(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165259
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】コネクタ、及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6592 20110101AFI20231108BHJP
H01R 4/20 20060101ALI20231108BHJP
H01R 13/73 20060101ALI20231108BHJP
H01R 13/52 20060101ALN20231108BHJP
【FI】
H01R13/6592
H01R4/20
H01R13/73 C
H01R13/52 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076089
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金 知聖
(72)【発明者】
【氏名】濱本 直也
【テーマコード(参考)】
5E021
5E085
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA04
5E021FA08
5E021FC21
5E021FC32
5E021GB02
5E085BB01
5E085BB12
5E085EE11
5E085FF01
5E085FF16
5E085JJ02
5E087EE11
5E087EE14
5E087FF13
5E087GG12
5E087LL04
5E087LL12
5E087RR03
5E087RR12
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】製造容易なコネクタを提供すること。
【解決手段】コネクタ(30)は、芯線(23)と該芯線の外周を覆う絶縁被覆(24)と該絶縁被覆の外周を覆うシールド部材(22)とを有するシールド電線(20)の端部に固定されるとともに、取付対象に対して固定されることで、シールド部材を取付対象に電気的に接続する。コネクタは、芯線及び絶縁被覆が通されるとともにシールド部材が接続される金属パイプ(31)と、金属パイプの外周面に固定され、取付対象に固定される金属固定部材(32)とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線と該芯線の外周を覆う絶縁被覆と該絶縁被覆の外周を覆うシールド部材とを有するシールド電線の端部に固定されるとともに、取付対象に対して固定されることで、前記シールド部材を前記取付対象に電気的に接続するコネクタであって、
前記芯線及び前記絶縁被覆が通されるとともに前記シールド部材が接続される金属パイプと、
前記金属パイプの外周面に固定され、前記取付対象に固定される金属固定部材と、を備えた、
コネクタ。
【請求項2】
前記金属固定部材は、板材によって構成されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記金属固定部材は、パイプ固定孔を有し、
前記金属パイプは、前記パイプ固定孔の内面に結合される第1拡管部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記金属パイプに外嵌される第1ゴムリングを備えた、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記金属パイプは、前記第1ゴムリングが外嵌される第1縮管部を有する、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記金属パイプに内嵌される第2ゴムリングを備えた、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記金属パイプは、前記第2ゴムリングが内嵌される第2拡管部を有する、
請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記金属パイプは、前記絶縁被覆に圧接される第2縮管部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記シールド電線は、前記芯線及び前記絶縁被覆を複数有するとともに、前記シールド部材が前記複数の絶縁被覆をまとめて覆う多芯一括シールド電線であり、
前記芯線及び前記絶縁被覆がセットで1つずつ通される前記金属パイプを複数備え、
前記金属固定部材は、前記複数の金属パイプの軸線同士が平行となるように前記複数の金属パイプの少なくとも1つに固定されており、
前記複数の金属パイプの外周面同士の隙間を埋めるように設けられるとともに、前記シールド部材が接続される接続部材を備えた、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記シールド電線は、前記芯線及び前記絶縁被覆を複数有するとともに、前記シールド部材が前記複数の絶縁被覆をまとめて覆う多芯一括シールド電線であり、
前記芯線及び前記絶縁被覆がセットで1つずつ通される前記金属パイプを複数備え、
前記金属固定部材は、前記複数の金属パイプの軸線同士が平行となるように前記複数の金属パイプの少なくとも1つに固定されており、
前記複数の金属パイプにおける前記第2拡管部の外周面同士の隙間を埋めるように設けられるとともに、前記シールド部材が接続される接続部材を備えた、
請求項7に記載のコネクタ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のコネクタと、
前記シールド電線と、を備えた、
ワイヤハーネス。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載のコネクタと、
前記シールド電線と、を備えたワイヤハーネスであって、
前記接続部材に前記シールド部材をかしめ固定するかしめ部材を備える、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ、及びワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスとしては、シールド電線と、シールド電線の端部に固定されたコネクタとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたコネクタは、樹脂ハウジングと、樹脂ハウジングの外側を覆うとともに取付対象に固定される金属シェルとを有する。シールド電線のシールド部材は、金属シェルに接続され、該金属シェルを介して取付対象に電気的に接続される。これにより、シールド電線の芯線からの電磁波の放射が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記コネクタでは、樹脂成形品である樹脂ハウジングが必要であった。コネクタは、製造容易な構造が求められている。
本開示の目的は、製造容易なコネクタ、及びワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のコネクタは、芯線と該芯線の外周を覆う絶縁被覆と該絶縁被覆の外周を覆うシールド部材とを有するシールド電線の端部に固定されるとともに、取付対象に対して固定されることで、前記シールド部材を前記取付対象に電気的に接続するコネクタであって、前記芯線及び前記絶縁被覆が通されるとともに前記シールド部材が接続される金属パイプと、前記金属パイプの外周面に固定され、前記取付対象に固定される金属固定部材と、を備える。
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、前記コネクタと、前記シールド電線とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタ、及びワイヤハーネスによれば、製造が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態におけるワイヤハーネスの一部斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態における電気機器のハウジングとワイヤハーネスの断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態におけるワイヤハーネスの一部分解斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態におけるコネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
[1]芯線と該芯線の外周を覆う絶縁被覆と該絶縁被覆の外周を覆うシールド部材とを有するシールド電線の端部に固定されるとともに、取付対象に対して固定されることで、前記シールド部材を前記取付対象に電気的に接続するコネクタであって、前記芯線及び前記絶縁被覆が通されるとともに前記シールド部材が接続される金属パイプと、前記金属パイプの外周面に固定され、前記取付対象に固定される金属固定部材と、を備える。
【0010】
同構成によれば、芯線が金属パイプに覆われつつ、シールド部材が金属パイプ及び金属固定部材を介して取付対象に接続される。よって、芯線からの電磁波の放射を抑えることができる。ここで、金属パイプと金属固定部材とは、それぞれ別体で製造後に互いに固定されるため、各々を容易に得ることができる。また、樹脂成形品を備えず金型が必要ないため、コネクタを容易に製造できる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記金属固定部材は、板材によって構成されていることが好ましい。
同構成によれば、鋳造品に比べ、金属固定部材を容易に製造できる。
【0012】
[3]上記[1]または上記[2]において、前記金属固定部材は、パイプ固定孔を有し、前記金属パイプは、前記パイプ固定孔の内面に結合される第1拡管部を有することが好ましい。
【0013】
同構成によれば、金属パイプに拡管加工を施してパイプ固定孔の内面に結合できるため、溶接に比べ、固定作業が容易となる。
[4]上記[1]から上記[3]のいずれか1つにおいて、前記金属パイプに外嵌される第1ゴムリングを備えることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、金属パイプの外周面と取付対象との間に第1ゴムリングを介在させることで、当該部分での防水を図ることができる。
[5]上記[4]において、前記金属パイプは、前記第1ゴムリングが外嵌される第1縮管部を有することが好ましい。
【0015】
同構成によれば、金属パイプの長さ方向に沿った第1ゴムリングの位置ずれが抑制される。
[6]上記[1]から上記[5]のいずれか1つにおいて、前記金属パイプに内嵌される第2ゴムリングを備えることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、金属パイプの内周面と絶縁被覆の外周面との間に第2ゴムリングを介在させることで、当該部分での防水を図ることができる。
[7]上記[6]において、前記金属パイプは、前記第2ゴムリングが内嵌される第2拡管部を有することが好ましい。
【0017】
同構成によれば、金属パイプの長さ方向に沿った第2ゴムリングの位置ずれが抑制される。
[8]上記[1]から上記[7]のいずれか1つにおいて、前記金属パイプは、前記絶縁被覆に圧接される第2縮管部を有することが好ましい。
【0018】
同構成によれば、別部材を用いることなく、第2縮管部によって、絶縁被覆とコネクタとを固定することができる。
[9]上記[1]から上記[8]のいずれか1つにおいて、前記シールド電線は、前記芯線及び前記絶縁被覆を複数有するとともに、前記シールド部材が前記複数の絶縁被覆をまとめて覆う多芯一括シールド電線であり、前記芯線及び前記絶縁被覆がセットで1つずつ通される前記金属パイプを複数備え、前記金属固定部材は、前記複数の金属パイプの軸線同士が平行となるように前記複数の金属パイプの少なくとも1つに固定されており、前記複数の金属パイプの外周面同士の隙間を埋めるように設けられるとともに、前記シールド部材が接続される接続部材を備えることが好ましい。
【0019】
同構成によれば、接続部材によって、多芯一括シールド電線におけるシールド部材を金属パイプに良好に電気接続することができる。すなわち、接続部材が設けられていない構成では、複数の金属パイプの外周面同士の隙間の部分でシールド部材が接触しない或いは接触困難に伴い接触面積が小さくなってしまうが、本構成では、これを回避できる。
【0020】
[10]上記[7]において、前記シールド電線は、前記芯線及び前記絶縁被覆を複数有するとともに、前記シールド部材が前記複数の絶縁被覆をまとめて覆う多芯一括シールド電線であり、前記芯線及び前記絶縁被覆がセットで1つずつ通される前記金属パイプを複数備え、前記金属固定部材は、前記複数の金属パイプの軸線同士が平行となるように前記複数の金属パイプの少なくとも1つに固定されており、前記複数の金属パイプにおける前記第2拡管部の外周面同士の隙間を埋めるように設けられるとともに、前記シールド部材が接続される接続部材を備えることが好ましい。
【0021】
同構成によれば、[9]の作用効果に加え、第2拡管部の外周面同士の隙間は、拡管加工されていない他の部位の外周面同士の隙間よりも小さくなるため、隙間を埋めるように設けられる接続部材の材料費を低減することができる。
【0022】
本開示のワイヤハーネスは、
[11]上記[1]から上記[10]のいずれか1つのコネクタと、前記シールド電線とを備える。
【0023】
同構成によれば、コネクタと同様の作用効果が得られる。
[12]上記[9]または上記[10]のコネクタと、前記シールド電線と、を備えたワイヤハーネスであって、前記接続部材に前記シールド部材をかしめ固定するかしめ部材を備える。
【0024】
同構成によれば、[11]の作用効果に加え、かしめ部材によって接続部材にシールド部材を容易に接続することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
(ワイヤハーネス10の構成)
図1に示すように、ワイヤハーネス10は、シールド電線としての多芯一括シールド電線20と、コネクタ30とを備える。
【0026】
(多芯一括シールド電線20の構成)
図1から
図3に示すように、多芯一括シールド電線20は、電線21と、シールド部材22とを有する。本実施形態の多芯一括シールド電線20は、3本の電線21を有する。
【0027】
電線21は、芯線23と、芯線23の外周を覆う絶縁被覆24とを有する。本実施形態の芯線23は、横断面形状が円形状である。また、絶縁被覆24は、横断面形状が円環状である。
【0028】
シールド部材22は、絶縁被覆24の外周を覆っている。本実施形態のシールド部材22は、複数の絶縁被覆24をまとめて覆っている。シールド部材22は、例えば、銅合金やアルミニウム合金などの導電性の素線が筒状に編み込まれた編組線である。なお、各図では、シールド部材22を模式的に図示している。電線21の端部は、シールド部材22の端部から外部に突出している。
【0029】
(コネクタ30の構成)
図2に示すように、コネクタ30は、多芯一括シールド電線20の端部に固定されるとともに、取付対象としての電気機器のハウジング50に対して固定されるものである。
【0030】
図1から
図4に示すように、コネクタ30は、金属パイプ31と、金属パイプ31の外周面に固定される金属固定部材32とを備える。本実施形態のコネクタ30は、多芯一括シールド電線20の3本の電線21に対応しており、3つの金属パイプ31を備える。すなわち、コネクタ30は、3つの金属パイプ31を備え、金属パイプ31の各々には1本の電線21が通される。言い換えると、金属パイプ31の各々には芯線23及び絶縁被覆24がセットで1つずつ通される。
【0031】
(金属固定部材32の構成)
金属固定部材32は、板材によって構成されている。詳しくは、金属固定部材32は、金属製の板材を打ち抜き加工することなどにより構成されている。
【0032】
図4に示すように、金属固定部材32は、板厚方向から見て、長方形形状の本体部32aと、本体部32aの長手方向の両端側から短手方向に突出する固定部32bとを有する。金属固定部材32は、板厚方向に貫通するパイプ固定孔32cを有する。パイプ固定孔32cは、本体部32aに3つ形成されている。3つのパイプ固定孔32cは、本体部32aの長手方向に沿って等間隔に並設されている。なお、パイプ固定孔32cの内面は、ローレット加工等の凹凸加工が施されることが好ましい。また、金属固定部材32は、板厚方向に貫通するコネクタ取付孔32dを有する。コネクタ取付孔32dは、2つの固定部32bの各々に形成されている。
【0033】
(金属パイプ31の構成)
金属パイプ31は、パイプ材によって構成されている。詳しくは、金属パイプ31は、径が一定の金属製のパイプ材に径を広げる拡管加工や径を縮める縮管加工が施されることなどにより構成されている。
【0034】
図2に示すように、金属パイプ31は、パイプ固定孔32cの内面に結合される第1拡管部31aを有する。第1拡管部31aは、金属パイプ31において長さ方向に隣り合う部位よりも径が拡大された部位である。第1拡管部31aは、金属パイプ31の中間部に設けられている。金属パイプ31は、拡管加工によって第1拡管部31aを成形する際に第1拡管部31aがパイプ固定孔32cの内面に圧接されて結合されることで、金属固定部材32に固定される。言い換えると、金属固定部材32は、金属パイプ31がパイプ固定孔32c内で拡管加工されて第1拡管部31aが成形されることで金属パイプ31に固定される。
【0035】
図3及び
図4に示すように、金属固定部材32は、複数の金属パイプ31の軸線Z同士が平行となるように複数の金属パイプ31に固定される。なお、
図4は、金属パイプ31と金属固定部材32とを固定する前の状態の分解斜視図ではなく、一度、金属パイプ31と金属固定部材32とを固定した後に再度分解した状態の第1拡管部31aを有する金属パイプ31を図示している。
【0036】
また、金属パイプ31は、第1縮管部31bを有する。第1縮管部31bは、金属パイプ31において長さ方向に隣り合う部位よりも径が縮小された部位である。第1縮管部31bは、第1拡管部31aよりも金属パイプ31の先端部側に設けられている。詳しくは、金属パイプ31は、ワイヤハーネス10の先端部側に配置される第1端部31cと、ワイヤハーネス10の中間部側に配置される第2端部31dとを有する。そして、第1縮管部31bは、第1拡管部31aよりも第1端部31c側に設けられている。
【0037】
コネクタ30は、金属パイプ31に外嵌される第1ゴムリング33を備える。第1ゴムリング33は、第1縮管部31bに外嵌される。
また、金属パイプ31は、第2拡管部31eを有する。第2拡管部31eは、金属パイプ31において長さ方向に隣り合う部位よりも径が拡大された部位である。第2拡管部31eは、第1拡管部31aよりも第2端部31d側に、第1拡管部31aと間隔を有して設けられている。なお、第1拡管部31aと第2拡管部31eとの間には、拡管加工や縮管加工が施されずに、金属パイプ31を構成するパイプ材の径のままの状態が維持された基本部31fが設けられている。
【0038】
コネクタ30は、金属パイプ31に内嵌される第2ゴムリング34を備える。第2ゴムリング34は、第2拡管部31eに内嵌される。
電線21は、金属パイプ31に通される。電線21が金属パイプ31に通された状態で、第2ゴムリング34は、絶縁被覆24の外周面と金属パイプ31の内周面との間に圧縮された状態で介在される。
【0039】
また、金属パイプ31は、絶縁被覆24に圧接される第2縮管部31gを有する。第2縮管部31gは、金属パイプ31において長さ方向に隣り合う部位よりも径が縮小された部位である。第2縮管部31gは、第2端部31dに設けられている。金属パイプ31は、第2縮管部31gが絶縁被覆24に圧接することで電線21に対して固定される。
【0040】
図3及び
図4に示すように、コネクタ30は、接続部材35を備える。
図4に示すように、接続部材35は、それぞれ金属パイプ31が嵌まる3つの貫通孔35aを有する。貫通孔35aは、金属パイプ31の第2拡管部31eが嵌まる大きさに形成されている。接続部材35は、3つの金属パイプ31を覆いつつ、3つの金属パイプ31の外周面31h同士の隙間36を埋めるように設けられる。詳しくは、接続部材35は、3つの金属パイプ31の第2拡管部31eを覆いつつ、3つの金属パイプ31における第2拡管部31eの外周面31h同士の隙間36を埋めるように設けられる。すなわち、接続部材35は、貫通孔35a同士の間の連結部位35bで、金属パイプ31の外周面31h同士によって形成される隙間36を埋める。
【0041】
そして、
図2に示すように、シールド部材22は、接続部材35の外周面に接続される。詳しくは、ワイヤハーネス10は、かしめ部材37を備える。そして、シールド部材22は、接続部材35の外周面を覆うように配置され、更にシールド部材22の外側にかしめ部材37がかしめられることで接続部材35に接続される。すなわち、接続部材35は、かしめ部材37がかしめられる際の土台となりつつ、全周でシールド部材22と接触する。そして、かしめ部材37は、接続部材35にシールド部材22をかしめ固定する。なお、本実施形態のかしめ部材37は、金属製で環状に形成されたかしめリングである。シールド部材22は、接続部材35を介して金属パイプ31に電気的に接続される。
【0042】
また、芯線23の端部は、金属パイプ31の第1端部31cから外部に突出するとともに絶縁被覆24から露出している。そして、芯線23の端部には、端子38がかしめ固定されている。
【0043】
(電気機器のハウジング50の構成とコネクタ30の固定構造)
図2に示すように、取付対象としての電気機器のハウジング50は、取付孔50aと、締結部50bとを備える。電気機器のハウジング50は、金属製である。そして、コネクタ30は、端子38及び金属パイプ31の第1端部31c側が取付孔50aに挿入されるように電気機器のハウジング50に固定される。
【0044】
金属パイプ31の第1端部31c側が取付孔50aに挿入された状態で、第1ゴムリング33は、金属パイプ31の外周面と取付孔50aの内周面との間に圧縮された状態で介在される。コネクタ30は、コネクタ取付孔32dを貫通して締結部50bに螺合されるボルト39によって電気機器のハウジング50に固定される。これにより、シールド部材22は、コネクタ30を介して電気機器のハウジング50に電気的に接続される。コネクタ30が電気機器のハウジング50に固定された状態で、端子38には電気機器の図示しない端子が接続される。
【0045】
次に、上記のように構成されたワイヤハーネス10の作用について説明する。
多芯一括シールド電線20は、シールド部材22が複数の電線21の絶縁被覆24をまとめて覆っている。よって、シールド部材22が覆っている部分での芯線23からの電磁波の放射が抑えられる。また、コネクタ30が電気機器のハウジング50に対して固定されることで、シールド部材22は電気機器のハウジング50に電気的に接続される。そして、コネクタ30においては、電線21は金属パイプ31に覆われている。よって、コネクタ30の部分での芯線23からの電磁波の放射が抑えられる。
【0046】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)コネクタ30において、芯線23は金属パイプ31に覆われる。また、シールド部材22は、金属パイプ31及び金属固定部材32を介して電気機器のハウジング50に接続される。よって、芯線23からの電磁波の放射を抑えることができる。そして、金属パイプ31と金属固定部材32とは、それぞれ別体で製造後に互いに固定されるため、各々を容易に得ることができる。また、樹脂成形品を備えず金型が必要ないため、コネクタ30を容易に製造できる。
【0047】
(2)金属固定部材32は、板材によって構成されている。よって、例えば、鋳造品に比べ、金属固定部材32を容易に製造できる。
(3)金属パイプ31は、パイプ固定孔32cの内面に結合される第1拡管部31aを有し、金属パイプ31に拡管加工を施してパイプ固定孔32cの内面に結合できる。よって、例えば、溶接に比べ、固定作業が容易となる。
【0048】
(4)金属パイプ31に外嵌される第1ゴムリング33を備える。よって、金属パイプ31の外周面と電気機器のハウジング50における取付孔50aの内周面との間に第1ゴムリング33を介在させることで、当該部分での防水を図ることができる。第1ゴムリング33は、特殊な形状を必要とせず簡素な形状とすることができるとともに、金属パイプ31に外嵌するだけで組み付けできるので、コネクタ30を容易に製造することができる。
【0049】
(5)金属パイプ31は、第1ゴムリング33が外嵌される第1縮管部31bを有する。よって、金属パイプ31の長さ方向に沿った第1ゴムリング33の位置ずれが抑制される。
【0050】
(6)金属パイプ31に内嵌される第2ゴムリング34を備える。よって、金属パイプ31の内周面と絶縁被覆24の外周面との間に第2ゴムリング34を介在させることで、当該部分での防水を図ることができる。第2ゴムリング34は、特殊な形状を必要とせず簡素な形状とすることができるとともに、金属パイプ31に内嵌するだけで組み付けできるので、コネクタ30を容易に製造することができる。
【0051】
(7)金属パイプ31は、第2ゴムリング34が内嵌される第2拡管部31eを有する。よって、金属パイプ31の長さ方向に沿った第2ゴムリング34の位置ずれが抑制される。
【0052】
(8)金属パイプ31は、絶縁被覆24に圧接される第2縮管部31gを有する。よって、別部材を用いることなく、第2縮管部31gによって、絶縁被覆24とコネクタ30とを固定することができる。
【0053】
(9)複数の金属パイプ31の外周面31h同士の隙間36を埋めるように設けられるとともに、シールド部材22が接続される接続部材35を備える。よって、多芯一括シールド電線20におけるシールド部材22を金属パイプ31に良好に電気的に接続することができる。すなわち、接続部材35が設けられていない構成では、複数の金属パイプ31の外周面31h同士の隙間36の部分でシールド部材22が接触しない或いは接触困難に伴い接触面積が小さくなってしまうが、本構成ではこれを回避できる。よって、シールド部材22を金属パイプ31に良好に接続することができる。
【0054】
(10)接続部材35は、金属パイプ31における第2拡管部31eの外周面31h同士の隙間36を埋めるように設けられる。第2拡管部31eの外周面31h同士の隙間36は、拡管加工されていない他の部位の外周面同士の隙間よりも小さくなるため、隙間36を埋めるように設けられる接続部材35の材料費を低減することができる。
【0055】
(11)かしめ部材37によって接続部材35にシールド部材22を容易に接続することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0056】
・上記実施形態では、金属固定部材32は、板材によって構成されているとしたが、これに限定されず、例えば、金型を用いて成形される鋳造品等としてもよい。また、金属固定部材32は、金属製の板材を打ち抜き加工することなどにより構成されているとしたが、板材によって構成しつつ、例えば、折り曲げ加工等の他の加工を施してなるものとしてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、金属パイプ31は、パイプ固定孔32cの内面に結合される第1拡管部31aを有するとしたが、これに限定されず、第1拡管部31aを有していない構成としてもよい。例えば、金属パイプと金属固定部材とを溶接によって固定した構成としてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、コネクタ30は、金属パイプ31に外嵌される第1ゴムリング33を備えるとしたが、これに限定されず、第1ゴムリング33を備えていなくてもよい。例えば、第1ゴムリング33に替えて、金属固定部材32にシール部材を接着等によって固定した構成としてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、金属パイプ31は、第1ゴムリング33が外嵌される第1縮管部31bを有するとしたが、これに限定されず、第1縮管部31bを有していない構成としてもよい。
【0060】
・上記実施形態では、コネクタ30は、金属パイプ31に内嵌される第2ゴムリング34を備えるとしたが、これに限定されず、第2ゴムリング34を備えていなくてもよい。例えば、第2ゴムリング34に替えて、金属パイプ31の第2端部31dにシール部材を接着等によって固定した構成としてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、金属パイプ31は、第2ゴムリング34が内嵌される第2拡管部31eを有するとしたが、これに限定されず、第2拡管部31eを有していない構成としてもよい。また、第2拡管部31eを独立して形成せずに、第1拡管部31aを第2拡管部として利用し、第2ゴムリング34を第2拡管部をも構成する第1拡管部31aに内嵌してもよい。
【0062】
・上記実施形態では、金属パイプ31は、絶縁被覆24に圧接される第2縮管部31gを有するとしたが、これに限定されず、第2縮管部31gを有していない構成としてもよい。例えば、別部材によって、金属パイプ31に絶縁被覆24、ひいては電線21を固定してもよい。
【0063】
・上記実施形態では、コネクタ30は、接続部材35を備えるとしたが、これに限定されず、接続部材35を備えていなくてもよい。特に、上記実施形態では、シールド電線が多芯一括シールド電線20であるため、シールド部材22を金属パイプ31に良好に電気的に接続するために接続部材35を設けたが、電線21毎に独立したシールド部材が設けられる構成では接続部材35は不要となる。すなわち、シールド電線が各芯シールド電線であり、電線21毎に独立したシールド部材が設けられる構成では、各シールド部材をそれぞれ金属パイプ31に直接接続する構成とすればよい。
【0064】
・上記実施形態では、接続部材35は、第2拡管部31eの外周面31h同士の隙間36を埋めるように設けられるとしたが、これに限定されず、金属パイプ31における第2拡管部31e以外の部位の外周面同士の隙間を埋めるように設けてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、かしめ部材37を備えるとしたが、これに限定されず、例えば、かしめ部材37を備えず、接続部材35にシールド部材22を溶接によって固定した構成としてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、多芯一括シールド電線20は3本の電線21を有し、コネクタ30は3つの金属パイプ31を備えるとしたが、これに限定されず、電線21の数、及び金属パイプ31の数は、他の数に変更してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 ワイヤハーネス
20 多芯一括シールド電線(シールド電線)
21 電線
22 シールド部材
23 芯線
24 絶縁被覆
30 コネクタ
31 金属パイプ
31a 第1拡管部
31b 第1縮管部
31c 第1端部
31d 第2端部
31e 第2拡管部
31f 基本部
31g 第2縮管部
31h 外周面
32 金属固定部材
32a 本体部
32b 固定部
32c パイプ固定孔
32d コネクタ取付孔
33 第1ゴムリング
34 第2ゴムリング
35 接続部材
35a 貫通孔
35b 連結部位
36 隙間
37 かしめ部材
38 端子
39 ボルト
50 電気機器のハウジング(取付対象)
50a 取付孔
50b 締結部
Z 軸線