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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165268
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
A01K85/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076102
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】500411212
【氏名又は名称】株式会社デプス
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和正
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA49
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】 魚がフックに引っ掛かるまでは、フックの針先の向きを所定方向に保つことができ、魚がフックに引っ掛かった後は、フックの針先の向きが魚の動きに合わせて変わるルアーを得る。
【解決手段】ルアー本体と、前記ルアー本体に回転可能に保持された回転体とを備え、この回転体にフックが保持されるルアーであって、前記回転体の回転を規制する回転規制機構をさらに備え、前記回転規制機構が、前記回転体に保持された前記フックに魚が引っ掛かることにより、前記回転体の回転を規制する状態からその規制を解除した状態に切り替わるように構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルアー本体と、前記ルアー本体に回転可能に保持された回転体とを備え、この回転体にフックが保持されるルアーであって、
前記回転体の回転を規制する回転規制機構をさらに備え、
前記回転規制機構が、前記回転体に保持された前記フックに魚が引っ掛かることにより、前記回転体の回転を規制する状態からその規制を解除した状態に切り替わるように構成されていることを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記回転規制機構が、前記ルアー本体表面に形成された篏合溝と、前記回転体を前記嵌合溝に篏合して回転が規制される規制位置と前記嵌合溝から離脱して規制が解除される解除位置との間で移動させる移動機構とを備えている請求項1記載のルアー。
【請求項3】
前記移動機構が、前記嵌合溝底面から前記ルアー本体内へ延びる保持穴と、前記保持穴内に開口方向及び奥方向へ移動可能に保持され、その開口方向を向く一端に前記回転体が設けられた移動体とを備え、
前記移動体を前記保持穴の奥側に設定された所定位置まで移動させることにより、前記回転体が前記規制位置に移動し、前記移動体を前記所定位置よりも開口側へ移動させることにより、前記回転体が前記解除位置に移動する請求項2記載のルアー。
【請求項4】
前記回転規制機構が、前記保持穴又は前記篏合溝に設けられ、前記回転体が一時的に規制位置に留まるように前記移動体又は前記回転体を係止する係止部をさらに備え、
前記回転体に開口方向へ所定以上の外力が作用すると、前記係止部による係止が解除されて前記回転体が開口方向へ移動するように構成されている請求項3記載のルアー。
【請求項5】
前記係止部が、前記保持穴の内周面に形成され、前記移動体の外径よりも幅が狭い幅狭部であり、
前記回転体に開口方向へ所定以上の外力が作用すると、前記移動体が前記幅狭部を押し広げて開口側へ移動するように構成されている請求項4記載のルアー。
【請求項6】
前記幅狭部が、前記保持穴の内周面から内方へ突出する弾性変形可能な軟質部材である請求項5記載のルアー。
【請求項7】
前記回転体に保持されたシングルフック、ダブルフック又はトリプルフックをさらに備える請求項1乃至6のいずれかに記載のルアー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボディと、そのボディに取り付けられるフックとを備え、ボディにフックを自由回転できるようにするための自由回転手段を埋設したルアーが開示されている。このようなルアーによれば、魚がフックに引っ掛かった場合、フックが自由回転手段の軸を回転軸として回転し、その針先の向きが魚の動きに合わせて変わるので、一旦フックに引っ掛かった魚が外れ難くなる。
【0003】
しかしながら、ルアーに取り付けたフックは、根掛り防止やフッキング性能向上を目的として、魚が引っ掛かるまで針先を所定方向に保っておきたいが、前記ルアーでは、自由回転手段と一緒に回転してしまうため、それができないという問題がある。
【0004】
すなわち、例えばダブルフックの場合、藻などの上を通過しても根掛りし難くなるように、魚が引っ掛かるまでは、針先を上に向けておきたい。ところが、前記ルアーに取り付けた場合、図8の実線で示すように、針先を上に向けて取り付けたとしても、自由回転手段が180度回転することにより、図8の点線で示すように、針先が下に向いてしまい根掛りし易くなる。
【0005】
一方、例えばシングルフックの場合、魚が引っ掛かり易いように、魚が引っ掛かるまでは針先を下に向けておきたい。ところが、前記ルアーに取り付けた場合、図8の点線で示すように、針先を下に向けて取り付けたとしても、自由回転手段が180度回転することにより、図8の実線で示すように、針先が上に向いてしまいフッキング性能が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-225246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、魚がフックに引っ掛かるまでは、フックの針先の向きを所定方向に保つことができる一方、魚がフックに引っ掛かった後は、フックの針先の向きが魚の動きに合わせて変わるルアーを得ることを主な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係るルアーは、ルアー本体と、前記ルアー本体に回転可能に保持された回転体とを備え、この回転体にフックが保持されるルアーであって、前記回転体の回転を規制する回転規制機構をさらに備え、前記回転体が、それに保持された前記フックに魚が引っ掛かることにより、前記回転規制機構によって回転が規制された状態からその規制が解除された状態に切り替わるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成によれば、フックに魚が引っ掛かるまでは、回転体の回転が規制された規制状態になるので、回転体によるフックの回転も規制される。これにより、フックの向きを所定方向に保ち易くなる。したがって、例えばシングルフックを取り付けた場合、使用中に釣先を下に保つことができるので、フッキングミスを抑制できる。また、ダブルフックを取り付けた場合、使用中に針先を上に保つことができるので、根掛かりし難くなる。一方、フックに魚が引っ掛かった後は、回転体の規制が解除された解除状態になるので、回転体とともにフックも回転するようになる。これにより、フックの向きが引っ掛かった魚の動きに合わせて変わり易くなる。その結果、一旦引っ掛かった魚がフックから外れ難くなる。因みに、トリプルフックを取り付けた場合も、針先の向きを魚が引っ掛かり易い向きに保つことができるので、食い付いた魚が引っ掛かり易くなり、フッキングミスを抑制できる。
【0010】
また、前記回転規制機構が、前記ルアー本体表面に形成された篏合溝と、前記回転体を前記嵌合溝に篏合して回転が規制される規制位置と前記嵌合溝から離脱して規制が解除される解除位置との間で移動させる移動機構とを備えているものであってもよい。
【0011】
このような構成によれば、フックに魚が引っ掛かるまで、回転体が篏合溝に嵌まり込んだ状態になる。このため、回転体がルアー本体から外方へ大きく突出しないので、例えばリトリーブ時に藻などが引っ掛かり難くなる。
【0012】
また、前記移動機構が、前記嵌合溝底面から前記ルアー本体内へ延びる保持穴と、前記保持穴内に開口方向及び奥方向へ移動可能に保持され、その開口方向を向く一端に前記回転体が設けられた移動体とを備え、前記移動体を前記保持穴の奥側に設定された所定位置まで移動させることにより、前記回転体が前記規制位置に移動し、前記移動体を前記所定位置よりも開口側へ移動させることにより、前記回転体が前記解除位置に移動するものであってもよい。
【0013】
このような構成によれば、移動体を保持穴の奥へ差し込むだけで、解除状態から規制状態へ切り替えられるので、切替操作が簡単になり、切替時間も短縮できる。
【0014】
また、前記回転規制機構が、前記保持穴又は前記篏合溝に設けられ、前記回転体が一時的に規制位置に留まるように前記移動体又は前記回転体を係止する係止部をさらに備え、前記回転体に開口方向へ所定以上の外力が作用すると、前記係止部による係止が解除されて前記回転体が開口方向へ移動するように構成されているものであってもよい。
【0015】
このような構成によれば、回転体に開口方向へ向かう所定以上の外力が作用するまで規制状態に保たれる。これにより、例えばリトリーブ時に藻などがフックに引っ掛かって移動体に多少外力が作用しても、規制状態から解除状態へ切り替わらなくなる。その結果、不用意に規制が解除されることを抑制できる。
【0016】
前記移動規制機構の具体的な実施形態としては、前記係止部が、前記保持穴の内周面に形成され、前記移動体の外径よりも幅が狭い幅狭部であり、前記回転体に開口方向へ所定以上の外力が作用すると、前記移動体が前記幅狭部を押し広げて開口側へ移動するように構成されているものであってもよい。
【0017】
幅狭部を硬質部材で形成しようとすると、その間隔を精度よく形成する必要があり、製造コストが増す。特に小型ルアーでは、回転体や保持穴が小さくなるため、高い精度が要求される。
【0018】
そこで、前記幅狭部が、前記保持穴の内周面から内方へ突出する弾性変形可能な軟質部材であってもよい。
【0019】
このような構成によれば、軟質部材は硬質部材に比べて弾性変更の度合いが大きいので、製造に高い精度が要求されず、その結果、容易に製造できるようになり、製造コストを抑えられる。
【0020】
また、前記回転体に保持されたシングルフック、ダブルフック又はトリプルフックをさらに備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るルアーによれば、魚がフックに引っ掛かるまでは、フックの針先の向きを所定方向に保つことができ、魚がフックに引っ掛かった後は、フックの針先の向きが魚の動きに合わせて変わるようになる。その結果、例えばダブルフックを取り付けた場合、魚がダブルフックに引っ掛かるまでは、針先を上向きに保つことができ根掛かりし難くなり、一旦フックに引っ掛かった魚が外れ難くなる。また、シングルフックを取り付けた場合、魚がシングルフックに引っ掛かるまでは、針先を下向きに保つことができ食い付いた魚が引っ掛かり易くなり、一旦シングルフックに引っ掛かった魚が外れ難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係るルアーを模式的に示す斜視図である。
図2】実施形態に係るルアーの規制状態及び解除状態を模式的に示す横断面図である。
図3】実施形態に係るルアーの規制状態及び解除状態を模式的に示すA-A及びA’-A’部分縦断面図である。
図4】実施形態に係るルアーの規制状態及び解除状態を模式的に示すB-B及びB’-B’部分断面図である。
図5】その他の実施形態に係るルアーの規制状態を模式的に示す横断面図である。
図6】その他の実施形態に係るルアーの規制状態を模式的に示す部分横断面図である。
図7】その他の実施形態に係るルアーの規制状態及び解除状態を模式的に示す部分横断面図である。
図8】従来のルアーを模式図に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係るルアーを図面に基づいて説明する。
【0024】
<実施形態> 本実施形態に係るルアー1は、図1に示すように、ルアー本体10と、ルアー本体10に回転可能に保持された回転体20とを備えており、この回転体20にダブルフックFが取り付けられるようになっている。なお、本発明では、リトリーブ時にルアー1が進む方向を前方とし、その反対方向を後方とする。
【0025】
前記ルアー本体10は、例えば魚を模した形状のものである。そして、ルアー本体10には、前端部に釣糸を結び止めるための釣糸用アイ11が設けられ、後端部に回転体20とは別にフックを取り付けるためのフック用アイ12が設けられている。なお、釣糸用アイ11とフック用アイ12とは、ルアー本体10内を貫通するワイヤー13によって互いに連結されている。
【0026】
前記回転体20は、図2乃至図4に示すように、ダブルフックFを連結するための連結リング21と、連結リング21の外周面から外方へ延びる軸部22とを備えており、この軸部22を回転軸としてルアー本体10に対しフリー回転するようになっている。なお、この回転軸は、ルアー本体10を通過するように延びている。本実施形態の連結リング21は、線材を円形状に成形して形成されている。軸部22は、連結リング21の開口方向と直交方向に延びている。したがって、回転体20は、連結リング21の開口方向と直交する回転軸を有している。
【0027】
前記ダブルフックFは、回転体20の連結リング21に鎖状に連結されるアイ部F1と、アイ部F1の外周面から外方へ延びる一対のシャンク部F2と、それぞれのシャンク部F2先端から略U字状に湾曲する針先部F3とを備えている。そして、両針先部F2は、いずれもアイ部F1の一方の開口方向に向かって延びている。
【0028】
しかして、本発明に係るルアー1は、回転体20のルアー本体10に対する回転を規制する回転規制機構30をさらに備えている。この回転規制機構30は、回転体20の回転を規制する規制状態とその規制を解除した解除状態との間で切り替わるようになっている。なお、図2(a)、図3(a)及び図4(a)が、規制状態を示しており、図2(b)、図3(b)及び図4(b)が、解除状態を示している。
【0029】
本実施形態の回転規制機構30は、ルアー本体10表面に形成された篏合溝40と、ルアー本体10と回転体20との間に介在し、回転体20を嵌合溝40に篏合して回転が規制される規制位置と嵌合溝40から離脱して規制が解除される解除位置との間で移動させる移動機構50とを備えている。
【0030】
前記篏合溝40は、ルアー本体10表面を切り欠いて形成された長溝であり、回転体20の一部が嵌まり込む形状になっている。本実施形態の篏合溝40は、連結リング21の一部が嵌まり込む略半円形状をなしている。また、篏合溝40の短手方向の幅は、連結リング21の径(直径)よりも短くなっている。これにより、回転体20は、その連結リング21が篏合溝40に嵌まり込むと、その開口方向と直交する軸を回転軸として回転できなくなる。本実施形態の篏合溝40は、ルアー本体10下面(腹面)を切り欠いて形成されており、前後方向に延びている。したがって、連結リング21は、篏合溝40に嵌まり込んだ状態でその開口が前後方向と直交する方向、具体的にはルアー本体10の体幅方向(左右方向)を向くようになっている。
【0031】
前記移動機構50は、篏合溝40からルアー本体10内へ延びる保持穴51と、保持穴51内に開口方向及び奥方向へ移動可能に保持された移動体52と、移動体52をルアー本体10に保持する保持体53とを備えている。因みに、回転体20、移動体52及び保持体53とで既成のスイベルを構成している。
【0032】
前記保持穴51は、有底状の長穴であり、篏合溝40と連通している。具体的には、保持穴51は、篏合溝40よりも幅広に形成されており、その底面51aと対向する対向面51bの中央部分に形成された開口を介して篏合溝40と連通している。また、保持穴51の奥側には、ワイヤー13が横切るように架け渡されている。本実施形態の保持穴51は、ルアー本体10下方に向かって開口しており、ルアー本体10内を上方へ延びている。
【0033】
前記移動体52は、保持穴51内に挿入された円筒状の軸体であり、その開口方向を向く一端面には、回転体20が軸部22を回転可能に軸止めして取り付けられている。そして、この移動体52が、保持穴51内を移動すると、これに伴って回転体20が篏合溝40に出入りする。具体的には、移動体52が、保持穴51の奥に設定された所定位置まで移動すると、これに伴って回転体20は連結リング21が篏合溝40に嵌まり込む規制位置に移動する。一方、移動体52が、保持穴51の所定位置から開口側へ移動すると、これに伴って回転体20は連結リング21が篏合溝40から離脱し最終的に解除位置まで移動する。なお、本実施形態では、移動体52が、保持穴51の対向面51bと接触する位置まで移動すると、回転体20は解除位置に達する。そして、移動体52は、保持穴51の対向面51aによって開口方向への移動が規制される。したがって、保持穴51の対向面51aは、移動体52の開口方向への移動を規制する移動規制機構を構成しているともいえる。
【0034】
前記保持体53は、保持リング53aと、その保持リング53aの外周面から外方へ延びる保持軸53bとを備えている。保持体53は、移動体52の奥方向を向く一端面に保持軸53bを軸止めして取り付けられている。なお、保持軸53bは、移動体52内に多少出入りするように遊びを持たせて軸止めされている。そして、保持体53は、保持リング53aがワイヤー13に連結されている。これにより、移動体52は、保持体53を介してルアー本体10に保持穴51から抜脱しないように保持される。ここで、保持リング53aは、その内径がワイヤー13の外径よりも大きくなっている。したがって、移動体52は、保持リング53aの内径とワイヤー13の外径との差と前記遊びとを利用して保持穴51内を移動するようになっている。
【0035】
さらに前記回転規制機構50は、保持穴51内に設けられ、前記所定位置に配置された移動体52をその位置に一時的に係止する係止部60をさらに備えている。この係止部60は、回転体20に開口方向へ引っ張る所定以上の外力が作用すると、その係止が解除されるようになっている。したがって、係止部60は、移動体52を所定位置に一時的に留める役割を果たしている。
【0036】
本実施形態の係止部60は、保持穴51の内周面に設けられ、移動体52の径よりも幅が狭い幅狭部であり、保持穴51の外方へ向かって弾性変形するようになっている。そして、係止部60は、所定位置まで移動させた移動体52よりも開口側に配置されている。したがって、移動体52は、所定位置から係止部60を押し広げて通過し開口側へ移動するようになっている。
【0037】
前記係止部60は、具体的には、少なくとも保持穴51の互いに対向する内周面に形成された凹溝61と、各凹溝61に嵌め込まれた弾性体62とを備えている。両弾性体62は、いずれも金属製の線材によって形成されており、それぞれ凹溝61に嵌め込まれた状態で互いに対向するように平行に配置されている。また、両弾性体62は、その間隔が移動体52の幅よりも狭くなっており、その一部が僅かに保持穴51の内周面よりも内側に飛び出している。したがって、所定位置に配置された移動体52は、その開口方向を向く一端が弾性体62に引っ掛かる。なお、本実施形態の両弾性体62は、互いの両端が繋がっており、全体としてU字状をなしている。
【0038】
次に、本実施形態に係るルアー1の使用方法を説明する。
【0039】
先ず、回転体20の連結リング21にダブルフックFを取り付ける。この時、ダブルフックFは、両針先F3が上を向くように取り付ける。そして、移動体52を所定位置まで移動させるとともに、連結リング21を篏合溝40に嵌め込む。これにより、図2(a)、図3(a)及び図4(a)に示すように、回転体20はルアー本体10に対して回転できなくなり規制状態となる。その結果、ダブルフックFは、回転体20とともに回転できなくなる。また、この状態で、移動体52は、係止部60に引っ掛かって開口側への移動が一時的に規制された状態となる。ルアー1は、この状態でキャスティングする。
【0040】
次に、キャスティングしたルアー1のダブルフックFに魚が引っ掛かると、その魚の引きにより、回転体20に開口方向へ引っ張る力が働く。そして、その力が所定以上になると、図2(b)、図3(b)及び図4(b)に示すように、移動体52は、係止部60を押し広げながらその所定位置よりも開口側へ移動し解除位置に達する。これに伴って連結リング21が篏合溝40から離脱し、回転体20が解除状態となる。その結果、ダブルフックFが、回転体20とともに回転できるようになる。
【0041】
なお、回収したルアー1を再度キャスティングする場合、もう一度移動体52を所定位置まで移動させて連結リング21を篏合溝に嵌め込めばよい。
【0042】
本実施形態によれば、ダブルフックFに魚が引っ掛かるまでは、回転体20の回転が規制された規制状態になるので、回転体20によるダブルフックFの回転も規制される。これにより、ダブルフックFの向きを上向きに保つことができる。その結果、藻などの上を通過しても引っ掛かり難くなる。一方、ダブルフックFに魚が引っ掛かった後は、回転体20の規制が解除された解除状態になるので、回転体20とともにダブルフックFも回転するようになる。これにより、ダブルフックFの向きが引っ掛かった魚の動きに合わせて変わり易くなる。その結果、一旦引っ掛かった魚がダブルフックFから外れ難くなる。
【0043】
また、本実施形態では、係止部60の幅狭部を弾性体61で構成したので、製造時に弾性体61を交換するだけで、係止部60が移動体52を一時的に留める力を簡単に調整できる。
【0044】
また、本実施形態では、回転体20及び移動体52として、既存のスイベルを使用でき製造コストを抑えることができる。
【0045】
<その他の実施形態> その他の実施形態としては、例えば図5に示すように、保持穴51の開口を板状の軟質部材13で塞ぎ、その軟質部材13に切り込みを入れて形成したスリットを篏合溝40及び係止部60としてもよい。この場合、回転体20は、スリットに差し込まれることで回転が規制され、移動体52は、スリットを押し広げて開口側へ移動するようになる。このように、係止部60は、嵌合溝40に設けてもよい。また、嵌合溝40自体が、係止部60を兼ねるような構造としてもよい。
【0046】
このような構成によれば、嵌合溝40及び係止部60をスリット一つで兼ねることができるので、回転規制機構の構造を簡単にでき、例えば小型ルアーにも適用し易くなる。
【0047】
また、前記係止部60は、嵌合溝40に設け、回転体20を係止するようしてもよい。例えば図6に示すように、係止部60が、嵌合溝40の内側面に設けられ、連結リング21を構成する線材の太さよりも幅が狭く形成された幅狭部であり、この幅狭部が、回転体20を係止するようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、弾性体として金属製の線材を使用したが、例えば凹溝に嵌め込まれた弾性変形する軟質部材であってもよい。
【0049】
また、前記係止部は、保持穴や嵌合溝に形成された幅狭部としたが、これに限定されない。例えば係止部は、保持穴又は篏合溝と移動体又は回転体との間に介在し互いに係合する凹凸であってもよい。
【0050】
また、前記実施形態では、回転体と移動体とを別の部材によって形成したが、図7に示すように、回転体20と移動体52とを一体に形成してもよい。この場合、回転体20は、移動体52とともに回転するので、ルアー本体10に対して回転可能に軸止めすればよい。
【0051】
また、前記実施形態では、ダブルフックを取り付けたが、これに限定されない。例えばシングルフックやトリプルフックであってもよい。
【0052】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 ルアー
F ダブルフック
10 ルアー本体
20 回転体
30 回転規制機構
40 篏合溝
50 移動機構
51 保持穴
52 移動体
60 係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8