び活性化させる、再酸化剤としての役割を担う。nMMOは通常、50%水溶液として市販されている。無水のものも入手可能であるが、水溶液を脱水・乾燥して用いることもある。水溶液はセルロースを溶解するため、リヨセル製造のための溶媒としても用いられる。
【0032】
一実施形態において、水難溶性タンパク質を溶解する場合の水難溶性タンパク質の濃度は特に限定されるものではないが、約0.1%~約20%が好ましく、例えば、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約0.8%、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%とすることができる。
【0033】
一実施形態において、水難溶性タンパク質を溶解する場合の溶液の温度は、特に限定されるものではないが、約40℃以上が好ましく、より好ましくは、約45℃以上、50℃以上、約55℃以上、65℃以上、約70℃以上、75℃以上、約80℃以上、約90℃以上とすることができる。
【0034】
一実施形態において、水難溶性タンパク質を溶解する場合、水難溶性タンパク質と水溶性3級アミン酸化物とを混合した溶液を常法に従って攪拌することができ、例えば、従来周知の撹拌機を用いて攪拌することができる。一実施形態において、水難溶性タンパク質と水溶性3級アミン酸化物とを混合した溶液は、高粘度撹拌機やホモミキサーなどの高剪断力を有する撹拌機を用いて攪拌することもでき、超音波撹拌機なども用いることができる。
【0035】
一実施形態において、本発明の方法において、水難溶性タンパク質は加水分解されることなく溶解されることができる。この場合、水難溶性タンパク質は上記のような大きさの径に粉砕されてから水溶性3級アミン酸化物と混合して溶解されることが好ましい。
【0036】
従来の技術では水難溶性タンパク質を溶液とするために加水分解により低分子化して溶解することが行われている。タンパク質の加水分解は、酸(塩酸、硫酸等)、アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、またはタンパク質分解酵素(微生物起源の酵素、植物起源の酵素、動物起源の酵素)により行われ、例えばアルカリ存在下、高温で加水分解した場合に、分子量が比較的大きい可溶化タンパク質が提案されている(例えば、特許6288686を参照)。またアルカリ領域に至適pHを有するタンパク質分解酵素を作用させることによりシスチン含量の多いタンパク質加水分解物も提案されている(例えば、特開2018-177713号公報を参照)。
【0037】
またタンパク質をチオプロピオン酸等に溶解してエレクトロスピニング法により紡糸した繊維集合体の技術が提案されており(例えば、特開2009-89859号公報、特許5166953を参照)、またタンパク質を還元剤共存下で加水分解した可溶化タンパク質を繊維生地に加工する方法も提案されている(例えば、特許4387806、特開2004-84154号公報を参照)。
【0038】
しかしながら、特許6288686に記載されたアルカリ存在下での加水分解では分解反応を停止させるために酸性物質で中和する工程が必要であり、中和工程でタンパク質中に含まれるシスチン含量が低下するという問題がある。また、特開2018-177713号公報に記載の酵素による加水分解では分子量の大きなタンパク質の可溶化物は得られにくく、触媒であるタンパク質分解酵素自体が高価であることから、製造コストが高くなってしまう。
【0039】
また、酸を用いて加水分解する方法では、装置が腐食しやすく、またタンパク質が過剰に分解し、目的とする分子量分布を外れて低分子量化しすぎたり、褐色に着色したり、目的とする加水分解物以外にも副生成物が生成しやすいという問題があった。
【0040】
さらに、特開2009-89859号公報や特許5166953に記載された繊維製造方法ではタンパク質を酸に溶解したうえで特殊な装置を用いて紡糸しており、繊維集合体においても天然のタンパク質構造にはならない。また特許4387806や特開2004-84154号公報に記載されたフィルムやシートでは、加水分解した可溶化タンパク質を用いたうえで、用途が絆創膏のような創傷被覆材に限定されてしまう。
【0041】
また特許4070579においても、水難溶性タンパク質の利用法として、機能性成分をビスコースレーヨンに導入するために、獣毛などの水難溶性タンパク質をpH8~12で溶解し、アルカリ水溶液中で水溶性架橋剤で架橋した架橋タンパク質をビスコースと混合し、紡糸した機能性レーヨンを提案している。しかし、この方法においても、タンパク質をアルカリ加水分解したものを架橋剤で架橋しており、本来のタンパク質とは異なるという点で他の従来技術と変わらない。
【0042】
また、特許5071613においては、水難溶性の有効成分(例えば、二酸化チタンや酸化亜鉛など)を歯の対象面に付着させるために、1分子中にアニオン性解離基とカチオン性解離基とを有する両性高分子化合物や、アニオン性高分子化合物等とカチオン性高分子化合物等との組み合わせを用いることで、電解質を含む水溶液中で当該水難溶性の有効成分を溶解することが提案されている。しかし、水難溶性タンパク質はこの技術では溶解しない。
【0043】
そこで本発明の一実施形態において、本発明の方法では、水難溶性タンパク質を加水分解することなく溶解できるため、天然のタンパク質本来の構造や特性を備えることができる。また水難溶性タンパク質を加水分解しないことにより、高い分子量のまま繊維化などの成形を行うことができるため、成形体の強度を強いものとすることができ、更にタンパク質の含有量を高めることも可能となる。さらに、例えば水難溶性タンパク質として卵殻膜を用いる場合には、繊維状形態がそのまま残るため、保湿性、消臭性、および細胞増殖性が増加するなどの構造的な特徴を期待することもできる。
【0044】
[水難溶性タンパク質のタンパク質溶液]
本発明の一局面において、水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物に溶解して得られるタンパク質溶液が提供される。本発明のタンパク質溶液は、水難溶性タンパク質を溶解して得られたものであり、水難溶性タンパク質はもともと水に溶けにくいため、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いても水に溶解せず、分子量を測定することは不可能または実際的ではない。また水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物に溶液して得られるタンパク質溶液を分解してそのアミノ酸配列まで特定することも困難である。
【0045】
本発明の一実施形態において、本発明の水難溶性タンパク質のタンパク質溶液は、水難溶性タンパク質を加水分解等のタンパク質誘導体を生じさせることなく得たタンパク質溶液とすることができる。一実施形態において、本発明の水難溶性タンパク質のタンパク質溶液は、水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物の水溶液に溶解してゲル化して得ることができる。
【0046】
水溶性3級アミン酸化物やその濃度、また水難溶性タンパク質としては、本明細書の他の箇所に記載したものを用いることができる。
【0047】
[溶液化した水難溶性タンパク質の再生]
本発明の一局面において、水難溶性タンパク質を含有するポリマー成形体を作成する方法であって、(a)水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、(b)ヒドロキシル基含有ポリマーを水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、(c)工程(a)によって得られたタンパク質溶液と、工程(b)によって得られたポリマー溶液とを混合する工程と、(d)工程(c)によって得られた溶液からポリマー成形体を析出する工程とを含む、方法が提供される。
【0048】
本発明の一実施形態において、溶液化した水難溶性タンパク質は、水中や、約60w/w%未満の水溶性3級アミン酸化物の水溶液中に押し出すことにより、水難溶性タンパク質を析出させて再生することができる。例えば、約60w/w%未満のnMMO水溶液中に、nMMOに溶解している水難溶性タンパク質を押し出して短繊維状(綿状)としたり、またはnMMOに溶解している水難溶性タンパク質をガラス板等で薄膜状に塗布し、約60w/w%未満のnMMO水溶液中に浸漬してフィルム状に析出させることで水難溶性タンパク質を再生することができる。一実施形態において、再生する形状は綿状でもフィルム状でもよく、再生後に更に水洗し乾燥して最終製品とすることもできる。
【0049】
したがって、本発明の一局面において、水難溶性タンパク質を含有するポリマー成形体であって、該成形体が、(a)水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、(b)ヒドロキシル基含有ポリマーを水溶性3級アミン酸化物と混合する工程と、
(c)工程(a)によって得られたタンパク質溶液と、工程(b)によって得られたポリマー溶液とを混合する工程と、(d)工程(c)によって得られた溶液からポリマー成形体を析出する工程とを含む、方法によって得られる、成形体が提供される。上記のとおり、本発明のタンパク質溶液は、水難溶性タンパク質を溶解して得られたものであり、水難溶性タンパク質はもともと水に溶けにくいため、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いても水に溶解せず、分子量を測定することは不可能または実際的ではない。また水難溶性タンパク質を水溶性3級アミン酸化物に溶液して得られるタンパク質溶液を分解してそのアミノ酸配列まで特定することも困難である。したがって、そのような本発明のタンパク質溶液から得られるポリマー成形体についても、構造や特性で表現することは困難である。
【0050】
一実施形態において、ポリマー成形体としては、本発明の方法の材料となるヒドロキシル基含有ポリマーから得られる成形体であれば特に限られないが、例えば、繊維、不織布、フィルムなどを挙げることができる。
【0051】
本発明の方法によって得られる成形体の特性としては、吸放湿性、消臭性、抗菌性、皮膚保護性、細胞増殖性、生体適合性、金属吸着性などが挙げられる。
【0052】
一実施形態において、本発明のポリマー成形体を作成する方法では、水難溶性タンパク質とヒドロキシル基含有ポリマーとを混合するために、水難溶性タンパク質とヒドロキシル基含有ポリマーとをそれぞれ水溶性3級アミン酸化物に混合して溶解しておくことが好ましい。
【0053】
一実施形態において、本発明のポリマー成形体を作成する方法では、水難溶性タンパク質の溶剤となる水溶性3級アミン酸化物とヒドロキシル基含有ポリマーの溶剤となる水溶性3級アミン酸化物とは、同じものであってもよく、または異なるものであってもよい。また一実施形態において、水溶性3級アミン酸化物としては、例えば、N-メチルモルホリン N-オキシド(nMMO)を用いることができる。水溶性3級アミン酸化物を再利用するために、水難溶性タンパク質とヒドロキシル基含有ポリマーとを溶解する溶剤は同一とするのが好ましい。
【0054】
一実施形態において、水難溶性タンパク質の析出に用いた水溶性3級アミン酸化物の水溶液は、濃縮することにより、本発明の方法に再度利用することができる。
【0055】
一実施形態において、ヒドロキシル基含有ポリマーとして、ヒドロキシル基含有ポリマーに機能性官能基が結合した修飾ヒドロキシル基含有ポリマーを用いることもできる。水難溶性タンパク質のnMMO溶液と修飾ヒドロキシル基含有ポリマーのnMMO溶液を混合して、水中や、約60w/w%未満の水溶性3級アミン酸化物の水溶液中に押し出すことにより、機能性が付与されたポリマー成形体を得ることができる。
【0056】
一実施形態において、ヒドロキシル基含有ポリマーまたは修飾ヒドロキシル基含有ポリマーとしては、セルロース、再生セルロース、ポリビニルアルコール、およびポリ酢酸ビニルの鹸化物を用いることができ、再生セルロースを好ましく用いることができる。またポリ酢酸ビニルの鹸化物は、ポリ酢酸ビニルの一部でも鹸化されてヒドロキシ(OH)基が含まれていればよい。
【0057】
一実施形態において、本発明の方法によって溶解した水難溶性タンパク質のタンパク質溶液およびその成形体は、材料となる水難溶性タンパク質自体の機能や特性を有しており、例えば、保湿作用、金属イオン吸着作用、脱臭作用、抗菌作用等に加え、線維芽細胞増殖作用、活性酵素除去作用、細胞賦活作用等の生理活性も備えることができる。一実施形態において、水難溶性タンパク質が備える機能や特性を発揮しやすいように、ポリマー材料を選択することもできる。
【0058】
本発明の一実施形態において、本発明のタンパク質溶液やポリマー成形体は、天然成分由来の卵殻膜などの水難溶性タンパク質から得られるものであるため、人体の皮膚組織への密着性が優れている。
【0059】
また本発明の一実施形態において、本発明のタンパク質溶液やポリマー成形体は、卵殻膜などの水難溶性タンパク質の成分を含有するため、天然の卵殻膜などの水難溶性タンパク質とほぼ同様の性質を備えることができる。
【0060】
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値」の「範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
【0061】
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0062】
(試験例1:水難溶性タンパク質の溶解)
以下の表1に従って、羊毛、卵殻膜粉砕品、卵殻膜未粉砕品、鱗、または鶏羽を60w/w%、70w/w%、85w/w%のN-メチルモルホリン N-オキシド(nMMO)、または水に溶解した。タンパク質濃度、攪拌時間、攪拌および振動時間、ホモジナイズ時間はそれぞれ表1のとおりとした。
【表1】
【0063】
羊毛、卵殻膜粉砕品、卵殻膜未粉砕品、鱗、または鶏羽の溶解については、それぞれをnMMO(60w/w%、70w/w%、または85w/w%)または水と混合して、表1の条件で攪拌させた。また卵殻膜は、パルペラーザー、ハンマー粉砕機等の通常の粉砕機で粉砕し、数十ミクロン~数百ミクロンに粉砕した。また粉砕については卵殻膜を洗浄し、乾燥させた後に行うのが好ましい。
【0064】
その結果、表1に示されるとおり、実施例1~10についてはいずれも透明なゲルや半透明となり、それぞれの水難溶性タンパク質が溶解したことを確認することができた。一方、比較例1~4については、いずれも溶解しないことが確認できた。
【0065】
続いて、nMMO以外の溶剤を用いて卵殻膜を溶解させた。粉砕した卵殻膜を準備し、それぞれの溶剤と混合させて、80℃で1時間攪拌して溶解させた。
用いた溶剤と結果を表2に示した。
【表2】
【0066】
表2に示されるとおり、卵殻膜は多くの溶剤に不溶であり、また酸やアルカリによって加水分解された場合には溶解することがわかる。また85w/w%のnMMOを用いた場合にも溶解した。
【0067】
(試験例2:水難溶性タンパク質溶液からの水難溶性タンパク質の再生、およびポリマー成形体の作成)
表1に記載した実施例3、実施例7、および実施例8のタンパク質溶液を用いて、水難溶性タンパク質を再生し、またはポリマー成形体を作成した。それぞれ、実施例3、7、または8のとおりに卵殻膜粉砕品をnMMO溶液に溶解した後、ガラス板上に溶液4gを取り、直径約5cm円状の薄膜に押し広げ、水中で不溶化(フィルム化)し、水洗後室温で減圧乾燥させた。実施例3のタンパク質溶液についてはそのまま水難溶性タンパク質を再生し、実施例7および8のタンパク質溶液については再生セルロース繊維(レーヨン)を混合してフィルム化した。
図1に実施例3のタンパク質溶液を用いた場合のフィルムの顕微鏡写真を、
図2に実施例7のタンパク質溶液を用いた場合のフィルムの顕微鏡写真を、
図3に実施例8のタンパク質溶液を用いた場合のフィルムの顕微鏡写真を、それぞれ示した。
【0068】
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明の方法によって得られるタンパク質溶液およびその成形体は、繊維・フィルムの形態での化成品用途、フェイスマスク素材や粉末状での化粧品用途、創傷被覆材としての医療用途、細胞培養足場材としての再生医療分野での利用が可能である。また、生分解性が良好であることから農業用素材としての利用も期待できる。